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特許7244893カード保持具及びカード保持具付き運搬用容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】カード保持具及びカード保持具付き運搬用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/20 20060101AFI20230315BHJP
   B65D 6/18 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
B65D25/20 Y
B65D6/18 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018099349
(22)【出願日】2018-05-24
(65)【公開番号】P2019202807
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 義久
【審査官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3168375(JP,U)
【文献】特開2004-347808(JP,A)
【文献】実開昭61-101780(JP,U)
【文献】特開2000-272628(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0296183(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/20
B65D 6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬用容器に取り付けられるカード保持具であって、
前記運搬用容器の側面から突出した設置部に対向し、かつ、前記運搬用容器の前記側面に沿って延びる基部と、
前記基部から前記設置部とは反対側に向かって突出し、前記運搬用容器の前記側面側にカードを押さえる押さえ部とを備え、
前記基部は、
前記基部における前記運搬用容器の前記設置部側の面から突出し、前記運搬用容器の前記設置部に形成された一対の係止孔にそれぞれ係止可能な一対の係止部を有し、
前記押さえ部は、
前記運搬用容器の前記側面から突出した少なくとも三つの挿入部のそれぞれを挿入可能な少なくとも三つの挿入孔を、前記基部に対して前記設置部とは反対側に有し、
前記一対の係止部は、前記基部の長手方向の両端部側にそれぞれ形成され、かつ、前記長手方向において前記少なくとも三つの挿入孔よりも外側に位置し、
前記少なくとも三つの挿入孔は、前記押さえ部の下端部に形成されて前記基部の長手方向に間隔をあけて並んでおり、
前記基部の長手方向において、前記基部の端から当該端に最も近い前記係止部の中心までの長さが、前記端から当該端に最も近い前記挿入孔までの長さの1/2から1/3以下となる位置に前記係止部が形成される、
カード保持具。
【請求項2】
運搬用容器と、
前記運搬用容器に取り付けられるカード保持具とを具備し、
前記運搬用容器は、
前記運搬用容器の側面から突出した設置部と、
前記側面から突出した少なくとも三つの挿入部とを備え、
前記カード保持具は、
前記設置部に対向し、かつ、前記運搬用容器の前記側面に沿って延びる基部と、
前記基部から前記設置部とは反対側に向かって突出し、前記運搬用容器の前記側面側にカードを押さえる押さえ部とを備え、
前記設置部は、
前記基部側に向かって開口した一対の係止孔を有し、
前記基部は、
前記基部における前記設置部側の面から突出し、前記一対の係止孔にそれぞれ係止可能な一対の係止部を有し、
前記押さえ部は、
前記少なくとも三つの挿入部のそれぞれを挿入可能な少なくとも三つの挿入孔を、前記基部に対して前記設置部とは反対側に有し、
前記一対の係止部は、前記基部の長手方向の両端部側にそれぞれ形成され、かつ、前記長手方向において前記少なくとも三つの挿入孔よりも外側に位置し、
前記少なくとも三つの挿入孔は、前記押さえ部の下端部に形成されて前記基部の長手方向に間隔をあけて並んでおり、
前記基部の長手方向において、前記基部の端から当該端に最も近い前記係止部の中心までの長さが、前記端から当該端に最も近い前記挿入孔までの長さの1/2から1/3以下となる位置に前記係止部が形成され、
