IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -沈殿藍の製造方法 図1
  • -沈殿藍の製造方法 図2
  • -沈殿藍の製造方法 図3
  • -沈殿藍の製造方法 図4
  • -沈殿藍の製造方法 図5
  • -沈殿藍の製造方法 図6
  • -沈殿藍の製造方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】沈殿藍の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09B 61/00 20060101AFI20230315BHJP
   B01D 21/01 20060101ALI20230315BHJP
   C02F 1/52 20230101ALI20230315BHJP
【FI】
C09B61/00 D
B01D21/01 102
C02F1/52 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020025840
(22)【出願日】2020-02-19
(65)【公開番号】P2021130757
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2021-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】592197108
【氏名又は名称】徳島県
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(72)【発明者】
【氏名】吉原 均
(72)【発明者】
【氏名】村井 恒治
(72)【発明者】
【氏名】田中 昭人
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-111793(JP,A)
【文献】特開2018-035090(JP,A)
【文献】特開2019-157063(JP,A)
【文献】常盤豊,リュウキュウアイおよびタデアイからの沈澱藍の製造に関わる微生物,沖縄県工業技術センター研究報告書 平成26年度,第17号,p.5-11
【文献】常盤豊,琉球地域の伝統産業「藍染料製造」に関わる微生物の特性 その2 沖縄産タデアイからの沈澱藍の製造に関わる微生物の特性 ,沖縄県工業技術センター研究報告書 平成23年度,第14号,2012年,p. 7-10
【文献】常盤豊,琉球地域の伝統産業「藍染料製造」に関わる微生物の特性 その3 沖縄産タデアイからの沈澱藍の製造に関わる微生物の特性 ,沖縄県工業技術センター研究報告書 平成23年度,第14号,2012年,p.11-16
【文献】II. 事業報告 (2)沈殿藍の生産と利用,四国大学研究ブランディング事業 事業報告書(平成29年度~令和3年度),2020年04月08日,p.11-16,https://www.shikoku-u.ac.jp/subaru/1cd759f438835987a03135884e1c23660113df4a.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 61/00
B01D 21/01
C02F 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
含藍植物の茎葉を水に漬け込んで色素の元になる成分を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程で色素の元になる成分が抽出された抽出液を茎葉から分離する第一の分離工程と、
前記抽出液に対して過飽和量の消石灰を添加する添加工程と、
前記消石灰が添加された前記抽出液を静置して夾雑物を沈殿させる沈殿工程と、
前記沈殿工程で沈殿した沈殿物を除く上澄み液を成分含有液として分離する第二の分離工程と、
前記第二の分離工程で分離された前記成分含有液に対し、エアレーションを行い色素を生成する色素生成工程と、
前記色素生成工程で生成された色素成分を回収する回収工程と、
を含む沈殿藍の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の沈殿藍の製造方法であって、
前記含藍植物が、タデアイ、インドアイ、リュウキュウアイのいずれかである沈殿藍の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の沈殿藍の製造方法であって、
前記添加工程において、
1Lの前記抽出液に対して、2g~20gの前記消石灰を添加する沈殿藍の製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の沈殿藍の製造方法であって、
前記添加工程において、
