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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】針送達装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/42 20060101AFI20230315BHJP
   A61M 5/46 20060101ALI20230315BHJP
   A61M 5/158 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
A61M5/42 510
A61M5/46
A61M5/158 500F
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020543408
(86)(22)【出願日】2018-10-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 GB2018053108
(87)【国際公開番号】W WO2019081947
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-18
(31)【優先権主張番号】1717647.0
(32)【優先日】2017-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513060382
【氏名又は名称】エヌディーエム テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】チョードゥリー デュワン ファズル ホック
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-144636(JP,A)
【文献】米国特許第5147306(US,A)
【文献】特表2017-503568(JP,A)
【文献】特表2011-521709(JP,A)
【文献】特開2012-105994(JP,A)
【文献】国際公開第2015/115113(WO,A1)
【文献】特開2009-101217(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0209508(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0128815(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0082730(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/42
A61M 5/46
A61M 5/158
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体(6)と、
前記装置本体に取り付けられた1つまたは複数の皮膚挟持部材(1)であって、患者の皮膚(7)を挟み、所定の長さの折り目を形成するように移動可能である皮膚挟持部材と、
使用時に、針前記装置本体(6)との接続部(9)から前記折り目内の前記針の終着点までの前記針が移動するみちである針経路に沿って前記針を移動させ、前記挟持部材(1)の間に挟まれた前記皮膚(7)の長手方向の前記折り目に挿入し、その後、前記針を引き抜くように構成された駆動機構であって、前記針経路は、前記皮膚(7)の長手方向の前記折り目に実質的に平行に延びる駆動機構と、
前記皮膚(7)の長手方向の前記折り目の長さに沿った挟持を検出するための複数の感知手段(22;23)を含むことを特徴とする、針送達装置。
【請求項2】
使用時に、前記針を通して医薬組成物を送達するように構成された医薬組成物送達機構をさらに含む、請求項1に記載の針送達装置。
【請求項3】
前記装置本体(6)内の前記針経路は、前記針経路が前記装置本体(6)を離れるときに方向が変化する、請求項1または2に記載の針送達装置。
【請求項4】
少なくとも1つの針(8)を含み前記少なくとも1つの針(8)の少なくとも一部が可撓性である、請求項1~3のいずれか1項に記載の針送達装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの針を前記針経路に沿って案内するように構成されたガイド部材(11,12)をさらに含み前記ガイド部材(11,12)は、ローラであるか、またはローラを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の針送達装置。