前記少なくとも三つの挿入部は、対応する前記少なくとも三つの挿入孔を通って前記押さえ部を貫通しており、前記少なくとも三つの挿入部の前端部は、前記押さえ部の前面から前方に突出している、
カード保持具付き運搬用容器。
【請求項3】
前記カードは、前記押さえ部によって、前記運搬用容器の前記側面に押さえられたとき、前記挿入部に載置されるように構成されている、
請求項2に記載のカード保持具付き運搬用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カード保持具及びカード保持具付き運搬用容器に関し、詳しくは、運搬用容器に取り付けられるカード保持具及びこれを備えたカード保持具付き運搬用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、運搬用容器に取り付けられ、その収納物の名称や属性、ロット番号、バーコード等の情報が表示されたカードを保持するカード差しが開示されている。このカード差しは、運搬用容器の側壁外面に形成された下フランジの上面に沿って配置される長手基板と、長手基板上に立設された前板及び背板を備えている。カードは前板と背板との間に挿入されて保持される。長手基板の下面における長手方向の中間部の二箇所には、一対の係合片が突設されている。長手基板は、フランジに形成された一対の透孔に一対の係合片を嵌入させ、長手基板の後側縁の上面に運搬用容器の側壁外面に形成された3つの突起を係合させることにより、フランジに固着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-206179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したカード差しの一対の係合片は、長手基板の下面における長手方向の中間部に形成される。このため、カードの取付時や、運搬用容器の折り畳み状態での段積みする際の運搬用容器をスライドさせた時等には、カード差しの前板が前方向にめくり上がり、長手基板の長手方向の端部がフランジから離れるように変形してめくれる可能性がある。この場合、透孔から係合片が抜け出て、カード差しが運搬用容器から外れるおそれがある。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、運搬用容器から外れ難いカード保持具及びこれを備えたカード保持具付き運搬用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るカード保持具は、運搬用容器に取り付けられるカード保持具であって、以下の構成を有する。前記カード保持具は、基部と押さえ部とを備える。前記基部は、前記運搬用容器の側面から突出した設置部に対向し、かつ、前記運搬用容器の前記側面に沿って延びる。前記押さえ部は、前記基部から前記設置部とは反対側に向かって突出し、前記運搬用容器の前記側面側にカードを押さえる。前記基部は、一対の係止部を有する。前記一対の係止部は、前記基部における前記運搬用容器の前記設置部側の面から突出し、前記運搬用容器の前記設置部に形成された一対の係止孔にそれぞれ係止可能である。前記押さえ部は、挿入孔を有する。前記挿入孔には、前記運搬用容器の前記側面から突出した挿入部を挿入可能である。前記一対の係止部は、前記基部の長手方向の両端部側にそれぞれ形成される。前記一対の係止部は、前記長手方向において前記挿入孔よりも外側に位置する。
【0007】
本開示の一態様に係るカード保持具付き運搬用容器は、運搬用容器とカード保持具とを具備する。前記カード保持具は、前記運搬用容器に取り付けられる。前記運搬用容器は、設置部と挿入部とを備える。前記設置部は、前記運搬用容器の側面から突出する。前記挿入部は、前記側面から突出する。前記カード保持具は、基部と押さえ部とを備える。前記基部は、前記設置部に対向し、かつ、前記運搬用容器の前記側面に沿って延びる。前記押さえ部は、前記基部から前記設置部とは反対側に向かって突出し、前記運搬用容器の前記側面側にカードを押さえる。前記設置部は、一対の係止孔を有する。前記一対の係止孔は、前記基部側に向かって開口する。前記基部は、一対の係止部を有する。前記一対の係止部は、前記基部における前記設置部側の面から突出し、前記一対の係止孔にそれぞれ係止可能である。前記押さえ部は、挿入孔を有する。前記挿入孔には、前記挿入部を挿入可能である。前記一対の係止部は、前記基部の長手方向の両端部側にそれぞれ形成される。前記一対の係止部は、前記長手方向において前記挿入孔よりも外側に位置する。
