(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】多軸ヒンジ装置、並びにこの多軸ヒンジ装置を用いた電子機器
(51)【国際特許分類】
F16C 11/04 20060101AFI20230315BHJP
H04M 1/02 20060101ALI20230315BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
F16C11/04 F
H04M1/02 C
G06F1/16 312F
(21)【出願番号】P 2019031634
(22)【出願日】2019-02-25
【審査請求日】2022-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】513014628
【氏名又は名称】株式会社ナチュラレーザ・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】河村 英治
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-526866(JP,A)
【文献】国際公開第2018/090888(WO,A1)
【文献】特開2017-203524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/00-11/12
H04M 1/02-1/23
G06F 1/00,1/16-1/18
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と第2筐体の両表面に跨ってフレキシブルディスプレイシートを取り付けて成る電子機器の、前記フレキシブルディスプレイシートの下側に設けられ、前記第1筐体と前記第2筐体を互いに開閉可能に連結する多軸ヒンジ装置であって、
フレキシブルディスプレイシートの支持面を有して前記第1筐体の後端部側に固定される第1スライダと、
前記第1スライダの下側に設けられ、前記第1スライダを前端部側へスライド可能に支持する第1開閉部材と、
フレキシブルディスプレイシートの支持面を有して前記第2筐体の後端部側に固定される第2スライダと、
前記第2スライダの下側に設けられ、前記第2スライダを前端部側へスライド可能に支持する第2開閉部材と、
複数本のヒンジシャフトと、前記ヒンジシャフトを2本ずつ連結して設けられ、従動ギアを両端に有して旋回運動を直列に伝達する複数の旋回ギアと、を有し、前記第1開閉部材と前記第2開閉部材との間に前記フレキシブルディスプレイシートを曲げる空間を形成して前記第1開閉部材と前記第2開閉部材とを開閉可能に連結する連結機構と、を有し、
前記連結機構は、
前記第1開閉部材と前記第2開閉部材を閉じる動作に連動して前記第1スライダ及び前記第2スライダをそれぞれ前端部側へスライドさせるスライド駆動機構と、
前記第1開閉部材と前記第2開閉部材の開閉動作における前記第1開閉部材と前記第2開閉部材の旋回運動を連動させる連動手段と、
前記第1開閉部材と前記第2開閉部材の開閉動作における前記旋回ギアの旋回運動に伴って摩擦抵抗を発生するフリクション手段と、
前記第1開閉部材と前記第2開閉部材を開く動作における最大角度を規制する規制手段と、を有し、
前記スライド駆動機構は、
駆動ギアを有して前記第1開閉部材に設けられ、前記第1開閉部材の旋回運動を前記旋回ギアに伝達する第1ブラケットと、
駆動ギアを有して前記第2開閉部材に設けられ、前記第2開閉部材の旋回運動を前記旋回ギアに伝達する第2ブラケットと、
前記第1開閉部材に設けられ、前記第2ブラケットから複数の前記旋回ギアを直列に伝達された旋回運動を入力される第1入力ギアと、
前記第1入力ギアの回転量を増幅して前記第1スライダのスライドに変換する第1増幅手段と、
前記第2開閉部材に設けられ、前記第1ブラケッ
トから複数の前記旋回ギアを直列に伝達された旋回運動を入力される第2入力ギアと、
前記第2入力ギアの回転量を増幅して前記第2スライダのスライドに変換する第2増幅手段と、を有することを特徴とする、
多軸ヒンジ装置。
【請求項2】
前記第1増幅手段は、前記第1入力ギアに駆動されて回動し、その回動端側を前記第1スライダに連結された第1レバー部材を有し、
前記第2増幅手段は、前記第2入力ギアに駆動されて回動し、その回動端側を前記第2スライダに連結された第2レバー部材を有することを特徴とする、
請求項
1に記載の多軸ヒンジ装置。
【請求項3】
前記連動手段及び前記フリクション手段は、
前記第1開閉部材の旋回運動を前記第2開閉部材へ向かって直列に伝達する前記旋回ギアの第1伝達列と、
前記第1伝達列とは半ピッチずらせて前記旋回ギアを配列して前記第1伝達列に重ね合わせ、前記第2開閉部材の旋回運動を前記旋回ギアにより前記第1開閉部材へ向かって直列に伝達する第2伝達列と、
前記複数のヒンジシャフトに設けられ、前記第1伝達列と前記第2伝達列の前記旋回ギアの重ね合わせを加圧する加圧部と、を有することを特徴とする
請求項
1に記載の多軸ヒンジ装置。
【請求項4】
前記加圧部は、前記第1ブラケットに挿入される前記ヒンジシャフトと前記第2ブラケットに挿入される前記ヒンジシャフトとを含む1つおきのヒンジシャフトに設けられ、
前記1つおきのヒンジシャフトの間に位置するヒンジシャフトには、加圧を伴わない抜け止め処理が行われた非加圧部を設けていることを特徴とする、
請求項
3に記載の多軸ヒンジ装置。
【請求項5】
前記規制手段は、前記旋回ギア及び前記第1ブラケット及び第2ブラケットにおける前記従動ギア及び前記駆動ギアの形成範囲により前記第1開閉部材及び前記第2開閉部材の旋回運動を規制することを特徴とする、
請求項
1に記載の多軸ヒンジ装置。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の多軸ヒンジ装置を用いたことを特徴とする、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1筐体と第2筐体の両表面に渡って、例えば有機EL製のフレキシブルディスプレイシートを取り付けて成る、例えば携帯電話機、電子手帳、PDA、ネットブック、さらにはノートパソコンなどの電子機器に用いて好適な多軸ヒンジ装置、並びにこの多軸ヒンジ装置を用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、第1筐体と第2筐体の両表面に渡って1枚の有機EL製のフレキシブルディスプレイシートを取り付けて成る電子機器、例えば携帯電話機が開発され、世の中に出回りつつある。このような電子機器の第1筐体と第2筐体を互いに開閉可能に連結するヒンジ装置として、2本のヒンジピンを用いた電子機器が下記特許文献1において知られている。この公知の電子機器は、第1筐体と第2筐体を閉じた際にはフレキシブルディスプレイシートが折れてしまったり、故障してしまったりしないように一定の曲率半径を保つことができるように構成されると共に、第1筐体と第2筐体を最大角度まで開いた際にフレキシブルディスプレイシートを前端部側へ強く引っ張らないように構成されている。具体的には、筐体を入れ子状にスライド可能に形成してばね機構を設けることにより、フレキシブルディスプレイシートの伸縮や張力を吸収している。
