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特許7244941ごみ袋管理装置、ごみ袋管理方法及びごみ袋管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】ごみ袋管理装置、ごみ袋管理方法及びごみ袋管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230315BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021014749
(22)【出願日】2021-02-02
(65)【公開番号】P2022118317
(43)【公開日】2022-08-15
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504381021
【氏名又は名称】株式会社JEMS
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】深山 慎二
(72)【発明者】
【氏名】姚 雪
(72)【発明者】
【氏名】浅沼 啓太
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-143374(JP,A)
【文献】特開2020-101931(JP,A)
【文献】特開2002-080104(JP,A)
【文献】特開2005-008339(JP,A)
【文献】特開2006-056704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
事業者毎のごみ袋の配付枚数に係る情報を取得する第1取得手段と、
回収したごみ袋の配付先事業者及び回収枚数に係る情報を取得する第2取得手段と、
前記第1取得手段が取得した事業者毎のごみ袋の配付枚数から、前記第2取得手段が取得した事業者毎のごみ袋の回収枚数に加えて、所定のごみ袋の枚数又は事業者が入力したごみ袋の枚数を減ずるようにして、ごみ袋の残余枚数を算出する算出手段と、
を備えることを特徴とするごみ袋管理装置。
【請求項2】
前記第2取得手段が取得する情報は、ごみ収集車においてごみ袋に備えられたICタグから読み取った情報であることを特徴とする請求項1に記載のごみ袋管理装置。
【請求項3】
前記第1取得手段は、事業者毎のごみ袋の配付枚数に係る情報をごみ袋の種類毎に取得し、
前記第2取得手段は、回収したごみ袋の配付先事業者、回収枚数及び種類に係る情報を取得し、
前記算出手段は、前記第1取得手段が取得した事業者毎のごみ袋の配付枚数から、前記第2取得手段が取得した事業者毎のごみ袋の回収枚数を、ごみ袋の種類毎に減ずるようにして、ごみ袋の残余枚数を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載のごみ袋管理装置。
【請求項4】
前記事業者は、ごみの排出事業者であり、
前記第1取得手段は、ごみの排出事業者毎のごみ袋の配付枚数に係る情報を取得し、
前記第2取得手段は、回収したごみ袋の配付先排出事業者及び回収枚数に係る情報を取得し、
前記算出手段は、前記第1取得手段が取得したごみの排出事業者毎のごみ袋の配付枚数から、前記第2取得手段が取得したごみの排出事業者毎のごみ袋の回収枚数を減ずるようにして、ごみ袋の残余枚数を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のごみ袋管理装置。
【請求項5】
前記事業者は、ごみの収集事業者であり、
前記第1取得手段は、ごみの収集事業者毎のごみ袋の配付枚数に係る情報を取得し、
前記第2取得手段は、回収したごみ袋の配付先収集事業者及び回収枚数に係る情報を取得し、
前記算出手段は、前記第1取得手段が取得したごみの収集事業者毎のごみ袋の配付枚数から、前記第2取得手段が取得したごみの収集事業者毎のごみ袋の回収枚数を減ずるようにして、ごみ袋の残余枚数を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のごみ袋管理装置。
【請求項6】
事業者毎のごみ袋の配付枚数に係る情報を取得する第1取得ステップと、
回収したごみ袋の配付先事業者及び回収枚数に係る情報を取得する第2取得ステップと、
前記第1取得ステップにおいて取得した事業者毎のごみ袋の配付枚数から、前記第2取得ステップにおいて取得した事業者毎のごみ袋の回収枚数に加えて、所定のごみ袋の枚数又は事業者が入力したごみ袋の枚数を減ずるようにして、ごみ袋の残余枚数を算出する算出ステップと、
を含むことを特徴とするごみ袋管理方法。
【請求項7】
コンピュータを、
事業者毎のごみ袋の配付枚数に係る情報を取得する第1取得手段、
回収したごみ袋の配付先事業者及び回収枚数に係る情報を取得する第2取得手段、
前記第1取得手段が取得した事業者毎のごみ袋の配付枚数から、前記第2取得手段が取得した事業者毎のごみ袋の回収枚数に加えて、所定のごみ袋の枚数又は事業者が入力したごみ袋の枚数を減ずるようにして、ごみ袋の残余枚数を算出する算出手段、
として機能させることを特徴とするごみ袋管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみ袋管理装置、ごみ袋管理方法及びごみ袋管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭や事業者から排出されるごみが詰められたごみ袋を、収集事業者が収集する際には、ごみの収集状況を記録するため、収集したごみの種類や、収集量に関する情報を取得することが求められる場合がある。
そこで、家庭ごみに関して、ごみ袋にICタグを取り付け、このICタグに記憶された情報を収集時に読み取ることで、このような情報の取得を円滑に行うことを目的としたシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-8339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般家庭ではなく事業者が排出するごみについては、ごみを詰めるためのごみ袋として、回収、処理等の費用まで含めて価格が設定された専用のごみ袋を、ごみ袋の販売事業者から排出事業者に対して直接配付し、又はごみ袋の販売事業者からごみの収集事業者に配付し、収集事業者から排出事業者に配付した上で、このようなごみ袋を収集事業者が回収することによって、ごみの収集が行われる場合がある。
