(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】高アスペクト構造からのデブリ除去
(51)【国際特許分類】
G01Q 30/02 20100101AFI20230315BHJP
G01Q 80/00 20100101ALI20230315BHJP
G03F 1/82 20120101ALI20230315BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20230315BHJP
G01Q 60/38 20100101ALN20230315BHJP
【FI】
G01Q30/02
G01Q80/00 111
G03F1/82
H01L21/30 502D
G01Q60/38 101
(21)【出願番号】P 2017100802
(22)【出願日】2017-05-22
【審査請求日】2020-05-22
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-27
(32)【優先日】2016-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510036425
【氏名又は名称】レイヴ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】トッド エヴァン ロビンソン
(72)【発明者】
【氏名】ベルナベ ジェイ アーラザ
(72)【発明者】
【氏名】ケネス ギルバート ロエスラー
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド ブリンクリー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー イー ルクレア
【合議体】
【審判長】福島 浩司
【審判官】▲高▼見 重雄
【審判官】石井 哲
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-209544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01Q10/00-90/00
G03F1/00-1/86
H01L21/027,21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査型プローブ顕微鏡(SPM)チップを使用して、粒子の組成を特定する方法であって、
前記粒子を前記SPMチップに移送するステップと、
照射源からの第1の入射する照射を前記SPMチップ上の前記粒子に照射するステップと、
前記第1の入射する照射によって引き起こされた前記粒子からの第1の試料照射を照射検出器により検出するステップと、
前記SPMチップの周りの前記第1の試料照射の検出に基づいて、前記粒子の組成を特定するステップと、
前記SPMチップの周りの粒子を検出するために、前記第1の試料照射に応答した前記照射検出器からの第1の信号を生成するステップと、を含み、
前記SPMチップは、前記照射源及び前記照射検出器のうちの少なくとも1つに対して、
前記第1の信号に基づいて、前記SPMチップ
から前記粒子を回収するパッチへ移動
する、方法。
【請求項2】
前記第1の信号に基づいて前記第1の試料照射の第1の周波数領域スペクトルを生成するステップと、
前記第1の周波数領域スペクトルからバックグラウンド周波数領域スペクトルを差し引くことによって第2の周波数領域スペクトルを生成するステップと、
前記第2の周波数領域スペクトルに基づいて前記SPMチップを、前記照射源及び前記照射検出器のうちの少なくとも1つに対して、
前記SPMチップから前記粒子を回収するパッチへ移動させるステップと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記SPMチップが実質的に汚染物質を含まない場合に、前記SPMチップの照射に対する前記照射検出器の応答に基づいて前記バックグラウンド周波数領域スペクトルを生成するステップを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記照射源からの第2の入射する照射を前記SPMチップに照射するステップと、
前記第2の入射する照射によって引き起こされた第2の試料照射を前記照射検出器により検出するステップと、
前記第2試料照射に応答した前記照射検出器からの第2の信号に基づいて、前記SPMチップを、前記照射源及び前記照射検出器のうちの少なくとも1つに対して
、前記SPMチップから前記粒子を回収するパッチへ移動させるステップと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の信号と前記第1の信号との間の差違に基づいて、前記SPMチップを、前記照射源及び前記照射検出器のうちの少なくとも1つに対して移動させるステップを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記照射源からの前記第1の入射する照射が、X線、可視光、赤外光、紫外光、電子ビーム、及びレーザのうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記照射源からの前記第2の入射する照射が、X線、可視光、赤外光、紫外光、電子ビーム、及びレーザのうちの少なくとも1つである、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の入射する照射は、前記第1の入射する照射とは異なるタイプの照射である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の試料照射は、前記第1の入射する照射が前記SPMチップと相互作用することによって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の試料照射は、前記第1の入射する照射が前記SPMチップ上に配置されたデブリと相互作用することによって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記照射源からの前記第1の入射する照射の強度又は周波数を調整するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記照射源からの前記第2の入射する照射の強度又は周波数を調整するステップを更に含む、請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本特許出願は、2007年9月17日出願の米国特許出願第11/898,836号(米国特許第8,287,653号として交付された)の継続出願である、2012年10月15日出願の米国特許出願第13/652,114号(米国特許第8,696,818号として交付された)の分割出願である、2014年2月28日出願の米国特許出願第14/193,725号の一部継続出願である、2016年1月29日出願の同時係属中の米国特許出願第15/011,411号の一部継続出願であり、本特許出願の優先利益を主張する。これら全ては、援用により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は一般に、ナノ加工プロセスに関する。より詳細には、本開示は、ナノ加工プロセス中及び/又はナノ加工プロセス後のデブリ除去に関する。更に、本開示のデブリ除去処理は、基板に対する何らかの異物の除去に適用することができる。
【背景技術】
【0003】
ナノ加工は、定義によれば、例えば、フォトリソグラフィ用マスク、半導体基板/ウェハ、又は走査型プローブ顕微鏡法(SPM)が実施可能な何らかの表面から物質のナノスケールの体積を機械的に除去することを伴う。本検討において、「基板」とは、ナノ加工が実施可能な何れかの対象物を指すことになる。
【0004】
フォトリソグラフィ用マスクの実施例には、標準的フォトマスク(193nm波長、液浸有り又は無し)、次世代リソグラフィ用マスク(インプリント、自己組織化など)、極紫外線リソグラフィ用マスク(EUV又はEUVL)、及び他の何れかの実行可能な又は有用なマスク技術が含まれる。基板と見なされる他の表面の実施例は、メンブレン、ペリクル膜、マイクロエレクトロ/ナノエレクトロメカニカルシステム・MEMS/NEMSである。本開示における用語「マスク」又は「基板」の使用は、上記の実施例を含むが、他のフォトマスク又は表面も適用可能とすることができることは、当業者には理解されよう。
【0005】
先行技術におけるナノ加工は、原子間力顕微鏡(AFM)のカンチレバーアーム上に位置決めされたチップ(例えば、ダイアモンド切削ビット)を用いて基板の表面に力を加えることにより実施することができる。より具体的に言うと、チップは、最初に基板表面に挿入することができ、次に表面に平行な平面(つまり、xy平面)で基板を引きずることができる。これにより、チップが基板に沿って引きずられるにつれて、基板からの物質の変位及び/又は除去が生じる。
【0006】
このナノ加工の結果として、デブリ(基板表面に対する何らかの異物を含む)が基板上に生成される。より具体的には、物質が基板から除去されると、ナノ加工プロセス中に小粒子が生じる場合がある。これらの粒子は、場合によっては、ナノ加工プロセスが完了すると基板上に残存する。このような粒子は、例えば、基板上に存在するトレンチ及び/又はキャビティにおいて見られることが多い。
【0007】
デブリ、粒子又は基板に対する異物を除去するために、特に高アスペクトのフォトリソグラフィ用マスク及び電子回路においては、湿式洗浄技術が使われてきた。より具体的には、液体状態での化学物質の使用及び/又はマスク又は回路全体の撹拌を用いることができる。しかしながら、化学的方法及び撹拌方法(例えば、メガソニック(高周波超音波)撹拌など)は、高アスペクト比の構造及びマスク光近接効果補正特徴部(すなわち、一般に極めて小さい特徴部であるので、これらの特徴部は、結像するのではなく、むしろパターンを形成するためにマスク設計者により有利に利用される回折パターンを形成する)の両方に悪影響を及ぼし、又は破壊する場合がある。
【0008】
高アスペクト形状及び構造が化学物質及び撹拌により特に破壊されやすい理由をより良く理解するために、このような形状及び構造は、定義によれば多大な表面積を含み、そのため熱力学的に極めて不安定であることを想起する必要がある。従って、これらの形状及び構造は、化学的及び/又は機械的エネルギーが加えられると層間剥離及び/又は他の形態の破壊に極めて脆弱である。
【0009】
インプリントリソグラフィ及びEUV(又はEUVL)において、複写されるリソグラフィ表面から粒子を離しておくためのペリクルの使用は、現在では適していない点に留意することは重要である。ペリクルを使用できない技術は一般に、ウェハへのパターン転写能力を阻害する粒子汚染による不良の影響をより受けやすい。ペリクルは、EUVマスク向けに開発されているが、DUVペリクルマスクに関するこれまでの経験が示すように、ペリクルの使用は、限界粒子及び他の汚染物が表面上に落下するのを軽減するだけであり(完全には防げない)、その後の高エネルギー光子へ何れかの曝露は、これらの粒子を大きな付着力でマスク表面に固定する傾向となる。更に、これらの技術は、より小さなフィーチャサイズ(1~300nm)で実施することができ、通常使用することができる標準的な湿式洗浄の実施の際に損傷をより受けやすくする。EUV又はEUVLの特定ケースにおいて、この技術は、使用中、及び場合によっては使用待ちの保管中に基板を真空環境にすることが必要となる可能性がある。標準的な湿式洗浄技術を使用するためには、この真空を破壊しなければならず、これにより更なる粒子汚染につながりやすい。
【0010】
基板からデブリを除去するための現在利用可能な別の方法において、極低温洗浄システム及び技術を用いる。例えば、高アスペクト形状及び/又は構造を含む基板は、砂の代わりに二酸化炭素粒子を用いて効果的に「サンドブラスト」することができる。
【0011】
しかしながら、先行技術における極低温洗浄システム及びプロセスでも同様に、高アスペクト特徴部に悪影響を及ぼす又はこれを破壊することが知られている。更に、極低温洗浄プロセスは、基板の比較的大きな領域に影響を及ぼす(例えば、ナノメートル台の寸法を有するデブリを洗浄するために、処理される領域は、幅がおよそ10ミリメートル又はそれを超える場合がある)。結果として、そこからデブリを除去する必要のない基板領域が、それでも極低温洗浄プロセス、並びにこれに関連する潜在的構造破壊性エネルギーに曝される。ナノレジームとマイクロレジームとの間には多くの物理的相違点が存在することに留意すべきであり、本明細書において、ナノ粒子洗浄プロセスに関連する相違点に焦点を当てることになる。ナノとマクロスケールの洗浄プロセスの間には多くの類似点があるが、多くの決定的な相違点もまた存在する。本開示において、ナノスケールの共通した定義が有用であり、これは1~100nmのサイズ範囲を定義する。本明細書で評価されるプロセスの多くがこの範囲未満で(原子スケールまで)生じることができ、また、この範囲より大きな粒子(マイクロレジームまで)に影響を及ぼすことができるので、このサイズ範囲は、汎用の範囲である。
【0012】
マクロとナノの粒子洗浄プロセス間の幾つかの物理的な相違点には、表面積、平均自由行程、熱的及び電界効果を含む輸送関連特性が含まれる。このリストの最初の2つは、粒子の熱機械的化学的挙動により関連性があるが、最後の1つは、粒子の電磁場との相互作用とより関係している。熱輸送現象は、粒子周りの熱機械的物理化学現象であり、赤外波長レジームにおける粒子と電磁場との相互作用であるという点で、これらの2つのレジームを分ける。これらの相違点の幾つかを機能的に明らかにするために、高アスペクトのラインアンドスペース構造(深さ70nm、幅40nm~AR=1.75)の底部にトラップされたナノ粒子の思考実験の例を仮定する。マクロスケールプロセスでこの粒子を洗浄除去するために、粒子を取り除くのに必要とされるエネルギーは、基板上の特徴部又はパターンに損傷を与えるのに必要とされるエネルギーとほぼ同じであり、これにより、この高アスペクトのラインアンドスペース構造を損傷無しで洗浄することは不可能である。マクロスケールの洗浄プロセス(水、界面活性剤、音波撹拌など)においては、ナノ粒子が除去されるエネルギーレベルにおいて、周囲の特徴部又はパターンもまた損傷を受ける。ナノ粒子に対してナノ距離内で正確にナノ的に鋭利な(又はナノスケール)構造を扱う技術的能力がもしあれば、ナノ粒子を洗浄除去するためのエネルギーをナノ粒子だけに印加することができる。ナノスケールの洗浄プロセスにおいて、ナノ粒子を除去するために必要とされるエネルギーは、ナノ粒子にだけ印加され、基板上にある周囲の特徴部又はパターンには印加されない。
【0013】
最初に、粒子の表面領域特性を見ると、理論上の粒子(ここでは完全球体としてモデル化される)がナノスケールレジームに近づくにつれて明瞭になる数学的スケーリングの相違点が存在する。物質のバルク特性は、物質の体積で評価されるが、表面は、外部面積により評価される。仮定的粒子においては、その体積は、その粒子の直径に対して3乗で反比例して減少するが、表面積は、粒子の直径に対して2乗で減少する。この差は、マクロ及びマイクロスケールの直径での粒子の挙動を支配する物質特性が、ナノレジームでは無視できるように(より小さく)なることを意味する。これらの特性の実施例には、粒子の質量及び慣性特性が含まれ、音波撹拌又はレーザ衝撃などの一部の洗浄技術にとって重大な考慮事項である。
【0014】
ここで考察する次の輸送特性は平均自由行程である。マクロからマイクロレジームにおいて、流体(液体と気体の両方、及び混合状態)は、その挙動において連続体流れとして正確にモデル化することができる。AFMチップ及びナノ粒子など、ナノスケール又はそれよりも小さい間隙で離隔された表面を考えると、これらの流体を連続体と見なすことはできない。これは、流体が古典的流れモデルに従って移動するのではなく、より正確には希薄気体又は真空の弾道的原子運動に関連付けることができることを意味する。標準温度及び圧力での気体中の平均原子又は分子(直径がおよそ0.3nm)において、計算平均自由行程(つまり、分子が平均して別の原子又は分子に衝突する前に一直線に進む距離)は、およそ94nmであり、これはAFM走査プローブの大きな距離である。流体は気体よりも遥かに密度が高いので、遥かに小さな平均自由行程を有することになるが、あらゆる流体に対する平均自由行程は、原子又は分子の直径より小さくなることはできない点に留意しなければならない。典型的なチップに対して上記で与えられた0,3nmという仮定原子又は分子の直径と、1nm程度に小さいとすることができる非接触走査モード時の表面平均分離距離とを比較すると、最も密度の高い流体を除けば、AFMチップ先端と走査される表面との間の流体環境は、希薄気体から近真空までの流体特性の範囲で挙動することになる。上記の評価における知見は、マクロからナノスケールにスケール変更される際に熱流体プロセスが基本的に異なるように挙動することを示すのに不可欠である。これは、化学反応、環境に遊離した粒子などの生成物の除去、帯電又は電荷中和、及び熱又は熱エネルギーの輸送など、様々なプロセス態様の機構及び動力学に影響を及ぼす。
【0015】
マクロ及びナノからサブナノスケールへの既知の熱輸送の相違点は、走査型熱プローブ顕微鏡を用いた研究により見出された。1つの初期に見出された相違点は、熱エネルギーの輸送速度がナノスケールの距離にわたってマクロスケールよりも1桁小さい場合があることである。このようにして、走査型熱プローブ顕微鏡は、チップから表面までの離隔距離がナノ又はオングストロームスケール程に小さい非接触モードで走査している表面に対して、場合によっては数百度の温度差まで加熱されたナノプローブを用いて機能することができる。この低い熱輸送の理由は、流体における平均自由行程に関する前節にて暗示されている。しかしながら、熱輸送の一形態である黒体輻射が強化されている。ナノスケールの距離で、所与の温度での黒体スペクトル放射輝度に関するプランク限界を超える場合があることが実験的に示された。従って、熱輸送の大きさが減少するだけでなく、主要な輸送タイプが、伝導/対流から希薄真空流体挙動と一致する黒体へと変化する。
【0016】
場(他の実施可能な例と比較してその長い波長に起因して、電磁場が本明細書での主要な目的とする実施例である)の相互作用における相違点は、本検討において、波長関連及び他の量子効果(特にトンネリング)として更に分類することができる。ナノスケールにおいて、発生源(ここにおいて、主要な発生源としてか、又は比較的遠距離場発生源の変更形態としてかを問わず、AFMチップの先端として想定される)と表面との間の電磁場の挙動は、遠距離場発生源が経験することになる分解能に対する波長依存の回折限界に従わないことになる。この挙動は、一般に近接場光学と呼ばれ、近接場走査型光学顕微鏡(NSOM)などの走査型プローブ技術では大きな成功を収めて使用されている。計測工学での応用を超えて、近接場の挙動は、互いにナノ距離で離間した全てのナノスケールサイズの物体の電磁相互作用に影響を及ぼす可能性がある。言及した次の近接場挙動は、量子トンネリングであり、ここでは粒子、特に電子は、古典的には通り抜けることのできない障壁を超えて運ぶことができる。この現象は、マクロスケールでは見られない手段によるエネルギー輸送を可能にし、走査型トンネリング顕微鏡(STM)及び一部の固体電子デバイスで利用されている。最後に、近接励起及びプラズモン共鳴の検出など、ナノスケールにおいて電磁場に関して(限定されないが)見られることの多いより難解な量子効果が存在するが、現在の検討がマクロとナノスケールの物理過程間の根本的な相違点の十分な論証を与えることが、当業者には理解されるであろう。
【0017】
以下において、用語「表面エネルギー」は、仕事(ここにおいて、基板及びチップそれぞれの表面へのデブリの付着という仕事)を実行するのに利用可能な表面の熱力学特性を指すのに使用することができる。古典的にこれを計算する1つの方法は、
G(p,T)=U+pV-TS
として与えられるギブズ自由エネルギーであり、
ここで、
U=内部エネルギー
p=圧力
V=体積
T=温度、及び
S=エントロピーである。
【0018】
