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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】表示装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10K 59/10 20230101AFI20230315BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20230315BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20230315BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20230315BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20230315BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20230315BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20230315BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230315BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20230315BHJP
   H10K 50/854 20230101ALI20230315BHJP
   H10K 50/858 20230101ALI20230315BHJP
【FI】
H10K59/10
H05B33/14 A
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
H05B33/12 E
H05B33/10
H05B33/04
G02B5/02 A
G09F9/30 365
G09F9/30 349A
G09F9/30 349Z
H05B33/02
H10K50/854
H10K50/858
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020500362
(86)(22)【出願日】2019-01-24
(86)【国際出願番号】 JP2019002315
(87)【国際公開番号】W WO2019159641
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】P 2018025634
(32)【優先日】2018-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112955
【弁理士】
【氏名又は名称】丸島 敏一
(72)【発明者】
【氏名】新屋 公啓
(72)【発明者】
【氏名】山本 篤志
(72)【発明者】
【氏名】前田 兼作
【審査官】渡邊 吉喜
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0339509(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0087018(US,A1)
【文献】特開2015-128003(JP,A)
【文献】特開2011-228229(JP,A)
【文献】特開2015-069700(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0064694(US,A1)
【文献】特開2017-111363(JP,A)
【文献】特開2012-109213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/02
H10K 50/00
H10K 59/00
H05B 33/12
H05B 33/22
H05B 33/10
H05B 33/04
G02B 5/02
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を平面上に配置し、
前記複数の画素のうち特定の色の画素のみが、発光素子と、前記発光素子から発光された光を集光する集光レンズと、前記集光レンズによって集光された光を散乱させる散乱レンズとの組を備える
表示装置。
【請求項2】
前記特定の色の画素は、白色画素である
請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記特定の色の画素の周囲に隔壁をさらに具備する請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記隔壁は、前記画素内の光を反射する
請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
前記隔壁は、前記画素内の光を吸収する
請求項3記載の表示装置。
【請求項6】
前記集光レンズまたは前記散乱レンズの周囲において光を吸収する光吸収層をさらに具備する請求項1記載の表示装置。
【請求項7】
前記光吸収層は、前記集光レンズまたは前記散乱レンズの一部を覆う
