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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】吸着再生装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20230315BHJP
   F24F 3/14 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
B01D53/26 220
F24F3/14
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018174181
(22)【出願日】2018-09-18
(65)【公開番号】P2020044493
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松岡 拓也
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-128654(JP,A)
【文献】特開2002-361025(JP,A)
【文献】特開2002-349904(JP,A)
【文献】特開2002-282641(JP,A)
【文献】米国特許第03251402(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26-53/28、
53/02-53/12
F24F 3/00- 3/167
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着側通路(11)を流れる第1のガスが通過する吸着部(A1,A2)と、再生側通路(12)を流れる第2のガスが通過する再生部(R1,R2)とを有するとともに、隣り合うように配置される少なくとも2つの回転部材(30,40)と、
隣り合う前記2つの回転部材(30,40)を互いに逆方向に回転させる駆動機構(60)とを備え、
前記各回転部材(30,40)の前記吸着部(A1,A2)と再生部(R1,R2)との間には、隣り合う回転部材(30,40)を互いに熱交換させる熱交換部(L1,L2,H1,H2)が形成され、
前記熱交換部(L1,L2,H1,H2)を空気流れから遮断する区画部材(21,22)を備えることを特徴とする吸着再生装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記各回転部材(30,40)には、前記吸着部(A1,A2)、第1の前記熱交換部(L1,L2)、前記再生部(R1,R2)、第2の前記熱交換部(H1,H2)が回転方向に順に形成されることを特徴とする吸着再生装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
隣り合う回転部材(30,40)の熱交換部(L1,L2,H1,H2)は、互いに接触していることを特徴とする吸着再生装置。
【請求項4】
請求項1又は2において、
隣り合う回転部材(30,40)の熱交換部(L1,L2,H1,H2)の間には、微小隙間(C)が形成されることを特徴とする吸着再生装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つにおいて、
前記2つの回転部材(30,40)の熱交換部(L1,L2,H1,H2)は、軸方向に隣り合うように配置されることを特徴とする吸着再生装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記回転部材(30,40)は、軸方向の伝熱を促進させる伝熱促進部(33,35,83)が設けられることを特徴とする吸着再生装置。
【請求項7】
吸着側通路(11)を流れる第1のガスが通過する吸着部(A1,A2)と、再生側通路(12)を流れる第2のガスが通過する再生部(R1,R2)とを有するとともに、隣り合うように配置される少なくとも2つの回転部材(30,40)と、
隣り合う前記2つの回転部材(30,40)を互いに逆方向に回転させる駆動機構(60)とを備え、
前記各回転部材(30,40)の前記吸着部(A1,A2)と再生部(R1,R2)との間には、隣り合う回転部材(30,40)を互いに熱交換させる熱交換部(L1,L2,H1,H2)が形成され、
前記2つの回転部材(30,40)の熱交換部(L1,L2,H1,H2)は、径方向に隣り合うように配置されることを特徴とする吸着再生装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記回転部材(30,40)には、径方向の伝熱を促進させる伝熱促進部(33,35,83)が設けられることを特徴とする吸着再生装置。
【請求項9】
吸着側通路(11)を流れる第1のガスが通過する吸着部(A1,A2)と、再生側通路(12)を流れる第2のガスが通過する再生部(R1,R2)とを有するとともに、隣り合うように配置される少なくとも2つの回転部材(30,40)と、
隣り合う前記2つの回転部材(30,40)を互いに逆方向に回転させる駆動機構(60)とを備え、
前記各回転部材(30,40)の前記吸着部(A1,A2)と再生部(R1,R2)との間には、隣り合う回転部材(30,40)を互いに熱交換させる熱交換部(L1,L2,H1,H2)が形成され、
前記各回転部材(30,40)は、回転部材本体(31,41)と、該回転部材本体(31,41)の軸方向端部に設けられるとともに複数の孔(82)が形成される伝熱部材(80)とをそれぞれ有し、隣り合う伝熱部材(80)が互いに接触するように構成されることを特徴とする吸着再生装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記伝熱部材(80)は、前記複数の孔(82)が形成される基材(81)と、該基材(81)を前記回転部材本体(31,41)に接着する熱伝導性を有する接着部(83)とを有していることを特徴とする吸着再生装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1つにおいて、
第1の前記回転部材(30)と、第2の前記回転部材(40)と、該第1の回転部材(30)と第2の回転部材(40)との間に配置される第3の前記回転部材(70)とを少なくとも備え、
前記駆動機構(60)は、第1の回転部材(30)及び前記第2の回転部材(40)の回転方向と、第3の回転部材(70)の回転方向とが逆向きとなるように、各回転部材(30,40,70)を回転させるように構成され、
前記第3の回転部材(70)の熱交換部(L3,H3)は、前記第1の回転部材(30)の熱交換部(L1,H2)、及び第2の回転部材(40)の熱交換部(L2,H2)の双方と熱交換することを特徴とする吸着再生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸着再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の吸着再生装置は、回転駆動されるロータ(回転部材)を備える。空気がロータの吸着部を通過すると、空気中の水分が吸着剤に吸着され、空気が除湿される。他の空気は、ロータの再生部を通過すると、空気によって再生部の吸着剤が加熱され、吸着剤から水分が脱着する。特許文献1では、吸着部で除湿された空気を室内へ給気し、室内の除湿を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5681360号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のような吸着再生装置では、吸着部を冷却する、あるいは再生部を加熱するためにエネルギーを要する。本開示の目的は、このエネルギーの消費量を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様は、吸着側通路(11)を流れる第1のガスが通過する吸着部(A1,A2)と、再生側通路(12)を流れる第2のガスが通過する再生部(R1,R2)とを有するとともに、隣り合うように配置される少なくとも2つの回転部材(30,40)と、隣り合う前記2つの回転部材(30,40)を互いに逆方向に回転させる駆動機構(60)とを備え、前記各回転部材(30,40)の前記吸着部(A1,A2)と再生部(R1,R2)との間には、隣り合う回転部材(30,40)を互いに熱交換させる熱交換部(L1,L2,H1,H2)が形成されることを特徴とする吸着再生装置である。