現行の実施において、圧力、体積、及び温度を変えないので(これらのパラメータを同様に操作して所望の効果を得ることも可能なので、必然ではないが)、詳細には検討しない。従って、上記の式中で操作される項は、内部エネルギーと以下で検討する方法における駆動機構としてのエントロピーだけとなる。プローブチップ表面は洗浄される基板よりも清浄である(つまり、デブリ及び意図しない表面汚染がない)ことが意図されているので、当然ながら、エントロピーが基板上方のチップ表面を優先的に汚染する熱力学的駆動機構である(次いで、その後、軟質物質のクリーナパレットを汚染する)。内部エネルギーは、パレット、チップ、デブリ、及び基板表面の間で、そのそれぞれの表面エネルギーにより特徴付けられる熱力学特性によって操作される。微分表面エネルギーをギブズ自由エネルギーと関連付ける1つの方法は、単軸性張力P下で半径r及び長さlの円柱に対する高温(つまり、その融点温度の有意な部分)での工学材料のクリープ特性に関する理論的発展を考察することである:
dG=-P*dl+γ*dA
ここで、
γ=表面エネルギー密度[J/m2]、及び
A=表面積[m2]
【0019】
物体の応力及び外因性表面エネルギーがそのギブズ自由エネルギーにおける因子であるという知見は、これらの因子(表面エネルギー密度γに加えて)を操作して、チップ及びその後に続く軟質パレットにデブリを可逆的に優先して付着させるステップを実行することができると確信させるものである。これを行う手段には、応力印加(外的か内的かを問わず)及び温度が含まれる。この駆動プロセスは常に、優先的に基板の汚染物質を除去してその後に軟質パレットを優先的に汚染する微分表面エネルギー勾配を提供するために、正味のΔGが<0となる一連の表面相互作用をもたらすことになる点に留意されたい。これは、ボールが斜面をより低いエネルギー状態に優先的に転がり落ちることに類似していると考えることができる(但し、ここにおいて、熱力学的表面エネルギーの勾配には、系全体での総体的な無秩序又はエントロピーも含まれる)。
図6は、本明細書に記載する方法が選択的に汚染を除去して選択的に軟質パッチ上に堆積させる熱力学的ギブズ自由エネルギーの下り勾配を提供することができる、表面相互作用の1つの実施可能なセットを示す。このシーケンスは、低表面エネルギーのフッ化炭素系材料をダイアモンドなどの低表面エネルギーチップ材料と共に用いる現行の実施態様に対する役割を担うと考えられる理論的機構の1つである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【文献】米国特許出願第15/011,411号明細書
【文献】米国特許出願第14/193,725号明細書
【文献】米国特許出願第13/652,114号明細書
【文献】米国特許第8,696,818号明細書
【文献】米国特許出願第11/898,836号明細書
【文献】米国特許第8,287,653号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
少なくとも上記のことを鑑みると、デブリ、汚染物質、粒子又は基板表面に対する何らかの異物を除去するための新規の装置及び方法に対する要望があり、詳細には、高アスペクト比構造を有する基板、フォトマスク光近接効果補正特徴部などをこのようなナノスケールの構造及び/又は特徴部を破壊することなく洗浄することができる新規の装置及び方法に対する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本開示の一態様によれば、汚染物質を検出するためのナノスケール計測システムが提供される。本システムは、走査プローブ顕微鏡(SPM)チップ、照射源、照射検出器、アクチュエータ、及びコントローラを含む。照射源は、入射する照射をSPMチップ上に配向するように構成され配置される。照射検出器は、SPMチップから試料照射を受けるように構成され配置され、該試料照射は、入射する照射によって引き起こされる。アクチュエータシステムは、ナノスケール計測システムに動作可能に連結され、SPMチップと照射源及び照射検出器のうちの少なくとも1つとの間に相対移動を生じるように構成される。コントローラは、アクチュエータシステム及び照射検出器に動作可能に連結され、コントローラは、試料照射に対する照射検出器の第1の応答に基づいて第1の信号を受信するように構成されており、第1の信号に基づいて、アクチュエータシステムによってSPMチップと照射検出器及び照射源のうちの少なくとも1つとの間に相対移動を生じるように構成される。
【0023】
本開示のナノスケール計測システムの一態様によれば、アクチュエータシステムは、SPMチップに動作可能に連結され、アクチュエータシステムは、SPMチップを第1の軸の周りで回転させるように構成された回転アクチュエータを含む。
【0024】
本開示におけるナノスケール計測システムの一態様によれば、照射源は、X線源、レーザ、可視光源、赤外光源、紫外光源、又は電子ビーム源である。
【0025】
本開示におけるナノスケール計測システムの一態様によれば、コントローラは更に、第1の信号に基づいて試料照射の第1の周波数領域スペクトルを生成し、第1の周波数領域スペクトルからバックグラウンド周波数領域スペクトルを差し引くことによって第2の周波数領域スペクトルを生成し、第2の周波数領域スペクトルに基づいてアクチュエータシステムによってSPMチップと照射検出器及び照射源のうちの少なくとも1つとの間に相対移動を生じるように構成される。本開示におけるナノスケール計測システムの一態様によれば、コントローラは更に、SPMチップが実質的に汚染物質を含まない場合に、SPMチップの照射に対する照射検出器の応答に基づいてバックグラウンド周波数領域スペクトルを生成するように構成される。
【0026】
本開示におけるナノスケール計測システムの一態様によれば、コントローラは更に、試料照射に対する照射検出器の第2の応答に基づいて第2の信号を受信し、第1の信号と第2の信号との間の差違に基づいてアクチュエータシステムによってSPMチップと照射検出器及び照射源のうちの少なくとも1つとの間に相対移動を生じるように構成される。本開示におけるナノスケール計測システムの一態様によれば、コントローラは更に、第1の信号と第2の信号との間の差違に基づいてSPMチップと照射検出器及び照射源のうちの少なくとも1つとの間に所定の大きさの相対移動を生じるように構成される。
【0027】
本開示の一態様によれば、回収器を備えたナノスケール計測システムが提供される。本計測システムは、回収器、照射源、照射検出器、走査プローブ顕微鏡(SPM)チップ、及びアクチュエータシステムを含む。本回収器は、回収器の第1の表面上にある第1の内縁部と、回収器の第2の表面上に第1の表面の反対側にある第2の内縁部と、第1の内縁部から第2の内縁部まで延びて、回収ポケット又は回収スルーホールの少なくとも一部を定める内部表面と、を有することができる。照射源は、回収器の内部表面から試料照射を受けるように構成されて配置され、試料照射は入射する照射によって引き起こされる。アクチュエータシステムは、SPMチップに動作可能に連結され、SPMチップを回収器に対して移動させて、少なくとも1つの粒子又はデブリをSPMチップから回収器に移送するように構成される。
【0028】
本開示における計測システムの一態様によれば、回収スルーホールの幅は、第1の表面から第2の表面に向かって回収器を通過する方向に沿って増加する。
【0029】
本開示における計測システムの一態様によれば、第1の内縁部は、回収ポケット又は回収スルーホールの矩形の輪郭を定める。本開示の一態様によれば、矩形輪郭の各線分の長さは10mm以下である。
【0030】
本開示における計測システムの一態様によれば、第1の内縁部は、回収ポケット又は回収スルーホールの三角形の輪郭を定める。本開示の一態様によれば、三角形輪郭の各線分の長さは10mm以下である。
【0031】
本開示における計測システムの一態様によれば、第1の内縁部は回収ポケット又は回収スルーホールの弓形断面を定め、該弓形断面は、円形、楕円形又は卵形の輪郭である。本開示の一態様によれば、第1の内縁部は円形輪郭を定め、円形輪郭の直径は10mm以下である。
【0032】
本開示における計測システムの一態様によれば、計測システムは更に、アクチュエータシステムに動作可能に連結されたコントローラを含み、コントローラは、SPMチップを第1の内縁部に対して引きずることによってSPMチップから回収ポケット又は回収スルーホールに粒子を移送するように構成される。
【0033】
本開示における計測システムの一態様によれば、回収器の内部表面は、スルーホール通路を形成する。本開示の一態様によれば、スルーホール通路は、切頂四面体通路、円錐台形通路、切頂四面体通路、又は角錐台形通路である。
【0034】
本開示における計測システムの一態様によれば、SPMチップは、四面体形状、円錐形状、又は角錐形状を含む。
【0035】
本開示における計測システムの一態様によれば、回収ポケット又は回収スルーホールは、計測システムに取り外し可能に装着される。
【0036】
本開示の一態様によれば、粒子回収及び計測システムが提供される。本粒子回収及び計測システムは、走査型プローブ顕微鏡(SPM)チップと、基板を支持するよう構成されたステージと、作動システムと、照射源と、照射検出器と、コントローラと、を含む。作動システムは、ステージ及びSPMチップに動作可能に連結され、該作動システムは、SPMチップをステージに対して移動させるように構成されている。照射源は、計測位置と光学的に連通しており、また、照射検出器は、計測位置と光学的に連通している。コントローラは、作動システム、照射源、及び照射検出器に動作可能に連結される。コントローラは更に、基板に近接した位置から計測位置にSPMチップを移動させ、計測位置からの第1の試料照射に対する照射検出器の応答を示す第1の信号を照射検出器から受信する、ように構成されており、第1の試料照射は、照射源からの第1の入射する照射によって引き起こされる。
【0037】
本開示における粒子回収及び計測システムの一態様によれば、計測位置は、SPMチップの少なくとも一部分上に配置され、コントローラは更に、第1の入射する照射を計測位置に照射することによって、第1の試料照射を引き起こすように構成される。
【0038】
本開示における粒子回収及び計測システムの一態様によれば、粒子回収及び計測システムは更に粒子回収器を含み、計測位置は、粒子回収器の少なくとも一部分上に配置される。コントローラは更に、第1の入射する照射を計測位置に照射することによって第1の試料照射を引き起こすように構成される。
【0039】
本開示における粒子回収及び計測システムの一態様によれば、コントローラは更に、SPMチップを介して基板から計測位置に粒子を移送するように構成される。
【0040】
本開示における粒子回収及び計測システムの一態様によれば、粒子回収及び計測システムは更に、材料のパッチを含み、該材料は、基板の表面エネルギーよりも低い表面エネルギーを有し、SPMチップは、表面上に材料のナノスケールコーティングを含む。
【0041】
本開示における粒子回収及び計測システムの一態様によれば、コントローラは更に、SPMチップとパッチとの間に接触を生じさせ、これによってSPMチップを材料でコーティングするように構成される。
【0042】
本開示における粒子回収及び計測システムの一態様によれば、作動システムは、SPMチップに動作可能に連結されたチップ作動システムと、ステージに動作可能に連結されたステージ作動システムと、を含む。チップ作動システムは、SPMチップを基部に対して移動させるように構成され、ステージ作動システムは、ステージを基部に対して移動させるように構成される。
【0043】
本開示における粒子回収及び計測システムの一態様によれば、粒子回収器は、回収ポケット又は回収スルーホールである。粒子回収器は、少なくとも第1の内縁部を含む。少なくとも第1の内縁部は、三角形、矩形、円形、楕円形、又は卵形の輪郭のうちの1つを定める。本開示の一態様によれば、第1の内縁部は、三角形又は矩形の輪郭を定め、三角形又は矩形の輪郭の各線分は10mm以下の長さを含む。本開示の一態様によれば、第1の内縁部は円形輪郭を定め、円形輪郭の直径は10mm以下である。
【0044】
本開示における粒子回収及び計測システムの一態様によれば、粒子回収器は、回収器の第1の表面上にある第1の内縁部と、回収器の第2の表面上に第1の表面の反対側にある第2の内縁部と、第1の内縁部から第2の内縁部まで延びる内部表面とを含む。本開示の一態様によれば、内部表面はスルーホール通路を形成する。スルーホール通路は、切頂四面体通路、円錐台形通路、又は角錐台形通路である。
【0045】
本開示における粒子回収及び計測システムの一態様によれば、SPMチップは、四面体形状、円錐形状、又は角錐形状を含む。
【0046】
本開示における粒子回収及び計測システムの一態様によれば、パッチは、計測システムに取り外し可能に装着される。本開示における粒子回収及び計測システムの一態様によれば、回収ポケット又は回収スルーホールは、ステージに取り外し可能に装着される。
【0047】
本開示の一態様によれば、走査プローブ顕微鏡(SPM)チップを使用して粒子の組成を特定する方法が提供される。本方法は、粒子をSPMチップに移送するステップと、照射源からの第1の入射する照射をSPMチップに照射するステップと、第1の入射する照射によって引き起こされた第1の試料照射を照射検出器により検出するステップと、第1の試料照射に応答した照射検出器からの第1の信号に基づいて、SPMチップと照射源及び照射検出器のうちの少なくとも1つとの間に相対移動を生じさせるステップと、を含む。
【0048】
SPMチップ上の粒子の組成を特定する方法の一態様によれば、本方法は、第1の信号に基づいて試料照射の第1の周波数領域スペクトルを生成するステップと、第1の周波数領域スペクトルからバックグラウンド周波数領域スペクトルを差し引くことによって第2の周波数領域スペクトルを生成するステップと、第2の周波数領域スペクトルに基づいてSPMチップと照射源及び照射検出器のうちの少なくとも1つとの間に相対移動を生じさせるステップと、を更に含む。
【0049】
SPMチップ上の粒子の組成を特定する方法の一態様によれば、本方法は、SPMチップが実質的に汚染物質を含まない場合に、SPMチップの照射に対する照射検出器の応答に基づいてバックグラウンド周波数領域スペクトルを生成するステップを更に含む。
【0050】
SPMチップ上の粒子の組成を特定する方法の一態様によれば、本方法は更に、照射源からの第2の入射する照射をSPMチップに照射するステップと、第2の入射する照射によって引き起こされた第2の試料照射を照射検出器により検出するステップと、第2試料照射に応答した照射検出器からの第2の信号に基づいて、SPMチップと照射源及び照射検出器のうちの少なくとも1つとの間に相対移動を生じさせるステップと、を含む。
【0051】
SPMチップ上の粒子の組成を特定する方法の一態様によれば、本方法は、第2の信号と第1の信号との間の差違に基づいて、SPMチップと照射源及び照射検出器のうちの少なくとも1つとの間に相対移動を生じさせるステップを更に含む。
【0052】
SPMチップ上の粒子の組成を特定する方法の一態様によれば、照射源からの第1の入射する照射は、X線、可視光、赤外光、紫外光、電子ビーム、及びレーザのうちの少なくとも1つである。SPMチップ上の粒子の組成を特定する方法の一態様によれば、照射源からの第2の入射する照射は、X線、可視光、赤外光、紫外光、電子ビーム、及びレーザのうちの少なくとも1つである。第2の入射する照射は、第1の入射する照射とは異なるタイプの照射である。一態様において、第1の試料照射は、第1の入射する照射がSPMチップと相互作用することによって生成される。一態様において、相互作用は、第1の入射する照射のSPMチップによる反射、屈折、又は吸収及び再放出のうちの1又は2以上を含むことができる。一態様において、第1の試料照射は、第1の入射する照射がSPMチップ上に配置されたデブリと相互作用することによって生成される。一態様において、相互作用は、第1の入射する照射のSPMチップ上に配置されたデブリによる反射、屈折、又は吸収及び再放出のうちの1又は2以上を含むことができる。
【0053】
SPMチップ上の粒子の組成を特定する方法の一態様によれば、本方法は更に、照射源からの第1の入射する照射の強度又は周波数を調整するステップを含む。一態様において、本方法は更に、照射源からの第2の入射する照射の強度又は周波数を調整するステップを含む。
【0054】
本開示の一態様によれば、基板から除去された粒子の組成を特定するための方法が提供される。本方法は、基板から走査プローブ顕微鏡(SPM)チップに粒子を移送するステップと、照射源からの第1の入射する照射を粒子に照射するステップと、照射検出器にて粒子から第1の入射する照射によって引き起こされる第1の試料照射を受けるステップと、を含む。
【0055】
基板から除去された粒子の組成を特定する本方法の態様によれば、粒子からの第1の試料照射は、粒子がSPMチップ上に配置されている間に照射検出器によって受け取られる。
【0056】
基板から除去された粒子の組成を決定する本方法の一態様によれば、基板からSPMチップへの粒子の移送は、SPMチップを基板に接触させて、基板に対してSPMチップを移動させるステップを含む。
【0057】
基板から除去された粒子の組成を特定する方法の一態様によれば、本方法は、SPMチップを用いて計測位置に粒子を移送するステップを更に含む。
【0058】
基板から除去された粒子の組成を特定する方法の一態様によれば、本方法は更に、SPMチップから、粒子回収器上に定められた計測位置を有する粒子回収器に粒子を移送するステップを含む。粒子からの第1の試料照射は、粒子が計測位置に配置されている間に照射検出器によって受け取られる。SPMチップから粒子回収器への粒子の移送は、SPMチップを計測位置に接触させてSPMチップを計測位置に対して移動させるステップを含む。
【0059】
基板から除去された粒子の組成を特定する方法の一態様によれば、粒子回収器は、少なくとも1つの汚染物回収縁部を含む回収ポケット又は回収スルーホールであり、SPMチップから粒子回収器に粒子を移送するステップは、SPMチップを操作して、少なくとも1つの汚染物回収縁部に対して摩擦又は引きずるようにSPMチップを操作するステップを含む。一態様によれば、操作ステップは、SPMチップを少なくとも1つの汚染物回収縁部に向けて移動させ、次いでそこから離して移動させるステップを含む。一態様において、SPMチップを移動させるステップは、擦過動作及び/又は拭取り動作を含むことができる。一態様によれば、操作ステップは、少なくとも1つの汚染物回収縁部を通過してSPMチップを上方に移動させるステップを含み、操作ステップは更に、少なくとも1つの汚染物拐取縁部を通過してSPMチップを下方に移動させるステップを含む。一態様によれば、操作ステップは、SPMチップを粒子回収器の中心から離れて上方へ移動させるステップを含む。一態様によれば、操作ステップは、SPMチップを粒子回収器の中心に向けて下方に移動させるステップを含む。一態様によれば、操作ステップは、SPMチップを放物線軌道で移動させるステップを含む。一態様によれば、操作ステップは更に、SPMチップの異なる部分上に堆積したデブリをSPMチップから粒子回収器に移送することを可能にするようSPMチップを回転させるステップを含む。
【0060】
本開示の一態様によれば、プロセッサに対して走査型プローブ顕微鏡(SPM)上の粒子の組成を特定させるための命令をエンコードする非一時的機械可読媒体を備えた製品が提供される。製品のエンコード命令を用いて、照射源からの第1の入射する照射に応答した第1の試料照射を照射検出器により検出するステップと、第1の試料照射に応答した照射検出器からの第1の信号に基づいて、SPMチップと照射源及び照射検出器のうちの少なくとも1つとの間に相対移動を生じさせるステップと、を実行することができる。
【0061】
以上、本書における詳細な説明がより理解できるように、及び当該技術に対する本発明の貢献がより良く認識できるように、本発明の特定の態様を幾分広範囲に概略的に説明してきた。以下で説明され且つ添付の特許請求の範囲の発明特定事項を形成する本発明の追加の態様が存在することは当然である。
【0062】
この点に関し、本開示の種々の態様を詳細に説明する前に、本発明がその適用において以下の説明において記載され又は図面で示される構成の詳細及び構成要素の配置に限定されるものではないことを理解されたい。本発明は、記載されるものとは別の実施形態を実現可能であり、また、様々な方式で実施及び実行することができる。また、本明細書で採用される表現及び専門用語並びに要約は説明目的のものであり、限定と見なすべきではないことを理解されたい。
