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特許7244817ポイント販促循環方法、プログラム、およびシステム
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  • 特許-ポイント販促循環方法、プログラム、およびシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】ポイント販促循環方法、プログラム、およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0214 20230101AFI20230315BHJP
   G06Q 20/06 20120101ALI20230315BHJP
【FI】
G06Q30/0214
G06Q20/06 300
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022177727
(22)【出願日】2022-11-04
【審査請求日】2022-11-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 [掲載年月日] 2022年8月8日 [掲載アドレス]https://business.nifty.com/cs/catalog/business_release/catalog_atp320876_1.htm [掲載年月日] 2022年8月11日 [掲載アドレス]https://youtu.be/rA-fnuxpEYI [掲載年月日] 2022年8月12日 [掲載アドレス]https://news.infoseek.co.jp/article/atpress_321680/ [掲載年月日] 2022年10月5日 [掲載アドレス]https://point-kikou.co.jp/
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593017119
【氏名又は名称】村松 俊之
(73)【特許権者】
【識別番号】517355051
【氏名又は名称】竹内 祐樹
(74)【代理人】
【識別番号】100210804
【弁理士】
【氏名又は名称】榎 一
(74)【代理人】
【識別番号】100198498
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 靖
(72)【発明者】
【氏名】竹内 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】村松 俊之
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-162290(JP,A)
【文献】特表2010-511921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステムが実施するポイント販促循環方法であって、
ユーザの支払いに対して、「ポイント点数」と「前記ポイント点数の発行元に固有の発行元ID」とが管理されたポイントをデータ生成して前記ユーザに発行する発行処理を行うポイント発行ステップと、
前記ユーザによる前記ポイントの使用に対して、前記ポイントの使用先と、前記ポイントの前記発行元IDが示す前記発行元との間で、使用された前記ポイント点数に関する清算処理を行うポイント清算ステップと、
前記ポイントの使用先から前記ポイントによる販促の成功報酬(以下「販促報酬」という)を受け取る受取処理を行い、使用された前記ポイントの前記発行元IDが示す前記発行元に対して前記販促報酬の部分または全部の給付処理を行う報酬循環ステップと、
を備えることを特徴とするポイント販促循環方法。
【請求項2】
請求項1に記載のポイント販促循環方法であって、
前記報酬循環ステップは、
前記ユーザごとに前記ポイントの所有履歴を管理する履歴管理ステップと、
前記所有履歴に基づいて、前記ユーザが前記使用先を前記発行元とする前記ポイントを所有したリピート履歴を求め、前記リピート履歴に基づいて前記ユーザが前記使用先のリピート客か否かを推定し、リピート客と推定された場合に前記販促報酬の前記受取処理および前記給付処理を行わない例外処理を行う例外処理ステップとを含む
ことを特徴とするポイント販促循環方法。
【請求項3】
請求項1に記載のポイント販促循環方法であって、
前記報酬循環ステップは、
