(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】電子機器の情報喪失防止装置
(51)【国際特許分類】
H02J 9/06 20060101AFI20230315BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
H02J9/06 110
H02J7/00 V
H02J7/00 302A
(21)【出願番号】P 2018029926
(22)【出願日】2018-02-22
【審査請求日】2020-11-20
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【氏名又は名称】村上 友一
(72)【発明者】
【氏名】山崎 康晴
(72)【発明者】
【氏名】野口 勝志
(72)【発明者】
【氏名】小泉 孝一
【合議体】
【審判長】角田 慎治
【審判官】山中 実
【審判官】土居 仁士
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04783619(US,A)
【文献】特開2002-067836(JP,A)
【文献】特開2003-224934(JP,A)
【文献】特開2015-122898(JP,A)
【文献】特開2011-045230(JP,A)
【文献】特開2006-345660(JP,A)
【文献】特開平6-266458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/06 ,H02J 7/00, H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器または、前記電子機器を搭載した装置、および前記電子機器を搭載した車両における電源の交換時における電子機器の情報喪失防止装置であって、
前記電源の出力電圧よりも低い出力電圧を有するバックアップ用電源と、
前記電子機器または前記装置、および前記車両における電気的負荷部への接続手段と、を有し、
前記バックアップ用電源と前記接続手段との間に、
前記バックアップ用電源側から前記接続手段側への電流を通過させる逆電流防止手段と、
前記逆電流防止手段の下流側で、前記バックアップ用電源から前記接続手段側に流れる方向の電流に起因して
点灯するLEDから成るバックアップ電流通電確認手段と、を備えることを特徴とする電子機器の情報喪失防止装置。
【請求項2】
前記バックアップ用電源と、前記逆電流防止手段との間に、前記バックアップ用電源の状態を判定する第1表示部を有するバックアップ用電源電圧判定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器の情報喪失防止装置。
【請求項3】
前記逆電流防止手段と、前記接続手段との間に、第2表示部を有するバッテリ接続判定手段を備え、
前記バッテリ接続判定手段は、前記バックアップ用電源の出力電圧よりも高い電圧が印加される事により前記第2表示部による接続表示を成す構成としたことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器の情報喪失防止装置。
【請求項4】
前記バックアップ電流通電確認手段は、前記バックアップ電流通電確認手段の起動に起因して接続表示を成す第3表示部を有することを特徴とする請求項3に記載の電子機器の情報喪失防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の情報喪失防止装置に係り、特に揮発性メモリを有する電子機器、あるいは、これらの電子機器を搭載した装置、車両等における電源(バッテリ)を交換する際に好適な、電子機器の情報喪失防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の情報喪失防止装置は、電子機器、あるいは電子機器を搭載した装置等におけるバッテリを交換する際に、電子機器に備えられた揮発性メモリに記録された情報の喪失を避けるためのバックアップ電源として用いられる装置である。
【0003】
このような電子機器の情報喪失防止装置を用いる機会が多い例として、車両(自動車や自動二輪車等)におけるバッテリ交換時を挙げることができる。近年、車両には、多くの電装品が備えられており、時計やオーディオ、パワーウィンドウの他、トリップメータなど、揮発性メモリにより作動情報が管理されている電子機器が多くある。このため、電源電圧の喪失により、各電子機器の揮発性メモリに記録された情報が喪失すると、逐次復旧作業を行う必要が生じてしまう。また、トリップメータがリセットされてしまった場合には、給油のタイミングや、燃費の計算等が不確実なものとなるといった不利益が生じ得る。
