(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】新規の除草性化合物
(51)【国際特許分類】
A01N 43/20 20060101AFI20230315BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
A01N43/20
A01P13/00
(21)【出願番号】P 2020513797
(86)(22)【出願日】2018-09-06
(86)【国際出願番号】 US2018049670
(87)【国際公開番号】W WO2019051029
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-07-29
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510022440
【氏名又は名称】マローネ バイオ イノベーションズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【氏名又は名称】田村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】マローネ,パメラ
(72)【発明者】
【氏名】バサバダ,アミット
(72)【発明者】
【氏名】ボディ,ルイス
(72)【発明者】
【氏名】アソルカー,ラトナカー
(72)【発明者】
【氏名】オッドーネ,ギアン
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-521227(JP,A)
【文献】特表2014-527069(JP,A)
【文献】特表2015-504905(JP,A)
【文献】特開2002-249403(JP,A)
【文献】特表2005-529943(JP,A)
【文献】Journal of Natural Products,2014年,Vol.77(8),p.1864-1870
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 43/20
A01P 13/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単子葉、カヤツリグサ科または双子葉の雑草の出芽または成長を阻害するための方法であって、
a)有効量のスプライセオスタチンC、および
b)担体、希釈剤、界面活性剤、アジュバントの少なくとも1つ
を含む組成物を施用して、前記単子葉、カヤツリグサ科または双子葉の雑草の成長を阻害するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記単子葉、カヤツリグサ科または双子葉の雑草が、アマランサス(Amaranthus hypochondriacus)、シロザ(Chenopodium album)、イチビ(Abutilon theophrasti)、ヒマワリ(Helianthus annuus)、ブタクサ(Ambrosia artemesifolia)、アオゲイトウ(Amaranthus retroflexus)、セイヨウヒルガオ(Convolvulus arvensis)、野生カラシナ(Brassica kaber)、セイヨウタンポポ(Taraxacum officinale)、イヌホオズキ(Solanum nigrum)、ゼニバアオイ(Malva neglect)、エノコログサ(Setaria lutescens)、ウマノチャヒキ(Bromus tectorum)、スズメノカタビラ(Poa annua)、ケンタッキーブルーグラス(Poa pratensis)、パルマーアマランス(Palmer amaranth)、多年生ライグラス(Lolium perenne L.)変種Pace、トールフェスク(Festuca arundinaceae Schreb.)変種AztecII、AnthemII、LS1100、イヌビエ(Echinochloa crus-galli)およびレタス(Lactuca sativa)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物が、別の除草性化合物または農薬化合物をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記別の除草性化合物が、クローブ、シナモン、レモングラス、柑橘油、橙皮油、テントキシン、コルネキシスチン、AAL毒素、レプトスペルモン、サクストミン、サルメンチン、モミラクトンB、ソルゴレオン、アスカウラトキシン、アスカウラトキシンアグリコン、ジフルフェンゾピルおよびその塩、ジカンバおよびその塩、トプラメゾン、テンボトリオン、S-メトラクロール、アトラジン、メソトリオン、プリミスルフロン-メチル、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、ニコスルフロン、チフェンスルフロン-メチル、アスラム、メトリブジン、ジクロホップ-メチル、フルアジホップ、フェノキサプロパ-p-エチル、アスラム、オキシフルオルフェン、リムスルフロン、メコプロップ、およびキンクロラック、チオベンカルブ、クロマゾン、シハロホップ、プロパニル、ベンスルフロン-メチル、ペノキススラム、トリクロピル、イマゼタピル、ハロスルフロン-メチル、ペンディメタリン、ビスピリバック-ナトリウム、カルフェントラゾンエチル、ナトリウムベンタゾン/ナトリウムアシフルオルフェン、グリホセート、グルホシネート、およびオルソスルファムロンからなる群から選択される1種以上である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記スプライセオスタチンCが、バークホルデリア属(Burkholderia sp.)から単離される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記バークホルデリア属(Burkholderia sp.)が、バークホルデリア
・リノジェンシス(Burkholderia
rinojensis)A396(NRRL B-50319)である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記スプライセオスタチンCが、その塩または立体異性体をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
(a)スプライセオスタチンC、ならびに(b)クローブ、シナモン、レモングラス、柑橘油、橙皮油、テントキシン、コルネキシスチン、AAL毒素、レプトスペルモン、サクストミン、サルメンチン、モミラクトンB、ソルゴレオン、アスカウラトキシン、アスカウラトキシンアグリコン、ジフルフェンゾピルおよびその塩、ジカンバおよびその塩、トプラメゾン、テンボトリオン、S-メトラクロール、アトラジン、メソトリオン、プリミスルフロン-メチル、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、ニコスルフロン、チフェンスルフロン-メチル、アスラム、メトリブジン、ジクロホップ-メチル、フルアジホップ、フェノキサプロパ-p-エチル、アスラム、オキシフルオルフェン、リムスルフロン、メコプロップ、およびキンクロラック、チオベンカルブ、クロマゾン、シハロホップ、プロパニル、ベンスルフロンメチル、ペノキススラム、トリクロピル、イマゼタピル、ハロスルフロン-メチル、ペンディメタリン、ビスピリバック-ナトリウム、カルフェントラゾンエチル、ナトリウムベンタゾン/ナトリウムアシフルオルフェン、グリホセート、グルホシネート、およびオルソスルファムロンからなる群から選択される1種以上を含む相乗的除草性組成物。
【請求項9】
単子葉、カヤツリグサ科または双子葉の雑草の出芽または成長を阻害するための方法であって、
前記単子葉、カヤツリグサ科または双子葉の雑草の出芽を阻害するのに有効な、請求項8に記載の相乗的除草性組成物を、前記単子葉、カヤツリグサ科または双子葉の雑草へ施用するステップを含む、方法。
【請求項10】
前記施用方法が
、前記相乗的除草性組成物を、タンク混合を介
して前記単子葉、カヤツリグサ科または双子葉の雑草へ施用する
ことを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記施用方法が
、前記相乗的除草性組成物を、回転を介
して前記単子葉、カヤツリグサ科または双子葉の雑草へ施用する
ことを含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
a)スプライセオスタチンC、および
b)担体、希釈剤、界面活性剤、アジュバントの少なくとも1つ
を含む除草性組成物。
【請求項13】
前記スプライセオスタチンCが、バークホルデリア属(Burkholderia sp.)に由来するものである、請求項12に記載の除草性組成物。
【請求項14】
前記バークホルデリア属(Burkholderia sp.)が、バークホルデリア
・リノジェンシス(Burkholderia
rinojensis)A396(NRRL B-50319)である、請求項13に記載の
除草性組成物。
【請求項15】
前記スプライセオスタチンCが、化学的に合成されたものである、請求項12に記載の
除草性組成物。
【請求項16】
a)スプライセオスタチンC、
b)
次式で示されるアルコール
化合物
【化1】
(式中、R1は、C10~C22の炭化水素基を表し、R2は、水素原子、ヒドロキシル基またはC1~C24の炭化水素基を表し、R3は、水素原子またはC1~C24の炭化水素基を表す)、および
c)担体、希釈剤、界面活性剤、アジュバントの少なくとも1つ
を含む、改良された除草性組成物であって、
前記改良はスプライセオスタチンC単独の除草効果と比較したときのものである、前記除草性組成物。
【請求項17】
単子葉、カヤツリグサ科または双子葉の雑草の出芽または成長を阻害するための方法であって、
有効量の請求項16に記載の除草性組成物を、前記単子葉、カヤツリグサ科または双子葉の雑草に施用するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、抗菌剤および抗腫瘍剤として使用されることが知られている、FR901464および/またはスプライセオスタチンCに関する新規の使用方法に関する。より具体的には、本開示は、単子葉、カヤツリグサ科または双子葉の雑草の出芽および/または成長を防除および阻害するための方法、組成物および代謝産物に関する。
【背景技術】
【0002】
天然産物は、微生物、植物および他の生命体によって生成される物質である。微生物の天然産物は、化学的に多様性のある豊富な供給源を提供し、薬学の目的のために天然産物を利用する長い歴史が存在する。このような数種の化合物は、抗菌剤および抗腫瘍剤として有用であると認められている、FR901464およびスプライセオスタチンCである。これらの化合物は、スプライソソームの不可欠な構成要素である、U2 snRNA部分複合体のSF3bサブユニットへの結合を介する、真核生物RNAスプライシングの極めて強力な阻害剤である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
雑草を防除するための方法であって、有効量の、a)一般式(I)
【0004】
【化1】
(式中、X、YおよびZは、各々独立して、-O、-NRまたは-Sであり、Rは、HまたはC
1~C
10アルキルであり;R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
11、R
12およびR
13は、各々独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルキルカルボン酸、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、-C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバミン酸塩、スルホニル、スルホンアミドまたはスルフリルである)を有する化合物;ならびにb)担体、希釈剤、界面活性剤、アジュバントおよび/または他の除草性化合物もしくは他の農薬の少なくとも1つを施用することにより、前記雑草の成長を阻害する、方法を、本明細書で提供する。
