(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】保守対象装置の履歴管理システム、保守対象装置の履歴管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20230315BHJP
【FI】
G06Q10/20
(21)【出願番号】P 2021049681
(22)【出願日】2021-03-24
【審査請求日】2021-03-24
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2020052498
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511265154
【氏名又は名称】SPPテクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】花田 克司
(72)【発明者】
【氏名】波部 剛士
(72)【発明者】
【氏名】平村 建夫
【合議体】
【審判長】渡邊 聡
【審判官】佐藤 智康
【審判官】古川 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-123366(JP,A)
【文献】特開2009-216639(JP,A)
【文献】特開2007-323303(JP,A)
【文献】国際公開第02/089189(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保守対象装置の保守作業履歴を管理するための履歴管理システムであって、
前記保守対象装置の保守作業を実施する作業者によって操作される現場端末と、
前記現場端末と通信可能であり、前記保守作業を支援するサポート情報を前記現場端末に送信するサポート端末と、を備え、
前記現場端末および前記サポート端末の少なくとも一方は、前記保守作業に関する保守作業情報をデータベースに送信できるように構成され、
前記保守作業情報は、前記保守対象装置毎に抽出可能であり、
前記保守作業情報は、前記現場端末と前記サポート端末とのリモート接続の開始から終了までの接続履歴であるリモートサポート接続履歴を含
み、
前記現場端末と前記サポート端末との前記リモート接続が一旦開始された場合、前記保守作業が完了するまでは、前記リモート接続の接続関係を変更できないように構成される
保守対象装置の履歴管理システム。
【請求項2】
前記現場端末は、画像を撮影する撮影装置を含み、
前記現場端末によって入力される前記保守作業情報は、前記撮影装置によって撮影された画像情報を含む
請求項
1に記載の保守対象装置の履歴管理システム。
【請求項3】
前記保守作業情報は、前記保守対象装置の動作エラーの原因に関する情報をさらに含み、
前記現場端末および前記サポート端末の少なくとも一方は、前記動作エラーの原因に関する情報を更新する登録更新部を含む
請求項1
または2に記載の保守対象装置の履歴管理システム。
【請求項4】
前記保守作業情報は、前記サポート端末から送信される前記サポート情報を用いて実施された保守作業に関する保守作業情報、および、前記サポート端末から送信される前記サポート情報を用いずに実施された保守作業に関する保守作業情報を含む
請求項1~
3のいずれか一項に記載の保守対象装置の履歴管理システム。
【請求項5】
前記サポート端末から送信される前記サポート情報を用いずに実施された保守作業に関する保守作業情報は、電話対応に基づいて実施された前記保守作業に関する履歴、電子メール対応に基づいて実施された前記保守作業に関する履歴、チャット対応に基づいて実施された前記保守作業に関する履歴、前記保守作業を実施した前記作業者が作成した報告書に基づく前記保守作業に関する履歴、および、前記保守対象装置の部品発送に関する履歴の少なくとも1つをさらに含む
請求項
4に記載の保守対象装置の履歴管理システム。
【請求項6】
保守対象装置の保守作業を実施する作業者によって操作される現場端末が、前記保守作業に関する保守作業情報をデータベースに送信するステップ、および、
前記現場端末と通信可能であり、前記作業者が実施する前記保守作業を支援するサポート情報を前記現場端末に送信するサポート端末が、保守作業情報を前記データベースに送信するステップの少なくとも一方を、を含み、
前記保守作業情報は、前記保守対象装置毎に抽出可能であり、
前記保守作業情報は、前記現場端末と前記サポート端末とのリモート接続の開始から終了までの接続履歴であるリモートサポート接続履歴を含
み、
前記現場端末と前記サポート端末との前記リモート接続が一旦開始された場合、前記保守作業が完了するまでは、前記リモート接続の接続関係を変更できないように構成される
保守対象装置の履歴管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保守対象装置の履歴管理システムおよび保守対象装置の履歴管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
保守対象装置の保守作業を管理する管理システムが知られている。例えば、特許文献1は、保守対象装置の一例である画像形成装置の保守作業を管理する管理システムを開示している。この管理システムは、画像形成装置と通信可能に設けられるリモート監視・検診サーバ、および、画像形成装置の保守作業をオンサイトで実施するサービスマンによって操作されるサービス端末を備える。
【0003】
画像形成装置の保守作業をリモートで実施できる場合、サービスマンは、リモート監視・検診サーバを用いて保守作業を実施する。一方、画像形成装置の保守作業をリモートで実施できない場合、サービスマンは、オンサイトで保守作業を実施する。リモートで実施された保守作業の内容、および、オンサイトで実施された保守作業の内容は、リモート監視・検診サーバの履歴データベースで一元管理される。このため、サービスマンは、過去に実施された保守作業の内容を容易に確認できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記管理システムでは、例えば、オンサイトで実施される保守作業に要する時間がサービスマンの技量に大きく影響を受ける。このため、保守作業を効率的に実施する点についてなお改善の余地がある。
【0006】
