IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -移動案内装置及びコンピュータプログラム 図1
  • -移動案内装置及びコンピュータプログラム 図2
  • -移動案内装置及びコンピュータプログラム 図3
  • -移動案内装置及びコンピュータプログラム 図4
  • -移動案内装置及びコンピュータプログラム 図5
  • -移動案内装置及びコンピュータプログラム 図6
  • -移動案内装置及びコンピュータプログラム 図7
  • -移動案内装置及びコンピュータプログラム 図8
  • -移動案内装置及びコンピュータプログラム 図9
  • -移動案内装置及びコンピュータプログラム 図10
  • -移動案内装置及びコンピュータプログラム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】移動案内装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20230315BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20230315BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20230315BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0969
G09B29/00 F
G09B29/10 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018236120
(22)【出願日】2018-12-18
(65)【公開番号】P2020098131
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 洋子
(72)【発明者】
【氏名】坂本 徹
(72)【発明者】
【氏名】キン シン
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-260160(JP,A)
【文献】特開2012-117911(JP,A)
【文献】特開2015-155823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G08G 1/0969
G09B 29/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の移動経路周辺に位置する目印を用いて案内交差点における移動体の移動案内を行う移動案内装置であって、
移動体が前記移動経路に沿って前記案内交差点を通過する場合に、前記案内交差点へと進入する進入道路及び前記案内交差点から退出する退出道路を夫々特定する道路特定手段と、
前記進入道路の道路構造と前記退出道路の道路構造に基づいて、前記案内交差点における移動案内を行うのに用いる目印を決定する目印決定手段と、を有し、
前記道路構造は道路が備える車線数と中央分離帯の有無の少なくとも一方を含み、
前記目印決定手段は、
前記進入道路の道路構造と前記退出道路の道路構造の組み合わせに基づいて、案内交差点の周辺を案内交差点に接続する道路で区分した複数のエリアの内、前記案内交差点に進入する前の移動体から視認可能なエリアを特定し、
特定されたエリア内にある目印を、前記案内交差点に進入する前の移動体から視認できる位置にある目印として、前記案内交差点における移動案内を行うのに用いる目印に決定する移動案内装置。
【請求項2】
前記目印決定手段は、前記案内交差点に進入する前の移動体から視認できる位置にある目印が存在しない場合には、前記案内交差点における移動案内として目印を用いないことを決定する請求項に記載の移動案内装置。
【請求項3】
前記目印決定手段は、
前記案内交差点に進入する前の移動体から視認できる位置にある目印が複数ある場合に、
案内交差点の周辺を案内交差点に接続する道路で区分した複数のエリアに対して、移動体が案内交差点へ進入する進入道路と案内交差点から退出する退出道路の組み合わせに基づいて優先度を設定し、
前記複数の目印の内から、優先度の高いエリアにある目印を優先して前記案内交差点における移動案内を行うのに用いる目印として選択する請求項1又は請求項2に記載の移動案内装置。
【請求項4】
前記目印決定手段は、
案内交差点の周辺を案内交差点に接続する道路で区分した複数のエリアの内、案内交差点に対して進入道路側にあるエリアを他のエリアよりも高い優先度に設定し、
案内交差点の周辺を案内交差点に接続する道路で区分した複数のエリアの内、案内交差点に対して退出道路側にあるエリアを他のエリアよりも高い優先度に設定する請求項に記載の移動案内装置。
【請求項5】
移動体の移動経路周辺に位置する目印を用いて案内交差点における移動体の移動案内を行う場合において、
コンピュータを、
移動体が前記移動経路に沿って前記案内交差点を通過する場合に、前記案内交差点へと進入する進入道路及び前記案内交差点から退出する退出道路を夫々特定する道路特定手段と、
前記進入道路の道路構造と前記退出道路の道路構造に基づいて、前記案内交差点における移動案内を行うのに用いる目印を決定する目印決定手段と、して機能させる為のコンピュータプログラムであって、
前記道路構造は道路が備える車線数と中央分離帯の有無の少なくとも一方を含み、
前記目印決定手段は、
前記進入道路の道路構造と前記退出道路の道路構造の組み合わせに基づいて、案内交差点の周辺を案内交差点に接続する道路で区分した複数のエリアの内、前記案内交差点に進入する前の移動体から視認可能なエリアを特定し、
特定されたエリア内にある目印を、前記案内交差点に進入する前の移動体から視認できる位置にある目印として、前記案内交差点における移動案内を行うのに用いる目印に決定するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目印を用いた移動案内を行う移動案内装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより自車の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをDVD-ROMやHDDなどの記録媒体またはネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。更に、かかるナビゲーション装置には、所望する目的地を入力すると、出発地から目的地までの最適経路を探索する経路探索機能を備えている。そして、探索結果に基づいて設定された案内経路をディスプレイ画面に表示するとともに、右左折等の案内の対象となる交差点(以下、案内交差点という)に接近した場合には音声やディスプレイ画面を用いた案内を行うことによって、ユーザを所望の目的地まで確実に案内するようになっている。また、近年は携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等においても上記ナビゲーション装置と同様の機能を有するものがある。更に、車両以外にも歩行者や二輪車を対象として上記案内を行うことも可能である。
