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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】テープカッター
(51)【国際特許分類】
   B65H 35/07 20060101AFI20230315BHJP
【FI】
B65H35/07 L
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019041823
(22)【出願日】2019-03-07
(65)【公開番号】P2020142908
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004020
【氏名又は名称】ニチバン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正則
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 公孝
(72)【発明者】
【氏名】菅井 重岳
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-302349(JP,A)
【文献】実開昭61-080751(JP,U)
【文献】実開昭60-103161(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 35/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回された粘着テープを保持するリールと、
前記リールを回転可能に支持するテープカッター本体と、
前記テープカッター本体に取り付けられたカッター刃と、を備え、
前記リールは、リール外周面上に周方向に間隔をおいて配置された突状部を有するとともに、前記突状部がリール径方向に弾性変位可能なように前記突状部のリール径方向内方に中空部を有し、
前記リールは、外周面が前記リール外周面である外側円筒部と、前記外側円筒部の内側に間隔をおいて設けられた内側円筒部と、前記内側円筒部の外周面に周方向に間隔をおいて設けられ、前記外側円筒部を支持する支持部と、を備え、前記中空部は、前記外側円筒部と前記内側円筒部との間に形成された間隙であり、
前記突状部は、隣接する2つの前記支持部の間に対応する前記外側円筒部の対応部分の外周面にそれぞれ設けられ、前記外側円筒部の前記対応部分が、内側に弾性変形可能となっていることを特徴とするテープカッター。
【請求項2】
前記内側円筒部内に相対回転可能に収納される内側リールをさらに備え、前記内側リールは、前記内側円筒部に摩擦接触する制動部と、前記テープカッター本体に係止可能な係止部と、を有し、前記テープカッター本体は、前記リールが前記粘着テープの繰り出される方向に回転したとき、前記係止部が係止することで前記内側リールの回転を規制し、前記内側円筒部が前記制動部から制動力を受けながら回転することを可能とする規制部を有することを特徴とする請求項に記載のテープカッター。
【請求項3】
前記内側リールは、前記係止部が前記規制部に係止する第1の収納状態と、前記係止部が前記規制部に係止しない第2の収納状態とに入れ替え可能に、前記内側円筒内に収納され、前記リールが前記粘着テープの繰り出される方向に回転したとき、前記第1の収納状態では、前記内側リールの回転が規制されることで前記リールが前記制動部から制動力を受けながら回転し、前記第2の収納状態では、前記リールが前記制動部から制動力を受けずに回転することを特徴とする請求項2に記載のテープカッター。
【請求項4】
前記内側リールは、前記制動部と前記係止部とを連結する連結板部を備え、前記連結板部の外周に窪みを有することを特徴とする請求項または請求項に記載のテープカッター。
【請求項5】
前記外側円筒部のリール径方向の厚みが、前記内側円筒部のリール径方向の厚みより薄いことを特徴とする請求項のいずれか一項に記載のテープカッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープカッターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロール状に巻回された帯状の粘着テープをその外端側からの引き出し操作に応じて順次繰り出すとともに、所定の切断操作等に応じて切断および保持する、いわゆる据え置き型(可搬でかつ専ら机や作業台等の上に据え置きされるもの)のテープカッターが多用されている。
【0003】
このようなテープカッターは、一般に、巻芯に巻回された粘着テープを保持するリールと、そのリールを回転可能かつ着脱可能に支持するテープカッター本体と、そのリールから繰り出した粘着テープの先端側部分を切断するカッター刃と、そのカッター刃の近傍で粘着テープの後続部分の先端を剥離可能に保持するテープ保持部と、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載のテープカッターは、テープカッター本体のリール装填部に単一のリールを軸心回りに回転可能に取り付け、このリールの内周側に小径テープ取付部を、また外周側に大径テープ取付部をそれぞれ設けている。この構成により、大径テープと小径テープを選択的に使用できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4766489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
テープカッターは、自社製の粘着テープだけでなく、他社製の粘着テープも装着できるのが好ましい。しかしながら、市販の粘着テープの内径は製造メーカーによりバラツキがあった。そのため、内径に多少バラツキがあっても使用可能なテープカッターが望まれていた。この点に関し、特許文献1は内径が大きく異なる粘着テープを選択的に使用できるものではあるが、内径の僅かに異なる粘着テープに対応することに関しては何ら考慮されていなかった。
【0007】
本発明は上述のような従来の課題を解決するためになされたものであり、製造メーカーにより内径にバラツキのある粘着テープであっても適切に使用可能なテープカッターを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るテープカッターは、(1)巻回された粘着テープを保持するリールと、前記リールを回転可能に支持するテープカッター本体と、前記テープカッター本体に取り付けられたカッター刃と、を備え、前記リールは、リール外周面上に周方向に間隔をおいて配置された突状部を有するとともに、前記突状部がリール径方向に弾性変位可能なように前記突状部のリール径方向内方に中空部を有し、前記リールは、外周面が前記リール外周面である外側円筒部と、前記外側円筒部の内側に間隔をおいて設けられた内側円筒部と、前記内側円筒部の外周面に周方向に間隔をおいて設けられ、前記外側円筒部を支持する支持部と、を備え、前記中空部は、前記外側円筒部と前記内側円筒部との間に形成された間隙であり、前記突状部は、隣接する2つの前記支持部の間に対応する前記外側円筒部の対応部分の外周面にそれぞれ設けられ、前記外側円筒部の前記対応部分が、内側に弾性変形可能となっていることを特徴とする。
【0009】
上述のように、本発明に係るテープカッターは、リールが、リール外周面上に周方向に間隔をおいて配置された突状部を有するとともに、突状部がリール径方向に弾性変位可能なように突状部のリール径方向内方に中空部を有している。この構成により、想定している標準内径から多少ずれた内径の粘着テープに対しても、突状部をリール径方向に弾性変位させて粘着テープの巻芯の内周面に適切な力で押し当てることができる。別言すれば、粘着テープの内径に合わせて、突状部がリール径方向に弾性変位することで、突状部の外接円の径を調整することができる。これにより、製造メーカーにより内径にバラツキのある粘着テープであっても適切に使用できる。
【0011】
