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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】ワイパ装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/24 20060101AFI20230315BHJP
   B60S 1/44 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
B60S1/24
B60S1/44
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019207951
(22)【出願日】2019-11-18
(65)【公開番号】P2021079781
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】中島 伸敬
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-99911(JP,A)
【文献】特表2008-513272(JP,A)
【文献】特開2006-151348(JP,A)
【文献】実開平5-44724(JP,U)
【文献】実開昭58-179261(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/02- 1/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータにより駆動され、車両のウインドシールドガラスを払拭するワイパ装置であって、
前記ウインドシールドガラスの面に沿って停止位置から第1方向に往復移動し、前記第1方向と直交する第2方向に沿って長尺状に形成されたワイパブレードと、
一端が前記ワイパブレードの前記第1方向における中央部よりも前記第1方向の一方側において前記ワイパブレードに回転可能に連結された第1リンクと、
前記第1リンクと並んで配置され、一端が前記第1リンクよりも前記第1方向の他方側において前記ワイパブレードに回転可能に連結された第2リンクと、
前記第1リンクの両端部の間に設けられたピボットと、
一端が前記ピボットに回転可能に連結され、他端が前記第2リンクの他端に回転可能に連結された支持リンクと、
一端が前記ピボットに回転可能に連結され、他端が車体に回転可能に連結された第3リンクと、
一端が前記第2リンクの他端に回転可能に連結され、他端が前記第3リンクよりも前記第1方向の他方側において前記車体に回転可能に連結された第4リンクと、
一端が前記第1リンクの他端に回転可能に連結され、他端が前記モータの出力軸に連結される第5リンクと、を備える
ことを特徴とするワイパ装置。
【請求項2】
前記ピボットと、前記第3リンクと前記車体との第1連結点と、の間の第1寸法をs1とし、
前記第1連結点と、前記モータと前記第5リンクとの第2連結点と、の間の第2寸法をs2とし、
前記第2連結点と、前記第5リンクと前記第1リンクとの第3連結点と、の間の第3寸法をs3とし、
前記第3連結点と前記ピボットとの間の第4寸法をs4としたとき、
s1:s2:s3:s4は、2.5:2:1:2.5を満たす
ことを特徴とする請求項1に記載のワイパ装置。
【請求項3】
前記ピボットと、前記ワイパブレードと前記第1リンクとの第4連結点と、の間の第5寸法をs5としたとき、
s1:s2:s3:s4:s5は、2.5:2:1:2.5:2.5を満たす
ことを特徴とする請求項2に記載のワイパ装置。
【請求項4】
前記第1連結点と、前記車体と前記第4リンクとの第5連結点と、を結ぶ第1仮想直線と、
前記ピボットと、前記第4リンクと前記第2リンクとの第6連結点と、を結ぶ第2仮想直線と、
前記第4連結点と、前記第2リンクと前記ワイパブレードとの第7連結点と、を結ぶ第3仮想直線と、は平行である
ことを特徴とする請求項3に記載のワイパ装置。
【請求項5】
前記第3リンクは、屈曲部を備えた略L字形状に形成されるとともに、前記第1方向および前記第2方向と直交する第3方向から見て、前記第3リンクの屈曲部が前記ピボットと前記第1連結点とを結ぶ第4仮想直線よりも前記第3連結点側の領域に配置されており、
前記第4リンクは、屈曲部を備えた略L字形状に形成されるとともに、前記第3方向から見て、前記第4リンクの屈曲部が前記第5連結点と前記第6連結点とを結んだ第5仮想直線よりも前記第3連結点側の領域に配置されている