【発明の効果】
【0008】
上述した一態様に係るカード保持具及びカード保持具付き運搬用容器では、カード保持具を運搬用容器から外れ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1A図1Dは、本開示に係る一実施形態のカード保持具を示し、図1Aは正面図であり、図1Bは右側面図であり、図1Cは底面図であり、図1Dは背面図である。
図2図2Aは、図1AのA-A線断面図であり、図2B図1AのB-B線断面図である。
図3図3は、同上のカード保持具を具備したカード保持具付き運搬用容器の斜視図である。
図4図4は、同上のカード保持具付き運搬用容器の分解斜視図である。
図5図5A及び図5Bは、同上のカード保持具付き運搬用容器の要部を示し、図5Aは、図2Aに対応する断面図であり、図5Bは、図2Bに対応する断面図である。
図6図6は、同上のカード保持具付き運搬用容器を折り畳んだ状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)概要
図1A図1D図2A及び図2Bに示す本実施形態のカード保持具2は、例えば、図3に示すように、運搬用容器5に取り付けられて利用される。
【0011】
カード保持具2は、図4に示すように、基部3と、押さえ部4とを備えている。基部3は、運搬用容器5の側面から突出した設置部73に対向し、かつ、運搬用容器5の側面に沿って延びる(長く形成されている)。押さえ部4は、基部3から運搬用容器5の設置部73とは反対側に向かって突出し、運搬用容器5の側面側にカード8(図5A及び図5B参照)を押さえる。
【0012】
基部3は、一対の係止部30を有している。一対の係止部30の各々は、基部3における運搬用容器5の設置部73側の面から突出している。一対の係止部30は、運搬用容器5の設置部73に形成された一対の係止孔74にそれぞれ係止可能である。ここで、本開示における「係止」とは、係止部30が設置部73の対応する係止孔74の縁部に引っ掛かることを意味する。なお、カード保持具2が運搬用容器5へ取り付けられた状態における各係止部30は、設置部73の対応する係止孔74の縁部に接した状態であってもよいし、設置部73の対応する係止孔74の縁部との間にわずかな隙間を介して配置されてもよい。
【0013】
押さえ部4は、挿入孔41を有している。挿入孔41には、運搬用容器5の側面から突出した挿入部75(図4参照)を挿入可能である。一対の係止部30は、基部3の長手方向の両端部側にそれぞれ形成されている。また、一対の係止部30は、基部3の長手方向において、挿入孔41よりも外側に位置している。
【0014】
本実施形態のカード保持具2は、基部3の長手方向の両端部側に形成された一対の係止部30が、設置部73に形成された一対の係止孔74にそれぞれ係止されるため、基部3の長手方向の両端部側が運搬用容器5の側面から離れる方向に変形することが抑制される。このため、各係止部30は対応する係止孔74から外れ難くなり、カード保持具2が運搬用容器5から外れ難くなる。
【0015】
なお、本開示における「両端部側」とは、基部3の長手方向の両端部と、この両端部の近傍部分とを合わせた部分を意味する。すなわち、各係止部30は、カード保持具2が運搬用容器5に取り付けられた状態において、基部3の長手方向の両端部が変形することが抑制され、運搬用容器5から外れ難い状態になるのであれば、基部3の長手方向の両端部に形成されてもよいし、基部3の長手方向の両端部からやや内側の位置に形成されてもよい。
【0016】
(2)詳細
以下、添付図面に基づいて、カード保持具付き運搬用容器1について詳述する。図3に示すように、本実施形態のカード保持具付き運搬用容器1は、運搬用容器5と、カード保持具2とを具備している。
【0017】
本実施形態の運搬用容器5は、折り畳みコンテナであり、折り畳み可能な構造を有している。以下では、特に記載する場合を除き、図3に示すように運搬用容器5が箱状に組み立てられた状態におけるカード保持具付き運搬用容器1について説明する。
【0018】
本実施形態の運搬用容器5は、樹脂製であり、詳しくはポリプロピレンから形成されている。運搬用容器5の形状は、上方に開口した直方体箱状である。運搬用容器5は、底部6と、四方の側壁部7とを備えている。底部6及び四方の側壁部7の各々は、矩形板状に形成されている。各側壁部7の下端部を構成する一辺は、底部6の対応する辺に回転可能に連結されている。
