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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】加湿ユニット
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/48 20180101AFI20230315BHJP
   F24F 3/14 20060101ALI20230315BHJP
   F24F 6/08 20060101ALI20230315BHJP
   F24F 6/00 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
F24F11/48
F24F3/14
F24F6/08
F24F6/00 E
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020044980
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021148299
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2020-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 脩
(72)【発明者】
【氏名】辻 良行
(72)【発明者】
【氏名】鍵田 安章
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-071905(JP,A)
【文献】特開2002-066251(JP,A)
【文献】特開2001-091001(JP,A)
【文献】特開2009-008390(JP,A)
【文献】特開平11-241837(JP,A)
【文献】特開2001-099452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
F24F 3/14
F24F 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間(S1)を加湿する加湿運転を行う加湿ユニットであって、
水分を吸着させる吸湿領域(A1)及び水分を放出させる放湿領域(A2)を有する吸着部材(41a)と、
前記吸着部材(41a)の放湿領域(A2)を加熱するヒータ(42)と、
空気流を生成する第1ファン(43)及び第2ファン(44)と、
前記吸着部材(41a)、前記ヒータ(42)、前記第1ファン(43)、及び、前記第2ファン(44)を収容する筐体(47)と、
一端が前記筐体(47)における屋外の空気の取入口(55)に接続され、他端が前記対象空間(S1)の天井裏空間(S2)を仕切る側壁(5)を貫通して屋外と連通する導入ダクト(48)と、
制御装置(46)と、を備え、
前記筐体(47)は、前記第1ファン(43)によって前記導入ダクト(48)を介して屋外から取り入れられた空気が前記吸着部材(41a)の放湿領域(A2)を経由して前記対象空間(S1)へ吹き出される第1空気通路(P1)と、前記第2ファン(44)によって屋外から取り入れられた空気が前記吸着部材(41a)の吸湿領域(A1)を経由して屋外へ排出される第2空気通路(P2)と、前記第1空気通路(P1)を流れる空気を前記筐体(47)外に吹き出す吹出口(54)と、を有し、
前記制御装置(46)は、前記加湿運転を行う前に前記ヒータ(42)を作動させ、前記筐体(47)内における前記ヒータ(42)と前記吹出口(54)との間の前記第1空気通路(P1)を温めて結露の発生を抑制する、暖機運転を実行する、加湿ユニット。
【請求項2】
前記対象空間(S1)の温度を検出する第1温度センサ(45)をさらに備え、
前記制御装置(46)は、前記第1温度センサ(45)の検出値が所定の閾値よりも低い場合に前記暖機運転を実行する、請求項1に記載の加湿ユニット。
【請求項3】
前記筐体(47)が、前記対象空間(S1)の空気が流入する流入口(72)を有し、
前記第1温度センサ(45)が、前記流入口(72)から流入した空気の温度を検出する、請求項2に記載の加湿ユニット。
【請求項4】
前記制御装置(46)は、前記第1温度センサ(45)の検出値が低いほど前記暖機運転の実行時間を長くする、請求項2又は3に記載の加湿ユニット。
【請求項5】
前記制御装置(46)は、一定時間、暖機運転を実行する、請求項1~3のいずれか1項に記載の加湿ユニット。
【請求項6】
前記制御装置(46)は、前記加湿運転中の前記ヒータ(42)の出力よりも前記暖機運転中の前記ヒータ(42)の出力を低下させる、請求項1~5のいずれか1項に記載の加湿ユニット。
【請求項7】
前記制御装置(46)は、前記暖機運転中、前記第1ファン(43)を作動させる、請求項1~6のいずれか1項に記載の加湿ユニット。
【請求項8】
前記ヒータ(42)が、前記第1空気通路(P1)において前記吸着部材(41a)の放湿領域(A2)よりも空気流方向の上流側に配置される、請求項7記載の加湿ユニット。
【請求項9】
前記制御装置(46)は、前記加湿運転中、前記吸着部材(41a)における前記吸湿領域(A1)及び前記放湿領域(A2)の位置を移動させるために前記吸着部材(41a)を回転させ、
前記制御装置(46)は、前記暖機運転中、前記吸着部材(41a)の回転を停止させる、請求項7又は8に記載の加湿ユニット。
【請求項10】
前記制御装置(46)は、前記加湿運転中、前記吸着部材(41a)における前記吸湿領域(A1)と前記放湿領域(A2)との位置を移動させるために前記吸着部材(41a)を回転させ、
前記制御装置(46)は、前記暖機運転中、前記加湿運転中の前記吸着部材(41a)の回転速度よりも低速で前記吸着部材(41a)を回転させる、請求項7又は8に記載の加湿ユニット。
【請求項11】
前記筐体(47)は、前記第1空気通路(P1)を流れる空気を前記対象空間(S1)へ吹き出す吹出口(54)を有し、
前記吹出口(54)から吹き出される空気の温度を検出する第2温度センサ(60)をさらに備えている、請求項7~10のいずれか1項に記載の加湿ユニット。
【請求項12】
前記制御装置(46)は、前記暖機運転の実行要否を、当該暖機運転を行う前の前記ヒータ(42)の停止時間に基づいて判断する、請求項1~11のいずれか1項に記載の加湿ユニット。
【請求項13】
前記制御装置(46)は、前記暖機運転の実行要否を、当該暖機運転を行う前の前記対象空間(S1)の温度に基づいて判断する、請求項1~11のいずれか1項に記載の加湿ユニット。
【請求項14】
前記筐体(47)は、前記第1空気通路(P1)を流れる空気を前記対象空間(S1)へ吹き出す吹出口(54)を有し、前記吹出口(54)は前記対象空間(S1)において開口している、請求項1~13のいずれか1項に記載の加湿ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加湿ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、室内を加湿する調湿装置が開示されている。この調湿装置は、ヒータと調湿部材とを収容した筐体を備えている。筐体には、屋外から導入した空気を屋外へ排出する第1の流路、及び屋外から導入した空気を室内へ供給する第2の流路が形成されている。第1の流路を流れる空気は、調湿部材に水分が吸着されて屋外へ排出される。第2の流路を流れる空気は、ヒータで温められてから調湿部材により加湿されて室内に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-170492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された調湿装置においては、筐体の温度が低下している状態で加湿運転を行うと、ヒータで温められ調湿部材で加湿された空気が室内に向けて筐体内を流れたときに、筐体の内面に結露が発生し、加湿された空気とともに結露水が室内に排出されるおそれがある。
【0005】
本開示は、屋外から筐体内に取り込んだ空気を用いて調湿部材への吸湿と調湿部材からの放湿を行う加湿ユニットにおいて、結露の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示は、対象空間を加湿する加湿運転を行う加湿ユニットであって、
水分を吸着させる吸湿領域及び水分を放出させる放湿領域を有する吸着部材と、
前記吸着部材の放湿領域を加熱するヒータと、
空気流を生成する第1ファン及び第2ファンと、
前記吸着部材、前記ヒータ、前記第1ファン、及び、前記第2ファンを収容する筐体と、