【0003】
ここで、案内交差点において右左折等の案内を行う際には、案内交差点をユーザに正確に特定させることが重要である。そこで、従来では案内交差点において目印となる施設や構造物等を用いて案内を行うことが行われていた。このような目印を用いた案内交差点の案内を行う場合には、案内を行う際にユーザから目印が視認できていることが重要である。そこで、例えば特開2014-163814号公報には、案内交差点の案内が行われた際のユーザの視線位置を検出することにより、ユーザが目印を視認できているかを検出し、ユーザが視認できていることが検出された目印については適正度を高く設定し、その後の案内に優先的に用いる技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-163814号公報(第15-16頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ユーザからの目印の視認性は、同一の目印であれば常に同一ではなく、周辺道路の道路構造によって大きく左右される。例えば、案内交差点までの進入道路が下り坂である場合と、案内交差点までの進入道路が上り坂である場合とでは同じ交差点にある同じ目印であったとしても、その視認性は大きく異なる。同様にユーザと目印の間に中央分離帯が存在する場合と、中央分離帯が存在しない場合とでは同じ交差点にある同じ目印であったとしても、その視認性は大きく異なる。
【0006】
上記特許文献1では上述したような周辺道路の道路構造について考慮していない為、仮に適正度の高い目印であったとしても、案内交差点への進入方向や退出方向によってはユーザから視認し難い目印となる虞がある。
【0007】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、案内交差点の周辺道路の道路構造に基づく目印の視認性を考慮することが可能となり、より適切な目印を用いた案内交差点の移動案内を行うことを可能とした移動案内装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本発明に係る移動案内装置は、移動体の移動経路周辺に位置する目印を用いて案内交差点における移動体の移動案内を行う移動案内装置であって、移動体が前記移動経路に沿って前記案内交差点を通過する場合に、前記案内交差点へと進入する進入道路及び前記案内交差点から退出する退出道路を夫々特定する道路特定手段と、前記進入道路の道路構造と前記退出道路の道路構造に基づいて、前記案内交差点における移動案内を行うのに用いる目印を決定する目印決定手段と、を有し、前記道路構造は道路が備える車線数と中央分離帯の有無の少なくとも一方を含み、前記目印決定手段は、前記進入道路の道路構造と前記退出道路の道路構造の組み合わせに基づいて、案内交差点の周辺を案内交差点に接続する道路で区分した複数のエリアの内、前記案内交差点に進入する前の移動体から視認可能なエリアを特定し、特定されたエリア内にある目印を、前記案内交差点に進入する前の移動体から視認できる位置にある目印として、前記案内交差点における移動案内を行うのに用いる目印に決定する
尚、「移動体」としては、車両以外に、歩行者(ユーザ自身)や二輪車も含む。
【0009】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、移動体の移動経路周辺に位置する目印を用いて案内交差点における移動体の移動案内を行うプログラムである。コンピュータを、移動体が前記移動経路に沿って前記案内交差点を通過する場合に、前記案内交差点へと進入する進入道路及び前記案内交差点から退出する退出道路を夫々特定する道路特定手段と、前記進入道路の道路構造と前記退出道路の道路構造に基づいて、前記案内交差点における移動案内を行うのに用いる目印を決定する目印決定手段と、して機能させる為のコンピュータプログラムであって、前記道路構造は道路が備える車線数と中央分離帯の有無の少なくとも一方を含み、前記目印決定手段は、前記進入道路の道路構造と前記退出道路の道路構造の組み合わせに基づいて、案内交差点の周辺を案内交差点に接続する道路で区分した複数のエリアの内、前記案内交差点に進入する前の移動体から視認可能なエリアを特定し、特定されたエリア内にある目印を、前記案内交差点に進入する前の移動体から視認できる位置にある目印として、前記案内交差点における移動案内を行うのに用いる目印に決定する
【発明の効果】
【0010】
前記構成を有する本発明に係る移動案内装置及びコンピュータプログラムによれば、移動体が案内道路を通過する際の進入道路の道路構造と退出道路の道路構造とに基づいて、案内交差点における移動案内を行うのに用いる目印を決定するので、案内交差点の周辺道路の道路構造に基づく目印の視認性についても考慮した目印の決定が可能となる。その結果、より適切な目印を用いた案内交差点の移動案内を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
図2】目印データの一例を示した図である。
図3】案内交差点と目印候補の位置関係を示した図である。
図4】本実施形態に係る移動案内処理プログラムのフローチャートである。
図5】本実施形態に係る案内情報生成処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
図6】視認性の良い案内交差点における案内目印の選択の優先順位を示した図である。
図7】視認性の良い案内交差点の周辺にある案内目印を用いて案内交差点の案内を行う場合の案内例を示した図である。
図8】一般的な視認性の案内交差点における案内目印の選択の優先順位を示した図である。
図9】一般的な視認性の案内交差点の周辺にある案内目印を用いて案内交差点の案内を行う場合の案内例を示した図である。
図10】進入道路と退出道路の道路構造に基づいて案内交差点における案内目印を選択する例(特に右折時)を示した図である。
図11】進入道路と退出道路の道路構造に基づいて案内交差点における案内目印を選択する例(特に左折時)を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る移動案内装置をナビゲーション装置に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0013】