【請求項6】
前記針(8)の少なくとも一部は可撓性であり、前記少なくとも1つの針(8)が、弧状経路を通過した後に細長い直線形状に戻るように構成される、請求項4または5に記載の針送達装置。
【請求項7】
前記装置本体(6)内に配置されると、前記少なくとも1つの針(8)が保護シース(13)によって覆われる、請求項4~6のいずれか1項に記載の針送達装置。
【請求項8】
前記保護シース(13)は、剛性セクション(14)および可撓性セクション(13a)を有し、前記剛性セクション(14)は、前記少なくとも1つの針(8)のチップを囲み、前記少なくとも1つの針(8)が、前記駆動機構の作動時に、前記剛性セクション(14)から出るのを可能にする開口部を含む、請求項7に記載の針送達装置。
【請求項9】
前記保護シース(13)は、前記開口部を覆う封止膜(15)を含み、前記封止膜(15)は、前記少なくとも1つの針によって貫通可能である、請求項8に記載の針送達装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの針(8)は、12mm超、好ましくは20mm~200mm、より好ましくは20mm~100mm、より好ましくは20mm~50mmの長さを有する、請求項4~9のいずれか1項に記載の針送達装置。
【請求項11】
前記針を通して医薬組成物を送達するように構成された医薬組成物送達機構と流体連通している医薬組成物リザーバを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の針送達装置。
【請求項12】
前記皮膚挟持部材(1)は、前記皮膚に注入された医薬組成物のボリュームに基づいて自動的に調整するように構成され、または、前記皮膚挟持部材(1)は、前記挟まれた皮膚の圧力に基づいて圧力センサを使用して自動的に調整するように構成される、請求項1~11のいずれか1項に記載の針送達装置。
【請求項13】
前記感知手段(22;23)が、間に挟まれた皮膚の存在を検出するための少なくとも1つの光源および少なくとも1つの光センサを含むか、または、
前記感知手段(22;23)が、挟まれた皮膚との接触を検出するための少なくとも1つの機械スイッチを含むか、または、
前記感知手段(22;23)が、挟まれた皮膚との接触を検出するための電気センサを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の針送達装置。
【請求項14】
前記感知手段(22;23)が圧力センサである、請求項1に記載の針送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
送達装置と組み合わせて針を使用することにより、皮膚を通して、すなわち経皮的に薬剤を送達することが公知である。
【0003】
これらの装置は、複雑で扱いにくく、高価になり得る。
【0004】
多くの薬剤、特に生物製剤は効力が低いか、一般に注射で投与するのに、大きなボリュームを必要とする。注射による大量の薬剤の送達は、薬剤が長期間にわたって注射されることを可能にするために身体装着型装置をしばしば必要とする。薬剤を濃縮して容量を減らし、粘度を高くすると、刺激などの問題が発生し、大きな注射力が必要になる。身体装着型装置は、数十分から数時間の範囲の期間にわたって大量の注射を可能にする。しかしながら、正確な血漿薬剤濃度に到達できることを確実にするために、ボーラス投与量は可能な限り迅速に投与される必要があるため、ボーラス投与量を非常に迅速に送達することが好ましい。
【0005】
したがって、大量の薬剤をボーラスとして数分以内に非常に迅速に注入できる装置を含むことが好ましい。本発明は、これを達成する手段を説明する。
【発明の概要】
【0006】
本発明によれば、装置本体と、装置本体に取り付けられた1つまたは複数の皮膚挟持部材であって、患者の皮膚の長手方向の折り目を挟むように移動可能である皮膚挟持部材と、針を装置本体の外に出し、針経路に沿って、挟持部材の間に挟まれた皮膚の長手方向の折り目に駆動し、その後針を引き抜くように構成された駆動機構であって、針経路が患者の表面に実質的に平行に延びる駆動機構とを含む、針送達装置が提供される。
【0007】
針装置は、好ましくは、針を通して医薬組成物を送達するように構成された医薬組成物送達機構を含む。
【0008】
任意選択で、装置本体から出るときに、装置本体内の針経路は方向を変える。
【0009】
好ましくは、針送達装置は、少なくとも1つの針を含む。装置はまた、複数の針を含み得る。有利には、少なくとも1つの針の少なくとも一部は、可撓性であり得る。
