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特許7244789環状カーボネート化合物、及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】環状カーボネート化合物、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 317/36 20060101AFI20230315BHJP
【FI】
C07D317/36 CSP
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022020674
(22)【出願日】2022-02-14
(62)【分割の表示】P 2018044727の分割
【原出願日】2018-03-12
(65)【公開番号】P2022065082
(43)【公開日】2022-04-26
【審査請求日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】P 2017046801
(32)【優先日】2017-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱田 智仁
(72)【発明者】
【氏名】山本 禎洋
(72)【発明者】
【氏名】林 航太郎
(72)【発明者】
【氏名】細川 萌
(72)【発明者】
【氏名】岸川 洋介
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-084512(JP,A)
【文献】特開2000-195544(JP,A)
【文献】特開平09-063644(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00049144(EP,A1)
【文献】特開平10-233345(JP,A)
【文献】国際公開第2004/092188(WO,A2)
【文献】特開2008-230970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)式(1B):
【化1】
[式中、
は、水素原子、有機基を表し、
Xは、ハロゲン原子を表し、
Yは、水素原子、又はハロゲン原子を表し、及び
nは、1、又は2の数を表す。]
で表される化合物
(2)式(1D):
【化2】
[式中、
1Dは、アルキル基を表し、及び
nは、1、又は2の数を表す。]
で表される化合物、及び
(3)2,2-ジアルキル-1,3-ジオキソラン-4-カルボアルデヒド
を含有する組成物。
【請求項2】
(1)式(1B):
【化3】
[式中、
は、水素原子、有機基を表し、
Xは、ハロゲン原子を表し、
Yは、水素原子、又はハロゲン原子を表し、及び
nは、1、又は2の数を表す。]
で表される化合物、及び
(2)式(1D):
【化4】
[式中、
1D は、アルキル基を表し、及び
nは、1、又は2の数を表す。]
で表される化合物
を含有する組成物の製造方法であって、
(A)2,2-ジアルキル-1,3-ジオキソラン-4-カルボアルデヒド及びその3量体の混合物にフッ素化剤を作用させてフッ素化する工程、及び
(B)工程(A)の生成物を、式:R1D-OH(式中の記号は、前記と同意義を表す。)で表されるアルコールの存在下で、脱アセトニド化する工程を含む、
製造方法。
【請求項3】
前記フッ素化剤が、脱酸素的フッ素化剤である請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
1Dが直鎖状又は分枝鎖状のC1-C4アルキルである請求項2又は3の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は環状カーボネート化合物(特に含フッ素環状カーボネート化合物)の製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
環状カーボネート化合物(特に含フッ素環状カーボネート化合物)は、機能性材料、及び医農薬化合物等の各種化学製品、及びそれらの中間体等として、極めて重要な化合物である。
従って、環状カーボネート化合物の、新たな製造方法の提供が、常に求められている。
【0003】
非特許文献1には、含フッ素環状カーボネート化合物の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Kerouredanら、Synthesis, 2008, 24, pp3903-3918
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、環状カーボネート化合物の新規製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、式(1B):
【化1】
[式中、
Xは、水素原子、有機基を表し、
Xは、ハロゲン原子を表し、
Yは、水素原子、又はハロゲン原子を表し、及び
nは、1、又は2の数を表す。]
で表される化合物[本明細書中、化合物(1B)と称する場合がある。]の製造方法であって、
式(2):
【化2】
[式中、
Xは、水素原子、有機基を表し、
Xは、ハロゲン原子を表し、
Yは、水素原子、又はハロゲン原子を表し、及び
nは、1、又は2の数を表す。]
で表される化合物[本明細書中、化合物(2)と称する場合がある。]を、
ホスゲンと反応させる工程1を含む、
製造方法、
により前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は、次の態様を含む。
【0008】
項1.
式(1B):
【化3】
[式中、
Xは、水素原子、有機基を表し、
Xは、ハロゲン原子を表し、
Yは、水素原子、又はハロゲン原子を表し、及び
nは、1、又は2の数を表す。]
で表される化合物の製造方法であって、
式(2):
【化4】
[式中、
Xは、水素原子、有機基を表し、
Xは、ハロゲン原子を表し、
Yは、水素原子、又はハロゲン原子を表し、及び
nは、1、又は2の数を表す。]
で表される化合物を、
ホスゲンと反応させる工程1を含む、
製造方法。
項2.