制御装置と、を備え、
前記筐体は、前記第1ファンによって屋外から取り入れられた空気が前記吸着部材の放湿領域を経由して前記対象空間へ吹き出される第1空気通路と、前記第2ファンによって屋外から取り入れられた空気が前記吸着部材の吸湿領域を経由して屋外へ排出される第2空気通路とを有し、
前記制御装置は、前記加湿運転を行う前に前記ヒータを作動させる暖機運転を実行する。
【0007】
以上のような構成により、対象空間S1の温度が低い状態で加湿運転を行うことによる結露の発生を抑制することができる。
【0008】
(2)好ましくは、前記対象空間の温度を検出する第1温度センサをさらに備え、
前記制御装置は、前記第1温度センサの検出値が所定の閾値よりも低い場合に前記暖機運転を実行する。
この構成によれば、対象空間の温度が所定の閾値より低い場合のみ暖機運転を実行することで、対象空間の加湿に直接的に寄与しない暖機運転の時間をできるだけ短くし、消費電力のロスを低減することができる。
【0009】
(3)好ましくは、前記筐体が、前記対象空間の空気が流入する流入口を有し、
前記第1温度センサが、前記流入口から流入した空気の温度を検出する。
このような構成によって、対象空間の温度を適切に検出することができる。
【0010】
(4)好ましくは、前記制御装置は、前記第1温度センサの検出値が低いほど前記暖機運転の実行時間を長くする。
このような構成によって、筐体の温度(対象空間の温度)に応じた適切な時間で暖機運転を行うことができる。
【0011】
(5)好ましくは、前記制御装置は、一定時間、暖機運転を実行する。
このような構成によって、暖機運転の制御を容易に行うことができる。
【0012】
(6)好ましくは、前記制御装置は、前記加湿運転中の前記ヒータの出力よりも前記暖機運転中の前記ヒータの出力を低下させる。
このような構成によって、ヒータが過度に温められるのを抑え、筐体内部に配置された機器の保護を図ることができる。
【0013】
(7)好ましくは、前記制御装置は、前記暖機運転中、前記第1ファンを作動させる。
【0014】
(8)好ましくは、前記ヒータが、前記第1空気通路において前記吸着部材の放湿領域よりも空気流方向の上流側に配置される。
このような構成によって、加湿運転の際に加湿された空気が通る第1空気通路を、暖機運転の際にヒータを用いて効率よく温めることができる。
【0015】
(9)好ましくは、前記制御装置は、前記加湿運転中、前記吸着部材における前記吸湿領域及び前記放湿領域の位置を移動させるために前記吸着部材を回転させ、前記暖機運転中、前記吸着部材の回転を停止させる。
吸着部材が回転していると、吸着部材は、放湿領域で水分が放出されても再び吸湿領域で水分が吸着され、放湿領域を通過する空気は常に加湿された状態となる。そのような空気が冷えた筐体中を流れると筐体の内面で結露が生じやすくなる。上記構成のように、暖機運転中、吸着部材の回転を停止することによって、放湿領域に含まれていた水分は次第に枯渇するため、放湿領域と吹出口との間に乾燥空気を流すことができ、暖機運転中に結露が生じるのを抑制することができる。
【0016】
(10)前記制御装置は、前記加湿運転中、前記吸着部材における前記吸湿領域と前記放湿領域との位置を移動させるために前記吸着部材を回転させ、前記暖機運転中、前記加湿運転中の前記吸着部材の回転速度よりも低速で前記吸着部材を回転させてもよい。
この場合、暖機運転中、吸着部材を低速で回転させることで放湿領域を通過する空気に適度に水分を与えて温度を下げ、当該空気の熱による部品の損傷等を抑制することができる。
【0017】
(11)好ましくは、前記筐体は、前記第1空気通路を流れる空気を前記対象空間へ吹き出す吹出口を有し、
前記吹出口から吹き出される空気の温度を検出する第2温度センサをさらに備えている。
このような構成によって、暖機運転に用いる空気の温度を第2温度センサで検出し、その検出結果より暖機運転が適切に行われているか否かを判別することができる。
【0018】
(12)好ましくは、前記制御装置は、前記暖機運転の実行要否を、当該暖機運転を行う前の前記ヒータの停止時間に基づいて判断する。
この構成によれば、ヒータの停止時間の長さによって筐体の温度低下の程度が異なるため、ヒータの停止時間に基づいて暖機運転の実行要否を判断することで、無駄な暖機運転の実行を抑制することができる。
【0019】
(13)好ましくは、前記制御装置は、前記暖機運転の実行要否を、当該暖機運転を行う前の前記対象空間の温度に基づいて判断する。
この構成によれば、対象空間の温度によって筐体の温度低下の程度が異なるため、対象空間の温度に基づいて暖機運転の実行要否を判断することで、無駄な暖機運転の実行を抑制することができる。
【0020】
(14)好ましくは、前記筐体は、前記第1空気通路を流れる空気を前記対象空間へ吹き出す吹出口を有し、前記吹出口は前記対象空間において開口している。
この構成によれば、筐体の内部で発生した結露水は吹出口から直接的に対象空間に放出される可能性が高くなるので、上記のように暖機運転を行うことがより有効となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の実施形態に係る加湿ユニットの模式図である。
図2】加湿ユニットの筐体の外観斜視図である。
図3】筐体の天板を取り除いた概略平面図である。
図4】筐体のパネルを取り除いた概略底面図である。
図5】筐体の前板を取り除いた概略正面図である。
図6図3のC-C矢視における概略的な断面図である。
図7図6のD矢視図である。
図8図4のE-E矢視における概略的な断面図である。
図9図8のF矢視図である。
図10】吸湿ロータの平面図である。
図11】吸湿ロータを示す分解斜視図である。
図12】ヒータの斜視図である。
図13】加湿運転を開始する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
<加湿ユニットの全体構成>
図1は、本開示の実施形態に係る加湿ユニット3の模式図である。
加湿ユニット3は、対象空間S1の加湿及び換気を行う。対象空間S1は、例えば、天井壁4、側壁5、及び図示しない床壁により仕切られた部屋内の空間である。
【0023】
加湿ユニット3は、屋外の空気を導入して加湿し、その加湿された空気を対象空間S1に吹き出す。加湿ユニット3は、吸湿ロータ41、ヒータ42、第1ファン43、第2ファン44、温湿度センサ45、制御装置46、筐体47、導入ダクト48、及び排出ダクト49等を備える。
【0024】
筐体47は、上記の機器41~46を収容する。筐体47は、筐体本体50と、パネル51と、導入接続管52と、排出接続管53と、を有する。筐体本体50の大部分は、天井裏空間S2に配置されている。筐体本体50の下端部は天井壁4を貫通して配置されている。天井裏空間S2は、天井壁4の上方に形成された空間である。筐体本体50の下端は開放され、パネル51によって塞がれている。
【0025】
パネル51は、筐体本体50の下端に対して着脱自在に取り付けられている。パネル51の下面は、全体が対象空間S1に露出している。パネル51には、筐体本体50の内部と対象空間S1とを連通する複数の開口54,72が形成されている。開口は、筐体本体50から対象空間S1に空気を吹き出すための吹出口54を含む。吹出口54の近傍には、吹出口54から吹き出される空気の温度を検出する温度センサ60が設けられている。開口は、対象空間S1内の空気を筐体本体50内に流入させる流入口72を含む。流入口72の近傍には、流入口72から流入した対象空間S1の空気の温度及び湿度を検出する温湿度センサ45が設けられている。
【0026】
導入接続管52の一端及び排出接続管53の一端は筐体本体50に接続されている。導入接続管52の他端側の開口は、屋外の空気を取り入れるための取入口55である。排出接続管53の他端側の開口は、屋外に空気を排出するための排出口56である。取入口55及び排出口56は、導入接続管52及び排出接続管53を用いずに、筐体本体50の壁面に形成した開口により構成されていてもよい。
【0027】
筐体47は、第1空気通路P1及び第2空気通路P2を有している。第1空気通路P1及び第2空気通路P2は、対象空間S1の加湿のために用いられる「加湿用空気通路」である。取入口55から筐体47内に導入された屋外の空気は、第1空気通路P1を通って吹出口54まで流れる。取入口55から筐体47内に導入された屋外の空気は、第2空気通路P2を通って排出口56まで流れる。
【0028】
筐体47は、第3空気通路P3及び第4空気通路P4をさらに有している。