【0063】
このため、本開示が基礎する概念が、本開示の幾つかの目的を実現するための他の構造、方法、及びシステムの設計の基礎として容易に利用できることは、当業者には理解されるであろう。従って、特許請求の範囲は、本発明の技術的精神及び範囲から逸脱しない限りかかる均等構成を含むものと見なすべきである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1A】本開示の態様による一連の表面相互作用時のデブリ除去デバイスの一部の断面図である。
【
図1B】本開示の態様による一連の表面相互作用時のデブリ除去デバイスの一部の断面図である。
【
図1C】本開示の態様による一連の表面相互作用時のデブリ除去デバイスの一部の断面図である。
【
図2】本開示の態様によるデブリ除去デバイスの一部分の断面図である。
【
図3】
図2に示すデブリ除去デバイスの別部分の断面図である。
【
図4】粒子が低エネルギー材料のパッチ又はリザーバに埋められている、
図2に示すデブリ除去デバイスの一部分の断面図である。
【
図5】チップがもはや低エネルギー材料のパッチ又はリザーバと接触していない、
図4に示すデブリ除去デバイスの一部分の断面図である。
【
図6】本開示の態様によるブリストル又はフィブリルを備えたチップの断面図である。
【
図7A】本開示の態様による剛性フィブリルと巻き付けフィブリルの一般的な相違点を示す図である。
【
図7B】本開示の態様による剛性フィブリルと巻き付けフィブリルの一般的な相違点を示す図である。
【
図8A】本開示の態様による単一の剛性フィブリルを用いてターゲット基板からナノ粒子を取り出して除去するプロセスを示す図である。
【
図8B】本開示の態様による単一の剛性フィブリルを用いてターゲット基板からナノ粒子を取り出して除去するプロセスを示す図である。
【
図8C】本開示の態様による単一の剛性フィブリルを用いてターゲット基板からナノ粒子を取り出して除去するプロセスを示す図である。
【
図9A】本開示の態様による複数の剛性フィブリルを用いてターゲット基板からナノ粒子を取り出して除去するプロセスを示す図である。
【
図9B】本開示の態様による複数の剛性フィブリルを用いてターゲット基板からナノ粒子を取り出して除去するプロセスを示す図である。
【
図9C】本開示の態様による複数の剛性フィブリルを用いてターゲット基板からナノ粒子を取り出して除去するプロセスを示す図である。
【
図10A】本開示の態様による単一の巻き付けフィブリルを用いてターゲット基板からナノ粒子を除去するプロセスを示す図である。
【
図10B】本開示の態様による単一の巻き付けフィブリルを用いてターゲット基板からナノ粒子を除去するプロセスを示す図である。
【
図10C】本開示の態様による単一の巻き付けフィブリルを用いてターゲット基板からナノ粒子を除去するプロセスを示す図である。
【
図11A】本開示の態様による複数の巻き付けフィブリルを用いてターゲット基板からナノ粒子を除去するプロセスを示す図である。
【
図11B】本開示の態様による複数の巻き付けフィブリルを用いてターゲット基板からナノ粒子を除去するプロセスを示す図である。
【
図11C】本開示の態様による複数の巻き付けフィブリルを用いてターゲット基板からナノ粒子を除去するプロセスを示す図である。
【
図11D】本開示の態様による複数の巻き付けフィブリルを用いてターゲット基板からナノ粒子を除去するプロセスを示す図である。
【
図12】本開示の態様による少なくとも1つのパッチを含むデブリ回収装置の斜視図である。
【
図13】本開示の態様による少なくとも2つのパッチを含むデブリ回収装置の斜視図である。
【
図14】本開示の態様によるコントローラを含むデブリ回収装置の斜視図である。
【
図15】本開示の態様による計測システムを含むデブリ回収装置の斜視図である。
【
図16】本開示の態様による計測システム及びコントローラを含むデブリ回収装置の斜視図である。
【
図17A】本開示の態様による計測装置を含むデブリ回収装置の上面図である。
【
図17B】本開示の態様による計測装置を含むデブリ回収装置の側面図である。
【
図18A】本開示の態様による計測装置及びコントローラを含むデブリ回収装置の上面図である。
【
図18B】本開示の態様による計測装置及びコントローラを含むデブリ回収装置の側面図である。
【
図19A】本開示の態様による計測装置及び複数のパッチ及び/又はデブリ回収器を含むデブリ回収装置の上面図である。
【
図19B】本開示の態様による計測装置及び複数のパッチ及び/又はデブリ回収器を含むデブリ回収装置の側面図である。
【
図20A】本開示の態様によるコントローラを備えた計測装置及び複数のパッチ及び/又はデブリ回収器を含むデブリ回収装置の上面図である。
【
図20B】本開示の態様によるコントローラを備えた計測装置及び複数のパッチ及び/又はデブリ回収器を含むデブリ回収装置の側面図である。
【
図21A】本開示の態様によるロボットアームを含むデブリ回収装置の上面図である。
【
図21B】本開示の態様によるロボットアームを含むデブリ回収装置の側面図である。
【
図22A】ロボットアームが第2の位置にある、
図21A及び21Bのデブリ回収装置の上面図である。
【
図22B】ロボットアームが第2の位置にある、
図21A及び21Bのデブリ回収装置の側面図である。
【
図23A】本開示の態様によるチップ支持組立体の上面図である。
【
図23B】本開示の態様によるチップ支持組立体の側面図である。
【
図24A】本開示の態様による四面体チップと共に使用可能な計測システムの底面図である。
【
図24B】本開示の態様による四面体チップと共に使用可能な計測システムの側面図である。
【
図25A】デブリが四面体チップに付着した
図24A及び24Bの計測システムの底面図である。
【
図25B】デブリが四面体チップに付着した
図24A及び24Bの計測システムの側面図である。
【
図26A】本開示の態様による円錐形チップと共に使用可能な計測システムの底面図である。
【
図26B】本開示の態様による円錐形チップと共に使用可能な計測システムの側面図である。
【
図27A】デブリが円錐形チップに付着した
図26A及び26Bの計測システムの底面図である。
【
図27B】デブリが円錐形チップに付着した
図26A及び26Bの計測システムの側面図である。
【
図28A】本開示の態様による角錐形チップと共に使用可能な計測システムの底面図である。
【
図28B】本開示の態様による角錐形チップと共に使用可能な計測システムの側面図である。
【
図29A】デブリが角錐形チップに付着した
図28A及び28Bの計測システムの底面図である。
【
図29B】デブリが角錐形チップに付着した
図28A及び28Bの計測システムの側面図である。
【
図30A】本開示の態様による三角形配置を有する回収ポケットを備えた汚染物回収器の側断面図である。
【
図30B】本開示の態様による三角形配置を有する回収ポケットを備えた汚染物回収器の上面図である。
【
図31A】本開示の態様による円形配置を有する回収ポケットを備えた汚染物回収器の側断面図である。
【
図31B】本開示の態様による円形配置を有する回収ポケットを備えた汚染物回収器の上面図である。
【
図32A】本開示の態様による方形配置を有する回収ポケットを備えた汚染物回収器の側断面図である。
【
図32B】本開示の態様による方形配置を有する回収ポケットを備えた汚染物回収器の上面図である。
【
図33A】本開示の態様による回収ポケットを備えた汚染物回収器を用いた例示的なデブリ回収プロセスを示す図である。
【
図33B】本開示の態様による回収ポケットを備えた汚染物回収器を用いた例示的なデブリ回収プロセスを示す図である。
【
図33C】本開示の態様による回収ポケットを備えた汚染物回収器を用いた例示的なデブリ回収プロセスを示す図である。
【
図34A】本開示の態様による回収ポケットを備えた汚染物回収器を用いた別の例示的なデブリ回収プロセスを示す図である。
【
図34B】本開示の態様による回収ポケットを備えた汚染物回収器を用いた別の例示的なデブリ回収プロセスを示す図である。
【
図34C】本開示の態様による回収ポケットを備えた汚染物回収器を用いた別の例示的なデブリ回収プロセスを示す図である。
【
図35A】本開示の態様による切頂四面体通路を定める回収スルーホールを備えた汚染物回収器の側断面図である。
【
図35B】本開示の態様による切頂四面体通路を定める回収スルーホールを備えた汚染物回収器の上面図である。
【
図36A】本開示の態様による円錐台形通路を定める回収スルーホールを備えた汚染物回収器の側断面図である。
【
図36B】本開示の態様による円錐台形通路を定める回収スルーホールを備えた汚染物回収器の上面図である。
【
図37A】本開示の態様による角錐台形通路を定める回収スルーホールを備えた汚染物回収器の側断面図である。
【
図37B】本開示の態様による角錐台形通路を定める回収スルーホールを備えた汚染物回収器の上面図である。
【
図38】本開示の態様による回収スルーホール及び計測システムを備えた汚染物回収器の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
ここで、図面全体を通して同じ参照番号が同じ要素を指す図面を参照しながら、発明の態様を説明する。
【0066】
図1A、1B、1C、2,3,4、及び5を参照して、基板から粒子を取り除いてパッチに移送するための例示的なデバイスを説明する。
図1Aから1Cは、本開示の態様による一連の表面相互作用時のデブリ除去デバイス1の一部の断面図を示す。基板3から粒子2を選択的に付着させてそれを軟質パッチ4に移転させることができる可能性のある一連の表面相互作用を図に示す(左から右へ移動する)。
図1Aにおいて、粒子2は、(相対的に)高い表面エネルギー基板3を汚染し、これによりその表面エネルギーは減少して系全体におけるエントロピーが増加する。次に、
図1Bにおいて、拡散的可動性の低表面エネルギーコーティングを備えたチップ5は、(同様に相対的に)高い表面エネルギー基板3及び粒子2をコーティングするようにされて、これらを剥離する。続いて、低表面エネルギー材料の喪失は、チップ5の表面エネルギーを僅かに増加させ(その通常の、非コーティング時の値に近づく)、剥離された粒子2をチップの表面6(更に、フッ化炭素などの材料は一般的に良好な結合力を有する)に付着させるためのエネルギー勾配が存在するようにすることができる。これらの相互作用はまた、特にチップ表面6が基板よりも清浄である場合には、系のエントロピーを増加させるはずである。最終的に、
図1Cにおいて、粒子2は、軟質パッチ材料4内に機械的に詰め込まれ、この機械的動作はまた、低表面エネルギー材料でチップ表面6を再コーティングし、これによりエネルギーを減少させて系のエントロピーを増加させることになる。
【0067】
図2は、本開示の実施形態によるデブリ除去デバイス10の一部の断面図を示す。デバイス10は、低表面エネルギー材料のパッチ又はリザーバ13に隣接して位置決めされたナノスケールチップ12を含む。リザーバ内の低表面エネルギー材料は、固体、液体、半液体又は半固体とすることができる。
【0068】
チップ12上には、コーティング16が形成される。コーティング16を形成する前に、チップ12は、プレコーティング又は表面処理されて、チップ12の表面エネルギーを変える(例えば、毛細管、濡れ性、及び/又は表面張力の作用を変更する)ことができる。適切に選択されると、コーティング16によって、チップ12が非コーティングチップよりも長期間の間鋭利なままでいることが可能となる。例えば、PTFEコーティングのダイアモンドチップは、非コーティングダイアモンドチップよりも長い動作寿命を有することができる。
【0069】
本開示の特定の態様によれば、コーティング16は、低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14内に見出されるのと同じ低表面エネルギー材料を含むことができる。また、本開示の特定の態様によれば、チップ12は、低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14と直接接触することができ、コーティング16は、低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14に対してチップ12を摩擦又は接触させることによって、チップ12の表面上に形成(又は補充)することができる。更に、低エネルギー材料のパッチ又はリザーバに対してチップ12を摩擦する及び/又はパッド14を引掻くことにより、チップ12の表面にわたって低表面エネルギー材料の表面拡散を強化することができる。
【0070】
本開示の特定の態様によれば、コーティング16及び低エネルギー材料14のパッチ又はリザーバ14は共に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの塩素化及びフッ素化された炭素含有分子、又はフッ素化エチレンプロピレン(FEP)などの他の類似材料で作製することができ、又は少なくともこれらを含むことができる。本開示の別の態様によれば、金属材料、酸化物、金属酸化物、又は他の何れかの高表面エネルギー材料の中間層15をチップ12の表面と低表面エネルギー材料コーティング16との間に配置することができる。中間層の代表的な実施例には、セシウム(Cs)、イリジウム(Ir)、及びこれらの酸化物(並びに塩化物、フッ化物など)を含むことができるが、これらに限定されない。これら2つの例示的な元素金属は、それぞれ低表面エネルギー及び高表面エネルギーを備えた比較的軟質の金属であり、従って、所与の汚染、基板、及び周囲環境に対して最適な表面エネルギー勾配の最適化を示す。加えて又は代替として、チップ12の表面を粗面化又はドープすることができる。高表面エネルギー材料又はチップ処理は一般的に、低表面エネルギー材料コーティング16をチップ12により強く固着するように作用する。チップの形状もまた局所的な表面エネルギー密度の変化(つまり、ナノスケールの鋭利さは、表面エネルギー密度をちょうど先端部で大きく増加させることになる)に影響を与えるので、チップ12の形状は、チップに対する粒子の選択的な付着力の増加をもたらすように変更することもできる。また、チップ12のチップ表面13を粗面化することにより、粒子及び多くの潜在的結合サイトとの接触表面積の増加(dA)に起因して、より大きな付着力をもたらすことができる。チップ表面13はまた、粒子又は一部の中間コーティングと反応して付着力を増加させることができる、極めて不安定で化学的に活性なダングリングボンドを含むように処理(場合によっては化学的又はプラズマプロセスによって)することができる。チップ表面13はまた、粒子と相互作用するチップ12の表面積を増大させるために、高密度炭素(HDC)又はダイアモンド状炭素(DLC)のような高表面積材料でコーティングすることができる。
【0071】
高表面エネルギー前処理は、本開示の特定の態様による低表面エネルギーコーティング16無しで利用される。このような態様において、以下で検討する粒子20は、本明細書で検討するものと類似の方法を用いて他の何れかの軟質ターゲット(例えば、金、アルミニウム)に埋め込むことができ、或いはチップ12は、消耗品とすることができる。また、本開示を鑑みて当業者には理解されるように、他の物理的な及び/又は環境的なパラメータ(例えば、温度、圧力、化学作用、湿度)を変更して、チップ処理及び/又は粒子のピックアップ/ドロップオフを強化することができる。
【0072】
本開示の特定の態様によれば、
図2及び3に示す構成要素の全てはAFMに含まれる。一部のこのような構成において、低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14は、実質的に平坦であり、基板18を支持するステージに取り付けられる。また、本開示の特定の態様によれば、低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14は、ステージから取り外し可能であり、容易に交換又は容易に補充可能とすることができる。例えば、低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14は、容易に取り外し可能なクランプ又は磁気マウント(図示せず)を用いてAFMに固定することができる。
【0073】
図3は、
図2に示すデブリ除去デバイス10の別部分の断面図を示す。
図3には、典型的には
図2に示す低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14に隣接して位置決めすることができる基板18が示される。また
図3には、基板18の表面に形成されたトレンチ22に存在することができる複数の粒子20が示される。粒子20は、典型的には、ファンデルワールス近距離力によってトレンチ22の表面に付着する。
図3において、チップ12を基板18に隣接するよう移動させて位置決めし、粒子20をチップ12に物理的に付着させることができる。トレンチ22の底部に到達させるために、
図2及び3に示すようなチップ12は、高アスペクト比のチップとすることができる。トレンチ22は、
図3に示されるが、粒子20は、洗浄されることになる別の構造上に付着し、又は見出すことができる。
【0074】
図4は、
図2に示すデブリ除去デバイス10の一部分の断面図を示し、ここで粒子20は、低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14の表面内に又は表面に対してチップ12を延ばすことによって、チップ12から移送することができ、また、低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14に埋め込むことができる。その後、
図5の断面図に示すように、チップ12を後退させて、チップ12がもはや低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14と接触しないようにすることができる。チップ12が低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14から後退又は引き出されると、その前にチップ12上にあった粒子20は、低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14と共に留まる。
【0075】
本開示の特定の態様によれば、
図2-5に示すデバイス10は、デブリ除去方法を実施するのに利用することができる。本開示の特定の態様は、本明細書で検討する方法の前に又はこれに従って他の粒子洗浄プロセスと併せて用いることができる点に留意されたい。更に、粒子、デブリ、又は汚染物質という用語は、基板表面に対する異物を記述するのに同義的に用いることができる点に留意されたい。また、1つのチップ12だけが検討され図示されているが、複数のチップを同時に用いて複数の構造体から同時に粒子を除去してもよい点に留意されたい。更に、複数のチップを本明細書にて検討する方法にて並行して同時に使用してもよい。
【0076】
上述のデブリ除去方法は、
図3の基板18上に存在するように示された粒子20(すなわち、デブリの断片)の1又は2以上に隣接してチップ12を位置決めするステップを含むことができる。本方法は更に、同様に
図3に示されるように粒子20をチップ12に物理的に付着させるステップ(静電気的に付着させるステップではなく)と共に、粒子(又は複数の粒子)20及び周囲の表面と接触したときのチップ12の何らかの実施可能な繰り返し動作を含むことができる。粒子20のチップ12への物理的な付着の後、本方法は、
図4に示すように、チップ12を基板18から離れて移動及び/又は引き出して、チップ12を粒子20と共に低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14に移動させることによって、粒子20を基板18から除去するステップを含むことができる。
【0077】
本開示の特定の態様によれば、本方法は、チップ12の少なくとも一部分上にコーティング16を形成するステップを含むことができる。本開示の特定の態様によれば、コーティング16は、基板18の表面エネルギーよりも低い表面エネルギーを有するコーティング材料を含むことができる。加えて又は代替として、コーティング16は、基板18と接触状態にある粒子20の表面積よりも大きい表面積を有するコーティング材料を含むことができる。