【0005】
この場合、ごみ袋の配付先の各排出事業者又は各収集事業者の下にごみ袋が無くならないようにするため、ごみ袋の配付先の各事業者に配付されたごみ袋の残余枚数が、その使用により減少した場合に、これを補充することが必要となる。
この点、従来は、ごみ袋の配付先の各事業者からの発注を待ってごみ袋を配付して補充するしかなかったが、このように発注を待って受動的にゴミ袋を配付するのみでは、特定の時期に発注が集中して対応が困難となったり、近隣に存在する複数の事業者に別々の機会にごみ袋を配付する必要性が生じたりしてしまい、効率的にごみ袋を配付することは困難であった。
【0006】
本発明の課題は、ごみ袋の配付先の事業者に対し、効率的にごみ袋を配付することを可能とするごみ袋管理装置、ごみ袋管理方法及びごみ袋管理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ごみ袋管理装置において、
事業者毎のごみ袋の配付枚数に係る情報を取得する第1取得手段と、
回収したごみ袋の配付先事業者及び回収枚数に係る情報を取得する第2取得手段と、
前記第1取得手段が取得した事業者毎のごみ袋の配付枚数から、前記第2取得手段が取得した事業者毎のごみ袋の回収枚数に加えて、所定のごみ袋の枚数又は事業者が入力したごみ袋の枚数を減ずるようにして、ごみ袋の残余枚数を算出する算出手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のごみ袋管理装置において、
前記第2取得手段が取得する情報は、ごみ収集車においてごみ袋に備えられたICタグから読み取った情報であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のごみ袋管理装置において、
前記第1取得手段は、事業者毎のごみ袋の配付枚数に係る情報をごみ袋の種類毎に取得し、
前記第2取得手段は、回収したごみ袋の配付先事業者、回収枚数及び種類に係る情報を取得し、
前記算出手段は、前記第1取得手段が取得した事業者毎のごみ袋の配付枚数から、前記第2取得手段が取得した事業者毎のごみ袋の回収枚数を、ごみ袋の種類毎に減ずるようにして、ごみ袋の残余枚数を算出することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のごみ袋管理装置において、
前記事業者は、ごみの排出事業者であり、
前記第1取得手段は、ごみの排出事業者毎のごみ袋の配付枚数に係る情報を取得し、
前記第2取得手段は、回収したごみ袋の配付先排出事業者及び回収枚数に係る情報を取得し、
前記算出手段は、前記第1取得手段が取得したごみの排出事業者毎のごみ袋の配付枚数から、前記第2取得手段が取得したごみの排出事業者毎のごみ袋の回収枚数を減ずるようにして、ごみ袋の残余枚数を算出することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のごみ袋管理装置において、
前記事業者は、ごみの収集事業者であり、
前記第1取得手段は、ごみの収集事業者毎のごみ袋の配付枚数に係る情報を取得し、
前記第2取得手段は、回収したごみ袋の配付先収集事業者及び回収枚数に係る情報を取得し、
前記算出手段は、前記第1取得手段が取得したごみの収集事業者毎のごみ袋の配付枚数から、前記第2取得手段が取得したごみの収集事業者毎のごみ袋の回収枚数を減ずるようにして、ごみ袋の残余枚数を算出することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、ごみ袋管理方法において、
事業者毎のごみ袋の配付枚数に係る情報を取得する第1取得ステップと、
回収したごみ袋の配付先事業者及び回収枚数に係る情報を取得する第2取得ステップと、
前記第1取得ステップにおいて取得した事業者毎のごみ袋の配付枚数から、前記第2取得ステップにおいて取得した事業者毎のごみ袋の回収枚数に加えて、所定のごみ袋の枚数又は事業者が入力したごみ袋の枚数を減ずるようにして、ごみ袋の残余枚数を算出する算出ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、ごみ袋管理プログラムにおいて、
コンピュータを、
事業者毎のごみ袋の配付枚数に係る情報を取得する第1取得手段、
回収したごみ袋の配付先事業者及び回収枚数に係る情報を取得する第2取得手段、
前記第1取得手段が取得した事業者毎のごみ袋の配付枚数から、前記第2取得手段が取得した事業者毎のごみ袋の回収枚数に加えて、所定のごみ袋の枚数又は事業者が入力したごみ袋の枚数を減ずるようにして、ごみ袋の残余枚数を算出する算出手段、
として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ごみ袋の配付先の事業者に対し、効率的にごみ袋を配付することを可能とするごみ袋管理装置、ごみ袋管理方法及びごみ袋管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るごみ袋管理システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係るごみ袋管理システムの動作における全体の流れの概略を示すフローチャートである。
図3】本発明の実施形態に係るごみ袋管理システムのごみ袋の受注及び配付時の動作を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態に係るごみ袋管理システムのごみ袋の回収の手配時の動作を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態に係るごみ袋管理システムのごみ袋の回収時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1から図5に基づいて、本発明の実施形態であるごみ袋管理システム100について説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、図示例に限定されるものではない。