前記抽出液に水流を生じさせた状態で、前記消石灰を流し込んで添加する沈殿藍の製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の沈殿藍の製造方法であって、
前記添加工程において、
前記消石灰を、液体に溶いた石灰乳の状態で前記抽出液に添加する沈殿藍の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の沈殿藍の製造方法であって、
前記添加工程において、
1Lの液体に対して、100g~500gの前記消石灰を溶いて前記石灰乳とする沈殿藍の製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の沈殿藍の製造方法であって、
前記添加工程及び前記沈殿工程において、前記消石灰を加えた前記抽出液を攪拌しない沈殿藍の製造方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の沈殿藍の製造方法であって、
前記抽出工程において、
前記含藍植物の茎葉を水に漬け込む時間が、1~3日である沈殿藍の製造方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の沈殿藍の製造方法であって、
前記回収工程において、
沈殿または濾過により水分を分離して色素成分を回収する殿藍の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沈殿藍の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
藍色はジャパンブルーとも呼ばれ、伝統的にはインディゴを含む天然の藍染料によって染められてきた。徳島県産の藍染料は阿波藍として有名であり、江戸時代以降は日本最大の藍作地帯として知られた。しかし、明治後期以降は輸入品に押されて衰退した。そこで、藍の活用が求められている。特に2020年開催予定の東京オリンピック・パラリンピックの公式エンブレムに藍色が採用されたこともあって、藍の活用に注目が集まっており、徳島県及び日本の活性化につなげるため、藍の利用分野の拡大が強く求められている。
【0003】
徳島県をはじめとする日本国内(沖縄を除く)では、藍染めの手法として、「すくも」を利用した染色方法が主流であった。この方法では、染色対象物を何度も漬け込んで洗浄する作業が必要となり、手間が掛かる上、染色対象物を漬け込める桶が必要になる等、設備も大掛かりとなる。例えば、木材のような水に濡らすと反りが発生するものや、建材のように大型で、漬け込むための桶を準備し難いような対象物には適用が困難であった。上述した藍の利用分野の拡大という観点からは、絵の具やインクのように単体で塗布可能な塗料として提供することが求められている。
【0004】
一方で、藍染めの方法として、すくもによる方法以外に、沈殿藍を用いる方法が知られている。沈殿藍は泥藍とも呼ばれ、藍染料として用いることで染色に用いられている。この沈殿藍を、染料としてでなく顔料として利用すれば、着色対象物に直接塗布して着色できる。ここで、従来の沈殿藍の製造方法を、図7に基づいて説明する。まず、タデアイの生茎葉を2日程度水に漬け込む(抽出工程)。次に、色素の元となる成分が抽出された液と茎葉とを分離して抽出液を得る(分離工程)。さらに、抽出液に少しずつ消石灰を加えながら激しく攪拌する。消石灰を加えて攪拌することで、溶液をアルカリ性としながら、空気中の酸素を送り込んで色素を生成する(色素生成工程)。この工程では、エアレーションで空気中の酸素を送り込んで攪拌して色素を生成させてもよい。攪拌作業が終わると、処理された液を数時間~十数時間静置して色素を沈殿させる(沈殿工程)。上澄み液を捨て、沈殿物が泥状になるまで水分を除去して泥藍(沈殿藍)を得る。
【0005】
しかしながら、この方法で得られた沈殿藍は、藍の茎葉由来の不純物や消石灰が多量に混入しているため、染料としては問題無く使用できるものの、含まれるインディゴの含有率が低くなるため、綺麗な青色を発色させる顔料や塗料としては不適であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-274488号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】「泥藍(沈殿藍)の作り方」workshopひとつ屋+cafe<https://hitotsuya.com/151018-2/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その目的の一は、インディゴの含有率の高い沈殿藍を製造することで、藍を用いた塗料の品質を向上させ、藍による着色を容易に行えるようにし、藍の生産量、消費量を拡大する沈殿藍の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