図1に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU13と、ユーザからの操作を受け付ける操作部14と、ユーザに対して地図や目的地までの案内経路を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ17と、プローブセンタやVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール18と、を有する。
【0014】
以下に、ナビゲーション装置1が有する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS21、車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ22は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記4種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0015】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB31や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部12をハードディスクの代わりに不揮発性メモリ、メモリーカード、CDやDVD等の光ディスクにより構成しても良い。また、地図情報DB31は外部のサーバに格納させ、ナビゲーション装置1が通信により取得する構成としても良い。
【0016】
ここで、地図情報DB31は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ33、ノード点に関するノードデータ34、各交差点に関する交差点データ35、目印に関する目印データ36、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0017】
ここで、リンクデータ33としては、例えば、該リンクを識別するリンクID、該リンクの端部に位置するノードを特定する端部ノード情報、該リンクを構成する道路の道路種別、道路構造等が記憶される。また、ノードデータ34としては、該ノードを識別するノードID、該ノードの位置座標、該ノードがリンクを介して接続される接続先ノードを特定する接続先ノード情報等が記憶される。また、交差点データ35としては、該交差点を形成するノードを特定する該当ノード情報、該交差点に接続されるリンク(以下、接続リンクという)を特定する接続リンク情報、交差点の形状を特定する情報等が記憶される。
【0018】
また、リンクデータ33に含まれる道路の道路構造に関する情報としては、『道路の形状』、『勾配』、『車線数』、『中央分離帯の有無』を特定する情報を含む。『道路の形状』としては、例えば道路の走行経路の形状(直線形状を有するかカーブ形状を有するか)、道路幅等がある。カーブ形状である場合にはR値を含めても良い。また、二条道路(対向車線と区分された道路)である場合にはその旨を特定する情報についても含めるのが望ましい。一方、『勾配』としては勾配の方向や角度等がある。但し、道路構造に関する情報としては上記『道路の形状』、『勾配』、『車線数』、『中央分離帯の有無』の全てを含む必要は無く、一部のみを含むようにしても良い。
【0019】
また、目印データ36としては、案内交差点の案内を行う場合に目印となり得る候補(以下、目印候補という)が記憶される。ここで、目印候補としては、例えば遠方からも識別可能な施設(例えばコンビニエンスストア、ガソリンスタンド、警察署、消防署等)、上記施設には該当しないが設備(例えば看板、駐車場)や外観(例えば色、素材、大きさ)に何らかの特徴がある構造物(オフィスビル、マンション等)等が該当する。そして、目印データ36は、全国にある目印候補毎に目印候補の位置や種類を識別する情報が記憶されている。尚、目印候補としては、交差点から所定範囲内(例えば半径100m以内)に位置する物のみを記憶としても良い。
【0020】
ここで、図2は地図情報DB31に記憶される目印データ36の一例を示した図である。図2に示すように目印データ36は、目印候補毎に、目印候補が周辺に位置する交差点(即ち目印候補によって案内が可能な交差点)を識別する交差点ID(但し、目印候補が交差点周辺にある場合のみ)と、目印候補が位置する位置座標と、交差点に対する相対的な位置関係と、目印候補を目印として案内する際に出力する音声データ(音声内容を示すフレーズでもよい)とが対応付けられて記憶されている。尚、“交差点に対する相対的な位置関係”とは、図3に示すように案内交差点の周辺を案内交差点に接続する道路で区分した複数のエリアの内、どのエリアに目印候補があるかを特定する情報である。図3に示す例は4叉路の交差点であるが、3叉路や5叉路等の交差点の形状に応じてエリアの形や数は適宜変更される。
【0021】
例えば、図2ではID「10001」の交差点の周辺には、“コンビニエンスストア”と“ガソリンスタンド”の2つの施設が目印候補として存在することを示している。一方、ID「10002」の交差点の周辺には、外観に特徴のある“ガラス張りのビル”が目印候補として存在することを示している。同様に他の目印候補に関する情報も記憶されている。尚、特に施設を目印とする場合に出力する案内のフレーズは、『コンビニエンスストア』、『ガソリンスタンド』等の広いジャンルを特定するフレーズではなく、より下位概念のジャンル、例えばコンビニエンスストアであれば、どの系列のコンビニエンスストアかを特定するフレーズを出力するようにしても良い。その場合には目印データ36として目印候補のより下位概念のジャンルを特定する情報を含める。
【0022】
そして、ナビゲーションECU13は、後述のように地図情報DB31に記憶された目印データ36に基づいて、車両の進行方向前方にある案内交差点を案内する為の目印を設定する。そして、設定された目印に基づいて、車両の進行方向前方にある案内交差点の案内を生成し、出力する。尚、案内交差点とは、ナビゲーション装置1に設定されている案内経路に従ってナビゲーション装置1が走行の案内を行う際に、右左折指示等の案内を行う対象となる交差点である。
