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特許7244816家畜授精適期検知システムおよび家畜授精適期検知ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】家畜授精適期検知システムおよび家畜授精適期検知ユニット
(51)【国際特許分類】
   A01K 29/00 20060101AFI20230315BHJP
   A61D 1/08 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
A01K29/00 A
A61D1/08 C
A61D1/08 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019167562
(22)【出願日】2019-09-13
(65)【公開番号】P2021040595
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(73)【特許権者】
【識別番号】304020292
【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新美 匡俊
(72)【発明者】
【氏名】音井 威重
(72)【発明者】
【氏名】谷原 史倫
【審査官】小笠原 かれん
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-113904(JP,A)
【文献】特表2019-505353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 29/00
A01K 21/00
A61D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家畜の膣内に保持される家畜授精適期検知ユニットを有する家畜授精適期検知システムであって、
前記家畜授精適期検知ユニットは、
前記家畜の前記膣内の子宮外口に光を照射する光源と、
前記子宮外口を撮像した画像情報を作成する撮像装置と、
制御装置と、
通信装置と、
バッテリと、
を有し、
前記制御装置は、
前記画像情報を含む家畜状態情報に基づいて、前記家畜に発情の兆候が現れているか否かを推定する発情推定部と、
前記発情推定部にて前記家畜に発情の兆候が現れていると推定した場合に、前記通信装置を介して、予め設定された送信先に、報知情報を無線方式にて送信する報知部と、
を有する、
家畜授精適期検知システム。
【請求項2】
家畜の膣内に保持される家畜授精適期検知ユニットと、家畜授精適期検知プログラムと、を有する家畜授精適期検知システムであって、
前記家畜授精適期検知ユニットは、
前記家畜の前記膣内の子宮外口に光を照射する光源と、
前記子宮外口を撮像した画像情報を作成する撮像装置と、
通信装置と、
前記画像情報を含む家畜状態情報を、前記通信装置を介して、予め設定された送信先に、無線方式にて送信する送信部を有する制御装置と、
バッテリと、
を有し、
前記家畜授精適期検知プログラムは、
前記家畜授精適期検知ユニットとは別体とされた管理装置を、
受信した前記家畜状態情報に基づいて、前記家畜に発情の兆候が現れているか否かを推定する発情推定部、
前記発情推定部にて前記家畜に発情の兆候が現れていると推定した場合に、報知情報を出力する報知部、
として機能させる、
家畜授精適期検知システム。
【請求項3】
家畜の膣内に保持される家畜授精適期検知ユニットと、前記家畜授精適期検知ユニットとは別体とされた管理装置と、を有する家畜授精適期検知システムであって、
前記家畜授精適期検知ユニットは、
前記家畜の前記膣内の子宮外口に光を照射する光源と、
前記子宮外口を撮像した画像情報を作成する撮像装置と、
通信装置と、
前記画像情報を含む家畜状態情報を、前記通信装置を介して、予め設定された送信先に、無線方式にて送信する送信部を有する制御装置と、
バッテリと、
を有し、
前記管理装置は、
前記送信先に設定されて前記家畜状態情報を受信する受信部と、
受信した前記家畜状態情報に基づいて、前記家畜に発情の兆候が現れているか否かを推定する発情推定部と、
前記発情推定部にて前記家畜に発情の兆候が現れていると推定した場合に、報知情報を出力する報知部と、
を有する、
家畜授精適期検知システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の家畜授精適期検知システムであって、
前記撮像装置は、所定タイミング毎に撮像して前記画像情報を作成し、
前記光源は、前記撮像装置が撮像するタイミングにて光を照射し、
前記発情推定部では、
前記家畜状態情報を蓄積し、
蓄積した前記家畜状態情報に含まれている前記画像情報に基づいた、前記子宮外口の色彩の変化傾向、または前記子宮外口のしわの数の変化傾向、の少なくとも一方に基づいて、前記家畜に発情の兆候が現れているか否かを推定する、
家畜授精適期検知システム。
【請求項5】
請求項4に記載の家畜授精適期検知システムであって、
前記家畜授精適期検知ユニットは、
さらに、前記家畜の体温を検出する体温検出手段と、前記家畜の運動に関連した加速度を検出する加速度検出手段と、の少なくとも1つを有しており、
前記家畜状態情報には、さらに、前記体温検出手段にて検出された体温情報、前記加速度検出手段にて検出された加速度情報、の少なくとも1つが含まれており、
前記発情推定部では、
前記家畜状態情報を蓄積し、
蓄積した前記家畜状態情報に含まれている前記画像情報に基づいた、前記子宮外口の色彩の変化傾向、または前記子宮外口のしわの数の変化傾向、の少なくとも一方と、
蓄積した前記家畜状態情報に含まれている前記体温情報に基づいた前記家畜の体温の変化傾向、または蓄積した前記家畜状態情報に含まれている前記加速度情報に基づいた前記家畜の活動量の変化傾向、の少なくとも1つと、
に基づいて、前記家畜に発情の兆候が現れているか否かを推定する、
家畜授精適期検知システム。
【請求項6】
家畜の膣内に保持される家畜授精適期検知ユニットであって、
前記家畜の前記膣内の子宮外口に光を照射する光源と、
前記子宮外口を撮像した画像情報を作成する撮像装置と、
制御装置と、
通信装置と、
バッテリと、
を有し、
前記制御装置は、
前記画像情報を含む家畜状態情報を、前記通信装置を介して、予め設定された送信先に、無線方式にて送信する送信部を有する、
家畜授精適期検知ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜用の家畜授精適期検知システムおよび家畜授精適期検知ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
牛や豚等の家畜を繁殖させるために、家畜が授精適期を迎えているときに家畜の人工授精を行うことが望ましい。家畜は発情し始めてから一定時間後に授精適期を迎える。このため、家畜に発情の兆候が現れていることを検知できれば、授精適期が近い(例えば、半日以内)か否かがわかる。そこで、家畜に発情の兆候が現れているか否かを調べて、家畜に発情の兆候が現れている場合に授精適期が近いと判断している。例えば雌牛の場合、約15時間程度の授精適期が、約21日周期で複数回発生する。そこで使用者(ユーザ)は、12時間程度の間隔(2回/1日)で見回って、雌牛を1頭ずつ確認していたので、非常に手間と時間がかかっていた。
【0003】
家畜の発情の兆候として、家畜が平常のときにくらべて、歩行数が増えることや、体温が上がることや、膣内の子宮外口(外子宮口)の外観が赤くなるとともにしわが減ることが知られている。そこで、授精適期を知るために、家畜の歩行数の変化や、体温の変化や、子宮外口の外観の変化に基づいて、家畜に発情の兆候が現れているか否かを調べている。
【0004】
ここで、歩行数の変化と、体温の変化とは、発情以外の要因に左右される場合がある。例えば、家畜が1頭毎に柵につながれて飼育されており、家畜が狭い範囲内でしか歩行できない場合には、家畜の歩行数は少ないため、歩行数の増減を判別することが難しい場合がある。従って、家畜の飼育環境によっては、家畜の歩行数の変化に基づいて、家畜に発情の兆候が現れているか否かを判断することが難しい場合がある。また、家畜の体温は、風邪等の体調不良によっても平常のときより上がる場合があり、家畜の体温が上昇していることが分かったとしてもその要因が、風邪等の体調不良か、あるいは、発情かは区別がつかない場合がある。このため、家畜の体温の変化に基づいて、家畜に発情の兆候が現れているか否かを判断することが困難な場合がある。以上の様に、家畜の歩行数の変化の要因および体温の変化の要因には、発情以外の要因があるため、家畜の歩行数の変化や体温の変化に基づいて、家畜に発情の兆候が現れているか否かを判断することは難しい場合がある。
【0005】
一方、家畜の子宮外口の外観は、発情によってより確実に変化すると考えられる。そこで、家畜の膣内の子宮外口の外観の変化に基づいて家畜に発情の兆候が現れているか否かを判断すれば、家畜に発情の兆候が現れているか否かをより確実に判断できる。そして、家畜の子宮外口の外観を観察するために適用できる技術が各種提案されている。例えば、特許文献1には、照明機器を組み付けた管を備える哺乳動物用膣鏡が記載されている。使用者は、特許文献1の哺乳動物用膣鏡の管を家畜の膣に挿入し、照明機器を発光させ、さらに、家畜の外側から管を覗くことで、家畜の膣内にある子宮外口の外観を観察できる。この様に特許文献1に記載の哺乳動物用膣鏡を用いて家畜の膣内の子宮外口を観察して、子宮外口の外観が赤くなるとともにしわが減るっているか否かを調べることで、上述の様に、家畜に発情の兆候が現れているか否かを知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-295787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、家畜の授精適期の長さや発情する期間の長さは限られた長さである。このため、例えば家畜が雌牛の場合、家畜に発情の兆候が現れているか否かを調べることが1日当たり1回しかできない場合には、家畜に発情の兆候が現れていることの発見が遅れて、家畜の人工授精を授精適期に行い難い場合がある。家畜の人工授精を授精適期に行うためには、1日当たり少なくとも朝夕の2回以上、家畜1頭1頭それぞれに対して、家畜に発情の兆候が現れているか否かを調べることが望ましい。
【0008】