請求項6記載の表示装置。
【請求項8】
前記光吸収層の下に光を反射する光反射層をさらに具備する請求項6記載の表示装置。
【請求項9】
前記発光素子の周囲において光を反射する光反射層をさらに具備する請求項1記載の表示装置。
【請求項10】
前記光反射層は、前記集光レンズの方向に拡がり角を備える
請求項9記載の表示装置。
【請求項11】
前記集光レンズは、色変化層を備える
請求項1記載の表示装置。
【請求項12】
前記散乱レンズは、色変化層を備える
請求項1記載の表示装置。
【請求項13】
前記散乱レンズと前記集光レンズとの間に対向基板をさらに具備する請求項1記載の表示装置。
【請求項14】
前記散乱レンズおよび前記集光レンズは、前記発光素子の中心軸から所定の距離ずれた位置に設けられる
請求項1記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、表示装置に関する。詳しくは、発光素子を備える表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像を表示させるための発光モジュールにおいては、有機エレクトロルミネッセンス(EL:Electro-Luminescence)素子などの自発光素子からの光を、集光レンズにより集光して、表示している。例えば、発光素子が発する光を集光する集光レンズと、集光レンズを覆う反射層と、反射層を覆う光吸収層とを備える表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-100715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来技術では、光取り出し効率を維持しながら外光反射を抑制していた。しかしながら、取り出された光は正面への指向性が高いため、輝度視野角特性が劣化するという問題があった。また、レンズ正面からの光については外光反射を抑制することができないという問題があった。
【0005】
本技術はこのような状況に鑑みて生み出されたものであり、光取り出し効率および輝度視野角特性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術は、上述の問題点を解消するためになされたものであり、その第1の側面は、発光素子と、上記発光素子から発光された光を集光する集光レンズと、上記集光レンズによって集光された光を散乱させる散乱レンズとを具備する表示装置である。これにより、集光レンズにより光を集光するとともに、集光された光を散乱レンズにより散乱させて光取り出し効率および輝度視野角特性を向上させるという作用をもたらす。
【0007】
また、この第1の側面において、複数の画素を平面上に配置し、上記複数の画素の少なくとも一部の画素は、上記発光素子、上記集光レンズおよび上記散乱レンズの組を備えるようにしてもよい。これにより、複数の画素の少なくとも一部の画素において、光取り出し効率および輝度視野角特性を向上させるという作用をもたらす。
【0008】
また、この第1の側面において、上記画素の周囲に隔壁をさらに具備してもよい。これにより、他の画素との混色を防止するという作用をもたらす。この場合において、上記隔壁は、上記画素内の光を反射するものであってもよく、また、上記画素内の光を吸収するものであってもよい。
【0009】
また、この第1の側面において、上記発光素子、上記集光レンズおよび上記散乱レンズの組は、特定の色の画素にのみ設けられるようにしてもよい。この場合において、上記特定の色の画素は、白色画素であってもよい。これにより、必要に応じて外光の反射を低減するという作用をもたらす。
【0010】
また、この第1の側面において、上記集光レンズまたは上記散乱レンズの周囲において光を吸収する光吸収層をさらに具備してもよい。この場合において、上記光吸収層は、上記集光レンズまたは上記散乱レンズの一部を覆うようにしてもよい。また、この場合において、上記光吸収層の下に光を反射する光反射層をさらに具備してもよい。これにより、光取り出し効率をさらに向上させるという作用をもたらす。
【0011】
また、この第1の側面において、上記発光素子の周囲において光を反射する光反射層をさらに具備してもよい。これにより、光取り出し効率をさらに向上させるという作用をもたらす。この場合において、上記光反射層は、上記集光レンズの方向に拡がり角を備えてもよい。
【0012】
また、この第1の側面において、上記集光レンズは、色変化層を備えてもよい。これにより、色変化層と集光レンズを一体化して形成させるという作用をもたらす。
【0013】
また、この第1の側面において、上記散乱レンズは、色変化層を備えてもよい。これにより、色変化層と散乱レンズを一体化して形成させるという作用をもたらす。
【0014】
また、この第1の側面において、上記散乱レンズと上記集光レンズとの間に対向基板をさらに具備してもよい。
【0015】
また、この第1の側面において、上記散乱レンズおよび上記集光レンズは、上記発光素子の中心軸から所定の距離ずれた位置に設けられてもよい。これにより、発光素子からの光の方向を任意の方向に傾けるという作用をもたらす。
【0016】
