(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】機器管理システム
(51)【国際特許分類】
H04L 67/00 20220101AFI20230315BHJP
H04L 43/00 20220101ALI20230315BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
H04L67/00
H04L43/00
H04Q9/00 311J
(21)【出願番号】P 2019023525
(22)【出願日】2019-02-13
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】北村 真安
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-108412(JP,A)
【文献】国際公開第2017/109992(WO,A1)
【文献】特開2018-205855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00
H04L 43/00
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器(10)に関する情報を収集する機器情報送信装置(20、20´)と、
通信ネットワーク(NW1)を介して前記機器情報送信装置と通信を行う管理装置(30)と、
を備え、
前記管理装置及び/又は前記機器情報送信装置は、
前記機器の異常内容が入力される異常内容入力部(33、24)と、
前記機器の前記異常内容の原因を特定するために用いられる情報である第1情報を、入力された前記異常内容に応じて指定する指定部(342、233)と、
を有し、
前記機器情報送信装置は、前記第1情報を前記管理装置に送信する第1情報送信部(232)を有
し、
前記管理装置は、前記機器情報送信装置に対して前記指定部が指定した前記第1情報の送信を要求する第1情報要求信号を送信する第1情報要求部(343)を含み、
前記第1情報送信部は、前記第1情報要求信号に応じて前記第1情報を送信し、
前記機器情報送信装置は、前記機器の運転状態を特定する運転情報を所定のタイミングで前記管理装置に対して送信する運転情報送信部(232)を含み、
前記管理装置は、取得した前記運転情報を記憶する管理装置記憶部(31)を含み、
前記第1情報要求部は、前記管理装置記憶部に記憶されている前記運転情報に基づいて異常原因が特定できない場合に、前記第1情報要求信号を送信する、
機器管理システム(1、1A)。
【請求項2】
前記機器情報送信装置は、前記第1情報を蓄積する第1情報記憶部(21)を含む、
請求項1に記載の機器管理システム(1、1A)。
【請求項3】
前記第1情報要求部は、前記第1情報要求信号において、前記管理装置記憶部に記憶されている前記運転情報よりも短い周期で収集された前記運転情報及び/又は前記管理装置が保持しておらず前記機器情報送信装置が保持している情報を、前記第1情報として要求する、
請求項1又は2に記載の機器管理システム(1、1A)。
【請求項4】
前記第1情報要求信号には、要求する前記第1情報に係る前記機器のID及びデータ項目を指定する情報が含まれる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の機器管理システム(1、1A)。
【請求項5】
機器(10)に関する情報を収集する機器情報送信装置(20、20´)と、
通信ネットワーク(NW1)を介して前記機器情報送信装置と通信を行う管理装置(30)と、
を備え、
前記管理装置及び/又は前記機器情報送信装置は、
前記機器の異常内容が入力される異常内容入力部(33、24)と、
前記機器の前記異常内容の原因を特定するために用いられる情報である第1情報を、入力された前記異常内容に応じて指定する指定部(342、233)と、
を有し、
前記機器情報送信装置は、前記第1情報を前記管理装置に送信する第1情報送信部(232)を有
し、
前記機器情報送信装置は、
所定の第1条件に基づいて前記機器の運転状態を特定する運転情報を収集する運転情報収集部(231)と、
収集された前記運転情報を前記管理装置に対して送信する運転情報送信部(232)と、
を含み、
前記管理装置は、
前記第1条件を変更する変更部(342)と、
取得した前記運転情報を記憶する管理装置記憶部(31)と、
を含み、
前記変更部は、前記管理装置記憶部に記憶されている前記運転情報に基づいて異常原因が特定できない場合に前記第1条件を変更する、
機器管理システム(1、1A)。
【請求項6】
前記機器は、空気調和装置、換気装置、調湿装置、及び冷凍装置の少なくともいずれかである、
請求項1から5のいずれか1項に記載の機器管理システム(1、1A)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機器管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1(WO2014/064792号公報)に開示されるように、機器に関する情報を送信する機器情報送信装置と、管理装置と、が通信ネットワークを介して通信を行い、機器の異常が推定される状態となった場合に管理装置側で異常原因を判断する機器管理システムがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のような機器管理システムでは、管理装置側で保持している情報のみでは、機器の異常原因を特定できないケースが想定される。機器の異常が推定される場合における異常原因の特定を促進する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点に係る機器管理システムは、機器情報送信装置と、管理装置と、を備える。機器情報送信装置は、機器に関する情報を収集する。管理装置は、通信ネットワークを介して機器情報送信装置と通信を行う。管理装置及び/又は機器情報送信装置は、異常内容入力部と、指定部と、を有する。異常内容入力部は、機器の異常内容が入力される。指定部は、第1情報を、入力された異常内容に応じて指定する。第1情報は、異常内容の原因を特定するために用いられる情報である。機器情報送信装置は、第1情報送信部を有する。第1情報送信部は、第1情報を送信する。
【0005】
これにより、管理装置において異常内容の原因を特定するために用いられる第1情報が、入力された異常内容に応じて指定部によって指定される。また、第1情報が機器情報送信装置から管理装置へ送信される。その結果、管理装置側で保持している情報のみでは機器の異常原因を特定できないケースにおいても、異常原因の特定が促進される。
【0006】
ここでの「第1情報」は、必ずしも単一の情報のみならず、複数の情報が含まれうる。
【0007】
ここでの「管理装置」は、機器の管理を行うコンピュータである。管理装置は、例えば、スーパーコンピュータ、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、タブレットデバイス、又はスマートフォン等である。また例えば、管理装置は、複数のコンピュータやデバイスがネットワークで接続されることで構成されてもよい。
【0008】
