(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】コイン処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 1/00 20060101AFI20230315BHJP
【FI】
G07D1/00 Z GBM
(21)【出願番号】P 2020098366
(22)【出願日】2020-06-05
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000116987
【氏名又は名称】旭精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】麻生 恒弘
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】実公昭46-006085(JP,Y1)
【文献】特開2011-164890(JP,A)
【文献】特開2001-266204(JP,A)
【文献】特開2011-165003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00- 3/16
G07D 9/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてくるコインを格納する貯留部と、
前記貯留部に格納されている前記コインを一枚ずつに分離する第1の回転体と、
を有するコイン処理装置において、
前記貯留部に格納する前記コインを受入れる投入口と、
前記投入口から前記貯留部までの前記コインの経路の途中に配置され、前記コインを搬送するコンベヤーと、
前記投入口に入れられた前記コインを検出する第1のセンサーと、
前記貯留部に格納されている前記コインを検出する第2のセンサーと、
時間を計測するタイマーと、
前記第1のセンサーと前記第2のセンサーの検出結果と、前記タイマーの計測結果とに基づき、前記コンベヤーの駆動を制御する制御回路と、を有し、
前記コンベヤーを駆動させることで、前記貯留部に新たな前記コインを格納し、
前記コンベヤーを停止させることで、前記貯留部に新たな前記コインの格納を止め、
前記制御回路は、前記第1のセンサーの検出結果に基づき前記投入口に入れられた前記コインがあると判断し、かつ前記第2のセンサーの検出結果に基づき前記貯留部に前記コインがあると判断した場合、前記タイマーを駆動し、計測する時間に応じて前記第1の回転体から次工程に前記コインを受け渡す受渡領域における前記コインの有無を推定し、計測時間が所定の時間を超えた場合、前記受渡領域に前記コインがあると判断し、前記コンベヤーの駆動を停止し、前記貯留部に新たな前記コインの格納を止めることを特徴とするコイン処理装置。
【請求項2】
搬送されてくるコインを格納する貯留部と、
前記貯留部に格納されている前記コインを一枚ずつに分離する第1の回転体と、
を有するコイン処理装置において、
前記貯留部に格納される前記コインの有無を、前記貯留部よりも前記コインの搬送の上流において検出する第1のセンサーと、
前記貯留部に格納されている前記コインを検出する第2のセンサーと、
時間を計測するタイマーと、
前記第1のセンサーと前記第2のセンサーの検出結果と、前記タ
イマーの計測結果とに基づき、前記貯留部に格納する前記コインの搬送を行うかまたは止めるかを制御する制御回路と、を有し、
前記制御回路は、前記第1のセンサーの検出結果に基づき新たに投入された前記コインがあると判断し、かつ前記第2のセンサーの検出結果に基づき前記貯留部に前記コインがあると判断した場合、前記タイマーを駆動し、計測する時間に応じて前記第1の回転体から次工程に前記コインを受け渡す受渡領域における前記コインの有無を推定し、計測時間が所定の時間を超えた場合、前記受渡領域に前記コインがあると判断し、前記貯留部に格納する前記コインの搬送を止める制御をし、前記貯留部に新たな前記コインの格納を止めることを特徴とするコイン処理装置。
【請求項3】
前記貯留部に格納する前記コインを受入れる投入口と、
前記投入口から前記貯留部までの前記コインの経路の途中に配置され、前記コインの移動を制御する開閉部材と、
を有し、
前記開閉部材を開けることで前記コインを移動させ、
前記開閉部材を閉じることで前記コインの移動を止めることを特徴とする請求項2に記載のコイン処理装置。
【請求項4】
前記第1の回転体から前記コインを、前記受渡領域を介して受け取り搬送する第2の回転体を有し、
前記第2の回転体は、金種を識別する識別センサーの検出領域に、前記コインを搬送することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のコイン処理装置。
【請求項5】
前記コインを一枚ずつ排出する複数のコインホッパーを有し、
前記コインホッパーはそれぞれ格納する前記コインの金種が決められており、
前記識別センサーの検出結果に基づいて識別された金種毎に前記コインを前記コインホッパーに格納することを特徴とする請求項4に記載のコイン処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に堆積するコインを一枚ずつ送り出すコイン処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、国家によって発行する流通貨幣は、複数の金種のコインを含む。コインは金種毎に直径、厚み、材質、デザインを変えているので、誰にでも容易に金種が識別できる。金種毎に異なる特徴を有するので、機械により金種を識別することも可能である。そこで、機械によってコインの金種を識別し、金種に応じた格納部にコインを格納し、その格納部から必要に応じて所望の枚数のコインを排出するコイン処理装置が考えられている。
【0003】
例えば、金種毎に格納されたコインを一枚ずつ送り出す装置として、特開2011-165003号公報のコイン処理装置が知られている。
【0004】
このコイン処理装置は、投入口から投入された複数枚のコインを、一枚ずつに分離して送り出す工程、次に、1枚ずつ搬送されるコインの金種を識別する工程、次に、識別されたコインを金種毎に格納する工程を備える。
【0005】
投入口から投入された複数枚のコインを1枚ずつに分離して送り出す工程には、傾斜して配置したベース及びその上を回転するディスクが備えられている。ディスクが配置されている下方に、コインを収納する貯留容器が配置されている。例えば、ディスクの大凡半分程度を覆うように、貯留容器が配置されている。ディスクには、コインが1枚入る凹部が設けられている。そして、ディスクを回転させ、貯留容器内にある複数のコインを、一枚ずつ拾い上げる。ディスクが貯留容器内を通ることで、貯留容器内に堆積しているコインが、凹部に1枚だけ入り、搬送される。ディスクが配置されている上方には、次工程にコインを受け渡す機構が備わる。ディスクを回転させ、コインを搬送し、次工程にコインを受け渡す。次工程では、そのコインの金種を識別する。コインのサイズや材質などの特性を検出する複数のセンサーを用いて、コインの金種の識別が行われる。このように、コイン送出装置は、複数のコインから1枚ずつコインを拾い上げ、そのコインを次工程へ一枚ずつ送り出し、金種を識別することができる。