【0003】
また、3本のヒンジピンを用いた多軸ヒンジ装置が下記特許文献2において知られている。この公知の多軸ヒンジ装置は、第1開閉部材と第2開閉部材とをギア式の連結機構により開閉可能に連結している。このギア式の連結機構は、3本のヒンジシャフトを2本ずつ互い違いに連結して旋回運動を直列に伝達する旋回ギアを用いて、第1開閉部材と第2開閉部材の開閉に伴う第1開閉部材と第2開閉部材の旋回運動を連動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2016/080239号公報
【文献】特開平2017-203524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の電子機器は、筐体を入れ子状にスライド可能に形成してばね機構を設けているため、筐体の厚みが大きくなり、筐体に対する電子回路等の実装の妨げとなる。本発明は、上記問題点を解決しようとするもので、その課題は、1枚のフレキシブルディスプレイシートを取り付けた第1筐体と第2筐体を開閉可能に連結する多軸ヒンジ装置の中に、第1筐体と第2筐体を閉じる動作に連動してフレキシブルディスプレイシートを曲げる空間Xを前端部側へ拡張し、第1筐体と第2筐体を開く動作に連動してフレキシブルディスプレイシートが支持面に支持されない中央領域を縮小させるスライド駆動機構を設けることである。そして、これと同時に、第1筐体と第2筐体を開く動作の最大角度を規制し、第1筐体と第2筐体の開閉動作を連動させ、さらに第1筐体と第2筐体をフリーストップに形成して開閉動作に快適な手応えを付与する必要があるという技術的要請を、より簡単な構成で実現できる操作性の良い多軸ヒンジ装置を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために請求項1に記載の多軸ヒンジ装置は、第1筐体と第2筐体の両表面に跨ってフレキシブルディスプレイシートを取り付けて成る電子機器の、前記フレキシブルディスプレイシートの下側に設けられ、前記第1筐体と前記第2筐体を互いに開閉可能に連結する多軸ヒンジ装置であって、フレキシブルディスプレイシートの支持面を有して前記第1筐体の後端部側に固定される第1スライダと、前記第1スライダの下側に設けられ、前記第1スライダを前端部側へスライド可能に支持する第1開閉部材と、フレキシブルディスプレイシートの支持面を有して前記第2筐体の後端部側に固定される第2スライダと、前記第2スライダの下側に設けられ、前記第2スライダを前端部側へスライド可能に支持する第2開閉部材と、複数本のヒンジシャフトと、前記ヒンジシャフトを2本ずつ連結して設けられ、従動ギアを両端に有して旋回運動を直列に伝達する複数の旋回ギアと、を有し、前記第1開閉部材と前記第2開閉部材との間に前記フレキシブルディスプレイシートを曲げる空間を形成して前記第1開閉部材と前記第2開閉部材とを開閉可能に連結する連結機構と、を有し、前記連結機構は、前記第1開閉部材と前記第2開閉部材を閉じる動作に連動して前記第1スライダ及び前記第2スライダをそれぞれ前端部側へスライドさせるスライド駆動機構と、前記第1開閉部材と前記第2開閉部材の開閉動作における前記第1開閉部材と前記第2開閉部材の旋回運動を連動させる連動手段と、前記第1開閉部材と前記第2開閉部材の開閉動作における前記旋回ギアの旋回運動に伴って摩擦抵抗を発生するフリクション手段と、前記第1開閉部材と前記第2開閉部材を開く動作における最大角度を規制する規制手段と、を有し、前記スライド駆動機構は、駆動ギアを有して前記第1開閉部材に設けられ、前記第1開閉部材の旋回運動を前記旋回ギアに伝達する第1ブラケットと、駆動ギアを有して前記第2開閉部材に設けられ、前記第2開閉部材の旋回運動を前記旋回ギアに伝達する第2ブラケットと、前記第1開閉部材に設けられ、前記第2ブラケットから複数の前記旋回ギアを直列に伝達された旋回運動を入力される第1入力ギアと、前記第1入力ギアの回転量を増幅して前記第1スライダのスライドに変換する第1増幅手段と、前記第2開閉部材に設けられ、前記第1ブラケットから複数の前記旋回ギアを直列に伝達された旋回運動を入力される第2入力ギアと、前記第2入力ギアの回転量を増幅して前記第2スライダのスライドに変換する第2増幅手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
さらに、請求項2に記載の発明では、前記第1増幅手段は、前記第1入力ギアに駆動されて回動し、その回動端側を前記第1スライダに連結された第1レバー部材を有し、前記第2増幅手段は、前記第2入力ギアに駆動されて回動し、その回動端側を前記第2スライダに連結された第2レバー部材を有することを特徴とする。
【0009】
さらに、請求項3に記載の発明では、前記連動手段及び前記フリクション手段は、前記第1開閉部材の旋回運動を前記第2開閉部材へ向かって直列に伝達する前記旋回ギアの第1伝達列と、前記第1伝達列とは半ピッチずらせて前記旋回ギアを配列して前記第1伝達列に重ね合わせ、前記第2開閉部材10の旋回運動を前記旋回ギアにより前記第1開閉部材へ向かって直列に伝達する第2伝達列と、前記複数のヒンジシャフトに設けられ、前記第1伝達列と前記第2伝達列の前記旋回ギアの重ね合わせを加圧する加圧部と、を有することを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項4に記載の発明では、前記加圧部は、前記第1ブラケットに挿入される前記ヒンジシャフトと前記第2ブラケットに挿入される前記ヒンジシャフトとを含む1つおきのヒンジシャフトに設けられ、前記1つおきのヒンジシャフトの間に位置するヒンジシャフトには、加圧を伴わない抜け止め処理が行われた非加圧部を設けていることを特徴とする。
【0011】
さらに、請求項5に記載の発明では、前記規制手段は、前記旋回ギア及び前記第1ブラケット及び第2ブラケットにおける前記従動ギア及び前記駆動ギアの形成範囲により前記第1開閉部材及び前記第2開閉部材の旋回運動を規制することを特徴とする。
【0012】
さらに、請求項6に記載の電子機器は、請求項1~5のいずれか1項に記載の多軸ヒンジ装置を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1のように構成すると、1枚のフレキシブルディスプレイシートを取り付けた第1筐体と第2筐体を開閉可能に連結する多軸ヒンジ装置の内部に、第1筐体と第2筐体を閉じる動作に連動して第1筐体と第2筐体を前端部側へ移動させると共に、第1筐体と第2筐体を開く動作に連動して第1筐体と第2筐体を後端部側へ移動させるスライド駆動機構を設けることができる。そして、これと同時に、第1筐体と第2筐体を開く動作の最大角度を規制し、第1筐体と第2筐体の開閉動作を連動させ、さらには第1筐体と第2筐体をフリーストップに形成して開閉動作に快適な手応えを付与する必要があるという技術的要請を、より簡単な構成で実現できる操作性の良い多軸ヒンジ装置を提供することができる。
