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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】車両用収納ボックス
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20230315BHJP
   B60N 3/08 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
B60R7/04 Z
B60N3/08
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019017437
(22)【出願日】2019-02-01
(65)【公開番号】P2020124968
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000251060
【氏名又は名称】林テレンプ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】服部 恵女
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 亮
(72)【発明者】
【氏名】木部 智明
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-128545(JP,U)
【文献】実開平04-083034(JP,U)
【文献】実開昭58-009840(JP,U)
【文献】実開平03-015762(JP,U)
【文献】実開昭58-143744(JP,U)
【文献】特開平11-078701(JP,A)
【文献】特開平05-023228(JP,A)
【文献】実公昭38-021167(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 67/04,88/00
A47C 7/00
B60N 3/00-99/00
B60R 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のシートとフロアとの隙間に引き出し可能に設置される上方に開口するボックス本体と、
可撓性を有する材料から形成され、前記ボックス本体の開口を閉塞する蓋体であって、前記ボックス本体の引き出し方向における後端部で前記ボックス本体に連結され、前端部で前記シートに固定可能な蓋体と、を有し、
前記蓋体は、前記引き出し方向に沿って設けられた少なくとも1つのスライドファスナーによって前記ボックス本体に連結されている、車両用収納ボックス。
【請求項2】
前記スライドファスナーのスライダーは、前記蓋体の前記前端部に取り付けられている、請求項に記載の車両用収納ボックス。
【請求項3】
前記蓋体の前記前端部は、締結部材によって前記シートに固定可能である、請求項1または2に記載の車両用収納ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用収納ボックスに関し、具体的には、車両のシートとフロアとの隙間に設置される引き出し式の収納ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のシートとフロアとの間に設置される引き出し式の収納ボックスが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。このような収納ボックスの多くは、上方に開口するトレイ状のボックス本体から構成されているが、その開口には、内部に砂やゴミなどの異物が侵入することを抑制するための蓋体が設けられていることが好ましい。特に、狭い車内での操作性の観点から、ボックス本体の引き出しに連動して開口を開閉するように構成された蓋体が設けられていることが好ましい。
【0003】
特許文献3には、引き出しの開閉に連動して、引き出し内に収容された収納容器の開閉蓋を自動的に開閉させる技術が記載されている。開閉蓋は磁性材料で形成され、容器本体に回転可能に連結されており、引き出しを収容するケースの天板内側に設けられた磁石の力を利用することで、引き出しの開閉に連動した開閉蓋の開閉が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公昭63-43149号公報
【文献】特開2017-114458号公報
【文献】実公平3-20271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両用収納ボックスの蓋開閉機構として特許文献3に記載の技術を採用した場合、収納容器とは別に引き出しが必要になるだけでなく、磁石が取り付けられるケースも必要になるため、部品点数が増加してコストアップにつながるおそれがある。また、容器本体に開閉蓋を回転可能に連結するためのヒンジなどの回転機構が必要になるなど、構成も複雑になる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、ボックス本体の引き出しに連動した蓋体の開閉動作を簡単かつ低コストで実現する車両用収納ボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
述した目的を達成するために、本発明の車両用収納ボックスは、車両のシートとフロアとの隙間に引き出し可能に設置される上方に開口するボックス本体と、可撓性を有する材料から形成され、ボックス本体の開口を閉塞する蓋体であって、ボックス本体の引き出し方向における後端部でボックス本体に連結され、前端部でシートに固定可能な蓋体と、を有し、蓋体は、引き出し方向に沿って設けられた少なくとも1つのスライドファスナーによってボックス本体に連結されている。