前記ユーザによる前記ポイントの使用に際して前記ユーザが所有する前記ポイント点数の所有比率を前記発行元ごとに求め、前記販促報酬の給付分を前記所有比率の割合で前記発行元に分配して前記給付処理を行う所有率分配ステップを含む
ことを特徴とするポイント販促循環方法。
【請求項4】
請求項3に記載のポイント販促循環方法であって、
前記ポイント発行ステップは、使用先を前記発行元に範囲指定した前記ポイント(以下「独自ポイント」という)の発行処理を前記発行元ごとに選択可能であり、
前記所有率分配ステップは、前記所有比率を前記発行元ごとに求める際に、前記独自ポイントを前記所有比率の計算から除く
ことを特徴とするポイント販促循環方法。
【請求項5】
請求項1に記載のポイント販促循環方法であって、
前記報酬循環ステップは、
前記ポイントの清算に充当する前記ポイント点数の充当比率を前記発行元ごとに求め、前記販促報酬の給付分を前記充当比率の割合で前記発行元に分配して前記給付処理を行う充当率分配ステップを含む
ことを特徴とするポイント販促循環方法。
【請求項6】
請求項1に記載のポイント販促循環方法であって、
前記ポイント発行ステップは、前記ユーザが支払い処理を事業者のシステム(以下「ポイント発行元システム」という)に行った場合、前記ポイント点数の相当分の引受額を前記ポイント発行元システムからの受納処理または予納処理によって保持して、前記ユーザへ前記ポイントの前記発行処理を行い、
前記ポイント清算ステップは、前記ユーザが前記ポイントを事業者のシステム(以下「ポイント使用先システム」という)の支払い処理に充当した場合、充当された前記ポイント点数の相当分を、前記発行元IDが示す前記ポイント発行元システムから保持した前記引受額から前記ポイント使用先システムに補填することで、前記ポイントの前記清算処理を行う
ことを特徴とするポイント販促循環方法。
【請求項7】
コンピュータシステムに
請求項1~6のいずれか一項に記載のポイント販促循環方法を実行させる
ことを特徴とするポイント販促循環プログラム。
【請求項8】
ユーザの支払いに対して、「ポイント点数」と「前記ポイント点数の発行元に固有の発行元ID」とが管理されたポイントをデータ生成して前記ユーザに発行する発行処理を行うポイント発行部と、
前記ユーザによる前記ポイントの使用に対して、前記ポイントの使用先と、前記ポイントの前記発行元IDが示す前記発行元との間で、使用された前記ポイント点数に関する清算処理を行うポイント清算部と、
前記ポイントの使用先から前記ポイントによる販促の成功報酬(以下「販促報酬」という)を受け取る受取処理を行い、使用された前記ポイントの前記発行元IDが示す前記発行元に対して前記販促報酬の部分または全部の給付処理を行う報酬循環部と、
を備えることを特徴とするポイント販促循環システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポイント販促循環方法、ポイント販促循環プログラム、およびポイント販促循環システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品やサービスの購入額などに応じて購入者にポイントを付与するポイントサービスが知られている。購入者は、集めたポイントを新たな商品やサービスの購入額に充当することが可能になる。
【0003】
また、販売店では、お客様の囲い込みによる販売促進を目的に、自社やグループ内でのみ使用可能な独自ポイントのサービスを提供することが知られている。
【0004】
さらに、特許文献1には「異なる事業者間において発行されたポイントを移行条件(変換率など)に基づいて移行することで、異なる事業者において相互にポイント使用を可能にする」旨のビジネスモデルが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-262566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、異なる事業者間において、個別に発行されたポイントが相互に使用可能になる。そのため、ユーザ側においては、ポイント使用の自由度が高まり、ポイントの利便性が高くなるという利点がある。
【0007】
しかしながら、この技術では、ポイントを発行する事業者側において、次の理由のため、事業上の利点が十分とはいえない。
【0008】
まず、ポイント使用の自由度が高まれば、ポイントによるお客様の囲い込みができないため、収益が下がるという問題が生じる。
【0009】
