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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】通信装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/06 20090101AFI20230315BHJP
   H04W 4/00 20180101ALI20230315BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20230315BHJP
   H04W 28/04 20090101ALI20230315BHJP
   H04W 48/18 20090101ALI20230315BHJP
   H04W 80/02 20090101ALI20230315BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20230315BHJP
   H04W 88/10 20090101ALI20230315BHJP
   H04W 92/20 20090101ALI20230315BHJP
【FI】
H04W28/06 110
H04W4/00 110
H04W16/26
H04W28/04 110
H04W48/18
H04W80/02
H04W84/18 110
H04W88/10
H04W92/20 110
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020050056
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021150862
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100159259
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 実
(72)【発明者】
【氏名】長澤 一樹
(72)【発明者】
【氏名】杉本 芳幸
(72)【発明者】
【氏名】松田 穣
【審査官】青木 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-54353(JP,A)
【文献】特表2013-511921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2周波数帯よりも通信速度が速い第1周波数帯で通信する第1通信方式のフレーム形式に準拠した第4フレームに格納されたデータの種類を判定するデータ判定部と、
前記第4フレームを、前記第2周波数帯で通信する第2通信方式のフレーム形式に準拠し、前記第4フレームの宛先と同一の宛先を有する第3フレームに変換する変換部と、
前記第3フレームを、前記第1通信方式のフレーム形式に準拠し、前記第4フレームの宛先と同一の宛先を有する第1フレームに格納する格納部と、
前記データ判定部の判定結果に応じて、前記第4フレーム又は前記第1フレームを、前記第1通信方式で送信するフレーム送信部と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記データ判定部は、データの種類として前記データがユーザの操作に基づいて生成されたデータであるか否かを判定し、
前記フレーム送信部は、
前記データがユーザの操作に基づいて生成されたデータであるとき、前記第4フレームを前記第1通信方式で送信し、
前記データがユーザの操作に基づいて生成されたデータでないとき、前記第1フレームを前記第1通信方式で送信する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記フレーム送信部がフレームの送信に成功したか否かを判定する送信判定部をさらに備え、
前記フレーム送信部は、前記第1通信方式で前記第1フレームの送信に失敗したとき、前記第2通信方式で前記第3フレームを送信する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記送信判定部は、前記第4フレームを送信した時点から前記第4フレームの送信が失敗したと判定する時点までの時間を、前記第1フレームを送信した時点から前記第3フレームの送信が失敗したと判定する時点までの時間より短く設定する、請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
検知装置、中継装置、及び制御装置を備えるシステムであって、
前記検知装置は、
前記検知装置の動作に関連したデータを生成するデータ生成部と、
第2周波数帯より通信速度が速い第1周波数帯で通信する第1通信方式のフレーム形式に準拠し、前記データを格納した、前記制御装置宛の第4フレームを、前記第1通信方式で送信する情報送信部と、を備え、
前記中継装置は、
前記第1通信方式で前記第4フレームを受信するフレーム受信部と、
前記第4フレームに格納されたデータの種類を判定するデータ判定部と、
前記第4フレームを、前記第2周波数帯で通信する第2通信方式のフレーム形式に準拠し、前記第4フレームの宛先と同一の宛先を有する第3フレームに変換する変換部と、
前記第3フレームを、前記第1通信方式のフレーム形式に準拠し、前記第4フレームの宛先と同一の宛先を有する第1フレームに格納する格納部と、
前記データ判定部の判定結果に応じて、前記第4フレーム又は前記第1フレームを、前記第1通信方式で送信するフレーム送信部と、を備え、
前記制御装置は、
前記第1通信方式で、前記中継装置が送信したフレームを受信する受信部と、
前記第1通信方式のフレーム形式に基づいて前記フレームを解析する解析部と、
前記解析の結果に応じて所定の出力を行う出力部と、を備える、
ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継装置を使用して通信を中継するシステム及びシステムを構成する通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
事業所、住宅における火災等の異常をセンサが検知し、制御装置に通知する通知システムが存在する。このシステムは、センサが異常を検知して異常信号を無線で送信し、送信された異常信号を他の装置が中継して警報器、制御装置等に無線で送信することにより、センサから離れた場所で異常を検知し、異常に応じた対応をすることができる。広い面積を有する事業所などでは、離れて配置されたセンサと制御装置との間に複数の中継装置を設置し、中継装置を介してセンサと制御装置とを接続している。
【0003】