第2観点に係る機器管理システムは、第1観点に係る機器管理システムであって、機器情報送信装置は、第1情報を蓄積する第1情報記憶部を含む。これにより、機器情報送信装置において第1情報が蓄積される。その結果、機器の異常が推定される際に、複数の第1情報を機器情報送信装置から管理装置に対して送信することが可能となり、異常原因の特定が促進される。
【0009】
第3観点に係る機器管理システムは、第1観点又は第2観点に係る機器管理システムであって、管理装置は、第1情報要求部を含む。第1情報要求部は、機器情報送信装置に対して、第1情報要求信号を送信する。第1情報要求信号は、指定部が指定した第1情報の送信を要求する信号である。第1情報送信部は、第1情報要求信号に応じて第1情報を送信する。これにより、管理装置の要求に沿った第1情報が、機器情報送信装置から管理装置に対して送信される。
【0010】
第4観点に係る機器管理システムは、第3観点に係る機器管理システムであって、機器情報送信装置は、運転情報送信部を含む。運転情報送信部は、運転情報を所定のタイミングで管理装置に対して送信する。運転情報は、機器の運転状態を特定する情報である。管理装置は、管理装置記憶部を含む。管理装置記憶部は、取得した運転情報を記憶する。第1情報要求部は、管理装置記憶部に記憶されている運転情報に基づいて異常原因が特定できない場合に、第1情報要求信号を送信する。
【0011】
これにより、機器の異常が推定される際に、管理装置が保持する運転情報に基づいて異常原因が特定できない場合、運転情報を機器情報送信装置から管理装置に対して送信することが可能となる。よって、管理装置側では、必要な場合に限って、保持していない第1情報の要求を行うことが適宜可能となり、通信に関して負荷が抑制される。
【0012】
第5観点に係る機器管理システムは、第4観点に係る機器管理システムであって、第1情報要求部は、第1情報要求信号において、管理装置記憶部に記憶されている運転情報よりも短い周期で収集された運転情報及び/又は管理装置が保持しておらず機器情報送信装置が保持している情報を、第1情報として要求する。これにより、異常原因の特定がさらに促進される。
【0013】
第6観点に係る機器管理システムは、第3観点から第5観点のいずれかに係る機器管理システムであって、第1情報要求信号には、要求する第1情報に係る機器のID及びデータ項目を指定する情報が含まれる。
【0014】
第7観点に係る機器管理システムは、第1観点から第3観点のいずれかに係る機器管理システムであって、機器情報送信装置は、運転情報収集部と、運転情報送信部と、を含む。運転情報収集部は、所定の第1条件に基づいて、運転情報を収集する。運転情報は、機器の運転状態を特定する情報である。運転情報送信部は、収集された運転情報を管理装置に対して送信する。これにより、機器情報送信装置において、第1条件に基づいて運転情報が収集される。
【0015】
第8観点に係る機器管理システムは、第7観点に係る機器管理システムであって、管理装置は、第1条件を変更する変更部を含む。これにより、管理装置側で、機器情報送信装置における運転情報の収集態様を、状況に応じて柔軟に決定可能となる。
【0016】
第9観点に係る機器管理システムは、第8観点に係る機器管理システムであって、管理装置は、管理装置記憶部を含む。管理装置記憶部は、取得した運転情報を記憶する。変更部は、管理装置記憶部に記憶されている運転情報に基づいて異常原因が特定できない場合に、第1条件を変更する。これにより、管理装置側で、保持している運転情報に基づいて異常原因が特定できない場合に、機器情報送信装置における運転情報の収集態様を変更することが可能となる。
【0017】
第10観点に係る機器管理システムは、第1観点から第9観点のいずれかに係る機器管理システムであって、機器は、空気調和装置、換気装置、調湿装置、及び冷凍装置の少なくともいずれかである。これにより、空気調和装置、換気装置、調湿装置、及び冷凍装置のいずれかの異常が推定される際に、異常原因の特定が促進される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】機器管理システムの構成を示す模式図である。
【
図3】第1実施形態に係る機器管理システムを構成する各装置の機能ブロックを示す模式図である。
【
図4】制御端末が運転情報を空気調和機から収集することに関する取得条件の例を示した模式図である。
【
図5】第1実施形態に係る機器管理システムにおける処理の流れを説明するための模式図である。
【
図6】第2実施形態に係る機器管理システムを構成する各装置の機能ブロックを示す模式図である。
【
図7】第2実施形態に係る機器管理システムにおける処理の流れを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態に係る機器管理システム1について説明する。なお、以下の実施形態は、具体例であって、技術的範囲を限定するものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0020】
(1)全体構成
図1は本開示の一実施形態に係る機器管理システム1の構成を示す模式図である。なお、以下の説明において、同様の機能を有する複数の装置について共通の説明をする場合は同一符号を付して説明する。同様の機能を有する複数の装置から、一の装置を区別して説明するときには英小文字の添え字を付して説明する。例えば、制御端末20a~20cはそれぞれ同様の機能を有する装置であるので、説明が共通する場合は制御端末20と表記する。説明の便宜上、添え字a~c等を用いるが、これらは任意の数を表しており、数量がこれに限定されるものではない。
【0021】
機器管理システム1は、1台の管理装置30で、多数の機器を管理するシステムである。ここでは、管理装置30は、中央管理センタ3に設置される。中央管理センタ3の管轄エリア内には、多数の施設2(2a~2c)が存在する。施設2は、例えばオフィスビル、商業ビル、及びコンドミニアムである。そして、各施設2には、管理対象の機器の例として、一又は複数の空気調和機10(10a~10i)が設置される。各空気調和機10には、複数の制御端末20(20a,20b)のいずれかが接続される。機器管理システム1においては、各制御端末20及び管理装置30が後述する機器情報を含む各種情報を通信することで、複数の空気調和機10の管理が行われる。具体的に、管理装置30は、各制御端末20から対応する空気調和機10に関する運転情報(後述)を取得することで、各空気調和機10の異常の有無及び異常の詳細について判断を行う。
【0022】
管理装置30は、通信ネットワークNW1を介して複数の監視端末40(40a~40c)及び複数の保守端末50(50a,50b)に接続される。そして、管理装置30は、各空気調和機10のいずれかに関して異常発報がなされた場合、監視端末40又は保守端末50の操作者等に異常発報がなされた旨を通知する。
【0023】
通信ネットワークNW1は、複数の物件にまたがるWAN(Wide Area Network)を含む。例えば通信ネットワークNW1は、インターネットを含む。
【0024】
なお、制御端末20、監視端末40、及び/又は保守端末50の台数については適宜変更が可能である。また、施設2の数、及び/又は中央管理センタ3の数についても適宜変更が可能である。
【0025】
(2)機器管理システム1の管理対象(機器)
