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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】スライドヒンジ並びにキャビネット
(51)【国際特許分類】
   E05D 3/14 20060101AFI20230315BHJP
   A47B 55/00 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
E05D3/14 A
A47B55/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017164880
(22)【出願日】2017-08-29
(65)【公開番号】P2019044342
(43)【公開日】2019-03-22
【審査請求日】2020-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】513014628
【氏名又は名称】株式会社ナチュラレーザ・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】田島 秀哉
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-88755(JP,A)
【文献】登録実用新案第3090408(JP,U)
【文献】実開昭57-75216(JP,U)
【文献】特開2004-332373(JP,A)
【文献】米国特許第4270240(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0284138(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014113714(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 1/00-9/00
A47B 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネット本体側に取り付けられるスライドヒンジ本体と、扉体側に設けた取付穴に挿入固定される合成樹脂製の連結用筐体と、この連結用筐体と前記スライドヒンジ本体をヒンジピンを介して互いに開閉可能に連結させる連結片とを有するスライドヒンジにおいて、前記連結用筐体を取付ネジを用いなくとも前記扉体側に取り付けることのできる取付手段を設け、この取付手段を前記連結用筐体の両側部に一体に連設された同じく合成樹脂製の一対の取付用ケース部と、この各取付用ケース部内に設けた拡径手段から成るものにおいて、前記連結用筐体に設けた互いに連通している連結片収容溝部内と収容凹部内に前記連結用筐体側の前記ヒンジピンを挿通させて補強用枠体を設け、この補強用枠体を前記連結用筐体側の前記ヒンジピンを挿通させる基部とこの基部から平行に延びる固定部を有する平面U字形状を呈した金属プレート製のもので構成し、前記基部と前記固定部には、それ自身を前記連結用筐体に設けた連結片収容溝部と収容凹部へ固定させる第1係止片と第2係止片が設けられていることを特徴とする、スライドヒンジ。
【請求項2】
キャビネット本体側に取り付けられるスライドヒンジ本体と、扉体側に設けた取付穴に挿入固定される合成樹脂製の連結用筐体と、この連結用筐体と前記スライドヒンジ本体をヒンジピンを介して互いに開閉可能に連結させる連結片とを有するスライドヒンジにおいて、前記連結用筐体を取付ネジを用いなくとも前記扉体側に取り付けることのできる取付手段を設け、この取付手段を前記連結用筐体の両側部に一体に連接された一対の取付用ケース部と、この各取付用ケース部内に設けた拡径手段とで構成し、この拡径手段を前記各取付用ケース部内に収容させたところ外方向へ突出可能に爪部を設けた弾性を付与された係止片を有する係止盤と、前記各係止盤の中に回転可能に収められ、その外周部に突設した複数の押圧部とその上部側の中央部には工具装着部を有し、ストッパー手段によって回転角度を所定範囲に規制された作動盤と、その中央部に前記工具装着部を軸受するための軸受孔を有し、前記各取付用ケース部に着脱可能に取り付けられたキャップとで構成すると共に、前記連結用筐体の前記ヒンジピンを取り付けた個所に当該ヒンジピンを挿通させて補強用枠体を設け、この補強用枠体を基部とこの基部から平行に延びる固定部を有する平面U字形状を呈した金属プレート製のもので構成し、前記基部と前記固定部には、それ自身を前記連結用筐体に設けた連結片収容溝部と収容凹部へ固定させる第1係止片と第2係止片が設けられていることを特徴とする、スライドヒンジ。
【請求項3】
前記各作動盤のストッパー手段を、前記各取付用ケース部に設けた第1ガイド孔とこの第1ガイド孔と重なり合うように前記各係止盤に設けた第2ガイド孔とを貫通させて前記作動盤に設けたストッパー片で構成したことを特徴とする、請求項2に記載のスライドヒンジ。

【請求項4】
