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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】抗脈管形成アデノウイルス
(51)【国際特許分類】
   C12N 7/01 20060101AFI20230315BHJP
   A61K 35/761 20150101ALI20230315BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230315BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230315BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230315BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230315BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230315BHJP
   C12N 15/861 20060101ALN20230315BHJP
【FI】
C12N7/01 ZNA
A61K35/761
A61K45/00
A61P35/00
A61P35/02
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61P43/00 121
C12N15/861 Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019565334
(86)(22)【出願日】2018-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-27
(86)【国際出願番号】 US2018034487
(87)【国際公開番号】W WO2018218083
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】62/510,647
(32)【優先日】2017-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/514,351
(32)【優先日】2017-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518246958
【氏名又は名称】エピセントアールエックス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100187850
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】ラーソン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】リード,トニー,アール.
(72)【発明者】
【氏名】オロンスキー,ブライアン,ティー.
【審査官】松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0270485(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0286999(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0007067(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 7/01
A61K 35/761
A61K 45/00
A61P 35/00
A61P 35/02
A61K 39/395
A61P 43/00
C12N 15/861
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
E1b-19Kの開始コドンとE1b-55Kの開始コドンの間に挿入される、ヒトエンドスタチンおよびヒトアンギオスタチンから選択される第1の治療的トランスジーンをコードする第1のヌクレオチド配列を含む組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルス。
【請求項2】
5型アデノウイルス(Ad5)である、請求項1記載の組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルス。
【請求項3】
該組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルスが、ヒトエンドスタチンおよびヒトアンギオスタチンから選択される第2の治療的トランスジーンをコードする第2のヌクレオチド配列を含み、該第1の治療的トランスジーンと該第2の治療的トランスジーンは同じタンパク質を発現しない、請求項1または2記載の組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルス。
【請求項4】
該組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルスがE3欠失をさらに含む、請求項1~3いずれか記載の組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルス。
【請求項5】
該第2の治療的トランスジーンがpVIIIの停止コドンとFiberの開始コドンの間に挿入され、請求項記載の組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルス。
【請求項6】
該組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルスが、配列番号:7に対して95%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、配列番号:8に対して95%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、配列番号:9に対して95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15および配列番号:16から選択されるアミノ酸配列に対して95%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、配列番号:17に対して95%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、または配列番号:18に対して95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項1~5いずれか記載の組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルス。
【請求項7】
第1および/または第2の治療的トランスジーンが外来性プロモーター配列に操作可能に連結されない、あるいはいずれの治療的トランスジーンも外来性プロモーター配列に操作可能に連結されない、請求項1~いずれか記載の組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルス。
【請求項8】
該組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルスが、Pea3結合部位の欠失をさらに含む、請求項1~7いずれか記載の組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルス。
【請求項9】
該組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルスが、E2F結合部位の欠失をさらに含み、Pea3結合部位の欠失を含まない、請求項1~7いずれか記載の組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルス。
【請求項10】
該組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルスが、機能性TATAボックスの欠失を有するE1aプロモーターを含む、請求項1~いずれか記載の組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルス。
【請求項11】
該組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルスが、機能性CAATボックスの欠失を有するE1aプロモーターを含む、請求項1~10いずれか記載の組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルス。
【請求項12】
該組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルスが、過増殖性細胞中でエンドスタチンおよび/またはアンギオスタチンを選択的に発現する、請求項1~11いずれか記載の組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルス。
【請求項13】
請求項1~12いずれか記載の組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルスおよび少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む、医薬組成物。
【請求項14】
請求項1~12いずれか記載の組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルスの有効量を含む、被験体において腫瘍増殖を阻害するためのまたは癌を治療するための医薬組成物。
【請求項15】
被験体において癌を治療するために(i)請求項1~12いずれか記載の組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルスと(ii)抗脈管形成剤の組み合わせの有効量を含む、癌の治療を必要とする被験体において癌を治療するための医薬組成物。
【請求項16】
癌が、(i)肛門癌、基底細胞癌、膀胱癌、骨癌、脳癌、乳癌、癌腫、胆管癌、子宮頸癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、胃食道癌、胃腸(GI)癌、消化管間質腫瘍、肝細胞癌、婦人科癌、頭頸部癌、血液癌、腎臓癌、白血病、肝臓癌、肺癌、リンパ腫、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、神経内分泌癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、膵臓癌、小児癌、前立腺癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、小細胞肺癌、皮膚の扁平上皮癌、胃癌、精巣癌および甲状腺癌から選択され、(ii)黒色腫、皮膚の扁平上皮癌、基底細胞癌、頭頸部癌、乳癌、肛門癌、子宮頸癌、非小細胞肺癌、中皮腫、小細胞肺癌、腎細胞癌、前立腺癌、胃食道癌、結腸直腸癌、精巣癌、膀胱癌、卵巣癌、肝臓癌、肝細胞癌、胆管癌、脳および中枢神経系の癌、甲状腺癌、子宮内膜癌、神経内分泌癌、リンパ腫、白血病、メルケル細胞癌、消化管間質腫瘍、多発性骨髄腫、子宮癌、肉腫、腎臓癌、眼の癌および膵臓癌から選択され、(iii)胃食道癌、非小細胞肺癌、結腸直腸癌、卵巣癌、白血病、子宮頸癌、脳および中枢神経系の癌、腎臓癌、腫、リンパ腫、眼の癌、ならびにフォン・ヒッペル-リンダウ病から選択され、または(iv)脳および中枢神経系の癌、腎臓癌、眼の癌、腫、肝臓癌、リンパ腫、白血病ならびに生殖細胞系腫瘍から選択される、請求項15記載の医薬組成物。
【請求項17】
抗脈管形成剤が、アフリベルセプト、抗VEGF抗体、スニチニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、バンデタニブ、カボザンチニブ、アキシチニブ、チボザニブ(tivozanib)、リニファニブ(linifanib)、ペガプタニブ、スピロノラクトン、インドメタシン、サリドマイド、インターロイキン-12、抗FGF抗体、チロシンキナーゼ阻害剤、インターフェロン、スラミン、スラミンアナログ、ソマトスタチンおよびソマトスタチンアナログから選択される、請求項15または16記載の医薬組成物。
【請求項18】
医薬組成物が、第2の組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルスと組み合わせて該組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルスを含み、該第2の組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルスが、(i)アセチルコリン、アンドロゲン受容体、抗PD-1抗体重鎖および/または軽鎖、抗PD-L1抗体重鎖および/または軽鎖、BORIS/CTCFL、BRAF、CD19、CD20、CD30、CD80、CD86、CD137、CD137L、CD154、CEA、DKK1/Wnt、EGFRvIII、FGF、gp100、Her-2/neu、ICAM、IL-1、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-9、IL-17、IL-23A/p19、p40、IL-24、IL-27、IL-27A/p28、IL-27B/EBI3、IL-35、インターフェロンγ、KRAS、MAGE、MAGE-A3、MART1、melan-A、メソテリン、MUC-1、NY-ESO-1、ポドカリキシン(Podocalyxin)(Podxl)、p53、TGF-β、TGF-βトラップ、チミジンキナーゼならびにチロシナーゼから選択されるポリペプチドまたはそれらの断片をコードするヌクレオチド配列を含み、(ii)アセチルコリン、アンドロゲン受容体、抗PD-1抗体重鎖および/または軽鎖、抗PD-L1抗体重鎖および/または軽鎖、BORIS/CTCFL、BRAF、CD19、CD20、CD30、CD80、CD86、CD137、CD137L、CD154、CEA、DKK1/Wnt、EGFRvIII、FGF、gp100、Her-2/neu、ICAM、IL-1、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-9、IL-23A/p19、p40、IL-24、インターフェロンγ、KRAS、MAGE、MAGE-A3、MART1、melan-A、メソテリン、MUC-1、NY-ESO-1、ポドカリキシン(Podxl)、p53、TGF-β、TGF-βトラップ、チミジンキナーゼならびにチロシナーゼから選択されるポリペプチドまたはそれらの断片をコードするヌクレオチド配列を含み、あるいは(iii)9D7、アンドロゲン受容体、BAGEファミリータンパク質、β-カテニン、BING-4、BRAF、BRCA1/2、CAGEファミリータンパク質、カルシウム依存性塩素チャンネル2、CD19、CD20、CD30、CDK4、CEA、CML66、CT9、CT10、サイクリン-B1、EGFRvIII、Ep-CAM、EphA3、フィブロネクチン、GAGEファミリータンパク質、gp100/pmel17、Her-2/neu、HPV E6、HPV E7、Ig、未成熟ラミニン受容体、MAGEファミリータンパク質、MART-1/melan-A、MART2、MC1R、メソテリン、ムチンファミリータンパク質、NY-ESO-1/LAGE-1、P.ポリペプチド、p53、ポドカリキシン(Podxl)、PRAME、rasファミリータンパク質、前立腺特異的抗原、SAGEファミリータンパク質、SAP-1、SSX-2、サバイビン(survivin)、TAG-72、TCR、テロメラーゼ、TGF-βRII、TRP-1、TRP-2、チロシナーゼまたはXAGEファミリータンパク質に由来する癌抗原をコードするヌクレオチド配列を含、請求項1517いずれか記載の医薬組成物。
【請求項19】
請求項1~12いずれか記載の組み換え腫瘍崩壊性アデノウイルスの有効量を含む、被験体において血圧を低下させるためのおよび/または被験体において一酸化窒素(NO)産生を増加させるための医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての相互参照
本願は、2017年5月24日に出願された米国仮特許出願第62/510,647号および2017年6月2日に出願された米国仮特許出願第62/514,351号の利益ならびにそれらに対する優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明の分野は、分子生物学およびウイルス学、特に組み換えアデノウイルスおよび組み換えアデノウイルスを使用して被験体を治療する方法である。
【背景技術】
【0003】
背景
癌を引き起こす基礎になる分子機構の広い知識に関わらず、ほとんどの進行した癌は、現在の化学療法および放射線プロトコルでは不治のままである。腫瘍崩壊性ウイルスは、種々の悪性疾患についての現在の標準的な治療を有意に増強させる可能性を有する基盤技術として明らかになっている(Kumar, S. et al. (2008) CURRENT OPINION IN MOLECULAR THERAPEUTICS 10(4):371-379; Kim, D. (2001) EXPERT OPINION ON BIOLOGICAL THERAPY 1(3):525-538; Kim D. (2000) ONCOGENE 19(56):6660-6669)。これらのウイルスは、感染-再生(reproduction)-溶解の一続きの反応により悪性細胞を直接的に破壊するだけでなく、抗腫瘍免疫を間接的に誘導もする腫瘍崩壊性剤としての将来性を示している。これらの免疫刺激特性は、ウイルスが複製するごとにコピーされて発現される治療的トランスジーンの挿入により高められる。
【0004】
以前に開発された腫瘍崩壊性ウイルスとしては、正常細胞においては転写的に弱められるが癌細胞においては転写的に活性であるTAV-255と称される腫瘍崩壊性血清型5アデノウイルスが挙げられる(PCT公開公報WO2010/101921参照)。TAV-255ベクターがこの腫瘍選択性を達成する機構は、特定のDNA配列への結合を介してウイルスが宿主細胞に侵入した後に転写される最初期遺伝子であるE1aのアデノウイルス発現を制御するタンパク質である転写因子Pea3およびE2Fについての3つの転写因子(TF)結合部位の標的化された欠失を介すると考えられる。
【0005】
今日までの努力にかかわらず、ヒト被験体を治療するための改善された腫瘍崩壊性ウイルスについての必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
本発明は部分的に、エンドスタチンおよび/またはアンギオスタチンなどの抗脈管形成因子を効率的に発現し得る組み換えアデノウイルスの発見に基づく。さらに、本発明は部分的に、抗VEGF抗体、例えばベバシズマブを使用した抗癌治療は、抗VEGF抗体を、本明細書に記載される組み換えアデノウイルス、例えばエンドスタチンおよび/またはアンギオスタチン発現アデノウイルスと組み合わせて投与する際に高められ得るという発見に基づく。驚くべきことに、特定の癌について、単独でまたは抗VEGF抗体、例えばベバシズマブと組み合わせて投与される本明細書に記載される組み換えアデノウイルスは、癌の増殖を単に遅延または停止するのではなく、癌を部分的および/または完全な寛解へと進めることが発見された。
【0007】
したがって、一局面において、本発明は、E1b-19K挿入部位に挿入される、エンドスタチンおよびアンギオスタチンから選択される第1の治療的トランスジーンをコードする第1のヌクレオチド配列を含む組み換えアデノウイルスを提供し、ここで該E1b-19K挿入部位は、E1b-19Kの開始部位とE1b-55Kの開始部位の間に配置される。
【0008】
ある態様において、組み換えアデノウイルスは5型アデノウイルス(Ad5)である。
【0009】
ある態様において、E1b-19K挿入部位は、E1b-19Kの開始部位とE1b-19Kの停止部位の間に配置される。ある態様において、E1b-19K挿入部位は、E1b-19Kの開始部位に隣接する約100~約305、約100~約300、約100~約250、約100~約200、約100~約150、約150~約305、約150~約300、約150~約250または約150~約200ヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、E1b-19K挿入部位は、E1b-19Kの開始部位に隣接する約200ヌクレオチド、例えば202または203ヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、E1b-19K挿入部位はAd5ゲノム(配列番号:1)のヌクレオチド1714~1916に対応する欠失を含むか、または第1の治療的トランスジーンは、Ad5ゲノム(配列番号:1)の1713に対応するヌクレオチドと1917に対応するヌクレオチドの間に挿入される。ある態様において、第1の治療的トランスジーンは、CTGACCTC (配列番号:2)とTCACCAGG (配列番号:3)の間に挿入され、例えば組み換えアデノウイルスは、5'~3'の方向で、CTGACCTC (配列番号:2)、第1の治療的トランスジーンおよびTCACCAGG (配列番号:3)を含む。
【0010】
ある態様において、組み換えアデノウイルスは、エンドスタチンおよびアンギオスタチンから選択される第2の治療的トランスジーンをコードする第2のヌクレオチド配列を含む。ある態様において、第2の治療的トランスジーンはE1b-19K挿入部位に挿入され、第1のヌクレオチド配列および第2のヌクレオチド配列は、内部リボソーム進入部位(IRES)により分離される。IRESは、例えば脳心筋炎ウイルス(EMCV)IRES、口蹄疫ウイルス(FMDV)IRESおよびポリオウイルスIRESから選択され得る。IRESは、例えば脳心筋炎ウイルス(EMCV)IRESであり得、例えばIRESは、配列番号:20を含み得る。ある態様において、第1および第2の治療的トランスジーンは、Ad5ゲノム(配列番号:1)の1713に対応するヌクレオチドと1917に対応するヌクレオチドの間に挿入され、例えば第1および第2の治療的トランスジーンは、CTGACCTC (配列番号:2)とTCACCAGG (配列番号:3)の間に挿入され、例えば組み換えアデノウイルスは、5'~3'の方向で、CTGACCTC (配列番号:2)、第1の治療的トランスジーン、IRES、第2の治療的トランスジーンおよびTCACCAGG (配列番号:3)を含む。
【0011】