上述のように、本発明に係るテープカッターは、外側円筒部と内側円筒部とが、それらの間に中空部が形成されるように間隔をおいて支持部により支持されている。このように、外側円筒部と内側円筒部の簡単な2重筒構造により、それらの間に中空部を設けることができる。この中空部により、外側円筒部に設けられた突状部がリール径方向に弾性変位できるようになっている。すなわち、中空部が、突状部をリール径方向に変位可能にする空間を与えている。外側円筒部の外周面(リール外周面)上に周方向に間隔を置いて配置された突状部は、リール径方向に弾性変位可能であるので、製造メーカーにより内径にバラツキのある粘着テープであっても適切に保持することができる。
【0013】
このように、外側円筒部と内側円筒部の簡単な2重筒構造において、隣接する2つの支持部の間に対応する外側円筒部の対応部分の外周面にそれぞれ突状部を設けている。この構成により、外側円筒部の該対応部分が、内側に弾性変形可能となる。これにより、簡単な構成で、突状部がリール径方向に弾性変位可能な構成を実現しており、製造メーカーにより内径にバラツキのある粘着テープであっても適切に使用可能なテープカッターを実現することができる。
【0014】
本発明に係るテープカッターは、(4)前記内側円筒部内に相対回転可能に収納される内側リールをさらに備え、前記内側リールは、前記内側円筒部に摩擦接触する制動部と、前記テープカッター本体に係止可能な係止部と、を有し、前記テープカッター本体は、前記リールが前記粘着テープの繰り出される方向に回転したとき、前記係止部が係止することで前記内側リールの回転を規制し、前記内側円筒部が前記制動部から制動力を受けながら回転することを可能とする規制部を有する構成であってもよい。
【0015】
この構成により、本発明に係るテープカッターでは、粘着テープを引き出しリール(外側リールともいう)が回転すると、内側リールの係止部がテープカッター本体の規制部に係止することで内側リールは回転が規制され、外側リールのみが内側リールの制動部から制動力を受けながら回転する。これにより引き出される粘着テープに制動力に応じたテンションがかかる。このため、粘着テープが両面粘着テープのように剥離しやすいものであっても、引き出された粘着テープにテンションを好適にかけることができる。その結果、適度な抵抗を受けながら粘着テープを引き出しやすくなり、また、粘着テープを切断する場合には容易かつ確実に切断することができる。
【0016】
本発明に係るテープカッターは、上述のようにリールを2重リール構造とし、粘着テープを固定する外側のリールと、トルクを発生させる内側リールとを備えるようにしている。これにより、粘着テープ固定用の外側のリールがたわむことができるようになり、内径の大きな粘着テープから小さな粘着テープまで、適切に保持することができる。
【0017】
また、本発明に係るテープカッターは、上述の構成により、リールを制動するための構造が従来よりも簡素で部品点数が抑えられるとともに、容易に組み立てることができる。
【0018】
しかも、外側リール内に設けられた中空部が、粘着テープの装着時に粘着テープの巻芯からリールに加わる圧力を緩衝できるため、内側リールが外側リールに摩擦接触する制動部に負荷が掛かり難いようになっている。別言すれば、粘着テープの装着時に発生するリールの変形が、外側円筒部と内側円筒部の間に設けられた中空部で緩衝されるため、内側円筒部の内側に設けられたトルク発生用の内側リールの変形が最小限に抑えられるようになった。このため、外側リールに安定した制動力(トルク)を与えることができる。
【0019】
本発明に係るテープカッターは、(5)前記内側リールは、前記係止部が前記規制部に係止する第1の収納状態と、前記係止部が前記規制部に係止しない第2の収納状態とに入れ替え可能に、前記内側円筒内に収納され、前記リールが前記粘着テープの繰り出される方向に回転したとき、前記第1の収納状態では、前記内側リールの回転が規制されることで前記リールが前記制動部から制動力を受けながら回転し、前記第2の収納状態では、前記リールが前記制動部から制動力を受けずに回転する構成であってもよい。
【0020】
本発明に係るテープカッターは、内側リールのリール(外側リール)内への収納状態を入れ替えることにより、外側リールの制動・非制動の切り替えを簡単に行うことができる。すなわち、内側リールが第1の収納状態では上述のように外側リールが制動される。そして、内側リールが第2の収納状態では、内側リールの係止部がテープカッター本体の規制部に係止しないため、内側リールは回転が規制されず、したがって外側リールは内側リールから制動力を受けずに回転する。このように内側リールが第2の収納状態の場合、本発明に係るテープカッターは、粘着テープ自身の粘着力によってテンションがかかるような粘着テープ(例えば片面粘着テープ)を外側リールに保持して好適に使用することができる。
【0021】
本発明に係るテープカッターは、(6)前記内側リールは、前記制動部と前記係止部とを連結する連結板部を備え、前記連結板部の外周に窪みを有する構成であってもよい。
【0022】
この構成により、本発明に係るテープカッターは、内側リールの連結部外周の窪みに指を掛け易く、リール(外側リール)への内側リールの収納状態を容易に切り替えることができる。
【0023】
本発明に係るテープカッターは、(7)前記外側円筒部のリール径方向の厚みが、前記内側円筒部のリール径方向の厚みより薄いことが望ましい。
【0024】
この構成により、隣接する2つ支持部の間に対応する外側円筒部の対応部分が内側に弾性変形可能な構成を容易に実現することができ、よって、突状部がリール径方向に弾性変位可能な構成を容易に実現することができる。別言すれば、粘着テープの内径に合わせて、突状部がリール径方向に弾性変位することで、突状部の外接円の径を調整することができる。これにより、製造メーカーにより内径にバラツキのある粘着テープであっても適切に使用できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、製造メーカーにより内径にバラツキのある粘着テープであっても適切に使用可能なテープカッターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1の実施形態に係るテープカッターの斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るテープカッターの一部を切り欠いた右側面図であって、ストッパピンがテープカッター本体の上側壁部に係止した状態を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るテープカッターのリールの分解斜視図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係るテープカッターのリールであって、内側リールが第1の収納状態の場合の斜視図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係るテープカッターのリールであって、内側リールが第1の収納状態の場合の側面図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係るテープカッターのリールであって、内側リールが第1の収納状態の場合の正面図である。
図7】(a)は本発明の第1の実施形態に係るテープカッターのリールであって、内側リールが第2の収納状態の場合の正面図、(b)はその側面図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係るテープカッターのテープカッター本体であって、その一部を切欠いた状態の右側面図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係るテープカッターのテープカッター本体であって、その一部を切欠いた状態の左側面図である。
図10】本発明の第1の実施形態に係るテープカッターのテープカッター本体における側板部内面に形成されたガイド溝部および係止溝部を示す図である。
図11】本発明の第1の実施形態に係るテープカッターの一部を切り欠いた右側面図であって、ストッパピンがテープカッター本体の後側壁部に係止した状態を示す図である。
図12】本発明の第1の実施形態に係るテープカッターの一部を切り欠いた右側面図であって、内側リールが第2の収納状態の場合を示す図である。
