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特許7244950給湯のシステム、方法、プログラム及びコージェネレーションシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】給湯のシステム、方法、プログラム及びコージェネレーションシステム
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/18 20220101AFI20230315BHJP
   F24H 1/00 20220101ALI20230315BHJP
   F24H 15/174 20220101ALI20230315BHJP
   F24H 15/219 20220101ALI20230315BHJP
   F24H 15/355 20220101ALI20230315BHJP
【FI】
F24H1/18 D
F24H1/00 631A
F24H15/174
F24H15/219
F24H15/355
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021124234
(22)【出願日】2021-07-29
(62)【分割の表示】P 2017069729の分割
【原出願日】2017-03-31
(65)【公開番号】P2021169926
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2021-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000170130
【氏名又は名称】パーパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】辰己 敏也
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-181725(JP,A)
【文献】特開2011-214793(JP,A)
【文献】特開2009-150635(JP,A)
【文献】特開2015-222142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00 - 1/18
F24H 15/00 - 15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源の熱を回収した熱媒を蓄熱タンクに溜め、該熱媒と給水とを熱交換して温水を生成する第1の給湯ユニットと、
前記第1の給湯ユニットから前記温水を受け、該温水を必要に応じて加熱するバックアップ熱源機、および前記第1の給湯ユニットが出湯する前記温水の温度を検出する温度検出手段を備え、前記温水または前記バックアップ熱源機で加熱した温水を出湯する第2の給湯ユニットと、
前記第1の給湯ユニットが出湯して、前記第2の給湯ユニットに流入した前記温水の検出温度情報を受け、前記バックアップ熱源機を制御する制御部と、
を備え、
前記第1の給湯ユニットが設定温度で前記第2の給湯ユニットに出湯した場合、前記第2の給湯ユニットに流入した前記温水の前記設定温度からの温度変化がしきい値以内であれば、前記バックアップ熱源機を動作させないで前記温水を前記第2の給湯ユニットから出湯させ、前記温水の前記設定温度からの温度変化が前記しきい値より大きければ、前記バックアップ熱源機で前記温水を前記設定温度まで加熱させて前記第2の給湯ユニットから出湯させるとともに、前記第2の給湯ユニットに流入した前記温水と前記設定温度との差分情報に基づいて前記第1の給湯ユニットからの出湯温度を補正させることを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
第1の給湯ユニットが、熱源の熱を回収した熱媒を蓄熱タンクに溜め、該熱媒と給水とを熱交換して温水を生成する工程と、
第2の給湯ユニットが、前記第1の給湯ユニットから前記温水を受け、該温水を必要に応じてバックアップ熱源機を動作させて出湯する工程と、
温度検出手段が、前記第1の給湯ユニットが出湯して、前記第2の給湯ユニットに流入した前記温水の温度を検出する工程と、
前記第1の給湯ユニットが設定温度で前記第2の給湯ユニットに出湯した場合、前記第2の給湯ユニットに流入した前記温水の前記設定温度からの温度変化がしきい値以内であれば、前記バックアップ熱源機を動作させないで前記第1の給湯ユニットから給湯される前記温水を前記第2の給湯ユニットから出湯させ、前記温水の前記設定温度からの温度変化が前記しきい値より大きければ、前記バックアップ熱源機で前記温水を前記設定温度まで加熱させて前記第2の給湯ユニットから出湯させるとともに、前記第2の給湯ユニットに流入した前記温水と前記設定温度との差分情報に基づいて前記第1の給湯ユニットからの出湯温度を補正させる工程と、
を含む給湯方法。
【請求項3】
コンピュータに実行させる給湯プログラムであって、
第1の給湯ユニットに、熱源の熱を回収した熱媒を蓄熱タンクに溜めかつ該熱媒と給水とを熱交換して温水を生成させる機能と、
第2の給湯ユニットに、前記第1の給湯ユニットから前記温水を受け、該温水を必要に応じてバックアップ熱源機を動作させて出湯させる機能と、
前記第1の給湯ユニットが出湯して、前記第2の給湯ユニットに流入した前記温水の温度を検出する温度検出手段から検出温度情報を取得する機能と、
前記第1の給湯ユニットが設定温度で前記第2の給湯ユニットに出湯した場合、前記第2の給湯ユニットに流入した前記温水の前記設定温度からの温度変化がしきい値以内であれば、前記バックアップ熱源機を動作させないで前記第1の給湯ユニットから給湯される前記温水を前記第2の給湯ユニットから出湯させ、前記温水の前記設定温度からの温度変化が前記しきい値より大きければ、前記バックアップ熱源機で前記温水を前記設定温度まで加熱させて前記第2の給湯ユニットから出湯させるとともに、前記第2の給湯ユニットに流入した前記温水と前記設定温度との差分情報に基づいて前記第1の給湯ユニットからの出湯温度を補正させる機能と、
を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項4】
少なくともエンジン、燃料電池、太陽熱交換器の何れかを熱源に備えるコージェネレーションシステムであって、
前記熱源の熱を回収した熱媒を蓄熱タンクに溜め、該熱媒と給水とを熱交換して温水を生成する第1の給湯ユニットと、
前記第1の給湯ユニットから前記温水を受け、該温水を必要に応じて加熱するバックアップ熱源機、および前記第1の給湯ユニットが出湯する前記温水の出湯温度を検出する温度検出手段を備え、前記温水または前記バックアップ熱源機で加熱した温水を出湯する第2の給湯ユニットと、
前記温度検出手段により前記第1の給湯ユニットから前記第2の給湯ユニットに流入した前記温水の検出温度情報を受け、前記バックアップ熱源機を制御する制御部と、
を備え、
前記第1の給湯ユニットが設定温度で前記第2の給湯ユニットに出湯した場合、前記第2の給湯ユニットに流入した前記温水の前記設定温度からの温度変化がしきい値以内であれば、前記バックアップ熱源機を動作させないで前記温水を前記第2の給湯ユニットから出湯させ、前記温水の前記設定温度からの温度変化が前記しきい値より大きければ、前記バックアップ熱源機で前記温水を前記設定温度まで加熱させて前記第2の給湯ユニットから出湯させるとともに、前記第2の給湯ユニットに流入した前記温水と前記設定温度との差分情報に基づいて前記第1の給湯ユニットからの出湯温度を補正させることを特徴とするコージェネレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスエンジンや燃料電池に生じる熱エネルギーを給湯加熱に利用する熱利用技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスなどを燃料とするエンジン発電機や燃料電池で生じた熱エネルギー、太陽熱など、熱エネルギーを給湯加熱に利用する給湯システムが知られている。