第3空気通路P3は、対象空間S1内の空気の状態である温度及び湿度を検出するために用いられる「状態検出用空気通路」である。流入口72から筐体47内に流入した対象空間S1の空気は、第3空気通路P3を流れる。第3空気通路P3は、第2空気通路P2と合流する。第3空気通路P3を流れる空気は、第2空気通路P2を流れる空気とともに排出口56から排出される。
【0029】
第4空気通路P4は、制御装置46に含まれる発熱部品の冷却のために用いられる「冷却用空気通路」である。取入口55から筐体47内に導入された屋外の空気は、第4空気通路P4を流れる。第4空気通路P4は、発熱部品を冷却した後に第2空気通路P2と合流する。第4空気通路P4を流れる空気は、第2空気通路P2を流れる空気とともに排出口56から排出される。
【0030】
導入ダクト48の一端は、筐体47の導入接続管52に接続されている。導入ダクト48の他端は、側壁5を貫通して屋外と連通している。本実施形態の導入ダクト48は、屋外の空気を取入口55から第1空気通路P1に導入するための第1導入ダクト、屋外の空気を取入口55から第2空気通路P2に導入するための第2導入ダクト、及び屋外の空気を第4空気通路P4に導入するための第4導入ダクトを兼ねている。
【0031】
排出ダクト49の一端は、筐体47の排出接続管53に接続されている。排出ダクト49の他端は、側壁5を貫通して屋外と連通している。第2空気通路P2を流れる空気は、排出口56から排出ダクト49を介して屋外に排出される。
【0032】
吸湿ロータ(吸着装置)41は、第1空気通路P1及び第2空気通路P2の途中に配置されている。吸湿ロータ41は、第2空気通路P2を流れる空気から水分を奪い、第1空気通路P1を流れる空気に前記水分を放出して当該空気を加湿するように構成されている。ヒータ42は、第1空気通路P1の途中に設けられ、第1空気通路P1を流れる加湿前の空気を温める。
【0033】
第1ファン43は、第1空気通路P1において吹出口54の近傍に配置されている。第1ファン43は、第1空気通路P1内に空気の流れを発生させる。具体的には、第1ファン43は、導入ダクト48を介して屋外の空気を第1空気通路P1に導入し、吸湿ロータ41を経由して吹出口54から対象空間S1に吹き出すことができる位置に配置されている。
【0034】
第2ファン44は、第2空気通路P2において排出口56の近傍に配置されている。第2ファン44は、第2空気通路P2内に空気の流れを発生させる。具体的には、第2ファン44は、導入ダクト48を介して屋外の空気を第2空気通路P2に導入し、吸湿ロータ41を経由して排出口56から屋外に排出することができる位置に配置されている。第2ファン44は、第3空気通路P3及び第4空気通路P4内に空気の流れも発生させる。
【0035】
温湿度センサ45は、筐体本体50内に設けられ、対象空間S1の空気の温度及び湿度を検出する。温度センサ60は、筐体本体50内に設けられ、対象空間S1に吹き出される空気の温度を検出する。温湿度センサ45及び温度センサ60の検出値は、制御装置46に入力される。第1ファン43及び第2ファン44にはエンコーダ等の回転検出センサ(図示省略)が設けられ、回転検出センサの検出値も制御装置46に入力される。制御装置46は、各種センサ45、60の検出値等に基づいて、吸湿ロータ41、ヒータ42、第1ファン43、及び第2ファン44の動作を制御する。
【0036】
加湿ユニット3は、「加湿運転」及び「換気運転」を行う。加湿運転において、制御装置46は、吸湿ロータ41、ヒータ42、第1ファン43及び第2ファン44を作動させる。これにより、屋外の空気は、導入ダクト48を通過して筐体本体50の第1空気通路P1及び第2空気通路P2に導入される。第2空気通路P2に導入された空気中の水分は吸湿ロータ41に奪われる。水分を奪われた空気は、排出ダクト49を通過して屋外に排出される。第1空気通路P1に導入された空気は、吸湿ロータ41により加湿される。加湿された空気は、吹出口54から対象空間S1に吹き出される。制御装置46は、温湿度センサ45で検出される対象空間S1の湿度が目標湿度(設定湿度)となるように、加湿運転を行う。
【0037】
換気運転において、制御装置46は、第1ファン43及び第2ファン44を作動させ、吸湿ロータ41及びヒータ42を作動させない。これにより、屋外の空気は、導入ダクト48を通過して筐体本体50の第1空気通路P1及び第2空気通路P2に導入される。第1空気通路P1に導入された空気は、吸湿ロータ41により加湿されることなく、吹出口54から対象空間S1に吹き出される。
【0038】
加湿運転及び換気運転において、吹出口54から対象空間S1への吹き出される空気の風量は、対象空間S1から流入口72及び第3空気通路P3を経て屋外へ排出される空気の風量よりも大きくなるように設定されている。このため、対象空間S1の内部は、吹出口54から放出される空気によって正圧となる。その結果、対象空間S1内の空気は、加湿ユニット3以外の場所から対象空間S1外に漏れ出ることになり、対象空間S1を換気することができる。したがって、本実施形態の加湿ユニット3は、屋外の空気を対象空間S1に押し込むタイプ(外気押込み式)の加湿ユニットである。
【0039】
<筐体47の具体的構成>
図2は、加湿ユニット3の筐体47の外観斜視図である。以下の説明において、向きや位置を説明するために、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」等の表現を用いる場合がある。これらの表現は、特に断りの無い限り、図2に示された互いに直交する矢印X,Y,Zの方向に従う。具体的に、以下の説明では、図2中の矢印Xの方向(第1方向)を左右方向、矢印Yの方向(第2方向)を前後方法、矢印Zの方向(第3方向)を上下方向という。ただし、これらの方向や位置を表す表現は、説明の便宜上用いられるものであって本開示を限定するものではない。
【0040】
筐体47の筐体本体50は、直方体の箱形状に形成されている。筐体本体50は、前板50a、後板50b、左側板50c、右側板50d、及び天板50eを有している。筐体本体50の下端は開放し、パネル51によって塞がれている。
【0041】
筐体本体50の後板50bには導入接続管52及び排出接続管53が設けられている。筐体本体50は、導入接続管52及び排出接続管53により空気が出入りする方向(前後方向Y)の長さよりも、これに水平に直交する方向(左右方向X)の長さが長く形成されている。パネル51には、吹出口54と、流入口72とが形成されている。左右方向Xにおいて、吹出口54は、パネル51の一側部に配置され、流入口72は、パネル51の他側部に配置されている。したがって、吹出口54と流入口72とは、左右方向Xに間隔をあけて配置されている。
【0042】
図3は、筐体47の天板50eを取り除いた概略平面図である。図4は、筐体47のパネル51を取り除いた概略底面図である。図5は、筐体47の前板50aを取り除いた概略正面図である。図3図5に示すように、筐体47内には、吸湿ロータ41、第1ファン43、第2ファン44等の機器が左右方向Xに振り分けて配置されている。
【0043】
筐体本体50には、その内部空間を上下に分ける第1仕切板61が設けられている。図3及び図5に示すように、第1仕切板61上には、第2仕切板62、第3仕切板63、及び第4仕切板64が設けられている。図4及び図5に示すように、第1仕切板61よりも下側には、第5仕切板65、第6仕切板66、第7仕切板67が設けられている。
【0044】
図3に示すように、第1仕切板61は、図3において平面視で第2、第3仕切板62,63で囲まれた領域及び第3、第4仕切板63,64で囲まれた領域(第2ファン44が配置される領域と制御装置46の一部が配置される領域とを除く領域)で設けられている。第2ファン44が設けられている領域には、さらに第8仕切板68と、第9仕切板69とが設けられている。
【0045】
図3に示すように、第2仕切板62は、平面視において、前後方向Yに延びる2つの縦板部62a,62cと、これらの縦板部62a,62c同士を接続する傾斜板部62bと、を有している。縦板部62aは、筐体本体50の前板50aから後方に延びている。縦板部62cは、筐体本体50の後板50bから前方へ延びている。縦板部62aと縦板部62cとは左右方向Xの位置がずらされている。傾斜板部62bは、縦板部62aの後端と縦板部62cの前端とを接続している。
【0046】