【0005】
特定の態様では、上記方法において、前記化合物は、以下の構造
【0006】
【0007】
別の態様では、上記方法は、上述の化合物の1つまたは複数からなる群から選択される第1の物質;ならびにb)任意選択で、化学的または生物学的除草剤および/または農薬である第2の物質、ならびにc)任意選択で、担体、希釈剤、界面活性剤またはアジュバントの少なくとも1つを含み得る。
【0008】
なお別の態様では、前記雑草は、単子葉、カヤツリグサ科または双子葉の雑草の出芽および/または成長の阻害であって、前記雑草または土壌に、ある量の(a)上述の化合物の1つもしくは複数、(b)任意選択で、化学的もしくは生物学的除草剤である別の物質、または(c)単子葉、カヤツリグサ科もしくは双子葉の雑草の出芽または成長を阻害するのに有効な量の任意の上述の組合せを施用することを含む、阻害により、防除される。
【0009】
一態様では、前記他の除草性化合物は、限定されないが、クローブ、シナモン、レモングラス、柑橘油、橙皮油、テントキシン、コルネキシスチン、AAL毒素、レプトスペルモン、サクストミン(thaxtomin)、サルメンチン(sarmentine)、モミラクトンB、ソルゴレオン(sorgoleone)、アスカウラトキシン(ascaulatoxin)およびアスカウラトキシンアグリコン(ascaulatoxin aglycone)を含む。化学的除草剤は、限定されないが、ジフルフェンゾピルおよびその塩、ジカンバおよびその塩、トプラメゾン、テンボトリオン、S-メトラクロール、アトラジン、メソトリオン、プリミスルフロン-メチル、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、ニコスルフロン、チフェンスルフロン-メチル、アスラム、メトリブジン、ジクロホップ-メチル、フルアジホップ、フェノキサプロパ-p-エチル、アスラム、オキシフルオルフェン、リムスルフロン、メコプロップおよびキンクロラック、チオベンカルブ、クロマゾン、シハロホップ、プロパニル、ベンスルフロン-メチル、ペノキススラム、トリクロピル、イマゼタピル、ハロスルフロン-メチル、ペンディメタリン、ビスピリバック-ナトリウム(bispyribac-sodium)、カルフェントラゾンエチル、ナトリウムベンタゾン/ナトリウムアシフルオルフェン、グリホセート(glyphosate)、グルホシネート(glufosinate)、ステアリルアルコールおよび/またはオルソスルファムロンを含み得る。
【0010】
なお一態様では、本開示の除草性化合物は、前述の他の除草性化合物とコルビーの式により決定される相乗作用を示し、前記式は、1を超える比を有する。
【0011】
一態様では、前記雑草は、限定されないが、アマランサス(Amaranthus hypochondriacus)、アオゲイトウ(Amaranthus retroflexus)、オオホナガアオゲイトウ(Amaranthus palmeri)、タリノホアオゲイトウ(Amaranthus rudis)、シロザ(Chenopodium album)、ホウキギ(Kochia scoparia)、イチビ(Abutilon theophrasti)、ウスベニアオイ(Malva sylvestris)、コハコベ(Stellaria media)、スベリヒユ(Portulaca oleracea)、セイヨウヒルガオ(Convolvulus arvensis)、マルバアサガオ(Ipomoea purpurea)、ノハラガラシ(Sinapsis arvensis)、セイヨウノダイコン(Raphanus raphanistrum)、コメツブウマゴヤシ(Medicago lupulina)、シロツメクサ(Trifolium repens)、ゲニスタモンスペッスラーナ(Genista monspessulana)、ヤナギラン(Epilobium angustifolium)、イヌホオズキ(Solanum nigrum)、アキノエノコログサ(Setaria faberi)、ウマノチャヒキ(Bromus tectorum)、スズメノカタビラ(Poa annua)、ケンタッキーブルーグラス(Poa pratensis)、ネズミムギ(Lolium multiflorum)、オニメヒシバ(Digitaria sanguinalis)、オニウシノケグサ(Festuca arundinaceae)、イヌビエ(Echinochloa crus-galli)、ヘラオオバコ(Plantago lanceolata)、ヒマワリ(Helianthus annuus)、ブタクサ(Ambrosia artemisifolia)、ヒナギク(Bellis perennis)、セイヨウタンポポ(Taraxacum officinale)、トゲヂシャ(Lactuca serriola)および/またはレタス(Lactuca sativa)を含む。
【0012】
関連する一態様では、前述の組成物でコーティングされた種子を、本明細書で提供する。種子は、除草剤耐性である、遺伝子改変種子であり得る。
【0013】
本発明の特色および利益をより完全に理解するために、本発明の詳細な説明を、付随する図面とともにここで参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】パルマーアマランス(Palmer amaranth)の植物毒性試験を示し、Y軸は、第4本葉期に処置し、処置の6日後(DAT)にp<0.000およびRsq=0.7887で評価した、アガベパルメリ(A. palmeri)植物に対する損傷のパーセンテージを提示する図である。エラーバーは、標準誤差を表す。フィッシャーのLSD法および90%信頼度を使用するグループ化情報。UTC=未処置対照。
【
図2】パルマー(Palmer)の植物毒性試験を示し、Y軸は、6DAT p<0.000およびRsq=0.7068での、4葉のアガベパルマー(A. palmer)植物への生体重(g)/植物評価を提示する図である。エラーバーは、標準誤差を表す。フィッシャーのLSD法および90%信頼度を使用するグループ化情報。UTC=未処置対照。
【
図3】6DAT p<0.000およびRsq=0.7847での、4葉のアガベパルマー(A. palmer)植物への損傷評価のパーセンテージを用いた、別のパルマー(Palmer)の植物毒性試験を示す図である。エラーバーは、標準誤差を表す。フィッシャーのLSD法および90%信頼度を使用するグループ化情報。UTC=未処置対照。
【
図4】
図3と同様の濃度を用いた、パルマー(Palmer)の植物毒性試験を示す図である。6DAT p<0.000およびRsq=0.6305での、4葉のアガベパルマー(A. palmer)植物への生体重(g)/植物評価。エラーバーは、標準誤差を表す。フィッシャーのLSD法および90%信頼度を使用するグループ化情報。UTC=未処置対照。
【
図5】なお別のパルマー(Palmer)の植物毒性試験を示す図である。6DAT p<0.000およびRsq=0.7239での、4葉のアガベパルマー(A. palmer)植物への損傷評価のパーセンテージ。エラーバーは、標準誤差を表す。フィッシャーのLSD法および90%信頼度を使用するグループ化情報。UTC=未処置対照。
【
図6】
図5と同様の実験であるが、Y軸を生体重として示す図である。6DAT p<0.000およびRsq=0.6330での、4葉のアガベパルマー(A. palmer)植物への生体重(g)/植物評価。エラーバーは、標準誤差を表す。フィッシャーのLSD法および90%信頼度を使用するグループ化情報。UTC=未処置対照。
【
図7】なお別のパルマー(Palmer)の植物毒性試験として示す図である。6DAT p<0.000およびRsq=0.6521での、4葉のアガベパルマー(A. palmer)植物に対する損傷への損傷評価のパーセンテージ。エラーバーは、標準誤差を表す。フィッシャーのLSD法および90%信頼度を使用するグループ化情報。UTC=未処置対照。
【
図8】
図7と同様の実験であるが、Y軸を生体重として示す図である。
図2:6DAT p<0.000およびRsq=0.6099での、4葉のアガベパルマー(A. palmer)植物への生体重(g)/植物評価。エラーバーは、標準誤差を表す。フィッシャーのLSD法および90%信頼度を使用するグループ化情報。UTC=未処置対照。
【
図9】なお別のパルマー(Palmer)の植物毒性試験を示す図である。6DAT p<0.000およびRsq=0.9061での、4葉のアガベパルマー(A. palmer)植物への損傷評価のパーセンテージ。エラーバーは、標準誤差を表す。フィッシャーのLSD法および95%信頼度を使用するグループ化情報。UTC=未処置対照。
【
図10】
図9と同様の実験であるが、Y軸を生体重として示す図である。6DAT p<0.000およびRsq=0.8359での、4葉のアガベパルマー(A. palmer)植物への生体重(g)/植物評価。エラーバーは、標準誤差を表す。フィッシャーのLSD法および95%信頼度を使用するグループ化情報。UTC=未処置対照。
【
図11】ステアリルアルコール(HAVEN)とスプライセオスタチンC(MBI-014)との間の相乗作用を示す図である。UTC=未処置対照。
【発明を実施するための形態】
【0015】
先の組成物および方法は、多様な改変および代替の形態を許容し、例示的な実施形態が、本明細書において詳細に記載されるであろう。しかし、本発明を開示されている特定の形態に限定する意図はなく、逆に、すべての改変、等価物および代替物が、添付の特許請求の範囲により定義されるような本発明の精神および範囲に属することが意図されていることを理解すべきである。
【0016】
値の範囲がもたらされる場合、文脈が明白に他に指示しない限り、間にある各値は、下限値の単位の10分の1まで、その中に含まれることが理解される。
【0017】
別途定義されない限り、本明細書において使用されているすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または均等な任意の方法および材料も本発明を実践または試験するのに使用することができるが、好ましい方法および材料が、ここで記載されている。
【0018】
本明細書において使用される場合、「を含む(comprises)」、「を含む(comprising)」、「を含む(includes)」、「を含む(including)」、「を有する(has)」、「を有する(having)」、「を含有する(contains)」、「を含有する(containing)」、「によって特徴付けられる(characterized by)」という用語またはそれらの任意の他の変形は、明確に示された任意の制限を条件として、非排他的な包含にわたることが意図される。例えば、要素のリストを含む組成物、混合物、工程または方法は、必ずしも、それらの要素のみには限定されず、明示的に列挙されていない、または、このような組成物、混合物、工程または方法に内在する他の要素を含んでもよい。
【0019】
「からなる」という移行句は、指定されていない任意の要素、ステップまたは成分を除外する。特許請求の範囲における場合、このような移行句は、特許請求の範囲を、それに元々関連する不純物を除き、列挙されているもの以外の材料を包含しないように制限するであろう。「からなる」という句が、プレアンブルの直後ではなく特許請求の範囲本文の節に現れる場合、「からなる」は、その節において記載されている要素のみを限定し、他の要素は、全体として、特許請求の範囲から除外されない。
【0020】
「本質的に~からなる」という移行句は、文言上開示されているものに加え、材料、ステップ、特色、構成要素または要素を含む、組成物、方法を定義するために使用されるが、これらのさらなる材料、ステップ、特色、構成要素または要素が、列挙された対象物の基礎および新規の特徴へ物質的な影響を与えないことを条件とする。「本質的に~からなる」という用語は、「を含む」と「からなる」との間の中間の立場を占める。
【0021】
「除草剤」という用語は、本明細書において使用される場合、植物の成長を防除または改変する化合物を意味する。「除草的に有効な量」という用語は、植物の成長への防除または改変作用をもたらすことが可能な、このような化合物またはこのような化合物の組合せの量を意味する。防除または改変作用は、自然の発育からのすべての逸脱、例えば、死滅、遅延、葉焼け、白化現象、矮化等を含む。
