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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】ストーカ式焼却炉
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/44 20060101AFI20230315BHJP
   F23G 7/00 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
F23G5/44 B
F23G5/44 C
F23G7/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019188414
(22)【出願日】2019-10-15
(65)【公開番号】P2021063614
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2021-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】片岡 拓也
(72)【発明者】
【氏名】西本 保
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-252660(JP,A)
【文献】特開昭64-054113(JP,A)
【文献】特開平11-218313(JP,A)
【文献】特開2009-085537(JP,A)
【文献】特公昭46-034351(JP,B1)
【文献】特開平10-185145(JP,A)
【文献】特開2006-194501(JP,A)
【文献】特開2003-343822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/00 - 7/14
F23H 7/00 - 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストーカ式焼却炉であって、
乾燥火格子部、燃焼火格子部および後燃焼火格子部が順に設けられる燃焼室と、
前記乾燥火格子部上にごみを供給してごみ層を形成するごみ供給部と、
特殊廃棄物が収容された収容容器を、前記燃焼室に設けられる容器投入口から前記乾燥火格子部の前記ごみ層上に落下させる特殊廃棄物供給部と、
を備え
前記特殊廃棄物供給部が、
前記容器投入口から上方に延びる供給経路を形成するとともに、上部において前記収容容器を前記供給経路へと受け入れる供給部本体と、
前記供給部本体に設けられ、前記供給経路を開閉する上段開閉部と、
前記供給部本体において前記上段開閉部と前記容器投入口との間に設けられ、前記供給経路を開閉する下段開閉部と、
を備え、
前記下段開閉部が、両開きの扉であり、前記供給経路を開閉する2個の開閉本体を備え、
各開閉本体が、前記供給経路に垂直な回動軸を中心として回動し、
前記各開閉本体が、内部に冷却流体の流路が形成された冷却ジャケットを有し、
中空の前記回動軸の内部も、前記冷却流体の流路であり、前記回動軸の一方の端部から前記回動軸の内部に前記冷却流体が供給され、前記冷却ジャケットの内部の流路を経由し、前記回動軸の他方の端部から外部に排出されることを特徴とするストーカ式焼却炉。
【請求項2】
請求項1に記載のストーカ式焼却炉であって、
前記回動軸の内部の流路を遮断する遮断板が前記回動軸の内部に設けられ、前記遮断板が前記冷却ジャケットの内部にも延びており、前記冷却ジャケットの内部が、前記遮断板により一方側の空間と、他方側の空間に仕切られ、
前記冷却ジャケットと前記回動軸との接続部において、前記遮断板の両側に、流入口および流出口が設けられ、前記流入口が前記一方側の空間に開口し、前記流出口が前記他方側の空間に開口し、
前記冷却ジャケットの内部の流路が、前記一方側の空間において、前記流入口からジグザグ状に前記回動軸とは反対側へと向かい、前記遮断板の先端と前記冷却ジャケットの内端面との間の隙間を経由して前記他方側の空間へと連続し、前記他方側の空間において、ジグザグ状に前記回動軸側へと向かい、前記流出口へと到達することを特徴とするストーカ式焼却炉。
【請求項3】
請求項1または2に記載のストーカ式焼却炉であって、
前記燃焼室が、
前記ごみが燃焼する一次燃焼室と、
前記一次燃焼室から排出される排ガスが流れるとともに、前記排ガスに含まれる未燃ガスが燃焼する二次燃焼室と、
を備え、
前記容器投入口が、前記一次燃焼室の天井部に設けられることを特徴とするストーカ式焼却炉。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つに記載のストーカ式焼却炉であって、
前記下段開閉部が、2個の上板部をさらに備え、
各上板部が、開閉本体と共に前記回動軸を中心として回動する板状であり、前記供給経路を閉じた状態において前記開閉本体に対して前記容器投入口とは反対側に配置され、
前記上段開閉部が閉じた状態において、前記下段開閉部が開けられることを特徴とするストーカ式焼却炉。
【請求項5】