【0019】
運搬用容器5は、四方の側壁部7として、対向する一対の第1側壁部71と、対向する一対の第2側壁部72とを備えている。一対の第1側壁部71は、底部6の一対の長辺にそれぞれ回転可能に連結されている。一対の第2側壁部72は、底部6の一対の短辺にそれぞれ回転可能に連結されている。
【0020】
運搬用容器5は、各側壁部7を底部6に対して回転させることで、図3に示すように箱状に組み立てたり、図6に示すように折り畳んだりすることができる。図3に示すように運搬用容器5が箱状に組み立てられたとき、各側壁部7は底部6から上方に向かって突出した起立姿勢となる。図6に示すように運搬用容器5が折り畳まれたとき、各側壁部7は、底部6上において横に倒れた姿勢となり、底部6と重なる。
【0021】
本実施形態の運搬用容器5は、折り畳まれたときに、底部6の上に一対の第1側壁部71が配置され、一対の第1側壁部71の上に一対の第2側壁部72が配置される。組み立てられた運搬用容器5は、各第1側壁部71を底部6の上に倒した後、各第2側壁部72を一対の第1側壁部71の上に倒すことで、折り畳むことができる。
【0022】
図3に示す運搬用容器5の各側壁部7の外面は、運搬用容器5の外側面を構成する。また、運搬用容器5の各側壁部7の内面は、運搬用容器5の内側面を構成する。本実施形態のカード保持具2は、第1側壁部71の外面(すなわち、運搬用容器5の外側面)に沿った状態で、第1側壁部71に取り付けられている。
【0023】
以下では、第1側壁部71の長手方向を左右方向とし、第1側壁部71からカード保持具2に向かう方向を前方、カード保持具2から第1側壁部71に向かう方向を後方として、カード保持具付き運搬用容器1の各構成について説明する。
【0024】
運搬用容器5の第1側壁部71は、カード保持具2を設置可能な設置部73を有している。設置部73は、第1側壁部71の外面(すなわち、運搬用容器5の外側面)から、外側方に向かって突出している。
【0025】
本実施形態の設置部73は、第1側壁部71の下端部に形成されたリブにより構成されている。設置部73は、第1側壁部71の外面(前面)に沿って左右方向(第1側壁部71の長手方向)に延びた水平な板状に形成されている。設置部73の長手方向は、左右方向である。設置部73は、第1側壁部71の長手方向の全長にわたっている。カード保持具2は、設置部73の左右方向の中央部の上に、設置されている。
【0026】
図4に示すように、設置部73は、カード保持具2の一対の係止部30をそれぞれ挿入可能な一対の係止孔74を有している。一対の係止孔74は、設置部73における左右方向(設置部73の長手方向)の中央部に形成されており、左右方向に間隔をあけて並んでいる。各係止孔74は、設置部73を上下方向(設置部73の厚み方向)に貫通しており、上方から見て矩形状に形成されている。
【0027】
運搬用容器5の第1側壁部71は、複数の挿入部75を更に有している。各挿入部75は、第1側壁部71の外面から外側方に向かって突出している。
【0028】
本実施形態の第1側壁部71は、複数の挿入部75として、三つの挿入部75を有している。複数の挿入部75は、第1側壁部71の下部に形成されており、設置部73の直上に位置している。複数の挿入部75は、設置部73の長手方向に間隔をあけて並んでいる。複数の挿入部75の全部は、左右方向において、一対の係止孔74の間に位置している。本実施形態の各挿入部75は、設置部73の上面に沿って延び、上方から見て矩形状の水平な板状に形成されている。各挿入部75は、その前端が設置部73の前端と前後方向において略同等となる位置まで延びている。なお、各挿入部75の前端は、前後方向において設置部73の前端と全く同じ位置に位置してもよいし、設置部73の前端よりも前方又は設置部73の前端よりも後方に位置してもよい。
【0029】
本実施形態のカード保持具2は、図5A及び図5Bに示すように、第1側壁部71の外面に沿って配置されたカード8を第1側壁部71とで挟み込んで保持する。カード8には、例えば、運搬用容器5に収容される内容物の情報が記される。
【0030】
本実施形態のカード保持具2は、合成樹脂製である。具体的にカード保持具2は、透明な樹脂で形成されており、ポリプロピレンから形成されている。カード保持具2で保持されたカード8は、カード保持具2の前方からカード保持具2を透かして視認することができる。
