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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20230315BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20230315BHJP
   H01L 21/302 20060101ALI20230315BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20230315BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
H01L21/30 572A
H01L21/302 104H
H01L21/302 201A
H01L21/306 S
H01L21/306 T
H01L21/304 645Z
H01L21/304 651B
H01L21/30 572B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019010344
(22)【出願日】2019-01-24
(65)【公開番号】P2020120010
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】309042864
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・イー・ティ
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】舟橋 倫正
(72)【発明者】
【氏名】房野 正幸
(72)【発明者】
【氏名】小見山 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】戸田 貴大
(72)【発明者】
【氏名】河合 勇治
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-538635(JP,A)
【文献】特開2005-228790(JP,A)
【文献】特開2009-218548(JP,A)
【文献】特開2012-209559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直軸まわりに回動自在に配され、基板の処理面に対する処理の際に回転される回転テーブルと、
前記回転テーブルに設けられ、前記処理面を下向きにして前記回転テーブルの上面と離した状態で前記基板を水平に保持し、前記回転テーブルと一体に回転する基板保持部と、
前記回転テーブルに保持された前記基板の前記処理面よりも下側に固定されており、前記回転テーブルの中央部に配され、供給される流体を噴出して前記処理面に供給する1または複数のノズルを有する噴出部と、
前記回転テーブルの回転中に、前記噴出部に対して前記流体としてオゾンガスを供給するオゾンガス供給部と
を備え
前記オゾンガス供給部から前記噴出部にオゾンガスの供給を行い、オゾンガスで前記処理面を処理するドライモードと、前記ドライモード後に移行し、前記回転テーブルと一体に回転している前記基板の前記処理面を処理液で処理するウエットモードとを有し、
前記ウエットモード下で前記噴出部に前記流体として前記処理液を供給する処理液供給部と、
前記ウエットモードに移行する前に、オゾンガスに代えて前記噴出部に冷却用ガスを供給し、前記回転テーブルと一体に回転する前記基板を冷却する冷却用ガス供給部とを備える
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記オゾンガス供給部から前記噴出部にオゾンガスを供給しているときに、前記基板保持部に保持された前記基板を上方から加熱するヒータを備えることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記処理液供給部は、前記噴出部に対して、前記処理液としてパーティクルを除去する薬液を供給してから純水を供給することを特徴とする請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記噴出部は、噴出する前記流体の広がりまたは噴出量の異なる複数のノズルを有することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記回転テーブルとともに前記基板を収容するハウジングと、
前記回転テーブルの上面よりも低い位置に設けられた排出口を有し、前記噴出部にオゾンガスを供給しているときに、前記回転テーブルに保持された前記基板と前記回転テーブルとの間よりも前記排出口の圧力を小さくする圧力差を生じさせる排出部と