請求項ないしのいずれか1つに記載のストーカ式焼却炉であって、
前記特殊廃棄物供給部が、前記供給経路において前記上段開閉部と前記下段開閉部との間の空間にガスを供給するガス供給部をさらに備え、
前記上段開閉部および前記下段開閉部が閉じた状態を維持することにより、前記供給経路における前記空間の圧力が、前記下段開閉部と前記容器投入口との間の圧力よりも大きくなることを特徴とするストーカ式焼却炉。
【請求項6】
請求項1ないしのいずれか1つに記載のストーカ式焼却炉であって、
複数の収容容器を保管する冷凍または冷蔵保管庫から前記特殊廃棄物供給部へと前記収容容器を搬送する搬送機構をさらに備えることを特徴とするストーカ式焼却炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストーカ式焼却炉に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、事故死した小動物の死骸や、廃棄された機密文書や、感染の恐れがある医療廃棄物等の特定被焼却物を焼却するごみ焼却設備について記載されている。当該ごみ焼却設備では、ごみ投入ホッパの供給路の側壁に特定被焼却物投入機構が設けられ、特定被焼却物が当該機構を介して当該供給路内に投入される。
【0003】
なお、特許文献2のストーカ式ごみ焼却炉では、燃焼室の上部に汚泥脱水ケーキの供給管が設けられ、ストーカ上のごみ層上面に対して汚泥脱水ケーキが散布される。特許文献3では、ロータリーキルンを用いたセメント焼成工程において、小片状の廃プラスチック等の可燃性廃棄物を入れ物に詰めた上で、入れ物ごとセメント焼成工程に投入する手法が開示されている。また、特許文献3では、2段のダンパが設けられた廃棄物投入シュートも開示されており、上側のダンパを開けて廃棄物を投入した後、上側のダンパを閉じた状態で下側のダンパを開けることにより、安全に廃棄物を投入することが実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-194271号公報
【文献】特開昭57-95517号公報
【文献】特開2003-247713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、医療廃棄物(感染性廃棄物)または動物の死体等の特殊廃棄物の焼却を、特許文献1の設備にて行う場合、ごみ投入ホッパの供給路の側壁から当該供給路内に特殊廃棄物が投入されるが、ごみが充填されている供給路内への特殊廃棄物の投入は容易ではない。ごみ投入ホッパとは異なる投入口から燃焼室内に特殊廃棄物を投入することも考えられるが、ストーカ式焼却炉では、特殊廃棄物の落下の衝撃により火格子が損傷する可能性がある。また、特殊廃棄物を投入する位置によっては、特殊廃棄物を完全燃焼させることができない場合がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、火格子の損傷を防止または抑制するとともに、特殊廃棄物をより確実に完全燃焼させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、ストーカ式焼却炉であって、乾燥火格子部、燃焼火格子部および後燃焼火格子部が順に設けられる燃焼室と、前記乾燥火格子部上にごみを供給してごみ層を形成するごみ供給部と、特殊廃棄物が収容された収容容器を、前記燃焼室に設けられる容器投入口から前記乾燥火格子部の前記ごみ層上に落下させる特殊廃棄物供給部とを備え、前記特殊廃棄物供給部が、前記容器投入口から上方に延びる供給経路を形成するとともに、上部において前記収容容器を前記供給経路へと受け入れる供給部本体と、前記供給部本体に設けられ、前記供給経路を開閉する上段開閉部と、前記供給部本体において前記上段開閉部と前記容器投入口との間に設けられ、前記供給経路を開閉する下段開閉部とを備え、前記下段開閉部が、両開きの扉であり、前記供給経路を開閉する2個の開閉本体を備え、各開閉本体が、前記供給経路に垂直な回動軸を中心として回動し、前記各開閉本体が、内部に冷却流体の流路が形成された冷却ジャケットを有し、中空の前記回動軸の内部も、前記冷却流体の流路であり、前記回動軸の一方の端部から前記回動軸の内部に前記冷却流体が供給され、前記冷却ジャケットの内部の流路を経由し、前記回動軸の他方の端部から外部に排出される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のストーカ式焼却炉であって、前記回動軸の内部の流路を遮断する遮断板が前記回動軸の内部に設けられ、前記遮断板が前記冷却ジャケットの内部にも延びており、前記冷却ジャケットの内部が、前記遮断板により一方側の空間と、他方側の空間に仕切られ、前記冷却ジャケットと前記回動軸との接続部において、前記遮断板の両側に、流入口および流出口が設けられ、前記流入口が前記一方側の空間に開口し、前記流出口が前記他方側の空間に開口し、前記冷却ジャケットの内部の流路が、前記一方側の空間において、前記流入口からジグザグ状に前記回動軸とは反対側へと向かい、前記遮断板の先端と前記冷却ジャケットの内端面との間の隙間を経由して前記他方側の空間へと連続し、前記他方側の空間において、ジグザグ状に前記回動軸側へと向かい、前記流出口へと到達する。
