(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】充填包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 1/46 20060101AFI20230315BHJP
B65B 3/28 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
B65B1/46
B65B3/28
(21)【出願番号】P 2019001891
(22)【出願日】2019-01-09
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390029090
【氏名又は名称】靜甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117190
【氏名又は名称】前野 房枝
(74)【代理人】
【識別番号】100081282
【氏名又は名称】中尾 俊輔
(74)【代理人】
【識別番号】100085084
【氏名又は名称】伊藤 高英
(72)【発明者】
【氏名】伊賀 久人
(72)【発明者】
【氏名】井柳 篤
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 剛亘
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-206299(JP,A)
【文献】特開2018-188192(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0045244(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 1/00
B65B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に対して
充填包装を行うための複数工程のうちの、充填物を充填する
充填作業工程と、
前記充填作業工程後の少なくとも1つの作業工程を、前記容器を搬送しながら実行す
る充填包装機であって、
搬送方向の上流に設けられた前記容器の受取位置から下流に設けられた前記容器の送り出し位置までの間に、前記充填作業工程を実行する充填エリアと
前記充填作業工程後の少なくとも1つの作業工程を実行する作業エリアを配した第1移動経路
において、前記容器を保持する容器保持部
が間欠移動
することにより前記容器を間欠搬送可能とされた第1容器搬送機構と、
前記充填エリアにおける前記第1移動経路と平面視で並設させた第2移動経路において前記容器を連続搬送可能とされた第2容器搬送機構と、
前記第1移動経路と前記第2移動経路との間で前記容器を受渡しする容器受渡機構と、
前記第2移動経路を移動する容器に
ノズルを介して充填物を充填可能な充填手段と、
を備え、
前記第1移動経路は、円筒軸状の第1回転体を回転中心として間欠回転可能に水平配置されたホイールの外周縁に形成されている前記容器保持部の周回経路であり、
前記第2移動経路は、前記第1移動経路の外側、かつ、前記第1移動経路と同心の円周上に形成されており、
前記第2容器搬送機構は、少なくとも充填中から充填完了までの容器とその充填物との重量を計測可能な計測手段を有し、
制御部は終始、前記計測手段の計測結果に基づいて充填を行う重量充填により充填量を調整して充填を行うように前記計測手段並びに前記充填手段を制御することを特徴とする充填包装機。
【請求項2】
前記第2容器搬送機構は、充填エリアにおいてボトルを吊下させて保持するボトル吊下手段を備え
ており、
前記計測手段は前記ボトル吊下手段に配設されており、
前記容器受渡
機構は、前記ボトル吊下手段と、前記ボトル吊下手段を水平に進退移動させるスライド手段ならびに前記ボトル吊下手段の高さ方向の位置を調整する
吊下手段昇降機構により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の充填包装機。
【請求項3】