ことを特徴とする請求項4に記載のワイパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイパ装置は、運転者の視界を確保するため、ウインドシールドガラス又はミラー等のガラス面に付着した雨滴を払拭する。
ガラス面に対する払拭面積を拡大するため、基端側が車体に対して回転可能に支持されたクランクと、クランクを回転駆動する電動モータと、クランクの先端側に相対回転可能に連結されたワイパアームと、ワイパアームに取り付けられたワイパブレードと、を有する自動車のワイパが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-20625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年、自動運転化等の要望に伴い、ウインドシールドガラスの内側にセンサーやカメラを取り付けられた車両が増加している。ウインドシールドガラスの内側に取り付けられたセンサー等は、ウインドシールドガラスの外側に付着した汚れや水滴に検出等の機能を阻害されることがある。このため、ウインドシールドガラスに付着した汚れや水滴を良好に除去できるワイパ装置が求められている。汚れや水滴を良好に払拭するためには、被払拭面をむらなく払拭する必要がある。しかしながら、上記の従来技術では、ワイパブレードの各箇所で払拭速度および摺動抵抗が異なるため、被払拭面の各箇所で払拭のむらが生じる払拭不良が発生していた。
【0005】
そこで、本発明は、払拭不良を低減できるワイパ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係るワイパ装置は、モータにより駆動され、車両のウインドシールドガラスを払拭するワイパ装置であって、前記ウインドシールドガラスの面に沿って停止位置から第1方向に往復移動し、前記第1方向と直交する第2方向に沿って長尺状に形成されたワイパブレードと、一端が前記ワイパブレードの前記第1方向における中央部よりも前記第1方向の一方側において前記ワイパブレードに回転可能に連結された第1リンクと、前記第1リンクと並んで配置され、一端が前記第1リンクよりも前記第1方向の他方側において前記ワイパブレードに回転可能に連結された第2リンクと、前記第1リンクの両端部の間に設けられたピボットと、一端が前記ピボットに回転可能に連結され、他端が前記第2リンクの他端に回転可能に連結された支持リンクと、一端が前記ピボットに回転可能に連結され、他端が車体に回転可能に連結された第3リンクと、一端が前記第2リンクの他端に回転可能に連結され、他端が前記第3リンクよりも前記第1方向の他方側において前記車体に回転可能に連結された第4リンクと、一端が前記第1リンクの他端に回転可能に連結され、他端が前記モータの出力軸に連結される第5リンクと、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記構成において、前記ピボットと、前記第3リンクと前記車体との第1連結点と、の間の第1寸法をs1とし、前記第1連結点と、前記モータと前記第5リンクとの第2連結点と、の間の第2寸法をs2とし、前記第2連結点と、前記第5リンクと前記第1リンクとの第3連結点と、の間の第3寸法をs3とし、前記第3連結点と前記ピボットとの間の第4寸法をs4としたとき、s1:s2:s3:s4は、2.5:2:1:2.5を満たしてもよい。
【0008】
上記構成において、前記ピボットと、前記ワイパブレードと前記第1リンクとの第4連結点と、の間の第5寸法をs5としたとき、s1:s2:s3:s4:s5は、2.5:2:1:2.5:2.5を満たしてもよい。
【0009】
上記構成において、前記第1連結点と、前記車体と前記第4リンクとの第5連結点と、を結ぶ第1仮想直線と、前記ピボットと、前記第4リンクと前記第2リンクとの第6連結点と、を結ぶ第2仮想直線と、前記第4連結点と、前記第2リンクと前記ワイパブレードとの第7連結点と、を結ぶ第3仮想直線と、は平行であってもよい。
【0010】