【0004】
このため従来より、車両整備工場などにおいては、バッテリ交換時に、特許文献1や特許文献2に開示されているようなバッテリバックアップ装置が利用されてきた。特許文献1に開示されている装置は、車両側へ接続した際の交流インピーダンスを計測することで、接続状態が維持されているか否かを判定する構成を備えると共に、バッテリの陽極と陰極が正しく接続されているかを判定する構成を備え、それぞれの判定が良好である場合にバッテリの交換作業を行うことで、バックアップ電源としての機能を発揮するというものである。
【0005】
また、特許文献2に開示されている装置は、バックアップ用のバッテリを備え、このバックアップ用電源の電圧チェックを行う回路(バッテリチェック回路)と、車両に接続した際に供給される電圧を検出して、接続状態の監視を行う回路(車内負荷有無判断回路)とを並列接続した装置である。バッテリチェック回路には、メインスイッチと、バックアップ用電源の電圧の多寡に応じて点灯するチェックランプが備えられている。また、車内負荷有無判断回路には、メインスイッチと連動するサブスイッチと、車両への接続に起因して供給される電流の有無に応じて作動するリレーが備えられている。そして、リレーが作動して回路が接続される事で電圧が印加された場合に点灯する接続表示ランプが備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-23729号公報
【文献】特開平8-149719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献に開示されているようなバッテリバックアップ装置を用いてバッテリの交換作業を行う事によれば、電子機器の揮発性メモリに記録された情報を喪失することを避けることができると考えられる。しかし、特許文献1、2に開示されている装置は、いずれも整備工場などで使用されることが前提とされており、大型で高価なものである。このため、一般ユーザが、自らバッテリ交換作業を行う際には、利用する事が困難であるという問題がある。
【0008】
本発明では、上記課題を解決し、比較的簡易な構成とすることで小型化を可能とし、かつ従来品に比べて安価な電子機器の情報喪失防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る電子機器の情報喪失防止装置は、電子機器または、前記電子機器を搭載した装置、および前記電子機器を搭載した車両における電源(バッテリ)の交換時における電子機器の情報喪失防止装置であって、バックアップ用電源と、前記電子機器または前記装置、および前記車両における電気的負荷部への接続手段と、を有し、前記バックアップ用電源と前記接続手段との間に、前記バックアップ用電源側から前記接続手段側への電流を通過させる逆電流防止手段と、前記逆電流防止手段の下流側に流れる電流に起因して起動するバックアップ電流通電確認手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記のような特徴を有する電子機器の情報喪失防止装置では、前記バックアップ用電源と、前記逆電流防止手段との間に、前記バックアップ用電源の状態を判定する第1表示部を有するバックアップ用電源電圧判定手段を備えるようにすると良い。このような特徴を有することによれば、電子機器の情報喪失防止装置が正常に機能する状態にあるか否かを確認することができる。
【0011】
また、上記のような特徴を有する電子機器の情報喪失防止装置において、前記バックアップ用電源の出力電圧は、前記電源の出力電圧よりも低く、前記逆電流防止手段と、前記接続手段との間に、第2表示部を有するバッテリ接続判定手段を備え、前記バッテリ接続判定手段は、前記バックアップ用電源の出力電圧よりも高い電圧が印加される事により前記第2表示部による接続表示を成す構成とすることができる。このような特徴を有することによれば、バッテリ接続判定手段は、車両等のバッテリ(電源)が接続された場合のみ作動することとなる。このため、バッテリ交換時に、バッテリが正常に接続されていない状態で、自己のバックアップ用電源の電圧により、誤って第2表示部が接続表示を示すことが無い。これにより、車両のバッテリを正常に接続することを確認することができる。
【0012】