以下、本実施形態に係る機器管理システム1の管理対象である機器として、対象空間の冷房や暖房を行う「空気調和機」を例として説明する。ただし、本実施形態に係る機器管理システム1の管理対象は空気調和機に限られるものではなく、以下の特徴を有する任意の機器を採用することができる。例えば、「機器」として換気装置、調湿装置、エアハンドリングユニット、チラーユニット、及び/又はその他の冷凍装置等を採用してもよい。
【0026】
図2は本実施形態に係る空気調和機10の構成を示す模式図である。空気調和機10は、図示されない圧縮機や熱交換器等から構成される冷媒回路を有する。空気調和機10は、室外機11と、複数の室内機12(12a~12d)とを有する。室外機11と、各室内機12と、は専用通信線を介して接続される。室外機11には、室外機制御ユニット11Xが設けられる。室内機12a~12dには、室内機制御ユニット12Xa~12Xdのうち対応する一つが設けられる。空気調和機10には各種センサが所定箇所に適宜取り付けられる。これらのセンサにより、室温、周辺の外気温、圧縮機に吸入される冷媒の温度及び圧力、圧縮機から吐出される冷媒の温度及び圧力、蒸発器における冷媒の温度、及び凝縮器における冷媒の温度の少なくともいずれかが検出される。そして、各種センサの検出値に基づいて、室外機制御ユニット11X及び室内機制御ユニット12Xが協働して空気調和機10の各部の動作を制御する。空気調和機10は、リモコン及び/又は操作パネルなどの操作端末15から入力される制御情報、並びに、外部の監視端末40から通信ネットワークNW1を介して入力される制御情報に基づいて操作される。
【0027】
室外機11は、冷媒回路の熱源として機能する機器である。室外機11には、接続部11Yが搭載される。室外機制御ユニット11Xは、制御端末20との間で、接続部11Yを介して情報の授受を行う。室外機11は、例えば屋上や地下室等に設置される。
【0028】
室内機12は、室内に設置された操作端末15により操作される。操作端末15は、例えばリモコン、及び、室内に取り付けられた操作パネル等により構成される。なお、ここでは、一の室外機11に接続されている複数の室内機12が、一又は複数の操作端末15に個別に関連付けられて操作される。室内機12には、人の存在を検知する人感センサなどが搭載されることもある。室内機12a~12dは、施設2の複数のフロアまたは複数の部屋等の設置空間5a~5dにそれぞれ分散して設置される。
【0029】
(3)機器管理システム1の詳細構成
図3は本実施形態に係る機器管理システム1を構成する各装置の機能ブロックを示す模式図である。
【0030】
(3-1)制御端末(機器情報送信装置)
制御端末20は室外機制御ユニット11Xに接続することで空気調和機10を制御する。制御端末20は、空気調和機10を制御するためのコンピュータである。制御端末20は、複数のコンピュータやデバイスがネットワークで接続されることで構成されてもよい。各制御端末20は、
図3に示すように、端末記憶部21と、通信部22と、処理部23と、接続部24と、を有する。
【0031】
端末記憶部21(「第1情報記憶部」)は、各種情報を記憶するものであり、不揮発性メモリ及び揮発性メモリ等により構成される。例えば、端末記憶部21は、制御端末20の各種機能を実行するためのプログラムを記憶する。端末記憶部21は、制御端末20及び管理装置30との間で伝送される「機器情報」を記憶する。端末記憶部21には、その容量に応じて、後述する詳細運転情報を含む複数の運転情報が蓄積される。端末記憶部21は、対応する空気調和機10からの機器情報の取得に関する「取得条件」を記憶する。端末記憶部21は、当該機器情報の伝送に関する「通信条件」を記憶する。
【0032】
機器情報は、管理対象である空気調和機(機器)10に関する複数の種類の情報であり、例えば空気調和機10の状態を示す「運転情報」と、空気調和機10の各種状態を制御するための「制御情報」とに大別される。運転情報は、空気調和機10の運転状態を特定する情報を含む。具体的に、運転情報は、複数種類の情報を含み、例えば第1運転情報D1、第2運転情報D2、及び第3運転情報D3を含む。なお、運転情報はここで示したものに限られず、管理者等により任意に設定可能である。
【0033】
本実施形態において、第1運転情報D1は、例えば機器において異常が生じたことが推定される際に、推定される異常を通知する異常発報等の情報を含む。換言すると、第1運転情報D1は、空気調和機10の異常が推定されることを通知する情報(「異常情報」)である。第1運転情報D1には、異常が生じたと推定される際に、推定される異常の内容を特定する情報を含む。例えば、異常が推定される機器のコード、推定される異常項目を特定するコード、及び送信元の機器を一意に特定するデータ等を含む。
【0034】
第2運転情報D2は、空気調和機10の運転状態又はその履歴を特定する情報を含む。例えば、第2運転情報D2は、空気調和機10に含まれるアクチュエータの状態又はその履歴、及び/又は空気調和機10に設置された各種センサによる検出値及びその履歴等の情報を含む。なお、空気調和機10に含まれるアクチュエータとしては、例えば、圧縮機、ファン、及び電子膨張弁等の少なくともいずれかである。空気調和機10に含まれるセンサとしては、圧縮機から吐出される冷媒の温度若しくは圧力、圧縮機に吸入される冷媒の温度若しくは圧力、蒸発器及び/又は凝縮器を流れる冷媒の温度若しくは圧力の少なくともいずれかを検出する温度センサ及び/又は圧力センサ、又は、外気温や室内温度を検出するための温度センサ等である。
【0035】
第3運転情報D3は、利用者の特性を把握するための情報である。例えば、第3運転情報D3は、操作端末15の操作内容の履歴等が該当する。
【0036】
そして、端末記憶部21は、これらの複数種類の運転情報の伝送に関する通信条件を空気調和機10毎に関連付けて記憶する。
【0037】
取得条件(第1条件)は、対応する空気調和機10に関して、取得する運転情報の内容、及び運転情報を取得するタイミング等を規定する。取得条件は、例えば、
図4に示されるような第1取得条件A1及び第2取得条件A2等を含む。
図4の第1取得条件A1においては、第1運転情報D1に関しては10分の1回の頻度で取得し、第2運転情報D2に関しては10分に1回の頻度で取得し、第3運転情報D3に関しては60分に1回の頻度で取得することが規定されている。
図4の第2取得条件A2においては、第1運転情報D1に関しては5分の1回の頻度で取得し、第2運転情報D2に関しては5分に1回の頻度で取得し、第3運転情報D3に関しては60分に1回の頻度で取得することが規定されている。
【0038】
なお、
図4の第1運転情報D1又は第2運転情報D2と第3運転情報D3との関係に示されるように、取得条件においては、運転情報の項目毎に収集タイミングを異ならせることができる。これに関連して、空気調和機10から取得する各データに関して、その重要度に応じて、サンプリング間隔を変更できる。換言すると、重要度が高いデータに関しては、重要度が高くないデータと比較して小さな間隔でデータを収集することができる。このため、制御端末20及び空気調和機10間の通信に関して通信量を抑えられるようになっている。これに関連して、制御端末20及び空気調和機10において、通信処理に関する負荷が抑えられている。
【0039】
通信条件は、管理装置30と制御端末20間での通信に関する条件である。例えば、通信条件は、管理装置30と各制御端末20との間における通信に関して、情報の送受信のタイミング若しくは回数、又は送受信される情報の内容等を個別に規定する。例えば、一の通信条件においては、対応する空気調和機10に関して、1時間に1回の頻度で、第1運転情報D1,第2運転情報D2及び第3運転情報D3が制御端末20から管理装置30に送信することが規定される。