前記第1ガイド孔か前記第2ガイド孔の一方或は双方には前記ストッパー片のスライドを制御する突起部が設けられていることを特徴とする、請求項3に記載のスライドヒンジ。
【請求項5】
前記各係止盤の各爪部は、通常時において前記各取付用ケース部の内部に収容されていることを特徴とする、請求項2~4のいずれか1項に記載のスライドヒンジ。
【請求項6】
前記補強用枠体は平面略U字状を呈し、前記連結用筐体に設けられているところの前記スライドヒンジ本体の先端部側を収容させる収容凹部の両内側に沿って連結片収容溝部の両内側に達し固定されていることを特徴とする、請求項1~2のいずれか1項に記載のスライドヒンジ。
【請求項7】
請求項1~6に記載のスライドヒンジにおいて、前記スライドヒンジ本体が前記扉体側に取り付けられ、前記連結用筐体の取付穴が前記キャビネット本体側に設けられることを特徴とする、スライドヒンジ。
【請求項8】
請求項1~6に記載のスライドヒンジを取り付けたことを特徴とする、キャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭、或はオフィスなどで使用されるキャビネットなどの家具の扉体開閉用に用いられている、隠し蝶番とも称せられるスライドヒンジ並びにこのスライドヒンジを取り付けたキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭に設置されているキャビネットに代表される収納庫、大型家具、備付け家具、収納ボックスなどの家具や、オフィスに設置されているキャビネットなどの各種家具においては、特許文献1或は2に示したような構成のスライドヒンジが一般的である。即ち、この種の公知のスライドヒンジは、キャビネット本体側にスライド調節可能に取り付けられたスライドヒンジ本体側と、扉体側に設けた取付穴に収装され取付ネジを用いて固定された連結用筐体と、この連結用筐体とヒンジ本体を互いに連結させた連結片とで基本的に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-367号公報
【文献】実登第3090408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来公知のスライドヒンジの場合には、連結用筐体を取り付ける扉体が木製の無垢の材料の場合には、取付ネジの締め付けもきき、扉体が連結用筐体より容易に外れてしまうことはないが、近年はこの扉体に芯材として取付ネジのあまりきかない、例えば段ボール製のハニカム構造のボードを用い、その両面にベニヤ板などの薄い化粧板を貼着したものが多く用いられるようになっている。
【0005】
かかる場合に、扉体側に取り付けられるスライドヒンジの連結用筐体を取付ネジで固着しようとしても、芯材には上記した段ボール製のあまりネジのきかないハニカム構造のボードを用いているので、連結用筐体をしっかり扉体に固着することができなかったり、或は固着後の使用中に連結用筐体が扉体から脱落してしまうという問題があった。
【0006】
そこで本願出願人の関連会社である加藤電機株式会社は、芯材にネジのきかない例えば段ボール製のハニカム構造のボードを用いた扉体、或はキャビネット本体であっても、連結用筐体を容易に取り付けることができ、かつ、取り付け後に脱落の心配のないように工夫した安価なスライドヒンジを提案した(特開2014-88755号公報)。この先願に係るスライドヒンジは、スライドヒンジの連結用筐体を取付ネジなどを用いなくともハニカム構造のボードへワンタッチで取り付けることができる優れた構造のものであったが、連結用筐体と取付手段を合成樹脂で構成すると、強度的に不安が残ることから、樹脂材料に高価なものを用いるか、さもなければ肉厚の厚い筐体とする必要があり、製品が高価なものになってしまうか、或は肉厚を厚くする部分だけ連結用筐体が大きくなってしまうことから、対策が求められていた。
【0007】
そこで本発明の目的は、連結用筐体をワンタッチでハニカム構造のボードへ取り付けることができるように成したスライドヒンジにおいて、当該連結用筐体その取付手段から成る連結用筐体を合成樹脂で構成しても、強度的に問題の生ずる怖れのないススライドヒンジ並びにこのスライドヒンジを用いたキャビネットを提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために請求項1に係る発明は、キャビネット本体側に取り付けられるスライドヒンジ本体と、扉体側に設けた取付穴に挿入固定される合成樹脂製の連結用筐体と、この連結用筐体と前記スライドヒンジ本体をヒンジピンを介して互いに開閉可能に連結させる連結片とを有するスライドヒンジにおいて、前記連結用筐体を取付ネジを用いなくとも前記扉体側に取り付けることのできる取付手段を設け、この取付手段を連結用筐体とこの連結用筐体の両側部に一体に連設された同じく合成樹脂製の一対の取付用ケース部と、この各取付用ケース部内に設けた拡径手段から成るものにおいて、前記連結用筐体に設けた互いに連通している連結片