このような給湯システムにおいて、給湯などに必要な熱量に蓄熱量が不足する場合には、補助加熱を行っている。この補助熱源には、たとえばバーナによるガス燃焼熱を利用することで、要求温度での給湯を可能にしている。
このような給湯システムに関し、太陽熱温水器の下流に補助熱源器が配置されるものが知られている(特許文献1)。補助熱源の効率的な利用について、給湯時に補助熱源を作動させ、貯湯タンクに温水を満蓄状態で保持することに比較して大気への放熱や、燃料消費の低減を図ることが知られている(たとえば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-148804号公報
【文献】特開2007-311036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、給湯システムでは、エンジン発電機や燃料電池、太陽熱などの熱源から熱を回収して蓄熱する蓄熱給湯装置と、この蓄熱給湯装置から給湯された湯を加熱する補助熱源がそれぞれ独立した装置で構成される場合がある。蓄熱給湯装置と補助熱源は配管で接続されており、蓄熱された熱エネルギーの状態に対し、補助熱源によって湯を加熱して給湯負荷側に給湯要求に合せた温度で給湯が行える。
しかしながら、このような給湯システムは、たとえば設置スペースなどを確保するために、蓄熱給湯装置と補助熱源とが離れて配置されることがある。この場合、補助熱源には、配置環境や気候の影響などにより、蓄熱給湯装置から出湯したときよりも温度が変化した湯が供給されるおそれがある。給湯システムでは、たとえば蓄熱給湯装置と補助熱源を同じ目標温度で制御すると、蓄熱給湯装置での蓄熱が十分であっても、給湯する度に補助熱源による加熱処理を行うことになり、燃料ガスの消費が増大することで、排熱源の熱エネルギーを有効に利用できないという課題がある。また、給湯システムでは、たとえば外気温度や蓄熱給湯装置と補助熱源との間の配管温度などを監視し、その温度状態に応じて補助熱源の燃焼量を制御するのでは、処理が複雑化するという課題がある。
そこで、本発明の目的はこのような課題を解決するため、給湯装置に対して補助熱源を離間して設置する給湯システムにおいて、蓄熱した熱エネルギーを有効利用することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の給湯システムの一側面によれば、熱源の熱を回収した熱媒を蓄熱タンクに溜め、該熱媒と給水とを熱交換して温水を生成する第1の給湯ユニットと、前記第1の給湯ユニットから前記温水を受け、該温水を必要に応じて加熱するバックアップ熱源機、および前記第1の給湯ユニットが出湯する前記温水の温度を検出する温度検出手段を備え、前記温水または前記バックアップ熱源機で加熱した温水を出湯する第2の給湯ユニットと、前記第1の給湯ユニットが出湯して、前記第2の給湯ユニットに流入した前記温水の検出温度情報を受け、前記バックアップ熱源機を制御する制御部とを備え、前記第1の給湯ユニットが設定温度で前記第2の給湯ユニットに出湯した場合、前記第2の給湯ユニットに流入した前記温水の前記設定温度からの温度変化がしきい値以内であれば、前記バックアップ熱源機を動作させないで前記温水を前記第2の給湯ユニットから出湯させ、前記温水の前記設定温度からの温度変化が前記しきい値より大きければ、前記バックアップ熱源機で前記温水を前記設定温度まで加熱させて前記第2の給湯ユニットから出湯させるとともに、前記第2の給湯ユニットに流入した前記温水と前記設定温度との差分情報に基づいて前記第1の給湯ユニットからの出湯温度を補正させる。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の給湯方法の一側面によれば、第1の給湯ユニットが、熱源の熱を回収した熱媒を蓄熱タンクに溜め、該熱媒と給水とを熱交換して温水を生成する工程と、第2の給湯ユニットが、前記第1の給湯ユニットから前記温水を受け、該温水を必要に応じてバックアップ熱源機を動作させて出湯する工程と、温度検出手段が、前記第1の給湯ユニットが出湯して、前記第2の給湯ユニットに流入した前記温水の温度を検出する工程と、前記第1の給湯ユニットが設定温度で前記第2の給湯ユニットに出湯した場合、前記第2の給湯ユニットに流入した前記温水の前記設定温度からの温度変化がしきい値以内であれば、前記バックアップ熱源機を動作させないで前記第1の給湯ユニットから給湯される前記温水を前記第2の給湯ユニットから出湯させ、前記温水の前記設定温度からの温度変化が前記しきい値より大きければ、前記バックアップ熱源機で前記温水を前記設定温度まで加熱させて前記第2の給湯ユニットから出湯させるとともに、前記第2の給湯ユニットに流入した前記温水と前記設定温度との差分情報に基づいて前記第1の給湯ユニットからの出湯温度を補正させる工程とを含む。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のプログラムの一側面によれば、コンピュータに実行させる給湯プログラムであって、第1の給湯ユニットに、熱源の熱を回収した熱媒を蓄熱タンクに溜めかつ該熱媒と給水とを熱交換して温水を生成させる機能と、第2の給湯ユニットに、前記第1の給湯ユニットから前記温水を受け、該温水を必要に応じてバックアップ熱源機を動作させて出湯させる機能と、前記第1の給湯ユニットが出湯して、前記第2の給湯ユニットに流入した前記温水の温度を検出する温度検出手段から検出温度情報を取得する機能と、前記第1の給湯ユニットが設定温度で前記第2の給湯ユニットに出湯した場合、前記第2の給湯ユニットに流入した前記温水の前記設定温度からの温度変化がしきい値以内であれば、前記バックアップ熱源機を動作させないで前記第1の給湯ユニットから給湯される前記温水を前記第2の給湯ユニットから出湯させ、前記温水の前記設定温度からの温度変化が前記しきい値より大きければ、前記バックアップ熱源機で前記温水を前記設定温度まで加熱させて前記第2の給湯ユニットから出湯させるとともに、前記第2の給湯ユニットに流入した前記温水と前記設定温度との差分情報に基づいて前記第1の給湯ユニットからの出湯温度を補正させる機能とを前記コンピュータに実行させる。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のコージェネレーションシステムの一側面によれば、少なくともエンジン、燃料電池、太陽熱交換器の何れかを熱源に備えるコージェネレーションシステムであって、前記熱源の熱を回収した熱媒を蓄熱タンクに溜め、該熱媒と給水とを熱交換して温水を生成する第1の給湯ユニットと、前記第1の給湯ユニットから前記温水を受け、該温水を必要に応じて加熱するバックアップ熱源機、および前記第1の給湯ユニットが出湯する前記温水の出湯温度を検出する温度検出手段を備え、前記温水または前記バックアップ熱源機で加熱した温水を出湯する第2の給湯ユニットと、前記温度検出手段により前記第1の給湯ユニットから前記第2の給湯ユニットに流入した前記温水の検出温度情報を受け、前記バックアップ熱源機を制御する制御部とを備え、前記第1の給湯ユニットが設定温度で前記第2の給湯ユニットに出湯した場合、前記第2の給湯ユニットに流入した前記温水の前記設定温度からの温度変化がしきい値以内であれば、前記バックアップ熱源機を動作させないで前記温水を前記第2の給湯ユニットから出湯させ、前記温水の前記設定温度からの温度変化が前記しきい値より大きければ、前記バックアップ熱源機で前記温水を前記設定温度まで加熱させて前記第2の給湯ユニットから出湯させるとともに、前記第2の給湯ユニットに流入した前記温水と前記設定温度との差分情報に基づいて前記第1の給湯ユニットからの出湯温度を補正させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、次のいずれかのような効果が得られる。
