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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】液体吐出用ポンプ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20230315BHJP
   F04B 9/14 20060101ALI20230315BHJP
   B05B 11/00 20230101ALI20230315BHJP
【FI】
B65D47/34 110
F04B9/14 B
B05B11/00 101G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019043865
(22)【出願日】2019-03-11
(65)【公開番号】P2020147292
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000141118
【氏名又は名称】株式会社丸一
(74)【代理人】
【識別番号】100135437
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 哲三
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雅之
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-063322(JP,A)
【文献】特開2016-049494(JP,A)
【文献】特開2002-200443(JP,A)
【文献】実開平07-006160(JP,U)
【文献】米国特許第6612468(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
F04B 9/14
B05B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容した容器の上端開口部に装着できる蓋部と、この蓋部の略中央部に設けられた略筒体形状のアキュムレーターと、このアキュムレーターの下端開口を開閉する逆止弁と、前記アキュムレーター内部で上下に往復動ができ、内部に液体流通路を有し、この液体流通路とアキュムレーター内部を連通する連通孔を有するステムと、このステムの外周部を囲繞して上下に往復動して前記連通孔を開閉できるピストンと、前記ステムの下方部と前記アキュムレーターの前記下端開口との間に介在されたステム復帰用スプリングと、前記ステムと前記ピストンとの間に介在された蓄圧スプリングとから成り、ステムの上端部に連結された押下ボタンを押下することによりアキュムレーター下方部に形成された貯留室内に貯留する液体が前記連通孔を通過し、ステム内の液体流通路を流通して押下ボタンの吐出口から吐出される液体吐出用ポンプにおいて、
前記ピストンの下止点を規定する段部を前記アキュムレーターの内周壁に設け、
前記ステムの下方部分の外周部には鍔部を設け、前記アキュムレーターの内周壁には段部を設けて前記ステムの下止点が規定され、
前記ピストンの上下動のストロークよりも前記ステムの上下動のストロークを長く形成して、上記ピストン及び上記ステムが下止点に位置したときに上記ピストンの下面と上記鍔部の上方部との間に所定の空間が形成され、
上記ピストン及び上記ステムが共に下止点に位置した後、押下ボタンへの押下力を除去することによりこれらピストン及びステムが上方に移動することによりバックサクション機能が発揮され、上記吐出口からの液垂れを防止でき、
前記ピストンの下止点を規定する段部を、前記アキュムレーターの内径を上方の大径部と下方の小径部とから構成し、これに適合するように前記ピストンの外径も大径部と小径部とから形成して相互に適合するようにしたことを特徴とする液体吐出用ポンプ。
【請求項2】
前記ステムに設けた鍔部と前記アキュムレーターの下端開口上方周縁部との間にステム復帰用スプリングを設けたことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出用ポンプ。
【請求項3】
前記ステムの鍔部の上位置に前記連通孔が設けられ、この鍔部と前記ピストンの底面部とが当接することにより前記連通孔が封止され、前記鍔部と前記ピストンの底面部とが離隔することにより前記連通孔が開通することを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出用ポンプ。
【請求項4】