本発明の目的は、保守対象装置の保守作業を効率的に実施できる保守対象装置の履歴管理システム、および、保守対象装置の履歴管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に関する保守対象装置の履歴管理システムは、保守対象装置の保守作業履歴を管理するための履歴管理システムであって、前記保守対象装置の保守作業を実施する作業者によって操作される現場端末と、前記現場端末と通信可能であり、前記保守作業を支援するサポート情報を前記現場端末に送信するサポート端末と、を備え、前記現場端末および前記サポート端末の少なくとも一方は、前記保守作業に関する保守作業情報をデータベースに送信できるように構成され、前記保守作業情報は、前記保守対象装置毎に抽出可能である。
【0008】
上記保守対象装置の履歴管理システムによれば、作業者は保守作業の際にサポート端末から送られるサポート情報を現場端末で確認できるため、保守対象装置の保守作業を効率的に実施できる。また、現場端末から入力される保守作業情報とサポート端末から入力される保守作業情報とをデータベースで一元管理できる。このため、保守対象装置の保守作業を含む管理を、効率的に実施できる。
【0009】
(2)好ましい例では(1)に記載の保守対象装置の履歴管理システムにおいて、前記現場端末に対して複数の前記サポート端末が同時に接続できるように構成され、前記保守作業情報は、前記サポート端末を操作している支援者を特定するための情報毎に履歴が残るように構成される。
【0010】
上記保守対象装置の履歴管理システムによれば、状況に応じて支援者の人数が変化した場合であっても、実施された保守作業の内容を支援者毎に確認できるため、利便性が高められる。
【0011】
(3)好ましい例では(1)または(2)に記載の保守対象装置の履歴管理システムにおいて、前記保守作業情報は、前記現場端末と前記サポート端末とのリモート接続の開始から終了までの接続履歴であるリモートサポート接続履歴を含む。
【0012】
上記保守対象装置の履歴管理システムによれば、少なくともサポート端末から送信されるサポート情報を用いて実施された保守作業に関する履歴が保守作業情報として残る。このため、後日、仮に他の支援者によってサポート端末から送信されるサポート情報を用いて保守作業を実施する場合でも、前回どのような保守作業を実施したのかを容易に把握できる。
【0013】
(4)好ましい例では(1)~(3)のいずれか一項に記載の保守対象装置の履歴管理システムにおいて、前記現場端末は画像を撮影する撮影装置を含み、前記現場端末によって入力される前記保守作業情報は、前記撮影装置によって撮影された画像情報を含む。
【0014】
上記保守対象装置の履歴管理システムによれば、実施された保守作業の内容を容易に確認できる。
【0015】
(5)好ましい例では(1)~(4)のいずれか一項に記載の保守対象装置の履歴管理システムにおいて、前記保守作業情報は、前記保守対象装置の動作エラーの原因に関する情報をさらに含み、前記現場端末および前記サポート端末の少なくとも一方は前記動作エラーの原因に関する情報を更新する登録更新部を含む。
【0016】
上記保守対象装置の履歴管理システムによれば、データベースに登録されている動作エラーの原因が誤っていることが判明した場合に保守作業情報を容易に更新できる。
【0017】
(6)好ましい例では(1)~(5)のいずれか一項に記載の保守対象装置の履歴管理システムにおいて、前記保守作業情報は、前記サポート端末から送信される前記サポート情報を用いて実施された保守作業に関する保守作業情報、および、前記サポート端末から送信される前記サポート情報を用いずに実施された保守作業に関する保守作業情報を含む。
【0018】
上記保守対象装置の履歴管理システムによれば、多様な情報が含まれる保守作業情報がデータベースで一元管理されるため、保守対象装置の保守作業を一層効率的に実施できる。
【0019】
(7)好ましい例では(6)に記載の保守対象装置の履歴管理システムにおいて、前記サポート端末から送信される前記サポート情報を用いずに実施された保守作業に関する保守作業情報は、電話対応に基づいて実施された前記保守作業に関する履歴、電子メール対応に基づいて実施された前記保守作業に関する履歴、チャット対応に基づいて実施された前記保守作業に関する履歴、前記保守作業を実施した前記作業者が作成した報告書に基づく前記保守作業に関する履歴、および、前記保守対象装置の部品発送に関する履歴の少なくとも1つをさらに含む
【0020】
上記保守対象装置の履歴管理システムによれば、多様な情報が含まれる保守作業情報がデータベースで一元管理されるため、保守対象装置の保守作業を一層効率的に実施できる。
【0021】
(8)本発明に関する保守対象装置の履歴管理方法は、保守対象装置の保守作業を実施する作業者によって操作される現場端末を用いて、前記保守作業に関する保守作業情報をデータベースに入力するステップ、および、前記現場端末と通信可能であり、前記作業者が実施する前記保守作業を支援するサポート情報を前記現場端末に送信するサポート端末を用いて、保守作業情報を前記データベースに入力するステップの少なくとも一方を、を含み、前記保守作業情報は、前記保守対象装置毎に抽出可能である。
【0022】
上記保守対象装置の履歴管理方法によれば、上記(1)に記載の保守対象装置の履歴管理システムと同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に関する保守対象装置の履歴管理システム、および、保守対象装置の履歴管理方法によれば、保守作業を効率的に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施形態の保守対象装置の履歴管理システムの概略構成図。
【
図3】
図1のサポート端末の構成を示すブロック図。
【
図5】
図4のサーバのデータベースに記憶される保守作業情報を示す表。
【
図6】
図5の保守作業情報が更新された状態を示す表。
【
図7】複数の保守対象装置の保守作業情報を示す表。
【
図8】現場端末の入出力装置が現場端末情報を表示している状態の模式図。
【
図9】簡易サポート保守作業の処理手順の一例を示すフローチャート。
【
図10】オンサイト保守作業の処理手順の一例を示すフローチャート。
【
図11】リモートサポート保守作業の処理手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る保守対象装置の履歴管理システム、および、保守対象装置の履歴管理方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は保守対象装置の履歴管理システムの概略構成図である。