【0010】
針送達装置はまた、少なくとも1つの針を針経路に沿って案内するように構成されたガイド部材をさらに含むことができる。一態様によれば、ガイド部材はローラであるか、またはローラを含む。
【0011】
好ましくは、少なくとも1つの針は、弧状経路を通過した後に細長い直線形状に戻るように構成される。
【0012】
本発明の一態様によれば、装置本体内に配置されると、少なくとも1つの針は保護シースによって覆われる。保護シースは、剛性セクションおよび可撓性セクションを有し、剛性セクションは、少なくとも1つの針のチップを囲み、少なくとも1つの針が、駆動機構の作動時に、剛性セクションから出るのを可能にする開口部を含む。
【0013】
任意選択で、保護シースは、開口部を覆う封止膜を含み、封止膜は、少なくとも1つの針によって貫通可能である。
【0014】
本発明によれば、少なくとも1つの針は、約12mm超、好ましくは約20mm~約200mm、より好ましくは約20mm~約100mm、より好ましくは約20mm~約50mmの長さを有する。
【0015】
好ましくは、針送達装置は、医薬組成物送達機構と流体連通している医薬組成物リザーバを含む。
【0016】
有利には、針送達装置は、皮膚の長手方向の折り目の挟持を感知するためのセンサ機構をさらに含むことができる。
【0017】
一実施形態によれば、先行する請求項のいずれかの針送達装置を使用することを含む、医薬組成物を患者に投与する方法が提供される。好ましくは、医薬組成物は、少なくとも1つの針が挟まれた皮膚を通って引っ込められるときに送達される。
【0018】
本発明のさらなる態様では、皮膚を挟持するための装置であって、装置本体と、装置本体に取り付けられた1つまたは複数の皮膚挟持部材であって、患者の皮膚の長手方向の折り目を挟むように移動可能である、皮膚挟持部材と、皮膚の長手方向の折り目の挟持を感知する感知手段とを含む、装置が提供される。
【0019】
好ましくは、使用時に、装置は、針を装置本体の外に出し、針経路に沿って、挟持部材の間に挟まれた皮膚の長手方向の折り目に駆動するように構成された駆動機構であって、針経路が患者の表面に実質的に平行に延びる駆動機構と、針を通して医薬組成物を送達するように構成された医薬組成物送達機構とをさらに含む。
【0020】
有利には、感知手段は、間に挟まれた皮膚の存在を検出するために、少なくとも1つの光源および少なくとも1つの光センサを含む。
【0021】
代替として、または光センサに加えて、感知手段は、挟まれた皮膚との接触を検出するための少なくとも1つの機械スイッチを含む。
【0022】
感知手段は、挟まれた皮膚との接触を検出するための電気センサを含むことができる。
【0023】
好ましくは、感知手段は圧力センサである。
【0024】
感知手段は、挟まれた皮膚の長手方向の折り目の長さに沿った挟持を検出するための複数の感知手段を含むことができる。
【0025】
本発明の一態様では、皮膚挟持部材は、皮膚に注入された医薬組成物のボリュームに基づいて自動的に調整するように構成され、または皮膚挟持部材は、挟まれた皮膚の圧力に基づいて圧力センサを使用して自動的に調整するように構成される。
【0026】
本発明の一態様によれば、皮膚の長手方向の折り目の挟持を感知する方法であって、上述の装置を患者の皮膚に接触させることと、少なくとも1つの皮膚挟持部材を移動させて、皮膚の長手方向の折り目を挟持することと、皮膚の長手方向の折り目の挟持を感知することとを含む、方法が提供される。
【0027】
この方法は、少なくとも1つの針を、装置本体の外に出し、針経路に沿って、挟持部材の間に挟まれた皮膚の長手方向の折り目に駆動することであって、針経路が患者の表面に実質的に平行に延びるように駆動することと、針が皮膚の長手方向の折り目を通して引き抜かれているときに、少なくとも1つの針を通して患者に医薬組成物を送達することとをさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
次に、本発明について図面を参照して説明する。
【0029】
図1A図1Aは、針送達装置の平面図である。
図1B図1Bは、別の針送達装置の平面図である。
図2図2は、針に長手方向の薬剤リザーバを示す針送達装置の断面概略図である。
図3A図3Aは、起動前の装置の正面断面図である。
図3B図3Bは、起動後の装置の正面断面図である。
図3C図3Cは、起動後の別の装置の正面断面図である。
図4A図4Aは、柔軟な針を備えた装置の側面断面図である。
