(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】ラベル検査装置およびラベル検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/85 20060101AFI20230315BHJP
【FI】
G01N21/85 Z
(21)【出願番号】P 2018248457
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】津田 洋平
(72)【発明者】
【氏名】中川 圭太郎
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-027487(JP,A)
【文献】特開2005-119706(JP,A)
【文献】特開2015-028459(JP,A)
【文献】特開2011-089978(JP,A)
【文献】特開2002-131239(JP,A)
【文献】特開2008-002917(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0146207(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に充填液が充填されるとともに外面にラベルが装着された容器を搬送する搬送機構と、搬送機構によって搬送される容器に第1光を照射する第1光源と、搬送機構によって搬送される容器に第2光を照射する第2光源と、第1光と第2光が照射された容器を
カラーで撮像するカラーカメラと、該カラーカメラで撮像された容器の画像を基にして容器に装着されたラベルの良否を判定する画像処理機構とを備え、
上記カラーカメラは、第1光の波長領域と第2光の波長領域の波長光をカラーで検知可能であって、
上記第2光源が容器に向けて第2光を照射することに
より撮像される容器内の充填液の液色
が本来の液色とは異なる液色に変化
するようになっており、
上記画像処理機構は、上記カラーカメラで撮像された画像における装着されたラベルの検査領域に、上記本来の液色とは異なる変化後の充填液の液色が存在することを確認した場合には、容器に装着されたラベルに不良があると判定することを特徴とするラベル検査装置。
【請求項2】
上記第1光が白色光で、上記第2光が赤外線であることを特徴とする請求項1に記載のラベル検査装置。
【請求項3】
可視光領域と赤外線領域の波長光をカラーで検知可能なカラーカメラを備え、内部に充填液が充填されるとともに外面にラベルが装着された容器に、白色光を照射すると同時に赤外線を照射してカラーカメラで撮像される容器内の充填液の液色を本来の液色とは異なる液色に変化させ、
該容器の画像をカラーカメラで撮像して、該カラーカメラで撮像された画像におけるラベルの検査領域に、上記本来の液色とは異なる変化後の充填液の液色が存在することを確認した場合には、容器に装着されたラベルに不良があると判定することを特徴とするラベル検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラベル検査装置およびラベル検査方法に関し、より詳しくは、容器に装着されたラベルの破れや捲れや高さ位置のずれ等を高精度に検査することが可能なラベル検査装置およびラベル検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体飲料等が充填されたビンやペットボトルの外面にはラベルが装着されており、該ラベルの破れ、めくれ、または高さ位置不良を検査するラベル検査装置は知られている(例えば特許文献1)。
このような従来のラベル検査装置では、容器に向けて白色光または赤外線を選択的に投光して、容器及びラベルから反射された反射光をCCDカラーカメラによって撮像し、この得られた画像を画像処理してラベルの不良を判定するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のラベル検査装置においては、容器に装着されたラベルの色と容器内の液体の色が近似している場合には、容器に向けて赤外線を投光して、CCDカラーカメラによって得られた画像の濃淡に基づいてラベルの不良の有無を判定するようにしている。