ある態様において、組み換えアデノウイルスはE3欠失を含む。ある態様において、E3欠失は、約500~約3185、約500~約3000、約500~約2500、約500~約2000、約500~約1500、約500~約1000、約1000~約3185、約1000~約3000、約1000~約2500、約1000~約2000、約1000~約1500、約1500~約3185、約1500~約3000、約1500~約2000、約2000~約3185、約2000~約3000、約2000~約2500、約2500~約3185、約2500~約3000または約3000~約3185ヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、E3欠失部位は、pVIIIの停止部位とFiberの開始部位の間に配置される。ある態様において、E3欠失部位は、E3-10.5Kの停止部位とE3-14.7Kの停止部位の間に配置される。ある態様において、E3欠失は、E3-10.5Kの停止部位に隣接する約500~約1551、約500~約1500、約500~約1000、約1000~約1551、約1000~約1500または約1500~約1551ヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、E3欠失は、E3-10.5Kの停止部位に隣接する約1050ヌクレオチドの欠失を含み、例えばE3欠失は、E3-10.5Kの停止部位に隣接する1063または1064ヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、E3欠失は、Ad5 dl309 E3欠失に対応する欠失を含む。ある態様において、E3欠失は、Ad5ゲノム(配列番号:1)のヌクレオチド29773~30836に対応する欠失を含む。
【0012】
ある態様において、第2の治療的トランスジーンはE3挿入部位に挿入され、ここでE3挿入部位はpVIIIの停止部位とFiberの開始部位の間に配置される。ある態様において、E3挿入部位は、約500~約3185、約500~約3000、約500~約2500、約500~約2000、約500~約1500、約500~約1000、約1000~約3185、約1000~約3000、約1000~約2500、約1000~約2000、約1000~約1500、約1500~約3185、約1500~約3000、約1500~約2000、約2000~約3185、約2000~約3000、約2000~約2500、約2500~約3185、約2500~約3000または約3000~約3185ヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、E3挿入部位は、E3-10.5Kの停止部位とE3-14.7Kの停止部位の間に配置される。ある態様において、E3挿入部位は、E3-10.5Kの停止部位に隣接する約500~約1551、約500~約1500、約500~約1000、約1000~約1551、約1000~約1500または約1500~約1551ヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、E3挿入部位は、E3-10.5Kの停止部位に隣接する約1050ヌクレオチドの欠失を含み、例えばE3挿入部位は、E3-10.5Kの停止部位に隣接する1063または1064ヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、E3挿入部位はAd5 dl309 E3欠失に対応する欠失を含む。ある態様において、E3挿入部位は、Ad5ゲノム(配列番号:1)のヌクレオチド29773~30836に対応する欠失を含むか、または第2の治療的トランスジーンはAd5ゲノム(配列番号:1)の29773に対応するヌクレオチドと30836に対応するヌクレオチドの間に挿入される。ある態様において、第2の治療的トランスジーンはCAGTATGA (配列番号:4)とTAATAAAAAA (配列番号:5)の間に挿入され、例えば組み換えアデノウイルスは、5'~3'の方向で、CAGTATGA (配列番号:4)、第2の治療的トランスジーンおよびTAATAAAAAA (配列番号:5)を含む。
【0013】
ある態様において、前述のアデノウイルスのいずれかにおいて、組み換えアデノウイルスは、配列番号:7もしくは配列番号:8のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、または配列番号:7もしくは配列番号:8に対して80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。ある態様において、前述のアデノウイルスのいずれかにおいて、組み換えアデノウイルスは、配列番号:9もしくは配列番号:10のヌクレオチド配列、または配列番号:9もしくは配列番号:10に対して80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0014】
ある態様において、前述のアデノウイルスのいずれかにおいて、組み換えアデノウイルスは、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16もしくは配列番号:17のアミノ酸配列、または配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16もしくは配列番号:17に対して80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有する配列をコードするヌクレオチド配列を含む。ある態様において、前述のアデノウイルスのいずれかにおいて、組み換えアデノウイルスは、配列番号:18もしくは配列番号:19のヌクレオチド配列、または配列番号:18もしくは配列番号:19に対して80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0015】
ある態様において、前述のアデノウイルスのいずれかにおいて、組み換えアデノウイルスは、配列番号:21のヌクレオチド配列、または配列番号:21に対して80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0016】
ある態様において、前述の組み換えアデノウイルスのいずれかは、少なくとも1つのPea3結合部位またはその機能性部分の欠失を含み得、例えば該アデノウイルスは、E1aの開始部位の上流約-300~約-250に対応するヌクレオチドの欠失またはE1aの開始部位の上流-304もしくは-305~-255に対応するヌクレオチドの欠失を含み得る。ある態様において、組み換えアデノウイルスは、Ad5ゲノム(配列番号:1)の195~244に対応するヌクレオチドの欠失を含み得、および/または組み換えアデノウイルスは、配列GGTGTTTTGG (配列番号:22)を含み得る。ある態様において、前述の組み換えアデノウイルスのいずれかは、少なくとも1つのPea3結合部位またはその機能性部分の欠失を含み得、E2F結合部位の欠失を含み得ない。
【0017】
ある態様において、前述の組み換えアデノウイルスのいずれかは、少なくとも1つのE2F結合部位またはその機能性部分の欠失を含み得る。ある態様において、前述の組み換えアデノウイルスのいずれかは、少なくとも1つのE2F結合部位またはその機能性部分の欠失を含み得、Pea3結合部位の欠失を含み得ない。
【0018】
ある態様において、前述の組み換えアデノウイルスのいずれかは、機能性TATAボックスの欠失、例えばTATAボックス全体の欠失を有するE1aプロモーターを含み得る。例えば、ある態様において、該アデノウイルスは、それぞれAd5ゲノム(配列番号:1)のヌクレオチド472~475、468~475、455~552および353~552に対応するアデノウイルス5型E1aプロモーターの-27~-24、-31~-24、-44~+54または-146~+54に対応するヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、該アデノウイルスは、E1aプロモーターの-29~-26、-33~-26、-44~+52または-148~+52に対応するヌクレオチドの欠失を含み得る。ある態様において、該アデノウイルスは、2つのポリヌクレオチド配列の連結により生じる配列CTAGGACTG (配列番号:23)、AGTGCCCG (配列番号:30)またはTATTCCCG (配列番号:31)を含むアデノウイルスを生じるポリヌクレオチド欠失を含み、該2つのポリヌクレオチド配列は、そうでなければ欠失したポリヌクレオチド配列に隣り合う。ある態様において、該欠失は、Ad5ゲノム(配列番号:1)の353~552に対応するヌクレオチドの欠失を含み、および/またはE1aプロモーターは、配列CTAGGACTG (配列番号:23)を含む。
【0019】
ある態様において、前述の組み換えアデノウイルスのいずれかは、機能性CAATボックスの欠失、例えばCAATボックス全体の欠失を有するE1aプロモーターを含み得る。例えば、ある態様において、該アデノウイルスは、Ad5ゲノム(配列番号:1)のヌクレオチド423~431に対応するアデノウイルス5型E1aプロモーターの-76~-68に対応するヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、該アデノウイルスは、2つのポリヌクレオチド配列の連結により生じる配列TTCCGTGGCG (配列番号:32)を含むアデノウイルスを生じるポリヌクレオチド欠失を含み、該2つのポリヌクレオチド配列は、そうでなければ欠失したポリヌクレオチド配列に隣り合う。
【0020】
ある態様において、第1および/または第2の治療的トランスジーンは、外来性のプロモーター配列に操作可能に連結されない。ある態様において、いずれの治療的トランスジーンも、外来性のプロモーター配列に操作可能に連結されない。
【0021】
ある態様において、前述の組み換えアデノウイルスのいずれかは、過増殖性細胞中で選択的に複製し得る。ある態様において、前述の組み換えアデノウイルスのいずれかは、過増殖性細胞中でエンドスタチンおよび/またはアンギオスタチンを選択的に発現し得る。過増殖性細胞は癌細胞、例えば肺癌細胞、結腸癌細胞および膵臓癌細胞であり得る。ある態様において、前述の組み換えアデノウイルスのいずれかは、腫瘍崩壊性アデノウイルスであり得る。
【0022】
別の局面において、本発明は、前述の組み換えアデノウイルスのいずれかおよび少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【0023】
別の局面において、本発明は、被験体において癌を治療する方法を提供する。該方法は、被験体に、(i)組み換えアデノウイルスおよび(ii)抗脈管形成剤の組み合わせの有効量を投与して、被験体において癌を治療する工程を含む。
【0024】
ある態様において、抗脈管形成剤は、アフリベルセプト、抗VEGF抗体(例えばベバシズマブおよびラニビズマブ)、スニチニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、バンデタニブ、カボザンチニブ、アキシチニブ、チボザニブ(tivozanib)、リニファニブ(linifanib)、ペガプタニブ、スピロノラクトン、インドメタシン、サリドマイド、インターロイキン-12、抗FGF抗体、チロシンキナーゼ阻害剤、インターフェロン、スラミン、スラミンアナログ、ソマトスタチンおよびソマトスタチンアナログから選択される。ある態様において、抗脈管形成剤は、アフリベルセプト、ベバシズマブ、ラニビズマブ、スニチニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、バンデタニブ、カボザンチニブ、アキシチニブ、チボザニブおよびリニファニブから選択される。ある態様において、抗脈管形成剤は、ベバシズマブ、例えば約1mg/kg~約5mg/kgの用量として投与されるベバシズマブまたは約2.5mg/kgの用量で投与されるベバシズマブである。
【0025】
前述の方法のいずれかのある態様において、組み換えアデノウイルスは、少なくとも1つのPea3結合部位またはその機能性部分の欠失を含み得、例えば該アデノウイルスは、E1aの開始部位の上流約-300~約-250に対応するヌクレオチドの欠失またはE1aの開始部位の上流-304~-255に対応するヌクレオチドの欠失を含み得る。ある態様において、組み換えアデノウイルスは、Ad5ゲノム(配列番号:1)の195~244に対応するヌクレオチドの欠失を含み得、および/または組み換えアデノウイルスは、配列GGTGTTTTGG (配列番号:22)を含み得る。
【0026】
前述の方法のいずれかのある態様において、組み換えアデノウイルスは、機能性TATAボックスの欠失、例えばTATAボックス全体の欠失を有するE1aプロモーターを含み得る。例えば、ある態様において、該アデノウイルスは、それぞれAd5ゲノム(配列番号:1)のヌクレオチド472~475、468~475、455~552および353~552に対応するアデノウイルス5型E1aプロモーターの-27~-24、-31~-24、-44~+54または-146~+54に対応するヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、該アデノウイルスは、2つのポリヌクレオチド配列の連結により生じる配列CTAGGACTG (配列番号:23)、AGTGCCCG (配列番号:30)またはTATTCCCG (配列番号:31)を含むアデノウイルスを生じるポリヌクレオチド欠失を含み、該2つのポリヌクレオチド配列は、そうでなければ欠失したポリヌクレオチド配列に隣り合う。
【0027】
前述の方法のいずれかのある態様において、組み換えアデノウイルスは、機能性CAATボックスの欠失、例えばCAATボックス全体の欠失を有するE1aプロモーターを含み得る。例えば、ある態様において、該アデノウイルスは、Ad5ゲノム(配列番号:1)のヌクレオチド423~431に対応するアデノウイルス5型E1aプロモーターの-76~-68に対応するヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、該アデノウイルスは、2つのポリヌクレオチド配列の連結により生じる配列TTCCGTGGCG (配列番号:32)を含むアデノウイルスを生じるポリヌクレオチド欠失を含み、該2つのポリヌクレオチド配列は、そうでなければ欠失したポリヌクレオチド配列に隣り合う。
【0028】
前述の方法のいずれかのある態様において、組み換えアデノウイルスは過増殖性細胞中で選択的に複製し得る。ある態様において、前述の組み換えアデノウイルスのいずれかは過増殖性細胞中でエンドスタチンおよび/またはアンギオスタチンを選択的に発現し得る。過増殖性細胞は、癌細胞、例えば肺癌細胞、結腸癌細胞および膵臓癌細胞であり得る。ある態様において、前述の組み換えアデノウイルスのいずれかは腫瘍崩壊性アデノウイルスであり得る。
【0029】
別の局面において、本発明は、被験体において癌を治療する方法を提供する。該方法は、被験体に、本明細書に記載される組み換えアデノウイルスの有効量を投与して、被験体において癌疾患を治療する工程を含む。組み換えアデノウイルスは、例えば手術、放射線、化学療法、免疫療法、ホルモン療法およびウイルス療法から選択される1つ以上の治療と組み合わせて投与され得る。ある態様において、組み換えアデノウイルスは抗脈管形成剤と組み合わせて投与される。ある態様において、抗脈管形成剤は、アフリベルセプト、抗VEGF抗体(例えばベバシズマブおよびラニビズマブ)、スニチニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、バンデタニブ、カボザンチニブ、アキシチニブ、チボザニブ、リニファニブ、ペガプタニブ、スピロノラクトン、インドメタシン、サリドマイド、インターロイキン-12、抗FGF抗体、チロシンキナーゼ阻害剤、インターフェロン、スラミン、スラミンアナログ、ソマトスタチンおよびソマトスタチンアナログから選択される。ある態様において、抗脈管形成剤は、アフリベルセプト、ベバシズマブ、ラニビズマブ、スニチニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、バンデタニブ、カボザンチニブ、アキシチニブ、チボザニブおよびリニファニブから選択される。ある態様において、組み換えアデノウイルスは、ベバシズマブ、例えば約1mg/kg~約5mg/kgの用量として投与されるベバシズマブまたは約2.5mg/kgの用量で投与されるベバシズマブと組み合わせて投与される。
【0030】
前述の方法のいずれかのある態様において、癌は、肛門癌、基底細胞癌、膀胱癌、骨癌、脳癌、乳癌、癌腫、胆管癌、子宮頸癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、胃食道癌、胃腸(GI)癌、消化管間質腫瘍、肝細胞癌、婦人科癌、頭頸部癌、血液癌、腎臓癌、白血病、肝臓癌、肺癌、リンパ腫、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、神経内分泌癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、膵臓癌、小児癌、前立腺癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、小細胞肺癌、皮膚の扁平上皮癌、胃癌、精巣癌および甲状腺癌から選択される。
【0031】
前述の方法のいずれかのある態様において、癌は、胃食道癌(例えば胃または食道胃接合部腺癌(gastro-esophageal junction adenocarcinoma))、非小細胞肺癌(例えば転移性NSCLC)、結腸直腸癌(例えば転移性結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば白金抵抗性(platinum-resistant)卵巣癌)、白血病、子宮頸癌(例えば後期子宮頸癌)、脳および中枢神経系の癌(例えば神経膠芽腫)、腎臓癌(例えば腎細胞癌)、肉腫(例えば横紋筋肉腫、骨肉腫およびユーイング肉腫)、リンパ腫(例えばホジキンおよび非ホジキン)、眼の癌(例えば脈絡膜黒色腫および網膜芽腫)、ならびにフォン・ヒッペル-リンダウ病から選択される。
【0032】
前述の方法のいずれかのある態様において、癌は、脳および中枢神経系の癌(例えば星状細胞腫、脳幹神経膠腫、頭蓋咽頭腫、線維形成性乳児神経節膠腫(desmoplastic infantile ganglioglioma)、脳室上衣細胞腫、高度神経膠腫、髄芽腫、非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍(atypical teratoid rhabdoid tumor)、神経芽腫)、腎臓癌(例えばウィルムス腫瘍)、眼の癌(例えば網膜芽腫)、肉腫(例えば横紋筋肉腫、骨肉腫およびユーイング肉腫)、肝臓癌(例えば胚芽腫および肝細胞癌)、リンパ腫(例えばホジキンおよび非ホジキン)、白血病ならびに生殖細胞腫瘍から選択される。
【0033】
別の局面において、本発明は、被験体において腫瘍細胞の増殖を阻害する方法を提供する。該方法は、被験体に、本明細書に記載される組み換えアデノウイルスの有効量を投与して、腫瘍細胞の増殖を阻害する工程を含む。
【0034】
別の局面において、本発明は、被験体において腫瘍増殖を阻害する方法を提供する。該方法は、被験体に、本明細書に記載される組み換えアデノウイルスの有効量を投与して、腫瘍細胞の増殖を阻害する工程を含む。
【0035】
前述の方法のいずれかのある態様において、組み換えアデノウイルスは、第2の組み換えアデノウイルスと組み合わせて投与される。ある態様において、第2の組み換えアデノウイルスは腫瘍崩壊性アデノウイルスである。ある態様において、第2の組み換えアデノウイルスは、アセチルコリン、アンドロゲン受容体、抗PD-1抗体重鎖および/または軽鎖、抗PD-L1抗体重鎖および/または軽鎖、BORIS/CTCFL、BRAF、CD19、CD20、CD30、CD80、CD86、CD137、CD137L、CD154、CEA、DKK1/Wnt、EGFRvIII、FGF、gp100、Her-2/neu、ICAM、IL-1、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-9、IL-17、IL-23A/p19、p40、IL-24、IL-27、IL-27A/p28、IL-27B/EBI3、IL-35、インターフェロンγ、KRAS、MAGE、MAGE-A3、MART1、melan-A、メソテリン、MUC-1、NY-ESO-1、ポドカリキシン(Podocalyxin)(Podxl)、p53、TGF-β、TGF-βトラップ、チミジンキナーゼならびにチロシナーゼから選択されるポリペプチドまたはそれらの断片をコードするヌクレオチド配列を含む。ある態様において、第2の組み換えアデノウイルスは、9D7、アンドロゲン受容体、BAGEファミリータンパク質、β-カテニン、BING-4、BRAF、BRCA1/2、CAGEファミリータンパク質、カルシウム活性化塩化物チャンネル2、CD19、CD20、CD30、CDK4、CEA、CML66、CT9、CT10、サイクリン-B1、EGFRvIII、Ep-CAM、EphA3、フィブロネクチン、GAGEファミリータンパク質、gp100/pmel17、Her-2/neu、HPV E6、HPV E7、Ig、未成熟ラミニン受容体、MAGEファミリータンパク質(例えばMAGE-A3)、MART-1/melan-A、MART2、MC1R、メソテリン、ムチンファミリータンパク質(例えばMUC-1)、NY-ESO-1/LAGE-1、P.ポリペプチド、p53、ポドカリキシン(Podxl)、PRAME、rasファミリータンパク質(例えばKRAS)、前立腺特異的抗原、SAGEファミリータンパク質、SAP-1、SSX-2、サバイビン(survivin)、TAG-72、TCR、テロメラーゼ、TGF-βRII、TRP-1、TRP-2、チロシナーゼまたはXAGEファミリータンパク質に由来する癌抗原をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0036】
別の局面において、本発明は、血圧の低下を必要とする被験体において血圧を低下する方法を提供する。該方法は、被験体に、本明細書に記載される組み換えアデノウイルスの有効量を投与して、被験体において血圧を低下する工程を含む。別の局面において、本発明は、一酸化窒素(NO)産生の増加を必要とする被験体において一酸化窒素(NO)産生を増加する方法を提供する。該方法は、被験体に、本明細書に記載される組み換えアデノウイルスの有効量を投与して、被験体において一酸化窒素(NO)産生を増加する工程を含む。別の局面において、本発明は、高血圧の治療および/または予防を必要とする被験体において、高血圧を治療および/または予防する方法を提供する。該方法は、被験体に、本明細書に記載される組み換えアデノウイルスの有効量を投与して、被験体において高血圧を治療および/または予防する工程を含む。前述の局面のそれぞれにおいて、被験体は、VEGF阻害剤も受けているかまたは受けていた。