例えば家畜が雌牛の場合、家畜の人工授精を授精適期に行うために、家畜に発情の兆候が現れているか否かを特許文献1の哺乳動物用膣鏡を用いて調べる場合、朝夕の2回以上、家畜1頭1頭それぞれに対して家畜を調べる必要があるため、調べるために要する労力が多大となる。また、特許文献1の哺乳動物用膣鏡を用いて子宮外口を観察しても、子宮外口の状態から家畜が授精適期を迎えているか否かを判断することは必ずしも容易ではない。従って、特許文献1の哺乳動物用膣鏡を用いて家畜に発情の兆候が現れているか否かを調べたとしても、家畜の人工授精を授精適期に行うことは容易ではなかった。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、家畜に発情の兆候が現れていることを使用者が知ることをより容易にする、家畜授精適期検知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第1の発明は、家畜の膣内に保持される家畜授精適期検知ユニットを有する家畜授精適期検知システムであって、前記家畜授精適期検知ユニットは、前記家畜の前記膣内の子宮外口に光を照射する光源と、前記子宮外口を撮像した画像情報を作成する撮像装置と、制御装置と、通信装置と、バッテリと、を有し、前記制御装置は、前記画像情報を含む家畜状態情報に基づいて、前記家畜に発情の兆候が現れているか否かを推定する発情推定部と、前記発情推定部にて前記家畜に発情の兆候が現れていると推定した場合に、前記通信装置を介して、予め設定された送信先に、報知情報を無線方式にて送信する報知部と、を有する、家畜授精適期検知システムである。
【0011】
次に、本発明の第2の発明は、家畜の膣内に保持される家畜授精適期検知ユニットと、家畜授精適期検知プログラムと、を有する家畜授精適期検知システムであって、前記家畜授精適期検知ユニットは、前記家畜の前記膣内の子宮外口に光を照射する光源と、前記子宮外口を撮像した画像情報を作成する撮像装置と、通信装置と、前記画像情報を含む家畜状態情報を、前記通信装置を介して、予め設定された送信先に、無線方式にて送信する送信部を有する制御装置と、バッテリと、を有し、前記家畜授精適期検知プログラムは、前記家畜授精適期検知ユニットとは別体とされた管理装置を、受信した前記家畜状態情報に基づいて、前記家畜に発情の兆候が現れているか否かを推定する発情推定部、前記発情推定部にて前記家畜に発情の兆候が現れていると推定した場合に、報知情報を出力する報知部、として機能させる、家畜授精適期検知システムである。
【0012】
次に、本発明の第3の発明は、家畜の膣内に保持される家畜授精適期検知ユニットと、前記家畜授精適期検知ユニットとは別体とされた管理装置と、を有する家畜授精適期検知システムであって、前記家畜授精適期検知ユニットは、前記家畜の前記膣内の子宮外口に光を照射する光源と、前記子宮外口を撮像した画像情報を作成する撮像装置と、通信装置と、前記画像情報を含む家畜状態情報を、前記通信装置を介して、予め設定された送信先に、無線方式にて送信する送信部を有する制御装置と、バッテリと、を有し、前記管理装置は、前記送信先に設定されて前記家畜状態情報を受信する受信部と、受信した前記家畜状態情報に基づいて、前記家畜に発情の兆候が現れているか否かを推定する発情推定部と、前記発情推定部にて前記家畜に発情の兆候が現れていると推定した場合に、報知情報を出力する報知部と、を有する、家畜授精適期検知システムである。
【0013】
次に、本発明の第4の発明は、上記第1の発明から第3の発明のいずれか1つに係る家畜授精適期検知システムであって、前記撮像装置は、所定タイミング毎に撮像して前記画像情報を作成し、前記光源は、前記撮像装置が撮像するタイミングにて光を照射し、前記発情推定部では、前記家畜状態情報を蓄積し、蓄積した前記家畜状態情報に含まれている前記画像情報に基づいた、前記子宮外口の色彩の変化傾向、または前記子宮外口のしわの数の変化傾向、の少なくとも一方に基づいて、前記家畜に発情の兆候が現れているか否かを推定する、家畜授精適期検知システムである。
【0014】
次に、本発明の第5の発明は、上記第4の発明に係る家畜授精適期検知システムであって、前記家畜授精適期検知ユニットは、さらに、前記家畜の体温を検出する体温検出手段と、前記家畜の運動に関連した加速度を検出する加速度検出手段と、の少なくとも1つを有しており、前記家畜状態情報には、さらに、前記体温検出手段にて検出された体温情報、前記加速度検出手段にて検出された加速度情報、の少なくとも1つが含まれており、前記発情推定部では、前記家畜状態情報を蓄積し、蓄積した前記家畜状態情報に含まれている前記画像情報に基づいた、前記子宮外口の色彩の変化傾向、または前記子宮外口のしわの数の変化傾向、の少なくとも一方と、蓄積した前記家畜状態情報に含まれている前記体温情報に基づいた前記家畜の体温の変化傾向、または蓄積した前記家畜状態情報に含まれている前記加速度情報に基づいた前記家畜の活動量の変化傾向、の少なくとも1つと、に基づいて、前記家畜に発情の兆候が現れているか否かを推定する、家畜授精適期検知システムである。
【0015】
次に、本発明の第6の発明は、家畜の膣内に保持される家畜授精適期検知ユニットであって、前記家畜の前記膣内の子宮外口に光を照射する光源と、前記子宮外口を撮像した画像情報を作成する撮像装置と、制御装置と、通信装置と、バッテリと、を有し、前記制御装置は、前記画像情報を含む家畜状態情報を、前記通信装置を介して、予め設定された送信先に、無線方式にて送信する送信部を有する、家畜授精適期検知ユニットである。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、家畜授精適期検知システムにおいて、家畜授精適期検知ユニットは、撮像装置が家畜の子宮外口を撮像して作成した画像情報を含む家畜状態情報に基づいて、発情推定部が、家畜に発情の兆候が現れていると推定した場合に、送信部があらかじめ設定された送信先に報知情報を無線方式にて送信する。そして、例えば送信先を、パーソナルコンピュータにした場合、当該パーソナルコンピュータに、送信した報知情報を表示させる。使用者は、表示させた報知情報を見るだけで、家畜の子宮外口の外観に基づいて家畜に発情の兆候が現れたと推定されたことを知ることができる。この様に、家畜授精適期検知システムは、家畜に直接触れることなく、家畜の子宮外口の外観に基づいて家畜に発情の兆候が現れと推定されたことを知り得る。これにより、家畜授精適期検知システムは、家畜に発情の兆候が現れていることを使用者が知ることをより容易にする。
【0017】
第2の発明によれば、家畜授精適期検知システムは、家畜授精適期検知ユニットおよび管理装置により、撮像装置が撮像した家畜の膣内の子宮外口の画像情報を含む家畜状態情報に基づいて、発情推定部が、家畜に発情の兆候が現れていると推定した場合に、管理装置の報知情報を出力させる。ここで、画像情報は子宮外口の外観を撮像装置が撮像して作成した情報であり、子宮外口の外観の情報を含む。家畜授精適期検知システムは、家畜の子宮外口の外観に基づいて家畜に発情の兆候が現れているか否かを推定して、推定した結果を出力して使用者に報知できる。これにより、家畜授精適期検知システムは、家畜に発情の兆候が現れていることを使用者が知ることをより容易にする。
【0018】
第3の発明によれば、家畜授精適期検知システムは、家畜授精適期検知ユニットおよび管理装置により、撮像装置が撮像した家畜の膣内の子宮外口の画像情報を含む家畜状態情報に基づいて、発情推定部が、家畜に発情の兆候が現れていると推定した場合に、管理装置の報知情報を出力させる。ここで、画像情報は子宮外口の外観を撮像装置が撮像して作成した情報であり、子宮外口の外観の情報を含む。家畜授精適期検知システムは、家畜の子宮外口の外観に基づいて家畜に発情の兆候が現れているか否かを推定して、推定した結果を出力して使用者に報知できる。これにより、家畜授精適期検知システムは、家畜に発情の兆候が現れていることを使用者が知ることをより容易にする。
【0019】
第4の発明によれば、家畜授精適期検知システムは、子宮外口を撮像して作成した画像情報から、子宮外口の色彩の変化傾向、または子宮外口のしわの数の変化傾向の少なくとも一方に基づいて、家畜に発情の兆候が現れているか否かを推定することを、所定のタイミング毎に行う。ここで、家畜に発情の兆候が現れているか否かの推定は、子宮外口の色彩の変化傾向、または子宮外口のしわの数の変化傾向の少なくとも一方に基づく。そして、子宮外口の色彩の変化傾向、および子宮外口のしわの数の変化傾向のいずれも、家畜が発情することに対して変化しやすい。これにより、家畜授精適期検知システムは、家畜に発情の兆候が現れているか否かをより高い確度で推定することが出来る。
【0020】
第5の発明によれば、家畜授精適期検知システムは、子宮外口の撮影画像の画像情報だけでなく、家畜の体温情報、または家畜の運動に関連する加速度情報の少なくとも一方に基づいて家畜に発情の兆候が現れているかを推定する。これにより、家畜授精適期検知システムは、家畜に発情の兆候が現れているか否かをより高い確度で推定することが出来る。
【0021】
第6の発明によれば、家畜授精適期検知ユニットは、撮像装置が撮像した家畜の膣内の子宮外口の画像情報を含む家畜状態情報を、無線方式にて予め設定された送信先に送信する。そして、例えば送信先を、パーソナルコンピュータにした場合、当該パーソナルコンピュータに、送信した子宮外口の画像情報を表示させる。使用者は、家畜に直接触れて子宮外口の外観を直接観察しなくても、表示させた子宮外口の画像情報を見るだけで、家畜の子宮外口の外観に基づいて家畜に発情の兆候が現れているか否かを推定できる。この様に、家畜授精適期検知ユニットは、家畜に直接触れて子宮外口の外観を直接観察しなくとも、家畜の子宮外口の外観に基づいて家畜に発情の兆候が現れているか否かを推定できるようにし得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1の実施の形態に係る家畜授精適期検知システムの全体構成を説明する図である。
図2】第1の実施の形態に係る家畜授精適期検知システムの構成を説明するブロック図である。
図3】第1の実施の形態に係る家畜授精適期検知システムによる処理手順の例を説明するフローチャートである。
図4】第1の実施の形態における、雌牛が発情していない平常の場合の家畜状態情報の説明図である。
図5】第1の実施の形態における、雌牛に発情の兆候が現れている場合の家畜状態情報の説明図である。
図6】管理装置の制御装置(CPU)が表示装置に確認情報を表示させている場合における、表示装置の画面表示の1例を説明する説明図である。
図7】管理装置の制御装置(CPU)が表示装置に報知情報を表示させている場合における、表示装置の画面表示の1例を説明する説明図である。
図8】第2の実施の形態に係る家畜授精適期検知システムの構成を説明するブロック図である。
図9】第2の実施の形態における、家畜授精適期検知ユニットによる処理手順の例を説明するフローチャートである。
図10】第3の実施の形態に係る家畜授精適期検知システムの構成を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の実施の形態の家畜授精適期検知システム1~3および本発明の実施の形態の家畜授精適期検知ユニット100(第4の実施の形態参照)について、図面を用いて説明する。家畜授精適期検知システム1~3は、家畜の授精適期を検知するシステムである。本発明の家畜授精適期検知システム1~3および家畜授精適期検知ユニット100(第4の実施の形態参照)では、授精適期を検知する対象の家畜を、家畜の一つの例として雌牛500とする。なお、図1の家畜授精適期検知ユニット100に示すように、家畜授精適期検知システム1~3は、雌牛500(家畜)の膣501内に保持される家畜授精適期検知ユニットを有する。図中および以下の説明において、前方とは、雌牛500の膣501に保持されたときの家畜授精適期検知ユニットの膣501の奥に向かう方向を示し、後方とは、前方の反対方向を示す。