【0010】
(1) エンジン、燃料電池、太陽熱交換器の何れかの排熱源からの排熱を蓄熱し、この熱を給湯加熱に有効に利用でき、排熱の効率的利用を図ることができる。
【0011】
(2) 蓄熱状態に応じて補助熱源の動作を制限することで、燃料ガスの無駄な燃焼を防止し、省エネを図ることができる。
【0012】
(3) 蓄熱状態に関わらず設定温度に応じた給湯処理が実現できる。
【0013】
(4) 蓄熱が足りている時の情報に基づいて補助熱源が加熱制御を行うことで、蓄熱状態の変化に対して、同じ温度での給湯を継続できる。
【0014】
(5) 補助熱源に流入する温度を蓄熱給湯装置側に通知し、給湯温度を調整することで、給湯システムの設置環境に対応して、設定温度での給湯を行うことができ、かつ補助熱源の燃焼量を減らすことができる。
【0015】
そして、本発明の他の目的、特徴および利点は、添付図面および各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施の形態に係る給湯システムの構成例を示す図である。
図2】給湯制御処理の一例を示すフローチャートである。
図3】第2の実施の形態に係る給湯システムの構成例を示す図である。
図4】給湯制御処理の一例を示すフローチャートである。
図5】第3の実施の形態に係るコージェネレーションシステムの構成例を示す図である。
図6】蓄熱タンク内の状態例を示す図である。
図7】コージェネレーションシステムの制御部の一例を示す図である。
図8】コージェネレーションシステムを構成する各装置の連係制御の概要を示すフローチャートである。
図9】燃料電池ユニットの熱回収処理の一例を示すフローチャートである。
図10】蓄熱給湯装置の蓄熱給湯処理の一例を示すフローチャートである。
図11】補助加熱装置でのバックアップ給湯処理の一例を示すフローチャートである。
図12】第4の実施の形態に係るコージェネレーションシステムの給湯制御処理の一例を示すフローチャートである。
図13】蓄熱給湯処理の一例を示すフローチャートである。
図14】バックアップ給湯処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔第1の実施の形態〕
【0018】
図1は、第1の実施の形態に係る給湯システムを示している。図1に示す構成は一例であり、本発明が係る構成に限定されるものではない。
【0019】
この給湯システム2は、第1の給湯ユニット4-1や第2の給湯ユニット4-2を備えている。第1の給湯ユニット4-1は、たとえば熱源から回収した熱を蓄熱するとともに、この蓄熱を利用して水を加熱して給湯する給湯機能を備える。第2の給湯ユニットは、第1の給湯ユニット4-1から出湯した湯を取り込んで、設定温度になるように加熱処理などを実行する補助熱源の一例である。この第1の給湯ユニット4-1と第2の給湯ユニット4-2は、接続管路5で接続されている。この接続管路5は、一端が第1の給湯ユニットの出湯部に接続され、他端側が第2の給湯ユニット4-2の給水部側に接続される。接続管路5は、第1の給湯ユニット4-1と第2の給湯ユニット4-2の配置間隔に応じた直管でもよく、または給湯システム2の配置位置にある図示しない建物などの障害物を回避するように形状や配置長さなどが設定されればよい。
【0020】
そして給湯システム2の給湯処理では、第1の給湯ユニット4-1から供給される湯の温度を判断基準として、第2の給湯ユニット4-2での補助加熱を行うか否かを制御する。
【0021】
<第1の給湯ユニット4-1>
第1の給湯ユニット4-1は、たとえば外部の熱源8から熱を回収して溜める蓄熱タンク6を備えている。また、蓄熱タンク6内の蓄熱を利用して湯を沸かす熱交換部10-1や水の給水温度や蓄熱タンク6内の蓄熱状態を監視する温度検出部12-1を備えている。
蓄熱タンク6は、たとえば熱源8との間に循環管路が形成され、その内部に熱源8から発せられる熱を回収する熱媒を溜めている。熱源8は、たとえばエンジン発電機や燃料電池、太陽熱を回収するソーラシステムなどの発熱装置である。熱媒は、たとえば水や不凍液、その他液体またはそれに近い状態の媒体である。蓄熱処理では、たとえば蓄熱タンク6から熱源8の排熱よりも低温の熱媒を管路内に流すと、熱媒が発熱部分と熱交換して加熱される。熱源8は、熱媒との熱交換によって吸熱され、冷却される。熱交換した熱媒は、蓄熱タンク6の上部側からタンク内に蓄熱される。
さらに蓄熱タンク6は、たとえば後述するように、熱交換部10-1との間に循環管路が形成され、蓄熱タンク6内の高温の熱媒を熱交換部10-1内に通過させる。このとき熱交換部10-1には、たとえば給湯要求に従って低温の給水Wが取込まれ、この給水Wを高温の熱媒と熱交換させることで給水Wを加熱して湯HWを生成する。給水Wとの熱交換によって冷却された熱媒は、再び熱源8側に送られて蓄熱する。
第1の給湯ユニット4-1には、熱源8に対する熱回収処理や蓄熱タンク6内の蓄熱状態監視処理、また監視結果から蓄熱状態情報を生成する処理、蓄熱を利用して所定温度で給湯する給湯処理などを制御する制御部14-1を備えている。この制御部14-1には、たとえば記憶部16-1を備えており、給湯要求で設定された設定温度情報や蓄熱タンク6内の蓄熱状態情報などを記憶する手段の一例である。そのほか、制御部14-1は、生成した蓄熱状態情報を第2の給湯ユニット4-2側に通知する。
【0022】
<第2の給湯ユニット4-2>
第2の給湯ユニット4-2は、たとえば接続管路5を通じて供給された湯を加熱するバックアップ熱源機18、第2の給湯ユニット4-2を制御する制御部14-2、供給された湯や第2の給湯ユニット4-2から出湯する湯の温度を検出する温度検出部12-2を備える。すなわち、第2の給湯ユニット4-2は、給水加熱する給湯機を用いればよい。
バックアップ熱源機18には、たとえば燃焼部20や熱交換部10-2を備える。
燃焼部20は、たとえばバーナなどの燃料ガスを燃焼して燃焼排気を生成する補助熱源の一例である。熱交換部10-2は、液体同士の熱交換または液気体間の熱交換を行う機能部の一例であり、供給された湯HWを燃焼部20の燃焼排気と熱交換させるものでもよく、または燃焼部20で発生した燃焼排気と熱交換した熱媒を介して、湯HWを加熱する構成であってもよい。
制御部14-2は、たとえば記憶部16-2を備えており、第2の給湯ユニット4-2から出湯させる給湯温度情報や、第1の給湯ユニット4-1から供給される湯と、給湯要求の設定温度に対するしきい値情報などが記憶されている。また制御部14-2は、制御部14-1から蓄熱状態情報を取得する。
制御部14-2は、温度検出部12-2で検出した湯の検出温度、蓄熱タンク6の蓄熱状態情報を利用し、バックアップ熱源機18による補助加熱を行うか否かの制御を行う。この制御部14-2は、以下の制御を行う。
【0023】
<第2の給湯ユニット4-2の制御>
(1) 給湯要求に対し、第1の給湯ユニット4-1での蓄熱が足りない場合には、給湯要求時に設定された設定温度、または制御部14-2に設定された給湯温度になるように、バックアップ熱源機18を燃焼させて第1の給湯ユニット4-1からの湯HWの補助加熱を行う。
(2) 給湯要求に対し、第1の給湯ユニット4-1の蓄熱が足りる場合、第2の給湯ユニット4-2に供給された湯HWの温度を検出し、湯HWの温度が設定温度Tに対して所定のしきい値Kの範囲(T-K)以上であれば、補助加熱をせず、この検出温度の状態で給湯させる。すなわち、制御部14-2からの指示によりバックアップ熱源機18は動作させない。さらに、記憶部16-2は、このときの湯HWの検出温度を給湯温度情報として記憶する。なお、このしきい値Kは、たとえば接続管路5の配管長さや材質、設置環境の条件などに基づいて設定されればよく、接続管路5を通すことによって低下する可能性がある温度情報の一例である。