収容溝部内と収容凹部内に前記連結用筐体側の前記ヒンジピンを挿通させて補強用枠体を設け、この補強用枠体を前記連結用筐体側の前記ヒンジピンを挿通させる基部とこの基部から平行に延びる固定部を有する平面U字形状を呈した金属プレート製のもので構成し、前記基部と前記固定部には、それ自身を前記連結用筐体に設けた連結片収容溝部と収容凹部へ固定させる第1係止片と第2係止片が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、キャビネット本体側に取り付けられるスライドヒンジ本体と、扉体側に設けた取付穴に挿入固定される合成樹脂製の連結用筐体と、この連結用筐体と前記スライドヒンジ本体をヒンジピンを介して互いに開閉可能に連結させる連結片とを有するスライドヒンジにおいて、前記連結用筐体を取付ネジを用いなくとも前記扉体側に取り付けることのできる取付手段を設け、この取付手段を前記連結用筐体の両側部に一体に連接された一対の取付用ケース部と、この各取付用ケース部内に設けた拡径手段とで構成し、この拡径手段を前記各取付用ケース部内に収容させたところ外方向へ突出可能に爪部を設けた弾性を付与された係止片を有する係止盤と、前記各係止盤の中に回転可能に収められ、その外周部に突設した複数の押圧部とその上部側の中央部には工具装着部を有し、ストッパー手段によって回転角度を所定範囲に規制された作動盤と、その中央部に前記工具装着部を軸受するための軸受孔を有し、前記各部部に着脱可能に取り付けられたキャップとで構成すると共に、前記連結用筐体の前記ヒンジピンを取り付けた個所に当該ヒンジピンを挿通させて補強用枠体を設け、この補強用枠体を基部とこの基部から平行に延びる固定部を有する平面U字形状を呈した金属プレート製のもので構成し、前記基部と前記固定部には、それ自身を前記連結用筐体に設けた連結片収容溝部と収容凹部へ固定させる第1係止片と第2係止片が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明の各作動盤のストッパー手段を、前記各係止盤に設けた第1ガイド孔とこの第1ガイド孔と重なり合うように前記各取付用ケース部に設けた第2ガイド孔とを貫通させて前記作動盤に設けたストッパー片で構成することができる。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明の前記第1ガイド孔か前記第2ガイド孔の一方或は双方には前記ストッパー片のスライドを制御する突起部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、前記請求項2に記載の前記係止盤の各爪部は、通常時において前記各取付用ケース部の内部に収容されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、前記請求項1~2に記載の前記補強用枠体は平面略U字状を呈し、前記連結用筐体に設けられているところの前記ヒンジ本体の先端部側を収容させる収容凹部の両内側に沿って連結片収容溝部の両内側に達し固定されていることを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明は、以上いずれの発明の場合でも、前記スライドヒンジ本体が前記扉体側に取り付けられ、さらに連結用筐体の取付穴をキャビネット本体側に設けたものにも実施できる。
【0015】
そして、請求項8に係る発明は、請求項1~6に各記載のスライドヒンジを取り付けたことを特徴とする、キャビネットである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以上のように構成したので、請求項1の発明によれば、キャビネット本体側に取り付けられるスライドヒンジ本体と、扉体側に設けた取付穴に挿入固定される合成樹脂製の連結用筐体と、この連結用筐体と前記スライドヒンジ本体をヒンジピンを介して互いに開閉可能に連結させる連結片とを有するスライドヒンジにおいて、前記連結用筐体を、例えばハニカム構造の釘や取付ネジなどがきかないボードで構成した扉体側に設けた取付穴へ挿入固定させる際に、前記連結用筐体の両側に同じく合成樹脂製の取付用ケース部を連接し、この取付用ケース部の中に拡径手段を設けると共に、前記連結用筐体に前記ヒンジピンを挿通させて補強用枠体を設けることにより、連結用筐体を取付ネジや釘などを用いることなく、取付穴へしっかりと固定することができ、取り付け後脱落してしまうことはない上に、補強用枠体によって、連結用筐体の強度を増すことができ、耐久性を高めることができる。
【0017】
請求項2発明によれば、各作動盤に設けた工具装着部へスパナなどの工具を順次挿入させて当該作動盤を回転させると、共に回転する押圧部が各係止盤の係止片に設けた爪部を取付用ケース部より外側へ押し出すので、各係止片に設けた爪部が連接穴の周壁に食い込むことから、連結用筐体を取付ネジや釘などを用いることなく、取付穴へしっかりと固定することができ、取付後脱落してしまうことはない上に、補強用枠体によって、連結用筐体の強度を増すことができ、耐久性を高めることができる。
