(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】溝蓋装置
(51)【国際特許分類】
E03F 5/04 20060101AFI20230315BHJP
【FI】
E03F5/04 Z
(21)【出願番号】P 2019092547
(22)【出願日】2019-05-16
【審査請求日】2022-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000213231
【氏名又は名称】株式会社中部コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】近藤 充博
(72)【発明者】
【氏名】西村 和典
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-097709(JP,A)
【文献】特開2010-203130(JP,A)
【文献】特開2005-273354(JP,A)
【文献】実開昭61-032276(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口部を有する排水溝のような溝に沿って延び、前記溝の開口部を通水可能に塞ぐ溝蓋と、
前記溝の幅方向の両側の上縁部に係止して前記溝蓋を前記溝に設置させる受枠と、
前記溝蓋の下側にて前記受枠に支持されて、前記溝蓋を通過した水を前記溝内に通水させるようにしつつ前記溝蓋を通過した葉や石のような落下物を受けて前記溝内に流入するのを防ぐフィルタとを備えた溝蓋装置であって、
前記受枠は前記溝に沿って延びて、前記溝の幅方向の各上縁部に係止されるとともに前記溝蓋を支持する一対の支持枠部と、
前記一対の支持枠部の下側にて前記溝の幅方向に延びて前記溝に沿う方向の複数箇所で一対の支持枠部を連結する複数の連結バーとを備え、
前記フィルタを
前記一対の支持枠部の内側にて前記複数の連結バ
ーに支持させたことを特徴とする溝蓋装置。
【請求項2】
請求項1に記載の溝蓋装置において、
前記支持枠部は、前記溝の幅方向の各上縁部に係止する係止部と、前記係止部における前記溝の内側から下方に延びる垂下部と、前記垂下部における下端から前記溝の内側に延びて前記溝蓋の幅方向の側縁部を支持する支持部とを備え、前記係止部と前記垂下部と前記支持部とが連続するように板金部材を折り曲げ加工したものであり、
前記受枠は前記一対の支持枠部の各支持部の下面に前記連結バーを固定して前記一対の支持枠部を一体的に連結したものであり、
前記フィルタは板金部材に多数の通水孔を形成したフィルタプレートであり、
前記フィルタプレートの板厚を前記支持枠部の板厚以下としたことを特徴とする溝蓋装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上面に開口部を有する排水溝等の溝を覆う溝蓋を備える溝蓋装置に関し、溝蓋の下側に葉や石のような落下物を受けて前記溝内に流入するのを防ぐフィルタを備えた溝蓋装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、排水溝等の溝の上面の開口部を覆うグレーチングの発明が開示されている。特許文献1の
図1~
図3に示されたグレーチングは溝の上側にて水を通水させる多数の開口を有する格子状をし、グレーチングの下面には溝の幅方向の両側にて溝に沿う方向に延びる一対の脚部が設けられている。一対の脚部の互いに向かい合う内側面には水平レールが設けられており、水平レールにはグレーチングを通過する葉や石のような落下物を受けて溝内に流入するのを防ぐかごがスライド移動可能に取り付けられている。
【0003】
また、特許文献1の
図10及び
図11に示されたグレーチングは上面及び下面が開放された浅い箱形をした直方体形状の枠に水平軸線回りに回動可能に取り付けられている。枠の内面下部にはグレーチングの幅方向の両側に角パイプよりなる受部が設けられており、グレーチングは受部によって支持されている。角パイプよりなる受部の幅方向の内側には角棒よりなる係止部が設けられており、角棒よりなる係止部にはグレーチングを通過する葉や石のような落下物を受けて溝内に流入するのを防ぐかごが着脱可能に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の