図4B図4Bは、起動後の柔軟な針を備えた装置の側面断面図である。
図5A図5Aは、保護カバーを備えた針の概略配置である。
図5B図5Bは、起動位置にある被覆された針の概略の概略図である。
図6図6は、針/シースのガイドトラックの概略図である。
図7A図7Aは、起動前に皮膚挟持部材を動作させるための機構の概略図である。
図7B図7Bは、起動後に皮膚挟持部材を動作させるための機構の概略図である。
図8A図8Aは、起動前に皮膚挟持部材を動作させるための別の機構の概略図である。
図8B図8Bは、起動後に皮膚挟持部材を動作させるための別の機構の概略図である。
図9A図9Aは、皮膚挟持部材係合機構の概略図である。
図9B図9Bは、別の皮膚挟持部材係合機構の概略図である。
図10図10は、針出口ポートに対する皮膚の断面図である。
図11図11は、光学センサを示す装置の断面図である。
図12A図12Aは、機械式センサを示す装置の断面図である。
図12B図12Bは、起動された機械式センサを示す装置の断面図である。
図13A図13は、装置の概略斜視図である。
図13B図13は、装置の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
身体装着型装置の必要性をなくすか、または身体装着型装置に必要な装着時間を最小限にするために、制御された方法で大量の薬剤を迅速に注射する装置および方法について説明する。装置は皮膚の長手方向の部分をつまんで、針を挿入できる皮膚ボリュームを作成する。その後、針が皮膚から引き出されるにつれ、連続的または断続的な量の薬剤を堆積させている間、針を皮膚から徐々に引き離すことで、単一または複数の針を使用して、皮膚内の正確な深度内に迅速に大ボリュームを分配できるようにする。
【0031】
本発明は、皮膚に薬剤を迅速に注入するための装置および方法に関し、特に、本発明は、真皮または皮下層、または筋肉内組織に到達しない層内に薬物製剤を注入することに関する。大量の注射では、組織内に分散する薬剤の量が必要である。これは、局所的な組織循環と細胞内取り込みに基づいて、特定の最大速度でのみ発生する。非常に速い注射力は、組織の付帯的損害、およびあざおよび炎症反応を引き起こすため、送達時間を増加させるために非常に強い力で注射しないことが好ましい。
【0032】
多くの場合、皮膚はユーザが手でつまんで組織を持ち上げ、針を挿入できるようにする。
【0033】
本発明は、かなり長い針を挿入するためにかなり大きなボリュームが利用できるように、長手方向の距離にわたって皮膚を挟持する方法を説明する。最初に、針が皮膚の長手方向に挟まれた領域を最大遠位位置まで貫通することが意図されている。次に、薬物製剤は、針が引き抜かれるときに一定の力で、または断続的に注入され、それにより、大量の薬剤をより大きな皮膚ボリュームにわたって急速に注入することが可能になる。
【0034】
通常、1mlの薬剤を10~15秒以内に皮下組織に注入できる。したがって、針が挿入され、例えば1mlの容量が注入されたとき、局所組織は薬剤容量の1mlしか吸収できず、その特定の領域でそれ以上のボリュームの取り込みは、逆流、針の閉塞、背圧の増加、および組織の損傷やあざを引き起こす細胞内組織の引き裂きにいたるので、20mlまでの容量では、投与に数分、多くの場合30分以上かかる。したがって、例えば100~150秒で10mlを注入することは不可能であり、注入流量を1分あたり0.5ml未満に減らして、組織全体がボリューム全体を適切に吸収できるようにする必要がある。
【0035】
しかしながら、本発明は、針が新しい組織空間に徐々に引き込まれることを可能にし、患者への大量の物質のより速い送達を可能にする。したがって、本発明を使用する例として、1mlの注射に10秒かかる場合、10mlの注射には100秒かかる。
【0036】
これには、数センチメートルまでのより長い深度で挿入するのに十分な剛性を持つ針が必要である。例えば、平均的な皮下注射針は4mmから12mmの間である。しかしながら、本発明では、針は、装置が適用される場所に応じて、100cmもの長さ、またはおそらくそれより長くてもよい。このような針の長さは、皮下注射では標準的な方法として使用されていない。
【0037】
したがって、針を組織の正しい層、例えば脂肪層、真皮、または皮下層に挿入できるようにするために、針は皮膚に垂直ではなく水平に、または斜めに挿入する必要がある。これは、意図した針の挿入距離よりも長い、薬剤が注入されたときに、皮膚内に保持されるほどに十分な長さに沿って皮膚を挟持することによって達成される。針は、皮膚が針挿入に十分な高さおよび長さに挟まれた後、皮膚の表面に実質的に平行に注入され、挟まれた組織に対する針の高さは、所望の組織深さまで皮膚貫通を提供するように調整され得る。