【0014】
すなわち、スライド駆動機構は、第1開閉部材と第2開閉部材を閉じる動作に連動して第1スライダ及び第2スライダを前端部側へスライドさせることにより、第1開閉部材と第2開閉部材とが対向するフレキシブルディスプレイシートを曲げる空間を前端部側へ拡張する。そして、スライド駆動機構は、第1開閉部材と第2開閉部材を開く動作に連動して第1スライダ及び第2スライダを後端部側へスライドさせることにより、第1スライダ及び第2スライダがフレキシブルディスプレイシートの下面を支持できない中央領域を縮小させる。
【0015】
そして、これと同時に、連結機構は、旋回ギアの上面が内側に形成する包絡面によってフレキシブルディスプレイシートの曲げ部を外側から保持して曲げ部に所定の曲率半径を確保させることができる。このため、第1筐体と第2筐体を閉じた際には、フレキシブルディスプレイシートが折れてしまったり、故障してしまったりしないようにフレキシブルディスプレイシートに一定の曲率半径を保たせることができる。
【0016】
また、規制手段は、連結機構による第1開閉部材と第2開閉部材の旋回可能な範囲を制限して、第1筐体と第2筐体を開く動作の最大角度を規制する。
【0017】
また、連動手段は、連結機構による第1開閉部材と第2開閉部材の開閉を連動させることにより、第1筐体と第2筐体の開閉動作を連動させる。
【0018】
また、フリクション手段は、連結機構による第1開閉部材と第2開閉部材の開閉をフリーストップにすることにより、第1筐体と第2筐体の開閉過程をフリーストップにして開閉動作に快適な手応えを付与することができる。
【0019】
そして、これらの構成により、上述した技術的要請を、より簡単な構成で実現できる操作性の良い多軸ヒンジ装置を提供することができる。第1筐体又は第2筐体には、特許文献1のように、筐体を入れ子状にスライド可能に形成してばね機構を設ける必要が無くなる。第1筐体及び第2筐体の厚みが薄くて済むようになり、第1筐体及び第2筐体に対する電子回路等の実装も容易になる。
【0020】
さらに、請求項1のように構成すると、連結機構とスライド駆動機構とで部品を共有して、少ない部品点数で多軸ヒンジ装置を構成することができる。具体的には、第2ブラケットから複数の旋回ギアを直列に伝達された旋回運動を第1ブラケット側で拾い上げて第1開閉部材に対する第1スライダのスライドを駆動すると共に、第1ブラケットから複数の旋回ギアを直列に伝達された旋回運動を第2ブラケット側で拾い上げて第2開閉部材に対する第2スライダのスライドを駆動することができる。
【0021】
また、スライド駆動機構は、それぞれ複数の旋回ギアを直列に伝達されて入力ギアへ入力された回転量を増幅手段により増幅して第1スライダ及び第2スライダをスライドさせる。このため、入力ギアへ入力される回転量が少なくても、回転量の増幅率を変更することにより、第1スライダ及び第2スライダに適正なスライド量を確保することができる。
【0022】
さらに、請求項2のように構成すると、入力ギアへ入力された回転量を増幅して第1スライダ及び第2スライダをスライドさせる機構を少ない部品点数で実現すると共に、第1レバー部材及び第2レバー部材の長さを変更することで回転量の増幅における増幅率の調整が容易である。
【0023】
さらに、請求項3のように構成すると、連結機構と連動手段とフリクション手段とで部品を共有して、少ない部品点数で多軸ヒンジ装置を構成することができる。具体的には、旋回ギアの第1伝達列と旋回ギアの第2伝達列とを旋回ギアが互い違いになるように重ねてフリクション手段により摩擦抵抗を付与することにより連動手段を構成することができる。
【0024】
さらに、請求項4のように構成すると、1つおきのヒンジシャフトの間に位置するヒンジシャフトにおいて前後の旋回ギアの従動ギアの負荷が平均化されるので、1個の旋回ギアへ負荷が集中することが回避される。
【0025】
さらに、請求項5のように構成すると、連結機構と規制手段とで部品を共有して、少ない部品点数で多軸ヒンジ装置を構成することができる。
【0026】
さらに、請求項6のように電子機器を構成すると、連結機構、スライド駆動機構、フリクション手段、連動手段を内蔵した多軸ヒンジ装置によって第1筐体と第2筐体とを連結するので、第1筐体及び第2筐体は、筐体を入れ子状態でスライド可能にしてばね機構を設ける必要が無い。このため、第1筐体及び第2筐体の厚みが薄くて済み、第1筐体及び第2筐体に対する電子回路等の実装が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係る多軸ヒンジ装置を用いたフレキシブルディスプレイシートを有する電子機器を示し、(a)は第1筐体と第2筐体を閉じてみた斜視図、(b)は第1筐体と第2筐体を開いてみた斜視図である。
【
図2】
図1に示した電子機器を開いた状態でフレキシブルディスプレイシートと保護シートを取り外してみた一部分解斜視図である。
【
図3】
図1に示した電子機器を側面方向から見た多軸ヒンジ装置の開閉状態の説明図である。(a)は閉じ状態、(b)は開き状態である。
【
図4】
図1に示した電子機器に搭載された多軸ヒンジ装置の全体の斜視図である。
【
図5】
図4に示した多軸ヒンジ装置の分解斜視図である。
【
図6】
図4に示した多軸ヒンジ装置における連結機構の構成を説明する斜視図であり、(a)はその主要部を示し、(b)は残った部分を示している。
【
図7】
図4に示した多軸ヒンジ装置におけるスライド駆動機構の動作を説明する説明図である。(a)は第1開閉部材と第2開閉部材を閉じてみた側面図、(b)は第1開閉部材と第2開閉部材を開いてみた側面図である。
【
図8】
図4に示した多軸ヒンジ装置における加圧部と非加圧部の構成を説明する説明図である。(a)は拡大した側面図、(b)は拡大した平面図である。
【
図9】
図4に示した多軸ヒンジ装置における第1開閉部材を示し、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は(a)のA-A断面図である。
【
図10】
図4に示した多軸ヒンジ装置における第2開閉部材を示し、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は(a)のB-B断面図である。
【
図11】
図4に示した多軸ヒンジ装置における旋回ギアを示し、(a)は斜視図、(b)は軸線方向から見た平面図である。
【
図12】
図4に示した多軸ヒンジ装置における旋回ダミーの斜視図である。
【
図13】
図4に示した多軸ヒンジ装置におけるスペーサを示し、(a)は軸線方向から見た平面図、(b)は断面図である。
【
図14】
図4に示した多軸ヒンジ装置における第1スライダ及び第2スライダを示し、(a)は斜視図、(b)は底面図である。
【
図15】