【0037】
前述の方法のそれぞれにおいて、組み換えアデノウイルスの有効量は例えば102~1015プラーク形成単位(pfu)であり得る。前述の方法のそれぞれにおいて、被験体は、例えばヒト、例えば小児のヒトまたは動物であり得る。
【0038】
前述の方法のそれぞれにおいて、組み換えアデノウイルスは、例えば経口、非経口、経皮、局所、静脈内、皮下、筋内、皮内、眼、硬膜外、気管内、舌下、頬内、直腸、膣、鼻腔または吸入投与により被験体に投与され得る。
【0039】
別の局面において、本発明は、標的細胞においてエンドスタチンおよび/またはアンギオスタチンを発現させる方法を提供する。該方法は、該細胞を、本明細書に記載される組み換えアデノウイルスの有効量に暴露して、標的トランスジーンを発現させる工程を含む。
【0040】
本発明のこれらおよび他の局面および利点は、以下の図面、詳細な説明および特許請求の範囲により説明される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図面の説明
本発明は、以下の図面を参照してより完全に理解され得る。
図1-1】図1A~1Hは、皮下ADS-12腫瘍を保有するマウスにおけるエンドスタチンまたはアンギオスタチンを発現する腫瘍崩壊性アデノウイルスおよび/または抗VEGF-A抗体の抗腫瘍効果を示す折れ線グラフであり、ここで図1Aは、リン酸緩衝化食塩水(「PBS」)およびウイルス製剤化バッファ(「バッファ」)の対照での処置を表し、図1Bは、ベバシズマブのマウスオーソログ(ortholog)(「Bev」)およびウイルス製剤化バッファ対照(「バッファ」)での処置を表し、図1Cは、アンギオスタチン発現TAV-Angアデノウイルス(「Ang」)およびリン酸緩衝化食塩水対照(「PBS」)での処置を表し、図1Dは、ベバシズマブのマウスオーソログ(「Bev」)およびアンギオスタチン発現TAV-Angアデノウイルス(「Ang」)での組み合わせ療法を表す。TAV-Ang、TAV-Endo、TAV-Δ19kおよびウイルス製剤化バッファは、0、4および8日目に腫瘍内注射により投与され、PBSおよびBevは、1、5、7および9日目に腹腔内注射により投与された。それぞれの線は、1匹のマウス(1群当たりn=10)の腫瘍体積を表す。腫瘍体積は長さ・幅2/2として推定した。
図1-2】図1A~1Hは、皮下ADS-12腫瘍を保有するマウスにおけるエンドスタチンまたはアンギオスタチンを発現する腫瘍崩壊性アデノウイルスおよび/または抗VEGF-A抗体の抗腫瘍効果を示す折れ線グラフであり、ここで図1Eは、エンドスタチン発現TAV-Endoアデノウイルス(「Endo」)およびリン酸緩衝化食塩水対照(「PBS」)での処置を表し、図1Fは、ベバシズマブのマウスオーソログ(「Bev」)およびエンドスタチン発現TAV-Endoアデノウイルス(「Endo」)での組み合わせ療法を表し、図1Gは、空のTAV-Δ19kアデノウイルス(「19k」)およびリン酸緩衝化食塩水対照(「PBS」)での処置を表し、図1Hは、ベバシズマブのマウスオーソログ(「Bev」)および空のTAV-Δ19kアデノウイルス(「19k」)での組み合わせ療法を表す。TAV-Ang、TAV-Endo、TAV-Δ19kおよびウイルス製剤化バッファは、0、4および8日目に腫瘍内注射により投与され、PBSおよびBevは、1、5、7および9日目に腹腔内注射により投与された。それぞれの線は、1匹のマウス(1群当たりn=10)の腫瘍体積を表す。腫瘍体積は長さ・幅2/2として推定した。
図2図2は、図1に示される個々の腫瘍体積の平均を示す折れ線グラフである。
図3図3は、図1に示される処置群についての進行なしの生存を示す折れ線グラフである。
図4-1】図4は、図1に記載される同じ処置群のより長い期間の追跡から得られた結果を示す。図4A~4Hは、皮下ADS-12腫瘍を保有するマウスにおけるエンドスタチンまたはアンギオスタチンを発現する腫瘍崩壊性アデノウイルスおよび/または抗VEGF-A抗体の抗腫瘍効果を示す折れ線グラフであり、ここで図4Aは、リン酸緩衝化食塩水(「PBS」)およびウイルス製剤化バッファ(「バッファ」)の対照での処置を表し、図4Bは、ベバシズマブのマウスオーソログ(「Bev」)およびウイルス製剤化バッファ対照(「バッファ」)での処置を表す。TAV-Ang、TAV-Endo、TAV-Δ19kおよびウイルス製剤化バッファは、0、4および8日目に腫瘍内注射により投与され、PBSおよびBevは、1、5、7および9日目に腹腔内注射により投与された。それぞれの線は、1匹のマウス(1群当たりn=10)の腫瘍体積を表す。腫瘍体積は、長さ・幅2/2として推定した。図4および図1は、実験の同じ組からのデータを表す。
図4-2】図4は、図1に記載される同じ処置群のより長い期間の追跡から得られた結果を示す。図4A~4Hは、皮下ADS-12腫瘍を保有するマウスにおけるエンドスタチンまたはアンギオスタチンを発現する腫瘍崩壊性アデノウイルスおよび/または抗VEGF-A抗体の抗腫瘍効果を示す折れ線グラフであり、ここで図4Cは、アンギオスタチン発現TAV-Angアデノウイルス(「Ang」)およびリン酸緩衝化食塩水対照(「PBS」)での処置を表し、図4Dは、ベバシズマブのマウスオーソログ(「Bev」)およびアンギオスタチン発現TAV-Angアデノウイルス(「Ang」)での組み合わせ療法を表す。TAV-Ang、TAV-Endo、TAV-Δ19kおよびウイルス製剤化バッファは、0、4および8日目に腫瘍内注射により投与され、PBSおよびBevは、1、5、7および9日目に腹腔内注射により投与された。それぞれの線は、1匹のマウス(1群当たりn=10)の腫瘍体積を表す。腫瘍体積は、長さ・幅2/2として推定した。図4および図1は、実験の同じ組からのデータを表す。
図4-3】図4は、図1に記載される同じ処置群のより長い期間の追跡から得られた結果を示す。図4A~4Hは、皮下ADS-12腫瘍を保有するマウスにおけるエンドスタチンまたはアンギオスタチンを発現する腫瘍崩壊性アデノウイルスおよび/または抗VEGF-A抗体の抗腫瘍効果を示す折れ線グラフであり、ここで図4Eは、エンドスタチン発現TAV-Endoアデノウイルス(「Endo」)およびリン酸緩衝化食塩水対照(「PBS」)での処置を表し、図4Fはベバシズマブのマウスオーソログ(「Bev」)およびエンドスタチン発現TAV-Endoアデノウイルス(「Endo」)での組み合わせ療法を表す。TAV-Ang、TAV-Endo、TAV-Δ19kおよびウイルス製剤化バッファは、0、4および8日目に腫瘍内注射により投与され、PBSおよびBevは、1、5、7および9日目に腹腔内注射により投与された。それぞれの線は、1匹のマウス(1群当たりn=10)の腫瘍体積を表す。腫瘍体積は、長さ・幅2/2として推定した。図4および図1は、実験の同じ組からのデータを表す。
図4-4】図4は、図1に記載される同じ処置群のより長い期間の追跡から得られた結果を示す。図4A~4Hは、皮下ADS-12腫瘍を保有するマウスにおけるエンドスタチンまたはアンギオスタチンを発現する腫瘍崩壊性アデノウイルスおよび/または抗VEGF-A抗体の抗腫瘍効果を示す折れ線グラフであり、ここで図4Gは、空のTAV-Δ19kアデノウイルス(「19k」)およびリン酸緩衝化食塩水対照(「PBS」)での処置を表し、図4Hは、ベバシズマブのマウスオーソログ(「Bev」)および空のTAV-Δ19kアデノウイルス(「19k」)での組み合わせ療法を表す。TAV-Ang、TAV-Endo、TAV-Δ19kおよびウイルス製剤化バッファは、0、4および8日目に腫瘍内注射により投与され、PBSおよびBevは、1、5、7および9日目に腹腔内注射により投与された。それぞれの線は、1匹のマウス(1群当たりn=10)の腫瘍体積を表す。腫瘍体積は、長さ・幅2/2として推定した。図4および図1は、実験の同じ組からのデータを表す。
図5図5は、図4に示される個々の腫瘍体積の平均を示す折れ線グラフである。
図6図6は、図4に示される処置群についての進行なしの生存を示す折れ線グラフである。
図7図7は、実施例4に記載されるアンギオスタチン発現腫瘍崩壊性アデノウイルスで処置したマウスにおける原発性の腫瘍体積(上)および続発性の腫瘍体積(下)を示す折れ線グラフを示す。
図8-1】図8A~8Dは、皮下ADS-12腫瘍を保有するマウスにおける腫瘍崩壊性アデノウイルスおよび/または抗VEGF-A抗体の抗腫瘍効果を示す折れ線グラフであり、ここで図8Aは、リン酸緩衝化食塩水(「PBS」)およびウイルス製剤化バッファ(「バッファ」)の対照での処置を表し、図8Bは、ベバシズマブのマウスオーソログ(「Bev」)およびウイルス製剤化バッファ対照(「バッファ」)での処置を表す。TAV-Δ19kおよびウイルス製剤化バッファは0、4および8日目に腫瘍内注射により投与され、PBSおよびBevは、1、5、7および9日目に腹腔内注射により投与された。それぞれの線は、1匹のマウスの腫瘍体積を表す。腫瘍体積は、長さ・幅2/2として推定した。
図8-2】図8A~8Dは、皮下ADS-12腫瘍を保有するマウスにおける腫瘍崩壊性アデノウイルスおよび/または抗VEGF-A抗体の抗腫瘍効果を示す折れ線グラフであり、ここで図8Cは、空のTAV-Δ19kアデノウイルス(「19k」)およびリン酸緩衝化食塩水対照(「PBS」)での処置を表し、図8Dは、ベバシズマブのマウスオーソログ(「Bev」)および空のTAV-Δ19kアデノウイルス(「19k」)での組み合わせ療法を表す。TAV-Δ19kおよびウイルス製剤化バッファは0、4および8日目に腫瘍内注射により投与され、PBSおよびBevは、1、5、7および9日目に腹腔内注射により投与された。それぞれの線は、1匹のマウスの腫瘍体積を表す。腫瘍体積は、長さ・幅2/2として推定した。
図9図9は、図8に示す処置群についての治癒率(完全腫瘍寛解)を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
詳細な説明
本発明は部分的に、エンドスタチンおよび/またはアンギオスタチンなどの抗脈管形成因子を効率的に発現し得る組み換えアデノウイルスの発見に基づく。さらに、本発明は部分的に、抗VEGF抗体、例えばベバシズマブを使用した抗癌治療が、抗VEGF抗体を、本明細書に記載される組み換えアデノウイルス、例えばエンドスタチンおよび/またはアンギオスタチンを発現するアデノウイルスと組み合わせて投与した際に、高められ得るという発見に基づく。驚くべきことに、特定の癌について、単独でまたは抗VEGF抗体、例えばベバシズマブと組み合わせて投与された本明細書に記載される組み換えアデノウイルスは、癌の増殖を単に遅延または停止するのではなく、癌を部分的および/または完全な寛解に進ませることが発見された。
【0043】
したがって、一局面において、本発明は、E1b-19K挿入部位に挿入されるエンドスタチンおよびアンギオスタチンから選択される第1の治療的トランスジーンをコードする第1のヌクレオチド配列を含む組み換えアデノウイルスを提供し、ここでE1b-19K挿入部位は、E1b-19Kの開始部位(すなわちE1b-19kの開始コドンをコードする、例えば配列番号:1のヌクレオチド1714~1716に対応するヌクレオチド配列)とE1b-55Kの開始部位(すなわちE1b-55kの開始コドンをコードする、例えば配列番号:1のヌクレオチド2019~2021に対応するヌクレオチド配列)の間に配置される。明細書および特許請求の範囲を通して、2つの部位の間の挿入、例えば(i)第1の遺伝子(例えばE1b-19k)の開始部位と第2の遺伝子(例えばE1b-55K)の開始部位、(ii)第1の遺伝子の開始部位と第2の遺伝子の停止部位、(iii)第1の遺伝子の停止部位と第2の遺伝子の開始部位、または(iv)第1の遺伝子の停止部位と第2の遺伝子の停止部位の間の挿入は、挿入の周囲の所定の開始部位または停止部位を構成するヌクレオチドの全部または一部が、最終的なウイルス中に存在し得るかまたは非存在であり得ることを意味すると理解される。同様に、2つのヌクレオチドの間の挿入は、挿入の周囲にあるヌクレオチドが最終的なウイルス内に存在し得るかまたは非存在であり得ることを意味することが理解される。用語「トランスジーン」は、外来性遺伝子またはポリヌクレオチド配列をいう。用語「治療的トランスジーン」は、ウイルス内で複製および/またはウイルスにより発現された場合に標的細胞、体液、組織、臓器、生理学系または被験体において治療的効果を付与するトランスジーンをいう。
【0044】
ある態様において、E1b-19K挿入部位は、E1b-19Kの開始部位(すなわちE1b-19kの開始コドンをコードする、例えば配列番号:1のヌクレオチド1714~1716に対応するヌクレオチド配列)とE1b-19Kの停止部位(すなわちE1b-19kの停止コドンをコードする、例えば配列番号:1のヌクレオチド2242~2244に対応するヌクレオチド配列)の間に配置される。ある態様において、E1b-19K挿入部位は、E1b-19Kの開始部位に隣接する約100~約305、約100~約300、約100~約250、約100~約200、約100~約150、約150~約305、約150~約300、約150~約250または約150~約200ヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、E1b-19K挿入部位は、E1b-19Kの開始部位に隣接する約200ヌクレオチド、例えば202または203ヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、E1b-19K挿入部位は、Ad5ゲノム(配列番号:1)のヌクレオチド1714~1916に対応する欠失を含む。ある態様において、第1の治療的トランスジーンは、Ad5ゲノム(配列番号:1)の1713に対応するヌクレオチドと1917に対応するヌクレオチドの間に挿入される。ある態様において、第1の治療的トランスジーンは、CTGACCTC (配列番号:2)とTCACCAGG (配列番号:3)の間に挿入され、例えば組み換えアデノウイルスは、5'~3'の方向で、CTGACCTC (配列番号:2)、第1の治療的トランスジーンおよびTCACCAGG (配列番号:3)を含む。CTGACCTC (配列番号:2)およびTCACCAGG (配列番号:3)は、Ad5ゲノム(配列番号:1)内にE1b-19K挿入部位に対する特有の境界配列を画定する。明細書および特許請求の範囲を通して、部位に隣接する欠失、例えば遺伝子の開始部位に隣接する欠失または遺伝子の停止部位に隣接する欠失は、該欠失が所定の開始部位または停止部位を構成するヌクレオチドの全部、一部またはゼロ個の(none)欠失を含み得ることを意味すると理解される。
【0045】
ある態様において、組み換えアデノウイルスは、エンドスタチンおよびアンギオスタチンから選択される第2の治療的トランスジーンをコードする第2のヌクレオチド配列を含み、ここで第2の治療的トランスジーンはE1b-19K挿入部位に挿入され、第1のヌクレオチド配列および第2のヌクレオチド配列は、内部リボソーム進入部位(IRES)により分離される。IRESは、例えば脳心筋炎ウイルス(EMCV)IRES、口蹄疫ウイルス(FMDV)IRESおよびポリオウイルスIRESから選択され得る。IRESは、例えば配列番号:20を含み得る。ある態様において、第1および第2の治療的トランスジーンは、Ad5ゲノム(配列番号:1)の1713に対応するヌクレオチドと1917に対応するヌクレオチドの間に挿入され、例えば第1および第2の治療的トランスジーンは、CTGACCTC (配列番号:2)とTCACCAGG (配列番号:3)の間に挿入され、例えば組み換えアデノウイルスは、5'~3'の方向で、CTGACCTC (配列番号:2)、第1の治療的トランスジーン、IRES、第2の治療的トランスジーンおよびTCACCAGG (配列番号:3)を含む。
【0046】
ある態様において、組み換えアデノウイルスはE3欠失を含む。ある態様において、E3欠失は、約500~約3185、約500~約3000、約500~約2500、約500~約2000、約500~約1500、約500~約1000、約1000~約3185、約1000~約3000、約1000~約2500、約1000~約2000、約1000~約1500、約1500~約3185、約1500~約3000、約1500~約2000、約2000~約3185、約2000~約3000、約2000~約2500、約2500~約3185、約2500~約3000または約3000~約3185ヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、E3欠失は、pVIIIの停止部位(すなわちpVIIIの停止コドンをコードする、例えば配列番号:1のヌクレオチド27855~27857に対応するヌクレオチド配列)とFiberの開始部位(すなわちFiberの開始コドンをコードする、例えば配列番号:1のヌクレオチド31042~31044に対応するヌクレオチド配列)の間に配置される。ある態様において、E3欠失部位は、E3-10.5Kの停止部位(すなわちE3-10.5Kの停止コドンをコードする、例えば配列番号:1のヌクレオチド29770~29772に対応するヌクレオチド配列)とE3-14.7Kの停止部位(すなわちE3-14.7Kの停止コドンをコードする、例えば配列番号:1のヌクレオチド30837~30839に対応するヌクレオチド配列)の間に配置される。ある態様において、E3欠失は、E3-10.5Kの停止部位に隣接する約500~約1551、約500~約1500、約500~約1000、約1000~約1551、約1000~約1500または約1500~約1551ヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、E3欠失は、E3-10.5Kの停止部位に隣接する約1050ヌクレオチドの欠失を含み、例えばE3欠失は、E3-10.5Kの停止部位に隣接する1063または1064ヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、E3欠失は、Ad5 dl309 E3欠失に対応する欠失を含む。ある態様において、E3欠失は、Ad5ゲノム(配列番号:1)のヌクレオチド29773~30836に対応する欠失を含む。
【0047】
ある態様において、E3欠失は、E3-gp19Kの停止部位(すなわちE3-gp19Kの停止コドンをコードする、例えば配列番号:1のヌクレオチド29215~29217に対応するヌクレオチド配列)とE3-14.7Kの停止部位(すなわちE3-14.7Kの停止コドンをコードする、例えば配列番号:1のヌクレオチド30837~30839に対応するヌクレオチド配列)の間に配置される。ある態様において、E3欠失は、E3-gp19Kの停止部位に隣接する約500~約1824、約500~約1500、約500~約1000、約1000~約1824、約1000~約1500または約1500~約1824ヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、E3欠失は、E3-gp19Kの停止部位に隣接する約1600ヌクレオチドの欠失を含み、例えばE3欠失は、E3-gp19Kの停止部位に隣接する1622ヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、E3欠失は、Ad5ゲノム(配列番号:1)のヌクレオチド29218~30839に対応する欠失を含む。
【0048】
ある態様において、組み換えアデノウイルスは、エンドスタチンおよびアンギオスタチンから選択される第2の治療的トランスジーンをコードする第2のヌクレオチド配列を含み、ここで第2の治療的トランスジーンは、E3挿入部位に挿入される。ある態様において、E3挿入部位は、pVIIIの停止部位(すなわちpVIIIの停止コドンをコードする、例えば配列番号:1のヌクレオチド27855~27857に対応するヌクレオチド配列)とFiberの開始部位(すなわちFiberの開始コドンをコードする、例えば配列番号:1のヌクレオチド31042~31044に対応するヌクレオチド配列)の間に配置される。ある態様において、E3挿入部位は、約500~約3185、約500~約3000、約500~約2500、約500~約2000、約500~約1500、約500~約1000、約1000~約3185、約1000~約3000、約1000~約2500、約1000~約2000、約1000~約1500、約1500~約3185、約1500~約3000、約1500~約2000、約2000~約3185、約2000~約3000、約2000~約2500、約2500~約3185、約2500~約3000または約3000~約3185ヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、E3挿入部位は、E3-10.5Kの停止部位(すなわちE3-10.5Kの停止コドンをコードする、例えば配列番号:1のヌクレオチド29770~29772に対応するヌクレオチド配列)とE3-14.7Kの停止部位(すなわちE3-14.7Kの停止コドンをコードする、例えば配列番号:1のヌクレオチド30837~30839に対応するヌクレオチド配列)の間に配置される。ある態様において、E3挿入部位は、E3-10.5Kの停止部位に隣接する約500~約1551、約500~約1500、約500~約1000、約1000~約1551、約1000~約1500または約1500~約1551ヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、E3挿入部位は、E3-10.5Kの停止部位に隣接する約1050ヌクレオチドの欠失を含み、例えばE3挿入部位は、E3-10.5Kの停止部位に隣接する1063または1064ヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、E3挿入部位は、Ad5 dl309 E3欠失に対応する欠失を含む。ある態様において、E3挿入部位は、Ad5ゲノム(配列番号:1)のヌクレオチド29773~30836に対応する欠失を含む。ある態様において、第2の治療的トランスジーンは、Ad5ゲノム(配列番号:1)の29773に対応するヌクレオチドと30836に対応するヌクレオチドの間に挿入される。ある態様において、第2の治療的トランスジーンは、CAGTATGA (配列番号:4)とTAATAAAAAA (配列番号:5)の間に挿入され、例えば組み換えアデノウイルスは、5'~3'の方向で、CAGTATGA (配列番号:4)、第2の治療的トランスジーンおよびTAATAAAAAA (配列番号:5)を含む。CAGTATGA (配列番号:4)およびTAATAAAAAA (配列番号:5)は、Ad5ゲノム(配列番号:1)内でE3挿入部位に対する特有の境界配列を画定する。