を備えることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
基板の処理面を下向きにするとともに水平にし、鉛直軸まわりに回動自在な回転テーブルの上面から離した状態で前記基板を前記回転テーブルに設けた基板保持部で保持する基板保持工程と、
前記基板と一体に前記回転テーブルを回転させる回転工程と、
前記回転テーブルの中央部から回転中の前記回転テーブルと前記基板との間にオゾンガスを噴出して前記処理面に供給するオゾンガス供給工程と
前記オゾンガス供給工程の後に移行し、前記回転テーブルの中央部から回転中の前記回転テーブルと前記基板との間に処理液を噴出して前記処理面に供給する処理液供給工程と、
前記オゾンガス供給工程の後で前記処理液供給工程に移行する前に、前記回転テーブルと前記基板との回転を継続するとともに、前記回転テーブルと前記基板との間に冷却用ガスを供給し、前記基板を冷却する冷却工程と
を有することを特徴とする基板処理方法。
【請求項7】
前記オゾンガス供給工程の間に、前記基板を上方から加熱する加熱工程を有することを特徴とする請求項に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記処理液供給工程は、前記処理液としてパーティクルを除去する薬液を供給してから純水を供給することを特徴とする請求項6または7に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記処理液供給工程の後に、前記回転テーブルの回転速度を増大して前記回転テーブル及び前記基板を乾燥させる乾燥工程を有することを特徴とする請求項ないしのいずれか1項に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハなどの基板処理装置及び基板処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体のウェハプロセスにおいて、デバイス構造を形成するためのエッチング又はイオン注入などのマスクとして感光性樹脂であるレジスト膜が広く使用されている。すなわち、基板の処理面に形成されたレジスト膜をマスクとしてエッチングやイオン注入などを行なった後に、基板の処理面からレジスト膜を除去する。
【0003】
レジスト膜の除去手法としては、硫酸と過酸化水素との混合液(硫酸過水)を使用するものが広く用いられている。また、環境への影響が小さいオゾン(O)水を使用する手法が提案されている(特許文献1参照)。さらには、オゾンやプラズマによってレジスト膜を除去する手法や、プラズマでレジスト膜の表面の強固な変質層を除去した後、残りのレジスト膜を薬液で除去しその後に純水等で処理面を洗い流す手法が知られている(特許文献2を参照)。オゾンガスやプラズマでレジスト膜を除去する場合には、処理装置内に基板を搬入して、処理面を上向きにして載置された基板に対して、上方よりオゾンガスを吹きつけ、あるいはプラズマを照射してレジスト膜のアッシングを行なった後に、基板を処理装置から薬液処理装置に移送して、薬液処理装置にて薬液による処理と純水による洗浄とを行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2010/140581号
【文献】特開2009-218548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オゾン(O)水を使用するレジスト膜の除去手法は、環境への影響が小さいがレジスト膜の除去レートが低く、1枚の基板に対する処理時間が長くなるという問題があった。一方、上記のようなオゾンガスやプラズマによるレジスト膜の除去手法は、パーティクル等の異物が基板の処理面に多く残留し、最終的には薬液や純水での十分な洗浄が必要になるため、処理時間が長くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、パーティクル等の異物の残留を少なくしながらレジスト膜の高い除去レートを得ることができる基板処理装置及び基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基板処理装置は、鉛直軸まわりに回動自在に配され、基板の処理面に対する処理の際に回転される回転テーブルと、前記回転テーブルに設けられ、前記処理面を下向きにして前記回転テーブルの上面と離した状態で前記基板を水平に保持し、前記回転テーブルと一体に回転する基板保持部と、前記回転テーブルに保持された前記基板の前記処理面よりも下側に固定されており、前記回転テーブルの中央部に配され、供給される流体を噴出して前記処理面に供給する1または複数のノズルを有する噴出部と、前記回転テーブルの回転中に、前記噴出部に対して前記流体としてオゾンガスを供給するオゾンガス供給部とを備えるものである。