図4に示した多軸ヒンジ装置におけるスライドガイドを示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図である。
【
図16】
図4に示した多軸ヒンジ装置におけるスプリングワッシャを示し、(a)は軸線方向から見た平面図、(b)は断面図である。
【
図17】
図4に示した多軸ヒンジ装置における第1入力ギア及び第2入力ギアを示し、(a)は軸線方向から見た平面図、(b)は正面図である。
【
図18】
図4に示した多軸ヒンジ装置における中継ギアを示し、(a)は軸線方向から見た底面図、(b)は正面図である。
【
図19】
図4に示した多軸ヒンジ装置におけるメインギアを示し、(a)は軸線方向から見た平面図、(b)は正面図である。
【
図20】
図4に示した多軸ヒンジ装置における第1レバー部材及び第2レバー部材を示し、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【
図21】
図4に示した多軸ヒンジ装置におけるサブギアを示し、(a)は軸線方向から見た平面図、(b)は正面図である。
【
図22】
図4に示した多軸ヒンジ装置におけるギアスライダを示し、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【
図23】
図4に示した多軸ヒンジ装置におけるスライド駆動機構の動作の説明図である。(a)は部分的な平面図、(b)は(a)の部分的な断面図である。
【
図24】
図4に示した多軸ヒンジ装置におけるスライド駆動機構の動作の説明図である。(a)は部分的な平面図、(b)は(a)の部分的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明に係る多軸ヒンジ装置と、この多軸ヒンジ装置を用いた電子機器の一例としての携帯電話機を例に挙げて説明する。しかし、本発明に係る多軸ヒンジ装置は、携帯電話機だけに用いられるものではなく、上記したように、電子手帳、PDA、ネットブック、さらにはノートパソコンなどのように、表面に1枚のフレキシブルディスプレイシートを取り付けた第1筐体と第2筐体を互いに開閉可能に連結する構成の電子機器に広く用いることができるものである。
【実施例1】
【0029】
図1~
図3は、本発明に係る多軸ヒンジ装置を用いた携帯電話機を概略的に示す。尚、図中、第1筐体2と第2筐体3が開かれる側をそれぞれの前端部側とし、多軸ヒンジ装置6で連結される側をそれぞれの後端部側とする。また、それぞれの前端部側から見て左右の方向を左側部と右側部といい、上下の方向を上部側と下部側とする。
【0030】
図2に示すように、本発明に係る電子機器(携帯電話機)1は、第1筐体2及び第2筐体3と、これらの第1筐体2と第2筐体3の上部側の表面に跨ってフレキシブルな保護シート4を介して取り付けたところの、例えば有機EL製のフレキシブルディスプレイシート5と、第1筐体2と第2筐体3の各後端部側を連結する一対の多軸ヒンジ装置6、6とで構成されている。この一対の多軸ヒンジ装置6、6は、同一のものであって、とくに
図2に示したように、樹脂シートからなる保護シート4の下側(フレキシブルディスプレイシート5及びゴムシート5aの下側)において、第1筐体2と第2筐体3を開閉可能に連結している。
【0031】
図2に示すように、第1筐体2の後端部側と第2筐体3の後端部側とを連絡して多軸ヒンジ装置6、6の下側にフレキシブルなカバープレート7が取り付けられている。カバープレート7は、例えば複数の平行な細長い板部材の間をゴムで蛇腹状に連結して直線状-U字状の変形を可能にした部材である。カバーシート7は、2つの多軸ヒンジ装置6、6と両者の中間スペースの下側を覆って、開閉される多軸ヒンジ装置6の外側の周面に沿って伸縮することにより、第1筐体2と第2筐体3の開閉に追従する。カバープレート7は、多軸ヒンジ装置6の機構を外部環境から保護しつつ、外側から内部の機構が見えないように工夫されている。また、多軸ヒンジ装置6の左右の方向の両外側に位置する右側部と左側部とに、取付部6b、6cをそれぞれ覆ってフレキシブルなサイドカバー8、8が取り付けられている。サイドカバー8、8は、中央で伸縮を伴って折れ曲がることにより、第1筐体2と第2筐体3を閉じる動作に追従する。サイドカバー8、8は、第1筐体2と第2筐体3を開いた状態で多軸ヒンジ装置6の取付部6b、6cを覆って外部環境から保護しつつ、外側から内部の機構が見えないように工夫されている。
【0032】
図3では、カバープレート7を図示略している。
図3(a)に示すように、多軸ヒンジ装置6は、第1開閉部材9と第2開閉部材10を閉じる動作に連動して第1スライダ13及び第2スライダ14を前端部側へスライドさせることにより、第1開閉部材9と第2開閉部材10とが対向するフレキシブルディスプレイシート5を曲げる空間Xを前端部側へ拡張する。そして、第1開閉部材9と第2開閉部材10を開く動作に連動して第1スライダ13及び第2スライダ14を後端部側へスライドさせることにより、第1スライダ13及び第2スライダ14がフレキシブルディスプレイシート5の下面を支持できない中央領域Yを縮小させる。
【0033】
また、多軸ヒンジ装置6は、後述する旋回ギア21の上面が内側に形成する包絡面によってフレキシブルディスプレイシート5、ゴムシート5a、及び保護シート4の積層体の折り返し部分に形成される滴型の湾曲を外側から保持して湾曲に所定の曲率半径を確保させることができる。このため、第1筐体2と第2筐体3を閉じた際に、フレキシブルディスプレイシート5が折れてしまったり、皺ができてしまったり、故障してしまったりしない一定の曲率半径を確保できる。
【0034】
図4~
図22に示し、また、本願特許請求の範囲の請求項1に記載されているように、本発明に係る多軸ヒンジ装置6は、第1筐体2と第2筐体3の両表面に跨ってフレキシブルディスプレイシート5を取り付けて成る電子機器1の、フレキシブルディスプレイシート5の下側に設けられ、第1筐体2と第2筐体3を互いに開閉可能に連結する。多軸ヒンジ装置6は、フレキシブルディスプレイシート5の支持面6dを有して第1筐体2の後端部側に固定される第1スライダ13と、第1スライダ13の下側に設けられ、第1スライダ13を前端部側へスライド可能に支持する第1開閉部材9と、フレキシブルディスプレイシート5の支持面6eを有して第2筐体3の後端部側に固定される第2スライダ14と、第2スライダ14の下側に設けられ、第2スライダ14を前端部側へスライド可能に支持する第2開閉部材10と、複数本のヒンジシャフト11A、11B、11C、11D、12A、12B、12Cと、ヒンジシャフト11A、11B、11C、11D、12A、12B、12Cを2本ずつ連結して設けられ、従動ギア21gを両端に有して旋回運動を直列に伝達する複数の旋回ギア21と、を有し、第1開閉部材9と第2開閉部材10との間にフレキシブルディスプレイシート5を曲げる空間Xを形成して第1開閉部材9と第2開閉部材10とを開閉可能に連結する連結機構20と、を有する。この連結機構20は、第1開閉部材9と第2開閉部材10を閉じる動作に連動して第1スライダ13及び第2スライダ14をそれぞれ前端部側へスライドさせるスライド駆動機構30、40と、第1開閉部材9と第2開閉部材10の開閉動作における第1開閉部材9と第2開閉部材10の旋回運動を連動させる連動手段25と、第1開閉部材9と第2開閉部材10の開閉動作における旋回ギア21の旋回運動に伴って摩擦抵抗を発生するフリクション手段50と、第1開閉部材9と前記第2開閉部材10を開く動作における最大角度を規制する規制手段60と、を有する。