図13】本発明の第1の実施形態に係るリールに標準内径の粘着テープが装着された状態を示す側面図である。
図14】(a)は本発明の第1の実施形態に係るリールに標準内径よりも小さい内径の粘着テープが装着された状態を示す側面図であり、(b)は標準内径よりも大きい内径の粘着テープが装着された状態を示す側面図である。
図15】本発明の第2の実施形態に係るテープカッターの斜視図である。
図16】本発明の第2の実施形態に係るテープカッターの一部を切り欠いた右側面図であって、矩形突起がテープカッター本体の軸受け部に係止した状態を示す図である。
図17】本発明の第2の実施形態に係るテープカッターのリールの分解斜視図である。
図18】本発明の第2の実施形態に係るテープカッターのリールであって、内側リールが第1の収納状態の場合の斜視図である。
図19】本発明の第2の実施形態に係るテープカッターのリールであって、内側リールが第1の収納状態の場合の側面図である。
図20】本発明の第2の実施形態に係るテープカッターのリールであって、内側リールが第1の収納状態の場合の正面図である。
図21】本発明の第2の実施形態に係るテープカッターの内側リールが有する矩形突起を示す図である。
図22】(a)は本発明の第2の実施形態に係るテープカッターのリールであって、内側リールが第2の収納状態の場合の正面図、(b)はその側面図である。
図23】本発明の第2の実施形態に係るテープカッターのテープカッター本体であって、その一部を切欠いた状態の右側面図である。
図24】本発明の第2の実施形態に係るテープカッターのテープカッター本体であって、その一部を切欠いた状態の左側面図である。
図25】本発明の第2の実施形態に係るテープカッターのテープカッター本体における側板部内面に形成されたガイド溝部および軸受け部を示す図であって、(a)は軸受け部に矩形突起が嵌合している状態を示す図、(b)は軸受け部に外側リール軸部が支持されている状態を示す図である。
図26】本発明の第2の実施形態に係るテープカッターの一部を切り欠いた右側面図であって、内側リールが第2の収納状態の場合を示す図である。
図27】本発明の第2の実施形態に係るリールに標準内径の粘着テープが装着された状態を示す側面図である。
図28】(a)は本発明の第2の実施形態に係るリールに標準内径よりも小さい内径の粘着テープが装着された状態を示す側面図であり、(b)は標準内径よりも大きい内径の粘着テープが装着された状態を示す側面図である。
図29】本発明の第3の実施形態に係るリールの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0028】
(第1の実施形態)
図1図14は、本発明の第1の実施形態に係るテープカッター1を説明するための図である。
【0029】
まず、その構成について説明する。
【0030】
図1および図2に示すように、本実施形態に係るテープカッター1は、巻回された粘着テープ5を保持する外側リール10と、外側リール10内に外側リール10と相対回転可能に収納される内側リール20と、を有するリール30を備えている。また、本実施形態に係るテープカッター1は、リール30の外側リール10を回転可能に支持する後述する軸受け部63と、粘着テープ5の先端側を剥離可能に保持するテープ保持部71と、を有する据え置き型のテープカッター本体40を備えている。
【0031】
粘着テープ5は、例えば、外面側に分離性の良好な不図示の剥離シートが貼られた公知の両面粘着テープである。粘着テープ5は、円環状の巻芯6の外周面にロール状に巻回されている。
【0032】
テープカッター本体40は、底板部41と、互いに対向するように底板部41に立設され、リール30の収納空間40aをその間に形成する左右一対の側板部42、43と、粘着テープ5の引き出し方向である各側板部42、43の前方(図2で左方)に粘着テープ5の引き出し空間40bを空けて底板部41に立設された前板部44と、テープガイド部45と、を有する。
【0033】
ここで、以下の説明でいう前後の方向は、図1および図2の矢印Fで示すリール30から粘着テープ5を引き出す方向を前方、その逆方向を後方と定義する。
【0034】
前板部44は、その上端面に、リール30から引き出した粘着テープ5を切断するためのカッター刃70を有する。また、前板部44は、その上端面に、カッター刃70で切断された粘着テープ5の後続部分の先端を剥離可能に保持するテープ保持部71を有する。
【0035】
テープガイド部45は、底板部41におけるテープ引き出し空間40bの下方にあたる位置に設けられている。テープガイド部45は、底板部41に立設されたポスト部45aと、ポスト部45aの上端に一体に設けられた左右方向に延在するガイドロッド部45bと、を有する。テープガイド部45は、粘着テープ5をガイドロッド部45bの下方にくぐらせて引き出すことで、粘着テープ5がテープ保持部71に確実に付くようにするものである。
【0036】
図3図7に示すように、リール30の外側リール10は、外側円筒部11と、外側円筒部11の内側に間隔をおいて設けられた内側円筒部14と、回転中心軸部13と、を有している。外側円筒部11は内側円筒部14より肉薄であり、内側円筒部14の外周面に周方向に等間隔で設けられた支持部15により支持されている。また、外側リール10は、内側円筒部14の軸方向一端側の開口を塞ぐ円板状の端板部12を有している。回転中心軸部13は、端板部12の中心に内側円筒部14と同軸状に設けられている。外側リール10は、例えば樹脂等により一体成形されている。
【0037】
また、リール30の外側リール10は、外側円筒部11の外周面であるリール外周面11a上に周方向に等間隔に離間して配置された突状部19を備えている。突状部19は、リール外周面11a上で軸方向に延在し、その両端部には端に向かって下降した傾斜面19aが形成されている。外側円筒部11の内周面には突状部19に対向して軸方向に延在したリブ19bが形成されている。突状部19は、隣接する2つの支持部15の周方向中間位置、好ましくは周方向中央位置に対応して外側円筒部11の外周面に5つ設けられている。支持部15も5つ設けられている。ただし、突状部19と支持部15の個数は5に限定されず、任意の個数にし得る。突状部19は、周方向中央位置に設けることにより、突状部19のリール径方向への弾性変位を大きくすることができるので好ましい。
【0038】
外側リール10は、突状部19がリール径方向に弾性変位可能なように、突状部19のリール径方向内方に中空部16を有している。具体的には、外側円筒部11の内周面と、内側円筒部14の外周面と、隣接する2つの支持部15の側面とで囲まれた間隙空間が中空部16である。突状部19は、隣接する2つの支持部15の間に対応する外側円筒部11の対応部分の外周面にそれぞれ設けられ、外側円筒部11の該対応部分が、内側に弾性変形可能となっている。
【0039】
すなわち、外側リール10は、粘着テープ5を外側円筒部11に装着する際に突状部19をリール径方向に弾性変位させて突状部19の外接円Eの径C(図5参照)を調整可能にするための外接円径調整手段を有している。ただし、外接円径調整手段は、中空部16に限定されるものではなく、突状部19がバネなどの弾性部材によりリール径方向に弾性変位可能な構成としてもよい。
【0040】
外側円筒部11は、粘着テープ5が巻回された巻芯6をその内周面側から着脱可能に支持する短軸円筒状のものである。粘着テープ5は、巻芯6の内周面に突状部19が当接或いは押し当てられることで、外側リール10の外側円筒部11に着脱可能に外装される。
【0041】
回転中心軸部13は、端板部12の外面側に延在する第1の外側リール軸部13aと、内側円筒部14内において延在する内側リール軸受け部13cと、内側リール軸受け部13cの先端から延びる第2の外側リール軸部13bと、を有する。第1および第2の外側リール軸部13a、13bはそれぞれ同一の外径を有し、内側リール軸受け部13cは第1および第2の外側リール軸部13a、13bの外径よりもやや大きな外径を有する。
【0042】
図6に示すように、第1および第2の外側リール軸部13a、13bは、それぞれ外側円筒部11から軸方向に所定長さ突出するように形成されている。第1および第2の外側リール軸部13a、13bは、本発明の外側リールの回転軸を構成する。