【0026】
<1.保守対象装置の履歴管理システム>
図1に示される保守対象装置の履歴管理システム10(以下では、「管理システム10」という)は、保守対象装置100の管理を含む、保守作業を効率的に実施できるように構成されたシステムである。保守対象装置100は、例えば、産業用機器である。産業用機器としては、基板処理装置を挙げることができる。基板処理装置は、例えば、半導体製造装置、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)製造装置、または、液晶パネル製造装置である。その他の産業用機器としては、射出成型装置、化学プラントの反応槽・蒸留塔・熱交換器、ボイラ・原動機、および、動力伝導装置等を挙げることができる。
【0027】
管理システム10は、現場端末20、サポート端末30、サーバ40、および、スキャナ50を備える。現場端末20、サポート端末30、および、サーバ40はネットワーク200を介して通信可能に接続される。ネットワーク200は、例えばインターネット、あるいは、専用回線で構成されたネットワークを利用することができる。現場端末20とサポート端末30とサーバ40との通信形態は、無線通信または有線通信である。本実施形態では、サポート端末30と保守対象装置100とは、オフラインである。
【0028】
現場端末20は、保守対象装置100の保守作業を実施する作業者によって、操作される。現場端末20としては、例えば、ウェアラブル端末、タブレット端末、スマートフォン、および、パーソナルコンピュータを利用することができる。本実施形態では、現場端末20はウェアラブル端末である。より詳細には、現場端末20は、光学シースルー型のヘッドマウントディスプレイであり、拡張現実(AR:Augmented Reality)機能が搭載されたスマートグラスである。スマートグラスは、公知のものを利用することができ、例えば、マイクロソフト社製のHoloLens(登録商標)である。別の例では、現場端末20は、仮想現実機能が搭載されたビデオシースルー型のヘッドマウントディスプレイである。管理システム10に含まれる現場端末20の数は、1または複数である。作業者が複数人存在する場合、管理システム10には、複数の現場端末20が含まれる。なお、管理システム10では、最初は、現場端末20が1台であり、作業者が追加されることによって、途中から現場端末20が複数台になる場合もあり得る。
【0029】
保守作業を実施する作業者は、第1種作業者および第2種作業者に分類される。第1種作業者は、保守対象装置100のユーザである。第2種作業者は、保守対象装置100の製造会社に属する保守担当者、または、保守対象装置100の製造会社から保守作業を委託された保守担当者である。
【0030】
サポート端末30は、現場端末20と通信可能であり、作業者が実施する保守作業を支援する保守担当者によって操作される。以下では、保守作業を支援する保守担当者を支援者と称する場合がある。サポート端末30は、保守作業を支援するサポート情報を現場端末20に送信する。サポート端末30としては、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、および、スマートフォンを利用することができる。本実施形態では、サポート端末30は、パーソナルコンピュータである。サポート端末30は、例えば、保守担当者が勤務する事業所に設置される。管理システム10に含まれるサポート端末30の数は、1または複数である。管理システム10に複数のサポート端末30が含まれる場合には、1つの現場端末20に対して複数のサポート端末30が同時にリモート接続できるように構成される。なお、本実施形態では「同時にリモート接続」とは、最初は、サポート端末30が1台であり、途中からサポート端末30が複数台になる場合も含む。複数のサポート端末30が同時にリモート接続できることにより、例えば、最初は、一人の支援者が対応しており、状況に応じて別の支援者が途中で加わり、その後、いずれかの支援者が任意の事情によって接続を切るということも可能となる。
【0031】
サーバ40は、現場端末20およびサポート端末30から入力された保守作業に関する履歴を含む保守作業情報を取得する。サーバ40は、例えば、保守担当者が勤務する事業所に設置される。別の例では、サーバ40は、クラウドサーバである。スキャナ50は、保守作業を実施した第2種作業者が作成した保守作業に関する報告書(以下では、「作業報告書という」)の画像情報を取得し、作業報告書の画像情報を含む情報をサポート端末30に送信する。
【0032】
<2.保守作業の分類>
保守作業は、例えば、簡易サポート保守作業、オンサイト保守作業、および、リモートサポート保守作業に分類される。保守担当者は、保守対象装置100のユーザからの保守作業の依頼内容に基づいて、ユーザと協議の上、実施する保守作業の種類を選択する。
【0033】
簡易サポート保守作業では、保守担当者が保守対象装置100のユーザに対して実施すべき保守作業の内容を電話、電子メール、および、チャットの少なくとも1つを用いて説明する。簡易サポート保守作業は、例えば、比較的、難易度の低い内容の保守作業を実施する場合に選択される。簡易サポート保守作業が選択された場合、第1種作業者が保守作業を実施する。
【0034】
オンサイト保守作業では、保守対象装置100が設置されている現場において第2種作業者が保守作業を実施する。オンサイト保守作業では、支援者は、第2種作業者が実施する保守作業のサポートを基本的には、実施しない。オンサイト保守作業は、例えば、保守作業の難易度が比較的高い場合に選択される。オンサイト保守作業が選択される例としては、保守対象装置100の部品の交換が必要である場合、保守対象装置100の部品の清掃が必要である場合、および、保守対象装置100の動作不良の原因が不明であるため、ユーザにひとまずの出向を求められた場合が挙げられる。
【0035】
リモートサポート保守作業では、支援者がサポート情報をサポート端末30から現場端末20に送信し、第1種作業者または第2種作業者が現場端末20を用いてサポート情報を参照して保守作業を実施する。リモートサポート保守作業は、例えば、保守作業として保守対象装置100の切り分けテストの実施が必要である場合に選択される。
【0036】
次に、
図2~
図4を参照して、現場端末20、サポート端末30、および、サーバ40について詳細に説明する。
<3.現場端末のハード構成>