本発明の沈殿藍の製造方法によれば、含藍植物の茎葉を水に漬け込んで色素の元になる成分を抽出する抽出工程と、抽出工程で色素の元になる成分が抽出された抽出液を茎葉から分離する第一の分離工程と、抽出液に対して過飽和量の消石灰を添加する添加工程と、消石灰が添加された抽出液を静置して夾雑物を沈殿させる沈殿工程と、沈殿工程で沈殿した沈殿物を除く上澄み液を成分含有液として分離する第二の分離工程と、第二の分離工程で分離された成分含有液に対し、エアレーションを行い色素を生成する色素生成工程と、色素生成工程で生成された色素成分を回収する回収工程とを含んでいる。
【0010】
これにより、インディゴの含有率の高い沈殿藍が得られ、高品質な顔料や塗料として利用可能とできる。とくに、従来の沈殿藍の製造方法では、夾雑物が多く混在して高品質の沈殿藍を製造できなかったが、本発明の方法により、簡単かつ容易に、高品質の沈殿藍を効率よく製造することが可能となる。
【0011】
本発明の第2の側面にかかる沈殿藍の製造方法は、含藍植物を、タデアイ、インドアイ、リュウキュウアイのいずれかとしている。
これにより、含藍植物として、色素の元になる成分が多く含まれ、入手が容易である藍の茎葉を使用してインディゴの含有率の高い沈殿藍を効率よく製造でき、高品質な顔料や塗料として利用可能とできる。とくに、含藍植物としてタデアイを使用する場合、従来の方法では困難であった沈殿藍におけるインディゴの含有率を高くできる特長がある。
【0012】
本発明の第3の側面にかかる沈殿藍の製造方法は、添加工程において、1Lの抽出液に対して、2g~20gの消石灰を添加している。
これにより、抽出液に対して過飽和となる十分量の消石灰を添加して、抽出液をアルカリ環境としながら、余剰の消石灰を夾雑物と共に沈殿させることができる。
【0013】
本発明の第4の側面にかかる沈殿藍の製造方法は、添加工程において、抽出液に水流を生じさせた状態で、消石灰を流し込んで添加している。
この方法によると、予め水流を生じさせた抽出液に対して消石灰を投入することで、消石灰が添加された混合液を過剰に攪拌することなく、消石灰を抽出液全体に速やかに混合させることができる。このため、添加工程で色素が生成されるのを有効に防止しながら、抽出液全体に対して効率よく消石灰を混合できる。
【0014】
本発明の第5の側面にかかる沈殿藍の製造方法は、添加工程において、消石灰を、液体に溶いた石灰乳の状態で抽出液に添加している。
これにより、粉末状の消石灰を懸濁液状の石灰乳とすることで、粉末状の消石灰がダマになるのを確実に防止しながら、抽出液に対して過飽和量の消石灰を斑なく添加できる。また、消石灰を液体に溶いた石灰乳の状態で流入することで、抽出液全体に対して速やかに拡散させて飽和状態に溶解できる。
【0015】
本発明の第6の側面にかかる沈殿藍の製造方法は、添加工程において、1Lの液体に対して、100g~500gの消石灰を溶いて石灰乳としている。
これにより、粉末状の消石灰を液体に斑なく分散させてながら、所定量の消石灰を抽出液に対して効率よく拡散させて溶解できる。
【0016】
本発明の第7の側面にかかる沈殿藍の製造方法は、添加工程及び沈殿工程において、消石灰を加えた抽出液を攪拌しないことを特徴とする。
この方法によると、添加工程及び沈殿工程において、消石灰を加えた抽出液を攪拌しないことで、これらの工程において色素が生成されるのを有効に防止しながら、夾雑物を効率よく沈殿させて除去できる特長がある。
【0017】
本発明の第8の側面にかかる沈殿藍の製造方法は、抽出工程において、含藍植物の茎葉を水に漬け込む時間を、1~3日としている。
【0018】
さらに、本発明の第9の側面にかかる沈殿藍の製造方法は、回収工程において、沈殿または濾過により水分を分離して色素成分を回収している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る沈殿藍の製造方法を示す概略工程図である。
図2】インディカンからインディゴが生成される反応を示す図である。
図3】添加工程において、消石灰を液体に溶いて石灰乳とする工程を示す概略工程図である。
図4】添加工程において、抽出液に石灰乳を添加する一例を示す工程図である。
図5】実施例と比較例の方法で製造された沈殿藍のインディゴ含有率を示すグラフである。
図6】実施例1の方法で製造された沈殿藍と比較例1の方法で製造された沈殿藍の発色を示す図である。
図7】従来の沈殿藍の製造方法を示す概略工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下の方法に特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0021】