【0022】
「植物」という用語は、種子、苗、若木、根、塊茎、幹、茎、葉および果実を含む、植物のすべての物理的部分を指す。「場所」という用語は、土壌、種子および苗、ならびに定着した草木を含むことを意図し、雑草がすでに成長しているであろう区域だけでなく、雑草がまだ出芽していない区域および有用植物の作物に関して耕作中の区域も含まれる。「耕作中の区域」は、作物植物がすでに成長している土地およびこのような作物植物の耕作が意図される土地を含む。「雑草」という用語は、本明細書において使用される場合、任意の所望されない植物を意味し、したがって、以下に記載する農学的に重要な雑草だけでなく、自生作物植物も含む。
【0023】
本明細書において称される場合、単独または語の組合せのいずれかにおいて使用される「苗」という用語は、種子の胚から発育している若い植物を意味する。
【0024】
本明細書において称される場合、単独または「広葉雑草」のような語のいずれかにおいて使用される「広葉」という用語は、2枚の子葉を有する胚により特徴付けられる被子植物群を記載するのに用いられる用語、双子葉植物(dicot)または双子葉植物(dicotyledon)を意味する。
【0025】
「出芽前施用」(pre-em)という用語は、雑草が土壌の表面を超えて出芽する前の、雑草の種子または苗が存在する土壌への施用を意味する。「出芽後施用」(post-em)という用語は、土壌の表面を超えて出芽している雑草の、気中または露出部分への施用を意味する。「早期出芽後施用」(early post)という用語は、土壌の表面を超えて出芽しており、子葉段階と成長の第2および第3葉段階(または第3および第4輪生段階)との間にある雑草の、気中または露出部分への施用を意味する。
【0026】
本明細書において定義される場合、「全ブロス培養物」または「全細胞ブロス」は、細胞および培地の両方を含有する液体培養物を意味する。細菌をプレート上で増殖させる場合、細胞は、水または他の液体、全培養物中で回収することができる。「全ブロス培養物」および「全細胞ブロス」は、互換的に使用される。
【0027】
本明細書において定義される場合、「上清」は、細胞をブロス中で増殖させる場合、または別の液体中で寒天プレートから回収される場合、および遠心分離、濾過、沈降もしくは当技術分野で周知の他の方法により除去される場合に残留する液体を指す。
【0028】
本明細書において定義される場合、「濾液」は、膜を通過した、全ブロス培養物由来の液体を指す。
【0029】
本明細書において定義される場合、「抽出物」は、溶媒(水、洗浄剤、緩衝剤、有機溶媒)により細胞から除去され、遠心分離、濾過および他の方法により細胞から分離された液体物質を指す。
【0030】
本明細書において定義される場合、「代謝産物」は、微生物の発酵の化合物、物質もしくは副産物、または除草活性を有する微生物から得られる上清、濾液もしくは抽出物を指す。
【0031】
本明細書において定義される場合、「に由来する」は、特定の供給源から直接単離されるもしくは得られる、または代わりに、特定の供給源から単離されるもしくは得られる物質または生物の識別される特徴を有することを意味する。
【0032】
本明細書において定義される場合、「単離されたまたは単離された化合物」は、限定されないが、クロマトグラフ法、電気泳動法を含む分析方法によって決定された、他の化合物または物質を実質的に含まないこと、例えば、少なくとも約20%純粋、好ましくは少なくとも約40%純粋、より好ましくは約60%純粋、なおより好ましくは約80%純粋、最も好ましくは約90%純粋およびなお最も好ましくは約95%純粋である。
【0033】
本明細書において使用される場合、「アルキル」は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル等を含む、1~約12個の炭素原子を有する、一価の直鎖または分岐鎖炭化水素基を指す。
【0034】
本明細書において使用される場合、「置換アルキル」は、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、アミド、--C(O)H、アシル、オキシアシル、カルボキシル、スルホニル、スルホンアミド、スルフリル等から選択される1つまたは複数の置換基をさらに有するアルキル基を指す。
【0035】
本明細書において使用される場合、「アルケニル」は、1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を有し、約2~最大12個の範囲の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基を指し、「置換アルケニル」は、上述のような1つまたは複数の置換基をさらに有するアルケニル基を指す。
【0036】
本明細書において使用される場合、「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有し、約2~最大12個の範囲の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基を指し、「置換アルキニル」は、上述のような1つまたは複数の置換基をさらに有するアルキニル基を指す。
【0037】
本明細書において使用される場合、「アリール」は、6~最大14個の範囲の炭素原子を有する芳香族基を指し、「置換アリール」は、上述のような1つまたは複数の置換基をさらに有するアリール基を指す。
【0038】
本明細書において使用される場合、「ヘテロアリール」は、1つまたは複数のヘテロ原子(例えば、N、O、S等)を環構造の部分として含有し、3~最大14個の範囲の炭素原子を有する芳香族環を指し、「置換ヘテロアリール」は、上述のような1つまたは複数の置換基をさらに有するヘテロアリール基を指す。
【0039】
本明細書において使用される場合、「アルコキシ」は、部分--O-アルキル-を指し、アルキルは上記で定義されているとおりであり、「置換アルコキシ」は、上述のような1つまたは複数の置換基をさらに有するアルコキシル基を指す。
【0040】
本明細書において使用される場合、「チオアルキル」は、部分--S-アルキル-を指し、アルキルは上記で定義されているとおりであり、「置換チオアルキル」は、上述のような1つまたは複数の置換基をさらに有するチオアルキル基を指す。
【0041】
本明細書において使用される場合、「シクロアルキル」は、約3~最大8個の範囲の炭素原子を含有する、環含有アルキル基を指し、「置換シクロアルキル」は、上述のような1つまたは複数の置換基をさらに有するシクロアルキル基を指す。
【0042】
本明細書において使用される場合、「複素環」は、1つまたは複数のヘテロ原子(例えば、N、O、S等)を環構造の部分として含有し、3~最大14個の範囲の炭素原子を有する環(すなわち、環含有)基を指し、「置換複素環」は、上述のような1つまたは複数の置換基をさらに有する複素環基を指す。
【0043】
本明細書において使用される場合、「除草剤解毒剤」は、ある特定の作物に対して除草剤の植物毒性作用を除去または低減するために、除草性製剤に加えられる物質である。これらの化合物は、作物を除草剤による被害から保護するが、典型的に、除草剤による所望されない草木の防除を妨害しない。除草剤解毒剤の例には、限定されないが、ベノキサコール、クロキントセット-メキシル、クミルロン、シオメトリニル、シプロスルファミド、ダイムロン、ジクロルミド、ジシクロノン、ジエトレート(dietholate)、ジメピペレート(dimepiperate)、フェンクロラゾール-エチル、フェンクロリム、フルラゾール、フルクソフェニム、フリラゾール、イソオキサジフェン-エチル、メフェンピル-ジエチル、メフェネート(mephenate)、メトキシフェノン、ナフタル酸無水物、オキサベトリニル、N-(アミノカルボニル)-2-メチルベンゼンスルホンアミドおよびN-(アミノカルボニル)-2-フルオロベンゼンスルホンアミド、1-ブロモ-4-[(クロロメチル)スルホニル]ベンゼン、2-(ジクロロメチル)-2-メチル-1,3-ジオキソラン(MG 191)、4-(ジクロロアセチル)-1-オキサ-4-アゾスピロ-[4.5]デカン(MON 4660)、2,2-ジクロロ-1-(2,2,5-トリメチル-3-オキサゾリジニル)-エタノンならびに2-メトキシ-N-[[4-[[(メチルアミノ)カルボニル]アミノ]フェニル]スルホニル]-ベンズアミドが含まれる。注目すべきは、ジエトレート(dietholate)、2,2-ジクロロ-1-(2,2,5-トリメチル-3-オキサゾリジニル)-エタノンおよび2-メトキシ-N-[[4-[[(メチルアミノ)カルボニル]アミノ]フェニル]スルホニル]-ベンズアミド(代わりに、N-(2-メトキシベンゾイル)-4-[(メチルアミノカルボニル)アミノ]ベンゼンスルホンアミド;CAS番号129531-12-0と名付けられる)である。特に注目すべきは、2-メトキシ-N-[[4-[[(メチルアミノ)カルボニル]アミノ]フェニル]スルホニル]-ベンズアミド(代わりにN-(2-メトキシベンゾイル)-4-[(メチルアミノカルボニル)アミノ]ベンゼンスルホンアミド;CAS番号129531-12-0と名付けられる)である。
【0044】
バークホルデリア(Burkholderia)A396(NRRL B-50319)株。本明細書に記載されているバークホルデリア(Burkholderia)A396株は、非バークホルデリアセパシア(Burkholderia cepacia)複合体、非バークホルデリアプランタリ(Burkholderia plantari)、非バークホルデリアグラディオリ(Burkholderia gladioli)のバークホルデリア属(Burkholderia sp)であり、鳥類、哺乳類および魚類のような脊椎動物に非病原性である。この株は、当技術分野において公知であり、Lorch et al., 1995に記載されている手順を使用して、土壌試料から単離することができる。バークホルデリア(Burkholderia)A396の単離、特徴および代謝産物を得る方法は、当技術分野において公知であり、例えば、米国特許第8,822,193号または米国特許9,433,218号において見出すことができ、この両方を、その全体を参照として組み込む。
【0045】
ステアリルアルコールの組成物および植物成長促進におけるその使用方法は、当技術分野において公知である。より具体的には、ステアリルアルコールの多様な構造、その使用方法を、参照として組み込む。R1、R2およびR3により表される炭化水素基は、それぞれ、飽和または不飽和基、好ましくは飽和基であり得、直鎖、分岐鎖または環状鎖、好ましくは直鎖または分岐鎖、特に好ましくは直鎖であり得る。炭化水素基中の総炭素数は、奇数または偶数のいずれか、好ましくは偶数であり得る。R1、R2またはR3中の総炭素数は、好ましくは50個以下、より好ましくは12~48個、なおより好ましくは16~44個である。一般式(1)では、R1中の炭素数は、好ましくは14~22個、より好ましくは14~20個、なおより好ましくは14~18個である。一般式(1)で表される化合物中の総炭素数は、好ましくは12~48個、より好ましくは16~28個、なおより好ましくは16~24個である。化合物は、より好ましくは、合計12~24個の炭素を含有し、1個のヒドロキシル基を有する化合物であり、なおより好ましくは、合計16~22個の炭素を含有し、1個のヒドロキシル基を有する化合物である。
【0046】
除草性化合物
特定の実施形態では、本発明は、構造
【0047】
【化3】
(式中、X、YおよびZは、各々独立して、-O、-NRまたは-Sであり、Rは、HまたはC
1~C
10アルキルであり;R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
11、R
12およびR
13は、各々独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルキルカルボン酸、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、-C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバミン酸塩、スルホニル、スルホンアミドまたはスルフリルである)