【0035】
本発明に係る多軸ヒンジ装置6は、上記のように構成されるので、1枚のフレキシブルディスプレイシート5を取り付けた第1筐体2と第2筐体3を開閉可能に連結する多軸ヒンジ装置6の内部に、第1筐体2と第2筐体3を閉じる動作に連動して第1筐体2と第2筐体3を前端部側へ移動させると共に、第1筐体2と第2筐体3を開く動作に連動して第1筐体2と第2筐体3を後端部側へ移動させるスライド駆動機構30、40を設けることができる。そして、これと同時に、第1筐体2と第2筐体3を開く動作の最大角度を規制し、第1筐体2と第2筐体3の開閉動作を連動させ、さらには第1筐体2と第2筐体3をフリーストップに形成して開閉動作に快適な手応えを付与する必要があるという技術的要請を、より簡単な構成で実現できる操作性の良い多軸ヒンジ装置を提供することができる。
【0036】
次に、上述した多軸ヒンジ装置6の各構成部材についてさらに詳しく説明する。
図4、
図5に示すように、多軸ヒンジ装置6は、第1スライダ13の下側に配置された第1開閉部材9の後端部側と第2スライダ14の下側に配置された第2開閉部材10の後端部側とを、開閉に伴って自在に湾曲するキャタピラ状の連結機構20によって連結している。
【0037】
連結機構20は、旋回ギア21、旋回ダミー22、及びスペーサ23を
図6に示すように千鳥模様状に互い違いに配列して、旋回ギア21のシャフト孔21c同士、旋回ギア21のシャフト孔21cと第1ブラケット17のシャフト孔17c、旋回ギア21のシャフト孔21cと第2ブラケット18のシャフト孔18cとをそれぞれ
図6に示すように位置決めして、7本のヒンジシャフト11A、11B、11C、11D、12A、12B、12Cを挿通させて一体に連結している。
【0038】
図9に示すように、第1開閉部材9は、6個の第1ブラケット17を後端部側へ向かって突出させている。6個の第1ブラケット17は、それぞれ一対の摩擦面17bとシャフト孔17cとを有し、駆動ギア17gが形成されている。
図10に示すように、第2開閉部材10は、6個の第2ブラケット18を後端部側へ向かって突出させている。6個の第2ブラケット18は、それぞれ一対の摩擦面18bとシャフト孔18cとを有し、駆動ギア18gが形成されている。
図11に示すように、旋回ギア21は、両端に従動ギア21gを形成された長円柱状の外観を持ち、一対の摩擦面21bと一対のシャフト孔21cとを有する。旋回ギア21は、
図7に示すように両端の従動ギア21gを相互に噛み合わせて、旋回ギア21の旋回を隣接する旋回ギア21へ直列に伝達する。
図12に示すように、旋回ダミー22は、旋回ギア21から従動ギア21gを除いた長円柱状の外観を持ち、一対の摩擦面22bと一対のシャフト孔22cとを有する。
図13に示すように、スペーサ23は、円柱状の外観を持ち、一対の摩擦面23bと一対のシャフト孔22cとを有する。
図4、
図6に示すように、旋回ダミー22及びスペーサ23は、隣接する部材に旋回運動を伝達することなく連結機構20の内側に包絡面を形成する。旋回ダミー22及びスペーサ23は、シャフト孔22c、23cを貫通する方向に加圧される旋回ギア21の間隔を埋めるスペーサとして使用される。
【0039】
図5に示すように、連結機構20は、4本のヒンジシャフト11A、11B、11C、11Dの両端部に取り付けられた加圧部51A、51B、51C、51Dを締め付けることにより軸線方向に加圧されている。加圧部51A、51B、51C、51Dは、第1ブラケット17、第2ブラケット18、旋回ギア21、旋回ダミー22、スペーサ23の重なりを加圧して、重なり合う摩擦面17b、21b、22b、23b、18bの間にフリクションを発生させる。ヒンジシャフト11A、11B、11C、11Dは、シャフト部11aの両端部に雄ネジ11bが形成されている。
図8に示すように、加圧部51D(51A、51B、51C)は、一対のワッシャ55の間に4個のスプリングワッシャ54を挟み込んで八角ナット53を雄ネジ11bに取り付けてトルクレンチで締め付けることにより一様な加圧力に調整されている。なお、八角ナット53を用いた理由はスペース的な課題に対処するためであって、六角ナットに置き換えてもよい。
【0040】
一方、ヒンジシャフト11A、11B、11C、11Dの間に位置するヒンジシャフト12A、12B、12Cの両端は、非加圧部52A、52B、52Cによって非加圧のまま抜け止め処理されている。ヒンジシャフト12A、12B、12Cは、シャフト部12aの両端部にはリング溝12bが形成されている。
図8に示すように、非加圧部52C(52A、52B)は、一対のワッシャ55に重ねてリング溝12bにEリング56を装着することにより非加圧に組み立てられている。このため、非加圧部52C(52A、52B)に位置する摩擦面21b、22b、23bではフリクションがほとんど発生しない。これは、連結機構20の全体としての湾曲の柔軟性と対称性を高めるためである。後述するように、加圧部51A、51B、51C、51Dと非加圧部52A、52B、52Cはフリクション手段50を構成している。
【0041】
図6に示すように、連結機構20は、第1開閉部材9と第2開閉部材10の開閉に伴う旋回運動を連動させる連動手段25を内蔵している。連動手段25は、連結機構20による第1開閉部材9と第2開閉部材10の開閉を連動させることにより、第1筐体2と第2筐体3の開閉動作を連動させる。連動手段25は、第1開閉部材9の旋回運動を第2開閉部材10へ向かって直列に伝達する第1伝達列25aと、第2開閉部材10の旋回運動を第1開閉部材9へ向かって直列に伝達する第2伝達列25bとを軸線方向に交互に配置している。第1伝達列25aと第2伝達列25bを交互に配置した3つのグループの間に旋回ダミー22、及びスペーサ23が千鳥模様状に互い違いに配置されている。
【0042】
多軸ヒンジ装置6では、第1伝達列25aと第2伝達列25bとを軸線方向に交互に重ねることで、第1伝達列25aの旋回ギア21と第2伝達列25bの旋回ギア21とが互い違い重なっている。このため、第1開閉部材9と第2開閉部材10の開閉動作に伴って、重なる摩擦面21b、21bの間で相対回転が発生し、相対回転に伴ってフリクションが発生する。
【0043】