は、水素原子、又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基[当該炭化水素基には、-NR-、=N-、-N=、-O-、-S-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)-NR-、-NR-S(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)-NR-、及び-NR-S(=O)-(これらの式中、Rは、独立して、水素原子、又は有機基である。)からなる群より選択される1個以上の部分が挿入されていてもよい。]である項1に記載の製造方法。
項3.
Xは、水素原子、アルキル基、又はフルオロアルキル基である項2に記載の化合物。
項4.
Xは、フッ素原子である項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
項5.
Yは、ハロゲン原子である項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
項6.
ホスゲンは、モノホスゲン、トリホスゲン、又はフルオロホスゲンである、項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
項7.
(1)項1中に記載されている前記式(1B)で表される化合物、及び
(2)式(1D):
【化5】
[式中、
1Dは、アルキル基を表し、及び
nは、1、又は2の数を表す。]
で表される化合物
を含有する組成物。
項8.
項7に記載の組成物の製造方法であって、
(A)2,2-ジアルキル-1,3-ジオキソラン-4-カルボアルデヒド及びその3量体の混合物にフッ素化剤を作用させてフッ素化する工程、及び
(B)工程(A)の生成物を、式:R1D-OH(式中の記号は、前記と同意義を表す。)で表されるアルコールの存在下で、脱アセトニド化する工程を含む、
製造方法。
項9.
前記フッ素化剤が、脱酸素的フッ素化剤である項8に記載の製造方法。
項10.
1Dが直鎖状又は分枝鎖状のC1-C4アルキルである項8又は9の製造方法。
項11.
4-(ジメトキシメチル)-1,3-ジオキソラン。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、新たな環状カーボネート化合物(特に含フッ素環状カーボネート化合物)の提供、及びその製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
用語
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、本発明が属する技術分野において通常用いられる意味に理解できる。
本明細書中、語句「含有する」は、語句「から本質的になる」、及び語句「からなる」を包含することを意図して用いられる。
特に限定されない限り、本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、室温で実施され得る。
本明細書中、室温は、10~40℃の範囲内の温度を意味する。
本明細書中、表記「Cn-Cm」(ここで、n、及びmは、数である。)は、当業者が通常理解する通り、炭素数がn以上、且つm以下であることを表す。
【0011】
本明細書中、特に限定の無い限り、「ハロゲン原子」の例は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を包含できる。
【0012】
本明細書中、「有機基」とは、1個以上の炭素原子を含有する基(又は有機化合物から1個の水素原子を除去して形成される基)を意味する。
【0013】
当該「有機基」の例は、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
シアノ基、
アルデヒド基、
O-、
CO-、
SO-、
OCO-、及び
OSO
(これらの式中、Rは、独立して、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、又は
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基である)
を包含できる。
【0014】
本明細書中、「有機基」は、例えば、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基[当該炭化水素基には、-NR-、=N-、-N=、-O-、-S-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)-NR-、-NR-S(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)-NR-、及び-NR-S(=O)-(これらの式中、Rは、独立して、水素原子、又は有機基である。)からなる群より選択される1個以上の部分が挿入されていてもよい。]であることができる。
化学分野の常識に基づいて通常理解される通り、このようにヘテロ原子が挿入された炭化水素基の例は、非芳香族複素環基、及びヘテロアリール基を包含できる。
【0015】
本明細書中、「1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」の炭素数は、例えば、1~20、又は1~10(例:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10)であることができる。