(3) また、第1の給湯ユニット4-1の蓄熱が足りる場合であって、湯HWの温度が設定温度Tに対して所定のしきい値Kの範囲(T-K)に達しない場合、バックアップ熱源機18を燃焼させて、給湯要求の設定温度Tまたは記憶された給湯温度情報に基づいて補助加熱する。
【0024】
<給湯システム2の給湯制御>
図2は、給湯システムによる給湯制御の一例を示している。図2に示す処理内容、処理手順は一例であり、本発明が斯かる内容に限定されない。図2において、処理L1は第1の給湯ユニット4-1が行う処理であり、処理L2が第2の給湯ユニット4-2で行う処理を示している。
この給湯制御は、本開示の給湯プログラムの一例である。第1の給湯ユニット4-1では、給湯要求に応じて蓄熱タンク6内の熱を利用して給水と熱交換する(ステップS1)とともに、蓄熱タンク6内の蓄熱状態情報を取得し、第2の給湯ユニット4-2側に発信する(ステップS2)。なお、蓄熱状態情報の取得は、たとえば給湯要求を受けて給湯を開始するときや、蓄熱タンク6内の熱媒の温度状態に変化があったとき等を契機に行えばよい。
【0025】
次に、第2の給湯ユニット4-2では、第1の給湯ユニット4-1から蓄熱状態情報を受信し、記憶部16-2に記憶する(ステップS3)ほか、流入した湯HWの検出温度を取り込む(ステップS4)。制御部14-2では、蓄熱状態情報、検出温度が設定温度に対してしきい値の範囲以上かを判断し(ステップS5)、給湯温度での補助加熱処理またはバックアップ熱源機18の停止制御を出力する(ステップS6)。また制御部14-2は、湯HWの検出温度を給湯温度として記憶する(ステップS7)。
【0026】
<第1の実施の形態の効果>
【0027】
斯かる構成によれば、以下の効果が得られる。
【0028】
(1) 第1の給湯ユニット4-1が設定温度で給湯した場合、接続管路5の配置環境などにより予め想定したしきい値内の温度変化であれば第2の給湯ユニット4-2のバックアップ熱源機18を動作させないので、給湯毎に補助加熱するのを防止でき、燃料ガスの消費量を抑えることができる。
【0029】
(2) 蓄熱タンク6内の蓄熱状態に応じて補助加熱を行うか否かを判断することで、蓄熱した熱エネルギーを有効に利用することができる。
【0030】
(3) 第2の給湯ユニット4-2は、第1の給湯ユニット4-1から取り込んだ湯の検出温度を給湯温度として記憶し、この給湯温度を基準にバックアップ熱源機18の燃焼制御を行うことで、補助加熱の有無によって負荷から出湯する湯の温度を変化させず、安定的な給湯処理が実行できる。
【0031】
(4) 第1の給湯ユニット4-1から取り込んだ湯の検出温度を給湯温度に設定することで、蓄熱した熱エネルギーを利用する場合と同等な温度で給湯し、過剰な補助加熱を行わないので、燃料ガスの無駄を防止できる。
【0032】
〔第2の実施の形態〕
【0033】
図3は、第2の実施の形態に係る給湯システムの構成例を示している。図3において、図1と同一部分には同一の符号を付している。
この給湯システム2は、本開示の給湯システム、給湯プログラム、コージェネレーションシステムの一例であり、給湯ユニット4-2への入水温度を給湯システム2の給湯制御の基準温度としている。
この給湯システム2は、第1の実施の形態に示すものと同等の構成であればよく、その詳細な説明は割愛する。
第1の給湯ユニット4-1には、たとえば記憶部16-1内に、蓄熱タンク6の状態を示す蓄熱状態情報を記憶するほか、給湯要求に基づく設定温度情報を記憶している。
第2の給湯ユニット4-2には、たとえば記憶部16-2内に、給湯要求時に取得した設定温度情報や第2の給湯ユニット4-2の動作処理に用いる給湯温度情報、しきい値情報などが記憶されている。
さらに、第2の給湯ユニット4-2は、供給された湯HWの状態情報である検出した検出温度情報、または設定温度に対する差分温度情報などを第1の給湯ユニット4-1の制御部14-1に通知する。
【0034】
このような構成において、制御部14-2は、温度検出部12-2で検出した湯HWの検出温度、蓄熱タンク6の蓄熱状態情報を利用して、バックアップ熱源機18による補助加熱処理を行うとともに、第1の給湯ユニット4-1に対して、給湯されている湯が給湯要求の設定温度と一致しないことを通知して給湯制御の調整を促す、所謂フィードバック(FB)処理を行う。
給湯システム2では、たとえば給湯制御として以下のような処理を行う。
【0035】
<第2の給湯ユニット4-2の制御>
(1) 制御部14-2は、給湯要求に対し、第1の給湯ユニット4-1の蓄熱状態に関わらず、入水した湯HWの検出温度情報に基づいて、給湯要求時に設定された設定温度になるように、バックアップ熱源機18を燃焼させて補助加熱を行う。
(2) 給湯要求に対し、第1の給湯ユニット4-1の蓄熱が足りる場合、制御部14-2は、記憶した検出温度情報か、またはこの検出温度情報と設定温度情報との差分温度情報を第1の給湯ユニット4-1に通知する。
【0036】
<第1の給湯ユニット4-1の制御>
(1) 第1の給湯ユニット4-1は、蓄熱タンク6内の蓄熱状態情報を生成し、第2の給湯ユニット4-2に通知する。
(2) そして、制御部14-1は、蓄熱が足りる場合には設定温度になるように、図示しないポンプや開閉弁の開度を調整し、蓄熱タンク6の高温の熱媒と給水Wを熱交換させて湯HWを生成する。また蓄熱が足りない場合、制御部14-1は、可能な限り設定温度に近い温度に成るように給水Wを加熱させて第2の給湯ユニット4-2側に送り出す。
(3) 制御部14-1は、第2の給湯ユニット4-2から検出温度情報または差分温度情報を取得すると、検出温度情報または差分温度情報に基づいて、給湯温度を補正する。つまり、第2の給湯ユニット4-2側において、設定温度になるように給湯温度を設定する。基本的には、給湯温度≧設定温度となる。
【0037】
<給湯システム2の給湯制御>
図4は、給湯システムによる給湯制御の一例を示している。図4に示す処理内容、処理手順は一例であり、本発明が斯かる内容に限定されない。図4において、処理L1は第1の給湯ユニット4-1で行う処理であり、処理L2が第2の給湯ユニット4-2で行う処理を示している。この給湯制御は、本開示の給湯制御プログラムの一例である。
【0038】
この給湯制御において、ステップS11~ステップS14は、図2のステップS1~ステップS4と同じ処理であり、その説明を割愛する。
第2の給湯ユニット4-2では、取得した蓄熱状態情報を参照するとともに、検出温度情報または差分温度情報を記憶する(ステップS15)。
また、制御部14-2は、検出温度情報または差分温度情報を第1の給湯ユニット4-1に向けて通知する(ステップS16)。
制御部14-2は、入水した湯HWの温度が設定温度よりも低い場合、バックアップ熱源機18を動作させて加熱させた後に、負荷に向けて出湯させる(ステップS17)。
【0039】
第1の給湯ユニット4-1では、受信した検出温度情報または差分温度情報に基づいて、給湯温度の調整を行う(ステップS18)。
【0040】
なお、この実施の形態において、第2の給湯ユニット4-2は、入水した湯HWの検出温度が給湯要求温度に対して差分がある場合に補助加熱を実行する場合を示したが、これに限らない。第2の給湯ユニット4-2は、たとえば、差分温度の値が小さい場合には、補助加熱を行わない、または所定時間待機してから補助加熱を行うなどの処理を行ってもよい。また、補助加熱処理では、検出温度情報のみに基づく場合に限らず、流量センサを利用して、給湯量の大小などを判断してもよい。すなわち、給湯量が少ない場合であって、差分温度が小さい場合には、バックアップ熱源機18の最低燃焼能力などに基づき、補助加熱を行わないようにしてもよい。
【0041】
<第2の実施の形態の効果>