【0038】
挟持動作は、いくつかの目的の1つを達成し得る。針が引っ込められたときに、皮膚の長さに沿って薬剤の量を注入できるように、ゆるく挟持された位置で皮膚を保持する。
【0039】
皮膚をしっかり挟持すると、血液供給に一時的な途切れがあり神経終末が圧迫されている皮膚の長手方向に圧縮された領域を作成し、痛みの感覚を最小限に抑える。針が完全な距離まで挿入されると、このより高い程度の締めつけが解放され、組織への薬剤ボリュームの流れを制限することなく、大量の薬剤を挿入することが可能になる。
【0040】
挟持動作の重要な機能は、潜在的な問題を回避するために、皮膚が全長に沿って均一に挟持するようにすることである。例えば、針が均一に挟まれていない組織に挿入された場合、針は皮膚から出てさらに再進入する可能性があり怪我を引き起こしたり、皮膚の外部への薬剤量の損失につながり得る。実際、皮下注射のために皮膚を正常(先行技術)につまんでいる場合、針が皮膚/身体の面に沿って水平に挿入された場合、針は挟まれた組織の反対側から突き出ていた。
【0041】
皮膚の挟持の均一性は、いくつかの方法を使用して達成できる。
-機械的なバリアが、挟まれた皮膚が、機械的バリア内に形成された溝/中空チャンバの形状とボリュームをとるよう、皮膚が挟持される長手方向溝の形で配置されている。
-例えば、LEDとダイオードを使用して光を透過し、透過光を検出するなど、光学的検出方法が使用される。皮膚が適切かつ均一に挟まれたときに、指定された長さの挟まれた組織にわたってダイオードによって光が検出されない場合に、皮膚の挟み込みが正常に均一に行われたとみなされる。図面を参照して以下に説明するように、光が検出器にまだ通過する場合、光が通過しなくなるまで挟持動作が再び発生する。
-中空チャンバ/溝の屋根に配置された一連の機械スイッチであって、これにより、断面全体にわたって皮膚が適切に均一に挟まれていることを確認するために、全てのスイッチを機械的に起動させる必要がある。
【0042】
本発明のさらなる実施形態では、特に、注入される非常に大きなボリュームの場合、挟持部材は、皮膚のボリュームの増加に対応するため、薬の量が注入されるにつれ、皮膚の全長にわたって、または皮膚の遠位領域/針のチップ部に向かって、単一のステップで、または徐々に緩和され得る。皮膚挟持部材の弛緩は、皮膚ボリュームの所定の増加に基づいて、所定の長さで注入されたボリュームに基づいて、事前に決定して自動的に調整することができ、または挟持部材の屋根および/または内壁に対する圧力センサを使用して決定することができ、これにより、圧力が所定の値を超えると、挟持部材は、圧力を所与の所定の最大値に維持するように調整/緩和される。
【0043】
図1を参照すると、装置本体6を有する針送達装置が示されている。一対の皮膚挟持部材1が、互いにほぼ平行である2つの細長いバーを含む装置の下側に示されている。
【0044】
使用時には、装置は患者の皮膚と接触して配置され、一対の皮膚挟持部材1は互いに向かって動かされる。そうすることで、それらは、皮膚挟持部材の長さに沿って、それらの間の皮膚の長手方向の折り目を挟持する。皮膚または皮膚の折り目という用語は、ここでは患者の体の外部組織を指すために使用される。したがって、皮膚の折り目は、皮膚の折り目および皮下脂肪などのいくつかの根底となる組織も含む。
【0045】
図1に示す実施形態では、装置は、両方とも装置本体に取り付けられ、両方が互いに向かって移動可能である2つの皮膚挟持部材1を含む。他の実施形態では、装置は、第1の固定挟持部材と、第1の挟持部材に向かって移動可能である第2の可動挟持部材とを含んでもよい。これは、固定された挟持部材が固定されたままである装置本体6の一部によって形成され、他の部材が固定側に対して皮膚を挟持するように移動する実施形態を含み得る。
【0046】
装置は、医薬組成物リザーバ2、および医薬組成物がリザーバ2から押し出されるルアースリップまたはルアーロックまたは他の接続手段であり得る、医薬組成物リザーバ出口ポート3を含む。プランジャ(医薬組成物リザーバがあらかじめ充填されたカートリッジまたはシリンジである場合)はここには示されていない。また、薬剤をリザーバから強制的に排出する他のモードも示されてない。これらの機構は、従来技術でよく理解されている。針ハブおよび関連する針駆動機構5は、装置が純粋に機械的ではなく電気機械的であるように意図されている電子制御基板4とともに示されている。