前記蓄圧スプリングの付勢力が前記ステム復帰用スプリングの付勢力よりも弱いことを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の液体吐出用ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジェルや乳液等々の粘液質タイプの液体を収容する容器内から当該液体を外部に吐出するための所謂ドロップポンプに関するものであって、とりわけ液垂れ等を防止するためのバックサクション機能を付加した液体吐出用ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の液体吐出用ポンプとしては、下記特許文献に記載のものを挙げることができる。
下記特許文献1に記載の発明は、確実に液垂れを防止することができる液体吐出用ポンプを提供することを課題とする。
【0003】
上記課題を解決するために、この液体吐出用ポンプは、容器本体の上部に設け容器内に連通するための開口を有するシリンダ(アキュムレーター)と、このシリンダの開口を開閉する逆止弁(ボール弁)と、シリンダ内と液体吐出口を連通するとともにシリンダに対して上下往復動可能に設けられ、シリンダ内に連通するための第1及び第2の連通孔を設けたピストンと、このピストンに伴われて上下動し、ピストン内とシリンダ内とを連通あるいは非連通状態とするシール弁とを備えるものから成る。
【0004】
最上端に位置する駆動ヘッド(押下ボタン)を押し下げると、これに伴ってピストンが下降し、上記シール弁の封止が解放されてシリンダ内とピストン内の液体流通路とが連通し、上記駆動ヘッドの液体吐出口から液体が吐出する。
他方、駆動ヘッドへの押下力を解除すると、上記ピストンが上昇し、シリンダ内の容積が増加して容器外部に対して負圧となり、上記ピストン内及び液体吐出口側に残留する液体がシリンダ内に吸引され、これにより液体吐出口からの液垂れが防止されることとなるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-49494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の液体吐出用ポンプにおいては、その部品点数が非常に多く、それらの個々の形態も複雑なものとなっている。
即ち、ピストンは上下の2つの部分から成り、ピストンに設けられた上下の連通孔を開閉するシール弁、ピストンの下方のスカート部と下端の筒状ストッパ、この筒状ストッパと前記スカート部の間に介在するスプリング、及び前記筒状ストッパと下端のボール弁との間のスプリングなどから構成されている。
【0007】
本発明においては、上記従来の液体吐出用ポンプと共通する液垂れを防止することをその第一の課題とするが、その課題を解決するために、より簡易な構成を採用すること、即ち、より部品点数の少ないものから構成でき、同様の効果を発揮できる液体吐出用ポンプを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、液体を収容した容器の上端開口部に装着できる蓋部と、この蓋部の略中央部に設けられた略筒体形状のアキュムレーターと、このアキュムレーターの下端開口を開閉する逆止弁と、前記アキュムレーター内部で上下に往復動ができ、内部に液体流通路を有し、この液体流通路とアキュムレーター内部を連通する連通孔を有するステムと、このステムの外周部を囲繞して上下に往復動して前記連通孔を開閉できるピストンと、前記ステムの下方部と前記アキュムレーターの前記下端開口との間に介在されたステム復帰用スプリングと、前記ステムと前記ピストンとの間に介在された蓄圧スプリングとから成り、ステムの上端部に連結された押下ボタンを押下することによりアキュムレーター下方部に形成された貯留室内に貯留する液体が前記連通孔を通過し、ステム内の液体流通路を流通して押下ボタンの吐出口から吐出される液体吐出用ポンプにおいて、前記ピストンの下止点を規定する段部を前記アキュムレーターの内周壁に設け、前記ステムの下方部分の外周部には鍔部を設け、前記アキュムレーターの内周壁には段部を設けて前記ステムの下止点が規定され、前記ピストンの上下動のストロークよりも前記ステムの上下動のストロークを長く形成して、上記ピストン及び上記ステムが下止点に位置したときに上記ピストンの下面と上記鍔部の上方部との間に所定の空間が形成され、上記ピストン及び上記ステムが共に下止点に位置した後、押下ボタンへの押下力を除去することによりこれらピストン及びステムが上方に移動することによりバックサクション機能が発揮され、上記吐出口からの液垂れを防止でき、前記ピストンの下止点を規定する段部を、前記アキュムレーターの内径を上方の大径部と下方の小径部とから構成し、これに適合するように前記ピストンの外径も大径部と小径部とから形成して相互に適合するようにしたことを特徴とする液体吐出用ポンプである。