【0006】
識別後のコインを金種毎に格納する工程では、ベルトによってコインが搬送される。搬送路の途中には、金種毎にスライダーが配置される。それぞれのスライダーは金種毎に配置されたコインホッパーへ接続されている。金種を識別されたコインは、搬送中に対応する金種のスライダーへ落とされる。スライダーに落とされたコインは、金種毎にコインホッパーの貯留容器まで滑り降り、そこに格納される。
【0007】
コインホッパーは、所望の枚数のコインを排出することができる。コイン処理装置の例として、自動釣銭機などがある。自動釣銭機は、釣銭の額に応じて、排出するコインの金種および枚数を演算する。排出するコインの金種及び枚数を決めた後に、各金種に対応するコインホッパーを制御し、釣銭を排出する。また、コイン処理装置内のコインを全て回収することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
コイン処理装置は、利用者の利便性を考え、処理時間を短くすると共に、コインによって搬送部の搬送不良などの誤動作を生じさせないものが望まれている。
【0010】
コイン処理装置では、コイン投入口からコインが投入される。投入されたコインは、回転ディスクの上に堆積する。回転ディスクはコインを収納する凹部が設けられ、回転することで凹部にコインが1枚ずつ収納され、搬送される。
【0011】
回転ディスクによるコインの搬送中に、投入された別のコインが回転ディスクの上に落ちる場合がある。搬送中のコインが次工程への受渡領域にあるときに、投入された別のコインが回転ディスクの上に落ちることがある。回転ディスクの上あるいは搬送中のコインの上に別のコインが当たると、その衝撃で、回転ディスクあるいはコインが振動する。この振動によってコインが予期せぬ方向に移動し、回転ディスクなどの回転している部材と枠などの固定されている部材の間にコインが挟まり、回転阻害を起こす恐れがある。
【0012】
回転阻害が生じると、それを解消するため、メンテナンス作業が必要となる。作業中は装置を利用できないという問題が生じる。
【0013】
本発明は、回転ディスクの上にコインが落下したとしても、回転阻害等の搬送異常を低減乃至防止し、投入された複数のコインを1枚ずつ好適に区分して搬送できるコイン処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のコイン処理装置は、搬送されてくるコインを格納する貯留部と、前記貯留部に格納されている前記コインを一枚ずつに分離する第1の回転体と、を有するコイン処理装置において、前記貯留部に格納する前記コインを受入れる投入口と、前記投入口から前記貯留部までの前記コインの経路の途中に配置され、前記コインを搬送するコンベヤーと、前記投入口に入れられた前記コインを検出する第1のセンサーと、前記貯留部に格納されている前記コインを検出する第2のセンサーと、時間を計測するタイマーと、前記第1のセンサーと前記第2のセンサーの検出結果と、前記タイマーの計測結果とに基づき、前記コンベヤーの駆動を制御する制御回路と、を有し、前記コンベヤーを駆動させることで、前記貯留部に新たな前記コインを格納し、前記コンベヤーを停止させることで、前記貯留部に新たな前記コインの格納を止め、前記制御回路は、前記第1のセンサーの検出結果に基づき前記投入口に入れられた前記コインがあると判断し、かつ前記第2のセンサーの検出結果に基づき前記貯留部に前記コインがあると判断した場合、前記タイマーを駆動し、計測する時間に応じて前記第1の回転体から次工程に前記コインを受け渡す受渡領域における前記コインの有無を推定し、計測時間が所定の時間を超えた場合、前記受渡領域に前記コインがあると判断し、前記コンベヤーの駆動を停止し、前記貯留部に格納する前記コインの搬送を止める制御をし、前記貯留部に新たな前記コインの格納を止めることを特徴とする。また、本発明のコイン処理装置は、搬送されてくるコインを格納する貯留部と、前記貯留部に格納されている前記コインを一枚ずつに分離する第1の回転体と、を有するコイン処理装置において、前記貯留部に格納される前記コインの有無を、前記貯留部よりも前記コインの搬送の上流において検出する第1のセンサーと、前記貯留部に格納されている前記コインを検出する第2のセンサーと、時間を計測するタイマーと、前記第1のセンサーと前記第2のセンサーの検出結果と、前記タイマーの計測結果とに基づき、前記貯留部に格納する前記コインの搬送を行うかまたは止めるかを制御する制御回路と、を有し、前記制御回路は、前記第1のセンサーの検出結果に基づき新たに投入された前記コインがあると判断し、かつ前記第2のセンサーの検出結果に基づき前記貯留部に前記コインがあると判断した場合、前記タイマーを駆動し、計測する時間に応じて前記第1の回転体から次工程に前記コインを受け渡す受渡領域における前記コインの有無を推定し、計測時間が所定の時間を超えた場合、前記受渡領域に前記コインがあると判断し、前記貯留部に格納する前記コインの搬送を止める制御をし、前記貯留部に新たな前記コインの格納を止めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、投入口から投入されたコインが、コイン送出装置のコインを搬送するディスクの上に落とされても、コインを1枚ずつ好適に区分して搬送できるコイン処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、コイン処理装置の概要を説明する外観図である。
【
図2】
図2は、コイン処理装置の概要を説明する図である。
【
図4】
図4は、コイン処理装置のコインの移動を説明する図である。
【
図5】
図5は、投入されたコインを分離する分離部を含む斜視図である。
【
図6】
図6は、分離部および識別部でのコインの動作を説明する図である。
【
図7】
図7は、コイン処理装置のブロック図である。
【
図8】
図8は、コイン投入部および分離部の動作を説明するタイミング図である。
【
図9】
図9は、コイン投入部および分離部の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0018】
まず、コイン処理装置について、
図2を用いて説明する。
図2は、コイン処理装置の概要を説明する図である。一般に使用されているコインには、複数の金種によって構成される。コインは、サイズ、材質、デザインなどの要素が金種毎に異なっている。コイン処理装置は、コインを識別して金種毎に分けて収納することができる。また、収納されたコインを、払出しなどに再利用している。
【0019】