【0047】
上述のように、使用中、装置は、皮膚挟持部材1の間に皮膚の長手方向の折り目を形成する。次に、針駆動機構は、針を装置本体6から外に出し、形成された皮膚の折り目の中に駆動する。針が装置本体6から出て皮膚の折り目に入るとき、針は患者の表面に実質的に平行な針経路に沿って移動する。これにより、皮膚の折り目内の制御された深さを保ちながら、針が皮膚の折り目を所定の距離まで貫通することができる。
【0048】
次に、医薬組成物送達機構は、医薬組成物をリザーバから針を通して患者に送達する。上述のように、針が皮膚の折り目の長さを通して引き抜かれているときに組成物を送達することは、大量の物質の迅速な送達を可能にするので有利である。医薬組成物は、針の穴を通してリザーバ(例えば、バイアルまたはあらかじめ充填されたシリンジ)の内容物を強制するプランジャ機構を介するなど、さまざまな方法を使用して患者に送達することができる。適切に取り付けられた針との流体連通接続を含む代替の折りたたみ式リザーバが使用される場合、リザーバの内容物は、内容物が排出されるときにリザーバを圧縮してそれを折りたたむことにより分配することができる。
【0049】
図1Bは、装置の別の実施形態の平面図を示しており、針ハブが皮膚挟持部材1と重なっている。したがって、図1Aに示す装置とは異なり、この装置は、皮膚挟持部材1の片側ではなく、皮膚挟持部材1の上に配置された針駆動機構を備えている。
【0050】
皮膚挟持部材1と針ハブ5との重なりは、皮膚がハブに対して適切に圧縮され、有意な量だけ変位できないことを確実にし、針が所望の深さで皮膚を適切に貫通することを可能にする。
【0051】
図2は、皮膚挟持部材1の片側への針駆動機構5を示す装置の断面側面図を示す。薬剤リザーバ2は、針駆動機構5の真上に位置し、皮膚挟持部材1に対して通常垂直である。上部領域13は、挟持部材1の近くで、装置の本体6内に示されている。領域13には、針を皮膚に挿入する前に、皮膚挟持部材の長さにわたって皮膚挟持の均一性を確認するための感知手段が設けられている。感知手段は、領域13に配置された光学的、機械および/または電気センサを含んでもよい。皮膚の長手方向の折り目の均一性を感知または決定できることが有利である。
【0052】
図3Aは、装置の本体6内の端部にある皮膚挟持部材1を示す装置の正面断面図である。挟持部材1の位置は、装置ハウジング6および皮膚7に対して示されている。これは、装置が患者の皮膚7上に配置されているが、皮膚挟持部材が互いに向かって動かされる前の状況である。
【0053】
図3Bは、皮膚挟持部材が起動された後の装置の正面断面図を示す。皮膚挟持部材1は、皮膚挟持部材の長さ全体にわたって均一である、皮膚の隆起領域の断面を示す、装置の本体6の下の皮膚挟持部材1の間の溝/チャンバ内で皮膚7を挟むように内側に移動している。この実施形態では、外側ケーシング6は、皮膚挟持部材1に対して静止しているように示され、それにより、後者は、内側に延び、または内側に移動して、皮膚を挟持する。
【0054】
図3Cは、皮膚挟持部材と装置本体6の壁とが連動して動くことを示す、装置の正面断面図である。この図に示す実施形態は、図3Bに示す実施形態とは異なり、外側ケーシングも皮膚挟持部材1とともに移動するため、皮膚の挟持が完了したことをユーザに視覚的に確認するのに好ましくあり得る。
【0055】
図4Aは、皮膚挟持部材1の間のチャンバ内で、隆起して挟まれた状態の皮膚7を示す長手方向断面概略図を示す。針接続ポート9は、可撓性剛性針に接続されて示され、それにより、針の可撓性セクション10は、静止位置で示される剛性セクション8に直接接続される。針の剛性セクション8は、圧縮ガイドローラ11および単一の大きなガイドローラ12を通過して、針を弧状経路に追従させることができる。針の可撓性部分9は、薄壁の可撓性金属、またはポリ酢酸ビニル、ポリプロピレンなどのポリマー、または従来技術で公知の他の多くのポリマーの1つから製造することができる。剛性セクション8は、プラスチックポリマーからも作成できるが、ステンレス鋼などの金属、またはニッケルチタンなどの形状記憶金属から製造されることが好ましい。それにより、金属はその細長い直線形状を維持するという点で剛性があるが、真っ直ぐな堅い位置に戻る前に、アーチ状の経路を通してローラを通過することができる。可撓性部分を含む針の使用は、装置をコンパクトにすることを可能にする。針は、装置の本体6の開口部を通して方向付けられ、次に皮膚の折り目に向かって外に出る。
【0056】