例えば、特許文献1には、通信速度が異なる2つの周波数割当帯域の特定小電力無線を使用する警報システムが開示されている。より具体的には、特許文献1には、火災等の異常検知の通知は、セキュリティ用の426MHz帯域を使用して送受信し、機器制御電文は、データ用の920MHz帯域で高速性を生かして処理時間の短縮を可能とすることが記載されている。426MHz帯域の特定小電力無線による通信は、通信規格により所定の休止時間を挟んで所定時間の送信を複数回繰り返すため、確実な送信は可能になるが、920MHz帯域の特定小電力無線による通信より遅延が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-14986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、カードリーダで解錠動作を行う場合、ユーザの利便性に影響を与えるため、読取ったデータは直ぐに受信機まで送信し、データの確認を行う必要があり、送信の緊急度が高い。一方、カードリーダ自身の動作確認用のデータ等は送信の緊急度は比較的高くなく確実な伝達が求められる。この様に、送信するデータの種類に応じて、送信の緊急度が異なる場合がある。しかしながら、特許文献1に記載の警報システムでは、送信するフレームに格納されたデータの種類に応じて送信方法を変更することは行われていなかった。
【0006】
本発明の目的は、送信するフレームに格納されたデータの種類に応じて送信方式を変更可能な通信装置及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため、本発明は、第2周波数帯よりも通信速度が速い第1周波数帯で通信する第1通信方式のフレーム形式に準拠した第4フレームに格納されたデータの種類を判定するデータ判定部と、第4フレームを、第2周波数帯で通信する第2通信方式のフレーム形式に準拠し、第4フレームの宛先と同一の宛先を有する第3フレームに変換する変換部と、第3フレームを、第1通信方式のフレーム形式に準拠し、第4フレームの宛先と同一の宛先を有する第1フレームに格納する格納部と、データ判定部の判定結果に応じて、第4フレーム又は第1フレームを、第1通信方式で送信するフレーム送信部と、を備える通信装置を提供する。
【0008】
この通信装置において、データ判定部は、データの種類としてデータがユーザの操作に基づいて生成されたデータであるか否かを判定し、フレーム送信部は、データがユーザの操作に基づいて生成されたデータであるとき、第4フレームを第1通信方式で送信し、データがユーザの操作に基づいて生成されたデータでないとき、第1フレームを第1通信方式で送信することが好適である。
【0009】
この通信装置は、フレーム送信部がフレームの送信に成功したか否かを判定する送信判定部をさらに備え、フレーム送信部は、第1通信方式で第1フレームの送信に失敗したとき、第2通信方式で第3フレームを送信することが好適である。
【0010】
この通信装置において、送信判定部は、第4フレームを送信した時点から第4フレームの送信が失敗したと判定する時点までの時間を、第1フレームを送信した時点から第3フレームの送信が失敗したと判定する時点までの時間より短く設定することが好適である。
【0011】
本発明は、検知装置、中継装置、及び制御装置を備えるシステムであって、検知装置は、検知装置の動作に関連したデータを生成するデータ生成部と、第2周波数帯より通信速度が速い第1周波数帯で通信する第1通信方式のフレーム形式に準拠し、データを格納した、制御装置宛の第4フレームを、第1通信方式で送信する情報送信部と、を備え、中継装置は、第1通信方式で第4フレームを受信するフレーム受信部と、第4フレームに格納されたデータの種類を判定するデータ判定部と、第4フレームを、第2周波数帯で通信する第2通信方式のフレーム形式に準拠し、第4フレームの宛先と同一の宛先を有する第3フレームに変換する変換部と、第3フレームを、第1通信方式のフレーム形式に準拠し、第4フレームの宛先と同一の宛先を有する第1フレームに格納する格納部と、データ判定部の判定結果に応じて、第4フレーム又は第1フレームを、第1通信方式で送信するフレーム送信部と、を備え、制御装置は、第1通信方式で、中継装置が送信したフレームを受信する受信部と、第1通信方式のフレーム形式に基づいてフレームを解析する解析部と、解析の結果に応じて所定の出力を行う出力部と、を備えるシステムを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る通信装置及びシステムでは、送信するフレームに格納されたデータの種類に応じて送信方式を変更可能なので、緊急度が高いデータの場合には、通信遅延の小さい通信方式を選択して、早急にデータを送信先まで中継できるようにしている。更に、緊急度が比較的高くないデータの場合には、通信遅延の大きい通信方式をも選択可能としているので、通信状態に関わらず、確実にデータを送信先まで中継することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】中継装置20における中継処理の概要を説明するための図である。
図2】中継装置25における中継処理の概要を説明するための図である。
図3】警備システム1の概略構成図の一例である。
図4】検知装置10の機能ブロック図の一例である。
図5】中継装置20の機能ブロック図の一例である。
図6】第1形式及び第2形式に準拠したフレーム、及び、第1データ形式に準拠したデータの一例である。
図7】(a)は通信管理表の一例であり、(b)は通信能力表の一例である。
図8】制御装置30の機能ブロック図の一例である。
図9】中継処理のフローチャートの一例である。
図10図9のS14のデータ送信処理のフローチャートの一例である。
図11】受信処理のフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した警備システムの実施の形態について図を参照しつつ説明する。本発明の通信装置は、後述する中継装置であっても検知装置であってもよいが、本実施の形態は、通信装置が中継装置の場合である。
【0015】
図1は、中継装置20における中継処理の概要を説明するための図である。
【0016】
中継装置20は、後述する警備システム1の中継処理の一部を担い、第1周波数帯で通信する第1通信方式の無線通信と、第2周波数帯で通信する第2通信方式の無線通信とを処理する。第1周波数帯は、第2周波数帯より周波数が高く、第1周波数帯の一例は、920MHz帯であり、第2周波数帯の一例は、426MHz帯である。第1通信方式における通信は、第2通信方式における通信より遅延が小さい。また、第1通信方式の第1周波数帯における占有帯域幅は、第2通信方式の第2周波数帯における占有帯域幅より広い。第1通信方式の一例は、ARIB STD-T108に規定された通信方式であり、第2通信方式の一例は、ARIB STD-30に規定された通信方式である。
【0017】
中継装置20は、第1通信方式のフレーム形式に準拠したフレームである第4フレーム、及び、第2通信方式のフレーム形式に準拠したフレームである第2フレームを受信する。フレームとは、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルのデータリンク層(第2層)におけるデータ通信の単位である。以下、第1通信方式のフレーム形式を第1形式と称し、第2通信方式のフレーム形式を第2形式と称することがある。