コイン処理装置1は、例えば、自動釣銭機、自動両替機等である。コイン処理装置1は、容器に格納された複数のコインを一枚ずつ分離して搬送する機構を備えている。投入口2には、複数のコイン10が同時に投入される。また、投入口2に投入されるコイン10は、複数の金種が混じって投入される。すなわち、投入口2は、複数の金種のコイン10を複数枚同時に受入れることができる。分離部6は、複数のコイン10を格納する貯留部を備える。貯留部に格納されている複数のコイン10を、分離部6で一枚ずつに分け、受渡部8を介して識別部7に受け渡す。識別部7は、コイン10の金種を識別し、振分部5に受け渡す。振分部5は、識別したコイン10を金種毎に格納する。さらに、金種毎に格納されているコイン10から、所望の枚数のコイン10を払出すことができる。
【0020】
コイン処理装置1は、大きく分けて3つの部分に分けられる。投入口2から投入されたコイン10を一時格納し、さらに1枚ずつ区分して送り出す分離部6、コイン10の金種を識別する識別部7、コイン10を金種毎に分けて格納する振分部5である。コイン送出装置は、投入されたコイン10を1枚ずつ区分して送り出す装置であり、分離部6を含む。また、コイン送出装置は、分離部6に加えて識別部7など他の機能を含む構成でも良い。ここでは、コイン送出装置として分離部6と識別部7を含む構成の装置として説明する。
【0021】
コイン10を投入口2へ入れると、第1のセンサー47によってコイン10を検出する。コイン10を検出すると、コンベヤー11を駆動し、コイン10を搬送する。搬送されたコイン10は、コイン通路12へ落とされる。コイン10はコイン通路12を通り、貯留容器13へ格納される。コイン10を一時的に格納する貯留部は貯留容器13を含む。金種に関係無く複数のコイン10を貯留容器13へ入れることができる。コンベヤー11は、コイン10を搬送する装置であり、ベルト式、ローラー式、チェーン式、スクリュー式など様々なタイプのものを使用できる。また、投入口2から貯留容器13までのコイン10の搬送経路の途中にコンベヤー11が配置されている。第1のセンサー47は、投入口2から貯留容器13までのコイン10の搬送経路の途中に配置されている。例えば、第1のセンサー47は、コンベヤー11の近傍に配置され、コンベヤー11に載置されているコイン10を検出する。また、第1のセンサー47は、コイン10の搬送経路において、貯留容器13よりも上流に配置されている。貯留容器13にコイン10が入る前に、コイン10が投入口2から投入されているか否かを検出する必要があるからである。
【0022】
コンベヤー11を駆動すれば、コイン10を貯留容器13へ格納でき、コンベヤー11を停止すれば、コイン10の貯留容器13への格納を停止できる。また、投入口2から貯留容器13までのコイン10の搬送経路の途中に、この搬送経路を開閉する開閉部材、例えばフラップやシャッターなど、を設けることでも、コイン10の移動を制御することができる。開閉部材を開けることでコイン10の移動を可能とし、閉めることでコイン10の移動を停止する。開閉部材は、コイン10の搬送経路を開閉するシャッターなどでも良い。
【0023】
ディスク15はコイン10が摺動するベース14の上を、ディスク回転軸16を中心にして矢印で示されるディスク回転方向18に回転する。ベース14は、表面を鉛直方向に対して交差する方向に、例えば45度の角度で、傾斜させて配置している。傾斜角度は、30度から80度程度でも良いが、40度から50度の間が好ましい。傾きが小さいと不要なコインを凹部から滑り落せなくなり、傾斜が大きいと凹部にコインが入り難くなる。
【0024】
ディスク15には、3カ所の凹部17が設けられ、そこにコイン10が入る。ディスク15の鉛直方向側、すなわち下方側には、貯留容器13が配置されている。貯留容器13は図中破線で示されている。ディスク15の外周に沿って、貯留容器13の底部が形成されている。貯留容器13は、ディスク15の下側半分から三分の一程度を覆う。貯留容器13には、複数のコイン10を堆積させることができる。また、ベース14の上にコイン10が堆積するように傾斜させているので、コイン10がディスク15側にもたれ掛ると共に貯留容器13の下部に堆積する。コイン10がディスク15側にもたれ掛る状態でディスク15を回転させると、コイン10が凹部17に一枚ずつ入り、搬送される。すなわち、貯留容器13と対向する位置にディスク15及びベース14が配置されている。この様な場合、貯留容器13、ベース14、ディスク15で囲われ、コイン10を格納する部分がコイン10の貯留部である。コイン10はこの貯留部に格納されることになる。貯留部は、分離部6の下部側に配置され、識別部7で金種を識別する前の複数枚のコイン10を一時的に格納する。
【0025】
ベース14のディスク15の外周の外側に、ディスク15を取り囲むように外壁が設けられ、コイン10の移動を制限している。この外壁とディスク15に設けられている凹部17によって、コイン10を1枚ずつ保持することができる。コイン10は、ベース14の平坦な底面に、表面又は裏面が対向するように保持される。そして、コイン10は、凹部17の内側の側面に当接し、コイン10の周面が押され、ベース14の上を摺動する。ディスク15を回転させることで、コイン10が受渡部8に移動する。受渡部8は、分離部6から識別部7へコイン10を受け渡す受渡領域であり、外壁が配置されていない。また、受渡部8、すなわちコイン10の受渡領域は、ホイール19が回転したときの先端の軌跡にコイン10が係わる位置から、ディスク15からホイール19にコイン10が受け渡され、ディスク15からコイン10が離れる位置までを含む。または、ディスク15が回転したときの先端の軌跡からコイン10が係わらなく位置までを含む。
【0026】
ディスク15もホイール19も回転体である。ディスク15を第1の回転体、ホイール19を第2の回転体とすると、コイン10は、第1の回転体から第2の回転体に受け渡されることになる。分離部6の上部であり、識別部7の下部である位置においてコイン10が受け渡される。ディスク15によって上部に搬送されたコイン10は、ディスク15から識別部7へ送り出される。また、貯留容器13の下部に第2のセンサー48が配置されている。貯留容器13に格納されているコイン10は、第2のセンサー48によって検出することができる。後述する制御回路によって貯留容器13にコイン10が格納されているか否かを判断させることが可能となる。
【0027】
識別部7では、平坦なベース14の上をホイール19が、ホイール回転軸20を中心にして矢印で示されているホイール回転方向21に回転する。ホイール19は、ディスク15の回転と連動して回転している。分離部6から送り出されるコイン10は、コイン10の周面がホイール19と当接し、押されてベース14の上を移動する。コイン10は、識別部7の検出領域を移動中に、サイズ、材質等の特徴を識別センサー9で検出し、後述する制御回路によってコイン10の金種を識別する。ホイール19は、識別センサー9の検出領域にコイン10を搬送する。コイン10を一枚ずつ区分して搬送できるので、金種を好適に識別できる。コイン10は、案内部22に沿って移動し、次工程の振分部5へ受け渡される。