また、本技術の第2の側面は、基板の上に電極を形成する手順と、上記電極の上に発光素子を形成する手順と、上記発光素子を覆う保護層を形成する手順と、上記保護層の上に湾曲形状を形成する手順と、上記湾曲形状に沿って集光レンズを形成する手順と、上記集光レンズの表面に散乱レンズを形成する手順とを備える表示装置の製造方法である。これにより、集光レンズにより光を集光するとともに、集光された光を散乱レンズにより散乱させて光取り出し効率および輝度視野角特性を向上させる表示装置を製造するという作用をもたらす。
【発明の効果】
【0017】
本技術によれば、光取り出し効率および輝度視野角特性を向上させることができるという優れた効果を奏し得る。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本技術の実施の形態における表示装置100の全体構成の一例を示す図である。
図2】本技術の実施の形態における画素回路101の回路構成例を示す図である。
図3】本技術の実施の形態における表示装置100の発光モジュール部分の概略断面構造の一例を示す図である。
図4】本技術の実施の形態における光路の一例を示す図である。
図5】本技術の実施の形態における表示装置100の発光モジュール部分の製造工程の一例を示す図である。
図6】本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第1の変形例を示す図である。
図7】本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第2の変形例を示す図である。
図8】本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第3の変形例を示す図である。
図9】本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第4の変形例を示す図である。
図10】本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第5の変形例を示す図である。
図11】本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第6の変形例を示す図である。
図12】本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第7の変形例を示す図である。
図13】本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第8の変形例を示す図である。
図14】本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第9の変形例を示す図である。
図15】本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第10の変形例を示す図である。
図16】本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第11の変形例を示す図である。
図17】本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第12の変形例を示す図である。
図18】本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第13の変形例を示す図である。
図19】本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第14の変形例を示す図である。
図20】本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第15の変形例を示す図である。
図21】本技術の実施の形態の第1の適用例であるスマートフォン401の外観を示す図である。
図22】本技術の実施の形態の第2の適用例であるデジタルカメラ411の前方(被写体側)から眺めた外観を示す図である。
図23】本技術の実施の形態の第2の適用例であるデジタルカメラ411の後方から眺めた外観を示す図である。
図24】本技術の実施の形態の第3の適用例であるHMD431の外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.実施の形態
2.変形例
3.適用例
【0020】
<1.実施の形態>
[表示装置の構成]
図1は、本技術の実施の形態における表示装置100の全体構成の一例を示す図である。
【0021】
この表示装置100は、例えば、画素アレイ部102と、これを駆動する駆動部とを備える。駆動部は、水平セレクタ103と、ライトスキャナ104と、電源スキャナ105とを備える。
【0022】
画素アレイ部102は、行列状に配置された複数の画素回路101を備える。複数の画素回路101の各行に対応して、電源線DSLおよび走査線WSLが設けられる。また、複数の画素回路101の各列に対応して、信号線DTLが設けられる。
【0023】