【0018】
中継装置20は、第2フレームを格納しない第4フレームを第1通信方式で受信すると、第4フレームに含まれるデータの種類を判定する。データの種類がユーザ関連のデータのとき、中継装置20は、受信した第4フレームを第1通信方式で送信し、中継処理を完了する。ユーザ関連のデータとは、ユーザが携帯するICカード又はユーザの生体的な特徴を利用した、後述する検知装置による認証、ユーザによる検知装置の操作等、ユーザの操作に基づいて生成されたデータである。ユーザの操作に対しては、検知装置からユーザへのフィードバックが必要であるため、ユーザ関連のデータは、遅延の少ない通信方式に従って送信することが好ましい。ユーザ関連でないデータ(データの種類がその他)とは、検知装置の異常の通知、検知装置から定期的に送信される情報等、ユーザの操作とは無関係に生成されたデータである。
【0019】
データの種類がその他であるとき、中継装置20は、後段の中継装置で第2通信方式を使用するための準備として、第4フレームを、第2形式に準拠し第4フレームの宛先と同一の宛先を設定した第3フレームに変換する。次に、中継装置20は、第3フレームを、第1形式に準拠し第4フレームの宛先と同一の宛先を設定した第1フレームに格納し、第1フレームを第1通信方式で送信して、中継処理を完了する。
【0020】
中継装置20は、第2フレームを第2通信方式で受信すると、受信した第2フレームを第1形式に準拠した第1フレームに格納し、第1フレームの宛先に第2フレームの宛先を設定する。次に、中継装置20は、第1フレームを第1通信方式で送信する。第1フレームの送信に成功したとき、中継装置20は、中継処理を完了する。第1フレームの送信に失敗したとき、中継装置20は、第2フレームを第2通信方式で送信して、中継処理を完了する。
【0021】
以上説明したとおり、中継装置20は、中継する第4フレームに格納されたデータの種類がユーザ関連のとき、第1通信方式に従って第4フレームを送信する。中継装置20は、第4フレームに格納されたデータの種類がユーザ関連でないとき、第4フレームを第2形式に準拠した第3フレームに変換し、第3フレームを第1形式の第1フレームに格納して、第1通信方式に従って第1フレームを送信する。このような処理により、中継装置20は、送信するフレームが格納するデータの種類に応じて、そのフレームに対して通信遅延の大きな第2通信方式を後段の中継装置が使用するための準備をするか否かを選択できる。
【0022】
なお、図1には明記していないが、中継装置20は、第2フレームを格納した第4フレームを受信すると、受信した第4フレームを第1通信方式で送信し、中継処理を完了する。また、中継装置20は、第2形式に準拠したフレームを格納した第1フレームを第1通信方式で送信することに失敗したときには、第3フレームを第2通信方式で送信し、中継処理を完了する。
【0023】
図2は、中継装置25における中継処理の概要を説明するための図である。
【0024】
中継装置25は、後述する警備システム1の中継処理の一部を担い、第1通信方式及び第2通信方式の無線通信を処理する。中継装置25は、受信した第1形式のフレームに含まれるデータを第2形式のフレームのデータ形式に合うように変換して、第2形式のフレームを新たに生成する変換機能を持たない。中継装置25は、中継装置20が送信したフレームを第1周波数帯で受信すると、受信したフレームをそのまま第1周波数帯で送信し、第2周波数帯で受信すると、受信したフレームをそのまま第2周波数帯で送信する。ここで、データの種類がその他の場合、中継装置25は、第1周波数帯での送信に失敗したとき、受信したフレームから第2フレームを抽出することで第2フレームが得られるため、フレームをより確実に中継できる。なお、中継装置25は、第2周波数帯で受信したとき、上述のように受信したフレームを第1フレームに格納して、第1フレームを第1周波数帯にて送信してもよい。
【0025】
以上説明したとおり、中継装置20では、送信するフレームに格納されたデータの種類に応じて送信方式を変更可能なので、データ送達の迅速性が求められる緊急度が高いデータの場合には、必ず通信遅延の小さい通信方式を選択して、早急にデータを送信先まで中継できるようにしている。更に、データ送達の迅速性が要求されない緊急度が比較的高くないデータの場合には、通信遅延の大きい通信方式をも選択可能としているので、通信状態に関わらず、確実にデータを送信先まで中継することが可能である。
【0026】
図3は、警備システム1の概略構成図の一例である。
【0027】
警備システム1は、検知装置10、10′と、中継装置20、25、25′と、制御装置30とを有する。検知装置10、10′は、それぞれの近傍にIC(Integrated Circuit)カードが近接したことを検知し、ICカードに記憶されたカード識別子を読み取るカードリーダである。検知装置10は、第1通信方式で通信し、検知装置10′は、第2通信方式で通信する。中継装置20、25、25′及び制御装置30は、それぞれ第1通信方式及び第2通信方式で通信する。検知装置10及び10′、中継装置20、25及び25′の数は、一例であって、警備システム1を他の数の検知装置及び中継装置で構成してもよい。
【0028】
図4は、検知装置10の機能ブロック図の一例である。
【0029】
検知装置10は、検知装置10にICカードが近接したことを検知し、ICカードに記憶されたカード識別子を読み取る。検知装置10は、読み取ったカード識別子を格納した制御装置30宛の第1フレームを第1周波数帯で送信する。そのために、検知装置10は、通信部11と、カードリーダ部12と、記憶部13と、処理部14とを有する。
【0030】
通信部11は、小電力無線の通信インタフェース回路を含み、送信部111と受信部112とを有する。送信部111は、処理部14の指示に基づいて第1周波数帯で第1通信方式に従って中継装置20等にフレームを送信する。受信部112は、中継装置20等が送信したフレームを第1周波数帯で第1通信方式に従って受信し、受信フレームに格納された情報を処理部14に出力する。
【0031】
カードリーダ部12は、ICカードに対してデータの送受信を行うことができるカードリーダライタである。カードリーダ部12は、FeliCa(登録商標)等の非接触方式のカードリーダライタである。カードリーダ部12は、事業所で働く社員が携帯するICカードから、社員を識別可能なカード識別子を受信して、処理部14へ供給する。
【0032】
記憶部13は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置、及び光ディスク装置のうちの少なくとも一つを有する。記憶部13は、処理部14による処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。