第3仕切板63は、第2仕切板62に対して左右方向Xに間隔をあけて配置されている。第3仕切板63は、平面視において、前後方向Yに延びる2つの縦板部63a,63cと、縦板部63a,63c同士を接続する傾斜板部63bと、を有している。縦板部63aは、筐体本体50の前板50aから後方に延びている。縦板部63cは、筐体本体50の後板50bから前方へ延びている。縦板部63aと縦板部63cとは左右方向Xの位置がずらされている。傾斜板部63bは、縦板部63aの後端と縦板部63cの前端とを接続している。
【0047】
第4仕切板64は、第3仕切板63における縦板部63cの前後方向Yの中途部と、筐体本体50の右側板50dとにわたって左右方向Xに延びている。
【0048】
以上の構成により、筐体本体50の上部側であって、左右方向Xの略中央には、第2仕切板62及び第3仕切板63によって筐体本体50の前後方向Yにわたる第1空間R1が形成される。筐体本体50の上部側における右前側には、第3仕切板63及び第4仕切板64によって第2空間R2が形成される。筐体本体50の上部側における右後側には、第3仕切板63の縦板部63c及び第4仕切板64によって第3空間R3が形成される。
【0049】
図4に示すように、第1仕切板61の下側に配置された第5仕切板65は、筐体本体50の後板50bから前方へ延びている。第5仕切板65は、第2仕切板62における縦板部62c(図3参照)の下方に配置されている。第6仕切板66は、第5仕切板65の前端と、筐体本体50の右側板50dとにわたって左右方向Xに延びている。第7仕切板67は、第6仕切板66の左右方向Xの中途部と、筐体本体50の前板50aとにわたって前後方向Yに延びている。
【0050】
以上の構成により、筐体本体50の下部側における右後側には、第5仕切板65及び第6仕切板66によって第4空間R4が形成されている。筐体本体50の下部側における右前側には、第6仕切板66及び第7仕切板67によって第5空間R5が形成されている。
【0051】
図3に示す第3空間R3と図4に示す第4空間R4の間には、第1仕切板61が存在していない。そのため、第3空間R3と第4空間R4とは上下に連通している。第3空間R3及び第4空間R4には、制御装置46を含む電装品が配置されている。第5空間R5には、第1ファン43が配置されている。
【0052】
筐体本体50内において、図3に示すように第2仕切板62よりも左側の領域と、図4に示すように第5仕切板65及び第7仕切板67よりも左側の領域とは、連続的につながった第6空間R6を形成している。この第6空間R6には、第2ファン44が配置されている。第6空間R6は、第2ファン44によって空気が流れる第2空気通路P2(図1参照)の一部を形成している。
【0053】
図3及び図4に示すように、第8仕切板68は、筐体本体50の左側板50cから右方向に延びている。第9仕切板69は、第8仕切板68の右端と前板50aとにわたって前後方向Yに延びている。第8仕切板68及び第9仕切板69の上端は、筐体本体50の天板50eに接続されている。第8仕切板68及び第9仕切板69の下端は、パネル51に到っている。
【0054】
筐体本体50には、第8仕切板68及び第9仕切板69により仕切られた第7空間R7が形成されている。第7空間R7は、筐体本体50の上端から下端にわたって平面視で四角形状に区画された空間である。第7空間R7の内面又は外面には、断熱材77が設けられている。この断熱材77によって、隣接する第2空間R2との間の熱の移動が抑制されている。
【0055】
なお、筐体本体50の内部空間を分割する構成は、本実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0056】
図3及び図4に示すように、導入接続管52は、筐体本体50の後板50bにおいて第1空間R1と第4空間R4とに対応する位置に設けられている。導入接続管52の取入口55は、第1空間R1と第4空間R4とに連通している。第1空間R1は、取入口55から取り入れられた空気が流れる第1空気通路P1(図1参照)及び第2空気通路P2の一部を形成している。第4空間R4は、取入口55から取り入れられた空気が流れる第4空気通路P4(図1参照)を形成している。第2空間R2は、後述する吸湿ロータ41のヒータケース41fを介して第1空間R1と連通しており、第1空間R1とともに第1空気通路P1を形成する。
【0057】
筐体本体50の後板50bの内面には、取入口55から筐体本体50内に取り入れられる空気から塵埃等を除去するエアフィルタ73が設けられている。エアフィルタ73は、後板50bに設けられた取付枠74に取り付けられている。図3に示すように、第1空間R1には、取入口55から取り入れられた空気の通過を許容する形態と阻止する形態とに切り替え可能なダンパ装置75が設けられている。ダンパ装置75は、回動することによって第1及び第2空気通路P1,P2を開閉する扉75aを有している。
【0058】
排出接続管53は、筐体本体50の後板50bにおいて第6空間R6に対応する位置に設けられている。排出接続管53の排出口56は、第6空間R6と連通している。第6空間R6は、後述する吸湿ロータ41の吸着部材41aを介して第1空間R1と連通しており、第1空間R1とともに第2空気通路P2を形成している。
【0059】
図4及び図5に示すように、パネル51に形成された吹出口54は、第5空間R5に対応する位置に形成されている。図3及び図4に示すように、パネル51に形成された流入口72は、第7空間R7に対応する位置に形成されている。第7空間R7は、第3空気通路P3(図1参照)を形成している。
【0060】
図6は、図3のC-C矢視における概略的な断面図である。図7は、図6のD矢視図である。図3図4、及び図6に示すように、第7空間R7を形成する第8仕切板68には、開口68aが形成されている。開口68aは、第7空間R7と第6空間R6と連通している。開口68aは、第3空気通路P3を第2空気通路P2に合流させる合流口を構成している。図7に示すように、本実施形態の開口68aは、上下方向Zに細長い複数のスリットにより構成されている。複数のスリットは左右方向Xに並べられている。開口68aの面積は、流入口72の面積よりも小さい。
【0061】
第7空間R7には、温湿度センサ45が配置されている。温湿度センサ45は、流入口72から開口68aを流れる空気の温度及び湿度を検出する。図6に示すように、温湿度センサ45は、第7空間R7において、開口68aに対向して配置されている。そのため、開口68aを通過する空気の温度及び湿度を適切に検出することができる。
【0062】
図7に示すように、第8仕切板68には、開口68aの面積を調整する調整板68bが設けられている。本実施形態の調整板68bは、第8仕切板68に対して上下方向に移動可能に取り付けられている。調整板68bを上下方向に移動させることで開口68aに重なる調整板68bの長さを変化させ、第7空間R7と第6空間R6とを連通する開口68aの面積を調整することができる。開口68aの面積を調整することで、第7空間R7に流入する空気流の風量を調節することができる。なお、調整板68bの移動は、手動で行ってもよいし、モータやソレノイド等のアクチュエータにより自動で行ってもよい。調整板68bは、左右方向に移動可能に設けられていてもよい。
【0063】
<制御装置46の構成>
図3及び図4に示すように、制御装置46は、第3空間R3及び第4空間R4に配置されている。制御装置46は、第1制御基板81と、第2制御基板82とを含む。第1制御基板81は、第1ファン43の動作を制御する。第2制御基板82は、第2ファン44及びヒータ42の動作を制御する。第1、第2制御基板81,82には、CPU及びメモリ等を有するマイクロコンピュータと、整流回路及びインバータ回路等を有するインバータ(電源回路)とが実装されている。
【0064】
第2制御基板82には、インバータに含まれるスイッチング素子等の発熱部品が実装されている。図4に示すように、第2制御基板82には、発熱部品を冷却するためのヒートシンク(冷却器)84が取り付けられている。ヒートシンク84は、アルミニウム合金等で形成されたブロックからなり、表面に多数のフィンが形成されている。ヒートシンク84は、導入接続管52の前側の近傍に位置にしている。制御装置46が配置される第4空間R4には、ヒートシンク84が配置される領域(冷却空間)R4aと、それ以外の領域とを区画する隔壁85が前後方向Yに沿って配置されている。冷却空間R4aは、第4空気通路P4(図1参照)を形成している。
【0065】
図8は、図4のE-E矢視における概略的な断面図である。
図4及び図8に示すように、エアフィルタ73が取り付けられる取付枠74は、第1仕切板61よりも下側に空気の流通を遮蔽する遮蔽板74aを有している。この遮蔽板74aには、取入口55から取り入れられた空気を冷却空間R4aに流入させる流入口74bが形成されている。