【0008】
本発明の基板処理方法は、基板の処理面を下向きにするとともに水平にし、鉛直軸まわりに回動自在な回転テーブルの上面から離した状態で前記基板を前記回転テーブルに設けた基板保持部で保持する基板保持工程と、前記基板と一体に前記回転テーブルを回転させる回転工程と、前記回転テーブルの中央部から回転中の前記回転テーブルと前記基板との間にオゾンガスを噴出して前記処理面に供給するオゾンガス供給工程とを有するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回転テーブルと、この回転テーブルと一体に回転中の処理面を下向きにした基板との間に回転テーブルの中央部からオゾンガスを噴出して処理面に供給するようにするので、高い除去レートを得ながらパーティクル等の異物の残留を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】基板処理装置の構成を示す断面図である。
図2】噴出部の構成を示す断面図である。
図3】レジスト膜を除去する手順を示すフローチャートである。
図4】噴出部としてノズルヘッドを4個設けた例を示す説明図である。
図5】噴出部として噴出方向、噴出量、噴出する流体の広がりが異なる2個のノズルを有する1個のノズルヘッドを設けた例を示す説明図である。
図6】噴出部として噴出方向、噴出量、噴出する流体の広がりが異なる2個のノズルを有する2個のノズルヘッドを設けた例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1において、基板処理装置10は、基板11に形成されたレジスト膜(図示省略)を除去するものである。この基板処理装置10は、オゾンガスを用いてレジスト膜を除去するドライモードと、ドライモード後に処理液を用いて基板11に残留しているパーティクル等の異物の除去を行うウエットモードとを有している。基板11は、例えばシリコンウェハ等の半導体基板である。この例では、各種の半導体素子、回路が形成される基板11の一方の面が処理対象となる処理面S1であり、基板処理装置10は、この処理面S1に形成されているレジスト膜を除去する。
【0012】
基板処理装置10は、ハウジング12、回転テーブル14、ローディング機構15、噴出部16、供給部17、ハロゲンランプヒータ18、排出部19等を備えており、各部は、制御部(図示省略)によって統括的に制御される。ハウジング12は、有底の円筒状であり、上部には円形状に開口した上部開口12aが設けられている。上部開口12aは、基板11よりも大きな径で形成されており、この上部開口12aを通して、ハウジング12に対する基板11の出し入れを行う。また、後述するように、この例では、上部開口12aがハウジング12内に外気を取り込む取込口になっている。
【0013】
ハウジング12内には、円盤状の回転テーブル14が収容されている。また、このハウジング12には、基板11が収容される。回転テーブル14は、鉛直な回転軸Zまわりに回動自在にされており、その上面を水平にした状態で回動する。回転テーブル14は、駆動軸21の上端部に固定されている。この駆動軸21は、回転テーブル14と同軸にされている。駆動軸21は、ハウジング12の底面12bをその厚み方向(上下方向)に貫通しており、底面12bの開口部に設けた軸受22によって回動自在に支持されている。駆動軸21の下部にプーリー23が固定されている。このプーリー23と、電動モータ24の回転軸に取り付けられたプーリー25との間にベルト26が掛けられている。これにより、電動モータ24が駆動すると、駆動軸21と回転テーブル14とが一体に回転する。回転テーブル14は、ドライモードの開始からウエットモードの終了まで継続的に回転される。電動モータ24の速度を増減することで、回転テーブル14の回転速度が調節される。
【0014】
駆動軸21は、その内部に上下方向に貫通する貫通孔21aが形成されている。また、回転テーブル14の中央部には、貫通孔21aと連接した貫通孔14aが形成されている。貫通孔14a及び貫通孔21aには、筒状の固定軸28が配されている。固定軸28は、ハウジング12等とともに外部のフレーム等に固定されている。したがって、回転テーブル14及び駆動軸21は、固定軸28のまわりを回転する。固定軸28の中空部28aは、供給管31a~31c(図2参照)からなる供給管部31が通されている。
【0015】
回転テーブル14の上面には、基板11を保持する基板保持部32が設けられている。基板保持部32は、回転テーブル14の周縁部に設けられた複数の保持具32aからなる。複数の保持具32aは、回転テーブル14の周方向に所定の間隔で配列されている。各保持具32aは、回転テーブル14と一体に回転する。なお、図1では、2本の保持具32aだけを描いてあるが、実際には例えば6本の保持具32aが設けられている。