【0033】
例えば、記憶部13は、ドライバプログラムとして、通信部11を制御する通信デバイスドライバプログラム等を記憶する。また、記憶部13は、オペレーティングシステムプログラムとして、ARIB STD-T108等の通信方式による通信制御プログラム等を記憶する。また、記憶部13は、アプリケーションプログラムとして、各種データの送受信を行うデータ処理プログラム等を記憶する。コンピュータプログラムは、例えばCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部13にインストールされてもよい。
【0034】
処理部14は、組み込み型のマイクロプロセッサユニットと、ROM、RAMなどのメモリと、その周辺回路とを有し、検知装置10の各種信号処理を実行する。処理部14は、検知装置10の各種処理が記憶部13に記憶されているプログラム(ドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)等に応じて適切な手順で実行されるように、通信部11等の動作を制御する。そのために、処理部14は、マイクロプロセッサユニット上で動作するプログラムの機能モジュールとして実装される読取部141、装置検知部142及び情報送信部143を有する。読取部141及び装置検知部142は、データ生成部の一例である。処理部14が有するこれらの各部は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、又はファームウェアとして検知装置10に実装されてもよい。
【0035】
装置検知部142は、カードリーダ部12、記憶部13等に生じた異常を検知する。この検知の結果生成されるデータは、カードリーダ部12が読み取ったカード識別子より緊急度が低いデータである。
【0036】
検知装置10′は、通信部11が第2周波数帯で通信することを除いて、検知装置10と同様な構成を有する。
【0037】
図5は、中継装置20の機能ブロック図の一例である。
【0038】
中継装置20は、図1で説明したような中継処理により、第1通信方式で第1形式に準拠したフレームを受信し、受信フレームを第1通信方式で送信する、第2形式に準拠したフレームに変換して第2通信方式で送信する等の処理を実行する。また、中継装置20は、第2通信方式で第2形式に準拠したフレームを受信し、第1形式に準拠したフレームに格納して第1通信方式で送信する、受信フレームを第2通信方式で送信する等の処理を実行する。そのために、中継装置20は、第1通信部21と、第2通信部22と、記憶部23と、処理部24とを有する。
【0039】
第1通信部21は、小電力無線の通信インタフェース回路を含み、第1送信部211と第1受信部212とを有する。第1送信部211は、処理部24の指示に基づいて第1周波数帯で第1通信方式に従って中継装置25等にフレームを送信する。第1受信部212は、中継装置25等が送信したフレームを第1周波数帯で第1通信方式に従って受信し、受信フレームに格納された情報を処理部24に出力する。
【0040】
第2通信部22は、小電力無線の通信インタフェース回路を含み、第2送信部221と第2受信部222とを有する。第2送信部221は、処理部24の指示に基づいて第2周波数帯で第2通信方式に従って中継装置25等にフレームを送信する。第2受信部222は、中継装置25等が送信したフレームを第2周波数帯で第2通信方式に従って受信し、受信フレームに格納された情報を処理部24に出力する。
【0041】
記憶部23は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置、及び光ディスク装置のうちの少なくとも一つを有する。記憶部23は、処理部24による処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。
【0042】
例えば、記憶部23は、ドライバプログラムとして、第1通信部21及び第2通信部22を制御する通信デバイスドライバプログラム等を記憶する。また、記憶部23は、オペレーティングシステムプログラムとして、ARIB STD-T108等の通信方式による通信制御プログラム等を記憶する。また、記憶部23は、アプリケーションプログラムとして、各種データの送受信を行うデータ処理プログラム等を記憶する。コンピュータプログラムは、例えばCD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部23にインストールされてもよい。
【0043】
記憶部23には、データとして、通信管理表及び通信能力表等が記憶される。通信管理表及び通信能力表の詳細については後述する。
【0044】
処理部24は、組み込み型のマイクロプロセッサユニットと、ROM、RAMなどのメモリと、その周辺回路とを有し、中継装置20の各種信号処理を実行する。処理部24は、中継装置20の各種処理が記憶部23に記憶されているプログラム(ドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム等)等に応じて適切な手順で実行されるように、第1通信部21、第2通信部22等の動作を制御する。そのために、処理部24は、フレーム受信部241、判定部242、データ判定部243、変換部244、格納部245、設定部246、フレーム送信部247及び送信判定部248を有する。処理部24が有するこれらの各部は、マイクロプロセッサユニット上で動作するプログラムの機能モジュールとして実装されるが、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、又はファームウェアとして中継装置20に実装されてもよい。
【0045】
中継装置25、25′は、処理部24が有する各部を除いて、中継装置20と同様な構成を有する。中継装置25、25′の処理部は、第1周波数帯で受信したフレームをそのまま第1周波数帯で送信し、第2周波数帯で受信したフレームをそのまま第2周波数帯で送信する中継部を有する。
【0046】
図6は、第1形式及び第2形式に準拠したフレーム、及び、第1データ形式に準拠したフレームの一例である。
【0047】
図の上段は、第1形式に準拠したフレームの一例であり、図の中段は、第2形式に準拠したフレームの一例であり、図の下段は、第1データ形式に準拠したデータの一例である。
【0048】
第1形式に準拠したフレーム及び第2形式に準拠したフレームは、いずれも、ヘッダ、ペイロード及びFCS(Frame Check Sequence)からなる。
【0049】