【0040】
なお、端末記憶部21に記憶された取得条件及び通信条件は、管理装置30から適宜更新可能である。例えば、端末記憶部21に記憶された取得条件及び通信条件は、管理装置30や他の端末から適宜更新可能である。例えば、端末記憶部21に記憶された取得条件又は通信条件は、管理装置30からの指令に基づいて更新される。
【0041】
通信部22は、通信ネットワークNW1を含む外部ネットワークとの通信を実行する。通信部22の機能により、制御端末20と管理装置30との間で、各種コマンドおよび各種データの授受が行なわれる。
【0042】
処理部23は、各種情報処理を実行する。処理部23は、取得処理部231と、送信処理部232と、を含む。
【0043】
取得処理部231(「第1情報収集部」)は、接続部24を介して、取得条件に沿って、対応する空気調和機10から運転情報を所定のタイミングで収集する。取得処理部231は、取得した運転情報を端末記憶部21に格納する。
【0044】
送信処理部232(「運転情報送信部」、「第1情報送信部」)は、通信部22を介して、制御端末20と管理装置30との間の通信を制御する。例えば、送信処理部232は、取得処理部231が空気調和機10から取得する運転情報を、通信条件に沿って、管理装置30に所定のタイミングで送信する。送信処理部232は、管理装置30から、制御情報として、運転情報の送信を要求する信号を受信した場合、当該要求において指定される運転情報を管理装置30に対して送信する。例えば、送信処理部232は、後述する詳細運転情報要求信号を管理装置30から受信することに応じて、当該信号において指定される詳細運転情報(後述)を、管理装置30に対して送信する。換言すると、送信処理部232は、管理装置30の異常判断部342(後述)の指定に基づいて、詳細運転情報を管理装置30に対して送信する。
【0045】
このような処理部23を有する制御端末20は、管理装置30に対して所定の機器に関する「機器情報」を送信する「機器情報送信装置」に相当する。
【0046】
接続部24は、室外機11の接続部11Yに接続するものである。制御端末20は、接続部24を介することで、室外機制御ユニット11Xに指令情報の送出が可能になるとともに、室外機制御ユニット11Xから運転情報の取得が可能となる。
【0047】
(3-2)管理装置
管理装置30は、制御端末20及び監視端末40のそれぞれに通信ネットワークNW1を介して接続し、複数の空気調和機10の運転状態等を管理する。管理装置30は、制御端末20と通信ネットワークNW1を介して通信する。管理装置30は、空気調和機10の管理を行うコンピュータであり、例えば、スーパーコンピュータ、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、タブレットデバイス、又はスマートフォン等である。また例えば、管理装置30は、複数のコンピュータやデバイスがネットワークで接続されることで構成されてもよい。
管理装置30は、
図3に示すように、記憶部31、入力部32、通信部33、処理部34、及び出力部35を有する。
【0048】
記憶部31(「管理装置記憶部」)は、各種情報を記憶するものであり、ROM、RAM、及び/又はハードディスク等を含む。ここでは、記憶部31は、統合管理記憶部31Aと、運転情報記憶部31Bと、制御情報記憶部31Cと、取得条件記憶部31Dと、通信条件記憶部31Eと、を有する。記憶部31は、管理装置30の各種機能を実行するためのプログラムを記憶する。
【0049】
統合管理記憶部31Aは、管理装置30が管理する複数の空気調和機10に関連する情報を個別に記憶する。例えば、統合管理記憶部31Aは、各空気調和機10が設置される施設2の情報、施設2における室外機11及び室内機12a~12dの設置空間5a~5dの情報、各空気調和機10に関する監視者の情報、及び各制御端末20に対応する各空気調和機10等を個別に記憶する。
【0050】
運転情報記憶部31Bは、各空気調和機10に関連付けて、制御端末20から送信される各種運転情報を個別に記憶する。なお、運転情報記憶部31Bに記憶される運転情報には、制御端末20から送信される詳細運転情報が含まれる。
【0051】
制御情報記憶部31Cは、管理装置30を操作する管理者が入力した各空気調和機10への制御情報、及び後述する監視端末40から各空気調和機10への要求に対応する制御情報等を個別に記憶する。
【0052】
取得条件記憶部31Dは、各制御端末20に関する「取得条件」を個別に記憶する。取得条件記憶部31Dに記憶される情報は、各制御端末20の端末記憶部21に記憶される取得条件の情報を包含するものである。
【0053】
通信条件記憶部31Eは、各制御端末20に関する「通信条件」を個別に記憶する。通信条件記憶部31Eに記憶される情報は、各制御端末20a~20cの端末記憶部21に記憶される通信条件の情報を包含するものである。管理装置30における通信条件記憶部31Eに記憶される情報を適宜書き換えることで、各制御端末20に対応する通信条件を変更可能である。
【0054】
なお、記憶部31は上述した各種記憶部以外にも任意の情報を記憶することができる。
【0055】
入力部32は、管理装置30への情報の入力を行うためのインタフェースである。例えば入力部32は、キーボード、マウス、及び/又はタッチスクリーン等により実現される。例えば、入力部32は、各種受付画面への情報の入力を可能にする。したがって、管理者は、入力部32を介して各空気調和機10への制御情報の入力及び各種設定を変更するための情報の入力が可能となる。
【0056】
通信部33(「異常内容入力部」)は、制御端末20及び監視端末40と通信するためのインタフェースである。具体的に、通信部33は、制御端末20から運転情報を受信する。例えば、通信部33は制御端末20に制御情報を送信する。例えば、通信部33は、監視端末40や制御端末20から、「要求」や他の情報を受信する。なお、通信部33で受信した運転情報及び他の情報は記憶部31に記憶される。
【0057】
処理部34は、管理装置30における各種情報処理を実行するものであり、CPU及びキャッシュメモリ等で構成される。ここで、処理部34は、演算部341、異常判断部342、要求部343、異常通知部344としての機能を有する。
【0058】
演算部341は、通信部33により受信された情報に基づく情報処理に関して演算を行う。例えば、演算部341は、制御端末20から送信される運転情報に応じて各種管理情報等を生成する。演算部341は、監視端末40から要求に応じた処理を実行するとともに、処理結果が示された監視情報等を生成する。
【0059】
異常判断部342(「指定部」)は、制御端末20から受信する各運転情報に基づいて、対応する空気調和機10に関して異常の詳細(異常の有無及び異常の内容を含む)を判断する処理(異常判断処理)を実行する。なお、「異常」は、空気調和機10が正常に動作しない状態である。例えば、「異常」には、冷媒の圧力又は温度が基準値よりも高い又は低い状態である。例えば、「異常」は、圧縮機から吐出される冷媒の吐出温度又は吐出圧力が、他のパラメータとの関係で通常想定される値よりも高い若しくは低い状態である。また例えば、「異常」は、圧縮機から吐出される冷媒の吸入温度又は吸入圧力が、他のパラメータとの関係で通常想定される値よりも低い若しくは高い状態である。また例えば、「異常」は、凝縮器における冷媒の凝縮温度、凝縮圧力、又は過冷却度が、他のパラメータとの関係で通常想定される値よりも高い若しくは低い状態である。また例えば、「異常」は、蒸発器における冷媒の蒸発温度、蒸発圧力、又は過熱度が、他のパラメータとの関係で通常想定される値よりも高い若しくは低い状態である。