【0043】
図3に示すように、端板部12には、後述するストッパピン25の先端部が挿入される円形の孔12aが形成されている。この孔12aは、回転中心軸部13からやや外周側にずれた位置に形成されている。
【0044】
図3および図4に示すように、内側リール20は、内側リール20の中心部を構成してその中心に軸孔21aを有する円筒状のボス部21と、ボス部21の軸方向一端側に形成された円板状の連結板部22と、連結板部22の外周部にステー部23を介して設けられた4つの制動部24と、後述するようにテープカッター本体40に係止可能なストッパピン25と、を有する。ストッパピン25は、本発明の係止部であって第1の突起を構成する。ボス部21、連結板部22、各ステー部23、各制動部24およびストッパピン25は、例えば樹脂等により一体成形されている。
【0045】
各制動部24は、ステー部23の先端からボス部21が設けられた側に軸方向に突出する円弧板状の板部24aを有する。板部24aは、外側リール10の内側円筒部14の内周面に沿った円弧板状に形成されている。板部24aは、ステー部23から周方向一方側に延在しており、その外周面の周方向先端側に、軸方向に延びるリブ24bが形成されている。
【0046】
なお、制動部24は、本実施形態では4つを備えるが、その数は任意であり、例えば3つでもよく、必要であれば5つ以上を備えていてもよい。
【0047】
ストッパピン25は、ボス部21の端面の軸孔21aからやや外周側にずれた位置に、軸方向に突出するように形成されている。
【0048】
本実施形態に係るテープカッター1においては、内側リール20が外側リール10内に、後述するようにストッパピン25がテープカッター本体40の係止溝部60の後側壁部61bまたは上側壁部62に係止する第1の収納状態と、ストッパピン25が係止溝部60に係止しない第2の収納状態とに入れ替え可能に収納されるようになっている。
【0049】
第1の収納状態は、図4図6に示すように、連結板部22側を外側リール10内に向けて内側リール20を外側リール10内に収納した状態である。一方、第2の収納状態は、第1の収納状態とは逆に、ボス部21側を外側リール10内に向けて内側リール20を外側リール10内に収納した状態である。いずれの場合も、内側リール20の軸孔21aに外側リール10の内側リール軸受け部13cが挿入されるようになっている。
【0050】
上述の第1の収納状態においてリール30は、図6に示すように、ストッパピン25が第2の外側リール軸部13bと並んで外側円筒部11から軸方向外側に突出した状態となる。また、第1の収納状態では、内側リール20が内側リール軸受け部13cを軸にして外側リール10と相対回転可能となる。リール30は、内側リール20が外側リール10に対し相対回転すると、4つの制動部24の各リブ24bが内側円筒部14の内周面に摩擦接触して摺動しながら回転するように構成されている。
【0051】
また、リール30において内側リール20を上述の第2の収納状態とするには、内側リール20のストッパピン25の先端部を外側リール10の孔12a内に挿入する。これにより第2の収納状態では、図7に示すように第1および第2の外側リール軸部13a、13bが外側円筒部11から軸方向外側にそれぞれ突出した状態となる。また、第2の収納状態では、ストッパピン25が孔12aに挿入されて端板部12に係止することにより、内側リール20と外側リール10とは一体回転可能となる。
【0052】
図8および図9に示すように、左右の側板部42、43は、その互いに対向する内面に、1つのガイド溝部50および1つの係止溝部60をそれぞれ有する。これらガイド溝部50および係止溝部60は、左右対称に形成されている。
【0053】
すなわち、図8に示すように、一方の側板部42は、その内面に、上下方向に延在するガイド溝部50と、ガイド溝部50の下端部の前方部分に連通してその連通する部分から下方に延在する係止溝部60と、を有する。ガイド溝部50は、側板部42の上端面にガイド口50aを有する。
【0054】
ガイド溝部50は、外側リール10の第1の外側リール軸部13aまたは第2の外側リール軸部13bや、内側リール20のストッパピン25が、ガイド口50aからそれぞれ差し込まれ、それら第1の外側リール軸部13aまたは第2の外側リール軸部13bと、ストッパピン25とを、係止溝部60にガイドし得るように構成されている。
【0055】
係止溝部60は、粘着テープ5がリール30から引き出されてリール30が回転する際に、内側リール20のストッパピン25が係止して内側リール20の回転を規制するように構成されている。
【0056】
図10に示すように、係止溝部60は底部61を有し、底部61は、前側壁部61aと、後側壁部61bと、を有する。また、係止溝部60は、円弧状にえぐれた上側壁部62を有する。係止溝部60の後側壁部61bおよび上側壁部62は、それぞれ内側リール20のストッパピン25が係止する本発明の規制部であって第1の壁部を構成する。
【0057】
また、係止溝部60は、底部61と上側壁部62との間に、軸受け部63を有する。軸受け部63は、前方にえぐれた前側壁部63aと、前方にせり出した後側壁部63bと、を有する。軸受け部63は、前側壁部63aと後側壁部63bとの間に、外側リール10の第1の外側リール軸部13aまたは第2の外側リール軸部13bを挟み、これら第1および第2の外側リール軸部13a、13bを回転可能に支持するように構成されている。
【0058】
ここで、本実施形態では、内側リール20が上述した第1の収納状態であった場合、ストッパピン25と第2の外側リール軸部13bのいずれが先にガイド溝部50に差し入れられて係止溝部60にガイドされても、ストッパピン25が第1の壁部(係止溝部60の後側壁部61bおよび上側壁部62で構成される)に係止することができるようになっている。
【0059】
すなわち、第2の外側リール軸部13b、ストッパピン25の順でこれらをガイド口50aからガイド溝部50に差し入れて落とし込んだ場合、先に入った第2の外側リール軸部13bが軸受け部63に支持された状態となり、ストッパピン25が上側壁部62に当接して係止する状態となる。図2はこの状態を示しており、本実施形態ではこの状態でリール30から粘着テープ5を引き出すと、ストッパピン25が上側壁部62に当接して係止され、これにより内側リール20の回転が規制され、リール30は外側リール10のみが回転可能となるよう構成されている。
【0060】
また、上述の場合と逆に、ストッパピン25、第2の外側リール軸部13bの順でこれらをガイド口50aからガイド溝部50に差し入れて落とし込んだ場合、先に入ったストッパピン25が係止溝部60の底部61に入り、ストッパピン25は後側壁部61bに当接して係止され得る状態となる。また、第2の外側リール軸部13bは軸受け部63に支持された状態となる。図11はこの状態を示しており、本実施形態ではこの状態でリール30から粘着テープ5を引き出すと、ストッパピン25が後側壁部61bに当接して係止され、これにより内側リール20の回転が規制され、リール30は外側リール10のみが回転可能となるよう構成されている。
【0061】
上述した側板部42の内面が有するガイド溝部50および係止溝部60は、図9に示すように他方の側板部43の内面に左右対称の状態で同様に設けられている。
【0062】
本実施形態に係るテープカッター1は、上述のように、内側リール20の回転が規制されて外側リール10のみが回転する場合、外側リール10は、内側円筒部14の内周面が内側リール20の制動部24のリブ24bに摩擦接触して摺動し、制動部24から制動力を受けながら回転するようになっている。これにより本実施形態に係るテープカッター1では、引き出される粘着テープ5に制動力に応じたテンションがかかるようになっている。
【0063】
また、本実施形態に係るテープカッター1は、内側リール20を上述の第2の収納状態とした場合には、例えば第1の外側リール軸部13aを側板部42側の軸受け部63で支持させ、第2の外側リール軸部13bを側板部43側の軸受け部63で支持させることで、リール30をテープカッター本体40に回転可能にセットすることができるようになっている。図12は、そのようにセットした場合の状態を示している。