図2は、本実施形態に係る現場端末20の構成の一例を示すブロック図である。現場端末20であるスマートグラスは、本体21、入出力装置22、マイクロフォン23、および、撮影装置24を備える。本実施形態では、本体21は、作業者の頭部に装着できるように構成される。本体21は、記憶装置21A、制御部21B、通信部21C、距離画像センサ21D、加速度センサ21E、および、ジャイロセンサ21Fを備える。記憶装置21A、制御部21B、通信部21C、距離画像センサ21D、加速度センサ21E、および、ジャイロセンサ21Fは、バス21Xを介して通信できるように、互いに接続される。
【0037】
記憶装置21Aは、例えば、ソリッドステートドライブ、あるいは、ハードディスクである。記憶装置21Aは、保守作業に関する1または複数のアプリケーションソフトウェア(以下では、「保守作業ソフト」という)を記憶する。制御部21Bは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含み、後述する機能を実行する。制御部21Bは、入出力装置22からの要求に応じて記憶装置21Aに記憶されている保守作業ソフトを実行する。制御部21Bが保守作業ソフトを実行することによって、現場端末20には、1または複数の機能ブロックが構築される。
【0038】
入出力装置22は、例えば、メガネのレンズ型の液晶ディスプレイおよびカメラを含んで構成される。入出力装置22は、ユーザのジェスチャーを検出するセンサを含んでいてもよい。作業者は、入出力装置22に表示されるARカーソルをジェスチャー等によって操作してコマンドを選択する。入出力装置22は、ユーザによって選択されたコマンドに基づく情報を本体21に送信する。本体21は、ユーザによって選択されたコマンドに基づくAR画像を入出力装置22に送信する。入出力装置22は、本体21から送信されたAR画像、サポート端末30から送信されるサポート情報、または、撮影装置24が撮影した画像情報を表示する。入出力装置22は、サーバ40のデータベース42に登録されている保守作業情報を表示する。
【0039】
通信部21Cは、所定の通信モジュールによって構成され、ネットワーク200(
図1参照)を介してサポート端末30およびサーバ40と情報の送受信を行う。距離画像センサ21Dは、保守対象装置100と本体21との距離を検出し、検出結果を制御部21Bに送信する。加速度センサ21Eは、本体21の1秒における速度変化、すなわち、加速度を検出する。加速度センサ21Eは、好ましくは、X軸、Y軸、および、Z軸の3軸方向に適応する。加速度センサ21Eは、加速度の検出結果を制御部21Bに送信する。ジャイロセンサ21Fは、基準軸に対する1秒間の本体21の角速度の変化を検出する。ジャイロセンサ21Fは、検出結果を制御部21Bに送信する。
【0040】
マイクロフォン23は、本体21の周辺の音を電気信号に変換して制御部21Bに送信する。本体21の周辺の音は、例えば、作業者の声である。撮影装置24は、例えば、本体21において、入出力装置22の近傍に設けられ、作業者の視線に対応する保守対象装置100の保守対象部分の画像を撮影する。本体21に設けられる撮影装置24の数は、1または複数である。撮影装置24が撮影する画像は、静止画および動画の少なくとも一方を含む。本実施形態では、撮影装置24は、静止画および動画を撮影できるように構成される。撮影装置24は、撮影した画像を制御部21Bに送信する。リモートサポート保守作業では、作業者は、例えば、撮影装置24を用いて保守対象装置100のモニターに表示されるエラーメッセージが表示された画面を撮影する。現場端末20は、エラーメッセージが表示された画面を含む画像情報をサポート端末30に送信する。別の例では、作業者は、保守対象装置100を構成する機器部品のうちの異音の疑いのある機器部品を発見した場合、撮影装置24を用いてその機器部分を撮影し、異音を含む音声情報および画像情報をサポート端末30に送信する。
【0041】
<4.現場端末のソフト構成>
制御部21Bが記憶装置21Aに記憶されている保守作業ソフトを実行することによって構築される機能ブロックは、例えば、位置算出部61および登録更新部62を含む。位置算出部61は、距離画像センサ21D、加速度センサ21E、および、ジャイロセンサ21Fの検出結果に基づいて、保守対象装置100に対する本体21の位置を算出する。登録更新部62は、入出力装置22に表示されるコマンドのうちのユーザのジェスチャーによって選択されたコマンドに基づいて、サーバ40(
図4参照)への保守作業情報の登録、および、サーバ40に登録されている保守作業情報の更新を実施する。なお、本実施形態において、保守作業情報の登録とは、新規の保守作業情報をサーバ40のデータベース42に入力することを意味する。また、保守作業情報の更新とは、既にサーバ40のデータベース42に登録されている保守作業情報の内容を変更することを意味する。
【0042】
<5.サポート端末のハード構成>
図3は、本実施形態に係るサポート端末30の構成の一例を示すブロック図である。サポート端末30は、本体31、入力装置32、出力装置33、および、マイクロフォン34を備える。本体31は、記憶装置31A、制御部31B、および、通信部31Cを備える。記憶装置31A、制御部31B、および、通信部31Cは、バス31Xを介して通信できるように互いに接続される。
【0043】
記憶装置31Aは、例えば、ハードディスクである。記憶装置31Aは、保守作業のサポートに関する1または複数のアプリケーションソフトウェア(以下では、「保守作業サポートソフト」という)、および、OCR(Optical Character Recognition)ソフトウェア(以下では、「OCRソフト」という)を記憶する。制御部31Bは、CPU、RAM、ROM等を含み、後述する機能を実行する。制御部31Bは、入力装置32からの要求に応じて記憶装置31Aに記憶されている保守作業サポートソフトおよびOCRソフトを実行する。制御部31Bが保守作業サポートソフトおよびOCRソフトを実行することによって、サポート端末30には、1または複数の機能ブロックが構築される。
【0044】
通信部31Cは、所定の通信モジュールによって構成され、ネットワーク200(
図1参照)を介して現場端末20およびサーバ40と情報の送受信を行う。
【0045】
入力装置32は、例えばキーボードであり、本体31と接続される。出力装置33は、本体31から出力された信号を受信できるように、本体31と接続される。出力装置33は、例えば、液晶ディスプレイである。出力装置33は、サーバ40のデータベース42に登録されている保守作業情報を表示する。マイクロフォン34は、本体31の周辺の音を電気信号に変換して制御部31Bに送信する。本体31の周辺の音とは、例えば、支援者の声である。