【0066】
第6仕切板66には、開口66aが形成されている。開口66aは、冷却空間R4aと第6空間R6とを連通している。第6空間R6は、第2空気通路P2を形成しているので、開口66aは、第4空気通路P4を第2空気通路P2に合流させる合流口を構成している。したがって、取入口55から取り入れられた空気は流入口74bから冷却空間R4aを流れ、開口66aから第6空間R6に排出される。冷却空間R4aに配置されたヒートシンク84には、冷却空間R4aを流れる空気が供給され、第2制御基板82に実装された発熱部品が冷却される。
【0067】
図9は、図8のF矢視図である。
第6仕切板66には、開口66aの面積を調整する調整板66bが設けられている。本実施形態の調整板66bは、第6仕切板66に対して左右方向に移動可能に取り付けられている。調整板66bを左右方向に移動させることで当該調整板66bが開口66aに重なる長さを変化させ、冷却空間R4aと第6空間R6とを連通する開口66aの面積を調整することができる。開口66aの面積を調整することで、第4空間R4に流入する空気の風量を調節することができる。なお、調整板66bの移動は、手動で行ってもよいし、モータやソレノイド等のアクチュエータにより自動で行ってもよい。調整板66bは、上下方向に移動可能に設けられていてもよい。
【0068】
<第1ファン43の構成>
図5に示すように、第5空間R5において、第1仕切板61の下側には第1ファン43が設けられている。この第1ファン43は、複数の羽根を有するファン本体43aと、ファン本体43aを収容するファンケース43bと、ファン本体43aを回転させるファンモータ43cとを有する。本実施形態の第1ファン43は、例えば遠心ファンである。
【0069】
第1仕切板61には、ファン本体43aの回転によってファンケース43b内へ空気を吸入させる吸込口61aが形成されている。ファンケース43bの下端には、ファン本体43aの回転によってファンケース43b外へ空気を吐出させる吐出口43dが形成されている。吐出口43dは、パネル51の吹出口54に接続され、吹出口54に連通している。第1ファン43によって第1空気通路P1の空気流が生成される。
【0070】
図4に示すように、第1ファン43のファンケース43bには、温度センサ60と温度ヒューズ(温度検知器)76とが設けられている。温度センサ60は、吐出口43dから吹き出される空気の温度を検出する。温度ヒューズ76は、周囲の空気温度が所定温度を超えると断線する電線を有し、制御装置46に信号を送信する回路に組み込まれている。温度センサ60の検出値、及び、温度ヒューズ76の断線状態は、制御装置46に入力される。
【0071】
<第2ファン44の構成>
図3図5に示すように、第6空間R6には、第2ファン44が設けられている。第2ファン44は、複数の羽根を有するファン本体44aと、ファン本体43aを収容するファンケース44bと、ファン本体43aを回転させるファンモータ43cとを有する。ファンケース44bの下面には、ファン本体44aの回転によってファンケース44b内へ空気を吸入させる吸込口44dが形成されている。ファンケース44bの後端には、ファン本体44aの回転によってファンケース44b外へ空気を吐出させる吐出口44eが形成されている。吐出口44eは、排出接続管53に接続されている。第2ファン44によって、第2空気通路P2の空気流が生成される。本実施形態の第2ファン44は、シロッコファンである。第2ファン44は、第1ファン43をよりも大きな風量の空気流を生成する。
【0072】
<吸湿ロータ41の構成>
図3図5に示すように、吸湿ロータ(吸湿装置)41は、第1仕切板61に設けられている。吸湿ロータ41は、図3に示すように、平面視において第3仕切板63の傾斜板部63b及び縦板部63aの下方に配置されている。吸湿ロータ41は、第1空間R1と第2空間R2とを跨いで配置されている。吸湿ロータ41は、図4に示すように、底面視において第6空間R6に配置されている。
【0073】
図10は、吸湿ロータ41の平面図である。図11は、吸湿ロータ41の分解斜視図である。吸湿ロータ41は、吸着部材41aと、リングギヤ41bと、ピニオンギヤ41cと、支持フレーム41dと、ヒータケース41fとを有している。なお、図11は、支持フレーム41dから吸着部材41a及びリングギヤ41bを上方に分離させた状態を示している。
【0074】
吸着部材41aは、円環状に形成されたデシカント材である。吸着部材41aは、その温度が低いときに自身を通過する空気から水分を吸着する。吸着部材41aは、その温度が高いときに、吸着部材41aを通過する空気に自身に吸着された水分を放出し、当該空気を加湿する。
【0075】
リングギヤ41bは、外歯歯車からなる。リングギヤ41bは、吸着部材41aの外周に取り付けられている。吸着部材41aとリングギヤ41bとは一体化されている。吸着部材41a及びリングギヤ41bは、支持フレーム41dに配置されている。吸着部材41a及びリングギヤ41bは、吸着部材41aの中心Oにおいて支持フレーム41dに回転可能に支持されている。
【0076】
支持フレーム41dは、筐体本体50の第1仕切板61と一体に形成されるか、又は、第1仕切板61に固定されている。支持フレーム41dには略扇形の貫通孔41d1、41d2が形成されている。貫通孔41d1は、後述する第1領域A1(図3参照)に対応する位置に形成されている。貫通孔41d2は、後述する第2、第3領域A2、A3に対応する位置に形成されている。貫通孔は、第1領域A1~第3領域A3のそれぞれに対応して3箇所に形成されていてもよい。
【0077】
ピニオンギヤ41cは、リングギヤ41bの外周側において支持フレーム41dに対して回転可能に支持されている。ピニオンギヤ41cは、リングギヤ41bと噛み合っている。ピニオンギヤ41cは、図示しないモータにより回転される。ピニオンギヤ41cが回転すると、吸着部材41aがリングギヤ41bと共に中心O回りに回転する。本実施形態では、吸着部材41aは、その周方向の一方側(図3の白抜き矢印Bで示す方向)に回転する。
【0078】
図4図5、及び図11に示すように、吸湿ロータ41の支持フレーム41dには、ヒータケース41fが設けられている。ヒータケース41fは、平面視において略円弧形状に形成され、支持フレーム41dの貫通孔41d2に対応する位置に配置されている。ヒータケース41fは、上端が開放された箱状に形成されている。ヒータケース41fは、図5に示すように、第6空間R6において吸着部材41aの下方に配置されている。ヒータケース41fは、図3の平面視において、後述する第2領域A2及び第3領域A3の範囲(240°の角度範囲)に配置されている。ヒータケース41fは、吸着部材41aを通過する空気の通路を形成する通路部材として機能している。ヒータケース41fは、第1空間R1と第2空間R2との間において第1空気通路P1の一部を形成する。
【0079】
ヒータケース41f内には、ヒータ42が収容されている。図3に示すように、ヒータ42は、傾斜板部63bの下方に位置する。ヒータ42は、第2領域A2と第3領域A3との間に相当する位置に配置されている。図11に示すように、ヒータケース41fの内部において、ヒータ42よりも第1空気通路P1における空気流方向の上流側は、ヒータ前空間41f1を構成している。ヒータ前空間41f1は、第3領域A3(図3及び図4参照)に配置されている。ヒータ前空間41f1は、ヒータ42で温められる前の空気が導入される。
【0080】
ヒータケース41fの内部において、ヒータ42よりも第1空気通路P1における空気流方向の下流側は、ヒータ後空間41f2を構成している。ヒータ後空間41f2は、第2領域A2(図3及び図4参照)に配置されている。ヒータ後空間41f2は、ヒータ42で温められた後の空気が導入される。
【0081】
図12は、ヒータ42の斜視図である。ヒータ42は、例えば金属により断面が四角形状に形成されている。ヒータ42は、その内部を通過する空気との接触面積を増加させるために格子状の枠体42aを有している。ヒータ42の一方の開放端は空気の入口42bであり、ヒータ42の他方の開放端は空気の出口42cである。
【0082】
ヒータ42は、入口42bをヒータ前空間41f1に向け、出口42cをヒータ後空間41f2に向けて配置されている。ヒータ前空間41f1の空気は、入口42bから加熱したヒータ42内に導入され、ヒータ42の内部を通過するときに枠体42a等に接触して温められる。温められた空気は、ヒータ42の出口42cからヒータ後空間41f2に移動し、ヒータ後空間41f2の上方に位置する吸着部材41aを温める(図3参照)。したがって、ヒータ42は、間接的に吸着部材41aを温める。