を有する、除草性化合物に関する。
【0048】
特定の実施形態では、前記組成物は、以下の構造
【0049】
【0050】
本開示の化合物は、化学的に合成する、または生体材料からのような他の供給源に由来することができる。
【0051】
本開示の化合物は、作物の植付前または後、雑草出芽前(出芽前施用)または雑草出芽後(出芽後施用)に施用することができ、雑草の出芽後に施用する場合に特に有効である。
【0052】
本発明による前述の化合物は、合成において得られるような未改変形態で除草剤として使用することができるが、該化合物は、担体、溶媒および表面活性物質のような製剤アジュバントを使用した多様な方法で、一般的に除草性組成物に製剤化される。したがって、本発明は、製剤アジュバントに加え、式(I)の除草的に有効な量の化合物を含む、除草性組成物にも関する。前記製剤は、例えば、散布剤、ゲル、水和剤、水分散性顆粒、水分散性錠剤、発泡性ペレット、乳化性濃縮物、ミクロ乳化性濃縮物、水中油型エマルション、油フロアブル剤、水分散体、油分散体、サスポエマルション、カプセル懸濁剤、乳化顆粒、可溶性液体、水溶性濃縮物(担体として水または水混和性の有機溶媒を用いる)、含浸ポリマーフィルムの形態、または例えばManual on Development and Use of FAO Specifications for Plant Protection Products, 5th Edition, 1999からの公知の他の形態の、多様な物理的形態であり得る。このような製剤は、直接的に使用するか、または使用前に希釈することができる。希釈液は、例えば、水、液体肥料、微量栄養素、生物有機体、油または溶媒を用いて作製することができる。
【0053】
前記製剤は、例えば、微細化された固体、顆粒、溶液、分散体またはエマルションの形態で組成物を得るために、活性成分を製剤アジュバントと混合することにより調製することができる。活性成分は、微細化された固体、鉱物油、植物もしくは動物起源の油、植物もしくは動物起源の改変油、有機溶媒、水、表面活性物質またはこれらの組合せのような、他のアジュバントを用いて製剤化することもできる。活性成分は、ポリマーからなる非常に微細なミクロカプセル剤に含有されることもできる。ミクロカプセル剤は、多孔質担体中に活性成分を含有する。このことにより、活性成分を、制御された量で環境中に放出すること(例えば、持続放出)が可能となる。ミクロカプセル剤は、通常、0.1~500ミクロンの直径を有する。ミクロカプセル剤は、活性成分を、カプセル重量の約25~95重量%の量で含有する。活性成分は、モノリス形固体の形態、固体もしくは液体分散体中の微細粒子の形態、または適切な溶液の形態であり得る。カプセル化膜は、例えば、天然もしくは合成ゴム、セルロース、スチレン/ブタジエンコポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸塩、ポリエステル、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタンもしくは化学的に改変されたポリマーおよびデンプンキサンテート(starch xanthates)または当業者に公知の他のポリマーを含む。代わりに、活性成分が微細化された粒子の形態で基体の固体マトリックスに含有されるが、ミクロカプセル剤それら自体はカプセル化されていない、非常に微細なミクロカプセル剤を形成することができる。
【0054】
本発明による組成物の調製に好適な製剤アジュバントは、それ自体が公知である。液体担体として、水、トルエン、キシレン、石油エーテル、植物油、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酸無水物、アセトニトリル、アセトフェノン、酢酸アミル、2-ブタノン、炭酸ブチレン、クロロベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、酢酸のアルキルエステル、ジアセトンアルコール、1,2-ジクロロプロパン、ジエタノールアミン、p-ジエチルベンゼン、ジエチレングリコール、アビエチン酸ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールジ安息香酸、ジプロキシトール、アルキルピロリドン、酢酸エチル、2-エチルヘキサノール、炭酸エチレン、1,1,1-トリクロロエタン、2-ヘプタノン、アルファ-ピネン、d-リモネン、乳酸エチル、エチレングリコール、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、ガンマ-ブチロラクトン、グリセロール、酢酸グリセロール、二酢酸グリセロール、三酢酸グリセロール、ヘキサデカン、ヘキシレングリコール、酢酸イソアミル、酢酸イソボルニル、イソオクタン、イソホロン、イソプロピルベンゼン、ミリスチン酸イソプロピル、乳酸、ラウリルアミン、酸化メシチル、メトキシプロパノール、メチルイソアミルケトン、メチルイソブチルケトン、ラウリン酸メチル、オクタン酸メチル、オレイン酸メチル、塩化メチレン、m-キシレン、n-ヘキサン、n-オクチルアミン、オクタデカン酸、酢酸オクチルアミン、オレイン酸、オレイルアミン、o-キシレン、フェノール、ポリエチレングリコール(PEG400)、プロピオン酸、乳酸プロピル、炭酸プロピレン、プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、p-キシレン、トルエン、リン酸トリエチル、トリエチレングリコール、キシレンスルホン酸、パラフィン、鉱物油、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ブチル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびアミルアルコール、テトラヒドロ-フルフリルアルコール、ヘキサノール、オクタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、N-メチル-2-ピロリドン等のような高分子量のアルコール等を使用することができる。水は、一般的に、濃縮物を希釈するために選択される担体である。好適な固体担体は、例えば、タルク、二酸化チタン、ろう石クレー、シリカ、アタパルジャイトクレー、珪藻土、石灰岩、炭酸カルシウム、ベントナイト、モンモリロナイトカルシウム、綿種子殻、小麦粉、ダイズ粉、軽石、木粉、破砕クルミ殻、リグニン、ならびに、例えば、CFR 180.1001(c)および(d)中に記載されているような類似の物質である。
【0055】
多数の表面活性物質を、固体および液体製剤の両方、特に使用前に担体を用いて希釈できる製剤において、有利に使用することができる。表面活性物質は、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性またはポリマー性であり得、乳化剤、湿潤剤もしくは懸濁化剤として、または他の目的のために使用することができる。典型的な表面活性物質は、例えば、ラウリル硫酸ジエタノールアンモニウムなどの硫酸アルキルの塩;ドデシル-ベンゼンスルホン酸カルシウムなどのアルキルアリールスルホン酸の塩;ノニルフェノールエトキシレートなどのアルキルフェノール/酸化アルキレン付加生成物;トリデシルアルコールエトキシレートなどのアルコール/酸化アルキレン付加生成物;ステアリン酸ナトリウムなどの石けん;ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルナフタレンスルホン酸の塩;ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムなどのスルホコハク酸塩のジアルキルエステル;オレイン酸ソルビトールなどのソルビトールエステル;ラウリルトリメチルアンモニウムクロリドなどの第四級アミン、ステアリン酸ポリエチレングリコールなどの脂肪酸のポリエチレングリコールエステル;エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマー;ならびにモノ-およびジ-アルキルリン酸エステルの塩;ならびに、例えば、"McCutcheon's Detergents and Emulsifiers Annual" MC Publishing Corp., Ridgewood N.J., 1981中に記載されているさらなる物質も含む。
【0056】
殺虫製剤に通常使用することができるさらなるアジュバントは、結晶化阻害剤、粘度調整剤、懸濁化剤、染料、抗酸化剤、発泡剤、吸光剤、混合補助剤(mixing auxiliaries)、消泡剤、錯化剤、中和またはpH調整物質および緩衝剤、腐食防止剤、着香剤、湿潤剤、取込増強剤(take-up enhancers)、微量栄養素、可塑剤、光沢剤、滑沢剤、分散剤、増粘剤、不凍剤、殺菌剤、ならびに、液体および固体肥料も含む。
【0057】
本発明による組成物は、加えて、植物または動物起源の油、鉱物油、このような油のアルキルエステルまたはこのような油および油誘導体の混合物を含む、添加剤を含み得る。本発明による組成物中の油添加剤の量は、一般的に、噴霧混合物を基として0.01~10%である。例えば、油添加剤は、噴霧混合物が調製された後、所望の濃度で噴霧タンクに加えることができる。好ましい油添加剤は、鉱物油または植物起源の油、例えば、菜種油、オリーブ油またはヒマワリ油、AMIGO(登録商標)(Rhone-Poulenc Canada Inc.)などの乳化植物油、植物起源の油のアルキルエステル、例えば、メチル誘導体、または魚油もしくは牛脂などの動物起源の油を含む。好ましい添加剤は、例えば、活性構成要素として実質的に80重量%の魚油のアルキルエステルおよび15重量%のメチル化菜種油、ならびに、5重量%の通例の乳化剤およびpH調整剤も含有する。特に好ましい油添加剤は、C8~C22脂肪酸のアルキルエステルを含み、特にC12~C18脂肪酸のメチル誘導体、例えばラウリン酸、パルミチン酸およびオレイン酸のメチルエステルが重要である。これらのエステルは、ラウリン酸メチル(CAS-111-82-0)、パルミチン酸メチル(CAS-112-39-0)およびオレイン酸メチル(CAS-112-62-9)として公知である。好ましい脂肪酸メチルエステル誘導体は、Emery(登録商標)2230および2231(Cognis GmbH)である。これらのおよび他の油誘導体も、Compendium of Herbicide Adjuvants, 5th Edition, Southern Illinois University, 2000から、公知である。
【0058】
油添加剤の施用および作用は、非イオン性、陰イオン性または陽イオン性の界面活性剤などの表面活性物質との組合せにより、さらに改善することができる。好適な陰イオン性、非イオン性および陽イオン性界面活性剤の例は、国際公開第97/34485号パンフレットの7~8ページに列挙されている。好ましい表面活性物質は、ドデシルベンジルスルホン酸塩型、特にそのカルシウム塩の陰イオン性界面活性剤、および、また、脂肪アルコールエトキシレート型の非イオン性界面活性剤である。5~40のエトキシル化度を有するエトキシル化C12~C22脂肪アルコールに特恵が与えられる。市販の界面活性剤の例は、Genapol型(Clariant AG)である。シリコーン界面活性剤、特に、例えばSilwet L-77(登録商標)として市販されているポリアルキル-オキシド-改変ヘプタメチルトリルオキサン、および、過フッ素化界面活性剤も好ましい。添加剤全体に対する表面活性物質の濃度は、一般的に、1~30重量%である。油もしくは鉱油またはそれらの誘導体と界面活性剤との混合物からなる油添加剤の例は、Edenor ME SU(登録商標)、Turbocharge(登録商標)(Syngenta AG、CH)またはActipronC(BP Oil UK Limited、GB)である。
【0059】
所望の場合、前述の表面活性物質をそれらのみの製剤中で使用する、すなわち、油添加剤を用いないことも可能である。
【0060】