第1伝達列25aでは、第1開閉部材9の旋回運動が第1ブラケット17から旋回ギア21に伝達され、第2開閉部材10へ向かって3個の旋回ギア21を直列に伝達される。しかし、第1伝達列25aの最終の旋回ギア21と第2開閉部材10の間は空転状態に組み立てられて旋回運動が伝達されない。同様に、第2伝達列25bでは、第2開閉部材10の旋回運動が第2ブラケット18から旋回ギア21に伝達され、第1開閉部材9へ向かって3個の旋回ギア21を直列に伝達される。しかし、第2伝達列25bの最終の旋回ギア21と第2開閉部材10の間は空転状態に組み立てられて旋回運動が伝達されない。これは、多軸ヒンジ装置6では、連結機構20全体の湾曲過程を制御するために旋回ギア21による旋回運動の伝達を行っており、反対側の開閉部材まで駆動力を伝達する必要が無いからである。また、反対側の開閉部材へ旋回運動を伝達しないことで、従動ギア21gの歯面の負荷が軽減されて耐久性が向上するからである。
【0044】
しかし、このような旋回運動の伝達の例外として、第3伝達列25c、25dが設けられている。第3伝達列25c、25dでは、反対側の開閉部材まで駆動力を伝達する必要がある。
図7に示すように、第3伝達列25cでは、第1開閉部材9から3個の旋回ギア21を介して第2開閉部材10へ伝達された旋回運動を駆動力としてスライド駆動機構40を作動させる。同様にして、第3伝達列25dでは、第2開閉部材10から3個の旋回ギア21を介して第1開閉部材9へ伝達された旋回運動を駆動力としてスライド駆動機構30を作動させる。
【0045】
図3(a)、(b)に示すように、第1スライダ13は、第1開閉部材9に対してスライド可能であって、第1開閉部材9と第2開閉部材10の開閉に連動して第1開閉部材9の前端部側又は後端部側へスライドする。第2スライダ14は、第2開閉部材10に対してスライド可能であって、第1開閉部材9と第2開閉部材10の開閉に連動して第2開閉部材10の前端部側又は後端部側へスライドする。多軸ヒンジ装置6は、第1開閉部材9と第2開閉部材10を閉じる動作に連動して第1スライダ13及び第2スライダ14をそれぞれ前端部側へスライドさせて、第1開閉部材9と第2開閉部材10とが対向して形成されるフレキシブルディスプレイシート5を曲げる空間Xを前端部側へ拡張する。そして、多軸ヒンジ装置6は、第1開閉部材9と第2開閉部材10を開く動作に連動して第1スライダ13及び第2スライダ14を後端部側へスライドさせて、第1スライダ13及び第2スライダ14がフレキシブルディスプレイシート5の下面を支持できない中央領域Yを縮小させる。
【0046】
図14(a)に示すように、第1スライダ13の長手方向の両端部には、第1筐体2に対する取付部6bが形成され、
図14(b)に示すように、第1スライダ13(第2スライダ14)の長手方向に対向する内壁面には、一対の凹所13a、13a(14a、14a)が形成されている。
図15(a)に示すように、スライドガイド15の凸部15aが形成された反対側の面には、ガイド溝15bが形成されている。
図14(b)に破線で示すように、スライドガイド15は、凸部15aを凹所13a(14a)に圧入して第1スライダ13(第2スライダ14)に固定される。第1スライダ13(第2スライダ14)に取り付けられた一対のスライドガイド15の対向するガイド溝15bは、
図9(
図10)に示す第1開閉部材9(第2開閉部材10)のガイド突起9b、9b(10a、10b)をスライド可能に保持する。このため、第1スライダ13(第2スライダ14)は、第1開閉部材9(第2開閉部材10)の前端部側及び後端部側へスライド可能である。
【0047】
図5、
図17~
図22に示すように、入力ギア42(32)及び中継ギア43(33)は、ピン42a、43a(32a、33a)を入力ギア42(32)の軸孔42b、43b(32b、33b)に挿通させて第2ブラケット18(第1ブラケット17)のピン孔42c、43c(32c、33c)に圧入することにより、第2開閉部材10(第1開閉部材9)に対して回転自在に設けられている。メインギア44(34)は、ピン44a(34a)をメインギア44(34)の軸孔44b(34d)に挿通させて、第2開閉部材10(第1開閉部材9)のピン孔44d(34d)に圧入することにより、第2開閉部材10(第1開閉部材9)に対して回転自在に設けられている。
【0048】
第2レバー部材45の回動中心側の端部は、扁平な開口44c(34c)にメインギア44(34)の底面の扁平な環状凸部44e(34e)を圧入してメインギア44(34)に回転止め固定されている。サブギア46(36)は、ピン46a(36a)をサブギア46(36)の軸孔46b(36b)に挿通させて第2レバー部材45(35)の回動端側のピン孔46c(36c)に圧入することにより、第2レバー部材45(第1レバー部材35)に対して回転自在に設けられている。ピン46a(36a)を第2スライダ14(第1スライダ13)の天井の駆動孔46d(36d)に保持させることにより、第2レバー部材45(第1レバー部材35)の回動端が第2スライダ14(第1スライダ13)に連結されている。入力ギア42(32)と中継ギア43(33)は、平ギア42g、43g(32g、33g)を噛み合わせて回転を伝達する。中継ギア43(33)とメインギア44(34)は、傘ギア43h、44h(33h、34h)を噛み合わせて回転を伝達する。
【0049】
ギアスライダ47(37)は、ねじ47a(37a)をギアスライダ47(37)のねじ孔47b(37b)に挿通させてギアスライダ47(37)の雌ねじ47c(37c)に締め付けることにより第2開閉部材10(第1開閉部材9)の底面に固定されている。ギアスライダ47(37)は、サブギア46(36)と平ギア46g、47g(36g、37g)を噛み合わせて、サブギア46(36)を回転させつつ第2レバー部材45(第1レバー部材35)の回動に伴って回動する。ギアスライダ47(37)とサブギア46(36)は、サブギア46(36)と平ギア46g、47g(36g、37g)を噛み合わせて先端に負荷がかかるピン46a(36a)の支持剛性を高めている。
【0050】
図4に示すように、スライド駆動機構40が設けられた第3伝達列25cは、第1開閉部材9の旋回運動を第2開閉部材10へ向かって直列に伝達する第2伝達列25bのうちの1つである。ここでは、スライド駆動機構40が設けられた第3伝達列25cの動作を説明して、スライド駆動機構30が設けられた第3伝達列25dに関する重複した説明を省略する。
図4に示すように、第3伝達列25dは、第3伝達列25cと回転対称に設けられ、第2開閉部材10の旋回運動を第1開閉部材9へ向かって直列に伝達する第1伝達列25aのうちの1つである。第3伝達列25dは、第2開閉部材10の旋回運動に駆動されて第1開閉部材9側でスライド駆動機構30を作動させることにより、第1スライダ13をスライドさせる。
【0051】
図7に示すように、スライド駆動機構40は、第2伝達列25bを伝達された第1開閉部材10の旋回運動に駆動されて第2開閉部材10側でスライド駆動機構40を作動させる。入力ギア42は、第1ブラケット17から3個の旋回ギア21を直列に伝達された第1開閉部材10の旋回運動を入力される。中継ギア43は、傘ギア43h、44hの噛み合わせによって入力ギア42の回転をメインギア44に伝達してメインギア44を第2開閉部材10の平面内で回転させる。第2増幅手段41は、第2レバー部材45を用いて、入力ギア42の回転量を増幅して