【0060】
「異常の詳細」とは、異常が生じている機器若しくは箇所、又は異常の直接的原因等である。異常の詳細の例としては、圧縮機、電子膨張弁又はファン等のアクチュエータの故障や動作不良、又はセンサ等の計測機器の故障や動作不良である。また異常の詳細の他の例としては、冷媒配管、分流器若しくは各熱交換器等の冷媒流路を形成する部材の破損である。また異常の詳細の他の例としては、通信系統を構成する機器や、アクチュエータの制御部を構成する機器の故障や動作不良等である。また異常の詳細の他の例としては、例えば冷媒漏洩や冷媒充填量の不足等である。
【0061】
異常判断処理には、運転情報に基づいて異常が想定される空気調和機10に関して異常の詳細を判断する第1異常判断処理と、第1異常判断処理の後に第1異常判断処理の結果に応じて行われる第2異常判断処理と、が含まれる。
【0062】
例えば、異常判断部342は、制御端末20から送信された第1運転情報D1又は第2運転情報D2に基づいて何らかの異常が想定される場合に、第1異常判断処理を行い、対応する空気調和機10の異常の詳細について判断する。例えば、異常判断部342は、第1異常判断処理において、第1運転情報D1及び/又は第2運転情報D2に基づいて推定される異常に関して、第2運転情報D2や第3運転情報D3等の他の情報に基づいて異常の有無及び異常の詳細について判断する。例えば、異常判断部342は、第1運転情報D1に基づいて圧縮機の吐出温度又は圧力に関連する異常が想定される場合には、第1異常判断処理において、第2運転情報D2に基づき、圧縮機の回転数、膨張弁の開度、各ファンの回転数、及び/又は各センサの検出値等の各種パラメータの履歴情報を用いて、異常の有無並びに異常の詳細(異常箇所、異常原因、異常の程度又は修理の必要度)等の特定を行う。なお、異常判断処理に用いられる各パラメータに関しては、状況に応じて適宜選択される。
【0063】
異常判断部342は、第1異常判断処理において、保持している運転情報に基づいて、異常の詳細を十分に特定できない場合に、要求部343に対して、対応する空気調和機10に関してさらなる運転情報(以下、「詳細運転情報」と称する)の取得を依頼する。依頼する詳細運転情報については、異常判断部342が、推定される異常内容や第1異常判断処理の結果等に応じて、適宜指定する。換言すると、詳細運転情報は、管理装置30が保持していない情報である。詳細運転情報は、機器の異常が推定される際に、異常原因等の異常の詳細を特定するために用いられる情報である。詳細運転情報は、必ずしも単一の情報のみならず、複数の情報が含まれうる。
【0064】
例えば、異常判断部342は、第1異常判断処理において、第1運転情報D1に基づいて圧縮機の吐出温度又は圧力に関連する異常が想定される場合に、第2運転情報D2に基づいて圧縮機の回転数、膨張弁の開度、各ファンの回転数、及び/又は各センサの検出値等の履歴情報によって特定される各パラメータが正常であることで異常箇所又は異常原因を特定できないときには、要求部343に対して、対応する空気調和機10に関して、記憶部31に記憶されていない運転情報を指定して、指定した詳細運転情報の取得を依頼する。なお、要求部343に対して取得を依頼する詳細運転情報の内容に関しては、状況に応じて適宜選択される。例えば、詳細運転情報は、異常判断処理の対象となる空気調和機10に関して、記憶部31に記憶されている最新の運転情報が取得されたタイミングと二番目に新しい運転情報とが取得されたタイミングの間において、当該空気調和機10から取得された運転情報である。また例えば、詳細運転情報は、第1異常判断処理において用いられた運転情報よりも、過去の運転情報である。
【0065】
そして、異常判断部342は、依頼後、所定時間の経過を待って、指定した詳細運転情報が記憶部31に記憶されている場合には、当該詳細運転情報に基づいて第2異常判断処理を実行する。異常判断部342は、第2異常判断処理においては、第1異常判断処理において用いられなかった詳細運転情報に基づいて、対象となる空気調和機10の異常の詳細を判断する。例えば、異常判断部342は、第2異常判断処理においては、詳細運転情報に含まれる第2運転情報D2や第3運転情報D3等に基づいて、異常の有無、異常箇所、異常原因、異常の程度、及び/又は修理の必要度等の特定を行う。なお、第2異常判断処理に用いられる各パラメータに関しては、状況に応じて適宜選択される。
【0066】
要求部343(「要求部」)は、異常判断処理によって異常の判断が行えない場合に、対応する制御端末20に対して詳細運転情報(「第1情報」)を要求する処理(詳細運転情報要求処理)を行う。具体的に、要求部343は、詳細運転情報要求処理において、異常判断部342の依頼に基づいて指定される運転情報を、対応する制御端末20に対して要求する信号(詳細運転情報要求信号)を生成する。詳細運転情報要求信号には、要求する詳細運転情報に係る空気調和機10のID及びデータ項目を指定する情報が含まれる。要求部343は、生成した詳細運転情報要求信号を、通信部33を介して対応する制御端末20に対して送信する。換言すると、要求部343は、空気調和機10の異常が推定される際に、記憶部31に記憶されている運転情報に基づいて異常の詳細が特定できない場合に、異常判断部342が指定した詳細運転情報の送信を要求する詳細運転情報要求信号(「第1情報要求信号」)を、対応する制御端末20に対して送信する。
【0067】
異常通知部344は、異常判断部342の異常判断処理の結果に応じて、空気調和機10に関する異常の有無及びその詳細を管理者や監視者に通知するための情報(異常通知情報)を作成する処理(通知処理)を実行する。異常通知部344は、作成した異常通知情報を出力部35から出力させる。異常通知部344は、作成した異常通知情報を、通信部33を介して、対応する監視端末40及び/又は保守端末50へ送信する。これにより、管理者、監視者又は保守者が、各空気調和機10に関して異常の有無、及びその異常の詳細を個別に把握することが可能となる。
【0068】
なお、通知処理は、第1異常判断処理に関しては異常の詳細が特定可能な場合に実行され、第2異常判断処理に関しては異常の詳細が特定可能か否かに関わらず実行される。
【0069】
出力部35は、各種情報を出力するものであり、種々のディスプレイ及びスピーカ等により構成される。例えば、出力部35は、各種情報の入力を受け付けるための入力画面等を出力する。例えば、出力部35は、異常通知部344によって作成された異常通知情報を出力する。なお、出力部35により出力される各種情報は通信ネットワークNW1を介して監視端末40及び保守端末50に出力することも可能である。
【0070】
(3-3)監視端末
監視端末40は、管理装置30から送信される異常通知情報に基づいて、空気調和機10の状態を監視する。監視端末40は、例えば、空気調和機10に対して各種制御を実行する権限が付与された監視者により操作される。