【0064】
また、本実施形態に係るテープカッター1は、リール30の左右の向きを変えて、第2の外側リール軸部13bを側板部42側の軸受け部63で支持させ、第1の外側リール軸部13aを側板部43側の軸受け部63で支持させることでも、リール30をテープカッター本体40に回転可能にセットすることができるようになっている。
【0065】
本実施形態に係るテープカッター1は、内側リール20が第2の収納状態の場合、図7に示したようにリール30から突出しないようになっている。したがってストッパピン25はテープカッター本体40の後側壁部61bや上側壁部62に係止しない。このためリール30は、外側リール10が内側リール20の制動部24により制動力を受けることがなく、内側リール20と外側リール10とが一体となって回転するようになっている。
【0066】
次に、作用について説明する。
【0067】
本実施形態に係るテープカッター1では、内側リール20が上述した第1の収納状態でテープカッター本体40にセットされている場合、リール30から粘着テープ5を引き出すと、外側リール10が内側リール20の制動部24から制動力を受けながら回転し、引き出される粘着テープに制動力に応じたテンションがかかる。このため、粘着テープ5が本実施形態の両面粘着テープのように剥離しやすいものであっても、引き出された粘着テープ5にテンションを好適にかけることができる。その結果、粘着テープ5を適度な抵抗を受けながら引き出しやすくなり、また、粘着テープ5をカッター刃70で切断する場合には容易かつ確実に切断することができる。
【0068】
また、本実施形態に係るテープカッター1は、リール30を制動させる構造が、テープカッター本体40に係止するストッパピン25を有する内側リール20の制動部24の摩擦接触で外側リール10を制動するというものである。このため、リール30を制動するための構造が従来よりも簡素で部品点数が抑えられるとともに、容易に組み立てることができる。
【0069】
また、本実施形態に係るテープカッター1は、内側リール20の外側リール10内への収納状態を入れ替える(第1の収納状態か第2の収納状態)ことにより、リール30の制動・非制動の切り替えを簡単に行うことができる。リール30が非制動の第2の収納状態の場合には、粘着テープ自身の粘着力によってテンションがかかるような粘着テープを外側リール10に保持して好適に使用することができる。
【0070】
また、本実施形態に係るテープカッター1は、内側リール20が第1の収納状態においてリール30をテープカッター本体40にセットする際、リール30の左右の向きがいずれの場合であっても、ストッパピン25を、側板部42、43のいずれか一方の後側壁部61bまたは上側壁部62に係止可能にセットすることができる。すなわち、リール30をテープカッター本体40から取り外し、リール30の左右の向きを逆にしても、リール30に制動がかかるようにセットすることができる。このため、本発明に係るテープカッター1は、リール30の左右の向きを確かめてセットするという繁雑な作業が不要となり、使い勝手が良好となる。
【0071】
また、本実施形態に係るテープカッター1は、左右の側板部42、43の各ガイド溝部50を利用してリール30をテープカッター本体40に外部から容易にセットすることができる。
【0072】
また、本実施形態に係るテープカッター1は、内側リール20が第1の収納状態において、互いに並んで同じ軸方向に突出しているストッパピン25と第2の外側リール軸部13bのいずれを先にガイド溝部50に差し入れても、ストッパピン25が後側壁部61bまたは上側壁部62に係止して内側リール20の回転を規制することができる。このため、本実施形態に係るテープカッター1は、ストッパピン25と第2の外側リール軸部13bの位置を確かめてセットするという繁雑な作業が不要となり、使い勝手が良好となる。
【0073】
次に、内径の異なる粘着テープに対して本実施形態に係るテープカッター1を使用する場合について、図5図13および図14を参照して説明する。
【0074】
まず、図5は、粘着テープ5を装着する前のリール30の側面図である。粘着テープ5の巻芯6の内周面から突状部19に力が作用していない無負荷状態で、突状部19の外接円E(破線部分)の直径Cは、例えば、77.4mmである。
【0075】
図13は、第1の実施形態に係るリール30に標準内径Dの粘着テープ5が装着された状態を示す側面図である。ここで、標準内径とは、テープカッター1で使用するのに最適な内径である。標準内径Dの粘着テープは、当該テープカッターのメーカーが供給していることもあるし、他社メーカーが供給していることもある。標準内径Dは、例えば、76.2mmである。
【0076】
図13に示すように、リール30の外側リール10の内部に内側リール20が組付けられた状態で、外側リール10の外側円筒部11が、粘着テープ5の円環状の巻芯6に嵌入される。その際、突状部19の頂部が、紙等でできた巻芯6の内周面に少し食い込んだ状態で固定される。
【0077】
具体的には、突状部19の無負荷状態の外接円の直径C(図5)よりも、装着する粘着テープ5の標準内径Dが少し小さいので、外側円筒部11の外周面上に設けられた突状部19が、粘着テープ5の巻芯6の内周面に押し当てられ、粘着テープ5の巻芯6の内周面からリール径方向内向きに力が加わる。そのため、隣接する2つの支持部15、15の間に対応する外側円筒部11の対応部分が、内側に若干弾性変形している。この弾性変形により、突状部19の外接円の直径は、無負荷状態の外接円Eの直径C(図5)より縮小し、標準内径Dより若干大きくなっている。これにより、リール30の突状部19が粘着テープ5の巻芯6の内周面に適切に押し付けられて、粘着テープがリール30に保持される。このようにして、標準内径Dの粘着テープ5をリール30により適切に保持することができる。
【0078】
図14(a)は、第1の実施形態に係るリール30に標準内径Dよりも小さい内径D1の粘着テープ5が装着された状態を示す側面図である。標準内径Dよりも小さい内径D1は、例えば、75.8mmである。
【0079】
図14(a)に示すように、リール30の外側リール10の内部に内側リール20が組付けられた状態で、外側リール10の外側円筒部11が、粘着テープ5の円環状の巻芯6に嵌入される。その際、突状部19の頂部が、巻芯6の内周面に少し食い込んだ状態で固定される。外側円筒部11の支持部15で支持された部分に対応する外周面は、粘着テープ5の巻芯6の内周面に接触しないか、或いは僅かに接触する程度である。
【0080】
具体的には、突状部19の無負荷状態の外接円の直径C(図5)よりも、装着する粘着テープ5の内径D1が小さいので、外側円筒部11の外周面上に設けられた突状部19が、粘着テープ5の巻芯6の内周面に押し当てられ、粘着テープ5の巻芯6の内周面からリール径方向内向きに力が加わる。そのため、隣接する2つの支持部15、15の間に対応する外側円筒部11の対応部分が、図13より若干大きく内側に弾性変形している。この弾性変形により、突状部19の外接円の直径は、無負荷状態の外接円Eの直径C(図5)より縮小している。これにより、リール30の突状部19が粘着テープ5の巻芯6の内周面に適切に押し付けられて、粘着テープがリール30に保持される。このようにして、標準内径Dよりも小さい内径D1の粘着テープ5をリール30により適切に保持することができる。
【0081】
図14(b)は、第1の実施形態に係るリール30に標準内径Dよりも大きい内径D2の粘着テープ5が装着された状態を示す側面図である。標準内径Dよりも大きい内径D2は、例えば、77.2mmである。
【0082】
図14(b)に示すように、リール30の外側リール10の内部に内側リール20が組付けられた状態で、外側リール10の外側円筒部11が、粘着テープ5の円環状の巻芯6に嵌入される。その際、突状部19の頂部が、巻芯6の内周面にほんの少し食い込んだ状態或いは当接した状態で固定される。外側円筒部11の支持部15で支持された部分に対応する外周面は、粘着テープ5の巻芯6の内周面に接触していない。
【0083】