【0016】
保持具32aは、例えばその先端に段差部が形成されており、各保持具32aの段差部のそれぞれに基板11の周縁部が載る。これにより、基板保持部32によって、基板11が回転テーブル14の上面と所定の間隔をあけて平行すなわち水平に支持される。また、各保持具32aが、それぞれ基板11をその径方向に移動することにより、各保持具32aによって基板11が挟持される。このように基板11が基板保持部32に保持され、回転テーブル14と同軸に固定される。このように固定された基板11は、回転テーブル14と一体に回転する。上記の基板保持部32の構成は一例であり、これに限定されない。例えば、基板11の処理面S1側の周縁部に当接して基板11と回転テーブル14に間隔を規定する複数のピンと、基板11を径方向に挟持して固定する複数のピンとで基板保持部32を構成してもよい。
【0017】
基板11と回転テーブル14の上面との間隔は、例えば25mm程度に設定される。この間隔は、好ましくは1mm~50mmの範囲内、より好ましくは10mm~30mmの範囲内である。間隔が1mm以上であれば、基板11と回転テーブル14との接触を容易に防止できる。また、間隔を1mmあるいは数mm程度とすることにより、基板11と回転テーブル14との間に少ない供給量で高速なオゾンガスのガス流を形成することが可能である。間隔が50mm以下であれば基板11と回転テーブル14との間を高濃度のオゾンガスで満たすことが容易である。また、10mm以上であれば、オゾンガスのガス流の均一化が容易であり、30mm以下であれば更に高いオゾンガス濃度の維持が容易である。
【0018】
基板11の出し入れは、ローディング機構15により、上述のように上部開口12aを通して行われる。ローディング機構15は、収納カセット(図示省略)から処理対象となる基板11を取り出して、基板保持部32が支持する位置まで基板11を移動する。収納カセットには、基板11は、処理面S1が上向きとなる姿勢で収納されている。このため、ローディング機構15は、収納カセットから基板11を取り出し後、基板11の上下を反転して処理面S1を下向きにする。また、ローディング機構15は、処理後の基板11をハウジング12内から取り出した後、基板11の上下を反転して処理面S1を上向きにしてから、基板11を収納カセットに戻す。
【0019】
回転テーブル14の中央部に、供給される流体を噴出する噴出部16が配されている。噴出部16に供給される流体としては、レジスト膜を除去するためのオゾンガス、基板11を冷却するための冷却用ガスとしての酸素ガス、処理面S1のパーティクル等の異物を除去するための薬液、処理面S1を洗浄する純水がある。この例では、薬液と純水が処理液である。噴出部16は、基板保持部32で保持した基板11の処理面S1よりも低い位置に設けられている。供給管部31は、一端が噴出部16に接続され、他端が供給部17に接続されている。供給部17は、オゾンガス、酸素ガス、薬液及び純水を供給する。これにより、噴出部16は、オゾンガス、酸素ガス、薬液及び純水を選択的に噴出する。
【0020】
ハウジング12の上方にハロゲンランプヒータ18が配されている。ハロゲンランプヒータ18は、下向きに赤外線を放射する姿勢で設けられている。このハロゲンランプヒータ18は、移動機構34により、図1に示されるように、上部開口12aの上方に配されて基板11を加熱する加熱位置と、上部開口12aから基板11の出し入れを行うために上部開口12aの上方から退避した退避位置との間で水平方向に移動する。加熱位置におけるハロゲンランプヒータ18は、上部開口12aの周縁との間に小さな隙間を形成する高さに配置される。なお、図1では、図示の便宜上、加熱位置におけるハロゲンランプヒータ18と上部開口12aの周縁との間の隙間を誇張して描いてある。また、この例では、ハロゲンランプヒータ18を水平方向に移動して加熱位置と退避位置とにしているが、基板11の出し入れに支障がないように上部開口12aから上方に離れた位置を退避位置としてハロゲンランプヒータ18を移動機構34によって上下方向に移動するようにしてもよい。
【0021】
基板11に各種の処理を行う際には、ハロゲンランプヒータ18は、移動機構34により加熱位置とされる。加熱位置のハロゲンランプヒータ18は、それの直下にある基板11の背面S2(処理面S1と反対側の面)に、上部開口12aを通して赤外線を照射して基板11を加熱する。ハロゲンランプヒータ18は、オゾンガスで基板11に処理を行うときに点灯されて赤外線を照射する。ハロゲンランプヒータ18と背面S2との間に障害物がないため、基板11を効率的に加熱することができる。基板11を加熱することで、オゾンによるレジスト膜の酸化分解を促進する。
【0022】