柔軟な針は、針を破壊したり、永久的に変形させたりすることなく、90度の曲げ半径を可能にするように製造できる。そのような針は、ニッケルチタンなどの金属合金、非常に高いアスペクト比のステンレス鋼金属、他の不活性金属、ナイロンやポリエステルなどのポリマー、注射器の構造で広く使用されている医療グレードのポリマーを使用して形成できる。これらの材料で作られた柔軟な針は、通常、押し出し機構によって製造される。金属チップとプラスチック本体/導管の組み合わせを使用して、柔軟な針を形成することもでき、金属チップは、機械的に強い鋭い先端を提供する。柔軟な針は、薬剤がリザーバから流れ得るルアースリップまたはルアーロック接続を介してリザーバに接続された同等または異なる直径の柔軟な導管を有して、中空の光ファイバーケーブルなど、先端で標準の18ゲージに至るまでの数十ミクロンの薄さであってもよい。
【0057】
使用する針は、その長さの一部または全てに沿って柔軟にすることができる。針は、ニッケルチタンなどの金属合金、非常に高アスペクト比のステンレス鋼金属、その他の不活性金属、ナイロンやポリエステルなどのポリマー、注射器の構造で広く使用されている医療グレードのポリマーを使用して形成できる。針は、押し出しプロセスによって形成することができる。
【0058】
針120は、代わりに、第1の針送達装置10を参照して本明細書で上述したもののような、可撓性部分(例えば、プラスチック本体/導管)および剛性金属チップを有することができる。
【0059】
駆動機構は、一連のローラ、プーリー、適切に取り付けられたスプリングを使用して機械的に操作できる。または、モータとギアの組み合わせなどのアクチュエータ、または形状記憶金属から構築されたものなどの線形アクチュエータを使用して電気機械的に駆動させることもできる。
【0060】
医薬組成物リザーバは、針の端部と流体連通している。これは、直接的な流体連通であり得、またはそのような流体連通を可能にする中間部材を介した間接的な流体連通であり得る。例えば、ルアースリップまたはルアーロック接続を介してリザーバの一端で接続され、および他端で針に接続される可撓性導管があり得る。
【0061】
図4Bは、起動位置にある図4Aに示される装置の概略図であり、針8がガイドローラ11および12を通過して装置本体6から出て、皮膚7の長手方向の折り目に入ることを示す。
【0062】
図5Aは、本発明での使用に適した保護カバーまたはシースを備えた針の概略図である。針の接続ハブ9は、次に、針8の剛性部分に直接接続される針10の可撓性部分に接続されて示される。剛性部分8は、皮膚を貫通するように意図された針チップを含む。針チップは、シースの剛性セクション14に包まれ、針が貫通可能な針シースチップセクション15は、シースチップ領域16の剛性壁によって包まれ、柔軟な圧縮性および折りたたみ式のシース13セクションを有する。針10の可撓性セクションは、針全体を、収容するために実質的により多くのスペースを必要とする剛性にする必要がなく、剛性セクションをある距離に沿って動かすことを可能にする。
【0063】
圧縮性および折りたたみ式のシースは2つの機能を果たす。第1に、針がガイドローラ11(ここでは不図示)を通って案内されることを可能にするためには、シースを単に圧縮するのではなく、ガイドローラ11を針8自体の剛性セクションに対して圧縮できるようにすることによって、(全ての針のシースは一般に硬質プラスチック材料であるため)シースだけがガイドローラを通って引っ張られることになる。
【0064】
第2に、ユーザが使用中に針の周りの保護シースを取り除く必要性を回避することによって、針が貫通可能なシースチップ15を通過することを可能にする。針が使用され、その休止位置に後退すると、針チップは保護シースの剛性部分内に戻り、針刺しによる怪我を防ぐ。
【0065】
図5Bは、シースを通る針チップの貫通の概略図であり、針に対して圧縮し、ガイドローラによって圧縮されるシース外壁13によって制限されないガイドローラ11を示す。参照符号13aは、針がシースから出るときに針シースチップの端部に対して折りたたまれるシースを示している。
【0066】
図6は、針/シースのガイドトラックの概略図である。この図は、針および関連する針シースが通過するガイドトラックを示しており、開口部15を有する剛性壁を示している。これにより、針シース13は、開口部15を有する剛性壁を超えて通過できない。しかしながら、針チップはこの時点で開口部15を通ってシースの剛性チップ壁16を越えて現れ、針がシースを出るときに折りたたみ可能および圧縮可能なシースセクションを折りたたむことができる。