図1~
図3に示されたグレーチングにおいては、かごはグレーチングの下面に設けられた脚部の水平レールにスライド移動可能に取り付けられており、グレーチングを傾けた状態で溝から取り外すと、かごで受けた落下物がかごから転げ落ちるので、グレーチングを傾けることなく溝から取り外さないとならなく、かごから落下物を取り除く作業が面倒であった。また、かごは脚部の水平レールにスライド移動可能に取り付けられているため、水平レールとかごとの間に石や砂が溜まると、かごを水平レールに沿ってスライド移動させにくくなっていた。
【0006】
また、特許文献1の
図10及び
図11に示されたグレーチングにおいては、かごは角棒よりなる係止部に係止されて支持されているが、角パイプよりなる受部の内側に角棒よりなる係止部を固定しなければならなく、部品点数及び加工工数が多くなってコストが高くなっていた。また、かごは溝の幅方向の両縁部を係止部に支持させているだけであるので、かごを幅方向に傾けて係止部に係止させようとすると、かごが係止部に係止されずに溝内に落下しやすくなっていた。本発明は、葉や石のような落下物を受けるフィルタの取付作業性が良好であるとともに、コストを低廉に抑えることができる溝蓋装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するため、上面に開口部を有する排水溝のような溝に沿って延び、溝の開口部を通水可能に塞ぐ溝蓋と、溝の幅方向の両側の上縁部に係止して溝蓋を溝に設置させる受枠と、溝蓋の下側にて受枠に支持されて、溝蓋を通過した水を溝内に通水させるようにしつつ溝蓋を通過した葉や石のような落下物を受けて溝内に流入するのを防ぐフィルタとを備えた溝蓋装置であって、受枠は溝に沿って延びて、溝の幅方向の各上縁部に係止されるとともに溝蓋を支持する一対の支持枠部と、一対の支持枠部の下側にて溝の幅方向に延びて溝に沿う方向の複数箇所で一対の支持枠部を連結する複数の連結バーとを備え、フィルタを一対の支持枠部の内側にて複数の連結バーに支持させたことを特徴とする溝蓋装置を提供するものである。
【0008】
上記のように構成した溝蓋装置においては、受枠は溝に沿って延びて、溝の幅方向の各上縁部に係止されるとともに溝蓋を支持する一対の支持枠部と、一対の支持枠部の下側にて溝の幅方向に延びて溝に沿う方向の複数箇所で一対の支持枠部を連結する複数の連結バーとを備え、フィルタを一対の支持枠部の内側にて複数の連結バーに支持させたので、フィルタを連結バーの上側に置くだけで容易に着脱作業することができるだけでなく、フィルタを支持させる部材を特別に必要としないので、コストが高くなるのを防ぐことができる。
【0009】
上記のように構成した溝蓋装置においては、支持枠部は、溝の幅方向の各上縁部に係止する係止部と、係止部における溝の内側から下方に延びる垂下部と、垂下部における下端から溝の内側に延びて溝蓋の幅方向の側縁部を支持する支持部とを備え、係止部と垂下部と支持部とが連続するように板金部材を折り曲げ加工したものであり、受枠は一対の支持枠部の各支持部の下面に連結バーを固定して一対の支持枠部を一体的に連結したものであり、フィルタは板金部材に多数の通水孔を形成したフィルタプレートであり、フィルタプレートの板厚を支持枠部の板厚以下とするのが好ましい。このようにしたときには、連結バーの上側で支持されたフィルタプレートは支持枠部の支持部より高くならないので、溝蓋が受枠でがたつくのを防ぐことができるとともに、フィルタプレートの有無によって受枠上で溝蓋の高さが変わらないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の溝蓋装置を溝に設置したときの平面図である。
【
図4】
図1から溝蓋を取り外した状態の平面図である。
【
図6】
図1から溝蓋とフィルタプレートとを取り外した状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の溝蓋装置の一実施形態を図面を参照して説明する。