さらに、油添加剤/界面活性剤混合物に有機溶剤を加えることで、作用のさらなる増強に寄与し得る。好適な溶剤は、例えば、Solvesso(登録商標)(ESSO)またはAromatic Solvent(登録商標)(Exxon Corporation)である。このような溶剤の濃度は、総重量の10~80重量%であり得る。溶剤との混和物中に存在する油添加剤が、例えば、米国特許第4,834,908号に記載されている。本明細書に開示されている市販の油添加剤は、MERGE(登録商標)(BASF Corporation)の名称で公知である。本発明において好ましいさらなる油添加剤は、SCORE(登録商標)(Syngenta Crop Protection Canada)である。
【0061】
上記に列挙されている油添加剤に加えて、本発明による組成物の作用を増強する目的で、アルキルピロリドンの製剤(例えばAgrimax(登録商標))を噴霧混合物に加えることも可能である。合成格子の製剤、例えばポリアクリルアミド、ポリビニル化合物またはポリ-1-p-メンテン(例えばBond(登録商標)、Courier(登録商標)またはEmerald(登録商標))も、用いることができる。プロピオン酸を含有する溶液、例えばEurogkem Pen-e-trate(登録商標)を、噴霧混合物に作用増強剤として加えることも可能である。
【0062】
除草性組成物は、一般的に、0.1~99重量%、特に0.1~95重量%の式(I)の化合物、および、好ましくは0~25重量%の表面活性物質を含む、1~99.9重量%の製剤アジュバントを含む。市販製品は濃縮物として製剤化されることが好ましいであろうが、エンドユーザーは、通常、希釈製剤を利用するであろう。
【0063】
なお別の特定の実施形態では、上記の化合物のいずれかは、天然材料由来もしくは商業的供給源から得られたもしくは単離された化合物由来、または化学合成によるものであり得、例えば、内容がその全体を参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願第2008/0096879 A1号を参照のこと。天然供給源は、限定されないが、微生物、藻類および海綿類である。より特定の実施形態では、微生物は、バークホルデリア属(Burkholderia sp.)などの種を含む。より具体的な実施形態は、バークホルデリア属(Burkholderia sp.)A396(NRRL B-50319)を含む。
【0064】
本開示の化合物は、1つまたは複数の立体異性体として存在し得る。多様な立体異性体は、鏡像異性体、ジアステレオマー、アトロプ異性体および幾何異性体を含む。立体異性体は、組成が同一であるが、それらの原子の空間上の配置が異なる異性体であり、鏡像異性体、ジアステレオマー、シス-トランス異性体(幾何異性体としても知られている)およびアトロプ異性体を含む。アトロプ異性体は、単結合の回転が制限されることにより生じ、ここで回転障壁は、異性体種を単離させるのに十分高い。当業者は、1つの立体異性体が、他の立体異性体に対して濃縮される場合、または他の立体異性体から分離される場合、より活性であり、かつ/または有益な作用を示し得ることを理解するであろう。加えて、当業者は、どのように前記立体異性体を分離、濃縮および/または選択的に調製するかを知っている。本開示の化合物は、立体異性体の混合物、個々の立体異性体または光学活性形態として存在し得る。
【0065】
上記の化合物は、除草剤として使用することができる。上述の組成物を用いた植物および植物部位の処置の方法は、直接的に、または前記組成物を、例えば、浸漬、潅注、灌水、噴霧、蒸発、雲霧、散布、塗布、注入により、それらの周囲、生育地または収納空間に作用させることにより実行することができる。
【0066】
前記組成物は、当技術分野において公知の方法を使用して施用することができる。特に、これらの組成物は、植物または植物部位に施用することができる。植物は、本文脈において、所望のおよび所望されない野生植物または作物植物(自然出芽している作物植物を含む)などの、すべての植物および植物集団を意味するものとして理解される。作物植物は、トランスジェニック植物を含み、植物育成者権により保護されたまたは保護されていない植物品種を含む、従来の植物育種および最適化手法により、もしくは生物工学的および遺伝子工学的方法により、またはこれらの方法の組合せにより得ることができる植物であり得る。植物部位は、苗条、葉、花および根などの、地上および地下の植物のすべての部位および組織を意味するものとして理解され、言及し得るそれらの例は、葉、針葉、茎、幹、花、子実体、果実、種子、根、塊茎および根茎である。植物部位は、収穫材料ならびに植物性および生殖性増殖材料、例えば、挿木、塊茎、根茎、枝および種子も含む。
【0067】
本開示の化合物は、一般的に、担体としての役割を果たす、界面活性剤、固体希釈剤および液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる構成要素を用いて、組成物中、すなわち製剤中で、除草性活性成分として有用である。製剤または組成物の成分は、活性成分の物理的特性、施用様式、ならびに土壌の種類、湿度および温度などの環境因子に適合するように選択される。
【0068】
有用な製剤は、液体および固体組成物の両方を含む。液体組成物は、任意選択でゲル中で濃縮することができる、溶液(乳化性濃縮物を含む)、懸濁剤、エマルション(ミクロエマルション、水中油型エマルション、フロアブル濃縮物および/またはサスポエマルションを含む)等を含む。水性液体組成物の一般的な型は、可溶性濃縮物、懸濁剤濃縮物、カプセル懸濁剤、濃縮エマルション、ミクロエマルション、水中油型エマルション、フロアブル濃縮物およびサスポエマルションである。非水性液体組成物の一般的な型は、乳化性濃縮物、ミクロ乳化性濃縮物、分散性濃縮物、および油分散体である。
【0069】
固体組成物の一般的な型は、水分散性(「可溶性」)または水溶性であり得る、粉剤、粉末、顆粒、ペレット、プリル、薬用ドロップ、錠剤、充填フィルム(filled film)(種子コーティングを含む)等である。フィルム形成溶液またはフロアブル懸濁剤から形成されるフィルムおよびコーティングは、種子処置に特に有用である。活性成分は、(ミクロ)カプセル化し、さらに、懸濁剤または固体製剤に形成することができ、代わりに、活性成分の製剤全体をカプセル化(または「オーバーコート化」)することができる。カプセル化は、活性成分の放出を、制御または遅延させることができる。乳化性顆粒は、乳化性濃縮物製剤および乾燥顆粒状製剤の両方の利点を組み合わせる。高強度組成物は、主に、さらなる製剤のための中間体として使用される。
【0070】
噴霧可能な製剤は、典型的には、噴霧前に好適な媒体に入れて拡張する。このような液体および固体製剤は、噴霧媒体、通常は水、しかし時には、芳香族もしくはパラフィン系炭化水素または植物油等の別の好適な媒体に、容易に希釈されるよう製剤化される。噴霧体積は、約1~数千リットル/ヘクタールの範囲、しかしより典型的には、約10~数百リットル/ヘクタールの範囲であり得る。噴霧可能な製剤は、気中施用または地上施用による葉面処理のために、または植物の成長媒体への施用のために、水または別の好適な媒体とタンク混合することが可能である。液体および乾燥製剤は、点滴灌漑システムに直接的に計量され、または植付中に畝間に計量することが可能である。
【0071】
製剤は、典型的に、有効量の活性成分、希釈剤および界面活性剤を、次の合計100重量パーセントとなる範囲付近まで含有するであろう。
【0072】
本明細書において開示される組成物および方法に使用される上述の物質は、任意の様式で製剤化することができる。非限定的な製剤の例には、限定されないが、乳化性濃縮物(EC)、水和剤(WP)、可溶性液体(SL)、エアロゾル、超微量濃縮物溶液(Ultra-low volume concentrate solution)(ULV)、可溶性粉末(SP)、ミクロカプセル化、水分散顆粒、フロアブル(FL)、ミクロエマルション(ME)、ナノ-エマルション(NE)および種子処置等が含まれる。本明細書に記載されている任意の製剤中、活性成分のパーセントは、0.01%~99.99%の範囲内であり、それらの任意のおよびすべての増加的な変形を含む。
【0073】
前記組成物は、加えて、活性成分の、乳化、取込、粘着、分散、湿潤、拡散、統合、崩壊調節、安定化、および流動性の改善または防錆の目的で使用される、界面活性剤を含む。特定の実施形態では、界面活性剤は、EPA Inerts List 4Bに属する、非植物毒性、非イオン性界面活性剤である。別の特定の実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン(20)モノラウレートである。界面活性剤の濃度は、製剤全体の0.1~35%の範囲であり得、または範囲は、5~25%である。非イオン性、陰イオン性、両性および陽イオン性の分散剤および乳化剤などの分散剤および乳化剤の選択、ならびに使用量は、組成物の性質および薬剤の組成物の分散を促進する能力により決定される。
【0074】
固体希釈剤は、例えば、ベントナイト、モンモリロナイト、アタパルジャイトおよびカオリンなどのクレー、石膏、セルロース、二酸化チタン、酸化亜鉛、デンプン、デキストリン、糖(例えば、乳糖、ショ糖)、シリカ、タルク、雲母、珪藻土、尿素、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムおよび重炭酸塩ならびに硫酸ナトリウムを含む。典型的な固体希釈剤は、Watkins et al., Handbook of Insecticide Dust Diluents and Carriers, 2nd Ed., Dorland Books, Caldwell, New Jerseyに記載されている。
【0075】
液体希釈剤は、例えば、水、N,N-ジメチルアルカンアミド(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド)、リモネン、ジメチルスルホキシド、N-アルキルピロリドン(例えば、N-メチルピロリジノン)、リン酸アルキル(例えば、リン酸トリエチル)、エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、パラフィン(例えば、白色鉱物油、直鎖パラフィン、イソパラフィン)、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、グリセリン、三酢酸グリセロール、ソルビトール、芳香族炭化水素、脱芳香族脂肪族、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、イソホロンおよび4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンなどのケトン、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸ヘプチル、酢酸オクチル、酢酸ノニル、酢酸トリデシルおよび酢酸イソボルニルなどの酢酸塩、アルキル化乳酸エステル、二塩基酸エステル、安息香酸アルキルおよび安息香酸アリールならびにU-ブチロラクトンなどの他のエステル、ならびにメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブチルアルコール、n-ヘキサノール、2-エチルヘキサノール、n-オクタノール、デカノール、イソデシルアルコール、イソオクタデカノール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、オレイルアルコール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジアセトンアルコール、クレゾールおよびベンジルアルコールなどの、直鎖、分岐鎖、飽和または不飽和であり得るアルコールを含む。液体希釈剤は、植物種子および果実油(例えば、オリーブ、ヒマ、亜麻仁、ゴマ、トウモロコシ(corn)(トウモロコシ(maize))、ピーナッツ、ヒマワリ、グレープシード、ベニバナ、綿実、ダイズ、菜種、ココナッツおよびパーム核の油)、動物供給源の脂肪(例えば、牛脂、豚脂、ラード、肝油、魚油)およびそれらの混合物などの、飽和および不飽和脂肪酸(典型的にC6~C22)のグリセロールエステルも含む。液体希釈剤は、アルキル化脂肪酸(例えば、メチル化、エチル化、ブチル化)を含むこともでき、前記脂肪酸は植物および動物供給源由来のグリセロールエステルの加水分解により得ることができ、蒸留により精製することができる。典型的な液体希釈剤は、Marsden, Solvents Guide, 2nd Ed., Interscience, New York, 1950中に記載されている。