【0031】
カード保持具2は、設置部73に設置される基部3と、基部3から上方に向かって突出した押さえ部4とを備えている。
【0032】
基部3は、設置部73上に載せられて、設置部73の上面に沿って配置されている。本実施形態の基部3は、設置部73の上面に沿って左右方向に延びた水平な板状に形成されている。
【0033】
図4に示すように、基部3は、一対の係止部30を有している。一対の係止部30は、運搬用容器5の一対の係止孔74にそれぞれ一対一で対応し、各係止部30は、対応する係止孔74に係止されている。
【0034】
各係止部30は、基部3における左右方向(基部3の長手方向)の両端部に形成されている。各係止部30は、下方から見て、対応する係止孔74と合致する矩形状に形成されている。本実施形態の各係止部30は、図5Bに示すように、基部3の後部から下方に突出している。各係止部30は、対応する係止孔74に配置されて係止されている。これにより、基部3の前後方向及び左右方向の移動が規制されている。
【0035】
本実施形態の各係止部30は、側方から見て台形状に形成されている。各係止部30の前面31は、水平面に対して垂直であり、各係止部30の後面32は、上端に近い部分ほど後方に位置するように傾斜している。このため、各係止部30を対応する係止孔74に上方から挿入する際には、各係止部30が設置部73に沿ってスライドしたときの抵抗が小さくなり、各係止部30を対応する係止孔7に嵌めやすい。
【0036】
本実施形態の押さえ部4は、基部3の前端部から上方に突出しており、第1側壁部71の外面に沿って配置されている。押さえ部4は、第1側壁部71の外面に沿って配置されたカード8を後方(第1側壁部71側)に押す。これにより、カード8は、押さえ部4と第1側壁部71とで挟まれて、カード保持具2によって保持される。
【0037】
本実施形態の押さえ部4は、図1C及び図1Dに示すように、基部3の左右方向の全長にわたって形成されており、第1側壁部71の外面に沿った板状に形成されている。
【0038】
本実施形態の押さえ部4は、図4に示すように、根本部40と延出部42とを有している。根本部40は、基部3から上方に突出している。延出部42は、根本部40の上端から後斜め上方に延び出ている。
【0039】
根本部40は、複数の挿入孔41を有している。複数の挿入孔41は、運搬用容器5の複数の挿入部75とそれぞれ一対一で対応する。すなわち、本実施形態の押さえ部4は、複数の挿入孔41として、三つの挿入孔41を有している。複数の挿入孔41は、根本部40の下端部(押さえ部4の下端部)に形成されており、左右方向(基部3の長手方向)に間隔をあけて並んでいる。複数の挿入孔41は、根本部40における左右方向の両端部の間の部分に形成されている。複数の挿入孔41の全部は、左右方向において、一対の係止部30の間に位置している。すなわち、一対の係止部30は、左右方向において、複数の挿入孔41の外側に位置している。 本実施形態の各挿入孔41は、左右方向に延びた長孔であり、前後方向に見て、対応する挿入部75と合致する矩形状に形成されている。また、各挿入孔41の下縁は、基部3の上面と同レベルに位置している(図5A参照)。
【0040】
各挿入孔41には、図5Aに示すように、運搬用容器5の対応する挿入部75が配置されて係止されている。これにより、押さえ部4の下部の上下方向及び左右方向の移動が規制されている。本実施形態の各挿入部75は、対応する挿入孔41を通って押さえ部4を貫通しており、各挿入部75の前端部(先端部)は、押さえ部4の前面から前方に突出している。このため、各挿入孔41は、対応する挿入部75から抜け難い。
【0041】
本実施形態のカード保持具2は、押さえ部4から後方に突出した基部3の上面が、運搬用容器5の各挿入部75の下面に接した状態で、運搬用容器5に取り付けられており、複数の挿入部75は、基部3の上方への移動を規制している。
【0042】
図4に示すように、延出部42の厚みは、根本部40の厚みよりも小さい。また、延出部42の上部43には、上方及び前後方向に開放された切欠部45が形成されている。このため、延出部42は、根本部40と比較して弾性変形しやすい。
【0043】
本実施形態の延出部42の上部43は、延出部42の下部44の左右両側部分からそれぞれ上方に延び出た一対の片部46で構成されている。一対の片部46は、左右方向に離間している。上述した切欠部45は、一対の片部46の間に形成されている。