斯かる構成によれば、次のような効果が得られる。
【0042】
(1) 第2の給湯ユニット4-2側の検出温度情報に基づいて第1の給湯ユニット4-1での給湯温度を補正することで、給湯ユニット間での温度低下を考慮した給湯処理ができ、補助加熱処理の実行回数を低減することができる。
【0043】
(2) 補助加熱の実行回数を低減させ、蓄熱した熱エネルギーを優先的に利用することで、燃料ガスの消費量を低減できる。
【0044】
(3) 給湯ユニット間での湯HWの温度の低下状態に応じて給湯温度が調整されるので、給湯システム2の設置環境や季節毎の温度変化に対応し、要求した温度での給湯処理を行うことができる。
【0045】
〔第3の実施の形態〕
【0046】
図5は、第3の実施の形態に係るコージェネレーションシステムの構成例を示している。図5において、図1と同一部分には同一の符号を付している。
このコージェネレーションシステム30は、本開示の給湯システム、コージェネレーションシステムの一例であり、たとえば図5に示すように、給湯システム32として第1の給湯ユニットである蓄熱給湯装置34-1、第2の給湯ユニットの一例である補助加熱装置34-2を備える。またコージェネレーションシステム30には、たとえば熱源として、燃料電池ユニット36を備える。
【0047】
蓄熱給湯装置34-1は蓄熱機能と給湯機能を有する。この蓄熱給湯装置34-1には第1の熱媒HM1が貯められる蓄熱タンク6が備えられ、この蓄熱タンク6の下層部側から熱媒循環路38-1に流れ、たとえば、排熱源に循環させて加熱した高温の熱媒HM1が蓄熱タンク6の上層部に戻される。これにより階層状態の蓄熱が行われる。蓄熱タンク6はたとえば、開放式の蓄熱タンクが用いられる。熱媒HM1は排熱源側の冷却用熱媒であり、排熱源から熱を回収し、蓄熱タンク6に蓄熱させる。蓄熱タンク6にはタンク内の上層、中層および下層の熱媒温度を検出する複数の温度センサが備えられ、温度センサ40-1の検出温度T1は上層の熱媒温度を表す。この蓄熱機能により、給湯機能では熱媒HM1の熱を給水Wに熱交換し、湯HWを給湯する。
【0048】
給湯時、給水路38-2に供給される給水Wは熱交換器42-1に流入する。このとき、循環ポンプ44-1を駆動することにより、熱媒HM1が蓄熱タンク6の上層側から熱媒循環路38-3を通じて熱交換器42-1に流れる。熱交換器42-1では熱媒HM1の熱が給水Wに熱交換され、熱媒HM1の熱により、給水Wから湯HWが生成される。この湯HWが蓄熱給湯装置34-1の給湯路38-4から給湯される。
【0049】
給水路38-2にはたとえば蓄熱給湯装置34-1の入口側に、給水温度T2を検出する温度センサ40-2が設置されている。この給水路38-2には、混合弁46-1が設置され、この混合弁46-1を介して給水Wの一部を分岐して給湯路38-4側に流すバイパス路38-5が設置されている。これにより混合弁46-1の開度比率に応じた混合比で湯HWに給水Wを混合することができる。したがって、蓄熱タンク6の熱媒HM1の熱量が設定温度Tの湯HWを得るに必要な熱量以上であれば、湯HWのみ、または湯HWと給水Wの混合水により設定温度Tの湯HWを出湯させることができるが、熱量が不足していれば、湯HWの出湯温度は設定温度T未満となる。そのほか、給水路38-2には、給水Wの流量を検出する流量センサ50-1を備えており、この検出流量を熱媒HM1と給水Wの熱交換処理に利用する。また、給湯路38-4には、熱交換後の温度を検出する温度センサ40-3や出湯時の湯HWの温度を検出する温度センサ40-4が備えられている。
【0050】
補助加熱装置34-2の給湯路38-7には、蓄熱給湯装置34-1の給湯路38-4が供給管38-6を介して接続されており、給湯路38-4は給湯路38-7と連続した通水路を構成する。これにより蓄熱給湯装置34-1から出湯した湯HWが補助加熱装置34-2に供給される。この給湯路38-7には、たとえば熱交換器42-2よりも上流側で分岐され、混合弁46-3を介して熱交換器42-2よりも下流側に接続されたバイパス路38-8が設置されている。このとき給湯路38-7に流れる湯HWの温度が設定温度Tであれば補助加熱装置34-2による補助加熱処理は不要であり、その温度を維持させて補助加熱装置34-2から出湯させればよい。そのほか、給湯路38-7には、補助加熱装置34-2に流入する湯HWの流量を検出する流量センサ50-2を備えている。補助加熱処理では、検出流量をバーナ43の燃焼制御や循環ポンプ44-2の動作制御に利用すればよい。
【0051】
補助加熱装置34-2には、たとえばバックアップ熱源機の一例として、燃料ガスを燃焼させるバーナ43を備える。補助加熱に利用する熱源は、バーナ43の燃焼排気の熱のほか、電熱や太陽熱を利用してもよい。補助加熱装置34-2は、補助加熱を行う場合、循環ポンプ44-2を動作させて熱媒循環路38-9に第2の熱媒HM2を循環させ、バーナ43の燃焼熱を熱交換器42-3で熱媒HM2に熱交換させる。このバーナ43の燃焼熱量は、たとえば熱交換後の熱媒HM2が所定温度T9として、たとえば80〔℃〕になるように調整される。この熱媒HM2の温度は、たとえば熱交換後の熱媒HM2の温度を検出する温度センサ40-9によって検出される。これにより、熱媒HM1の熱量不足をバーナ43による熱媒HM2の加熱により補填する。そのほか、熱媒循環路38-9には、熱媒HM2の圧力を制御するためのアキュームレータ52を備えてもよい。
【0052】
補助加熱処理では、給湯路38-7の入側に設置された温度センサ40-6の検出温度T6が設定温度Tを下回った場合に、熱交換器42-2に湯HWを流入させ、熱媒HM2と湯HWとを熱交換させ、湯HWを加熱させる。熱交換器42-2の出側の湯HWの温度T7が温度センサ40-7により検出される。熱交換後の湯HWは、混合弁46-4により給湯路38-7側とバイパス路38-8側の開度比率に応じた混合比で熱交換前の湯HWを混合することが可能である。すなわち、熱交換後の湯HWの検出温度T7が設定温度Tより高ければ、バイパス路38-8から熱交換前の湯HWと所定の混合比で混合し、設定温度Tの混合水のHWを出湯させる。この混合水のHWの温度は給湯路38-7にある温度センサ40-8で検出され、この検出温度T8が混合水のHWを設定温度Tに調整する混合弁46-4の開度調整に用いられる。
【0053】
<燃料電池ユニット36の構成>
燃料電池ユニット36は、蓄熱給湯装置34-1の排熱源の一例であり、この熱源として燃料電池48を備えている。燃料電池ユニット36には、熱交換器42-4が設置され、排気路38-10を通じて燃料電池48の排気HM3が流れる。また熱交換器42-4には、熱媒循環路38-1が設置されている。循環ポンプ44-3を動作させることで、熱媒HM1は、熱交換器42-4に対して循環し、排気路38-10に流れる高温の排気HM3の排熱によって加熱される。熱媒循環路38-1には、熱交換器42-4の入側温度T10が温度センサ40-10により検出され、出側温度T11が温度センサ40-11により検出される。
【0054】
熱媒HM1は、蓄熱タンク6の下層側から熱媒循環路38-1に流され、熱交換器42-4で排熱との熱交換後、蓄熱タンク6の上層側に戻される。これにより、熱媒HM1の階層蓄熱が行われる。蓄熱タンク6には、上層側から下層側に向けて、高さの異なる位置に複数の温度センサを備える。温度センサ40-1は、蓄熱タンク6の最上層側の熱媒温度を検出する。温度センサ40-5は、温度センサ40-1よりも低い位置での熱媒の温度を検出する。
【0055】
そのほか、このコージェネレーションシステム30には、たとえば蓄熱給湯装置34-1を制御する蓄熱給湯装置制御部60-1、補助加熱装置34-2を制御する補助加熱装置制御部60-2、燃料電池ユニット36を制御する燃料電池ユニット制御部60-3を備えている。また各制御部と通信して指示情報のやりとりを行うリモコン装置64(図7)を備えてもよい。