【0018】
請求項3のように構成すると、請求項2に記載の作用効果を奏した上で、各作動盤のストッパー手段が当該作動盤の回転時に第1ガイド孔と第2ガイド孔の各始端部から終端部へ作動盤の回転と共に移動して当該作動盤の回転を停止させるので、各係止片の各爪部が連接穴の周壁に必要なだけ食い込んだ時に押圧部の回転を止めることができるものであり、押圧部の過剰回転を防止することができるものである。
【0019】
請求項4のように構成すると、請求項2に記載の作用効果を奏した上で、係止盤の係止片の爪部を拡径させた状態で作動盤が元位置に戻ってしまうのを有効に防止することができるものである。
【0020】
請求項5のように構成すると、連接穴へ取付用ケース部を装着させる際に係止片の爪部が邪魔にならないという作用効果を奏し得る。
【0021】
請求項6のように構成すると、簡単な構成で、連結用筐体の強度を上げることができ、スライドヒンジの耐久性を増大させることができるという作用効果を奏し得る。
【0022】
請求項7のように構成すると、上記いずれの発明においても、キャビネット本体側に段ボール製のハニカム構造の芯材の両側にベニヤ製の薄い化粧板を貼着したボードを用い、このキャビネット本体側へスライドヒンジの連結用筐体を取り付けるようにしたものにも適用できる。
【0023】
そして、請求項8のように構成すると、キャビネット本体へ容易かつしっかりとハニカム構造の扉体を取り付けることができるという効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係るスライドヒンジを取り付けるキャビネットの一例を示す斜視図である。
図2】本発明に係るスライドヒンジを取り付けるキャビネットの部分の状態を示す正面図である。
図3】本発明に係るスライドヒンジをキャビネットに取り付けて扉体を開いた状態の正面図である。
図4】本発明に係るスライドヒンジを示し、(a)は図3に示した状態を一部断面で示した平面図、(b)は(a)の状態から扉体を閉じた状態を同じく一部断面で示した平面図である。
図5図4に示した連結用筐体の部分の縦断面図である。
図6】本発明に係るスライドヒンジの連結用筐体と取付手段の部分の分解斜視図である。
図7】本発明に係るスライドヒンジの連結用筐体と取付用ケース部の部分の正面図である。
図8】本発明に係るスライドヒンジの係止盤を示し、(a)はその平面図、(b)はその左側面図、(c)は(a)のA-A線断面図である。
図9】本発明に係るスライドヒンジの作動盤を示し、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)は(a)のB―B線断面図である。
図10】本発明に係るスライドヒンジのキャップを示し、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)は(a)のC―C線断面図、(d)は(a)のD―D線断面図である。
図11】本発明に係る補強用枠体を示し、(a)はその正面図、(b)はその平面図、(c)はその右側面図である。
図12】本発明に係るスライドヒンジの取付手段の動作前の状態を説明するもので、(a)はその平面図、(b)はその縦断面図である。
図13】本発明に係るスライドヒンジの取付手段の動作終了後の状態を説明するもので、(a)はその平面図、(b)はその縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。本発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例に示すように、スライドヒンジ1の連結用筐体5側に取付手段6a、6bを設け、この連結用筐体5とその取付手段6a、6bを合成樹脂で構成し、連結用筐体5に第3ヒンジピン7cと第4ヒンジピン7dを挿通させて補強用枠体10を取り付けることにより、連結用筐体5を扉体2b側やキャビネット本体2a側へ取付ネジを用いなくとも固着することができた上で、当該連結用筐体の補強効果を上げ耐久性を増大させたものである。以下に、連結用筐体5を扉体2b側へ取り付ける場合について説明するが、この連結用筐体5をキャビネット本体2a側へ取り付ける場合にも適用できることは言うまでもない。このようなスライドヒンジ1は、通常扉体2b1枚に対して上下2個用いられるが、同じ構造であるので、以下の説明では1個のみを説明する。
【実施例1】
【0026】