【0008】
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載のストーカ式焼却炉であって、前記燃焼室が、前記ごみが燃焼する一次燃焼室と、前記一次燃焼室から排出される排ガスが流れるとともに、前記排ガスに含まれる未燃ガスが燃焼する二次燃焼室とを備え、前記容器投入口が、前記一次燃焼室の天井部に設けられる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のストーカ式焼却炉であって、前記下段開閉部が、2個の上板部をさらに備え、各上板部が、開閉本体と共に前記回動軸を中心として回動する板状であり、前記供給経路を閉じた状態において前記開閉本体に対して前記容器投入口とは反対側に配置され、前記上段開閉部が閉じた状態において、前記下段開閉部が開けられる。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項ないしのいずれか1つに記載のストーカ式焼却炉であって、前記特殊廃棄物供給部が、前記供給経路において前記上段開閉部と前記下段開閉部との間の空間にガスを供給するガス供給部をさらに備え、前記上段開閉部および前記下段開閉部が閉じた状態を維持することにより、前記供給経路における前記空間の圧力が、前記下段開閉部と前記容器投入口との間の圧力よりも大きくなる。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項1ないしのいずれか1つに記載のストーカ式焼却炉であって、複数の収容容器を保管する冷凍または冷蔵保管庫から前記特殊廃棄物供給部へと前記収容容器を搬送する搬送機構をさらに備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、火格子の損傷を防止または抑制するとともに、特殊廃棄物をより確実に完全燃焼させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】焼却炉の構成を示す図である。
図2】特殊廃棄物供給部を示す断面図である。
図3】冷却ジャケットおよび回動軸を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る焼却炉1の構成を示す図である。焼却炉1は、複数の火格子部(ストーカ)によりごみを搬送しつつ燃焼させるストーカ式焼却炉である。ごみは、主として、家庭系一般廃棄物および事業系一般廃棄物である。
【0018】
焼却炉1は、ごみ供給部21と、燃焼室3と、排出路22と、制御部(図示省略)とを備える。制御部は、例えば、CPU等を備えるコンピュータであり、焼却炉1の全体制御を担う。ごみ供給部21は、投入ホッパ211と、プッシャ212とを備える。投入ホッパ211には、図示省略のごみピットからごみが投入される。プッシャ212は、給塵装置であり、投入ホッパ211の底部から燃焼室3の後述の一次燃焼室31内にごみを供給する。ごみ供給部21における給塵装置として、スクリューフィーダ等の他の機構が採用されてもよい。
【0019】
燃焼室3は、一次燃焼室31と、二次燃焼室37とを備える。一次燃焼室31は、ごみ供給部21から直接的にごみが供給される空間を形成する。一次燃焼室31には、複数の火格子部32,33,34と、供給口351と、排出口352とが設けられる。供給口351は、投入ホッパ211の底部に接続する開口部であり、供給口351を介してごみ供給部21から一次燃焼室31内にごみが供給される。排出口352は、投入ホッパ211から離れた位置に配置される。複数の火格子部32,33,34は、供給口351と排出口352との間に配列される。各火格子部32,33,34は、複数の火格子の集合である。図1の例では、各火格子部32,33,34において複数の火格子が略水平方向に配列される。各火格子部32,33,34では、複数の火格子が階段状に傾斜して配列されてもよい。火格子は、例えば耐熱鋳鋼等により形成される。
【0020】
一次燃焼室31では、複数の火格子部32,33,34における周知の搬送動作により、供給口351側から排出口352に向かってごみが搬送される。複数の火格子部32,33,34の下方には、複数の風箱41がそれぞれ設けられる。複数の風箱41には、予め加熱された高温の燃焼用ガスが供給される。これにより、火格子部32,33,34上のごみに対して燃焼用ガスが供給され、ごみが燃焼する。燃焼用ガスは、酸素を含むガスであり、例えば、空気または燃焼排ガスである。燃焼後のごみ(主として灰)は排出口352を介して一次燃焼室31外に排出される。本明細書では、一次燃焼室31において供給口351側を前側と規定し、排出口352側を後側と規定する。
【0021】