【0076】
本開示の固体および液体組成物は、しばしば、1つまたは複数の界面活性剤を含む。液体に加えた場合、界面活性剤(「表面活性剤」としても知られている)は、一般的に、液体の表面張力を、改変、ほとんどの場合低減する。界面活性剤分子中の親水性および親油性基の性質に応じて、界面活性剤は、湿潤剤、分散剤、乳化剤または消泡剤として有用であり得る。
【0077】
界面活性剤は、非イオン性、陰イオン性または陽イオン性に分類することができる。本組成物について有用な非イオン性界面活性剤は、限定されないが、天然および合成アルコール(分岐鎖または直鎖であってもよい)をベースとし、アルコールおよびエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはそれらの混合物から調製したアルコールアルコキシレートなどのアルコールアルコキシレート;アミンエトキシレート、アルカノールアミドおよびエトキシル化アルカノールアミド;エトキシル化ダイズ油、ヒマシ油および菜種油などのアルコキシル化トリグリセリド;オクチルフェノールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、ジノニルフェノールエトキシレートおよびドデシルフェノールエトキシレート(フェノールおよびエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはそれらの混合物から調製される)などのアルキルフェノールアルコキシレート;エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドから調製されるブロックポリマーおよび末端ブロックがプロピレンオキシドから調製される逆ブロックポリマー;エトキシル化脂肪酸;エトキシル化脂肪エステルおよび油;エトキシル化メチルエステル;エトキシル化トリスチリルフェノール(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはそれらの混合物から調製されたものを含む);脂肪酸エステル、グリセロールエステル、ラノリンベースの誘導体、ポリエトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエトキシル化ソルビトール脂肪酸エステルおよびポリエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどのポリエトキシレートエステル;ソルビタンエステルなどの他のソルビタン誘導体;ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、アルキドpeg(ポリエチレングリコール)樹脂、グラフトまたはコーム型ポリマーおよび星型ポリマーなどのポリマー界面活性剤;ポリエチレングリコール(peg);ポリエチレングリコール脂肪酸エステル;シリコーンベースの界面活性剤;ならびにスクロースエステル、アルキルポリグリコシドおよびアルキルポリサッカリドなどの糖誘導体を含む。
【0078】
陰イオン性界面活性剤は、限定されないが、アルキルアリールスルホン酸およびそれらの塩;カルボキシル化アルコールまたはアルキルフェノールエトキシレート;ジフェニルスルホン酸塩誘導体;リグノスルホン酸などのリグニンおよびリグニン誘導体;マレインもしくはコハク酸またはそれらの無水物;オレフィンスルホン酸塩;アルコールアルコキシレートのリン酸エステル、アルキルフェノールアルコキシレートのリン酸エステルおよびスチリルフェノールエトキシレートのリン酸エステルなどのリン酸エステル;タンパク質ベースの界面活性剤;サルコシン誘導体;スチリルフェノールエーテル硫酸塩;油および脂肪酸の硫酸塩およびスルホン酸塩;エトキシル化アルキルフェノールの硫酸塩およびスルホン酸塩;アルコールの硫酸塩;エトキシル化アルコールの硫酸塩;N,N-アルキルタウリン塩などのアミンおよびアミドのスルホン酸塩;ベンゼン、クメン、トルエン、キシレンならびにドデシルおよびトリデシルベンゼンのスルホン酸塩;縮合ナフタレンのスルホン酸塩;ナフタレンおよびアルキルナフタレンのスルホン酸塩;分別石油のスルホン酸塩;スルホスクシンアメート(sulfosuccinamate);ならびにスルホコハク酸塩およびジアルキルスルホコハク酸塩などのそれらの誘導体を含む。
【0079】
陽イオン性界面活性剤は、限定されないが、アミドおよびエトキシル化アミド;N-アルキルプロパンジアミン、トリプロピレントリアミンおよびジプロピレンテトラミン、ならびに(アミンおよびエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはそれらの混合物から調製される)エトキシル化アミン、エトキシル化ジアミンおよびプロポキシル化アミンなどのアミン;アミン酢酸塩およびジアミン塩などのアミン塩;第四級塩、エトキシル化第四級塩およびジ第四級塩などの第四級アンモニウム塩;ならびにアルキルジメチルアミンオキシドおよびビス-(2-ヒドロキシエチル)-アルキルアミンオキシドなどの酸化アミンを含む。
【0080】
また、本組成物は、非イオン性および陰イオン性界面活性剤の混合物、または非イオン性および陽イオン性界面活性剤の混合物である。非イオン性、陰イオン性および陽イオン性界面活性剤およびこれらの推奨される使用は、McCutcheon's Emulsifiers and Detergents, annual American and International Editions published by McCutcheon's Division, The Manufacturing Confectioner Publishing Co.; Sisely and Wood, Encyclopedia of Surface Active Agents, Chemical Publ. Co., Inc., New York, 1964;およびA. S. Davidson and B. Milwidsky, Synthetic Detergents, Seventh Edition, John Wiley and Sons, New York, 1987を含む、様々な出版されている参考文献中に開示されている。
【0081】
本開示の組成物は、当業者に処方助剤として知られている、製剤補助剤および添加剤を含有することもできる(そのいくつかは、固体希釈剤、液体希釈剤または界面活性剤としても機能すると考えられ得る)。このような製剤補助剤および添加剤は、pH(緩衝剤)、処理中の発泡(ポリオルガノシロキサンなどの消泡剤)、活性成分の沈降(懸濁化剤)、粘度(揺改変増粘剤)、容器内の微生物増殖(抗微生物剤)、生成物の凍結(不凍剤)、色(染料/顔料分散体)、ウォッシュオフ(wash-off)(フィルム形成剤またはステッカー)、蒸発(蒸発抑制剤(evaporation retardants))および他の製剤属性を制御することができる。フィルム形成剤は、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマーおよびワックスを含む。製剤補助剤および添加剤の例には、McCutcheon's Volume 2: Functional Materials, annual International and North American editions published by McCutcheon's Division, The Manufacturing Confectioner Publishing Co.;およびPCT公報国際公開第03/024222号パンフレット中に列挙されているものを含む。
【0082】
上述のような組成物は、生物学的農薬組成物を日光への曝露に起因する物理的分離および活性喪失に対して安定化させる、安定化剤も含む。この安定化剤は、安息香酸塩またはリグニンスルホン酸塩であり得る。
【0083】
本明細書に開示されている除草性組成物は、出芽前または出芽後製剤として、液体または固体形態において施用することができる。
【0084】
出芽前乾燥製剤について、担体の顆粒サイズは、典型的には1~2mm(直径)であるが、顆粒は、求められる土地被覆に応じて、より小さくてもよく、またはより大きくてもよい。顆粒は、多孔質性または非多孔質性の粒子を含有し得る。
【0085】
出芽後製剤について、使用される製剤構成要素は、スメクタイトクレー、アタパルジャイトクレーおよび類似の膨潤性クレー、キサンタンガム、アラビアガムおよび他の増粘多糖類などの増粘剤、ならびに、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレン(20)モノラウレート)などの分散安定剤を含有し得る。
【0086】
さらに、前記組成物は、種子コーティング剤と組み合わせて使用することができる。このような種子コーティング剤は、限定されないが、エチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、キトサン、カルボキシメチルキトサン、ミズゴケ、樹脂およびワックスを含み得る。前記組成物は、当技術分野において公知の方法を使用して施用することができる。特に、これらの組成物は、植物または植物部位に、およびそれらの周辺に施用することができる。植物は、本文脈において、所望のおよび所望されない野生植物または作物植物(自然出芽している作物植物を含む)などの、すべての植物および植物集団を意味するものとして理解される。作物植物は、トランスジェニック植物を含み、植物育成者権により保護されたまたは保護されていない植物品種を含む、従来の植物育種および最適化手法により、もしくは生物工学的および遺伝子工学的方法により、またはこれらの方法の組合せにより得ることができる植物であり得る。植物は、苗条、葉、花および根などの、地上および地下の植物のすべての部位および組織を含み、言及し得るその例は、葉、針葉、茎、幹、花、子実体、果実、種子、根、塊茎および根茎である。植物は、限定されないが、収穫材料ならびに植物性および生殖性増殖材料、例えば、挿木、塊茎、根茎、枝および種子を含む。
【0087】
本開示の除草的に有効な量の化合物は、いくつかの因子により決定される。これらの因子は、選択された製剤、施用方法、存在する草木の量および種類、成長状態等を含む。一般的に、本開示の除草的に有効な量の化合物は、約0.005~約20kg/haである。一部の実施形態では、範囲は、約0.01~約1kg/haである。当業者は、雑草防除の所望のレベルに不可欠な除草的に有効な量を、容易に決定することができる。
【0088】
本開示により処置することができる遺伝子改変植物品種は、1つまたは複数の生物ストレス(線虫類、昆虫類、ダニ類、菌類等などの害虫)もしくは非生物的ストレス(乾燥、冷温、土壌塩分等)に対して耐性であるもの、または他の所望の特徴を含有するものを含む。植物は、例えば、除草剤耐性、昆虫抵抗性、改変油プロフィールまたは乾燥耐性の特性を示すように遺伝子改変することができる。有用な遺伝子改変植物は、単一遺伝子形質転換事象または形質転換事象の組合せを含有する。遺伝子改変についてのさらなる情報は、例えば、U.S. Department of Agricultureにより整備されている、公表されているデータベースから得ることができる。
【0089】
本開示の化合物を用いた遺伝子改変植物の処置は、優加法的または相乗作用をもたらすことができる。例えば、施用率の低減、活性スペクトラムの拡大、生物的/非生物的ストレスへの改善された耐性または増強された貯蔵安定性は、本開示の化合物の遺伝子改変植物への施用の単なる相加作用のみから予測されるよりも大きいことがある。
【0090】
本開示の化合物は、除草剤、除草剤解毒剤、防カビ剤、殺虫剤、殺線虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、脱皮阻害剤および発根刺激剤などの増殖制御剤、化学不妊剤、情報化学物質、忌避剤、誘引剤、フェロモン、摂食刺激剤、植物栄養素、他の生物学的に活性な化合物または昆虫病原性細菌、ウイルスまたは菌を含む、1つまたは複数の他の生物学的に活性な化合物または薬剤と混合し、農業的保護のなおより広いスペクトラムを与える多組成農薬を形成することもできる。本開示の化合物の、他の除草剤との混合物は、さらなる雑草種に対する活性のスペクトラムを拡大し、任意の抵抗性生物型の繁殖を抑制することができる。