【0006】
第1の態様では、2つの回転部材(30,40)の熱交換部(L1,L2,H1,H2)で熱交換が行われると、再生部(R1,R2)へと移動していく熱交換部(L1,L2)が加熱され、吸着部(A1,A2)へ移動していく熱交換部(H1,H2)が冷却される。よって、再生部(R1,R2)へ移動する直前の吸着剤を予め加熱できるため、再生部(R1,R2)の吸着剤の温度を上げることができる。同時に、吸着部(A1,A2)へ移動する直前の吸着剤を予め冷却できるため、吸着部(A1,A2)の吸着剤の温度を下げることができる。
【0007】
第2の態様は、第1の態様において、前記各回転部材(30,40)には、前記吸着部(A1,A2)、第1の前記熱交換部(L1,L2)、前記再生部(R1,R2)、第2の前記熱交換部(H1,H2)が回転方向に順に形成されることを特徴とする吸着再生装置である。
【0008】
第2の態様では、2つの回転部材(30,40)のそれぞれにおいて吸着部(A1,A2)から再生部(R1,R2)へ移動する吸着剤が第1の熱交換部(L1,L2)において加熱されると同時に再生部(R1,R2)から吸着部(A1,A2)へ移動する吸着剤が第2の熱交換部(H1,H2)において冷却される。つまり、各回転部材(30,40)では、再生部(R1,R2)へ移動する直前の吸着剤を予め加熱すると同時に、吸着部(A1,A2)へ移動する直前の吸着剤を予め冷却できる。
【0009】
第3の態様は、第1又は2の態様において、隣り合う回転部材(30,40)の熱交換部(L1,L2,H1,H2)は、互いに接触していることを特徴とする吸着再生装置である。
【0010】
第3の態様では、隣り合う回転部材(30,40)の熱交換部(L1,L2,H1,H2)同士が互いに接触するため、これらの熱交換部(L1,L2,H1,H2)の間の伝熱を促進できる。
【0011】
第4の態様は、第1又は2の態様において、隣り合う回転部材(30,40)の熱交換部(L1,L2,H1,H2)の間には、微小隙間(C)が形成されることを特徴とする吸着再生装置である。
【0012】
第4の態様では、隣り合う回転部材(30,40)の熱交換部(L1,L2,H1,H2)の間に微小隙間(C)を形成したため、これらの熱交換部(L1,L2,H1,H2)の摺動抵抗を低減できる。両者の熱交換部(L1,L2,H1,H2)の間には、微小隙間(C)があるだけなので、両者の熱交換部(L1,L2,H1,H2)の間での伝熱も確保できる。
【0013】
第5の態様は、第1乃至4の態様のいずれか1つにおいて、前記2つの回転部材(30,40)の熱交換部(L1,L2,H1,H2)は、軸方向に隣り合うように配置されることを特徴とする吸着再生装置である。
【0014】
第5の態様では、2つの回転部材(30,40)が軸方向に隣り合うように配置される。隣り合う熱交換部(L1,L2,H1,H2)では、回転部材(30,40)の軸方向において熱の授受が行われる。
【0015】
第6の態様は、第5の態様において、前記回転部材(30,40)は、軸方向の伝熱を促進させる伝熱促進部(33,35,83)が設けられることを特徴とする吸着再生装置である。
【0016】
第6の態様では、伝熱促進部(33,35,83)により回転部材(30,40)の軸方向の伝熱が促進されるため、隣り合う熱交換部(L1,L2,H1,H2)における熱の授受を促進できる。
【0017】
第7の態様は、第1乃至4の態様のいずれか1つにおいて、前記2つの回転部材(30,40)の熱交換部(L1,L2,H1,H2)は、径方向に隣り合うように配置されることを特徴とする吸着再生装置である。
【0018】
第7の態様では、2つの回転部材(30,40)が径方向に隣り合うように配置される。隣り合う熱交換部(L1,L2,H1,H2)では、回転部材(30,40)の径方向において熱の授受が行われる。
【0019】
第8の態様は、第7の態様において、前記回転部材(30,40)には、径方向の伝熱を促進させる伝熱促進部(33,35,83)が設けられることを特徴とする吸着再生装置である。
【0020】
第8の態様では、伝熱促進部(33,35,83)により回転部材(30,40)の径方向の伝熱が促進されるため、隣り合う熱交換部(L1,L2,H1,H2)における熱の授受を促進できる。
【0021】
第9の態様は、第1乃至第8のいずれか1つの態様において、前記各回転部材(30,40)は、回転部材本体(31,41)と、該回転部材本体(31,41)の軸方向端部に設けられるとともに複数の孔(82)が形成される伝熱部材(80)とをそれぞれ有し、隣り合う伝熱部材(80)が互いに接触するように構成されることを特徴とする吸着再生装置である。
【0022】
第9の態様では、回転部材本体(31,41)の軸方向端部に伝熱部材(80)が設けられる。伝熱部材(80)は複数の孔(82)が形成されるため、吸着部(A1,A2)及び再生部(R1,R2)における第1ガス及び第2ガスが孔(82)を通過できる。各回転部材(30,40)の伝熱部材(80)同士が接触することで、隣り合う熱交換部(L1,L2,H1,H2)では、各伝熱部材(80)を介して熱の授受が行われる。
【0023】
第10の態様は、第9の態様において、前記伝熱部材(80)は、前記複数の孔(82)が形成される基材(81)と、該基材(81)を前記回転部材本体(31,41)に接着する熱伝導性を有する接着部(83)とを有していることを特徴とする吸着再生装置である。
【0024】
第10の態様の伝熱部材(80)は、その基材(81)が接着剤により回転部材本体(31,41)に接着されることで、回転部材本体(31,41)に固定される。接着剤により形成した接着部(83)は、熱伝導性を有するため、隣り合う熱交換部(L1,L2,H1,H2)の熱の授受を促進できる。
【0025】
第11の態様は、第1乃至10の態様のいずれか1つにおいて、第1の前記回転部材(30)と、第2の前記回転部材(40)と、該第1の回転部材(30)と第2の回転部材(40)との間に配置される第3の前記回転部材(70)とを少なくとも備え、前記駆動機構(60)は、第1の回転部材(30)及び前記第2の回転部材(40)の回転方向と、第3の回転部材(70)の回転方向とが逆向きとなるように、各回転部材(30,40,70)を回転させるように構成され、前記第3の回転部材(70)の熱交換部(L3,H3)は、前記第1の回転部材(30)の熱交換部(L1,H2)、及び第2の回転部材(40)の熱交換部(L2,H2)の双方と熱交換することを特徴とする吸着再生装置である。
【0026】
第11の態様では、第3回転部材(70)の熱交換部(L3,H3)は、その両側に位置する、第1回転部材(30)の熱交換部(L1,H1)、及び第2回転部材(40)の熱交換部(L2,H2)と熱交換する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、実施形態1に係る調湿装置の概略の構成図である。
図2図2は、実施形態1に係る吸着再生装置の概略の構成図である。
図3図3は、実施形態1に係る各ロータの機能・作用を説明するための概略の構成図である。
図4図4は、実施形態1に係るロータ本体の概略構成を示す正面図である。
図5図5は、実施形態1に係る吸着再生装置の駆動機構を模式的に表した概略の斜視図である。
図6図6は、実施形態1の変形例1に係る調湿装置の概略の構成図である。
図7図7は、実施形態1の変形例1に係る各ロータの機能・作用を説明するための概略の構成図である。