[実施形態1]
本発明の一実施形態に係る沈殿藍の製造方法は、図1の概略工程図に示すように、含藍植物の茎葉1を水に漬け込んで色素の元になる成分を抽出する抽出工程と、抽出工程で色素の元になる成分が抽出された抽出液3を茎葉1から分離する第一の分離工程と、抽出液3に対して過飽和量の消石灰6を添加する添加工程と、消石灰6が添加された抽出液3を静置して夾雑物を沈殿させる沈殿工程と、沈殿工程で沈殿した沈殿物を除く上澄み液を成分含有液7として分離する第二の分離工程と、第二の分離工程で分離された成分含有液7に対し、エアレーションを行い色素を生成する色素生成工程と、色素生成工程で生成された色素成分9を回収する回収工程とを含んでいる。
【0022】
一般に、沈殿藍の製造方法においては、図2に示すように、以下の反応により含藍植物からインディゴ(indigo)と呼ばれる色素成分を取り出している。含藍植物には、インディゴの前駆体であるインディカン(indican:indoxyl β-D-glucoside、インドキシルとグルコースとの配糖体)という無色の物質が含まれており、細胞が破壊されると、酵素(β-グルコシダーゼ)の働きにより、配糖体からグルコースを引き離してインドキシル(indoxyl)が生成される。沈殿藍の製造においては、通常、含藍植物の茎葉を水に浸すことでインディカンを溶かし出し、酵素の働きによりインドキシルを生成する。インドキシルは、石灰等を加えてアルカリ性にすると共に、空気中の酸素と反応させることによってインディゴになる。インディカン及びインドキシルが水溶性であるのに対し、インディゴが不溶性である。このため、インディゴが生成された溶液から水分を分離することで色素成分を回収して沈殿藍が得られる。
【0023】
本発明の製造方法では、色素の元になる成分が抽出された抽出液に消石灰を添加する際に、従来のように消石灰を少量ずつ加えながら攪拌するのではなく、抽出液全体に対して過飽和量の消石灰を一度に加えて静置する。さらに、抽出液中の夾雑物を沈殿させ、この沈殿物を除く上澄み液を成分含有液として、エアレーションを行うことにより、成分含有液に含まれるインドキシルから色素成分であるインディゴを生成する。このインディゴを回収することで沈殿藍を得ることを特徴としている。
【0024】
従来の製造方法では、抽出液に消石灰を少量ずつ加えながら攪拌して空気を混入することにより、消石灰でアルカリ環境としながら、混入される空気中の酸素により、インディゴを生成していた。このため、沈殿工程で生じる沈殿物には、色素の成分であるインディゴの他に、余剰の消石灰や、含藍植物の茎葉由来の不純物等が混入しており、沈殿物におけるインディゴの含有率が低くなる問題点があった、このため、濃くて美しい藍色の実現が難しく、また、不純物により、顔料としての粒子の質も低下していた。
【0025】
これに対して本発明の製造方法では、添加工程で抽出液に消石灰を添加する際に、抽出液に対して過飽和量の消石灰を添加することで、混合液全体をアルカリ環境としながら、攪拌することなく静置することで酸素との反応を防止して、この工程ではインディゴをほとんど生成することなく、含藍植物の茎葉由来の不純物や余剰の消石灰等の夾雑物を沈殿物として沈殿させて分離している。さらに、このときの上澄み液を成分含有液として取り出してエアーレーションを行うことで、成分含有液中のインドキシルをインディゴに生成させて、これを沈殿または濾過することにより、インディゴの含有率の高い沈殿藍を得るようにしている。インディゴの含有率の高い沈殿藍は、高品質な顔料や塗料として利用可能となる。
【0026】
また、添加工程においては、粉末状の消石灰を直接投入することもできるが、好ましくは、消石灰を液体に溶いた石灰乳の状態で添加する。これにより、抽出液に対して過飽和量の消石灰を効率よく溶解させることができる。とくに、本発明においては、抽出液に消石灰を溶解させる工程で、混合液を攪拌することなく溶解させることが重要である。それは、この添加工程で混合液を攪拌すると、抽出液に含まれる色素の元になる成分が酸素と反応して色素が生成されるからである。本発明の製造方法では、従来のように、消石灰を加える工程で攪拌して色素を生成するのではなく、消石灰を加える添加工程においては、抽出液に消石灰を溶解させてアルカリ環境としながら攪拌することなく静置し、抽出液に含まれる夾雑物を沈殿工程で沈殿させた後、次工程である色素生成工程において、エアレーションを行って酸素と反応させて色素を生成する。すなわち、添加工程では、過飽和量の消石灰を添加しながら、攪拌することなく溶解させることが求められる。したがって、消石灰を粉末の状態で加えるのではなく、消石灰を液体に溶いて石灰乳の状態で加えることで、攪拌することなく過飽和となるように消石灰を抽出液に速やかに溶解することができる。