図1は本発明に係るスライドヒンジ1を取り付ける例えば家具などのキャビネット2の一例を示す。本発明に係るスライドヒンジ1は通称隠し蝶番とも称せられ、キャビネット2のキャビネット本体2a側と扉体2b側との間に取り付けられるものである。このスライドヒンジ1は、添付した図面の図3図5示したように、キャビネット2のキャビネット本体2a側へ取り付けられるスライドヒンジ本体3と、このスライドヒンジ本体3に対しヒンジピン7a、7bを介して一端部側を回動可能に連結させた一対の第1連結片4aと第2連結片4bと、扉体2b側に設けた取付穴2c内に挿入固定されると共に、第1連結片4aと第2連結片4bの他端部を第3ヒンジピン7cと第4ヒンジピン7dを介して同じく回動可能に連結させた合成樹脂製の連結用筐体5と、扉体2b側に取付穴2cの上下位置に連通して設けた連接穴2d、2e内に、連結用筐体5に連接させて設けた取付手段6a、6bと、連結用筐体5側に第3ヒンジピン7cと第4ヒンジピン7dを挿通させて取り付けた補強用枠体10とで構成されている。取付手段6a、6bを用いて連結用筐体5をワンタッチで取付穴2cへ装着固定させることで、釘や取付ネジなどを用いることなく連結用筐体5を釘や取付ネジの利かない扉体2bヘ取り付けることができた上で、補強用枠体10で連結用筐体5の耐久性の向上を図ったものである。
【0027】
図2~5図は、本発明に係るスライドヒンジ1をキャビネット2へ取り付けた状態を示しており、とくに図2に示したように、スライドヒンジ本体3を、詳しい説明は省略するが、キャビネット本体2a側へ取り付けたキャッチ11へワンタッチで着脱可能に取り付け、扉体2b側に設けた取付穴2cと連接穴2d、2eへ連結用筐体5を取付手段6a、6bを介してワンタッチで取り付けられるようにしたものである。即ち、連結用筐体5について見れば、取付用筐体5は扉体2b側に設けられた取付穴2cへ収装され、この取付穴2cの上下位置に連通して設けられた連接穴2d、2eへ連結用筐体5に連接された取付手段6a、6bを挿入させており、この取付手段6a、6bを連接穴2d、2eへワンタッチで固定させることにより、連結用筐体5を扉体2bへワンタッチで取り付けるように構成されている。なお、スライドヒンジ本体3は、本実施例のものはキャッチ11へワンタッチで着脱できるものを示しているが、それ自身を図示してない取付ネジでキャビネット本体2a側へ取り付けられるように構成してもよい。このキャッチ11については、公知技術であるので、以下の実施例ではその構成と作用効果の説明を省略する。
【0028】
扉体2bは、実施例のものは、とくに図4に示したように、例えば段ボール製のハニカム構造の芯材2fの外側に薄板の化粧合板2g、2g、2gを貼着させたものであるが、扉体2bはこのものに限定されず、その他の釘や取付ネジのきかない材料で構成した扉体にも適用できることは言うまでもない。
【0029】
図面から解るように、本発明に係るスライドヒンジ1のスライドヒンジ本体3と第1連結片4aと第2連結片4bと連結用筐体5については、とくにその構成に限定はなく、公知の様々なものを用いることができる。ちなみに、実施例のものを説明すると、スライドヒンジ本体3は、例えば金属製のプレス加工品であり、断面コの字形状を呈した細長い部材である。このスライドヒンジ本体3の先端部側には、金属製の第1連結片4aと第2連結片4bの各一端部側が、第1ヒンジピン7aと第2ヒンジピン7bを介して回転可能に連結されている。
【0030】
連結用筐体5は、とくに図4図7示したように、底板5iを有する略カップ形状を呈した例えば合成樹脂製の成形品であり、その中央部に扉体2bをキャビネット本体2aに対して閉じた状態において、第1連結片4aと第2連結片4bとスライドヒンジ本体3の先端部側を収容させる収容凹部5cと、第3ヒンジピン7cと第4ヒンジピン7dで第1連結片4aと第2連結片4bを連結する連結部5aと、この連結部5aに収容凹部5cよりやや幅の狭い連結片収容溝部5bが設けられている。連結部5aには、連結片収容溝部5b側に開口して連結孔5d、5eが向けられ、この連結孔5d、5eには、第1連結片4aと第2連結片4bの他端部側が、U字形状に折り曲げた一方の第3ヒンジピン7cと他方の第4ヒンジピン7dを介して回動可能に連結されている。収容凹部5cと連結片収容溝部5bには、とくに図3図6図11に示したように、平面略U時形状を呈した、例えばSUSのようなステンレス鋼製の補強用枠体10が、上記した第3ヒンジピン7cと第4ヒンジピン7dをその基部側10aに設けたヒンジピン連結孔10c、10dに挿通させて取り付けられている。
【0031】
補強用枠体10は、とくに図3図6図11に示したように、湾曲した幅の狭い基部10aとこの基部10aに続いて平行に設けられたやや幅の広い一対の固定部10b、10bから成る平面略U字形状のもので、基部10a側にヒンジピン連結孔10c、10dが設けられると共に、固定部10b、10bの基部10a側に下方に向けて一対の第1係止片10e、10eが設けられ自由端側に水平方向に突出して一対の第2係止片10f、10fが設けられている。さらに、連結用筐体5の収容凹部5cには、補強用枠体10の開放先端側に設けた第2係止片10f、10fと基部10a側に設けた第1係止片10e、10eを挿入係止する係止孔5g、5g(図6に一方のみ表示)と係止孔5h、5h(図7に表示)が設けられると共に、基部10a側の下端部には、組付け時に連結用筐体5の底部に当接する一対の第1当接部10g、10gが設けられ、固定部10b、10bの下端部側には、第2当接部10h、10hがそれぞれ設けられている。