【0028】
振分部5では、案内部22に続くレール46が配置されている。このレール46に沿ってコイン10が搬送される。レール46に沿って搬送ベルト24が配置されている。搬送ベルト24には、搬送ピン23が等間隔で配置されている。隣り合う搬送ピン23間に1枚のコイン10が入る。搬送ピン23に押されてコイン10がレール46に沿って搬送される。搬送ベルト24は、無端ベルトであり、ディスク15およびホイール19と連動して、矢印で示されている搬送ベルト回転方向25に回転する。搬送ピン23に区切られ、コイン10を一枚ずつ搬送することができる。
【0029】
レール46に沿って、第1スライダー26、第2スライダー27、第3スライダー28、第4スライダー29、第5スライダー30、第6スライダー31、第7スライダー32、第8スライダー33、第9スライダー34が配置されている。これらのスライダーは、予め決められた金種のコインホッパーに接続されている。識別部7で識別されたコイン10は、対応する金種のスライダーに落とされ、その後、対応する金種のコインホッパーに格納される。
【0030】
識別部7で識別されたコイン10は、金種の一致するスライダーに落とされる。第1スライダー26は第1コインホッパー35に、第2スライダー27は第2コインホッパー36に、第3スライダー28は第3コインホッパー37に、第4スライダー29は第4コインホッパー38に、第5スライダー30は第5コインホッパー39に、第6スライダー31は第6コインホッパー40に、第7スライダー32は第7コインホッパー41に、第8スライダー33は第8コインホッパー42に、第9スライダー34は第9コインホッパー43に接続されている。スライダーとコインホッパーの組は、それぞれ格納する金種が決められている。
【0031】
9種類までの金種のコイン10に対応することもできる。例えば、第9ホッパーは、回収容器として、流通を抑制したい旧コインなどを、再利用しないように、回収することに用いることができる。このような場合は8種類の金種に対応できる。また、使用量の多い金種がある場合は、同一金種に対して2台のコインホッパーを用いることができる。この場合、コインホッパーを交互に使用する制御や、一方がフルまたはエンプティーになった場合に切替える制御をすることで、同一金種に対して2台をあてがうことができる。このような場合は9種類より少ない金種に対応することになる。
【0032】
各コインホッパーは、排出ベルト44に沿って配置されている。排出ベルト44を駆動することで、各コインホッパーから排出されたコイン10をトレー3へ搬送できる。
【0033】
投入口2から入ったコイン10は、一枚ずつ分けられて搬送される。コイン10は、金種が識別され、識別結果に対応するコインホッパーへ格納される。また、コイン10は、各コインホッパーから必要な枚数のコインが排出され、トレー3に送られる。投入口2から投入されたコイン10を、払出用に再利用できる。
【0034】
図1は、コイン処理装置の概要を説明する外観図である。
図1では、振分部5のカバーを外した状態の外観の斜視図である。コイン処理装置1は、外装4に覆われている。振分部5のカバーがあれば、略立方体状の外形である。
【0035】
コインを投入する投入口2の開口が上面に配置されている。払出されるコインを受けるトレー3が、コイン処理装置1の一方の面に配置されている。トレー3側を表側とすると、裏側の方向に、投入口2、振分部5が配置されている。
【0036】
例えば、コイン処理装置1が釣銭機であった場合、物品の代金として、投入口2にコインを入れる。後述する制御回路によって、投入されたコインの金種及び枚数が取得され、投入された金額が把握できる。釣銭の有無が演算され、釣銭がある場合は、金種、枚数が演算され、コインホッパーを制御して釣銭のコインを排出する。釣銭は、トレー3に送られる。
【0037】
次に、コイン投入部について説明する。
図3は、コイン投入部の断面図である。
【0038】
投入口2は、使用できるコイン10を同時に複数枚、例えば数十枚、入れることができる。底面には、コンベヤー11が配置されている。コンベヤー11は、無端ベルトである。コンベヤー11の上面がコイン通路12の方向に進む様に、回転する。コイン通路12は、貯留容器13に接続されている。コンベヤー11からコイン通路12に落とされコイン10は、貯留容器13に格納される。
【0039】
コンベヤー11の先端部の上方に、整列ローラー49が配置されている。整列ローラー49とコンベヤー11の間隔は、コイン10が一枚だけ通ることができる隙間となっている。一度に大量のコイン10をコイン通路12に送ると、詰まりを起こす恐れがある。そこで、コイン通路12に入るコイン10の量を制限する。コイン10がコンベヤー11の上で重ならないようにして送ることできる。コンベヤー11の幅に応じた量のコイン10をコイン通路12に送ることができる。例えば、1枚あるいは2枚ずつ送ることができる。一度に多くのコイン10を送らないことで、コイン通路12でのコイン10の詰まりを防止することができる。
【0040】
コンベヤー11の上にコイン10が載置されているか否かを検出する第1のセンサー47が、コンベヤー11の近傍に配置されている。投入口2から入れられたコイン10は、コンベヤー11の上に堆積する。堆積する位置は様々であので、コンベヤー11の上の全域をもれなく検出することが好ましい。コンベヤー11のベルトの裏面側に金属等を検出できる近接センサーを配置し、ベルトの上の物体の有無を検出する。さらに、ベルトの上面側にベルト上の物体を検出する光センサーを配置し、物体の有無を光で検出する。このように、第1のセンサー47は、異なる方式のセンサーを含む。また、ベルト上の非検出領域を無くすため、第1のセンサー47は、複数箇所に配置する。異なる方式のセンサーを用い、さらに、検出する範囲の一部あるいは全部を重複させることで、コンベヤー11の上に堆積するコイン10の有無の検出ミスを低減している。第1のセンサー47は、一つのセンサーで構成しても良いが、検出の確実性を向上させるために複数のセンサー群で構成されている。種類の異なるセンサーを用い、同時にコイン10の有無を検出しても良い。また、どれか一つのセンサーを主に用い、主に用いるセンサーによって検出できなかった場合に他のセンサーによって検出するように制御することもできる。通常は一種類だけで判断できるので、処理を早くできる。また、より確実に検出するために、何れのセンサーでも検出できなかった場合は、コンベヤー11を逆転または正転させて振動を与える。振動によって、場合によってはコイン10の状態が変わり、検出できるようになる。
【0041】
後述の制御回路の制御によって、コイン10がコンベヤー11の上にあることを検出すると、コンベヤー11を駆動して、コイン10を貯留容器13へ格納する。