【0056】
<蓄熱タンク6内の蓄熱状態>
図6は、蓄熱タンク内の状態例を示している。蓄熱タンク6の上層にある温度センサ40-1の設置位置は、たとえば補助加熱を行う熱媒HM2の加熱能力や加熱速度に応じて設定してもよい。温度センサ40-1の位置は少なくとも、熱媒HM1の熱量が給湯に使用される前にバーナ43の立ち上げを完了する時間を確保可能な容積レベルの位置で熱媒HM1の温度を検出する位置であればよい。たとえば、規制流量24〔リットル/min〕を10〔秒〕で加熱可能である場合は、熱媒量が4〔リットル〕以上に相当する容積レベルの位置に設定し、その位置の熱媒温度を検出する。図中、破線Xは上層側の熱媒HM1と、下層側の低温の熱媒LHM1の分水嶺の仮想線を示している。
【0057】
蓄熱タンク6の蓄熱状態は、たとえば温度センサ40-1の検出温度T1が給湯要求の設定温度Tよりも所定温度βだけ高い温度か否かで判断する。すなわち、蓄熱状態は、蓄熱タンク6に溜められた熱媒HM1が設定温度Tでの給湯が行えるか否かにより判断する。これにより検出温度T1がT1<(T+β)であれば、蓄熱なしと判断し、またT1≧(T+β)であれば、蓄熱ありと判断すればよい。
【0058】
<制御部について>
図7は、コージェネレーションシステム30の制御部の一例を示している。この制御部62には通信機能を備えるコンピュータで構成される蓄熱給湯装置制御部60-1、補助加熱装置制御部60-2、燃料電池ユニット制御部60-3およびリモコン制御部60-4が含まれる。
蓄熱給湯装置制御部60-1は、蓄熱給湯装置34-1の制御手段であり、プロセッサ66-1、メモリ部68-1、システム通信部70-1、入出力部(I/O)72-1を備え、蓄熱給湯装置34-1の給湯制御を行う。プロセッサ66-1は、メモリ部68-1にあるOS(Operating System)や給湯プログラムを実行し、システム通信部70-1を介して補助加熱装置制御部60-2、燃料電池ユニット制御部60-3およびリモコン制御部60-4と連携し、給湯制御に必要な情報処理を実行する。メモリ部68-1にはROM(Read-Only Memory)やRAM(Random-Access Memory)が含まれる。このメモリ部68-1にはデータを格納するハードディスク装置や不揮発性メモリなどの記憶素子が用いられる。RAMは情報処理のワークエリアを構成する。システム通信部70-1は、補助加熱装置制御部60-2、燃料電池ユニット制御部60-3、リモコン制御部60-4側のシステム通信部と有線または無線で通信を行い、制御に必要な情報の送受を行う。I/O72-1には蓄熱給湯装置34-1にある温度センサ40-1などの各種温度センサ、流量センサ50-1から検出信号を受け、混合弁46-1や循環ポンプ44-1の制御信号を出力する。
【0059】
補助加熱装置制御部60-2は、補助加熱装置34-2の制御手段であり、プロセッサ66-2、メモリ部68-2、システム通信部70-2、I/O72-2を備え、補助加熱装置34-2の給湯制御を行う。プロセッサ66-2は、メモリ部68-2にあるOSや給湯プログラムを実行し、システム通信部70-2を介して蓄熱給湯装置制御部60-1、燃料電池ユニット制御部60-3およびリモコン制御部60-4と連携し、給湯制御に必要な情報処理を実行する。メモリ部68-2にはROMやRAMが含まれる。このメモリ部68-2にはデータを格納するハードディスク装置や不揮発性メモリなどの記憶素子が用いられる。RAMは情報処理のワークエリアを構成する。システム通信部70-2は、蓄熱給湯装置制御部60-1、燃料電池ユニット制御部60-3、リモコン制御部60-4側のシステム通信部と有線または無線で通信を行い、制御に必要な情報の送受を行う。I/O72-2には補助加熱装置34-2にある温度センサ40-6などの各種温度センサ、流量センサ50-2から検出信号を受け、混合弁46-4、循環ポンプ44-2、バーナ43の燃焼制御部74の制御信号を出力する。
【0060】
燃料電池ユニット制御部60-3は、燃料電池ユニット36の制御手段であり、プロセッサ66-3、メモリ部68-3、システム通信部70-3、I/O72-3を備え、燃料電池ユニット36の駆動制御を行う。プロセッサ66-3は、メモリ部68-3にあるOSや給湯プログラムを実行し、システム通信部70-3を介して蓄熱給湯装置制御部60-1、補助加熱装置制御部60-2およびリモコン制御部60-4と連携し、給湯制御に必要な情報処理を実行する。メモリ部68-3にはROMやRAMが含まれる。このメモリ部68-3にはデータを格納するハードディスク装置や不揮発性メモリなどの記憶素子が用いられる。RAMは情報処理のワークエリアを構成する。システム通信部70-3は、蓄熱給湯装置制御部60-1、補助加熱装置制御部60-2、リモコン制御部60-4側のシステム通信部と有線または無線で通信を行い、制御に必要な情報の送受を行う。I/O72-3は燃料電池ユニット36にある温度センサ40-10、40-11から検出信号を受け、循環ポンプ44-3、燃料電池制御関係のその他76の制御信号を出力する。
【0061】
リモコン制御部60-4はリモコン装置64に備えられ、独立した蓄熱給湯装置制御部60-1、補助加熱装置制御部60-2、燃料電池ユニット制御部60-3とコンピュータ通信により連携する。
【0062】
<連携制御の処理手順>
図8は、コージェネレーションシステム30を構成する各装置の連係制御の概要を示している。図8に示す処理内容は、本開示の給湯システムの給湯プログラム、コージェネレーションシステムの制御方法の一例である。
この処理手順について、リモコン装置64では、起動時にイニシャライズを実行し(S21)、入力受付処理(S22)、表示出力処理(S23)を実行する。入力受付処理ではユーザーにより初期設定が行われる。この初期設定には、たとえば蓄熱給湯装置34-1、補助加熱装置34-2に給湯の設定温度Tの入力が行われ、燃料電池ユニット36に対する運転のON/OFFの切替えが含まれる。表示出力処理ではリモコン装置64の表示部に入力情報や出力情報が提示される。
【0063】
燃料電池ユニット36では、イニシャライズを実行し(S31)、熱回収処理(S32)を実行する。熱回収処理は、リモコン装置64からの運転ON/OFFの切替えにより、その処理の開始または終了が指示される。
【0064】
蓄熱給湯装置34-1では、イニシャライズを実行し(S41)、蓄熱給湯処理I(S42)を実行する。この蓄熱給湯処理は、本開示の給湯処理の一例であり、リモコン装置64から設定情報として設定温度Tを受け、湯HWの出湯温度を設定温度Tに制御する。そして、この蓄熱給湯処理には、補助加熱装置34-2に対して蓄熱タンク6の蓄熱状態情報として、「蓄熱あり」または「蓄熱なし」を通知する。その他、蓄熱給湯装置34-1は、管理処理としてメンテナンスなどを行ってもよい。
【0065】
補助加熱装置34-2では、イニシャライズを実行し(S51)、補助加熱処理I(S52)を実行する。この補助加熱処理では、リモコン装置64から設定情報として設定温度Tと、蓄熱給湯装置34-1からの蓄熱状態情報である「蓄熱あり」または「蓄熱なし」を受ける。そして、補助加熱装置34-2では、蓄熱給湯装置34-1での出湯温度を基準とし、蓄熱タンク6内に蓄熱があるか否か、入水した湯の温度が設定温度Tから所定の温度差か否かによって補助加熱処理の実行と停止を制御する。その他、補助加熱装置34-2は、管理処理としてメンテナンスなどを行ってもよい。
【0066】
<熱回収処理>
図9は、燃料電池ユニット36の熱回収処理の処理手順を示している。
燃料電池ユニット36では、運転がONであるかを判定し(S321)、運転ONであれば(S321のYES)、燃料電池48を駆動する(S322)。燃料電池48の駆動では、熱回収後のOUT温度を検出する温度センサ40-11の検出温度T11が一定温度として、たとえば75〔℃〕になるように循環ポンプ44-3の回転を制御する(S323)。