さらに、上記のような特徴を有する電子機器の情報喪失防止装置において、前記バックアップ電流通電確認手段は、前記バックアップ電流通電確認手段の起動に起因して接続表示を成す第3表示部を有することが望ましい。このような特徴を有する場合、接続手段の接続が正常に成されている状態で、車両等からバッテリが外された場合、逆電流防止手段を電流が通過して、車両等における電気的負荷部に向けて電流が流れ出す。このため、バックアップ電流通電確認手段が起動し、第3表示部が接続表示を成すこととなる。
【0013】
一方で、バッテリ接続判定手段には、逆電流防止手段の回路ロスを引いた分の電圧(バッテリ接続判定手段の作動電圧よりも低い電圧)が印加されることとなり、第2表示部は、バッテリの接続表示を示さない状態となる。つまり、第2表示部と第3表示部の表示の切り替えが成され、作業が正常に開始されたことを確認することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
上記のような特徴を有する電子機器の情報喪失防止装置によれば、比較的簡易な構成とすることで小型化を実現することができる。また、構成を簡易なものとすることで、従来品に比べて安価に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る電子機器の情報喪失防止装置とバッテリ交換対象とする車両の構成を模式的に示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る電子機器の情報喪失防止装置の構成を概略的に示した回路図である。
【
図3】実施形態に係る情報喪失防止装置における接続手段をワニ口クリップとする場合の例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る情報喪失防止装置における接続手段を診断装置接続用コネクタ対応型とする場合の例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る情報喪失防止装置の使用方法についての説明を行うためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の電子機器の情報喪失防止装置に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1から
図4を参照して、本実施形態に係る電子機器の情報喪失防止装置の構成について説明する。なお、図面において、
図1は、実施形態に係る電子機器の情報喪失防止装置とバッテリ交換対象とする車両の構成を模式的に示すブロック図である。
図2は、実施形態に係る電子機器の情報喪失防止装置の構成を概略的に示した回路図である。
図3は、実施形態に係る情報喪失防止装置における接続手段をワニ口クリップとする場合の例を示す図である。
図4は、実施形態に係る情報喪失防止装置における接続手段を診断装置接続用コネクタ対応型とする場合の例を示す図である。
【0017】
[構成]
本実施形態に係る電子機器の情報喪失防止装置(以下、単に情報喪失防止装置10と称す)は、バックアップ用電源12と、接続手段14、バックアップ用電源電圧判定手段20、バッテリ接続判定手段22、逆電流防止手段16、及びバックアップ電流通電確認手段18を備えて構成されている。
【0018】
バックアップ用電源12は、電子機器を搭載した車両等における電源(バッテリ)交換時における予備電源として働く要素である。バックアップ用電源12は、所望の電圧を確保することができれば、その形態を限定するものではない。
【0019】
バックアップ用電源12は、詳細を以下に示す理由から、車両30に搭載されているバッテリ(電源)32の電圧よりも低く、かつ車両30に搭載された電子機器の揮発性メモリの待機電圧を確保することのできる電圧を得る事ができるものであれば良い。具体的には、車両30に搭載されたバッテリ32の電圧を12Vから13V程度とした場合、実施形態に係るバックアップ用電源12は、9V程度の電圧を確保することができれば良い。このため、所望の形態を有するリチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池の他、一般的な乾電池のような一次電池とすることもできる。例えば、バックアップ用電源12として、出力電圧が1.5Vの乾電池を使用する場合には、6本の電池が直列に接続されるようにした電池ボックスを備えるようにすれば良い。また、バックアップ用電源12は、AC電源からの供給電流の電圧や、直流の5Vなどの低電圧、および18Vなどの高電圧を車両30に搭載された電子機器の揮発性メモリの待機電圧を確保することの電圧に変換する回路を備えるようにし、種々の電源形態を採れるようにても良い。