【0078】
上記に加えて、本方法の一部の態様は更に、チップ12が粒子又はデブリの別の断片(図示せず)に隣接して、粒子又はデブリの別の断片がチップ12に物理的に付着するように、基板18の少なくとも第2の位置にチップ12を移動させるステップを含むことができる。粒子又はデブリの別の断片は、その後、
図4に示すものと同様の方法で、基板18からチップ12を離れて移動させることにより基板18から除去することができる。
【0079】
デブリ(例えば上述の粒子20)が基板18から除去されると、本開示による幾つかの方法は、基板から離れて位置決めされた材料片(例えば、上述の低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14)にデブリの断片を堆積させるステップを含むことができる。
【0080】
チップ12は、大量のデブリを除去するために繰り返し使用することができるので、本開示の特定の態様によれば、本方法は、低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14にチップ12を押し込むことによってコーティング16を補充するステップを含むことができる。低エネルギー材料のパッチ又はリザーバからの低表面エネルギー材料は、経時的にチップ12のコーティング16において生じる可能性がある何らかの孔又はギャップをコーティングすることができる。この補充ステップは、低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14内にチップ12を押し込んだ後、低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14内でチップ12を横方向に移動させるステップ、チップ12の表面を摩擦するステップ、又はチップ12及び/又は低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14の物理的なパラメータ(例えば、温度)を変更するステップのうちの1又は2以上を伴うことができる。
【0081】
本開示による特定の方法は、修復が完了した後に除去された材料が塊になって再度基板に強く付着する可能性を低減するために、修復前に欠陥又は粒子の周りの小領域を低表面エネルギー材料に曝すステップを含むことができる点に留意されたい。例えば、欠陥/粒子及び欠陥周りのおよそ1~2ミクロン領域は、本開示の特定の態様に従ってPTFE又はFEPでプレコーティングすることができる。このような場合には、低表面エネルギー材料でコーティングされ又は構成されたチップ12(例えば、PTFE又はFEPのチップ)を用いて、他の修復ツール(レーザ、電子ビーム)が利用中の場合でも極めて多くの低表面エネルギー材料を修復領域に付与することができる。チップ12上のコーティング16に加えて、チップ12の一部又は全部は、限定ではないが、塩素化及びフッ素化炭素含有分子などの低エネルギー材料を含むことができる。このような材料の実施例には、PTFE又はFEPを含むことができる。加えて又は代替として、金属及びその化合物などの他の材料を用いてもよい。一部の代表的な実施例には、Cs、Ir、及びこれらの酸化物(並びに塩化物、フッ化物など)が含まれる。これら2つの例示的な元素金属は、それぞれ低表面エネルギー及び高表面エネルギーを有する比較的軟質の金属であり、従って、所与の汚染物質、基板、及び周囲環境に対して最適な表面エネルギー勾配の最適化を示す。加えて又は代替として、他の炭素系化合物を用いてもよい。一部の代表的な実施例には、HDC又はDLCが含まれる。
【0082】
本開示の特定の態様によれば、本方法は、粒子をチップ12の先端から該先端の上部でチップ12を支持するAFMカンチレバーアーム(図示せず)に向けて押し進めるために低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14を用いるステップを含む。このような粒子20の押し上げは、チップ12の先端付近にスペースを確保して、より多くの粒子20を物理的に付着させることができる。
【0083】
本開示の特定の態様によれば、チップ12を低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14に見出すことができる軟質材料のパレット内に交互に浸漬、挿入、及び/又は窪み形成することによって、例えば基板18のトレンチ22などの高アスペクト比構造からナノ加工デブリを除去するためにチップ12が使用される。選ばれた態様において、低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14の軟質材料は、柔らかい又は展性のある粘稠性を有することができる。この軟質材料は一般に、それ自体よりもチップ12及び/又はデブリ物質(例えば、粒子20内の)に対してより優れた付着力を有することができる。軟質材料はまた、ナノ加工のデブリ粒子20をチップ12に静電気的に吸着する極特性を有するように選択することができる。例えば、低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14は、可動性界面活性物質を含むことができる。
【0084】
上記に加えて、本開示の特定の態様によれば、チップ12は、1又は2以上の誘電性表面(すなわち、電気絶縁性表面)を含むことができる。これらの表面を特定の環境条件(例えば、低湿度)下で類似の誘電性表面上で摩擦させ、静電気的表面帯電に起因する粒子ピックアップを可能にすることができる。また、本開示の特定の態様によれば、コーティング16は、限定ではないが、水素結合、化学反応、強化表面拡散を含むことができる、他の何れかの近距離機構によって粒子を吸着することができる。
【0085】
次に、
図6-11を参照しながら、デブリ除去チップの例示的な態様を説明する。低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14の軟質パレット材料を貫通する(すなわち、窪み形成する)のに十分な程度に強固で剛性のある何れかのチップを使用することができる。従って、極めて高いアスペクトのチップ外形形状(1:1を超える)は、本開示の範囲内にある。チップが軟質の(場合によっては粘着性の)材料を貫通するほどに十分に剛性があれば、強固で可撓性のある高アスペクト比のチップが、より脆弱及び/又は可撓性が小さいチップに優先して一般に選択される。従って、本開示の特定の態様によれば、チップは、トレンチ22又は基板18への損傷又は変化無しに、基板18の修復トレンチ22の側部及び角部に摩擦することができる。この作業の大まかなマクロスケール類似物は、深い内径内を移動する剛性のあるブリストルである。本開示の特定の態様によれば、以下でより詳細に説明するように、チップ12は、複数の堅固な又は剛性のあるナノフィブリル・ブリストルを備えることができる点に留意されたい。
図6に示すような一態様において、複数の堅固な又は剛性のあるナノフィブリル・ブリストル30の各ブリストルは、チップ12から直線的に延びることができる。一態様において、複数の堅固な又は剛性のあるナノフィブリル・ブリストル30は、カーボンナノチューブ、金属ウィスカなどで形成することができる。加えて又は代替として、以下でより詳細に説明するように、チップ12は、複数の可撓性又は巻き付けナノフィブリルを備えることができる。複数の可撓性又は巻き付けナノフィブリルは、例えば、高分子材料を用いてチップ12上に形成することができる。当然ながら、他の材料及び構造も企図される。
【0086】
本開示の特定の態様によれば、1又は2以上の粒子がピックアップされたか否かの検出は、関心領域(ROI)のナノコンタクトAFMスキャンを用いて粒子を検出することによって実施することができる。チップ12は次に、ターゲットでの後処理まで再スキャンすることなく、基板18から後退することができる。しかしながら、チップ12によってピックアップされたデブリ物質の総質量もまた、チップの共振周波数の相対的シフトによりモニタすることができる。更に、他の動力学を同じ機能に使用してもよい。
【0087】
上述のように及び
図5に示すように粒子20を取り除くために軟質材料内に窪み形成する代わりに、チップ12を低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14内に誘導し、粒子20を取り除くことができる。従って、チップが意図せずに粒子20をピックアップした場合、粒子20は、別の修復を行うことによって取り除くことができる。特に誘導によって粒子20を堆積するために異なる材料が使用される場合、金箔などの軟質金属を利用することができる。
【0088】
上記に加えて、紫外(UV)光硬化材料、又は同様に化学的非可逆反応を受けやすい他材料を使用して、チップ12をコーティングする、並びにコーティング16を形成することができる。UV硬化の前に、材料は、基板18から粒子20をピックアップする。チップ12が基板18から取り外されると、チップ12は、UV光源に曝すことができ、この場合、材料特性を変化させて粒子20のチップ12に対する付着力を低下させ、且つ低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14中の材料に対する付着力を高めることになり、その後、粒子20をチップ12から取り除いて低エネルギー材料のパッチ又はリザーバ14と共に堆積することができる。当然ながら、粒子のピックアップ及び除去の選択性を強化又は可能にする他の非可逆プロセスも企図される。
【0089】
本開示の特定の態様は、様々な利点を提供する。例えば、本開示の特定の態様は、極めて高いアスペクトのAFMチップ外形形状(1:1を超える)を用いて高アスペクトのトレンチ構造から能動的なデブリ除去を可能にする。また、本開示の特定の態様は、極めて高いアスペクトのチップを使用すること並びにAFMオペレータによって現在使用されているソフトウェア修復シーケンスに比較的軽微な調整を行うことに加えて、低表面エネルギー又は軟質材料パレットをAFMに取り付けることによって比較的容易に実施することができる。更に、本開示の特定の態様によれば、他のいかなる方法によっても洗浄できないマスクの表面から粒子を選択的に除去するのに使用することができる(ナノピンセットのように)新規のナノ加工ツールを実施することができる。これは、デブリが最初に非コーティングのチップで表面から取り出され、次にコーティングされたチップでピックアップされる、より従来的な修復と組み合わせることができる。
【0090】
一般に、低表面エネルギー材料は上述の局所的な洗浄方法で使用されるが、他の実施可能な変形形態もまた、本開示の範囲内であることに留意すべきである。典型的には、これらの変形形態は、粒子20をチップ12に引き付ける表面エネルギー勾配(すなわち、ギブズ自由エネルギー勾配)を生成し、その後で、他の何らかの処理により反転されて粒子20をチップ12から放出することができる。
【0091】
本開示の一態様は、高アスペクト構造内での能力を向上させると同時に下にある基板に対して機械的により攻撃的でないプロセスを可能にするために、AFMチップの作用端に少なくとも1つのナノフィブリルの取り付けを伴う。これらのフィブリルは、その機械的特性及びナノ粒子洗浄に向けた適用に応じて、2つの異なるラベル、すなわち「剛性のある」フィブリルと「巻き付け」フィブリルに分類することができる。この相違点を理解するために、
図7A及び7Bは、これら2つのタイプのフィブリル、すなわち、チップ710に取り付けられた剛性フィブリル700とチップ760に取り付けられた巻き付けフィブリル750とを示す。更に、ビットクリーン(BitClean)粒子洗浄において必要とされる2つの重要なプロセス:ナノ粒子の取り出し、汚染表面からナノ粒子の付着及び抽出を最初に理解しなければならない。これらの定められた最重要ステップに関して、2つの異なるフィブリル間の機能的な相違点は、以下のように示される。
【0092】
図7Aに関連して、剛性フィブリル700は、ナノ粒子を取り出すためにフィブリル自体の機械的動作及び機械的強度により多く依存する。従って、破断することなく首尾よく取り出しを達成するために、剪断及び曲げ強度及び弾性率にも依存している。これは、単結晶ダイアモンドの強度及び剛性(典型的には硬度と呼ばれる)を超える又は適合することができる材料が僅かであることを意味する。これらの中には、カーボンナノチューブ及びグラフェンがあり、これは、共にダイアモンドでも見出される炭素-炭素sp3混成軌道原子間結合(既知の最強結合の1つ)を用いていることに起因する。他の企図される材料には、場合によってはダイアモンドの機械的強度及び剛性を超えることができる特性を有するホウ素含有化学物質の特定相が含まれ、これらを用いることもできる。一般に、多くの物質(ダイアモンドを含めて)は、その次元が縮退されると、本質的により強固でより剛性が高くなることができる(構造が原子スケールに近づき、その形状が熱拡散挙動によって決定付けられるにつれて、剛性は低下する)。これは、最初にナノ結晶性金属で観察されたが、分子シミュレーション及び単結晶ナノピラーに関しても生じる一部の実験でも確認されている物質現象である。この挙動に対する1つの有力な仮説は、塑性変形の欠陥拡散機構につながる。より大きなスケールでは、これらの結晶欠陥(空孔、転位など)は、バルク支配型動力学において拡散し相互作用する。より小さなスケールでは(物質及び温度など全てが同じ場合)、これら欠陥の動きは、結晶のバルクにおけるよりも遥かに高い表面拡散型動力学に支配されるようになると考えられる。物質連続体近似の範囲内で考えると、この大きな表面拡散速度は、結果的に低応力レベルでの物質の塑性変形(降伏とも呼ばれる)及び破損にもつながる。例えば、Tiの単結晶ナノピラーに関して、降伏応力は、約8~14nmの範囲までは断面幅の減少と共に増加することが明らかになっているが、この範囲未満では、その挙動は、降伏応力が断面幅の減少と共に実際には減少する変曲点を経る。
【0093】
図8Aから8Cは、AFMチップ810の先端又はその近くに取り付けられた単一の剛性フィブリル800を用いてターゲット基板からナノ粒子を取り出して取り除く例示的なプロセスを示す。チップ810は表面に接近し、剛性フィブリル無しでAFM走査と同じ原理を用いて走査する。チップ810の先端に取り付けられた単一の剛性フィブリルを考慮して、異なる操作パラメータが適用可能であることは、当業者には理解されるであろう。粒子が位置特定されると、チップ810は表面830に向けて移動され、剛性フィブリル800は、
図8Bに概略的に示されるように弾性変形する。一態様において、剛性フィブリル800の変形は、圧縮性、剪断性、曲げ性、引張性、又はこれらの組み合わせとすることができ、表面830からナノ粒子820を機械的に取り出すのに使用することもできる。ナノ粒子820が取り出されると、剛性フィブリル800、基板840及びナノ粒子820の表面間の表面エネルギー及び面積の相違が、後でナノ粒子820が基板表面から抽出されたときに剛性フィブリル820に付着するかどうかを決定付ける。
【0094】
これに対しての剛性フィブリルのナノ粒子洗浄プロセスに特有の例外は、
図9Aから9Cに示すように、2又は3以上の剛性フィブリルが、ナノ粒子の直径よりも小さい(しかし、これらの剪断及び曲げ弾性率及び幅に対する長さの比によって決定されるような、剛性フィブリルに対する弾性変形限界より小さくはない)距離でチップ表面に強固に取り付けられている場合である。2又は3以上の剛性フィブリル900a、900bがナノ粒子の直径よりも小さい距離でチップ910に取り付けられた態様によれば、そのシーケンスは、
図8Aから8Cに関して上述されたような単一の剛性フィブリルと極めて類似している。その相違点は、
図9Bに概略的に示すように、ナノ粒子920の周りにより歪んだ又は変形した剛性フィブリル900a、900bが存在するという観察に始まり、これによって、1又は2以上の剛性フィブリル900a、900bが所与の洗浄シナリオに対してナノ粒子920を取り出すのに必要となるような方式(力及び加えられる力の角度)でナノ粒子に衝突する確率が増大する。取り出しステップの後に、マルチフィブリルチップ910は、粒子920が付着する(すなわち、濡れる)より多くの潜在的表面積を有することができる。チップ910が基板から後退すると、
図9Cに概略的に示されるように、フィブリルの長さ及び間隔が適正範囲にある場合には別の相違点が現れる。この設定に対するナノ粒子920は、剛性のあるナノフィブリル900a、900b間のスペース内に機械的にトラップされる可能性があり、これにより、マルチフィブリル900a、900bへの付着力の増大と、基板表面930からナノ粒子920を取り出す確率の増大とをもたらすことができる。同様に、別の表面上にナノ粒子920を堆積させることが望まれしい場合には、チップ910を表面に再接近させて、剛性フィブリル900a、900bにナノ粒子920の機械的な捕捉を緩めるように再び応力を加え、これにより、ナノ粒子920が所望の表面位置に堆積される確率を高めることができる。上述のように、これは、フィブリル900a、900bの長さ及び間隔が適正範囲内にあると仮定しており、1次モデルにおいて、本開示を鑑みて当業者には理解されるように、これらの範囲には、ナノ粒子920(砕けることのない強固なナノ粒子を仮定している)の最小幅より小さいが、フィブリル900a、900bがその剪断及び曲げ強度の限界(フィブリルの相対的な長さによっても決まり、フィブリル取り付けの付着強度がこの限界より小さいと仮定している)を超えて曲がることのない程度に大きいフィブリル間隔が含まれる。選ばれた態様において、2又は3以上の剛性フィブリルは、種々の等しくない長さを有することができる。
【0095】
剛性フィブリルとは何か(巻き付けフィブリルと対照的に)を定義するために、特定の物質及びナノ構造に対して非等方的なバネ定数(有効剪断及び曲げ弾性率に関係する)を定めることができなければならない。これは実際に行うことが極めて難しいので、本明細書においては、これらの特性は、おおよそ引張(別名ヤングの)弾性率及び強度に比例すると仮定する。引張弾性率は、物質が弾性的な(すなわち、バネ様の)機械的特性を示す応力範囲内での物質の剛性の実施可能な尺度である。これは、応力を歪みで除算することによって与えられ、従って、応力と同じ単位となる(歪みは、初期寸法に対する最終寸法の変形率として定義されるため)。引張弾性率は、特に剛性を定義しないが、フィブリルは、それ自体が破断して付加的な汚染を基板表面に生成することなく、ナノ粒子を取り出すのに十分な力を加えることができる必要があるので、引張強度もまた重要である。強度も応力の単位(パスカル)で与えられる。ダイアモンドに関して、その固有の引張弾性率は、およそ1.22テラパスカル(TPa)で、引張強度は8.7~16.5ギガパスカル(GPa)に及び、本明細書では剛性及び強度に対する一般的基準尺度を提供する(引張弾性率が0.5TPaのタングステンに対する値内に近く、又はこれらの値を超える)。カーボンナノチューブは、その性質上、真性の実体ではないので、これらの引張弾性率は、個々の分子及びその特性に特有である(例えば、単層又は多層、それぞれSWNT又はMWNT、キラリティなど)。SWNTに関して、その引張弾性率は、1~5TPaに及び、その引張強度は13~53GPaに及ぶことができる。この範囲にある別の部類の物質と比較するため、BxNy(様々な化学量論組成の窒化ホウ素化合物)は、0.4~0.9TPaに及ぶ引張弾性率を有する。巻き付けフィブリルと剛性フィブリルを区別してその境界を定めるために、最も適切で適用可能な標準的な機械的材料特性は、降伏応力である。剛性フィブリルは、0.5GPa(1GPa=1x109N/m2)以上の降伏応力を有する材料としてここでは定義される。従って、消去法により、0.5GPa未満の降伏応力を有する何れかの材料は、巻き付けフィブリルと見なすことになる。特にナノスケールにおいて、多くの物質は非等方的な機械的特性を示すことができ、よって降伏応力は、フィブリルの主要(すなわち、最長)寸法を横切る剪断応力(又は等価な曲げ応力)として規定されることが重要である点に留意されたい。
【0096】