また、事業者が発行したポイントが他の事業者で使用された場合、他の事業者の販売促進のためにポイント発行の負担金を払うことになり、ビジネス上の公平性が損なわれるという問題が生じる。
【0010】
なお、特許文献1には、上述した問題について十分な開示がなく、それを解決するための技術的な手段について記載も示唆もない。
【0011】
そこで、本発明は、上述した問題の少なくとも一つを解決するために、異なる事業者間においてポイントの相互利用を可能にしつつ、事業者間の公平性を高めることのできる技術的な手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、コンピュータシステムが実施するポイント販促循環方法であって、次のステップを備える。
【0013】
ポイント発行ステップは、ユーザの支払いに対して、「ポイント点数」と「前記ポイント点数の発行元に固有の発行元ID」とが管理されたポイントをデータ生成して前記ユーザに発行する発行処理を行う。
【0014】
ポイント清算ステップは、前記ユーザによる前記ポイントの使用に対して、前記ポイントの使用先と、前記ポイントの前記発行元IDが示す前記発行元との間で、使用された前記ポイント点数に関する清算処理を行う。
【0015】
報酬循環ステップは、前記ポイントの使用先から前記ポイントによる販促の成功報酬(以下「販促報酬」という)を受け取る受取処理を行い、使用された前記ポイントの前記発行元IDが示す前記発行元に対して前記販促報酬の部分または全部の給付処理を行う。
【発明の効果】
【0016】
本発明によるポイント販促循環の技術によれば、ポイント使用先の事業者からポイント発行元の事業者へ販促報酬を給付する。この販促報酬のやりとりが継続することによって、事業者の相互間において販促報酬が循環するようになる。その結果、異なる事業者間においてポイントの相互利用を可能にすることでユーザの利便性を高めつつ、販促報酬の循環によって事業者側の公平性を高めることが技術的に可能になる。
【0017】
なお、上述した以外の課題、構成および効果の詳しい内容については、後述する実施形態において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施例1の全体構成を例示するブロック図である。
図2図2は、データベース140のデータ構成を例示する図である。
図3図3は、ポイント販促循環方法におけるポイント発行の動作を例示する流れ図である。
図4図4は、ポイント販促循環方法におけるポイント清算時の動作を例示する流れ図(前半)である。
図5図5は、ポイント販促循環方法におけるポイント清算時の動作を例示する流れ図(後半)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を説明する。
なお、ここでの説明では、個々の動作の主体を明確にするため、請求項中の『〇△ステップ』に相当する動作を、『〇△部』を主体にした動作として記述する。
【実施例1】
【0020】
《実施例1の全体構成》
図1は、実施例1の全体構成を例示するブロック図である。
図1の全体構成は、ユーザ(お客様)に加えて、ポイント販促循環システム100、および事業者システム200から概略構成される。
【0021】
この内、事業者システム200は、ユーザに対するポイントの発行清算などを事業者側で分担する。このような事業者システム200としては、例えば、事業者の店頭コンピュータ(POSなど)、ポイントサービス用の情報端末、または事業者の電子商取引(オンラインショッピングなど)に使用されるコンピュータシステムなどが該当する。
【0022】
なお、以下の説明を分かりやすくするため、事業者システム200の内、ポイントの発行にかかる部分をポイント発行元システム200αとし、ポイントの清算にかかる部分をポイント使用先システム200βとして説明する。
【0023】
一方、ポイント販促循環システム100は、インターネットなどの通信回線を介して事業者システム200に通信接続し、ポイントサービスの全体的なコントロールを行う。
【0024】
このポイント販促循環システム100は、ポイント発行部110、ポイント清算部120、報酬循環部130、およびデータベース140を備える。さらに、報酬循環部130は、所有率分配部131a、充当率分配部131b、履歴管理部132、および例外処理部133を備える。
【0025】