【0083】
ヒータ42は、空気を温める替わりに、吸着部材41aを直接温めてもよい。その場合、例えばヒータ42を吸着部材41aの上方に配置し、ヒータ42の輻射熱によって吸着部材41aを温めればよい。
【0084】
図3に示すように、吸着部材41aは、平面視において第1領域(吸湿領域)A1、第2領域(放湿領域)A2、及び第3領域A3を有している。第1領域A1、第2領域A2、及び第3領域A3は、吸着部材41aの中心O回りに、それぞれ120°の角度範囲で設定されている。第1領域A1は、第2領域A2及び第3領域A3と隣接している。第2領域A2は、第1領域A1及び第3領域A3と隣接している。第3領域A3は、第1領域A1及び第2領域A2と隣接している。
【0085】
第1領域A1~第3領域A3は、一定の位置に固定された領域である。したがって、吸着部材41aが矢印B方向に回転すると、第1領域A1~第3領域A3は吸着部材41a上で相対的に移動する。
【0086】
第1領域A1は、第3仕切板63の縦板部63aから矢印Bとは反対方向に120°の角度範囲に設定されている。これにより、第1領域A1は、第1空間R1と第6空間R6との間に介在している。
【0087】
取入口55から屋外の冷たい空気が第1空間R1内に導入されると、その空気の一部は、吸着部材41aの第1領域A1を通過して第6空間R6へ流れる。吸着部材41aの第1領域A1は、空気により冷却されて温度が低下する。そのため、吸着部材41aの第1領域A1は、吸着部材41aを通過する空気中の水分を吸着する。吸着部材41aの第1領域A1が空気中の水分を吸着した後に、吸着部材41aが回転すると、第1領域A1であった部分が第2領域A2となる。
【0088】
第2領域A2は、第3仕切板63の縦板部63aから矢印B方向に傾斜板部63bまでの120°の角度範囲に形成されている。第2領域A2は、第2空間R2とヒータケース41fのヒータ後空間41f2との間に介在している。ヒータケース41f内においてヒータ42で温められた空気は、ヒータ後空間41f2から吸着部材41aの第2領域A2を通過して第2空間R2に移動する。その際、吸着部材41aの第2領域A2は、空気により温められて温度が上昇するので、当該第2領域A2を通過する空気に水分を放出して当該空気を加湿する。
【0089】
第3領域A3は、第3仕切板63の傾斜板部63bから矢印B方向に120°の角度範囲に形成されている。第3領域A3は、第1空間R1とヒータケース41fのヒータ前空間41f1との間に介在している。取入口55から屋外の冷たい空気が第1空間R1内に導入されると、その空気の一部は、吸着部材41aの第3領域A3を通過してヒータ前空間41f1に移動する。その際、吸着部材41aの第3領域A3は冷たい空気によって予備的に冷却される。冷たい空気は吸着部材41aの第3領域A3によって予備的に温められる。吸着部材41aは、必ずしも第3領域A3を有していなくてもよい。
【0090】
以上のように、吸湿ロータ41は、単一の吸着部材41aを回転させることで、第1領域A1での第1空気通路P1を流れる空気中の水分の吸着と、第2領域A2での第2空気通路P2を流れる空気の加湿とを行うことができ、加湿ユニット3をコンパクトに構成することができる。
【0091】
<空気通路のまとめ>
図3及び図4に示すように、第2ファン44を作動させると、屋外の空気は、導入接続管52の取入口55から筐体本体50の第1空間R1に導入される。第1空間R1に導入された空気は、吸着部材41aの第1領域A1を通過して第6空間R6に移動し、排出接続管53の排出口56から屋外へ排出される。
【0092】
したがって、本実施形態では、導入接続管52の管内空間、第1空間R1、第6空間R6、及び排出接続管53の管内空間が、取入口55から排出口56まで空気が流れる第2空気通路P2を構成している。第2空気通路P2の途中に、吸着部材41aの第1領域A1及び第2ファン44が配置されている。吸湿ロータ41の吸着部材41aは、第1領域A1において第2空気通路P2を流れる空気中の水分を吸着する。
【0093】
第2ファン44を作動させると、パネル51に形成された流入口72から対象空間S1の空気が第7空間R7に流入する。第7空間R7に導入された空気は、温湿度センサ45の近傍を流れて開口68aを通過し、第6空間R6に流入して排出接続管53の排出口56から屋外へ排出される。したがって、本実施形態では、第7空間R7が、第3空気通路P3を構成している。
【0094】
第3空気通路P3は、開口68aにおいて第2空気通路P2に合流し、屋外に排出される。第3空気通路P3を流れる空気は、対象空間S1の温度及び湿度を検出するためだけに利用され、吸湿ロータ41を通過せずに屋外に排出されるので対象空間S1の加湿のために全く寄与していない。そのため、第3空気通路P3を流れる空気の風量は、第2空気通路P2及び第1空気通路P1を流れる空気の風量よりも小さくなるように設定されている。本実施形態では、開口68aの面積をできるだけ小さくすることによって第3空気通路P3を流れる空気の風量を小さく設定し、対象空間S1の加湿効率の低下を抑制している。
【0095】
第3空気通路P3は、第2空気通路P2における吸着部材41aよりも下流側で第2空気通路P2に合流している。仮に、第3空気通路P3が、吸着部材41aよりも上流側で第2空気通路P2に合流したとすると、対象空間S1の温かい空気が吸着部材41aの第1領域A1を通過し、吸着部材41aに対する水分の吸着が妨げられる恐れがある。本実施形態では、第3空気通路P3が吸着部材41aよりも下流側で第2空気通路P2に合流するので、吸着部材41aによる水分の吸着を効率よく行うことができる。
【0096】
第2ファン44を作動させると、取入口55から流入した空気が、エアフィルタ73の取付枠74に形成された流入口74bから第4空間R4における冷却空間R4aに流入する。冷却空間R4aに流入した空気は、制御装置46の発熱部品を冷却したあと、第6仕切板66に形成された開口66aを通過し、第6空間R6に流入して排出口56から屋外へ排出される。したがって、本実施形態では、第4空間R4の冷却空間R4aが、第4空気通路P4を構成している。
【0097】
第4空気通路P4は、第2空気通路P2における吸着部材41aよりも下流側で第2空気通路P2に合流している。したがって、第4空気通路P4から第2空気通路P2を通って屋外へ排出される空気の経路は、吸着部材41aの第1領域A1を経由しない経路となる。仮に、第4空気通路P4が、吸着部材41aよりも上流側で第2空気通路P2に合流したとすると、発熱部品を冷却した後の温かい空気が吸着部材41aの第1領域A1を通過し、吸着部材41aに対する水分の吸着が妨げられる恐れがある。本実施形態では、第4空気通路P4が吸着部材41aよりも下流側で第2空気通路P2に合流し、発熱部品を冷却した後の温かい空気が吸着部材41aの第1領域A1を流れることがないので、吸着部材41aによる水分の吸着を効率よく行うことができる。
【0098】
加湿運転時に第1ファン43を作動させると、屋外の空気は、導入接続管52の取入口55から第1空間R1に導入され、吸着部材41aの第3領域A3を通過してヒータケース41fのヒータ前空間41f1に移動する。ヒータ前空間41f1に移動した空気は、ヒータケース41f内においてヒータ42で温められてヒータ後空間41f2に移動し、吸着部材41aの第2領域A2を通過して第2空間R2に移動する。第2空間R2に移動した空気は、第1ファン43によってパネル51の吹出口54から対象空間S1に吹き出される。
【0099】
したがって、本実施形態では、導入接続管52の管内空間、第1空間R1、ヒータ前空間41f1、ヒータ後空間41f2、及び第2空間R2が、取入口55から吹出口54まで空気が流れる第1空気通路P1を構成している。第1空気通路P1の途中に、吸着部材41aの第3領域A3及び第2領域A2、ヒータ42、第1ファン43が配置されている。
【0100】
第1空気通路P1では、ヒータ42で温められる前の空気が吸着部材41aの第3領域A3を通過することで、吸着部材41aが予備的に冷却される。吸着部材41aは、ヒータ42で温められた空気が吸着部材41aの第2領域A2を通過することで当該空気に水分を放出する。これにより、吸着部材41aの第2領域A2を通過する空気は加湿される。
【0101】