【0008】
このような車両用収納ボックスによれば、ボックス本体を引き出したときに、蓋体の前端部をシートに固定させた状態で、後端部をボックス本体と共に引き出すことができる。そのため、特別な機構や部品を追加することなく、ボックス本体の引き出しに連動してボックス本体の開口を開放することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明によれば、ボックス本体の引き出しに連動した蓋体の開閉動作を簡単かつ低コストで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用収納ボックスが車内に設置された状態を示す概略図である。
図2】本実施形態の車両用収納ボックスの概略図である。
図3】本実施形態の車両用収納ボックスの概略分解斜視図である。
図4】本実施形態の車両収納ボックスが引き出された状態を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
図1(a)および図1(b)はそれぞれ、本発明の一実施形態に係る車両用収納ボックスが車内に設置された状態を示す概略正面図および概略側面図である。図2(a)、図2(b)、および図2(c)はそれぞれ、本発明の一実施形態に係る車両用収納ボックスの概略斜視図、概略側面図、および概略正面図である。図3は、本実施形態の車両用収納ボックスの概略分解斜視図である。図4は、本実施形態の車両収納ボックスが引き出された状態を示す概略側面図である。
【0013】
車両用収納ボックス(以下、単に「収納ボックス」ともいう)1は、概ね直方体状に形成され、車両のシート(ベンチシート)2とフロア3との隙間Sに引き出し可能に設置される。具体的には、収納ボックス1は、ベンチシート2の中央部分(座席と座席の間の部分)の下に、直方体の長手方向に沿って車両の前方側に引き出し可能に設置される。なお、以下の説明では、特に断らない限り、「前」または「前方」は、収納ボックス1の引き出し方向Xの下流側を意味し、「後」または「後方」は、同方向Xの上流側を意味し、「左右」は、同方向Xに向かって左側および右側を意味する。
【0014】
収納ボックス1は、上方に開口する箱状のボックス本体10と、ボックス本体10の開口11を閉塞する矩形状の蓋体20とを有している。収納ボックス1は、以下で詳述するように、隙間Sからのボックス本体10の引き出しに連動して蓋体20がボックス本体10の開口11を開放するように構成されている。
【0015】
ボックス本体10と蓋体20は、いずれも合成繊維の織物からなる。具体的には、ボックス本体10は、板状の芯材を挟んで縫製された2層の織物からなり、その側面10aの周縁部にはパイピング処理が施されている。これにより、ボックス本体10は、自立可能な剛性を有している。一方、蓋体20は、ボックス本体10と同様に2層の織物からなるが、その間に芯材は設けられていない。そのため、蓋体20は可撓性を有している。
【0016】
ボックス本体10は、前面10bに設けられた取っ手12と、底面10cのうち後方側に設けられた底鋲13とを有している。取っ手12は、ボックス本体10の前面10bとの間に、車両の乗員が容易に指を挿入できる程度の隙間を有している。これにより、乗員がボックス本体10を引き出すために取っ手12を容易に把持することができ、ボックス本体10の引き出し性を向上させることができる。座鋲13は、ボックス本体10をフロア3に設置した際に車両の振動によりボックス本体10が予期せず動いてしまうのを抑制するとともに、ボックス本体10を引き出す際の安定性を向上させる機能を有している。なお、ボックス本体10の前面10bと底面10cとの間には、比較的曲率半径の大きな曲面部14が形成されている。この曲面部14により、ボックス本体10を引き出す際のフロア3との引っ掛かりが抑制され、ボックス本体10の滑らかな引き出しが可能になる。
【0017】
また、ボックス本体10は、ボックス本体10の内部を前後に仕切る仕切り部材15を有している。仕切り部材15は、断面がコ字状に形成され、左右の外側面に面ファスナーのフック部17を有している。このフック部17は、ボックス本体10の左右の内側面10dに長手方向に沿って設けられた面ファスナーのループ部16と着脱可能に結合し、これにより、仕切り部材15をボックス本体10の長手方向における任意の位置に固定することが可能になる。なお、ボックス本体10のループ部16は、ボックス本体10の長手方向のできるだけ広い範囲にわたって設けられていることが好ましい。これにより、仕切り部材15をボックス本体10内部の収納物と当接する位置に固定することも可能になり、その収納物が車両の振動により移動することを抑制することも可能になる。
【0018】
蓋体20は、後端部20aでは、縫製によってボックス本体10に連結され、その一方、前端部20bでは、ボックス本体10は連結されていない。また、蓋体20の左右両端部は、引き出し方向Xに沿って設けられた一対のスライドファスナー30によってボックス本体10に連結されている。すなわち、蓋体20の左右両端部には、それぞれ蓋体20とボックス本体10とを連結するスライドファスナー30が設けられている。スライドファスナー20は、ボックス本体10の開口11の開口縁と蓋体20の外縁にそれぞれ設けられた一対のエレメント列31a,31bと、スライダー32とを有している。スライダー32を前方に移動させることで、一対のエレメント列31,31bを係合させることができ、スライダー32を後方に移動させることで、一対のエレメント列31a,31bの係合を解除することができる。こうして、スライダー32を移動させてスライドファスナー30を開閉することで、ボックス本体10の開口11を開閉することができる。