【0024】
●[第1の実施の形態の家畜授精適期検知システム1の全体構成(図1図7)]
次に図1図7を用いて、家畜授精適期検知システムの第1の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、図1に示すように、家畜授精適期検知システム1は、家畜授精適期検知ユニット100と、管理装置200(例えばパーソナルコンピュータやスマートフォン)等にて構成されている。そして発情の兆候が現れているか否かの推定(後述)は、家畜授精適期検知ユニット100ではなく管理装置200にて行われる。なお、家畜授精適期検知ユニット100と管理装置200がメーカから供給されてもよいし、家畜授精適期検知ユニット100と家畜授精適期検知プログラムがメーカから供給されてもよい。家畜授精適期検知プログラムがメーカから供給される場合、家畜授精適期検知プログラムは、例えばインターネットからのダウンロードで供給されてもよいし、USBメモリやCD等の記憶媒体で供給されてもよい。使用者は、供給された家畜授精適期検知プログラムを、自身が所有しているパーソナルコンピュータやスマートフォンにインストールして管理装置200とすることができる。
【0025】
図1は、家畜授精適期検知システム1の全体構成を示す図である。また、図2は家畜授精適期検知システム1の構成を説明するブロック図である。図1に示すように、家畜授精適期検知システム1は、雌牛500(家畜)の膣501内に保持される家畜授精適期検知ユニット100と、家畜授精適期検知システム1とは別体とされた管理装置200とを有する。そして、管理装置200では、家畜授精適期検知プログラムが実行される。
【0026】
家畜授精適期検知ユニット100は、図2に示すように、筐体10、2つの光源20、撮像装置30、通信装置40、バッテリ50、制御装置60、ストッパ80等を有している。
【0027】
筐体10は、雌牛500の膣501に収容できる大きさの円柱状に形成されている。筐体10の前側には、2つの光源20、撮像装置30、ストッパ80等が取り付けられている。また、筐体10の内部には、通信装置40、バッテリ50、制御装置60等が取り付けられている。図1に示すように、家畜授精適期検知ユニット100が雌牛500の膣501内に保持されているとき、筐体10の前側が雌牛500の膣501内の子宮外口505(外子宮口)に対面するように、家畜授精適期検知ユニット100が保持される。
【0028】
光源20は、図2に示すように、筐体10の前側に2つ取り付けられており、例えばLED(Light Emitting Diode)、有機EL(Organic Electro-Luminescence)である。光源20は、制御装置60に接続されており、光源20の発光は制御装置60に制御されている。図1に示すように、光源20は筐体10の前側に取り付けられているため、家畜授精適期検知ユニット100が雌牛500の膣501内に保持されているとき、光源20は、雌牛500(家畜)の膣501内の子宮外口505(外子宮口)に光を照射することができる。
【0029】
撮像装置30は、カメラであり、図2に示すように、筐体10の前側に取り付けられている。撮像装置30は、制御装置60に接続されており、制御装置60に制御されている。図1に示すように、撮像装置30は筐体10の前側に取り付けられているため、家畜授精適期検知ユニット100が牛の膣501内に保持されているとき、撮像装置30は、子宮外口505を撮像して、撮像した撮影画像の画像情報を作成し、画像情報を含む家畜状態情報を制御装置60に出力することができる。
【0030】
通信装置40は、図2に示すように、アンテナ41を備えており、アンテナ41を用いて種々の情報(この場合、家畜状態情報)を送信する。通信装置40は、制御装置60に接続されており、制御装置60は、通信装置40を用いて、無線方式にて種々の情報を管理装置200に送信することができる。図1に示すように、家畜授精適期検知ユニット100が雌牛500の膣501内に保持されているとき、アンテナ41は家畜授精適期検知ユニット100の後側に延びて、アンテナ41の後端は雌牛500の膣501外に出ているように、アンテナ41の長さは調整されている。
【0031】
通信装置40がアンテナ41を用いて送信する家畜状態情報が、雌牛500体外にある管理装置200(後述)に届く様に、アンテナ41を設ければよい。従って、必ずしもアンテナ41の後端が雌牛500の膣501外になくともよく、アンテナ41が筐体10内に収容されていてもよく、アンテナ41の長さが雌牛500の膣501内に収まる程度の長さであってもよい。通信装置40と管理装置200との情報の送受信は、例えば、LoRaWAN(登録商標)などの低消費電力広域通信(Low Power Wide Area Network:LPWAN)に準拠した送受信である。通信装置40と管理装置200との情報の送受信は、他に、例えば、ISA100.11aなどの工業用の無線規格、Wireless HART(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの短距離無線通信規格等に準拠した送受信でもよい。また、通信装置40は情報の送信だけでなく受信を行ってもよい。
【0032】
バッテリ50は、図2に示すように、制御装置60に接続されており、光源20、撮像装置30、通信装置40、制御装置60等へ電力を供給する。バッテリ50としては、例えば、リチウムイオン2次電池、または、ニッケル水素電池等の2次電池や、1次電池等を用いることが出来る。
【0033】
制御装置60は、図2に示すように、CPU60A、RAM60B、ROM60C、EEPROM60D、インターフェース60E(以下、インターフェースをI/Fと記載する)、タイマ60F等を備えた公知の電子回路を有している。また、上述したように制御装置60は、光源20、撮像装置30、通信装置40、バッテリ50に接続されている。CPU60Aは、ROM60CやEEPROM60Dに記憶された各種プログラム等に基づいて、種々の演算処理を実行する。また、CPU60Aは、後述する様に、送信部60A1を有している。RAM60Bは、CPU60Aでの演算結果や撮像装置30が出力した画像情報等を一時的に記憶する。EEPROM60Dは、例えば、家畜授精適期検知ユニット100の起動時に読み出すべきデータ等を記憶する。
【0034】
制御装置60は、光源20、撮像装置30、通信装置40の制御を行う。また、制御装置60は、これらの制御を行うために種々の情報を記憶している。なお、制御装置60は、不揮発性メモリとして、EEPROM60Dを備えているが、電源を供給しなくても記憶を保持するフラッシュメモリ等をEEPROM60Dに加えて附設してもよい。
【0035】
ストッパ80は、図2に示すように、可撓性のある樹脂を曲がった棒状に形成したものであり、筐体10の前側に取り付けられている。図2に2点鎖線で示すように、家畜授精適期検知ユニット100が雌牛500の膣501に取り付けられる前において、家畜授精適期検知ユニット100には、筒状のスリーブ81(図2中仮想線)がかぶさられており、ストッパ80はスリーブ81によって筐体10の径方向内側に押さえつけられている。これにより、ストッパ80は、筐体10の径方向の長さが短くなっている(図2中仮想線)ため、家畜授精適期検知ユニット100を雌牛500体外から膣501内に容易に入れることができる。
【0036】
そして、家畜授精適期検知ユニット100を雌牛500の膣501内に入れたらスリーブ81を家畜授精適期検知ユニット100から外す。これにより、ストッパ80が筐体10の径方向に広がり、径方向に広がったストッパ80により家畜授精適期検知ユニット100は雌牛500(家畜)の膣501内に保持される。
【0037】
管理装置200は、図2に示すように、通信装置210、表示装置220、制御装置250、記録媒体251等を有している。
【0038】
通信装置210は、アンテナ211を備えており、アンテナ211を用いて情報(この場合、家畜状態情報)を受信する。通信装置210は、制御装置250に接続されている。後述する様に、家畜授精適期検知ユニット100が無線方式にて送信した家畜状態情報等を通信装置210が受信したら、制御装置250は、家畜授精適期検知ユニット100が送信した家畜状態情報を通信装置210から受け取ることができる。このために、管理装置200の位置は、家畜授精適期検知ユニット100からの情報が受信できる位置に設定されている。
【0039】
表示装置220は、制御装置250に接続されている。表示装置220は、例えば液晶モニタである。
【0040】
制御装置250は、CPU250A、RAM250B、ROM250C、EEPROM250D、I/F250E、タイマ250F等を備えた公知の電子回路と、記録媒体251等を有している。また、制御装置250は、通信装置210、表示装置220等に接続されている。CPU250Aは、RAM250B、EEPROM250Dおよび記録媒体251に記憶された各種プログラム等に基づいて、種々の演算処理を実行する。また、CPU250Aは、後述する様に、受信部250A2、発情推定部250A3、および報知部250A4を有している。記録媒体251は、電源を供給しなくても記憶を保持するものであり、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)である。
【0041】
RAM250Bは、CPU250Aでの演算結果や家畜状態情報(後述)等を一時的に記憶し、EEPROM250Dは、例えば、管理装置200の起動時に読み出すべきデータ等を記憶する。制御装置250は、通信装置210、表示装置220、記録媒体251等の制御を行う。また、制御装置250および記録媒体251は、これらの制御を行うために種々の情報を記憶している。そして、記録媒体251またはEEPROM250Dには、後述する授精適期検知処理をCPU250Aに実行させる家畜授精適期検知プログラムが記録されている。
【0042】
●[第1の実施の形態の家畜授精適期検知システム1の制御について(図3図7)]
次に、図3に示すフローチャート等を用いて、家畜授精適期検知システム1が実行する実行処理手順の1例等について説明する。なお、家畜授精適期検知ユニット100は、図3のフローチャートに1例を示す家畜状態情報送信処理を実行する。また、管理装置200は図3のフローチャートに1例を示す授精適期検知処理を実行する。
【0043】
●[家畜状態情報送信処理(図3図5)]