【0044】
一対の片部46は、根本部40よりも後方(第1側壁部71側)に位置している。カード保持具2が運搬用容器5に取り付けられた状態では、各片部46は、図5Bに示すように、第1側壁部71の外面にカード8を介して又は直接押し付けられる。
【0045】
各片部46は、延出部42の下部44から後ろ斜め上方に延び出た本体部47と、本体部47の上端部から前斜め上方に延び出た先端部48とを有している。本体部47と先端部48との接続部分は、側方から見てL字状に曲がった折曲部49となっている。
【0046】
押さえ部4は、各片部46の折曲部49がカード8の前面(第1側壁部71とは反対側の面)に接した状態で、カード8を後方に押す。すなわち、本実施形態のカード8は、一対の片部46の折曲部49と、第1側壁部71との間に挟まれて保持される。
【0047】
カード保持具2は、図5A及び図5Bに示すように、各挿入孔41に後方から運搬用容器5の対応する挿入部75を挿入しつつ、各係止部30を運搬用容器5の対応する係止孔74に上方から挿入して係止することで、運搬用容器5に取り付けられる。このとき、各係止部30が形成された基部3の左右方向の両端部は、上方向に弾性変形しながら、設置部73の上面に沿ってスライドし、これにより、各係止部30は、対応する係止孔74に上方から嵌め込まれる。
【0048】
このように運搬用容器5に取り付けられたカード保持具2は、図4に示す基部3の左右方向の両端部に形成された一対の係止部30が、運搬用容器5の一対の係止孔74にそれぞれ係止されるため、基部3の左右方向の両端部の変形が抑制される。加えて、一対の係止部30は、複数の挿入部75がそれぞれ挿入される複数の挿入孔41よりも、左右方向において外側に位置している。このため、カード8の取付時や、カード保持具付き運搬用容器1の折り畳み状態での段積みする際にカード保持具付き運搬用容器1をスライドさせた時等に、カード保持具2の押さえ部4が前方向にめくり上がって、各係止部30が対応する係止孔74から外れることが抑制され、この結果、カード保持具2が運搬用容器5から外れ難くなる。
【0049】
また、基部3は左右方向に延びた形状であるため、左右方向の両端部が上方向に移動するように弾性変形しやすい。このため、カード保持具2を運搬用容器5に取り付ける際には、基部3を弾性変形させて係止部30の位置を容易に変更することができる。したがって、カード保持具2を運搬用容器5に容易に取り付けることができる。
【0050】
ここで、図1Aに示すように、基部3の左右方向の端から当該端に近い係止部30の左右方向の中心までの左右方向の寸法をL1とし、かつ、前記端から当該端に最も近い挿入孔41までの左右方向の寸法をL2としたとき、各係止部30は、L1がL2の1/2以下となる位置に形成されることが好ましく、L1がL2の1/3以下となる位置に形成されることが好ましい。このようにすることで、各係止部30は、対応する係止孔74から一層外れ難くなる。また、一対の係止部30の左右方向の間隔は、基部3の左右方向の長さの8割以上であることが好ましい。
【0051】
また、カード8(図5A及び図5B参照)は、運搬用容器5に取り付けられたカード保持具2の押さえ部4と、これに対応する運搬用容器5の第1側壁部71との間に、上方又は側方から差し込まれることで、運搬用容器5に取り付けられる。
【0052】
本実施形態のカード保持具付き運搬用容器1は、適宜設計変更可能である。例えば、カード保持具2が有する挿入孔41の数は、限定されない。例えば、カード保持具2は、挿入孔41を四つ以上有してもよいし、挿入孔41を二つだけ、あるいは一つだけ有してもよい。
【0053】
また、カード保持具2は、ポリプロピレン以外の樹脂から形成されてもよいし、樹脂以外の材料から形成されてもよい。
【0054】
また、運搬用容器5の設置部73の形状は、上方から見て矩形状の水平な板状に限定されず、その他の形状であってもよい。
【0055】
また、運搬用容器5の各係止孔74は、設置部73の基部3側に向かって開口した有底の穴であってもよい。すなわち、各係止孔74は、少なくとも設置部73の基部3側に向かって開口した孔であればよい。
【0056】
また、カード保持具2の各挿入孔41は、第1側壁部71側に向かって開口した有底の穴であってもよい。すなわち、各挿入孔41は、少なくとも第1側壁部71側に向かって開口した孔であればよい。