【0046】
<6.サポート端末のソフト構成>
制御部31Bが記憶装置31Aに記憶されている保守作業サポートソフトを実行することによって構築される機能ブロックは、例えば、サポート情報生成部71および登録更新部72を含む。制御部31Bが記憶装置31Aに記憶されているOCRソフトを実行することによって構築される機能ブロックは、例えば、情報変換部73を含む。
【0047】
サポート情報生成部71は、支援者によって入力された情報に基づいてサポート情報を生成する。サポート情報は、画像情報、音声情報、および、文字情報の少なくとも1つを含む。画像情報は、第1種画像情報および第2種画像情報を含む。第1種画像情報は、例えば、サーバ40に記憶されている保守作業情報に含まれる、過去に実施された保守対象装置100の保守作業の様子を記録した動画および静止画の少なくとも一方である。第2種画像情報は、例えば、現場端末20の撮影装置24(
図2参照)が撮影した画像に対して、支援者が保守作業に必要な情報を重畳した画像である。音声情報は、例えば、保守作業の具体的な内容を指示する支援者の声である。文字情報は、サポート情報に含まれる音声情報を文字情報に変換した情報である。
【0048】
登録更新部72は、入力装置32から入力された内容に基づいて、サーバ40(
図4参照)への保守作業情報の登録、および、サーバ40に登録されている保守作業情報の更新を実施する。情報変換部73は、スキャナ50が取り込んだ作業報告書の画像情報を文字コードの列に変換する。好ましい例では、情報変換部73は、作業者毎の文字のくせに応じて画像情報を文字コードの列に正確に変換できるように学習手段を備える。情報変換部73が文字コードの列に変換した作業報告書の画像情報は、保守作業情報としてサーバ40(
図4参照)に送信される。
【0049】
<7.サーバのハード構成>
図4は、本実施形態に係るサーバ40の構成の一例を示すブロック図である。サーバ40は、本体41を備える。本体41は記憶装置41A、制御部41B、および、通信部41Cを備える。記憶装置41A、制御部41B、および、通信部41Cはバス41Xを介して通信できるように互いに接続される。なお、サーバ40は、支援者および第2種作業者が入力を行うためのインターフェースとして、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置、ディスプレイ等の表示装置、ならびに、プリンタ等の出力装置等を備えていてもよい。
【0050】
記憶装置41Aは、例えばハードディスクである。記憶装置41Aは、保守作業情報を記憶するデータベース42を備える。記憶装置41Aは、データベース42の管理に関する1または複数のアプリケーションソフトウェア(以下では、「データベース管理ソフト」という)を記憶する。制御部41Bは、CPU、RAM、ROM等を含み後述する機能を実行する。制御部41Bは、現場端末20およびサポート端末30からの要求に応じて記憶装置41Aに記憶されているデータベース管理ソフトを実行する。制御部41Bがデータベース管理ソフトを実行することによって、サーバ40には、1または複数の機能ブロックが構築される。通信部41Cは、所定の通信モジュールによって構成され、ネットワーク200(
図1参照)を介して現場端末20およびサポート端末30と情報の送受信を行う。
【0051】
<8.サーバのソフト構成>
制御部41Bが記憶装置41Aに記憶されているデータベース管理ソフトを実行することによって構築される機能ブロックは、例えば、登録更新部81を含む。登録更新部81は、現場端末20およびサポート端末30から送信される保守作業情報を登録する旨の要求に基づいてデータベース42に保守作業情報を登録する。登録更新部81は、現場端末20およびサポート端末30から送信される保守作業情報を更新する旨の要求に基づいてデータベース42に登録されている保守作業情報を更新する。
【0052】
<9.保守作業情報>
図5~7を参照して、データベース42に登録される保守作業情報について説明する。
図5は、保守作業情報の一例を示す表である。保守作業情報には、複数の項目(以下では、「保守作業項目」という)が含まれる。保守作業項目は、例えば、第1項目91~第9項目99を含む。なお、データベース42に記憶される保守作業情報は、現場端末20によって入力される現場端末用情報、および、サポート端末30によって入力されるサポート端末用情報に分類される。現場端末用情報は、現場端末20によって、登録、更新、および、表示が可能である。サポート端末用情報は、サポート端末30によって、登録、更新、および、表示が可能である。現場端末用情報およびサポート端末用情報の保守作業項目の内容は、共通である。以下、
図5~7に示す第1項目91~第9項目99の例について説明する。
【0053】
第1項目91は、リモートサポート保守作業において、サポート端末30を操作している支援者を特定するための情報が入力される項目である。第1項目91は、例えば「リモートサポート接続ID」と表示される。
第2項目92は、簡易サポート保守作業、または、オンサイト保守作業で実施した内容に関する情報、および、保守対象装置100の部品発送に関する履歴が入力される項目である。第2項目92は、例えば、「その他の履歴」と表示される。
【0054】
第3項目93は、保守作業を実施した日付に関する情報が入力される項目である。第3項目93は例えば、「日付」と表示される。
第4項目94は、保守作業を開始した時刻に関する情報が入力される項目である。第4項目94は、例えば、「開始時刻」と表示される。
第5項目95は、保守作業を終了した時刻に関する情報が入力される項目である。第5項目95は、例えば、「終了時刻」と表示される。なお、保守作業の開始から終了までに日をまたいだ場合には、保守作業情報を日毎に分けても良いし、終了時刻に日をまたいだことがわかる何らかの記載を追加するようにしても良い。または、開始時刻および終了時刻の代わりに、開始日時および終了日時としても良い。
【0055】
第6項目96は、保守対象装置100を特定するための情報が入力される項目である。第6項目96は、例えば、「保守対象装置ID」と表示される。
【0056】
第7項目97は、実施した保守作業のおおよその内容に関する情報が入力される項目である。第7項目97は、例えば、「作業タイトル」と表示される。