運転ONでなければ(S321のNO)、燃料電池48の駆動を停止する、または停止状態を維持させる(S324)。燃料電池48の駆動停止では循環ポンプ44-3の回転を停止させる(S325)。
【0067】
<蓄熱給湯処理I>
図10は、蓄熱給湯装置34-1の蓄熱給湯処理(S42)の処理の一例を示している。
蓄熱給湯装置制御部60-1は、蓄熱タンク6内の検出温度状態などから蓄熱タンクに蓄熱ありか否かを判断し(ステップS421)、蓄熱があれば(ステップS421のYES)、少なくとも補助加熱装置34-2に対して『蓄熱あり』の蓄熱状態情報を送信する(ステップS422)。また、蓄熱がなければ(ステップS421のNO)、少なくとも補助加熱装置34-2に対して『蓄熱なし』の蓄熱状態情報を送信する(ステップS423)。蓄熱状態は、既述のように、入力された設定温度Tと蓄熱タンク6内の温度センサ40-1、40-5等の検出温度などを利用して判断すればよい。
【0068】
蓄熱給湯装置制御部60-1は、流量センサ50-1の検出結果から給湯使用か否かを判断し(ステップS424)、給湯使用であれば(ステップS424のYES)、蓄熱を給水Wに熱交換させる(ステップS425)。そして、蓄熱給湯装置制御部60-1は、設定温度Tでの給湯が可能かの判断として、温度センサ40-3で検出される温度T3が設定温度Tよりも高いかを判断する(ステップS426)。すなわちこの判断は、蓄熱タンクに蓄熱ありか否かの判断である。設定温度Tでの給湯が可能な場合(ステップS426のYES)、温度センサ40-4の検出温度が設定温度Tになるように混合弁46-1の開度を制御する(ステップS427)。
【0069】
また、設定温度Tでの給湯できない場合(ステップS426のNO)、蓄熱給湯装置34-1は、設定温度Tに出来る限り近い温度で補助加熱装置34-2側に給湯すればよい。
また、蓄熱給湯装置制御部60-1は、給湯使用でなければ(ステップS424のNO)、給湯を停止させる(ステップS429)。
【0070】
なお、蓄熱タンク6の蓄熱状態情報の送信は、たとえば給湯要求が発生したときや、蓄熱タンク6内の状態が変化したとき、給湯要求の設定温度Tが変化したときなど、状態変化時を契機に行ってもよい。
【0071】
また蓄熱給湯装置34-1は、たとえば蓄熱状態情報として、温度センサ40-1、40-5等の検出温度情報のみを補助加熱装置34-2やリモコン装置64に送信してもよく、この場合、蓄熱ありか否かの判断は、補助加熱装置34-2やリモコン装置64でおこなってもよい。
【0072】
<補助加熱処理I>
図11は、補助加熱装置34-2の補助加熱処理Iの一例を示している。
補助加熱装置制御部60-2には、たとえばメモリ部68-2に対し、給湯機設定温度としてリモコン装置64から通知された設定温度Tが設定される(ステップS521)。この給湯設定温度は、補助加熱装置34-2の給湯温度の一例であり、給湯する目標温度である。この給湯設定温度には、初期値として、設定温度Tが設定される。給湯使用かを判断し(ステップS522)、給湯使用であれば(ステップS522のYES)、蓄熱タンク6が『蓄熱あり』か否かを判断する(ステップS523)。この給湯使用の判断は、たとえば流量センサ50-2の検出結果を参照して判断すればよい。蓄熱ありの場合(ステップS523のYES)、温度センサ40-6を参照し、入水温度である検出温度T6が設定温度Tに対して所定のしきい値Kとして、たとえば2〔℃〕の範囲(T-K)以上か否かを判断する(ステップS524)。入水温度がしきい値Kの範囲以上である場合(ステップS524のYES)、メモリ部68-2の給湯機設定温度として、このときの検出温度T6である入水温度(T-α)を記憶する(ステップS525)。記憶する「α」は、設定温度Tに対する検出した入水温度T6の差分温度である。尚、混合弁46-4がバイパス路38-8側へ全開状態であれば、温度センサ40-8の検出温度T8を給湯機設定温度として記憶してもよい。
【0073】
そして、補助加熱装置34-2は、加熱動作を停止または停止状態を維持させ、または混合弁46-4をバイパス路38-8側へ全開状態として、検出温度状態で湯HWを給湯負荷側に出湯させる(ステップS526)。
【0074】
また、蓄熱タンク6が「蓄熱なし」の場合(ステップS523のNO)や、入水温度がしきい値Kの範囲外の場合(ステップS524のNO)、この入水温度が給湯機設定温度以上の温度か否かを判断し(ステップS527)、給湯機設定温度以上の場合(ステップS527のYES)、そのままの温度状態で出湯させ(ステップS526)、温度が低い場合(ステップS527のNO)、温度センサ40-8が設定温度Tに成るように混合弁46-3を制御する(ステップS528)。
さらに、給湯使用でない場合(ステップS522のNO)、給湯を停止させる(ステップS529)。
【0075】
なお、補助加熱装置34-2に対する入水温度T6が給湯機設定温度に満たない場合は、給湯機設定温度になるように加熱動作を行う。しかし、給湯機設定温度になっている場合には、加熱動作は行わず、その温度のまま給湯させる。
【0076】
<第3の実施の形態の効果>
この実施の形態によれば、以下のような効果が得られる。
【0077】
(1) 蓄熱給湯装置34-1が設定温度Tで給湯した場合、湯の通水上で予め想定したしきい値Kの範囲内の温度変化であれば補助加熱装置34-2でバーナ燃焼による補助加熱処理を行わないので、給湯を行う度に補助加熱処理が発生するのを防止でき、燃料ガスの消費量を抑えることができる。
【0078】
(2) 蓄熱タンク6内の蓄熱状態に応じて補助加熱を行うか否かを判断することで、蓄熱した熱エネルギーを有効に利用することができる。
【0079】
(3) 補助加熱装置34-2は、蓄熱給湯装置34-1から取り込んだ湯の検出温度を給湯温度に設定し、この給湯温度を基準にバーナ43の燃焼制御を行うことで、補助加熱の有無によって負荷への給湯温度を変化させず、安定的な給湯処理が実行できる。
【0080】
(4) 補助加熱装置34-2から取り込んだ湯の検出温度を次の給湯温度に設定することで、蓄熱した熱エネルギーを利用する場合と同等な温度で給湯し、過剰な補助加熱を行わないので、燃料ガスの無駄を防止できる。
【0081】
〔第4の実施の形態〕
【0082】
図12は、第4の実施の形態に係るコージェネレーションシステム30を構成する各装置の連係制御の概要を示している。この図12に示す連係制御は、本願発明の給湯プログラムの一例であり、斯かる処理内容、処理手順に本願発明は限定されない。
【0083】
図12に示す連係制御において、リモコン装置64の制御処理ステップS21~ステップS23、燃料電池ユニットの制御処理ステップS31、ステップS32は図8に示す処理と同様であるので、説明を割愛する。
【0084】
蓄熱給湯装置34-1では、イニシャライズを実行し(S41)、蓄熱給湯処理II(S42)を実行する。この蓄熱給湯処理は、本開示の給湯処理の一例であり、リモコン装置64から設定情報として設定温度Tを受け、湯HWの出湯温度を設定温度Tに制御する。そして、この蓄熱給湯処理には、補助加熱装置34-2に対して蓄熱タンク6の蓄熱状態情報として、「蓄熱あり」または「蓄熱なし」を通知するとともに、補助加熱装置34-2から温度センサ40-6で検出した入水温度情報の通知を受け、この入水温度に基づいて給湯温度を調整する。
【0085】
補助加熱装置34-2では、イニシャライズを実行し(S51)、補助加熱処理II(S52)を実行する。この補助加熱処理では、リモコン装置64から設定情報として設定温度Tを受け、湯HWの出湯温度を設定温度Tに制御する。また蓄熱給湯装置34-1からの蓄熱状態情報である「蓄熱あり」または「蓄熱なし」に応じて、バーナ43の燃焼制御を含む湯HWの加熱制御などを行う。また、蓄熱給湯装置34-1から供給された湯HWの入水温度を検出し、この検出温度がリモコン装置64から設定された設定温度Tと一致しない場合は、給湯温度を修正させるために、蓄熱給湯装置34-1側に入水温度情報を通知する。