加湿運転時に、第1空気通路P1を流れる空気、及び第2空気通路P2を流れる空気は、いずれも同じ空間である第1空間R1を通過する。しかし、第1空気通路P1及び第2空気通路P2を流れる空気を振り分けるための仕切板は、第1空間R1には設けられていない。第2ファン44は、第1ファン43よりも大きい風量で駆動されるので、第2ファン44と第1ファン43との間で空気の吸引力に差が生じ、その吸引力の差によって第1空気通路P1と第2空気通路P2とに空気が振り分けられるからである。第1空気通路P1を流れる空気、及び第2空気通路P2を流れる空気は、いずれも同じ空間である第1空間R1を通過するので、筐体本体50内の構造を簡素化することができる。
【0102】
換気運転時に第1ファン43及び第2ファン44を作動させると、屋外の空気は、加湿運転時と同様に第1空気通路P1及び第2空気通路P2を流れる。しかし、吸湿ロータ41及びヒータ42は駆動されないので、第1空気通路P1を流れる空気は、吸湿ロータ41の吸着部材41aで加湿されることなく、パネル51の吹出口54から対象空間S1に放出される。換気運転時に第1ファン43だけでなく第2ファン44を駆動させるのは、第1ファン43は第2ファン44よりも生成する空気流の風量が小さいので、第1ファン43を駆動させるだけでは、導入ダクト48を介して屋外の空気を引き込むことが困難となる可能性があるからである。
【0103】
<第1ファン43及び第2ファン44の風量制御>
第1ファン43及び第2ファン44は、それぞれ所定の風量の空気流を生成するように、制御装置46によって運転周波数(回転数)が制御される。第1ファン43による風量と第2ファン44による風量とは、例えば、1:5の比率で設定される。
【0104】
図1に示すように、導入接続管52に接続される導入ダクト48が長い場合、筐体47内に屋外の空気を引き込むためには、第1ファン43及び第2ファン44の運転周波数を高める必要がある。そのため、第1ファン43及び第2ファン44は、それぞれ制御装置46によって適切な運転周波数で運転される。
【0105】
第2ファン44の運転周波数が高められると、第7空間R7を流れる空気の風量、及び、第4空間R4を流れる空気の風量も増大する。第7空間R7を流れる空気は対象空間S1の温度及び湿度を検出するためだけに用いられ、第4空間R4を流れる空気は発熱部品の冷却のためだけに用いられ、いずれも空気の加湿のためには用いられないので、風量が増大するほど加湿にとってロスとなる。そのため、本実施形態では、第7空間R7と第6空間R6とを連通する開口(合流口)68aの開度、及び、第4空間R4と第6空間R6とを連通する開口(合流口)66aの開度を、それぞれ調整板68b,66bで調整することによって、第2ファン44の運転周波数を高めたとしても、第7空間R7及び第4空間R4を流れる空気の風量の増大を抑制することができる。
【0106】
<加湿ユニットの運転制御>
本実施形態の加湿ユニット3は、上述した加湿運転を行う前に「暖機運転」を行う。例えば、加湿ユニット3が長時間停止していると、筐体47の温度が低下する場合がある。筐体47の温度が低下した状態で加湿運転を開始すると、ヒータ42で温められ加湿された空気が第1空気通路P1を形成する第2空間R2、第1ファン43内、及び吹出口54を通過したときに結露が生じ、結露水が吹出口54から対象空間S1へ吹き出されるおそれがある。本実施形態では、加湿運転を行う前に暖機運転を行うことによって筐体47の温度を上昇させ、上述のような結露の発生が生じるのを抑制している。
【0107】
以下、暖機運転を含む加湿運転の手順について説明する。
図13は、加湿運転を開始する手順を示すフローチャートである。
図13のステップS11において、制御装置46は、図示しないリモコン等を介して加湿ユニット3の運転開始を指示する旨の信号の入力を受け付けると、ステップS12において、第1ファン43及び第2ファン44を作動させる。
【0108】
制御装置46は、ステップS13において、第1ファン43及び第2ファン44の回転数が目標回転数に達したと判断すると、ステップS14において、暖機運転を開始するための条件を満たしているか否かを判断する。この条件として、本実施形態では、次の2つが採用されている。
(1)対象空間S1の温度が所定温度(閾値)よりも低いこと
(2)運転開始前の加湿ユニットの停止時間が所定時間以上であること
【0109】
前記(1)の条件を採用しているのは、対象空間S1の温度が所定温度以上であると筐体47の温度が低下し難く、結露が生じる可能性が低くなるからである。前記(2)の条件を採用しているのは、対象温度S1の温度が低くても加湿ユニット3の停止時間が短ければ、筐体47の温度が対象空間S1と同程度にまで低下せず、結露が生じ難くなるからである。前記(1)の条件における「所定温度」は、例えば25℃とすることができる。前記(2)の条件における「所定時間」は、例えば100分とすることができる。これらの値は限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0110】
対象空間S1の温度は、筐体47の第7空間R7に配置された温湿度センサ45によって検出される。加湿ユニット3の停止時間は、制御装置46の備わったタイマーによって計測される。
【0111】
制御装置46は、ステップS14の条件が満たされたと判断すると、ステップS5において、暖機運転の時間を決定する。この暖機運転の時間は、温湿度センサ45で検出した温度に基づいて決定される。制御装置46は、対象空間S1の温度を、(1)10℃以下の場合、(2)10℃を超え15℃以下の場合、(3)15℃を超え20℃以下の場合、(4)20℃を超え25℃未満の場合等、複数の温度範囲に分け、温度範囲ごとに適切な暖機運転時間を割り当てて予めメモリに記憶している。制御装置46は、温湿度センサ45で検出された温度が含まれる温度範囲の暖機運転時間を読み出し、その時間を暖機運転時間に決定する(ステップS15)。暖機運転時間は、対象空間S1の温度が低いほど長くなるように設定される。対象空間S1の温度が低いほど、結露が発生しない程度まで筐体47の温度を上昇させるのに長時間が必要だからである。
【0112】
制御装置46は、ステップS16においてヒータ42を作動させ、暖機運転を開始する。ヒータ42を作動させると、第1空気通路P1を流れる空気がヒータ42を通過することによって温められ、その空気が第2空間R2及び第1ファン43を流れることによってこれらを温める。したがって、加湿運転を開始したときに、結露の発生を抑制することができる。
【0113】
制御装置46は、暖機運転中、吸湿ロータ41の吸着部材41aの回転を停止させる。吸着部材41aを回転させると、吸着部材41aに吸着された水分がヒータ42で温められた空気に放出され、通常の加湿運転と同様に結露が発生するからである。
【0114】
制御装置46は、暖機運転におけるヒータ42の出力を、加湿運転におけるヒータ42の出力よりも小さくする。暖機運転においては吸着部材41aが回転を停止しているため、ヒータ42で温められた空気に水分が放出されず、当該空気の温度が下がらない。そのため、加湿運転と同様の出力でヒータ42を作動すると、ヒータ42で温められた空気が通過する部品等を熱で損傷させてしまう可能性があるからである。なお、加湿運転におけるヒータ42の出力が可変制御される場合、暖機運転におけるヒータ42の出力は、加湿運転におけるヒータ42の出力の最低値よりも低い値に設定される。
【0115】
ステップS17において、制御装置46は、暖機運転時間が経過したか否かを判断する。制御装置46は、暖機運転時間が経過したと判断した場合に加湿運転を開始する。この加湿運転では、ヒータ42の出力を上昇させ、吸着部材41aを回転させる。
【0116】
暖機運転は、吸着部材41aを回転させた状態で行うことも可能である。この場合、吸着部材41aの回転速度を加湿運転における吸着部材41aの回転速度よりも低く設定する。これにより、ヒータ42で温められた空気が吸着部材41aを通過するときに水分が放出されることで当該空気の温度が若干低下し、当該空気の熱による部品の損傷を抑制することができる。
【0117】
暖機運転中、吹出口54から吹き出される空気の温度は、温度センサ60によって検出される。したがって、制御装置46は、温度センサ60の検出値によって、適切に暖機運転が行われているか否かを判断することができる。また、吹出口54から吹き出される空気の温度が、温度ヒューズ76が断線する温度よりも高い場合、制御装置46は、温度ヒューズ76の断線信号を受けてヒータ42を停止する。これにより、ヒータ42で温められた空気の熱による部品の損傷を抑制することができる。
【0118】