【0023】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述の移動案内処理プログラム(図4)等が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションECU13は、処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。例えば、道路特定手段は、移動体(車両)が移動経路に沿って案内交差点を通過する場合に、案内交差点へと進入する進入道路及び案内交差点から退出する退出道路を夫々特定する。目印決定手段は、進入道路の道路構造と退出道路の道路構造の少なくとも一方に基づいて、案内交差点における移動案内を行うのに用いる目印を決定する。
【0024】
操作部14は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部14は液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルを有しても良い。また、マイクと音声認識装置を有しても良い。
【0025】
また、液晶ディスプレイ15には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの案内経路、案内経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。また、案内交差点が車両の進行方向前方の所定距離以内(例えば500m)に接近した場合には、案内交差点付近の拡大図や車両の案内交差点における進行方向についても表示する。尚、液晶ディスプレイ15の代わりに、HUDやHMDを用いても良い。
【0026】
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU13からの指示に基づいて案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。特に本実施形態では、案内交差点が車両の進行方向前方の所定距離(例えば、700m、300m、50m)に到達したタイミングで、案内経路に沿った走行を案内する音声案内の出力を開始する。また、本実施形態に係るナビゲーション装置1では、自車の進行方向前方にある案内交差点を通過する車両(ユーザ)から視認可能となる適切な目印がある場合には、目印を用いた音声案内を出力する。例えば、「コンビニエンスストアのある交差点を右(左)方向です。」等を出力する。
【0027】
また、DVDドライブ17は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB31の更新等が行われる。尚、DVDドライブ17に替えてメモリーカードを読み書きする為のカードスロットを設けても良い。
【0028】
また、通信モジュール18は、例えば、VICSセンタやプローブセンタ等から送信された地図更新情報、支援情報、交通情報等の各情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0029】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1においてナビゲーションECU13が実行する移動案内処理プログラムについて図5に基づき説明する。図4は本実施形態に係る移動案内処理プログラムのフローチャートである。ここで、移動案内処理プログラムは車両のACC電源(accessory power supply)がONされた後に実行され、案内経路に沿った車両の走行案内を行うプログラムである。尚、以下の図4及び図5にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0030】
先ず、移動案内処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41は、経路の目的地を設定する。尚、目的地は基本的に操作部14において受け付けたユーザの操作(例えば登録地点の読出操作、施設の検索や選択操作)に基づいて設定する。
【0031】
その後、S2においてCPU41は、ナビゲーション装置1が有する地図情報を用いて出発地から前記S1で設定された目的地までの経路探索処理を行い、出発地から目的地までの推奨経路を特定する。具体的には、地図情報に含まれるリンクデータ、ノードデータ、探索データ等に基づいて、リンク(道路)に対する経路として適正の程度を数値化したリンクコストや、交差点(ノード)に対する経路として適正の程度を数値化した交差点コストや、走行に必要な費用の程度を数値化した料金コスト等を算出し、算出された各探索コストを用いて推奨経路の探索を行う。例えば公知のダイクストラ法を用い、コスト値の合計が最小となる経路を推奨経路とする。尚、ダイクストラ法を用いた経路探索処理は既に公知であるので詳細は省略する。また、出発地は車両の現在位置としても良いし、ユーザにより指定された任意の地点(例えば自宅)としても良い。そして、探索された経路をユーザの操作に基づいてナビゲーション装置1の案内経路として設定する。
【0032】
尚、前記S2の経路探索処理はナビゲーション装置1でなく外部のサーバ装置により行っても良い。その場合には、経路探索を要求する為の経路探索要求をサーバ装置へと送信し、サーバ装置が有する地図情報に基づいて推奨経路の探索が行われる。そして、探索された推奨経路をサーバ装置から受信し、ユーザの操作に基づいてナビゲーション装置1の案内経路として設定する。
【0033】
次に、S3においてCPU41は、後述の案内情報生成処理(図5)を実行する。尚、案内情報生成処理は、後述のように車両の現在位置から案内経路に沿って所定距離(例えば3km)内の区間を対象として、車両の走行案内に用いる案内情報を生成する処理である。尚、前記S3では車両の現在位置から所定距離内ではなく目的地までの全経路の案内情報を生成しても良い、その場合には後述のS7及びS8の処理は不要となる。
【0034】
以降のS4~S8の処理は、車両が目的地に到着するまで所定間隔で繰り返し実行される。そして、車両が目的地に到着した後に当該移動案内処理プログラムを終了する。
【0035】
先ず、S4においてCPU41は、車両の現在位置を現在位置検出部11の検出結果や地図情報に基づいて特定する。尚、車両の現在位置を特定する際には、車両の現在位置を地図情報にマッチングさせるマップマッチング処理についても行う。
【0036】
その後、S5においてCPU41は、案内交差点で走行案内を行う為の音声案内の出力タイミングか否かを判定する。具体的には、車両の現在位置が案内交差点の700m手前、300m手前、50m手前に位置するタイミングを、音声案内の出力タイミングとする。
【0037】
そして、案内交差点で走行案内を行う為の音声案内の出力タイミングであると判定された場合(S5:YES)には、S6へと移行する。それに対して、案内交差点で走行案内を行う為の音声案内の出力タイミングではないと判定された場合(S5:NO)には、S7へと移行する。
【0038】