図8図8は、実施形態1の変形例2に係る吸着再生装置の3つのロータを模式的に示す概略の構成図である。
図9図9は、実施形態2に係る各ロータの機能・作用を説明するための概略の構成図である。
図10図10は、実施形態2に係る概略構成を示す正面図である。
図11図11は、実施形態2の変形例に係る各ロータの機能・作用を説明するための概略の構成図である。
図12図12は、その他の変形例1において、隣り合うロータを拡大した断面図である。
図13図13は、その他の変形例2において、隣り合うロータを拡大した断面図である。
図14図14は、その他の変形例3に係るロータの概略構成を示す斜視図である。
図15図15は、その他の変形例3に係るロータ表面の伝熱部材を拡大して模式的に表して斜視図である。
図16図16は、その他の変形例3において、隣り合うロータを拡大した断面図である。
図17図17は、その他の変形例4に係る吸着再生装置の駆動機構を模式的に表した概略の斜視図である。
図18図18は、その他の変形例5に係る吸着再生装置の駆動機構を模式的に表した概略の斜視図である。
図19図19は、その他の変形例6に係るロータ本体の概略構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0029】
《実施形態1》
本開示の吸着再生装置(20)は、ガス中の対象物質を吸着/再生する。本実施形態の吸着再生装置(20)は、空気の湿度を調節する調湿装置(1)に適用される。調湿装置(1)は、例えば室外空気を除湿し、除湿した空気を室内へ供給する。
【0030】
〈全体構成〉
図1に示すように、調湿装置(1)は、吸着側通路(11)と再生側通路(12)とを備える。吸着側通路(11)には第1ガスが流れ、再生側通路(12)には第2ガスが流れる。第1ガスは、吸着再生装置(20)の吸着処理の対象となる。第2ガスは、吸着再生装置(20)の吸着剤の再生に利用される。本実施形態では、第1ガス及び第2ガスが室外空気である。なお、第1ガス及び第2ガスの一方、又は両方を室内空気としてもよい。
【0031】
吸着側通路(11)には、給気ファン(13)が配置される。給気ファン(13)は、第1ガスとしての例えば室外空気を吸引し、この空気を室内空間へ供給する。再生側通路(12)には、排気ファン(14)が配置される。排気ファン(14)は、第2ガスとしての例えば室外空気を吸引し、この空気を室外空間へ排出する。給気ファン(13)及び排気ファン(14)は、吸着再生装置(20)の下流側に配置される。なお、給気ファン(13)及び排気ファン(14)を吸着再生装置(20)の上流側に配置してもよい。
【0032】
再生側通路(12)には、第2ガスを加熱する熱交換器(15)(加熱手段)が配置されている。熱交換器(15)は、ヒートポンプ装置(図示省略)に接続され、熱媒体と第2ガスとを熱交換させる。熱交換器(15)に代えて、ヒータやペルチェ素子等の他の加熱手段を用いてもよい。
【0033】
〈吸着再生装置〉
図1図3に示す吸着再生装置(20)は、吸着側通路(11)と再生側通路(12)との双方に跨がるように設けられる。吸着再生装置(20)は、第1区画部材(21)、第2区画部材(22)、第1ロータ(30)、第2ロータ(40)、回転軸(50)、及び駆動機構(60)を備えている。吸着再生装置(20)では、吸着側通路(11)ないし再生側通路(12)の上流側から下流側に向かって順に、第1区画部材(21)、第1ロータ(30)、第2ロータ(40)、及び第2区画部材(22)が順に配置される。回転軸(50)は、少なくとも第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)を軸方向に貫通し、第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)を回転可能に支持している。駆動機構(60)は、第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)を回転駆動する。
【0034】
なお、図2の例の吸着再生装置(20)では、回転軸(50)を水平方向に延ばし、第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)を縦置きに配置している。しかし、回転軸(50)を垂直方向に延ばし、第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)を横置きに配置してもよい。
【0035】
〈区画部材〉
第1区画部材(21)は、第1ロータ(30)の上流側に設けられる。第1区画部材(21)は、第1ロータ(30)の上流側の端面に沿った板状に形成される。第1区画部材(21)には、その軸心を挟んで対向する2つの扇状の切り欠き部が形成される。これらの切り欠き部のうち、吸着側通路(11)に位置する方が吸着側流入口(23)を構成している。これらの切り欠き部のうち再生側通路(12)に位置する方が再生側流入口(24)を構成している。吸着側流入口(23)は、吸着側通路(11)の上流側と連通する。吸着側流入口(23)は、仕切板(図示省略)により再生側通路(12)と遮断される。再生側流入口(24)は、再生側通路(12)の上流側と連通する。再生側流入口(24)は、仕切板(図示省略)により吸着側通路(11)と遮断される。
【0036】
第2区画部材(22)は、第2ロータ(40)の下流側に設けられる。第2区画部材(22)は、第2ロータ(40)の上流側の端面に沿った板状に形成される。第2区画部材(22)には、その軸心を挟んで対向する2つの扇状の切り欠き部が形成される。これらの切り欠き部のうち、吸着側通路(11)に位置する方が吸着側流出口(25)を構成している。これらの切り欠き部のうち再生側通路(12)に位置する方が再生側流出口(26)を構成している。吸着側流出口(25)は、吸着側通路(11)の下流側と連通する。吸着側流出口(25)は、図示しない仕切板により再生側通路(12)と遮断される。再生側流出口(26)は、再生側通路(12)の下流側と連通する。再生側流出口(26)は、図示しない仕切板により吸着側通路(11)と遮断される。
【0037】
〈ロータ〉
第1ロータ(30)は、駆動機構(60)によって回転駆動される第1回転部材を構成している。第2ロータ(40)は、駆動機構(60)によって回転駆動される第2回転部材を構成している。本実施形態では、第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)が軸方向に隣り合うように配置される。第1ロータ(30)の回転方向(図3の矢印r1で示す方向)と、第2ロータ(40)の回転方向(図3の矢印r2で示す方向)とは互いに逆向きとなる。
【0038】
本実施形態では、第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)の構造が基本的に同じである。本実施形態では、第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)が同軸となるように配置される。第1ロータ(30)は、円板状の第1ロータ本体(31)(第1回転部材本体)と、第1ロータ本体(31)に担持される吸着剤とを備える。第2ロータ(40)は、円板状の第2ロータ本体(41)(第2回転部材本体)と、第2ロータ本体(41)に担持される吸着剤とを備える。
【0039】
図4に示すように、各ロータ本体(31,41)は、断熱性を有する枠材(32)と、枠材(32)に固定されるフィン(33)とを備える。本実施形態の枠材(32)は、回転軸(50)の軸周りに巻回された渦巻き状に形成される。枠材(32)は、各ロータ(30,40)の軸方向の両端に亘って延びている。枠材(32)は、断熱性を有する材料(例えば紙や樹脂材料等)で構成される。フィン(33)は、枠材(32)と同様に回転軸(50)の軸周りに巻回される。フィン(33)は、波板状に形成される。フィン(33)は、各ロータ(30,40)の軸方向の両端に亘って延びている。フィン(33)は、その1つ1つの波部(33a)の頂部と底部とが枠材(32)に接触して固定される。従って、各フィン(33)では、その巻回方向(ロータ本体(31,41)の周方向ともいえる)において複数のガス層(空気層)が区画形成される。