図1に示したように、本発明の溝蓋装置10は、上面に開口部を有するU字溝等の排水溝のような溝Dを開閉自在に塞ぐものであり、雨水のような水を溝D内に流入させるようにしつつ、葉や石のような落下物を受けて溝D内に流入するのを防ぐ機能を有したものである。溝蓋装置10は、溝Dの上面の開口部を通水可能に塞ぐ格子状の溝蓋20と、溝蓋20を溝Dに設置させる受枠30と、溝蓋20の下側にて溝蓋20を通過した葉や石のような落下物を受けて溝D内に流入するのを防ぐフィルタプレート(フィルタ)40とを備えている。
【0012】
図1~
図3に示したように、溝蓋20は溝Dの上面の開口部を通水可能に塞ぐものであり、受枠30に着脱可能に取り付けられている。溝蓋20は溝Dの幅方向に沿って延びる複数のベアリングバー21が溝Dに沿う方向で等間隔に配置され、複数のベアリングバー21と交差する方向として溝Dに沿って延びる2本のクロスバー22とを一体的に備えている。この実施形態の溝蓋20はグレーチングと呼ばれ、複数のベアリングバー21と2本のクロスバー22との間に複数の開口部を備えた格子状をしている。なお、溝蓋20はグレーチングに限られるものでなく、板状の蓋体に複数の孔部よりなる開口部を形成したものであってもよい。
【0013】
図1、
図4~
図6に示したように、受枠30は溝Dの幅方向の両側の上縁部に係止して溝蓋20を溝Dに設置させるものである。受枠30は、溝Dに沿って延びて溝Dの幅方向の各上縁部に支持されるとともに溝蓋20を支持する一対の支持枠部31と、溝Dの幅方向に延びて溝Dに沿う方向の3箇所で一対の支持枠部31を連結する連結バー35,36とを備えている。
図2及び
図3に示しように、支持枠部31は、溝Dに沿う方向を長手方向として延びる板金部材を折り曲げ加工したものであり、溝Dに沿う方向と直交する方向から見て角部を直角に屈曲させたZ字形となっている。支持枠部31は溝Dの幅方向の上縁部に係止する係止部32と、係止部32における溝Dの内側から下方に延びる垂下部33と、垂下部33における下端から溝Dの内側に延びて溝蓋20の幅方向の側縁部を支持する支持部34とを備えている。
【0014】
図1、
図3及び
図4に示したように、溝Dの幅方向の両側に配置された一対の支持枠部31は3つの(複数の)連結バー35,36によって連結され、連結バー35,36は溝Dの幅方向に延びている。連結バー35は溝Dに沿う方向の両端に配置され、連結バー36は溝Dに沿う方向の中央部に配置され、これらの連結バー35,36は支持枠部31の支持部34の下面に固定されている。連結バー35,36は板金部材を溝Dの幅方向から見てL字形に屈曲させたものである。
図1、
図2、
図4~
図6に示したように、溝Dに沿う方向の両端に配置される連結バー35は支持部34の下面に固着される水平部35aと、水平部35aの溝に沿う方向の外側の端部から上側に延びる鉛直部35bとを備えている。水平部35aは一対の支持枠部31を連結する機能と、フィルタプレート40を支持する機能を有している。鉛直部35bは受枠30に設置した溝蓋20が溝Dに沿う方向に移動するのを規制する機能を有している。
図3及び
図6に示したように、溝Dに沿う方向の中央部に配置される連結バー36は、支持部34の下面に固着される水平部36aと、水平部36aの溝に沿う方向の端部から下側に延びる鉛直部36bとを備えている。水平部36aは一対の支持枠部31を連結する機能と、フィルタプレート40を支持する機能を有している。
【0015】
図1及び
図4に示したように、フィルタプレート(フィルタ)40は溝蓋20を通過した水を溝D内に通水させるようにしつつ、溝蓋20を通過した葉や石のような落下物を受けて溝D内に流入するのを防ぐためのものである。フィルタプレート40は受枠30内にて連結バー35,36の水平部35a,36aの上側に取り外し可能な状態で支持されている。
図2及び
図3に示したように、フィルタプレート40は受枠30の支持枠部31、特に支持枠部31の支持部34の板厚よりも薄い板金部材を用いたものである。
図1及び
図4に示したように、フィルタプレート40には溝D内に水を通過させる多数の通水孔41が形成されている。通水孔41は溝蓋装置10を設置する場所で落下する落下物に応じた大きさとするのが好ましく、この実施形態では小石や落葉を通過させない大きさとして6mmの大きさとなっている。なお、溝蓋装置10を設置する場所に応じて、通水孔41を大きくした、または、通水孔41を小さくしたフィルタプレート40を用いてもよい。