前記第3リンクは、屈曲部を備えた略L字形状に形成されるとともに、前記第1方向および前記第2方向と直交する第3方向から見て、前記第3リンクの屈曲部が前記ピボットと前記第1連結点とを結ぶ第4仮想直線よりも前記第3連結点側の領域に配置されており、前記第4リンクは、屈曲部を備えた略L字形状に形成されるとともに、前記第3方向から見て、前記第4リンクの屈曲部が前記第5連結点と前記第6連結点とを結んだ第5仮想直線よりも前記第3連結点側の領域に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、払拭不良を低減できるワイパ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る車体のフロントガラスに取り付けられたワイパ装置の、停止位置における外観図である。
図2】本実施形態に係るワイパ装置の斜視図である。
図3図1のIII部を示す拡大斜視図である。
図4】本実施形態に係るワイパ装置の平面図である。
図5図1のV部を示す拡大斜視図である。
図6】本実施形態に係る車体のフロントガラスに取り付けられたワイパ装置の、モータ駆動中における外観図である。
図7】本実施形態に係る車体のフロントガラスに取り付けられたワイパ装置の、反転位置における外観図である。
図8図7のVIII部を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(ワイパ装置)
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明において、特に記載がなければ、前後方向は車両の進行方向に沿う前後方向であり、上下方向は車両の上下方向であり、左右方向は車両の前方からフロントガラスを見た時の左右方向を指すものとする。
図1は、本実施形態に係る車体(不図示)のフロントガラス2(請求項の「ウインドシールドガラス」の一例)に取り付けられたワイパ装置1の、停止位置Aにおける外観図である。
図1に示すように、フロントガラス2は、自動車の車体の前方に設けられている。フロントガラス2は、平面視で矩形板状に形成されている。
ワイパ装置1は、自動車等の車体に設けられている。ワイパ装置1は、フロントガラス2に付着した汚れや水滴等を払拭して乗員の視界を確保する。
【0014】
ワイパ装置1は、フロントガラス2を払拭するワイパブレード10と、ワイパブレード10に連結されたリンク機構30と、リンク機構30に駆動力を伝達しワイパブレード10を移動させるモータ3と、を備えている。
【0015】
ワイパブレード10は、モータ3の駆動力により移動する前、フロントガラス2の右側外縁部2aに沿って配置されている。ワイパブレード10は、フロントガラス2の右側外縁部2aから左側外縁部2bへ往復移動する。
以下の説明において、ワイパブレード10が右側外縁部2aに沿って配置された位置を停止位置Aと定義する。ワイパブレード10が左側外縁部2bに沿って配置された位置を反転位置Bと定義する。
ワイパブレード10が往復移動する方向を第1方向D1と定義する。フロントガラス2の面に沿うとともに、第1方向D1と直交する方向を第2方向D2と定義する。第1方向D1および第2方向D2と直交する方向を第3方向D3と定義する。
【0016】
ワイパブレード10は、フロントガラス2の面に沿うとともに、第2方向D2に沿って長尺状に形成されている。ワイパブレード10の第2方向D2の長さは、フロントガラス2の第2方向D2の長さよりも僅かに短い。
図2は、本実施形態に係るワイパ装置1の斜視図である。
図2に示すように、ワイパブレード10は、第2方向D2に沿って延びフロントガラス2を払拭するブレード部11と、ブレード部11の第2方向D2における中間部に接続されたアーム部12と、を有している。
【0017】
ブレード部11は、フロントガラス2を払拭する。ブレード部11は、第1方向D1に沿って延びる支持板11aと、支持板11aのフロントガラス2側の面に設けられたラバー(不図示)と、を備えている。支持板11aは、長尺板状部材である。ラバーは、フロントガラス2に密接している。
図1に示すように、アーム部12は、ブレード部11を挟んでフロントガラス2とは反対側に設けられている。アーム部12は、ブレード連結部13と、アーム本体部14と、を有している。
【0018】
図3は、図1のIII部を示す拡大斜視図である。
図3に示すように、ブレード連結部13は、第1方向D1の両側からブレード部11を挟んで保持する保持部15と、保持部15から立設された一対の連結軸支持壁17と、一対の連結軸支持壁17間に設けられたアーム本体部連結軸16と、を有している。
【0019】