前記制御部は、充填開始前に容器自体の重量を前記計測手段により計測し、その計測結果を反映させて所定の充填量を充填するように、前記計測手段並びに前記充填手段を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の充填包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に対して充填物を充填する作業工程と、その後に施蓋する等の充填包装の少なくとも1つの作業工程を実行するべく、充填対象の容器を間欠搬送する機構を備えた充填包装機であって、容器に対する充填物の充填を、容器に充填された充填物の重量の計測結果に基づいて行う重量充填により調整して完了させる充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体等の充填物を容器に充填する際に充填量のバラツキを無くすとともに、その充填時間を短縮することを目的として、まず、所定充填量の内の大部分を計量しないで粗充填することで充填時間を短縮し、その後、計量器で容器ごと計量して、その重量値と、定量充填量の充填物が充填された容器の所定重量値との差(不足重量)を足し増しする充填方法やそのための装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この従来の充填方法によると、粗充填の際の充填精度次第で不足重量の足し増し量に大きな差が生じるため、結局は不足重量の足し増しの為の時間を十分に確保する必要が生じ、充填時間の短縮の効果を得られないことがあった。
【0005】
また、移動と停止を繰り返す間欠搬送は、大きな加速度が間欠的に発生する。よって、液体充填の際には、液面が大きく揺れてしまうので正確な重量の計測が困難である。つまり、正確な重量の計測の為には液面の状態が安定するのを待つ必要があり、迅速な測量が叶わなかった。そして、搬送されている容器に対し、充填しながらその重量を計測する装置は提案されていなかった。
【0006】
さらに、この従来の方法は、容器自体の重量に差が無いことが前提となっており、例えば、個々の重量にバラツキがあることも想定される容器(例えば、硝子瓶)を用いる場合には、充填量にも差が生じることが懸念されていた。
【0007】
またさらに、従来より、間欠搬送される容器に対して時間充填による粗充填を行った後に、その搬送経路の最終領域の間欠搬送停止位置に配設された計測手段を用いた計測結果に基づいて、所定重量に至る残量を重量充填によって充填する充填包装機も知られている。しかしながら、この充填包装機によると、前記計測手段による計測時に、粗充填された充填物が秤を乱さないように落ち着くまで待つ時間が必要であった。また、充填包装機が複数の充填ヘッドを同時に作動させて複数の容器に対して同時に充填を行う構成のものである場合には、時間充填においては、各充填ヘッドの個体差を考慮すると、複数の充填ヘッドの内、最も充填速度の遅い充填ヘッドに合わせて充填を行う必要が生じ、その調整も簡単ではなかった。前記充填速度は充填物の粘度等によっても変化するため、特に、時間充填による粗充填の初期設定の調整は難しい。
【0008】
そして、搬送経路の最終領域の間欠搬送停止位置に配設された計測手段を用いて充填前に容器自体の重量を計測することが出来ず、容器自体の重量差を考慮することができなかった。勿論、搬送経路の最終領域の間欠搬送停止位置以外の停止位置にも計測手段を配設することは可能であるが、コストが掛かることは言うまでも無い。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、容器に対する充填物の充填を、充填エリアにおいて容器を搬送させながら容器に充填された充填物の重量を計測し、適正な充填量として充填を完了させることにより、充填時間を短縮し、充填量の精度を向上させることができる、構造と動作も簡便な充填包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するため、本発明の充填包装機は、容器に対して充填包装を行うための複数工程のうちの、充填物を充填する充填作業工程と、前記充填作業工程後の少なくとも1つの作業工程を、前記容器を搬送しながら実行する充填包装機であって、搬送方向の上流に設けられた前記容器の受取位置から下流に設けられた前記容器の