これら構成の内、ポイント発行部110は、ユーザが支払い処理をポイント発行元システム200αに行った場合、「ポイント点数」と「ポイントの発行元ID」とが管理されたポイントをデータ生成する。ポイント発行部110は、データ生成したポイントの発行情報を、ポイント発行元システム200αを介してユーザに通知(発行)する。
【0026】
また、ポイント発行部110は、将来のポイント清算に備えるため、ポイント点数に相当する引受額をポイント発行元システム200αからの受納処理または予納処理によって保持する。
【0027】
なお、ポイント発行部110は、ポイントの発行に際して、発行するポイントすべてを独自ポイント(使用先を発行元が範囲指定したポイント)にしたり、通常のポイントと独自ポイントの発行割合などを、ポイント発行元システム200αごとに選択可能にすることもできる。
【0028】
ポイント清算部120は、ユーザがポイントをポイント使用先システム200βの支払い処理に充当した場合、充当されたポイント点数の相当分を、発行元IDが示すポイント発行元システム200αから保持した引受額からポイント使用先システム200βに補填することで、ポイントの清算処理を行う。
【0029】
報酬循環部130は、ポイントの使用先であるポイント使用先システム200βからポイントによる販促の成功報酬(以下「販促報酬」という)を受け取る受取処理を行う。さらに、報酬循環部130は、使用されたポイントの発行元IDが示すポイント発行元システム200αに対して販促報酬の部分または全部を給付する給付処理を行う。
【0030】
データベース140は、ポイントサービスの運営に関するデータ群を保持する。なお、このデータベース140は、ポイント販促循環システム100の内部に備えずに、外部のデータサーバーなどを使用してもよい。
【0031】
所有率分配部131aは、ユーザによるポイントの使用に際して、ユーザが所有するポイント点数の所有比率を発行元ごとに求める。所有率分配部131aは、求めた所有比率の割合で、販促報酬の給付分を発行元にそれぞれ分配して給付する処理を行う。
【0032】
なお、所有率分配部131aは、所有比率を発行元ごとに求める際に、独自ポイントを所有比率の計算から除く。
【0033】
充当率分配部131bは、ポイントの清算に充当する際のポイント点数の充当比率を発行元ごとに求める。充当率分配部131bは、求めた充当比率の割合で、販促報酬の給付分を発行元にそれぞれ分配する給付処理を行う
【0034】
履歴管理部132は、ユーザごとにポイントの所有履歴を管理する。
【0035】
例外処理部133は、履歴管理部132が管理する所有履歴を参照して、ユーザがポイントの使用先を発行元とするポイントを所有したリピート履歴を求める。例外処理部133は、このリピート履歴に基づいて、ユーザが使用先のリピート客といえるか否かを推定する。例外処理部133は、リピート客と推定された場合に、販促報酬の受取処理および給付処理を行わない例外処理を行う。
【0036】
《データベース140のデータ構成》
図2は、データベース140のデータ構成を例示する図である。
以下、図2を参照して、ポイント販促循環システム100が使用するデータ群について説明する。なお、図2に示す構成の内、図1と同じ構成については、ここでの重複説明を省略する。
【0037】
図2において、データベース140は、ユーザデータベース141、履歴データベース142、販促報酬データベース143、および清算データベース144を備える。
【0038】
この内、ユーザデータベース141は、ユーザが所有するポイントを管理するためのデータ群を保持する。例えば、このデータ群は、次のようなデータを含む。
・ユーザID(ユーザに固有のID情報)
・発行元ID(ポイントを発行する事業者に固有のID情報)
・ポイント点数(ユーザの支払いに応じて付与される点数、清算により消滅する)
・ポイント発行日(ポイントの発行された日時)
・独自ポイントか否か(独自ポイントとして発行されたか否かを示すフラグ情報)
【0039】
履歴データベース142は、ポイントの所有履歴に関するデータ群を保持する。例えば、このデータ群は、次のようなデータを含む。
・ユーザID
・発行元ID
・ポイントの所有履歴(ユーザが所有したポイントの履歴データ)
【0040】
販促報酬データベース143は、販促報酬の受取処理と給付処理に関するデータ群を保持する。例えば、このデータ群は、次のようなデータを含む。
・発行元ID
・販促報酬額(ポイント使用先から販促報酬として受け取る報酬額)
・給付分(ポイント発行元へ給付する給付額)
・分配明細(販促報酬の分配明細)
【0041】