保持部15は、ブレード部11に沿って延びている。保持部15の断面形状は、ブレード部11側に開口するU字状となるように形成されている。
連結軸支持壁17は、保持部15からブレード部11とは反対側に向かって立設されている。連結軸支持壁17は、ブレード部11の幅方向両側に離間して一対設けられている。
アーム本体部連結軸16は、保持部15から離間している。アーム本体部連結軸16は、ブレード部11の幅方向に沿って延びている。アーム本体部連結軸16は、保持部15および連結軸支持壁17と一体形成されている。
【0020】
アーム本体部14は、ブレード部11に沿って延びる棒状部18と、棒状部18の下端からブレード部11の幅方向両側に突出した一対のリンク連結部20a、20b(第1リンク連結部20a、第2リンク連結部20b)と、により全体としてT字状に形成されている。
棒状部18の上端に設けられた孔には、アーム本体部連結軸16が挿通されている。これにより、ブレード部11は、アーム本体部14に対して回転可能に軸支される。
一対のリンク連結部20a、20bのうち、第1リンク連結部20aは、棒状部18よりも右側(図3中左側)に設けられている。一対のリンク連結部20a、20bのうち、第2リンク連結部20bは、棒状部18よりも左側(図3中右側)に設けられている。
【0021】
(リンク機構)
図1に示すように、リンク機構30は、ワイパブレード10に連結される第1リンク31と、第1リンク31と並んで配置されワイパブレード10に連結される第2リンク32と、第1リンク31と第2リンク32とを連結させる支持リンク33と、車体と第1リンク31とを連結させる第3リンク34と、車体と第2リンク32とを連結させる第4リンク35と、モータ3と第1リンク31とを連結させる第5リンク36と、を有している。
【0022】
第1リンク31は、直線状に形成されている。第1リンク31の上端は、ワイパブレード10の第1方向D1における中央部よりも第1方向D1の右側においてワイパブレード10に回転可能に連結されている。具体的には、第1リンク31の上端は、ワイパブレード10のリンク連結部20aに、第4連結点41で回転可能に連結されている。
第2リンク32は、直線状に形成されている。第2リンク32は、第1リンク31に平行に配置されている。第2リンク32の上端は、第2リンク連結部20bに、第7連結点44で回転可能に連結されている。
【0023】
支持リンク33は、直線状に形成されている。支持リンク33は、第1方向D1に沿って配置されている。支持リンク33の右端は、第1リンク31の両端部の間に設けられたピボット37に回転可能に連結されている。支持リンク33の左端は、第2リンク32の下端に、第6連結点43で回転可能に連結されている。
第3リンク34は、屈曲部34aを備え、第3方向D3から見て略L字状に形成されている。第3リンク34の上端は、ピボット37に回転可能に連結されている。第3リンク34の下端は、車体の後述する取付け部4に、第1連結点38で回転可能に連結されている。
【0024】
第4リンク35は、屈曲部35aを備え、第3方向D3から見て略L字状に形成されている。第4リンク35は、第3リンク34に沿って配置されている。第4リンク35の上端は、第2リンク32の下端および支持リンク33の左端に、第6連結点43で回転可能に連結されている。第4リンク35の下端は、第3リンク34よりも左側において車体の取付け部4に、第5連結点42で回転可能に連結されている。
第4リンク35は、停止位置Aにおいて、第3リンク34に沿って配置されている。
第5リンク36は、直線状に形成されている。第5リンク36の一端は、第1リンク31の下端に、第3連結点40で回転可能に連結されている。第5リンク36の第1リンク31に連結されない他端は、モータ3の出力軸(不図示)に第2連結点39で連結されている。第5リンク36は、反転位置Bにおいて、第1リンク31と直線状に配置されている。第5リンク36は、反転位置Bにおいて、第3連結点40から第1リンク31とは反対方向に延びるように配置されている。
【0025】
続いて、リンク機構30を構成する各リンクの寸法比について説明する。
ピボット37と第1連結点38との間の第1寸法をs1とする。第1連結点38と第2連結点39との間の第2寸法をs2とする。第2連結点39と第3連結点40との間の第3寸法をs3とする。第3連結点40とピボット37との間の第4寸法をs4とする。ピボット37と第4連結点41との間の第5寸法をs5とする。このとき、