【0017】
[第1 構成の説明]
ごみ袋管理システム100は、図1に示すように、本システムの管理者が管理するサーバである管理サーバ1及び受注サーバ2と、ごみ収集車に備えられ、ごみ袋7のICタグ71に記憶された情報を読み取る車載装置3と、本システムの管理者の事業所等に設置された管理者端末4と、ごみ袋7を利用してごみを排出する排出事業者の事業所等に設置された排出事業者端末5と、排出事業者が排出したごみを収集する収集事業者の事業所等に設置された収集事業者端末6と、を備えて構成されている。
また、各装置の間は、図1に示すように通信ネットワークNを介して接続されている。
【0018】
[1 管理サーバ]
管理サーバ1は、例えば、本システムを管理・運営する企業等が保有するPC(Personal Computer)、WS(Work Station)等の情報機器であり、後述のように、本システムを構成する他の装置から受信した情報を管理する。
管理サーバ1は、図1に示すように、例えば、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、を備えて構成されている。
【0019】
制御部11は、管理サーバ1の動作を制御する部分であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成され、CPUと、記憶部12に記憶されたプログラム等との協働により、管理サーバ1の各部を統括制御する。
【0020】
記憶部12は、管理サーバ1の運用に必要となる各種情報が記憶される部分であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリ等により構成され、プログラムデータ等の管理サーバ1の運用に必要となるデータを、制御部11から読み書き可能に記憶する。
【0021】
記憶部12には、ICタグ記憶情報D2及びごみ袋残余枚数情報D4が記憶されるごみ袋データベース121と、配車情報D6が記憶される配車データベース122と、回収実績情報D7が記憶される回収実績データベース123と、経理処理情報D8が記憶される経理処理データベース124と、が備えられている。
なお、各データベースに記憶される情報の詳細は、後述の動作の説明において述べる。
【0022】
また、記憶部12には、管理サーバ1を動作させるための制御部11への各種命令を含むプログラムが記憶され、後述の動作の説明において述べる管理サーバ1の動作は、このようなプログラムと制御部11との協働によって実現されることとなる。
【0023】
通信部13は、管理サーバ1と、本システムを構成する他の装置との間の通信に用いられる部分であり、例えば、通信用IC(Integrated Circuit)及び通信コネクタなどを有する通信インターフェイスであり、制御部11の制御の元、所定の通信プロトコルを用いて、通信ネットワークNを介したデータ通信を行う。
【0024】
[2 受注サーバ]
受注サーバ2は、例えば、本システムを管理・運営する企業等が保有するPC、WS等の情報機器であり、後述のように、排出事業者端末5からのごみ袋の発注に係る情報の受信等を行う。
受注サーバ2は、図1に示すように、管理サーバ1と同様、例えば、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、を備えて構成されている。
【0025】
[3 車載装置]
車載装置3は、パッカー車等のごみ収集車に備えられた装置であり、図1に示すように、例えば、管理サーバ1等と同様に、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、を備えると共に、さらにICタグ読取部34を備えて構成されている。
【0026】
ICタグ読取部34は、ごみ袋7に備えられたICタグ71に記憶されたICタグ記憶情報D2を読み取る部分である。
ICタグ読取部34の構成としては、所定のアンテナ等を備え、例えばごみ収集車のごみの収納部(荷箱)の入り口近傍に備えられることで、ごみの収納部にごみ袋7が入れられる場合に、当該ごみ袋7に備えられたICタグ71に記憶されたICタグ記憶情報D2を読み取ることができるものであればよく、具体的な構成は特に限定されない。
なお、ICタグ読取部34は、後述のように、本実施形態に係るごみ袋7に備えられたICタグ71に記憶された情報(ICタグ記憶情報D2、ICタグ識別情報D3、又はICタグ記憶情報D2とICタグ識別情報D3との両者)のみを読み取り、その他の一般的なICタグがごみとして収集されたとしても、その記憶内容を読み取らないように構成されている。
【0027】
[4 管理者端末]
管理者端末4は、例えば、本システムの管理者の事業所等に設置されたPC等の情報機器であり、例えば、管理サーバ1等と同様に、制御部、記憶部及び通信部を備えると共に、さらに、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイからなる表示部と、キーボード、タッチパネル等の操作部と、を備えて構成されている。
【0028】
[5 排出事業者端末]
排出事業者端末5は、例えば、ごみ袋7を利用してごみを排出する排出事業者の事業所等に設置されたPC等の情報機器であり、例えば、管理者端末4と同様に、制御部、記憶部、通信部、表示部及び操作部を備えて構成されている。
【0029】
[6 収集事業者端末]
収集事業者端末6は、例えば、排出事業者が排出したごみを収集する収集事業者の事業所等に設置されたPC等の情報機器であり、例えば、管理者端末4等と同様に、制御部、記憶部、通信部、表示部及び操作部を備えて構成されている。
【0030】
[7 ごみ袋]
ごみ袋7は、排出事業者において排出されるごみを回収するために、各排出事業者に配付されるごみを入れるための袋であり、ICタグ記憶情報D2及びICタグ識別情報D3が記憶されるICタグ71を備える。