【0027】
また、過飽和量の消石灰を、直接に、あるいは石灰乳の状態で添加することで、余剰の消石灰は溶解されることなく沈殿する。この際、抽出液に含まれる含藍植物の茎葉由来の不純物等の不溶性の夾雑物が一緒に沈殿する。すなわち、抽出液に対して消石灰を過飽和となるように添加することで、余剰の消石灰を効果的に沈殿させつつ、これと同時に混合液中の夾雑物である含藍植物の茎葉由来の不純物等を効率よく沈殿させて除去できる。これにより、エアレーションで色素を生成した後、回収工程で色素成分を回収する際には、純度の高い沈殿藍を得ることができる。
【0028】
さらに、以上の製造方法によると、良質の沈殿藍を簡単かつ容易に製造できるので、藍製品の普及を促進して、日本の伝統産業の一つである藍染め技術の保護育成にも寄与できる。特に徳島県は江戸時代より藍の産地として繁栄していたものの、明治期以降はインド製の藍染料や化学染料の導入によって急速に藍産業が衰退しており、現在では後継者難に苦しむ程の状況であるところ、藍製品の普及によって藍産業を活性化させて、ひいては地方の活性化にもつなげるという効果が期待される。藍の栽培面積は徳島県が全国一位であるものの(平成19年度政府統計<http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/tokusan_nousaku/index.html>によれば全国の約6割を占める)、最盛期の作付面積1万5000haに比べると、僅か10~20haと0.1%程度にすぎず、藍製造業者も5軒程が残るのみであって衰退が著しい状況に変わりはない。一方で、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの公式エンブレムに藍色が採用されたこともあって、藍製品の活用に注目が集まっており、従来の繊維製品の染色に止まらず、種々の材料の染色にも利用範囲を拡大することで、藍産業の活性化が期待されている。このような伝統産業の保存維持に加えて、藍産業の復活による地方の活性化という社会的な要請にも本発明は沿うものである。
【0029】
以下、本発明の沈殿藍の製造方法における各工程を、図1に示す概略工程図に基づいて説明する。
【0030】
(抽出工程)
抽出工程では、図1の(A)で示すように、含藍植物の茎葉1を水に漬け込んで色素の元になる成分を抽出する。含藍植物の茎葉1には、例えば、タデアイ、インドアイ、リュウキュウアイのいずれかの藍の茎葉を使用する。ただ、含藍植物には、ナンバンコマツナギ、タイワンコマツナギ、タイセイ、ソメモノカズラ等の藍の成分を含有する他の全ての植物を使用することもできる。とくに、含藍植物として、タデアイを使用する場合、従来の沈殿藍の製造方法では、タデアイから生じる茎葉由来の不純物等が沈殿藍に混入することにより、タデアイを使用して良質の沈殿藍を製造することは困難であったが、本発明の方法によると、タデアイから生じる茎葉由来の不純物等の夾雑物を効率よく取り除くことができるので、タデアイを使用しながら良質の沈殿藍を製造できる特長が実現できる。
【0031】
藍の茎葉1は、藍を扱う生産農家から入手する。藍の茎葉1は、好ましくは、藍色成分の多い夏に収穫した藍(一番藍)を使用する。刈り取った藍の生茎葉は、所定の容積を有する容器2に入れる。容器2に藍の茎葉1を入れた後、茎葉1が完全に浸るまで水を加える。さらに、好ましくは、茎葉1が浮かび上がってこないように重しを載せる。水を注いだ後、所定の時間放置して発酵させ、色素の元になる成分を溶かし出す。
【0032】
抽出工程において、水に漬け込む時間は、例えば、気温25℃~30℃の環境において、1~3日とする。浸漬する時間は、気温等により左右され、夏の暑い日(気温30℃以上)であれば1日~1日半とすることができ、気温がやや低い時期(気温25℃~30℃)であれば、2日~3日としてもよい。また、容器内で浸漬された茎葉は、時折、例えば、1日に数回混ぜ返すことが好ましい。この抽出工程において、インディゴ(indigo)の前駆体であるインジカン(indican)が溶け出すと共に、酵素(β-グルコシターゼ)の働きにより、インドキシル(indoxyl)への変換が進む。この時点での抽出液のpHは4~5の酸性となる。
【0033】
(第一の分離工程)
第一の分離工程では、図1の(B)で示すように、抽出工程で色素の元になる成分が抽出された抽出液3を茎葉1から分離する。抽出液3は、容器2内の全ての茎葉1を取り除くことで分離でき、あるいは、ポンプ等を使用して容器2から汲み出して分離しても良い。さらに、この際、網やフィルターに通すことで、茎葉の残渣などを取り除くことが好ましい。分離した抽出液3は沈殿槽4に移す。