【0016】
本明細書中、
「1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいアリール基」、及び
「1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基」
における「置換基」の例は、それぞれ、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、チオキソ基、スルホ基、スルファモイル基、スルフィナモイル基、及びスルフェナモイル基を包含できる。
当該置換基の数は、1個から置換可能な最大個数の範囲内(例:1個、2個、3個、4個、5個、6個)であることができる。
【0017】
本明細書中、「炭化水素基」の例は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基、アリール基、アラルキル基、及びこれらの組合せである基を包含できる。
【0018】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アルキル基」の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、C1-C10アルキル基を包含できる。
【0019】
本明細書中、「フルオロアルキル基」は、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基である。
本明細書中、「フルオロアルキル基」が有するフッ素原子の数は、1個以上(例:1~3個、1~6個、1~12個、1個から置換可能な最大数)であることができる。
「フルオロアルキル基」は、パーフルオロアルキル基を包含する。
「パーフルオロアルキル基」は、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基である。当該パーフルオロアルキル基の具体例は、トリフルオロメチル基(CF-)、及びペンタフルオロエチル基(C-)を包含する。
本明細書中、「フルオロアルキル基」は、例えば、炭素数1~20、炭素数1~12、炭素数1~6、炭素数1~4、炭素数1~3、炭素数6、炭素数5、炭素数4、炭素数3、炭素数2、又は炭素数1のフルオロアルキル基であることができる。
本明細書中、「フルオロアルキル基」は、直鎖状、又は分枝鎖状のフルオロアルキル基であることができる。
本明細書中、「フルオロアルキル基」として、具体的には、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基(CF-)、2,2,2-トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基(C-)、テトラフルオロプロピル基(例:HCFCFCH-)、ヘキサフルオロプロピル基(例:(CFCH-)、ノナフルオロブチル基、オクタフルオロペンチル基(例:HCFCFCFCFCH-)、及びトリデカフルオロヘキシル基等が挙げられる。
【0020】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アルケニル基」の例は、ビニル、1-プロペン-
1-イル、2-プロペン-1-イル、イソプロペニル、2-ブテン-1-イル、4-ペンテン-1-イル、及び5-へキセン-1-イル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、C2-10アルケニル基を包含できる。
【0021】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アルキニル基」の例は、エチニル、1-プロピン-1-イル、2-プロピン-1-イル、4-ペンチン-1-イル、5-へキシン-1-イル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、C2-C10アルキニル基を包含できる。
【0022】
本明細書中、特に限定の無い限り、「シクロアルキル基」の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等のC3-C7シクロアルキル基を包含できる。
【0023】
本明細書中、特に限定の無い限り、「シクロアルケニル基」の例は、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル等のC3-C7シクロアルケニル基を包含できる。
【0024】
本明細書中、特に限定の無い限り、「シクロアルカジエニル基」の例は、シクロブタジエニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタジエニル、シクロオクタジエニル、シクロノナジエニル、シクロデカジエニル等のC4-C10シクロアルカジエニル基を包含できる。
【0025】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アリール基」は、単環性、2環性、3環性、又は4環性であることができる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「アリール基」は、C6-C18アリール基であることができる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「アリール基」の例は、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、2-ビフェニル、3-ビフェニル、4-ビフェニル、及び2-アンスリルを包含できる。