【0010】
本発明の第のものは、上記第1の発明において、前記ステムに設けた鍔部と前記アキュムレーターの下端開口上方周縁部との間にステム復帰用スプリングを設けたことを特徴とする液体吐出用ポンプである。
【0011】
本発明の第のものは、上記第1又は第2の発明において、前記ステムの鍔部の上位置に前記連通孔が設けられ、この鍔部と前記ピストンの底面部とが当接することにより前記連通孔が封止され、前記鍔部と前記ピストンの底面部とが離隔することにより前記連通孔が開通することを特徴とする液体吐出用ポンプである。
【0012】
本発明の第のものは、上記何れかの発明において、前記蓄圧スプリングの付勢力が前記ステム復帰用スプリングの付勢力よりも弱いことを特徴とする液体吐出用ポンプである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1のものにおいては、従来のものと比較して簡易な構成を採用し、容器内に収容された液体をステムの上端部の押下ボタンを押下して吐出口から吐出させた後、押下ボタンへの押下力を除去して押下ボタン及びステム等が上昇する際にバックサクション機能が発揮され、吐出口からの液垂れや液漏れを防止することが出来ることとなる。
【0014】
この間の各構成要素の詳細な動きと作用については後に説明するが、ここで簡単に説明すると以下のようになる。
まず使用前の待機時には、押下ボタン、ステム及びピストンは、ステム復帰用スプリング及び蓄圧スプリングの作用により最上方に位置し、貯留室内には液体が貯留している。
【0015】
押下ボタンを押下するとステムも下方に移動する。
ステムが下方に移動すると、それまで封止されていたステムの連通孔が解放される。
この状態で今度はピストンも共に下方に移動する。
ピストンが下止点に到達した後、ステムは更に下方に移動してその下止点に到達し、貯留室内の液体の適量が吐出される。このとき下端の逆止弁は封止状態を維持する。
【0016】
次に、押下ボタンへの押下力を除去すると、ステムが上昇し、遅れてピストンも上昇する。
ピストンが上昇すると、貯留室内の容積が増加し、バックサクション機能が生じ、ステム内の液体流通路と押下ボタンの吐出口側内部に貯留する液体が貯留室内に吸い込まれることとなり、吐出口からの液垂れ又は液漏れが防止されることとなるのである。
【0017】
本発明においては、そのピストンの下止点を規定する段部とピストンの形態を特定したものである。
即ち、アキュムレーターの内径を大から小に縮小することにより段部を形成し、これに合致するようにピストンの外形形状をも特定したものである。
【0018】
本発明の第のものにおいては、上記ステム復帰用スプリングの位置をより具体化したものである。
【0019】
本発明の第のものにおいては、上記ステムに設けた連通孔の位置を特定し、その機能をより明瞭化したものである。
【0020】
本発明の第のものにおいては、上記蓄圧スプリングとステム復帰用スプリングの付勢力の強弱を明確にしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の液体吐出用ポンプに係る一実施形態の中央縦断面図を示し、その液体吐出作動前の初期状態を示すものである。
図2図1に示したステムの連通孔部分の拡大図である。
図3】上記実施形態の中央縦断面図を示し、その液体吐出後、初期状態に復帰する際の状態を示すものである。
図4図3に示したステムの連通孔部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面と共に本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の液体吐出用ポンプに係る一実施形態の中央縦断面図を示し、その液体吐出作動前の初期状態を示すものである。
図2は、上記図1に示したステムの連通孔部分の拡大図である。
図3は、同じく上記実施形態の中央縦断面図を示し、その液体吐出後、初期状態に復帰する際の状態を示すものである。
図4は、上記図3に示したステムの連通孔部分の拡大図である。
これらの図においては、液体を収容する容器の図示は省略している。
【0023】