【0049】
ある態様において、E3挿入部位は、E3-gp19Kの停止部位(すなわちE3-gp19Kの停止コドンをコードする、例えば配列番号:1のヌクレオチド29215~29217に対応するヌクレオチド配列)とE3-14.7Kの停止部位(すなわちE3-14.7Kの停止コドンをコードする、例えば配列番号:1のヌクレオチド30837~30839に対応するヌクレオチド配列)の間に配置される。ある態様において、E3挿入部位は、E3-gp19Kの停止部位に隣接する約500~約1824、約500~約1500、約500~約1000、約1000~約1824、約1000~約1500または約1500~約1824ヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、E3挿入部位は、E3-gp19Kの停止部位に隣接する約1600ヌクレオチドの欠失を含み、例えばE3挿入部位は、E3-gp19Kの停止部位に隣接する1622ヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、E3挿入部位は、Ad5ゲノム(配列番号:1)のヌクレオチド29218~30839に対応する欠失を含む。ある態様において、第2の治療的トランスジーンは、Ad5ゲノム(配列番号:1)の29218に対応するヌクレオチドと30839に対応するヌクレオチドの間に挿入される。ある態様において、第2の治療的トランスジーンはTGCCTTAA (配列番号:33)とTAAAAAAAAAT (配列番号:34)の間に挿入され、例えば組み換えアデノウイルスは、5'~3'の方向で、TGCCTTAA (配列番号:33)、第2の治療的トランスジーンおよびTAAAAAAAAAT (配列番号:34)を含む。TGCCTTAA (配列番号:33)およびTAAAAAAAAAT (配列番号:34)は、Ad5ゲノム(配列番号:1)内でE3挿入部位に対する特有の境界配列を画定する。
【0050】
ある態様において、組み換えアデノウイルスはE4欠失を含む。ある態様において、E4欠失は、E4-ORF6/7の開始部位(すなわちE4-ORF6/7の開始コドンをコードする、例えば配列番号:1のヌクレオチド34075~34077に対応するヌクレオチド配列)と右逆方向末端反復(right inverted terminal repeat) (ITR;例えば配列番号:1のヌクレオチド35836~35938に対応する)の間に配置される。ある態様において、E4欠失は、E4-ORF6/7の開始部位とE4-ORF1の開始部位(すなわちE4-ORF1の開始コドンをコードする、例えば配列番号:1のヌクレオチド35524~35526に対応するヌクレオチド配列)の間に配置される。ある態様において、E4欠失は、E4-ORF6/7の開始部位とE4-ORF1の開始部位の間のヌクレオチド配列の欠失を含む。ある態様において、E4欠失は、約500~約2500、約500~約2000、約500~約1500、約500~約1000、約1000~約2500、約1000~約2000、約1000~約1500、約1500~約2500、約1500~約2000または約2000~約2500ヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、E4欠失は、E4-ORF6/7の開始部位に隣接する約250~約1500、約250~約1250、約250~約1000、約250~約750、約250~約500、500~約1500、約500~約1250、約500~約1000、約500~約750、750~約1500、約750~約1250、約750~約1000、約1000~約1500,または約1000~約1250ヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、E4欠失は、E4-ORF6/7の開始部位に隣接する約1450ヌクレオチドの欠失を含み、例えばE4欠失は、E4-ORF6/7の開始部位に隣接する約1449ヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、E4欠失は、Ad5ゲノム(配列番号:1)のヌクレオチド34078~35526に対応する欠失を含む。
【0051】
ある態様において、組み換えアデノウイルスは腫瘍崩壊性アデノウイルス、例えば腫瘍選択的複製および/またはウイルス媒介性溶解を示すアデノウイルスである。ある態様において、該腫瘍崩壊性アデノウイルスは、非過増殖性細胞と比較して、過増殖性細胞、例えば癌細胞において治療的トランスジーンの選択的発現を可能にする。ある態様において、非過増殖性細胞における治療的トランスジーンの発現は、過増殖性細胞における発現の約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約10%または約5%である。ある態様において、該アデノウイルスは、非過増殖性細胞において、治療的トランスジーンの検出可能な発現を示さない。治療的トランスジーン発現は、当該技術分野で公知の任意の適切な方法、例えばウエスタンブロットまたはELISAにより決定され得る。
【0052】
過増殖性細胞は、セクションIVにおいて以下により詳細に記載される癌細胞、例えば癌腫、肉腫、白血病、リンパ腫、前立腺癌、肺癌、胃腸管癌、結腸直腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、胃癌、甲状腺癌、中皮腫、肝臓癌、腎臓癌、皮膚癌、頭頸部癌または脳癌の細胞であり得る。
【0053】
I. ウイルス
用語「ウイルス」は、タンパク質合成機構またはエネルギー生成機構を有さない偏性細胞内寄生体のいずれかをいうために本明細書において使用される。ウイルスゲノムはRNAまたはDNAであり得る。本発明の実施において有用なウイルスとしては、組み換えにより改変されたエンベロープを含むかまたはエンベロープを含まないDNAウイルスおよびRNAウイルスが挙げられ、好ましくはバキュロウイルス科、パルボウイルス科、ピコルナウイルス科(picornoviridiae)、ヘルペスウイルス科、ポックスウイルス科(poxyiridae)またはアデノウイルス科から選択される。組み換えにより改変されたウイルスは、本明細書において「組み換えウイルス」と称される。組み換えウイルスは、例えば複製欠陥、条件的複製もしくは複製コンピテントとなるように組み換えDNA技術により改変され得るか、および/または外来性トランスジーンの発現を含むように組み換えDNA技術により改変され得る。親ベクターの特性のそれぞれの有利な要素を利用するキメラウイルスベクター(例えばFeng et al. (1997) NATURE BIOTECHNOLOGY 15:866-870参照)も、本発明の実施に有用であり得る。治療される種由来のウイルスを使用することが一般的に好ましいが、いくつかの例において、好ましい病原性特徴を有する異なる種由来のベクターを使用することが有利であり得る。例えば、ヒト遺伝子治療のためのウマヘルペスウイルスベクターがPCT公開公報WO98/27216に記載される。該ベクターは、ウマウイルスがヒトに対して病原性でないためにヒトの治療に有用であると記載される。同様に、ヒツジアデノウイルスベクターは、ヒトアデノウイルスベクターに対する抗体を回避すると主張されているので、ヒトの遺伝子療法に使用され得る。かかるベクターは、PCT公開公報WO97/06826に記載される。
【0054】
好ましくは、組み換えウイルスはアデノウイルスである。アデノウイルスは、ヌクレオカプシドおよび二本鎖線状DNAゲノムで構成される、中程度の大きさ(90~100nm)のエンベロープを有さない(ネイキッド)正二十面体ウイルスである。アデノウイルスは、宿主の複製機構を使用して哺乳動物細胞の核内で複製する。用語「アデノウイルス」は、アデノウイルス属(genus Adenoviridiae)の任意のウイルスをいい、限定されないが、ヒト、ウシ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ブタ、マウスおよびサルのアデノウイルス亜属が挙げられる。特に、ヒトアデノウイルスとしてはA~F亜属およびそれらの個々の血清型が挙げられ、個々の血清型およびA~F亜属としては限定されないが、ヒトアデノウイルスの1、2、3、4、4a、5、6、7、8、9、10、11(Ad11aおよびAd11p)、12、13、14、15、16、17、18、19、19a、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、34a、35、35p、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48および91型が挙げられる。ヒトアデノウイルスの2および5型由来の組み換えウイルスが好ましい。そうではないと記載されない限り、全てのアデノウイルス5型ヌクレオチド番号は、本明細書において配列番号:1に示されるNCBI参照配列AC_000008.1に関連する。
【0055】
アデノウイルス複製サイクルは2つの段階:4つの転写単位(E1、E2、E3およびE4)が発現される初期段階、およびウイルスDNA合成の開始後、後期転写産物が主要後期プロモーター(major late promoter)(MLP)から主に発現される際に起こる後期段階を有する。後期メッセージは、ウイルスの構造タンパク質のほとんどをコードする。E1、E2およびE4の遺伝子産物は、転写活性化、細胞形質転換、ウイルスDNA複製およびその他のウイルス機能の原因であり、ウイルス増殖に必要である。
【0056】
用語「操作可能に連結される」は、機能的な関係にあるポリヌクレオチド要素の連結をいう。核酸配列は、別の核酸配列と機能的な関係に配置される場合に「操作可能に連結される」。例えば、プロモーターまたはエンハンサーは、遺伝子の転写に影響を及ぼす場合に、遺伝子に操作可能に連結される。操作可能に連結されるヌクレオチド配列は典型的に連続である。しかしながら、エンハンサーは一般的に、プロモーターから数キロベース離れ、イントロン配列が一定でない(variable)長さであり得る場合に機能するので、いくつかのポリヌクレオチド要素は操作可能に連結され得るが、直接的に隣り合わず、異なる対立遺伝子または染色体からトランスに機能さえし得る。
【0057】
ある態様において、該ウイルスは、制御配列またはプロモーターに対して1つ以上の改変を有する。制御配列またはプロモーターに対する改変は、制御配列またはプロモーターの野生型配列と比較して、1つ以上のヌクレオチドの欠失、置換または付加を含む。
【0058】
ある態様において、制御配列またはプロモーターの改変は、例えば転写因子結合部位配列の一部を欠失することによりまたは該結合部位に1つの点変異を挿入することにより、転写因子に対する親和性を低減するような、転写因子結合部位の配列の改変を含む。ある態様において、さらなる改変された制御配列は、新生物細胞における発現を高めるが、正常細胞における発現を弱める。
【0059】
ある態様において、改変された制御配列は、タンパク質をコードする配列に操作可能に連結される。ある態様において、アデノウイルスE1aおよびE1b遺伝子(コーディング領域)の少なくとも1つは、改変された制御配列に操作可能に連結される。ある態様において、E1a遺伝子は、改変された制御配列に操作可能に連結される。
【0060】
E1a制御配列は、Pea3 I、Pea3 II、Pea3 III、Pea3 IVおよびPea3 Vと命名される転写因子Pea3に対する5つの結合部位を含み、Pea3 Iは、E1a開始部位に対して最も近位にあるPea3結合部位であり、Pea3 Vは最も遠位にある。E1a制御配列はまた、本明細書でE2F IおよびE2F IIと命名される転写因子E2Fに対する結合部位を含み、E2F Iは、E1a開始部位に対して最も近位にあるE2F結合部位であり、E2F IIはより遠位にある。結合部位はE1a開始部位から以下のように整列される:Pea3 I、E2F I、Pea3 II、E2F II、Pea3 III、Pea3 IVおよびPea3 V。
【0061】
ある態様において、これらの7つの結合部位の少なくとも1つまたはそれらの機能性部分が欠失される。「機能性部分」は、欠失された場合に機能性、例えば結合部位のそのそれぞれの転写因子(Pea3またはE2F)への結合親和性を、完全な配列に対して、例えば少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%だけ低下または排除さえする結合部位の一部である。ある態様において、1つ以上の結合部位の全体が欠失される。ある態様において、1つ以上の結合部位の機能性部分が欠失される。「欠失された結合部位」は、結合部位の全体の欠失および機能性部分の欠失の両方を包含する。2つ以上の結合部位が欠失される場合、結合部位の全体の欠失および機能性部分の欠失の任意の組み合わせが使用され得る。
【0062】
ある態様において、少なくとも1つのPea3結合部位またはその機能性部分が欠失される。欠失されるPea3結合部位はPea3 I、Pea3 II、Pea3 III、Pea3 IVおよび/またはPea3 Vであり得る。ある態様において、欠失されるPea3結合部位はPea3 II、Pea3 III、Pea3 IVおよび/またはPea3 Vである。ある態様において、欠失されるPea3結合部位はPea3 IVおよび/またはPea3 Vである。ある態様において、欠失されるPea3結合部位はPea3 IIおよび/またはPea3 IIIである。ある態様において、欠失されるPea3結合部位はPea3 IIおよびPea3 IIIの両方である。ある態様において、Pea3 I結合部位またはその機能性部分は保持される。
【0063】
ある態様において、少なくとも1つのE2F結合部位またはその機能性部分が欠失される。ある態様において、少なくとも1つのE2F結合部位またはその機能性部分は保持される。ある態様において、保持されるE2F結合部位はE2F Iおよび/またはE2F IIである。ある態様において、保持されるE2F結合部位はE2F IIである。ある態様において、全欠失は本質的に、Pea3 II、Pea3 III、Pea3 IVおよび/またはPea3 Vあるいはそれらの機能性部分の1つ以上からなる。
【0064】
ある態様において、組み換えアデノウイルスは、以降TAV-255欠失と称する、例えばAd5ゲノム(配列番号:1)の195~244に対応するE1a開始部位の上流-304~-255に配置される50塩基対の領域の欠失を有する。ある態様において、TAV-255欠失は、配列GGTGTTTTGG(配列番号:22)を含むE1aプロモーターを生じる。
【0065】
ある態様において、組み換えアデノウイルスは、機能性TATAボックスの欠失、例えばTATAボックス全体の欠失を有するE1aプロモーターを含む。本明細書で使用する場合、「機能性TATAボックス」は、TATAボックス結合タンパク質(TBP)に結合し得るTATAボックス、例えば対応する野生型TATAボックス配列のTBP結合活性の少なくとも100%、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%または少なくとも40%を有するTATAボックスをいう。本明細書で使用する場合、「非機能性TATAボックス」は、例えば対応する野生型TATAボックス配列のTBP結合活性の30%未満、20%未満、10%未満または0%を有するTATAボックスをいう。TBPがTATAボックスに結合するかどうかを決定するためのアッセイは当該技術分野において公知である。例示的な結合アッセイとしては、電気泳動移動度シフトアッセイ、クロマチン免疫沈降アッセイおよびDNAseフットプリンティングアッセイが挙げられる。
【0066】
例えば、ある態様において、組み換えアデノウイルスは、それぞれAd5ゲノム(配列番号:1)のヌクレオチド472~475、468~475、455~552および353~552に対応するアデノウイルス5型E1aプロモーターの-27~-24、-31~-24、-44~+54または-146~+54に対応するヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、該アデノウイルスは、アデノウイルス5型E1aプロモーターの-29~-26、-33~-26、-44~+52または-148~+52に対応するヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、該アデノウイルスは、Ad5ゲノム(配列番号:1)の353~552に対応するヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、該アデノウイルスは、2つのポリヌクレオチド配列の連結から生じる配列CTAGGACTG (配列番号:23)、AGTGCCCG (配列番号:30)またはTATTCCCG (配列番号:31)を含むアデノウイルスを生じるポリヌクレオチド欠失を含み、該2つのポリヌクレオチド配列は、そうでなければ欠失したポリヌクレオチド配列に隣り合う。ある態様において、該アデノウイルスは、配列CTAGGACTG (配列番号:23)を含むアデノウイルスを生じるポリヌクレオチド欠失を含む。
【0067】
ある態様において、組み換えアデノウイルスは、機能性CAATボックスの欠失、例えばCAATボックス全体の欠失を有するE1aプロモーターを含む。本明細書で使用する場合、「機能性CAATボックス」は、C/EBPまたはNF-Yタンパク質に結合し得るCAATボックス、例えば対応する野生型CAATボックス配列のC/EBPまたはNF-Y結合活性の少なくとも100%、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%または少なくとも40%を有するCAATボックスをいう。本明細書で使用する場合、「非機能性CAATボックス」は、例えば対応する野生型CAATボックス配列のC/EBPまたはNF-Y結合活性の30%未満、20%未満、10%未満または0%を有するCAATボックスをいう。C/EBPまたはNF-Yタンパク質がCAATボックスに結合するかどうかを決定するためのアッセイは当該技術分野で公知である。例示的な結合アッセイとしては、電気泳動移動度シフトアッセイ、クロマチン免疫沈降アッセイおよびDNAseフットプリンティングアッセイが挙げられる。
【0068】
例えば、ある態様において、組み換えアデノウイルスは、Ad5ゲノム(配列番号:1)のヌクレオチド423~431に対応するアデノウイルス5型E1aプロモーターの-76~-68に対応するヌクレオチドの欠失を含む。ある態様において、該アデノウイルスは、2つのポリヌクレオチド配列の連結により生じる配列TTCCGTGGCG (配列番号:32)を含むアデノウイルスを生じるポリヌクレオチド欠失を含み、該2つのポリヌクレオチド配列は、そうでなければ欠失したポリヌクレオチド配列に隣り合う。
【0069】
アデノウイルスE1b-19k遺伝子は主に抗アポトーシス遺伝子として機能し、細胞性抗アポトーシス遺伝子BCL-2のホモログである。子孫ウイルス粒子の成熟の前の宿主細胞死はウイルス複製を制限するので、E1b-19kは、成熟前の細胞死を防ぎ、それにより感染を進行させ成熟ビリオンを生成させるためのE1カセットの一部として発現される。したがって、ある態様において、E1b-19K挿入部位を含む組み換えウイルスが提供され、例えば該アデノウイルスは、E1b-19K挿入部位に挿入された治療的トランスジーンをコードするヌクレオチド配列を有する。ある態様において、該アデノウイルスは、E1b-19K挿入部位に挿入された治療的トランスジーンをコードするヌクレオチド配列を含み、ここで該挿入部位は、E1b-19Kの開始部位(すなわちE1b-19kの開始コドンをコードする、例えば配列番号:1のヌクレオチド1714~1716に対応するヌクレオチド配列)とE1b-55Kの開始部位(すなわちE1b-55kの開始コドンをコードする、例えば配列番号:1のヌクレオチド2019~2021に対応するヌクレオチド配列)の間に配置される。
【0070】
ある態様において、IX-E2挿入部位を含む組み換えウイルスが提供され、例えばアデノウイルスは、IX-E2挿入部位に挿入される治療的トランスジーン、例えばエンドスタチンおよび/またはアンギオスタチンをコードするヌクレオチド配列を有する。ある態様において、IX-E2挿入部位は、IXの停止コドンをコードするヌクレオチド配列とIVa2の停止コドンをコードするヌクレオチド配列の間に配置される。ある態様において、該ヌクレオチド配列は、Ad5ゲノム(配列番号:1)の4029に対応するヌクレオチドと4093に対応するヌクレオチドの間に挿入される。ある態様において、該ヌクレオチド配列は、Ad5ゲノム(配列番号:1)の4029に対応するヌクレオチドと4050に対応するヌクレオチドの間、4051に対応するヌクレオチドと4070に対応するヌクレオチドの間または4071に対応するヌクレオチドと4093に対応するヌクレオチドの間に挿入される。ある態様において、IX-E2挿入部位は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55または60ヌクレオチドの欠失を含む。
【0071】
ある態様において、L5-E4挿入部位を含む組み換えウイルスが提供され、例えばアデノウイルスは、L5-E4挿入部位に挿入される治療的トランスジーン、例えばエンドスタチンおよび/またはアンギオスタチンをコードするヌクレオチド配列を有する。ある態様において、L5-E4挿入部位は、Fiberの停止コドンをコードするヌクレオチド配列とE4-ORF6またはE4ORF6/7の停止コドンをコードするヌクレオチド配列の間に配置される。ある態様において、該ヌクレオチド配列は、Ad5ゲノム(配列番号:1)の32785~32916に対応するヌクレオチドの間に挿入される。ある態様において、該ヌクレオチド配列は、Ad5ゲノム(配列番号:1)の32785に対応するヌクレオチドと32800に対応するヌクレオチドの間、32801に対応するヌクレオチドと32820に対応するヌクレオチドの間、32821に対応するヌクレオチドと32840に対応するヌクレオチドの間、32841に対応するヌクレオチドと32860に対応するヌクレオチドの間、32861に対応するヌクレオチドと32880に対応するヌクレオチドの間、32881に対応するヌクレオチドと32900に対応するヌクレオチドの間または32901に対応するヌクレオチドと32916に対応するヌクレオチドの間に挿入される。ある態様において、L5-E4挿入部位は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125または130ヌクレオチドの欠失を含む。