【0071】
監視端末40は、通信部41、入力部42、処理部43、及び出力部44を有する。 通信部41は、通信ネットワークNW1を介して管理装置30に接続し、空気調和機10に対する要求やコマンドを管理装置30に送信する。また、通信部41は、管理装置30や他の機器から各種情報を受信する。
【0072】
入力部42は、管理装置30や制御端末20等に送信する要求を受け付ける。例えば、監視者は、入力部42を介して、管理装置30や制御端末20に送信するコマンドを入力できる。例えば、管理者は、入力部42を介して、異常判断処理のための基準値を設定することができる。
【0073】
処理部43は監視端末40における各種情報処理を実行する。
【0074】
出力部44は管理装置30から受信する各種情報に基づいて情報を出力する。例えば、出力部44は、通信部41が受信した異常通知情報を出力する。
【0075】
なお、監視者としては、施設2の所有者、施設2の管理者、施設2の利用者、空気調和機10の製造者、空気調和機10の販売者等が該当する。監視者は、その種類に応じて与えられる権限が異なる。そのため、個々の監視端末40に付与された権限レベルに応じて、空気調和機10に対して入力可能な要求の種類が異なる。権限レベルの設定情報は、管理装置30の統合管理記憶部31Aに記憶される。
【0076】
(3-4)保守端末
保守端末50は、空気調和機10の保守作業者が操作する端末である。保守端末50は、異常通知情報を管理装置30から受け取る。これにより、保守作業者が、異常が検出された空気調和機10の診断及び故障対応等を行なうことが可能となる。
【0077】
(4)機器管理システム1における詳細運転情報要求処理及び異常判断処理
図5は、本実施形態に係る機器管理システム1における処理の流れを説明するための模式図である。なお、
図5では、1台の空気調和機10と、1台の管理装置30と、1台の制御端末20と、1台の監視端末40と、の関係における処理の流れが示されているが、管理装置30と、各制御端末20、及び/又は監視端末40と、の間においては、
図5のような処理が個別に行われる。
【0078】
機器管理システム1が稼動中は、制御端末20は取得条件に沿って空気調和機10から運転情報を取得し、制御端末20は通信条件に沿って運転情報を管理装置30へ送信する(S1)。
【0079】
運転情報を受信する管理装置30では、制御端末20から送信された運転情報に基づいて、対応する空気調和機10に関し異常が推定される場合(S2-Yes)に、第1異常判断処理を実行する(S3)。なお、制御端末20から送信された運転情報に基づいて、対応する空気調和機10に関し異常が推定されない場合(S2-No)には、当該空気調和機10に関しては第1異常判断処理を実行しない。
【0080】
管理装置30は、第1異常判断処理において、保持している運転情報に基づいて、異常の詳細が特定できない場合(S4-No)には、詳細運転情報要求処理を実行し、詳細運転情報要求信号を対応する制御端末20へ送信する(S5)。一方、管理装置30は、第1異常判断処理において、保持している運転情報に基づいて、異常の詳細を特定できる場合(S4-Yes)には、通知処理を実行し、判断結果を出力部35から出力するとともに異常通知信号を監視端末40等へ送信する(S8)。
【0081】
制御端末20は、受信した詳細運転情報要求信号において指定される運転情報を、管理装置30へ送信する(S6)。
【0082】
管理装置30は、詳細運転情報要求信号に関連して受信した詳細運転情報に基づいて、第2異常判断処理を実行する(S7)。管理装置30は、第2異常判断処理の結果に基づいて、通知処理を実行し、判断結果を出力部35から出力するとともに異常通知信号を監視端末40や保守端末50等へ送信する(S8)。
【0083】
監視端末40又は保守端末50は、異常通知信号の受信に応じて、異常通知信号によって特定される内容を適宜出力する(S9)。これにより、監視端末40を利用する監視者や、保守端末50を利用する保守者等が異常の有無及びその詳細を把握することができる。
【0084】
機器管理システム1が稼動中には、上述のような流れで処理が繰り返される。
【0085】
(5)特徴
(5-1)
本実施形態では、空気調和機10に関する情報を収集する制御端末20と空気調和機10の管理を行う管理装置30とを含むシステムにおいて、管理装置30の異常判断部342は、空気調和機10異常内容の原因を特定するために用いられる詳細運転情報を、入力された異常内容に応じて指定する。制御端末20の送信処理部232は、詳細運転情報を送信する。
【0086】
これにより、空気調和機10の異常が推定される際に、管理装置30において異常原因を特定するために用いられる詳細運転情報が、入力された異常内容に応じて異常判断部342によって指定される。また、指定された詳細運転情報が制御端末20から管理装置30へ送信される。その結果、管理装置30側で保持している情報のみでは空気調和機10の異常原因を特定できないケースにおいても、異常原因の特定が促進される。
【0087】
(5-2)
本実施形態においては、制御端末20の端末記憶部21は、詳細運転情報を蓄積する。これにより、制御端末20において詳細運転情報が蓄積される。その結果、空気調和機10の異常が推定される際に、複数の詳細運転情報を制御端末20から管理装置30に対して送信することができ、異常原因の特定が促進される。
【0088】
(5-3)
本実施形態においては、管理装置30の要求部343は、異常判断部342が指定した詳細運転情報の送信を要求する詳細運転情報要求信号を、制御端末20に対して送信する。制御端末20の送信処理部232は、詳細運転情報要求信号に応じて詳細運転情報を送信する。これにより、管理装置30の要求に沿った詳細運転情報が、制御端末20から管理装置30に対して送信される。
【0089】
(5-4)
本実施形態においては、制御端末20の送信処理部232は、空気調和機10の運転状態を特定する運転情報を所定のタイミングで管理装置30に対して送信し、管理装置30の記憶部31は、取得した運転情報を記憶する。管理装置30の要求部343は、記憶部31に記憶されている運転情報に基づいて異常原因が特定できない場合に、詳細運転情報要求信号を送信する。
【0090】
これにより、管理装置30が保持する運転情報に基づいて異常原因が特定できない場合、詳細運転情報を制御端末20から管理装置30に対して送信することが可能となる。よって、管理装置30側では、必要な場合に、詳細運転情報の要求を行うことが適宜可能となり、通信量が抑制される。これに関連して、管理装置30の記憶部31の容量が抑えられる。また、管理装置30及び制御端末20において、運転情報の通信に関する処理に関して負荷が抑えられる。また、通信に関連する費用が抑えられる。
【0091】
(5-5)
本実施形態においては、要求部343は、詳細運転情報要求信号において、記憶部31に記憶されている運転情報よりも短い周期で収集された運転情報、及び/又は、管理装置30が保持しておらず制御端末20が保持している情報を、詳細運転情報として要求する。これにより、異常原因の特定が特に促進される。
【0092】
(5-6)
本実施形態においては、詳細運転情報要求信号には、要求する詳細運転情報に係る空気調和機10のID及びデータ項目を指定する情報が含まれる。これにより、制御端末20側での詳細運転情報の通信に関する処理に関して負荷が抑えられる。