しかしながら、このように容器に赤外線を投光してラベルの不良を判定する場合においても、これを判定できない場合がある。例えば、容器の外面の形状が複雑である場合、あるいはラベルに赤外線を吸収する色や素材が使用されていたり、ラベルに重なり部分があったりする場合には、カラーカメラで撮像されたラベルの画像に影や斑が発生して、この影や斑がラベルの不良と判別できなくて、検査精度が落ちるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、第1の本発明のラベル検査装置は、内部に充填液が充填されるとともに外面にラベルが装着された容器を搬送する搬送機構と、搬送機構によって搬送される容器に第1光を照射する第1光源と、搬送機構によって搬送される容器に第2光を照射する第2光源と、第1光と第2光が照射された容器をカラーで撮像するカラーカメラと、該カラーカメラで撮像された容器の画像を基にして容器に装着されたラベルの良否を判定する画像処理機構とを備え、
上記カラーカメラは、第1光の波長領域と第2光の波長領域の波長光をカラーで検知可能であって、
上記第2光源が容器に向けて第2光を照射することにより撮像される容器内の充填液の液色が本来の液色とは異なる液色に変化するようになっており、
上記画像処理機構は、上記カラーカメラで撮像された画像における装着されたラベルの検査領域に、上記本来の液色とは異なる変化後の充填液の液色が存在することを確認した場合には、容器に装着されたラベルに不良があると判定することを特徴とするものである。
また、第2の本発明のラベル検査方法は、可視光領域と赤外線領域の波長光をカラーで検知可能なカラーカメラを備え、内部に充填液が充填されるとともに外面にラベルが装着された容器に、白色光を照射すると同時に赤外線を照射してカラーカメラで撮像される容器内の充填液の液色を本来の液色とは異なる液色に変化させ、
該容器の画像をカラーカメラで撮像して、該カラーカメラで撮像された画像におけるラベルの検査領域に、上記本来の液色とは異なる変化後の充填液の液色が存在することを確認した場合には、容器に装着されたラベルに不良があると判定することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
このような構成によれば、容器の形状が複雑である場合や、ラベルの色が容器内の充填液の色と類似している場合であっても、ラベルの不良を高精度に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、
図1ないし
図2において、1は回転式のラベル検査装置であり、このラベル検査装置1は、検査ホイール2によって容器3を搬送しながら、該容器3の外面に装着されたラベルLの破れや捲れや高さ位置の不良等を検査できるようになっている。
ラベル検査装置1は、図示しないトップロケータ及びボトムロケータによって各容器3を保持して搬送する検査ホイール2と、検査ホイール2が容器3を搬送する際の搬送経路に設けられた第1検査位置Aから第4検査位置Dのそれぞれに配置された検査機構5A~5Dと、各検査機構5A~5Dのカラーカメラ6が撮像した容器3の画像を基にして該容器3に装着されたラベルLの良否を判定する画像処理機構7とを備えている。
【0009】
検査対象となる容器3は無色透明なペットボトルであって、検査ホイール2よりも上流側の領域において、容器3内に黒っぽいこげ茶色の充填液8(例えば醤油)が充填されてから上端口部にキャップ3Aが取り付けられるとともに、容器3の胴部の外面に円筒状のラベルLが装着されている。
ラベルLは、樹脂製の略円筒状のシュリンクラベルであって、このラベルLの表面には、黒色の文字Laとその他の色によって図柄が印刷されている。つまり、容器3に装着されたラベルLの文字Laは黒色であり、外観上では、容器3のラベルLのない部分3B、3C(ラベルの上方側及び下方側)の容器3の色は黒っぽいこげ茶色(充填液8の色)となっており、それはラベルLの黒い文字Laと類似した色となっている。
このように、ラベルLの文字Laの色(黒)に対して、充填液8の色が類似している場合には、上記従来のラベル検査装置にあるように、単に容器3に向けて白色光を照射して、その画像データを基にしてラベルLの破れ等の不良を高精度に判定するのは困難である。また、容器3に向けて赤外線を照射した場合であっても、ラベルLの文字Laの色(黒)が赤外線を吸収して暗くなってしまうので、その画像データを基にしてラベルLの破れ等の不良を高精度に判定するのは困難である。また、容器3の外面に複雑な凹凸が形成されて、そこにラベルLが装着されている場合やラベルに重なり部分がある場合も同様である。