なお、この例では、ヒータとしてハロゲンランプヒータ18を用いているが、他の各種ヒータを用いてもよい。また、ハロゲンランプヒータ18を上部開口12aから上方に十分に離して配置できる場合は、移動機構34を省略してハロゲンランプヒータ18の位置を固定してもよい。
【0023】
ハウジング12内には、ガイド筒35が設けられている。この例におけるガイド筒35は、その上部が上方に向って径が漸減するテーパ形状をした筒状である。ガイド筒35は、例えばハウジング12に固定されており、その軸心が回転テーブル14の回転中心と一致するように調整されている。また、ガイド筒35の下端は、ハウジング12の底面12bに達している。ガイド筒35の上部の開口35a内に回転テーブル14が配されている。開口35aの内径は、回転テーブル14の外径よりも僅かに大きい程度であり、回転テーブル14とガイド筒35との間の隙間を小さくしてある。このガイド筒35は、ハウジング12との間に排気のルートを形成する。また、このガイド筒35を設けることによって、回転テーブル14の回転によるパーティクルの巻き上げを防止して、パーティクルの基板11への付着を抑制し、また処理液やその気化物が駆動軸21や軸受22等の機構部に流れることを防止する。
【0024】
排出部19は、上述の取込口としての上部開口12a、ハウジング12の底面12bに形成された排出口37、吸引機38等で構成される。吸引機38としては、例えばポンプが用いられており、配管39を介して排出口37に接続されている。排出部19は、吸引機38の駆動により、基板11と回転テーブル14との間及び上部開口12aよりも、排出口37の圧力を小さくする圧力差を生じさせる。これにより、基板11と回転テーブル14との間から流出する各種のガス、処理液やその飛沫、さらには処理によって発生するパーティクル等の異物を効率的に排出口37に導いてハウジング12の外部に排出する。吸引機38には、分離機構が設けられており、排出口37から吸引した気体と液体とを分離して排出する。
【0025】
また、上記圧力差により、上部開口12aからハウジング12内に外気を取り込むことによって、上部開口12aからハウジング12とガイド筒35との間を通って排出口37に向う気流(図1の矢印F)を形成する。これにより、オゾンガス、処理液や処理液の気化物、パーティクル等の異物が上部開口12aを介してハウジング12の外部に漏れ出ることを防止するとともに、基板11と回転テーブル14との間から流出する各種のガス、処理液、パーティクル等の異物を効率的に排出口37に導きハウジング12の外部に排出する。
【0026】
上から下に向って流れる気流で、基板11と回転テーブル14との間から流出する気体、液体、パーティクル等を排出口37に導く観点からは、排出部19を構成する取込口は、基板保持部32に保持された基板11の処理面S1よりも高い位置に設ければよい。また、基板11と回転テーブル14との間から流出する気体、液体、パーティクル等を排出口37に導く観点からは、排出口37は回転テーブル14の上面より低い位置に設ければよい。したがって、例えば、処理中に上部開口12aを気密に塞ぐ構成とした場合には、ハウジング12の側面の基板保持部32に保持された基板11の処理面S1よりも高い位置に、取込口としての1または複数の開口を設けてもよい。また、ハウジング12を貫通したパイプの一端の開口からハウジング12内に外気を導入する構成としてもよく、この場合にはパイプの一端の開口を基板保持部32に保持された基板11の処理面S1よりも高い位置とすればよい。同様に、例えば、ハウジング12の側面の回転テーブル14の上面より低い位置に排出口37を設けてもよい。また、気体と液体とを分離してハウジング12外に排出する構成としてもよい。なお、上部開口12aを気密に塞ぐ構成とする場合、上部開口12aを赤外線の透過率の高い、例えば石英ガラスで塞ぐことで、ハロゲンランプヒータ18等を用いてハウジング12の外側から基板11を加熱することができる。
【0027】
図2に示すように、この例では、噴出部16として、固定軸28の上端に固定され回転テーブル14の上側に配された2個のノズルヘッド41が設けられている。各ノズルヘッド41は、回転テーブル14の回転軸Zを挟むように配置されている。ノズルヘッド41は、上側を向くように傾斜した側面41aを有する円錐台形状であり、その内部には中空部41bが形成されている。また、側面41aには、中空部41bに供給される流体を基板11の処理面S1に向けて噴出するノズル43が形成されている。この例では、側面41aの回転軸Zと逆を向く部分に、各ノズルヘッド41に1個のノズル43が形成されている。各ノズル43は、それぞれ斜め上向きに気体または液体を噴出する。
【0028】