第8項目98は、保守対象装置100の動作エラーの原因に関する情報が入力される項目である。第8項目98は、例えば、「動作エラーの原因」と表示される。保守対象装置100の動作エラーの真の原因が特定されない場合、第8項目98には、第7項目97と同じ内容が入力される。
【0057】
第9項目99は、保守作業で実施した具体的な内容に関する情報が入力される項目である。第9項目99は、例えば、「作業内容」と表示される。なお、
図5に示される保守作業情報の内容は、あくまで一例であり、例えば、簡易サポート保守作業およびオンサイト保守作業が実施された場合には、それらの内容が保守作業情報に追加される。また、第3項目93、第4項目94、第5項目95、および、第6項目96は、現場端末20およびサポート端末30による入力に代えて、例えば、サーバ40の制御部41Bによって自動的に入力されるように構成できる。
【0058】
例えば、保守対象装置100の保守作業が複数回実施された結果、保守対象装置100の動作エラーの真の原因が特定できる場合がある。
図5に示される例では、2019年10月16日に切り分けテストが実施された結果、保守対象装置100の動作エラーの真の原因として、ウェハセンサの故障が特定された。本実施形態では、動作エラーの真の原因が特定された場合、
図6に示されるように、第8項目98を更新できるようにしている。第7項目97と第8項目98とを比較することによって、保守対象装置100の動作エラーの内容と真の原因とを比較できる。このため、例えば、複数の保守対象装置100における保守作業情報の第7項目97~第9項目99に登録されている事例を収集することによって、トラブルシューティングに利用できる。
【0059】
また、
図7は、保守対象装置M01を保有する顧客が、保守対象装置M01に対して保守作業を実施した後、他に保有する保守対象装置M02に対しても保守作業を実施した場合の保守作業情報である。同一顧客の場合には、保守作業者は、保有する異なる保守対象装置群の保守作業情報を全て確認できる。
図7から保守対象装置M01を抽出すると、
図6の保守作業情報が表示できる。つまり、本実施形態では、保守対象装置IDを選択することによって、異なる保守象装置群の中から同じ保守対象装置毎に保守作業情報を抽出可能である。本実施形態では、作業員は、第1種作業員および第2種作業員を含む。第1種作業員は、現場が工場等の場合には、曜日毎や時間毎に作業員が入れ替わることが多い。一方、第2種作業員は、その時の状況に応じて出向できる作業員が変わることが多い。このため、
図5等に示される保守作業情報として、保守作業を担当した作業員の情報毎に履歴が追加されると、保守作業情報の内容が複雑になり、保守作業情報の確認に多くの時間を要する。このため、保守対象装置100の保守作業を効率的に実施できない。本実施形態では、保守作業情報を保守対象装置毎に抽出可能としているため、必要最低限の保守作業情報を表示し、保守対象装置100の保守作業情報を容易に把握できる。このため、保守対象装置100の保守作業を効率的に実施できる。なお、保守作業を実施した作業員に関する情報は、例えば、
図5の第9項目99の「作業内容」で、その履歴の詳細を別途入力できるように構成されていればよく、必要に応じて詳細を確認できれば十分である。
【0060】
なお、本実施形態では、現場端末20とサポート端末30とのリモート接続の開始から終了までの接続履歴をリモートサポート接続履歴と称する。例えば、
図5の最初の行の保守作業情報は、リモートサポート接続IDがS0001で、2019/10/15の9:30に開始、2019/10/15の10:00に終了となっているが、これがリモート接続の開始から終了までのリモートサポート接続履歴である。つまり、リモートサポート接続する場合には、保守作業情報は,リモートサポート接続履歴に従って履歴が残る。
【0061】
図8は、現場端末用情報を表示する入出力装置22の模式図である。入出力装置22は、現場端末情報を表示する場合、現場端末情報とともに、作業者によって選択されるコマンドCを表示画面22Aに表示する。コマンドCは、編集コマンドC1、更新コマンドC2、および、キャンセルコマンドC3を含む。編集コマンドC1が選択された場合、現場端末用情報の編集が可能となる。更新コマンドC2が選択された場合、編集された内容に基づいて現場端末用情報が更新される。キャンセルコマンドC3が選択された場合、現場端末用情報について、編集した内容をキャンセルできる。なお、編集コマンドC1が選択されない場合、表示画面22Aは、現場端末用情報を読み込み専用で表示する。この場合、更新コマンドC2は、無効となる。出力装置33は、サポート端末用情報を表示する場合、入出力装置22の場合と同様のコマンドCを表示画面に表示する。
【0062】
<10.簡易サポート保守作業>
図9を参照して、簡易サポート保守作業の実施手順の一例について説明する。簡易サポート保守作業は、ユーザから保守作業の依頼があり、ユーザと保守担当者との協議によって、簡易サポート保守作業の実施が決定されたことに基づいて開始される。
【0063】
S11では、支援者は、電話、電子メール、または、チャットを用いて保守作業をサポートする。次に、S12では、支援者はユーザの保守作業が終了したか否かを判定する。S12が否定判定の場合、S11の処理を繰り返し実行する。
【0064】
S12が肯定判定の場合、S13の処理が実施される。すなわち、S13では、支援者は、保守作業情報を作成する。これに続いて、S14では、サポート端末30は、支援者が作成した保守作業情報をサーバ40に送信する。サーバ40の登録更新部81は、サポート端末30から送信された保守作業情報をデータベース42に登録する。
【0065】
<11.オンサイト保守作業>
図10を参照して、オンサイト保守作業の実施手順の一例について説明する。オンサイト保守作業は、ユーザから保守作業の依頼があり、ユーザと保守担当者との協議によって、オンサイト保守作業の実施が決定されたことに基づいて開始される。
【0066】
S21では、第2種作業者は、保守対象装置100が設置されている現場に出向し、保守作業を実施する。次に、S22では、第2種作業者は、保守作業が終了したか否かを判定する。S22が否定判定の場合、S21の処理を繰り返し実行する。
【0067】