ごみ袋7が備えるICタグ71の構成は、ICタグ記憶情報D2及びICタグ識別情報D3を記憶すると共に、ICタグ記憶情報D2を車載装置3のICタグ読取部34によって読み取らせることができるものであれば、特に限定されない。
【0031】
[8 通信ネットワーク]
通信ネットワークNは、例えば、インターネット、電話回線網、携帯電話通信網、無線LAN通信網等であり、図1に示すように、ごみ袋管理システム100を構成する各装置の間を接続する。
通信ネットワークNとしては、上記のように各装置間を繋ぎ、これらの間でデータの送受信を行うことが可能なものであれば特に限定されない。
【0032】
[第2 動作の説明]
以下、本実施形態に係るごみ袋管理システム100の使用時の動作について説明する。ごみ袋管理システム100の動作は、図2のフローチャートに示すように、大きく分けて、ステップS1(ごみ袋の受注及び配付)、ステップS2(ごみ袋の回収の手配)及びステップS3(ごみ袋の回収)の3つのステップからなる。
【0033】
[1 ステップS1 ごみ袋の受注及び配付]
まず、管理者が排出事業者からごみ袋の発注を受け、発送する際の本システムの動作について、図3のフローチャートに従って説明する。
【0034】
排出事業者は、ごみ袋7の配付を受けることを希望する場合、まず、排出事業者端末5の操作部を用いて、配付を希望するごみ袋の種類(対象となるごみの種類(可燃物、不燃物等)及びごみ袋のサイズ)に係る情報と、配付を希望する数量に係る情報と、を含む発注情報D1を入力し(ステップS1-1)、発注情報D1が入力されると、排出事業者端末5の制御部は、入力された情報を、通信部から通信ネットワークNを介して、受注サーバ2へと送信する(ステップS1-2)。
【0035】
受注サーバ2においては、通信部23により発注情報D1を受信すると、制御部21が、通信部23から通信ネットワークNを介して、管理者端末4へと、受信した発注情報D1を送信する(ステップS1-3)。
【0036】
管理者端末4においては、通信部により発注情報D1を受信すると、制御部が、受信した発注情報D1を、表示部に表示させる(ステップS1-4)。
【0037】
発注情報D1が管理者端末4の表示部に表示されると、これを確認した管理者は、ごみ袋7のICタグ71に、ICタグ記憶情報D2を入力する(ステップS1-5)。
具体的には、管理者は、発注情報D1に含まれる排出事業者が配付を希望する数量分のごみ袋7のICタグ71に、ICタグ記憶情報D2として、配付先排出事業者に係る情報、対象となるごみの種類に係る情報、ごみ袋のサイズに係る情報、当該配付先排出事業者に配付した何番目のごみ袋かを表す番号等を入力することとなる。
【0038】
配付先排出事業者に係る情報としては、例えば、排出事業者ごとに設定されたID等を入力する。
また、対象となるごみの種類に係る情報としては、例えば、可燃物用、不燃物用等の情報を入力する。
また、ごみ袋のサイズに係る情報としては、例えば、45L、70L等のごみ袋の容量に関する情報を入力する。
また、当該配付先排出事業者に配付した何番目のごみ袋かを表す番号としては、例えば、排出事業者毎かつごみ袋の種類毎に振られた番号を入力する。具体的には、当該排出事業者に配付した可燃物用45Lごみ袋の1001枚目から1100枚目までの100枚であれば、それぞれ1001から1100のいずれかの番号を入力することとなる。
なお、発注情報D1に、複数種類のごみ袋の発注が含まれている場合、すなわち、対象となるごみの種類及び/又はごみ袋のサイズが異なるものが含まれている場合には、番号として、このようなごみ袋の種類毎に番号を採番し、入力することとなる。
【0039】
また、ICタグ71には、予め、各タグに固有のID、番号等のICタグ識別情報D3が記憶されており、ICタグ記憶情報D2の入力によって、ICタグ71には、ICタグ記憶情報D2及びICタグ識別情報D3の両者が記憶されることとなる。
【0040】
ステップS1-5において、ICタグ71にICタグ記憶情報D2を入力し、発送用のごみ袋7を製作すると、管理者は、管理者端末4の操作部を用いて、管理者端末4に、ICタグ71に入力したのと同様のICタグ記憶情報D2を入力する(ステップS1-6)。例えば、上記の例であれば、管理者は、ステップS1-1で発注情報D1を入力した特定の排出事業者に配付する可燃物用45Lごみ袋の番号1001から1100という情報を入力することとなる。
【0041】
なお、上記においては、ステップS1-5におけるICタグ71へのICタグ記憶情報のD2の入力と、ステップS1-6における管理者端末4へのICタグ記憶情報D2の入力と、を別のステップとして説明したが、これらは一括して行うようにすることも可能である。この場合、例えば、管理者が管理者端末4の操作部を用いてICタグ記憶情報D2を入力した場合に、入力された情報がICタグ71にも送信され、記憶されるようにすればよい。
【0042】
管理者端末4においてICタグ記憶情報D2が入力されると、管理者端末4の制御部は、入力された情報を、通信部から通信ネットワークNを介して、管理サーバ1へと送信する(ステップS1-7)。
【0043】
管理サーバ1においては、通信部13によりICタグ記憶情報D2を受信すると、制御部11が、受信したICタグ記憶情報D2を、記憶部12のごみ袋データベース121に記憶させる(ステップS1-8)。
なお、記憶部12のごみ袋データベース121に、同一の排出事業者に係る同一の種類のごみ袋(対象となるごみの種類及びごみ袋のサイズが一致するもの)に係る情報がすでに記憶されていた場合には、制御部11は、番号のみを追加で記憶すればよい。
【0044】
続いて、制御部11は、ステップS1-7で受信したICタグ記憶情報D2に基づいて、ごみ袋残余枚数情報D4を更新する(ステップS1-9)。
【0045】
すなわち、ステップS1-7で受信したICタグ記憶情報D2と同一の排出事業者かつ同一の種類のごみ袋に係る情報が、ステップS1-8までごみ袋データベース121に記憶されていなかった場合であれば、受信したICタグ記憶情報D2の個数を、そのまま当該排出事業者に係る当該種類のごみ袋に係るごみ袋残余枚数情報D4として、対応する排出事業者及びごみ袋の種類に係る情報と紐付けて記憶させる。