【0086】
<蓄熱給湯処理II>
図13は、蓄熱給湯装置34-1の蓄熱給湯処理(S42)の処理の一例を示している。
蓄熱給湯装置制御部60-1には、蓄熱給湯装置34-1からの給湯温度として供給温度にリモコン装置64から設定された設定温度Tを記憶し(ステップS61)、蓄熱タンク6内の蓄熱状態の判断が行われる。蓄熱状態の判断処理や給湯使用判断のステップS62~S65は、図10のステップS421~ステップS424と同様であり、その説明を割愛する。ただし、蓄熱状態の判断基準となる設定温度Tは、この場合、記憶された供給温度となる。
【0087】
給湯使用の場合(ステップS65のYES)、補助加熱装置34-2から入水温度情報を受信しているかを確認し(ステップS66)、受信している場合(ステップS66のYES)、この入水温度が設定温度Tよりも小さいか否かを判断する(ステップS67)。入水温度が設定温度Tよりも小さい場合(ステップS67のYES)、蓄熱給湯装置制御部60-1は供給温度を上げる補正を行う(ステップS68)。また、入水温度が設定温度Tよりも大きい場合(ステップS69のYES)、蓄熱給湯装置制御部60-1は供給温度を下げる補正を行う(ステップS70)。この供給温度は、蓄熱給湯装置34-1の給湯温度である。すなわち、この蓄熱給湯処理IIでは、コージェネレーションシステム30が蓄熱給湯装置34-1からの出湯温度を基準として補助加熱処理を行うとともに、補助加熱装置34-2で検出した水温度情報に基づくフィードバック制御によって、蓄熱給湯装置34-1の出湯温度を調整することで、設定温度Tで湯を供給する。
【0088】
蓄熱給湯装置34-1では、補正された給湯温度により蓄熱を給水Wに熱交換する(ステップS71)。蓄熱給湯装置制御部60-1は、設定温度Tでの給湯が可能かの判断として、温度センサ40-3で検出される温度T3が供給温度よりも高いかを判断する(ステップS72)。すなわちこの判断は、蓄熱タンクに蓄熱ありか否かの判断である。給湯温度での給湯が可能な場合(ステップS72のYES)、温度センサ40-4の検出温度T4が供給温度になるように混合弁46-1を制御する(ステップS73)。
【0089】
また、設定温度Tでの給湯できない場合(ステップS72のNO)、蓄熱給湯装置34-1は、できる限り給湯温度に近い温度となるように補助加熱装置34-2側に給湯すればよい。
【0090】
また、蓄熱給湯装置34-1は、入水温度情報を受信していない場合(ステップS66のNO)は、記憶されている供給温度のまま蓄熱を給水Wに熱交換させる処理(ステップS71)に移行する。
【0091】
給湯使用でない場合(ステップS65のNO)には、給湯を停止する(ステップS75)。
【0092】
<補助加熱処理II>
図14は、補助加熱装置34-2の補助加熱処理IIの一例を示している。
補助加熱装置制御部60-2には、たとえばメモリ部68-2に対し、入水温度差記録として「0」が記憶される(ステップS81)。この入水温度差記録は、本開示の差分温度情報の一例であり、設定温度Tと補助加熱装置34-2の入水温度の温度差である。蓄熱給湯装置34-1が「蓄熱あり」状態で給湯し、その入水温度が設定温度Tに対してしきい値Kとして、たとえば2〔℃〕の範囲以上か否かの湯温に関する記録である。
【0093】
給湯使用かを判断し(ステップS82)、給湯使用であれば(ステップS82のYES)、蓄熱タンク6が『蓄熱あり』か否かを判断する(ステップS83)。この給湯使用の判断は、たとえば流量センサ50-2の検出結果を参照して判断すればよい。『蓄熱あり』の場合(ステップS83のYES)、温度センサ40-6を参照し、検出温度T6が設定温度Tに対して所定のしきい値Kとして、たとえば2〔℃〕の範囲(T-K)以上か否かを判断する(ステップS84)。入水温度がしきい値Kの範囲以上である場合(ステップS84のYES)、設定温度と入水温度とを減算し、記憶している入水温度差記録と一致するかを判断する(ステップS85)。減算値が入水温度差記録と一致しない場合(ステップS85のNO)、この減算値をメモリ部68-2の入水温度差記録として新たに記憶させ(ステップS86)、この入水温度差記録や入水温度を入水温度情報として蓄熱給湯装置34-1に送信する(ステップS87)。すなわち、入水温度差記録と、設定温度と入水温度の温度差を比較し、変化があると、その時点の温度差を新たに入水温度差記録として記録し、同時に入水温度情報として入水温度や温度差などを蓄熱給湯装置34-1に送信する。
【0094】
入水温度が設定温度と同一またはそれ以上の場合(ステップS88のYES)、補助加熱動作を停止させる。このとき混合弁46-4をバイパス側に設定すればよい。また、温度が低い場合(ステップS88のNO)、温度センサ40-8が設定温度Tに成るように混合弁46-4を制御する(ステップS90)。
【0095】
また蓄熱タンク6に蓄熱なしの場合(ステップS83のNO)は、入水温度の差分算出を行わずに給湯処理を行えばよい。さらに、給湯使用でない場合(ステップS82のNO)、給湯停止すればよい(ステップS91)。
【0096】
<第4の実施の形態の効果>
この実施の形態によれば、以下のような効果が得られる。
【0097】
(1) 補助加熱装置34-2側の検出温度情報に基づいて蓄熱給湯装置34-1の給湯温度を補正することで、給湯ユニット間での温度低下を考慮した給湯処理ができ、補助加熱処理の実行回数を低減することができる。
【0098】
(2) 補助加熱の実行回数を低減させ、蓄熱した熱エネルギーを優先的に利用することで、燃料ガスの消費量を低減できる。
【0099】
(3) 温度の低下状態に応じて蓄熱給湯装置34-1の給湯温度が調整されるので、給湯システム32の設置環境や季節毎の温度変化に対応し、要求した温度での給湯処理を行うことができる。
【0100】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の給湯システム、給湯プログラムおよびコージェネレーションシステムでは、補助加熱装置側に流入する入水温度に基づいて、補助加熱処理の実行を制御するとともに、給湯装置側の制御の補正を行うことで、回収した熱エネルギーの有効利用を図るとともに、燃料ガスの無駄を減らすことができ、有用である。
【符号の説明】
【0102】
2 給湯システム
4-1 第1の給湯ユニット
4-2 第2の給湯ユニット
5 接続管路
6 蓄熱タンク
8 熱源
10-1、10-2 熱交換部
12-1、12-2 温度検出部
14-1、14-2 制御部
16-1、16-2 記憶部
18 バックアップ熱源機
20 燃焼部
30 コージェネレーションシステム
32 給湯システム
34-1 蓄熱給湯装置
34-2 補助加熱装置
36 燃料電池ユニット
38-1、38-3、38-9 熱媒循環路
38-2 給水路
38-4、38-7 給湯路
38-5、38-8 バイパス路
38-6 供給管
38-10 排気路
40-1、40-2、40-3、40-4、40-5、40-6、40-7、40-8、40-9、40-10、40-11 温度センサ
42-1、42-2 42-3、42-4 熱交換器
44-1、44-2、44-3 循環ポンプ
46-1、46-3、46-4 混合弁
48 燃料電池
50-1、50-2 流量センサ
52 アキュームレータ
60-1 蓄熱給湯装置制御部
60-2 補助加熱装置制御部
60-3 燃料電池ユニット制御部
60-4 リモコン制御部
62 制御部
64 リモコン装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14