本発明に係る液体吐出用ポンプは、図示はしていない液体容器の上端中央に位置する開口部に装着される蓋部10と、この蓋部10の略中央部に設けられた略筒体形状のアキュムレーター20と、このアキュムレーター20の下端開口を開閉する逆止弁となるボール弁21と、上記アキュムレーター20の内部で上下に往復動ができ、内部に液体流通路31を有し、この液体流通路31とアキュムレーター20内部を連通する連通孔32を有するステム30と、このステム30の外周部を囲繞して上下に往復動して前記連通孔32を開閉できるピストン40と、前記ステム30の下方部と前記アキュムレーター20の前記下端開口との間に介装されたステム復帰用スプリング34と、前記ステム30と前記ピストン40との間に介在された蓄圧スプリング36とから成り、ステム30の上端部に連結される押下ボタン50を押下することによりアキュムレーター20の内部下方部に形成された貯留室25内に貯留する液体が前記連通孔32を通過し、ステム30内の液体流通路31を流通して押下ボタン50の吐出口52から吐出される。
【0024】
図示していない容器の開口部は円筒形状で、その外周には雄ネジ部が形成され、上記蓋部10もその外形は略円筒形状を有しており、その下方部分の内周面には、上記容器の開口部の雄ネジ部と相互に螺合できる雌ネジ部が形成され、相互に螺合できる形態を有している。
【0025】
上記蓋部10の略中央部にはアキュムレーター20が配置され、アキュムレーター20の内部上方で上下に往復動するステム30が上記アキュムレーター20の上端から上方に突出し、尚且つ蓋部10の上端面から更に上方に突出している。
この上方に突出したステム30の上端部に押下ボタン50の底面略中央部に設けられたステム接続部51が接続する。
【0026】
上記ステム接続部51から液体流通路53が上方に連続し、その後前方に折曲し、その先端が吐出口52となる。
上記ステム30の上方部30uは蓋部10の上面から下方に伸びる周壁部13にガイドされ、周壁部13に沿って上下摺動できるように形成されている。
【0027】
ステム30は、その軸芯部に液体流通路31を有し、その下方部分の外周面部に形成された鍔部33とアキュムレーター20の下端開口部を封止するボール弁21の少し上に設けられた段部20dとの間にステム復帰用スプリング34を介在させており、ステム30は常に上方に付勢されている。
【0028】
上記鍔部33の直ぐ上に連通孔32が複数設けられている。
この実施形態では、これら連通孔32は、ステムの周方向に3個設けられている。
更に、これら連通孔32のそれぞれには、当該連通孔32から下方に向かう溝孔部32mも形成されている。
これらの連通孔32は、アキュムレーター20内部とステム30の上記液体流通路31とを連通させるものである。
これらの連通孔32は、次に説明するピストン40の下面が当接することによって封止される。
図2に示した拡大図によって、この封止状態を見て取ることができる。
【0029】
上記ピストン40は、略筒体形状を有し、その軸芯部にステム30を挿通させる貫通孔41が設けられ、この貫通孔41の下方部の内周壁面に設けられた段部41dと、その上方位置のステム30の外周面に設けた段部30dとの間に蓄圧スプリング36が配設されている。
この蓄圧スプリング36によってピストン40の上方へ向かう動作が阻止されて適宜位置に留まり所定ストローク長さで上下動することとなる。
【0030】
上記ピストン40の外周面部には、その上方側の太径部40fとその下方側の細径部40hとにより段部40dが形成されている。
これに合致するように、アキュムレーター20の周壁部もその上方の太径部20fとその下方の細径部20hとにより段部20dが形成され、この段部20dと上記段部40dとが合致して、ピストン40の下止点を規定することとなる。
【0031】
上記した通り、ステム30の鍔部33の直ぐ上に設けられた連通孔32は、上記ピストン40の下面の当接により封止されるのであるが、より詳しくは、ピストン40の貫通孔41の下端開口部の周縁部には環状の突出部40tが下方に向けて設けられており、この突出部40tの下端周縁部が鍔部33の上面部に当接することによって上記連通孔32の連通が封鎖されるのである。この封止状態を図2の拡大図が明瞭に示している。
【0032】
以上の構成から成る本発明に係る液体吐出用ポンプの作動は以下の通りとなる。
図1に図示した液体吐出前の初期状態においては、貯留室25は密閉空間となっており、その内部に容器内の液体が充填された状態となっている。
即ち、押下ボタン、ステム及びピストンはその最上位置の上止点に位置し、連通孔32は閉鎖状態(図2参照)であり、ステム30の下端開口部もボール弁21により封鎖された密閉空間となっている。