送り出し位置までの間に、前記充填作業工程を実行する充填エリアと前記充填作業工程後の少なくとも1つの作業工程を実行する作業エリアを配した第1移動経路において、前記容器を保持する容器保持部が間欠移動することにより前記容器を間欠搬送可能とされた第1容器搬送機構と、前記充填エリアにおける前記第1移動経路と平面視で並設させた第2移動経路において前記容器を連続搬送可能とされた第2容器搬送機構と、前記第1移動経路と前記第2移動経路との間で前記容器を受渡しする容器受渡機構と、前記第2移動経路を移動する容器にノズルを介して充填物を充填可能な充填手段と、を備え、前記第1移動経路は、円筒軸状の第1回転体を回転中心として間欠回転可能に水平配置されたホイールの外周縁に形成されている前記容器保持部の周回経路であり、前記第2移動経路は、前記第1移動経路の外側、かつ、前記第1移動経路と同心の円周上に形成されており、前記第2容器搬送機構は、少なくとも充填中から充填完了までの容器とその充填物との重量を計測可能な計測手段を有し、制御部は終始、前記計測手段の計測結果に基づいて充填を行う重量充填により充填量を調整して充填を行うように前記計測手段並びに前記充填手段を制御することを特徴とする。
【0011】
本発明の充填包装機は、充填エリアにおいては、容器受渡手段により、容器を第1移動経路から第2移動経路へ受渡し、第2移動経路において第2容器搬送機構により連続搬送をしている間に充填を行ない、しかも、計測手段による計測によって充填を完了させ、充填完了後に容器受渡機構により、容器を第2移動経路から第1移動経路へ受渡し、その後、第1移動経路において第1容器搬送機構により充填済みの容器を次の作業エリアへ間欠搬送する。充填エリアの次の作業エリアとしては、例えば、間欠搬送による一時停止の間に封栓を行う封栓作業エリアや、製造年月日等を刻印するプリントエリアなどを想定することができる。
【0012】
このように、本発明の充填包装機によれば、充填包装機の全体としての容器搬送を間欠搬送で行う機構であっても、充填エリアにおいては連続搬送を行いながら測量することができるので、間欠搬送の加速度が充填物に影響することもなく、迅速に測量することができ、充填時間も短縮することができる。
【0013】
さらに、本発明の充填包装機によれば、前記第2容器搬送機構を前記計測手段と兼用することで、装置の構造と作動が簡便なものとなる。また、充填開始から充填終了まで充填量を計量しながら充填することが可能となるので、充填量のバラツキを無くし、極めて精度の良好な充填を行うことが可能となる。例えば、ネックグリップを備える容器搬送機構に吊り秤を採用することで、ネックグリッパに吊下する容器とその充填量の重量を計測することができる。
【0014】
そして、前記第2容器搬送機構は、充填エリアにおいてボトルを吊下させて保持するボトル吊下手段を備えており、前記計測手段は前記ボトル吊下手段に配設されており、前記容器受渡機構は、前記ボトル吊下手段と、前記ボトル吊下手段を水平に進退移動させるスライド手段ならびに前記ボトル吊下手段の高さ方向の位置を調整する吊下手段昇降機構により構成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の充填包装機によれば、前記容器搬送機構を前記容器受渡機構と兼用することで、装置の構造と作動が簡便なものとなる。
【0016】
そして、前記制御部は、充填開始前に容器自体の重量を前記計測手段により計測し、その計測結果を反映させて所定の充填量を充填するように、前記計測手段並びに前記充填手段を制御することを特徴とする。
【0017】
本発明の充填包装機によれば、個々の容器の重量にバラツキがあることが想定される場合であっても、その充填量に差が生じることなく、正しく充填することができる。
【発明の効果】
【0018】
このように、本発明の充填包装機によれば、構造や動作が簡便で、充填時間を短縮し、充填量の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態の包装充填機の要部構成と充填作業における動作(その1)を説明するための(1)は概略平面図(一部透過図)、(2)は(1)のA-A線による要部縦断面図。