家畜授精適期検知ユニット100が雌牛500の膣501に取り付けられて、家畜授精適期検知ユニット100の制御装置60(CPU60A)が起動されると、制御装置60(CPU60A)は、タイマ60Fを初期化する。そして、図3に示す家畜状態情報送信処理のフローチャートは、所定時間T1(例えば、30分間隔)毎に起動され、起動されると制御装置60(CPU60A)は、ステップS110へと処理を進める。
【0044】
ステップS110にて制御装置60(CPU60A)は、家畜の状態を検出して、ステップS120へと処理を進める。なお、本実施の形態では、家畜の状態として、雌牛500(家畜)の子宮外口505(図1参照)の外観の状態とする。撮像装置30が子宮外口505を撮影して画像情報を作成し、画像情報を制御装置60に出力するように、制御装置60(CPU60A)は撮像装置30を制御する。また、撮像装置30が子宮外口505を撮像するタイミングにて、2つ光源20(図2参照)が雌牛500(家畜)の膣501の子宮外口505に光を照射する(図1参照)ように、制御装置60(CPU60A)は光源20を制御する。
【0045】
ステップS120にて制御装置60(CPU60A)は、家畜状態情報を作成し、ステップS130へと処理を進める。なお、家畜状態情報とは、雌牛500の状態に関する情報である。図4は、雌牛500が発情していない平常の場合の家畜状態情報の説明図である。図4に示すように、家畜状態情報には、雌牛500を他の雌牛と識別するために、家畜授精適期検知ユニット100固有のIDである計測機ID(図4のA)と、ステップS110にて撮像装置30が子宮外口505を撮影した撮影日時の情報(図4のB)と、画像情報(図4のC)とが含まれる。図4のCには、雌牛500が発情していない平常の場合の子宮外口505の撮影画像を模式的に示している。
【0046】
また、図5は、雌牛500に発情の兆候が現れている場合の家畜状態情報の説明図である。家畜状態情報には、計測機ID(図5のA)と、撮影日時の情報(図5のB)と、画像情報(図5のC)と、が含まれる。図5のCには、雌牛500に発情の兆候が現れている場合の子宮外口505の撮影画像を模式的に示している。図5のCに示すように、雌牛500の子宮外口の外観に現れる発情の兆候として、平常時(図4のC参照)よりも、しわが減ることが挙げられる。他に雌牛500の子宮外口の外観に現れる発情の兆候として、子宮外口505の外観が平常時よりも赤くなることが挙げられる。
【0047】
ステップS130にて制御装置60(CPU60A)は、通信装置40を用いて家畜状態情報を予め設定された送信先(管理装置200)に、無線方式にて送信して家畜状態情報送信処理を終了する。なお、ステップS130の処理を実行しているCPU60Aは、画像情報を含む家畜状態情報を、通信装置40を介して、予め設定された送信先(管理装置200)に、無線方式にて送信する送信部60A1(図2参照)に相当している。そして、管理装置200は、家畜授精適期検知ユニット100からの情報が受信できる位置に設けられていることで、ステップS130にて家畜授精適期検知ユニット100が家畜状態情報を無線方式にて送信する送信先に設定されている。
【0048】
また、以上で説明したように、図3に示す家畜状態情報送信処理のフローチャートは、所定時間T1(例えば、30分間隔)毎に起動されて、子宮外口505を撮影(ステップS110)して画像情報(図4のCおよび図5のC参照)を作成(ステップS120)し、画像情報を含む家畜状態情報(図4および図5参照)を無線方式にて管理装置200に送信する(ステップS130)。従って、制御装置60(CPU60A)は、家畜状態情報送信処理により、子宮外口505の画像情報を含む家畜状態情報を、所定時間T1毎に管理装置200に送信(ステップS130)する。ここで、撮像装置30は、所定タイミング毎(所定時間T1毎)に撮像して画像情報を作成している。
【0049】
●[授精適期検知処理(図3図7)]
管理装置200の制御装置250は、起動されると記録媒体251(図2参照)またはEEPROM250Dから家畜授精適期検知プログラム等が読み出される。これにより、家畜授精適期検知ユニット100が所定時間T1毎に送信する家畜状態情報を管理装置200の通信装置210が無線方式にて受信すると、制御装置250のCPU250Aが、ROM250Bに家畜状態情報を一時的に記憶させるよう設定する。さらに、図3に1例を示す授精適期検知処理のフローチャートが所定時間T2(例えば、1分間隔)毎に起動され、起動されるとステップS210へと処理を進める。
【0050】
なお、図2に示すように、制御装置250のCPU250Aが、家畜状態情報の送信先に設定されて家畜情報を受信する受信部250A2に相当している。管理装置200の制御装置250の受信部250A2は、家畜授精適期検知ユニット100の制御装置60(CPU60A)が無線方式にて送信する家畜状態情報の送信先に設定されている。受信部250A2は、家畜授精適期検知ユニット100から送信された家畜状態情報を、通信装置210を用いて受信する。
【0051】
ステップS210にて制御装置250(CPU250A)は、直近に図3にフローチャートを示す授精適期検知処理が実行された後から現在に至るまでの間に、家畜授精適期検知ユニット100から家畜状態情報を受信したか否かを推定する。そして、家畜状態情報を受信したと推定できる場合(YES)にはステップS220処理を進め、家畜状態情報を受信していないと推定できる場合(NO)には、ステップS230に処理を進める。
【0052】
なお、上述したように、通信装置210が家畜授精適期検知ユニット100からの家畜状態情報を受信すると、家畜状態情報はROM250Bに記憶される。図3にフローチャートの一例を示す授精適期検知処理では、後述するステップS220にて、ROM250Bから家畜状態情報を読み込んだら、家畜状態情報をROM250Bから消去する。従って、ROM250Bに記憶家畜状態情報が記憶されていない場合は、直近に図3にフローチャートを示す授精適期検知処理が実行された後(直近にステップS220の処理が実行され後)から現在に至るまでの間に、家畜状態情報を受信していない場合(ステップS210:NO)である。また、ROM250Bに記憶家畜状態情報が記憶されている場合は、直近に図3にフローチャートを示す授精適期検知処理が実行された後から現在に至るまでの間に、家畜状態情報を受信している場合(ステップS210:YES)である。
【0053】
そこで、ステップS210にて、制御装置250(CPU250A)は、ROM250Bに家畜状態情報が記憶されているか否かを判断する。そして、ROM250Bに家畜状態情報が記憶されていない場合には、家畜状態情報を受信していない(ステップS210:NO)と推定する。また、ROM250Bに家畜状態情報が記憶されている場合には、家畜状態情報を受信した(ステップS210:YES)と推定して、ステップS220処理を進める。
【0054】
ステップS220に処理を進めた場合、制御装置250(CPU250A)は、ROM250Bに記憶されている家畜状態情報を、記録媒体251に記録させて、ステップS230へと処理を進める。なお、図4および図5を用いて上述したように、家畜状態情報には、計測機ID(図4のAおよび図5のA参照)と、撮影日時の情報(図4のBおよび図5のB参照)と、画像情報(図4のCおよび図5のC参照)と、が含まれる。
【0055】
そこで、ステップS220にて、制御装置250(CPU250A)は、ROM250Bに記憶されている家畜状態情報に含まれる、計測機IDと、撮影日時の情報と、画像情報とを、対応づけて家畜状態情報のデータセットとして、記録媒体251に記録させる。これにより、記録媒体251には、家畜状態情報のデータセットの記録が蓄積されてゆく。その結果、記録媒体251に、過去に記録させた複数の家畜状態情報のデータセットからなる家畜状態情報のデータベースが作成される。そして、CPU250Aは、記録媒体251が記録している家畜状態情報のデータベースから過去の家畜状態情報のデータセットを読みだすことができる。
【0056】
ステップS230に処理を進めた場合、制御装置250(CPU250A)は、記録媒体251に記憶されている家畜状態情報に基づいて、記録媒体251に記録されている直近の家畜状態情報において、画像情報の撮影画像に写る雌牛500に発情の兆候が現れているか否かを推定してステップS240へと処理を進める。なお、ステップS210にて、家畜授精適期検知ユニット100から家畜状態情報を受信したと判断できる場合(ステップS210:YES)でも、判断できない場合(ステップS210:NO)でも、記録媒体251には、記録媒体251には、直近に記録した家畜状態情報のデータセットと、直近よりも前に記録した複数の家畜状態情報のデータセットとが記録されている。
【0057】
ステップS230において、制御装置250(CPU250A)は記録媒体251に記録されている直近の画像情報の撮影画像に、雌牛500の発情の兆候が現れているか否かを推定する。ここで、図4および図5を用いて上述した様に、発情の兆候として、雌牛500の子宮外口505の外観が、平常のときよりも赤くなること及びしわが減ることを挙げる。
【0058】
そこで、ステップS230において、制御装置250(CPU250A)は、公知の画像解析処理を行って、画像情報の撮影画像について、赤くなることに対応する色彩の変化傾向SAと、しわが減ることに対応するしわの数の変化傾向SBを算出する。さらに、色彩の変化傾向SAから、雌牛500の発情の兆候が現れているか否かを推定する。また、しわの数の変化傾向SBから、雌牛500の発情の兆候が現れているか否かを推定する。
【0059】
ここで、色彩の変化傾向SAとは、画像情報の撮影画像に写る子宮外口505が赤みを増す程大きくなる値である。また、しわの数の変化傾向SBとは、画像情報の撮影画像に写る子宮外口505のしわの数が減る程大きくなる値である。従って、色彩の変化傾向の値SAが所定値SA1よりも大きい場合(所定値SA1<色彩の変化傾向の値SA)には雌牛500の発情の兆候が現れていると推定でき、大きくない場合(色彩の変化傾向の値SA≦所定値SA1)には雌牛500の発情の兆候が現れていないと推定できる。同様に、しわの数の変化傾向の値SBが所定値SB1よりも大きい場合(所定値SB1<しわの数の変化傾向の値SB)に、雌牛500の発情の兆候が現れていると推定でき、大きくない場合(しわの数の変化傾向の値SB≦所定値SB1)には雌牛500の発情の兆候が現れていないと推定できる。
【0060】
そして、色彩の変化傾向の値SAが所定値SA1よりも大きい(所定値SA1<色彩の変化傾向の値SA)との条件と、しわの数の変化傾向の値SBが所定値SB1よりも大きい(所定値SB1<しわの数の変化傾向の値SB)との条件と、の少なくとも一方の条件を満たす場合を、雌牛500に発情の兆候が現れていると推定し、いずれかの条件も満たさない場合を雌牛500に発情の兆候が現れていないと推定する。
【0061】