複数の火格子部32,33,34において、最も前側に配置される火格子部32は、乾燥火格子部であり、最も後側に配置される火格子部34は、後燃焼火格子部である。乾燥火格子部32と後燃焼火格子部34との間に配置される火格子部33は、燃焼火格子部である。このように、一次燃焼室31では、前側から後側に向かって乾燥火格子部32、燃焼火格子部33および後燃焼火格子部34が順に配列される。乾燥火格子部32には、ごみ供給部21によりごみが供給され、積み重なったごみの層91(以下、「ごみ層91」という。)が形成される。乾燥火格子部32では、主としてごみの乾燥が行われる。燃焼火格子部33では、主としてごみの燃焼が行われ、後燃焼火格子部34では、主としてごみの後燃焼により完全な灰化が行われる。原則として、ごみ層91の厚さは、乾燥火格子部32から後燃焼火格子部34に向かって漸次小さくなる。
【0022】
一次燃焼室31は、複数の火格子部32,33,34に加えて、複数の壁部および天井部を備える。具体的には、一次燃焼室31は、前天井部311と、後天井部312と、後壁部314と、一対の側壁部とを備える。前天井部311は、供給口351の上端から後側に向かって斜め上方に広がり、二次燃焼室37の後述の前壁部371に接続する。例えば、前天井部311は、乾燥火格子部32のおよそ全体の上方を覆う。前天井部311には、容器投入口315が設けられる。容器投入口315は、後述の収容容器9を燃焼室3内に投入するための開口であり、乾燥火格子部32の上方に位置する。前天井部311は、燃焼火格子部33の前側端部の上方も覆う。後壁部314は、排出口352の後端から鉛直方向上方に向かって広がる。後天井部312は、後壁部314の上端から前側に向かうに従って高くなるように傾斜し、二次燃焼室37の後述の後壁部372に接続する。例えば、後天井部312は、後燃焼火格子部34のおよそ全体の上方を覆う。後天井部312は、燃焼火格子部33の後側の一部の上方も覆う。
【0023】
図1の紙面に垂直な方向(前側から後側に向かう方向に垂直かつ水平な方向であり、以下、「幅方向」という。)において、一対の側壁部は複数の火格子部32,33,34を挟むように配置される。各側壁部は、図1の紙面に略平行に広がり、前天井部311、後天井部312および後壁部314と接続する。焼却炉1では、前天井部311の後端と後天井部312の前端との間に、一次燃焼室31の出口、すなわち、一次燃焼室31と二次燃焼室37との連通口39が形成される。
【0024】
二次燃焼室37は、一次燃焼室31から連続し、一次燃焼室31から排出される排ガス(燃焼ガス)の流路を形成する。二次燃焼室37は、前壁部371と、後壁部372と、一対の側壁部とを備える。前壁部371は、前天井部311の後端、すなわち、連通口39の前端から上方に向かって広がる。例えば、前壁部371は、乾燥火格子部32よりも後側に位置する。後壁部372は、後天井部312の前端、すなわち、連通口39の後端から上方に向かって広がる。例えば、後壁部372は、後燃焼火格子部34よりも前側に位置する。一対の側壁部は、幅方向に互いに離れる。各側壁部は、一次燃焼室31の側壁部から連続して図1の紙面に略平行に広がり、前壁部371および後壁部372と接続する。二次燃焼室37は、一次燃焼室31から直接的に連続するとともに、一次燃焼室31の床面積に比べて十分に小さい流路面積となって上方に向かう空間を形成する。
【0025】
二次燃焼室37の前壁部371および後壁部372には、ノズル部42が設けられる。ノズル部42には、常温または予め加熱された高温の燃焼用ガスが供給される。既述のように、二次燃焼室37には、一次燃焼室31内で発生した排ガス(未燃ガスを含む。)が流入する。ノズル部42から二次燃焼室37内に燃焼用ガスを供給することにより、二次燃焼室37へと導かれた排ガス中の未燃ガスが燃焼する。二次燃焼室37から排出される排ガスは、排出路22に流入する。排出路22は、二次燃焼室37と煙道29とを接続する。排出路22には、例えば、排ガスを熱源とするボイラ(図示省略)が設けられる。排出路22には、水噴射減温装置等が設けられてもよい。煙道29は、排出路22と煙突(図示省略)とを接続し、排出路22から排出される排ガスを煙突へと導く。
【0026】
焼却炉1は、特殊廃棄物供給部5と、搬送機構6とをさらに備える。特殊廃棄物供給部5は、供給部本体51と、上段開閉部56と、下段開閉部57とを備える。供給部本体51は、容器投入口315から上方に延びる供給経路511を形成する。既述のように、容器投入口315は、一次燃焼室31の前天井部311に設けられ、供給部本体51は、投入ホッパ211と二次燃焼室37との間に位置する。供給部本体51の上部には、受入開口512が設けられる。受入開口512は、供給経路511の上部開口であり、後述するように、受入開口512において収容容器9が供給経路511へと受け入れられる。
【0027】
上段開閉部56は、供給部本体51に設けられ、供給経路511を開閉する。下段開閉部57は、供給部本体51において上段開閉部56と容器投入口315との間に設けられ、供給経路511を開閉する。特殊廃棄物供給部5では、上段開閉部56および下段開閉部57により、二重ダンパ構造が構成される。以下の説明では、上段開閉部56および下段開閉部57による供給経路511の開閉を、上段開閉部56および下段開閉部57自体の開閉とも表現する。特殊廃棄物供給部5の構造の詳細については後述する。