s1:s2:s3:s4:s5=2.5:2:1:2.5:2.5…(1)
を満たしている。
【0026】
続いて、各連結点の配置関係について説明する。
第1連結点38と第5連結点42とを結ぶ第1仮想直線をL1とする。また、ピボット37と第6連結点43とを結ぶ第2仮想直線をL2とする。また、第4連結点41と第7連結点44とを結ぶ第3仮想直線をL3とする。
このとき、第1仮想直線L1と第2仮想直線L2と第3仮想直線L3とは平行となっている。
ここで、ピボット37と第1連結点38とを結ぶ第4仮想直線をL4とする。また、第5連結点42と第6連結点43とを結ぶ第5仮想直線をL5とする。このとき、第3リンク34の屈曲部34aは、第3方向D3から見て、第4仮想直線L4よりも第3連結点40側の領域に配置されている。第4リンク35の屈曲部35aは、第3方向D3から見て、第3連結点40側の領域に配置されている。
【0027】
(モータおよび取付け部)
モータ3は、フロントガラス2よりも下側で車体に固定されている。モータ3は、ワイパ装置1を駆動する。モータ3の駆動力を出力する出力軸は、第5リンク36に第2連結点39で連結されている。モータ3は、第5リンク36を第2連結点39中心に回転させる。第5リンク36は、モータ3の駆動力を第1リンク31に伝達して第1リンク31の一端を第1方向D1に移動させる。
【0028】
図4は、本実施形態に係るワイパ装置1の平面図であって、ワイパ装置1を第3方向D3のフロントガラス2側から見た平面図である。
図4に示すように、取付け部4は、車体部品を構成しており、第3リンク34の下端と、第4リンク35の下端と、を取付けられている。取付け部4は、第1方向D1に沿って延びる取付け本体部4aと、取付け本体部4aから第2方向D2両側に突出した一対の締結部4b、4c(第1締結部4b、第2締結部4c)と、を有している。第1締結部4bは、取付け本体部4aよりも上側に設けられている。第2締結部4cは、取付け本体部4aよりも下側に設けられている。取付け部4は、締結部4b、4cに挿入されたボルトによって車体に固定されている。図1に示すように、取付け本体部4aの右端は、第3リンク34に第1連結点38で回転可能に連結されている。取付け本体部4aの左端は、第4リンク35に第5連結点42で回転可能に連結されている。
【0029】
(ワイパ装置の動作)
続いて、図1図5から図8に基づいて、ワイパ装置1の動作について説明する。
図5は、図1のV部を示す拡大斜視図である。
図6は、本実施形態に係る車体のフロントガラス2に取り付けられたワイパ装置1の、モータ3駆動中における外観図である。
図7は、本実施形態に係る車体のフロントガラス2に取り付けられたワイパ装置1の、反転位置Bにおける外観図である。
図8は、図7のVIII部を示す拡大斜視図である。
【0030】
図1に示すように、車体に固定されたモータ3が駆動する前において、ワイパブレード10は、停止位置Aに配置されている。ワイパブレード10は、停止位置Aにおいて、第2方向D2に沿って延びている。
ワイパブレード10は、リンク機構30から伝達されたモータ3の駆動力により、停止位置Aから第1方向D1に往復移動する。
【0031】
ワイパブレード10の往復移動を以下に具体的に説明する。
以下の説明において、ワイパブレード10からフロントガラス2に向かって見て、時計回りの方向を時計回り方向W1(図8参照)、反時計回りの方向を反時計回り方向W2(図5参照)と定義する。
【0032】
(往路移動)
ワイパブレード10の往復移動のうち往路移動について説明する。
まず、モータ3が駆動する。モータ3は、モータ3に第2連結点39で連結される第5リンク36に駆動力を伝達する。第5リンク36は、第2連結点39を中心として反時計回り方向W2(図5参照)に回転される。図1に示すように、第5リンク36と第1リンク31との第3連結点40は、第2連結点39を中心として、半径が第3寸法s3の円弧状軌跡C1を描くように反時計回り方向W2(図5参照)に回転される。第5リンク36は、第5リンク36に連結される第1リンク31にモータ3の駆動力を伝達する。第1リンク31は、モータ3の駆動力により回転移動される。
【0033】
第1リンク31と第3リンク34とが連結されるピボット37は、車体に連結される第3リンク34により、移動方向を規制される。ピボット37は、第3リンク34により、第3リンク34と車体との第1連結点38を中心として、反時計回り方向W2に回転される。ピボット37は、第1連結点38を中心とした半径が第1寸法s1の円弧状軌跡C2を描くように、反時計回り方向W2(図5参照)に回転される。