図23、
図24に示すように、第2スライダ14をスライドさせる。
【0052】
図23(b)に示すように、第2レバー部材45は、ピン44aを中心にして回動してサブギア46をギアスライダ47に噛み合わせて回動させる。
図23(a)に示すように、サブギア46のピン46aの先端は、第2スライダ14の天井の駆動孔46dに係合して、第2レバー部材45の回動に伴って第2スライダ14を移動させる。ここで、ピン46aは、直径の大きな駆動孔46dに保持されているので、両者の直径差の範囲で、ピン46aの回動に伴う第2スライダ14のスライド方向と直角なピン46aの移動が吸収されて、第2スライダ14が図中上下のスライド方向にスライドする。
【0053】
第1開閉部材9と第2開閉部材10を開いた状態では、
図23(b)に示すように、サブギア46が多軸ヒンジ装置6の中央側に近付く方向に回動して、第2スライダ14が第2開閉部材10の後端部側へスライドしている。スライド駆動機構40に駆動されたピン46aが駆動孔46dを介して第2スライダ14を第2開閉部材10の後端部側へスライドさせた状態で保持している。その結果、第2スライダ14が多軸ヒンジ装置6の中央側へ近づいて第2開閉部材10の後端部側における第2開閉部材10と第2スライダ14の隙間が小さくなっている。
【0054】
一方、第1開閉部材9と第2開閉部材10を閉じた状態では、
図24(b)に示すように、サブギア46が多軸ヒンジ装置6の中央側から遠ざかる方向へ回動して、第2スライダ14が第2開閉部材10の前端部側へスライドしている。スライド駆動機構40に駆動されたピン46aが、駆動孔46dを介して第2スライダ14を第2開閉部材10の前端部側へスライドさせた状態で保持している。その結果、第2スライダ14が多軸ヒンジ装置6の中央側から遠ざかって第2開閉部材10の後端部側における第2開閉部材10と第2スライダ14の隙間が大きくなっている。
【0055】
このような第2開閉部材10側におけるスライド駆動機構40の動作と並行して、同様な動作が第1開閉部材9側でスライド駆動機構30により実行される。これにより、第1開閉部材9と第2開閉部材10の開閉に伴う第1スライダ13と第2スライダ14の連動したスライドが実現されている。
【0056】
次に、本発明に係る多軸ヒンジ装置6の動作について説明する。第1筐体2と第2筐体3を閉じた状態では、
図3(a)に示したように、第1スライダ13及び第2スライダ14が前端部側へスライドして、第1開閉部材9と第2開閉部材10の対向間隔に形成された空間Xが前端部側へ拡張される。そして、この空間Xの中に、フレキシブルディスプレイシート5が、折れてしまわないために必要な曲率半径を維持した状態で折り畳まれて収容されている。
【0057】
第1筐体2と第2筐体3を閉じた状態から、一方の例えば第2筐体3を第1筐体2に対して開いて行くと、第1伝達列25aと第2伝達列25bを介して第1筐体2も同時に開かれてゆく。即ち、第2筐体3を開くと、第1伝達列25aでは、第1開閉部材9の旋回運動が第1ブラケット17から旋回ギア21に伝達され、従動ギア21gを介して第1ブラケット17に近い旋回ギア21ほど大きな旋回角度となるように旋回運動が伝達される。一方、第2伝達列25aでは、第2開閉部材10の旋回運動が第2ブラケット18から旋回ギア21に伝達され、従動ギア21gを介して第2ブラケット18に近い旋回ギア21ほど大きな旋回角度となるように旋回運動が伝達される。そして、第1伝達列25aの旋回ギア21と第2伝達列25bの旋回ギア21とが重なってフリクションを発生することで、第1伝達列25aの旋回ギア21と第2伝達列25bの旋回ギア21の旋回角度が平均化される。このような旋回角度の調整が7本のヒンジシャフト11A、11B、11C、11D、12A、12B、12Cで同時に進行する。旋回ギア21のシャフト孔21cの位置を拘束された6組の第1伝達列25aと第2伝達列25bで同時に旋回角度が平均化されることで、第1開閉部材9側と第2開閉部材10側とで対称な円筒状の包絡面が次第に曲率半径を拡大していくように連結機構20の内側に形成される。
【0058】
さらに、第1筐体2と第2筐体3が開かれて180度に達すると、
図7(b)、
図9~
図11に示すように、第1ブラケット17のストッパ17h、複数の旋回ギア21のストッパ21h、第2ブラケット18のストッパ17hが相互に突き当たって旋回運動の伝達を停止させる。これにより、第1筐体2と第2筐体3は180度の開き角度に設定され、第1筐体2と第2筐体3が180度を超えて開かれることが阻止される。
図8に示すフリクション手段50によって第1筐体2と第2筐体3がフラットな状態で摩擦停止させるので、大画面となり、フレキシブルディスプレイシート5上の画像を楽しみ、また画面に現れた画像の操作を行うことができる。
【0059】
使用者が電子機器1の使用をやめて、第1筐体2と第2筐体3を閉じ始めると、第1筐体2と第2筐体3を開くときと同様に第1伝達列25aと第2伝達列25bが連動して、第1開閉部材9側と第2開閉部材10側とで対称な円筒状の包絡面が次第に曲率半径を縮小していくように連結機構20の内側に形成される。このようにして、フレキシブルディスプレイシート5はフラットな状態から折り畳まれて行き、
図3(a)に示したような2つ折りの折り畳み状態となる。即ち、第1筐体2か第2筐体3のどちらかを他方に対して閉じて行くと、他方も同じように反対方向へ回転して閉じられることになる。
【0060】
また、多軸ヒンジ装置6は、
図8に示すフリクション手段50によって第1開閉部材9と第2開閉部材10とを任意の開き角度で停止可能とするフリーストップ機能を実現している。上述したように、フリクション手段50は、相互に摩擦面を重ね合わせた旋回ギア21、旋回ダミー22、スペーサ23、第1ブラケット17、第2ブラケット18を加圧部51A、51B、51C、51Dにより加圧して構成され、重なった旋回ギア21、旋回ダミー22、スペーサ23、第1ブラケット17、第2ブラケット18の間にフリクションを発生させて回動角度を保持させる。このため、閉じた状態の第1筐体2と第2筐体3が自然に開いてしまったり、また、開いた状態の第1筐体2と第2筐体3が自然に閉じてしまったりすることはない。
【0061】
実施例1の多軸ヒンジ装置6では、スライド駆動機構30、40は、駆動ギア17gを有して第1開閉部材9に設けられ、第1開閉部材9の旋回運動を旋回ギア21に伝達する第1ブラケット17と、駆動ギア18gを有して第2開閉部材10に設けられ、第2開閉部材10の旋回運動を旋回ギア21に伝達する第2ブラケット18と、第1開閉部材9に設けられ、第2ブラケット18から複数の旋回ギア21を直列に伝達された旋回運動を入力される第1入力ギア32と、第1入力ギア32の回転量を増幅して第1スライダ13のスライドに変換する第1増幅手段と、第2開閉部材9に設けられ、第1ブラケット17から複数の旋回ギア21を直列に伝達された旋回運動を入力される第2入力ギア42と、第2入力ギア42の回転量を増幅して第2スライダ14のスライドに変換する第2増幅手段と、を有する。