これに対し、ステップS1-7で受信したICタグ記憶情報D2と同一の排出事業者かつ同一の種類のごみ袋に係る情報が、ステップS1-8の前に、既にごみ袋データベース121に記憶されていた場合であれば、ごみ袋残余枚数情報D4に含まれる同一の排出事業者かつ同一の種類のごみ袋に係る情報に、受信したICタグ記憶情報D2の個数を加算するようにして、ごみ袋残余枚数情報D4を更新する。
【0046】
これによって、管理サーバ1は、排出事業者毎、さらに、当該排出事業者が複数種類のごみ袋を発注したことがある場合であれば、排出事業者毎かつごみ袋の種類毎の、ごみ袋の配付枚数に係る情報を取得し、これを記憶部12のごみ袋データベース121に記憶させることとなる。
【0047】
また、管理サーバ1においては、制御部11が、ICタグ記憶情報D2に基づいてごみ袋残余枚数情報D4を更新した後、発注した排出事業者からの入金を待って、前受金としての経理上の処理を行い、処理の結果を、経理処理情報D8として、記憶部12の経理処理データベース124に記憶させる(ステップS1-10)。
【0048】
ステップS1-10まで完了すると、管理者は、ICタグ71にICタグ記憶情報D2を入力したごみ袋7を、ステップS1-1で発注情報D1を入力した排出事業者へと発送して配付する。
【0049】
[2 ステップS2 ごみ袋の回収の手配]
続いて、排出事業者が、ごみが詰められたごみ袋7の回収を希望する際に、収集事業者によるごみ袋の回収を手配する際の本システムの動作について、図4のフローチャートに従って説明する。
【0050】
排出事業者は、ごみ袋の回収を希望する場合、まず、排出事業者端末5の操作部を用いて、ごみ袋の回収を希望する旨の要求、回収希望場所及び回収希望日時等を含む情報である回収希望情報D5を入力し(ステップS2-1)、回収希望情報D5が入力されると、排出事業者端末5の制御部は、入力された情報を、通信部から通信ネットワークNを介して、受注サーバ2へと送信する(ステップS2-2)。
【0051】
受注サーバ2においては、通信部23により回収希望情報D5を受信すると、制御部21が、通信部23から通信ネットワークNを介して、収集事業者端末6へと、受信した回収希望情報D5を送信する(ステップS2-3)。
【0052】
収集事業者端末6においては、通信部により回収希望情報D5を受信すると、制御部が、受信した回収希望情報D5を、表示部に表示させる(ステップS2-4)。
【0053】
回収希望情報D5が表示部に表示されると、収集事業者は、回収に使用するごみ収集車を決定し、収集事業者端末6の操作部を用いて、使用する車両の車両番号、回収日時、回収場所等に係る情報を含む配車情報D6を入力し(ステップS2-5)、配車情報D6が入力されると、収集事業者端末6の制御部は、入力された情報を、通信部から通信ネットワークNを介して、管理サーバ1へと送信する(ステップS2-6)。
【0054】
管理サーバ1においては、通信部13により配車情報D6を受信すると、制御部11が、受信した配車情報D6を、記憶部12の配車データベース122に記憶させる(ステップS2-7)。
【0055】
なお、上記においては、排出事業者による回収希望情報D5の入力を待って、ごみ袋の回収の手配がなされる場合について説明したが、これに加えて、排出事業者による回収希望情報D5の入力を待つことなく、例えば、各排出事業者につき週2回等の所定の頻度で、自動的に管理サーバ1の制御部11が記憶部12の配車データベース122に配車情報D6を記憶させることによって、ごみ袋の回収の手配がなされるようにしてもよい。
【0056】
また、管理サーバ1において、さらに回収ルートの作成を行うようにしてもよい。
この場合、管理サーバ1の制御部11は、記憶部12の配車データベース122に記憶された配車情報D6から、使用する車両及び回収日が共通するデータを抽出した上で、配車情報D6に含まれる回収場所に係る情報及び回収日時に係る情報を基に、これらデータに係る回収場所を効率的に回ることができるようにして、当該車両の回収時の走行ルートを決定することとなる。
【0057】
[3 ステップS3 ごみ袋の回収]
続いて、排出事業者が排出したごみが詰められたごみ袋7を、収集事業者が回収する際の本システムの動作について、図5のフローチャートに従って説明する。
【0058】
配車情報D6に係るごみの回収日時が到来すると、収集事業者においては、収集作業員が、配車情報D6に係るごみ収集車で、配車情報D6に係る回収場所に赴き、ごみが詰められたごみ袋7の回収を行う。
この際には、収集作業員が、ごみ袋7をごみ収集車のごみの収納部(荷箱)に積み込むと、ごみ収集車に備えられた車載装置3のICタグ読取部34が、収集されたごみ袋7のICタグ71に記憶されたICタグ記憶情報D2を読み取る(ステップS3-1)。
なお、ICタグ記憶情報D2の読み取りは、必ずしもごみ袋7がごみ収集車に積み込まれるのを待って行う必要はなく、例えば、ごみ袋7が、ICタグ読取部34まで所定の距離内に近づいた時点で読み取るようにしてもよい。
【0059】
なお、ICタグ読取部34は、ICタグの接近を検出した場合に、まず、当該ICタグが、本実施形態に係るごみ袋7に備えられた、ICタグ記憶情報D2が記憶されたICタグ71であるか否かを判定の上、当該ICタグが本実施形態に係るごみ袋7に備えられたICタグ71であると判定した場合にのみ、当該ICタグに記憶された情報であるICタグ記憶情報D2を読み取ることとなる。
これに対し、当該ICタグが本実施形態に係るごみ袋7に備えられたICタグ71でないと判定した場合には、当該ICタグに記憶された情報を読み取ることはない。
これによって、ごみの中に、本実施形態と無関係のICタグが混入していた場合に、当該ICタグに記憶された情報が読み取られてしまうことを防止できる。
【0060】
ICタグ読取部34によってICタグ記憶情報D2が読み取られると、車載装置3においては、制御部31が、読み取られたICタグ記憶情報D2を、通信部33から通信ネットワークNを介して、管理サーバ1へと送信する(ステップS3-2)。