S6においてCPU41は、車両の現在位置に対応する音声案内をスピーカ16から出力する。尚、前記S6で出力される音声案内は予め前記S3又は後述のS8の案内情報生成処理で生成された音声データである。尚、音声データではなく音声の内容を示すテキストデータが生成された場合には、テキストデータを読み上げる音声をスピーカ16から出力する。特に本実施形態では、案内交差点を通過する車両(ユーザ)から視認可能となる適切な目印がある場合には、目印を用いた音声案内を出力する。尚、目印を用いた音声案内の詳細については後述する。また、前記S6では音声案内の出力に併せて液晶ディスプレイ15において交差点拡大図の表示等を行うようにしても良い。また、音声ではなく液晶ディスプレイ15に表示する文章によって案内交差点の案内を行うようにしても良い。
【0039】
次に、S7においてCPU41は、直近の案内情報生成処理(S3又はS8)を行ったタイミングから車両が一定距離(例えば3km)走行したか否かを判定する。尚、一定距離については適宜設定可能であるが、例えば3kmとする。
【0040】
そして、直近の案内情報生成処理(S3又はS8)を行ったタイミングから車両が一定距離走行したと判定された場合(S7:YES)には、S8へと移行する。それに対して、直近の案内情報生成処理(S3又はS8)を行ったタイミングから車両が一定距離走行していないと判定された場合(S7:NO)には、S4へと戻る。
【0041】
S8においてCPU41は、S3と同様に後述の案内情報生成処理(図5)を実行する。尚、案内情報生成処理は、後述のように車両の現在位置から案内経路に沿って所定距離内の区間を対象として、車両の走行案内に用いる案内情報を生成する処理である。その後、S4へと戻る。
【0042】
次に、前記S3及びS8において実行される案内情報生成処理のサブ処理について図5に基づき説明する。図5は案内情報生成処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0043】
先ず、S11においてCPU41は、現時点でナビゲーション装置1に設定されている案内経路に沿って、車両の現在位置から所定距離以内(例えば3km以内)の区間について、リンク列を作成する。尚、リンク列は最も詳細なレベル0のリンクで作成する。
【0044】
続いて、S12においてCPU41は、前記S11で作成したリンク列に含まれるリンクごとに、案内が必要なリンクか否か、即ち終点が案内交差点に該当するか否かを判定する。具体的には、案内経路が道なり方向に通過しない交差点や、道なり方向に通過する場合であっても特殊な交差点について、案内交差点に該当する。
【0045】
そして、処理対象のリンクが案内の必要なリンクに該当する、即ち処理対象のリンクの終点が案内交差点に該当すると判定された場合(S12:YES)には、S13へと移行する。
【0046】
S13においてCPU41は、先ず処理対象のリンクの終点にある案内交差点の形状を地図情報DB31に格納された交差点データ35から取得する。そして、ナビゲーション装置1で設定された案内経路と案内交差点の形状とを対応させることによって、車両が案内経路に沿って案内交差点を通過する場合に、案内交差点へと進入する道路(以下、進入道路という)と案内交差点から退出する道路(以下、退出道路という)を夫々特定する。
【0047】
S14においてCPU41は、処理対象のリンクの終点にある案内交差点に接続する道路の道路構造を、地図情報DB31に格納されたリンクデータ33から取得する。尚、道路構造としては『道路の形状』、『勾配』、『車線数』、『中央分離帯の有無』を特定する情報を含む。更に『道路の形状』としては、例えば道路の走行経路の形状(直線形状を有するかカーブ形状を有するか)、道路幅、二条道路(対向車線と区分された道路)を特定する情報を含む。また、『勾配』としては勾配の方向や角度を特定する情報を含む。尚、前記S14では案内交差点に接続する全ての道路ではなく、特に進入道路と退出道路の道路構造のみを取得するようにしても良い。また、『道路の形状』、『勾配』、『車線数』、『中央分離帯の有無』以外の要素を道路構造に含めても良い。
【0048】
続いて、S15においてCPU41は、前記S13で特定された案内交差点への進入道路と、前記S14で取得された案内交差点に接続する道路の道路構造とに基づいて、進入道路から案内交差点への視認性が良い状態にあるか否かを判定する。尚、「視認性が良い状態」とは、図6に示すように案内交差点52の周辺を案内交差点52に接続する道路で区分した場合に、目印がどのエリア(図6に示すように4叉路の案内交差点の例では[1]~[4]のいずれのエリア)にあったとしても案内交差点52に進入する前の進入道路を走行する車両(ユーザ)から目印が視認することが容易な状態にあることをいう。
【0049】
具体的には以下の(1)~(3)のいずれかの条件を満たした上で、且つ少なくとも進入道路と退出道路に中央分離帯が無く、進入道路と退出道路の車線数が所定数以下(例えば対向車線を含めて6車線以下)であることを条件とする。
(1)進入道路が直線道路で且つ下り勾配
(2)進入道路の道路幅が所定幅(例えば3m)以下
(3)進入道路が二条道路(対向車線と区分された道路)である
【0050】
そして、進入道路から案内交差点への視認性が良い状態にあると判定された場合(S15:YES)には、S16へと移行する。それに対して、進入道路から案内交差点への視認性が良い状態にないと判定された場合(S15:NO)には、S20へと移行する。
【0051】
S16においてCPU41は、案内交差点の案内に用いるのに適当な目印候補を選択する。具体的には、地図情報DB31に含まれる目印データ36(図2)を参照し、案内交差点の周辺に目印候補(即ち目印データ36において案内交差点に紐付けられた目印候補)が少なくとも一以上あるか否か判定する。尚、前記S16では、案内交差点の周辺を案内交差点に接続する道路で区分した複数のエリアについて、どのエリアも案内交差点に進入する前の進入道路を走行する車両(ユーザ)から視認可能(即ちどのエリアにある目印であっても視認できる)と推定する。従って、案内交差点の周辺を案内交差点に接続する道路で区分した複数のエリアの全て(図6に示すように4叉路の案内交差点52の例では[1]~[4]の全エリア)を車両(ユーザ)から視認可能な視認可能エリアとし、視認可能エリアにある目印候補を、車両(ユーザ)から視認可能な目印候補として、案内目印の選択候補とする。尚、前記S16で選択する目印候補を以下、案内目印と称する。
【0052】
ここで、目印データ36において視認可能エリアにある目印候補が一のみである場合には、該目印候補が案内目印となる。一方、視認可能エリアにある目印候補が複数ある場合には、複数の目印候補の内から以下の基準で案内目印を選択する。