【0026】
本明細書中、特に限定の無い限り、「アラルキル基」の例は、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル、2,2-ジフェニルエチル、3-フェニルプロピル、4-フェニルブチル、5-フェニルペンチル、2-ビフェニリルメチル、3-ビフェニリルメチル、及び4-ビフェニリルメチルを包含できる。
【0027】
本明細書中、特に限定の無い限り、「非芳香族複素環基」は、単環性、2環性、3環性、又は4環性であることができる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「非芳香族複素環基」は、例えば、環構成原子として、炭素原子に加えて酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子から選ばれる1~4個のヘテロ原子を含有する非芳香族複素環基であることができる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「非芳香族複素環基」は、飽和、又は不飽和であることができる。
本明細書中、特に限定の無い限り、「非芳香族複素環基」の例は、テトラヒドロフリル、オキサゾリジニル、イミダゾリニル(例:1-イミダゾリニル、2-イミダゾリニル、4-イミダゾリニル)、アジリジニル(例:1-アジリジニル、2-アジリジニル)、アゼチジニル(例:1-アゼチジニル、2-アゼチジニル)、ピロリジニル(例:1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、3-ピロリジニル)、ピペリジニル(例:1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル)、アゼパニル(例:1-アゼパニル、2-アゼパニル、3-アゼパニル、4-アゼパニル)、アゾカニル(例:1-アゾカニル、2-アゾカニル、3-アゾカニル、4-アゾカニル)、ピペラジニル(例:1,4-ピペラジン-1-イル、1,4-ピペラジン-2-イル)、ジアゼピニル(例:1,4-ジアゼピ
ン-1-イル、1,4-ジアゼピン-2-イル、1,4-ジアゼピン-5-イル、1,4-ジアゼピン-6-イル)、ジアゾカニル(例:1,4-ジアゾカン-1-イル、1,4-ジアゾカン-2-イル、1,4-ジアゾカン-5-イル、1,4-ジアゾカン-6-イル、1,5-ジアゾカン-1-イル、1,5-ジアゾカン-2-イル、1,5-ジアゾカン-3-イル)、テトラヒドロピラニル(例:テトラヒドロピラン-4-イル)、モルホリニル(例:4-モルホリニル)、チオモルホリニル(例:4-チオモルホリニル)、2-オキサゾリジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニル、及びジヒドロキノリル等を包含できる。
【0028】
本明細書中、特に限定の無い限り、「ヘテロアリール基」の例は、単環性芳香族複素環基(例:5又は6員の単環性芳香族複素環基)、及び芳香族縮合複素環基(例:5~18員の芳香族縮合複素環基)を包含できる。
【0029】
本明細書中、特に限定の無い限り、「5又は6員の単環性芳香族複素環基」の例は、ピロリル(例:1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル)、フリル(例:2-フリル、3-フリル)、チエニル(例:2-チエニル、3-チエニル)、ピラゾリル(例:1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル)、イミダゾリル(例:1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル)、イソオキサゾリル(例:3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル)、オキサゾリル(例:2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル)、イソチアゾリル(例:3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリル、5-イソチアゾリル)、チアゾリル(例:2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル)、トリアゾリル(例:1,2,3-トリアゾール-4-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イル)、オキサジアゾリル(例:1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)、チアジアゾリル(例:1,2,4-チアジアゾール-3-イル、1,2,4-チアジアゾール-5-イル)、テトラゾリル、ピリジル(例:2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル)、ピリダジニル(例:3-ピリダジニル、4-ピリダジニル)、ピリミジニル(例:2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル)、ピラジニル等を包含できる。