【0093】
(5-7)
本実施形態では、制御端末20の取得処理部231は、所定の取得条件に基づいて運転情報を収集する。これにより、制御端末20において、取得条件に基づいて運転情報が収集される。
【0094】
(5-8)
本実施形態では、機器管理システム1は空気調和機10の管理を行うシステムであり、空気調和機10の異常が推定される際に異常原因の特定が促進される。
【0095】
(6)変形例
第1実施形態に係る内容は、以下の変形例に示すように適宜変形が可能である。なお、各変形例は、矛盾が生じない範囲で他の変形例と組み合わせて適用されてもよい。
【0096】
(6-1)変形例1A
管理装置30が詳細運転情報要求において指定する詳細運転情報の態様については、状況に応じて、適宜変更が可能である。例えば、要求部343は、詳細運転情報要求信号において、記憶部31に記憶されている運転情報よりも短い周期で収集された運転情報を、詳細運転情報として要求してもよい。例えば、詳細運転情報は、異常判断処理の対象となる空気調和機10に関して、記憶部31に記憶され第1異常判断処理において用いられる運転情報よりも短い周期で収集された運転情報である。例えば、記憶部31に記憶されている運転情報が10分周期で収集される運転情報である場合、詳細運転情報は5分周期で収集される運転情報である。これにより、異常原因の特定が特に促進される。
【0097】
(6-2)変形例1B
管理装置30は、詳細運転情報要求において、将来の運転情報を要求するように構成されてもよい。換言すると、管理装置は、第1異常判断処理を行った後に、第1異常判断処理で用いた運転情報よりも後の運転情報を、要求する詳細運転情報として指定してもよい。例えば、第1異常判断処理後に、第1異常判断処理の対象となった空気調和機10の運転を「所定時間」行わせ、当該運転に関連する運転情報を詳細運転情報として制御端末20に収集させ送信させるようにしてもよい。なお、係る「所定時間」は、状況に応じて適宜設定される。これにより、異常原因の特定が特に促進される。
【0098】
また、係る場合、管理装置30の異常判断部342は、詳細運転情報の指定とともに、制御端末20による収集に関して取得条件を変更してもよい。例えば、異常判断部342は、指定する詳細運転情報に関して、現在よりも短い周期で収集されるように、取得条件を指定してもよい。例えば、異常判断部342は、制御端末20における運転情報の収集が10分周期で行われている場合には、指定する詳細運転情報に関しては現在よりも短い5分周期で収集されるように、取得条件を変更してもよい。係る場合、異常判断部342は、取得条件を変更する「変更部」に相当する。換言すると、異常判断部342は、空気調和機10の異常が推定される際に、記憶部31に記憶されている運転情報に基づいて異常の詳細が特定できない場合に、取得条件を変更するように構成されてもよい。これにより、管理装置30側で、制御端末20における詳細運転情報の収集態様を、状況に応じて柔軟に決定可能となる。なお、係る場合、要求部343が、詳細運転情報要求処理において、異常判断部342によって指定される取得条件に変更する旨の指令を、詳細運転情報要求信号に含めるようにしてもよいし、対応する制御端末20に対して詳細運転情報要求信号とは別に独立して送信してもよい。
【0099】
(6-3)変形例1C
管理装置30の処理部34における異常判断部342及び異常通知部344のいずれかについては、処理結果が管理装置30に適宜送信される限り、他の装置に含まれていてもよい。例えば、異常判断部342及び異常通知部344のいずれかについては、詳細運転情報が管理装置30に適宜送信される限り、制御端末20や監視端末40に含まれていてもよい
(6-4)変形例1D
管理装置30及び各制御端末20間における通信条件については、個別に適宜変更が可能である。例えば、上記実施形態では、制御端末20は、管理装置30に対して運転情報を定期的に送信しているが、必ずしも運転情報は定期的に送信される必要はない。例えば、制御端末20が不定期的に管理装置30に対して運転情報を送信するように、通信条件が定められてもよい。例えば、制御端末20は、空気調和機10の異常が推定される場合に限って、運転情報を管理装置30に送信するように、通信条件が定められてもよい。
【0100】
(6-5)変形例1E
図4に示される各取得条件は、あくまでも例示である。取得条件については、設計仕様や使用環境に応じて適宜変更されうる。例えば、取得条件は、空気調和機10から取得する運転情報の内容や取得のタイミングについて適宜変更されうる。
【0101】
例えば、機器の状態や環境条件が特定の状態にある場合に、機器から運転情報の収集が行われるように、取得条件が設定されてもよい。例えば、冷房運転を行っている状態にある空気調和機10から各運転情報の収集が行われ、他の空気調和機10からはいずれか又は全ての運転情報の収集が行われないように、取得条件が設定されてもよい。また例えば、外気温が所定の状態(例えば30℃以上、又は5℃以下)にある環境に設置されている空気調和機10から各運転情報の収集が行われ、他の空気調和機10からはいずれか又は全ての運転情報の収集が行われないように、取得条件が設定されてもよい。
【0102】
(6-6)変形例1F
上記実施形態における運転情報は、あくまでも例示である。運転情報の内容については、設計仕様や使用環境に応じて適宜変更されうる。例えば、運転情報において、第1運転情報D1は適宜省略されてもよい。
【0103】
(6-7)変形例1G
図5に示される処理の流れについては、あくまでも例示である。空気調和機10、制御端末20、管理装置30、及び監視端末40間の処理の流れについては、設計仕様や使用環境に応じて適宜変更されうる。
【0104】
(6-8)変形例1H
上記実施形態においては、管理が行われる対象の「機器」は空気調和機10であるが、機器情報は空気調和機10以外の機器(例えば換気装置、調湿装置、エアハンドリングユニット、チラーユニット、及び/又はその他の冷凍装置等)に関するものであってもよい。
【0105】
(6-9)変形例1I
図1に示される機器管理システム1の構成態様については、適宜変更が可能である。例えば、いずれか又は全ての制御端末20については、空気調和機10に内蔵されていてもよい。具体的に、いずれか又は全ての制御端末20は、いずれかの室外機11に内蔵されていてもよい。また例えば、いずれか又は全ての制御端末20は、いずれかの室内機12に内蔵されていてもよい。また、制御端末20が通信ネットワークNW1にアクセスするためのルータ等の通信装置については、制御端末20とともに空気調和機10に内蔵されてもよいし、独立して配置されてもよい。また、制御端末20を内蔵する空気調和機10と、内蔵しない空気調和機10と、が混在していてもよい。
【0106】
[第2実施形態]
以下、本開示の第2実施形態に係る機器管理システム1Aについて説明する。なお、以下の実施形態は、具体例であって、技術的範囲を限定するものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。第1実施形態に係る機器管理システム1との相違部分について主に説明する。以下において説明を省略している部分については、原則として機器管理システム1におけるのと共通である。
【0107】
(1)機器管理システム1A
図6は本実施形態に係る機器管理システム1Aを構成する各装置の機能ブロックを示す模式図である。