供給部17は、オゾンガス供給部17a、酸素ガス供給部17b、薬液供給部17c、純水供給部17dを有している。オゾンガス供給部17aは、ドライモードにおいて供給管31aを介して各ノズルヘッド41の中空部41bにオゾンガスを供給する。オゾンガスは、上述のようにレジスト膜をアッシングして除去するために供給される。酸素ガス供給部17bは、オゾンガスと同じ供給管31aを介して各ノズルヘッド41の中空部41bに酸素ガスを供給する。酸素ガスは、ドライモードでオゾンガスの供給停止後に供給される。この酸素ガスは、加熱されて高温となった基板11を、続くウエットモードでの処理に適した温度にまで冷却する冷却用ガスとして用いられる。
【0029】
なお、この例では、オゾンガス供給部17aと酸素ガス供給部17bとを用いているが、オゾンガス供給部17aを酸素ガス供給源から供給される酸素ガスをオゾン化するオゾナイザで構成し、酸素ガス供給部17bを省略してもよい。この場合、オゾナイザをオフとすることでオゾンガス供給部17aから冷却用ガスとしての酸素ガスを供給することができる。冷却用ガスは、酸素ガスに限らず、不活性ガス(例えば窒素ガス)等を用いてもよい。酸素ガス以外の冷却用ガスを用いる場合には、オゾンガスを供給する供給管31aとは別の供給管を設け、これを用いて冷却用ガスをノズルヘッド41に供給することが好ましい。
【0030】
薬液供給部17cは、ウエットモードで供給管31bを介して各ノズルヘッド41の中空部41bに薬液を供給する。薬液としては、処理面S1のパーティクルを除去するための例えば過酸化水素とアンモニアの混合水溶液であるSC1(Standard Clean 1)が用いられる。純水供給部17dは、基板11の処理面S1を洗浄(純水リンス)するために、供給管31cを介して各ノズルヘッド41の中空部41bに純水を供給する。この純水の供給は、ウエットモードで薬液の供給停止後に行う。
【0031】
オゾンガスや薬液等の流体を処理面S1に均一に供給する噴出方向、流体の噴出量及び噴出する流体の広がりとなるように、各ノズルヘッド41のノズル43及び各ノズルヘッド41への供給部17からの流体の供給量が調整されている。
【0032】
なお、オゾンガス供給部17a、酸素ガス供給部17b、薬液供給部17c、純水供給部17dを共通の供給管を介して各ノズルヘッド41に接続する構成とすることもできる。オゾンガスの供給により供給管に残留している処理液がノズル43から噴出することを防止し、あるいはその防止のための機構を省略できる点、各ノズルヘッド41の供給量を独立して調整できる点等から、上記のように別々の供給管を用いることが好ましい。
【0033】
次に上記構成の作用について説明する。なお、以下に説明する処理の手順は一例であり、処理の手順を限定するものではない。吸引機38は、常時駆動されており、ハウジング12内の吸引がされた状態になっている。ハロゲンランプヒータ18が移動機構34によって退避位置に移動された状態にされる。この後に、図3に示すように、ローディング機構15によりカセットから処理対象となる基板11が取り出される(ステップST1)。基板11は、カセットに処理面S1が上向きとなるように収納されているので、ローディング機構15は、取り出した基板11を180°反転させ、処理面S1を下向きにする(ステップST2)。
【0034】
ローディング機構15によって、反転された基板11は、上部開口12aを通してハウジング12内の回転テーブル14上に移動され、その基板11の周縁が各保持具32aの段差に載せられる。基板11に対するローディング機構15の保持が解除された後、各保持具32aが作動されて、各保持具32aによって基板11が保持された状態になる(ステップST3)。これにより、基板11は、処理面S1を下向きにし、また回転テーブル14の上面と所定間隔をあけて、さらに処理面S1を回転テーブル14の上面と平行な状態にして、回転テーブル14上に固定される。
【0035】
基板11の固定後、ハロゲンランプヒータ18が移動機構34によって加熱位置に移動される。この後、電動モータ24が駆動され、回転テーブル14が基板11と一体に回転を開始する(ステップST4)。
【0036】
回転テーブル14の回転開始後、オゾンガス供給部17aがオゾンガスの供給を開始する(ステップST5)。このときに、オゾンガスの流量は、例えば2L(リットル)/分~20L/分の範囲内となるように調整される。さらに、ハロゲンランプヒータ18が点灯される(ステップST6)。このハロゲンランプヒータ18の点灯により、基板11が背面S2側から所定の温度にまで加熱される。このときの基板11の温度は、例えば150℃~450℃の範囲内にされる。
【0037】
オゾンガス供給部17aからのオゾンガスは、供給管31aを介して各ノズルヘッド41に供給される。これにより、オゾンガスが各ノズルヘッド41のノズル43から、それぞれ基板11の処理面S1に向けて噴出する。ノズル43から噴出されたオゾンガスは、
