(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理システムの制御方法、電子機器、情報処理装置、プログラム及び記録媒体。
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20230315BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230315BHJP
【FI】
H04N7/18 D
H04N7/18 K
G06T7/00 660B
(21)【出願番号】P 2021085165
(22)【出願日】2021-05-20
【審査請求日】2021-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390002761
【氏名又は名称】キヤノンマーケティングジャパン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592135203
【氏名又は名称】キヤノンITソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189751
【氏名又は名称】木村 友輔
(72)【発明者】
【氏名】田路 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】米山 諒
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亮
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直樹
(72)【発明者】
【氏名】舩橋 義裕
(72)【発明者】
【氏名】中小路 常
【審査官】長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-139602(JP,A)
【文献】特開2020-067939(JP,A)
【文献】特開2019-084165(JP,A)
【文献】特開2020-086736(JP,A)
【文献】特開2017-182654(JP,A)
【文献】国際公開第2019/239812(WO,A1)
【文献】特開2019-150564(JP,A)
【文献】国際公開第2020/039818(WO,A1)
【文献】特開2020-181274(JP,A)
【文献】特開2011-180974(JP,A)
【文献】特開2014-137754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G06T 7/00
G08B 25/00
G06Q 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の空間における検知対象の滞留状況を示す情報を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した滞留状況を示す前記情報に基づいて、前記検知対象の前記特定の空間内における位置別の清掃要否に関する情報を、前記特定の空間を表す表示物上に表示するように制御する表示制御手段と
を有
し、
前記表示制御手段は、前記表示物上のうち、前記検知対象が検知され、かつ、前記検知対象が所定時間以上滞留したことに対応する所定条件が満たされた位置に、前記清掃を要する旨の表示である所定の表示形態での表示を行うように制御する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
特定の空間における検知対象の滞留状況を示す情報を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した滞留状況を示す前記情報に基づいて、前記検知対象の前記特定の空間内における位置別の清掃要否に関する情報を、前記特定の空間を表す表示物上に表示するように制御する表示制御手段と
を有
し、
前記表示制御手段は、
前記検知対象の検知状況に基づいて、前記表示物上の位置に前記検知対象が検知されたことを示す第1の表示形態での表示を行い、その後、所定条件を満たす滞留があったことに応じて前記清掃を要する旨の表示である第2の表示形態での表示を行い、
所定条件を満たす滞留となる前に当該検知対象が検知されなくなったことに応じて前記第1の表示形態での表示を非表示とし、
前記所定条件を満たす滞留となった後に当該検知対象が検知されなくなったことに応じては前記第2の表示形態での表示を非表示としないように制御する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
前記表示制御手段はさらに、前記特定の空間における時間帯別の前記検知対象が検知された数の履歴を表示するように制御することを特徴とする請求項1
または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記表示制御手段はさらに、前記特定の空間を表す前記表示物の表示とともに、前記特定の空間と異なる他の空間について、滞留状況に基づく清掃要否の情報を表示するように制御することを特徴とする請求項1
乃至3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記表示物は前記特定の空間を撮影した撮影画像または前記特定の空間を表す図であることを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記特定の空間に関して清掃が完了した旨の清掃完了指示を受け付ける受付手段を更に有し、
前記表示制御手段は、前記表示物上に清掃を要する旨の表示がされている際に前記清掃完了指示を受け付けた場合に、前記清掃を要する旨の表示を初期化して清掃不要に対応する表示とするように制御することを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記受付手段は、前記特定の空間の全体ではなく一部分に対する部分的な指示を受け付け可能であり、
前記表示制御手段は、前記表示物上に清掃を要する旨の表示がされている際に、前記部分的な指示を受け付けたことに応じて、当該部分的な指示に対応する一部分の位置について前記清掃を要する旨の表示を初期化して、清掃不要に対応する表示とするように制御することを特徴とする請求項
6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記検知対象は人物であり、前記表示制御手段は、前記表示物上に清掃を要することを示す範囲の表示を行う場合に、検知された人物の前方に前記範囲を拡張して表示するように制御することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記表示制御手段は、前記検知対象として検知された人物のマスク装着の有無に応じて前記清掃要否に関する情報の表示を異ならせ、
マスクをしていた場合にマスクをしていない場合に比べて前記表示物上に表示する清掃を要することを示す範囲を狭くする、
マスクをしていた場合にマスクをしていない場合に比べ前記表示物上に清掃を要することを示す範囲を表示するまでの時間を長くする、
マスクをしていた場合に清掃を要することを示す表示をしない、
のうち少なくとも1つとなるように制御することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記表示制御手段は、前記検知対象として検知された人物の発声、くしゃみ、咳の少なくとも1つの検知有無に応じて前記清掃要否に関する情報の表示を異ならせ、
発声、くしゃみ、咳の少なくとも1つがあった場合に、そうでない場合に比べて前記表示物上に表示する清掃を要することを示す範囲を広くする、
発声、くしゃみ、咳の少なくとも1つがあった場合に、そうでない場合に比べて前記表示物上に清掃を要することを示す範囲を表示するまでの時間を短くする、
のうち少なくとも1つとなるように制御することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記表示制御手段は、前記検知対象として検知された人物の手の検知状況に応じて前記清掃要否に関する情報の表示を異ならせ、