【
図2】本発明の一実施形態の包装充填機の要部構成と充填作業における動作(その2)を説明するための(1)は概略平面図(一部透過図)、(2)は(1)のA-A線による要部縦断面図。
【
図3】本発明の一実施形態の包装充填機の要部構成と充填作業における動作(その3)を説明するための(1)は概略平面図(一部透過図)、(2)は(1)のA-A線による要部縦断面図。
【
図4】本発明の一実施形態の包装充填機の要部構成と充填作業における動作(その4)を説明するための(1)は概略平面図(一部透過図)、(2)は(1)のA’-A’線による要部縦断面図。
【
図5】本発明の一実施形態の包装充填機の要部構成と充填作業における動作(その5)を説明するための(1)は概略平面図(一部透過図)、(2)は(1)のA’-A’線による要部縦断面図。
【
図6】本発明の一実施形態の包装充填機の要部構成と充填作業における動作(その6)を説明するための(1)は概略平面図(一部透過図)、(2)は(1)のA-A線による要部縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1乃至
図6は、容器としてのボトルBに液体を充填し、キャップを巻締めする本実施形態の充填包装機1の一実施形態の構成と動作を説明するための図である。各図の(1)に示す概略平面図は、本実施形態の充填包装機における充填を行うための各種機構の位置やボトルBとの対応関係等を説明するために必要な部分を透過させて開示している。また各図の(2)に示す要部縦断面図は、充填エリアにおける充填作業時の本実施形態の充填包装機における充填を行うための各種機構やボトルBの位置を説明するものであり、他の作業エリアにおける図示説明は省略している。
【0021】
本実施形態の充填包装機1は、ボトルBを保持する容器保持部としてのポケット11が外周縁に複数個(本実施形態においては24個)形成された円形状のホイール12を水平配置し、このホイール12を間欠的に回転駆動させて容器保持部としてのポケット11を間欠移動させることによりボトルBを間欠搬送可能とされた第1容器搬送機構10を備えている。このホイール12のポケット11の周回経路は第1移動経路R1とされており、上流に配設された搬送手段102から供給されるボトルBを受取位置IPで受取り、下流に配設された搬送手段103へ送出し位置OPから送出すまでの間に、ボトルBに対する充填物の充填作業を行う充填エリア、充填状態の検査や検品を行う検査エリア、ボトルBに対してキャップを施す巻締めエリア等の作業エリアが配置されている。
【0022】
また、本実施形態の充填包装機1は、第1移動経路R1の充填エリアの外側に平面視において並設させてボトルBを連続搬送可能とされた第2容器搬送機構30と、第1移動経路R1と第2移動経路との間でボトルBを受渡しする容器受渡機構60とを備えており、この第2容器搬送機構30によってボトルBが搬送される経路は第2移動経路R2とされている。
【0023】
以下、詳説すると、本実施形態の充填包装機1は、円筒軸状の第1回転体13が、ステージ2から立設させた円筒状の支持部材3に軸挿されて支承されつつ、ステージ2内に配設された駆動源としての第1サーボモータ14により任意の速度並びに回転角度で平面視時計回り(正方向)へ間欠回転可能に配設されている。
【0024】
第1回転体13には、ステージ2の上方において水平配置される略円形状のホイール12が、その回転中心を接続させて固定されており、このホイール12の外周縁にはボトルBを保持する容器保持部として、ボトルBの外形に合わせた平面視円孤状の切欠きからなるポケット11が第1回転体13の中心から等寸法、かつ、隣位のポケット11間を等間隔に24個形成されている。また、ポケット11の周回経路は第1移動経路R1とされるが、ステージ2には、第1移動経路R1を搬送されるボトルBを下方から支えるとともに、ボトルBの底部を摺動させる円環状の搬送テーブル15が立設されている。
【0025】