【0019】
なお、蓋体20の前端部20bは、蓋体20がボックス本体10の開口11を閉塞した状態では、開口11の開口端よりも前方に突出するように設けられている。これにより、蓋体20と開口11との隙間からボックス本体10の内部に砂やゴミなどの異物が侵入することを抑制することができる。また、蓋体20の裏面には、スライドファスナー30が紙などの異物を噛み込むことを抑制するために、各エレメント列31a,31bに沿って織物からなるテープ状のファスナーカバー(図示せず)が設けられている。このファスナーカバーは、スライドファスナー30そのものと共に、蓋体20にある程度の剛性を付与する機能も有している。
【0020】
さらに、蓋体20は、縫製によって前端部20aに連結された固定部材21を有している。固定部材21は、板状の芯材を挟んで縫製された2層の織物からなり、その上面に、面ファスナーのフック部22を有している。このフック部22は、ベンチシート2の下面にブラケットを介して設けられた面ファスナーのカール部(図示せず)と着脱可能に結合し、これにより、固定部材21を介して蓋体20の前端部20bをベンチシート2に固定することが可能になる。
【0021】
固定部材21の左右両端部には、織物テープからなるループ状の連結部23とD管24とを介して、スライドファスナー30のスライダー32が取り付けられている。したがって、固定部材21を介して蓋体20の前端部20bがベンチシート2に固定されると、固定部材21に取り付けられたスライダー32もベンチシート2に対して固定された(動かない)状態となる。そのため、この状態でボックス本体10を隙間Sから引き出すと、ベンチシート2に固定されたスライダー32がボックス本体10に対して相対的に後方に移動してスライドファスナー30が開放される。その結果、可撓性を有する蓋体20は、図4に示すように、上方に捲れ上がるようにしてボックス本体10の開口を開放することができる。
【0022】
なお、固定部材21は、蓋体20の前端部20bにその最前端で連結されている。そのため、ボックス本体10の引き出しに伴う蓋体20の捲れ上がりが容易になり、蓋体20の開閉動作を滑らかに行うことができる。また、スライドファスナー30のスライダー32は、織物テープからなる連結部23とD管24とを介して固定部材21に取り付けられている。そのため、車両の振動を連結部23とD管24とで吸収することができ、車両の振動によりスライダー32が予期せずに移動してスライドファスナー30が開放されてしまうことを抑制することができる。
【0023】
以上、本実施形態の収納ボックス1によれば、ボックス本体10を引き出したときに、蓋体20の前端部20bがベンチシート2に固定された状態で、蓋体10の後端部20aをボックス本体10と共に前方に引き出すことができる。このとき、蓋体20は、可撓性を有しているため、上方に捲れ上がるようにしてボックス本体10の開口11を開放させることになる。その結果、特別な機構や部品を追加することなく、ボックス本体10の引き出しに連動してボックス本体10の開口11を開放することが可能になる。なお、本実施形態では、蓋体20とボックス本体10との連結にスライドファスナー30が用いられているが、このことは、蓋体20の開閉動作を実現しながら、ボックス本体10の内部への砂やゴミなどの異物の侵入を抑制できる点で有利である。また、蓋体20の前端部20bは、着脱可能な面ファスナーによってベンチシート2に固定されるため、容易にベンチシート2との固定を解除することができ、例えば、収納ボックス1を車外にそのまま持ち出すことも可能になる。
【0024】
上述した実施形態では、ベンチシート2とフロア3との隙間Sのうち座席と座席の間の部分に収納ボックス1が設置される場合を例示したが、収納ボックス1の設置場所はこれに限定されず、座席の下の部分であってもよい。また、収納ボックス1を引き出す方向も車両の前方側に限定されず、車両の後方側であってもよい。さらに、蓋体20の前端部20bをベンチシート2に固定する締結部材としては、上述した面ファスナーに限定されず、例えば、スライドファスナー、ボタン、マグネットなどを用いることもできる。なお、上述した実施形態では、固定部材21に面ファスナーのフック部22が設けられ、ベンチシート2にループ部が設けられている場合を例示したが、フック部とループ部の設置場所は逆であってもよい。同様に、仕切り部材15とボックス本体10を固定する面ファスナーについても、ループ部とフック部の設置場所は上述した場合と逆であってもよい。
【0025】
また、上述した実施形態では、蓋体20の左右両側にスライドファスナー30が設けられている場合を例示したが、スライドファスナー30は、蓋体20の左右両側でなく片側だけに設けられていてもよい。あるいは、一対のスライドファスナー30の間にさらに別のスライドファスナーを設けて蓋体20を左右2つに分割してもよい。この場合、左右両方の蓋体にそれぞれ固定部材を設置して、2つの蓋体を個別に開放するようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 車両用収納ボックス
10 ボックス本体
10a 側面
10b 前面
10c 底面
10d 内側面
11 開口
12 取っ手
13 底鋲
14 曲面部
15 仕切り部材
16 (面ファスナーの)ループ部
17 (面ファスナーの)フック部
20 蓋体
20a (蓋体の)後端部
20b (蓋体の)前端部
21 固定部材
22 (面ファスナーの)フック部
23 連結部
24 D管
図1
図2
図3
図4