清算データベース144は、ポイントの発行時および精算時の収支処理に関するデータ群を保持する。例えば、このデータ群は、次のようなデータを含む。
・発行元ID
・予納額(ポイント発行元から将来のポイント発行に備えて予納された額)
・引受額(ポイントの発行時に将来のポイント清算に備えて引き受けて保持する額)
【0042】
なお、上述したポイント販促循環システム100は、ハードウェアとしてCPU(Central Processing Unit)やメモリなどを備えたコンピュータシステムとして構成してもよい。このハードウェアがコンピュータ可読媒体に記憶された「ポイント販促循環プログラム」を実行することによって、上述したポイント販促循環システム100の各部機能が実現する。
【0043】
このようなハードウェアの一部または全部については、専用の装置、機械学習マシン、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、PLD(programmable logic device)などで代替してもよい。
【0044】
また、ハードウェアやプログラムの一部または全部をクラウド上のサーバに集中または分散してクラウドシステムを構成することによって、ポイントサービスを提供する複数のクライアント端末に対して「ポイント販促循環方法」のサービスを提供してもよい。
【0045】
《ポイント発行の処理》
次に、実施例1のポイント発行時の動作について説明する。
図3は、ポイント販促循環方法におけるポイント発行の動作を説明する流れ図である。
以下、図3に示すステップ番号の順に説明する。
【0046】
ステップS101: ユーザ(お客様)がポイントサービスの提供店(事業者)で買い物などの支払いを行うと、事業者のポイント発行元システム200αからポイント販促循環システム100へユーザの支払い情報(発行元ID・ユーザID・支払額またはポイント点数など)が送信される。ポイント発行部110は、この支払情報を受け付ける。
【0047】
ステップS102: ポイント発行部110は、ポイント発行元システム200αとの間で、支払い情報に基づくポイント点数を確定する。ポイント発行部110は、そのポイント点数を将来精算する際に必要な費用(引受額)を算出し、ポイント発行元システム200αに請求する。ポイント発行元システム200αは、ポイント販促循環システム100に対して、引受額を電子的に支払う。ポイント発行部110は、引受額を保持したことを清算データベース144に記録する。
【0048】
なお、ポイント発行元システム200αは、ポイント販促循環システム100に対して所定額を電子的に予納することもできる。その場合、ポイント発行部110は、予納分から引受額の相当分を電子的に減算することで、引受額を保持してもよい。
【0049】
ステップS103: ポイント発行部110は、今回発行するポイントを、使用先を発行元やそのグループ内に範囲指定するか否か(独自ポイントか否か)をポイント発行元システム200αに確認する。
【0050】
ステップS104: ポイント発行部110は、ステップS101~S103で得られた情報に基づいて、発行するポイントのデータ(ユーザID、発行元ID、ポイント点数、ポイント発行日、独自ポイントか否か・・など)を生成して、ユーザデータベース141に記録する。
【0051】
ステップS105: ポイント発行部110は、ステップS104で記録したポイントの発行情報をポイント発行元システム200αに通知する。
【0052】
ステップS106: ポイント発行元システム200αは、ポイントの発行情報をレシートなどによってユーザに通知する
【0053】
ステップS107: 履歴管理部132は、今回発行したポイントのデータを、ユーザのポイントの所有履歴に加えるため、履歴データベース142に記録する。
【0054】
上述した一連の動作により、ポイント販促循環方法におけるポイント発行の動作が完了する。
【0055】
《ポイント精算と販促報酬の処理》
続いて、実施例1のポイント精算と販促報酬の処理について説明する。
図4および図5は、ポイント販促循環方法におけるポイント清算時の動作を説明する流れ図である。
以下、図4および図5に示すステップ番号の順に説明する。
【0056】
ステップS201: ユーザ(お客様)がポイントサービスの提供店(事業者)で支払いにポイントを充当すると、事業者のポイント使用先システム200βからポイント販促循環システム100へポイント使用の通知(ユーザID、利用先IDなど)が送信される。ここでの利用先IDは、ポイント利用先の事業者に固有のID情報である。ポイント清算部120は、このポイント使用の通知を受け付ける。