なお、ICタグ読取部34によって、複数のごみ袋7に係るICタグ記憶情報D2が連続して読み取られた場合には、制御部31は、これを逐一管理サーバ1へと送信してもよいし、記憶部32に一時的に記憶させた上で、回収場所ごとにまとめて送信するようにしてもよい。
【0061】
管理サーバ1においては、通信部13により、車載装置3から送信されたICタグ記憶情報D2を受信すると、制御部11が、記憶部12のごみ袋データベース121に記憶されたごみ袋残余枚数情報D4から、ステップS3-2で受信したICタグ記憶情報D2と同一の排出事業者かつ同一の種類のごみ袋に係る情報を抽出した上で、抽出したごみ袋残余枚数情報D4を、回収したごみ袋7の数に応じて減ずるようにして更新する(ステップS3-3)。
例えば、ごみ袋残余枚数情報D4に含まれる特定の排出事業者に係る特定の種類のごみ袋の情報において、ごみ袋の残余枚数が100枚である場合に、これと同一の排出事業者かつ同一の種類のごみ袋に係るICタグ記憶情報D2を、車載装置3から10枚分受信したとすれば、ごみ袋残余枚数情報D4について、当該排出事業者の当該種類のごみ袋に係る情報を、100枚から10枚を減じ、90枚と更新することとなる。
【0062】
これによって、管理サーバ1は、排出事業者毎、さらに、当該排出事業者が複数種類のごみ袋を発注したことがある場合であれば、排出事業者毎かつごみ袋の種類毎のごみ袋の配付枚数から、排出事業者毎、さらに、当該排出事業者が複数種類のごみ袋を発注したことがある場合であれば、排出事業者毎かつごみ袋の種類毎のごみ袋の回収枚数を減ずるようにして、ごみ袋残余枚数情報D4が更新されることとなる
【0063】
また、この際に、制御部11は、受信したICタグ記憶情報D2と一致する情報を、記憶部12のごみ袋データベース121から検索の上、当該情報を削除する。これによって、ごみ袋7が回収された場合に、当該ごみ袋7に係るICタグ記憶情報D2が、ごみ袋データベース121から削除されることとなる。
【0064】
また、制御部11は、記憶部12の回収実績データベース123に記憶された回収実績情報D7から、受信したICタグ記憶情報D2に対応する排出事業者に関する情報を抽出した上で、受信したICタグ記憶情報D2を基に、これを更新する(ステップS3-4)。
具体的には、回収実績情報D7としては、排出事業者毎に、所定の単位期間の間のごみ袋の種類毎の累計回収数に係る情報が記憶されており、制御部11は、受信したICタグ記憶情報D2に基づいて、回収したごみ袋の種類を判別の上で、これを加算するようにして、回収実績情報D7を更新することとなる。
【0065】
また、管理サーバ1においては、回収実績情報D7を更新した後、回収したごみ袋について、ステップS1-10において前受金として処理され、記憶部12の経理処理データベース124に経理処理情報D8として記憶されていたものを、売上と更新するようにして、経理上の処理を行う(ステップS3-5)。
【0066】
続いて、管理サーバ1においては、制御部11が、通信部13から通信ネットワークNを介して、管理者端末4へと、ステップS3-3において更新したごみ袋残余枚数情報D4を送信する(ステップS3-6)。
【0067】
また、管理者端末4においては、通信部によって、管理サーバ1から送信されたごみ袋残余枚数情報D4を受信すると、制御部が、受信したごみ袋残余枚数情報D4を表示部に表示させる(ステップS3―7)。
この際には、特定の排出事業者の特定の種類のごみ袋に係るごみ袋残余枚数情報D4が所定の枚数を下回っている場合に、例えば、これを通知するための警告等を併せて表示することが好ましい。
【0068】
[第3 効果の説明]
次に、本実施形態に係るごみ袋管理システム100の効果について説明する。
【0069】
本実施形態に係るごみ袋管理システム100によれば、管理サーバ1において、排出事業者毎、さらに、当該排出事業者が複数種類のごみ袋を発注したことがある場合であれば、排出事業者毎かつごみ袋の種類毎のごみ袋の配付枚数に係る情報を取得し、これを記憶部12のごみ袋データベース121に記憶させた上で、車載装置3から、当該車載装置3が備えられたごみ収集車によって回収されたごみ袋7のICタグ71に記憶されたICタグ記憶情報D2を取得した場合に、排出事業者毎、さらに、当該排出事業者が複数種類のごみ袋を発注したことがある場合であれば、排出事業者毎かつごみ袋の種類毎のごみ袋の配付枚数から、排出事業者毎、さらに、当該排出事業者が複数種類のごみ袋を発注したことがある場合であれば、排出事業者毎かつごみ袋の種類毎のごみ袋の回収枚数を減ずるようにして、ごみ袋残余枚数情報D4が算出され、更新されることとなる。
したがって、管理者は、排出事業者に配付されたごみ袋7が使用され、残余枚数が減少した場合に、その減少を把握することができる。
【0070】
これによって、管理者において、排出事業者からの発注を待つことなく、能動的に、排出事業者に対して、ごみ袋の補充を提案することが可能となることから、受動的に排出事業者からの発注を待ってのみごみ袋を補充する場合と比較して、例えば、配付したごみ袋の残余枚数が減少している排出事業者に対して、ごみ袋の発注が集中する繁忙期を避けて事前にごみ袋を配付したり、近隣に存在する複数の排出事業者において配付したごみ袋の残余枚数が減少している場合に、まとめて配付したりすることが容易となることから、排出事業者に対して、効率的にごみ袋を配付することが可能となる。
【0071】
また、本実施形態に係るごみ袋管理システム100によれば、ごみ袋の受注時おいて、発注を受けてから経理処理に至るまで、システム上で一連の流れの中で行うことができることから、例えば従来のようにFAX等で個別に受注していた場合と比較して、ごみ袋の受注時の事務処理の負担を低減することができる。
【0072】
また、本実施形態に係るごみ袋管理システム100によれば、ごみ袋の回収時に、車載装置3のICタグ読取部34によって、ごみ袋7のICタグ71に記憶されたICタグ記憶情報D2を読み取ることによって、自動的に、当該ごみ袋を排出した排出事業者に係る情報及びごみ袋の種類(対象となるごみの種類及びごみ袋のサイズ)に係る情報を取得し、これが管理サーバ1へと送信され、記憶部12の回収実績データベース123に回収実績情報D7として記憶される。