【0040】
このように、第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)では、その周方向ないし径方向において空気層が介在する一方、軸方向の両端に亘ってフィン(33)が延びている。これにより、第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)では、軸方向の伝熱が促進されている。つまり、本実施形態のフィン(33)は、軸方向の伝熱を促進する伝熱促進部を構成している。
【0041】
吸着剤は、フィン(33)の表面に担持される吸着層を構成している。例えば吸着層は、吸着剤を含むスラリーにフィン(33)を浸漬した後、フィン(33)の表面を乾燥させることで得られる。吸着剤は、第1ガス中の処理物質を吸着可能な材料で構成される。具体的には、吸着剤は、例えばゼオライト、シリカゲル、親水性の官能基を有する高分子材料等が挙げられる。
【0042】
図3に示すように、第1ロータ(30)には、その回転方向において、第1吸着部(A1)、第1低温熱交換部(L1)(第1熱交換部)、第1再生部(R1)、及び第1高温熱交換部(H1)(第2熱交換部)が順に形成される。本実施形態では、第1吸着部(A1)と第1再生部(R1)とが、回転軸(50)を中心として互いに対向するように配置される。第1低温熱交換部(L1)と第1高温熱交換部(H1)とが回転軸(50)を中心として互いに対向するように配置される。
【0043】
第1吸着部(A1)は、吸着側通路(11)を流れる第1ガスが通過する領域である。第1吸着部(A1)は、吸着側通路(11)に位置している。具体的には、第1吸着部(A1)は、吸着側流入口(23)と吸着側流出口(25)との間に位置している。第1吸着部(A1)では、第1ガス(空気)中の処理物質(水分)が吸着剤に吸着される。
【0044】
第1再生部(R1)は、再生側通路(12)を流れる第2ガスが通過する領域である。第1再生部(R1)は、再生側通路(12)に位置している。具体的には、第1再生部(R1)は、再生側流入口(24)と再生側流出口(26)との間に位置している。第1再生部(R1)では、熱交換器(15)で加熱された第2ガス(空気)によって、吸着剤に吸着された水分が脱着する。つまり、第1再生部(R1)では、吸着剤の再生が行われる。
【0045】
第1低温熱交換部(L1)は、第1ロータ(30)のうち第1吸着部(A1)から第1再生部(R1)に移動する部分に対応している。第1高温熱交換部(H1)は、第1ロータ(30)のうち第1再生部(R1)から第1吸着部(A1)に移動する部分に対応している。第1低温熱交換部(L1)には、比較的低温の第1ガスが流れる第1吸着部(A1)の部分が移動する。第2高温熱交換部(H2)には、比較的高温の第2ガスが流れる第1再生部(R1)の部分が移動する。従って、第1ロータ(30)では、第1高温熱交換部(H1)の温度が、第1低温熱交換部(L1)の温度よりも高い。
【0046】
第2ロータ(40)には、その回転方向において、第2吸着部(A2)、第2低温熱交換部(L2)(第1熱交換部)、第2再生部(R2)、及び第2高温熱交換部(H2)(第2熱交換部)が順に形成される。本実施形態では、第2吸着部(A2)と第2再生部(R2)とが、回転軸(50)を中心として互いに対向するように配置される。第2低温熱交換部(L2)と第2高温熱交換部(H2)とが回転軸(50)を中心として互いに対向するように配置される。
【0047】
第2吸着部(A2)は、第1吸着部(A1)と軸方向にオーバーラップしている。第1吸着部(A1)と第2吸着部(A2)とは軸方向に隣り合うように配置される。第2吸着部(A2)は、吸着側通路(11)を流れる第1ガスが通過する領域である。第2吸着部(A2)は、吸着側通路(11)に位置している。具体的には、第2吸着部(A2)は、吸着側流入口(23)と吸着側流出口(25)との間に位置している。第2吸着部(A2)では、第1ガス(空気)中の処理物質(水分)が吸着剤に吸着される。
【0048】
第2再生部(R2)は、第1再生部(R1)と軸方向にオーバーラップしている。第1再生部(R1)と第2再生部(R2)とは軸方向に隣り合うように配置される。第2再生部(R2)は、再生側通路(12)を流れる第2ガスが通過する領域である。第2再生部(R2)は、再生側通路(12)に位置している。具体的には、第2再生部(R2)は、再生側流入口(24)と再生側流出口(26)との間に位置している。第2再生部(R2)では、熱交換器(15)で加熱された第2ガス(空気)によって、吸着剤に吸着された水分が脱着する。つまり、第2再生部(R2)では、吸着剤の再生が行われる。
【0049】
第2低温熱交換部(L2)は、第1ロータ(30)の第1高温熱交換部(H1)と軸方向にオーバーラップしている。第2低温熱交換部(L2)と第1高温熱交換部(H1)とは、軸方向に隣り合うように配置される。本実施形態では、第2低温熱交換部(L2)と第1高温熱交換部(H1)とが接触する。
【0050】
第2高温熱交換部(H2)は、第1ロータ(30)の第1低温熱交換部(L1)と軸方向にオーバーラップしている。第2高温熱交換部(H2)と第1低温熱交換部(L1)とは、軸方向に隣り合うように配置される。本実施形態では、第2高温熱交換部(H2)と第1低温熱交換部(L1)とが接触する。
【0051】
第2低温熱交換部(L2)は、第2ロータ(40)のうち第2吸着部(A2)から第2再生部(R2)に移動する部分に対応している。第2高温熱交換部(H2)は、第2ロータ(40)のうち第2再生部(R2)から第2吸着部(A2)に移動する部分に対応している。第2低温熱交換部(L2)には、比較的低温の第2ガスが流れる第2吸着部(A2)の部分が変位する。第2高温熱交換部(H2)には、比較的高温の第2ガスが流れる第1再生部(R1)の部分が変位する。従って、第2ロータ(40)では、第2高温熱交換部(H2)の温度が、第2低温熱交換部(L2)の温度よりも高い。加えて、第1ロータ(30)と第2ロータ(40)との間では、第1高温熱交換部(H1)の温度が第2低温熱交換部(L2)の温度よりも高く、且つ第2高温熱交換部(H2)の温度が第1低温熱交換部(L1)の温度よりも高い。
【0052】
〈駆動機構〉
駆動機構(60)は、第1ロータ(30)の回転方向と第2ロータ(40)の回転方向とが逆向きとなるように第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)を回転駆動させる。駆動機構(60)は、第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)を同時に回転駆動させる。
【0053】
図5に模式的に示すように、本実施形態の駆動機構(60)は、1つのモータ(61)と、モータ(61)に連結する1本の駆動軸(62)と、駆動軸(62)に連結される1つのプーリ(63)と、プーリ(63)に巻回される1つのベルト(64)と、駆動軸(62)に連結される1つのギア(65)とを備える。なお、図5では、第1区画部材(21)及び第2区画部材(22)の図示は省略している。
【0054】
プーリ(63)及びギア(65)は、駆動軸(62)と同軸であり、該駆動軸(62)によって回転駆動される。ベルト(64)は、例えば第1ロータ(30)の外周面とプーリ(63)の外周面とに巻回される。ギア(65)は、例えば第2ロータ(40)の外周面に形成されたギア歯(42)に歯合する。モータ(61)によって駆動軸(62)が回転駆動させると、プーリ(63)及びギア(65)が回転する。第1ロータ(30)は、プーリ(63)ないしベルト(64)と同じ方向に回転する。一方、第2ロータ(40)は、ギア(65)と反対方向に回転する。よって、第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)は互いに逆向きに回転する。