【0016】
上記のように構成した溝蓋装置10においては、上面に開口部を有する排水溝のようなの溝Dに沿って延び、溝Dの開口部を通水可能に塞ぐ格子状の溝蓋20と、溝Dの幅方向の両側の上縁部に係止して溝蓋20を溝Dに設置させる受枠30と、溝蓋20の下側にて受枠30に支持されて、溝蓋20を通過した水を溝内に通水させるようにしつつ溝蓋20を通過した葉や石のような落下物を受けて溝D内に流入するのを防ぐフィルタプレート(フィルタ)40とを備えている。この溝蓋装置10においては、受枠30は溝Dに沿って延びて、溝Dの幅方向の各上縁部に支持されるとともに溝蓋20を支持する一対の支持枠部31と、溝Dの幅方向に延びて溝Dに沿う方向の3箇所(複数箇所)で一対の支持枠部31を連結する3つ(複数)の連結バー35,36とを備え、フィルタプレート40を3つ(複数)の連結バー35,36に支持させている。
【0017】
溝蓋20の開口部を通過した石や葉等の落下物はフィルタプレート40で受けられ、落下物は溝D内に落下しないようになっている。フィルタプレート40で受けた落下物を取り除くときには、先ず溝蓋20を受枠30から取り外し、フィルタプレート40で受けた石や葉等の落下物を取り除き、溝蓋20を再び受枠30に取り付ける。また、溝蓋を取り外した後で、必要に応じて連結バー35,36に支持されているフィルタプレート40を受枠30から取り出して、フィルタプレート40で受けた石や葉等の落下物を取り除き、フィルタプレート40を再び連結バー35,36に支持させ、溝蓋20を受枠30に取り付ける。このように、フィルタプレート40を容易に着脱作業することができるだけでなく、フィルタプレート40を支持させる部材を特別に必要としないので、コストが高くなるのを防ぐことができる。
【0018】
また、支持枠部31は、溝Dの幅方向の各上縁部に係止する係止部32と、係止部32における溝Dの内側から下方に延びる垂下部33と、垂下部33における下端から溝Dの内側に延びて溝蓋20の幅方向の側縁部を支持する支持部34とを備え、係止部32と垂下部33と支持部34とが連続するように板金部材を折り曲げ加工したものである。この実施形態では、係止部32と垂下部33とが互いに直交するように折り曲げられており、垂下部33と支持部34とが互いに直交するように折り曲げられており、溝Dに沿う方向と直交する方向から見て角部を直角に屈曲させたZ字形となっている。受枠30は一対の支持枠部31の各支持部34の下面に連結バー35,36を固定して一対の支持枠部31を一体的に連結したものであり、フィルタプレート40の板厚を支持枠部31の特に支持部34の板厚より薄くとしている。
【0019】
これによって、連結バー35,36の上側で支持されたフィルタプレート40は支持枠部31の支持部34より高くならないので、溝蓋20が受枠30でがたつくのを防ぐことができるとともに、フィルタプレート40の有無によって受枠30上で溝蓋20の高さが変わらないようにすることができる。なお、この実施形態では、フィルタプレート40の板厚を支持枠部31の特に支持部34の板厚より薄くしたが、これに限られるものでなく、フィルタプレート40の板厚を支持枠部31の特に支持部34の板厚と同じとしたものであっても同様の作用効果を得ることができる。
【0020】
この実施形態の溝蓋装置10においては、フィルタ40には板金部材に通水孔41を形成したフィルタプレート40を用いたが、本発明はこれに限られるものでなく、フィルタ40には網材を用いたものであってもよい。
【0021】
この実施形態の溝蓋装置10においては、一対の支持枠部31は3つの連結バー35,36によって3箇所で連結されているが、本発明はこれに限られるものでなく、一対の支持枠部31は2つまたは4つ以上の連結バーによって2箇所または4箇所以上で連結されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0022】
10…溝蓋装置、20…溝蓋、30…受枠、31…支持枠部、32…係止部、33…垂下部…、34…支持部、35,36…連結バー、40…フィルタ(フィルタプレート)、41…通水孔、D…溝。