なお、ステップS230の処理を実行しているCPU250Aが、発情推定部250A3(図2参照)に相当している。発情推定部250A3は、家畜授精適期検知ユニット100から受信した家畜状態情報(画像情報を含む)に基づいて、雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れているか否かを推定する。また、発情推定部250A3は、記録媒体251に蓄積した家畜状態情報に含まれる画像情報に基づいた、子宮外口の色彩の変化傾向SA、または子宮外口のしわの数の変化傾向SB、の少なくとも一方に基づいて、雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れているか否かを推定する。そして、家畜授精適期検知プログラムは、CPU250Aを、管理装置200が受信した家畜状態情報(画像情報を含む)に基づいて、雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れているか否かを推定する発情推定部250A3として機能させている。
【0062】
ステップS240にて制御装置250(CPU250A)は、ステップS230にて雌牛500に発情の兆候が現れているか否かを推定した結果を用いて、雌牛500に発情の兆候が現れているか否かを推定し、雌牛500に発情の兆候が現れていると推定できる場合(YES)にはステップS250Aへと処理を進め、雌牛500に発情の兆候が現れていないと推定できる場合(NO)には、ステップS250Bに処理を進める。
【0063】
ステップS250Aに処理を進めた場合、制御装置250(CPU250A)は、報知情報を表示装置220に出力して、これにより報知情報を表示装置220に表示(図2参照)させて、精適期検知処理を終了する。なお、報知情報とは、直近の画像情報の撮影画像に写る子宮外口の外観に、雌牛500の発情の兆候が現れており、雌牛500に授精適期が近づいている(あるいは授精適期中の場合もある)と推定できるため、雌牛500の授精適期に注意が必要であることを示す情報(例えば、図7のF2の「授精適期注意」)である。
【0064】
図7には、ステップS250Aにて、制御装置250(CPU250A)が表示装置220に報知情報(図7のF2)を表示させている場合における、表示装置220の画面表示の1例を示した。ステップS250Aは、雌牛500に発情の兆候が現れていると推定できる場合(ステップS240:YES)に実行されるステップである。そこで、制御装置250は、報知情報を表示装置220に表示させる(例えば、図7のF2の「授精適期注意」)ことで、使用者に雌牛500の授精適期に注意を払う必要があることを報知する。
【0065】
図7のAは、家畜授精適期検知ユニット100の計測機IDを示している。また、図7には、1番新しい(直近の)撮影画像B1およびその撮影日時C1、2番目に新しい撮影画像B2およびその撮影日時C2、3番目に新しい撮影画像B3およびその撮影日時C3を示している。使用者は、これら撮影画像B1~B3の子宮外口505の外観の撮影画像およびC1~C3の撮影日時をみて、直近の撮影画像B1に写る雌牛500の外観に発情の兆候が現れているか否かを推定できる。ここで、3つ(複数)の撮影画像B1~B3を時系列順に並べて表示装置220に表示することで、使用者が、子宮外口505の外観の時間変化や、直近の撮影画像B1に写る雌牛500の外観に発情の兆候が現れているか否かをより容易に把握できる。
【0066】
また、図7のDには、ステップS230にて、色彩の変化傾向SAから推定した雌牛500に発情の兆候が現れているか否かの推定結果を示している。そして、図7のEには、ステップS230にて、しわの数の変化傾向SBから推定した雌牛500に発情の兆候が現れているか否かの推定結果を示している。図7は、雌牛500に発情の兆候が現れていると推定できる場合の表示装置220の画面表示の1例であるため、色彩の変化傾向SAに基づく推定である図7のDも、およびしわの数の変化傾向SBに基づく推定である図7のEも、両方とも雌牛500の発情の兆候が現れていると推定できることを表す「〇」を示している。
【0067】
ステップS250Aの処理を実行しているCPU250Aは、発情推定部250A3(図2参照)にて雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れていると推定した場合(ステップS240:YES)に、報知情報を出力する報知部250A4(図2参照)に相当している。制御装置250(CPU250A)は、ステップS250Aにて、発情推定部250A3にて雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れていると推定した場合(ステップS240:YES)に、報知情報を表示装置220に出力(図7のF2参照)する。そして、家畜授精適期検知プログラムは、CPU250Aを、ステップS250Aにて、発情推定部250A3にて雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れていると推定した場合(ステップS240:YES)に、報知情報を表示装置220に出力(図7のF1参照)する報知部250A4として機能させている。
【0068】
ステップS250Bに処理を進めた場合、制御装置250(CPU250A)は、確認情報を表示装置220に出力して、これにより報知情報を表示装置220に表示(図6参照)させて、精適期検知処理を終了する。なお、確認情報とは、直近の画像情報の撮影画像に写る子宮外口の外観に、雌牛500の発情の兆候が現れておらず、雌牛500が平常の状態であると推定できることを示す情報(例えば、図6のF1の「平常」)である。ステップS250Bは、雌牛500に発情の兆候が現れていないと推定できる場合(ステップS240:NO)に実行されるステップである。そこで、制御装置250は、雌牛500が平常の状態であると推定できることを示す確認情報を表示装置220に表示させる(例えば、図6のF1の「平常」)。
【0069】
図6には、ステップS250Bにて、制御装置250(CPU250A)が表示装置220に確認情報(図6のF1)を表示させている場合における、表示装置220の画面表示の1例を示した。図7と同様に、図6のAは、家畜授精適期検知ユニット100の計測機IDを示している。また、図6には、図7と同様に、1番新しい(直近の)撮影画像B1およびその撮影日時C1、2番目に新しい撮影画像B2およびその撮影日時C2、3番目に新しい撮影画像B3およびその撮影日時C3を示している。ここで、3つ(複数)の撮影画像B1~B3を時系列順に並べて表示装置220に表示することで、使用者が、子宮外口505の外観の時間変化や、直近の撮影画像B1に写る雌牛500の外観に発情の兆候が現れているか否かをより容易に把握できる。
【0070】
また、図6のDには、ステップS230にて色彩の変化傾向SAから推定した雌牛500の発情の兆候が現れているか否かを示し、図6のEには、ステップS230にてしわの数の変化傾向SBから推定した雌牛500に発情の兆候が現れているか否かを示している。図6は、雌牛500に発情の兆候が現れていないと推定できる場合の表示装置220の画面表示の1例であるため、色彩の変化傾向SAに基づく推定である図6のDも、およびしわの数の変化傾向SBに基づく推定である図6のEも、両方とも雌牛500の発情の兆候が現れていないと推定できることを表す「×」を示している。
【0071】
以上で説明したように、家畜授精適期検知ユニット100は、所定時間T1(例えば、30分間隔)毎に起動される家畜状態情報送信処理(図3参照)により、撮像装置30が撮影して作成した子宮外口505の画像情報を含む家畜状態情報を、所定時間T1毎(所定タイミングT1毎)に管理装置200に送信(ステップS130)する。そして、管理装置200の制御装置250(CPU250A)は、所定時間T2(例えば、1分間隔)毎に起動される授精適期検知処理(図3参照)を実行する。管理装置200の制御装置250(CPU250A)は、授精適期検知処理(図3参照)により、家畜状態情報を記録媒体251に蓄積し(ステップS220)、蓄積した家畜状態情報に含まれる画像情報に基づいて、雌牛500に発情の兆候が現れているか否かを推定(ステップS230)して、推定した結果を表示装置220に出力して使用者に報知(ステップS250A、ステップS250B)する。
【0072】
画像情報は子宮外口505の外観を撮像装置30が撮像して作成した情報であり、子宮外口505の外観の情報を含む。家畜授精適期検知ユニット100、管理装置200、家畜授精適期検知プログラムによって、家畜授精適期検知システム1は、雌牛500(家畜)の子宮外口505の外観に基づいて雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れているか否かを推定(ステップS230)して、推定した結果を表示装置220に出力して使用者に報知(ステップS250A)できる。これにより、家畜授精適期検知システム1は、雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れていることを使用者が知ることをより容易にする。
【0073】
家畜授精適期検知システム1は、雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れているか否かの推定(ステップS230)を、雌牛500(家畜)の子宮外口505の外観における子宮外口505の色彩の変化傾向、および子宮外口505のしわの数の変化傾向の少なくとも一方に基づいて行っている。
【0074】
従来、家畜の発情の兆候として、家畜が平常のときにくらべて、体温が上がることや、歩行数が増えることや、膣501内の子宮外口505(外子宮口、図1参照)の外観が赤くなるとともにしわが減ることが知られている。そこで、従来、家畜に発情の兆候が現れているか否かの推定は、子宮外口505の色彩の変化傾向およびしわの数の変化傾向以外に、体温の変化傾向や、歩行数の変化傾向に基づいて行われてきた。
【0075】
家畜の体温は、発情だけでなく風邪等の体調不良によって上がる場合があるため、体温の変化傾向に基づいて推定する場合は、体調不良で体温が上昇しているときを、発情により体温が上昇しているときと誤認するおそれがある。このため、体温の変化傾向に基づいて、家畜に発情の兆候が現れているか否かを推定するならば、高い確度で推定することが困難な場合がある。
【0076】
また、歩行数の変化傾向に基づいて推定する場合では、家畜が狭い場所に飼育されている家畜に対しては、家畜の歩行できる範囲が限られるため、家畜に発情の兆候が現れているか否かを高い確度で推定することが困難な場合がある。この様に、歩行数の変化傾向に基づいて推定する場合では、家畜の飼育環境によっては、家畜に発情の兆候が現れているか否かを高い確度で推定することが困難な場合がある。従って、家畜に発情の兆候が現れているか否かの推定を、体温の変化傾向に基づいて行う場合であっても、歩行数の変化傾向に基づいて行う場合であっても、いずれの場合も変化傾向に影響を及ぼす要因が発情以外にもあるため、十分な確度で推定できない場合がある。