ホイール12が固定された第1回転体13、第1サーボモータ14、搬送テーブル15等は、制御部(不図示)の制御によって第1サーボモータ14を間欠駆動させることにより、ホイール12を所定の速度並びに回転角度(24個のポケット11を備える本実施形態においては、15°づつ)で間欠的に回転させ、ポケット11を間欠移動させることにより、そのポケット11に保持されたボトルBを搬送テーブル15上で間欠搬送させる第1容器搬送機構10として作用する。
【0026】
また、本実施形態の充填包装機1は、軸状の第2回転体31が、円筒軸状の第1回転体13内に軸挿されて支承されつつ、ステージ2内に配設された駆動源としての第2サーボモータ32により任意の速度で任意の領域(本実施形態においては、第1移動経路R1の充填エリアに対応する領域)を正逆双方向へ連続回転可能に配設されている。
【0027】
第2回転体31には、充填エリアにおいてボトルBを吊下させて保持するボトル吊下手段33を支承するとともに、ボトル吊下手段33の高さ方向の位置を調整する吊下手段昇降機構34が設けられている。
【0028】
本実施形態において、吊下手段昇降機構34は、上下に対向配置された底板35と天板36との間に軸受を以て回転自在に鉛直状に配設された1本のねじ軸37と、ねじ軸37を回転させるモータ38と、ねじ軸37に対して第1回転体13の径方向の両側方に並行に配設された2本のガイド軸39と、ねじ軸37と2本のガイド軸39との間に基端を支持されて片持ち状に第1回転体13(および第2回転体31)の中心から放射方向へ水平に延出させて配設された支承部材40とを有している。
【0029】
支承部材40は平面視扇面状領域40aとその基部に連接された基部領域40bとを有する板状部材とされている。基部領域40bにはねじ軸37に螺合するナットを備えたハウジング41と、それぞれのガイド軸39を挿通させて配設されるガイド部42とを備えており、モータ38を駆動させてねじ軸37を回転させることにより、ねじ軸37に螺合するナットを備えたハウジング41がねじ軸37に沿って昇降することで、ガイド部42に補助されつつ昇降するように構成されている。
【0030】
本実施形態においては、充填エリアにおいては一度に6本のボトルBを対象として充填液の充填を行うように形成されている。よって、本実施形態においては、6組の充填を行うための各種機構が支承部材40の平面視扇面状領域40aに対し、第1移動経路R1を搬送される6本のボトルBにそれぞれ対応可能に第1回転体13(および第2回転体31)の中心から放射状に配列させて設けられている。
【0031】
さらに説明すると、本実施形態において、支承部材40の平面視扇面領域40aの中間部には、6組の充填を行うための各種機構のそれぞれのボトル吊下手段33が支承されている。
【0032】
各ボトル吊下手段33は、水平配置された一対のアーム45を開閉させることにより一対のアーム45間にボトルBの口頚部を配置させることでボトルBを吊り下げ可能とされたチャック46と、一対のアーム45を開閉させるアーム開閉用アクチュエータ(不図示)とを備えている。一対のアーム45の開口部は第1回転体13(および第2回転体31)の反中心方向へ向けて設けられている。そして、各ボトル吊下手段33は支承部材40に配置されたスライド用アクチュエータ(不図示)等を有するスライド手段48を介して、第1回転体13(および第2回転体31)の中心から放射方向へ水平に進退移動させるように形成されている。、
【0033】
さらに、本実施形態において、支承部材40の平面視扇面状領域40aにおける径方向端部には、6組の充填を行うための各種機構のそれぞれの充填手段49のノズル50の高さ方向の位置を調整するためのノズル昇降用アクチュエータ51を有するノズル昇降手段52が設けられている。ノズル50には、充填手段49の貯留液槽(不図示)に貯留されている充填液の流路となるチューブ53が連接されている。
【0034】
第2サーボモータ32により第2回転体31が第1移動経路R1の充填エリアに対応する領域を正逆双方向へ連続回転する際に、スライド手段48の前記スライド用アクチュエータを駆動させてボトル吊下手段33を進出させ、チャック46で吊り下げたボトルBをノズル50により充填可能な位置に進出させ、保持した状態で、当該ボトルBが移動する軌跡が第2移動経路R2となる。
【0035】