具体的には、突状部19の無負荷状態の外接円の直径C(図5)よりも、装着する粘着テープ5の内径D2が少し小さいので、外側円筒部11の外周面上に設けられた突状部19が、粘着テープ5の巻芯6の内周面に押し当てられ、粘着テープ5の巻芯6の内周面からリール径方向内向きに力が加わる。そのため、隣接する2つの支持部15、15の間に対応する外側円筒部11の対応部分が、ごく僅かに内側に弾性変形している。この弾性変形により、突状部19の外接円の直径は、無負荷状態の外接円の直径C(図5)よりごく僅かに縮小している。これにより、リール30の突状部19が粘着テープ5の巻芯6の内周面に適切に押し付けられて、粘着テープがリール30に保持される。このようにして、標準内径Dよりも大きい内径D2の粘着テープ5をリール30により適切に保持することができる。
【0084】
以上のとおり、本実施形態に係るテープカッター1は、粘着テープ5の内径が標準内径Dに等しい場合(図13)、標準内径Dより小さい内径D1の場合(図14(a))、標準内径Dより大きい内径D2の場合(図14(b))にそれぞれ対応可能となっている(D1<D<D2)。テープカッター1が使用可能な粘着テープの内径の範囲は、標準内径の大きさにもよるが、標準内径D±数mmの範囲、例えば、標準内径D=76.2mmのとき75.2mm~77.2mmの範囲に設定してもよい。
【0085】
別言すれば、本実施形態に係るテープカッター1は、粘着テープ5の装着時において、外側円筒部11の外周面上に周方向に等間隔に離間して配置された突状部19を、リール径方向に弾性変位させて突状部19の外接円の径を調整可能とするものである。これにより、本実施形態に係るテープカッター1は、製造メーカーにより内径にバラツキのある粘着テープであっても適切に使用することができる。
【0086】
(第2の実施形態)
次に、図15図28を参照しつつ、本発明の第2の実施形態を説明する。
【0087】
以下に説明する第2の実施形態に係るテープカッター2は、上述した第1の実施形態において、ストッパピン25に代えて矩形突起80を有する点、およびテープカッター本体40がガイド溝部51を有する点で第1の実施形態と相違する。したがって、以下の第2の実施形態については第1の実施形態と同一構成要素には同一の符号を付してその説明を省略または簡略にし、第1の実施形態との相違点について説明する。
【0088】
図15および図16は、第2の実施形態に係るテープカッター2を示している。図15ではリール30Aに粘着テープ5が装着されておらず、図16はリール30Aに粘着テープ5が装着されている状態を示している。
【0089】
図17図20に示すように、第2の実施形態のリール30Aの外側リール10は、外側円筒部11と、外側円筒部11の内側に間隔をおいて設けられた内側円筒部14と、回転中心軸部13と、を有している。外側円筒部11は内側円筒部14より肉薄であり、内側円筒部14の外周面に周方向に等間隔に設けられた支持部15により支持されている。また、外側リール10は、内側円筒部14の軸方向一端側の開口を塞ぐ円板状の端板部12を有している。また、外側リール10は、外側円筒部11の外周面であるリール外周面11a上に周方向に等間隔に離間して配置された突状部19を備えている。
【0090】
回転中心軸部13は、端板部12の中心に内側円筒部14と同軸状に設けられている。また、回転中心軸部13は、端板部12の外面側に延在する第1の外側リール軸部13aと、外側円筒部11内において延在する内側リール軸受け部13cと、内側リール軸受け部13cの先端から延びる第2の外側リール軸部13bと、を有している。第2の実施形態では、第1および第2の外側リール軸部13a、13bと内側リール軸受け部13cとは同一の外径を有している。
【0091】
図17に示すように、第2の実施形態の内側リール20は、中心に軸孔26aが形成された円筒状のボス部26を有する。ボス部26は、連結板部22とボス部26の外周部にわたって形成された例えば4つの板状のリブ27で補強されている。
【0092】
図17に示すように、第2の実施形態のおける内側リール20の制動部24は、ステー部23の周方向両側に延在する板部24aと、板部24aの両端にそれぞれ形成され、外側リール10の内側円筒部14の内周面に摩擦接触する2つのリブ24bと、を有する。
【0093】
第2の実施形態のリール30Aにおいては、ボス部26の軸孔26aに外側リール10の内側リール軸受け部13cが挿入されて内側リール20が外側リール10内に相対回転可能に収納されるようになっている。
【0094】
図17および図21に示すように、ボス部26は、その環状の先端面26bに、軸方向に突出する断面略直角二等辺三角形状の4つの突起片81を有する。各突起片81は、周方向等間隔に離間して形成されている。
【0095】
図21に示すように、各突起片81は、2つの斜面81aおよび内面81bをそれぞれ有する。各突起片81は、隣接する突起片81の斜面81aどうしが同一面上に位置するように形成されることで、各突起片81を総合してみた場合、断面の外形が略正方形状になるよう構成されている。各突起片81の内面81bは、ボス部26の内周面に沿うように円弧状に形成されている。
【0096】
4つの突起片81により本実施形態の矩形突起80が構成される。この矩形突起80は、本発明の係止部であって第2の突起を構成する。
【0097】
図18図20は、第2の実施形態のリール30Aにおける第1の収納状態を示している。第1の収納状態では、第2の外側リール軸部13bは矩形突起80内に収まるようになっている。すなわち、リール30Aは、第1の収納状態では、第2の外側リール軸部13bを内部に収納した矩形突起80と、第1の外側リール軸部13aとが同軸状に突出するようになっている。
【0098】
また、第2の実施形態のリール30Aにおいては、図18図20とは逆に、矩形突起80側を外側リール10内に向けた状態で内側リール20を外側リール10内に収納した状態が第2の収納状態となる。この第2の収納状態では、図22に示すように第1および第2の外側リール軸部13a、13bが外側円筒部11から軸方向外側にそれぞれ突出するようになっている。
【0099】
第2の実施形態のテープカッター2の各側板部42、43は、図23および図24に示すように、その内面に、左右対称に形成されたガイド溝部51および軸受け部65をそれぞれ有する。
【0100】
第2の実施形態のリール30Aは、内側リール20が上述の第1の収納状態の場合、外側リール10の第1の外側リール軸部13aと矩形突起80が各ガイド溝部51にそれぞれ差し入れられて軸受け部65にガイドされる。この状態でリール30Aは、矩形突起80が軸受け部65に係止することにより、内側リール20は回転が規制され、外側リール10のみが回転するようになっている。
【0101】
また、第2の実施形態のリール30Aは、上述の第2の収納状態の場合、外側リール10の第1および第2の外側リール軸部13a、13bが各ガイド溝部51に差し入れられて軸受け部65にガイドされ、各外側リール軸部13a、13bが軸受け部65に回転可能に支持されるようになっている。
【0102】
各ガイド溝部51は、断面矩形状の溝であって各側板部42、43の上端面にガイド口51aを有する。各ガイド溝部51は所定長さを有する直線状であってガイド口51aから前下がりに傾斜するように形成されている。
【0103】
図25に示すように、各ガイド溝部51は、その下端部に軸受け部65を有する。軸受け部65は、各ガイド溝部51を構成する互いに平行に対面する上側内壁部52aおよび下側内壁部52bと、これら上側内壁部52aおよび下側内壁部52bに直交する底壁部52cと、を有する。
【0104】
軸受け部65を含むガイド溝部51の幅、すなわち上側内壁部52aと下側内壁部52bとの間隔は、上述の矩形突起80の幅である平行な斜面81aの間隔よりも僅かに大きく、矩形突起80がガイド溝部51内で回転できないようなサイズに設定されている。
【0105】