【0077】
一方、子宮外口505の色彩の変化傾向、および子宮外口505のしわの数の変化傾向のいずれも、雌牛500(家畜)が授精適期を迎える所定時間前に、雌牛500(家畜)が発情することに応じて変化しやすい。従って、家畜授精適期検知システム1は、雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れているか否かの推定は、子宮外口505の色彩の変化傾向SA、または子宮外口505のしわの数の変化傾向SBの少なくとも一方に基づいて推定するため、雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れているか否かの推定をより高い確度で推定することが出来る。
【0078】
●[第2の実施の形態の家畜授精適期検知システム2の全体構成(図8)]
次に図8図9を用いて、家畜授精適期検知システムの第2の実施の形態について説明する。図8に示すように、家畜授精適期検知システム2は、家畜授精適期検知ユニット1100のみで構成されている。第1の実施の形態の家畜授精適期検知システム1は、管理装置200が、雌牛500に発情の兆候が現れているか否かを推定したが、第2の実施の形態の家畜授精適期検知システム2では、家畜授精適期検知ユニット1100が雌牛500に発情の兆候が現れているか否かを推定する。そして家畜授精適期検知ユニット1100は、推定結果を含む報知情報(例えばメール)を、予め設定された送信先(例えば送信先のメールアドレス)に送信する。
【0079】
図8は第2の実施の形態の家畜授精適期検知システム2の構成を説明するブロック図である。家畜授精適期検知ユニット1100の制御装置1060は、記録媒体1061を有するとともに、CPU1060Aが発情推定部1060A3および報知部1060A4を有し、授精適期情報送信処理(図9のフローチャート参照)を実行する。また、図8に示すように、本実施の形態では、管理装置200として、例えば、パーソナルコンピュータ1201や、携帯電話やスマートフォンやタブレット端末などのように通信機能および表示機能を有する携帯情報端末1202等を用いる。なお、パーソナルコンピュータ1201および携帯情報端末1202は、家畜授精適期検知ユニット1100から、画像情報を含む家畜状態情報(図4および図5参照)、報知情報(図7のF2参照)、確認情報(図6のF1参照)を無線方式にて受信して、表示できるように設定されている。
【0080】
●[授精適期情報送信処理(図9)]
次に、図9に示すフローチャート等を用いて、家畜授精適期検知システム2の家畜授精適期検知ユニット1100が実行する実行処理手順の1例等について説明する。なお、家畜授精適期検知ユニット1100は、図9のフローチャートに1例を示す授精適期情報送信処理を実行する。家畜授精適期検知ユニット1100が雌牛500の膣501(図1参照)に取り付けられて、家畜授精適期検知ユニット1100の制御装置1060(CPU1060A)は起動されると、制御装置1060(CPU1060A)はタイマ60Fを初期化する。そして、図9に示す授精適期情報送信処理のフローチャートは、所定時間T1(例えば、30分間隔)毎に起動され、起動されると制御装置1060(CPU1060A)は、ステップS310へと処理を進める。
【0081】
なお、図9に示す授精適期情報送信処理のフローチャートのステップS310~ステップS320の内容は、図3に示す家畜状態情報送信処理のフローチャートのステップS110~ステップS120と同様である。また、図9に示す授精適期情報送信処理のフローチャートのステップS330~ステップS350、ステップS360A、ステップS360Bの内容は、図3に示す授精適期検知処理のフローチャートのステップS220~ステップS240、ステップS250A,ステップS250Bと同様である。従って、図9に示す授精適期情報送信処理のフローチャートの全てのステップについて、同様のステップが、図3に示す家畜状態情報送信処理のフローチャートおよび授精適期検知処理のフローチャートに記載されている。そこで、以下、図9に示す授精適期情報送信処理のフローチャートについて、詳細な説明は省略する。
【0082】
ステップS310にて制御装置1060(CPU1060A)は、家畜の状態を検出して、ステップS320へと処理を進める(図3のステップS110と同様)。
【0083】
ステップS320にて制御装置1060(CPU1060A)は、家畜状態情報を作成し、ステップS330へと処理を進める(図3のステップS120と同様)。なお、ステップS320にて、家畜状態情報は、RAM60Bに記憶される。
【0084】
ステップS330にて制御装置1060(CPU1060A)は、RAM60Bに記憶されている家畜状態情報を、記録媒体1061に記録させて、ステップS340へと処理を進める(図3のステップS220と同様)。
【0085】
ステップS340にて制御装置1060(CPU1060A)は、記録媒体1061に記憶されている家畜状態情報に基づいて、記録媒体1061に記録されている直近の家畜状態情報において、画像情報の撮影画像に写る雌牛500に発情の兆候が現れているか否かを推定してステップS350へと処理を進める(図3のステップS230と同様)。
【0086】
なお、ステップS340の処理を実行しているCPU1060Aが、発情推定部1060A3(図8参照)に相当している。発情推定部1060A3は、画像情報を含む家畜状態情報に基づいて、雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れているか否かを推定する。ここで、発情推定部1060A3は、記録媒体1061に蓄積した家畜状態情報に含まれている画像情報に基づいた、子宮外口の色彩の変化傾向SA、または子宮外口のしわの数の変化傾向SB、の少なくとも一方に基づいて、雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れているか否かを推定する。
【0087】
ステップS350にて制御装置1060(CPU1060A)は、ステップS340にて雌牛500に発情の兆候が現れているか否かを推定した結果を用いて、雌牛500に発情の兆候が現れているか否かを推定し、雌牛500に発情の兆候が現れていると推定できる場合(YES)にはステップS360Aへと処理を進め、雌牛500に発情の兆候が現れていないと推定できる場合(NO)には、ステップS360Bに処理を進める(図3のステップS240と同様)。
【0088】
ステップS360Aに処理を進めた場合、制御装置1060(CPU1060A)は、通信装置40を用いて報知情報および家畜状態情報を予め設定された送信先(パーソナルコンピュータ1201または携帯情報端末1202)に、無線方式にて送信して授精適期情報送信処理を終了する。なお、ステップS360Aにて、制御装置1060(CPU1060A)が送信する家畜状態情報は、例えば、図7に示す情報を送信する。すなわち、制御装置1060(CPU1060A)が送信する情報は次のA~F2である。ここで、制御装置1060(CPU1060A)は、1番新しい(直近の)家畜状態情報と、2番目に新しい家畜状態情報と、3番目に新しい家畜状態情報との3つの家畜状態情報とを含めて送信する(図7のB1~B3およびC1~C3参照)。
A;家畜授精適期検知ユニット1100の計測機ID。
B1~B3;子宮外口505の外観の撮影画像B1~B3それぞれの画像情報。
C1~C3;撮影日時C1~C3であり、撮影画像B1~B3それぞれの画像情報に対応する。
D;色彩の変化傾向SAから推定した雌牛500に発情の兆候が現れているか否かを示す情報であり、雌牛500に発情の兆候が現れていると推定できることを示す情報。
E;しわの数の変化傾向SBから推定した雌牛500に発情の兆候が現れているか否かを示す情報であり、雌牛500に発情の兆候が現れていると推定できることを示す情報。
F2; 報知情報。
【0089】
パーソナルコンピュータ1201または携帯情報端末1202は、制御装置1060(CPU1060A)から、報知情報および家畜状態情報を受信すると、図7に示すように、上記のA~F2を表示して、使用者に報知するように設定されている。ここで、3つ(複数)の撮影画像B1~B3を時系列順に並べて表示装置220に表示することで、使用者が、子宮外口505の外観の時間変化や、直近の撮影画像B1に写る雌牛500の外観に発情の兆候が現れているか否かをより容易に把握できる。
【0090】
なお、ステップS360Aの処理を実行しているCPU1060Aは、報知部1060A4(図8参照)に相当している。ステップS360Aの処理にて、報知部1060A4は、発情推定部1060A3にて雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れていると推定した場合(ステップS350:YES)に、通信装置40を介して、あらかじめ設定された送信先(パーソナルコンピュータ1201または携帯情報端末1202)に、報知情報を無線方式にて送信(ステップS360A)する。
【0091】
ステップS360Bに処理を進めた場合、制御装置1060(CPU1060A)は、通信装置40を用いて確認情報および家畜状態情報を予め設定された送信先(パーソナルコンピュータ1201または携帯情報端末1202)に、無線方式にて送信して授精適期情報送信処理を終了する。なお、ステップS360Bにて、制御装置1060(CPU1060A)が送信する家畜状態情報は、上記のステップS360Aと同様である。そして、ステップS360Bにて、制御装置1060(CPU1060A)は、例えば、図6に示す情報を送信する。すなわち、制御装置1060(CPU1060A)が送信する情報は次のA~F1である。ここで、制御装置1060(CPU1060A)は、1番新しい(直近の)家畜状態情報と、2番目に新しい家畜状態情報と、3番目に新しい家畜状態情報との3つの家畜状態情報とを含めて送信する(図6のB1~B3およびC1~C3参照)。
A;家畜授精適期検知ユニット1100の計測機ID。
B1~B3;図6中、子宮外口505の外観の撮影画像B1~B3それぞれの画像情報。
C1~C3;撮影日時C1~C3であり、撮影画像B1~B3それぞれの画像情報に対応する。
D;色彩の変化傾向SAから推定した雌牛500に発情の兆候が現れているか否かを示す情報であり、雌牛500に発情の兆候が現れていないと推定できることを示す情報。
E;しわの数の変化傾向SBから推定した雌牛500に発情の兆候が現れているか否かを示す情報であり、雌牛500に発情の兆候が現れていないと推定できることを示す情報。
F1; 確認情報。
【0092】
パーソナルコンピュータ1201または携帯情報端末1202は、制御装置1060(CPU1060A)から、確認情報および家畜状態情報を受信すると、図6に示すように、上記のA~F1を表示して、使用者に報知するように設定されている。ここで、3つ(複数)の撮影画像B1~B3を時系列順に並べて表示装置220に表示することで、使用者が、子宮外口505の外観の時間変化や、直近の撮影画像B1に写る雌牛500の外観に発情の兆候が現れているか否かをより容易に把握できる。