【0057】
ステップS202: ポイント清算部120は、ユーザIDをユーザデータベース141に照会し、ユーザが所有するポイント点数から、利用先IDに使用不可の独自ポイントの分を除いて、利用先の支払いに充当可能なポイント点数を情報取得する。
【0058】
ステップS203: ポイント清算部120は、充当可能なポイント点数をポイント使用先システム200βに通知する。ポイント使用先システム200βは、支払いに充当するポイント点数を確定し、確定したポイント点数をポイント清算部120に通知する。
【0059】
ステップS204: 所有率分配部131aは、現時点でユーザが所有するポイント(使用先に使用不可の独自ポイントを除く)のポイント点数を発行元ごとに分類し、ユーザ所有のポイント点数に占める発行元ごとのポイント点数の占有率を所有比率として求める。
【0060】
ステップS205: 充当率分配部131bは、現時点でユーザが所有するポイント(使用先に使用不可の独自ポイントを除く)から、今回の支払いに充当するポイント点数の割り当てを発行元ごとに決定する。例えば、この割り当てには、ステップS204で分類した「発行元ごとのポイント点数」を、所定の割り当て方式(比例配分やドント方式やサン=ラグ方式や最大剰余方式や最高平均方式やヘアー方式やドループ方式やハ-ゲン・ビショップ方式・・など)で割り当てることによって行われる。
充当率分配部131bは、このように割り当てた「発行元ごとのポイント点数」が、充当するポイント点数に占める占有率を充当比率として求める。
【0061】
ステップS206: ポイント清算部120は、支払いに充当するポイント点数を、ユーザデータベース141のユーザが所有するポイント点数から発行元ごとに減算する。
【0062】
ステップS207: ポイント清算部120は、支払いに充当するポイント点数に相当する清算額を、清算データベース144の引受額から発行元ごとに減算する。
【0063】
ステップS208: ポイント清算部120は、支払いに充当するポイント点数に相当する引受額を清算額としてポイント使用先システム200βに対して電子的に補填して、ポイントの清算を完了する。
【0064】
ステップS211: 例外処理部133は、履歴データベース142をユーザIDで参照し、所定期間前まで遡って、ユーザがポイントの使用先で発行したポイントの所有履歴を有するか否かを判定する。例えば、この所定期間については、ポイントの使用先の職種や購入品や支払い規模などに応じて、ユーザが使用先のリピート客として統計的に推定可能な購入間隔に相当する期間に設定される。
【0065】
ステップS212: ユーザがリピート客でないと推定された場合、例外処理部133は動作をステップS213に移行する。
【0066】
一方、ユーザがリピート客と判定された場合、ユーザの意志で使用先での購入を選択したと判断されるため、他の事業者のポイント発行が使用先の販売促進に貢献したとは言い難い。そのため、例外処理部133は、これ以降の販促報酬の受取処理および給付処理を行わず(例外処理)、精算時の動作を完了する。
【0067】
ステップS213: 報酬循環部130は、ユーザの支払い額などに応じて、ポイントによる販促報酬を算出する。ここでの販促報酬とは、ポイントの相互利用のシステムが販売促進につながった分を評価する一種の成功報酬である。一例として、販促報酬は、ポイントの相互利用のシステムの導入前後の標準的な売上上昇などを根拠に算定される。この販促報酬は、事業者の側から見ると販売促進のための経費であって、売上アップまた売上維持のためのコンサルタント料に該当する。
【0068】
ステップS214: 報酬循環部130は、算出した販促報酬をポイント使用先システム200βからコンサルタント料として電子的に受け取る受取処理を行う。報酬循環部130は、この受取処理を販促報酬データベース143に記録する。
【0069】
ステップS215: 報酬循環部130は、販促報酬に占めるシステム経費を算定する。このシステム経費は、ポイント販促循環システム100を永続的に運営するために必要な経費である。報酬循環部130は、成功報酬からシステム経費を除いた分を、ポイントの発行元に給付する給付分に決定する。この給付分は、発行したポイントが他の事業者の販売促進に貢献したことを評価するための循環型の成功報酬であり、ビジネス上の公平性を高めるものである。