手が検知さえた位置と手と物体が接触したことが検知された位置との少なくとも一方については、当該人物が検知された位置のうち手以外の位置に比べて、短い滞留時間で清掃を要することを示す表示を行うように制御することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記表示制御手段はさらに、清掃を要するほど滞留したと判定された検知対象の数に基づいて、清掃要否に関する第2の情報を表示するように制御することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記特定の空間は、部屋、畜舎、公園、グラウンド、競技場、観覧スペース、体育館、
フィットネスジム、スポーツジム、集会場、ホール、公会堂、劇場、コンサート会場、待合スペース、電車内、バス車内、飲食スペース、客席のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記検知対象は、人、動物のうち少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項15】
前記特定の空間における前記検知対象の検知状況に基づいて、前記特定の空間における前記検知対象の滞留状況を解析する解析手段を更に有し、
前記取得手段は、前記解析手段で解析された結果を、前記滞留状況を示す情報として取得することを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項16】
撮像手段で前記特定の空間を撮影した撮影画像、あるいは温度センサーで検知した前記特定の空間の温度に基づいて前記検知対象を検知する検知手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項17】
情報処理システムの制御方法であって、
特定の空間における検知対象の滞留状況を示す情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した滞留状況を示す前記情報に基づいて、前記検知対象の前記特定の空間内における位置別の清掃要否に関する情報を、前記特定の空間を表す表示物上に表示するように制御する表示制御ステップと
を有
し、
前記表示制御ステップは、前記表示物上のうち、前記検知対象が検知され、かつ、前記検知対象が所定時間以上滞留したことに対応する所定条件が満たされた位置に、前記清掃を要する旨の表示である所定の表示形態での表示を行うように制御する、
ことを特徴とする情報処理システムの制御方法。
【請求項18】
特定の空間における検知対象の滞留状況を示す情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した滞留状況を示す前記情報に基づいて、前記検知対象の前記特定の空間内における位置別の清掃要否に関する情報を、前記特定の空間を表す表示物上に表示するように制御する表示制御ステップと
を有し、
前記表示制御ステップは、
前記検知対象の検知状況に基づいて、前記表示物上の位置に前記検知対象が検知されたことを示す第1の表示形態での表示を行い、その後、所定条件を満たす滞留があったことに応じて前記清掃を要する旨の表示である第2の表示形態での表示を行い、
所定条件を満たす滞留となる前に当該検知対象が検知されなくなったことに応じて前記第1の表示形態での表示を非表示とし、
前記所定条件を満たす滞留となった後に当該検知対象が検知されなくなったことに応じては前記第2の表示形態での表示を非表示としないように制御する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項19】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載された情報処理システムの各
手段を有する電子機器。
【請求項20】
コンピュータを、請求項1乃至16のいずれか1項に記載された情報処理システムの各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項21】
コンピュータを、請求項1乃至16のいずれか1項に記載された情報処理システムの各手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間における検知対象の滞留状況に基づく表示を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
清掃が必要な状況を通知する技術が提案されている。特許文献1には、人体検知センサーの信号を監視することにより、トイレ室の利用者数をチエックでき、定期的な清掃以外の場合でも汚れ具合を予測して清掃を行うようにし、常にトイレ室内を清潔な状態に維持することが提案されている。より具体的には、トイレを100人が利用した場合に、管理者が、端末機器から清掃指示及び消耗品のチエック信号をトイレ室の端末機器へ出力し、清掃作業の実施又は消耗品の補充等を行わせることが提案されている。また、またトイレの混雑状況や空いているトイレを通知することが提案されている。
【0003】
また、店舗の利用状況の解析のために、人物の活動状況を可視化したヒートマップ画像を生成する技術が知られている。特許文献2には、監視エリアの映像から検出した人物の位置情報に対して時間的な統計処理を行って、人物の滞留状況に関する統計情報を統計処理の対象期間の設定にしたがって取得し、統計情報を可視化したヒートマップ画像を生成することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-242230号公報
【文献】特開2016-48834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、感染症の流行などにより、飛沫の付着などの汚れの無い清潔な環境を利用することの重要性が増している。
【0006】
特許文献1に記載の従来技術では、トイレ(利用対象の空間)の利用者は、現在のトイレの混雑状況や空き状況はわかるものの、いままでに人物が滞留した場所がどこかはわからない。従って、利用者が、それまでに人物が滞留した位置を避けて利用することができない。また、清掃者が、それまでに人物が滞留した位置を重点的に清掃することで効率的かつ/または確実な清掃を行うことができない。
【0007】
特許文献2に記載の従来技術では、特定の時間帯の滞留状況しかわからず、また、清掃や汚れの状況に関しては考慮されておらず、利用者が、汚れの無かった時点から現在までに人物が滞留した場所がどこかを知ることはできない。従って、利用者が、人物が滞留して汚染されている可能性のある位置を避けて利用することができない。また、清掃者が、それまでに人物が滞留した位置を重点的に清掃することで効率的かつ/または確実な清掃を行うことができない。
【0008】
そこで本発明は、利用対象の空間をユーザーがより有効に活用できるようにする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の情報処理システムは、
特定の空間における検知対象の滞留状況を示す情報を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した滞留状況を示す前記情報に基づいて、前記検知対象の前記特定の空間内における位置別の清掃要否に関する情報を、前記特定の空間を表す表示物上に表示するように制御する表示制御手段と
を有し、
前記表示制御手段は、前記表示物上のうち、前記検知対象が検知され、かつ、前記検知対象が所定時間以上滞留したことに対応する所定条件が満たされた位置に、前記清掃を要する旨の表示である所定の表示形態での表示を行うように制御する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、利用対象の空間をユーザーがより有効に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】端末装置101、サーバー装置105のハードウェアブロック図である。