ボトルBを第1移動経路R1と第2移動経路R2との間で受渡しする容器受渡機構60を要するが、本実施形態においては、ボトルBを吊り下げるボトル吊下手段33と、このボトル吊下手段33を水平に進退移動させるスライド手段48ならびにボトル吊下手段33を支承するとともに、ボトル吊下手段33の高さ方向の位置を調整する吊下手段昇降機構34により、容器受渡機構60を構成する。
【0036】
このように、第2回転体31、第2サーボモータ32、支承部材40を有する吊下手段昇降機構34、支承部材40に設けられたボトル吊下手段33、スライド手段48、ノズル昇降手段52等は、制御部の制御によって第2サーボモータ32を正逆駆動させることにより、第2回転体31を所定の速度(変速させる場合も含む)で回動させ、吊下手段昇降機構34を正逆方向に回動させることにより、ボトル吊下手段33のチャック46により保持されたボトルBを、前記充填エリアにおいて、平面視で前記第1移動経路R1の外側に並設するように、前記第1移動経路R1と同心の円周上に設けられた第2移動経路R2において連続搬送可能とされた第2容器搬送機構30として作用する。
【0037】
そして、第2容器搬送機構30は、少なくとも充填中から充填完了までのボトルBとその充填物との重量を計測可能な計測手段55を有している。具体的には、本実施形態においては、ボトル吊下手段33には、計測手段55としてのデジタル式の吊り秤が配設されており、チャック46で吊り下げたボトルBの重量を計測し、そのデータを制御部へ送信可能とされ、制御部において、計測手段55の計測結果に基づいて充填を行う「重量充填」によって充填量を調整して充填を完了させるように計測手段55並びに充填手段49を制御する。
【0038】
また、本実施形態においては、ステージ2から立設された搬送ガイド壁57が、第1移動経路R1と第2移動経路R2との間を隔てる位置(上昇位置)と、開放する位置(下降位置)とをステージ2内に配設された駆動源としてのモータ58により進退可能に配設される。
【0039】
次に、本実施形態の容器充填機における動作と、その駆動制御(充填方法)について説明する。
【0040】
ホイール12のポケット11の周回経路となる第1移動経路R1は、前述のように、24個のポケット11が15°づつで間欠的に回転する。よって、第1移動経路R1上には15°づつ24箇所のポケット11の停止位置が設けられる。そして、
図1のように、6時方向の停止位置を第1停止位置とし、そこから時計回りに第24停止位置まで設けた場合、この第1停止位置は、上流に配置された搬送手段102から供給されるボトルBを受け取る受取位置IPであり第1移動経路R1における最上流となる。また、第24停止位置は、下流に配設された搬送手段103へのボトルBの受渡位置OPであり、第1移動経路R1における最下流となる。
【0041】
また、一度に6本のボトルBを対象として充填液の充填を行う本実施形態において、充填エリアは第3停止位置から第13停止位置までの間とされており、第2移動経路R2は平面視において第1移動経路R1の外周に沿って円弧状に設けられている。
【0042】
そして、図1乃至図6に示す本実施形態において、第17停止位置はキャップ供給機104が配設されたキャップ供給エリア、第19停止位置及び第20停止位置は巻締め装置105が配設された巻締めエリア、第22停止位置は検査装置106が配設された検査エリアとされている。
【0043】
受取位置IPから第1移動経路R1内へ供給された各ボトルBは、第1サーボモータ14の駆動により第1回転体13とともにホイール12が任意の速度で15°ずつ時計回りに間欠回転することにより、第1停止位置から1停止位置ずつ順に時計回りに移動する。
【0044】
制御部は、第2サーボモータ32の駆動を制御し、この度の充填対象の6本のボトルのうち最初のボトルB1が充填エリア内の第8停止位置に移動し、6番目のボトルB6が第3停止位置に移動したとき、6基の吊下手段昇降機構34が6基のボトル吊り下げ手段33を各々のボトルB1:B6に対応するように、第2回転体31を回転させておく。また、搬送ガイド壁57は、第1移動経路R1と第2移動経路R2との間を隔てる上昇位置に位置させておく(
図1参照)。
【0045】