【0072】
II. ウイルス産生の方法
本発明の組み換えウイルスを産生するための方法は当該技術分野で公知である。典型的に、開示されるウイルスは、感染性ウイルス粒子を産生させるのに適した条件下で、トランスフェクトされたかまたは感染された宿主細胞を培養することを含む従来技術を使用して、適切な宿主細胞株中で産生される。ウイルス遺伝子をコードする核酸をプラスミドに組み込み得、従来のトランスフェクションまたは形質転換技術により宿主細胞に導入し得る。開示されるウイルスの産生に適した例示的な宿主細胞としては、HeLa、Hela-S3、HEK293、911、A549、HER96またはPER-C6細胞などのヒト細胞株が挙げられる。特定の産生および精製の条件は、使用するウイルスおよび産生系に応じて変化する。アデノウイルスについて、ウイルス粒子の生成のための伝統的な方法は、その後のシャトルプラスミド(通常アデノウイルスゲノムの小サブセットを含み、任意にあり得るトランスジーン発現カセットを含む)およびアデノウイルスヘルパープラスミド(全アデノウイルスゲノムのほとんどを含む)のインビボ組み換えへと続く共トランスフェクションである。
【0073】
アデノウイルスの生成のための代替的な技術としては、細菌人工染色体(BAC)系、相補的アデノウイルス配列を含む2つのプラスミドを利用するrecA+細菌株におけるインビボ細菌組み換え、および酵母人工染色体(YAC)系の利用が挙げられる。
【0074】
産生後、感染性ウイルス粒子を培養から回収して、任意に精製する。典型的な精製工程としては、プラーク精製、遠心分離、例えば塩化セシウム勾配遠心分離、清澄化、酵素処置、例えばベンゾナーゼまたはプロテアーゼ処置、クロマトグラフィー工程、例えばイオン交換クロマトグラフィーまたはろ過工程が挙げられ得る。
【0075】
III. 治療的トランスジーン
開示される組み換えウイルスは、エンドスタチンおよびアンギオスタチンから選択される治療的トランスジーンをコードするヌクレオチド配列を含み得る。ある態様において、開示される組み換えウイルスは、それぞれ第1および第2の治療的トランスジーンをコードする第1のヌクレオチド配列および第2のヌクレオチド配列を含み得る。第1および/または第2の治療的トランスジーンは、エンドスタチンおよびアンギオスタチンから選択され得る。
【0076】
腫瘍が直径約2mm3を超えて成長する場合、腫瘍は、栄養および酸素を供給し、廃棄物を除去するための血管の独立ネットワークの増殖を必要とする。この新たな血管形成、すなわち新生血管形成は腫瘍脈管形成として公知である。前脈管形成因子としては、血管内皮増殖因子(VEGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、上皮増殖因子(EGF)、インターロイキン8(IL-8)およびアンギオポイエチンが挙げられる。エンドスタチンおよびアンギオスタチンは、新生血管形成を阻害することが報告される天然に存在する抗脈管形成タンパク質である。
【0077】
エンドスタチンは、コラーゲンXVIIIのタンパク質分解性断片である。NCBI参照配列NP_085059.2に対応する例示的なヒトコラーゲンXVIIIアミノ酸配列を配列番号:6に示す。
【0078】
エンドスタチンは、異なる部位でのコラーゲンXVIIIのタンパク質分解性切断により生じ得る。コラーゲンXVIIIのC末端にある非コラーゲン性1(NC1)ドメインは一般的に、エンドスタチンの抗脈管形成効果の原因であると考えられる。例示的なヒトコラーゲンXVIII NC1ドメインアミノ酸配列を配列番号:7に示す。したがって、本明細書で使用する場合、用語「エンドスタチン」は、配列番号:7のアミノ酸配列を含むか、または配列番号:7に対して80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%より高い配列同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質、または例えば配列番号:7に存在する会合ドメインを介して非共有結合により三量体へとオリゴマー化し得る前述のいずれかの断片を意味することが理解される。オリゴマー化は、例えばサイズ排除クロマトグラフィー、分析的超遠心分離、散乱技術、NMR分光学、等温滴定熱量測定、蛍光異方性および質量分析法を含む、当該技術分野で公知の任意の方法によりアッセイされ得る。
【0079】
ある態様において、開示される組み換えウイルスは、配列番号:7もしくは配列番号:8のアミノ酸配列、または配列番号:7もしくは配列番号:8に対して80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有する配列をコードするヌクレオチド配列を含む。ある態様において、開示される組み換えウイルスは、配列番号:9もしくは配列番号:10のヌクレオチド配列、または配列番号:9もしくは配列番号:10に対して80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0080】
アンギオスタチンは、プラスミノーゲンのタンパク質分解性断片である。NCBI参照配列NP_000292.1に対応する例示的なヒトプラスミノーゲンアミノ酸配列を、配列番号:11に示す。
【0081】
アンギオスタチンは、異なる部位でのプラスミノーゲンのタンパク質分解性切断により生じ得る。プラスミノーゲンは、一般的にアンギオスタチンの抗脈管形成効果の原因であると考えられる5つのクリングルドメインを有する。ヒトプラスミノーゲンの第1のクリングルドメインの例示的なアミノ酸配列を配列番号:12に示し、ヒトプラスミノーゲンの第2のクリングルドメインの例示的なアミノ酸配列を配列番号:13に示し、ヒトプラスミノーゲンの第3のクリングルドメインの例示的なアミノ酸配列を配列番号:14に示し、ヒトプラスミノーゲンの第4のクリングルドメインの例示的なアミノ酸配列を配列番号:15に示し、ヒトプラスミノーゲンの第5のクリングルドメインの例示的なアミノ酸配列を配列番号:16に示す。したがって、本明細書で使用する場合、用語「アンギオスタチン」は、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15もしくは配列番号:16のアミノ酸配列を含むか、もしくは配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15もしくは配列番号:16に対して80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%より高い配列同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質、または内皮細胞移動および/または内皮細胞増殖に拮抗し得る前述のいずれかの断片を意味することが理解される。内皮細胞移動および/または増殖は、例えばGuo et al. (2014) METHODS MOL. BIOL. 1135: 393-402に記載されるものを含む、当該技術分野で公知の任意の方法によりアッセイされ得る。
【0082】
ある態様において、開示される組み換えウイルスは、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16もしくは配列番号:17のアミノ酸配列、または配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16もしくは配列番号:17に対して80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有する配列をコードするヌクレオチド配列を含む。ある態様において、開示される組み換えウイルスは、配列番号:18もしくは配列番号:19のヌクレオチド配列、または配列番号:18もしくは配列番号:19に対して80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0083】
配列同一性は、当該技術分野における技術の範囲内にある種々の方法で、例えば公的に利用可能なコンピューターソフトウェア、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign (DNASTAR)ソフトウェアを使用して決定され得る。プログラムblastp、blastn、blastx、tblastnおよびtblastxにより使用されるアルゴリズムを使用したBLAST (Basic Local Alignment Search Tool)分析(Karlin et al., (1990) PROC. NATL. ACAD. SCI. USA 87:2264-2268; Altschul, (1993) J. MOL. EVOL. 36, 290-300; Altschul et al., (1997) NUCLEIC ACIDS RES. 25:3389-3402、参照により援用される)は、配列類似性の検索のために調整される。配列データベースの検索における基本的な問題の議論については、参照により十分に援用されるAltschul et al., (1994) NATURE GENETICS 6:119-129参照。当業者は、比較される配列の全長にわたり最大の整列(alignment)を達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、整列を測定するための適切なパラメーターを決定し得る。ヒストグラム、ディスクリプション、アラインメント、エクスペクト(すなわちデータベース配列に対する適合を報告するための統計的有意さ閾値)、カットオフ、マトリックスおよびフィルターについての検索パラメーターは、デフォルト設定にある。blastp、blastx、tblastnおよびtblastxにより使用されるデフォルトスコアリングマトリックスは、BLOSUM62マトリックスである(Henikoff et al., (1992) PROC. NATL. ACAD. SCI. USA 89:10915-10919、参照により十分に援用される)。4つのblastnパラメーターは以下の通りに調整され得る:Q=10(ギャップ生成ペナルティー);R=10(ギャップ伸長ペナルティー(gap extension penalty));wink=1(クエリに沿ってwink.sup.thの位置毎にワードヒットを生じる);およびgapw=16(ギャップのあるアラインメントが生成されるウィンドウ幅を設定する)。同等のBlastpパラメーター設定は、Q=9;R=2;wink=1;およびgapw=32であり得る。検索はまた、NCBI (National Center for Biotechnology Information) BLAST Advanced Optionパラメーターを使用して実施され得る(例えば:-G、オープンギャップについてのコスト[整数]:デフォルト=ヌクレオチドについて5/タンパク質について11;-E、伸長ギャップについてのコスト[整数]:デフォルト=ヌクレオチドについて2/タンパク質について1;-q、ヌクレオチドミスマッチについてのペナルティー[整数]:デフォルト=-3;-r、ヌクレオチド適合についての報酬(reward)[整数]:デフォルト=1;-e、予測値[実数]:デフォルト=10;-W、ワードサイズ[整数]:デフォルト=ヌクレオチドについて11/megablastについて28/タンパク質について3;-y、ビットでのblast伸長についてのドロップオフ(X):デフォルト=blastnについて20/その他について7;-X、ギャップのあるアラインメントについてのXドロップオフ値(ビット(in bit)):デフォルト=全てのプログラムについて15であるがblastnには適用可能ではない;および-Z、ギャップのあるアラインメントについての最終Xドロップオフ値(ビット):blastnについて50、その他について25)。ペアワイズタンパク質アラインメントについてのClustalWも使用され得る(デフォルトパラメータは、例えばBlosum62マトリックスおよびギャップオープンペナルティー(Gap Opening Penalty)=10およびギャップ伸長ペナルティー=0.1を含み得る)。GCGパッケージバージョン10.0において利用可能な配列間の最適合比較はDNAパラメーターGAP=50(ギャップ生成ペナルティー)およびLEN=3(ギャップ伸長ペナルティー)を使用し、タンパク質比較における同等の設定はGAP=8およびLEN=2である。
【0084】
IV. 治療の方法
治療的使用のために、組み換えウイルスは、好ましくは薬学的に許容可能な担体と合わされる。本明細書で使用する場合、「薬学的に許容可能な担体」は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応または他の問題もしくは合併症を有さず、妥当な利益/リスク比と釣り合ったヒトおよび動物の組織との接触における使用に適切なバッファ、担体および賦形剤を意味する。担体(1つまたは複数)は、製剤の他の成分と適合性であり、レシピエントに対して有害でないという意味において「許容可能である」べきである。薬学的に許容可能な担体としては、医薬投与に適合性であるバッファ、溶媒、分散媒、コーティング、等張剤および吸収遅延剤等が挙げられる。薬学的に活性な物質についてのかかる媒体および剤の使用は当該技術分野で公知である。
【0085】
本明細書に開示される組み換えウイルスを含む医薬組成物は、単位剤型で与えられ得、任意の適切な方法で調製され得る。医薬組成物は、その意図される投与経路と適合性であるように製剤化されるべきである。投与経路の例は、静脈内(IV)、皮内、吸入、眼内、鼻腔内、経皮、局所、経粘膜、経直腸、経口、非経口、皮下、筋内、眼、硬膜外、気管内、舌下、頬側、経膣および経鼻の投与である。
【0086】
例示的な投与経路は、IV注入である。有用な製剤は、医薬の分野で公知の方法により調製され得る。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th ed. (Mack Publishing Company, 1990)参照。非経口投与に適した製剤化成分としては、注射用水、食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムなどの酸化防止剤;EDTAなどのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などのバッファ;および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張性調整のための剤が挙げられる。
【0087】
静脈内投与について、適切な担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor ELTM (BASF, Parsippany, NJ)またはリン酸緩衝化食塩水(PBS)が挙げられる。担体は、製造および貯蔵の条件下で安定であるべきであり、微生物から保護されるべきである。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、およびそれらの適切な混合物を含む溶媒または分散媒であり得る。
【0088】
好ましくは、医薬製剤は滅菌されている。滅菌は、任意の適切な方法、例えば滅菌濾過膜を用いた濾過により達成され得る。組成物が凍結乾燥される場合、濾過滅菌は、凍結乾燥および再構成の前または後に行われ得る。
【0089】
本明細書で使用する場合、用語「有効量」は、有益または望ましい結果をもたらすのに十分な活性成分の量(例えば本発明の組み換えウイルスの量)をいう。有効量は1つ以上の投与、適用または用量で投与され得、特定の製剤または投与経路に限定されることを意図しない。
【0090】
ある態様において、活性成分の治療有効量は、0.1mg/kg~100mg/kg、例えば1mg/kg~100mg/kg、1mg/kg~10mg/kg、1mg/kg~5mg/kg、10mg/kg、7.5mg/kg、5mg/kgまたは2.5mg/kgの範囲である。ある態様において、組み換えウイルスの治療有効量は、102~1015プラーク形成単位(pfu)、例えば102~1010、102~105、105~1015、105~1010または1010~1015プラーク形成単位の範囲である。投与量は、治療される疾患または徴候(indication)の型および程度、被験体の全体的な健康、活性成分のインビボ効力、医薬製剤ならびに投与経路などの変数に依存する。所望の血液レベルまたは組織レベルを迅速に達成するために、初期用量は高い方のレベルを超えて増加され得る。代替的に、初期用量は最適よりも小さくあり得、日用量は治療の過程の間に段々に増加され得る。ヒト用量は、例えば0.5mg/kg~20mg/kgで実施するように設計される従来の第I相用量増加試験において最適化され得る。投与頻度は、投与経路、投与量、組み換えウイルスの半減期および治療される疾患などの要因に応じて変化し得る。例示的な投与頻度は、1日に1回、1週間に1回および2週間毎に1回である。好ましい投与経路は非経口、例えば静脈内注入である。
【0091】
本明細書に開示される組み換えアデノウイルスは、種々の医学的徴候を治療するために使用され得る。例えば、組み換えアデノウイルスは、癌を治療するために使用され得る。癌細胞の増殖を阻害または低減するように、癌細胞を、組み換えアデノウイルスの治療有効量に暴露する。本発明は、被験体において癌を治療する方法を提供する。該方法は、被験体に、本発明の組み換えアデノウイルスの有効量を、単独でまたは別の治療剤と組み合わせてのいずれかで投与して、被験体において癌を治療する工程を含む。ある態様において、被験体への組み換えアデノウイルスの有効量の投与により、被験体における腫瘍負荷は、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%だけ低減される。
【0092】
本明細書で使用する場合、「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」および「治療(treatment)」は、被験体、例えばヒトにおける疾患の治療を意味する。これは、(a)疾患を阻害すること、すなわちその進展を止めること;および(b)疾患を軽減すること、すなわち疾患状態の後退を引き起こすことを含む。本明細書で使用する場合、用語「被験体」および「患者」は、本明細書に記載される方法および組成物により治療される生物をいう。好ましくは、かかる生物としては限定されないが、哺乳動物(例えば、マウス、サル、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ等)が挙げられ、より好ましくはヒトが挙げられる。
【0093】
癌の例としては、固形腫瘍、軟部組織腫瘍、血液の腫瘍および転移性の病変が挙げられる。血液の腫瘍の例としては、白血病、急性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、B細胞、T細胞またはFAB ALL、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ球白血病(CLL)、例えば変形(transformed)CLL、びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫、毛様細胞性白血病、骨髄異形成症候群(myelodyplastic syndrome)(MDS)、リンパ腫、ホジキン病、悪性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫またはリクター症候群(リクター形質転換(Richter's Transformation))が挙げられる。固形腫瘍の例としては悪性疾患、例えば種々の臓器系の肉腫、腺癌および癌腫、例えば頭部および頸部(咽頭を含む)、甲状腺、肺(小細胞または非小細胞肺癌(NSCLC))、乳房、リンパ系、胃腸(例えば口腔、食道、胃、肝臓、膵臓、小腸、結腸および直腸、肛門管)、生殖器および尿生殖器管(例えば腎臓、尿路上皮、膀胱、卵巣、子宮、子宮頸、子宮内膜、前立腺、精巣)、CNS(例えば神経またはグリア細胞、例えば神経芽腫または神経膠腫)、または皮膚(例えば黒色腫)が冒されるものが挙げられる。
【0094】
ある態様において、癌は、肛門癌、基底細胞癌、膀胱癌、骨癌、脳癌、乳癌、癌腫、胆管癌、子宮頸癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、胃食道癌、胃腸(GI)癌、消化管間質腫瘍、肝細胞癌、婦人科癌、頭頸部癌、血液癌、腎臓癌、白血病、肝臓癌、肺癌、リンパ腫、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、神経内分泌癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、膵臓癌、小児癌、前立腺癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、小細胞肺癌、皮膚の扁平上皮癌、胃癌、精巣癌および甲状腺癌から選択される。
【0095】
ある態様において、癌は、胃食道癌(例えば胃または食道胃接合部腺癌(gastro-esophageal junction adenocarcinoma))、非小細胞肺癌(例えば転移性NSCLC)、結腸直腸癌(例えば転移性結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば白金抵抗性卵巣癌)、白血病、子宮頸癌(例えば後期子宮頸癌)、脳および中枢神経系の癌(例えば神経膠芽腫)、腎臓癌(例えば腎細胞癌)、肉腫(例えば横紋筋肉腫、骨肉腫およびユーイング肉腫)、リンパ腫(例えばホジキンおよび非ホジキン)、眼の癌(例えば脈絡膜黒色腫および網膜芽腫)、ならびにフォン・ヒッペル-リンダウ病から選択される。
【0096】
ある態様において、開示される方法は、小児の被験体において癌を治療するために使用される。例えば、ある態様において、癌は、脳および中枢神経系の癌(例えば星状細胞腫、脳幹神経膠腫、頭蓋咽頭腫、線維形成性乳児神経節膠腫、脳室上衣細胞腫、高度神経膠腫、髄芽腫、非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍(atypical teratoid rhabdoid tumor)、神経芽腫)、腎臓癌(例えばウィルムス腫瘍)、眼の癌(例えば網膜芽腫)、肉腫(例えば横紋筋肉腫、骨肉腫およびユーイング肉腫)、肝臓癌(例えば胚芽腫および肝細胞癌)、リンパ腫(例えばホジキンおよび非ホジキン)、白血病ならびに生殖細胞系腫瘍から選択される。
【0097】
ある態様において、組み換えアデノウイルスは、1つ以上の治療、例えば手術、放射線、化学療法、免疫療法、ホルモン療法またはウイルス療法と組み合わせて被験体に投与される。
【0098】