【0032】
取付手段6a、6bは、図3図7に示したように、連結用筐体5の上下部に仕切り壁5f、5fを介して連接された一対の取付用ケース部8、9と、この取付用ケース部8、9に装着された拡径手段12、13とから構成されている。この取付用ケース部8、9は、連結用筐体5と同じ合成樹脂製であり、その周壁に3個の挿通孔8a、9a、8a・9a、8a、9aを有し、連結用筐体5との間の仕切り壁5f、5fの側に係止孔5h、5hが設けられている。この取付用ケース部8、9の各上端縁には、内側に向けてキャップ18、19の係止片18b、19bを係止する係止片8c、8c・9c、9cが2個ずつ突設されると共に、その各底板8d、9dの中心部軸方向にそれぞれ軸受孔8e、9eが設けられている。この各軸受孔8e、9eを囲んでそれぞれ円弧状の第1ガイド孔8f、9fが設けられると共に、第1ガイド孔8f、9fにはその中央部一側に突起部8i、9iが設けられている。尚、この突起部8i、9iは、第2ガイド孔14g、15gの側にも単独或は重ねて設けても良い。さらに、取付用ケース部8、9に設けられた拡径手段12、13を収容する収容凹部8g、9gは、平面から見て仕切り壁5f、5f側に平坦部8h、9hを有している。
【0033】
拡径手段12、13は、各取付用ケース部8、9の収容凹部8g、9g内に収装されたところの、それぞれ一対の係止盤14、15と、作動盤16、17と、キャップ18、19から成る。各係止盤14、15は、例えば、ABSのような機械的強度のある合成樹脂で成形されたものであり、平面円盤状を呈し、とくに図8に示したように、その底板部14a、15aの中心部の上面側に軸受穴14b、15bを有すると共に、下面側にこの軸受穴14b、15bと軸心を共通にして、各取付用ケース部8、9に設けた軸受孔8e、9eへ挿入させるボス部14c、15cが設けられている。底板部14a、15aの外周部分からは、所定間隔を空けて立設されたところの先端に設けた各爪部14d、14d、14d・15d、15d、15dを有する係止片14e、14e、14e・15e、15e、15eが上方へ突出して設けられると共に、底板部14a、15aから同一平面方向に突出させた突出片14f、15fには、円弧状を呈した第2ガイド孔14g、15gが設けられ、係止盤14、15を取付用ケース部8、9内へ装着させた際には、突出片14f、15fが平坦部8h、9hに当接して係止盤14、15の回転を防止すると共に、第2ガイド孔14g、15gが第1ガイド孔8f、9fと重なり合うように構成されている。とくに図8に示したように、係止片14e、14e、14e・15e、15e、15eが、内側へ倒れ込むように成型することにより、通常時は各爪部14d、14d、14d・15d、15d、15dを取付用ケース部8、9の各挿通孔8a、8a、8a・9a、9a、9aから外部へ突出することなく、その内部に収められると共に、弾性を保有している。
【0034】
作動盤16、17は、好ましくは合成樹脂製のもので、図12図13に示したように、係止盤14、15の中に回転可能に収められ、その外周部より放射状に突設した複数の押圧部16a、16a、16a・17a、17a、17aを有し、その上部側の中央部に突出して設けた円盤状の工具装着部16b、17bには、例えばスパナなどを挿入する挿入穴16c、17cが設けられ、さらにその一側部から下方に向けて各係止盤14、15に設けた第2ガイド孔14g、15gと各取付用ケース部8、9に設けた第1ガイド孔8f、9fを貫通するストッパー片16e、17eが設けられている。さらに、その下部側には工具装着部16b、17bと軸心を共通にさせて各係止盤14、15に設けた軸受穴14b、15bに挿入される軸部16d、17dが設けられている。ストッパー片16e、17eは、その内部を空洞16g、17gに形成することにより、第1ガイド孔8f、9fと第2ガイド孔14g、15g内をスライドする際に突起部8i、9iに当接した際に一定の抵抗を示した上で、変形してその通過を許容するように構成されている。
【0035】
各キャップ18、19も、好ましくは合成樹脂製のもので、この実施例のものは、図3図6図10に示したように、略円盤状のもので、中心部軸方向に工具挿入用の軸受孔18a、19aが設けられると共に、各キャップ18、19には全部は図示されていないが、図示されたキャップ18、19を見比べれば解るように、その外周の一側からは、取付用ケース部8、9に設けた係止孔8b、9bに挿入係止される係止片18b、19b(一方のみ表示)が設けられ、さらにその外周には係止片18b、19bに対して約120度の間隔で、取付用ケース部8、9に設けた係止片8c、8c・9c、9cに係止される一対の係止凹部18c、18c・19c、19cが設けられている。
【0036】