【0073】
これによって、排出事業者毎のごみの排出量の管理が容易となると共に、従来のようにごみ収集車に乗車して回収に赴くドライバー等の回収作業員が、手作業で回収したごみ袋に係る情報を入力する必要がなくなることから、ごみ収集車に乗車して回収に赴くドライバー等の回収作業員の負担軽減にも資することとなる。
【0074】
また、本実施形態は、現在の廃棄物処理に係る以下の事情の下で、特に有効性が高まるものである。
【0075】
すなわち、廃棄物は、産業廃棄物と一般廃棄物とに分類され、一般廃棄物はさらに家庭ごみと事業者から排出される事業系一般廃棄物とに分類されている。
また、産業廃棄物は排出事業者が処理責務を負い、一般廃棄物は自治体が処理責務を負うとされている。
【0076】
多くの自治体において、一般廃棄物は当該自治体又は当該自治体が共同で設置する一部事務組合の運営する焼却炉等の処理施設にて処理されるが、収集運搬については、自治体又は一部事務組合自らが実施する場合の他に、民間企業へ一般廃棄物収集運搬業許可を発出することにより委託を行っている。
そして、反復継続して事業系一般廃棄物を排出する事業者の多くは、運搬業者との間で収集運搬契約を締結し、一般廃棄物の回収を委託しているが、委託費用については、月間の排出予定量を推定し、収集運搬費用及び自治体処理施設での処理費用を考慮した月額固定金額を支払う場合と、排出実績をごみ袋数又はごみの重量によって把握し、このようなごみ袋数又はごみの重量に、収集運搬費用及び自治体処理施設での処理費用を考慮した単価を乗じた従量で支払う場合と、が存在する。
【0077】
このような状況の下で、現在、処理施設の老朽化、人口・税収の低下、廃棄物焼却後の最終処分場の不足等の要因から、一般廃棄物の処理量の削減を目的として、分別およびリサイクルの推進、一般廃棄物と併せて処理を行うことができる産業廃棄物の受け入れの停止、及び処理費の値上げを行う自治体が増加してきている。
また、各自治体が、一般廃棄物の中で約3分の1程度を占める事業系ごみの減量化の促進のため、減量計画書の義務化等によって、大規模建築物を所有する事業者に対して廃棄物削減を求めているが、多くの中小規模の事業所に対しては十分な対策が講じられていない。
【0078】
また、排出事業者にとっては、固定金額で処理費用を支払う場合は、排出量の削減の意識が働きづらく、処理費用に含まれる市町村に支払われる処分費用と委託業者に支払われる委託費用との配分も見えず、処理費用の値上げを行う自治体からの排出抑制のメッセージも受け取りにくい。事業系ごみの減量化を促進するため、排出事業者の廃棄物処理費に対する経済意識を高める必要があると考えられる。
【0079】
一方で、排出事業者に対して排出実績に応じて処理費用の請求を行う場合は、回収の都度計量する必要があることから、ドライバーへの教育が必要になり、さらに、収集運搬業者及びドライバーの事務負担が増加する。特に、回収実績から処理費の請求、及び入金に至る受発注・経理業務の負荷が大きい。
そこで、従量契約をする業者の多くは、予め処理費用を含んで価格が設定されたごみ袋の販売という形態を取っている。
【0080】
予め処理費用を含んで価格が設定されたごみ袋の販売によって、ごみの収集・運搬に係る費用を処理する方法をとる上では、袋の受発注、在庫及び回収実績について、袋数で管理することが重要となるが、回収実績に係る情報を取得するために、ドライバーが回収の都度、実績を紙台帳へ記載し、さらに、ドライバーの事務所への帰庫後に事務員がPC等に入力するのは非常に手間が掛かる。このような手間の低減のため、ドライバーが、車載端末等で回収量を打ち込むようにすることも可能であるが、打ち間違いの危険性が大きい。
【0081】
また、ごみ袋にバーコードや二次元コードを取り付け、これを所定の端末でドライバーが読み取るようにすれば、ドライバーによる入力の手間は省くことができるが、収集作業に当たるドライバーの片手が常に塞がることとなり好ましくない。
また、ごみ袋に単純にICタグをつけるのみでは、最近はICタグが商品のタグ等として使用されることも多いため、ごみ袋にこのような商品のタグ等のICタグが入っていた場合に、誤検知がなされるおそれも存在する。
【0082】
上記のような事情の下で、本実施形態によれば、ごみ袋の販売から在庫管理、回収実績管理までを一貫して行うことができるシステムを提供することができる点が、大きなメリットとなる。
【0083】
[第4 変形例]
以下、本実施形態の変形例について説明する。
【0084】
[1 収集事業者毎の管理]
上記実施形態においては、管理者においてごみ袋7のICタグ71及び管理サーバ1の記憶部12のごみ袋データベース121に、ICタグ記憶情報D2として、ごみ袋の配付先の排出事業者に関する情報が登録される場合について説明したが、これに代えて、収集事業者に関する情報を登録した上で、ごみ袋7を収集事業者に配付するようにしてもよい。
【0085】
この場合、管理者は、収集事業者からの発注を受けた場合に、ICタグ記憶情報D2として、配付先排出事業者に係る情報及び排出事業者毎の番号に代えて、配付先収集事業者に係る情報及び収集事業者毎の番号、すなわち、当該収集事業者に配付した何番目のごみ袋かを表す番号を、ICタグ71及びごみ袋データベース121に登録した上で、ごみ袋7を収集事業者に送付する。
また、この場合、管理サーバ1のごみ袋データベース121には、このようなICタグ記憶情報D2と紐づけて、収集事業者毎のごみ袋残余枚数情報D4が記憶され、収集事業者毎のごみ袋の残余枚数に係る情報が記憶されることとなる。
【0086】
その上で、排出事業者から発注を受けた収集事業者において、収集事業者端末6を用いて、ごみ袋の配付先の排出事業者に係る情報を入力し、ごみ袋の配付先の排出事業者に係る情報を、ICタグ記憶情報D2と紐付けて管理サーバ1の記憶部12のごみ袋データベース121に記憶させた上で、ごみ袋を排出事業者に送付することとなる。
【0087】
また、この場合、ごみ袋の回収時には、車載装置3のICタグ読取部34によって読み取られたICタグ記憶情報D2に基づいてごみ袋残余枚数情報D4が更新されることで、収集事業者毎のごみ袋の残余枚数に係る情報が、ごみ袋の回収実績に応じて減ずるようにして更新されていくこととなる。