【0030】
本明細書中、特に限定の無い限り、「5~18員の芳香族縮合複素環基」の例は、イソインドリル(例:1-イソインドリル、2-イソインドリル、3-イソインドリル、4-イソインドリル、5-イソインドリル、6-イソインドリル、7-イソインドリル)、インドリル(例:1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル)、ベンゾ[b]フラニル(例:2-ベンゾ[b]フラニル、3-ベンゾ[b]フラニル、4-ベンゾ[b]フラニル、5-ベンゾ[b]フラニル、6-ベンゾ[b]フラニル、7-ベンゾ[b]フラニル)、ベンゾ[c]フラニル(例:1-ベンゾ[c]フラニル、4-ベンゾ[c]フラニル、5-ベンゾ[c]フラニル)、ベンゾ[b]チエニル、(例:2-ベンゾ[b]チエニル、3-ベンゾ[b]チエニル、4-ベンゾ[b]チエニル、5-ベンゾ[b]チエニル、6-ベンゾ[b]チエニル、7-ベンゾ[b]チエニル)、ベンゾ[c]チエニル(例:1-ベンゾ[c]チエニル、4-ベンゾ[c]チエニル、5-ベンゾ[c]チエニル)、インダゾリル(例:1-インダゾリル、2-インダゾリル、3-インダゾリル、4-インダゾリル、5-インダゾリル、6-インダゾリル、7-インダゾリル)、ベンゾイミダゾリル(例:1-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、4-ベンゾイミダゾリル、5-ベンゾイミダゾリル)、1,2-ベンゾイソオキサゾリル(例:1,2-ベンゾイソオキサゾール-3-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-4-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-5-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-6-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-7-イル)、ベンゾオキサゾリル(例:2-ベンゾオキサゾリル、4-ベンゾオキサゾリル、5-ベンゾオキサゾリル、6-ベンゾオキサゾリル、7-ベンゾオキサゾリル)、1,2-ベンゾイソチアゾリル(例:1,2-ベンゾイソチアゾール-3-
イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-4-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-5-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-6-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-7-イル)、ベンゾチアゾリル(例:2-ベンゾチアゾリル、4-ベンゾチアゾリル、5-ベンゾチアゾリル、6-ベンゾチアゾリル、7-ベンゾチアゾリル)、イソキノリル(例:1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル)、キノリル(例:2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、8-キノリル)、シンノリニル(例:3-シンノリニル、4-シンノリニル、5-シンノリニル、6-シンノリニル、7-シンノリニル、8-シンノリニル)、フタラジニル(例:1-フタラジニル、4-フタラジニル、5-フタラジニル、6-フタラジニル、7-フタラジニル、8-フタラジニル)、キナゾリニル(例:2-キナゾリニル、4-キナゾリニル、5-キナゾリニル、6-キナゾリニル、7-キナゾリニル、8-キナゾリニル)、キノキサリニル(例:2-キノキサリニル、3-キノキサリニル、5-キノキサリニル、6-キノキサリニル、7-キノキサリニル、8-キノキサリニル)、ピラゾロ[1,5-a]ピリジル(例:ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イル)、イミダゾ[1,2-a]ピリジル(例:イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-8-イル)等を包含できる。
【0031】
本明細書中、特に限定の無い限り、
「1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基」、及び
「1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基」
における各「置換基」の例は、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、チオキソ基、スルホ基、スルファモイル基、スルフィナモイル基、及びスルフェナモイル基を包含できる。
当該置換基の数は、1個から置換可能な最大個数の範囲内(例:1個、2個、3個、4個、5個、6個)であることができる。
【0032】
化合物(1B)の製造方法
本発明の、化合物(1B)の製造方法は、
式(2):
【化6】
[式中、
は、水素原子、有機基を表し、
Xは、ハロゲン原子を表し、