【0034】
(添加工程)
添加工程では、第一の分離工程で得られた抽出液3に消石灰6を添加する。消石灰6は、粉末状の水酸化カルシウムである。消石灰6は、粉末の状態で添加することもできるが、好ましくは、図1の(C)で示すように、液体に溶いた石灰乳5の状態で添加される。石灰乳5は、図3に示すように、溶解度以上の過剰な消石灰を液体で溶いて粥状の懸濁液としたものである。消石灰6を溶く液体には、好ましくは水を使用する。ただ、消石灰は、アルカリ水溶液等の液体で溶くこともできる。このように、溶解度以上の消石灰を液体で溶くことで、抽出液3に添加された状態で溶解している水酸化カルシウムが消費されても、懸濁している水酸化カルシウムが溶解して、常に飽和状態に保つことができる。石灰乳5は、例えば、水1Lに対して、消石灰を100g~500g、好ましくは150g~400g、さらに好ましくは200g~300gを溶いて調製することができる。
【0035】
さらに、添加工程においては、抽出液3に対して過飽和量の消石灰6を添加する。消石灰の溶解度は、25℃の水に対して1.7g/Lである。したがって、消石灰6は、好ましくは、抽出液全体に対する割合が2g/L以上であって、好ましくは3g/L以上となるように添加量を調整する。
【0036】
ここで、仮に、抽出液3に添加される消石灰の量が多すぎても問題はない。それは、この添加工程では色素が生成されることがなく、余剰の消石灰は溶解することなく沈殿して除去されるので、最終的に得られる沈殿藍の質や量に悪い影響を与えることがないからである。逆に、添加工程で過飽和となる量の消石灰を加えることで、抽出液内に残存する藍の茎葉由来の不純物等の不溶性の夾雑物を過剰な消石灰と共に沈殿させることができ、夾雑物の沈殿を促進して効率よく沈殿させることができる。ただ、添加する消石灰が多すぎるとコストが高くなる。このため、抽出液3に対する消石灰の割合は、100g/L以下であって、好ましくは50g/L以下となるように調整する。
【0037】
以上のことを考慮して、添加工程で抽出液3に添加される消石灰の割合は、抽出液全体に対して2g/L~20g/L、好ましくは、3g/L~15g/L、さらに好ましくは、5g/L~10g/Lとなるように調整する。消石灰6を石灰乳5の状態で添加する場合は、石灰乳5の添加量と、石灰乳5に含まれる消石灰6の量によって消石灰6の添加量を調整する。例えば、1Lの水に対して約250gの消石灰6を溶いた石灰乳5を使用する場合、1000Lの抽出液3に対して、8L~80Lの石灰乳5を添加することで、抽出液全体に対する消石灰6の割合を2g/L~20g/Lとすることができ、20L~40Lの石灰乳5を添加することで、抽出液全体に対する消石灰6の割合を5g/L~10g/Lとすることができる。以上のようにして、消石灰6が添加された抽出液3は、pHが11~12のアルカリ性となる。
【0038】
さらに、この添加工程では、消石灰6を加えた後、消石灰6が添加された抽出液3を攪拌することなく静置するが、添加する消石灰6は、抽出液全体に対して速やかに、かつ斑なく溶くことが好ましい。このことを実現するために、消石灰6を添加する際には、図3に示すように、沈殿槽4内に貯留された抽出液3に流れを生じさせた状態で消石灰6を流し込むことで、消石灰6を速やかに溶くことができる。図3においては、消石灰6を石灰乳5の状態で添加する状態を示している。例えば、沈殿槽4器内に貯留された抽出液3の水面を、円を描くように掻き回して円状の水流を生じさせた状態で石灰乳5を投入すると、水流によって石灰乳5を抽出液全体に効率よく拡散させながら溶くことができる。すなわち、石灰乳5の混合前であれば、抽出液3を掻き回しても色素は生成されないので、抽出液全体に円状ないし渦状の水流を起こすように抽出液3を掻き回した状態で石灰乳5を添加する。この場合、抽出液3の水流によって石灰乳5が拡散するので、攪拌とは異なり、混合液が激しく空気に触れることがないので色素が生成されることは少なく、消石灰5を抽出液全体に溶解させて速やかにアルカリ性にできる。この方法は、消石灰6を粉末の状態で添加する場合においても有効である。
【0039】
(沈殿工程)
沈殿工程では、図1の(D)で示すように、消石灰6が添加された抽出液3を静置して夾雑物を沈殿させる。この工程では、抽出液中の夾雑物である、藍の茎葉由来の不純物や余剰な消石灰等が沈殿する。本発明の製造方法では、この沈殿工程では、色素の成分はほとんど沈殿しない。それは、沈殿工程の前工程において、抽出液3を強く攪拌することなく静置し、言い換えると抽出液中のインドキシルと酸素とをほとんど反応させることなく処理しているからである。したがって、沈殿工程においては、色素成分はほとんど沈殿せず、色素の元になる成分であるインドキシルは抽出液3に溶解された状態に保持されている。この沈殿工程では、例えば、抽出液の量によっても異なるが、2時間以上静置することによって、不溶性の物質を沈殿させる。