尚、取付用ケース部8、9の底板8d、9dには、その中心部に軸受孔8e、9eが設けられている。また、係止盤14、15には、その底板14a、15aの中央に作動盤16、17の軸部16d、17dを収容する軸受穴14b、15bを設けたボス部14c、15cが設けられ、このボス部14c、15cは、取付用ケース部8、9の底板8d、9dに設けた軸受孔8e、9eへ挿入軸受されている。さらに、係止盤14、15の底板部14a、15a部の周辺部には、各係止片14e、14e、14e・15e、15e、15eの基部を挟んで、6個の切込み14i、15iが設けられている。
【0037】
各作動盤16、17の工具装着部16b、17bの部分と各キャップ18、19の軸受孔18a、19aの近辺には、それぞれ三角印g、hと丸印iが設けられている。各作動盤16、17は工具装着部16b、17bから下方に延びる軸部16d、17dを有し、工具装着部16b、17bをキャップ18、19の軸受孔18a、19aに軸受させ、軸部16d、17dの先端に設けた小径の軸支部16f、17fを係止盤14、15の軸受穴14b、15bに挿入軸受させることにより、その回転時に軸ブレのない安定した回転動作を行うことができるものである。
【0038】
さらに、係止盤14、15はそのボス部14c、15cを取付用ケース部8、9の軸受孔8e、9eに軸受させているので、拡径時に爪部14d、14d、14d・15d、15d、15dを均等に取付用ケース部8、9の外側へ各挿通孔8a、8a、8a・9a、9a、9aを介して突出させることができることから、取付状態が安定するという利点がある。
【0039】
次に、本発明に係るスライドヒンジ1の拡径手段12、13を各取付用ケース内8、9に組み付ける組付け手順について説明する。まず、図8に図示した各係止盤14、15をその底板部14a、15aの突出片14f、15fに設けた直線部14h、15hを、図12に示した各取付用ケース部8、9の収容凹部8g、9gの平坦部8h、9hの位置に合わせて当該収容凹部8g、9g内へ挿入させる。すると、底板部14a、15aに設けたボス部14c、15cが取付用ケース部8、9内に設けた軸受孔8e、9eに嵌まり込んだ状態で左右いずれの方向にも回転することはなく装着固定される。次いで、各作動盤16、17を係止盤14、15の各係止片14e、15eの中にその押圧部16a、17aが各係止片14e、15eの間に来るように、さらにストッパー片16e、17eが第2ガイド孔14g、15g内へ挿入されるようにして挿入させると、そのボス部が係止盤14、15に設けた軸受穴14b、15bに挿入されつつ収容される。次に、各キャップ18、19をその係止片18b、19bを係止孔8b、9bに係合させつつ、その軸受孔18a、19aを工具装着部16b、17bに合わせて下押しすると、係止凹部18c、18c・19c、19cが係止片8c、8c・9c、9cに係止された状態で取付用ケース部8、9へ装着される。これが、拡径手段12、13の組み付け手順である。この状態において、図12(a)、(b)に示したように、係止盤14、15の各爪部14d、14d、14d・15d、15d、15dが、取付用ケース部8、9に設けた挿通孔8a、8a、8a・9a、9a、9aから外側へ突出していないので、外観上すっきりとしたものになる上に、その取付時に連結用筐体5と取付用ケース部8、9を、実施例1のキャビネット2の扉体2bに設けた取付穴2cと連接穴2d、2eへの挿入が容易となるという利点がある。また、取付後においてスライドヒンジ1の連結用筐体5を扉体2bから取り外す場合には、作動盤16、17を反時計方向へ回転させると、係止盤14、15の各爪部14d、14d、14d・15d、15d、15dが自動的に取付用ケース部8、9の中へ各挿通孔8a、8a、8a・9a、9a、9aを介して引っ込むので、取付用ケース部8、9を連結用筐体5と共に取付孔2cや連接穴2d、2eより取り外すことが容易となる利点もある。
【0040】
各取付用ケース部8、9に対する、係止盤14、15と作動盤16、17とキャップ18、19の組み付けは、まず、係止盤14、15を各取付用ケース部8、9内にその第2ガイド孔14g、15gと第1ガイド孔8f、9fの位置を合わせて挿入させる。この際に、各爪部14d、14d、14d・15d、15d、15dが挿通孔8a、8a、8a・9a、9a、9aから外部へ突出しない程度に嵌入されるように構成したことから、その挿入位置が安定する。次いで、作動盤16、17のストッパー片16e、17eを互いに重なり合っている第2ガイド孔14g、15gと第1ガイド孔8f、9fの中へ挿入させてやり、その始端部側に位置させる。この状態で各押圧部16a、16a、16a・17a、17a、17aは、各爪部14d、14d、14d・15d、15d、15dの間に位置することになる。次いで、キャップ18、19を取付用ケース部8、9の上部に被せて上記したように係止させると組み付けが完了する。尚、この組立完了時には、各作動盤16、17の各工具装着部16b、17bに設けた三角印g、gは、キャップ18、19に設けた丸印i、iを指しているようにする。
【0041】