そして、最初のボトルB1が充填エリア内の第8停止位置に移動し、6番目のボトルB6が第3停止位置に移動したことを契機に、制御部は、吊下手段昇降機構34のモータ38を駆動させてねじ軸37を回転させ、支承部材40をねじ軸37とガイド部42に沿わせて下降させることで、ボトルBの口頚部を保持可能に一対のアーム45間を開放させたボトル吊下手段33のチャック46を、第3停止位置乃至第8停止位置に停止しているボトルB1:B6の口頚部の高さ位置に位置させるとともに、搬送ガイド壁57を第1移動経路R1と第2移動経路R2との間を開放する下降位置に位置させる(
図2参照)。
【0046】
続いて、制御部は、一対のアーム45を開閉させる前記アーム開閉用アクチュエータを駆動させ、一対のアーム45間を閉じてチャック46でボトルBの口頚部を保持し、さらに、スライド手段48の前記スライド用アクチュエータを駆動させ、それぞれのボトルB1:B6を保持したボトル吊下手段33を第2回転体31の中心から放射方向へ前進させるとともに、吊下手段昇降機構34のモータ38を駆動させてねじ軸37を回転させ、支承部材40をねじ軸37とガイド部42に沿わせて上昇させ、ボトルB1:B6を第2移動経路R2上に吊下させる。また、搬送ガイド壁57は第1移動経路R1と第2移動経路R2との間を隔てる上昇位置に位置させる。
【0047】
このように、吊下されたボトルB1:B6が第2移動経路R2に受け渡され、吊下された段階で、制御部は、第1サーボモータ14を駆動させ、第1回転体13とともにホイール12を任意の速度で15°ずつ時計回りに間欠回転させる。このとき、ホイール12のボトルB1:B6が保持されていたポケット11も第1移動経路R1上を間欠移動し、ボトルB6の次位には次の充填に供される6本のボトルBのうちの先頭のボトルB1’が受取位置IPから第1移動経路R1内へ供給される(ボトルBの供給はその後も順次続く)。
【0048】
そして、ボトルB1が保持されていたポケット11が充填エリア内の第13停止位置に移動し、6番目のボトルB6が保持されていたポケット11が第8停止位置に間欠移動するまでの5停止位置を移動する間に、第2移動経路R2においては、連続搬送されるボトルB1:B6に対して充填液の充填を行う。
【0049】
すなわち、制御部は、支承部材40の端部に設けられたノズル昇降手段52のノズル昇降用アクチュエータ51を駆動させ、当該充填包装機1の近傍に設けた充填手段49の貯留液槽(不図示)に貯留されている充填液を供給するチューブ53が連結されたノズル50を、その待機位置から下降させてボトルB1:B6内に挿入し、充填手段49の供給弁(不図示)の開閉を制御して充填を行う(
図3参照)。
【0050】
その際、本実施形態においては、制御部は、ボトル吊下手段33に設けられた計測手段55の吊り秤により計測した各ボトルB1の重量のデータに基づき、充填手段49を制御して重量充填を行う。このように、連続搬送を行いながら充填量の計測を行い、充填をする本実施形態の充填によれば、ボトルBを間欠搬送する際の加速度が充填物に影響することもなく、迅速に測量することができ、充填時間も短縮することができる。
【0051】
充填の制御は、ボトルB等の風袋の重量と所定の充填量の総重量を計測してその充填を制御してもよいし、各ボトルBを吊下した段階でそれぞれの風袋の重量を計測し、各ボトルBに対し、必ず同量の充填液の充填が実行されるように制御してもよい。後者の充填方法によれば、個々のボトルBの重量にバラツキがあることが想定される場合であっても、その充填量に差が生じることなく、正しく充填することができる。
【0052】
また、制御部は、第2移動経路R2において、まずは「時間充填」による粗充填により、所定の充填量に少し足りない量を充填してしまい、その後に、残量を計測手段55の計測結果に基づく重量充填による調整充填を行うように、計測手段55並びに充填手段49を制御してもよい。
【0053】
この充填方法によれば、最初に目的重量よりも少し少ない分を粗充填する際の充填に要する時間を短縮し、残量の充填に必要十分な時間をかけて重量充填による調整充填を行うことができるので、充填量の精度を向上させることができる。
【0054】