ライトスキャナ104は、走査線WSLの各々に順次、制御信号を供給して、画素回路101を行単位で線順次走査するものである。電源スキャナ105は、線順次走査に合わせて、電源線DSLの各々に電源電圧を供給するものである。水平セレクタ103は、線順次走査に合わせて、列状の信号線DTLに、映像信号となる信号電位および基準電位を供給するものである。
【0024】
図2は、本技術の実施の形態における画素回路101の回路構成例を示す図である。
【0025】
画素回路101は、例えば、有機EL素子などの発光素子14と、サンプリングトランジスタ11と、駆動トランジスタ12と、保持容量13とを備える。
【0026】
サンプリングトランジスタ11は、ゲートが対応する走査線WSLに接続され、ソースおよびドレインの一方が対応する信号線DTLに接続され、ソースおよびドレインの他方が駆動トランジスタ12のゲートに接続される。
【0027】
駆動トランジスタ12は、ソースが発光素子14のアノードに接続され、ドレインが対応する電源線DSLに接続される。発光素子14のカソードは接地配線15に接続される。なお、この接地配線15は全ての画素回路101に対して共通に配線される。
【0028】
保持容量13は、駆動トランジスタ12のソースとゲートの間に接続される。保持容量13は、信号線DTLから供給される映像信号の信号電位を保持するものである。
【0029】
[画素構造]
図3は、本技術の実施の形態における表示装置100の発光モジュール部分の概略断面構造の一例を示す図である。
【0030】
この実施の形態における画素は、基板110上に、電極120と、発光素子130と、保護層140と、カラーフィルタ150と、レンズ160と、光吸収層170とを備える。
【0031】
電極120は、発光素子130のアノード電極であり、例えば、AlCu合金、錫(Ti)などの金属、酸化インジウム錫(ITO:Indium Tin Oxide)の透明電極などが想定される。
【0032】
発光素子130は、電気信号を光信号に変換する上述の発光素子14であり、例えば、有機EL素子が想定される。この場合、カソード電極と電極120との間に有機層が形成される。カソード電極の材料は、例えば、MgAg合金や酸化インジウム錫(ITO)の透明電極などが想定される。
【0033】
保護層140は、発光素子130を覆い、発光素子130の劣化を防ぐためのバリア層である。この保護層140の材料は、例えば、窒化シリコン(SiN)が想定される。
【0034】
カラーフィルタ150は、発光素子130からの光の色を変化させる色変化部材である。このカラーフィルタ150は、例えば、フォトレジストなどの有機材料に有機顔料を混合してフォトリソグラフィを行うことにより形成される。このカラーフィルタ150は、例えばベイヤー配列などの色配置を備える。画素の色は白色であってもよく、その場合には、このカラーフィルタ150は、全ての色を通過させる透明なフィルタであり、光の色を変化させない。
【0035】
この実施の形態においては、このカラーフィルタ150は、保護層140との間の境界面において湾曲形状を有する。これにより、カラーフィルタ150は、発光素子から発光された光を集光する集光レンズとしての機能を有する。
【0036】
レンズ160は、カラーフィルタ150の上に設けられた光学素子である。このレンズ160は、カラーフィルタ150の集光レンズによって集光された光を散乱させる散乱レンズとしての機能を有する。カラーフィルタ150およびレンズ160は、ともに樹脂を材料とし、同一材料を用いることもできる。ただし、レンズ160は透明な材料である必要がある。
【0037】
光吸収層170は、カラーフィルタ150の上のレンズ160の周囲に設けられ、カラーフィルタ150の集光レンズによって集光された光を吸収する層である。
【0038】
[光路]
図4は、本技術の実施の形態における光路の一例を示す図である。
【0039】
発光素子130から発光された光は、同図の実線に示すように、カラーフィルタ150の集光レンズによって集光され、レンズ160の散乱レンズによって散乱される。集光レンズおよび散乱レンズを組み合わせることにより、発光素子130から発光された光の光取り出し効率は向上する。また、散乱レンズによる光の散乱によって輝度視野角を広げることができる。
【0040】
一方、レンズ160の正面からの外光は、同図の点線に示すように、レンズ160の散乱レンズによって散乱され、発光素子130に到達し難くなる。これにより、外光の発光素子130における反射を低減することができる。
【0041】
[製造工程]
図5は、本技術の実施の形態における表示装置100の発光モジュール部分の製造工程の一例を示す図である。
【0042】
まず、同図におけるaに示されるように、基板110の上に電極120が形成される。この電極120は、リソグラフィにより形成される。すなわち、電極120となる材料を成膜した後にパターニングをし、レジストでマスクしてエッチングにより不要部分を削り、マスクのレジストを除去することにより、電極120が形成される。
【0043】
そして、同図におけるbに示されるように、電極120の上に発光素子130が形成される。この発光素子130は、蒸着により形成される。すなわち、気相中で発光素子130となる材料の薄膜を堆積することにより形成される。
【0044】