ヘッダは、フレームの制御情報を格納する領域であり、フレームの宛先、フレームの送信元、フレーム番号を含む。本実施の形態において、宛先及び送信元の一方は、検知装置10又は検知装置10′のアドレスであり、他方は、制御装置30のアドレスである。フレーム番号は、宛先及び送信元の組毎にフレームを識別する番号であり、フレーム送信時に送信元の装置によって宛先別に0~最大値(例えば127)まで昇順に付番される。送信元の装置は、ある宛先に対するフレーム番号が最大値に達すると、次のフレーム番号として0を付番する。本実施の形態において、フレーム番号、宛先及び送信元は、第1形式に準拠したフレームのヘッダ内ではこの順に並び、第2形式に準拠したフレームのヘッダ内では宛先、送信元、フレーム番号の順に並ぶ。なお、フレーム番号は、ヘッダに代えてペイロードの所定の位置に格納されてもよい。
【0050】
第1形式に準拠したフレームのヘッダは、さらに、格納情報を含む。格納情報は、第1形式に準拠したフレームのペイロードが第2形式に準拠したフレームを含むか否かを示す情報である。なお、格納情報は、ヘッダに代えてペイロードの所定の位置に格納されてもよい。
【0051】
ペイロードは、フレームで運搬されるデータが格納される領域である。第1形式及び第2形式は、ペイロード内部の領域の使い方を定義していない。第1形式に準拠したフレームのペイロードは、所定のデータを含むことも、第2形式に準拠したフレームを含むこともある。第2形式に準拠したフレームのペイロードは、第1形式に準拠したフレームの所定のデータと形式が異なる他の所定のデータを含む。以下、第1形式に準拠したフレームに含まれる所定のデータの形式を第1データ形式と称し、第2形式に準拠したフレームに含まれる他の所定のデータの形式を第2データ形式と称することがある。
【0052】
FCSは、通信中にデータに誤りが生じたか否かを調べるため、送信時にフレームの末尾に付加される誤り検出符号である。
【0053】
第1データ形式に準拠したデータは、種類情報及びデータ本体からなる。種類情報は、データ本体の種類を示す情報であり、種類は、ユーザ関連とその他に大別される。すなわち、中継装置20は、種類情報を参照することにより、データの種類がユーザ関連か否かを判定できる。データ本体は、種類情報に対応したデータの本体であり、ICカードのカード識別子等が格納される。
【0054】
図7(a)は通信管理表の一例であり、図7(b)は通信能力表の一例である。
【0055】
通信管理表には、中継装置20が中継可能なフレームの宛先及び送信元の組、その組を有する最新の送信フレームに付番されていたフレーム番号等が互いに関連付けられて記憶される。中継可能なフレームの宛先及び送信元の組は、検知装置10、制御装置30等の設置時に通信管理表に登録される。図7において、宛先欄及び送信元欄の10、10′及び30は、それぞれ検知装置10、10′及び制御装置30を示す。
【0056】
通信能力表には、中継装置20が中継可能なフレームの宛先、宛先の装置が使用可能な周波数帯等が予め互いに関連付けられて記憶されている。
【0057】
図8は、制御装置30の機能ブロック図の一例である。
【0058】
制御装置30は、検知装置10が送信したフレームを受信し、フレームの内容に応じた制御を行う。そのために、制御装置30は、第1通信部31と、第2通信部32と、記憶部33と、表示部34と、処理部35とを有する。
【0059】
第1通信部31は、小電力無線の通信インタフェース回路を含み、第1送信部311と第1受信部312とを有する。第1送信部311は、処理部35の指示に基づいて第1周波数帯で第1通信方式に従って中継装置25′等にフレームを送信する。第1受信部312は、中継装置25′等が送信したフレームを第1周波数帯で第1通信方式に従って受信し、受信フレームに格納された情報を処理部35に出力する。
【0060】
第2通信部32は、小電力無線の通信インタフェース回路を含み、第2送信部321と第2受信部322とを有する。第2送信部321は、処理部35の指示に基づいて第2周波数帯で第2通信方式に従って中継装置25′等にフレームを送信する。第2受信部322は、中継装置25′等が送信したフレームを第2周波数帯で第2通信方式に従って受信し、受信フレームに格納された情報を処理部35に出力する。
【0061】
記憶部33は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置、及び光ディスク装置のうちの少なくとも一つを有する。記憶部33は、処理部35による処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。
【0062】
例えば、記憶部33は、ドライバプログラムとして、第1通信部31及び第2通信部32を制御する通信デバイスドライバプログラム等を記憶する。また、記憶部33は、オペレーティングシステムプログラムとして、ARIB STD-T108等の通信方式による通信制御プログラム等を記憶する。また、記憶部33は、アプリケーションプログラムとして、各種データの送受信を行うデータ処理プログラム等を記憶する。コンピュータプログラムは、例えばCD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部33にインストールされてもよい。
【0063】
表示部34は、静止画像等の出力が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、タッチパネル式の表示装置、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等である。表示部34は、処理部35から供給されるデータに応じた静止画像データに応じた静止画像等を表示する。例えば、表示部34は、処理部35から入力された、検知装置10が検知した内容を表示する。
【0064】
処理部35は、組み込み型のマイクロプロセッサユニットと、ROM、RAMなどのメモリと、その周辺回路とを有し、制御装置30の各種信号処理を実行する。処理部35は、制御装置30の各種処理が記憶部33に記憶されているプログラム(ドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)等に応じて適切な手順で実行されるように、第1通信部31等の動作を制御する。そのために、処理部35は、フレーム受信部351、解析部352及び出力部353を有する。処理部35が有するこれらの各部は、マイクロプロセッサユニット上で動作するプログラムの機能モジュールとして実装されるが、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、又はファームウェアとして制御装置30に実装されてもよい。
【0065】
図9は、中継処理のフローチャートの一例である。
【0066】
以下、図9に示したフローチャートを参照しつつ、中継装置20の動作の例を説明する。以下に説明する動作は、予め記憶部23に記憶されているプログラムに基づき、主に処理部24により各要素と協働して実行される。
【0067】