Yは、水素原子、又はハロゲン原子を表し、及び
nは、1、又は2の数を表す。]
で表される化合物(2)を、
ホスゲンと反応させる工程1を含む。
【0033】
当該製造方法において、前記式(2)中の記号は、前記式(1B)中の記号と対応することができる。
【0034】
Xは、好ましくはフッ素原子である。
【0035】
Xは、好ましくは、水素原子、又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基
[当該炭化水素基には、-NR-、=N-、-N=、-O-、-S-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)-NR-、-NR-S(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)-NR-、及び-NR-S(=O)-(これらの式中、Rは、独立して、水素原子、又は有機基である。)からなる群より選択される1個以上の部分が挿入されていてもよい。]である。
【0036】
当該「1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基」の好適な例は、
無置換の炭化水素基
を包含する。
【0037】
Xは、より好ましくは、水素原子、アルキル基、又はフルオロアルキル基である。
当該Rについての「フルオロアルキル基」の好適な例は、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1~3のフルオロアルキル基[好適な具体例:-CF、-CFH、-CFH、-CHCF、-CHCFH、-CHCFH、-CFCF、-CFCFH、-CFCFH、-CFHCF、-CFHCFH、-CFHCFH、-CH(CF、-CH、-CHCFCF、-CHCFCFH、及び-CFCFCF]を包含し;及びより好適な例は、-CHCF、及び-CFCFを包含する。
【0038】
Xは、更に好ましくは、水素原子、又はメチル基、又はトリフルオロメチル基(-C
)である。
【0039】
Xは、特に好ましくは、水素原子である。
【0040】
Xは、特に好ましくは、フッ素原子である。
【0041】
Yは、好ましくは、ハロゲン原子である。
Yは、特に好ましくは、フッ素原子である。
【0042】
nは、特に好ましくは、1である。
【0043】
好ましくは、
Xは、水素原子、又はメチル基であり、
Yは、ハロゲン原子であり、
Xは、ハロゲン原子であり、及び
nは、1、又は2の数である。
【0044】
好ましくは、
Xは、水素原子、又はメチル基であり、
Yは、フッ素原子であり、
Xは、フッ素原子であり、及び
nは、1である。
【0045】
工程1において使用されるホスゲンの例は、モノホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン、及びフルオロホスゲンを包含する。なかでも、モノホスゲン、トリホスゲン、及びフルオロホスゲンが好ましく、及びトリホスゲンがより好ましい。
【0046】
工程1において使用されるホスゲンの例は、モノホスゲンの前駆体(例:ジホスゲン、トリホスゲン)を包含する。
【0047】
工程1におけるホスゲンの使用量は、ホスゲン換算で、前記式(2)の化合物の1モルに対して、好ましくは0.1~5モルの範囲内、より好ましくは0.3~4モルの範囲内、及び更に好ましくは0.5~2モルであることができる。
前記ホスゲン換算においては、トリホスゲン1モルはホスゲン3モルに換算し、ジホスゲン1モルはホスゲン2モルに換算する。
【0048】
工程1の反応は、求核剤の存在下で、好適に実施され得る。
当該求核剤としては、例えば、塩基を使用できる。
当該塩基は、無機塩基、又は有機塩基であることができ、好ましくは有機塩基であることができる。
当該無機塩基の例は、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カリウムを包含する。
当該有機塩基の好適な例は、アミンを包含する。
当該触媒の例は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、及びピリジンを包含する。
当該触媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられ得る。
当該触媒の使用量は、前記式(2)の化合物の1モルに対して、好ましくは0.01~100モルの範囲内、より好ましくは0.1~80モルの範囲内、及び更に好ましくは0.5~60モルの範囲内、更に好ましくは1~40モルの範囲内であることができる。
【0049】
工程1の反応温度の上限は、好ましくは-10℃、より好ましくは-20℃、更に好ましくは-30℃、及びより更に好ましくは-40℃であることができる。
工程1の反応温度の下限は、好ましくは-200℃、より好ましくは-150℃、更に好ましくは-100℃、及びより更に好ましくは-80℃であることができる。
工程1の反応温度は、好ましくは-200~-10℃の範囲内より好ましくは、-150~-20℃の範囲内、更に好ましくは-100℃~-30℃の範囲内、より更に好ましくは、及び特に好ましくは-80~-40℃の範囲内である。
【0050】
工程1の反応時間の上限は、好ましくは30分間、より好ましくは25分間、及び更に好ましくは20分間であることができる。