【0034】
第1リンク31の上端は、ワイパブレード10の右側に連結されている。第2リンク32は、第1リンク31に並んで配置されている。第2リンク32の上端は、ワイパブレード10の左側に連結されている。支持リンク33の右端は、第1リンク31に設けられたピボット37に連結されている。支持リンク33の左端は、第2リンク32の下端に連結されている。これにより、ワイパブレード10は、第1リンク31および第2リンク32によって第1方向D1両側から支持されている。すなわち、第1リンク31と第2リンク32とは、並んだ状態でワイパブレード10を第2方向D2に沿った状態に保持する。したがって、ワイパブレード10は、第2方向D2に沿った状態で第1方向D1に移動する。
【0035】
第1連結点38と第5連結点42とを結ぶ第1仮想直線L1と、ピボット37と第6連結点43とを結ぶ第2仮想直線L2と、第4連結点41と第7連結点44とを結ぶ第3仮想直線L3と、は平行になっている。
これにより、第4連結点41を中心とした第7連結点44の回転が抑制される。したがって、ワイパブレード10は、第2方向D2に沿った状態で第1方向D1に移動する。
【0036】
ワイパブレード10は、停止位置Aから第1方向D1に移動を開始する。ワイパブレード10の上端は、フロントガラス2の上側外縁部2cに沿って移動する。ワイパブレード10の下端は、フロントガラス2の下側外縁部2dに沿って移動する。
【0037】
第5リンク36は、モータ3の駆動力により、停止位置Aにおける第5リンク36の位置を基準として反時計回り方向W2(図5参照)に例えば0度から245度まで回転する。
図6に示すように、ワイパブレード10は、フロントガラス2の面上において、右側外縁部2aと左側外縁部2bとの間の中間位置Eに配置される。ワイパブレード10は、中間位置Eにおいて第2方向D2に沿って延びている。
図7に示すように、第5リンク36は、例えば245度まで反時計回り方向W2(図5参照)に回転する。モータ3は、反時計回り方向W2(図5参照)の駆動を停止する。これにより、ワイパブレード10は、停止される。ワイパブレード10は、反転位置Bに配置される。
以上で、ワイパブレード10の往復移動のうち往路移動が終了する。
【0038】
(復路移動)
ワイパブレード10の往復移動のうち、復路移動について説明する。復路移動では、ワイパブレード10が反転位置Bから停止位置Aに移動する。
図7に示すように、ワイパブレード10は、上述した往路移動が終了すると、フロントガラス2の左側外縁部2bに沿った反転位置Bに配置される。
モータ3は、反時計回り方向W2の駆動を停止すると、時計回り方向W1の駆動を開始する(図8参照)。ワイパブレード10は、第1方向D1に沿って、フロントガラス2の左側外縁部2bから右側外縁部2aに向かって移動する。ワイパブレード10は、第2方向D2に沿った状態を保持したまま、第1方向D1に移動する。ワイパブレード10は、反転位置Bから、中間位置Eを経て、停止位置Aに配置される。
【0039】
ワイパブレード10は、上述した往路移動と復路移動とを交互に繰り返す。これにより、ワイパブレード10は、フロントガラス2の面を第1方向D1に沿って払拭できる。
【0040】
このように、本実施形態では、ワイパ装置1は、モータ3に連結される第5リンク36を備えている。これにより、第5リンク36は、モータ3の駆動力により、モータ3との第2連結点39を中心として回転する。
また、ワイパ装置1は、第5リンク36に第3連結点40で連結される第1リンク31を備えている。これにより、第1リンク31は、第5リンク36から伝達されたモータ3の駆動力により移動する。
また、第3リンク34の上端は、第1リンク31にピボット37で回転可能に連結されている。第3リンク34の下端は、車体に回転可能に連結されている。また、第5リンク36の一端は、第1リンク31に回転可能に連結されている。これにより、第1リンク31上のピボット37は、第3リンク34と車体との第1連結点38を中心として回転移動する。よって、第1リンク31とワイパブレード10との第4連結点41は、第1方向D1に移動する。したがって、ワイパブレード10は、第1方向D1に移動できる。
【0041】