最初に、フレーム受信部241は、第1受信部212又は第2受信部222を介してフレームを受信するまで待機する(S11)。フレームの一例は、検知装置10の読取部141がカードリーダ部12を介して読み取ったICカードのカード識別子を、情報送信部143がフレームに格納し、送信部111を介して送信した、第1形式に準拠した制御装置30宛の第1フレームである。フレームの他の一例は、検知装置10の装置検知部142が検知した検知装置10の異常を示すデータを、情報送信部143がフレームに格納し、送信部111を介して送信した、第1形式に準拠した制御装置30宛の第1フレームである。
【0068】
次に、フレーム受信部241は、第1受信部212又は第2受信部222を介したフレームの受信に成功すると(S12)、フレームの送信元にACK(acknowledgement)を送信し、受信フレームを記憶部23に記憶する。
【0069】
次に、判定部242は、受信フレームが第1形式に準拠しているか否を判定する(S13)。具体的には、判定部242は、第1受信部212を介してフレームを受信したとき、受信フレームが第1形式に準拠していると判定し、第2受信部222を介してフレームを受信したとき、受信フレームが第2形式に準拠していると判定する。
【0070】
受信フレームが第1形式に準拠しているとき(S13-Y)、中継装置20は、後述するデータ送信処理を実行し(S14)、処理をS11に進める。
【0071】
受信フレームが第1形式に準拠していないとき(S13-N)、格納部245及び設定部246は、受信フレーム(すなわち、第2フレーム)を格納し第1形式に準拠した第1フレームを生成する(S15)。
【0072】
具体的には、格納部245は、第1フレームのペイロードに第2フレームを格納し、設定部246は、第1フレームの格納情報に、第2フレームを格納していることを示すフラグを設定する。さらに、設定部246は、第2フレームの宛先及び送信元の値を、それぞれ第1フレームの宛先及び送信元に設定し、第2フレームのフレーム番号を、第1フレームのフレーム番号に設定する。第1通信方式及び第2通信方式のアドレス体系が異なるとき、設定部246は、予め記憶部23に記憶された両方式のアドレスの対応表に基づいて第2フレームのアドレスを第1フレームのアドレスに変換し、第1フレームの宛先及び送信元に設定してもよい。中継装置20は、第1フレームに第2フレームをそのまま格納することで、第2フレームを第1フレームに変換する負荷をかけずに容易に第1フレームを生成できる。
【0073】
次に、フレーム送信部247は、第1送信部211を介して、格納部245及び設定部246が生成した第1フレームを送信する(S16)。第1フレームには第2フレームが格納されており、第1通信方式は第2通信方式より通信遅延が小さいため、中継装置20は、第2フレームを、第2周波数帯で送信するときより小さい遅延で送信できる。
【0074】
次に、フレーム送信部247は、フレームの送信に成功したか否かを判定する(S17)。フレームの送信に成功したとき(S17-Y)、フレーム送信部247は、記憶部23に記憶した受信フレームを削除し、処理をS11に進める。
【0075】
フレームの送信に失敗したとき(S17-N)、フレーム送信部247は、第2送信部221を介して、S12で受信し記憶部23に記憶したフレーム(すなわち、第2フレーム)を送信する(S18)。中継装置20は、S16で第2フレームを格納した第1フレームを小さな通信遅延で送信できないときでも、S18で第2フレームを送信することができるため、フレームの中継が成功する確率を増加させることができる。
【0076】
次に、フレーム送信部247は、記憶部23に記憶した受信フレームを削除し、処理をS11に進める。以上により、中継処理の説明を終了する。
【0077】
図10は、図9のS14のデータ送信処理のフローチャートの一例である。
【0078】
最初に、判定部242は、受信フレーム(すなわち、第4フレーム)に格納された格納情報に基づいて、第4フレームが第2フレームを格納しているか否かを判定する(S21)。
【0079】
第2フレームを格納しているとき(S21-Y)、フレーム送信部247は、第1送信部211を介して、図9のS11で受信した第4フレームを送信する(S22)。
【0080】
第2フレームを格納していないとき(S21-N)、データ判定部243は、第4フレームに格納されたデータの種類を、データ中の種類情報を参照して判定する(S23)。データの種類がユーザ関連のとき(S23-Y)、フレーム送信部247は、第1送信部211を介して図9のS11で受信した第4フレームを送信し(S29)、データ送信処理を終了する。ユーザ関連のデータは、後述する変換を実行せずに送信されるため、中継処理に伴う遅延を小さくすることができる。
【0081】
データの種類がその他のとき(S23-N)、変換部244は、第4フレームを第2形式に準拠した第3フレームに変換する(S24)。具体的には、変換部244は、第4フレームの宛先及び送信元を、それぞれ第3フレームの宛先及び送信元に設定し、第4フレームのフレーム番号を、第3フレームのフレーム番号に設定する。さらに、変換部244は、第4フレームのペイロードに格納され第1データ形式に準拠したデータを、第2データ形式に準拠したデータに変換し、第3フレームのペイロードに格納する。
【0082】
次に、格納部245及び設定部246は、第3フレームを格納し第1形式に準拠した第1フレームを生成する(S25)。具体的には、格納部245は、第1フレームのペイロードに第3フレームを格納し、設定部246は、第1フレームの格納情報に、第3フレームを格納していることを示すフラグを設定する。さらに、設定部246は、第4フレームの宛先及び送信元の値を、それぞれ第1フレームの宛先及び送信元に設定し、第4フレームのフレーム番号を、第1フレームのフレーム番号に設定する。
【0083】
次に、フレーム送信部247は、第1送信部211を介して、第1フレームを送信する(S26)。この第1フレームにはユーザ関連でないデータを格納した第3フレームが格納されているため、中継装置20は、後段の中継装置25がユーザ関連でないデータを第2通信方式で送信する際のフレームの変換を不要にし、処理の負荷を小さくすることができる。
【0084】
次に、送信判定部248は、S22又はS26におけるフレームの送信に成功したか否かを判定する(S27)。フレームの送信に成功したとき(S27-Y)、フレーム送信部247は、記憶部23に記憶した受信フレームを削除し、データ送信処理を終了する。
【0085】
フレームの送信に失敗したとき(S27-N)、フレーム送信部247は、第2送信部221を介して、S22又はS26で送信に失敗したフレームに格納され第2形式に準拠したフレーム(すなわち、第2フレーム又は第3フレーム)を送信する(S28)。中継装置20は、S22又はS26で第1形式に準拠したフレームを小さな遅延で送信できないときでも、S28で第2形式に準拠したフレームを送信することができるため、フレームの中継が成功する確率を増加させることができる。
【0086】
次に、フレーム送信部247は、記憶部23に記憶した受信フレームを削除し、データ送信処理を終了する。