【0055】
-運転動作-
〈基本動作〉
調湿装置(1)の基本的な運転動作について図1図3を参照しながら説明する。調湿装置(1)の運転時には、給気ファン(13)及び排気ファン(14)が運転状態となり、熱交換器(15)を熱媒体が流れる。吸着再生装置(20)では、モータ(61)が運転状態となり、第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)が回転駆動される。
【0056】
吸着側通路(11)に取り込まれた第1ガス(例えば室外空気)は、吸着側流入口(23)を流れ、第1吸着部(A1)及び第2吸着部(A2)を順に通過する。第1吸着部(A1)及び第2吸着部(A2)では、第1ガス中の水分が吸着剤に吸着される。第1吸着部(A1)及び第2吸着部(A2)によって除湿された第1ガスは、吸着側流出口(25)を流れた後、供給空気として室内空間へ供給される。
【0057】
再生側通路(12)に取り込まれた第2ガス(例えば室外空気)は、熱交換器(15)によって加熱される。この結果、第2ガスの温度が上昇する。昇温された第2ガスは、再生側流入口(24)を流れ、第1再生部(R1)及び第2再生部(R2)を順に通過する。第1再生部(R1)及び第2再生部(R2)では、第2ガスによって吸着剤が加熱される。この結果、吸着剤から水分が脱着(脱離)する。第1再生部(R1)及び第2再生部(R2)の吸着剤の再生に利用された第2ガスは、再生側流出口(26)を流れた後、排出空気として室外空間へ排出される。なお、排出空気の熱を顕熱交換器などにより再利用してもよい。
【0058】
〈熱交換部の作用〉
上述した運転では、吸着再生装置(20)の各熱交換部(L1,L2,H1,H2)において熱の授受が行われる。具体的に、吸着再生装置(20)では、第1低温熱交換部(L1)と第2高温熱交換部(H2)とが接触する。第1低温熱交換部(L1)は、その直前に第1吸着部(A1)であったため、比較的低温となる。一方、第2高温熱交換部(H2)は、その直前に第2再生部(R2)であったため、比較的高温となる。従って、第2高温熱交換部(H2)の熱が第1低温熱交換部(L1)へと移動する。この結果、第1低温熱交換部(L1)では、第1再生部(R1)に近づくにつれて温度が上昇していく。逆に、第2高温熱交換部(H2)では、第2吸着部(A2)に近づくにつれて温度が低下していく。この結果、第1再生部(R1)の吸着剤の温度を高くできるため、第1再生部(R1)の吸着剤の再生能力が増大する。同時に、第2吸着部(A2)の吸着剤の温度を低くできるため、第2吸着部(A2)の吸着剤の吸着能力が増大する。
【0059】
また、吸着再生装置(20)では、第1高温熱交換部(H1)と第2低温熱交換部(L2)とが接触する。第1高温熱交換部(H1)は、その直前に第1再生部(R1)であったため、比較的高温となる。一方、第2低温熱交換部(L2)は、その直前に第2吸着部(A2)であったため、比較的低温となる。従って、第1高温熱交換部(H1)の熱が第2低温熱交換部(L2)へと移動する。この結果、第2低温熱交換部(L2)では、第2再生部(R2)に近づくにつれて温度が上昇していく。逆に、第1高温熱交換部(H1)では、第1吸着部(A1)に近づくにつれて温度が低下していく。この結果、第2再生部(R2)の吸着剤の温度を高くできるため、第2再生部(R2)の吸着剤の再生能力が増大する。同時に、第1吸着部(A1)の吸着剤の温度を低くできるため、第1吸着部(A1)の吸着剤の吸着能力が増大する。
【0060】
-実施形態1の効果-
上記実施形態1では、隣り合う第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)を互いに逆方向に回転させる駆動機構(60)を備え、第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)には、隣り合うロータ(30,40)を互いに熱交換させる熱交換部(L1,L2,H1,H2)が形成される。このため、各熱交換部(L1,L2,H1,H2)では、再生部(R1,R2)に移動する直前の吸着剤を予め加熱できるとともに、吸着部(A1,A2)に移動する直前の吸着剤を予め冷却できる。従って、第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)の吸着能力、及び再生能力を向上できる。この結果、熱交換器(15)の加熱能力を抑制でき、エネルギー消費量を低減できる。
【0061】
また、再生部(R1,R2)の吸着剤の温度を上げるためのエネルギー消費量を削減することで、再生温度を自由に選択でき、運転温度の最適化、吸着剤の自由度の向上を図ることができる。
【0062】
第1ロータ(30)には、その回転方向において、第1吸着部(A1)、第1低温熱交換部(L1)、第1再生部(R1)、及び第1高温熱交換部(H1)を順に形成している。第2ロータ(40)には、その回転方向において、第2吸着部(A2)、第2低温熱交換部(L2)、第2再生部(R2)、及び第2高温熱交換部(H2)を順に形成している。このため、第1ロータ(30)では、第1吸着部(A1)の吸着剤の温度低下と第1再生部(R1)の吸着剤の温度上昇を促すと同時に、第2ロータ(40)では、第2吸着部(A2)の吸着剤の温度低下と第2再生部(R2)の吸着剤の温度上昇を促すことができる。この結果、第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)のそれぞれの吸着能力と再生能力とを向上できる。
【0063】
隣り合う第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)の各熱交換部(L1,L2,H1,H2)は互いに接触している。このため、隣り合う熱交換部(L1,L2,H1,H2)での伝熱を促進でき、第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)のそれぞれの吸着能力と再生能力とを更に向上できる。
【0064】
第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)では、フィン(33)によって、軸方向の伝熱が促進される。このため、軸方向に隣り合う熱交換部(L1,L2,H1,H2)同士の熱交換量を増大できる。この結果、各吸着部(A1,A2)の吸着剤の温度を更に上げることができるとともに、各再生部(R1,R2)の吸着剤の温度を更に下げることができる。また、フィン(33)は、周方向の全長が長く、周方向の熱の移動が抑制されるため、吸着部(A1,A2)と再生部(R1,R2)との間での熱の授受を抑制できる。これにより、各ロータ(30,40)における吸着部(A1,A2)と再生部(R1,R2)との間の温度差を増大できる。
【0065】
〈実施形態1の変形例1〉
図6及び図7に示すように、吸着再生装置(20)では、3つ以上のロータ(30,40,70)を隣接して配置してもよい。本例では、3つのロータ(30,40,70)を軸方向に隣接して配置している。吸着再生装置(20)では、最も上流側の第1ロータ(30)(第1回転部材)と、最も下流側の第2ロータ(40)(第2回転部材)と、第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)の間に配置される第3ロータ(第3回転部材)とを備える。上記実施形態1と同様、第1ロータ(30)の上流側には第1区画部材(21)が設けられ、第2ロータ(40)の下流側には第2区画部材(22)が設けられる。
【0066】
駆動機構(60)は、隣り合うロータ(30,40,70)を互いに逆向きに回転させる。具体的には、第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)を同一方向(図7のr1で示す方向)に回動させ、第3ロータ(70)をこれとは逆方向(図7のr2で示す方向)に回動させる。