【
図4】端末装置101における清掃支援画面表示処理のフローチャートである。
【
図5】サーバー装置105における滞留状況解析処理のフローチャートである。
【
図6】(a)撮影画像である。(b)人物領域抽出画像である。(c)滞留マップである。(d)撮影画像と滞留マップとの合成画像である。(e)部屋の模式図と滞留マップとの合成画像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0013】
本実施形態では、部屋を利用した人物の滞留状況に基づいて、清掃要否を表示することで、清掃員が好適なタイミングで的確な清掃を行う清掃支援(汚染状況ガイド)システムを説明する。感染症の対策として、人物の口などから放出された飛沫が付着した箇所について、飛沫をふき取る・殺菌・除菌・消毒などの清掃をして清潔にすることが有効である。例えば、不特定の人物が利用する会議室や食堂などの部屋(共有スペース)においては、前に利用していた人から出た飛沫による汚染を清掃したうえで次の人が利用することが好ましい。特に、前に利用した人物からの飛沫が付着した位置が正確に清掃された状態とすることが望ましい。しかし、清掃に費やすリソースが限られている、清掃に費やす時間が増大すると部屋を利用できる時間が少なくなってしまうといった理由から、清掃はできる限り効率的に行うことが望ましい。このような事情に鑑み、本実施形態の清掃支援システムでは、前回清掃してから現在までの部屋の利用者が滞留した箇所を清掃員に示すことによって、清掃員がより効率的な清掃および/またはより正確な清掃を行えるようにする。また、部屋の利用者が汚染された箇所を避けて利用することができるようにする。滞留箇所を示すのは、マスクなどの適切な感染症対策をした部屋の利用者が移動のためにただ通過しただけの位置(すなわち、存在したが滞留していない位置)は、飛沫が付着する可能性が低く、清掃の必要性及び利用を避ける必要性が低いためである。
【0014】
図1に、本実施形態の情報処理システム(清掃支援システム、滞留状況ガイドシステム)のシステム構成図を示す。部屋102a~部屋102cはそれぞれ共有スペースの例であり、部屋の形、矩形によって図示したテーブル(デスク)の配置、円形によって図示した座席の配置を示した部屋の模式図である。部屋102a~部屋102cにはそれぞれ、出入口103a~103cが備えられている。また部屋102a~部屋102cにはそれぞれ、カメラ104a~104cが設置されている。カメラ104a~104cは、それぞれの部屋を全体的に撮影可能な各部屋1台または各部屋複数台のネットワークカメラ(監視カメラ)であり、それぞれの部屋内における人物の滞留状況を検出するセンサーとして機能する。本実施形態では一例として3つの部屋について説明するが、本実施形態の清掃支援システムは1部屋から複数の部屋まで、何部屋でも適用可能である。
【0015】
端末装置101a~101cは、部屋102a~部屋102cにおける人物の滞留状態を表示するための電子機器である。端末装置101a~101cとして
図1では据え置き型のPC(パーソナルコンピュータ)を図示している。端末装置101a~101cを据え置き型とする場合には、各部屋を利用する人あるいは清掃員が部屋に入る前、あるいは部屋に入ってすぐに表示を確認できることが好ましいため、端末装置101a~101cは各部屋の出入り口近傍に設置することが好ましい。その場合、端末装置101a~101cは部屋102a~部屋102cにそれぞれ対応させ、対応する部屋の滞留状況を専用で表示するように構成してもよい。なお、端末装置101a~101cとしては据え置き型ではなく、スマートフォンやタブレット端末などの携帯型の電子機器を用いることもできる。この場合は端末装置101a~101cを各部屋に対応付ける必要はなく、台数も各部屋の数にかかわらない台数とし、清掃員各自や利用者各自が所有する携帯端末としてもよい。
【0016】
サーバー装置105はカメラ104a~104cと有線または無線によって接続可能であり、カメラ104a~104cで撮影された画像を取得することができる電子機器である。また、サーバー装置105は、端末装置101a~101cと有線または無線によって接続可能であり、端末装置101a~101cで受け付けたユーザー指示を受信し、サーバー装置105で解析した滞留状況を端末装置101a~101cに送信する。サーバー装置105とカメラ104a~104cの接続方式、及び、サーバー装置105と端末装置101a~101cの接続方式はそれぞれ、LAN(Local Area Network)やインターネットを介した接続など、どのような方式でも良い。サーバー装置105は1台として図示しているが、ネットワーク上の複数の機器が連携してサーバー装置105の機能を実行するようにしてもよい。
【0017】
図2に、端末装置101a~101c、サーバー装置105のそれぞれのハードウェアブロック図を示す。
【0018】
図2、端末装置101a~101c、サーバー装置105のそれぞれの一例としての電子機器200の構成の一例を示す。
【0019】
図2において、内部バス250に対してCPU201、メモリ202、不揮発性メモリ203、画像処理部204、ディスプレイ205、操作部206、記録媒体I/F207、外部I/F209、通信I/F210が接続されている。内部バス250に接続される各部は、内部バス250を介して互いにデータのやりとりを行うことができるようにされている。
【0020】
メモリ202は、例えばRAM(半導体素子を利用した揮発性のメモリなど)からなる。CPU201は、例えば不揮発性メモリ203に格納されるプログラムに従い、メモリ202をワークメモリとして用いて、電子機器200の各部を制御する。不揮発性メモリ203には、画像データや音声データ、その他のデータ、CPU201が動作するための各種プログラムなどが格納される。不揮発性メモリ203は例えばハードディスク(HD)やROMなどで構成される。
【0021】
画像処理部204は、CPU201の制御に基づいて、不揮発性メモリ203や記録媒体208に格納された画像や、外部I/F209を介して取得した映像信号、通信I/F210を介して取得した画像、撮像された画像などに対して各種画像処理を施す。画像処理部204が行う画像処理には、A/D変換処理、D/A変換処理、画像データの符号化処理、圧縮処理、デコード処理、拡大/縮小処理(リサイズ)、ノイズ低減処理、色変換処理などが含まれる。画像処理部204は特定の画像処理を施すための専用の回路ブロックで構成しても良い。また、画像処理の種別によっては画像処理部204を用いずにCPU201がプログラムに従って画像処理を施すことも可能である。
【0022】
ディスプレイ205は、CPU201の制御に基づいて、画像やGUI(Graphical User Interface)を構成するGUI画面などを表示する。CPU201は、プログラムに従い表示制御信号を生成し、ディスプレイ205に表示するための映像信号を生成してディスプレイ205に出力するように電子機器200の各部を制御する。ディスプレイ205は出力された映像信号に基づいて映像を表示する。なお、電子機器200自体が備える構成としてはディスプレイ205に表示させるための映像信号を出力するためのインターフェースまでとし、ディスプレイ205は外付けのモニタ(テレビなど)で構成してもよい。
【0023】
操作部206は、キーボードなどの文字情報入力デバイスや、マウスやタッチパネルといったポインティングデバイス、ボタン、ダイヤル、ジョイスティック、タッチセンサ、タッチパッドなどを含む、ユーザー操作を受け付けるための入力デバイスである。なお、タッチパネルは、ディスプレイ205に重ね合わせて平面的に構成され、接触された位置に応じた座標情報が出力されるようにした入力デバイスである。
【0024】