【0053】
図6に示すように案内交差点52の周辺を案内交差点52に接続する道路で区分した複数のエリアの内、案内交差点52に対して進入道路側にあるエリアを他のエリアよりも高い優先度に設定し、案内交差点52に対して退出道路側にあるエリアを他のエリアよりも高い優先度に設定する。そして最も優先度の高いエリアにある目印候補を案内目印に選択する。尚、目印候補がどのエリアに存在するかについては目印データ36に記憶されている。
【0054】
上記基準で案内目印を選択した結果、更に複数の候補がある場合には、案内交差点により近い位置にある目印候補を案内目印に選択する。
【0055】
そして、S17においてCPU41は、案内交差点に進入する前の進入道路を走行する車両(ユーザ)からの視認性を考慮した結果、案内交差点に進入する前の進入道路を走行する車両(ユーザ)から視認できる位置にある目印候補があるか否か、即ち前記S16においていずれかの目印候補が案内目印として選択されたか否かを判定する。
【0056】
そして、案内交差点に進入する前の進入道路を走行する車両(ユーザ)から視認できる位置にある目印候補があり、いずれかの目印候補が案内目印として選択されたと判定された場合(S17:YES)には、S18へと移行する。それに対して、案内交差点に進入する前の進入道路を走行する車両(ユーザ)から視認できる位置にある目印候補が存在せず、目印候補が案内目印として選択できなかったと判定された場合(S17:NO)には、S19へと移行する。
【0057】
S18においてCPU41は、処理対象のリンクの終点にある案内交差点の案内として前記S16で設定された案内目印を用いる案内に決定する。そして、案内交差点を案内する際に出力される音声データを生成する。具体的には、案内目印を識別するフレーズを含む案内フレーズの音声データを生成する。例えば、『コンビニエンスストア』が案内目印として設定されている場合には「コンビニエンスストアのある交差点を左(右)方向です」の音声データを生成する。尚、前記S18で生成される音声データの内、案内目印を識別するフレーズ部分の音声データについては予め目印データ36(図2)に格納されている。また、前記S18では音声データ自体ではなく音声内容を示すフレーズを生成しても良い。
【0058】
その結果、例えば図7に示すように車両51が案内交差点52から700m手前又は300m手前に位置するタイミングにおいて、案内交差点52の周辺にあるコンビニエンスストアの施設53が案内目印として設定されている場合には「コンビニエンスストアのある交差点を左(右)方向です」の音声が出力される。
【0059】
一方、S19においてCPU41は、案内交差点に進入する前の進入道路を走行する車両(ユーザ)から視認できる位置にある目印候補が無いので、処理対象のリンクの終点にある案内交差点の案内として目印を用いない案内に決定する。目印を用いない案内としては、例えば案内交差点までの距離を用いた案内がある。そして、案内交差点を案内する際に出力される音声データを生成する。例えば、「○○m先、分岐を左(右)方向です」の音声データを生成する。また、前記S15では音声データ自体ではなく音声内容を示すフレーズを生成しても良い。
【0060】
また、S20においてCPU41は、前記S13で特定された案内交差点への進入道路と、前記S14で取得された案内交差点に接続する道路の道路構造とに基づいて、進入道路から案内交差点への視認性が特に悪い状態にあるか否かを判定する。尚、「視認性が特に悪い状態」とは、案内交差点の周辺を案内交差点に接続する道路で区分した複数のエリアについて、どのエリアも案内交差点に進入する前の進入道路を走行する車両(ユーザ)から視認することが難しい、即ちどのエリアにある目印であっても視認するのが困難な状態にあることをいう。
【0061】
具体的には以下の(4)又は(5)の条件を満たすことを条件とする。
(4)進入道路が上り勾配
(5)進入道路がカーブ形状の道路(但しR値が閾値以上(例えば1000m以上)の緩いカーブについては直線道路とみなしても良い)
【0062】
そして、進入道路から案内交差点への視認性が特に悪い状態にあると判定された場合(S20:YES)には、S19へと移行する。S19では上述したように処理対象のリンクの終点にある案内交差点の案内として目印を用いない案内が決定される。それに対して、進入道路から案内交差点への視認性が特に悪い状態にもないと判定された場合(S20:NO)には、S21へと移行する。
【0063】
S21においてCPU41は、前記S13で特定された案内交差点への進入道路及び退出道路と、前記S14で取得された案内交差点に接続する道路の道路構造とに基づいて、進入道路と退出道路の少なくとも一方が中央分離帯のある道路、或いは車線数が所定数以上(例えば対向車線を含めて7車線以上)の道路であるか否かを判定する。
【0064】
そして、進入道路と退出道路のいずれも中央分離帯が無く、且つ車線数が所定数未満の道路であると判定された場合(S21:NO)には、S22へと移行する。それに対して、進入道路と退出道路の少なくとも一方について中央分離帯がある、或いは車線数が所定数以上の道路であると判定された場合(S21:YES)には、S23へと移行する。
【0065】
S22においてCPU41は、案内交差点の案内に用いるのに適当な目印候補を選択する。具体的には、地図情報DB31に含まれる目印データ36(図2)を参照し、案内交差点の周辺に目印候補(即ち目印データ36において案内交差点に紐付けられた目印候補)が少なくとも一以上あるか否か判定する。但し、前記S22では、案内交差点の周辺を案内交差点に接続する道路で区分した複数のエリアの内、特に案内交差点に対して退出道路側のエリア(以下、退出側エリアという)について、案内交差点に進入する前の進入道路を走行する車両(ユーザ)から視認可能(即ち退出側エリアにある目印については視認できる)と推定する。従って、退出側エリア(図8に示すように4叉路の案内交差点の例では[1]~[2]のエリア)を車両(ユーザ)から視認可能な視認可能エリアとし、視認可能エリアにある目印候補を、車両(ユーザ)から視認可能な目印候補として、案内目印の選択候補とする。尚、前記S22で選択する目印候補についても前記S16と同様に案内目印と称する。
【0066】
ここで、目印データ36において視認可能エリアにある目印候補が一のみである場合には、該目印候補が案内目印となる。一方、視認可能エリアにある目印候補が複数ある場合には、複数の目印候補の内から以下の基準で案内目印を選択する。
【0067】