【0067】
第3ロータ(70)は、第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)と同じ構造である。つまり、第3ロータ(70)は、第3ロータ本体(71)(第3回転部材本体)と、該第3ロータ本体(71)に担持される吸着剤とを備える。第3ロータ(70)では、その回転方向において、第3吸着部(A3)、第3低温熱交換部(L3)、第3再生部(R3)、及び第3高温熱交換部(H3)が順に形成される。第3低温熱交換部(L3)は、第1ロータ(30)の第1高温熱交換部(H1)、及び第2ロータ(40)の第2高温熱交換部(H2)と軸方向に隣り合う。第3高温熱交換部(H3)は、第1ロータ(30)の第1低温熱交換部(L1)、及び第2ロータ(40)の第2低温熱交換部(L2)と軸方向に隣り合う。
【0068】
より詳細には、第3高温熱交換部(H3)は、その上流側部分が第1低温熱交換部(L1)と熱交換する上流側高温熱交換部(H3a)を構成し、その下流側部分が第2低温熱交換部(L2)と熱交換する下流側高温熱交換部(H3b)を構成している。第3低温熱交換部(L3)は、その上流側部分が第1高温熱交換部(H1)と熱交換する上流側低温熱交換部(L3a)を構成し、その下流側部分が第2高温熱交換部(H2)と熱交換する下流側低温熱交換部(L3b)を構成する。
【0069】
吸着再生装置(20)の運転時には、吸着側通路(11)の第1ガスが、第1吸着部(A1)、第3吸着部(A3)、及び第2吸着部(A2)を順に流れる。各吸着部(A1,A2,A3)では、第1ガス中の処理物質(水分)が吸着剤に吸着される。同時に、再生側通路(12)の第2ガスが、第1再生部(R1)、第3再生部(R3)、及び第2再生部(R2)を順に流れる。各再生部(R1,R2,R3)では、熱交換器(15)で加熱された第2ガスによって、吸着剤の再生が行われる。
【0070】
第1ロータ(30)では、第1低温熱交換部(L1)が第3高温熱交換部(H3)(厳密には、上流側高温熱交換部(H3a))によって加熱されるため、第1再生部(R1)の吸着剤の温度を上げることができる。同時に、第1高温熱交換部(H1)が第3低温熱交換部(L3)(厳密には、上流側低温熱交換部(L3a))によって冷却されるため、第1吸着部(A1)の吸着剤の温度を下げることができる。
【0071】
第3ロータ(70)では、第3低温熱交換部(L3)(厳密には、上流側低温熱交換部(L3a))が、第1高温熱交換部(H1)によって加熱されるため、第3再生部(R3)の吸着剤の温度を上げることができる。同時に、第3高温熱交換部(H3)(厳密には、上流側高温熱交換部(H3a))が、第1低温熱交換部(L1)によって冷却されるため、第3吸着部(A3)の吸着剤の温度を下げることができる。
【0072】
加えて、第3ロータ(70)では、第3低温熱交換部(L3)(厳密には、下流側低温熱交換部(L3b))が、第2高温熱交換部(H2)によって加熱されるため、第3再生部(R3)の吸着剤の温度を上げることができる。同時に、第3高温熱交換部(H3)(厳密には、下流側高温熱交換部(H3b))が、第2低温熱交換部(L2)によって冷却されるため、第3吸着部(A3)の吸着剤の温度を下げることができる。
【0073】
第2ロータ(40)では、第2低温熱交換部(L2)が第3高温熱交換部(H3)(厳密には、下流側高温熱交換部(H3b))によって加熱されるため、第2再生部(R2)の吸着剤の温度を上げることができる。同時に、第2高温熱交換部(H2)が第3低温熱交換部(L3)(厳密には、下流側低温熱交換部(L3b))によって冷却されるため、第2吸着部(A2)の吸着剤の温度を下げることができる。
【0074】
このように、本例においても、各ロータ(30,40,70)の熱交換部(L1,L2,L3,H1,H2,H3)で熱の授受を行うことで、各ロータ(30,40,70)の吸着能力及び再生能力を増大できる。特に、第3ロータ(70)では、第3低温熱交換部(L3)の上流側と下流側との双方を加熱でき、且つ第3高温熱交換部(H3)の上流側と下流側との双方を冷却できる。従って、第3ロータ(70)の吸着能力、及び再生能力を効果的に増大できる。
【0075】
〈実施形態1の変形例2〉
図8に模式的に示すように、各ロータ(30,40,70)は、必ずしも軸方向に完全にオーバーラップしていなくてもよい。また、各ロータ(30,40,70)では、必ずしも2つの熱交換部を設けなくてもよい。本例では、上流側から下流側に向かって、第1ロータ(30)、第3ロータ(70)、及び第2ロータ(40)が順に配置される。第1ロータ(30)には、その回転方向において、第1吸着部(A1)、第1再生部(R1)、及び第1高温熱交換部(H1)が順に形成されるが、第1低温熱交換部(L1)は形成されない。第2ロータ(40)には、その回転方向において、第2吸着部(A2)、第2低温熱交換部(L2)、及び第2再生部(R2)が順に形成されが、第2高温熱交換部(H2)は形成されない。第3ロータ(70)には、その回転方向において、第3吸着部(A3)、第3低温熱交換部(L3)、第3再生部(R3)、及び第3高温熱交換部(H3)が順に形成される。
【0076】
第3低温熱交換部(L3)は、第1高温熱交換部(H1)と軸方向に隣り合う。このため、第3低温熱交換部(L3)と第1高温熱交換部(H1)との間で熱の授受を行うことができる。第3高温熱交換部(H3)は、第2低温熱交換部(L2)と軸方向に隣り合う。このため、第3高温熱交換部(H3)と第2低温熱交換部(L2)との間で熱の授受を行うことができる。
【0077】
なお、第1ロータ(30)に第1吸着部(A1)、第1低温熱交換部(L1)、及び第1再生部(R1)を形成する一方、第1高温熱交換部(H1)を形成せず、第2ロータ(40)に第2吸着部(A2)、第2再生部(R2)、及び第2高温熱交換部(H2)を形成する一方、第2低温熱交換部(L2)を形成しないようにしてもよい。この場合、第3高温熱交換部(H3)と第1低温熱交換部(L1)とを軸方向に隣り合うように配置し、且つ第3低温熱交換部(L3)と第2高温熱交換部(H2)とを軸方向に隣り合うように配置する。
【0078】
《実施形態2》
実施形態2の吸着再生装置(20)では、複数のロータ(30,40)が径方向に隣り合うように配置される。図9に示すように、本例では、第1ロータ(30)と第2ロータ(40)とが径方向に隣り合うように配置される。第1ロータ(30)は円環状に形成され、その内部に円板状の第2ロータ(40)が配置される。
【0079】
駆動機構(60)は、第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)を互いに逆方向に回転駆動する。つまり、駆動機構(60)は、第1ロータ(30)を図9のr1の矢印で示す方向に回転駆動し、第2ロータ(40)を第1ロータ(30)の回転方向と逆向き(図9のr2の矢印で示す方向)に回転駆動する。
【0080】
第1ロータ(30)には、その回転方向において、第1吸着部(A1)、第1低温熱交換部(L1)、第1再生部(R1)、及び第1高温熱交換部(H1)が順に形成される。第2ロータ(40)には、その回転方向において、第2吸着部(A2)、第2低温熱交換部(L2)、第2再生部(R2)、及び第2高温熱交換部(H2)が順に形成される。
【0081】
第1低温熱交換部(L1)と第2高温熱交換部(H2)とは径方向に隣り合う。本例では、第1低温熱交換部(L1)の内周面と第2高温熱交換部(H2)の外周面とは僅かに接触する。第1高温熱交換部(H1)と第2低温熱交換部(L2)とは径方向に隣り合う。第1高温熱交換部(H1)の内周面と第2低温熱交換部(L2)の外周面とは僅かに接触する。
【0082】
図10に示すように、実施形態2の第1ロータ本体(31)及び第2ロータ本体(41)は、円筒状の複数の支持板(34)と、該径方向に隣り合う支持板(34)の間に支持されるフィン(33)とを備える。フィン(33)は、径方向内方と外方とに交互に折り返されながら、支持板(34)の全周に亘って配設される。このフィン(33)は、径方向の伝熱を促進させる伝熱促進部を構成している。