巻き付けフィブリルは、剛性フィブリルとは対照的に、十分に高い(同等の)引張強度と共に遥かに小さなバネ定数を有することになる。巻き付けフィブリルの場合、適用方法の相違に起因して、基板表面からナノ粒子を取り出して抽出するために引張力が加えられるので、引張強度はその性能に直接的に関係する。しかしながら、文献で引用されるほとんどの機械的特性は、原則として、単分子フィブリル(又は、単分子スケールに近いナノスケールフィブリル)に対する引張特性にはほとんど完全に無関係なバルク物質に関するものである点に留意されたい。例えば、PTFEは通常、バルク物質では極めて低い引張弾性率及び強度を有する(それぞれ、0.5GPa及び場合によっては<<20MPa)とされるが、分子の骨格が炭素-炭素sp混成軌道化学結合から構成されるので、その単分子の引張強度は、他の多くの物質、カーボンナノチューブ及びグラフェン(これらの全ては、同種の化学結合を含む)よりもダイアモンドに匹敵するはずである。バルク物質の機械的特性は、その近傍と相互作用する単一分子鎖の作用により関連するので、凝集力のある単分子の曲げ及び剪断弾性率の両方に匹敵するはずである。これらのタイプの物質(高分子)は、塑性変形と関係した機械的特性の例証となるので、これらの分子は、高い可撓性を示すより拡散性熱的挙動に従って変形すると予期される。剛性フィブリルに対する巨視的な例示が、ガラスの細片である場合、巻き付けフィブリルの相当する例示は、薄い炭素繊維となる(後者は、高い引張強度と共にマクロスケールで高い可撓性を有するように見える)。
【0097】
図10A~10Cは、本開示の一態様による、先端近く又は先端にてAFMチップ1010に取り付けられた巻き付け(可撓性)ナノフィブリル1000を用いたナノ粒子洗浄シーケンスを示す。巻き付け型フィブリル1000を変形させるのに必要な圧縮応力がないので、近距離表面エネルギー力によりフィブリル1000がナノ粒子表面に付着することが可能となる程にフィブリル1000をナノ粒子表面に接近させるために、チップ1010は、表面1030の近接近される。フィブリル1000、ナノ粒子1020、及び基板表面1030の相対的表面エネルギーは、フィブリルが優先的にナノ粒子表面に付着するように標的化されるので、フィブリル1000が、フィブリル長さを考慮した十分な弛みを有して接触状態になると、フィブリル1000が粒子1020に巻き付くのを可能にするために、時間及び付与される撹拌エネルギー(場合によっては機械的及び/又は熱的なエネルギー)だけが必要とされる。より剛性のあるチップからの機械的なエネルギー(フィブリル1000が取り付けられたチップ1010か、又は前の処理パスの別のチップによるかを問わず)が加えられて、最初に粒子1120を取り出すことができる。フィブリル1000がナノ粒子1020に十分に巻き付くと、
図10に概略的に示されるように、チップ1010は次に、基板表面1030から後退する。この段階の間、フィブリル1000のナノ粒子1020への付着力(ナノ粒子の周りに巻き付いて絡まるほど強化される)、フィブリル1000の引張強度、及びAFMチップ1010に対するその付着力が全て、ナノ粒子1020の基板1040に対する付着力よりも大きい場合には、ナノ粒子1020は、
図10Cに概略的に示されるように、基板1040から後退することになる。
【0098】
ナノ(又は分子)スケールの巻き付けフィブリルを作製するのに用いることができる実施可能な材料の幾つかの実施例には、RNA/DNA、アクチン、アミロイドのナノ構造、及びイオノマーが含まれる。RNA(リボ核酸)及びDNA(デオキシリボ核酸)は、類似の化学的性質、調製、及び処理プロセスを示すので、一緒に説明する。近年、俗に「DNAオリガミ」として知られる技術に関して大幅な進歩が成し遂げられ、これにより、DNA分子を結合する方法の精密な化学工学が可能となる。これら又は類似の化学的性質に適用される類似のプロセスは、長鎖高分子が脱離して、列状に結合することができると考えられる。最も一般的なプロセスを考慮すると、特定のDNA配列は、化学的に生成され又は周知の一本鎖ウィルスDNA配列から商業的に得られることになり、適切に化学的官能化された(化学力顕微鏡法の実施で行われるように)AFMチップ1110は、DNA配列を含んだ水溶液に浸漬され又は表面に対しAFM接触状態にされて、DNA配列が設計どおりに結合するようになる。チップ1110は次に、
図11A~11Dに示すように、基板表面1130から粒子除去のために官能化することができる。図中で左から右へ移動すると、官能化されたチップ1110は、
図11Aに示すように、粒子1120及び基板表面1130に接近する(DNA鎖1100の長さよりも近接して)ように移動又は作動させることができる。チップ1110が、
図11Bに示すように取り出された粒子1120の近くにある間、活性化化学的性質(商業的にも入手可能なヘルパーDNA鎖か、又はマグネシウム塩などの他の幾つかのイオン活性剤)を有してより高い温度(おそらく~90℃)を付与することができる。次いで、環境が冷却され(おそらく~20℃まで)、鎖1100における目標の配列が
図11Cに示すように結合することができる(結合鎖1100は、分子の自由両端部にある)。ナノ粒子1120が確実に付着する点にDNAコーティング1100が凝固すると、
図11Dに示すように、基板表面1130からチップ1110を抽出することができる。これらの小スケールでは、ナノ粒子とチップ間のこの結合は機械的と言えるが、粒子が分子スケールの場合には、立体結合として説明することもできる。立体効果は、十分に近接近した原子の反発力によって生成することができる。原子又は分子が、全ての実施可能な拡散方向で原子によって囲まれている場合には、効果的に捕捉されて、その周囲に他の何れかの原子又は分子と化学的又は物理的に相互作用することができないことになる。本開示を鑑みて当業者には理解されるように、RNAも同様に操作することができる。
【0099】
次に実施可能な巻き付けナノフィブリルの候補は、真核細胞中にフィラメントを形成する類似した球状の多機能タンパク質のファミリーであり、その1つはアクチンとして知られる。アクチンは、骨組み形成、定着、機械的支持、及び結合のために細胞内部で使用され、このことは、高度に適応可能で十分に強固なタンパク質フィラメントであることを示している。アクチンは、上述のDNAオリガミ関連プロセスと極めて類似した方法で適用され使用されることになる。実験により、このタンパク質が6.7x4.0x3.7nmの寸法の分子に結晶化可能であることが示された。
【0100】
特定の海洋生物(フジツボ、藻類、海洋扁形動物など)が広範囲の基質材料にバイオミメティックス的に(又は直接的に)強固に結合できる機構の研究は、別の巻き付けフィブリル候補を提供する。これらの海洋生物は、一般に頭文字語DOPA(3、4-ジヒドロキシフェニルアラニン)と呼ばれる物質を分泌し、これは機能性アミロイドナノ構造でこれらの基質表面に結合する。アミロイド分子の付着特性は、フィブリル軸に対して垂直に配向されて高密度の水素結合網を通じて連結されたβ鎖に起因する。この結合網は、何千もの分子単位にわたって連続的に広がることが多い超分子βシートをもたらす。このようなフィブリル状ナノ構造は、水中付着、環境悪化に対する耐性、自己重合による自己修復、及び広大なフィブリル表面積を含む、幾つかの利点を有する。先に検討したように、広大なフィブリル表面積は、フジツボの付着性プラークにおける接触面積の増加により付着力を高める。アミロイドのナノ構造はまた、汎用アミロイド分子間βシート構造と関係した凝集強度及びアミロイドコアの外部の付着性残基に関連した付着強度などの、実施可能な機械的利点を有する。これらの特性により、アミロイド構造は広範囲の用途において有望な新世代の生体発想型接着剤の基礎とされる。分子自己組織化の利用の進歩により、ナノテクノロジー上の応用のために合成アミロイド及びアミロイド類似性接着剤の生成が可能となったが、1つには、基礎を成す生物学的設計原理を理解する上での限界に起因して、完全に合理的な設計が未だ実験的に示されていない。
【0101】
巻き付けフィブリル材料の最後の実施例は、イオノマーとして知られる高分子の一部類である。簡潔に言えば、これらは、分子鎖に沿って標的とされたイオン荷電部位に強固に結合する長い熱可塑性高分子である。イオノマー化学的構造の一般的な実施例は、ポリ(エチレン-コ-メタクリル酸)である。本開示の一態様によれば、イオノマーは、走査型熱プローブの表面に官能化することができる。この際、ナノ粒子を洗浄するプロセスは、特に走査型熱プローブで使用される場合に水性環境が必ずしも必要とされないことを除いて、上述のDNAオリガミプロセスに関して示したものと極めて類似している。イオノマー官能化コーティングもまた、水性(又は類似の溶媒)環境内で優先的共役結合のためにイオン性界面活性剤とペアにすることができる。これらの実施例(特にDNA/RNA及びアクチン)は、細胞などの生体構造内部でのナノ粒子状実体の除去及び操作に関して高度に生体適合性があることに言及すべきである。
【0102】
例えば、使用可能な1つの変形形態には、高表面エネルギーチップコーティングを用いることが含まれる。別の変形形態は、粒子を低表面エネルギー材料で前処理して粒子を剥離させ、次いで、粒子を高表面エネルギーチップコーティング(場合によっては異なるチップ上の)と接触させるステップを含む。更に別の変形形態は、チップ表面コーティングと粒子表面との間で起こる化学反応に対応する化学エネルギー勾配を利用して、この2つを結合するステップを含む。これは、チップが尽き果てるまで実行するか、又は他の何れかの処理で反転させることができる。
【0103】
本開示の更に別の態様によれば、接着剤又は粘着性コーティングは、上記の因子のうちの1つ又は2以上と組み合わせて使用される。また、表面粗さ又は小スケール(例えば、ナノスケール)のテクスチャは、粒子洗浄プロセス効率を最大にするように設計することができる。
【0104】
上記に加えて、典型的にはモップと類似し粒子20を機械的に巻き込むことができるフィブリルをチップ12が含む場合に、機械的結合を用いることができる。本開示の特定の態様による機械的絡み合いは、表面エネルギー或いは接触又は環境に対する化学変化によって駆動され、及び/又は強化される。
【0105】
本開示の更に別の態様によれば、チップ12は、分子ピンセット(すなわち、分子クリップ)でコーティングすることができる。これらのピンセットは、ゲスト(例えば、上述の粒子20)を結合させることができる開放キャビティを有する非環状化合物を含むことができる。ピンセットの開放キャビティは、典型的には、水素結合、金属配位、疎水力、ファンデルワールス力、π-π相互作用、及び/又は静電効果を含む非共有結合を用いてゲストを結合する。これらのピンセットは、ゲスト分子を結合させる2つのアームが典型的には一端でのみ連結されていることを除いて、大環状分子受容体に類似していることがある。
【0106】
上記に加えて、粒子20は、拡散接合又はカシミール効果を用いてチップによって除去することができる。また、
図6に示す本開示の態様のように、ブリストル又はフィブリル30をチップ12の端部に取り付けることができる。十分に考慮した配置又はランダムな配置かを問わず、これらのブリストル又はフィブリル30は、幾つかの方法で局所的清浄度を高めることができる。例えば、関連する表面積の増加は、粒子に対する表面(近距離)結合に利用することができる。
【0107】
本開示の態様の一部によれば、フィブリル30は、選択的に(例えば、表面又は環境のどちらかによって)粒子20の周りに巻き付いて粒子20を絡ませ、表面接触を最大にする分子であるように設計される。また、典型的には、剛性のあるブリストル30がチップ12に取り付けられたときに、本開示の特定の態様に従って粒子20の取り出しが行われる。しかしながら、フィブリル30はまた、粒子20を絡ませて、粒子20を引っ張ることによって機械的に粒子20を取り出すこともできる。対照的に、比較的合成のあるブリストル30は通常、チップ12が到達困難な裂け目に延びることができる。この場合、ブリストル30の衝撃変形応力、粒子20を跳ね返すためのチップ12の表面改質、又は何らかの組み合わせによって、粒子20が取り出される。更に、本開示の特定の態様は、粒子20をチップ12に機械的に結合させる。フィブリルがチップ12上にあるときには、フィブリル全体又は摩耗したフィブリルの1又は2以上のもつれが生じる可能性がある。ブリストルがチップ12上にあるときには、(弾性的に)応力が加えられたブリストルの間に粒子20を割り込ませることができる。
【0108】
本開示の更に別の態様によれば、デブリ除去の方法は、局所的な洗浄を容易にするために環境を変えるステップを含む。例えば、気体又は液体の媒質を導入することができ、或いは、化学的及び/又は物理的特性(例えば、圧力、温度、及び湿度)を変更することができる。
【0109】
上述の構成要素に加えて、本開示の特定の態様は、除去されるデブリを特定する画像認識システムを含む。このため、自動デブリ除去デバイスもまた本開示の範囲内にある。
【0110】
本開示の特定の態様によれば、複雑な形状の内側輪郭、壁、及び/又は底部への望ましくない損傷を回避するために比較的軟質の洗浄用チップが使用される。適切な場合には、より強い力を用いて比較的軟質のチップを表面に遥かに強く接触させながら、走査速度を増加させる。
【0111】
また、低表面エネルギー材料に曝された及び/又はコーティングされたチップは、ナノレベル構造体のデブリ除去(洗浄)以外の他の目的で使用できる点に留意すべきである。例えば、このようなチップはまた、本開示の特定の態様によれば、化学反応を抑制するためにミクロンレベル又はそれ未満のデバイス(MEMS/NEMSのような)を周期的に潤滑するのに使用することができる。
【0112】
本方法は、用途の要件に応じて様々な環境で、並びに基板表面から低エネルギー材料のパッチ又はリザーバへの粒子の差別的付着力を更に高めるために実施することができる。これらの環境は、限定ではないが、真空、様々な組成及び圧力のシールドガス、及び可変組成の流体(イオン強度及び/又はpHを変化させる流体を含む)を含むことができる。
【0113】
基板、チップ、デブリ、及び軟質パッチ間のギブズ自由エネルギー勾配に影響を与える他の多くの因子が存在するので、これらの他の因子を操作して、基板から軟質パッチへ粒子を移動させる下り勾配を生成することもできる。一つの因子は温度である。所望の勾配を生成するために、基板及び軟質パッチ材料の温度と合わせて走査熱プローブを使用することが可能である。ギブズ自由エネルギーの基本式は、デブリがより高い相対温度の表面に連続的に接触する場合に(式中のT*S項が負であるため)、ΔG<0の可能な駆動力を与えることができるということを示している。また、高温下で変形したロッドのΔGの式から、別の因子はチップに加わる応力であり、これがデブリの付着力を潜在的に増加させることが分かる。これは、外部ハードウェア(すなわち、異なる熱膨張係数を有するバイオマテリアルストリップ)によって、或いはナノ加工又はチップ破損に関する閾値未満での基板に対する圧縮又は剪断によって達成することができる。チップ材料の変形はまた、特にそれが粗面化されている(又はナノブリストルで覆われている)場合、及び/又は表面に高い微細構造欠陥(すなわち、ボイド)密度を有する場合には、デブリの機械的捕捉機構を提供することができる。次に検討する最後の因子は、化学ポテンシャルエネルギーである。デブリ材料をチップに結合させるための優先的化学反応を生成するために、チップ及び/又は軟質パッチ表面の化学状態を変えることが可能である。これらの化学結合は、本質的に共有結合又はイオン結合とすることができる(sp3混成軌道共有結合が最も強い)。デブリは、化学的作用の標的化されたロック・アンド・キー型化学結合ペアの1つの構成要素でコーティングすることができる。チップ(又は別のチップ)は、他の化学物質でコーティングされ、デブリ表面と接触させてデブリをチップに結合させることができる。化学作用のロック・アンド・キー型ペアの1つの非限定的な実施例は、化学力顕微鏡(CFM)実験で使用されることが多いストレプトアビジン及びビオチンである。イオン結合を用いる別の実施例は、デブリ及びチップ表面上の分子の露出した極性端が反対の荷電である、2つの界面活性物質の極性分子化学作用であろう。欠乏した溶媒和及び立体相互作用コーティング又は表面を含む表面化学相互作用付着機構には、付加的な関連態様が存在する。チップ表面に対する化学変化はまた、表面エネルギーに対する目標とする変化並びに結合するためにチップ表面でデブリを(表面積dAを最大にするように)囲んで機械的に捕捉することができる相変化(特に流体から固体への)を可能にすることになる。これらの化学変化(チップ表面に対するものか、又は中間コーティングに対するものかを問わず)は、熱(温度)、紫外線、及び荷電粒子ビームなどの外部エネルギー源によって触媒作用を及ぼすことができる。
【0114】
図12-38を見ると、デブリ検出及び回収システムの例示的な態様について説明する。
図12は、本開示の一態様による、基板18からデブリ20を抽出するためのデブリ回収装置100の斜視図を示す。装置100は、基板支持組立体102及びチップ支持組立体104を含み、各々が基部106によって支持され、又は基部106に連結される。基部106は、一体形の金属スラブ、一体形の石スラブ、一体形のコンクリートスラブ、又は当該技術分野で公知の他の一体形のスラブ構造などの一体形スラブとすることができる。代わりに、基部106は、互いに固定された複数のスラブを含むことができる。複数のスラブは、金属スラブ、石スラブ、コンクリートスラブ、これらの組み合わせ、又は当該技術分野で公知の他の何れかのスラブ組立体を含むことができる。本開示の一態様によれば、基部106は、例えば、一体形の花崗岩スラブ又は一体形の大理石スラブなどの、一体形の石スラブとすることができる。
【0115】
基板支持組立体102は、基板18を支持するか、基板18を基板支持組立体102に固定するか、又はその両方を行うように構成された固定具108を含むことができる。基板支持組立体102は更に、基部106に対して固定具108を移動させるように構成された基板ステージ組立体110を含むことができる。基板ステージ組立体110は、直線平行移動ステージ、回転移動ステージ、これらの組み合わせ、又は当該技術分野で公知の他の何れかの移動ステージなど、1又は2以上の移動ステージを含むことができる。例えば、基板ステージ組立体110は、x方向112に沿った平行移動で、y方向114に沿った平行移動で、z方向116に沿った平行移動で、x方向112周りの回転で、y方向114周りの回転で、z方向116周りの回転で、又はこれらの組み合わせで固定具108を基部106に対して移動させるように構成することができる。x方向112、y方向114、及びz方向116は、互いに直交することができるが、x方向112、y方向114及びz方向116が互いに直交することは必須ではない点は、理解されるであろう。
【0116】
基板ステージ組立体110の1又は2以上の動作ステージは、固定装置108と基部106との間の所望の相対移動をもたらすように構成された1又は2以上のアクチュエータ118を含むことができる。例えば、1又は2以上のアクチュエータ118は、ねじ付きロッド又はウォームギアを介して基板ステージ組立体110に連結された回転モータ、サーボモータ、磁場によって基板ステージ組立体110に力を発動するように構成された磁気アクチュエータ、ピストンロッドを介して基板ステージ組立体110に連結された空気圧又は液圧ピストン、圧電アクチュエータ、又は当該技術分野で公知の他の何れかの運動アクチュエータを含むことができる。1又は2以上のアクチュエータ118は、基部106に固定することができる。
【0117】
本開示の一態様によれば、基板ステージ組立体110は、第1ステージ120及び第2ステージ122を含むことができ、ここでは第1ステージ120は、第1アクチュエータ124を介して固定具108を第2ステージ122に対して移動させるように構成され、第2ステージは、第2アクチュエータ126を介して基部に対して第1ステージ120を移動させるように構成される。第1アクチュエータ124は、第1ステージ120をx方向112に沿って平行移動させるように構成することができ、第2アクチュエータ126は、y方向114に沿って第2ステージ122を平行移動させるように構成することができる。しかしながら、第1ステージ120及び第2ステージ122は、他の用途に適合させるために、他の軸に沿った平行移動又は他の軸の周りの回転で基部106に対して移動するように構成可能であることは理解されるであろう。
【0118】