【0070】
ステップS216: 報酬循環部130は、ポイント販促循環システム100の事前設定などに基づいて、所有率分配部131aと充当率分配部131bのどちらか一方を選択的に使用する。所有率分配部131aが選択された場合、報酬循環部130は、ステップS217に動作を移行する。また、充当率分配部131bが選択された場合、報酬循環部130は、ステップS218に動作を移行する。
【0071】
ステップS217: 所有率分配部131aは、給付分を所有比率の割合で発行元ごとに分配し、販売促進に対する循環型の成功報酬として発行元(ポイント発行元システム200α)ごとに電子的に給付する。この処理の後、所有率分配部131aは、ステップS219に動作を移行する。
【0072】
ステップS218: 充当率分配部131bは、給付分を充当比率の割合で発行元ごとに分配し、販売促進に対する循環型の成功報酬として発行元(ポイント発行元システム200α)ごとに電子的に給付する。この処理の後、充当率分配部131bは、ステップS219に動作を進める。
【0073】
ステップS219: 報酬循環部130は、販促報酬の分配明細を販促報酬データベース143に記録する
【0074】
上述した一連の動作により、ポイント販促循環方法におけるポイント清算と販促報酬の動作が完了する。
【0075】
《実施例1の効果》
以下、実施例1が奏する効果について説明する。
【0076】
(1)先行技術(特許文献1)で説明したように、事業者の間でポイントの相互利用が可能になれば、ユーザの利便性は高まる一方、事業者側ではお客様の囲い込みができない分だけ収益が下がるという問題が生じる。さらに、事業者が発行したポイントが他の事業者で使われた場合、他の事業者の販売促進のためにポイント発行の負担金を払うことになり、ビジネス上の公平性を損なうという問題が生じる。
【0077】
そこで、本実施例1は、ユーザがポイントを使用した際に、ポイントの使用先からポイントの発行元へ、販売促進の貢献分を販促報酬として戻すことによって、販促報酬を事業者間に継続して全体で循環させる。その結果、本実施例1は、ポイントの相互利用によってユーザの利便性を高めつつ、販促報酬の循環によって事業者間の収益バランスを高めて公平性を保つ仕組みが技術的に実現する。
【0078】
(2)本実施例1では、ユーザごとにポイントの所有履歴を管理し、所有履歴に基づいてユーザが今回の使用先にとってリピート客であったか否かを推定する。使用先のリピート客と推定された場合には、他の事業者のポイント発行は使用先の販売促進に貢献したとは言い難い。そこで、本実施例1は、リピート客と推定された場合に、販促報酬の受取処理および給付処理を例外的に行わない。したがって、本実施例1は、他の事業者のポイントが販売促進に実質貢献しないリピート客を例外として除くことによって、販促報酬をさらに公平に循環させる仕組みが技術的に実現する。
【0079】
(3)本実施例1では、ユーザが所有するポイント点数の所有比率を発行元ごとに求め、その所有比率の割合で販促報酬の給付分を発行元に分配する。そのため、そのユーザに対してポイントを多く発行していた事業者ほど、他の事業者の販売促進に貢献したと評価して販促報酬が多く配分されることになる。その結果、本実施例1は、販促報酬をさらに公平に循環する仕組みが技術的に実現する。
【0080】
(4)なお、独自ポイントについては、他の事業者での使用ができないため、他の事業者の販売促進には実質的に貢献しない。そこで、本実施例1では、独自ボイントを除いて、ユーザが所有するポイントの所有比率を求める。その所有比率に従って販促報酬を事業者に配分することによって、本実施例1は、販促報酬をさらに公平に循環する仕組みが技術的に実現する。
【0081】
(5)さらに、本実施例1では、ユーザのポイントの清算に充当するポイント点数の充当比率を発行元ごとに求め、その充当比率の割合で販促報酬の給付分を発行元に分配する。そのため、他の事業者に対してポイント清算に多く充当される事業者ほど、他の事業者の販売促進に貢献したと評価して販促報酬が多く配分されることになる。その結果、本実施例1は、販促報酬をさらに公平に循環する仕組みが技術的に実現する。
【0082】
《その他の補足事項》
なお、上述した実施形態では、ポイントの引受額および清算額、ならびに販促報酬の受取処理および給付処理などを逐次的に行う場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、これらの収支を一定間隔おき(日毎、月毎、年毎など)にプラスマイナスを相殺して行うことによって、収支の回数を減らしてもよい。