S22が肯定判定の場合、S23の処理が実施される。すなわち、S23では、第2種作業者は、作業報告書を作成する。これに続いて、S24では、第2種作業者は、サポート端末30が設置されている事業所に戻り、スキャナ50によって作業報告書をスキャンする。S25では、情報変換部73は、作業報告書の画像情報を文字コードの列に変換し、保守作業情報を生成する。S26では、サポート端末30は、情報変換部73が生成した保守作業情報をサーバ40に送信する。サーバ40の登録更新部81は、保守作業情報をデータベース42に登録する。
【0068】
<12.リモートサポート保守作業>
図11を参照して、リモートサポート保守作業の実施手順の一例について説明する。リモートサポート保守作業は、ユーザから保守作業の依頼があり、ユーザと保守担当者との協議によってリモートサポート保守作業の実施が決定されたことに基づいて開始される。
【0069】
S31では、支援者である保守担当者は、ユーザとの協議の上、リモート保守作業を実施する作業者を調整する。換言すると、支援者は、リモート保守作業を実施する作業者がユーザ側の作業者(第1種作業者)であるのか、または、支援者とは別の保守担当者(第2種作業者)であるのかを調整する。S31において、リモートサポート保守作業を実施する作業者が第2種作業者に調整された場合、第2種作業者は、保守対象装置100が設置されている現場に出向する。
【0070】
S32では、支援者は、サポート端末30と現場端末20とを接続する。S33では、サポート端末30は支援者によって入力されたサポート情報を現場端末20に送信する。現場端末20とサポート端末30とのリモート接続が開始されると、例えば、
図5において、保守作業情報が1行追加され、リモートサポート接続ID、日付、および、開始時刻が自動で保守作業情報に入力される。
【0071】
S34では、支援者は、保守作業が終了したか否かを判定する。S34が否定判定の場合、S33の処理を繰り返し実行する。S34が肯定判定の場合、S35の処理が実行される。S35では、現場端末20は保守作業情報をサーバ40に送信する。また、サポート端末30は、保守作業情報をサーバ40に送信する。サーバ40の登録更新部81は、現場端末20およびサポート端末30から送信された保守作業情報をデータベース42に登録する。現場端末20とサポート端末30とのリモート接続が終了すると、終了時刻が自動的に保守作業情報に入力される。なお、リモートサポート保守作業の途中で通信が途切れた場合には、再度接続することにより通信を再開できる。また、同様に、リモートサポート保守作業の途中で通信が不調になった場合には、一度接続を中断し、再度接続することにより通信を再開できる。通信が途切れた時刻、通信を中断した時刻、および、通信を再開した時刻は、各々、終了時刻、終了時刻、開始時刻として自動的に保守作業情報に入力される。つまり、これらの場合にも、保守作業情報は、リモートサポート接続履歴に従って履歴を残すことができる。それ以外の保守作業情報の項目は、直接入力するか、または、定型メニューから選択することによって入力する等、任意の方法で入力することができる。
【0072】
<13.本実施形態の効果>
以上のように構成された管理システムでは、次の効果を得ることができる。
<13-1>
作業者は、リモートサポート保守作業の際にサポート端末30から送られるサポート情報を現場端末20で確認できるため、保守対象装置100の保守作業を効率的に実施できる。また、作業者として第1種作業者が選択された場合、サポート端末30と現場端末20とを接続することによって、即座にリモートサポート保守作業を開始できる。さらに、作業者として第2種作業者が選択された場合、例えば、第2種作業者の保守作業の技量が比較的低い場合であっても、支援者のサポートを受けながら保守作業を実施できる。このため、例えば、保守作業の技量が比較的高い1人の支援者が複数の保守作業の技量が比較的低い第2種作業者が実施する保守作業をサポートすることができる。このため、複数の保守対象装置100が存在する場合でも保守作業を効率的に実施できる。
【0073】
<13-2>
現場端末20から入力される保守作業情報とサポート端末30から入力される保守作業情報とをデータベース42で一元管理できる。このため、保守対象装置100の保守作業を効率的に実施できる。
【0074】
<13-3>
現場端末20は、画像を撮影する撮影装置24を備え、現場端末20によって入力される保守作業情報は、撮影装置24によって撮影された画像情報を含む。このため、実施された保守作業の内容を容易に確認できる。
【0075】
<13-4>
保守作業情報は、保守対象装置100の動作エラーの原因に関する情報を含み、現場端末20およびサポート端末30は、動作エラーの原因に関する情報を更新する登録更新部62、72を含む。このため、データベース42に登録されている動作エラーの原因が誤っていることが判明した場合に保守作業情報を容易に更新できる。
【0076】
<13-5>
保守作業情報は、電話対応に基づいて実施された保守作業に関する履歴、電子メール対応に基づいて実施された保守作業に関する履歴、チャット対応に基づいて実施された保守作業に関する履歴、作業報告書に基づく保守作業に関する履歴、および、保守対象装置100の部品発送に関する履歴の少なくとも1つをさらに含む。多様な情報が含まれる保守作業情報がデータベース42で一元管理されるため、保守対象装置100の保守作業を一層効率的に実施できる。
【0077】
<13-6>
保守作業情報が現場端末用情報とサポート端末用情報とに分かれているため、現場端末20およびサポート端末30から入力された保守作業情報を、個別に管理できる。このため、利便性が高められる。
【0078】
<13-7>
現場端末20は、スマートグラスを含む。作業者は、保守作業を実施する際に両手を使用できるため、保守作業を効率的に実施できる。
【0079】
<13-8>
サポート端末30と保守対象装置100とは、オフラインであるため、保守対象装置100の機密情報が適切に保護される。
【0080】
<13-9>
現場端末20は、データベース42に登録されている保守作業情報を表示する入出力装置22を備える。サポート端末30は、データベース42に登録されている保守作業情報を表示する出力装置33を備える。このため、データベース42に登録されている保守作業情報を容易に確認できる。
【0081】
<13-10>
保守作業情報として、リモートサポート接続履歴が自動的に入力されるため、少なくともリモートサポート保守作業に関する履歴は残る。このため、後日、仮に他の支援者がリモートサポート保守作業を実施したとしても、前回どのようなリモートサポート保守作業を実施したのかを容易に把握できる。また、リモートサポート保守作業に要した工数を容易に計算できるため、顧客へのリモートサポート保守作業に関する請求の見積もりを容易に作成できる。