【0020】
接続手段14は、バックアップ用電源12と、車両30に搭載された電子機器等の電気的負荷部34とを電気的に接続するための要素である。接続手段14による接続は、車両30側のバッテリ32の端子に直接接続する場合の他、診断装置接続用コネクタを介して接続する場合など、種々のパターンを挙げることができる。
【0021】
接続手段14としては、例えば
図3に示すようなワニ口クリップ型のものや、
図4に示すような診断装置接続用コネクタ対応型のものなど、様々な形態とすることができる。接続手段14をいずれの形態とした場合であっても、陽極側と陰極(以下、GNDと称す)側の接続が正しくなされれば、接続手段14としての役割を果たすことができるからである。
【0022】
ここで、接続手段14を診断装置接続用コネクタ対応型のもの(
図4参照)とした場合、ワニ口クリップ型のものに比べて、意図せず接続状態が解除される事態(脱落)が生じ難くなるというメリットがある。また、診断装置接続用コネクタ対応型の接続手段では、電極の配置位置が予め定められているため、陽極とGNDの接続を間違えるリスクを回避することができる。
【0023】
バックアップ用電源電圧判定手段20は、バックアップ用電源12の出力電圧が使用許容範囲値以上であるか否かを判定する役割を担う。バックアップ用電源電圧判定手段20は、表示部20a(第1表示部)と電圧判定部20bとを備え、バックアップ用電源12からの出力電圧が許容値以上である場合に、表示部20aが点灯するように構成されている。
【0024】
具体的には、表示部20aは、LED20a1と、LED20a1のアノード側に、LED20a1に対して直列に接続された抵抗20a2を配置することにより構成することができる。もちろん、抵抗20a2の替わりに、CRDなどの素子を用いても良い。
【0025】
また、電圧判定部20bは、本実施形態の場合、所定の電圧以上(許容値:例えば7V以上)の電圧が印加された場合に電流を通過させることとなるツェナーダイオードにより構成することができる。
【0026】
このような回路構成とすることで、バックアップ用電源12の電圧が所定値(許容値)以上の場合のみ、バックアップ用電源電圧判定手段20を構成する回路に電流が流れることとなり、LED20a1が点灯する。
【0027】
バッテリ接続判定手段22は、車両30にバッテリ32が搭載(接続)された状態にあるか否かを判定するための手段である。バッテリ接続判定手段22は、表示部22a(第2表示部)と電流検出部22bとを備える。ここで、バックアップ用電源12の出力電圧をV0、バッテリ32の出力電圧をV1、バッテリ接続判定手段22における電流検出部22bの作動電圧をV2とした場合、作動電圧V2の範囲は、V0<V2≦V1とすれば良い。
【0028】
バッテリ接続判定手段22の表示部22aは、LED22a1と、LED22a1のアノード側に、LED22a1に対して直列に接続された抵抗22a2を配置することにより構成することができる。また、電流検出部22bは、バイポーラトランジスタ(以下、BJT22b1と称す)と、抵抗内蔵トランジスタ(以下、BRT22b2と称す)を組み合わせる事により構成することができる。
【0029】
具体的には、LED22a1のカソード側にBRT22b2のコレクタを接続し、エミッタ側をGNDとする。そして、逆電流防止手段16の下流側に配置したラインを、BJT22b1のベース側に接続し、コレクタ側をBRT22b2のベース電流として接続する。本実施形態では、逆電流防止手段16とBJT22b1のエミッタ側接続ラインとの間にダイオード24を配置し、電圧差を生じさせるように構成している。そして、BJT22b1のベース側には、逆電流防止手段16の下流側であって、ダイオード24の上流側の電流が入力されるようにラインが接続している。そして、このような構成の電流検出部22bでは、BRT22b2のベース電流の作動電圧V2をV0<V2≦V1となるような構成とすれば良い。
【0030】
このような回路構成とすることで、バッテリ電圧がV0<V2≦V1の場合にのみ、バッテリ接続判定手段22を構成する回路に電流が流れることとなり、LED22a1が点灯する。よって、接続手段14が車両30と接続されていない状態では、バックアップ用電源12の自己電圧が作動電圧V2に達しない(低い)為、LED22a1が点灯する事がない。
【0031】