工程1の反応時間の下限は、好ましくは5分間、より好ましくは10分間、及び更に好ましくは15分間であることができる。
工程1の反応時間は、好ましくは5~30分間の範囲内、より好ましくは10~25分間の範囲内、及び更に好ましくは15~20分間の範囲内であることができる。
【0051】
本発明の製造方法によれば、前記式(1B)で表される化合物が、好ましくは1~30%、より好ましくは2~25%、更に好ましくは3~20%、より更に好ましくは4~10%、及び特に好ましくは5%~6%の範囲内の収率で得られる。
【0052】
、工程Aは塩基の不存在下で実施されるか、又は塩基の量が少ない条件で実施されることが好ましい。
具体的には、次の条件が好ましい。
前記塩基の量の上限は、前記式(2)で表される化合物の1モルに対して、例えば、好ましくは5モル、より好ましくは4モル、及び更に好ましくは3モルであることができる

前記塩基の量の下限は、前記式(2)で表される化合物の1モルに対して、好ましくは0.01モル、より好ましくは0.1モル、及び更に好ましくは0.5モルであることができる。
前記塩基の量は、前記式(2)で表される化合物の1モルに対して、好ましくは0.01~5の範囲内、より好ましくは0.1~4、及び更に好ましくは0.5~3の範囲内であることができる。
【0053】
工程1の反応は、不活性ガス(例:窒素ガス)存在下、又は不存在下で実施され得る。
【0054】
工程1の反応は、溶媒中で好適に実施され得る。
当該溶媒の例は、
(1)ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、及びキシレン等の炭化水素系溶媒;
(2)ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、及び四塩化炭素等の塩素系溶媒;並びに
(3)ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、THF、DME、及びジオキサン等のエーテル系溶媒
を包含する。
当該溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられ得る。
【0055】
工程1の反応は、所望により、反応生成液の水洗等の手段により、停止させることができる。
【0056】
工程1で得られた、前記式(1B)で表される化合物は、それぞれ、所望により、抽出、溶解、濃縮、析出、吸着、又はクロマトグラフィー等の慣用の方法、或いはこれらの組合せにより、単離、又は精製できる。
所望により、未反応原料は、回収、及び再利用が可能である。
【0057】
組成物
本発明は、前記式(1B)で表される化合物、及び前記式(1D)で表される化合物を含有する組成物もまた提供する。
【0058】
当該組成物における、前記式(1B)で表される化合物、及び前記式(1D)で表される化合物の組合せにおいて、式(1B)、及び式(1D)中の共通する記号で表される置換基等は、それぞれ、同一か、又は異なっていることができるが、好ましくは同一である。
【0059】
当該組成物は、前記製造方法によって前記式(1B)で表される化合物、及び前記式(1D)で表される化合物を同時に生成させることによっても製造でき、又は前記式(1B)で表される化合物、及び前記式(1D)で表される化合物を混合することによっても製造できる。
【0060】
前記式(1D)の記号、R1Dは、好ましくは、直鎖状又は分枝鎖状のC1-C4アルキルであり、及びより好ましくはメチルである。
【0061】
前記式(1B)で表される化合物、及び前記式(1D)で表される化合物のモル比は、好ましくは0.1:99.9~99.9:0.1の範囲内、
より好ましくは1:99~99:1の範囲内、
更に好ましくは10:90~90:10の範囲内、
より更に好ましくは20:80~80:20の範囲内、及び
特に好ましくは40:60~60:40の範囲内
であることができる。
【0062】
組成物の製造方法
前記本発明の組成物[すなわち、前記式(1B)で表される化合物、及び前記式(1D)で表される化合物を含有する組成物]は、例えば、
(A)2,2-ジアルキル-1,3-ジオキソラン-4-カルボアルデヒド[以下、カルボアルデヒド化合物と称する場合がある。]及びその3量体の混合物にフッ素化剤を作用させてフッ素化する工程、及び
(B)工程(A)の生成物を、式:R1D-OH(式中の記号は、前記と同意義を表す。)で表されるアルコールの存在下で、脱アセトニド化する工程を含む、
製造方法
によって製造できる。
【0063】
工程(A)
工程(A)で用いられるカルボアルデヒド化合物の好適な例は、
2,2-ジ(C1-C4アルキル)-1,3-ジオキソラン-4-カルボアルデヒド
を包含し、及び
そのより好適な例は、
2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-カルボアルデヒド
を包含する。
【0064】
前記混合物における、前記カルボアルデヒド化合物及びその3量体のモル比は、
好ましくは0.1:99.9~99.9:0.1の範囲内、
より好ましくは1:99~99:1の範囲内、
更に好ましくは10:90~90:10の範囲内、
より更に好ましくは20:80~80:20の範囲内、及び
特に好ましくは40:60~60:40の範囲内
であることができる。
【0065】
工程(A)で用いられるフッ素化剤は、好ましくは、脱酸素的フッ素化剤である。