【0042】
次に、コイン処理装置1の分離部6から振分部5までのコイン10の移動について説明する。
図4は、コイン処理装置のコインの移動を説明する図である。
【0043】
分離部6の貯留容器13にコイン10が格納される。コイン10は、ディスク15を回転することで、識別部7に搬送される。貯留容器13の下部に第2のセンサー48が配置されている。貯留容器13内のコイン10の有無を検出する。識別部7に渡されたコイン10は、回転しているホイール19によって案内部22に沿って移動する。コイン10が識別センサー9の検出範囲を移動中に、コイン10の特徴を識別センサー9によって検出する。ホイール19を挟み、ベース14に対向してケース50が配置されている。識別センサー9は、ベース14の裏面側だけでなく、ケース50に配置することができる。
【0044】
案内部22に沿って搬送されたコイン10は、振分部5に渡される。コイン10は、振分部5のレール46に沿って搬送される。識別部7で金種が識別されたコイン10は、レール46に沿って配置されたスライダーの内、対応する金種のスライダーに落とされる。
図4では、第6スライダー31にコイン10が落とされた例が記載されている。コイン10は、金種毎にコインホッパーに格納できる。また、後述する制御回路では、格納するコイン10の枚数、コインホッパーから排出する枚数をカウントすることで、コインホッパー内のコイン10の枚数を取得することができる。
【0045】
次に、分離部6について説明する。
図5は、投入されたコインを分離する分離部を含む斜視図である。
【0046】
分離部6は、ベース14の表面が水平方向に対して交差する方向に傾斜して配置されている。ディスク15の下部には貯留容器13が配置されている。コイン10が、ディスク15、ベース14および貯留容器13によって囲まれているコイン10の貯留部に堆積する。識別部7には、ベース14を覆うようにケース50が被さっている。
【0047】
ディスク15には、押動体54が設けられている。押動体54は、揺動軸51を中心に回動する。押動体54には、裏面方向に突出する移動ピン52が略中央に設けられている。この移動ピン52が案内溝53に沿って移動する。揺動軸51を中心に、案内溝53に沿って移動ピン52が移動し、移動ピン52の移動に伴い、押動体54が揺動軸51を中心にして回動する。移動ピン52は、ベース14の裏面側に配置された不図示のカム溝に嵌められている。移動ピン52は、カム溝との接触位置をディスク15の回転に伴い変えることで、カム溝の形状に応じて押動体54を動作させる。押動体54は、ディスク15の回転に伴い分離部6の上方に、すなわちコイン10を次工程に受け渡す受渡部8に、移動すると揺動軸51を中心に回動する。押動体54が回動することで、コイン10を持ち上げ、次工程に受け渡す。持ち上げられたコイン10は、受渡部8において識別部7のホイール19によって運ばれる。
【0048】
受渡部8には、コイン10が、重なったり、ディスク15の凹部17に正確に入っていなかったりした場合に、再び貯留容器13の方に落として排除するシート55が配置されている。分離部6から識別部7へ1枚ずつコイン10を正確に送るため、一つの凹部17に1枚のコイン10が正確に入っていることが必要である。例えば、ディスク15の縁にコイン10の縁が斜めに掛り、ベース14とコイン10の表面との間に隙間ができている場合は、次工程に受け渡せなくなる恐れがある。また、一つの凹部17に複数枚のコイン10が入っている場合は、次工程に受け渡せなくなる恐れがある。この様な場合にコイン10を再び貯留容器13に格納し直す必要がある。シート55は、ディスク15の表面と接し、浮き上がっているコイン10を貯留容器13に落とすことができる。
【0049】
コイン10が受渡部8にあるときに、ディスク15が振動した場合、保持しているコイン10が動き、受渡のタイミングが正常時に対して許容範囲外になる恐れがある。そうすると、コイン10が、固定されている部材と移動している部材との間に挟まり、ディスク15やホイール19の回転を阻害する原因となる。押動体54によってコイン10を移動させ、受け渡す機構を備えるので、受渡時に押動体54が振動しても不具合の原因となる。押動体54は、ディスク15と連動して動作する部材であり、周期的に動作する機構が備わっている。押動体54は、振動によって、受け渡し領域にあるコイン10に悪影響を与えるので、振動を防止する必要がある。受渡部8にあるコイン10に別のコイン10が当接した場合もコイン10が振動し、ディスク15やホイール19の回転を阻害する原因となる。そのため、ディスク15によって搬送されているコイン10が受渡部8近辺にある場合は、新たなコイン10を貯留部に投入しないように制御する必要がある。
【0050】
次に、
図6は、分離部および識別部でのコインの動作を説明する図である。ケース50、シート55などを外した状態である。貯留容器13にコイン10が堆積した状態でディスク15を回転させる。そうすると、分離部6の下部に堆積したコイン10は、ディスク15の凹部17に一枚ずつ入り込む。凹部17に入り込んだコイン10は、受渡部8へ搬送される。分離部6の上方では押動体54が、待機位置から回動する。回動した押動体54は、ホイール19にコイン10が当接し、連れられる位置までコイン10を押し上げる。さらに、ホイール19が回転すると案内部22に沿ってコイン10が運ばれ、識別センサー9の検出領域を通り、次工程に渡される。第2のセンサー48は、分離部6の下方に配置され、コイン10の有無を検出する。例えば、コイン10の有無に応じて異なる信号を出力する光センサーが使用できる。コイン10の有無を検出できれば、他の構成でも良い。押動体54は、コイン10を受け渡した後は、再び待機位置であるディスク15に接する位置に移動する。移動ピン52が、案内溝53に沿って往復移動することで、押動体54が移動する。
【0051】
次に、コイン処理装置についてブロック図を用いて説明する。
図7は、コイン処理装置のブロック図である。
【0052】
コイン処理装置1は、制御回路60、メモリー61、タイマー62、割込回路63、識別センサー9、外部IF(インターフェス)64、第1のセンサー47、第2のセンサー48、コンベヤー駆動回路65、コイン搬送部駆動回路66、フラップ駆動回路67、ホッパー駆動回路68、排出ベルト駆動回路69を有する。
【0053】
制御回路60はCPUを含み、メモリー61に記憶されているプログラム、設定値に従って、装置全体の各種制御を行う。
【0054】
メモリー61はプログラム、初期設定値などを記憶するROM、一時的なデータの保存、ワーキングメモリ、設定値などを記憶するRAMを含む。
【0055】
タイマー62は、制御回路60の制御によって動作する。タイマー62は時刻を計時し、また時間を計測することができる。また発振回路の信号を分周し、所定のタイミングや所定周期で信号を出力することができる。