第2の実施形態に係る各軸受け部65は、図25(a)に示すように、内側リール20が第1の収納状態の場合、矩形突起80が嵌合し、これにより内側リール20の回転を規制するように構成されている。すなわち、矩形突起80がガイド溝部51に差し入れられて軸受け部65に落とし込まれると、上側内壁部52a、下側内壁部52bおよび底壁部52cに当接する各突起片81の斜面81aにより、矩形突起80は軸受け部65に係止されて回転が規制されるようになっている。上側内壁部52a、下側内壁部52bおよび底壁部52cは、本発明の規制部であって第2の壁部を構成する。
【0106】
また、第2の実施形態に係る各軸受け部65は、内側リール20が第2の収納状態の場合、図25(b)に示すように、第1および第2の外側リール軸部13a、13bを上側内壁部52a、下側内壁部52bおよび底壁部52cによって回転可能に支持するようになっている。
【0107】
このように第2の実施形態のテープカッター2の軸受け部65は、リール30Aを回転可能に支持する機能と、内側リール20の回転を規制する機能を共有する構成を有している。
【0108】
第2の実施形態に係るテープカッター2では、内側リール20を第1の収納状態とした場合、例えば、第1の外側リール軸部13aを側板部42側の軸受け部65で支持させ、矩形突起80を側板部43側の軸受け部65に嵌合させることで、リール30Aがテープカッター本体40にセットされるようになっている。図16はその状態を示しており、この状態でリール30Aから粘着テープ5を引き出すと、矩形突起80が軸受け部65に係止され、これにより内側リール20の回転が規制され、外側リール10のみが回転可能となる。このようにして外側リール10のみが回転する場合、外側リール10は、内側円筒部14の内周面が内側リール20の制動部24のリブ24bに摩擦接触して摺動するため、制動部24から制動力を受けながら回転する。これにより、引き出される粘着テープ5には、制動力に応じたテンションがかかるようになっている。
【0109】
また、第2の実施形態に係るテープカッター2では、リール30Aの左右の向きを変えて、矩形突起80を側板部42側の軸受け部65に嵌合させ、第1の外側リール軸部13aを側板部43側の軸受け部65で支持させることでも、リール30Aをテープカッター本体40にセットすることができるようになっている。
【0110】
また、第2の実施形態に係るテープカッター2は、内側リール20が第2の収納状態の場合は、例えば第1の外側リール軸部13aを側板部42側の軸受け部65で支持させ、第2の外側リール軸部13bを側板部43側の軸受け部65で支持させることで、リール30Aがテープカッター本体40にセットされるようになっている。図26はその状態を示している。また、第2の実施形態に係るテープカッター2は、リール30Aの左右の向きを変えて、第2の外側リール軸部13bを側板部42側の軸受け部65で支持させ、第1の外側リール軸部13aを側板部43側の軸受け部65で支持させることでも、リール30Aをテープカッター本体40にセットすることができるようになっている。
【0111】
第2の実施形態に係るテープカッター2は、内側リール20が第2の収納状態の場合、図22に示したように矩形突起80がリール30Aから突出しないようになっている。したがって矩形突起80は軸受け部65に係止しない。このためリール30Aは、外側リール10が内側リール20の制動部24により制動力を受けることがなく、内側リール20と外側リール10とが一体となって回転するようになっている。
【0112】
次に、第2の実施形態の作用を説明する。
【0113】
第2の実施形態に係るテープカッター2では、内側リール20が第1の収納状態の場合、リール30Aから引き出される粘着テープ5に制動力に応じたテンションがかかる。このため、粘着テープ5が本実施形態の両面粘着テープのように剥離しやすいものであっても、引き出された粘着テープ5にテンションを好適にかけることができる。その結果、粘着テープ5を適度な抵抗を受けながら引き出しやすくなり、また、粘着テープ5をカッター刃70で切断する場合には容易かつ確実に切断することができる。
【0114】
また、第2の実施形態に係るテープカッター2は、テープカッター本体40の各側板部42、43の各軸受け部65が、リール30Aを回転可能に支持する機能と、内側リール20の回転を規制する機能を共有する構成を有している。これは、矩形突起80がリール30Aに同軸状に設けられるため可能な構成である。この構成により、各側板部42、43を簡素な構成とすることができる。
【0115】
また、第2の実施形態に係るテープカッター2は、内側リール20が第1の収納状態においてリール30Aをテープカッター本体40にセットする際、リール30Aの左右の向きがいずれの場合であっても、軸方向の片側に突出する矩形突起80を、側板部42、43のいずれか一方の軸受け部65に係止可能にセットすることができる。このため、リール30Aの左右の向きを確かめてセットするという繁雑な作業が不要となり、使い勝手が良好となる。
【0116】
また、第2の実施形態に係るテープカッター2は、左右の側板部42、43の各ガイド溝部51を利用してリール30Aをテープカッター本体40に外部から容易にセットすることができる。
【0117】
次に、内径の異なる粘着テープに対して本実施形態に係るテープカッター2を使用する場合について、図19図27および図28を参照して説明する。
【0118】
まず、図19は、粘着テープ5を装着する前のリール30Aの側面図である。粘着テープ5の巻芯6の内周面から突状部19に力が作用していない無負荷状態で、突状部19の外接円E(破線部分)の直径Cは、例えば、77.4mmである。
【0119】
図27は、第2の実施形態に係るリール30Aに標準内径Dの粘着テープ5が装着された状態を示す側面図である。標準内径Dは、例えば、76.2mmである。
【0120】
図27に示すように、リール30Aの外側リール10の内部に内側リール20が組付けられた状態で、外側リール10の外側円筒部11が、粘着テープ5の円環状の巻芯6に嵌入される。その際、突状部19の頂部が、紙等でできた巻芯6の内周面に少し食い込んだ状態で固定される。
【0121】
具体的には、突状部19の無負荷状態の外接円の直径C(図5)よりも、装着する粘着テープ5の標準内径Dが少し小さいので、外側円筒部11の外周面上に設けられた突状部19が、粘着テープ5の巻芯6の内周面に押し当てられ、粘着テープ5の巻芯6の内周面からリール径方向内向きに力が加わる。そのため、隣接する2つの支持部15、15の間に対応する外側円筒部11の対応部分が、内側に若干弾性変形している。この弾性変形により、突状部19の外接円の直径は、無負荷状態の外接円Eの直径C(図5)より縮小し、標準内径Dより若干大きくなっている。これにより、リール30Aの突状部19が粘着テープ5の巻芯6の内周面に適切に押し付けられて、粘着テープがリール30Aに保持される。このようにして、標準内径Dの粘着テープ5をリール30Aにより適切に保持することができる。
【0122】
図28(a)は、第2の実施形態に係るリール30Aに標準内径Dよりも小さい内径D1の粘着テープ5が装着された状態を示す側面図である。標準内径Dよりも小さい内径D1は、例えば、75.8mmである。
【0123】
図28(a)に示すように、リール30Aの外側リール10の内部に内側リール20が組付けられた状態で、外側リール10の外側円筒部11が、粘着テープ5の円環状の巻芯6に嵌入される。その際、突状部19の頂部が、巻芯6の内周面に少し食い込んだ状態で固定される。外側円筒部11の支持部15で支持された部分に対応する外周面は、粘着テープ5の巻芯6の内周面に接触しないか、或いは僅かに接触する程度である。
【0124】
具体的には、突状部19の無負荷状態の外接円の直径C(図5)よりも、装着する粘着テープ5の内径D1が小さいので、外側円筒部11の外周面上に設けられた突状部19が、粘着テープ5の巻芯6の内周面に押し当てられ、粘着テープ5の巻芯6の内周面からリール径方向内向きに力が加わる。そのため、隣接する2つの支持部15、15の間に対応する外側円筒部11の対応部分が、図27より若干大きく内側に弾性変形している。この弾性変形により、突状部19の外接円の直径は、無負荷状態の外接円Eの直径C(図5)より縮小している。これにより、リール30Aの突状部19が粘着テープ5の巻芯6の内周面に適切に押し付けられて、粘着テープがリール30Aに保持される。このようにして、標準内径Dよりも小さい内径D1の粘着テープ5をリール30Aにより適切に保持することができる。