当該フッ素化剤は、具体的には、四フッ化硫黄(SF)、ジメチルアミノ硫黄トリフルオリド、ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド、モルホリノ硫黄トリフルオリド、及びビス(2-メトキシエチル)アミノ硫黄トリフルオリドからなる群より選択される1種以上であることができる。
【0066】
当該フッ素化剤の使用量は、前記カルボアルデヒド化合物及びその3量体(単量体換算)の総量の1モルに対して、
好ましくは1~10モルの範囲内、
より好ましくは1~7モルの範囲内、及び
更に好ましくは1~5モルの範囲内
であることができる。
【0067】
工程(B)
式:R1D-OHで表されるアルコールの使用量は、
前記カルボアルデヒド化合物及びその3量体(単量体換算)の総量の1モルに対して、
好ましくは2モル以上、及び
より好ましくは5モル以上、
更に好ましくは10モル以上、
であることができる。
また溶媒量使用して反応溶媒としても使用できる。
【0068】
式:R1D-OHで表されるアルコールは、前記カルボアルデヒド化合物及びその3量体に対して、大過剰で用いることができ、及び反応溶媒としても機能できる。
【0069】
1Dは、前記式(1D)に対応して、好ましくは、直鎖状又は分枝鎖状のC1-C4アルキルであり、及びより好ましくはメチルである。
【0070】
得られた組成物は、所望により、抽出、溶解、濃縮、析出、吸着、又はクロマトグラフィー等の慣用の方法、或いはこれらの組合せにより、単離、又は精製できる。
所望により、未反応原料は、回収、及び再利用が可能である。
【0071】
4-(ジメトキシメチル)-1,3-ジオキソラン-2-オン
本発明の製造方法で製造できる化合物のうち、4-(ジメトキシメチル)-1,3-ジオキソラン-2-オンは、新規化合物である。
すなわち、本発明によれば、当該化合物も提供される。
【実施例
【0072】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例中、以下の略称を使用する場合がある。
【0073】
実施例1
4-(ジフルオロメチル)-1,3-ジオキソラン-2-オン
3,3-ジフルオロプロパン-1,2-ジオール14.5gに対し、-78℃下に、ジクロロメタン300g、ピリジン40g、及びトリホスゲン15.4gを添加し、及び更に15分間撹拌した。
反応終了後、反応生成液を水洗し、及びカラムクロマトグラフィーによって精製した。
4-(ジフルオロメチル)-1,3-ジオキソラン-2-オン 1.08gが油状物質として得られた。
分析はHNMR、及び19FNMRにて行った。
【0074】
実施例2
4-(ジフルオロメチル)-1,3-ジオキソラン-2-オン及び4-(ジメトキシメチル)-1,3-ジオキソラン-2-オンの製造
2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-カルボアルデヒドとその3量体の混合物(10:1)10gに対して、ジクロロメタン200mLを加え、冷却後にDASTの22mLを加えた。
撹拌後に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で処理し、ジクロロメタンで抽出・濃縮を行った。
得られた混合物をメタノール30mLに再溶解し、パラトルエンスルホン酸・1水和物の2.4gを冷却下に加えて撹拌した。
少量のトリエチルアミンで処理し、濾過・濃縮を行った。得られた混合物に対して、ジクロロメタン250mlを加えて再溶解させ、DMF0.1ml、ピリジン40mLを混合し撹拌を行った。窒素置換した後に、-78℃でトリホスゲン15.4gのジクロロメタン50mlの溶液を滴下した。
その溶液を室温に戻して撹拌した後、氷水を加えた。分液後、有機相を10wt%クエン酸水溶液による水洗を3回した後、有機層を乾燥、及び濃縮した。
混合物のカラムクロマトグラフィーによる精製を行い、目的物である4-(ジフルオロ
メチル)-1,3-ジオキソラン-2-オン 2.4g、及び4-(ジメトキシメチル)-1,3-ジオキソラン-2-オン 0.6gを得た。
分析はHNMR、及び19FNMRにて行った。
【0075】
実施例3
(1) 3,3-ジメトキシプロパン-1,2-ジオールの製造
3,3-ジメトキシ-1-プロペン5.1gに水60mlを加え、窒素置換した後に、0℃で0.3Mの過マンガン酸カリウム水溶液150mlを滴下した。
その溶液を室温に戻し、2時間撹拌を行った。
その後、reflux温度で1時間加熱撹拌した。
室温に戻し、ろ過し、ろ液にKCOを120g加えた。その後、酢酸エチル50mlで抽出し、その操作を5回行った。有機層を乾燥、濃縮して、目的物2.0gを得た。
分析はHNMR、及び19FNMRにて行った。
【0076】
(2) 4-(ジメトキシメチル)-1,3-ジオキソラン-2-オンの製造
3,3-ジメトキシプロパン-1,2-ジオール2.0gに、ジクロロメタン30ml、DMF0.01ml、及びピリジン3.49gを混合し撹拌を行った。窒素置換した後に、-78℃でトリホスゲン1.74g及びジクロロメタン10mlの溶液を滴下した。その溶液を室温に戻し、氷水を加えた。
分液後、有機相の10wt%クエン酸水溶液による水洗を3回実施した後、有機層を乾燥、及び濃縮して、目的物1.72gを得た。
分析はHNMR、及び19FNMRにて行った。