ある態様において、組み換えアデノウイルスは抗脈管形成剤と組み合わせて投与される。ある態様において、抗脈管形成剤は、アフリベルセプト、抗VEGF抗体(例えばベバシズマブおよびラニビズマブ)、スニチニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、バンデタニブ、カボザンチニブ、アキシチニブ、チボザニブ、リニファニブ、ペガプタニブ、スピロノラクトン、インドメタシン、サリドマイド、インターロイキン-12、抗FGF抗体、チロシンキナーゼ阻害剤、インターフェロン、スラミン、スラミンアナログ、ソマトスタチンおよびソマトスタチンアナログから選択される。ある態様において、抗脈管形成剤は、VEGF阻害剤、例えばアフリベルセプト、ベバシズマブ、ラニビズマブ、スニチニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、バンデタニブ、カボザンチニブ、アキシチニブ、チボザニブおよびリニファニブから選択されるVEGF阻害剤である。ある態様において、組み換えアデノウイルスは、ベバシズマブと組み合わせて投与される。ある態様において、抗脈管形成剤の投与は、より効果的であり、例えば組み換えアデノウイルスの非存在下で抗脈管形成剤が投与される場合に見られるよりも低い用量の抗脈管形成剤で同等の効果が見られる。例えば、ある態様において、組み換えアデノウイルスは、ベバシズマブ、例えば5mg/kg未満、4mg/kg未満、3mg/kg未満、2mg/kg未満、1mg/kg未満、0.5mg/kg未満、約0.5mg/kg~約5mg/kg、約0.5mg/kg~約4mg/kg、約0.5mg/kg~約3mg/kg、約0.5mg/kg~約2mg/kg、約0.5mg/kg~約1mg/kg、約1mg/kg~約5mg/kg、約1mg/kg~約4mg/kg、約1mg/kg~約3mg/kg、約1mg/kg~約2mg/kg、約2mg/kg~約5mg/kg、約2mg/kg~約4mg/kg、約2mg/kg~約3mg/kg、約3mg/kg~約5mg/kg、約3mg/kg~約4mg/kg、約4mg/kg~約5mg/kg、約5mg/kg、約4mg/kg、約3mg/kg、約2.5mg/kg、約2mg/kg、約1mg/kgまたは約0.5mg/kgの用量で投与されるベバシズマブと組み合わせて投与される。
【0099】
ある態様において、組み換えアデノウイルスは、第2の組み換えアデノウイルスと組み合わせて投与される。ある態様において、第2の組み換えアデノウイルスは腫瘍崩壊性アデノウイルスである。ある態様において、第2の組み換えアデノウイルスは、アセチルコリン、アンドロゲン受容体、抗PD-1抗体重鎖および/または軽鎖、抗PD-L1抗体重鎖および/または軽鎖、BORIS/CTCFL、BRAF、CD19、CD20、CD30、CD80、CD86、CD137、CD137L、CD154、CEA、DKK1/Wnt、EGFRvIII、FGF、gp100、Her-2/neu、ICAM、IL-1、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-9、IL-17、IL-23A/p19、p40、IL-24、IL-27、IL-27A/p28、IL-27B/EBI3、IL-35、インターフェロンγ、KRAS、MAGE、MAGE-A3、MART1、melan-A、メソテリン、MUC-1、NY-ESO-1、ポドカリキシン(Podxl)、p53、TGF-β、TGF-βトラップ、チミジンキナーゼならびにチロシナーゼから選択されるポリペプチドまたはそれらの断片をコードするヌクレオチド配列を含む。ある態様において、第2の組み換えアデノウイルスは、9D7、アンドロゲン受容体、BAGEファミリータンパク質、β-カテニン、BING-4、BRAF、BRCA1/2、CAGEファミリータンパク質、カルシウム依存性塩素チャンネル(calcium-activated chloride channel)2、CD19、CD20、CD30、CDK4、CEA、CML66、CT9、CT10、サイクリン-B1、EGFRvIII、Ep-CAM、EphA3、フィブロネクチン、GAGEファミリータンパク質、gp100/pmel17、Her-2/neu、HPV E6、HPV E7、Ig、未成熟ラミニン受容体、MAGEファミリータンパク質(例えばMAGE-A3)、MART-1/melan-A、MART2、MC1R、メソテリン、ムチンファミリータンパク質(例えばMUC-1)、NY-ESO-1/LAGE-1、P.ポリペプチド、p53、ポドカリキシン(Podxl)、PRAME、rasファミリータンパク質(例えばKRAS)、前立腺特異的抗原、SAGEファミリータンパク質、SAP-1、SSX-2、サバイビン、TAG-72、TCR、テロメラーゼ、TGF-βRII、TRP-1、TRP-2、チロシナーゼまたはXAGEファミリータンパク質に由来する癌抗原をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0100】
ある態様において、本発明の組み換えアデノウイルスは、チロシンキナーゼ阻害剤、例えばエルロチニブと組み合わせて投与される。
【0101】
ある態様において、本発明の組み換えアデノウイルスは、チェックポイント阻害剤、例えば抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体と組み合わせて投与される。例示的な抗PD-1抗体としては、例えばニボルマブ(Opdivo(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Co.)、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標)、Merck Sharp & Dohme Corp.)、PDR001 (Novartis Pharmaceuticals)およびピジリズマブ(pidilizumab) (CT-011、Cure Tech)が挙げられる。例示的な抗PD-L1抗体としては、例えばアテゾリズマブ(Tecentriq(登録商標)、Genentech)、デュバルマブ(duvalumab) (AstraZeneca)、MEDI4736、アベルマブおよびBMS 936559 (Bristol Myers Squibb Co.)が挙げられる。
【0102】
ある態様において、本発明の組み換えアデノウイルスは、抗炎症剤と組み合わせて投与される。ある態様において、本発明の組み換えアデノウイルスは、眼の癌の治療のための抗炎症剤と組み合わせて投与される。例示的な抗炎症剤としては、ステロイド性抗炎症剤(例えばグルココルチコイド(コルチコステロイド)、例えばヒドロコルチゾン(コルチゾール)、酢酸コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸デオキシコルチコステロン(doca)およびアルドステロン)および非ステロイド性抗炎症剤(NSAID;例えばアスピリン、コリンおよびサリチル酸マグネシウム、サリチル酸コリン、セレコキシブ、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、メソプロストールを伴うジクロフェナクナトリウム(diclofenac sodium with misoprostol)、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェンカルシウム、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、サリチル酸マグネシウム、メクロフェナム酸ナトリウム、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、オキサプロジン、ピロキシカム、ロフェコキシブ(rofecoxib)、サルサレート(salsalate)、サリチル酸ナトリウム、スリンダク、トルメチンナトリウム、バルデコキシブおよびインターロイキン、例えばIL-1、IL-4、IL-6、IL-10、IL-11およびIL-13)が挙げられる。
【0103】
本発明は、被験体において脈管構造を正常化する、すなわち被験体において血流および/または腫瘍への酸素の送達を増加する方法を提供する。該方法は、被験体に、本発明の組み換えアデノウイルスの有効量を、単独でまたは別の治療剤と組み合わせるかのいずれかで投与して、被験体において脈管構造を正常化する工程を含む。ある態様において、被験体への組み換えアデノウイルスの有効量の投与は、被験体において血流および/または腫瘍への酸素の送達を、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%だけ増加させる。脈管正常化は、例えば造影超音波(contrast enhanced ultrasound)(例えばダイナミック造影超音波(dynamic contrast enhanced ultrasound))およびFLT-PETを含む当該技術分野で公知の方法によりアッセイされ得る。したがって、本発明はまた、腫瘍への治療剤の送達を増加する方法を提供する。該方法は、被験体に、本発明の組み換えアデノウイルスの有効量を、別の治療剤と組み合わせて投与して、腫瘍への治療剤の送達を増加させる工程を含む。ある態様において、別の治療剤と組み合わせた組み換えアデノウイルスの有効量の投与は、腫瘍への治療剤の送達を、組み換えアデノウイルスの非存在下での治療剤の投与と比較して、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%だけ増加させる。ある態様において、治療剤は、組み換えアデノウイルスと同時にまたは組み換えアデノウイルスの直後に投与される。
【0104】
本発明はまた、血圧の低下を必要とする被験体において血圧を低下する方法を提供する。該方法は、被験体に、本明細書に記載される組み換えアデノウイルスの有効量を投与して、被験体において血圧を低下させる工程を含む。本明細書で使用する場合、「血圧」は、収縮期血圧、拡張期血圧または拡張期血圧に対する収縮期血圧の比をいい得る。ある態様において、被験体への組み換えアデノウイルスの有効量の投与により、血圧は、組み換えアデノウイルスを投与する前の被験体の血圧と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%または少なくとも50%だけ低下される。血圧は当該技術分野で公知の方法によりアッセイされ得る。本発明はまた、被験体において高血圧、すなわち高い血圧を治療および/または予防する方法を提供する。該方法は、被験体に、本明細書に記載される組み換えアデノウイルスの有効量を投与して、被験体において高血圧を治療および/または予防する工程を含む。
【0105】
本発明はまた、一酸化窒素(NO)産生または一酸化窒素(NO)レベルの増加を必要とする被験体において、一酸化窒素(NO)産生または一酸化窒素(NO)レベルを増加させる方法を提供する。該方法は、被験体に、本明細書に記載される組み換えアデノウイルスの有効量を投与して、被験体においてNO産生またはNOレベルを増加する工程を含む。NOは血圧の調節に主要な役割を果たす。NO産生またはレベルは被験体の細胞、体液、組織、臓器または生理学系において増加され得る。ある態様において、NO産生またはレベルは、細胞、例えば内皮細胞もしくは平滑筋細胞、または体液、例えば血清において増加される。ある態様において、被験体への組み換えアデノウイルスの有効量の投与により、被験体におけるNO産生またはレベルは、組み換えアデノウイルスを投与する前のNO産生またはレベルと比較して、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも100%だけ増加される。NO産生は、例えばMiles et al. (1996) METHODS ENZYMOL. 268:105-20に記載されるような、例えば蛍光測定法を含む当該技術分野で公知の方法によりアッセイされ得る。
【0106】
VEGF阻害剤に伴う毒性副作用である高血圧は用量制限的である。したがって、前述の方法のそれぞれのある態様において、被験体はVEGF阻害剤を受けているかまたは受けていた。
【0107】
本発明はまた、被験体において脈管形成関連障害を治療する方法を提供する。該方法は、被験体に、本発明の組み換えアデノウイルスの有効量を、単独でまたは別の治療剤と組み合わせてのいずれかで投与して、被験体において該障害を治療する工程を含む。本明細書で使用する場合、脈管形成関連障害は、過剰に活発または病原性の脈管形成に関連する任意の障害をいう。例示的な脈管形成関連障害としては、良性腫瘍、血液由来腫瘍(blood-borne tumor)、肥満、原発性副甲状腺機能亢進症、続発性副甲状腺機能亢進症、三次性副甲状腺機能亢進症、角膜移植拒絶、コンタクトレンズオーバーウェアー(contact lens overwear)、ライム病、ベーチェット病、帯状疱疹、梅毒、レーザー後合併症、鎌状赤血球貧血、アテローム性プラーク、関節リウマチ、乾癬、糖尿病性網膜症、未熟網膜症、酒さ、ケロイド、黄斑変性、血管腫、甲状腺肥大、子癇前症、結膜毛細管拡張(conjunctival telangiectasia)、強皮症、クローン病、子宮内膜症、脂肪細胞疾患、化膿性肉芽腫、潮紅、酒さ、血管線維腫および創傷肉芽形成が挙げられる。
【0108】
本明細書で使用する場合、用語「組み合わせて」投与されるは、被験体の障害による苦痛の過程の間に、被験体に対する治療の効果がある時点で(at a point in time)重複するように、2つ(またはそれ以上)の異なる治療を被験体に送達することを意味することが理解される。ある態様において、1つの治療の送達は、第2の送達が開始された場合に依然として行われているので、投与期間の重複がある。これは本明細書において時々「同時(simultaneous)」または「同時(concurrent)送達」と称される。他の態様において、1つの治療の送達は、他の治療の送達が開始する前に終了する。いずれかの場合のいくつかの態様において、組み合わせの投与のために治療はより効果的になる。例えば、第2の治療はより効果的であり、例えばより少ない第2の治療で同等の効果が見られるか、もしくは第2の治療は、第2の治療を第1の治療の非存在下で投与した場合に見られるよりも大きな程度まで症状を低減し、または第1の治療により同様の状況が見られる。ある態様において、送達は、症状または障害に関連のある他のパラメーターの低減がもう一方の治療の非存在下で1つの治療を送達した場合に観察されるものよりも大きくなるようなものである。2つの治療の効果は、部分的に相加的、全体的に相加的または相加的よりも大きくあり得る。送達は、送達される第1の治療の効果が第2のものを送達する場合に依然として検出可能であるようなものであり得る。
【0109】
ある態様において、組み換えアデノウイルスの有効量は、被験体における抗原に対する免疫応答を測定することにより同定され、および/または被験体を治療する方法は、被験体において抗原に対する免疫応答を測定する工程をさらに含む。過増殖性疾患、例えば癌は免疫抑制により特徴付けられ得、被験体における抗原に対する免疫応答の測定は、被験体における免疫抑制のレベルを示し得る。したがって、被験体における抗原に対する免疫応答の測定は、治療の効力および/または組み換えアデノウイルスの有効量を示し得る。被験体における抗原に対する免疫応答は、当該技術分野で公知の任意の方法により測定され得る。ある態様において、抗原に対する免疫応答は、被験体の皮膚の注射部位で被験体に抗原を注射して、注射部位での硬変のサイズまたは炎症の量を測定することにより測定される。ある態様において、抗原に対する免疫応答は、抗原への暴露の際の被験体の細胞からのサイトカイン(例えばインターフェロンγ、IL-4および/またはIL-5)の放出により測定される。
【0110】
明細書を通して、ウイルス、組成物および系が特定の成分を有する、含む(including)または含む(comprising)と記載される場合、またはプロセスおよび方法が特定の工程を有する、含む(including)または含む(comprising)と記載される場合、追加的に、記載される成分から本質的になるかまたは記載される成分からなる本発明の組成物、デバイスおよび系があることならびに記載されるプロセス工程から本質的になるかまたは記載されるプロセス工程からなる本発明のプロセスおよび方法があることが企図される。
【0111】
本願において、要素もしくは成分が記載される要素もしくは成分のリストに含まれるおよび/または該リストから選択されるといわれる場合、要素もしくは成分は、記載される要素もしくは成分のいずれか1つであり得るか、または要素もしくは成分は記載される要素もしくは成分の2つ以上からなる群より選択され得ることが理解されるべきである。
【0112】
さらに、本明細書に記載されるウイルス、組成物、系、方法またはプロセスの要素および/または特徴は、本明細書において明示的であるか黙示的であるのいずれにせよ、本発明の精神および範囲を逸脱することなく種々の方法で組み合され得ることが理解されるべきである。例えば、特定のウイルスについて参照がなされる場合、該ウイルスは、文脈からそうではないと理解されない限り、本発明の組成物および/または本発明の方法の種々の態様で使用され得る。すなわち、本願の範囲内で、態様は、明確かつ簡潔な適用が記載および図示されるのを可能にする様式で記載され、示されるが、態様は、本教示および発明(1つまたは複数)から逸脱することなく、種々に組み合され得るかまたは分離され得ることが意図され理解される。例えば、本明細書に記載されかつ示される全ての特徴は、本明細書に記載されかつ示される発明(1つまたは複数)の全ての局面に適用可能であり得ることが理解される。
【0113】
文脈および用途からそうではないと理解されない限り、語句「の少なくとも1つ」は個々に、該語句の後に記載される物のそれぞれおよび記載される物の2つ以上の種々の組み合わせを含むことが理解されるべきである。3つ以上の記載される物に関しての語句「および/または」は、文脈からそうではないと理解されない限り、同じ意味を有することが理解されるべきである。
【0114】
用語「含む(include)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(have)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含む(contain)」、「含む(contains)」または「含む(containing)」の使用は、それらの文法上の同等物を含めて、そうではないと具体的に記されるかまたは文脈から理解されない限り、一般的に開放型であり非限定的であり、例えば記載されないさらなる要素または工程を排除しないと理解されるべきである。
【0115】
本明細書の種々の場所において、ウイルス、組成物、系、プロセスおよび方法またはそれらの特徴は、群または範囲において開示される。該記載は、かかる群および範囲の構成メンバーのそれぞれおよび全ての個々の下位組み合わせ(subcombination)を含むことが具体的に意図される。他の例として、1~20の範囲の整数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20を個々に開示することが具体的に意図される。
【0116】
用語「約」の使用が量的値の前にある場合、そうではないと具体的に記されない限り、本発明は特定の量的値自身も含む。本明細書で使用する場合、用語「約」は、そうではないと示されるかまたは推測されることがない限り、名目上の値からの±10%の変動をいう。
【0117】
工程の順序または特定の行為を行う順序は、本発明が実施可能なままである限りは重要ではないことが理解されるべきである。さらに、2つ以上の工程または行為は、同時に行われてもよい。
【0118】
本明細書における任意および全ての例または例示的な用語、例えば「など(such as)」または「含む(including)」の使用は、単に本発明をよりよく説明することを意図し、特許請求されない限り本発明の範囲に対して限定を与えない。本明細書における用語は、任意の特許請求されない要素を、本発明の実施についての必須のものとして示すと解釈されるべきではない。
【実施例
【0119】
実施例
以下の実施例は単なる例示であり、いかなる方法においても本発明の範囲または内容を限定することを意図しない。
【0120】
実施例1:エンドスタチンまたはアンギオスタチンを発現するアデノウイルスの構築
この実施例には、エンドスタチンおよび/またはアンギオスタチンを発現する組み換えアデノウイルス5型(Ad5)の構築が記載される。
【0121】
(米国特許第9,073,980号に以前に記載されるように)アデノウイルス5型のゲノム配列の5'部分を保有するプラスミドを、E1a発現を癌選択的にするE1a開始部位の上流-304~-255に位置するヌクレオチド領域の欠失を保有するように改変した。改変されたプラスミドは、以降TAVプラスミドと称し、該プラスミドから産生された任意の得られたウイルス粒子は、以降TAVアデノウイルスと称する。
【0122】
TAVプラスミドは、治療的トランスジーンの挿入を容易にするために、E1b-19k領域の開始の点でSalI部位およびSalI部位の200塩基対3'側でXhoI部位を保有するようにさらに改変した。200塩基対E1b-19k領域を欠失させるために、プラスミドをSalIおよびXhoIで切断し、自己ライゲーションさせた。改変されたE1b-19k領域のヌクレオチド配列は以下のとおりであり、融合したSalI部位およびXhoI部位からの残存塩基に下線を引く:
【化1】
(配列番号:24)。
【0123】
改変されたプラスミドは、以降TAV-Δ19kプラスミドと称し、該プラスミドから産生された任意の得られたウイルス粒子は、以降TAV-Δ19kアデノウイルスと称する。
【0124】
マウスコラーゲンXVIIIのアミノ酸残基1~26(シグナルペプチドに相当)、その後のマウスコラーゲンXVIIIの残基1577~1774(C末端断片に相当)をコードするヌクレオチド配列を、改変したTAV-Δ19kプラスミドのE1b-19k領域にクローニングした。全てのマウスコラーゲンXVIIIアミノ酸残基番号は、本明細書に配列番号:25と示されるUniProt参照配列:P39061に関連する。改変されたプラスミドは、以降TAV-Endoプラスミドと称し、該プラスミドから産生された任意の得られたウイルス粒子は、以降TAV-Endoアデノウイルスと称する。E1b-19k領域中のTAV-Endoプラスミドのヌクレオチド配列は以下のとおりであり、SalIおよびXhoI制限部位を含む隣接するE1b-19k配列に下線を引く:
【化2】
(配列番号:26)。
【0125】