そこで、後に詳述するが、本実施例においては、赤外線Iと白色光Wを容器3に対して同時に照射することで、カラーカメラ6が容器3を撮像する際の容器3におけるラベルLがない部分3B、3Cの充填液8の液色を本来の色(黒っぽいこげ茶色)とは異なる液色(紫色)に変化させることで、ラベルLの破れLXや捲れを高精度に判定できるようにしている。
【0010】
搬送機構としての検査ホイール2は、所定速度で反時計方向に連続的に回転されるようになっており、図示しない供給位置において検査ホイール2に順次、検査対象となる容器3が受け渡されるようになっている。前述したように、容器3には充填液8が充填されてキャップ3Aが取り付けられるとともに、外面にラベルLが装着されている。
検査ホイール2による容器3の搬送過程に等ピッチで順次第1検査位置Aから第4検査位置Dが設定されており、各検査位置に同じ構成を備えた検査機構5A~5Dが配置されている。
検査ホイール2に供給された容器3は、該検査ホイール2の外周部に等ピッチで配置された図示しない例えばトップロケータ及びボトムロケータによって正立状態で保持されるようになっており、検査ホイール2の回転に伴って各容器3は各検査位置A~Dを順次通過するようになっている。そして、容器3が各検査位置A~Dに搬入された際に、検査機構5A~5Dによって容器3に赤外線Iと白色光Wが同時に照射され、かつその際に容器3がカラーカメラ6により撮像されるようになっている。
本実施例においては、容器3が第1検査位置Aを通過してから第2検査位置B、第3検査位置C及び第4検査位置Dに順次搬入される直前にトップロケータ及びボトムロケータによって容器3が順次90°自転されるようになっている。つまり、容器3が第1検査位置Aから第4検査位置Dを搬送される間に、容器3は検査ホイール2によって搬送されつつ、順次90°ずつ自転されるので、4箇所の検査機構5A~5Dのカラーカメラ6によって容器3の外面の全周、つまりラベルLの全周が撮像されるようになっている。
なお、本実施例では、90°ずつ4箇所の検査機構5A~5DによってラベルLの全周が撮像されるようになっているが、これに限定されるものではなく例えば120°ずつ3箇所の検査機構によって撮像されるものであっても良い。
【0011】
各検査位置A~Dに設けられた検査機構5A~5Dは、検査ホイール2の中央側から容器3に向けて赤外線I(第2光)を照射する赤外線用光源11(第2光源)と、容器3に向けて検査ホイール2の外方側から白色光W(第1光)を照射する一対の白色光用光源12、12(第1光源)と、これら白色光用光源12,12の間に配置されて、各検査位置A~Dに搬入された容器3を撮像するカラーカメラ6とを備えている。
白色光用光源12,12は、カラーカメラ6を挟んで2台配置されており、それら2台の白色光用光源12,12から同時に検査位置A(B~D)の容器3に向けて、可視光としての白色光Wを照射するようになっている。他方、赤外線用光源11は、透過光としての赤外線Iを、上記白色光Wよりも小光量(小放射エネルギー)で容器3に向けて照射するようになっており、白色光Wの反射光と赤外線Iの透過光の両方を撮像した画像を得ることができる。また、赤外線用光源11が容器3に向けて照射する赤外線Iの放射エネルギー(J)を変更することによって、カラーカメラ6で撮像される充填液8の色を変化させることも可能である。
上記赤外線用光源11、白色光用光源12及びカラーカメラ6の作動は、図示しない制御装置によって制御されるようになっている。検査ホイール2によって搬送される容器3が各検査位置A~Dに搬入されると、制御装置によって赤外線用光源11及び白色光用光源12が同時に作動されるとともに、カラーカメラ6も作動されるので、各検査機構5A~5Dのカラーカメラ6によって各検査位置A~Dの容器3が撮像される。
なお、カラーカメラ6は、CMOSカメラやCCDカメラからなり、少なくとも可視光領域と近赤外領域の波長光を検知してカラーで画像を撮影できるようになっている。
【0012】