記録媒体I/F207は、メモリーカードやCD、DVDといった記録媒体208が装着可能とされ、CPU201の制御に基づき、装着された記録媒体208からのデータの読み出しや、当該記録媒体208に対するデータの書き込みを行う。外部I/F209は、外部機器と有線ケーブルや無線によって接続し、映像信号や音声信号の入出力を行うためのインターフェースである。通信I/F210は、外部機器やインターネット111などと通信して、ファイルやコマンドなどの各種データの送受信を行うためのインターフェースである。
【0025】
カメラ部112は、光学像を電気信号に変換するCCDやCMOS素子等で構成される撮像素子(撮像センサー)等で構成されるカメラユニットである。
【0026】
図3(a)~(e)に、端末装置101(端末装置101a~101cの相称。以下同様)のディスプレイ205における清掃支援画面の表示例を示す。
図3(a)~(e)において共通の表示要素には同じ符号を付すものとする。
【0027】
図3(a)は、清掃支援画面を立ち上げた直後の表示例である。端末装置101における清掃支援アプリケーションソフトを起動する、あるいはWEBブラウザによって清掃支援画面を開くと、清掃支援画面300が表示される。清掃支援画面300には、部屋一覧を表示するための領域301と、選択された部屋の滞留状況/清掃要否などの詳細を表示するための領域310が含まれる。領域301には選択可能な部屋の一覧として、選択アイテム302a~302cが表示される。選択アイテム302a~302cはそれぞれ、部屋102a~102cを選択するための選択肢である。選択アイテム302a~302cにはそれぞれ、対応する部屋名(部屋A~部屋Cで図示した部屋の識別情報)、部屋の収容人数、清掃要否の状態などの概略情報が表示される。ユーザーは選択アイテム302a~302cのいずれかをマウスやタッチパネルなどで選択することができ、選択アイテム302a~302cのいずれかが選択されると、選択された部屋の詳細情報が領域310に表示される。なお、終了ボタン304は清掃支援画面を閉じる(非表示とする)ための操作アイコンである。
【0028】
図3(b)は選択アイテム302a(部屋A、部屋102aに対応)が選択された場合の表示例である。選択枠303は選択アイテム302aが選択されていることを示す選択カーソルである。領域301には、ダイアログ311、滞留状況表示領域312、利用履歴313が表示され、部屋Aに対応する詳細情報が表示される。また、部屋Aの清掃が完了した旨を指示するための操作ボタンである清掃完了ボタン314が表示される。ダイアログ311には、滞留状況表示領域312に表示された部屋Aの撮影画像(カメラ104aで撮影された画像)を撮影した撮影日時、部屋名(部屋の識別情報)、現在の在室人数、現在の清掃要否を示す清掃要否情報311aが表示される。滞留状況表示領域312には、部屋Aの撮影画像(カメラ104aで撮影された画像)と、人物の滞留状況とが表示される。利用履歴313には部屋Aの利用履歴として、時間帯別の部屋Aの利用人数の実績と、清掃完了ボタン314が操作された時間を示す情報が表示される。なお、
図3(b)は、例として朝7:00にシステムを起動した直後の表示例であり、まだその日に部屋Aを誰も利用しておらず、まだその日に清掃完了ボタン314が一度も操作されていない状況である。そのため、清掃要否情報311aには清掃不要である旨が表示され(すなわち清掃が必要である旨の表示がされず)、滞留状況表示領域312には滞留状況は表示されない(すなわち滞留が無い旨の表示がされる)。また、利用履歴313には利用人数の実績があった旨の表示はされず(すなわち利用実績が0人である旨が表示され)、清掃完了ボタン314が操作された時間を示す情報は表示されていない。
【0029】
図3(c)は、
図3(b)と同様に選択アイテム302aが選択された場合であるが、
図3(b)よりも時間が経過した時点(例えば11時01分頃)の清掃支援画面の表示例である。この時点では、滞留状況表示領域312には、部屋Aの撮影画像(カメラ104aで撮影された最新の画像)に重畳して、滞留状況を表す表示要素321~330が表示される。表示要素321~330は滞留状況に応じて表示形態(本実施形態では色)が異なる表示要素である。滞留状況別の色については
図5(c)の色付き滞留マップを用いて後述する。
【0030】
表示要素321、330、331については、清掃を要する滞留があったことを示す色での表示となっている。ユーザー(清掃員や部屋の次の利用者)は、この表示を見て、部屋Aのうち、表示要素321、330、331の位置については清掃が必要である、あるいは、利用を避ける(例えば別の席を利用するなど)必要があることがわかる。
【0031】
表示要素321~330のうち、表示要素321、330、331を除く表示要素については、部屋Aに在室した人物が存在はしていたが滞留はしていない、あるいは、滞留したとしてもごく短い時間であり飛沫による汚染の可能性が低い箇所を示している。これは、人物の検知状況に基づいて、人物はその位置で検知されていたが、移動過程で通り過ぎただけなどで、清掃を要するほどの滞留にはなっていないことを示している。ユーザー(清掃員や部屋の次の利用者)は、この表示を見て、部屋Aのうち、清掃の優先度と利用を避けるべき優先度が、表示要素321、330、331の位置に次いで高い位置がわかる。逆に、人物が存在した履歴はあるものの、清掃の必要性が低い位置、あるは、利用を避ける必要性が低い位置と見なすこともできる。なお、表示要素321~330のうち、表示要素321、330、331を除く表示要素については、ユーザーによる清掃要否の判断と利用を避ける位置の判断に必須ではないため、表示しなくてもよい。
【0032】
また、
図3(c)の清掃要否情報311aには清掃が必要である旨が表示される。これは清掃員に清掃を促す表示であり、これによって清掃員は清掃をした方が良いことがわかる。利用履歴313には、その日のこれまでの時間帯別の利用人数が表示される。これも、ユーザーによる清掃要否の判断、あるいは部屋の利用を避けるべきか否かの判断の参考情報となる。また、7時15分に一度清掃完了ボタン314が操作された(清掃が行われた)旨を示すインジケーター315が表示されている。インジケーター315は、数字による時間表示と、時間帯別の利用履歴に重畳される縦方向のバー状のインジケーターの位置による時間表示とによって清掃完了ボタン314が操作された時間を示しているが、いずれか一方による時間表示でもよい。
【0033】
また、
図3(c)においては、選択アイテム302aと302bにも清掃が必要な状態となった旨が、文字列(「清掃必要」)と、選択アイテム302aと302bの色(清掃が必要となっていない選択アイテム302cと識別可能な表示形態)とで表示されている。これによって、部屋一覧を表示する領域301においても、人の滞留があったか否か、清掃が必要な状態となったか否かがわかる。特に、選択枠303で選択されていない選択アイテム302bが示す部屋Bも清掃が必要とわかることで、選択アイテム302b(部屋B)を選択して詳細を確認したほうが良いことがわかり、好適である。
【0034】
図3(d)は、
図3(c)の状態のあと、部屋Aの利用者が全員退室し、清掃完了ボタン314が操作されることなく、しばらく経過した後の時点(例えば12時03分)の部屋Aに関する清掃支援画面の表示例である。滞留状況表示領域312に表示されているカメラ104aでの撮影画像に人物は写っていないが、これまでに清掃が必要なほど滞留があった位置には
図3(c)でも表示されていた表示要素321、330、331が、
図3(d)でも表示されたままとなっている。一方、
図3(c)で表示されていた表示要素321~330のうち、表示要素321、330、331を除く表示要素については非表示となっている。清掃が必要なほどの滞留があったと判定されていない位置に表示されていた表示要素については、時間の経過とともに表示形態が滞留度の低い表示形態(色)に変化していき、やがて非表示となる。これによって、清掃が必要なほどの滞留が無かった箇所まで表示要素が表示されたままとなり、滞留状況表示領域312が表示要素で埋め尽くされて見難くなってしまうことを防止することができる。また、