【0125】
図28(b)は、第2の実施形態に係るリール30Aに標準内径Dよりも大きい内径D2の粘着テープ5が装着された状態を示す側面図である。標準内径Dよりも大きい内径D2は、例えば、77.2mmである。
【0126】
図28(b)に示すように、リール30Aの外側リール10の内部に内側リール20が組付けられた状態で、外側リール10の外側円筒部11が、粘着テープ5の円環状の巻芯6に嵌入される。その際、突状部19の頂部が、巻芯6の内周面にほんの少し食い込んだ状態或いは当接した状態で固定される。外側円筒部11の支持部15で支持された部分に対応する外周面は、粘着テープ5の巻芯6の内周面に接触していない。
【0127】
具体的には、突状部19の無負荷状態の外接円の直径C(図5)よりも、装着する粘着テープ5の内径D2が少し小さいので、外側円筒部11の外周面上に設けられた突状部19が、粘着テープ5の巻芯6の内周面に押し当てられ、粘着テープ5の巻芯6の内周面からリール径方向内向きに力が加わる。そのため、隣接する2つの支持部15、15の間に対応する外側円筒部11の対応部分が、ごく僅かに内側に弾性変形している。この弾性変形により、突状部19の外接円の直径は、無負荷状態の外接円の直径C(図5)よりごく僅かに縮小している。これにより、リール30Aの突状部19が粘着テープ5の巻芯6の内周面に適切に押し付けられて、粘着テープがリール30Aに保持される。このようにして、標準内径Dよりも大きい内径D2の粘着テープ5をリール30Aにより適切に保持することができる。
【0128】
以上のとおり、本実施形態に係るテープカッター2は、粘着テープ5の内径が標準内径Dに等しい場合(図19)、標準内径Dより小さい内径D1の場合(図28(a))、標準内径Dより大きい内径D2の場合(図28(b))に対応可能となっている(D1<D<D2)。テープカッター2が使用可能な粘着テープの内径の範囲は、標準内径の大きさにもよるが、標準内径D±数mmの範囲、例えば、標準内径D=76.2mmのとき75.2mm~77.2mmの範囲に設定してもよい。
【0129】
別言すれば、本実施形態に係るテープカッター2は、粘着テープ5の装着時において、外側円筒部11の外周面上に周方向に等間隔に離間して配置された突状部19を、リール径方向に弾性変位させて突状部19の外接円の径を調整可能とするものである。これにより、本実施形態に係るテープカッター1は、製造メーカーにより内径にバラツキのある粘着テープであっても適切に使用することができる。
【0130】
なお、上述の各実施形態においては、内側リール20がテープカッター本体40に係止する本発明に係る係止部はストッパピン25および矩形突起80であるが、係止部の構成、および係止部が係止するテープカッター本体40側の規制部の構成は、内側リール20の回転が規制される構成であればよく、上述の実施形態に限定されない。
【0131】
また、上述の各実施形態においては、制動部24は内側リール20の外周部を構成する板部24aおよびリブ24bで構成しているが、本発明に係る制動部は、例えば内側リール20の側面側に設けて外側リール10の端板部12の内面に摩擦接触するなどの構成としてもよく、制動部24の構成に限定はされない。
【0132】
(第3の実施形態)
次に、図29を参照しつつ、本発明の第3の実施形態を説明する。
【0133】
以下に説明する第3の実施形態に係るテープカッターは、上述した第1および第2の実施形態において内側リール20が無い点で第1および第2の実施形態と相違する。したがって以下の第3の実施形態については第1および第2の実施形態と同一構成要素には同一の符号を付してその説明を省略または簡略にし、第1および第2の実施形態との相違点について説明する。
【0134】
図29は、本発明の第3の実施形態に係るテープカッターが備えるリール30Bの側面図である。図29に示すように、リール30Bは、外側円筒部11と、外側円筒部11の内側に間隔をおいて設けられた内側円筒部14と、回転中心軸部13と、を有している。外側円筒部11は内側円筒部14より肉薄であり、内側円筒部14の外周面に周方向に等間隔に設けられた支持部15により支持されている。また、リール30Bは、内側円筒部14の軸方向一端側の開口を塞ぐ円板状の端板部12を有している。回転中心軸部13は、端板部12の中心に内側円筒部14と同軸状に設けられている。リール30Bは、例えば樹脂等により一体成形されている。
【0135】
また、リール30Bは、外側円筒部11の外周面であるリール外周面11a上に周方向に等間隔に離間して配置された突状部19を備えている。突状部19は、リール外周面11a上で軸方向に延在し、その両端部には端に向かって下降した傾斜面19aが形成されている。外側円筒部11の内周面には突状部19に対向して軸方向に延在したリブ19bが形成されている。突状部19は、隣接する2つの支持部15の周方向中間位置、好ましくは周方向中央位置に対応して外側円筒部11の外周面に5つ設けられている。突状部19は、周方向中央位置に設けることにより、突状部19のリール径方向への弾性変位を大きくすることができるので好ましい。粘着テープ5は、巻芯6の内周面に突状部19が当接或いは押し当てられた状態で、外側リール10の外側円筒部11に着脱可能に外装される。
【0136】
リール30Bは、突状部19がリール径方向に弾性変位可能なように、突状部19のリール径方向内方に中空部16を有している。具体的には、外側円筒部11の内周面と、内側円筒部14の外周面と、隣接する2つの支持部15の側面とで囲まれた間隙空間が中空部16である。突状部19は、隣接する2つの支持部15の間に対応する外側円筒部11の対応部分の外周面にそれぞれ設けられ、外側円筒部11の該対応部分が、内側に弾性変形可能となっている。
【0137】
回転中心軸部13は、端板部12の内面側および外面側に延在しており、テープカッター本体に設けられた軸受部に回転可能に支持されるようになっている。
【0138】
上述のように、本実施形態に係るテープカッターは、リール30Bが、リール外周面上に周方向に等間隔に配置された突状部19を有するとともに、突状部19がリール径方向に弾性変位可能なように突状部19のリール径方向内方に中空部16を有している。この構成により、想定している標準内径から多少ずれた内径の粘着テープ5に対しても、突状部19をリール径方向に弾性変位させて粘着テープ5の巻芯6の内周面に適切な力で押し当てることができる。別言すれば、粘着テープ5の内径に合わせて、突状部19がリール径方向に弾性変位することで、突状部19の外接円の径を調整することができる。これにより、製造メーカーにより内径にバラツキのある粘着テープであっても適切に使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明は、製造メーカーにより内径にバラツキのある粘着テープであっても適切に使用可能なテープカッターとして有用である。
【符号の説明】
【0140】
1、2 テープカッター
5 粘着テープ
6 巻芯
10 外側リール
11 外側円筒部
11a 外周面(リール外周面)
12 端板部
13 回転中心軸部
13a、13b 外側リール軸部
13c 内側リール軸受け部
14 内側円筒部
15 支持部
16 中空部
19 突状部
20 内側リール
21 ボス部
22 連結板部
23 ステー部
24 制動部
25 ストッパピン(係止部)
26 ボス部
27、28 リブ
29 窪み
30、30A、30B リール
40 テープカッター本体
40a 収納空間
41 底板部
42、43 側板部
44 前板部
45 テープガイド部
50、51 ガイド溝部
60 係止溝部
61 底部
61b 後側壁部(規制部)
62 上側壁部(規制部)
63 軸受け部
65 軸受け部(規制部)
70 カッター刃
71 テープ保持部
80 矩形突起(係止部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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