【0057】
また、カード保持具2は、第1側壁部71の内面に沿った状態で、第1側壁部71に取り付けられてもよい。また、カード保持具2は、第2側壁部72の内面又は外面に沿った状態で、第2側壁部72に取り付けられてもよい。つまり、カード保持具2は、運搬用容器5の外側面又は内側面で構成される側面に沿った状態で、運搬用容器5に取り付けられればよい。カード保持具2が第2側壁部72に取り付けられる場合、一対の係止孔74を含む設置部73と、複数の挿入部75は、第2側壁部72に形成される。
【0058】
また、本実施形態のカード保持具2は、運搬用容器5に対して、押さえ部4を基部3から上方に突出した姿勢で取付けられるが、例えば、運搬用容器5の側面の上部から突出した水平な設置部に対して、カード保持具2全体を上下反転させた姿勢で取り付けられてもよい。また、カード保持具2は、例えば、運搬用容器5の側面の側端部から突出した水平に対して垂直な設置部に対して、カード保持具2全体を横向きにした姿勢で取付けられてもよい。
【0059】
また、運搬用容器5は、折り畳まれたときに、底部6の上に一対の第2側壁部72が配置され、一対の第2側壁部72の上に一対の第1側壁部71が配置されるように構成されてもよい。また、運搬用容器5の形状は限定されず、例えば、上方に開口した立方体箱状であってもよい。また、運搬用容器5は、ポリプロピレン以外の樹脂から形成されてもよいし、樹脂以外の材料から形成されてもよい。また、運搬用容器5は、折り畳みコンテナに限られず、例えば、折り畳み可能な構造を有さないコンテナであってもよい。
【0060】
(3)まとめ
以上説明した実施形態から明らかなように、第1の態様のカード保持具2は、運搬用容器5に取り付けられるカード保持具2であって、以下に示す構成を有する。カード保持具2は、基部3と押さえ部4とを備えている。基部3は、運搬用容器5の側面から突出した設置部73に対向し、かつ、運搬用容器5の側面に沿って延びている。押さえ部4は、基部3から設置部73とは反対側に向かって突出し、運搬用容器5の側面側にカード8を押さえる。基部3は、一対の係止部30を有している。一対の係止部30は、基部3における運搬用容器5の設置部73側の面から突出し、運搬用容器5の設置部73に形成された一対の係止孔74にそれぞれ係止可能である。押さえ部4は、挿入孔41を有している。挿入孔41には、運搬用容器5の側面から突出した挿入部75を挿入可能である。一対の係止部30は、基部3の長手方向の両端部側にそれぞれ形成され、かつ、基部3の長手方向において挿入孔41よりも外側に位置している。
【0061】
また、第2の態様のカード保持具付き運搬用容器1は、以下に示す構成を有する。カード保持具付き運搬用容器1は、運搬用容器5と、カード保持具2とを具備している。カード保持具2は、運搬用容器5に取り付けられる。運搬用容器5は、設置部73と挿入部75とを備えている。設置部73は、運搬用容器5の側面から突出している。挿入部75は、運搬用容器5の側面から突出している。カード保持具2は、基部3と押さえ部4とを備えている。基部3は、設置部73に対向し、かつ、運搬用容器5の側面に沿って延びている。押さえ部4は、基部3から設置部73とは反対側に向かって突出し、運搬用容器5の側面側にカード8を押さえる。設置部73は、一対の係止孔74を有している。一対の係止孔74は、基部3側に向かって開口している。基部3は、一対の係止部30を有している。一対の係止部30は、基部3における設置部73側の面から突出し、一対の係止孔74にそれぞれ係止可能である。押さえ部4は、挿入孔41を有している。挿入孔41には、挿入部75を挿入可能である。一対の係止部30は、基部3の長手方向の両端部側にそれぞれ形成され、かつ、基部3の長手方向において挿入孔41よりも外側に位置している。
【0062】
第1及び第2の態様によれば、基部3の長手方向の両端部側に形成された一対の係止部30が、設置部73に形成された一対の係止孔74にそれぞれ係止されるため、基部3の長手方向の両端部の変形が抑制される。このため、各係止部30は対応する係止孔74から外れ難くなり、カード保持具2が運搬用容器5から外れ難くなる。
【符号の説明】
【0063】
1 カード保持具付き運搬用容器
2 カード保持具
3 基部
30 係止部
4 押さえ部
41 挿入孔
5 運搬用容器
73 設置部
74 係止孔
75 挿入部
8 カード
図1
図2
図3
図4
図5
図6