図8に示すように案内交差点52の周辺を案内交差点52に接続する道路で区分した複数のエリアの内、案内交差点52に対して進入道路側にあるエリアを他のエリアよりも高い優先度に設定する。そして優先度の高いエリアにある目印候補を案内目印に選択する。尚、目印候補がどのエリアに存在するかについては目印データ36に記憶されている。
【0068】
上記基準で案内目印を選択した結果、更に複数の候補がある場合には、案内交差点により近い位置にある目印候補を案内目印に選択する。
【0069】
その後S17へと移行し、案内交差点に進入する前の進入道路を走行する車両(ユーザ)からの視認性を考慮した結果、案内交差点に進入する前の進入道路を走行する車両(ユーザ)から視認できる位置にある目印候補があるか否か、即ち前記S22においていずれかの目印候補が案内目印として選択されたか否かを判定する。そして、いずれかの目印候補が案内目印として選択されたと判定された場合には、選択された案内目印を用いた案内情報の生成を行う(S18)。
【0070】
その結果、例えば図9に示すように車両51が案内交差点52から700m手前又は300m手前に位置するタイミングにおいて、案内交差点52の周辺にあるコンビニエンスストアの施設53が案内目印として設定されている場合には「コンビニエンスストアのある交差点を左(右)方向です」の音声が出力される。この場合、案内目印となるコンビニエンスストアの施設53は、案内交差点に対して退出道路側のエリアにあるので、案内交差点52が視認性の良い交差点でなかったとしても、案内交差点52に進入する前の進入道路を走行する車両(ユーザ)から案内目印を適切に視認させることが可能となる。
【0071】
一方、S23においてCPU41は、案内交差点の案内に用いるのに適当な目印候補を選択する。具体的には、地図情報DB31に含まれる目印データ36(図2)を参照し、案内交差点の周辺に目印候補(即ち目印データ36において案内交差点に紐付けられた目印候補)が少なくとも一以上あるか否か判定する。但し、前記S23では、退出側エリアであって、且つ中央分離帯がある或いは車線数が所定数以上と判定された進入道路及び退出道路越しに視認されるエリアを除いたエリアについて、案内交差点に進入する前の進入道路を走行する車両(ユーザ)から視認可能(即ち当該エリアにある目印については視認できる)と推定する。
【0072】
従って、図10に示すように案内交差点52で車両が右折する場合であって、進入道路のみに中央分離帯がある或いは車線数が所定数以上である場合には、[2]のエリアが視認可能エリアとなる。また、退出道路のみに中央分離帯がある或いは車線数が所定数以上である場合には、[1]のエリアが視認可能エリアとなる。また、進入道路と退出道路の両方に中央分離帯がある或いは車線数が所定数以上である場合には、視認可能エリア無しとなる。
【0073】
一方、図11に示すように案内交差点52で車両が左折する場合であって、進入道路のみに中央分離帯がある或いは車線数が所定数以上である場合には、[1] と[2]のエリアが視認可能エリアとなる。また、退出道路のみに中央分離帯がある或いは車線数が所定数以上である場合には、[1]のエリアが視認可能エリアとなる。また、進入道路と退出道路の両方に中央分離帯がある或いは車線数が所定数以上である場合には、[1]のエリアが視認可能エリアとなる。
【0074】
そして、視認可能エリアにある目印候補を、車両(ユーザ)から視認可能な目印候補として、案内目印の選択候補とする。尚、前記S23で選択する目印候補についても前記S16やS22と同様に案内目印と称する。
【0075】
ここで、目印データ36において視認可能エリアにある目印候補が一のみである場合には、該目印候補が案内目印となる。一方、視認可能エリアにある目印候補が複数ある場合には、前記S22と同様の基準で案内目印を選択する。
【0076】
その後S17へと移行し、案内交差点に進入する前の進入道路を走行する車両(ユーザ)からの視認性を考慮した結果、案内交差点に進入する前の進入道路を走行する車両(ユーザ)から視認できる位置にある目印候補があるか否か、即ち前記S23においていずれかの目印候補が案内目印として選択されたか否かを判定する。そして、いずれかの目印候補が案内目印として選択されたと判定された場合には、選択された案内目印を用いた案内情報の生成を行う(S18)。
【0077】
その結果、例えば図9に示すように車両51が案内交差点52から700m手前又は300m手前に位置するタイミングにおいて、案内交差点52の周辺にあるコンビニエンスストアの施設53が案内目印として設定されている場合には「コンビニエンスストアのある交差点を左(右)方向です」の音声が出力される。この場合、案内目印となるコンビニエンスストアの施設53は、進入道路や退出道路が車線数の多い道路であったり、中央分離帯のある道路であったとしても、案内交差点52に進入する前の進入道路を走行する車両(ユーザ)から案内目印を適切に視認させることが可能となる。
【0078】
一方、処理対象のリンクが案内の必要なリンクに該当しないと判定された場合(S12:NO)には、処理対象となるリンクを切り替える。そして、前記S11で作成したリンク列に含まれる全てのリンクに対してS12~S23の処理が終了した後にS4へと移行する。
【0079】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1、ナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムによれば、案内経路に沿った車両の走行案内を行う場合において、車両が案内経路に沿って案内交差点を通過する場合に、案内交差点へと進入する進入道路及び案内交差点から退出する退出道路を夫々特定し(S13)、進入道路の道路構造と退出道路の道路構造の少なくとも一方に基づいて、案内交差点における移動案内を行うのに用いる目印を決定する(S15~S23)ので、案内交差点の周辺道路の道路構造に基づく目印の視認性についても考慮した目印の決定が可能となる。その結果、より適切な目印を用いた案内交差点の移動案内を行うことが可能となる。
【0080】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では、案内交差点を案内する際の目印の候補となる目印候補や案内交差点に接続する道路の道路構造に関する情報はナビゲーション装置1が有する地図情報DB31から取得することとしているが、外部サーバから取得しても良い。更に、地図情報自体について外部サーバから取得することとすれば、ナビゲーション装置1は地図情報DB31を省略することも可能である。
【0081】
また、本実施形態では、目印候補として上記(1)、(2)の施設、構造物を挙げているが、(1)、(2)以外の要素を目印候補に含めることも可能である。例えば、信号機、踏切、道路標識なども目印候補に含めても良い。