図3(d)において、
図3(c)から引き続き、清掃要否情報311aには清掃が必要である旨が表示されており、選択アイテム302aも清掃が必要な旨の表示のままである。
【0035】
図3(e)は、
図3(d)の状態のあと、部屋Aの清掃が行われ、清掃完了ボタン314が操作された場合の表示例である。清掃完了ボタン314が操作されると、滞留状況表示領域312において清掃が必要な位置を示していた表示要素321、330、331が非表示となる。すなわち、滞留があった旨を示す表示要素321、330、331を表示している際に清掃完了ボタン314が操作されに応じて、滞留があった旨の表示を初期化して、滞留が無い状態(清掃不要の状態)に対応する表示とする。また、清掃要否情報311aは清掃が不要である旨に、選択アイテム302aも清掃が不要な旨の表示(文字列、色)に、それぞれ更新(初期化)される。さらに、利用履歴313には、12時10分に清掃完了ボタン314が操作された(清掃が行われた)ことを示すインジケーター316が表示される。この後、引きつづき部屋Aに関しての滞留状況の監視、表示が行われ、12時10分以降の滞留状況について、清掃要否、清掃が必要な位置(滞留のあった位置)の表示が行われることになる。すなわち、滞留状況表示領域312には、部屋Aについて最後に清掃完了ボタン314が操作された時点から最新の表示更新の時点(最後に表示が更新された時点)までの、部屋Aの位置別の滞留状況が表示される。
【0036】
図4に、
図3(a)~
図3(e)で説明した清掃支援画面を表示するために端末装置101が行う処理である清掃支援画面表示処理のフローチャートを示す。この処理は、端末装置101の不揮発性メモリ203に格納されたプログラムを端末装置101のメモリ202に展開し、端末装置101のCPU201が実行することで実現する。端末装置101における清掃支援アプリケーションソフトを起動する、あるいはWEBブラウザによって清掃支援画面を開く操作があると、
図4の処理を開始する。
【0037】
S401では、CPU201は、通信I/F210を介してサーバー装置105と通信し、清掃支援画面処理で表示可能な部屋に関する部屋情報を取得する。具体的には、領域301の部屋一覧に表示する部屋の名前(識別情報)、各部屋の収容人数、状態(清掃要否)の情報を取得する。
【0038】
S402では、CPU201は、S401で取得した情報に基づき、領域301に部屋一覧をディスプレイ205に表示する。これによって、
図3(a)の表示例のように、部屋一覧として選択アイテム302a~302cが表示される。
【0039】
403では、CPU201は、部屋一覧に表示された複数の部屋のいずれかを選択する部屋選択操作があったか否かを判定する。選択アイテム302a~302cのいずれかが、操作部206によって選択された(マウスでのクリックやタッチパネルでのタッチがされた)場合に、部屋選択操作があったと判定する。部屋選択操作があったか場合にはS405に進み、そうでない場合はS404に進む。
【0040】
S404では、CPU201は、終了ボタン304が操作されるなどの終了イベントがあったか否かを判定する。終了イベントがない場合にはS403に進み、終了イベントがあった場合には清掃支援画面を非表示として
図4の清掃支援画面表示処理を終了する。
【0041】
S405では、CPU201は、通信I/F210を介してサーバー装置105と通信し、選択された部屋の詳細情報と合成画像をサーバー装置105から取得する。合成画像は、滞留状況表示領域312に表示する画像であって、選択された部屋を撮影した撮影画像(カメラ104a~104cのうち選択された部屋のカメラで撮影した撮影画像)と、滞留状況を示す表示要素との合成画像である。滞留状況を示す表示要素を表示しない状況では、滞留状況を示す表示要素が合成されていない撮影画像のみの取得となる。サーバー装置105から取得する詳細情報には、取得する合成画像に用いた撮影画像の撮影日時、部屋の識別情報、取得した撮影日時の時点での在室人数(撮影画像をリアルタイムで取得している場合は現在の在室人数となる)、清掃要否の情報が含まれる。清掃要否の情報は、本実施形態では、後述する選択された部屋に関する要清掃フラグである。また、サーバー装置105から取得する詳細情報には、選択された部屋の時間帯別の利用人数、清掃完了ボタン314が操作された時刻を示す情報が含まれる。
【0042】
S406では、CPU201は、S405で取得した詳細情報と合成画像に基づき、ディスプレイ205に選択された部屋の詳細情報として、領域301の各種表示を行う。すなわち、
図3(b)~
図3(e)で説明した通りの、ダイアログ311、滞留状況表示領域312、利用履歴313の表示を行う。表示される内容は、
図3(b)~
図3(e)で説明した通りに、状況(S405で取得した情報の内容)によって異なる。
【0043】
S407では、CPU201は、S405で取得した要清掃フラグが1であるか否か、すなわち要清掃である旨を示す情報が取得できたか否かを判定する。要清掃フラグが1(要清掃)である場合にはS409に進み、そうでない場合にはS408に進む。
【0044】
S408では、CPU201は、選択された部屋は清掃が不要である旨の表示を行う。これによって、
図3(b)、
図3(e)のように、清掃要否情報311aに清掃が不要である旨が表示される。
【0045】
S409では、CPU201は、選択された部屋は清掃が必要である旨の表示を行う。これによって、
図3(c)、
図3(d)のように、清掃要否情報311aに清掃が必要である旨が表示される。
【0046】
S410では、CPU201は、清掃完了ボタン314が操作された(清掃が完了した旨の指示である清掃完了指示をする操作があった)か否かを判定する。清掃完了ボタン314が、操作部206に含まれるマウスでクリックされたり、タッチパネルを介してタッチされたりすると清掃完了指示の操作があったと判定し、清掃完了指示を受付ける。清掃完了指示の操作があった場合にはS411に進み、そうでない場合にはS412へ進む。
【0047】
S411では、CPU201は、通信I/F210を介してサーバー装置105と通信し、サーバー装置105に、清掃完了指示の操作があった旨を通知する。
【0048】
S412では、CPU201は、情報更新の必要があるか否かを判定する。定期的に情報更新する場合には、情報更新を行う周期が経過した場合には情報更新が必要であると判定する。また、通信I/F210を介してサーバー装置105と通信し、サーバー装置105から選択された部屋の詳細情報と合成画像について情報更新がある旨の通知(プッシュ通知)を取得した場合にも情報更新が必要であると判定する。さらに、ユーザーからの情報更新の指示操作があった場合にも情報更新が必要であると判定する。情報更新が必要であると判定した場合にはS405に進んで最新の情報を取得し、取得した情報に基づいてS406~S409の処理を行って表示を更新する。なおこの際、選択していない部屋についても清掃要否についても更新がある旨の情報を取得した場合には、取得した情報に基づいて選択アイテム302a~302cの表示も更新する。なお、本実施形態では、周期的(定期的)に、あるはサーバー装置105からのプッシュ通知に基づいて表示を自動更新する例を説明したが、自動更新せずにユーザーから更新指示があった場合にのみ更新するようにしてもよい。例えば、対象の部屋での会議が終わったタイミングや、入室しようとするタイミング、清掃を行おうとする直前のタイミングでユーザーからの更新指示によって更新するようにすればよい。こうすれば、自動更新する場合に比べて通信負荷を削減することができる。
【0049】
S413では、CPU201は、他の部屋を選択する操作があったか否かを判定する。選択アイテム302a~302cのうち、現在選択されている部屋と異なる部屋の選択肢を選択する操作があった場合はS405に進み、新たに選択された部屋についての表示を行う。他の部屋が選択されていない場合にはS414に進む。