【0028】
搬送機構6は、第1コンベヤ61と、第2コンベヤ62と、リフタ63とを備える。第1コンベヤ61は、モータ等を有し、収容容器9を略水平方向に移動する。収容容器9は、医療廃棄物(感染性廃棄物)または動物の死体等の特殊廃棄物を収容する容器である。当該動物には、小型動物および大型動物が含まれてよい。収容容器9は、例えば樹脂にて形成される箱状であり、密閉されている。収容容器9は、袋状であってもよく、また、樹脂以外の材料(紙等)により形成されてもよい。焼却炉1では、複数の収容容器9が冷凍保管庫7において冷凍された状態で保管される。なお、冷凍保管庫7は、保管庫の一例であり、冷蔵であってもよい。
【0029】
第1コンベヤ61の一方の端部は、冷凍保管庫7の内部に配置される。第1コンベヤ61は、冷凍保管庫7の側壁に設けられた開口部71を介して冷凍保管庫7の外部へと連続する。開口部71には、冷凍保管庫7の冷気を保持するための自動扉等が設けられてもよい。第1コンベヤ61の他方の端部は、リフタ63の下位置に接続する。リフタ63は、モータ等を有し、収容容器9を下位置から上位置に略鉛直方向に移動する。第2コンベヤ62は、モータ等を有し、収容容器9を略水平方向に移動する。第2コンベヤ62の一方の端部は、リフタ63の上位置に接続する。第2コンベヤ62の他方の端部は、供給部本体51の受入開口512に接続する。
【0030】
焼却炉1では、冷凍保管庫7内に保管された収容容器9が、作業者により第1コンベヤ61上に載置される。収容容器9は、第1コンベヤ61により冷凍保管庫7の外部に搬送され、リフタ63に受け渡される。リフタ63により、収容容器9が下位置から上位置へと移動し、第2コンベヤ62に受け渡される。第2コンベヤ62により、収容容器9がリフタ63の上位置から供給部本体51の受入開口512へと搬送され、受入開口512から供給経路511内に投下される。
【0031】
図2は、特殊廃棄物供給部5を示す断面図である。図2では、第2コンベヤ62の搬送方向(図1の横方向)に垂直な断面を示しており、手前側に設けられる受入開口512を二点鎖線にて示している。既述のように、特殊廃棄物供給部5は、供給部本体51と、上段開閉部56と、下段開閉部57とを備える。供給部本体51は、本体上部52と、本体中間部53と、本体下部54とを備える。本体上部52、本体中間部53および本体下部54のそれぞれは、略矩形の筒状である。
【0032】
本体下部54の下端は一次燃焼室31の前天井部311に接続され、本体下部54の下端開口541が、前天井部311の容器投入口315に重ねられる。容器投入口315の周囲の全周に亘って、本体下部54と前天井部311との間が密閉される。下端開口541の近傍では、上下方向に垂直な本体下部54の断面形状が上方に向かって漸次大きくなる。また、本体下部54の他の部位では、断面形状が一定となる。図2の本体下部54は、3層構造である。例えば、内側の2層には、互いに異なる断熱材料(断熱キャスタブル、繊維系断熱材等)が用いられ、外側の1層には金属が用いられる。もちろん、本体下部54は、3層構造には限定されない。本体下部54の上部は、全周に亘って本体中間部53の下部に接続される。
【0033】
本体中間部53の内周面において下端近傍には、補助筒状部531が設けられる。補助筒状部531は、略矩形の筒状である。上下方向に垂直な補助筒状部531の断面形状は、上記内周面との接続位置から下方に向かって漸次小さくなる。補助筒状部531の下端部では、断面形状が一定となっており、下端開口532が形成される。本体下部54と本体中間部53との接続部では、補助筒状部531が、既述の供給経路511を形成する。
【0034】
本体中間部53の上部は、全周に亘って本体上部52の下部に接続される。詳細には、上下方向に沿って見た場合に、本体中間部53の上部は、本体上部52の下部よりも僅かに大きい。本体中間部53の上端には、略矩形環状の接続板533が設けられる。接続板533は、本体中間部53の上端から全周に亘って内方に突出し、本体上部52の外周面に接続する。接続板533により、本体中間部53の上端と、本体上部52の下部との間が密閉される。本体上部52の下端は、本体中間部53の内部に配置される。すなわち、本体上部52の下端開口521は、本体中間部53の内部に配置される。本体上部52の上端には、天板522が設けられる。本体上部52の一の側面は、開口しており、既述の受入開口512となる。
【0035】
上段開閉部56は、本体中間部53の内部において本体上部52の下端開口521の近傍に配置される。上段開閉部56は、両開きの扉であり、2個の開閉本体561と、2個の回動軸562とを備える。2個の回動軸562は、上下方向に延びる供給経路511に略垂直であり、略矩形の下端開口521において互いに対向する2個の辺に沿って配置される。各回動軸562には、板状の開閉本体561が接続される。各開閉本体561は、例えば金属により形成され、回動軸562により回動可能に支持される。図示省略の駆動源(例えば、エアシリンダまたはモータ等)が、回動軸562を介して所定の角度範囲において開閉本体561を回動する。