また、第1リンク31の上端は、ワイパブレード10の第1方向D1における中央部よりも第1方向D1の右側においてワイパブレード10に回転可能に連結されている。具体的には、第1リンク31の上端は、ワイパブレード10のブレード部11よりも第1方向D1の右側に配置されている。第2リンク32は、第1リンク31の左側に並んで配置されている。第2リンク32の上端は、第1リンク31よりも第1方向D1の左側においてワイパブレード10に連結されている。支持リンク33の右端は、第1リンク31の両端部の間に、ピボット37に回転可能に連結されている。支持リンク33の左端は、第2リンク32の下端に、回転可能に連結されている。第4リンク35の上端は、第2リンク32の下端に回転可能に連結されている。第4リンク35の下端は、第3リンク34の下端よりも第1方向D1の左側において車体に回転可能に連結されている。
これにより、ワイパブレード10は、第1リンク31および第2リンク32によって第1方向D1両側から支持される。ワイパブレード10は、第2方向D2に沿った状態を保持したまま、第1方向D1に移動できる。
これにより、ワイパブレード10は、ブレード部11の各箇所で払拭速度を一定にできる。よって、ワイパブレード10は、ブレード部11の各箇所で摺動抵抗を一定にできる。したがって、ワイパ装置1は、払拭不良を低減できる。
【0042】
また、上記構成により、ワイパブレード10は、ブレード部11の各箇所で払拭速度を一定にできる。したがって、フロントガラス2越しの良好な視界を確保するために最適な払拭速度を容易に設定できる。
【0043】
ところで、従来、フロントガラスの下側外縁部および上側外縁部に沿って設けられたスライド溝に沿って移動するワイパブレードがある。しかしながら、このようなワイパブレードは、払拭移動時にスライド溝に噛み込んでしまうという課題があった。これに対して本実施形態によれば、ワイパブレード10は、スライド溝への噛み込みが発生することなく往復移動できる。したがって、ワイパブレード10は、フロントガラス2に付着した汚れや水滴をより良好に払拭できる。
【0044】
また、上記構成により、ワイパブレード10は、第1方向D1に往復移動する。これにより、設計者は、フロントガラス2の屈曲率変化が少ない払拭方向を容易に選択できる。これにより、設計者は、ラバーの硬度に依存することなくワイパブレード10を設計できる。設計者は、ワイパブレード10をより簡易な構造で設計できる。したがって、ワイパ装置1の製造費を削減できる。
【0045】
第1寸法s1と第2寸法s2と第3寸法s3と第4寸法s4との寸法比は、2.5:2:1:2.5を満たしている。第1リンク31と第5リンク36との第3連結点40の円弧状軌跡C1を描く移動に、第1リンク31と第3リンク34とを連結させるピボット37の円弧状軌跡C2を描く移動が加わる。これにより、第1リンク31とワイパブレード10との第4連結点41は、第1方向D1に沿って移動する。
よって、ワイパブレード10は、フロントガラス2の各被払拭位置で摺動抵抗をより確実に一定にできる。したがって、ワイパ装置1は、より確実に払拭不良を低減できる。
【0046】
第1寸法s1と第2寸法s2と第3寸法s3と第4寸法s4と第5寸法s5との寸法比は、2.5:2:1:2.5:2.5を満たしている。これにより、ワイパブレード10と第1リンク31との第4連結点41の軌跡は、第1方向D1に沿った直線となる。
よって、ワイパブレード10は、フロントガラス2の各被払拭位置で摺動抵抗をより確実に一定にできる。したがって、ワイパ装置1は、より確実に払拭不良を低減できる。
【0047】
第1仮想直線L1と第2仮想直線L2と第3仮想直線L3とは平行となっている。これにより、第7連結点44は、第4連結点41の第1方向D1への移動に伴い、第1方向D1に移動する。よって、第4連結点41を中心とした第7連結点44の回転が抑制される。ワイパブレード10は、第1リンク31および第2リンク32により第2方向D2に沿った状態を保持されたまま、第1方向D1に移動する。
これにより、ワイパブレード10は、第2方向D2に沿った状態で第1方向D1に移動する。したがって、ワイパブレード10は、ブレード部11の各箇所で払拭速度を一定にできる。よって、ワイパブレード10は、ブレード部11の各箇所で摺動抵抗を一定にできる。したがって、ワイパ装置1は、より確実に払拭不良を低減できる。
【0048】