逆電流防止手段16とバックアップ電流通電確認手段18は、バックアップ用電源12と接続手段14との間に配置されている。逆電流防止手段16は、バックアップ用電源12側から接続手段14側への電流を通過させる役割を担う。このため、こうした機能を備えた素子、あるいは電子回路により構成すれば良く、バックアップ用電源12の陽極側電極と、接続手段14の陽極側電極との間に直列に配置されることとなる。
図2に回路構成を示す本実施形態では、逆電流防止手段16として、ダイオードを用いている。ダイオードとして例えば、pn接合ダイオードを用いた場合、p型素子(アノード)がバックアップ用電源12側、n型素子(カソード)が接続手段側14に位置するように配置することで、上述した機能を発揮することが可能となる。
【0032】
バックアップ電流通電確認手段18は、車両30のバッテリ32を取り外した際、バックアップ用電源12による通電が電気的負荷部34に対して成されていることを示す役割を担う。
【0033】
具体的には、LED18a1の点灯により通電状態が確保されている事を示す回路が、バックアップ用電源12に対して、車両30の電気的負荷部34と並列に接続されることとなるように配置されている。そして、バックアップ電流通電確認手段18は、逆電流防止手段16の下流側に流れる電流をトリガとして作動するように構成されている。
【0034】
このような構成とすることで、車両30に搭載されたバッテリ32が接続された状態では、ダイオード24のカソード側の電圧が高くなるため電流の流れが妨げられ、トリガとなるラインに電流が流れる事が無い。よって、実施形態に係る情報喪失防止装置10では、バックアップ電流通電確認手段18は、車両30に搭載されたバッテリ32が接続された状態では作動しない。
【0035】
バックアップ電流通電確認手段18の具体的な回路構成としては、例えば次のようなものとすることができる。バックアップ電流通電確認手段18は、表示部18a(第3表示部)と、電流検出部18bとに分けることができる。表示部18aは、LED18a1と、LED18a1のアノード側に、LED18a1に対して直列に接続された抵抗18a2を配置することにより構成することができる。
【0036】
電流検出部18bは、バッテリ接続判定手段22と同様にBJT18b1と、BRT18b2とを組み合わせる事により構成することができる。具体的には、LED18a1のカソード側にBRT18b2のコレクタを接続し、エミッタ側をGNDとする。そして、逆電流防止手段16の上流側に配置したラインを、BJT18b1のエミッタ側に接続し、コレクタ側をBRT18b2のベース電流として接続する。BJT18b1のベース側には、逆電流防止手段16の下流側電流が入力されるようにラインが接続している。このような回路構成とすることで、逆電流防止手段18を通過する電流が生じた場合のみLED18a1が作動することとなり、BRT18b2には、作動を安定させるのに十分な電流を与えることができる。
【0037】
なお、情報喪失防止装置10を構成する回路には適宜、ヒューズなどの保護部品26,28あるいは保護回路を配置すると良い。
【0038】
[使用方法]
次に、このような構成の情報喪失防止装置10の使用方法について、
図5に示すフローを参照して説明する。
まず、バックアップ用電源12として、所定の電圧を生じさせる電源(例えば乾電池)をセットする(ステップ10)。ステップ10で電源をセットしたことで、バックアップ用電源12としての許容電圧が確保された場合には、バックアップ用電源電圧判定手段20のLED20a1が点灯する(ステップ20)。一方、LED20a1が点灯しない場合には、乾電池の向きや電圧などの確認を行う(ステップ30)。
【0039】
ステップ20にて、LED20a1の点灯を確認した後、車両30側に接続手段14を接続し、情報喪失防止装置10と、電気的負荷部34を電気的に接続する(ステップ40)。接続手段14が車両30のバッテリ32と電気的に接続されると、バッテリ接続判定手段22のLED22a1が点灯する(ステップ50)。一方、LED22a1が点灯しない場合には、車両30への接続不良の有無の確認を行う(ステップ60)。
【0040】
ステップ50にて、LED22a1の点灯を確認した後、車両30からバッテリ32を取り外す(ステップ70)。車両からバッテリ32を取り外すと、バッテリ接続判定手段22のLED22a1が消灯し、バックアップ電流通電確認手段18のLED18a1が点灯する(ステップ80)。ステップ80において、LED22a1とLED18a1の点灯の切り替わりが成されない場合には、バッテリ32の電圧が維持された状態であるため、バッテリ32の端子と、車両側電極との離接状態を確認する(ステップ90)。