【0056】
割込回路63は、制御回路60の制御によって動作する。割込回路63は、各種入力手段の入力に連動して割込信号を生成し、制御回路60に出力することができる。また、割込回路63は、タイマー62からの信号に基づいて割込信号を生成し、制御回路60に出力することができる。これにより、タイマー62に基づき定期的な割込を生じさせることができる。
【0057】
識別センサー9は、制御回路60の制御によって動作する。識別部7に配置され、コイン10の特徴を検出する。制御回路60は、識別センサー9によって検出された検出信号を取得することができる。制御回路60は、取得した検出信号に基づいて、コイン10の金種を判断することができる。判断の基礎となるデータはメモリー61に記憶されている。メモリー61に記憶されているデータと取得した検出信号を比較し、コイン10の金種を識別できる。制御回路60は、識別した金種に基づいて、各種制御を行う。
【0058】
外部IF64は、外部機器と信号の送受信をする。外部機器は、POSシステムの制御装置などである。外部機器へ、制御回路60が取得した情報を送信することができる。また外部機器から情報を取得することができる。例えば、POSシステムから、金種、枚数が指定された払い出し処理の指示があれば、制御回路60は、指定された金種のコインホッパーから、指定された枚数のコイン10を排出する制御を行うことができる。
【0059】
第1のセンサー47は、制御回路60の制御によって動作する。第1のセンサー47は、投入口2にコイン10が投入されたか否かを検出する。制御回路60は、検出結果に基づいて、コンベヤー11の上のコイン10の有無を判断することができる。第1のセンサー47は、例えば2種類以上のセンサーを配置し、検出漏れを防止する構成が好ましい。
【0060】
第2のセンサー48は、制御回路60の制御によって動作する。第2のセンサー48は、貯留容器13にコイン10が入っているか否かを検出する。制御回路60は、検出結果に基づいて、貯留容器13の下部に堆積するコイン10の有無を判断することができる。すなわち、制御回路60は、貯留部にコイン10が残っているか判断できる。
【0061】
コンベヤー駆動回路65は、制御回路60の制御によって動作する。コンベヤー駆動回路65は、制御回路60の制御によってコンベヤー11を駆動する。コンベヤー11は無端ベルトを備え、一対のプーリーにかけ回されている。プーリーを不図示のモーターによって回動させることで、コンベヤー11を駆動する。
【0062】
コイン搬送部駆動回路66は、制御回路60の制御によって動作する。コイン10の搬送部は、分離部6のディスク15、識別部7のホイール19、振分部5の搬送ベルト24を含む。これらの搬送部を制御回路60の制御によって駆動する。不図示のモーターによって、ディスク15とホイール19、搬送ベルト24が駆動される。ディスク15とホイール19は、それぞれ逆方向に同期して回転するように不図示の輪列によって接続されている。すなわち、ディスク15が左回転し、この回転に同期してホイール19が右回転する。また、ホイール19と搬送ベルト24も同期して回転する。このように同期させて駆動することで、分離部6で一枚ずつ繰り出されたコイン10を、一枚ずつ管理しながら搬送することができる。
【0063】
フラップ駆動回路67は、制御回路60の制御によって動作する。搬送ベルト24によって搬送されるコイン10は、識別された金種に応じて、第1スライダー26、第2スライダー27、第3スライダー28、第4スライダー29、第5スライダー30、第6スライダー31、第7スライダー32、第8スライダー33、第9スライダー34の何れかに落とされる。各スライダーにはフラップが設けられている。このそれぞれのフラップをフラップ駆動回路67が制御回路60の制御によって個別に駆動する。フラップを駆動することで、コイン10を通過させるか、スライダーに落とすことができる。
【0064】
ホッパー駆動回路68は、制御回路60の制御によって動作する。ホッパー駆動回路68は、制御回路60の制御によって、第1コインホッパー35、第2コインホッパー36、第3コインホッパー37、第4コインホッパー38、第5コインホッパー39、第6コインホッパー40、第7コインホッパー41、第8コインホッパー42、第9コインホッパー43のそれぞれのコインホッパーを個別に駆動し、一枚ずつコイン10を排出する。また、それぞれのコインホッパーはコインの排出を検出し、排出検出信号をホッパー駆動回路68に出力する。ホッパー駆動回路68は、排出検出信号を取得し、制御回路60に出力する。制御回路60は、ホッパー駆動回路68からの排出検出信号を取得する。排出検出信号はコインホッパーからコインが排出される毎に出力される。この信号を取得し計数することで排出したコインの枚数が分かる。すなわち、各コインホッパーが排出したコイン10の枚数を、制御回路60が取得することができる。
【0065】
排出ベルト駆動回路69は、制御回路60の制御によって動作する。排出ベルト駆動回路69は、制御回路60の制御によって排出ベルト44を駆動する。排出ベルト44を駆動することで、排出ベルト44の上のコイン10をトレー3に移動することができる。
【0066】
次に、コイン処理装置の動作について説明する。
図8は、コイン投入部および分離部の動作を説明するタイミング図である。
【0067】
「コイン状態」を示すチャートは、コイン10を貯留容器13へ供給した場合に、問題が生じる状態であるか、生じない状態であるかを示している。ディスク15によって搬送されるコイン10が受渡部8付近にある場合に、ディスク15に別のコイン10が落下すると不具合が発生する可能性がある。「OK」で示されるチャートの下レベルは、ディスク15によって搬送されるコイン10が受渡部8付近に無く、別のコイン10がディスク15に落下しても問題が生じないことを示している。これに対して、「NG」で示されるチャートの上レベルは、ディスク15によって搬送されるコイン10が受渡部8付近にあり、別のコイン10がディスク15に落下すると問題が生じる可能性があることを示している。
【0068】
「第1センサー」の状態を示すチャートは、第1のセンサー47がコイン10を検出している場合は「H」で示されるレベル、検出していない場合は「L」で示されるレベルで示される。
【0069】
「第2センサー」の状態を示すチャートは、第2のセンサー48がコイン10を検出している場合は「H」で示されるレベル、検出していない場合は「L」で示されるレベルで示される。
【0070】
「コンベヤー動作」の状態を示すチャートは、コンベヤー11の動作状態を示している。コンベヤー11が駆動している場合は「On」で示されるレベル、停止している場合は「Off」で示されるレベルで示される。
【0071】
「計測タイマー」の動作を示すチャートは、タイマー62の時間の計測動作の状態を示している。タイマー62によって時間計測をしている場合は「On」で示されるレベル、停止している場合は「Off」で示されるレベルで示されている。