【0082】
また、本実施形態では、進入道路の道路構造と退出道路の道路構造の両方を用いて視認可能エリアを特定し(S22、S23、図10図11)、視認可能エリアにある目印候補を案内目印として特定しているが、進入道路の道路構造のみを用いて視認可能エリアを特定しても良い。その場合には、例えば図10図11に示す[2]のエリアは常に視認可能エリアに含めても良いし、常に視認可能エリアから除外しても良い。同様に退出道路の道路構造のみを用いて視認可能エリアを特定しても良い。その場合には、例えば図10図11に示す[1]のエリアは常に視認可能エリアに含めても良いし、常に視認可能エリアから除外しても良い。
【0083】
また、本発明はナビゲーション装置以外に、案内経路に基づく移動案内を行う機能を有する各種装置に対して適用することが可能である。例えば、携帯電話機やスマートフォン等の携帯端末、パーソナルコンピュータ、タブレット型端末等(以下、携帯端末等という)に適用することも可能である。その場合には、車両の移動案内以外に、ユーザが歩行や自転車で移動する場合における移動案内を対象とすることも可能である。
【0084】
また、ナビゲーション装置1とサーバ、或いは携帯端末等とサーバから構成されるシステムに対しても適用することが可能となる。その場合には、上述した移動案内処理プログラム(図4及び図5)の各ステップは、サーバで一部を実施する構成としても良い。例えば、経路探索処理(S2)や案内情報の生成処理(S3、S8)についてサーバで行うようにしても良い。
【0085】
また、本発明に係る移動案内装置及びコンピュータプログラムを具体化した実施例について上記に説明したが、移動案内装置は以下の構成を有することも可能であり、その場合には以下の効果を奏する。
【0086】
例えば、第1の構成は以下のとおりである。
移動体(51)の移動経路周辺に位置する目印(53)を用いて案内交差点(52)における移動体の移動案内を行う移動案内装置(1)であって、移動体が前記移動経路に沿って前記案内交差点を通過する場合に、前記案内交差点へと進入する進入道路及び前記案内交差点から退出する退出道路を夫々特定する道路特定手段(41)と、前記進入道路の道路構造と前記退出道路の道路構造に基づいて、前記案内交差点における移動案内を行うのに用いる目印を決定する目印決定手段(41)と、を有し、前記道路構造は道路が備える車線数と中央分離帯の有無の少なくとも一方を含み、前記目印決定手段は、前記進入道路の道路構造と前記退出道路の道路構造の組み合わせに基づいて、案内交差点の周辺を案内交差点に接続する道路で区分した複数のエリアの内、前記案内交差点に進入する前の移動体から視認可能なエリアを特定し、特定されたエリア内にある目印を、前記案内交差点に進入する前の移動体から視認できる位置にある目印として、前記案内交差点における移動案内を行うのに用いる目印に決定する
上記構成を有する移動案内装置によれば、移動体が案内道路を通過する際の進入道路の道路構造と退出道路の道路構造に基づいて、案内交差点における移動案内を行うのに用いる目印を決定するので、案内交差点の周辺道路の道路構造に基づく目印の視認性についても考慮した目印の決定が可能となる。その結果、より適切な目印を用いた案内交差点の移動案内を行うことが可能となる。
【0087】
また、移動体が案内道路を通過する際の進入道路の道路構造と退出道路の道路構造に基づいて、移動体から視認できる位置にある目印を、移動案内を行うのに用いる目印に決定するので、交差点を通過する移動体から目印を確実に視認させつつ案内交差点の案内を行うことが可能となる。
【0088】
また、移動体が案内道路を通過する際の進入道路の道路構造と退出道路の道路構造に基づいて移動体から視認できるエリアを特定することによって、移動体から視認できる位置にある目印を容易に特定可能となる。
【0089】
また、第の構成は以下のとおりである。
前記目印決定手段(41)は、前記案内交差点(52)に進入する前の移動体(51)から視認できる位置にある目印(53)が存在しない場合には、前記案内交差点における移動案内として目印を用いないことを決定する。
上記構成を有する移動案内装置によれば、移動体が案内道路を通過する際の進入道路の道路構造と退出道路の道路構造に基づいて、移動体から視認できる位置にある目印が無い場合には目印を用いない案内を行うので、案内交差点を誤認させることを防止できる。
【0090】
また、第の構成は以下のとおりである。
前記目印決定手段(41)は、前記案内交差点(52)に進入する前の移動体(51)から視認できる位置にある目印(53)が複数ある場合に、案内交差点の周辺を案内交差点に接続する道路で区分した複数のエリアに対して、移動体が案内交差点へ進入する進入道路と案内交差点から退出する退出道路の組み合わせに基づいて優先度を設定し、前記複数の目印の内から、優先度の高いエリアにある目印を優先して前記案内交差点における移動案内を行うのに用いる目印として選択する。
上記構成を有する移動案内装置によれば、候補となる目印が複数ある場合においても、各目印のあるエリアの優先度を判定することにより、移動体からより見やすい位置にある目印を用いて案内交差点の案内を行うことが可能となる。
【0091】
また、第の構成は以下のとおりである。
前記目印決定手段(41)は、案内交差点(52)の周辺を案内交差点に接続する道路で区分した複数のエリアの内、案内交差点に対して進入道路側にあるエリアを他のエリアよりも高い優先度に設定し、案内交差点の周辺を案内交差点に接続する道路で区分した複数のエリアの内、案内交差点に対して退出道路側にあるエリアを他のエリアよりも高い優先度に設定する。
上記構成を有する移動案内装置によれば、候補となる目印が複数ある場合においても、進入道路と退出道路の組み合わせに応じた移動体からより見やすい位置にある目印を用いて案内交差点の案内を行うことが可能となる。
【0092】
また、前記道路構造は、道路が備える車線数と中央分離帯の有無の少なくとも一方を含む。
上記構成を有する移動案内装置によれば、道路が備える車線数と中央分離帯の有無による目印の視認性について考慮した目印の決定が可能となる。その結果、より適切な目印を用いた案内交差点の移動案内を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0093】
1 ナビゲーション装置
13 ナビゲーションECU
35 交差点データ
36 目印データ
41 CPU
42 RAM
43 ROM
51 車両
52 案内交差点
53 案内目印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11