このように本実施例においては、容器3が各検査位置A~Dに搬入されると、各検査機構5A~5Dのカラーカメラ6によって容器3が撮像されるようになっている。本実施例においては、赤外線Iと白色光Wを容器3に対して同時に照射しているので、容器3に向けて照射された赤外線Iは、容器3及びラベルLを透過して充填液8内を散乱するため、カラーカメラ6で表示される充填液8の液色が本来の液色(黒っぽいこげ茶色)から本来の液色とは異なる紫色に変化する。
これにより、カラーカメラ6が容器3を撮像する際に、容器3におけるラベルL及びその文字Laの色(黒)とラベルLのない部分3B、3Cとの色(紫色)のコントラストを明瞭にすることができ、その状態においてカラーカメラ6によって容器3が撮像されるようになっている。
【0013】
このようにして各検査機構5A~5Dの合計4台のカラーカメラ6が撮像した容器3の画像は、画像処理機構7に送信されるようになっており、画像処理機構7は、各カラーカメラ6が撮像した容器3の画像に対して以下のような画像処理を行うことにより、容器3に装着されたラベルLの良否を判定するようになっている。
すなわち、画像処理機構7は、先ず、カラーカメラ6による容器3の画像からラベルLの部分の全部または一部を検査領域として抽出し、その検査領域としての画像をソフトウェアによりHSV(色相、彩度、明度)、またはRGB(赤、緑、青)などで分解して評価する。
ここで、例えば
図2に示すように、ラベルLに破れLXが生じている場合には、検査領域としてのラベルLの部分(LXの位置)に、赤外線Iで変化させた充填液8の液色(紫色)が存在するので、この場合には、画像処理機構7はラベルLが不良であると判定する。
他方、検査領域としてのラベルLの部分に、赤外線Iで変化させた充填液8の液色(紫色)がない場合には、ラベルLに破れや捲れは生じておらず、ラベルLは良品であると、画像処理機構7は判定するようになっている。
なお、ラベルLが不良品であると判定された容器3は、第4検査位置Dの下流側のリジェクト位置においてリジェクト機構によって検査ホイール2上から排除されるようになっている。他方、ラベルLが良品であると判定された容器3は、第4検査位置の下流側の排出位置において、図示しない受け渡しホイールによって検査ホイール2上から下流側の箱詰め位置へ移送されるようになっている。
【0014】
以上のように、本実施例のラベル検査装置1によれば、容器3内の充填液8の液色がラベルLの文字Laの色と類似している場合であっても、ラベルLの不良を高精度に判定することができる。
また、容器3の外面に複雑な凹凸が形成されて、そこを覆ってラベルLが装着されている場合であっても、凹凸による悪影響を受けることなく、ラベルLの不良を高精度に検査することができる。さらに、ラベルLの捲れやラベルLの上下方向での位置ずれが生じている場合であっても、本実施例のラベル検査装置1によって高精度に検査することが可能である。
【0015】
なお、上記実施例においては、搬送機構として検査ホイール2を採用しているが、ベルトコンベヤ、フラットコンベヤ、ローラコンベヤ等を用いて容器3を直線的に搬送する搬送機構を用いても良い。その場合、検査機構5A~5Dを検査位置Aの周囲に配置したり、搬送経路に沿って順次配置したりすれば良い。
また、上記実施例においては、検査ホイール2が連続的に回転されるようになっているが、検査ホイール2が所定角度ずつ間欠的に回転されるようにしても良い。
また、上記実施例における検査機構5A~5Dのカラーカメラ6と両光源11、12の配置は一例を示したものであり、これに限るものではなく、容器の形状などに応じて変更できるものであって、必要に応じて各検査位置A~Dに反射板や拡散板を追加しても良い。
また、上記実施例においては、容器3に装着されるラベルLは樹脂製であるが、これに限るものではなく、紙製などであっても良い。
さらに、上記実施例においては、第1光(反射光)に白色光W、第2光(透過光)に赤外線Iを用いているが、これに限るものではなく、カラーカメラ6で撮像される充填液の液色を本来の液色とは異なる液色に変化させることができるものであれば、例えば、第1光に白色光以外の可視光を用いたり、第2光に青色や赤色などの可視光や紫外線を用いたりしても良い。
【符号の説明】
【0016】
1‥ラベル検査装置 2‥検査ホイール(搬送機構)
3‥容器 5A~5D‥検査機構
6‥カラーカメラ 7‥画像処理機構
8‥充填液 11‥赤外線用光源(第2光源)
12‥白色光用光源(第1光源) L‥ラベル
LX‥破れの箇所