【0072】
「タイマー割込」のタイミングを示すチャートは、割込回路63によって定期的に発生する信号を示している。この定期的な割込のタイミングで各種状態を把握し、その状態に応じて制御処理を行う。コイン処理装置を定期的な割込で動作させている例を説明する。また、タイミングによる割込を用いる他に、センサーの信号の立ち上がりや立ち下がり、所定時間経過した時、入力があった時、など動作の切り替りで割込信号を生成し、その割込のタイミングで制御処理を行うこともできる。
【0073】
最初に、分離部6、コイン投入部にコイン10が無い状態から始まる。次に、投入口2にコイン10が投入され、第1のセンサー47がコイン10を検出する。次に、コンベヤー11を動作させて、コイン10を貯留容器13に供給する。次に、コンベヤー11が動き出した後、コイン10が、コイン通路12に落とされ、貯留容器13に供給される。貯留容器13内のコイン10は第2のセンサー48によって検出される。
【0074】
次に、第2のセンサー48によってコイン10が検出された後、所定時間の計測を開始する。この所定時間経過後にコンベヤー11を停止する。この所定時間は、ディスク15によって問題が生じる位置にコイン10が運ばれるまでにかかる時間を含む。コンベヤー11を停止した後に、コイン10がコイン通路12を移動し、貯留容器13に至るまでには時間がかかる。この時間も考慮され、所定時間を決める。例えば0.2秒間の様な短い時間となる。この所定時間は、実験、理論計算などによって求め、設定値としてメモリー61に記憶しておき、制御に用いる。
【0075】
次に、コンベヤー11の停止後、貯留容器13に格納されているコイン10が識別部7へ受渡される。第2のセンサー48によって貯留容器13内のコイン10が検出されず、コンベヤー11の上にコイン10がある場合に、コンベヤー11を再び動作させる。コンベヤー11の動作を再開させてから貯留容器13にコイン10が落ちるまで、時間がかかる。この時間内にディスク15に保持されたコイン10は、識別部7に受渡される。よって、第2のセンサー48がコイン10を検出しなくなった後、コンベヤー11を動作させても、問題を生じない。
【0076】
次に、第2のセンサー48によって、再びコイン10が検出された場合、所定時間の計測を開始し、所定時間経過後にコンベヤー11を停止する。
【0077】
コンベヤー11停止後でも、コイン通路12を移動するコイン10が有り、全て落ちるまで時間がかかる。その間は、ディスク15にコイン10が落ちても問題が生じないように時間が設定されている。
【0078】
次に、貯留容器13内のコイン10が非検出となった後、コンベヤー11の上にコイン10が無ければ、コンベヤー11は駆動しない。コンベヤー11の上にコイン10が有れば、上述された動作を繰り返し行うことになる。また、コンベヤー11の上にコイン10が無い状態が続けば、コイン10は全て識別部7に受渡され、ディスク15の上にコイン10が落ちても問題が生じなくなる。第1のセンサー47がコイン10を検出するのを待つ、すなわち状態変化が生じるまで待つ状態を続ける。
【0079】
第1状態70は、分離部6にコイン10が無い状態であり、ディスク15の上にコイン10を落としても問題が生じない状態である。
【0080】
第2状態71は、コンベヤー11を停止してから、コイン通路12を移動中のコイン10が貯留容器13に全て収納されるまでの時間を含み、ディスク15の上にコイン10を落としても問題が生じない状態である。
【0081】
第3状態72は、貯留容器13内に格納されているコイン10をディスク15によって識別部7に運び終わるまでの状態であり、ディスク15の上にコイン10を落としたら問題が生じる可能性がある。
【0082】
第4状態73は、第2状態71と同様の状態である。
【0083】
第5状態74は、貯留容器13内に格納されているコイン10をディスク15によって識別部7に運び終わるまでの状態である。第5状態74の後、第1のセンサー47、第2のセンサー48が非検出の状態となっているので、ディスク15の上にコイン10を落としても問題が生じない状態である。
【0084】
次に、主要な状態において、タイマー割込が生じた場合の処理について説明する。投入口2からコイン10の投入が無く、また貯留容器13にコイン10が格納されていない状態から始まる。また、ディスク15、ホイール19は駆動されている状態である。コイン10が投入された場合に、第1のセンサー47、第2のセンサー48、コンベヤー11、タイマー62の動作の変化を順に説明する。
【0085】
タイマー割込A、Bの時に第1のセンサー47はコイン10を検出していない。よって、コンベヤー11、タイマー62の駆動を行わない。
【0086】
タイマー割込Cの時に、第1のセンサー47がHレベルとなり、投入口2からコイン10が投入され、コンベヤー11の上にあることが検出されている。コンベヤー11を駆動して貯留容器13にコイン10を供給する。
【0087】
タイマー割込Dの時は、状態が変わっていないので、状態変化を待つ。
【0088】
タイマー割込Eの時は、第2のセンサー48がコイン10を検出したので、所定時間の計測を開始する。
【0089】
タイマー割込Fの時は、所定時間経過したので、所定時間の計測を終了すると共に、コンベヤー11の駆動を停止する。
【0090】
タイマー割込G、Hの時は、状態が変わっていないので、状態変化を待つ。
【0091】
タイマー割込Iの時は、第2のセンサー48がコイン10を検出しなくなったので、コンベヤー11の駆動を開始する。
【0092】
タイマー割込Jの時は、状態が変わっていないので、状態変化を待つ。
【0093】
タイマー割込Kの時は、第2のセンサー48がコイン10を検出したので、所定時間の計測を開始する。
【0094】
タイマー割込Lの時は、第1のセンサー47がコイン10を検出しなくなったが、所定時間内なので、コンベヤー11の駆動を止めず、次の状態変化を待つ。
【0095】
タイマー割込Mの時は、所定時間経過したので、所定時間の計測を終了すると共に、コンベヤー11の駆動を停止する。
【0096】
タイマー割込Nの時は、第2のセンサー48がコイン10を検出しなくなったが、第1のセンサー47も非検出なので、状態変化を待つ。
【0097】
上記は処理を行う代表的なタイミングについて説明した。この様に、タイミング割込が生じたときに、状態に応じた処理を行うことで、ディスク15の上にコイン10が落ちても問題が無いときに貯留容器13にコイン投入部のコイン10を供給する。また、タイミング割込の他に、例えば、第1のセンサー47および第2のセンサー48のレベルの切り替わり時、所定時間の計測が終了した時に、割込回路63で割込を発生させ、その時の状態に応じて同様の処理を行うことで、処理のタイムラグを小さくすることができる。
【0098】