【0036】
図2中に実線にて示すように、2個の開閉本体561が上下方向に略垂直な姿勢となると、本体上部52の下端開口521が閉じられる。図2の例では、2個の開閉本体561の先端部において、互いに対向する部位が切り欠かれており、2個の開閉本体561を上下方向に略垂直な姿勢とした状態で、先端部同士が互いに接触または近接する。これにより、2個の開閉本体561の先端部間において、ガスが通過することが抑制される。図2中に二点鎖線にて示すように、2個の開閉本体561が上下方向に略平行な姿勢となると、本体上部52の下端開口521が開かれる。以上のように、供給経路511は、本体上部52の下端開口521の位置において2個の開閉本体561により開閉される。上段開閉部56の構造は適宜変更されてよい。例えば、両開きの扉以外に、片開きの扉が用いられてもよく、また、スライド式の扉が用いられてもよい(下段開閉部57において同様)。
【0037】
下段開閉部57は、本体下部54の内部において補助筒状部531の下端開口532の近傍に配置される。下段開閉部57は、両開きの扉であり、2個の開閉本体58と、2個の回動軸571と、2個の上板部576とを備える。2個の回動軸571は、上下方向に延びる供給経路511に略垂直であり、略矩形の下端開口532において互いに対向する2個の辺に沿って配置される。各回動軸571には、略板状の開閉本体58が接続される。開閉本体58は、回動軸571により回動可能に支持される。図示省略の駆動源(例えば、エアシリンダまたはモータ等)が、回動軸571を介して所定の角度範囲において開閉本体58を回動する。
【0038】
図2中に実線にて示すように、2個の開閉本体58が上下方向に略垂直な姿勢となると、補助筒状部531の下端開口532が閉じられる。図2中に二点鎖線にて示すように、2個の開閉本体58が上下方向に略平行な姿勢となると、補助筒状部531の下端開口532が開かれる。以上のように、供給経路511は、補助筒状部531の下端開口532の位置において2個の開閉本体58により開閉される。
【0039】
各開閉本体58は、閉塞部材581と、冷却ジャケット586とを備える。閉塞部材581は、略板状であり、断熱材料(断熱キャスタブル、繊維系断熱材等)により形成される。一方の開閉本体58における閉塞部材581の先端部には、シール部材582が取り付けられる。シール部材582は、回動軸571の中心軸J1の方向(以下、単に「軸方向」という。)に延びる板状であり、閉塞部材581の当該先端部の略全長に亘る。図2の例では、2個の開閉本体58が供給経路511を閉じた状態において、当該シール部材582が他方の開閉本体58における閉塞部材581の先端部に接触または近接する。これにより、2個の閉塞部材581の先端部間において、ガスが通過することが抑制される。
【0040】
冷却ジャケット586は、略板状の外形を有し、閉塞部材581と共に回動軸571に接続される。下段開閉部57が供給経路511を閉じた状態において、冷却ジャケット586は、本体中間部53側、すなわち、閉塞部材581に対して容器投入口315とは反対側に配置される。換言すると、冷却ジャケット586における容器投入口315側の面が、閉塞部材581により覆われる。図2の例では、回動軸571における容器投入口315側の部位も、閉塞部材581により覆われる。
【0041】
図3は、冷却ジャケット586および回動軸571を示す断面図であり、図2の閉塞部材581に略平行、かつ、回動軸571の中心軸J1を含む面における断面を示している。回動軸571は中空であり、回動軸571の両端部には、ロータリージョイント(図示省略)が設けられる。回動軸571では、一方の端部から内部に冷却空気が供給され、他方の端部から外部に冷却空気が排出される。このように、回動軸571の内部には、冷却空気の流路572が設けられる。冷却空気は、例えば焼却炉1の周囲における常温の空気である。
【0042】
回動軸571の内部には、流路572を遮断する遮断板573が設けられる。軸方向に関して、遮断板573は、冷却ジャケット586の中央近傍に位置する。冷却ジャケット586は中空であり、遮断板573は冷却ジャケット586の内部に向かって軸方向に略垂直な方向に延びる。冷却ジャケット586の内部は、遮断板573により図3中の左側の空間と、右側の空間に仕切られる。冷却ジャケット586と回動軸571との接続部において、軸方向における遮断板573の両側には、流入口587および流出口588が設けられる。流入口587は、上述の左側の空間に開口し、流出口588は、右側の空間に開口する。
【0043】