【0082】
<14.変形例>
上記実施形態は本発明に関する保守対象装置の履歴管理システム、および、保守対象装置の履歴管理方法が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関する保守対象装置の履歴管理システム、および、保守対象装置は実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例の一例を示す。
【0083】
<14―1>
上記実施形態では、保守作業情報を現場端末用情報と、サポート端末用情報とに分けているが、現場端末20とサポート端末30とで共通の保守作業情報の登録および更新を実施するようにしてもよい。この変形例では、現場端末20による保守作業情報の登録および更新のタイミングと、サポート端末30による保守作業情報の登録および更新のタイミングとが重なることが考えられる。この場合、現場端末20およびサポート端末30のうちの後からサーバ40にアクセスした端末による保守作業情報の登録および更新は、先にサーバ40にアクセスした端末による保守作業情報の登録および更新が終了するまで、一時的に拒否されるように構成されることが好ましい。
【0084】
<14―2>
上記実施形態では、撮影装置24は、撮影可能な領域に制限を設けていないが、保守対象装置100のうちの保守作業に関連のある領域だけを撮影するようにマスク領域を設定可能に構成してもよい。または、現場端末20からサポート端末30に撮影装置24が撮影した画像を送信する場合、撮影装置24が撮影した画像のうち保守対象装置100のうちの保守作業に関連のある領域以外を表示しないマスク処理を制御部21Bが実行するように構成してもよい。
【0085】
<14―3>
上記実施形態では、リモートサポート保守作業において、サポート端末30は、現場端末20から送信される画像情報に基づいて、保守対象装置100のエラーに関する情報を取得したが、サポート端末30による保守対象装置100のエラーに関する情報の取得形態は、任意に変更可能である。例えば、サポート端末30は、保守対象装置100に接続されるUSBメモリ等の補助記憶装置によって収集されたエラーログに基づいて、保守対象装置100のエラーに関する情報を取得してもよい。保守対象装置100に接続される補助記憶装置によって収集されるエラーログは、例えば、電子メールに添付されて現場端末20からサポート端末30に送信される。別の例では、サポート端末30は、作業者が保守対象装置100のモニターに表示されるエラーメッセージの内容を読み上げた音声を含む音声情報に基づいて、保守対象装置100のエラーに関する情報を取得してもよい。この別の例では、作業者がエラーメッセージの内容を読み上げた音声を現場端末20に認識させてもよい。
【0086】
<14―4>
上記実施形態では、現場端末20は、距離画像センサ21D、加速度センサ21E、および、ジャイロセンサ21Fを備えているが、現場端末20の構成は任意に変更可能である。一例では、現場端末20は、距離画像センサ21D、加速度センサ21E、および、ジャイロセンサ21Fの少なくとも1つを省略できる。現場端末20は、音声情報および画像情報の少なくとも一方に基づいてサポート端末30と通信可能であり、かつ、データベース42に記憶される保守作業情報を確認できるように構成されればよい。
【0087】
<14―5>
上記実施形態では、距離画像センサ21D、加速度センサ21E、および、ジャイロセンサ21Fの検出結果に基づいて、位置算出部61が保守対象装置100に対する本体21の位置を算出していたが、保守対象装置100に対する本体21の位置を算出するための構成は任意に変更可能である。一例では、撮影装置24としてステレオカメラが採用される場合、位置算出部61は、ステレオカメラが撮影した画像情報に基づいて、保守対象装置100に対する本体21の位置を算出することができる。
【0088】
<14―6>
上記実施形態では、サポート端末30と保守対象装置100とはオフラインであるが、サポート端末30と保守対象装置100とを例えば、ネットワーク200を介して通信できるように接続してもよい。この変形例では、サポート端末30は、保守対象装置100からエラーログを直接取得できる。
【0089】
<14―7>
上記実施形態では、第2種作業者は、紙媒体を用いて作業報告書を作成したが、作業報告書は電子データとして作成してもよい。この変形例では、第2種作業者は、現場端末20、または、現場端末20とは異なるタブレット端末を用いて保守作業情報を含む作業報報告書を作成し、サポート端末30に送信する。
【0090】
<14―8>
上記実施形態では、情報変換部73は、作業報告書の画像情報を文字コードの列に変換したが、情報変換部73の構成は任意に変更可能である。変形例の管理システム10が備える情報変換部73は、現場端末20が取得する音声情報および画像情報、ならびに、サポート端末30が取得する音声情報の少なくとも1つを文字コードの列に変換する。情報変換部73は、サポート端末30だけではなく、現場端末20の制御部21Bに設けられてもよい。
【0091】
<14―9>
現場端末20とサポート端末30とのリモート接続が一旦開始された場合、保守作業が終了するまでは、リモート接続の接続関係を変更できないように構成してもよい。この変形例におけるリモート接続の接続関係とは、特定のサポート端末30と現場端末20との組み合わせ、すなわち、特定の支援者と作業者との組み合わせを示すものである。この変形例では、リモート接続が開始された後に作業者および支援者の追加、別の支援者への委譲、ならびに、支援途中での別の作業への切り替え等はできなくなり、一旦リモート接続を開始した場合、保守作業が終了するまでリモート接続の接続関係を変更できなくなる。この変形例によれば、一旦接続関係が決定した後は制限を設けて変更不可とすることで、リモート接続している間のセキュリティが確保されるため、支援者は、機密事項についても指示ができる。このため、保守作業を効率的に実施できる。また、例えば、リモート接続を開始した後に途中で接続関係が変更可能である場合、慌てて接続先を誤って設定してしまう恐れも考えられる。この変形例では、このような事態を回避できる。
【符号の説明】
【0092】
20…現場端末、22…入出力装置(出力装置)、24…撮影装置、30…サポート端末、33…出力装置、42…データベース、62…登録更新部、72…登録更新部、100…保守対象装置。