【0062】
このため、連結機構20とスライド駆動機構30、40とで部品を共有して、少ない部品点数で多軸ヒンジ装置6を構成することができる。具体的には、第2ブラケット18aから複数の旋回ギア21を直列に伝達された旋回運動を第1ブラケット17a側で拾い上げて第1開閉部材9に対する第1スライダのスライドを駆動すると共に、第1ブラケット17aから複数の旋回ギア21を直列に伝達された旋回運動を第2ブラケット18a側で拾い上げて第2開閉部材9に対する第2スライダのスライドを駆動することができる。
【0063】
実施例1の多軸ヒンジ装置6では、スライド駆動機構30、40は、それぞれ複数の旋回ギア21を直列に伝達されて入力ギア32、42へ入力された回転量を増幅手段31、41により増幅して第1スライダ13及び第2スライダ14をスライドさせる。このため、入力ギア32、42へ入力される回転量が少なくても、回転量の増幅率を変更することにより、第1スライダ13及び第2スライダ14に適正なスライド量を確保することができる。
【0064】
実施例1の多軸ヒンジ装置6では、第1増幅手段は、第1入力ギア32に駆動されて回動し、その回動端側を前記第1スライダ13に連結された第1レバー部材35を有し、第2増幅手段は、第2入力ギア42に駆動されて回動し、その回動端側を第2スライダ14に連結された第2レバー部材45を有する。このため、入力ギア32、42へ入力された回転量を増幅して第1スライダ13及び第2スライダ14をスライドさせる機構を少ない部品点数で実現すると共に、第1レバー部材35及び第2レバー部材45の長さを変更することで回転量の増幅における増幅率の調整が容易である。なお、入力ギア42の回転量を増幅して第2スライダをスライドさせる増幅手段は、増速ギア列、ピニオンとラックギアの組合せ、増速カム等に置き換えてもよい。
【0065】
実施例1の多軸ヒンジ装置6では、連動手段25及びフリクション手段50は、第1開閉部材9の旋回運動を第2開閉部材10へ向かって直列に伝達する旋回ギア21の第1伝達列25aと、第1伝達列25aとは半ピッチずらせて旋回ギア21を配列して第1伝達列25aに重ね合わせ、第2開閉部材10の旋回運動を旋回ギア21により第1開閉部材9へ向かって直列に伝達する第2伝達列25bと、複数のヒンジシャフト11A、11B、11C、11Dに設けられ、第1伝達列25aと第2伝達列25bの旋回ギア21の重ね合わせを加圧する加圧部51A、51B、51C、51Dと、を有する。このため、フリクション手段50は、連結機構20による第1開閉部材9と第2開閉部材10の開閉をフリーストップにすることにより、第1筐体と第2筐体の開閉をフリーストップにして開閉動作に快適な手応えを付与することができる。そして、連結機構20と連動手段25とフリクション手段50とで部品を共有して、少ない部品点数で多軸ヒンジ装置6を構成することができる。具体的には、旋回ギア21の第1伝達列25aと旋回ギア21の第2伝達列25bとを旋回ギア21が互い違いになるように重ねてフリクション手段50により摩擦抵抗を付与することにより連動手段を構成することができる。
【0066】
実施例1の多軸ヒンジ装置6では、加圧部51A、51B、51C、51Dは、第1ブラケット17aに挿入されるヒンジシャフト11Aと第2ブラケット18aに挿入されるヒンジシャフト11Dとを含む1つおきのヒンジシャフト11A、11B、11C、11Dに設けられ、これら1つおきのヒンジシャフトの間に位置するヒンジシャフト12A、12B、12Cには、加圧を伴わない抜け止め処理が行われた非加圧部52A、52B、52Cを設けている。このため、1つおきのヒンジシャフト11A、11B、11C、11Dの間に位置するヒンジシャフト12A、12B、12Cにおいて前後の旋回ギア21の従動ギア21gの負荷が平均化されるので、1個の旋回ギア21へ負荷が集中することが回避される。
【0067】
実施例1の多軸ヒンジ装置6では、規制手段60は、連結機構20による第1開閉部材9と第2開閉部材10の旋回可能な範囲を制限して、第1筐体2と第2筐体3を開く動作の最大角度を規制する。規制手段60は、旋回ギア21及び第1ブラケット17及び第2ブラケット18における従動ギア21g及び駆動ギア17g、18gの形成範囲により第1開閉部材9及び第2開閉部材10の旋回運動を規制する。このため、連結機構20と規制手段60とで部品を共有して、少ない部品点数で多軸ヒンジ装置6を構成することができる。なお、規制手段は、加圧されて軸線方向に対向する一対のカム面で構成される公知の吸込み機構で実現してもよい。
【0068】
実施例1の電子機器1によれば、連結機構20、スライド駆動機構30、40、フリクション手段50、連動手段25を内蔵した多軸ヒンジ装置6によって第1筐体2と第2筐体3とを連結するので、第1筐体2及び第2筐体3は、筐体を入れ子状態でスライド可能にしてばね機構を設ける必要が無い。このため、第1筐体2及び第2筐体3の厚みが薄くて済み、第1筐体2及び第2筐体3に対する電子回路等の実装が容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は以上のように構成したので、開閉可能に連結した第1筐体と第2筐体を同期して開閉でき、開閉時にフリクショントルクを創出してフリーストップに停止でき、さらに、第1筐体と第2筐体の両表面に渡って設けたフレキシブルディスプレイシートの折り畳み部分に必要な曲率半径を形成できる多軸ヒンジ装置、並びにこの多軸ヒンジ装置を用いた電子機器として好適に用いられるものである。
【符号の説明】
【0070】
1 携帯電話機(電子機器)
2 第1筐体
3 第2筐体
4 保護シート
5 フレキシブルディスプレイシート
6 多軸ヒンジ装置
7 カバープレート
8 サイドカバー
9 第1開閉部材
10 第2開閉部材
11A、11B、11C、11D ヒンジシャフト
12A、12B、12C ヒンジシャフト
13 第1スライダ
14 第2スライダ
15 スライドガイド
17 第1ブラケット
17b 摩擦面
17c シャフト孔
17g 従動ギア
18 第2ブラケット
18b 摩擦面
18c シャフト孔
20 連結機構
21 旋回ギア
21b 摩擦面
21c シャフト孔
21g 従動ギア
21h ストッパ
22 旋回ダミー
23 スペーサ
25 連動手段
25a 第1伝達列
25b 第2伝達列
25c、25d 第3伝達列
30、40 スライド駆動機構
31、41 増幅手段
32、42 入力ギア
32a、42a ピン
33、43 中継ギア
33a、43a ピン
34、44 メインギア
34a、44a ピン
35、45 レバー部材
36、46 サブギア
36a、46a ピン
37、47 ギアスライダ
50 フリクション手段
51A、51B、51C、51D 加圧部
52A、52B、53C 非加圧部
53 八角ナット
54 スプリングワッシャ
55 ワッシャ
56 Eリング
60 規制手段