そして、同図におけるcに示されるように、発光素子130が形成された基板表面に、保護層140が形成される。この保護層140は、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)により形成される。このとき、保護層140の表面において、レジストを用いて湾曲形状が形成される。
【0045】
そして、同図におけるdに示されるように、カラーフィルタ150が形成される。このカラーフィルタ150は、保護層140の表面の湾曲形状に沿って形成され、集光レンズとしての機能を有する。このカラーフィルタ150は、リソグラフィまたは化学気相成長により形成される。
【0046】
そして、同図におけるeに示されるように、レンズ160が形成される。このレンズ160は、散乱レンズとしての機能を有する。このレンズ160は、リソグラフィにより形成される。
【0047】
そして、同図におけるfに示されるように、レンズ160の周囲に光吸収層170が形成される。この光吸収層170は、リソグラフィにより形成される。
【0048】
このように、本技術の実施の形態によれば、集光レンズおよび散乱レンズを組み合わせることにより、光取り出し効率および輝度視野角特性を向上させ、外光の反射を低減することができる。外光反射は白色の画素において特に問題になるため、白色の画素にこの実施の形態を適用すると特に有用である。
【0049】
<2.変形例>
上述の実施の形態では、カラーフィルタ150の下面において凹状の集光レンズを一体形成するとともに、カラーフィルタ150の上面には別体のレンズ160を凸状の散乱レンズとして設けていた。ただし、集光レンズおよび散乱レンズとしての機能は、凹凸形状以外にも、材料の屈折率によっても調整可能である。以下では、レンズの形状の他、光の吸収または反射を実現するための様々な変形例について説明する。
【0050】
[第1の変形例]
図6は、本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第1の変形例を示す図である。
【0051】
この第1の変形例では、上述の実施の形態におけるレンズ160を別体として設けずに、カラーフィルタ150の上面に凹状の散乱レンズを一体形成する。これにより、カラーフィルタ150に集光レンズおよび散乱レンズの両者の機能をもたせて、レンズ160を形成する工程を省くことができる。
【0052】
また、この第1の変形例では、画素の周囲に隔壁180を備える。この隔壁180は、色変化部材または光反射層からなり、他の画素と隔てる壁である。これにより、隣接する他の画素との混色を防止することができる。
【0053】
[第2の変形例]
図7は、本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第2の変形例を示す図である。
【0054】
この第2の変形例では、カラーフィルタ150の下面において凸状の集光レンズを一体形成する。すなわち、集光レンズの凹凸形状において上述の実施の形態とは異なっており、他の構造については上述の実施の形態と同様である。
【0055】
[第3の変形例]
図8は、本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第3の変形例を示す図である。
【0056】
この第3の変形例では、カラーフィルタ150の上面において凹状の散乱レンズを一体形成するとともに、カラーフィルタ150の下面において凹状の集光レンズを一体形成する。すなわち、カラーフィルタ150の下面に一体形成される集光レンズの凹凸形状において上述の第1の変形例と異なっており、他の構造については上述の第1の変形例と同様である。
【0057】
[第4の変形例]
図9は、本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第4の変形例を示す図である。
【0058】
この第4の変形例では、カラーフィルタ150の下面において凸状の集光レンズを一体形成するとともに、画素の周囲に隔壁180を備える。すなわち、上述の第2の変形例に隔壁180を設けた構造になっている。
【0059】
[第5の変形例]
図10は、本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第5の変形例を示す図である。
【0060】
この第5の変形例では、上述の実施の形態における光吸収層170を、レンズ160の周囲ではなく、カラーフィルタ150の集光レンズの周囲に設けた構造になっている。すなわち、この光吸収層170は、集光レンズまたは散乱レンズの何れの周囲に設けてもよい。
【0061】
[第6の変形例]
図11は、本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第6の変形例を示す図である。
【0062】
この第6の変形例では、上述の第1の変形例における光吸収層170を、レンズ160の周囲ではなく、カラーフィルタ150の集光レンズの周囲に設けた構造になっている。他の構造については上述の第1の変形例と同様である。
【0063】
[第7の変形例]