【0093】
家畜授精適期検知システム2において、家畜授精適期検知ユニット1100は、撮像装置30が雌牛500(家畜)の子宮外口505を撮像して作成した画像情報を含む家畜状態情報に基づいて、発情推定部1060A3が、雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れていると推定した場合(ステップS350:YES)に、送信部が、あらかじめ設定された送信先(パーソナルコンピュータ1201または携帯情報端末1202)に報知情報を無線方式にて送信(ステップS360A)する。
【0094】
そして、例えば送信先を、パーソナルコンピュータ1201にした場合、当該パーソナルコンピュータ1201に、送信した報知情報を表示させる。使用者は、表示させた報知情報を見るだけで、雌牛500(家畜)の子宮外口505の外観に基づいて雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れたと推定されたことを知ることができる。この様に、家畜授精適期検知システム2は、雌牛500(家畜)に直接触れることなく、雌牛500(家畜)の子宮外口505の外観に基づいて雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れと推定されたことを知り得る。これにより、家畜授精適期検知システム2は、雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れていることを使用者が知ることをより容易にする。なお、送信先が携帯情報端末1202の場合も同様に、家畜授精適期検知システム2は、雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れていることを使用者が知ることをより容易にする。
【0095】
●[第3の実施の形態の家畜授精適期検知システム3の全体構成(図10)]
次に図10を用いて、家畜授精適期検知システムの第3の実施の形態について説明する。第1の実施の形態の家畜授精適期検知システム1および第2の実施の形態の家畜授精適期検知システム2は、家畜状態情報には、子宮外口の外観に関する画像情報を含んでいる。第3の実施の形態の家畜授精適期検知システム3は、家畜状態情報として、子宮外口の外観に関する画像情報に加えて、雌牛500(家畜)の体温情報および加速度情報(加速度に基づいた運動量(活動量)の情報)を含んでいる。
【0096】
図10は、第3の実施の形態の家畜授精適期検知システム3の構成を説明するブロック図である。図10に示すように、家畜授精適期検知システム3は、第1の実施の形態の家畜授精適期検知システム1(図2参照)に対して、家畜授精適期検知ユニット2100に、温度センサ2031(体温検出手段)および加速度センサ2032(加速度検出手段)が追加されている点が異なっている。なお、家畜授精適期検知ユニット2100を、第2の実施の形態の家畜授精適期検知ユニット1100(図8参照)に対して、温度センサ2031(体温検出手段)及び加速度センサ2032(加速度検出手段)を追加した構成にしてもよく、この場合の家畜授精適期検知ユニット2100の構成については、図示省略する。
【0097】
図10に示すように、温度センサ2031および加速度センサ2032は制御装置60に接続されている。温度センサ2031は、例えば熱電対を有して断熱部材を介して家畜授精適期検知ユニットの表面に露出するように設けられており、雌牛500の体温を検出して、検出した体温の情報である体温情報を制御装置60に出力する。雌牛500(家畜)の体温は、発情すると平常のときよりも上がるため、雌牛500(家畜)の体温が平常のときよりも大きい場合に、雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れていると推定できる。
【0098】
加速度センサ2032は、雌牛500(家畜)の運動に関連する加速度を検出して、検出した加速度から加速度情報を検出し、さらに加速度情報を制御装置60に出力する。なお、加速度情報は、例えば、所定時間内における、加速度αと所定の単位微小時間dT(例えば0.1秒)との積算値ΣαdT(=Σ(加速度α×単位微小時間dT))である。加速度情報(積算値ΣαdT)は、雌牛500(家畜)が激しく運動するほど大きくなる。従って、加速度情報は、雌牛500(家畜)活動量の多さを示し、雌牛500が発情して歩行数が上がるほど大きな値となる。そこで、加速度情報の値が大きくなった場合に雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れていると推定できる。
【0099】
本実施の形態の家畜授精適期検知システム3が実行する処理は、第1の実施の形態の家畜授精適期検知システム1と同様の家畜状態情報送信処理および授精適期検知処理(図3のフローチャート参照)を行ってもよいし、第2の実施の形態の家畜授精適期検知システム2と同様の授精適期情報送信処理(図9のフローチャート参照)を行ってもよい。
【0100】
ただし、第1の実施の形態の家畜授精適期検知システム1の処理、および、第2の実施の形態の家畜授精適期検知システム2の処理の両方の処理では、家畜状態情報は画像情報を含んでいるが、下記の様に、本実施の形態の家畜授精適期検知システム3が実行する処理では、家畜状態情報に、画像情報に加えて、温度センサ2031が出力する体温情報および加速度センサ2032出力する加速度情報が含まれている。
【0101】
具体的には、本実施の形態において、図3の家畜状態情報送信処理のフローチャートのステップS110、もしくは、図9の授精適期情報送信処理のフローチャートのステップS310と同様のステップを実行する場合は、次の点が異なる。制御装置60(もしくは図8の制御装置1060に対応する制御装置60)は、ステップS110(もしくはステップS310)にて、光源20と撮像装置30を制御して画像情報を取得するとともに、温度センサ2031からの検出信号に基づいて体温情報を取得し、加速度センサ2032からの検出信号に基づいて加速度情報を取得する。なお、加速度情報の取得は、別の処理にて単位微小時間毎に行うようにしてもよい。
【0102】
また、本実施の形態において、図3の家畜状態情報送信処理のフローチャートのステップS120、もしくは、図9の授精適期情報送信処理のフローチャートのステップS320と同様のステップを実行する場合は、次の様に異なる。制御装置60(もしくは図8の制御装置1060に対応する制御装置60)は、ステップS120(もしくはステップS320)にて、取得した画像情報と体温情報と加速度情報を含む家畜状態情報を作成する。
【0103】
また、本実施の形態において、図3の授精適期検知処理のフローチャートのステップS220、もしくは、図9の家畜状態情報送信処理のフローチャートのステップS330と同様のステップを実行する場合は、家畜状態情報を記録媒体251(図10参照)あるいは記録媒体1061(図8参照)に記録する点で、同様である。
【0104】
また、本実施の形態において、図3の授精適期検知処理のフローチャートのステップS230、もしくは、図9の授精適期情報送信処理のフローチャートのステップS340と同様のステップを実行する場合には、画像情報に加えて、体温情報および加速度情報を含む家畜状態情報に基づいて、画像情報の撮影画像に写る雌牛500に発情の兆候が現れているか否かを推定する。
【0105】
具体的には、制御装置60(もしくは図8の制御装置1060に対応する制御装置60)は、記録媒体251(図10参照)に(あるいは、管理装置200は、記録媒体1061(図8参照)に)記録した過去の家畜状態情報に含まれている画像情報、体温情報、加速度情報に基づいて、下記の「(A)、(B)の少なくとも一方」かつ「(C)、(D)の少なくとも一方」を満足した場合、あるいは「(A)~(D)の少なくとも1つ」を満足した場合に、発情の兆候が現れていると推定する。
【0106】
(A)画像情報に基づいた子宮外口の色彩が、時間の経過とともに赤色が強くなる色彩の変化傾向を示している場合。
(B)画像情報に基づいた子宮外口のしわの数が、時間の経過とともに減少する変化傾向を示している場合。
(C)過去の所定期間の体温情報に基づいた体温を平均化した平熱(基礎体温)に対して、体温が所定温度Δt[℃]以上上昇している、体温の変化傾向を示している場合。
(D)過去の所定期間の加速度情報に基づいた平均活動量(平均運動量)に対して、活動量(運動量)が、所定値(1.5等)倍以上に上昇している、活動量(運動量)の変化傾向を示している場合。
【0107】
これにより、家畜授精適期検知システム3は、雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れているか否かをより高い確度で推定することが出来る。
【0108】
●[第4の実施の形態の家畜授精適期検知ユニット100の全体構成(図2)]
次に図2を用いて、第4の実施の形態である家畜授精適期検知ユニット100について説明する。第4の実施形態の家畜授精適期検知ユニット100は、図2に示す第1の実施の形態の家畜授精適期検知システム1の家畜授精適期検知ユニット100と同じ構成を備える家畜授精適期検知ユニット100である。なお、第4の実施形態の家畜授精適期検知ユニット100を、図10に示す第3の実施の形態の家畜授精適期検知システム3の家畜授精適期検知ユニット2100と同じ構成にしてもよい。
【0109】
従って、本実施の形態の家畜授精適期検知ユニット100は、図2に示すように、撮像装置30が撮像した雌牛500(家畜)の膣501内の子宮外口505の画像情報を含む家畜状態情報(第3の実施の形態に説明したように、家畜状態情報に画像情報と体温情報と加速度情報を含ませてもよい)を、無線方式にて予め設定された送信先に送信する。そして、例えば送信先をメールアドレスに設定し、例えば家畜授精適期検知ユニット100は、画像情報等(画像情報、または画像情報と体温情報と加速度情報)を添付したメールを家畜状態情報として、設定されたメールアドレスに送信する。また第4の実施の形態では、家畜状態情報を受信した管理装置は、例えば家畜状態情報に含まれている画像情報等(例えばメールに添付されている画像情報等)を表示するのみであり、発情の兆候が現れているか否かの推定を行わない。第4の実施の形態では、発情の兆候が現れているか否かの推定は、管理装置等に表示された画像情報等を確認した使用者自身が行う。
【0110】
例えば送信先をパーソナルコンピュータにした場合(パーソナルコンピュータでメールを受信した場合)、使用者は、当該パーソナルコンピュータに、送信した子宮外口505の画像情報を表示させる。使用者は、雌牛500(家畜)に直接触れて子宮外口505の外観を直接観察しなくても、表示させた子宮外口505の画像情報を見るだけで、雌牛500(家畜)の子宮外口505の外観に基づいて雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れているか否かを推定できる。この様に、家畜授精適期検知ユニット100は、雌牛500(家畜)に直接触れて子宮外口505の外観を直接観察しなくとも、雌牛500(家畜)の子宮外口505の外観に基づいて雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れているか否かを推定できるようにし得る。