【0087】
図11は、受信処理のフローチャートの一例である。
【0088】
以下、図11に示したフローチャートを参照しつつ、制御装置30の動作の例を説明する。以下に説明する動作は、予め記憶部33に記憶されているプログラムに基づき、主に処理部35により各要素と協働して実行される。
【0089】
最初に、フレーム受信部351は、第1受信部312又は第2受信部322を介してフレームを受信するまで待機する(S31)。このフレームは、例えば、検知装置10が送信し、中継装置20、25、25′が中継した、制御装置30宛のフレームである。
【0090】
次に、フレーム受信部351は、第1受信部312又は第2受信部322を介したフレームの受信に成功すると(S32)、フレームの送信元にACKを送信し、受信フレームを記憶部33に記憶する。
【0091】
次に、解析部352は、受信フレームが第1形式に準拠しているか否を判定する(S33)。解析部352は、第1受信部312を介してフレームを受信したとき、受信フレームが第1形式に準拠していると判定し、第2受信部322を介してフレームを受信したとき、受信フレームが第2形式に準拠していると判定する。
【0092】
受信フレームが第1形式に準拠しているとき(S33-Y)、解析部352は、第1形式に基づいて受信フレームを解析する(S34)。次に、解析部352は、受信フレームのペイロードに格納されたデータが第2形式に準拠したフレームか否かを、受信フレーム中の格納情報にフラグが設定されているか否かに基づいて判定する(S35)。受信フレーム中に、第1形式に準拠したフレームのペイロードが第2形式に準拠したフレームを含むか否かを示す格納情報が含まれているため、制御装置30は、格納情報に基づいてS35の判定を容易に実行できる。
【0093】
格納されたデータが第2形式に準拠したフレームのとき(S35-Y)、解析部352は、第2形式及び第2データ形式に基づいて受信フレームのデータを解析し(S36)、解析結果を出力部353に出力する。
【0094】
格納されたデータが第2形式に準拠したフレームでないとき(S35-N)、解析部352は、第1データ形式に基づいて受信フレームのデータを解析し(S37)、解析結果を出力部353に出力する。
【0095】
受信フレームが第1形式に準拠していないとき(S33-N)、解析部352は、第2形式及び第2データ形式に基づいて受信フレームを解析し(S38)、解析結果を出力部353に出力する。
【0096】
次に、出力部353は、受信した解析結果に応じて所定の出力を行う(S39)。例えば、出力部353は、解析結果が検知装置10から送信された、登録済みの社員を示す情報であるとき、接続された電気錠等の解錠を要求する信号を検知装置10へ出力する。また、機器異常を示す情報であるとき、ネットワーク(不図示)を介して機器異常の情報を監視センタ(不図示)に通報する。あるいは、出力部353は、監視センタへの通知に代えて、又は通知に加えて、機器異常が発生した旨を示す画面を生成し、生成した画面を表示部34に表示させる。次に、出力部353は、記憶部33に記憶した受信フレームを削除し、処理をS31に進める。以上により、受信処理の説明を終了する。
【0097】
本実施形態に係る中継装置20は、第1通信方式に準拠した第4フレームに格納されたデータの種類を判定し、第4フレームを通信遅延が大きな第2通信方式に準拠した第3フレームに変換する。次に、中継装置20は、第3フレームを第4フレームの宛先と同一の宛先を有する第1フレームに格納し、データの種類の判定結果に応じて、第4フレーム又は第1フレームを第1通信方式で送信する。これにより、中継装置20では、送信するフレームに格納されたデータの種類に応じて送信方式を変更可能なので、緊急度が高いデータの場合には、必ず通信遅延の小さい通信方式を選択して、早急にデータを送信先まで中継できるようにしている。更に、緊急度が高くないデータの場合には、通信遅延の大きい通信方式をも選択可能としているので、通信状態に関わらず、確実にデータを送信先まで中継することが可能である。
【0098】
また、警備システム1全体としては、検知装置10が、フレームの送信時点を記憶し、その時点から所定の時間内に送信フレームに対する応答を受信しないときに制御装置30へのフレーム送信に失敗したと判定する等の方法により、送信失敗を認識できる。
【0099】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明はこの実施形態に限定されない。例えば、通信装置が中継装置20である例について説明したが、通信装置は、第2フレームを受信しない検知装置であってもよい。具体的には、検知装置10の情報送信部143に、読取部141又は装置検知部142が検知した状態に基づいて第4フレームを生成する機能と、第4フレームに格納されたデータの種類を判定する機能を追加する。さらに、検知装置10の情報送信部143に、第4フレームを第3フレームに変換する機能と、第3フレームを第1フレームに格納する機能とを追加し、検知装置10の送信部111が第1フレームを送信する。この検知装置も、第4フレームに格納されたデータの種類に応じ、そのフレームに対して、通信遅延の大きな通信方式を後段の中継装置が使用するための準備をするか否かを選択できる。
【0100】
また、中継装置20は、受信した第4フレームを送信した時点からそのフレームの送信が失敗したと判定する時点までの時間を、第1フレームを送信した時点から第3フレームの送信が失敗したと判定する時点までの時間より短く設定してもよい。
【0101】
具体的には、送信判定部248は、図10のS28及びS29のフレームの送信が成功したか否かをさらに判定する。さらに、送信判定部248は、受信した第4フレームをS29で送信してから送信が失敗したと判定するまでの時間を、S26で第1フレームを送信してからS28のフレームの送信が失敗したと判定するまでの時間より短く設定する。このように処理することにより、中継装置20は、ユーザ関連のデータの送信の失敗を、その他のデータの送信の失敗より早く判定できる。これにより、例えば、中継の失敗時に中継装置20が受信フレームの送信元にNACKを送信することによって、検知装置10は、フレームの送信失敗をより早く認識することができる。また、通信遅延によりカード操作を行ったユーザが離れてから通信が完了してしまい、ユーザがいないにもかかわらず解錠されてしまうことを防止できる
【0102】
また、中継装置20は、フレームを送信する前に、送信周波数帯による通信をフレームの宛先の装置がサポートしているか否かを判定し、サポートしていないとき、第1周波数帯でフレームを送信せず、第2周波数帯でフレームを送信してもよい。
【0103】