【0050】
S414では、CPU201は終了ボタン304が操作されるなどの終了イベントがあったか否かを判定する。終了イベントが無い場合にはS410に進み、終了イベントがあった場合には清掃支援画面を非表示として
図4の清掃支援画面表示処理を終了する。
【0051】
図5に、
図3(a)~
図3(e)で説明した清掃支援画面を表示するためにサーバー装置105が行う処理である滞留状況解析処理のフローチャートを示す。この処理は、サーバー装置105の不揮発性メモリ203に格納されたプログラムをサーバー装置105のメモリ202に展開し、サーバー装置105のCPU201が実行することで実現する。サーバー装置105において滞留状況解析処理の開始イベントが発生すると、
図5の処理を開始する。この開始イベントは、端末装置101における清掃支援画面を開く操作とは異なるイベントであり、例えば、サーバー装置105の操作者による開始指示操作や、毎朝所定時間の自動起動などにより発生する。
【0052】
S501では、CPU201は、メモリ202に保持する各種変数を初期化する。ここで初期化する変数には以下のものが含まれる。
・部屋変数R:複数の部屋のうちどの部屋について処理を行うかを示す変数。初期化すると1となる。
・滞留度S:各部屋の監視対象エリアの映像(カメラ104a~104cで撮影された画像)を複数のブロックに分割したブロック毎に異なる変数。0≦S≦1であり、0は滞留が全くない状態、1は清掃が必要な程度に滞留があった状態であるものとする。部屋別、ブロック別にそれぞれ滞留度Sを有する。本実施形態では、ブロックは監視対象エリアの映像(カメラ104a~104cで撮影された画像)の1画素を1ブロックとするが、もっと広い範囲を単一のブロックとしてもよい。滞留度Sは初期化すると0となる。
・要清掃フラグ:部屋の清掃が必要か否かを示す変数。1だと清掃が必要で、0だと清掃が必要でないことを示す。部屋毎に有する変数である。初期化すると0となる。
・ブロック変数B:複数のブロックのうちどのブロックについて処理を行うかを示す変数。初期化すると1となる。
【0053】
なお、本実施形態ではS501では
図5の滞留状況解析処理を起動した際に、滞留度Sと要清掃フラグも初期化するものとする。しかしこれに限るものではなく、滞留度Sと要清掃フラグは初期化しない、あるいは、前回最後に処理を行った際に不揮発性メモリ203に記録した最新の滞留度Sと要清掃フラグの値に設定するようにしてもよい。このようにすることで、例えば、前日に解析した滞留状況、清掃要否を当日の朝に確認し、部屋の清掃や利用に活かすことが可能である。
【0054】
S502では、CPU201は、複数の部屋のうち1部屋のネットワークカメラ(カメラ104a~104cのいずれか)から、最新の撮影画像と撮影日時の情報を取得し、メモリ202または不揮発性メモリ203に記録する。
【0055】
S503ではCPU201は、全部屋分について撮影画像と撮影日時を取得したか否かを判定する。全部屋分取得していない場合には、S502に戻って次の部屋について撮影画像と撮影日時を取得する。全部屋分の撮影画像と撮影日時を取得した場合にはS504に進む。
【0056】
S503では、CPU201は、部屋変数R=1に初期化する。以下、S510~S526の処理は、部屋毎の処理であり、部屋変数Rに対応する部屋についての処理である。
【0057】
S510では、CPU201は、清掃完了通知を受信したか否かを判定する。前述した
図4のS411で端末装置101からサーバー装置105に清掃完了通知が送信され、サーバー装置105で受信した場合には、S510で受信したと判定される。すなわち、端末装置101で行われた操作に基づくユーザーからの清掃が完了した旨の指示を受け付ける。清掃完了通知を受信した場合にはS511に進み、そうでない場合にはS512に進む。
【0058】
S511では、CPU201は、部屋変数Rに対応する部屋の監視対象エリアの映像の全ブロックの滞留度Sを0に初期化する。また、要清掃フラグを0に初期化する。
【0059】
S511では、CPU201は、S502で取得した撮影画像のうち、部屋変数Rに対応する撮影画像から人物検出(被写体検出)を行う。例えば、
図6(a)に示す撮影画像から、人物を検出する。この処理によって、撮影画像のうちどの範囲が人物の領域であるかが特定される。また、対象の部屋に現在何人の人物がいるか(在室人数)が特定される。この在室人数はメモリ202に保持し、前述した利用履歴を表示するための履歴情報を生成する。また、情報更新のタイミングで、利用履歴情報と最新の在室人数を、選択されている部屋の詳細情報として端末装置101に送信する。
【0060】
S512では、CPU201は、S512での人物検出の検出結果に基づき、検出された人物の領域を抽出した抽出画像を生成する。例えば、
図6(a)に示した撮影画像のうち、人物の領域を抽出して
図6(b)の抽出画像を生成する。
図6(b)の抽出画像において、白抜きの部分が人物の領域(人物領域)であり、黒塗りの部分が人物以外の領域(非人物領域)である。
【0061】
S513では、CPU201は、ブック変数Bを1に初期化する。以下、S515~S518はブロック毎の処理である。
【0062】
S514では、ブロック変数Bに対応するブロックの滞留度Sが1であるか否かを判定する。1である場合にはS523へ進み、そうでない場合にはS516へ進む。滞留度Sが1となっていた場合には、そのブロックについては清掃完了通知があるまでは清掃が必要な状態が継続するため、清掃完了通知があるまでは滞留度Sは下げない。これによって、前述したように、
図3(c)で表示されていた要清掃である位置を示す表示要素321、330、331が、
図3(d)でも表示されたままとなる。また、滞留度Sは1が上限値である。さらに、滞留度Sが1のブロックがあるということは、要清掃フラグは既に1になっている。従って滞留度Sが1であった場合には、S516~S520の処理を行うことなくS523に進む。
【0063】
S516では、CPU201は、ブロック変数Bに対応するブロックが、S513で生成した人物抽出画像の人物領域に含まれるか否かを判定する。人物領域に含まれる(人物領域である)と判定した場合はS517に進み、そうでない場合、すなわち非人物領域である場合にはS521に進む。
【0064】
S517では、CPU201は、ブロック変数Bに対応するブロックの滞留度Sを、S+(1/m)に設定する。すなわち、直前の滞留度Sに、(1/m)を加算する。mは1以上の値であり、定数である。また、mは設計者が調整可能であり、要清掃となるまでの所定条件を、要清掃となるまでに長い時間の滞留を要するように設計する場合にはmを大きくし、短い時間の滞留で要清掃となるようにする場合にはmを小さくすればよい。周期的な処理においてm回連続で人物領域であった場合には、そのブロックはS=1となり、要清掃となる。なお、S522で後述するように、滞留度Sは減算することもあるため、m回連続でなくとも要清掃となるケースもある。本実施形態では、例として、S502~S529の処理を毎分30回行い(1/30(分)周期で処理を行い)、mは15に設定する。このようにすると、30秒間人物が同じ場所に滞留すると要清掃となる。
【0065】
S518では、CPU201は、S=1であるか否かを判定する。S517での加算の結果S=1となるとS519に進み、そうでない場合はS523へ進む。
【0066】
S519では、CPU201は、部屋変数Rに対応する部屋の要清掃フラグが1であるか否かを判定する。1である場合はS523に進み、0である場合にはS520に進む。
【0067】
S520では、CPU201は、部屋変数Rに対応する部屋の要清掃フラグを1に設定する。これによって、部屋変数Rに対応する部屋は、清掃を要しなかった状態から、新たに要清掃の状態となる。また、S520では、CPU201は、通信I/F210を介して、端末装置101に部屋変数Rに対応する部屋の要清掃フラグが1となった旨を通知する。これによって選択アイテム302a~302cのうち、対応する部屋の状態が清掃必要を示す表示に更新される。