基板11の回転により周方向に広がりながら、基板11の外周に向って流れる。これにより、処理面S1の全面がノズル43から噴出されたオゾンガスに曝される。処理面S1のレジスト膜は、このようにしてオゾンガスに曝されると、その部分がオゾンで酸化分解されて徐々に分解されて除去される。また、ハロゲンランプヒータ18により基板11が加熱されているため、オゾンによるレジスト膜の酸化分解が促進される。気体であるオゾンガスは、オゾン水等の液体と比べて熱伝導率が小さいため、基板11の温度が低下しづらく、レジスト膜の酸化分解の促進が効果的になされる。
【0038】
オゾンガスがレジスト膜と反応して生成されるガス及び未反応のオゾンを含むガスは、基板11の外周に達すると、圧力差によって排出口37に導かれ排出される。したがって、オゾンがレジスト膜と反応して生成されるガスや未反応のオゾンガスが上部開口12aからハウジング12の外側に漏れ出ることはない。
【0039】
また、処理面S1が下向きとなっていることから、処理面S1で生じたパーティクル等の異物が処理面S1に残留し難い。処理面S1から離れたパーティクル等は、回転テーブル14上に落下し、あるいは上述のガスとともに基板11の外側に運ばれ、排出口37から排出される。
【0040】
オゾンガスの供給開始から所定処理時間が経過すると(ステップST7で「YES」)、ハロゲンランプヒータ18が消灯されるとともに(ステップST8)、オゾンガスの供給が停止され、酸素ガス供給部17bからの酸素ガスの供給が開始される(ステップST9)。所定処理時間は、レジスト膜を完全に除去できる時間として予め設定されている。上記のように処理面S1が下向きであってパーティクル等の異物が処理面S1に留まり難いので、このオゾンガスにより処理が終了した段階において、処理面S1におけるパーティクル等の異物の残留が少ない。
【0041】
酸素ガス供給部17bからの酸素ガスは、供給管31aを介して各ノズルヘッド41に供給され、各ノズルヘッド41のノズル43から噴出する。このように酸素ガスを供給しながら、基板11と回転テーブル14との回転を継続することによって、基板11が次のウエットモードでの処理に適した規定温度にまで効率的に冷却される。また、基板11と回転テーブル14との回転中に、それらの間に酸素ガスを供給することにより、ハウジング12の内壁に付着して剥がれたパーティクル等の異物を基板11と回転テーブル14との間に引き込むことが抑制される。この結果、基板11の冷却時に処理面S1にパーティクル等の異物が付着することが防止される。
【0042】
基板11が規定温度(例えば100℃程度)にまで冷却されると(ステップST10で「YES」)、酸素ガスの供給が停止され(ステップST11)、ウエットモードに移行する。基板11の温度は、例えば非接触の温度センサ(図示省略)で計測される。なお、基板11の温度が規定温度まで冷却されるのに必要な時間が経過した時点で、ウエットモードに移行してもよい。
【0043】
ウエットモードでは、まずパーティクルの除去のために薬液処理が行われる(ステップST12)。なお、ウエットモードにおいても、基板11の回転は継続される。薬液処理では、薬液供給部17cからの薬液が供給管31bを介して各ノズルヘッド41に供給される。薬液は、その種類に応じて加温される。供給された薬液は、各ノズルヘッド41のノズル43から基板11の処理面S1に向けて噴出する。これにより、処理面S1に薬液が供給され、その薬液が基板11の回転により、処理面S1上で周方向に広がりながら、基板11の外周に向って流れる。このようにして、処理面S1の全面に薬液が供給され、処理面S1上のパーティクルが除去される。
【0044】
上述のように処理面S1におけるパーティクル等の異物の残留が少ないので、薬液の処理時間を短くできる。例えば、薬液がSC1である場合には、SC1を40℃~80℃に加温して供給し、10秒~60秒の処理時間で薬液の供給を停止する。
【0045】
薬液処理の後に、純水リンス処理(ステップST13)を行う。純水供給部17dから供給管31cを介して各ノズルヘッド41に純水が供給され、各ノズルヘッド41のノズル43から基板11の処理面S1に向けて純水が噴出する。これにより、処理面S1に純水が供給され、その純水は、基板11の回転により、処理面S1上で周方向に広がりながら、基板11の外周に向って流れる。このようにして、処理面S1の全面に純水が供給されて洗浄される。所定の時間の経過後に純水の供給が停止される。
【0046】