チップ支持組立体104は、チップカンチレバー132を介してチップステージ組立体130に連結されたチップ12を含むことができる。チップ12は、AFM用又は走査型トンネル顕微鏡(STM)のチップなどの走査型プローブ顕微鏡(SPM)チップとすることができる。
図12に示すチップ12は、本明細書で上記で説明したチップ構造又は属性の何れかを具現化することができる点は理解されるであろう。従って、チップステージ組立体130は、SPMスキャナ組立体とすることができる。チップステージ組立体130は、基部106に固定され、x方向112に沿った平行移動で、y方向114に沿った平行移動で、z方向116に沿った平行移動で、x方向112周りの回転で、y方向114周りの回転で、z方向116周りの回転で、又はこれらの組み合わせでチップ12を基部106に対して移動させるように構成することができる。
【0119】
基板ステージ組立体110と同様に、チップステージ組立体130は、基部106に対してチップ12の所望の移動をもたらす1又は2以上のアクチュエータ134を含むことができる。本開示の一態様によれば、1又は2以上のアクチュエータは、チップ12を第1軸の周りに回転させるためにチップ12に動作可能に連結された回転アクチュエータシステムを含むことができる。本開示の一態様によれば、1又は2以上のアクチュエータ134は、1又は2以上の圧電アクチュエータを含むことができるが、本開示の範囲から逸脱することなく、特定用途の要求を満たすために1又は2以上のアクチュエータ134に対して他のアクチュエータ構造を利用してもよいことは理解されるであろう。
【0120】
基板ステージ組立体110は、チップステージ組立体130によって行われる移動よりも大きく且つ精度の低い移動を行うように構成することができる。従って、基板ステージ組立体110は、固定具108とチップ12間の粗い相対移動を生じるように調整することができ、チップステージ組立体130は、固定具108とチップ12間のより微細な相対移動を生じるように調整することができる。
【0121】
一態様によれば、
図12の装置100は、基板支持組立体102、基部106、又はその両方に配置された第1パッチ142を含むことができる。別の態様によれば、
図13に示すように、装置100は、基板支持組立体102、基部106、又はその両方に配置された第1パッチ142及び第2パッチ144を含むことができる。第1パッチ142、第2パッチ144、又はその両方は、上述のパッチ14の構造、材料、又は属性の何れかを具現化することができる。本開示の態様によれば、第2パッチ144は、第1パッチ142のものと類似した又は同一の構造及び材料を具現化することができ、そこにおいて、第2パッチ144は主に、チップ12を介して基板18から回収されたデブリ20を受け取って保持するために使用され、第1パッチは主に、基板18からの引き続くデブリ20の回収のためにチップ12を処理又は調製するために使用される。或いは、第2パッチ144は、第1パッチ142とは異なる構造又は材料を具現化することができ、第1パッチ142は、基板18からのデブリ20の回収前にチップ12を処理するステップにより良好に調整することができ、第2パッチ144は、チップ12を介して基板18から回収されて第2パッチ144上に配置されたデブリ20を受け取って保持するためにより良好に調整することができる。
【0122】
一態様において、
図30-37を参照して更に詳細に説明するように、第2パッチ144は、チップ12からデブリ又は汚染物質を回収するための回収ポケット又は回収スルーホールとして構成することができる。しかしながら、第1パッチ142又は第2パッチ144の何れかを単独で使用して、基板18からデブリ20を回収する前にチップ12を処理し、チップ12を用いて基板18から回収されたデブリ20を保持することができる。
図13に示すように、第2パッチ144は、第1パッチ142に対向させて第1ステージに配置又は取り付けることができる。しかしながら、第2パッチ144は、第1パッチ142に隣接して設置することができ、或いは、回収ポケット又は回収スルーホールとして構成された場合に、デブリの捕捉を促進させるために第1ステージ120の他の何れかの位置上又はデブリ回収装置100上に設置することができる。
【0123】
本開示の態様によれば、
図14に示すように、
図12又は13のデブリ回収装置100からの基板ステージ組立体用のアクチュエータ118及びチップステージ組立体用のアクチュエータ134のうちの何れか又は全ては、それぞれその制御のためにコントローラ136に動作可能に結合することができる。従って、コントローラ136は、それぞれアクチュエータ118、134の制御によって、固定具108と基部106の間及びチップ12と基部106の間で相対移動を生じることができる。同様に、コントローラ136は、アクチュエータ118、134の制御によって、チップ12と固定具108の間で相対移動を生じることができる。
【0124】
更に、コントローラ136は、手動ユーザ入力138、コントローラ136のメモリ140に予めプログラムされた処理手順又はアルゴリズム、これらの組み合わせ、又は当該技術分野で公知の他の何れかの制御入力に応答して、固定具108と基部106の間の相対移動を生じることができる。コントローラ136用の予めプログラムされた制御アルゴリズムは、閉ループアルゴリズム、開ループアルゴリズム、又はその両方を含むことができることは理解されるであろう。
【0125】
図15は、本開示の一態様による、基板18からデブリ10を抽出して、デブリ20の特性を分析するためのデブリ回収及び計測装置200の斜視図を示す。
図12のデブリ回収装置100と同様に、デブリ回収及び計測装置200は、基板支持組立体102、チップ支持組立体104、及び基部106を含む。しかしながら、デブリ回収及び計測装置200は更に、計測システム202を含む。本開示の態様によれば、計測システム202はナノスケール計測システムとすることができる。
【0126】
計測システム202は、エネルギー源204及びエネルギー検出器206を含むことができる。エネルギー源204は、X線源、可視光源、赤外光源、紫外光源、電子ビーム源、レーザ源、これらの組み合わせ、又は当該技術分野で公知の他の何れかの電磁エネルギー源とすることができる。可視光源は可視光レーザを含むことができ、赤外光源は赤外レーザを含むことができ、紫外光源は紫外レーザを含むことができる点は理解されるであろう。
【0127】
エネルギー源204は、該エネルギー源204によって生成された入射エネルギービーム208がチップ12に入射するように、チップ12に向けて配向し照準を合わせることができる。入射エネルギービーム208の少なくとも一部は、チップ12又はチップ12上に配置されたデブリ20によって反射、屈折、又は吸収されて再放出される場合がある。本開示の一態様によれば、エネルギー源204は、SPMチップなどのチップ12上に入射する照射を配向するように構成され配置された照射源とすることができ、エネルギー検出器206は、チップ12から試料照射を受け取るために構成され配置された照射検出器とすることができ、試料照射は、入射する照射が加えられて反射され、屈折され、或いはチップ12又はチップ12上に配置されたデブリ20によって吸収されて再放出される結果として生成される。
【0128】
エネルギー検出器206はまた、試料エネルギービーム210がエネルギー検出器206に入射するように、チップ12に向けて配向し照準することができる。試料エネルギービーム210は、チップ12又はチップ12上に配置されたデブリ20によって反射され、屈折され、吸収されて再放出され、及びこれらの組み合わせの入射エネルギービーム208、或いは、入射エネルギービーム208とチップ12又はチップ12上に配置されたデブリ20の何れかとの間の相互作用から生じる場合のある他の何れかのエネルギービームからの寄与を含むことができる。従って、エネルギー検出器206は、例えば、X線検出器などの光電子増倍管又はフォトダイオード、電子ビーム検出器、これらの組み合わせ、或いは当該技術分野で公知の他の何れかの電磁照射検出器などの、光検出器とすることができる。
【0129】
本開示の一態様によれば、エネルギー源204は、電子ビーム源を含み、エネルギー検出器206は、X線検出器を含む。本開示の別の態様によれば、エネルギー源204はX線源を含み、エネルギー検出器206は電子ビーム検出器を含む。本開示の別の態様によれば、エネルギー源204は、限定ではないが、可視光及び赤外光を含む光源を含む。
【0130】
エネルギー検出器206は、試料エネルギービーム210の強度、試料エネルギービーム210の周波数、これらの組み合わせ、又は当該技術分野で公知の試料エネルギービーム210の他の何れかの電磁放射特性に基づいて、出力信号を生成するよう構成することができる。更に、本開示の態様によれば、エネルギー検出器206は、
図16に示すように、コントローラ136に接続することができ、コントローラ136が試料エネルギービームに応じてエネルギー検出器206から出力信号を受信するようになる。従って、本明細書で後述するように、コントローラ136は、試料エネルギービーム210に応じてエネルギー検出器206からの出力信号を分析し、チップ12又はチップ12上に配置されたデブリ20の1又は2以上の材料属性を識別するように構成することができる。任意選択的に、エネルギー源204は、
図16のコントローラ136に動作可能に結合することができ、コントローラ136は、限定ではないが、入射エネルギービーム208の強度、入射エネルギービーム208の周波数、又はその両方など、エネルギー源204によって生成される入射エネルギービーム208の属性を制御することができるようになる。一態様において、エネルギー源204、試料エネルギービーム210、及び/又はエネルギー検出器206の方向は、エネルギー検出器206からの出力信号に応じて調整することができる。
【0131】
本開示の一態様によれば、コントローラ136は、1又は2以上のアクチュエータ134及びエネルギー検出器206を含むアクチュエータシステムに動作可能に結合することができ、コントローラ136は、試料エネルギービーム210などの試料照射に対するエネルギー検出器の第1の応答に基づいて第1の信号を受信するように構成され、また、第1の信号に基づいて1又は2以上のアクチュエータ134を介してチップ12と少なくとも1つのエネルギー検出器206との間に相対移動を生じるように構成されている。一態様において、コントローラ136は、試料照射に対する照射検出器の第1の応答に基づいて試料照射の第1の周波数領域スペクトルを生成し、第1の周波数領域スペクトルからバックグラウンド周波数領域スペクトルを差し引くことによって第2の周波数領域スペクトルを生成するように構成することができる。第2の周波数領域スペクトルに応じて、コントローラ136は、1又は2以上のアクチュエータ134を介して、チップ12とエネルギー源204及びエネルギー検出器206のうちの少なくとも1つとの間に相対移動を生じることができる。一態様において、コントローラ136は更に、チップ12に汚染物がないか又は実質的にない場合にチップ12に対するエネルギー検出器206の応答に基づいてバックグラウンド周波数領域を生成するように構成することができる。一態様において、コントローラ136は、試料照射に対するエネルギー検出器206の第2の応答に基づいて第2の信号を受信するように構成することができ、また、コントローラ136は、第1の信号と第2の信号との間の差違に基づいて1又は2以上のアクチュエータ134を介してチップ12とエネルギー検出器206及びエネルギー源204のうちの少なくとも1つとの間に相対移動を生じるように構成することができる。一態様において、コントローラ136は、第1の信号と第2の信号との間の差違に基づいて、チップ12とエネルギー検出器206及びエネルギー源204のうちの少なくとも1つとの間に所定の大きさの相対移動を生じるように構成される。
【0132】
ここで
図17A、
図17B、
図18A及び
図18Bを参照すると、
図17A及び18Aは、本開示の態様によるデブリ回収及び計測装置250の上面図を示し、
図17B及び18Bは、本開示の態様によるデブリ回収及び計測装置250の側面図を示すことが理解されるであろう。
図15及び16にそれぞれ示されるデブリ回収及び計測装置200と同様に、デブリ回収及び計測装置250は、基板支持組立体102、チップ支持組立体104、基部106、及び計測システム202を含むことができる。しかしながら、デブリ回収及び計測装置250において、エネルギー源204及びエネルギー検出器206は各々、チップ12ではなくパッチ252に向けて配向し照準を合わせることができる。
【0133】
パッチ252は、上記で説明した第1パッチ142又は第2パッチ144の構造又は属性の何れかを具現化することができ、或いは、
図30-37を参照して更に詳細に説明するように、パッチ252は、チップ12からデブリ又は汚染物質を回収するための回収ポケット又は回収スルーホールを含み、又は回収ポケット又は回収スルーホールとして構成することができる。従って、デブリ回収及び計測装置250は、計測システム202を用いて、パッチ252、パッチ252上に配置されたデブリ20、又はこれらの組み合わせの材料特性を分析するように構成することができる。
【0134】
基板ステージ組立体110、チップステージ組立体130、又はその両方の動作及び/又は調整は、デブリ回収及び計測装置250を用いて少なくとも3つの処理手順を実行することができる。第1の処理手順の間、基板ステージ組立体110、チップステージ組立体130、又はその両方の動作及び/又は移動は、チップ12と固定具108上に配置された基板18との間の接触を生じ、デブリ20が基板18からチップ12へ移送されるようになる。第2の処理手順の間、基板ステージ組立体110、チップステージ組立体130、又はその両方の動作及び/又は移動は、チップ12とパッチ252との間の接触を生じて、チップ12からパッチ252にデブリ20を移送する。第3の処理手順の間、基板ステージ組立体110の動作及び/又は移動は、エネルギー源204及びエネルギー検出器206の各々をパッチ252上に配向し照準を合わせ、エネルギー源204からの入射エネルギービーム208がパッチ252に入射し、パッチ252から放出される試料エネルギービーム210は、エネルギー検出器206に入射する。
【0135】
図18A及び18Bに示すように、エネルギー検出器206は、コントローラ136に接続することができ、コントローラ136が、試料エネルギービームに応じてエネルギー検出器206から出力信号を受信するようになる。従って、本明細書で後述するように、コントローラ136は、試料エネルギービーム210に応じてエネルギー検出器206からの出力信号を分析し、パッチ252又はパッチ252上に配置されたデブリ20の1又は2以上の材料属性を識別するように構成することができる。任意選択的に、エネルギー源204は、
図18A及び18Bのコントローラ136に動作可能に接続することができ、コントローラ136が、限定ではないが、入射エネルギービーム208の強度、入射エネルギービーム208の周波数、又はその両方などのエネルギー源204によって生成される入射エネルギービーム208の属性を制御することができるようになる。一態様において、エネルギー源204、試料エネルギービーム210、及び/又はエネルギー検出器206の方向は、エネルギー検出器206からの出力信号に応じて調整することができる。
【0136】
ここで
図19A、19B、20A及び20Bを参照すると、
図19A及び20Aは、本開示の態様によるデブリ回収及び計測装置250の上面図を示し、
図19B及び20Bは、本開示の態様によるデブリ回収及び計測装置250の側面図を示す。
図17A、17B、18A及び18Bのデブリ回収及び計測装置250と同様に、デブリ回収及び計測装置250は、基板支持組立体102、チップ支持組立体104、基部106、計測システム202、エネルギー源、及びエネルギー検出器206を含むことができる。
図17A、17B、18A及び18Bのデブリ回収及び計測装置250は更に、第1パッチ252及び第2パッチ254を含むことができる。一態様において、第1パッチ252及び第2パッチ254は、基板18の反対側に配置され、固定具108に取り付けることができる。エネルギー源204及びエネルギー検出器206は各々、第1パッチ252及び第2パッチ254のうちの少なくとも1つに向けて配向し照準を合わせることができる。第1パッチ252及び第2パッチ254は、上述の構造又は属性の何れかを具現化することができる。加えて又は代替として、
図30-37を参照して更に詳細に説明するように、第1パッチ252及び第2パッチ254は、チップ12からデブリ又は汚染物質を回収するための回収ポケット又は回収スルーホールを含むことができ、或いは回収ポケット又は回収スルーホールとして構成することができる。例えば、デブリ回収及び計測装置250、エネルギー源204及びエネルギー検出器206は各々、回収ポケット又は回収スルーホールに配向されて、回収ポケット又は回収スルーホールに回収されたデブリ又は汚染物質20の材料特性を計測システム202を用いて分析することができる。
【0137】
基板ステージ組立体110、チップステージ組立体130、又はその両方の動作及び/又は調整は、デブリ回収及び計測装置250を用いて少なくとも3つの処理手順を実行することができる。本開示の一態様によれば、以下で更に詳細に説明するように、デブリは基板18から除去され、回収ポケット又は回収スルーホールを用いて回収することができる。回収ポケット又は回収スルーホールは、第1パッチ252及び第2パッチ254の一部とすることができ、或いは、第1パッチ252及び第2パッチ254の位置に取り付け又は位置決めすることができる。
【0138】
第1の処理手順の間、基板ステージ組立体110、チップステージ組立体130、又はその両方の動作及び/又は移動は、チップ12と固定具108上に配置された基板18との間の接触を生じ、デブリ20が基板18からチップ12に移送されるようになる。第2の処理手順の間、基板ステージ組立体110、チップステージ組立体130、又はその両方の動作及び/又は移動は、チップ12と第1パッチ252の回収ポケット又は回収スルーホールと間の接触を生じ、これによってチップ12から第1パッチ252の回収ポケット又は回収スルーホールにデブリ20を移送する。一態様において、
図33及び34に関連して以下で更に詳細に説明するように、第1パッチ252の回収ポケット又は回収スルーホールに対するチップ12の動作及び/又は移動は、所定の軌道を辿ることができる。第3の処理手順の間、基板ステージ組立体110の動作及び/又は移動は、エネルギー源204及びエネルギー検出器206の各々を第1パッチ252の回収スルーホールの上に配向して照準を合わせ、エネルギー源204からの入射エネルギービーム208が、パッチ252上に入射し、パッチ252から放出される試料エネルギービーム210が、エネルギー検出器206に入射するようになる。
【0139】
図20A及び20Bを見ると、エネルギー検出器206は、コントローラ136に結合することができ、コントローラ136が、試料エネルギービームに応じてエネルギー検出器206から出力信号を受信するようになる。コントローラ136は、試料エネルギービーム210に応じてエネルギー検出器206からの出力信号を分析し、第1パッチ252の回収ポケット又は回収スルーホール又は第1パッチ252の回収ポケット又は回収スルーホール上に配置されたデブリの1又は2以上の材料属性を識別するように構成することができる。任意選択的に、エネルギー源204は、
図20A及び20Bのコントローラ136に動作可能に接続することができ、コントローラ136は、限定ではないが、入射エネルギービーム208の強度、入射エネルギービーム208の周波数、又はその両方などのエネルギー源204によって生成される入射エネルギービーム208の属性を制御することができるようになる。一態様において、エネルギー源204、試料エネルギービーム210、及び/又はエネルギー検出器206の方向は、エネルギー検出器206からの出力信号に応じて調整することができる。
【0140】
ここで
図21A及び21Bを参照すると、
図21Aは、本開示の態様によるデブリ回収及び計測装置260の上面図を示し、
図21Bは、本開示の態様によるデブリ回収及び計測装置260の側面図を示すことは理解されるであろう。