<他の実施形態>
ヒートシンク84を冷却するための第4空気通路P4は、第2空気通路P2ではなく、第1空気通路P1に合流させ、吹出口54から対象空間S1に吹き出してもよい。この場合、第4空気通路P4は、第1空気通路P1におけるヒータ42よりも空気流方向の上流側に合流することができる。
【0119】
対象空間S1の温度及び湿度を検出するための第3空気通路P3は、第1空気通路P1における第1ファン43よりも上流側に合流してもよい。具体的に、第3空気通路P3は、第1空気通路P1における吸着部材41aよりも上流側、又は、下流側に合流してもよい。第3空気通路P3は、第2空気通路P2における吸着部材41aよりも上流側に合流することも可能である。
【0120】
上記実施形態では、第1空気通路P1と第2空気通路P2とが、筐体本体50内で共通の第1空間R1により形成されていたが、異なる空間により形成されていてもよい。この場合、第1空気通路P1と第2空気通路P2とは、個別の取入口から空気が取り入れられてもよい。
【0121】
上記実施形態の吸湿ロータ41は、リングギヤ41b及びピニオンギヤ41cからなる歯車機構により吸着部材41aを回転させているが、ベルトやチェーン等を用いた他の回転伝達機構により吸着部材41aを回転させてもよい。
【0122】
上記実施形態では、第7空間R7に温湿度センサ45が設けられていたが、湿度のみを検出する湿度センサが設けられていてもよい。温度センサと湿度センサとが別々に設けられていてもよい。
【0123】
上記実施形態では、対象空間S1の温度が低いほど暖機運転の時間を長くしていたが、対象空間S1の温度に関わらず一定の時間だけ暖機運転を行ってもよい。上記実施形態では、対象空間S1の温度が所定温度未満のときに暖機運転を実行していたが、対象空間S1の温度に関わらず加湿運転を行う前に必ず暖機運転を行ってもよい。上記実施形態では、加湿ユニット3が所定時間以上停止した後、加湿運転を行う前に暖機運転を行っていたが、換気運転を行った後、加湿運転を行う前に暖機運転を行ってもよい。
【0124】
<実施形態の作用効果>
(1)上記実施形態の加湿ユニット3は、水分を吸着させる吸湿領域及び水分を放出させる放湿領域を有する吸着部材41aと、吸着部材41aの第2領域A2を加熱するヒータ42と、空気流を生成する第1ファン43及び第2ファン44と、吸着部材41a、ヒータ42、第1ファン43、及び、第2ファン44を収容する筐体47と、制御装置46と、を備える。筐体47は、第1ファン43によって屋外から取り入れられた空気が吸着部材41aの第2領域A2を経由して対象空間S1へ吹き出される第1空気通路P1と、第2ファン44によって屋外から取り入れられた空気が吸着部材41aの第1領域A1を経由して屋外へ排出される第2空気通路P2とを有する。制御装置46は、加湿運転を行う前にヒータ42を作動させる暖機運転を実行する。
【0125】
例えば、対象空間S1の温度が低い場合、筐体47の温度が低くなり加湿運転により筐体内で結露が生じる可能性が高くなるため、上記構成のように、加湿運転を行う前に予め暖機運転を行うことによって結露の発生を抑制することができる。
【0126】
(2)加湿ユニット3は、対象空間S1の温度を検出する温湿度センサ(第1温度センサ)45をさらに備え、制御装置46は、温湿度センサ45の検出値が所定の閾値よりも低い場合に暖機運転を実行する。このように対象空間S1の温度が所定の閾値より低い場合のみ暖機運転を実行することで、対象空間S1の加湿に直接的に寄与しない暖機運転の時間をできるだけ短くし、消費電力のロスを低減することができる。
【0127】
(3)筐体47は、対象空間S1の空気が流入する流入口72を有し、温湿度センサ45が、流入口72から流入した空気の温度を検出する。これにより、対象空間S1の温度を適切に検出することができる。特に、外気押込み式の加湿ユニット3において、対象空間S1の空気を筐体47内に取り込んで当該空気の温度を検出することができる。
【0128】
(4)制御装置46は、温湿度センサ45の検出値が低いほど暖機運転の実行時間を長くする。これにより、筐体47の温度(対象空間S1の温度)に応じた時間で暖機運転を行うことができる。
【0129】
(5)他の実施形態において、制御装置46は、一定時間、暖機運転を実行することができる。これにより、暖機運転の制御を容易に行うことができる。
【0130】
(6)制御装置46は、加湿運転中のヒータ42の出力よりも暖機運転中のヒータ42の出力を低下させる。このような構成により、ヒータ42によって暖機運転に用いる空気が過度に温められるのを抑え、筐体47内部に配置された機器の保護を図ることができる。
【0131】
(7)制御装置46は、暖機運転中、第1ファン43を作動させる。ヒータ42は、第1空気通路P1において吸着部材41aの第2領域A2よりも空気流方向の上流側に配置される。このような構成により、加湿運転の際に加湿された空気が通る第1空気通路P2を、暖機運転の際にヒータ42を用いて効率よく温めることができる。
【0132】
(8)制御装置46は、加湿運転中、吸着部材41aにおける第1領域A1及び第2領域A2の位置を移動させるために吸着部材41aを回転させ、暖機運転中、吸着部材41aの回転を停止させる。吸着部材41aが回転していると、吸着部材41aは、第2領域A2で水分が放出されても再び第1領域A1で水分が吸着され、第2領域A2を通過する空気は常に加湿された状態となる。そのような空気が冷えた筐体47中を流れると筐体47の内面で結露が生じやすくなる。そのため、暖機運転中、吸着部材41aの回転を停止することで、第2領域A2に含まれていた水分は次第に第2領域A2を流れる空気に放出されて枯渇し、やがて第2領域A2を流れる空気は乾燥空気となる。したがって、暖機運転中に吸着部材41aの回転を停止することで、第2領域A2と吹出口54との間に乾燥空気を流すことができ、暖機運転中に結露が生じるのを抑制することができる。
【0133】
(9)他の実施形態において、制御装置46は、加湿運転中、吸着部材41aにおける第1領域A1と第2領域A2との位置を移動させるために吸着部材41aを回転させ、暖機運転中、加湿運転中の吸着部材41aの回転速度よりも低速で吸着部材41aを回転させることができる。この場合、暖機運転中、吸着部材41aを低速で回転させることで第2領域A2を通過する空気に適度に水分を与えて温度を下げ、筐体47の内部に配置された機器が熱により損傷するのを抑制することができる。
【0134】
(10)筐体47は、第1空気通路P1を流れる空気を対象空間S1へ吹き出す吹出口54を有し、吹出口54から吹き出される空気の温度を検出する第2温度センサ60をさらに備えている。この場合、暖機運転に用いる空気の温度を第2温度センサ60で検出し、その検出結果より暖機運転が適切に行われているか否かを判別することができる。
【0135】
(11)制御装置46は、暖機運転の実行要否を、当該暖機運転を行う前のヒータ42の停止時間に基づいて判断する。ヒータ42の停止時間の長さによって筐体47の温度低下の程度が異なるため、ヒータ42の停止時間に応じて暖機運転の実行要否を判断することで、無駄な暖機運転の実行を抑制することができる。
【0136】
(12)制御装置46は、暖機運転の実行要否を、当該暖機運転を行う前の対象空間S1の温度に基づいて判断する。対象空間S1の温度によって筐体47の温度低下の程度が異なるため、対象空間S1の温度に基づいて暖機運転の実行要否を判断することで、無駄な暖機運転の実行を抑制することができる。
【0137】
(13)筐体47は、第1空気通路P1を流れる空気を対象空間S1へ吹き出す吹出口54を有し、吹出口54は対象空間S1において開口している。このような構成により、筐体47の内部で発生した結露水は吹出口54から直接的に対象空間に放出される可能性が高くなるので、上記のような暖機運転を行うことがより有効となる。
【0138】
本開示は、以上の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0139】
3 :加湿ユニット
41a :吸着部材
42 :ヒータ
43 :第1ファン
44 :第2ファン
45 :温湿度センサ(第1温度センサ)
46 :制御装置
47 :筐体
54 :吹出口
60 :温度センサ(第2温度センサ)
72 :流入口
A1 :第1領域(吸湿領域)
A2 :第2領域(放湿領域)
P1 :第1空気通路(加湿用空気通路)
P2 :第2空気通路(加湿用空気通路)
S1 :対象空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13