【0068】
S521では、CPU201は、滞留度S=0であるか否かを判定する。滞留度S=0である場合には下限値であり、それ以上減少させないため、S523へ進む。滞留度S=0でない場合にはS522に進む。
【0069】
S522では、CPU201は、ブロック変数Bに対応するブロックの滞留度Sを、S―(1/m)に設定する。すなわち、直前の滞留度Sから、(1/m)を減算する。なお、本実施形態では滞留度Sの加算と減算を同じペースで行うものとするが、減算ペースを緩やかにするよう、S522ではS=S―(1/n)としてもよい(m<n)。あるいはS522での減算をしないようにしてもよい。このようにすることで、同一人物の滞留時間にかかわらず、複数の人物が短い時間ではあるもののそれぞれ存在し、累積時間が高くなった位置(複数の人物が頻繁に通る経路など)を要清掃にしやすくなる。従ってより確実な清掃が可能となる。
【0070】
S523では、CPU201は、ブロック変数Bが最大値であるBmaxであるか否かを判定する。Bmaxでない場合、すなわち全ブロックについての処理が終わっていない場合には、S524へ進み、ブロック変数Bをインクリメントし、次のブロックについての処理を行う。Bmaxでない場合、すなわち全ブロックについての処理が完了した場合には、S525に進む。
【0071】
S525では、CPU201は、色付き滞留マップを生成し、メモリ202に記録する。色付き滞留マップは、監視対象エリアの映像のブロック毎に、滞留度Sに応じた色を付けたものである。
図6(c)に色付き滞留マップの例を示す。
図6(c)において、滞留度の低い方から、透明(図示の黒塗り部分)、青色、水色、緑色、黄色、赤色といったように着色する。透明(図示の黒塗りの部分)が滞留度S=0に対応し、赤色の部分が滞留度S=1に対応する。この色付き滞留マップは、部屋変数Rに対応する部屋について、S510で最後に清掃完了通知を受け付けた時点から、現在(最新の撮影画像を取得した時点)までの滞留状況を表す。
【0072】
S526では、CPU201は、S502で取得した撮影画像とS525で生成した色付き滞留マップとを取得し、これらの合成画像を生成する。具体的には、S502で取得した部屋変数Rに対応する部屋の最新の撮影画像に、S525で生成した色付き滞留マップを合成する。例えば、
図6(a)に示した撮影画像に、
図6(c)に示した色付き滞留マップを重畳し、
図6(d)に示した合成画像が生成される。撮影画像が確認できるように、色付き滞留マップを半透過で合成してもよい。このようにして生成された合成画像が、端末装置101に送信され、滞留状況表示領域312に表示される。このような合成画像を生成することで、部屋変数Rに対応する部屋を表す表示物である撮影画像上に、部屋変数Rに対応する部屋の位置別の滞留状況が表示されるように制御している。新たな合成画像が生成されたタイミングで端末装置101に更新指示(S412で前述したプッシュ通知)を通知してもよい。
【0073】
S527では、CPU201は、部屋変数Rが最大値であるRmaxであるか否かを判定する。Rmaxでない場合、すなわち全部屋についての処理が終わっていない場合には、S526へ進み、部屋変数Rをインクリメントし、次の部屋についての処理を行うべくS510に進む。Rmaxでない場合、すなわち全部屋についての処理が完了した場合には、S529に進む。
【0074】
S529では、CPU201は、滞留状況解析処理の終了イベントが発生したか否かを判定する。例えば毎日夜22時といった定期的なタイミングで終了させるように設計することが可能である。終了イベントが発生していない場合にはS502に進み、次の周期での処理を行う。このように、滞留状況解析処理は周期的に繰り返し行われる。終了イベントが初声した場合には
図5の滞留状況解析処理を終了する。この際、滞留度Sと要清掃フラグを不揮発性メモリ203に記録し、次に滞留状況解析処理を行う際に利用できりょうにしてもよい。
【0075】
以上説明した本実施形態によれば、監視対象となる特定の空間(部屋)の滞留状況表示領域312に、検知対象(人物)の部屋内における位置別の滞留状況を、空間を表す表示物上(撮影画像上)に表示する。この表示によって、ユーザー(空間の利用者、清掃者)は、空間のうち、検知対象が滞留した位置を認識することができる。これによって、利用対象の空間をユーザーがより有効に活用することが可能となる。より具体的には、部屋の利用者は、人物が滞留した位置を考慮して部屋の利用をするか否か、利用する場合にどの位置を利用すべきかを判断することができる。例えば、飛沫が付着している可能性がある要清掃である位置を避けて、それ以外の位置で部屋を利用することができる。また、清掃者は、人物が滞留した位置を重点的に清掃することができ、より確実かつ/または効率的な清掃を行うことができる。これらによって、より確実かつ/または効率的な感染症対策を行うことができる。
【0076】
なお、本実施形態では、滞留状況表示領域312に、部屋を撮影した撮影画像と、色付き滞留マップとの合成画像を表示する例を説明したが、部屋(空間)のうちどの位置に滞留があったかを示す表示であればこれに限るものではない。例えば、
図6(e)に示すように、部屋の模式図上(マップ上)に、位置別の滞留状況をマッピングして表示してもよい。これは、対象となる空間(部屋)を表す表示物として、
図1で説明した部屋102aの模式図上に、
図3(c)と同等の滞留状況をマッピングして表示したものである。このような表示でも前述した効果と同等の効果を奏することができる。
【0077】
また、本実施形態では、人物(滞留状況の検知対象)の滞留状況を検知するためのセンサーとして撮像装置であるカメラ104a~104cを用いる例を説明したが、滞留状況の検知対象を検知できれば他のセンサーを用いてもよい。例えば、カメラの代わりに、あるいはカメラと併せて温度センサーを用い、空間内の位置別の温度に基づいて人物の位置を検知してもよい。
【0078】
また、本実施形態では、滞留状況に基づいて要清掃か否かを判定して表示する例を説明したが、これに加えて、あるいは代えて、在室人数に基づいて要清掃か否かを判断して表示するようにしてもよい。例えば、S512で検出した最新の在室人数が、部屋の収容人数に対する閾値(例えば、1席おきに利用することを想定して部屋の収容人数の半数を閾値とする)を超えた場合に、滞留状況にかかわらず要清掃フラグを1として要清掃としてもよい。
【0079】
さらに、滞留状況に基づいて要清掃となった人物の数に基づいて、第2段階の要清掃通知を行ってもよい。例えば、部屋の収容人数と同じ累積人数について要清掃となった場合、各利用者が要清掃となった位置を避けて利用していれば、その部屋のすべての席が要清掃となっており、これ以上は要清掃となった位置を避けての利用ができないと想定される。従って定期的な清掃ではなく即座に清掃が必要である、あるいは部屋の利用を制限する、注意喚起するなどの対処が必要とある可能性がある。そのため、「清掃がすぐに必要」、「清掃するまで利用不可」などといった、前述した
図3(a)~(e)で説明した要清掃である旨の表示とは異なる第2の情報を表示するとよい。
【0080】
なお、
図3(c)、
図3(d)で説明した、要清掃の位置を示す表示要素321、330、331が、飛沫が飛ぶ範囲を考慮して、人物と検出された領域よりも広い範囲を示すように表示してもよい。特に、人物の前方に飛沫が飛ぶことを考慮し、検出された人物の向きに基づき、人物の前方(顔が向いている方向)に比較的広い範囲を示すように表示してもよい。このようにするためには、例えば、S513の人物抽出画像生成において、人物と検出された領域よりもやや広い範囲を人物領域として抽出する。さらに、検出された人物の向きに基づき、人物が検出された領域のうち人物の前方(顔が向いている方向)に比較的広い範囲を人物領域として抽出すればよい。
【0081】