【0083】
実施形態2においても、第1低温熱交換部(L1)が第2高温熱交換部(H2)によって加熱されることで、第1再生部(R1)の吸着剤の温度を上げることができる。第1高温熱交換部(H1)が第2低温熱交換部(L2)によって冷却されることで、第1吸着部(A1)の吸着剤の温度を下げることができる。第2低温熱交換部(L2)が第1高温熱交換部(H1)によって加熱されることで、第2再生部(R2)の吸着剤の温度を上げることができる。第2高温熱交換部(H2)が第1低温熱交換部(L1)によって冷却されることで、第2吸着部(A2)の吸着剤の温度を下げることができる。
【0084】
実施形態2では、フィン(33)によって径方向の伝熱が促進されるため、径方向に隣り合う熱交換部(L1,L2,H1,H2)同士の熱交換を促進できる。この結果、各吸着部(A1,A2)の吸着剤の温度を更に上げることができるとともに、各再生部(R1,R2)の吸着剤の温度を更に下げることができる。
【0085】
〈実施形態2の変形例〉
3つ以上のロータ(30,40,70)を径方向に隣り合うように配置してもよい。図11の例では、筒状の第1ロータ(30)と、円板状の第2ロータ(40)との間に筒状の第3ロータ(70)が設けられる。駆動機構(60)は、第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)を同じ方向(図11のr1で示す矢印の方向)に回転駆動し、第3ロータ(70)をこれとは逆方向(図11のr2で示す矢印の方向)に回転駆動する。
【0086】
第3ロータ(70)には、その回転方向において、第3吸着部(A3)、第3低温熱交換部(L3)、第3再生部(R3)、及び第3高温熱交換部(H3)が形成される。第3低温熱交換部(L3)は、その径方向外側部分が第1高温熱交換部(H1)と熱交換する外側低温熱交換部(L3c)を構成し、その径方向内側部分が第2高温熱交換部(H2)と熱交換する内側低温熱交換部(L3d)を構成する。第3高温熱交換部(H3)は、その径方向外側部分が第1低温熱交換部(L1)と熱交換する外側高温熱交換部(H3c)を構成し、その径方向内側部分が第2低温熱交換部(L2)と熱交換する内側高温熱交換部(H3d)を構成する。
【0087】
本例においても、実施形態1の変形例1と同様、各熱交換部(L1,L2,L3,H1,H2,H3)で熱の授受を行うことができ、各ロータ(30,40,70)の吸着能力及び再生能力を増大できる。特に、第3ロータ(70)では、第3低温熱交換部(L3)の外側と内側との双方を加熱でき、且つ第3高温熱交換部(H3)の外側と内側との双方を冷却できる。従って、第3ロータ(70)の吸着能力、及び再生能力を効果的に増大できる。
【0088】
《その他の実施形態》
上述した各形態、及び変形例においては、以下のような構成としてもよい。
【0089】
〈その他の変形例1〉
図12に示す例では、隣り合う第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)の熱交換部(L1,L2,H1,H2)の間に僅かな微小隙間(C)が形成される。この微小隙間(C)は、隣り合う熱交換部(L1,L2,H1,H2)の間での熱交換が十分に可能な程度に間隔が設定される。微小隙間(C)の間隔は、数ミクロン(例えば1μm)以上、数十ミクロン(例えば50μm)以下とするのがよい。
【0090】
本例では、隣り合うロータ(30,40)が互いに接触しないため、各ロータ(30,40)の摺動部の摩耗を抑制できるとともに、摺動に伴う動力損失も低減できる。なお、3つの以上のロータ(30,40,70)を用いる場合にも、隣り合う一対のロータの間のそれぞれに微小空間(C)を形成してもよい。
【0091】
〈その他の変形例2〉
図13に示すように、ロータ(30,40)の熱交換部(L1,L2,H1,H2)の間に微小隙間(C)を形成するとともに、微小隙間(C)におけるガス(例えば空気)を動かすための複数の凸部(45)を形成してもよい。凸部(45)は、一方の熱交換部の表面から隣り合う他の熱交換部に向かって僅かに突出している。ロータ(30,40)が回転すると、この凸部(45)によって微小隙間(C)のガスが僅かに振動する。このようなガスの振動により、隣り合う熱交換部(L1,L2,H1,H2)の伝熱を促進できる。熱交換部(L1,L2,H1,H2)の表面には、凸部(45)と逆方向に凹んだ複数の凹部を形成してもよいし、凸部(45)と凹部の双方を形成してもよい。
【0092】
〈その他の変形例3〉
図14図16に示す例では、第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)の各ロータ本体(31,41)の軸方向端部に伝熱部材(80)がそれぞれ設けられる。本例の伝熱部材(80)は、基材である不織布(81)と、該不織布(81)とロータ本体(31,41)に接着する接着部(83)とを備える。不織布(81)は、メッシュ状に形成され、その内部に複数の孔(82)が形成される。複数の孔(82)は、第1ガス及び第2ガスの通過を許容する。接着部(83)は、高い熱伝導性を有する接着剤で構成される。図16に示すように、接着部(83)は、複数の孔(82)の軸方向の両端に亘るように該孔(82)の内部に形成される。
【0093】
本例では、第1ロータ本体(31)及び第2ロータ本体(41)が、伝熱部材(80)を介して接触する。特に、第1ロータ本体(31)及び第2ロータ本体(41)は、熱伝導率の高い接着部(83)を介して互いに接触する。このため、各熱交換部(L1,L2,H1,H2)の間の軸方向の伝熱が促進される。つまり、接着部(83)は、軸方向の伝熱を促進する伝熱促進部を構成する。なお、上述した実施形態2において、このような伝熱部材(80)を第1ロータ(30)の内周面や、第2ロータ(40)の外周面に形成してもよい。
【0094】
なお、基材としては、上述した不織布(81)以外にも、樹脂製の枠材や、非常に薄い金属メッシュなどを用いてもよい。
【0095】
〈その他の変形例4〉
図17に示す例は、上記実施形態と駆動機構(60)の構成が異なる。本例の駆動機構(60)は、第1ロータ(30)に対応する第1駆動部(60A)と、第2ロータ(40)に対応する第2駆動部(60B)とを備える。第1駆動部(60A)は、第1モータ(61A)と、第1モータ(61A)に連結する第1駆動軸(62A)と、第1駆動軸(62A)によって回転駆動される第1ギア(65A)とを備える。第1ギア(65A)は、第1ロータ(30)の外周面に形成される第1ギア歯(42A)に歯合する。第2駆動部(60B)は、第2モータ(61B)と、第2モータ(61)に連結する第2駆動軸(62B)と、第2駆動軸(62B)によって回転駆動される第2ギア(65B)とを備える。第2ギア(65B)は、第2ロータ(40)の外周面に形成される第2ギア歯(42B)に歯合する。本例では、第1駆動軸(62A)と第2駆動軸(62B)の回転方向が互いに逆向きとなるため、これらに駆動される第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)の回転方向も逆向きとなる。
【0096】
〈その他の変形例5〉
図18に示す例は、上記実施形態と駆動機構(60)の構成が異なる。本例の駆動機構(60)は、1つのモータ(61)と、該モータ(61)に連結する1つの駆動軸(62)と、該駆動軸(62)に係合する第1ラチェット機構(66)及び第2ラチェット機構(67)を備える。第1ラチェット機構(66)は、第1ロータ(30)に対応し、第2ラチェット機構(67)は、第2ロータ(40)に対応する。モータ(61)は、順方向(図18のr3で示す方向)の回転と、逆方向(図18のr4で示す方向)と回転とを交互に繰り返すステッピングモータで構成される。第1ラチェット機構(66)は、モータ(61)の順方向の回転力のみを第1ロータ(30)に伝える一方、モータ(61)の逆方向の回転力を第1ロータ(30)に伝えない。第2ラチェット機構(67)は、モータ(61)の逆方向の回転力のみを第2ロータ(40)に伝える一方、モータ(61)の順方向の回転力を第2ロータ(40)に伝えない。