【0091】
前記組成物は、1つまたは複数のさらなる除草剤を、さらに含む。これらは、限定されないが、生物的除草剤および/または化学的除草剤を含む。生物的除草剤は、クローブ、シナモン、レモングラス、柑橘油、橙皮油、テントキシン、コルネキシスチン、AAL毒素、レプトスペルモン、サクストミン、サルメンチン、モミラクトンB、ソルゴレオン、ペラルゴン酸、カプリル酸、カプリン酸、アスカウラトキシンおよびアスカウラトキシンアグリコンからなる群から選択することができる。化学的除草剤は、限定されないが、トリアジン、トリアジノン、尿素、アミド、ジフェニルエーテル、トリアゾリノン、ビピリジリウム、クロマゾン、4-HPPD阻害剤、PDS阻害剤、イミダゾリノン、スルホニル尿素、ピリミジニル(チオ)安息香酸塩、トリアゾロピリミジン、グリシン、ホスフィン酸、ジニトロフェノール、シクロヘキサンジオン、アリールオキシフェノキシプロピオン酸塩、アスラム、チオカルバミン酸塩、ジニトロアニリン、カルバミン酸塩、クロロアセトアミド、アルキルアジン(alkylazine)、イソオキサベン、ピリジン-カルボン酸、安息香酸、キノリンカルボン酸、フェノキシカルボン酸およびMSMAを含み得る。前記組成物は、1つまたは複数の農薬をさらに含み得る。
【0092】
活性のスペクトラムを広げ、相乗作用を達成するために、式Iの化合物は、多数の他の除草性または成長調節活性成分群の代表物と混合し、その後同時に施用することができる。混合物についての好適な構成要素は、例えば、1,2,4-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、アミド、アミノリン酸およびその誘導体、アミノトリアゾール、アニリド、アリールオキシ/ヘタリールオキシアルカン酸およびそれらの誘導体、安息香酸およびその誘導体、ベンゾチアジアジノン、2-アロイル-1,3-シクロヘキサンジオン、2-ヘタロイル-1,3-シクロヘキサン-ジオン、ヘタリールアリールケトン、ベンジルイソオキサゾリジノン、メタ-CF3-フェニル誘導体、カルバミン酸塩、キノリンカルボン酸およびその誘導体、クロロアセトアニリド、シクロへキセノンオキシムエーテル誘導体、ジアジン、ジクロロプロピオン酸およびその誘導体、ジヒドロベンゾフラン、ジヒドロフラン-3-オン、ジニトロアニリン、ジニトロフェノール、ジフェニルエーテル、ジピリジル、ハロカルボン酸およびそれらの誘導体、尿素、3-フェニルウラシル、イミダゾール、イミダゾリノン、N-フェニル-3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミド、オキサジアゾール、オキシラン、フェノール、アリールオキシ-およびヘタリールオキシフェノキシプロピオン酸エステル、フェニル酢酸およびその誘導体、2-フェニルプロピオン酸およびその誘導体、ピラゾール、フェニルピラゾール、ピリダジン、ピリジンカルボン酸およびその誘導体、ピリミジルエーテル、スルホンアミド、スルホニル尿素、トリアジン、トリアジノン、トリアゾリノン、トリアゾールカルボキサミド、ウラシル、フェニルピラゾリンおよびイソオキサゾリンならびにそれらの誘導体である。
【0093】
特定の実施形態では、前記組成物および除草性化合物は、バークホルデリア(Burkholderia)A396(NRRL B-50319)株に由来する。
【0094】
前記物質および組成物は、単子葉、カヤツリグサ科または双子葉の雑草の出芽前または出芽後製剤のいずれかにおいて、出芽を調節するのに使用することもできる。特定の実施形態では、前記雑草は、オオホナガアオゲイトウ(Amaranthus palmeri)、タリノホアオゲイトウ(Amaranthus rudis)、シロザ(Chenopodium album)、イチビ(Abutilon theophrasti)、ヒマワリ(Helianthus annuus)、ブタクサ(Ambrosia artemesifolia)、アオゲイトウ(Amaranthus retroflexus)、セイヨウヒルガオ(Convolvulus arvensis)、野生カラシナ(Brassica kaber)、セイヨウタンポポ(Taraxacum officinale)、イヌホオズキ(Solanum nigrum)、ゼニバアオイ(Malva neglect)、エノコログサ(Setaria lutescens)、ウマノチャヒキ(Bromus tectorum)、スズメノカタビラ(Poa annua)、ケンタッキーブルーグラス(Poa pratensis)、パルマーアマランス(Palmer amaranth)、多年生ライグラス(Lolium perenne L.)変種Pace、トールフェスク(Festuca arundinaceae Schreb.)変種AztecII、AnthemII、LS1100、イヌビエ(Echinochloa crus-galli)および/またはレタス(Lactuca sativa)であり得る。
【0095】
除草性相乗作用
【0096】
一実施形態では、FR901464および/またはスプライセオスタチンCの除草性組成物は、ステアリルアルコールとともに、回転および/またはタンク混合を介して施用される場合、除草性相乗作用を示すことができる。
【0097】
ステアリルアルコールは、以下の式
【0098】
【化5】
(式中、R1は、C10~C22の炭化水素基を表し、R2は、水素原子、ヒドロキシル基またはC1~C24の炭化水素基を表し、R3は、水素原子またはC1~C24の炭化水素基を表す)
を含み得る。
【0099】
除草性相乗作用は、当技術分野で公知の方法により測定することができる。例えば、コルビーの式を使用して、該比が1を超える場合、該比は相乗作用を示す。
【0100】
ステアリルアルコールが植物の成長を促進し、FR901464/スプライセオスタチンCと組み合わせた場合もなお、組合せが強化された除草活性を示すことが知られているため、ステアリルアルコールとFR901464/スプライセオスタチンCとの間に相乗作用があることは、驚くべきことであり、予期せぬことである。
【実施例】
【0101】
上述の組成物および方法を、以下の非限定的な実施例において、さらに説明する。本実施例は、多様な実施形態を説明するのみであり、本明細書中に列挙されている材料、状態、重量比、工程パラメーター等に関して、特許請求される発明を限定するものではない。
【0102】
[実施例1]
熱失活したバークホルデリア(Burkholderia)A396(NRRL B-50319)からの、活性画分および物質の単離
【0103】
上記のとおり、除草性組成物は、化学的に合成する、または生物有機体に由来することができる。ここで、100Lの発酵バークホルデリア(Burkholderia)(A396)に由来する培養ブロスを抽出し、粗抽出物を得た。粗抽出物を、その後、逆相C18真空液体クロマトグラフィー(H2O/CH3OH)を使用して分画し、5画分を得た。これらの画分を、その後、アマランサス(Amaranthus hypochondriacus)(バーガンディアマランス(Burgundy amaranth))を用いた植物アッセイを使用して、除草性活性についてスクリーニングした。活性画分(F3およびF4)を、その後、逆相HPLCに供し、純粋化合物を得て、その後、上述のバイオアッセイにおいて試験し、活性化合物を発見/特定した。単離された化合物を、1.3および0.65μg/mLで試験し、結果は2つの化合物で阻害防除を示した。化合物の同一性を確認するために、LC-MSおよびNMRなどのさらなる分光データを記録した。データの詳細な分析に基づき、2つの化合物を、FR 901464(MW 507)およびスプライセオスタチンC(MW 519)として識別した。様々な発酵方法により、様々な量の以下の化合物が生成され(または生成されず)、一部では全く生成されないことに留意されたい。
【0104】
【0105】
[実施例2]
バーガンディアマランス(Burgundy amaranth)に対するFR901464およびスプライセオスタチンCの除草性バイオアッセイ。バーガンディアマランス(Burgundy amaranth)(アマランサス(Amaranthus hypochondriacus))植物を、温室で、植物成長混合物を緩効性肥料とともに含有する2.5cmスクエアポット中、第3~4葉期まで成長させた。処置を、その後、8001ノズルを備えた研究棚トラック噴霧器(research cabinet track sprayer)を使用し、20gal/Aの担体体積で、施用した。陰性対照に、水を噴霧した。ポットを緊結し、噴霧後処置により無作為化し、25℃および50%RHで成長室に置き、必要に応じて水を供給した。植物を、施用の6日後に、視覚的な損傷および生体重について評価した。表1のデータをANOVAに供し、テューキー法を95%信頼区間で使用して、平均を分離した。
【0106】
【0107】
[実施例3]
パルマーアマランス(Palmer amaranth)に対するFR901464およびスプライセオスタチンCの除草性バイオアッセイ
【0108】
単離された化合物FR 901464(RT 23)およびスプライセオスタチンC(MW 519、RT 36)を、オオホナガアオゲイトウ(Amaranthus palmeri)(パルマーアマランス(Palmer amaranth))に対して、様々な濃度で試験した。パルマーアマランス(Palmer amaranth)植物を、温室で、植物成長混合物を緩効性肥料とともに含有する2.5cmスクエアポット中、第3~4葉期まで成長させた。処置を、その後、8001ノズルを備えた研究棚トラック噴霧器を使用し、20gal/Aの担体体積で、施用した。陰性対照(UTC=未処置対照)に、水を噴霧した。ポットを緊結し、噴霧後処置により無作為化し、戸外の日向に置き、必要に応じて水を供給した。植物を、施用の6日後に、視覚的な損傷および生体重について評価した。データをANOVAに供し、テューキー法を95%信頼区間で使用して、平均を分離した。
図1~10は、結果データを表示する。約言すると、分子は、有効な除草性化合物である。
【0109】
[実施例4]
ステアリルアルコール(HAVEN)とともに施用する場合の、FR901464および/またはスプライセオスタチンC(MBI-014)の除草性相乗作用。パルマーアマランス(Palmer amaranth)(オオホナガアオゲイトウ(Amaranthus palmeri))植物を、温室で、植物成長混合物を緩効性肥料とともに含有する2.5cmスクエアポット中、第3~4葉期まで成長させた。処置を、その後、8002ノズルを備えた研究棚トラック噴霧器を使用する葉面噴霧としてか、または土壌表面上への20mL/ポットの潅注として注ぐかのいずれかで施用した。MBI-014を、1エーカーあたり3ポンド(lbs/A)の割合で施用し、1エーカーあたり40ガロン(GPA)の担体体積で、1%v/vの有機シリコーン界面活性剤を噴霧し、Havenを、アジュバントなしで1GPAで施用し、水中に希釈して最終噴霧体積を100GPAとし、陰性対照に、水を噴霧した。両方の生成物を植物上へ噴霧する場合、MBI-014を先に施用し、乾燥させ、その後続いてHavenを噴霧した。処置を5回繰り返した。ポットを緊結し、噴霧後処置により無作為化し、25℃および50%RHで温室に置き、必要に応じて水を供給した。植物を、施用の6日後に、視覚的な損傷について評価した。データをANOVAに供し、フィッシャーのLSD法を90%信頼区間で使用して、平均を分離した。
【0110】