図9は、コイン投入部および分離部の動作を説明するフローチャートである。コイン処理装置1の動作を、フローチャートを用いて説明する。制御回路60によってメモリー61に記憶されているプログラムに従って、センサー、駆動回路等を制御し動作させる。また、タイマー割込によって定期的に処理が行われる例を説明する。例えば5ミリ秒や10ミリ秒などのタイミングで処理を行う。短い間隔ほどタイムラグが小さくなる。
【0099】
まず、ステップS1では、入金口にコイン10があるか否かを判断する。すなわち、コンベヤー11の上にコイン10があるか否かを、第1のセンサー47によって検出する。検出の結果、コイン10を検出すればステップS2へ、検出しなければステップS11へ移行する。
【0100】
次に、ステップS2では、貯留容器13にコイン10があるか否かを判断する。すなわち、貯留容器13内にコイン10があるか否かを、第2のセンサー48によって検出する。検出の結果、コイン10を検出すればステップS3へ検出しなければステップS9へ移行する。
【0101】
次に、ステップS3では、コンベヤー11のベルトを駆動しているか否かを判断する。ベルトを駆動中ならステップS4へ移行する。駆動していなければ処理を終了する。すなわち、状態に変化があるまで、この状態を維持することになる。
【0102】
次に、ステップS4では、タイマー62によって所定時間を計測中であるか否かを判断する。計測中ならばステップS5へ移行する。計測していなければステップS8へ移行する。所定時間は、第2のセンサー48がコイン10を検出してから、ディスク15の上にコインを落としても問題を生じないときまでの時間である。例えば、コイン10が、ディスクによって、ディスク15の1/4周分運ばれるまでの時間である。所定時間経過後にコンベヤー11を停止させれば、コイン10が受渡部8近傍に存在せずに、ディスク15の上に別のコイン10が落ちたとしても問題が生じない。
【0103】
次に、ステップS5では、タイマー62が所定時間を超えたか否かを判断する。超えていればステップS6へ移行する。駆動していなければ処理を終了する。すなわち、状態に変化があるまで、この状態を維持することになる。
【0104】
次に、ステップS6では、コンベヤー11のベルトを停止させる。コイン投入部から貯留容器13へのコイン10の供給を停止させる。実際には、コンベヤー11の停止後でも、まだコイン通路12を滑り落ちているコイン10が存在するが、その時間も考慮され所定時間が決められている。この所定時間を超えてコンベヤー11を動作させると、受渡部8にコイン10があるときにディスク15の上に別のコイン10を落とすことになり、不具合が生じる場合がある。コンベヤー11からコイン通路12へコイン10を供給する場合に、コンベヤー11の動作の開始からコイン10がコイン通路12へ入るまでの時間が一定であることが好ましい。そのため、コンベヤー11を停止させた後に、第1の所定量コンベヤー11を逆転させ、載置されているコイン10を一旦後退させる。その後第1の所定量より少ない第2の所定量コンベヤー11を正転させる。例えば、第1の所定量をコンベヤー11の全長、第2の所定量を第1の所定量の半分とする。こうすれば、コンベヤー11に載置されているコイン10の先頭が、コンベヤー11の中央付近に配置できる。コンベヤー11の動作を再開させる毎に、載置されているコイン10の先頭がほぼ同じ位置から開始できる。コンベヤー11の動作を開始してからコイン10が貯留容器13に到達するまでの時間のばらつきを少なくでき、制御処理の正確性を向上させることができる。この動作を複数回、例えば2回、行うことで、より正確に同位置にコイン10を整列できる。また、好ましくは、コンベヤー11を逆転させた後正転させてコイン10の先頭を整列ローラー49の手前に配置できるようにする。コンベヤー11を駆動後に時間を置かずにコイン通路12へ供給でき時間を節約できる。
【0105】
次に、ステップS7では、タイマー62を次の計測に備えてストップ、リセットする。そして、処理を終了する。
【0106】
次に、ステップS8は、タイマー62の計測中ではない場合の処理である。タイマー62の動作を開始させ、時間を計測する。すなわち、所定時間の計測を開始する。
【0107】
次に、ステップS9では、貯留容器13にコイン10が無い場合に、コンベヤー11が駆動中であればステップS5へ、停止していればステップS10へ移行する。
【0108】
次に、ステップS10では、コンベヤー11の駆動を開始する。貯留容器13にコイン10が無ければ、貯留容器13にコイン10を供給するためにコンベヤー11の駆動を開始する。
【0109】
次に、ステップS11では、第1のセンサー47によってコイン10が検出されない場合、コンベヤー11を駆動しているか否かを判断する。駆動中であればステップS5へ、停止中であれば、処理を終了する。すなわち、状態に変化があるまで、この状態を維持することになる。
【0110】
上述の様に処理することで、ディスク15からホイール19へコイン10を受け渡す際に、貯留容器13への新たなコイン10の格納を止めることができる。また、問題が生じる状態か否かを判断して、コイン10の供給を制御するので、処理速度を極端に低下させることなく効率的に処理することができる。すなわち、貯留容器13内のコイン10の有無だけで判断するのではなく、ディスク15によるコイン10の搬送状態も考慮しているからである。コイン10を供給するタイミングもその分長くとれるので、効率的にコイン10を供給できる。また、ディスク15に直接あるいは他のコイン10の上に重なるような間接的に、新たなコイン10が落ちることを防止できる。このように、ディスク15の予期せぬ振動を防止でき、ディスク15からホイール19へコイン10を好適に受け渡すことができる。
【符号の説明】
【0111】
1 コイン処理装置
2 投入口
3 トレー
4 外装
5 振分部
6 分離部
7 識別部
8 受渡部
9 識別センサー
10 コイン
11 コンベヤー
12 コイン通路
13 貯留容器
14 ベース
15 ディスク
16 ディスク回転軸
17 凹部
18 ディスク回転方向
19 ホイール
20 ホイール回転軸
21 ホイール回転方向
22 案内部
23 搬送ピン
24 搬送ベルト
25 搬送ベルト回転方向
26 第1スライダー
27 第2スライダー
28 第3スライダー
29 第4スライダー
30 第5スライダー
31 第6スライダー
32 第7スライダー
33 第8スライダー
34 第9スライダー
35 第1コインホッパー
36 第2コインホッパー
37 第3コインホッパー
38 第4コインホッパー
39 第5コインホッパー
40 第6コインホッパー
41 第7コインホッパー
42 第8コインホッパー
43 第9コインホッパー
44 排出ベルト
46 レール
47 第1のセンサー
48 第2のセンサー
49 整列ローラー
50 ケース
51 揺動軸
52 移動ピン
53 案内溝
54 押動体
55 シート