第3リンク34は、屈曲部34aを備えた略L字状に形成されるとともに、屈曲部34aが第4仮想直線L4よりも第3連結点40側の領域に配置されている。第4リンク35は、屈曲部35aを備えた略L字状に形成されるとともに、屈曲部35aが第5仮想直線L5よりも第3連結点40側の領域に配置されている。
これにより、第3リンク34および第4リンク35を直線状に形成した場合と比較して、第1リンク31に近付けて配置できる。したがって、ワイパ装置1を小型化し、払拭動作時に乗員の視界を遮ることによる不快感を緩和することができる。また、第3リンク34と車体との第1連結点38および第4リンク35と車体との第5連結点42は、停止位置Aにおいて、第5リンク36とモータ3との第2連結点39から離間した状態で保持できる。したがって、設計者は、ワイパ装置1のレイアウトの自由度を向上できる。
【0049】
フロントガラス2は、矩形板状に形成されている。ワイパブレード10の第2方向D2の長さは、フロントガラス2の右側外縁部2aの長さより僅かに短い。これにより、ワイパブレード10の停止位置Aと反転位置Bとの間の往復移動によって、フロントガラス2のほぼ全面を払拭できる。
【0050】
ブレード連結部13は、保持部15によりブレード部11を第1方向D1両側から挟んで保持している。アーム本体部14の棒状部18の上端に設けられた孔には、ブレード連結部13のアーム本体部連結軸16が挿通されている。これにより、ブレード部11は、アーム本体部14に対して回転可能に軸支される。これにより、ブレード部11は、フロントガラス2の表面形状に追従してフロントガラス2を払拭できる。したがって、ワイパブレード10は、フロントガラス2をより良好に払拭できる。
【0051】
第3リンク34および第4リンク35は、停止位置Aにおいて、第1リンク31に近付けて配置されている。第1リンク31は、反転位置Bにおいて、第5リンク36と直線状に配置されている。これにより、モータ3の駆動力は、反転位置B付近において、リンク機構30により増幅される。したがって、リンク機構30は、モータ3の駆動力不足を解消できる。これにより、ワイパ装置1は、反転位置Bにおいて、例えばフロントガラス2上に積もった雪等を容易に払拭できる。
【0052】
ワイパブレード10は、フロントガラス2の右側外縁部2aに沿って配置されている。ワイパブレード10は、右側外縁部2aが延びる第2方向D2に沿って延びた状態を保持したまま、第1方向D1に往復移動する。
これにより、ワイパブレード10は、車両走行時にフロントガラス2に沿って流れる走行風の方向に平行な状態を維持しつつ、往復移動できる。よって、ワイパブレード10が受ける走行風の影響は、低減される。したがって、ワイパブレード10が受ける走行風によりデザインが制限されるのを抑制できる。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が自在である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0054】
なお、本実施形態では、ワイパ装置1は、自動車等の車体のフロントガラス2に取り付けられている。しかしながら、ワイパ装置1は、自動車等の車体のフロントガラス2以外にも適用可能である。ワイパ装置1は、例えば、自動車等の車体のサイドガラスや、リヤウインドシールドガラス等に適用可能である。
【0055】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜自在である。
【符号の説明】
【0056】
1…ワイパ装置、2…フロントガラス(ウインドシールドガラス)、3…モータ、10…ワイパブレード、11…ブレード部、31…第1リンク、32…第2リンク、33…支持リンク、34…第3リンク、34a…屈曲部、35…第4リンク、35a…屈曲部、36…第5リンク、37…ピボット、38…第1連結点、39…第2連結点、40…第3連結点、41…第4連結点、42…第5連結点、43…第6連結点、44…第7連結点、A…停止位置、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、L1…第1仮想直線、L2…第2仮想直線、L3…第3仮想直線、L4…第4仮想直線、L5…第5仮想直線、s1…第1寸法、s2…第2寸法、s3…第3寸法、s4…第4寸法、s5…第5寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8