本実施形態においては、制御部は、ノズル昇降用アクチュエータ51を駆動させ、充填済み量に応じて、ボトルB1:B6内に挿入されたノズル50を上昇させ、充填完了後には、ボトルB1:B6内から抜いて待機位置へ戻す制御を行う。また、充填完了時には、搬送ガイド壁57を第1移動経路R1と第2移動経路R2との間を開放する下降位置に位置させる(
図4参照)。なお、搬送ガイド壁57は、第1移動経路R1のアウターガイドとして機能する。
【0055】
各ボトルB1:B6は、第1移動経路R1の充填エリア内の第13停止位置乃至第8停止位置に対応する第2移動経路R2の位置へ移動するまでの間に充填を完了させる。各ボトルB1:B6が、第1移動経路R1の充填エリア内の第13停止位置乃至第8停止位置に対応する第2移動経路R2の位置へ移動したとき、第1移動経路R1においては、ボトルB1が保持されていたポケット11が充填エリア内の第13停止位置に移動し、6番目のボトルB6が保持されていたポケット11が第8停止位置に間欠移動している。よって、制御部は、スライド手段48のスライド用アクチュエータを駆動させ、それぞれのボトルB1:B6を保持したボトル吊下手段33を第2回転体31の中心方向へ後退させるとともに、吊下手段昇降機構34のモータ38を駆動させてねじ軸37を回転させ、支承部材40をねじ軸37とガイド部42に沿わせて下降させ、ボトルB1:B6をぞれぞれ第1移動経路R1上に間欠搬送された元のポケット11に戻す(
図5参照)。
【0056】
なお、充填が完了した各ボトルB1:B6は、第1サーボモータ14の駆動により第1回転体13とともにホイール12が任意の速度で15°ずつ時計回りに間欠回転することにより第1移動経路R1上を移動し、第17停止位置においてはキャップ供給装置104により各ボトルBの口部にキャップが一次的に被せられ、第19停止位置、第20停止位置においては巻締め装置105によりキャップを巻締めされ、第22停止位置においては、検査装置106により最終的な検品がされた後、第24停止位置において下流に配設された搬送手段103の送出し位置OPへ排出される。
【0057】
また、充填が完了したボトルB1:B6をぞれぞれ第1移動経路R1上に間欠搬送された元のポケット11に戻したあと、制御部は、第2サーボモータ32の駆動を制御し、6基の吊下手段昇降機構34が、再び、第1移動経路R1における第8停止位置から第3停止位置に搬送され、次の充填対象の6本のボトルB1’:B6’を保持可能に、第2回転体31を逆回転させ、搬送ガイド壁57を第1移動経路R1と第2移動経路R2との間を隔てる上昇位置に位置させて、元に戻す(
図6、
図1参照)。
【0058】
このように構成された本実施形態の充填包装機11によれば、構造や動作が簡便で、充填時間を短縮し、充填量の精度を向上させることができる。
【0059】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できる。
【0060】
例えば、第2移動経路R2の位置は、本実施形態のように第1移動経路R1の外周上方に限らず、例えば、第1移動経路R1の水平方向であってもよい。また、ボトルBの搬送を行う第1移動経路R1、第2移動経路R2は本実施形態のように円状、円孤状に形成されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 充填包装機
2 ステージ
3 支持部材
10 第1容器搬送機構
11 容器保持部(ポケット)
12 ホイール
13 第1回転体
14 第1サーボモータ
15 搬送テーブル
30 第2容器搬送機構
31 第2回転体
32 第2サーボモータ
33 ボトル吊下手段
34 吊下手段昇降機構
35 底板
36 天板
37 ねじ軸
38 モータ
39 ガイド軸
40 支承部材
41 ハウジング
42 ガイド部
45 アーム
46 チャック
48 スライド手段
49 充填手段
50 ノズル
51 ノズル昇降用アクチュエータ
52 ノスル昇降手段
53 チューブ
55 計測手段
57 搬送ガイド壁
60 容器受渡機構
102 搬送手段
103 搬送手段
105 巻締め装置
106 検査装置
B ボトル
R1 第1移動経路
R2 第2移動経路
IP 受取位置
OP 送出し位置