【0033】
次に、押下ボタン50をステム復帰用スプリング34の付勢力に対抗して下方に押下すると、ステム30のみが下に移動する。何故なら、貯留室25内には液体が充填されており、その液体の圧力によりピストン40が下方に移動できないからである。
【0034】
ステム30が下方に移動すると、連通孔32の封止が解除される。
すると貯留室25内の液体はステム30の液体流通路31内へと流入する。
液体が液体流通路31内に流入できる状態になると、今度はピストン40も下方に移動することが可能となり、ステム30とピストン40とはそれぞれの下止点まで下方に移動できるが、これにより貯留室25内の液体の適量が押下ボタン50の吐出口52から外部に吐出されることとなる。
【0035】
ピストン40の段部40dがアキュムレーター20の段部20dに合致してその下止点に至り、その後ステム30の鍔部33の下面がアキュムレーター20の下細径部24に当接して下止点に至り、液体吐出動作が完了する。
【0036】
吐出動作が完了すると、押下ボタン50への押下力を除去する。
この状態を図3及び図4が示している。
すると今度は逆に、ステム復帰用スプリング34の付勢力によりステム30は上方に押し上げられる。
その後、ピストン40も蓄圧スプリング36の付勢力が弱まりステム30の上昇に伴って上方に移動する。
【0037】
この間、ステム30の連通孔32は開放状態のままで、ピストン40も上方に移動するために貯留室25の内容積が増加し、バックサクション機能が発揮され、ステム30及び押下ボタン50の吐出口側の液体流通路31、53内に残留した液体が貯留室に吸い戻されるのである。
【0038】
他方、上記のように貯留室25の内容積が増大してバックサクション機能が発揮される際には、ステム30の下端部に配置されたボール弁21も遅れて開放される状態となり、貯留室25内には次の吐出用の液体が容器内部から吸引されることとなる。
このようにして図1の状態に戻って初期状態、つまり液体吐出可能準備状態となるのである。
以上の作動状況は、本液体吐出用ポンプの作動状況確認のための各種の実験によって実証、確認された事項である。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明においては以下の通り各種設計変更をすることができる。
まず、蓋部の形態は自由に設計変更することができる。
即ち、その容器の開口部の形態に合致させて上記実施形態のような螺着でなく、他の装着形態を採用することも可能である。
【0040】
蓋部の上面の形態も自由に設計することができ、当該上面中央部から上方に突出するステムが上下動できるガイド等(上記実施形態においける周壁部など)を設けることが好ましい。
更に、この蓋部の上面部に押下ボタンをガイドできるような周壁部(ガイド部)を設けることも可能である。
【0041】
アキュムレーターの大きさや形状も適宜設計変更することができ、内部にステムとピストンを上下に移動可能に収納できる形態であればよい。
ステム復帰用スプリングの付勢力は、蓄圧スプリングよりも強いものが望ましい。
ピストンの下端外周部の形態もアキュムレーターの内壁部との摺動に際し気密に摺動できる形態とすることが極めて望ましく、その周縁部を下方に延長して薄板状態とし、素材の柔軟性及び可撓性を利用して気密性を高めている。
【0042】
最後に、本発明においては、ステムの上下ストローク長さとピストンの上下ストローク長さを適宜設定することが可能であるが、ピストンの上下動ストロークよりもステムの上下動ストロークを長くすることが重要であり、これが一つの大きな特徴となっている。
ステムに設ける連通孔の数も上記実施形態の如く3個に限られず、自由に設計変更することができる。
【0043】
以上、本発明においては、ステムとピストンとの2つの主要構成部材の関係動作を改良・改善することによりバックサクション機能を付加した液体吐出用ポンプを簡易な構成により製作することができたものである。
【符号の説明】
【0044】
10 蓋部
13 周壁部
20 アキュムレーター
20d 段部
20f 太径部
20h 細径部
21 ボール弁
25 貯留室
30 ステム
30d 段部
31 液体流通路
32 連通孔
33 鍔部
34 ステム復帰用スプリング
36 蓄圧スプリング
40 ビストン
40d 段部
40f 太径部
40h 細径部
40t 突出部
41 貫通孔
41d 段部
50 押下ボタン
51 ステム接続部
52 吐出口
53 液体流通路
図1
図2
図3
図4