【0083】
また、上述した実施形態では、これらの収支を金額の電子的なやりとりによって行っている。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、ポイントの引受額および清算額、ならびに販促報酬の受取額および給付額などの金額をポイント点数に代えて、ポイント点数のやりとりによって行ってもよい。
【0084】
さらに、上述した実施形態では、説明を簡明にするため、ポイントの発行処理(図3参照)と、ポイントの清算処理(図4図5)とを別々に説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、ポイントの不足によって支払いの全額を清算できない場合、残額の支払い部分についてポイントが発生する。このとき、ポイントの清算処理とポイントの発行処理とが同時に実行される。
【0085】
さらに、上述した実施形態では、ポイントを使用したユーザが、使用先を発行元とするポイント点数を所定期間前に遡って所有していたか否かによって、ユーザが使用先のリピート客か否かを推定している。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
【0086】
例えば、所定期間を設けずに、ポイントを使用したユーザが使用先を発行元とするポイント点数を過去所有していたか否かによってリピート客か否かを直截的に推定してもよい。この直截的な推定によれば、リピート客の可能性が少しでもある場合に必ずリピート客と推定するため、リピート客か否かの推定処理の曖昧さを無くすことができる。
【0087】
また例えば、ユーザが使用先を発行元とするポイントを所有したリピート履歴を時間軸上の履歴パターンとして求める。この履歴パターンとリピート客か否かの教師値を学習データとして、学習モデルの機械学習を行うことにより、リピート客か否かの推定器が作成される。この推定器に『ユーザが使用先を発行元とするポイントを所有した履歴パターン』を入力することによって、ユーザが使用先のリピート客か否かを推定してもよい。
【0088】
なお、本発明は、上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0089】
例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために全体を詳細に説明したものであり、本発明は必ずしも説明した全ての構成や全てのステップを備えるものに限定されない。
【0090】
また、実施形態の個々の要素を適宜に組み合わせてもよい。さらに、実施形態に対して、他の構成や他のステップを追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0091】
100...ポイント販促循環システム、110...ポイント発行部、120...ポイント清算部、130...報酬循環部、131a...所有率分配部、131b...充当率分配部、132...履歴管理部、133...例外処理部、140...データベース、141...ユーザデータベース、142...履歴データベース、143...販促報酬データベース、144...清算データベース、200...事業者システム、200α...ポイント発行元システム、200β...ポイント使用先システム
【要約】      (修正有)
【課題】異なる事業者間においてポイントの相互利用を可能にしつつ、事業者間の公平性を高めるポイント販促循環方法、ポイント販促循環プログラム及びポイント販促循環システムを提供する。
【解決手段】コンピュータシステムが実施するポイント販促循環方法であって、次のステップを備える。ポイント発行ステップは、ユーザの支払いに対して、「ポイント点数」と「発行元ID」とが管理されたポイントをデータ生成する発行処理を行う。ポイント清算ステップは、前記ポイントの使用先と、前記ポイントの前記発行元IDが示す発行元との間で、使用された前記ポイント点数に関する清算処理を行う。報酬循環ステップは、前記ポイントの使用先から前記ポイントによる販促の成功報酬を受け取る受取処理を行い、使用された前記ポイントの前記発行元IDが示す前記発行元に対して前記ポイントによる販促の成功報酬の部分または全部の給付処理を行う。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5