【0108】
機器管理システム1Aでは、制御端末20が制御端末20´に置き換わる。制御端末20´は、処理部23に代えて処理部23´を有している。
【0109】
制御端末20´の処理部23´は、端末側判断部233を有している。端末側判断部233(「指定部」)は、第1実施形態における第1異常判断処理に相当する判断処理を行う。具体的に、端末側判断部233は、端末記憶部21に記憶されている運転情報に基づいて、判断処理を行う。そして、端末側判断部233は、当該判断処理の結果、空気調和機10の異常が想定される場合には、管理装置30の異常判断部342が異常の詳細を特定するうえで詳細運転情報の必要性の有無を判断する処理(詳細運転情報判断処理)を行う。端末側判断部233は、詳細運転情報判断処理において、異常判断部342において異常の詳細を特定するうえで詳細運転情報が必要と判断した場合には、管理装置30に対して送信する詳細運転情報を指定する。詳細運転情報の態様については、第1実施形態における説明と同様である。
【0110】
本実施形態において、空気調和機10から運転情報を受信する接続部24は、「異常内容入力部」に相当する。
【0111】
送信処理部232は、端末側判断部233によって指定された詳細運転情報を管理装置30に対して送信する処理(詳細運転情報送信処理)を行う。
【0112】
図7は、本実施形態に係る機器管理システム1Aにおける処理の流れを説明するための模式図である。なお、
図7では、1台の空気調和機10と、1台の管理装置30と、1台の制御端末20´と、1台の監視端末40と、の関係における処理の流れが示されているが、管理装置30と、各制御端末20´、及び/又は監視端末40と、の間においては、
図7のような処理が個別に行われる。
【0113】
機器管理システム1が稼動中は、制御端末20´は取得条件に沿って空気調和機10から運転情報を取得し、制御端末20´は通信条件に沿って運転情報を管理装置30へ送信する(S11)。
【0114】
制御端末20´は、収集した運転情報に基づいて異常判断処理を行う(S12)。制御端末20´は、異常判断処理の結果、対応する空気調和機10に関し異常が想定されない場合(S13-No)には、異常判断処理を随時行う(S12)。一方、制御端末20´は、異常判断処理の結果、対応する空気調和機10に関し異常が想定される場合(S13-Yes)には、詳細運転情報判断処理を行う(S14)。
【0115】
制御端末20´は、詳細運転情報判断処理の結果、詳細運転情報を管理装置30に送信する必要がないと判断した場合(S15-No)には、異常判断処理を随時行う(S12)。一方、制御端末20´は、詳細運転情報判断処理の結果、詳細運転情報を管理装置30に送信する必要がある場合(S15-Yes)には、端末側判断部233により指定される詳細運転情報を管理装置30へ送信する(S16)。
【0116】
管理装置30は、詳細運転情報を受信することに応じて、第2異常判断処理を実行する(S17)。管理装置30は、第2異常判断処理の結果に基づいて、通知処理を実行し、判断結果を出力部35から出力するとともに異常通知信号を監視端末40や保守端末50等へ送信する(S18)。
【0117】
監視端末40又は保守端末50は、異常通知信号の受信に応じて、異常通知信号によって特定される内容を適宜出力する(S19)。これにより、監視端末40を利用する監視者や、保守端末50を利用する保守者等が異常の有無及びその詳細を把握することができる。
【0118】
機器管理システム1Aが稼動中には、上述のような流れで処理が繰り返される。なお、
図7においては図示を省略しているが、管理装置30は、第2異常判断処理(S17)より前に、第1異常判断処理(
図5のステップS3)、及び/又は、詳細運転情報要求処理(
図5のステップS5)を行ってもよい。
【0119】
(2)特徴
本実施形態では、空気調和機10に関する情報を収集する制御端末20´と空気調和機10の管理を行う管理装置30とを含むシステムにおいて、制御端末20´の端末側判断部233は、空気調和機10の異常が推定される際に異常原因を特定するために用いられる詳細運転情報を、推定される異常内容に応じて指定する。制御端末20´の送信処理部232は、端末側判断部233の指定に基づいて詳細運転情報を送信する。
【0120】
これにより、空気調和機10の異常が想定される際に、管理装置30において異常原因を特定するために用いられる詳細運転情報が、推定される異常内容に応じて端末側判断部233によって指定される。また、指定された詳細運転情報が制御端末20´から管理装置30へ送信される。その結果、管理装置30側で保持している情報のみでは空気調和機10の異常原因を特定できないケースにおいても、異常原因の特定が促進される。
【0121】
(3)変形例
第2実施形態に係る内容は、以下の変形例に示すように適宜変形が可能である。なお、各変形例は、矛盾が生じない範囲で他の変形例と組み合わせて適用されてもよい。そして、第1実施形態に係る機器管理システム1において実現されている思想や変形例に係る思想については、矛盾が生じない範囲で、本実施形態に係る機器管理システム1Aにおいても適用可能である。
【0122】
(3-1)変形例2A
機器管理システム1Aにおいて、管理装置30における要求部343ついては、適宜省略されてもよい。また、異常判断部342は、第1異常判断処理を必ずしも行わなくてもよい。
【0123】
(3-2)変形例2B
機器管理システム1Aにおいては、制御端末20´は、管理装置30に対する運転情報の定期的な送信について必ずしも行う必要はない。
【0124】
(3-3)変形例2C
図7に示される処理の流れについては、あくまでも例示である。管理装置30、制御端末20´及び監視端末40の処理の流れについては、設計仕様や使用環境に応じて適宜変更されうる。
【0125】
(3-4)変形例2D
機器管理システム1Aにおいて、管理装置30の異常判断部342が第1異常判断処理を行う場合には、制御端末20´は、管理装置30からの要求に応じて詳細運転情報判断処理及び詳細運転情報送信処理を行うように構成されてもよい。換言すると、
図7のステップS12、S13については管理装置30の異常判断部342で行われてもよい。そして、ステップS13とS14の間に管理装置30から制御端末20´に対して要求が送信されることを契機として、制御端末20´において詳細運転情報判断処理及び詳細運転情報送信処理が行われるように構成されてもよい。
【0126】
[付記]
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0127】
1、1A :機器管理システム
10 :空気調和機(機器)
11 :室外機
12 :室内機
20、20´:制御端末(機器情報送信装置)
21 :端末記憶部(第1情報記憶部)
22 :通信部
23、23´:処理部
24 :接続部(異常内容入力部)
231 :取得処理部(運転情報収集部)
232 :送信処理部(第1情報送信部、運転情報送信部)
233 :端末側判断部(指定部)
30 :管理装置
31 :記憶部(管理装置記憶部)
32 :入力部
33 :通信部(異常内容入力部)
34 :処理部
341 :演算部
342 :異常判断部(指定部、変更部)
343 :要求部(第1情報要求部)
344 :異常通知部
40 :監視端末
50 :保守端末
NW1 :ネットワーク
【先行技術文献】
【特許文献】
【0128】