さらに、マウスプラスミノーゲンのアミノ酸残基1~19(シグナルペプチドに相当)、その後のマウスプラスミノーゲンの残基96~549(クリングルドメイン1~5に相当)をコードするヌクレオチド配列を、改変したTAV-Δ19kプラスミドのE1b-19k領域にクローニングした。全てのマウスプラスミノーゲンアミノ酸残基番号は、本明細書において配列番号:27と示されるUniProt参照配列:P20918に関連する。改変されたプラスミドは、以降TAV-Angプラスミドと称し、該プラスミドから産生された任意の得られたウイルス粒子は、以降TAV-Angアデノウイルスと称する。E1b-19k領域中のTAV-Angプラスミドのヌクレオチド配列は以下のとおりであり、SalIおよびXhoI制限部位を含む隣接するE1b-19k配列に下線を引く:
【化3-1】
【化3-2】
(配列番号:28)。
【0126】
記載される種々のプラスミドは、組み換えアデノウイルスを作製するために、アデノウイルス5型ゲノム配列(株dl309に基づく)の残りを保有する他のプラスミドと共に使用された。
【0127】
実施例2:エンドスタチンおよび/またはアンギオスタチンを発現するアデノウイルスの構築
この実施例には、エンドスタチンおよび/またはアンギオスタチンを発現する組み換えアデノウイルス5型(Ad5)の構築が記載される。
【0128】
(米国特許第9,073,980に以前に記載されるように)アデノウイルス5型ゲノム配列の5'部分を保有するプラスミドを、E1a発現を癌選択的にするE1a開始部位の上流-304~-255に位置するヌクレオチド領域の欠失を保有するように改変する。改変されるプラスミドは、以降TAVプラスミドと称し、該プラスミドから産生される任意の得られるウイルス粒子は、以降TAVアデノウイルスと称する。
【0129】
TAVプラスミドをさらに、治療的トランスジーンの挿入を容易にするために、E1b-19k領域の開始の点にSalI部位およびSalI部位の200塩基対3'側にXhoIを保有するように改変する。200塩基対E1b-19k領域を欠失させるために、プラスミドをSalIおよびXhoIで切断し、自己ライゲーションさせる。改変されるE1b-19k領域のヌクレオチド配列は以下のとおりであり、融合したSalIおよびXhoI部位由来の残存塩基に下線を引く:
【化4】
(配列番号:24)。
【0130】
改変されるプラスミドは、以降TAV-Δ19kプラスミドと称し、該プラスミドから産生される任意の得られるウイルス粒子は、以降TAV-Δ19kアデノウイルスと称する。
【0131】
ヒトコラーゲンXVIIIのアミノ酸残基1~23(シグナルペプチドに相当)、その後のヒトコラーゲンXVIIIの残基1318~1516(C末端断片に相当)をコードするヌクレオチド配列を、改変されるTAV-Δ19kプラスミドのE1b-19k領域にクローニングする。全てのヒトコラーゲンXVIIIアミノ酸残基番号は、本明細書において配列番号:6と示されるNCBI参照配列:NP_085059.2に関連する。改変されるプラスミドは、以降TAV-hEndoプラスミドと称し、該プラスミドから産生される任意の得られるウイルス粒子は、以降TAV-hEndoアデノウイルスと称する。E1b-19k領域中のTAV-hEndoプラスミドのヌクレオチド配列は以下のとおりであり、SalIおよびXhoI制限部位を含む隣接するE1b-19k配列に下線を引く:
【化5】
(配列番号:9)。
【0132】
さらに、ヒトプラスミノーゲンのアミノ酸残基1~19(シグナルペプチドに相当)、その後のヒトプラスミノーゲンの残基97~549(クリングルドメイン1~5に相当)をコードするヌクレオチド配列を、改変されるTAV-Δ19kプラスミドのE1b-19k領域にクローニングする。全てのヒトプラスミノーゲンアミノ酸残基番号は、本明細書において配列番号:11と示されるNCBI参照配列:NP_000292.1に関連する。改変されるプラスミドは、以降TAV-hAngプラスミドと称し、該プラスミドから産生される任意の得られるウイルス粒子は、以降TAV-hAngアデノウイルスと称する。E1b-19k領域中のTAV-hAngプラスミドのヌクレオチド配列は以下のとおりであり、SalIおよびXhoI制限部位を含む隣接するE1b-19k配列に下線を引く:
【化6】
(配列番号:18)。
【0133】
さらに、ヒトコラーゲンXVIIIのアミノ酸残基1~23(シグナルペプチドに相当)をコードするヌクレオチド配列、その後のヒトコラーゲンXVIIIの残基1318~1516(C末端断片に相当)、その後の脳心筋炎ウイルス(EMCV) IRES、その後のヒトプラスミノーゲンのアミノ酸残基1~19(シグナルペプチドに相当)をコードするヌクレオチド配列、その後のヒトプラスミノーゲンの残基97~549(クリングルドメイン1~5に相当)を、改変されるTAV-Δ19kプラスミドのE1b-19k領域にクローニングする。改変されるプラスミドは、以降TAV-hEndo-IRES-hAngプラスミドと称し、該プラスミドから産生される任意の得られるウイルス粒子は、以降TAV-hEndo-IRES-hAngアデノウイルスと称する。E1b-19k領域中のTAV-hEndo-IRES-hAngプラスミドのヌクレオチド配列は以下のとおりであり、コーディング配列は大文字であり、IRESは小文字であり、SalIおよびXhoI制限部位を含む隣接するE1b-19k配列に下線を引く:
【化7】
(配列番号:21)。
【0134】
さらに、マウスコラーゲンXVIIIのアミノ酸残基1~26(シグナルペプチドに相当)をコードするヌクレオチド配列、その後のマウスコラーゲンXVIIIの残基1577~1774(C末端断片に相当)、その後の脳心筋炎ウイルス(EMCV) IRES、その後のマウスプラスミノーゲンのアミノ酸残基1~19(シグナルペプチドに相当)をコードするヌクレオチド配列、その後のマウスプラスミノーゲンの残基96~549(クリングルドメイン1~5に相当)を、改変されるTAV-Δ19kプラスミドのE1b-19k領域にクローニングする。改変されるプラスミドは、以降TAV-Endo-IRES-Angプラスミドと称し、該プラスミドから産生される任意の得られるウイルス粒子は、以降TAV-Endo-IRES-Angアデノウイルスと称する。E1b-19k領域中のTAV-Endo-IRES-Angプラスミドのヌクレオチド配列は以下のとおりであり、コーディング領域は大文字であり、IRESは小文字であり、SalIおよびXhoI制限部位を含む隣接するE1b-19k配列に下線を引く:
【化8-1】
【化8-2】
(配列番号:29)。
【0135】
記載される種々のプラスミドは、組み換えアデノウイルスを生成するために、(株dl309に基づいて)アデノウイルス5型ゲノム配列の残りを保有する他のプラスミドと共に使用される。
【0136】
実施例3:エンドスタチンまたはアンギオスタチンを発現するアデノウイルスの抗癌活性
この実施例には、実施例1に記載されるように産生されたエンドスタチンまたはアンギオスタチンを発現する組み換えアデノウイルスの抗癌活性が記載される。
【0137】
ADS-12腫瘍を保有する129S4マウスを、バッファ、1x109 PFU/用量のTAV-Δ19k、TAV-EndoまたはTAV-Angアデノウイルスで0、4および8日目に3回の腫瘍内注射および/またはリン酸緩衝化食塩水(PBS)またはベバシズマブのマウスオーソログ(Bev)で1、5、9および13日目に4回の腹腔内注射により処置した。腫瘍体積および進行なしの生存を含む最初の結果を図1~3に示す。より長い持続時間のマウスの追跡後のさらなる結果を図4~6に示す。
【0138】
これらの結果は、エンドスタチンおよびアンギオスタチンを発現するアデノウイルスは腫瘍体積の低減に効果的であり、エンドスタチンおよびアンギオスタチンを発現するアデノウイルスならびにベバシズマブは、腫瘍負荷を低減するために相乗的に作用したことを示す。抗脈管形成処置については驚くべきことに、特定のマウスは、腫瘍増殖の単なる遅延よりもむしろ腫瘍体積の完全な寛解を示した。ベバシズマブの効果は細胞傷害性よりもむしろ細胞増殖抑制性であるので、これらの結果は特に驚くべきものである。さらに、マウスは、全体的な外観、活性のレベルおよび苦痛の徴候(例えば背中を曲げた姿勢またはしわのある柔皮)により観察された場合、組織毒性の証拠を有さなかった。
【0139】
実施例4:アンギオスタチンを発現するアデノウイルスの抗癌活性
この実施例には、実施例1に記載されるように産生されたアンギオスタチンを発現する組み換えアデノウイルスの抗癌活性が記載される。
【0140】
129S4マウスの側腹部の一方の面に1x106 ADS-12腫瘍細胞を注射して、原発性の腫瘍を260~500mm3まで増殖させた。原発性の腫瘍が標的体積に達した際に(0日目)、マウスを、1x109 PFU/用量のTAV-Angアデノウイルスで0、4および8日目に腫瘍内注射により処置し、その後原発性腫瘍の体積をモニタリングした。原発性腫瘍が標的体積に達した際に(0日目)、マウスにさらに、側腹部の反対の面に1x106 ADS-12腫瘍細胞を7、14または21日目に注射して、側腹部のこの面での続発性の腫瘍の形成および体積をモニタリングした。続発性の腫瘍には直接的な処置は与えなかった。結果は図7に示し、直接的な処置がないにもかかわらず、続発性の腫瘍はほとんど後退し、全く進展しなかったことを示す。
【0141】
これらの結果は、本明細書に記載されるアンギオスタチンを発現するアデノウイルスは対側性の腫瘍体積の低減に効果的であることを示す。
【0142】
実施例5:アデノウイルスの抗癌活性
この実施例には、実施例1に記載されるように産生された組み換えアデノウイルスの抗癌活性が記載される。
【0143】
ADS-12腫瘍を保有する129S4マウスを、バッファまたは1x109 PFU/用量のTAV-Δ19kで0、4および8日目に3回の腫瘍内注射、および/またはリン酸緩衝化食塩水(PBS)もしくはベバシズマブのマウスオーソログ(Bev)で1、5、9および13日目に4回の腹腔内注射により処置した。それぞれの処置についての腫瘍体積を図8に示す。完全腫瘍後退(治癒率)を図9に示す。抗脈管形成処置については驚くべきことに、特定のマウスは、腫瘍増殖の単なる遅延よりもむしろ腫瘍体積の完全な寛解を示した。ベバシズマブの効果は細胞傷害性よりもむしろ細胞増殖抑制性であるので、これらの結果は特に驚くべきものである。
【0144】
これらの結果は、単独およびベバシズマブと組み合わせてTAV-Δ19kを含む腫瘍崩壊性アデノウイルスは腫瘍体積の低減に効果的であること、単独およびベバシズマブと組み合わせてTAV-Δ19kを含む腫瘍崩壊性アデノウイルスは完全な腫瘍後退を生じ得ることを示す。
【0145】
参照による援用
本明細書に参照される特許文献および科学文献のそれぞれの全開示は、全ての目的で参照により援用される。
【0146】
均等物
本発明は、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態において具体化され得る。そのため、前述の態様は、全ての局面において本明細書に記載される発明の限定ではなく例示とみなされる。したがって、本発明の範囲は、前述の記載ではなく添付の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の均等物の意味および範囲内にある全ての変更が本発明に含まれることが意図される。
本発明の態様として以下のものが挙げられる。
項1
E1b-19K挿入部位に挿入される、エンドスタチンおよびアンギオスタチンから選択される第1の治療的トランスジーンをコードする第1のヌクレオチド配列を含む組み換えアデノウイルスであって、該E1b-19K挿入部位が、E1b-19Kの開始部位とE1b-55Kの開始部位の間に配置される、組み換えアデノウイルス。
項2
5型アデノウイルス(Ad5)である、項1記載の組み換えアデノウイルス。
項3
E1b-19K挿入部位が、E1b-19Kの開始部位とE1b-19Kの停止部位の間に配置される、項1または2記載の組み換えアデノウイルス。
項4
E1b-19K挿入部位が、E1b-19Kの開始部位に隣接する約100~約305、約100~約300、約100~約250、約100~約200、約100~約150、約150~約305、約150~約300、約150~約250または約150~約200ヌクレオチドの欠失を含む、項1~3いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項5
E1b-19K挿入部位が、E1b-19Kの開始部位に隣接する約200ヌクレオチドの欠失を含む、項1~4いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項6
E1b-19K挿入部位が、E1b-19Kの開始部位に隣接する202ヌクレオチドの欠失を含む、項1~5いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項7
E1b-19K挿入部位が、E1b-19Kの開始部位に隣接する203ヌクレオチドの欠失を含む、項1~5いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項8
E1b-19K挿入部位が、Ad5ゲノム(配列番号:1)のヌクレオチド1714~1916に対応する欠失を含む、項1~7いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項9
第1の治療的トランスジーンが、Ad5ゲノム(配列番号:1)の1713に対応するヌクレオチドと1917に対応するヌクレオチドの間に挿入される、項1~8いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項10
第1の治療的トランスジーンが、CTGACCTC (配列番号:2)とTCACCAGG (配列番号:3)の間に挿入される、項1~9いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項11
5'~3'の方向で、CTGACCTC (配列番号:2)、第1の治療的トランスジーンおよびTCACCAGG (配列番号:3)を含む、項1~10いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項12
エンドスタチンおよびアンギオスタチンから選択される第2の治療的トランスジーンをコードする第2のヌクレオチド配列を含む、項1~11いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項13
第2の治療的トランスジーンがE1b-19K挿入部位に挿入され、第1のヌクレオチド配列および第2のヌクレオチド配列が、内部リボソーム進入部位(IRES)により分離される、項12記載の組み換えアデノウイルス。
項14
IRESが、脳心筋炎ウイルスIRES、口蹄疫ウイルスIRESおよびポリオウイルスIRESから選択される、項13記載の組み換えアデノウイルス。
項15
IRESが脳心筋炎ウイルスIRESである、項14記載の組み換えアデノウイルス。
項16
IRESが配列番号:20を含む、項15記載の組み換えアデノウイルス。
項17
第1および第2の治療的トランスジーンが、Ad5ゲノム(配列番号:1)の1713に対応するヌクレオチドと1917に対応するヌクレオチドの間に挿入される、項13~16いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項18
第1および第2の治療的トランスジーンが、CTGACCTC (配列番号:2)とTCACCAGG (配列番号:3)の間に挿入される、項13~17いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項19
5'~3'の方向で、CTGACCTC (配列番号:2)、第1の治療的トランスジーン、IRES、第2の治療的トランスジーンおよびTCACCAGG (配列番号:3)を含む、項13~18いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項20
組み換えアデノウイルスがE3欠失をさらに含み、E3欠失がpVIIIの停止部位とFiberの開始部位の間に配置される、項1~19いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項21
E3欠失が、E3-10.5Kの停止部位とE3-14.7Kの停止部位の間に配置される、項20記載の組み換えアデノウイルス。
項22
E3欠失が、約500~約3185、約500~約3000、約500~約2500、約500~約2000、約500~約1500、約500~約1000、約1000~約3185、約1000~約3000、約1000~約2500、約1000~約2000、約1000~約1500、約1500~約3185、約1500~約3000、約1500~約2000、約2000~約3185、約2000~約3000、約2000~約2500、約2500~約3185、約2500~約3000または約3000~約3185ヌクレオチドの欠失を含む、項20または21記載の組み換えアデノウイルス。
項23
E3欠失が、E3-10.5Kの停止部位に隣接する約500~約1551、約500~約1500、約500~約1000、約1000~約1551、約1000~約1500または約1500~約1551ヌクレオチドの欠失を含む、項20~22いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項24
E3欠失が、E3-10.5Kの停止部位に隣接する約1050ヌクレオチドの欠失を含む、項20~23いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項25
E3欠失が、E3-10.5Kの停止部位に隣接する1063ヌクレオチドの欠失を含む、項20~24いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項26
E3欠失が、E3-10.5Kの停止部位に隣接する1064ヌクレオチドの欠失を含む、項20~24いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項27
E3欠失が、Ad5 dl309 E3欠失に対応する欠失を含む、項20~26いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項28
E3欠失が、Ad5ゲノム(配列番号:1)のヌクレオチド29773~30836に対応する欠失を含む、項20~27いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項29
第2の治療的トランスジーンがE3挿入部位に挿入され、E3挿入部位がpVIIIの停止部位とFiberの開始部位の間に配置される、項12記載の組み換えアデノウイルス。
項30
E3挿入部位が、E3-10.5Kの停止部位とE3-14.7Kの停止部位の間に配置される、項29記載の組み換えアデノウイルス。
項31
E3挿入部位が、約500~約3185、約500~約3000、約500~約2500、約500~約2000、約500~約1500、約500~約1000、約1000~約3185、約1000~約3000、約1000~約2500、約1000~約2000、約1000~約1500、約1500~約3185、約1500~約3000、約1500~約2000、約2000~約3185、約2000~約3000、約2000~約2500、約2500~約3185、約2500~約3000または約3000~約3185ヌクレオチドの欠失を含む、項29または30記載の組み換えアデノウイルス。
項32
E3挿入部位が、E3-10.5Kの停止部位に隣接する約500~約1551、約500~約1500、約500~約1000、約1000~約1551、約1000~約1500または約1500~約1551ヌクレオチドの欠失を含む、項29~31いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項33
E3挿入部位が、E3-10.5Kの停止部位に隣接する約1050ヌクレオチドの欠失を含む、項29~32いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項34
E3挿入部位が、E3-10.5Kの停止部位に隣接する1063ヌクレオチドの欠失を含む、項29~33いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項35
E3挿入部位が、E3-10.5Kの停止部位に隣接する1064ヌクレオチドの欠失を含む、項29~34いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項36
E3挿入部位が、Ad5 dl309 E3欠失に対応する欠失を含む、項29~35いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項37
E3挿入部位が、Ad5ゲノム(配列番号:1)のヌクレオチド29773~30836に対応する欠失を含む、項29~36いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項38
第2の治療的トランスジーンが、Ad5ゲノム(配列番号:1)の29773に対応するヌクレオチドと30836に対応するヌクレオチドの間に挿入される、項29~37いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項39
第2の治療的トランスジーンが、CAGTATGA (配列番号:4)とTAATAAAAAA (配列番号:5)の間に挿入される、項29~38いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項40
5'~3'の方向で、CAGTATGA (配列番号:4)、第2の治療的トランスジーンおよびTAATAAAAAA (配列番号:5)を含む、項29~39いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項41
配列番号:7のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、または配列番号:7に対して80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、項1~40いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項42
配列番号:8のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、または配列番号:8に対して80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、項1~41いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項43