【0111】
●[他の実施の形態]
本発明の、第1~3の実施の形態の家畜授精適期検知システム1~3、および第4の実施の形態の家畜授精適期検知ユニットは、上述した構成、構造、形状、外観等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
【0112】
第1~3の実施の形態の家畜授精適期検知システム1~3において、報知情報を表示装置220に表示することで、報知情報が使用者に報知されるが、他の手段で報知情報を使用者に報知してもよい。例えば、報知する手段として、音声の発生、光源を用いた発光、紙等への報知情報を示す文字の印刷でもよい。
【0113】
第1~3の実施の形態の家畜授精適期検知システム1~3において、直近の撮影画像B1を含む3つ(複数)の撮影画像B1~B3を時系列順に並べて表示装置220に表示する(図6図7図3のステップS250A、ステップS250B、図9のステップS360A、ステップS360B参照)。ここで、1つの例として、撮影画像の数は3つであり、表示装置220に表示する撮影画像の数は1つ以上であればよい。例えば、直近の撮影画像B1だけを使用者が視ても、使用者は直近の撮影画像B1に写る雌牛500の外観に発情の兆候が現れているか否かを推定できる。このため、第1~3の実施の形態の家畜授精適期検知システム1~3において、表示装置220に表示するのは、直近の撮影画像B1だけでもよい。
【0114】
また、第2の実施の形態の家畜授精適期検知システム2の家畜授精適期検知ユニット1100は、直近の撮影画像B1を含む3つ(複数)の撮影画像B1~B3の画像情報を送信する(図6図7および図9のステップS360A、ステップS360B参照)。第2の実施の形態の家畜授精適期検知システム2の家畜授精適期検知ユニット1100、および第4の実施の形態の家畜授精適期検知ユニット100は、直近の撮影画像B1の画像情報(1つの画像情報)だけを送信してもよい。このように、直近の撮影画像B1の画像情報(1つの画像情報)だけを送信する場合は、家畜授精適期検知ユニット1100、100の消費電力を下げることができるため好ましい。
【0115】
第1、3の実施の形態の家畜授精適期検知システム1、3において、家畜授精適期検知システム1の家畜授精適期検知ユニット100、家畜授精適期検知システム3の家畜授精適期検知ユニット2100が送信する、家畜状態情報の送信先は、管理装置200であり、1台の装置に直接送信している。また、第2の実施の形態の家畜授精適期検知システム2においても、家畜授精適期検知ユニット2100が送信する、家畜状態情報の送信先は、パーソナルコンピュータ1201や、携帯情報端末1202であり、1台の装置である。このように、第1~3の実施の形態では、家畜状態情報を1台の装置に直接送信しているが、家畜状態情報等を表示(図6および図7参照)できる装置に送信できればよく、家畜状態情報を送信先に直接送信しなくてもよい。
【0116】
例えば、家畜状態情報をインターネットやローカルエリアネットワークなどのコンピュータ・ネットワークに接続されたコンピュータに送信し、さらに、当該コンピュータがコンピュータ・ネットワークを介して他のコンピュータ(管理装置200や、パーソナルコンピュータ1201や、携帯情報端末1202)に送信してもよい。
【0117】
また、例えば、情報を中継する中継機を家畜の周囲に設け(家畜の首にひもで吊るす、柵に設けるなど)、中継機に家畜状態情報を中継させてもよい。すなわち、家畜授精適期検知ユニット100、家畜授精適期検知ユニット1100、または家畜授精適期検知ユニット2100は、中継機を介して、管理装置200や、上記のコンピュータ・ネットワークに接続されたコンピュータや、パーソナルコンピュータ1201や、携帯情報端末1202等の送信先の装置に、家畜状態情報等を送信してもよい。また、家畜状態情報の送信先は1つの装置に限らず、複数の装置であってもよい。
【0118】
以上のように、コンピュータ・ネットワークや中継機を介して家畜状態情報を送信することで、家畜授精適期検知ユニット100、家畜授精適期検知ユニット1100、または家畜授精適期検知ユニット2100を取り付ける対象の雌牛500(家畜)と、家畜状態情報の送信先の装置との距離をより長く設定できる。従って、使用者は、家畜状態情報の送信先の装置を基準に、よりひろい範囲にいる雌牛500(家畜)に対して、雌牛500(家畜)に発情の兆候が現れているか否かを、より容易に知ることが出来る。
【0119】
第1~3の実施の形態の家畜授精適期検知システム1~3、第4の実施の形態の家畜授精適期検知ユニット100、1100、2100において、筐体10の形状(図1及び図2図8、および図10参照)は、雌牛500の膣501に収容できる形状であればよく、必ずしも円柱状に形成されていなくてもよい。例えば、筐体10を箱状にし、断面を楕円や多角形状にしてもよい。
【0120】
第1~3の実施の形態の家畜授精適期検知システム1~3において、ストッパ80(図1及び図2図8、および図10参照)は筐体10の前面に取り付けられているが、ストッパ80は筐体10を雌牛500(家畜)の膣501内に保持できればよい。従って、ストッパ80は筐体10の前面以外の位置に取り付けられていてもよく、適宜形状や数を変更してもよい。例えば、ストッパ80を筐体10の側面に取り付けてもよい。
【0121】
第1、3の実施の形態の家畜授精適期検知システム1、3の授精適期検知処理のフローチャートのステップS230(図3参照)において、制御装置250(CPU250A)は、公知の画像解析処理を行って、画像情報の撮影画像について、赤くなることに対応する色彩の変化傾向SAと、しわが減ることに対応するしわの数の変化傾向SBとの両方を算出する。しかし、ステップS230(図3参照)において、制御装置250(CPU250A)は、色彩の変化傾向SAと、しわの数の変化傾向SBと、の少なくとも一方を算出してもよい。
【0122】
また、第1、3の実施の形態の家畜授精適期検知システム1、3の授精適期検知処理のフローチャートのステップS240(図3参照)において、雌牛500に発情の兆候が現れていると推定できる場合(ステップS230)を、色彩の変化傾向の値SAが所定値SA1よりも大きい(所定値SA1<色彩の変化傾向の値SA)との条件と、しわの数の変化傾向の値SBが所定値SB1よりも大きい(所定値SB1<しわの数の変化傾向の値SB)との条件と、の少なくとも一方の条件を満たす場合とした。ここで、雌牛500に発情の兆候が現れていると推定できる場合(ステップS230)を、少なくとも一方の条件ではなく、両方の条件を満たす場合としてもよい。以上は、第2の実施の形態の家畜授精適期検知システム2の授精適期情報送のフローチャートのステップS350(図9参照)も同様である。
【0123】
第3の実施の形態の家畜授精適期検知システム3において、加速度情報の値が、所定の期間(例えば半日)よりも長い期間中、0などの値であり所定の値以下になった場合には、家畜授精適期検知ユニット2100が雌牛500(家畜)の体内から体外に排出されていると考えることができる。そして、雌牛500(家畜)の体内から体外に排出された原因は、雌牛500(家畜)が分娩前の状態となったことによると考えることができる。そこで、加速度情報の値が、所定の期間(例えば半日)以上、所定の値以下になった場合に、雌牛500(家畜)が分娩前の状態となっていることを報知してもよいし、単に家畜授精適期検知ユニット2100が雌牛500(家畜)の体内から体外に排出されていることを報知してもよい。
【0124】
第1~3の実施の形態の家畜授精適期検知システム1~3、第4の実施の形態の家畜授精適期検知ユニット100において、家畜授精適期検知ユニット100、1100、2100が備える光源20の数は、例として2つ(図1図2図8図10参照)である。しかし、家畜授精適期検知ユニット100、1100、2100が備える、光源20の数は、1個でもよいし、2個以上の複数でもよい。ここで、光源20の数が1つの場合には、光源20の数が少ないことで、家畜授精適期検知ユニット100、1100、2100をより軽量にできる点で好ましい。ただし、光源20の数が1つの場合には、子宮外口505に強く光があたる部分と弱く光が当たる部分との陰影が生じて、子宮外口505の撮影画像の画像解析処理(図3のステップS230、図9のステップS340)において、陰影をしわと誤判定する可能性がある。
【0125】
そこで、光源20の数を2個以上の複数にする場合は、たとえ一部の光源が故障した場合でも、故障していない光源20が光を子宮外口505に照射できて、確実に光を照射できる点と、複数の光源20にて複数の角度から光を子宮外口505に照射することで、撮像対象の子宮外口505に陰影が生じにくくなり、画像解析処理にて陰影をしわと誤判定する可能性を低減できる点で、より好ましい。
【符号の説明】
【0126】
1 家畜授精適期検知システム
100 家畜授精適期検知ユニット
10 筐体
20 光源
30 撮像装置
40 通信装置
41 アンテナ
50 バッテリ
60 制御装置
60A CPU
60A1 送信部
60B RAM
60C ROM
60D EEPROM
60E インターフェース(I/F)
60F タイマ
80 ストッパ
81 スリーブ
200 管理装置
210 通信装置
211 アンテナ
220 表示装置
250 制御装置
250A CPU
250A2 受信部
250A3 発情推定部
250A4 報知部
250B RAM
250C ROM
250D EEPROM
250E インターフェース(I/F)
250F タイマ
251 記録媒体
500 雌牛(家畜)
501 膣
505 子宮外口
SA 色彩の変化傾向
SA1 所定値
SB しわの数の変化傾向
SB1 所定値
A 家畜授精適期検知ユニット100の計測機ID
B、B1~B3 撮影画像
C、C1~C3 撮影日時
D 色彩の変化傾向から推定した雌牛に発情の兆候が現れているか否か
E しわの数の変化傾向から推定した雌牛に発情の兆候が現れているか否か
T1 所定時間
T2 所定時間
2 家畜授精適期検知システム
1100 家畜授精適期検知ユニット
1060 制御装置
1060A CPU
1060A3 発情推定部
1060A4 報知部
1061 記録媒体
1201 パーソナルコンピュータ
1202 携帯情報端末
3 家畜授精適期検知システム
2100 家畜授精適期検知ユニット
2031 温度センサ(体温検出手段)
2032 加速度センサ(加速度検出手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10