さらに、マスクを装着するなどの飛沫対策を施した人物については飛沫が飛ぶ可能性が低い、あるいは飛沫が飛ぶ範囲が狭いことを考慮し、マスク装着有無の基づいて次のように処理してもよい。すなわち、
図3(c)、
図3(d)で説明した、要清掃の位置を示す表示要素321、30、331のうち、マスクをしていると判定された人物の要素が示す範囲を小さくする。例えば、マスクをしていない顔画像であることが検出された人物に関しては、上述のように人物と検出された範囲よりも広い範囲、特に前方に広い範囲に対して、要清掃を示す表示要素を表示する。一方、マスクをしている顔画像であることが検出された人物については、人物と検出された範囲よりも拡張した範囲には要清掃を示す表示要素を表示しない、あるは、拡張するにしてもマスクをしていない人物よりも拡張する割合を小さくする。
【0082】
また、マスクを装着するなどの飛沫対策を施した人物については飛沫が飛ぶ可能性が低い、あるいは飛沫が飛ぶ範囲が狭いことを考慮し、マスクをしていないと判定された人物よりも要清掃と判定されるまでの滞留時間を長くするようにしてもよい。これは、例えば、マスクを装着していると判定された人物に対応するブロックと、マスクを装着していないと判定された人物に対応するブロックとで、前述の定数mが異なる数値となるように処理すればよい。具体的には、マスクを装着した人物に対応するブロックでは定数m1を用い、マスクを装着していない人物に対応するブロックでは定数m2(<m1)を用いればよい。
【0083】
また、声を発したり、くしゃみや咳をした場合には飛沫が飛ぶ可能性が高く、しかも遠くまで飛沫が飛ぶ可能性が高いことを考慮し、発声、くしゃみ、咳の有無の検知に基づいて異なる処理を行うようにしてもよい。すなわち、声、くしゃみ、咳の少なくとも1つをしたことが検知された人物に関しては、そうでない人物よりも、要清掃と判定されるまでの滞留時間を長くするようにしてもよい。また、発声、くしゃみ、咳の少なくとも1つをしたことが検知された人物に関しては、そうでない人物よりも、要清掃の位置を示す表示要素が示す範囲を、発声、くしゃみ、咳があったときの顔の前方に広くなるように拡張しておよい。発声、くしゃみ、咳の検知は、撮影画像に基づいて顔の形状などにより検知してもよいし、収音マイクによって部屋の音声をモニターし、発声、くしゃみ、咳があったと想定される音によって検知してもよい。
【0084】
また、人物の手を検知し、手があった部分については要清掃と判定されるまでの滞留時間を、人物領域のうち手以外の部分よりも短くする(定数mを小さい値とする)ようにしてもよい。さらに、映像からの物体検知も用いて、手があった部分で、かつ物体に触れたと検知された部分について、要清掃と判定される(S=1)までの時間を人物領域のうちそれ以外の部分よりも短くする、あるいは滞留が無くても要清掃と判定するようにしてもよい。このようにすることで、人物が手で触れた部分については優先的に利用を避ける、清掃を促す、ということが可能となり、より確実な感染症対策が可能となる。
【0085】
また、本実施形態では、部屋別に清掃完了ボタン314で清掃完了を通知する例を説明したが、全体的ではなく一部分に対する部分的な清掃完了を通知できるようにしてもよい。例えば、席別の清掃完了の指示を受け付けたり、範囲別の清掃完了の指示を受け付けたりしてもよい。このような部分的な清掃完了通知を受け付けた場合は、サーバー装置105は、清掃完了通知があった部分(席、一部範囲など)に対応するブロックの滞留度Sを初期化し、その他のブロックの滞留度Sは初期化しない。このようにすることで、例えば、取り急ぎ1席だけ清掃して、新たに1人が利用できるようにする、といった使い方ができる。
【0086】
また、清掃完了通知は、ユーザーが手動で操作したことに基づく通知ではなく、清掃が完了したと判定したことに応じて通知してもよい。例えば、清掃員や清掃機器をICタグや画像認識で検知し、対象となる部屋内について清掃したと想定される移動があったことを検知した場合に、清掃が完了したと判定する(清掃完了を自動的に検知する)ことができる。
【0087】
さらに、清掃完了通知は、ユーザーが手動で行う場合に、清掃完了ボタン314の操作のように端末装置101の操作部206を直接操作する方法を説明したが、これに限るものではない。端末装置101の操作部206を直接操作する以外の方法によって清掃完了通知(清掃完了指示)が行えるようにしてもよい。例えば、清掃者が清掃を完了した際に、カメラ104a~104cのうち清掃が完了した部屋のカメラ、あるいは端末装置101が備えるカメラ部212に対し特定のジェスチャーを行うことで清掃完了指示としてもよい。また、清掃者が清掃を完了した際に、清掃が完了した部屋、あるは端末装置101のカメラに対してQRコード(登録商標)やバーコードなどの特定の識別画像(清掃者の所有物に印刷あるいは表示されているもの)を撮影させることで清掃完了指示としてもよい。サーバー装置105で、カメラ104a~104cで撮影された画像から特定のジェスチャーや特定の識別画像を検出した場合に、ユーザー(清掃者)からの清掃完了指示として受け付けることが可能である。また、端末装置101に備えられたカメラ部212で撮影された画像から特定のジェスチャーや特定の識別画像を端末101で検出した場合に、ユーザー(清掃者)からの清掃完了指示として受け付け、清掃完了通知を通知することが可能である。さらに、清掃完了指示(清掃完了通知)は、部屋に備えられた入室権限を判断するためのカードリーダーなどに、清掃者が持つ特定のカードをかざすことなどにより指示(通知)できるものとしてもよい。さらに、清掃完了指示(清掃完了通知)は、部屋に設けられたマイク(不図示)や端末装置101のマイク(不図示)に対し、ユーザーが特定の音声コマンドを発することにより指示(通知)できるものとしてもよい。このようにすることで、清掃者でない人物が、清掃をしていない状態で誤って清掃完了通知をしてしまうことを防止することができる。また、端末装置101の操作部206を複数の人物が触ることによる汚染も防止できる。
【0088】
なお、本実施形態では、人物の滞留状況に基づいて滞留状況や要清掃か否かを表示する例を説明したが、滞留状況の検知対象は人物に限るものではない。例えば、動物の滞留状況に基づいて滞留状況や要清掃か否かを表示するようにしてもよい。この場合、S512で説明した人物検出を特定の動物の検出に置き換え、以降の処理について人物の代わりに検出対象の動物に関する処理とすればよい。このようにすれば、例えば畜舎における家畜の滞留状況を鑑みて清掃を効率的に行うことができる。これによって家畜の感染症対策に寄与することができる。また、清掃すべき糞尿や抜け毛などは滞留した位置に多くあることが想定されるため、感染症対策の目的に限らず、効率的な清掃を支援することもできる。また、清掃目的に限らず、餌場や寝床の設置などのレイアウト設計の支援として用いることも可能である。
【0089】
また、本実施形態では滞留状況を検知する対象の空間(スペース)を部屋、畜舎とする例を説明したが。これに限るものではなく、屋外、屋内を含めて様々な空間に本発明を適用することが可能である。例えば、公園、グラウンド、競技場、観覧スペース、体育館、フィットネスジム、スポーツジム、集会場、ホール、公会堂、劇場、コンサート会場、待合スペース、電車内、バス車内、飲食スペース、客席などに適用可能である。
【0090】
また、本実施形態では、端末装置101とサーバー装置105とで連携した処理を行うを説明したが、これに限るものではなく、単一の電子機器(情報処理装置)だけで
図4、
図5で説明した処理を行うことも可能である。逆に、さらに多くのハードウエア(例えば、複数のプロセッサーや回路)が処理を分担することで、システム全体の制御を行ってもよい。
【0091】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である
【0092】
(他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。