図15-20に示すデブリ回収及び計測装置200及び250と同様に、デブリ回収及び計測装置260は、基板支持組立体102、チップ支持組立体104、及び基部106、及び計測システム202を含むことができる。しかしながら、デブリ回収及び計測装置260において、チップ支持組立体104は更に、ロボット262を含む。
【0141】
ロボット262は、モータ264及びロボットアーム266を含むことができる。ロボットアーム266の近位端は、モータ264を介して基部106に動作可能に連結することができ、チップステージ組立体130は、ロボットアーム266の遠位端に動作可能に連結することができ、モータ264の動作がチップ12と基部106との間の相対移動を生じるようになる。本開示の一態様によれば、モータ264の動作は、基部106に対するロボット262の回転軸268周りのチップ12の回転移動を生じる。
【0142】
計測システム202は、パッチ252を含み、パッチ252を支持するための計測ステージ組立体270を含むことができる。或いは、計測ステージ組立体270がない場合は、パッチ252は、基部106上に直接的に又は基部106によって支持することができる。計測ステージ組立体270は、x方向112に沿った平行移動で、y方向114に沿った平行移動で、z方向116に沿った平行移動で、x方向112周りの回転で、y方向114周りの回転で、z方向116周りの回転で、又はこれらの組み合わせで、パッチ252と基部106の間の相対移動を生じるように構成することができる。更に、計測ステージ組立体270は、基板ステージ組立体110、チップステージ組立体130、又はその両方に関する上述の構造又は属性の何れかを具現化することができる。
【0143】
図21A及び21Bにおいて、ロボットアーム266が第1の位置に示され、チップ12が固定具108の近位に位置するようになる。ロボットアーム266が第1位置にあるときには、基板ステージ組立体110、チップステージ組立体130、又はその両方の動作は、チップ12と固定具108に取り付けられた基板18との間の接触を生じるのに十分である。従って、ロボットアーム266がその第1位置にあるときには、デブリ回収及び計測装置260は、デブリ20の基板18からチップ12への移送を生じさせることができる。
【0144】
図22A及び22Bにおいて、ロボットアーム266が第2の位置に示され、チップ12が計測システム202の近位に位置するようになる。ロボットアーム266が第2位置にあるときには、チップステージ組立体130の動作、又はチップステージ組立体130及び計測ステージ組立体270の複合動作は、チップ12とパッチ252の間の接触を生じるのに十分である。従って、ロボットアーム266が第2位置にあるときには、デブリ回収及び計測装置270は、デブリ20のチップ12からパッチ252への移送を生じさせることができる。本開示の一態様によれば、
図30-37を参照して更に詳細に説明するように、パッチ252は、チップ12からデブリ又は汚染物質を回収するための回収ポケット又は回収スルーホールとして構成することができる。
図21A及び21Bには図示されていないが、デブリ回収及び計測装置270は、パッチ252、パッチ252上に配置されたデブリ20、又はその両方に関して計測分析を行うために、
図17A及び17Bに示したのと類似又は同様のパッチ252に向けて配向して照準を合わせたエネルギー源204及びエネルギー検出器206を含むことができる。
【0145】
本開示の一態様によれば、デブリ回収及び計測装置260内のロボット262、基板ステージ組立体110、チップステージ組立体130、及び計測ステージ組立体270のうちの何れか1又は2以上は、その制御のためにコントローラ136に動作可能に連結することができる。従って、コントローラ136は、ロボット262を作動させて、
図21A及び21Bに示す上述の第1位置と
図22A及び22Bに示す第2位置との間で構成を切り換えるように構成することができる。
【0146】
次に
図23A及び23Bを参照すると、
図23Aは、本開示の一態様によるチップ支持組立体104の底面図を示し、
図23Bは、本開示の一態様による切断線23B-23Bに沿ったチップ支持組立体の部分側断面図を示すことが理解されるであろう。
図23A及び
図23Bに示すチップ支持組立体104は、
図21A、21B、22A及び22Bに示すように、ロボットアーム266への一体化に特に好適とすることができる。しかしながら、本開示を考慮して当業者には理解されるように、チップ支持組立体104は、有利には、特定の要求を満たすために、他のデブリ回収及び/又は計測システムに組み込むことができる点は理解されるであろう。
【0147】
図23A及び23Bに示すチップ支持組立体104は、z-アクチュエータ280、カメラ282、又はその両方を含むが、チップ支持組立体104は、限定ではないが、x方向112又はy方向114に沿った平行移動、並びにx方向112、y方向114、及びz方向116のうちの何れかの周りの回転移動の手段に、チップ支持組立体に関して上記で検討した他の何れかの構造又は属性を具現化できる点は理解されるであろう。
【0148】
z-アクチュエータ280の近位端は、ロボットアーム266に動作可能に連結することができ、z-アクチュエータ280の遠位端は、チップカンチレバー132、カメラ282、又はその両方を介してチップ12に動作可能に連結することができる。従って、z-アクチュエータ280の動作は、チップ12、カメラ282、又はその両方の間でz方向116に沿った相対移動を生じる。z-アクチュエータ280は、回転モータ及びねじ構造、リニアサーボモータ構造、空気圧又は液圧ピストン構造、圧電構造、又は本術分野で公知の他の何れかのリニアアクチュエータ構造を含むことができる。
【0149】
z-アクチュエータ280は、ロボットアーム266とチップ12、カメラ282、又はその両方との間に相対移動を制御するために、コントローラ136に動作可能に連結することができる点は理解されるであろう。更に、カメラ282はまた、コントローラ136に連結して、チップ12に近接する基板の画像をユーザディスプレイ、チップ12の制御用マシンビジョンアルゴリズム、又はその両方に提供することができる。
【0150】
次に
図24A及び24Bを参照すると、
図24Aは、
図15-20に関連して上記で説明したものと同じ又は類似の計測システム202とすることができる計測システム202の底面図を示すが、
図24A及び24Bの計測システム202は、少なくともチップ12、チップステージ組立体13、エネルギー源204、及びエネルギー検出器206を含む他のシステムを表すことができることは、当業者には理解されるであろう。
図24Bは、本開示の一態様による計測システム202の側面図を示す。
図24A及び24Bに示す計測システム202の構造は、
図15及び16に示すデブリ回収及び計測装置200に適用可能とすることができ、ここで計測処理手順は、チップ12、チップ12上に配置されたデブリ20、又はその両方に対して直接実施される。しかしながら、
図24A及び24Bに示す計測システム202は、他の計測システム及び装置に対して有利に適用可能であることは理解されるであろう。一態様において、
図24A及び24Bに示す特定のチップ12は、四面体形状を含むことができる。
図24A及び24Bに示すように、四面体形状を有するチップ12は、どのようなデブリ20も含まない。従って、計測システム202を用いて、チップ12に付着したデブリ20がない状態でチップ12の属性を分析することができる。
【0151】
エネルギー源204は、チップ12に向けて配向し照準を合わせることができ、その結果、エネルギー源204によって生成された入射エネルギービーム208がチップ12に入射するようになり、エネルギー検出器206は、チップ12に向けて配向し照準を合わせることができ、その結果、チップ12上への入射エネルギービーム208に応じて生成された試料エネルギービーム210が、エネルギー検出器206によって受け取られるようになる。チップステージ組立体130は、チップ12に動作可能に連結することができ、該チップステージ組立体130は、エネルギー源204、エネルギー検出器206、又はその両方に対してx方向112、y方向114、及びz方向115のうちのあらゆる方向に沿った平行移動又はあらゆる方向の周りの回転でチップ12を移動させることができるようになる。本開示の一態様によれば、チップステージ組立体130は、チップ12を貫いて延びるチップ長手方向軸線284の周りに少なくともチップ12を回転させるように構成される。本開示の一態様によれば、
図24A及び24Bに具体的に示されるチップ12は、四面体形状を含む。
【0152】
チップステージ組立体130、エネルギー源204、エネルギー検出器206、又はこれらの組み合わせは、その制御のためにコントローラ136に動作可能に結合することができる。従って、コントローラ136は、チップステージ組立体130を作動させることによって入射エネルギービーム208をチップ12の異なる表面上に選択的に配向することができ、コントローラ136は、結果として得られた試料エネルギービーム210の属性を表す、エネルギー検出器206からの1又は2以上の信号を受信することができる。
図24A及び24Bに示すように、チップ12は、どのようなデブリ20も存在しないとすることができる。従って、計測システム202を用いて、チップ12に付着したデブリ20がない状態のチップ12の属性を分析することができる。
【0153】
ここで
図25A及び25Bを参照すると、
図25Aは、本開示の一態様による計測システム202の底面図を示し、
図25Bは、本開示の一態様による計測システム202の側面図を示す。
図25A及び25Bに示す計測システム202は、
図15-20、24A及び24Bに示す計測システム202に関して説明した構造又は属性の何れかを具現化することができる。しかしながら、
図25A及び25Bに示す計測システム202は、四面体形状を有するチップ12に付着したデブリ20を示す。従って、計測システム202を用いて、チップ12、チップ12に付着したデブリ20、又はその両方の属性を分析することができる。
【0154】
ここで
図26A及び26Bを参照すると、
図26Aは、本開示の一態様による計測システム202の底面図を示し、
図26Bは、本開示の一態様による計測システム202の側面図を示す。
図26A及び26Bに示す計測システム202は、
図24A及び24Bに示す計測システム202の構造又は属性の何れかを具現化することができる。しかしながら、
図24A及び24Bとは違って、
図26A及び26Bに示す特定のチップ12は、円錐形状を含む。
図26A及び26Bに示すように、円錐形状を有するチップ12は、どのようなデブリ20も含まない。従って、計測システム202を用いて、チップ12に付着したデブリ20がない状態のチップ12の属性を分析することができる。
【0155】
ここで
図27A及び27Bを参照すると、
図27Aは、本開示の一態様による計測システム202の底面図を示し、
図27Bは、本開示の一態様による計測システム202の側面図を示す。
図27A及び27Bに示す計測システム202は、
図26A及び26Bに示す計測システム202に関して説明した構造又は属性の何れかを具現化することができる。しかしながら、
図27A及び27Bに示す計測システム202は、円錐形状を有するチップ12に付着したデブリ20を示す。従って、計測システム202を用いて、チップ12、チップ12に付着したデブリ20、又はその両方の属性を分析することができる。
【0156】
ここで
図28A及び28Bを参照すると、
図28Aは、本開示の一態様による計測システム202の底面図を示し、
図27Bは、本開示の一態様による計測システム202の側面図を示すことが理解されるであろう。
図28A及び28Bに示す計測システム202は、
図24A及び24Bに示す計測システム202の構造又は属性の何れかを具現化することができる。しかしながら、
図24A及び24Bとは違って、
図28A及び28Bに示す特定のチップ12は角錐形状を含む。
図28A及び28Bに示すように、角錐形状を有するチップ12は、どのようなデブリ20も含まない。従って、計測システム202を用いて、チップ12に付着したデブリ20がない状態のチップ12の属性を分析することができる。
【0157】
ここで
図29A及び29Bを参照すると、
図29Aは、本開示の一態様による計測システム202の底面図を示し、
図29Bは、本開示の一態様による計測システム202の側面図を示すことが理解されるであろう。
図29A及び29Bに示す計測システム202は、
図28A及び28Bに示す計測システム202に関して説明した構造又は属性の何れかを具現化することができる。しかしながら、
図29A及び29Bに示す計測システム202は、角錐形状を有するチップ12に付着したデブリ20を示す。従って、計測システム202を用いて、チップ12、チップ12に付着したデブリ20、又はその両方の属性を分析することができる。
【0158】
図30-37を見ると、回収ポケット又は回収スルーホールを備えた例示的な汚染物回収器について説明する。ここで
図30A及び30Bを参照すると、
図30Aは、汚染物試料33をチップ12から回収するための汚染物回収器30の側断面図(
図30Bの30A-30Aで見た)を示し、チップ12は、例示的なデブリ検出及び回収システムに関して上記で説明したものと同じ又は類似することができる。汚染物試料33は、上述のデブリ又は粒子20の1又は2以上の断片を含むことができる。汚染物回収器30は、第1の上面36から第2の上面38まで延びる少なくとも3つの側壁34を含む回収ポケット32を定めることができる。側壁34の高さ(h)は、チップ12の少なくとも一部を回収ポケット32の深さに挿入できるように選択することができる。一態様において、回収ポケット32の深さを定める側壁34の高さ(h)は、チップ12の長さ(L)の25%から200%の間とすることができる。一態様において、側壁の高さ(h)は、汚染物回収器30内又は汚染物回収器30上に堆積することができる汚染物試料33を分析するための分光法の屈折を促進するように選択することができる。
【0159】
一態様において、第1上面36と側壁34との間の交差が、第1セットの内縁を形成し、第2上面38と側壁34とのとの間の交差が、第2のセットの内縁を形成する。側壁34は、第1上面36から第2上面38まで延びる少なくとも1つの内部表面を定めることができる。一態様において、上述のエネルギー源204などの照射源は、入射する照射を汚染物回収器30の内部表面又は表面に配向するように構成し配置することができる。一態様において、上述のエネルギー検出器206などの照射検出器は、汚染物回収器30の1又は2以上の内部表面から試料照射を受け取るように構成し配置することができ、試料照射は、入射する照射が汚染物回収器30の1又は2以上の内部表面又は表面に配向されてこれらから反射されることによって生成される。
【0160】
図30Bに示すように、3つの側壁34及び対応する第1内縁は、上から見て正三角形の輪郭を形成することができる。隣接する側壁34の各セットは、一セットの汚染物回収縁部35を形成することができる。一態様において、四面体形状を有するチップ12を
図30A及び30Bの汚染物回収器30と共に使用することができる。チップ12の1又は2以上の縁部13は、回収ポケット32の1又は2以上の汚染物回収縁部35の近くで、それに隣接して操作、摩擦、又は引きずることができ、その結果、汚染物試料33をチップ12から回収ポケット32に移送することができるようになる。選ばれた態様において、汚染物回収器30は、上から見て非正三角形の輪郭(例えば、二等辺、不等辺、鋭角、直角、又は鈍角の三角形)を形成する3つの側壁34を含むことができる。非正三角形の断面は、本開示を考慮して当業者には理解されるように、等しくない汚染物回収縁部35を定め、従って、様々なサイズ及び/又は形状のチップから汚染物試料33を抽出するように適合させることができる。一態様において、汚染物回収縁部35の各縁部は、特に汚染物試料33がナノレベルの構造である場合に、チップ12が汚染物試料33を回収ポケット32に移送するのに必要とされる移動量を低減するために、10mm以下の長さを有することができる。
【0161】
ここで
図31A及び31Bを参照すると、
図31Aは、汚染物試料33をチップ12から回収するための汚染物回収器30の側断面図(
図31Bの31A-31Aに見た)を示し、チップ12は、例示的なデブリ検出及び回収システムに関して上記で説明したものと同じか又は類似したものとすることができる。汚染物回収器30は、第1上面36から第2上面38まで延びる側壁34を含む回収ポケット32を定めることができる。側壁34の高さ(h)は、チップ12の少なくとも一部を回収ポケット32の深さに挿入できるように選択することができる。一態様において、回収ポケットの深さを定める側壁34の高さ(h)は、チップ12の長さ(L)の25%から200%の間とすることができる。一態様において、側壁の高さ(h)は、汚染物回収器30内又は汚染物回収器30上に堆積することができる汚染物試料33を分析するための分光法の屈折を促進するように選択することができる。
【0162】
一態様において、
図31Bに示すように、汚染物回収器30は、上から見て円形の輪郭を形成する円筒状側壁34を含むことができる。第1上面36と側壁34との間の交差部にて汚染物回収内縁部35を形成することができる。一態様において、円錐形状を有するチップ12は、
図31A及び31Bの汚染物回収器30と共に使用することができる。円錐形チップ12の表面は、回収ポケット32の汚染物回収縁部35の近くで、それに隣接して操作、摩擦、又は引きずることができ、その結果、汚染物試料33をチップ12から回収ポケット32に移送することができるようになる。選ばれた態様において、汚染物回収器30は、上から見て卵形又は楕円形の輪郭を定める側壁34を含むことができ、従って、本開示を考慮して当業者には理解されるように、様々なサイズ及び/又は形状のチップから汚染物試料33を抽出するように適合させることができる。一態様において、汚染物回収縁部35の直径は、幅10mm未満とすることができる。選ばれた態様において、汚染物回収縁部35の直径は、特に汚染物試料33がナノレベル構造である場合に、チップ12が汚染物試料33を回収ポケット32に移送するのに必要とされる移動量を低減するために、500ミクロン以下とすることができる。
【0163】
ここで
図32A及び32Bを参照すると、
図32Aは、汚染物試料33をチップ12から回収するための汚染物回収器30の側断面図(
図32Bの32A-32Aで見た)を示し、チップ12は、例示的なデブリ検出及び回収システムに関して上記で説明したものと同じか又は類似したものとすることができる。汚染物回収器30は、第1上面36から第2上面38まで延びる側壁34を含む回収ポケット32を定めることができる。側壁34の高さ(h)は、チップ12の少なくとも一部を回収ポケット32の深さに挿入できるように選択することができる。一態様において、回収ポケットの深さを定める側壁34の高さ(h)は、チップ12の長さ(L)の25%から200%の間とすることができる。一態様において、側壁の高さ(h)は、汚染物回収器30内又は汚染物回収器30上に堆積することができる汚染物試料33を分析するための分光法の屈折を促進するように選択することができる。
【0164】
一態様において、
図32Bに示すように、汚染物回収器30は、上から見て矩形又は方形の輪郭を形成する4つの側壁34を含むことができる。隣接する側壁34の各セットは、汚染物回収内縁部35を形成することができる。一態様において、角錐形状を有するチップ12は、
図32A及び32Bの汚染物回収器30と共に使用することができる。チップ12の1又は2以上の縁部13は、回収ポケット32の1又は2以上の汚染物回収内縁部35の近くで、それに隣接して操作、摩擦、又は引きずることができ、その結果、汚染物試料33をチップ12から回収ポケット32に移送することができるようになる。一態様において、汚染物回収縁部35の各縁部は、特に汚染物試料33がナノレベルの構造である場合に、チップ12が汚染物試料33を回収ポケット32に移送するのに必要とされる移動量を低減するために、10mm以下の長さを有することができる。
【0165】
チップ及び回収ポケットの形状の特定の組み合わせについて、
図30A、30B、31A、31B、32A及び32Bに関連して上述したが、チップ12及び回収ポケット32の形状の何れかの組み合わせは、共に又は互換的に利用できることは理解されるであろう。例えば、