冷却ジャケット586の内部には、冷却空気の流路589が形成される。流路589は、左側の空間において流入口587からジグザグ状に冷却ジャケット586の先端側(回動軸571とは反対側)へと向かい、遮断板573の先端と冷却ジャケット586の内端面との間の隙間を経由して右側の空間へと連続する。右側の空間において、流路589は、ジグザグ状に冷却ジャケット586の根元側(回動軸571側)へと向かい、流出口588へと到達する。回動軸571の流路572に供給された冷却空気は、流入口587から冷却ジャケット586の内部に流入する。当該冷却空気は、流路589に沿って冷却ジャケット586の内部のおよそ全体を経由し、流出口588から回動軸571の流路572へと流出する。回動軸571の流路572から外部に排出された冷却空気は、図2の本体中間部53に設けられるガス供給部534に導入され、本体中間部53の内部に供給される。
【0044】
図2に示すように、各回動軸571には、上板部576も接続される。上板部576は、略板状であり、開閉本体58と共に回動軸571を中心として回動する。上板部576は、例えば金属にて形成される。開閉本体58が供給経路511を閉じた状態において、上板部576は、開閉本体58に対して容器投入口315とは反対側に配置される。
【0045】
既述のように、図1の冷凍保管庫7に保管された収容容器9は、搬送機構6(第1コンベヤ61、リフタ63および第2コンベヤ62)により特殊廃棄物供給部5へと搬送される。その後、収容容器9が、受入開口512から供給部本体51の供給経路511内に投下される。すなわち、受入開口512において収容容器9が供給経路511へと受け入れられる。
【0046】
このとき、上段開閉部56および下段開閉部57は閉じられており、受入開口512から落下する収容容器9は、上段開閉部56の開閉本体561により受けられる。続いて、上段開閉部56が開けられ、落下する収容容器9が下段開閉部57により受けられる。詳細には、図2の開閉本体58に対して受入開口512側に配置される上板部576により、収容容器9が受けられる。既述のように、開閉本体58が断熱材料により形成される閉塞部材581、および、冷却ジャケット586を含む。これにより、上板部576が高温となることが抑制され、上板部576上において収容容器9が溶けることが防止または抑制される。また、上板部576が収容容器9を受けた際の衝撃が開閉本体58に伝わって、開閉本体58が損傷することが抑制される。
【0047】
続いて、上段開閉部56が閉じられ、その後、下段開閉部57が開けられる。これにより、下段開閉部57上の収容容器9が、容器投入口315を介して燃焼室3内に投入され、図1の乾燥火格子部32のごみ層91上に落下する。このとき、上段開閉部56が閉じているため、燃焼室3内のガスが供給部本体51から外部に漏れ出すことが抑制される。収容容器9が、容器投入口315を通過すると直ぐに、下段開閉部57が閉じられる。図2の特殊廃棄物供給部5では、収容容器9の投下時を除き、上段開閉部56および下段開閉部57が閉じた状態が維持され、供給経路511における上段開閉部56と下段開閉部57との間の空間がおよそ密閉される。また、ガス供給部534により当該空間に冷却空気が供給され、供給経路511における当該空間の圧力が、下段開閉部57と容器投入口315との間の圧力よりも大きくなる。これにより、燃焼室3内のガスが供給経路511から外部に漏れ出すことが抑制される。例えば、供給経路511における当該空間の圧力は、大気圧よりも大きい。
【0048】
以上に説明したように、図1の焼却炉1では、燃焼室3に容器投入口315が設けられ、特殊廃棄物供給部5が、特殊廃棄物が収容された収容容器9を、容器投入口315から乾燥火格子部32のごみ層91上に落下させる。
【0049】
ここで、燃焼火格子部33または後燃焼火格子部34のごみ層上に収容容器9を落下させる比較例の焼却炉を想定する。燃焼火格子部33または後燃焼火格子部34のごみ層の厚さは、乾燥火格子部32のごみ層91よりも薄いため、比較例の焼却炉では、(燃焼火格子部33の)火格子が損傷しやすくなる。また、燃焼室3内への投入後、収容容器9が排出口352に到達するまでの時間が短くなり、特殊廃棄物を完全燃焼させることが困難となる。
【0050】
これに対し、焼却炉1では、乾燥火格子部32における比較的厚いごみ層91上に収容容器9を落下させることにより、(乾燥火格子部32の)火格子の損傷を防止または抑制することができる。また、燃焼室3内への投入後、収容容器9が排出口352に到達するまでの時間を、比較例に比べて長くすることができ、特殊廃棄物をより確実に(安定して)完全燃焼させることができる。
【0051】
特殊廃棄物供給部5は、供給経路511を形成する供給部本体51と、供給経路511を開閉する上段開閉部56および下段開閉部57とを備える。そして、上段開閉部56が閉じた状態において、下段開閉部57が開けられる。これにより、燃焼室3内のガスが供給経路511から外部に漏れ出すことを抑制することができる。
【0052】