スライドヒンジ1のキャビネット2に対する取付時には、まず、スライドヒンジ本体3を、キャビネット本体2aへ取り付けてあるキャッチ11に対して、押し込むことにより、ワンタッチで取り付けることができる。もちろん、ここのところはスライドヒンジ本体3から図示してない公知構成の取付片を設け、この取付片を取付ネジで取り付けるようにしてもよい。次いで、扉体2bに設けた取付穴2cと連接穴2d、2eの中に連結用筐体5と取付手段6a、6bを構成する取付用ケース部8、9を挿入させる。この取付用ケース部8、9を連接穴2d或は2eに挿入した状態を断面図で示したものが図5である。
【0042】
その後で拡径手段12、13を構成する各作動盤16、17の工具装着部16b、17bに設けた挿入穴16c、17cへ順次スパナなどの工具を装着させて、時計方向へ各作動盤16、17を該作動盤16、17に設けた三角印gとキャップ18、19に設けた丸印i、iから三角印hの各先端が一致するまで回転させると、各押圧部16a、16a、16a・17a、17a、17aが係止盤14、15の各係止片14e、14e、14e・15e、15e、15eの爪部14d、14d、14d・15d、15d、15dを外側へ押し出すので、この爪部14d、14d、14d・15d、15d、15dが、各取付用ケース部8、9の各挿通孔8a、8a、8a・9a、9a、9aを介して外側に突出し、図13にその代表例を示したように、扉体2bの連接穴2d或は2eのハニカム構造の周壁に食い込むことにより、連結用筐体5が扉体2b側にしっかりと固定されるものである。
【0043】
尚、この作動盤16、17の回転操作時に、必要以上にこの各作動盤16、17が回転しないように、ストッパー手段20、21が設けられている。このストッパー手段20、21は、図6図9に示したように、作動盤16、17に設けられたストッパー片16e、17eと、このストッパー片16e、17eを嵌入させたところの各係止盤14、15に設けた第2ガイド孔14g、15g及び各取付用ケース部8、9に設けた第1ガイド孔8f、9fとで構成されており、ストッパー片16e、17eが第1ガイド孔8f、9fと第2ガイド孔14g、15gの始端部から終端部へ移動して停止させられると、押圧部16a、16a、16a・17a、17a、17aにより爪部14d、14d、14d・15d、15d、15dが最大限外側へ突出して、図13に示したように、連接穴2d、2eの周壁に食い込むことになる。回転させた作動盤16、17を元位置の戻す際にも動作して必要以上に戻らないように規制する。ストッパー片16e、17eが第1ガイド孔8f、9fと第2ガイド孔14g、15g内を移動する際には、第1ガイド孔8f、9fに設けた突起部8i、9iは、作動盤が左右いずれかの方向へ回転させられた際に、元位置に戻らないように規制するものであるが、ストッパー片16e、17eの移動を阻止するものではない。このことは前述した。
【0044】
また、ストッパー手段20、21は、作動盤16、17の押圧部16a、16a、16a・17a、17a、17aに、当該作動盤16、17が所定角度回転した時に係止片14e、14e、14e・15e、15e、15eに当接する位置に突起を設けることによって構成してもよい。このように構成すると、ストッパー手段の構成がより簡単になり、コストダウンを図ることができる。
【0045】
さらに、以上の説明では、取付手段6a、6bの構成を1例のみ示したが、取付手段6a、6bは、このものに限定されない。それは例えば、本願出願人の関連会社(加藤電機株式会社)の先願である、(特開2014-88755号公報)に挙げられた各実施例のものに応用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は以上のように構成したので、例えば段ボール製のハニカム構造の芯材を用いたボードを構成材料とする、一般家庭用、或はオフィス用の各種キャビネットに用いられるスライドヒンジ並びにこのスライドヒンジを用いたキャビネットとして好適に用いられるものである。
【符号の説明】
【0047】
1 スライドヒンジ
2 キャビネット
2a キャビネット本体
2b 扉体
2c 取付穴
3 スライドヒンジ本体
4a 第1連結片
4b 第2連結片
5 連結用筐体
5b 連結片収容溝部
5c 収容凹部
6a、6b 取付手段
7a 第1ヒンジピン
7b 第2ヒンジピン
7c 第3ヒンジピン
7d 第4ヒンジピン
8、9 取付用ケース部
8c、9c 係止片
8e、9e 軸受孔
8f、9f 第1ガイド孔
8g、9g 収容凹部
8i、9i 突起部
10 補強用枠体
12、13 拡径手段
14、15 係止盤
14d、15d 爪部
14e、15e 係止片
14g、15g 第2ガイド孔
16、17 作動盤
16a、17a 押圧部
16b、17b 工具装着部
16e、17e ストッパー片
18、19 キャップ
18a、19a 軸受孔
18b、19b 係止片
20、21 ストッパー手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13