上記薬液処理及び純水リンス処理では、薬液及び純水がノズル43から直接にあるいは処理面S1から落ちて回転テーブル14の上面にも供給され、回転テーブル14の上面に広がる。このため、基板11と同様に、回転テーブル14の上面についても、付着したパーティクル等の異物の除去と純水による洗浄が行われる。また、各保持具32aについても、同様に、付着したパーティクル等の異物の除去と純水による洗浄が行われる。回転する基板11及び回転テーブル14から飛び散った薬液及び純水がハウジング12の内壁に衝突する。このため、ハウジング12の内壁に付着したパーティクル等の異物の除去と純水による洗浄が行われる。このようにして、基板処理装置10は、ウエットモード下において、基板11の処理と同時に、ハウジング12の内部がセルフクリーニングされる。
【0047】
純水リンス処理の後、回転テーブル14の回転速度、すなわち基板11の回転速度が増大されて、基板11のスピン乾燥が行われる(ステップST14)。これにより、基板11の両面に付着している純水が遠心力で飛ばされ、基板11が乾燥される。このときに、回転テーブル14の上面、各保持具32aも同様に乾燥される。
【0048】
なお、薬液処理、純水リンス処理、及びスピン乾燥で、基板11や回転テーブル14から流れ出た薬液及び純水、さらにはハウジング12の内壁に付着して流れ落ちる薬液及び純水は、排出口37に吸引されて排出される。また、薬液及び純水の細かな飛沫が発生しても、その飛沫は上部開口12aからの気流によって排出口37に導かれる。このため、薬液及び純水の飛沫が上部開口12aから漏れ出ることはない。
【0049】
スピン乾燥が完了すると、電動モータ24を停止して、回転テーブル14及び基板11の回転を停止する(ステップST15)。保持具32aによる基板11の保持を解除してから(ステップST16)、ローディング機構15により上部開口12aを通して基板11を取り出す(ステップST17)。ローディング機構15は、基板11を反転して処理面S1を上向きにし(ステップST18)、基板11をカセットに収納する(ステップST19)。
【0050】
以上のようにして、1枚の基板11に対する処理が終了し、この後に同様な手順で新たな基板11に対する処理を行なう。上記のように回転テーブル14やハウジング12の内部のセルフクリーニングが完了しているから、新たな基板11の処理を直ちに行うことができる。
【0051】
上記の基板処理装置10は、上記のようにオゾンガスによる処理と処理液とによる各処理を同じハウジング12内で行うため、各々の処理のためのハウジングや装置を設けることは不要であり、またそれら装置間で基板を移送する搬送装置も不要である。
【0052】
上記の例における噴出部は、2個のノズルヘッドで構成されるが、噴出部の構成はそれに限定されず、1個または3個以上であってもよく、ノズルの個数も1または複数としてよい。例えば、図4は、固定軸28の上端に噴出部16として4個のノズルヘッド54を設け、各ノズルヘッド54にそれぞれ1個のノズル43を設けている。例えば、各ノズル43は、流体を噴出する方向が90°ずつずれている。図5は、噴出部16として1個のノズルヘッド55を設け、ノズルヘッド55に流体の噴出方向、噴出量と噴出する流体の広がりが異なる2個のノズル43a、43bを設けている。相対的に、ノズル43aは、噴出量及び噴出する流体の広がりが小さく、ノズル43bは、噴出量及び噴出する流体の広がりが大きくされている。さらに、図6は、噴出部16としての2個のノズルヘッド56に2個ずつ計4個のノズル43c~43fを設け、ノズル43c~43fの流体の噴出方向、噴出量及び噴出する流体の広がりを互いに異なるものとしたものである。
【0053】
上記では、噴出部は、回転テーブル上に配されているが、基板の処理面よりも下側に配置されていればよく、例えばノズルを形成した面を回転テーブルの上面と同じ高さや低い位置としてもよい。また、オゾンガス等の気体を噴出するノズルと、処理液を噴出するノズルとを別々に設けてもよい。
【0054】
上記の例では、ハウジング内に1個のガイド筒を設けているが、上部の開口の高さが異なる複数のガイド筒を、回転テーブルの回転中心と各軸心を一致させて設けるとともに、回転テーブルを、各ガイド筒の上部に形成した各開口内で回転可能なように昇降させる構成としてもよい。この構成によれば、一番外側のガイド筒とハウジングとの間、及びガイド筒とガイド筒との間に気流の複数の経路が形成される。これにより、供給するガスや処理液の種類によって、回転テーブルの高さ変えて処理することで、回転テーブルと基板との間から流れ出るガスや処理液を流す経路を変えて、それらを別々にハウジング外に排出することが可能となる。なお、このような構成については、特開2012-209559号公報、特開2007-180268号公報に記載されている。
【符号の説明】
【0055】
10 基板処理装置
11 基板
12 ハウジング
12a 上部開口
14 回転テーブル
16 噴出部
17 供給部
19 排出部
32 基板保持部
43 ノズル

図1
図2
図3
図4
図5
図6