結果:MBI-014を葉に施用した後にHavenを葉に施用したことで、MBI-014それ自体による施用(88%)と比較して、植物における除草性症状の重症度は増大しなかった(74%)。しかし、MBI-014を灌注として施用し、Havenを葉に施用した場合、灌注のみで処置した植物(46%)と比較して、植物に対する損傷は有意に増大した(80%)。1の値は中立を示し、1未満は拮抗を示し、1超は相乗作用を示す、コルビーの相乗作用方程式を使用すると、灌注+噴霧処置は1.38のスコアをもたらし、相乗作用のカテゴリーに分類される。本開示により、Havenの葉面施用により植物の蒸散率を増大させることができることが立証されているため、この相乗作用の有効性の理由は、Havenに起因する増強された植物の蒸散により、植物が土壌から根中および植物の維管束系上により多くのMBI-014を引き込み、それによって、より広い区域の感染植物をより大量の除草剤に曝露させるためと考えられる。
【0111】
生物学的材料の寄託。以下の生物学的材料は、ブダペスト条約の条項の下、Agricultural Research Culture Collection(NRRL)、1815 N. University Street、Peoria、Ill. 61604 USAに寄託されており、以下の番号が与えられている。
【0112】
【0113】
培養物の入手を保証する状況下で寄託されている株は、本特許出願の係属中に、37 C.F.R. §1.14および35 U.S.C. §122の下で特許商標庁長官により権利を与えられると決定された者に入手可能であろう。寄託物は、寄託された株の実質的に純粋な培養物を表す。寄託物は、本出願の対応出願またはその子孫出願が出願されている国における外国特許法による要求に応じて、入手可能である。しかし、寄託物の可用性は、政府行為により保証された特許権から逸脱して本発明を実践するライセンスを構成するものではないことを理解すべきである。
【0114】
本明細書において論じられる任意の実施形態は、本発明の任意の方法、キット、試薬または組成物に関して実行することができ、その逆も同様であることが考えられる。さらに、本発明の組成物は、本発明の方法を達成するために使用することができる。
【0115】
本明細書において記載されている特定の実施形態は、例示として示され、本発明を限定するものではないことが理解されるであろう。本発明の主要な特色は、本発明の範囲から逸脱することなく、多様な実施形態において利用することができる。当業者は、本明細書において記載される特定の手順に対する多数の等価物を、認識する、または日常的な実験だけを使用して確認することができるであろう。このような等価物は、本発明の範囲内であり、特許請求の範囲に含まれると考えられる。
【0116】
「1つの(a)」または「1つの(an)」という語の使用は、特許請求の範囲および/または明細書において「を含む」という用語と合わせて使用される場合、「1つ」を意味しうるが、「1つまたは複数(one or more)」「少なくとも1つ」および「1つまたは2以上(one or more than one)」の意味とも一致する。本開示は、代替物のみおよび「および/または」を指すという定義を支持するが、特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、代替物のみを指すために明白に示さない限りにおいて、または代替物が互いに排他的でない限りにおいて、「および/または」を意味するのに使用される。本出願中、「約」という用語は、値が、装置についての固有の誤差の変動、値を決定するのに利用される方法、または試験対象中に存在する変動を含むことを示すのに使用される。
【0117】
本明細書および特許請求の範囲において使用されるように、「を含む(comprising)」(ならびに「を含む(comprise)」および「を含む(comprises)」のような、を含む(comprising)の任意の型)、「を有する(having)」(ならびに「を有する(have)」および「を有する(has)」のような、を有する(having)の任意の型)、「を含む(including)」(ならびに「を含む(includes)」および「を含む(include)」のような、を含む(including)の任意の型)、または「を含有する(containing)」(ならびに「を含有する(contains)」および「を含有する(contain)」のような、を含有する(containing)の任意の型)という語は、包括的または制限のないものであり、さらなる、列挙されていない要素または方法ステップを除外しない。
【0118】
「またはそれらの組合せ」という用語は、本明細書において使用される場合、用語に先行して列挙された項目の、すべての順列および組合せを指す。例えば、「A、B、Cまたはそれらの組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BCまたはABC、および特定の文脈において順序が重要である場合、また、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BACまたはCABの少なくとも1つを含むことを意図する。この実施例に続き、BB、AAA、AB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABB等のような、1つまたは複数の項目または用語の繰り返しを含有する組合せも明確に含まれる。当業者は、他に文脈から明白でない限り、典型的に、いかなる組合せにおいても項目または用語の数に制限が存在しないことを理解するであろう。
【0119】
本明細書において開示され、特許請求されるすべての組成物および/または方法は、本開示に照らして不適当な実験なしに作成および実行することができる。本発明の組成物および方法が好ましい実施形態の点から記載されているが、本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく、本明細書で記載されている組成物および/または方法、ならびにステップまたは方法の一連のステップに、変形が施用されることが当業者に明白である。当業者に明白な、すべてのこのような類似した代替物および改変は、付随する特許請求の範囲により定義される、本発明の精神、範囲および概念内にあると考えられる。
なお、本発明は、以下の実施形態を包含するものとする。
[1]単子葉、カヤツリグサ科または双子葉の雑草の出芽または成長を阻害するための方法であって、
a)一般式
【化1】
(式中、X、YおよびZは、各々独立して、-O、-NRまたは-Sであり、Rは、HまたはC
1
~C
10
アルキルであり;R
1
、R
2
、R
3
、R
4
、R
5
、R
6
、R
7
、R
8
、R
11
、R
12
およびR
13
は、各々独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルキルカルボン酸、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、チオアルキル、置換チオアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミド、カルボキシル、-C(O)H、アシル、オキシアシル、カルバミン酸塩、スルホニル、スルホンアミドまたはスルフリルである)
を有する有効量の化合物、および
b)担体、希釈剤、界面活性剤、アジュバントの少なくとも1つ
の組成物を施用して、前記雑草の成長を阻害するステップを含む、方法。
[2]前記化合物が、スプライセオスタチンCまたはFR901464である、前記[1]に記載の方法。
[3]前記単子葉、カヤツリグサ科または双子葉の雑草が、アマランサス(Amaranthus hypochondriacus)、シロザ(Chenopodium album)、イチビ(Abutilon theophrasti)、ヒマワリ(Helianthus annuus)、ブタクサ(Ambrosia artemesifolia)、アオゲイトウ(Amaranthus retroflexus)、セイヨウヒルガオ(Convolvulus arvensis)、野生カラシナ(Brassica kaber)、セイヨウタンポポ(Taraxacum officinale)、イヌホオズキ(Solanum nigrum)、ゼニバアオイ(Malva neglect)、エノコログサ(Setaria lutescens)、ウマノチャヒキ(Bromus tectorum)、スズメノカタビラ(Poa annua)、ケンタッキーブルーグラス(Poa pratensis)、パルマーアマランス(Palmer amaranth)、多年生ライグラス(Lolium perenne L.)変種Pace、トールフェスク(Festuca arundinaceae Schreb.)変種AztecII、AnthemII、LS1100、イヌビエ(Echinochloa crus-galli)およびレタス(Lactuca sativa)からなる群から選択される、前記[1]または[2]に記載の方法。
[4]前記組成物が、別の除草性化合物または農薬化合物をさらに含む、前記[1]または[2]に記載の方法。
[5]前記別の除草性化合物が、クローブ、シナモン、レモングラス、柑橘油、橙皮油、テントキシン、コルネキシスチン、AAL毒素、レプトスペルモン、サクストミン、サルメンチン、モミラクトンB、ソルゴレオン、アスカウラトキシンおよびアスカウラトキシンアグリコンを含む、前記[4]に記載の方法。化学的除草剤は、限定されないが、ジフルフェンゾピルおよびその塩、ジカンバおよびその塩、トプラメゾン、テンボトリオン、S-メトラクロール、アトラジン、メソトリオン、プリミスルフロン-メチル、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、ニコスルフロン、チフェンスルフロン-メチル、アスラム、メトリブジン、ジクロホップ-メチル、フルアジホップ、フェノキサプロパ-p-エチル、アスラム、オキシフルオルフェン、リムスルフロン、メコプロップおよびキンクロラック、チオベンカルブ、クロマゾン、シハロホップ、プロパニル、ベンスルフロン-メチル、ペノキススラム、トリクロピル、イマゼタピル、ハロスルフロン-メチル、ペンディメタリン、ビスピリバック-ナトリウム、カルフェントラゾンエチル、ナトリウムベンタゾン/ナトリウムアシフルオルフェン、グリホセート、グルホシネート、ステアリルアルコールまたはオルソスルファムロンを含み得る。
[6]前記化合物が、バークホルデリア属(Burkholderia sp.)から単離される、前記[1]または[2]に記載の方法。
[7]前記バークホルデリア属(Burkholderia sp.)が、バークホルデリア(Burkholderia)A396(NRRL B-50319)である、前記[6]に記載の方法。
[8]前記組成物が、その塩または立体異性体をさらに含む、前記[1]または[2]に記載の方法。
[9](a)化合物FR901464またはスプライセオスタチンC、ならびに(b)クローブ、シナモン、レモングラス、柑橘油、橙皮油、テントキシン、コルネキシスチン、AAL毒素、レプトスペルモン、サクストミン、サルメンチン、モミラクトンB、ソルゴレオン、アスカウラトキシンおよびアスカウラトキシンアグリコンからなる群から選択される別の除草剤を含む、相乗的除草性組成物。化学的除草剤は、限定されないが、ジフルフェンゾピルおよびその塩、ジカンバおよびその塩、トプラメゾン、テンボトリオン、S-メトラクロール、アトラジン、メソトリオン、プリミスルフロン-メチル、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、ニコスルフロン、チフェンスルフロン-メチル、アスラム、メトリブジン、ジクロホップ-メチル、フルアジホップ、フェノキサプロパ-p-エチル、アスラム、オキシフルオルフェン、リムスルフロン、メコプロップおよびキンクロラック、チオベンカルブ、クロマゾン、シハロホップ、プロパニル、ベンスルフロンメチル、ペノキススラム、トリクロピル、イマゼタピル、ハロスルフロン-メチル、ペンディメタリン、ビスピリバック-ナトリウム、カルフェントラゾンエチル、ナトリウムベンタゾン/ナトリウムアシフルオルフェン、グリホセート、グルホシネート、ステアリルアルコールおよびオルソスルファムロンを含み得る。
[10]単子葉、カヤツリグサ科または双子葉の雑草の出芽または成長を阻害するための方法であって、
前記雑草の出芽を阻害するのに有効な、前記[9]に記載の相乗的組成物を、前記雑草へ施用するステップを含む、方法。
[11]前記施用方法がタンク混合を介する、前記[10]に記載の方法。
[12]前記施用方法が回転を介する、前記[11]に記載の方法。