さらに、管理サーバ1において、ごみ袋データベース121に、ごみ袋残余枚数情報D4として、収集事業者毎のごみ袋の残余枚数に係る情報に加えて、排出事業者毎のごみ袋の残余枚数に係る情報も記憶するようにした上で、収集事業者毎のごみ袋の残余枚数に係る情報に加えて、排出事業者毎のごみ袋の残余枚数に係る情報も、ごみ袋の回収実績に応じて減ずるようにして更新されるようにしてもよい。
【0088】
[2 ICタグ以外の利用]
上記実施形態においては、ごみ袋7にICタグ71を備える場合について説明したが、上述のICタグ記憶情報D2と同内容の情報を記憶できると共に、ごみ収集車に積み込まれる時点かその前後において、車載装置3に対して当該情報を読み取らせることができるものであれば、ごみ袋7に備えられる情報の記憶手段として、ICタグ以外のものを用いてもよい。
ICタグ以外の情報の記憶手段を用いる場合、車載装置3にも、ICタグ読取部34に代えて、これに対応した種類の読取部を備えることとなる。
【0089】
[3 発注レコメンドの表示]
ステップS3のごみ袋の回収時の処理においては、さらに、ステップS3-3における更新後のごみ袋残余枚数情報D4が所定の枚数を下回っている場合に、排出事業者端末5において、ごみ袋の発注を促す所定のメッセージを表示するようにしてもよい。
【0090】
この場合、管理サーバ1においては、ごみ袋残余枚数情報D4の管理者端末4への送信(ステップS3-6)の後、制御部11が、当該ごみ袋残余枚数情報D4が所定の枚数を下回っているかを判定し、ごみ袋残余枚数情報D4が所定の枚数を下回っていると判定した場合、通信部13から通信ネットワークNを介して、当該ごみ袋残余枚数情報D4に係る排出事業者が使用する排出事業者端末5へと、ごみ袋の発注を勧めるメッセージを表示させる旨の所定の指示を送信する。
その上で、通信部によって管理サーバ1から送信された指示を受信した排出事業者端末5において、制御部が、所定のメッセージを表示部に表示させることとなる。この場合に表示させるメッセージは、例えば、「(ごみ袋を)そろそろ発注しませんか?」といった内容の、ごみ袋の発注を促すメッセージである。
【0091】
[4 自動発注]
ステップS3のごみ袋の回収時の処理においては、さらに、ステップS3-3における更新後のごみ袋残余枚数情報D4が所定の枚数を下回っている場合に、自動的にごみ袋の発注がなされたものとして、ステップS1で説明したごみ袋の配付に係る処理が開始されるようにしてもよい。
【0092】
この場合、管理サーバ1においては、ごみ袋残余枚数情報D4の管理者端末4への送信(ステップS3-6)の後、制御部11が、当該ごみ袋残余枚数情報D4が所定の枚数を下回っているかを判定し、ごみ袋残余枚数情報D4が所定の枚数を下回っていると判定した場合、通信部13から通信ネットワークNを介して、管理者端末4へと、所定の内容の発注情報D1を自動的に送信し、ステップS1のステップS1-4以下で説明したのと同様の過程を経て、ごみ袋の配付がなされることとなる。
【0093】
[5 回収実績に基づかないごみ袋残余枚数情報の更新]
上記においては、管理サーバ1において、ステップS3-3で、ごみ袋残余枚数情報D4を、車載装置3から受信したICタグ記憶情報D2に応じて、ごみ袋の回収実績に基づいてのみ更新する場合について説明したが、これに加えて、ごみ袋の回収実績に基づかないごみ袋残余枚数情報D4の更新を行うようにしてもよい。
すなわち、ごみ袋7は、排出事業者によって、ステップS3で説明した過程を経たごみ袋の回収とは別の用途に使用された上で廃棄されてしまう場合も存在することから、このような回収されずに消耗されたごみ袋の数を反映するために、ごみ袋残余枚数情報D4の更新を行うこととなる。
【0094】
具体的には、例えば、ごみ袋7が、排出事業者によって一定の枚数ずつ、ステップS3で説明した過程を経たごみ袋の回収とは別の用途に使用されるものと仮定し、記憶部12のごみ袋データベース121に記憶されたごみ袋残余枚数情報D4について、排出事業者毎、さらにごみ袋の種類毎に、予め定められた所定の期間毎に所定の枚数が、制御部11によって自動的に減算されるようにすればよい。
この場合、例えば、各排出事業者に配付された各種類のごみ袋について、一月に10枚といった所定の枚数ずつ、ごみ袋残余枚数情報D4を減ずるようにして、ごみ袋残余枚数情報D4を更新することとなる。
【0095】
また、実際に消費されたごみ袋の枚数を反映するため、各排出事業者が、排出事業者端末5の操作部を用いて、ステップS3で説明した過程を経たごみ袋の回収とは別の用途に使用したごみ袋7の枚数を、例えば週一回、月一回といった所定の頻度でごみ袋の種類毎に入力するようにしてもよい。
この場合、当該情報を通信ネットワークNを介して通信部13によって受信した管理サーバ1において、制御部11が、受信した情報に係る枚数を減ずるようにして、記憶部12のごみ袋データベース121に記憶されたごみ袋残余枚数情報D4を更新することとなる。
【0096】
また、各収集事業者が、例えば、排出事業者においてステップS3で説明した過程を経たごみ袋の回収とは別の用途に使用したごみ袋7の枚数に係る情報を取得した上で、当該情報を、収集事業者端末6の操作部を用いて、所定の頻度で、排出事業者毎かつごみ袋の種類毎に入力するようにしてもよい。
この場合も、当該情報を通信ネットワークNを介して通信部13によって受信した管理サーバ1において、制御部11が、受信した情報に係る枚数を減ずるようにして、記憶部12のごみ袋データベース121に記憶されたごみ袋残余枚数情報D4を更新することとなる。
【符号の説明】
【0097】
100 ごみ袋管理システム
1 管理サーバ
11 制御部(算出手段)
12 記憶部
13 通信部(第1取得手段、第2取得手段)
2 受注サーバ
3 車載装置
34 ICタグ読取部
4 管理者端末
5 排出事業者端末
6 収集事業者端末
7 ごみ袋
71 ICタグ
N 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5