下段開閉部57は、開閉本体58と、上板部576とを備える。上板部576は、開閉本体58が供給経路511を閉じた状態において開閉本体58に対して容器投入口315とは反対側に配置される。これにより、上板部576が収容容器9を受けた際の衝撃が開閉本体58に伝わって、開閉本体58が損傷することを抑制することができる。また、上板部576上において収容容器9が熱により溶けることを防止または抑制することができる。開閉本体58が冷却ジャケット586を有することにより、上板部576上において収容容器9が熱により溶けることをさらに防止または抑制することができる。
【0053】
ところで、特殊廃棄物の焼却において、仮に、特殊廃棄物をごみピットに直接投入する場合、感染性物質により衛生環境が悪化したり、動物の死体が腐敗したりする可能性がある。また、見学者がごみピット内の特殊廃棄物を見て、不快感を覚える場合もある。ホイスト等を利用して特殊廃棄物を投入ホッパ211に直接投入することも考えられるが、作業者が特殊廃棄物に接触する時間が長くなり、作業者の衛生上の安全性が低下してしまう。また、特殊廃棄物の専用の焼却炉を設置することも考えられるが、同様に作業者が特殊廃棄物に接触する時間は長くなってしまう。
【0054】
これに対し、図1の焼却炉1では、特殊廃棄物が収容容器9に収容されるとともに、当該収容容器9が冷凍保管庫7内において冷凍保管される。そして、冷凍保管庫7内において収容容器9が第1コンベヤ61に載置された後、搬送機構6により、冷凍保管庫7から特殊廃棄物供給部5へと自動的に搬送される。収容容器9は、密閉状態のままで(破砕することなく)特殊廃棄物供給部5により燃焼室3内に投入される。これにより、特殊廃棄物の焼却作業において、作業者の特殊廃棄物への直接的な接触をなくすとともに、特殊廃棄物が収容された収容容器9に接触する時間も短くすることができ、作業者の安全性を向上することができる。
【0055】
上記焼却炉1では様々な変形が可能である。
【0056】
焼却炉1において、燃焼室3の構造は適宜変更されてよい。例えば、二次燃焼室37が乾燥火格子部32または後燃焼火格子部34の上方に配置されてもよい。また、一次燃焼室31において、供給口351の上端から鉛直方向上方に向かって広がる前壁部が設けられ、前天井部311が、前壁部の上端から後側に向かって略水平に広がり、二次燃焼室37の前壁部371に接続してもよい。
【0057】
燃焼室3における容器投入口315の配置も適宜変更されてよい。例えば、二次燃焼室37が乾燥火格子部32の上方に設けられる場合に、二次燃焼室37に容器投入口315が設けられてもよい。この場合も、当該容器投入口315から乾燥火格子部32のごみ層91上に収容容器9を落下させることが可能である。一方、二次燃焼室37に容器投入口315を設ける場合、容器投入口315と乾燥火格子部32との間の上下方向の距離が大きくなり、収容容器9の落下による衝撃が大きくなる。したがって、火格子の損傷をより確実に防止または抑制するには、容器投入口315が一次燃焼室31に設けられることが好ましい。
【0058】
容器投入口315が一次燃焼室31の天井部に設けられる上記焼却炉1では、幅方向における乾燥火格子部32の中央近傍に収容容器9を落下させ、収容容器9を効率よく燃焼させることが可能であるが、焼却炉1の設計によっては、一次燃焼室31の側壁部に容器投入口315が設けられてもよい。
【0059】
特殊廃棄物供給部5において、例えば、下段開閉部57が、容器投入口315の極近傍に設けられてもよい。また、上段開閉部56が省略され、受入開口512に開閉部が設けられてもよい。さらに、一次燃焼室31の側壁部、または、二次燃焼室37に容器投入口315が形成される場合等に、当該容器投入口315から斜め上方に延びる供給経路511が設けられてもよい。
【0060】
冷却ジャケット586の冷却流体は、空気以外であってもよく、液体であってもよい。また、ガス供給部534により供給経路511に供給されるガスは、空気以外であってもよい。図2の例では、冷却ジャケット586から排出された冷却空気を、ガス供給部534において利用することにより、特殊廃棄物供給部5の構造を簡素化することが可能であるが、冷却ジャケット586の冷却流体と、ガス供給部534による供給ガスとが相違してもよい。
【0061】
複数の焼却炉1が設けられる施設において、1つの搬送機構6により収容容器9が当該複数の焼却炉1に分配して供給されてもよい。このような施設では、多くの特殊廃棄物を焼却処理することが可能である。
【0062】
焼却炉1において焼却される特殊廃棄物の種類によっては、冷凍保管庫7が省略されてもよい。
【0063】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0064】
1 焼却炉
3 燃焼室
5 特殊廃棄物供給部
6 搬送機構
7 冷凍保管庫
9 収容容器
21 ごみ供給部
31 一次燃焼室
32 乾燥火格子部
33 燃焼火格子部
34 後燃焼火格子部
37 二次燃焼室
51 供給部本体
56 上段開閉部
57 下段開閉部
58 (下段開閉部の)開閉本体
91 ごみ層
311 前天井部
315 容器投入口
511 供給経路
534 ガス供給部
571 (下段開閉部の)回動軸
576 上板部
586 冷却ジャケット
589 (冷却ジャケットの)流路
図1
図2
図3