【0097】
従って、モータ(61)が順方向に回転すると、第1ロータ(30)が図18のr1の矢印で示す方向に回転する一方、第2ロータ(40)は静止したままである。次いでモータ(61)が逆方向に回転すると、第2ロータ(40)が図18のr2の矢印で示す方向に回転する一方、第1ロータ(30)は静止したままである。これらの動作を交互に切り換えることで、1つのモータ(61)及び1つの駆動軸(62)のみで、第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)を互いに逆向きに回転させることができる。この動作の頻度を細かくすることで、第1ロータ(30)及び第2ロータ(40)は実質的には連続的に回転することになる。
【0098】
〈その他の変形例6〉
図19に示す例は、ロータ本体(31,41)に放射状に配列される複数の断熱材(35)が設けられる。断熱材(35)は、ロータ本体(31,41)の中心から径方向外方に延びる平板状に形成される。本例では、各断熱材(35)の間に波板状のフィン(33)が介設される。フィン(33)は、周方向に蛇行しながらロータ本体(31,41)の中心から外縁に向かって延びている。複数の断熱材(35)は、回転方向の伝熱を抑制するため、吸着部(A1,A2)と再生部(R1,R2)との間での熱の授受を抑制できる。フィン(33)は、ロータ(30,40)の軸方向の両端に亘って延びるため、ロータ(30,40)の軸方向の伝熱を促進できる。即ち、本例の断熱材(35)及びフィン(33)は、実施形態1において、軸方向の伝熱を促進する伝熱促進部として機能する。
【0099】
〈摺接部の他の構成〉
隣り合うロータ(30,40)の熱交換部(L1,L2,H1,H2)同士が接触可能な部分(以下、摺接部という)は、以下のような構成としてもよい。摺接部は、1)ガスが通過する孔が形成されること、2)ロータ(30,40)が隣り合う方向への熱伝導性に優れること、3)ロータ(30,40)の周方向の熱伝導を抑制できること、4)耐摩耗性に優れること、が好適な条件となる。摺動部の材料としては、金属材料、炭素材料、不織布、プラスチック、グリース等が挙げられる。摺動部を炭素材料とする場合、その繊維構造により、熱伝導に指向性を付与できる。摺動部を金属とする場合、その結晶構造により、熱伝導に指向性を付与できる。これにより、上記2)や3)の条件を達成できる。また、金属材料にフッ素樹脂等のコーティングを施すこと上記4)の条件を達成できる。
【0100】
変形例5と同様、摺接部において径方向に延びる複数の断熱材を放射状に配列する。これにより、周方向の熱伝導を抑制し、ロータ(30,40)が隣り合う方向の熱伝導を促進してもよい。また、このような断熱材に代え、金属製の摺動部に開口ないしスリットを放射状に形成し、この開口ないしスリットによる気層(空気層)によって周方向の熱伝導を抑制してもよい。
【0101】
摺動部の摩耗を積極的に促すように、摺動部を柔軟な材料としてもよい。各ロータ(30,40)の回転に伴い各ロータの摺接部が摩耗すると、両者の隙間をほぼゼロとしながらこれらの摺動部を接触させることができる。
【0102】
摺動部の表面に柔軟なブラシ等を植毛し、隣り合う摺動部の接触を促すようにしてもよい。こうすると、摺動部同士の摺動抵抗を低減しつつ、各熱交換部(L1,L2,H1,H2)の熱交換を促進できる。
【0103】
摺動部としてスポンジなどの柔軟な材料を用い、摺動部同士を互いに接触させてもよい。これにより、摺動部の摺動抵抗を低減できるとともに、摺動部の摩耗も抑制できる。この場合、グリースをスポンジに染みこませてもよい。
【0104】
隣り合う摺動部の剛性を互いに異ならせてもよい。例えば一方の摺動部の剛性を、他方の摺動部の剛性よりも低くする。
【0105】
摺動部にヒートシンクのような伝熱促進部を形成し、隣り合うヒートシンクを互いにかみ合わせるようにしてもよい。
【0106】
摺動部の表面に金属メッシュなどの伝熱部材を設けるとともに、この伝熱部材を、その裏側の付勢部材(板ばねなど)によって表面側に押し付ける構成としてもよい。
【0107】
摺動部の高さを可変とする高さ調節機構を設けてもよい。高さ調節機構は、例えば空気圧による膨張を利用したもの、電圧の印加により伸縮するピエゾ素子等を採用できる。高さ調整機構を用いる場合、例えばロータ(30,40)を間欠的に回転させ、回転時には摺動部同士を離間させ、停止時には摺動部同士を接触させるとよい。こうすると、ロータ(30,40)の回転に伴う熱交換部(L1,L2,H1,H2)の摩耗を確実に防止しつつ、熱交換部(L1,L2,H1,H2)での熱の授受も行うことができる。
【0108】
ロータ(30,40)が隣り合う方向への熱伝導を促進したり、ロータ(30,40)の周方向の熱伝導を抑制したり手段として、例えば熱伝導性を有する不連続なフィンの間に断熱材を挟むこともできる。また、フィンの幅や、フィンの表面の吸着剤の担持量を局所的に変更することで、熱伝導に指向性を付与することもできる。
【0109】
〈その他の例〉
上述した実施形態のロータには、1つの吸着部と、1つの再生部と、2つの熱交換部とが形成されている。しかし、ロータに1つの吸着部と、1つの再生部と、1つの熱交換部とを形成してもよい。また、ロータに2つ以上の吸着部と、2つ以上の再生部とを形成し、これらの吸着部と再生部との間にそれぞれ熱交換部を形成してもよい。つまり、吸着部、低温熱交換部、再生部、高温熱交換部の順の配列を、2つ以上ロータに形成してもよい。
【0110】
ロータ(30,40)には、例えば材料の異なる吸着剤からなる吸着層を、ロータ(30,40)の隣り合う方向に2層以上形成してもよい。
【0111】
上述した吸着部は、フィンに吸着剤を担持された構成以外に、例えば吸着剤に金属線を通した構成や、高い熱伝導性を有する炭素繊維に吸着剤を担持させたものを用いることができる。
【0112】
上述した吸着再生装置(20)は、空気中の水分を処理物質とする。しかし、吸着再生装置(20)は、ガス中の例えばVOC(揮発性有機化合物)や二酸化炭素を処理物質とするものであってもよい。このような吸着再生装置(20)は、例えば室内の換気を行う換気装置や空気浄化装置に適用できる。
【0113】
また、吸着再生装置(20)は、処理物質の吸着・再生を行うことで処理物質を濃縮する濃縮装置にも適用できる。例えば濃縮装置は、植物工場に適用可能である。
【0114】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0115】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0116】
以上説明したように、本開示は、吸着再生装置について有用である。
【符号の説明】
【0117】
1 調湿装置
11 吸着側通路
12 再生側通路
20 吸着再生装置
30 第1ロータ(第1回転部材)
31 第1ロータ本体(回転部材本体)
33 フィン(伝熱促進部)
35 断熱材(伝熱促進部)
40 第2ロータ(第2回転部材)
60 駆動機構
70 第3ロータ(第3回転部材)
80 伝熱部材
81 不織布(基材)
82 孔
83 接着部
A1 第1吸着部
A2 第2吸着部
A3 第3吸着部
R1 第1再生部
R2 第2再生部
R3 第3再生部
L1 第1低温熱交換部(第1の熱交換部)
L2 第2低温熱交換部(第1の熱交換部)
L3 第3低温熱交換部
H1 第1高温熱交換部(第2の熱交換部)
H2 第2高温熱交換部(第2の熱交換部)
H3 第3高温熱交換部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19