図31A及び31Bの円錐形チップは、
図30A及び30Bの三角形の回収ポケット32と共に使用することができる。更に、例示的な三角形、矩形及び円形の汚染物回収器が
図30-32に示されるが、5つ又は6以上の側壁を有する汚染物回収器もまた使用可能である。
【0166】
次に、
図33Aから33Cを見ると、
図30-32に関連して上述したような、チップ12を操作して汚染物試料33をチップ12から汚染物回収器30に移送するステップの例示的なプロセスを説明する。
図35-37に関連して全体的に説明するように、同様のステップが汚染物試料を汚染物回収器40に移送するために適用可能であることを理解されるであろう。
図33Aに示すように、チップ12は最初に、回収ポケット32の開口部のx方向及びy方向の上方で中心に位置決めすることができる。次いで、チップ12は、回収ポケット32の側壁34に接触することなく、少なくとも部分的にはz方向で回収ポケット32内に降下することができる。次に、
図33Bに示すように、チップ12は、x方向及び/又はy方向で側壁34のうちの1つに向けて操作することができる。同時に、チップ12は、汚染物試料33が回収ポケット32の汚染物回収縁部35と摩擦又は密接することができるように、z方向に上向きに操作することができ、これにより、汚染物試料33をチップ12から汚染物回収縁部35の少なくとも1つの側部に移送することができる。
【0167】
一態様において、チップ12の
図33Aに示す位置から
図33Bの位置までの移動は、チップ12が放物線軌道、擦過動作及び/又は拭取り動作を経て汚染物回収縁部35に向けて移動し通過するような、二次関数として定義することができる。チップ12は、
図33Aに示すような開始位置に戻す操作をする前に、
図33Bに示す位置から汚染物回収縁部35の上方右側に移動し続けることができる。一態様において、チップ12の移動は、チップ12及び回収ポケット32のサイズ及び形状に応じた線形関数として定義することができる。チップ12に関する他の軌道及び移動経路は、本開示を鑑みて当業者には理解されるであろう。
【0168】
加えて又は代替として、
図34Aから
図34Cに示すように、チップ12は最初に、回収ポケット32の中心から上方でx方向及びy方向でオフセットして位置付けることができる。次いで、チップ12の少なくとも一部が少なくとも部分的に回収ポケット32内に位置するまで、チップ12は、z方向下方に移動させると同時に、回収ポケット32の中心に向けてx方向及び/又はy方向で移動させることができる。チップ12を回収ポケット32内へ移動する際に、汚染物試料33は、回収ポケット32の汚染物回収縁部35に摩擦又は密接することができ、これにより、汚染物試料33は、チップ12から汚染物回収縁部35の少なくとも1つの上部に移送される。
【0169】
一態様において、チップ12の
図34Aに示す位置から
図34Cの位置までの移動は、チップ12が放物線軌道、擦過動作及び/又は拭取り動作を経て汚染物回収縁部35に向けて移動し通過するような、二次関数として定義することができる。一態様において、チップ12の移動は、チップ12及び回収ポケット32のサイズ及び形状に応じた線形関数として定義することができる。チップ12に関する他の軌道及び移動経路は、本開示を鑑みて当業者には理解されるであろう。
【0170】
本開示の一態様によれば、
図33A-33C及び/又は34A-34Cの上記チップ操作は、チップ12が汚染物回収縁部35の異なる部分に接触するように繰り返すことができる。例えば、
図31A及び31Bに関連して上述したように、汚染物回収縁部35が円形の外形形状を有する場合、チップ12は、チップ12の異なる対応部分から汚染物試料33を移送するために、汚染物回収縁部35の12時と6時の位置に(
図31Bに示す上面図の向きに基づいて)接触するように操作することができる。本開示を鑑みて、汚染物回収縁部35の付加的な部分又は全ての部分に接触するようにチップの操作を繰り返すことができることは、当業者には理解されるであろう。一態様において、チップ12を操作して、12時、3時、6時、9時の位置で汚染物回収縁部35に摩擦し又は密接することによって、汚染物試料33をチップ12から汚染物回収縁部35に移送することができる。汚染物回収縁部35の異なる位置で汚染物試料33を回収することにより、チップ12の異なる部分から得られた回収汚染物試料の組成は、汚染物回収縁部の異なる対応部分に計測位置を定めることで特定することができる。
【0171】
本開示の一態様によれば、
図33A-33C及び/又は34A-34Cの上記のチップ操作は、チップ12の異なる部分が汚染物回収縁部35の同じ位置に接触又は密接することができるように繰り返すことができ、これにより汚染物試料33の全て又は大部分をチップ12から汚染物回収縁部35上の同じ位置に堆積することができる。例えば、
図33B又は34Bに示すように、汚染物試料33を汚染物回収縁部35に移送した後、チップ12をz軸の周りに回転させて、汚染物回収縁部35上の同じ共通位置を通過するように連続的に操作することができる。加えて又は代替として、
図33B又は34Bに示すように、汚染物試料33をチップ12から汚染物回収縁部35に移送した後に、汚染物回収縁部35をz軸の周りに回転させることができる。更に、本開示で記載される回収ポケット32及び回収スルーホール46(チップ12を完全に取り囲む回収縁部を有する)に加えて、チップ12を完全には取り囲まない回収縁部又は回収縁部のセットを使用してもよい。例えば、回収縁部は、単一の直線縁部又は単一のC字形状縁部からなることができる。一セットの回収縁部が使用される一態様において、回収縁部が合わせてチップ12の75%未満を囲み、選ばれた態様において、回収縁部は合わせてチップ12の50%未満を囲むことができる。汚染物回収縁部35の同じ共通位置で汚染物試料33を回収することにより、チップ12から回収された汚染物試料33の組成全体は、汚染物回収縁部上の共通位置を計測位置として定めることで特定することができる。
【0172】
一態様において、
図33A-33C及び/又は34A-34Cの上記のチップ操作は、上方及び横方向の外方への動作の後に下方及び横方向の内方への動作が続くように、又はその逆もできるように組み合わせて連続的に使用されて、汚染物試料33をチップ12から汚染物回収縁部35に移送することができる。連続動作は、チップ12から汚染物試料33を回収する速度の向上を促進することができる。
【0173】
次に、
図35-37を見ると、回収スルーホールを有する例示的な汚染物回収器を説明する。ここで
図35A及び35Bを参照すると、
図35Aは、汚染物試料33をチップ12から回収するための汚染物回収器40の断面図(
図35Bの35A-35Aで見た)を示し、チップ12は、本開示の例示的なデブリ検出及び回収システムに関して上記で説明したものと同じ又は類似したものとすることができる。汚染物回収器40は、少なくともスタンド42及びプラットフォーム44を含むことができ、プラットフォーム44は、回収スルーホール46を定めるため側壁45を有する内部切欠きを含むことができる。一態様において、プラットフォーム44は、上面47及び下面48を含み、側壁45は、上面47から下面48まで延びることができる。回収リップ縁部49は、側壁45と上面47との間の交差部に定めることができる。スタンド42及びプラットフォーム44は、互いに固定することができ、又は別々の構成部品として設けることができる。
【0174】
一態様において、特に回収及び計測システムが別個のユニットで、一体化されず及び/又は同じ位置に設置されていない場合には、汚染物回収器40は、一つの位置から別の位置に移送してもよい。汚染物回収器40又はプラットフォーム44は個々に、回収された汚染物試料33を分析するために回収システムから計測システムへ移動させることができる。
【0175】
図35A及び35Bに示すように、汚染物回収器の側壁45は、回収スルーホール46がチップ進入位置に向かう方向で狭窄するように傾斜を付けることができる。本開示の一態様によれば、
図35Bに示すように、スルーホール46が上から見たときに略三角形の輪郭を有する切頂四面体通路を定めるように、側壁45を傾斜させることができる。動作時には、
図35A及び35Bに示すように、四面体形状のチップ12は、汚染物回収器40の回収スルーホール46にz方向で上方から入るように位置決めすることができる。チップ12は、回収スルーホール46に進入するために少なくともz方向下方に操作することができる。チップ12の少なくとも一部がスルーホール46に入ると、チップ12は次に、汚染物回収器40の側壁45及び汚染物リップ縁部49に向けてx方向及び/又はy方向で横方向に操作することができる。横方向に移動しながら、チップ12は、汚染物試料33が回収リップ縁部49及び/又は側壁45に摩擦し接触することができるように、同時にz方向上方に操作することができ、これにより、汚染物試料33は、チップ12から回収リップ縁部49及び/又は側壁45に移送される。チップ12の軌道及び移動は、
図33A-33Cに関連して上述したものと同じである又は類似したものとすることができる。
【0176】
加えて又は代替として、汚染物試料33は、汚染物回収器40の回収スルーホール46の上方にz方向で且つ回収スルーホール46の中心からx方向及び/又はy方向でオフセットしてチップ12を最初に位置決めすることによって、チップ12から除去することができる。次いで、チップ12の少なくとも一部が少なくとも部分的にスルーホール46内に位置するまで、チップ12は、z方向下方に移動させると同時に、x方向及び/又はy方向でスルーホール46の中心に向けて移動させることができる。チップ12をスルーホール46に移動する際に、汚染物試料33は、スルーホール46の回収リップ縁部49に摩擦又は密接することができ、これにより、汚染物試料33がチップ12から回収リップ縁部49の少なくとも上部に移送される。チップ12の軌道及び移動は、
図34A-34Cに関連して上述したものと同じ又は類似したものとすることができる。
【0177】
図35A及び35Bと同様に、
図36A及び36Bの汚染物回収器40は、少なくともスタンド42及びプラットフォーム44を含むことができる。しかしながら、側壁45が切頂四面体通路を有するスルーホール46を定めた
図35A及び35Bとは違って、
図36A及び36Bのプラットフォーム44は、円錐形、卵形円錐形、及び楕円円錐形の通路を含めて、円錐台形通路を定める側壁45を有する内部切欠きを含む。動作時には、汚染物試料33のチップ12からの除去は、スルーホール46を円錐台形通路と取り替えて、
図35A及び35Bに関連して上述したものと同じ処理手順に従うことになる。
【0178】
図36A及び36Bと同様に、
図37A及び37Bの汚染物回収器40は、少なくともスタンド42及びプラットフォーム44を含むことができる。しかしながら、側壁45が円錐台形通路を有するスルーホール46を定める
図36A及び36Bとは違って、
図37A及び37Bのプラットフォーム44は、回収スルーホール46を定めるため複数の側壁45を有する内部切欠きを含む。本開示の一態様によれば、プラットフォーム44は、角錐台形通路を有するスルーホール46を定めるため4つの側壁を備えることができる。動作時には、汚染物試料33のチップ12からの除去は、スルーホール46を円錐台形通路と取り替えて、
図35A及び35Bに関連して上述したものと同じ処理手順に従うことになる。
【0179】
切頂四面体通路、円錐台形通路、及び角錐台形通路について
図35-37に関連して上述したが、スルーホール46に関する他の通路形状が企図され、通路形状は、不均一な形状並びにスルーホールが3又は4以上の側壁を有する場合を含めて、チップ12の対応する形状に基づいて選択することができる。当然のことながら、チップの他の形状及びサイズが
図35-37の汚染物回収器40と共に利用可能であることは当業者には明らかであろう。
【0180】
図30-32の回収ポケット32及び/又は
図35-37の汚染物回収器40は、上述のような
図12-23のデブリ回収装置100と共に使用可能とすることができ、或いは、チップ12及び関連する作動及び制御機構とは別個に、
図38の汚染物分析システム500を用いて調べることができる。本開示を鑑みて当業者には理解されるように、
図30-32の回収ポケット32及び/又は
図35-37の汚染物回収器40を用いて、第1の位置に装着され、除去され、第2の位置に運ばれ、デブリ検出プロセスで分析され、洗浄されて再使用される間に、デブリを回収することができる。
【0181】
図38に示すように、汚染物分析システム500は、エネルギー源50及びエネルギー検出器52を含むことができる。汚染物回収器40を検査又は分析する準備が整うと、汚染物回収器40は、スタンド42上に配置又は装着することができる。エネルギー源50及びエネルギー検出器52は、単一ユニット内に共同設置することができ、或いは別々のユニットに設けることができる。エネルギー源50及びエネルギー検出器52は各々、1又は2以上のアクチュエータに連結され、x方向、y方向及びz方向のうちの1又は2以上の方向にエネルギー源50及びエネルギー検出器52を移動させ、及び/又はx方向、y方向及びz方向の周りにエネルギー源50及びエネルギー検出器52を回転させることができる。エネルギー源50及びエネルギー検出器52は、汚染物回収器40の上方、下方又は汚染物回収器40と並べて設置することができ、その結果、エネルギー源50及びエネルギー検出器52は、汚染物回収器40の回収リップ縁部49又は側壁45上に照準を合わせるように動作可能である。
【0182】
汚染物試料33が汚染物回収器40の回収リップ縁部49及び/又は側壁45上に回収される汚染物回収プロセスの間又はその後で、エネルギー源50は、リップ縁部49及び/又は側壁45に向けて配向し照準を合わせることができ、エネルギー源50によって生成された入射エネルギービーム51が回収リップ縁部49及び/又は側壁45に入射するようになり、またエネルギー検出器52は、リップ縁部49及び/又は側壁45に向けて配向し照準を合わせることができ、リップ縁部49及び/又は側壁45上に入射したエネルギービーム51に応答して生成された試料エネルギービーム53が、エネルギー検出器52によって受け取られるようになる。
【0183】
本開示の態様によれば、エネルギー源50、エネルギー検出器52、又はこれらの組み合わせは、その制御のためにコントローラ56に動作可能に結合することができる。従って、コントローラ56は、エネルギー源50と関係付けられた1又は2以上のアクチュエータによって、入射エネルギービーム51をエネルギー源50からリップ縁部49及び/又は側壁45の種々の表面上に選択的に照準を定めて配向することができる。コントローラ56は更に、入射エネルギービーム51に応答して生成された試料エネルギービーム53を受け取るために、入射エネルギービーム51に曝されている種々の表面にエネルギー検出器52を照準を定めて配向することができる。コントローラ56は、得られた試料エネルギービーム53の属性を示す1又は2以上の信号をエネルギー検出器52から受信することができる。
【0184】
本開示の多くの特徴及び利点は、詳細な明細書から明らかであり、従って、特許請求の範囲によって、本発明の真の趣旨及び範囲内にある本発明の全てのこのような特徴及び利点を保護することを意図している。本開示の様々な態様を組み合わせて共に使用できることは理解される。更に、本開示を考慮して多くの変更形態及び変形形態が当業者には容易に明らかであるので、図示し説明した厳密な構成及び動作に本発明を限定することは望ましくなく、従って、本発明の範囲にある全ての適切な変更形態及び等価物を認めることができる。
なお、好ましい構成態様として、本発明を次のように構成することもできる。
1. 走査型プローブ顕微鏡(SPM)チップを使用して、粒子の組成を特定する方法であって、
前記粒子を前記SPMチップに移送するステップと、
照射源からの第1の入射する照射を前記SPMチップに照射するステップと、
前記第1の入射する照射によって引き起こされた第1の試料照射を照射検出器により検出するステップと、
前記第1の試料照射に応答した前記照射検出器からの第1の信号に基づいて、前記SPMチップと前記照射源及び前記照射検出器のうちの少なくとも1つとの間に相対移動を生じさせるステップと、
を含む、方法。
2. 前記第1の信号に基づいて前記第1の試料照射の第1の周波数領域スペクトルを生成するステップと、
前記第1の周波数領域スペクトルからバックグラウンド周波数領域スペクトルを差し引くことによって第2の周波数領域スペクトルを生成するステップと、
前記第2の周波数領域スペクトルに基づいて前記SPMチップと前記照射源及び前記照射検出器のうちの少なくとも1つとの間に相対移動を生じさせるステップと、
を更に含む、上記1に記載の方法。
3. 前記SPMチップが実質的に汚染物質を含まない場合に、前記SPMチップの照射に対する前記照射検出器の応答に基づいて前記バックグラウンド周波数領域スペクトルを生成するステップを更に含む、上記2に記載の方法。
4. 前記照射源からの第2の入射する照射を前記SPMチップに照射するステップと、
前記第2の入射する照射によって引き起こされた第2の試料照射を前記照射検出器により検出するステップと、
前記第2試料照射に応答した前記照射検出器からの第2の信号に基づいて、前記SPMチップと前記照射源及び前記照射検出器のうちの少なくとも1つとの間に相対移動を生じさせるステップと、
を更に含む、上記1に記載の方法。
5. 前記第2の信号と前記第1の信号との間の差違に基づいて、前記SPMチップと前記照射源及び前記照射検出器のうちの少なくとも1つとの間に相対移動を生じさせるステップを更に含む、上記4に記載の方法。
6. 前記照射源からの前記第1の入射する照射が、X線、可視光、赤外光、紫外光、電子ビーム、及びレーザのうちの少なくとも1つである、上記1に記載の方法。
7. 前記照射源からの前記第2の入射する照射が、X線、可視光、赤外光、紫外光、電子ビーム、及びレーザのうちの少なくとも1つである、上記4に記載の方法。
8. 前記第2の入射する照射は、前記第1の入射する照射とは異なるタイプの照射である、上記7に記載の方法。
9. 前記第1の試料照射は、前記第1の入射する照射が前記SPMチップと相互作用することによって生成される、上記1に記載の方法。
10. 前記第1の試料照射は、前記第1の入射する照射が前記SPMチップ上に配置されたデブリと相互作用することによって生成される、上記1に記載の方法。
11. 前記照射源からの前記第1の入射する照射の強度又は周波数を調整するステップを更に含む、上記1に記載の方法。
12. 前記照射源からの前記第2の入射する照射の強度又は周波数を調整するステップを更に含む、上記4に記載の方法。
13. 基板から除去された粒子の組成を特定するための方法であって、
前記基板から走査プローブ顕微鏡(SPM)チップに粒子を移送するステップと、
照射源からの第1の入射する照射を前記粒子に照射するステップと、
照射検出器にて前記粒子から前記第1の入射する照射によって引き起こされる第1の試料照射を受けるステップと、
を含む、方法。
14. 前記粒子からの前記第1の試料照射は、前記粒子が前記SPMチップ上に配置されている間に前記照射検出器によって受け取られる、上記13に記載の方法。
15. 前記SPMチップから、粒子回収器上に定められた計測位置を有する該粒子回収器に前記粒子を移送するステップを更に含み、前記粒子からの前記第1の試料照射は、前記粒子が前記計測位置上に配置されている間に前記照射検出器によって受け取られる、上記13に記載の方法。
【符号の説明】
【0185】
12 ナノスケールチップ
18 基板
102 基板支持組立体
104 チップ支持組立体
106 基部
108 固定具
110 基板ステージ組立体
112 x方向
114 y方向
116 z方向
118 アクチュエータ
120 第1ステージ
122 第2ステージ
124 第1アクチュエータ
126 第2アクチュエータ
130 チップステージ組立体
132 チップカンチレバー
134 アクチュエータ
136 コントローラ
138 手動ユーザ入力
140 メモリ
142 第1パッチ
144 第2パッチ
200 デブリ回収及び計測装置
202 計測システム
204 エネルギー源
206 エネルギー検出器
208 入射エネルギービーム
210 試料エネルギービーム