配列番号:9のヌクレオチド配列を含むか、または配列番号:9に対して80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む、項1~42いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項44
配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15および配列番号:16から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、または配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15および配列番号:16から選択されるアミノ酸配列に対して80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、項1~43いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項45
配列番号:17のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、または配列番号:17に対して80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、項1~44いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項46
配列番号:18のヌクレオチド配列を含むか、または配列番号:18に対して80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む、項1~45いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項47
第1および/または第2の治療的トランスジーンが外来性プロモーター配列に操作可能に連結されない、項1~46いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項48
いずれの治療的トランスジーンも外来性プロモーター配列に操作可能に連結されない、項47記載の組み換えアデノウイルス。
項49
Pea3結合部位またはその機能性断片の欠失をさらに含む、項1~48いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項50
E1aの開始部位の上流約-300~約-250に対応するヌクレオチドの欠失を含む、項49記載の組み換えアデノウイルス。
項51
E1aの開始部位の上流-304~-255に対応するヌクレオチドの欠失を含む、項49または50記載の組み換えアデノウイルス。
項52
E1aの開始部位の上流-305~-255に対応するヌクレオチドの欠失を含む、項49または50記載の組み換えアデノウイルス。
項53
Ad5ゲノム(配列番号:1)の195~244に対応するヌクレオチドの欠失を含む、項49~52いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項54
配列GGTGTTTTGG (配列番号:22)を含む、項49~53いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項55
E2F結合部位の欠失を含まない、項49~54いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項56
E2F結合部位またはその機能性断片の欠失をさらに含む、項1~48いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項57
Pea3結合部位またはその機能性断片の欠失を含まない、項56記載の組み換えアデノウイルス。
項58
機能性TATAボックスの欠失を有するE1aプロモーターを含む、項1~57いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項59
該欠失がTATAボックス全体の欠失を含む、項58記載の組み換えアデノウイルス。
項60
該欠失がE1aプロモーターの-27~-24に対応するヌクレオチドの欠失を含む、項58または59記載の組み換えアデノウイルス。
項61
該欠失がE1aプロモーターの-31~-24に対応するヌクレオチドの欠失を含む、項58~60いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項62
該欠失がE1aプロモーターの-44~+54に対応するヌクレオチドの欠失を含む、項58~61いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項63
該欠失がE1aプロモーターの-146~+54に対応するヌクレオチドの欠失を含む、項58~62いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項64
該欠失がAd5ゲノム(配列番号:1)の472~475に対応するヌクレオチドの欠失を含む、項58~63いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項65
該欠失がAd5ゲノム(配列番号:1)の468~475に対応するヌクレオチドの欠失を含む、項58~64いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項66
該欠失がAd5ゲノム(配列番号:1)の455~552に対応するヌクレオチドの欠失を含む、項58~65いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項67
該欠失がAd5ゲノム(配列番号:1)の353~552に対応するヌクレオチドの欠失を含む、項58~66いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項68
配列CTAGGACTG (配列番号:23)、AGTGCCCG (配列番号:30)および/またはTATTCCCG (配列番号:31)を含むアデノウイルスを生じるポリヌクレオチド欠失を含む、項58~67いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項69
E1aプロモーターが配列CTAGGACTG (配列番号:23)を含む、項58~68いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項70
機能性CAATボックスの欠失を有するE1aプロモーターを含む、項1~69いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項71
該欠失がCAATボックス全体の欠失を含む、項70記載の組み換えアデノウイルス。
項72
該欠失がE1aプロモーターの-76~-68に対応するヌクレオチドの欠失を含む、項70または71記載の組み換えアデノウイルス。
項73
該欠失がAd5ゲノム(配列番号:1)の423~431に対応するヌクレオチドの欠失を含む、項70~72いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項74
配列TTCCGTGGCG (配列番号:32)を含むアデノウイルスを生じるポリヌクレオチド欠失を含む、項70~73いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項75
過増殖性細胞中で選択的に複製する、項1~74いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項76
過増殖性細胞中でエンドスタチンおよび/またはアンギオスタチンを選択的に発現する、項1~75いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項77
過増殖性細胞が癌細胞である、項75または76記載の組み換えアデノウイルス。
項78
腫瘍崩壊性アデノウイルスである、項1~77いずれか記載の組み換えアデノウイルス。
項79
項1~78いずれかに規定される組み換えアデノウイルスおよび少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む、医薬組成物。
項80
標的細胞を、項1~78いずれかに規定される組み換えアデノウイルスの有効量に暴露して、エンドスタチンおよび/またはアンギオスタチンを発現させる工程を含む、標的細胞においてエンドスタチンおよび/またはアンギオスタチンを発現させる方法。
項81
腫瘍細胞を、項1~78いずれかに規定される組み換えアデノウイルスの有効量に暴露して、腫瘍細胞の増殖を阻害する工程を含む、腫瘍細胞の増殖を阻害する方法。
項82
腫瘍増殖の阻害を必要とする被験体に、項1~78いずれかに規定される組み換えアデノウイルスの有効量を投与して、腫瘍の増殖を阻害する工程を含む、腫瘍増殖の阻害を必要とする被験体において腫瘍増殖を阻害する方法。
項83
癌の治療を必要とする被験体に、項1~78いずれかに規定される組み換えアデノウイルスの有効量を投与して、該被験体において癌を治療する工程を含む、癌の治療を必要とする被験体において癌を治療する方法。
項84
組み換えアデノウイルスが、抗脈管形成剤と組み合わせて投与される、項83記載の方法。
項85
組み換えアデノウイルスが、手術、放射線、化学療法、免疫療法、ホルモン療法およびウイルス療法から選択される1つ以上の治療と組み合わせて投与される、項83または84記載の方法。
項86
癌の治療を必要とする被験体に、(i)組み換えアデノウイルスと(ii)抗脈管形成剤の組み合わせの有効量を投与して、該被験体において癌を治療する工程を含む、癌の治療を必要とする被験体において癌を治療する方法。
項87
組み換えアデノウイルスが5型アデノウイルスである、項86記載の方法。
項88
組み換えアデノウイルスが、Pea3結合部位またはその機能性断片の欠失を含まない、項86または87記載の方法。
項89
組み換えアデノウイルスが、機能性TATAボックスの欠失を有するE1aプロモーターを含む、項86~88いずれか記載の方法。
項90
該欠失がTATAボックス全体の欠失を含む、項89記載の方法。
項91
該欠失がE1aプロモーターの-27~-24に対応するヌクレオチドの欠失を含む、項89または90記載の方法。
項92
該欠失がE1aプロモーターの-31~-24に対応するヌクレオチドの欠失を含む、項89~91いずれか記載の方法。
項93
該欠失がE1aプロモーターの-44~+54に対応するヌクレオチドの欠失を含む、項89~92いずれか記載の方法。
項94
該欠失がE1aプロモーターの-146~+54に対応するヌクレオチドの欠失を含む、項89~93いずれか記載の方法。
項95
該欠失がAd5ゲノム(配列番号:1)の472~475に対応するヌクレオチドの欠失を含む、項89~94いずれか記載の方法。
項96
該欠失がAd5ゲノム(配列番号:1)の468~475に対応するヌクレオチドの欠失を含む、項89~95いずれか記載の方法。
項97
該欠失がAd5ゲノム(配列番号:1)の455~552に対応するヌクレオチドの欠失を含む、項89~96いずれか記載の方法。
項98
該欠失がAd5ゲノム(配列番号:1)の353~552に対応するヌクレオチドの欠失を含む、項89~97いずれか記載の方法。
項99
該アデノウイルスが、配列CTAGGACTG (配列番号:23)、AGTGCCCG (配列番号:30)および/またはTATTCCCG (配列番号:31)を含むアデノウイルスを生じるポリヌクレオチド欠失を含む、項89~98いずれか記載の方法。
項100
E1aプロモーターが配列CTAGGACTG (配列番号:23)を含む、項89~99いずれか記載の方法。
項101
該組み換えアデノウイルスが機能性CAATボックスの欠失を有するE1aプロモーターを含む、項86~100いずれか記載の方法。
項102
該欠失がCAATボックス全体の欠失を含む、項101記載の方法。
項103
該欠失がE1aプロモーターの-76~-68に対応するヌクレオチドの欠失を含む、項101または102記載の方法。
項104
該欠失がAd5ゲノム(配列番号:1)の423~431に対応するヌクレオチドの欠失を含む、項101~103いずれか記載の方法。
項105
該アデノウイルスが、配列TTCCGTGGCG (配列番号:32)を含むアデノウイルスを生じるポリヌクレオチド欠失を含む、項101~104いずれか記載の方法。
項106
該組み換えアデノウイルスが過増殖性細胞中で選択的に複製する、項86~105いずれか記載の方法。
項107
該組み換えアデノウイルスが過増殖性細胞中でエンドスタチンおよび/またはアンギオスタチンを選択的に発現する、項86~106いずれか記載の方法。
項108
過増殖性細胞が癌細胞である、項106または107記載の方法。
項109
該組み換えアデノウイルスが腫瘍崩壊性アデノウイルスである、項86~108いずれか記載の方法。
項110
該組み換えアデノウイルスおよび抗脈管形成剤が、手術、放射線、化学療法、免疫療法、ホルモン療法およびウイルス療法から選択される1つ以上の治療と組み合わせて投与される、項86~109いずれか記載の方法。
項111
癌が、肛門癌、基底細胞癌、膀胱癌、骨癌、脳癌、乳癌、癌腫、胆管癌、子宮頸癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、胃食道癌、胃腸(GI)癌、消化管間質腫瘍、肝細胞癌、婦人科癌、頭頸部癌、血液癌、腎臓癌、白血病、肝臓癌、肺癌、リンパ腫、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、神経内分泌癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、膵臓癌、小児癌、前立腺癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、小細胞肺癌、皮膚の扁平上皮癌、胃癌、精巣癌および甲状腺癌から選択される、項83~110いずれか記載の方法。
項112
癌が、黒色腫、皮膚の扁平上皮癌、基底細胞癌、頭頸部癌、乳癌、肛門癌、子宮頸癌、非小細胞肺癌、中皮腫、小細胞肺癌、腎細胞癌、前立腺癌、胃食道癌、結腸直腸癌、精巣癌、膀胱癌、卵巣癌、肝臓癌、肝細胞癌、胆管癌、脳および中枢神経系の癌、甲状腺癌、子宮内膜癌、神経内分泌癌、リンパ腫(例えばホジキンおよび非ホジキン)、白血病、メルケル細胞癌、消化管間質腫瘍、多発性骨髄腫、子宮癌、肉腫、腎臓癌、眼の癌および膵臓癌から選択される、項83~111いずれか記載の方法。
項113
癌が、胃食道癌(例えば胃または食道胃接合部腺癌(gastro-esophageal junction adenocarcinoma))、非小細胞肺癌(例えば転移性NSCLC)、結腸直腸癌(例えば転移性結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば白金抵抗性卵巣癌)、白血病、子宮頸癌(例えば後期子宮頸癌)、脳および中枢神経系の癌(例えば神経膠芽腫)、腎臓癌(例えば腎細胞癌)、肉腫(例えば横紋筋肉腫、骨肉腫およびユーイング肉腫)、リンパ腫(例えばホジキンおよび非ホジキン)、眼の癌(例えば脈絡膜黒色腫および網膜芽腫)、ならびにフォン・ヒッペル-リンダウ病から選択される、項83~110いずれか記載の方法。
項114
癌が、脳および中枢神経系の癌(例えば星状細胞腫、脳幹神経膠腫、頭蓋咽頭腫、線維形成性乳児神経節膠腫、脳室上衣細胞腫、高度神経膠腫、髄芽腫、非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍(atypical teratoid rhabdoid tumor)、神経芽腫)、腎臓癌(例えばウィルムス腫瘍)、眼の癌(例えば網膜芽腫)、肉腫(例えば横紋筋肉腫、骨肉腫およびユーイング肉腫)、肝臓癌(例えば胚芽腫および肝細胞癌)、リンパ腫(例えばホジキンおよび非ホジキン)、白血病ならびに生殖細胞系腫瘍から選択される、項83~110いずれか記載の方法。
項115
抗脈管形成剤が、アフリベルセプト、抗VEGF抗体(例えばベバシズマブおよびラニビズマブ)、スニチニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、バンデタニブ、カボザンチニブ、アキシチニブ、チボザニブ(tivozanib)、リニファニブ(linifanib)、ペガプタニブ、スピロノラクトン、インドメタシン、サリドマイド、インターロイキン-12、抗FGF抗体、チロシンキナーゼ阻害剤、インターフェロン、スラミン、スラミンアナログ、ソマトスタチンおよびソマトスタチンアナログから選択される、項84~114いずれか記載の方法。
項116
抗脈管形成剤が、アフリベルセプト、ベバシズマブ、ラニビズマブ、スニチニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、バンデタニブ、カボザンチニブ、アキシチニブ、チボザニブおよびリニファニブから選択される、項84~114いずれか記載の方法。
項117
抗脈管形成剤がベバシズマブである、項115または116記載の方法。
項118
ベバシズマブが、約5mg/kg未満、例えば約1mg/kg~約5mg/kgの用量で投与される、項117記載の方法。
項119
ベバシズマブが、約2.5mg/kgの用量で投与される、項118記載の方法。
項120
組み換えアデノウイルスが、第2の組み換えアデノウイルスと組み合わせて投与される、項83~119いずれか記載の方法。
項121
第2の組み換えアデノウイルスが、アセチルコリン、アンドロゲン受容体、抗PD-1抗体重鎖および/または軽鎖、抗PD-L1抗体重鎖および/または軽鎖、BORIS/CTCFL、BRAF、CD19、CD20、CD30、CD80、CD86、CD137、CD137L、CD154、CEA、DKK1/Wnt、EGFRvIII、FGF、gp100、Her-2/neu、ICAM、IL-1、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-9、IL-17、IL-23A/p19、p40、IL-24、IL-27、IL-27A/p28、IL-27B/EBI3、IL-35、インターフェロンγ、KRAS、MAGE、MAGE-A3、MART1、melan-A、メソテリン、MUC-1、NY-ESO-1、ポドカリキシン(Podocalyxin)(Podxl)、p53、TGF-β、TGF-βトラップ、チミジンキナーゼならびにチロシナーゼから選択されるポリペプチドまたはそれらの断片をコードするヌクレオチド配列を含む、項120記載の方法。
項122
第2の組み換えアデノウイルスが、アセチルコリン、アンドロゲン受容体、抗PD-1抗体重鎖および/または軽鎖、抗PD-L1抗体重鎖および/または軽鎖、BORIS/CTCFL、BRAF、CD19、CD20、CD30、CD80、CD86、CD137、CD137L、CD154、CEA、DKK1/Wnt、EGFRvIII、FGF、gp100、Her-2/neu、ICAM、IL-1、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-9、IL-23A/p19、p40、IL-24、インターフェロンγ、KRAS、MAGE、MAGE-A3、MART1、melan-A、メソテリン、MUC-1、NY-ESO-1、ポドカリキシン(Podxl)、p53、TGF-β、TGF-βトラップ、チミジンキナーゼならびにチロシナーゼから選択されるポリペプチドまたはそれらの断片をコードするヌクレオチド配列を含む、項120記載の方法。
項123
第2の組み換えアデノウイルスが、9D7、アンドロゲン受容体、BAGEファミリータンパク質、β-カテニン、BING-4、BRAF、BRCA1/2、CAGEファミリータンパク質、カルシウム依存性塩素チャンネル2、CD19、CD20、CD30、CDK4、CEA、CML66、CT9、CT10、サイクリン-B1、EGFRvIII、Ep-CAM、EphA3、フィブロネクチン、GAGEファミリータンパク質、gp100/pmel17、Her-2/neu、HPV E6、HPV E7、Ig、未成熟ラミニン受容体、MAGEファミリータンパク質(例えばMAGE-A3)、MART-1/melan-A、MART2、MC1R、メソテリン、ムチンファミリータンパク質(例えばMUC-1)、NY-ESO-1/LAGE-1、P.ポリペプチド、p53、ポドカリキシン(Podxl)、PRAME、rasファミリータンパク質(例えばKRAS)、前立腺特異的抗原、SAGEファミリータンパク質、SAP-1、SSX-2、サバイビン(survivin)、TAG-72、TCR、テロメラーゼ、TGF-βRII、TRP-1、TRP-2、チロシナーゼまたはXAGEファミリータンパク質に由来する癌抗原をコードするヌクレオチド配列を含む、項120記載の方法。
項124
第2の組み換えアデノウイルスが腫瘍崩壊性アデノウイルスである、項120~123いずれか記載の方法。
項125
血圧の低下を必要とする被験体に、項1~78いずれかに規定される組み換えアデノウイルスの有効量を投与して、該被験体において血圧を低下する工程を含む、血圧の低下を必要とする被験体において血圧を低下する方法。
項126
一酸化窒素(NO)産生の増加を必要とする被験体に、項1~78いずれかに規定される組み換えアデノウイルスの有効量を投与して、該被験体において一酸化窒素(NO)産生を増加する工程を含む、一酸化窒素産生の増加を必要とする被験体において一酸化窒素(NO)産生を増加する方法。
項127
高血圧の治療および/または予防を必要とする被験体に、項1~78いずれかに規定される組み換えアデノウイルスの有効量を投与して、該被験体において高血圧を治療および/または予防する工程を含む、高血圧の治療および/または予防を必要とする被験体において高血圧を治療および/または予防する方法。
項128
被験体が、VEGF阻害剤を受けているかまたは受けていた、項82~127いずれか記載の方法。
項129
組み換えアデノウイルスの有効量が10 2 ~10 15 プラーク形成単位(pfu)である、項80~128いずれか記載の方法。
項130
被験体がヒトまたは動物である、項82~129いずれか記載の方法。
項131
被験体が小児のヒトである、項130記載の方法。
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
図5
図6
図7
図8-1】
図8-2】
図9
【配列表】
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