【0040】
(第二の分離工程)
第二の分離工程では、沈殿工程で沈殿した沈殿物を除く上澄み液を成分含有液7として分離する。分離した成分含有液7は、図1の(E)で示すように、反応槽8である容器に移す。この成分含有液7は、不溶性の夾雑物である茎葉由来の不純物や余剰の消石灰が除去された透明の水溶液であり、色素成分であるインディゴの元になるインドキシルが溶解されている。
【0041】
(色素生成工程)
色素生成工程では、反応槽8内において成分含有液7をエアレーションして、液中のインドキシルを酸素と反応させて色素成分であるインディゴを生成する。エアレーションには、図1の(F)で示すように、水中に気泡を発生させる気泡発生装置10が使用できる。このような気泡発生装置10として、例えば、エアーポンプ11と多孔質材であるエアーストーン12が使用できる。気泡発生装置10は、エアーストーン12を成分含有液7中に入れた状態でエアーポンプ11から空気を供給することで気泡を発生させてエアーレーションを起こす。エアレーションを開始した当初は液面に沢山の泡が発生するが、次第に泡が消えていく。液面の泡が消えるとエアレーションを終了する。
【0042】
(回収工程)
回収工程では、色素生成工程で生成された色素成分9を回収する。回収工程では、例えば、図1の(G)で示すように、色素成分9が生成された溶液を静置して色素成分9を沈殿させ、上澄み液を捨てて、反応槽8の底に残存する泥状の沈殿物を沈殿藍として回収する。色素成分9を沈殿させる場合、液量によっても異なるが、例えば、2時間以上静置する。取り出した沈殿物は、濾過することによって、沈殿物中の水分を除去することが望ましい。あるいは、この回収工程では、色素成分9が生成された溶液をフィルターに通して濾過し、水分を分離して色素成分9を回収してもよい。以上のようにして、インディゴの含有率の高い沈殿藍を得ることができる。
【0043】
[実施例1]
図1に示す製造工程により、以下のようにして、実施例1の沈殿藍を製造する。
(抽出工程)
タデアイの生茎葉5kgを用意する。
茎葉1を容器2に入れて、葉全体が浸るまで水(約25L)を入れる。
茎葉1が浮き上がらないように重し(図示せず)を載せて、夏の炎天下で2日程度浸漬する。
この間、時折混ぜ返して、茎葉全体をまんべんなく水に浸す。
(第一の分離工程)
抽出工程において、色素の元になる成分が抽出された抽出液3を茎葉から分離する。
抽出液3は、容器2からポンプで汲み出し、網を通過させて茎葉の残渣を取り除いた後、沈殿槽4に移す。
(添加工程)
図3に示すように、1Lの水に対して250gの消石灰6を溶いて石灰乳5を調製する。
この石灰乳5を、沈殿槽1内の抽出液3に一度に添加する。25Lの抽出液3に対して、500mLの石灰乳5を一度に投入し、抽出液全体に対する消石灰6の割合が5g/Lとなるように調整する。
石灰乳5が投入された抽出液3を攪拌することなく静置する。
(沈殿工程)
消石灰6が添加された抽出液3を2時間静置して夾雑物を沈殿させる。
(第二の分離工程)
沈殿工程で沈殿した沈殿物を除く上澄み液を成分含有液7として分離し、反応槽8に移す。
(色素生成工程)
反応槽8内において、成分含有液7をエアレーションして、液中のインドキシルを酸素と反応させて色素成分であるインディゴを生成する。エアレーションには、水中に気泡を発生させる気泡発生装置10を使用し、約20分間行う。
(回収工程)
色素成分9が生成された溶液を2時間静置して色素成分9を沈殿させる。
上澄み液を捨て、沈殿した沈殿物をさらに濾過して水分を除去し、沈殿藍として回収する。
【0044】
[実施例2]
添加工程において、25Lの抽出液3に添加する石灰乳5の量を1Lとし、抽出液全体に対する消石灰6の割合が10g/Lとなるように調整する以外は、実施例1と同様にして、実施例2の沈殿藍を製造する。
【0045】
[実施例3]
添加工程において、25Lの抽出液3に添加する石灰乳5の量を200mLとし、抽出液全体に対する消石灰6の割合が2g/Lとなるように調整する以外は、実施例1と同様にして、実施例3の沈殿藍を製造する。
【0046】
[比較例1]
図7に示す製造工程により、以下のようにして、比較例1の沈殿藍を製造する。
(抽出工程)
タデアイの生茎葉5kgを用意する。
茎葉を容器に入れて、葉全体が浸るまで水(約25L)を入れる。
茎葉が浮き上がらないように重しを載せて、夏の炎天下で2日程度浸漬する。
この間、時折混ぜ返して、茎葉全体をまんべんなく水に浸す。
(分離工程)
抽出工程において、色素の元になる成分が抽出された抽出液を茎葉から分離する。
抽出液は、容器からポンプで汲み出し、網を通過させて茎葉の残渣を取り除いた後、沈殿槽に移す。