図12は、本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第7の変形例を示す図である。
【0064】
この第7の変形例では、上述の実施の形態における光吸収層170を取り除いた構造になっている。すなわち、光吸収層170は、効果を高めるための任意の構造であり、集光レンズおよび散乱レンズの組合せを設けることにより本技術の実施の形態としての効果を奏することができる。
【0065】
[第8の変形例]
図13は、本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第8の変形例を示す図である。
【0066】
この第8の変形例では、上述の第1の変形例または第6の変形例における光吸収層170を取り除いた構造になっている。すなわち、上述のように、光吸収層170は、効果を高めるための任意の構造であり、集光レンズおよび散乱レンズの組合せを設けることにより本技術の実施の形態としての効果を奏することができる。
【0067】
[第9の変形例]
図14は、本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第9の変形例を示す図である。
【0068】
この第9の変形例では、上述の実施の形態における光吸収層170を隔壁として設けた構造になっている。すなわち、光吸収層170は、集光レンズまたは散乱レンズの何れかの周囲における膜状の構造ではなく、カラーフィルタ150において他の画素と隔てる隔壁として設けられている。これにより、隣接する他の画素との混色を防止することができる。
【0069】
[第10の変形例]
図15は、本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第10の変形例を示す図である。
【0070】
この第10の変形例では、上述の第1の変形例または第6の変形例における光吸収層170を隔壁として設けた構造になっている。すなわち、光吸収層170は、集光レンズまたは散乱レンズの何れかの周囲における膜状の構造ではなく、上述の隔壁180に代えて光吸収機能を有する隔壁として設けられている。
【0071】
[第11の変形例]
図16は、本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第11の変形例を示す図である。
【0072】
この第11の変形例では、上述の実施の形態における光吸収層170の下に光反射層190を設けた構造になっている。これにより、画素の周辺に逸れた光を画素内に反射させることにより、光取り出し効率をさらに向上させることができる。
【0073】
[第12の変形例]
図17は、本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第12の変形例を示す図である。
【0074】
この第12の変形例では、上述の第11の変形例における光吸収層170および光反射層190がレンズ160の一部を覆う構造となっている。これにより、外光の反射をさらに低減することができる。
【0075】
[第13の変形例]
図18は、本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第13の変形例を示す図である。
【0076】
この第13の変形例では、上述の実施の形態におけるカラーフィルタ150の上面に、封止材210を挟んでガラス220による対向基板を設け、その上にレンズ160を設けた構造になっている。すなわち、集光レンズおよび散乱レンズの少なくとも一部は対向基板に形成されていてもよい。
【0077】
[第14の変形例]
図19は、本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第14の変形例を示す図である。
【0078】
この第14の変形例では、レンズ160の散乱レンズおよびカラーフィルタ150の集光レンズが、発光素子130の中心軸から所定の距離ずれた位置に設けられた構造になっている。そのため、同図では隣接する画素のカラーフィルタ151が表れている。これにより、発光素子130からの光の方向を真正面(垂直方向)ではなく、必要に応じて任意の方向(同図では右方向)に傾けることができる。
【0079】
[第15の変形例]
図20は、本技術の実施の形態における発光モジュール部分の第15の変形例を示す図である。
【0080】
この第15の変形例では、上述の実施の形態における発光素子130の側壁に光反射層190を設けた構造になっている。これにより、画素の周辺に逸れた光を画素内に反射させることにより、光取り出し効率をさらに向上させることができる。この構造においては、同図に示すように、カラーフィルタ150の集光レンズの方向に拡がり角を備えるリフレクタ構造を採用することにより、反射効率を高めることができる。
【0081】
<3.適用例>
以下では、上述の実施の形態の表示装置が適用され得る電子機器の例について説明する。
【0082】
図21は、本技術の実施の形態の第1の適用例であるスマートフォン401の外観を示す図である。このスマートフォン401は、ユーザからの操作入力を受け付ける操作部403と、各種の情報を表示する表示部405とを備える。この表示部405が、上述の実施の形態の表示装置によって構成され得る。