【0067】
図7Aおよび7Bは、皮膚挟持部材を動作させるための1つの機構の概略図であり、休止位置(A)および起動位置(B)を示している。圧縮可能セクション17は、はさみのような方法で2つのアーム18に連結され、その結果、圧縮可能セクションが圧縮されると、アームの先端が互いに近づき、その過程で皮膚を挟持する。
【0068】
図8Aおよび8Bは、皮膚挟持部材を動作させるための1つの機構の概略図であり、休止位置(A)および起動位置(B)を示している。カム機構19は、皮膚挟持部材1の起動のために示されている。カム機構の回転により、皮膚挟持部材が互いに向かって移動する。
【0069】
図9Aおよび9Bは、皮膚挟持部材が患者の皮膚に係合可能な方法を示している。図9Aは、皮膚挟持部材1を皮膚に接着して保持する接着部分20を示し、一方、図9Bは、皮膚と係合する機械的先端領域を示し、目的は、皮膚挟持部材が起動している間、皮膚をしっかりと拘束することである。接着剤の場合、シリコーン、アクリルまたは合成ゴムタイプの接着剤などの任意の感圧接着剤を使用することができる。
【0070】
図10は、針出口ポートに対する患者の皮膚の断面図である。断面概略図は、皮膚7が隆起し、チャンバの形状およびボリュームに一致するように係合する起動位置で、針挟持部材の間の装置のチャンバ内に係合する皮膚7の折り目を示す。皮膚7はまた、針が突き出て皮膚に貫入する剛性針シースハウジング15の末端部分に当接する。
【0071】
皮膚が所定の位置にしっかりと保持されているため、皮膚が、針が皮膚に不正確な深さで侵入し得る位置から離れて外れることなく、針が皮膚を刺すことを確実にする。したがって、挟持機構は、皮膚がシースチップ15に押し付けられることを確実にし、これは、皮膚挟持部材が、針チップおよび関連する剛性シースが配置される領域と確実に重なることによって達成され得る。
【0072】
これにより、皮膚挟持部材が針のチップより短く、重なっていない場合、その後者の領域の皮膚は十分に緊張していない可能性があり、針がそれを貫通し始めたとき、外れるかもしれないので、皮膚挟持部材間のチャンバを満たすために挟まれる余分な皮膚があることを確実にする。
【0073】
図11は、光学センサを示す装置の断面図である。皮膚7は、皮膚挟持部材1によって挟まれた位置で示されている。この装置はまた、皮膚が均一に挟まれることを検出し確実にするために、挟持部材の長さにわたって散在する光学センサ22を含む。光を検出するための広く利用可能な標準の発光ダイオード、および適切なフォトダイオードが配置されており、電子フィードバックにより、全てのダイオードが皮膚で覆い隠されるまで薬剤が注入されるのを防ぐ。
【0074】
図12Aおよび12Bは、皮膚の挟持均一性の光学機械的検出を示す装置の断面図である。機械スイッチ23が、皮膚が挟持されるときに皮膚が集まるチャンバの屋根に示され、休止位置(A)および起動位置(B)で示される。機械スイッチに対する皮膚の折り目の接触は、皮膚の正しい挟持を示す。
【0075】
図13は、本発明の装置の斜視図を示し、装置の長手方向の性質を示している。装置本体6は、患者の皮膚7上に配置されて示され、皮膚挟持部材1は、起動前に広く離間する。
【0076】
起動すると、皮膚挟持部材1は互いに向かって移動し、その間に皮膚組織7の折り目を形成する。したがって、皮膚7の長手方向の折り目は、皮膚挟持部材1の長さに沿って形成される。
【0077】
符号の説明
1 長手方向の皮膚挟持部材
2 薬剤リザーバ
3 ルアースリップまたはルアーロック接続ポートを備えた薬剤リザーバ遠位/出口端
4 電子制御ボックス
5 柔軟な針を収容する針ハブ機構
6 注射装置の外側ハウジング
7 皮膚
8 曲げ可能な剛性針
9 可撓性剛性針の接続ポート
10 針の可撓性部分
11 針用の圧縮ガイドローラ
12 針用の単一の大きなガイドローラ
13 針シース/保護カバー-可撓性剛性/圧縮可能
14 可撓性剛性/圧縮可能針シース内の狭い針位置決めオリフィスを有する剛性部分
15 針が貫通できる針シースの末端部分
16 針シースの末端部分の剛性ガイド壁
17 長手方向皮膚挟持部材の収縮機構
18 皮膚挟持部材挟持アーム
19 皮膚挟持部材1を動作させるためのカム機構
20 皮膚を挟持するための接着剤
21 皮膚を挟持するための機械的突起
22 皮膚挟持一貫性のための光学検出機構
23 皮膚挟持一貫性のための機械スイッチ検出機構
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B