(色素生成工程)
粉末状の消石灰を抽出液に少量ずつ加えながら強く攪拌し、消石灰を抽出液に溶解させる。
また、この攪拌により、抽出液中のインドキシルを酸素と反応させて色素成分であるインディゴを生成する。
液面の白い泡が次第に青くなるまで消石灰を加える。その後、液面全体の泡が消えるまで攪拌することにより、消石灰が過剰に添加されるのを防止しながら、溶液をアルカリ性に保持する。
色素生成工程において、消石灰は、抽出液全体に対する割合が1g/Lとなるように調整する。
(沈殿工程)
色素成分が生成された溶液を2時間静置して色素成分を沈殿させる。
(回収工程)
沈殿工程で生じた上澄み液を捨て、沈殿した沈殿物を沈殿藍として回収する。
【0047】
[比較例2]
添加工程において、抽出液に添加する消石灰の量を、抽出液全体に対する消石灰の割合が2g/Lとなるように調整する以外は、比較例1と同様にして、比較例2の沈殿藍を製造する。
【0048】
図5は、実施例の方法と比較例の方法で製造された沈殿藍におけるインディゴの含有率を示すグラフである。実施例1ではインディゴの含有率が約24.5%となり、実施例2ではインディゴの含有率が約27.5%となり、実施例3ではインディゴの含有率が約20.5%となった。これに対して、比較例1ではインディゴの含有率が約9.2%となり、比較例2ではインディゴの含有率が約6.9%となった。このグラフからも分かるように、実施例の方法で製造される沈殿藍は、比較例の方法で製造される沈殿藍に比べて、インディゴの含有率が2倍以上となり、インディゴの含有率が高い高品質な沈殿藍であることが実証された。
【0049】
ここで、比較例1では抽出液に対して消石灰が1g/Lとなるように添加し、比較例2では抽出液に対して消石灰が2g/Lとなるように添加している。このように、従来の製造方法では、色素生成工程において、消石灰の添加量を増しすぎると、得られるインディゴの含有率が低下することが分かる。これは、消石灰の添加量を増やすことで、沈殿工程において沈殿する消石灰の量が増えるためである。すなわち、従来の製造方法では、抽出液の量に対して、最適な消石灰の添加量が特定されており、消石灰の添加量がその最適量よりも少ないと、生成されるインディゴの量が減少して含有率が低下し、消石灰の添加量がその最適量よりも多いと、沈殿する消石灰の量が増加してインディゴの含有率が低下する。したがって、従来の製造方法では、得られる沈殿藍のインディゴの含有率を高くすることは困難であった。
【0050】
これに対して、実施例1~3では、抽出液に対して過飽和量(2g/L以上)の消石灰を添加するにもかかわらず、比較例よりもインディゴの含有率が高い沈殿藍を得ることができる。これは、本発明の方法では、添加工程において添加される消石灰が過飽和量以上であっても、強く攪拌することなく消石灰を溶解させるので、この添加工程では色素がほとんど生成されないからである。また、過飽和量以上の消石灰を添加することにより、次工程の沈殿工程で夾雑物を沈殿させる際には、より効率よく夾雑物を沈殿できる。それは、余剰の消石灰が沈殿する際に、夾雑物の沈殿を促進するからである。すなわち、余剰の消石灰が沈殿する際に、抽出液中の夾雑物を効率よく沈殿させることで、沈殿工程において抽出液中の夾雑物を効果的に沈殿させて除去できる。ここで、実施例3(消石灰を2g/L添加)、実施例1(消石灰を5g/L添加)、実施例2(消石灰を10g/L添加)と消石灰の添加量が増えるにしたがって、インディゴの含有率が大きくなるのはこのためであると考えられる。したがって、沈殿工程で得られる上澄み液には、夾雑物がほとんど残存しておらず、この上澄み液を成分含有液として、色素生成工程でエアレーションすることにより、夾雑物の少ない良質の色素成分を得ることができる。
【0051】
また、図6は、実施例1の方法で製造された沈殿藍(A)と比較例1の方法で製造された沈殿藍(B)とをそれぞれ顔料として塗料を製造し、それぞれの塗料の発色の違いを比較したものである。この図からも分かるように、実施例1の方法で製造された沈殿藍を使用した塗料は、比較例1の方法で製造された沈殿藍を使用した塗料に比べて濃い藍色を発色することが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係る沈殿藍の製造方法は、インディゴの含有率の高い高品質な沈殿藍として、顔料や塗料に有効に利用できる。
【符号の説明】
【0053】
1…茎葉
2…容器
3…抽出液
4…沈殿槽
5…石灰乳
6…消石灰
7…成分含有液
8…反応槽
9…色素成分
10…気泡発生装置
11…エアーポンプ
12…エアーストーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7