具体的には、判定部242は、図9のS13で受信フレームが第1形式に準拠しているか否かを判定する際に、判定結果に応じたフレーム形式に基づいて、受信フレームのヘッダから宛先を抽出する。次に、判定部242は、通信管理表から、抽出した宛先に関連付けられている使用可能周波数帯の情報を取得する。次に、判定部242は、判定結果が第1形式に準拠しているときは処理をS14に進め、中継装置20は、後述するように変更されたデータ送信処理を実行する。判定結果が第1形式に準拠していないとき、判定部242は、使用可能周波数帯の情報が第1周波数帯を含むとき、処理をS15に進め、第1周波数帯を含まないとき、処理をS18に進める。さらに、図10のデータ送信処理において、フレーム送信部247は、S22及びS26のフレームの送信を実行せず、送信判定部248は、S27の判定の代わりに、常に処理をS28に進める。
【0104】
このように処理することにより、中継装置20は、宛先の装置が受信できない周波数帯でフレームを送信することを減らすため、途中に周波数帯を変換できる中継装置がない限り無駄になるフレームの送信を防止できる。
【0105】
なお、上記の処理で使用する通信管理表に記憶する使用可能周波数帯の情報は、宛先にフレームを送信する際の経路上で中継装置20とフレームを直接送受信する中継装置25の情報であってもよい。中継装置20は、中継装置25が受信できない周波数帯でフレームを送信しないため、無駄なフレームの送信を防止できる。
【0106】
また、中継装置20のフレーム受信部241は、図9のS13でフレームの形式を判定した後、S14又はS15に処理を進める前に、自らが処理する必要のないフレームを削除してもよい。
【0107】
具体的には、判定部242は、S13で判定された形式(すなわち、第1形式又は第2形式)に基づいて、フレームのヘッダから宛先及び送信元を抽出する。次に、判定部242は、抽出した宛先及び送信元の組が通信管理表に記憶されているか否かを判定する。抽出した宛先及び送信元の組が記憶されているとき、判定部242は、処理をS14又はS15に進める。抽出した宛先及び送信元の組が記憶されていないとき、フレーム受信部241は、受信フレームを記憶部23から削除して処理をS11に進める。このように処理することにより、中継装置20は、自らが処理する必要のないフレームをS14、S16及びS18において送信することを防ぎ、無線通信の輻輳を防止できる。
【0108】
また、中継装置20のフレーム受信部241は、図9のS13でフレームの形式を判定した後、検知装置10又は10′等が連続して送信した同一のフレームのうち、2つ目以降のフレームを受信しても、それらを削除してよい。
【0109】
具体的には、判定部242は、S13で判定された形式(すなわち、第1形式又は第2形式)に基づいて、フレームのヘッダから宛先、送信元及びフレーム番号を抽出する。次に、判定部242は、抽出した宛先、送信元及びフレーム番号の組が通信管理表に記憶されているか否かを判定する。抽出した宛先、送信元及びフレーム番号の組が通信管理表に記憶されているとき、フレーム受信部241は、受信フレームを記憶部23から削除し、処理をS11に進める。宛先、送信元及びフレーム番号の組が通信管理表に記憶されていないとき、判定部242は、処理をS14又はS15に進める。このように処理することにより、中継装置20は、他の中継装置又は検知装置が連続して送信した同一のフレームのうち、2つ目以降のフレームを削除できるため、無線通信の輻輳を防止できる。
【0110】
また、上述した、連続して送信した同一のフレームのうち2つ目以降のフレームの削除のために、フレーム送信部247は、通信管理表の状態を常に最新状態に維持することが好ましい。例えば、フレーム送信部247は、図9のS16、図10のS22等においてフレームの送信に成功したとき、さらに、送信フレームの宛先及び送信元の組と関連付けられて通信管理表に記憶されているフレーム番号を、送信フレームのフレーム番号に更新する。中継装置20は、送信済の宛先、送信元及びフレーム番号の最新の組を記憶するため、他の中継装置又は検知装置が連続して送信した同一のフレームのうち、2つ目以降のフレームの検知を適切に行うことができる。
【0111】
また、中継装置20のフレーム送信部247は、フレームの送信に成功したか否かを、その送信に対するACKを次段の中継装置25等から受信したか否かによって判定してもよい。フレーム送信部247は、送信に対するACKを受信しないとき、同一のフレームを再送し、再送したフレーム全てについてACKを受信しないとき、フレームの送信に失敗したと判定してもよい。
【0112】
また、中継装置20のフレーム送信部247は、図9のS18及び図10のS28におけるフレームの送信前に、中継装置20が送信フレームを中継したことを示す中継情報を送信フレームの所定の個所に設定してもよい。中継装置20の前段及び後段の中継装置においても、同様に、フレームの送信前に中継情報を送信フレームの所定の個所に設定してよい。警備システム1が送信フレームに中継情報を設定するように運用されるとき、中継装置20のフレーム送信部247は、図9のS16の後に第2フレームに中継情報が設定されているか否かを判定する。設定されているとき、フレーム送信部247は、処理をS11に進め、設定されていないとき、フレーム送信部247は、処理をS17に進める。このように処理することにより、遅延の大きな第2通信方式で2回以上フレームが送信されることがないため、中継装置20は、通信遅延が大きくなることを防止できる。
【0113】
また、図6で説明した第1形式に準拠したフレームは、第2形式に準拠したフレームを格納しているとき、ヘッダにフレーム番号を格納しなくてもよい。この場合、中継装置20のフレーム受信部241及びフレーム送信部247は、第1形式に準拠したフレームのヘッダ中のフレーム番号の代わりに、ペイロードに格納されたフレームのフレーム番号を使用する。このようにして、中継装置20は、上述した、連続して送信された同一のフレームのうち2つ目以降のフレームを受信したときにそれらを削除すること、及び、通信管理表のフレーム番号を更新することを実行してもよい。
【0114】
また、第1周波数帯として920MHz帯、第2周波数帯として426MHz帯を一例として挙げたがこれに限られるものではなく、第1周波数帯が第2周波数帯よりも伝送できる情報量が多く、通信速度が速い周波数帯であればよい。また、検知装置10、10′、中継装置20、25、25′及び制御装置30は、3つ以上の周波数帯による通信機能を有してもよい。
【0115】
当業者は、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0116】
1 警備システム(システム) 10、10′ 検知装置 20 中継装置 30 制御装置 141 読取部(データ生成部) 142 装置検知部(データ生成部) 143 情報送信部 241 フレーム受信部 242 判定部 243 データ判定部 244 変換部 245 格納部 247 フレーム送信部 351 フレーム受信部 352 解析部 353 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11