【0083】
図22は、本技術の実施の形態の第2の適用例であるデジタルカメラ411の前方(被写体側)から眺めた外観を示す図である。図23は、本技術の実施の形態の第2の適用例であるデジタルカメラ411の後方から眺めた外観を示す図である。このデジタルカメラ411は、本体部(カメラボディ)413と、交換式のレンズユニット415と、撮影時にユーザによって把持されるグリップ部417とを備える。また、このデジタルカメラ411は、各種の情報を表示するモニタ419と、撮影時にユーザによって観察されるスルー画を表示するEVF(電子ビューファインダ)421とを備える。このモニタ419およびEVF421が、上述の実施の形態の表示装置によって構成され得る。
【0084】
図24は、本技術の実施の形態の第3の適用例であるHMD431の外観を示す図である。このHMD(Head Mounted Display)431は、各種の情報を表示する眼鏡型の表示部433と、装着時にユーザの耳に掛止される耳掛け部435とを備える。この表示部433が、上述の実施の形態の表示装置によって構成され得る。
【0085】
以上、各実施の形態に係る表示装置が適用され得る電子機器のいくつかの例について説明した。なお、各実施の形態に係る表示装置が適用され得る電子機器は上に例示したものに限定されず、この表示装置は、テレビジョン装置、電子ブック、PDA、ノート型PC、ビデオカメラ、または、ゲーム機器等、外部から入力された画像信号または内部で生成した画像信号に基づいて表示を行うあらゆる分野の電子機器に搭載される表示装置に適用することが可能である。
【0086】
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
【0087】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって、限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0088】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)発光素子と、
前記発光素子から発光された光を集光する集光レンズと、
前記集光レンズによって集光された光を散乱させる散乱レンズと
を具備する表示装置。
(2)複数の画素を平面上に配置し、
前記複数の画素の少なくとも一部の画素は、前記発光素子、前記集光レンズおよび前記散乱レンズの組を備える
前記(1)に記載の表示装置。
(3)前記画素の周囲に隔壁をさらに具備する前記(2)に記載の表示装置。
(4)前記隔壁は、前記画素内の光を反射する
前記(3)に記載の表示装置。
(5)前記隔壁は、前記画素内の光を吸収する
前記(3)に記載の表示装置。
(6)前記発光素子、前記集光レンズおよび前記散乱レンズの組は、特定の色の画素にのみ設けられる
前記(2)から(5)のいずれかに記載の表示装置。
(7)前記特定の色の画素は、白色画素である
前記(6)に記載の表示装置。
(8)前記集光レンズまたは前記散乱レンズの周囲において光を吸収する光吸収層をさらに具備する前記(1)から(7)のいずれかに記載の表示装置。
(9)前記光吸収層は、前記集光レンズまたは前記散乱レンズの一部を覆う
前記(8)に記載の表示装置。
(10)前記光吸収層の下に光を反射する光反射層をさらに具備する前記(8)または(9)に記載の表示装置。
(11)前記発光素子の周囲において光を反射する光反射層をさらに具備する前記(1)から(10)のいずれかに記載の表示装置。
(12)前記光反射層は、前記集光レンズの方向に拡がり角を備える
前記(11)に記載の表示装置。
(13)前記集光レンズは、色変化層を備える
前記(1)から(12)のいずれかに記載の表示装置。
(14)前記散乱レンズは、色変化層を備える
前記(1)から(13)のいずれかに記載の表示装置。
(15)前記散乱レンズと前記集光レンズとの間に対向基板をさらに具備する前記(1)から(14)のいずれかに記載の表示装置。
(16)前記散乱レンズおよび前記集光レンズは、前記発光素子の中心軸から所定の距離ずれた位置に設けられる
前記(1)から(15)のいずれかに記載の表示装置。
(17)基板の上に電極を形成する手順と、
前記電極の上に発光素子を形成する手順と、
前記発光素子を覆う保護層を形成する手順と、
前記保護層の上に湾曲形状を形成する手順と、
前記湾曲形状に沿って集光レンズを形成する手順と、
前記集光レンズの表面に散乱レンズを形成する手順と
を備える表示装置の製造方法。
【符号の説明】
【0089】
11 サンプリングトランジスタ
12 駆動トランジスタ
13 保持容量
14 発光素子
15 接地配線
100 表示装置
101 画素回路
102 画素アレイ部
103 水平セレクタ
104 ライトスキャナ
105 電源スキャナ
110 基板
120 電極
130 発光素子
140 保護層
150、151 カラーフィルタ
160 レンズ
170 光吸収層
180 隔壁
190 光反射層
210 封止材
220 ガラス
図1
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