【0041】
取り外したバッテリ32を新たなバッテリ32と交換し、車両30に取り付ける(ステップ100)。車両30に新たなバッテリ32を取り付けると、バックアップ電流通電確認手段18のLED18a1が消灯し、バッテリ接続判定手段22のLED22a1が点灯する(ステップ110)。ステップ110において、LED18a1とLED22a1の点灯の切り替わりが成されない場合には、バッテリ32が正常に取り付けられていない可能性があるため、取付状態の確認を行う(ステップ120)。
【0042】
ステップ110にて、LED22a1の点灯を確認した後、接続手段14による情報喪失防止装置10と車両30との接続を解除する(ステップ130)。情報喪失防止装置10が取り外されると、バッテリ接続判定手段22のLED22a1が消灯し、バックアップ用電源電圧判定手段20のLED20a1のみが点灯した状態となる(ステップ140)。ステップ140において、LED22a1が消灯しない場合には、接続手段14の取り外し状態を確認する(ステップ150)。
ステップ140までを終えた後、情報喪失防止装置10からバックアップ用電源12となる電源(乾電池等)を取り出す。これにより、バックアップ用電源電圧判定手段20のLED20a1が消灯する(ステップ160)。
【0043】
[効果]
上記のような構成の情報喪失防止装置10を使用して車両30に搭載されているバッテリ32の交換を行う事によれば、まず、バックアップ用電源電圧判定手段20のLED20a1が点灯することにより、情報喪失防止装置10が正常に機能する状態にあるか否かを確認することができる。
【0044】
次に、バッテリ接続判定手段22のLED22a1が点灯する事により、情報喪失防止装置10が車両30の電気的負荷部34に電気的に接続されたか否かを確認することができる。そして、LED22a1が消灯し、バックアップ電流通電確認手段18のLED18a1が点灯することで、作業中のバックアップ電源が確保されている事(情報喪失防止装置10が接続状態にある事)を確認することができる。
【0045】
さらに、新たなバッテリ32を車両30に取り付けた際、LED18a1が消灯し、バッテリ接続判定手段22のLED22a1が点灯することで、新たなバッテリ32が車両30に接続された事を確認する事ができる。
【0046】
このように、バッテリ32の交換における各作業段階で、電気的負荷部34への電力の供給状態を確認することができる。このため、車両30に対して新たなバッテリ32が正常に接続されていない状態で、情報喪失防止装置10を取り外してしまうといった事態を避けることができる。
【0047】
また、当然に、バッテリ32の交換時における電気的負荷部34への電力の供給が可能となるため、電子機器等における揮発性メモリに記録された情報が喪失することを防ぐことができる。
このような効果を奏する実施形態に係る情報喪失防止装置10は、比較的簡易な構成とすることで従来品に比べて小型化を実現することができる。また、比較的簡易な構成とすることより、従来品に比べて安価に生産することが可能となる。よって、一般ユーザによるバッテリ交換作業にも利用することが容易となる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
上記実施形態では、逆電流防止手段16やバックアップ電流通電確認手段18、バックアップ用電源電圧判定手段20、およびバッテリ接続判定手段22等の各要素について、一例として、具体的な素子名を挙げて説明した。しかしながら、各要素は、それぞれ対応する機能を果たす事ができる構成であれば、使用する素子や回路の構成を限定するものではない。
【符号の説明】
【0049】
10………情報喪失防止装置、12………バックアップ用電源、14………接続手段、16………逆電流防止手段、18………バックアップ電流通電確認手段、18a………表示部、18a1………LED、18a2………抵抗、18b………電流検出部、18b1………BJT、18b2………BRT、20………バックアップ用電源電圧判定手段、20a………表示部、20a1………LED、20a2………抵抗、20b………電圧判定部、22………バッテリ接続判定手段、22a………表示部、22a1………LED、22a2………抵抗、22b………電流検出部、24………ダイオード、26,28………保護部品、30………車両、32………バッテリ、34………電気的負荷部。