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<図1>
  • 特許-包装体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20230315BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20230315BHJP
   B32B 27/10 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
B65D83/08 A
B65D65/40 D
B32B27/10
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021071807
(22)【出願日】2021-04-21
(65)【公開番号】P2022166541
(43)【公開日】2022-11-02
【審査請求日】2022-07-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000219680
【氏名又は名称】株式会社トライフ
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】羽明 駿
(72)【発明者】
【氏名】大坂 篤史
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀樹
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-054512(JP,A)
【文献】特開平04-062050(JP,A)
【文献】特開昭57-105350(JP,A)
【文献】特開2020-082586(JP,A)
【文献】特開2020-093818(JP,A)
【文献】特開2019-209976(JP,A)
【文献】特開2018-177364(JP,A)
【文献】特開2009-083174(JP,A)
【文献】特開2021-054510(JP,A)
【文献】特開2015-150806(JP,A)
【文献】特開2018-090320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
B65D 65/40
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生紙、並びに、
前記衛生紙を収容する包装袋
を備えた包装体であって、
前記衛生紙が平面状であり、折り畳まれて前記包装袋に収容されており、
前記包装袋が紙基材及び熱可塑性樹脂層を備えるラミネート紙からなり、
前記ラミネート紙が開封部を備えており、
前記熱可塑性樹脂層が、前記包装袋の内表面を形成し、且つ、滑剤を含む、包装体。
【請求項2】
前記開封部がミシン目を有する、請求項1記載の包装体。
【請求項3】
前記紙基材が10g/m~90g/mの坪量を有する、請求項1又は2記載の包装体。
【請求項4】
前記紙基材がクレープ紙である、請求項1乃至3のいずれかに記載の包装体。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂層の厚みが10μm~30μmである、請求項1乃至4のいずれかに記載の包装体。
【請求項6】
前記ラミネート紙が複数の熱可塑性樹脂層を備え、
前記包装袋の内表面を形成する熱可塑性樹脂層が前記滑剤を含む、請求項1乃至5のいずれかに記載の包装体。
【請求項7】
前記ラミネート紙の厚みが30μm~200μmである、請求項1乃至6のいずれかに記載の包装体。
【請求項8】
前記熱可塑性樹脂層がポリオレフィンを含む、請求項1乃至7のいずれかに記載の包装体。
【請求項9】
前記ポリオレフィンがエチレンのホモポリマー又はコポリマーである、請求項8記載の包装体。
【請求項10】
前記エチレンのコポリマーがエチレンとプロピレン及び/又はαオレフィンとのコポリマーである、請求項9記載の包装体。
【請求項11】
前記熱可塑性樹脂層がJIS K7121により測定される融解温度が80℃以上である熱可塑性樹脂を含む、請求項1乃至10のいずれかに記載の包装体。
【請求項12】
前記滑剤が脂肪酸アミドである、請求項1乃至11のいずれかに記載の包装体。
【請求項13】
前記熱可塑性樹脂層が押出コーティング層である、請求項1乃至12のいずれかに記載の包装体。
【請求項14】
前記紙基材が前記包装袋の外表面側に存在する、請求項1乃至13のいずれかに記載の包装体。
【請求項15】
前記包装袋の外表面の少なくとも一部に滑り止めが存在する、請求項14記載の包装体。
【請求項16】
前記滑り止めがワニス硬化層である、請求項15記載の包装体。
【請求項17】
前記包装袋がヒートシールされている、請求項1乃至16のいずれかに記載の包装体。
【請求項18】
前記包装袋が少なくとも1つの空気孔を備える、請求項1乃至17のいずれかに記載の包装体。
【請求項19】
前記衛生紙がポップアップ式に前記包装袋に収容されている、請求項1乃至18のいずれかに記載の包装体。
【請求項20】
前記衛生紙がペーパータオルである、請求項1乃至19のいずれかに記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペーパータオル等の衛生紙の包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
衛生目的で使用される衛生紙としては、例えば、ティッシュペーパー、ペーパータオル等の使い捨て紙が広く使用されている。
【0003】
そして、ペーパータオルのうち、主にキッチンにおいて、肉、魚、野菜等の水切り、油切り;まな板の上敷;食器の拭き取り;フライパンの油拭き;ガスレンジ、換気扇等の手入れ;食卓の汚れ拭き、等の用途に使用されるものは、キッチンペーパー(クッキングペーパーも含む)とも称され、家庭用紙の一種として周知である。
【0004】
このような衛生紙は、通常、プラスチックフィルム製の包装袋によって包装されて市販されているが、紙を使用して包装袋とすることが提案されている(特許文献1[0017])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-104449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、衛生紙は比較的毛羽立ちやすいために、衛生紙に紙製の包装袋が接触すると当該包装袋に衛生紙が引っかかり易く、包装作業が困難となりやすい。
【0007】
そこで、紙基材と熱可塑性樹脂層とを備えるラミネート紙からなる包装袋を用い、且つ、当該熱可塑性樹脂層が包装袋の内表面を形成するように衛生紙を包装することによって、包装作業中の、包装袋への衛生紙の引っかかりを抑制することが考えられる。
【0008】
しかし、その場合、包装袋の開封の際に、手の指等からの外力により、ラミネート紙の熱可塑性樹脂層が衛生紙に強く押し付けられると、熱可塑性樹脂層と衛生紙との間の摩擦のために、衛生紙上でラミネート紙が動きにくくなり、開封作業が困難となることがある。
【0009】
本発明は、紙製の包装袋を使用するにもかかわらず、包装袋への衛生紙の引っかかりが抑制され、且つ、開封作業が容易である、衛生紙の包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
鋭意検討の結果、本発明者らは、
(1)紙基材と熱可塑性樹脂層とを備えるラミネート紙からなる包装袋を用い、且つ、当該熱可塑性樹脂層が包装袋の内表面を形成するように衛生紙を包装することによって、包装作業中の、包装袋への衛生紙の引っかかりを抑制すること、並びに、
(2)前記熱可塑性樹脂層に滑剤を配合することによって、衛生紙上でラミネート紙を動きやすくして、開封作業を容易とすること
により、本発明を完成した。
【0011】
本発明は、
衛生紙、並びに、
前記衛生紙を包装する包装袋
を備えた包装体であって、
前記包装袋が紙基材及び熱可塑性樹脂層を備えるラミネート紙からなり、
前記ラミネート紙が開封部を備えており、
前記熱可塑性樹脂層が、前記包装袋の内表面を形成し、且つ、滑剤を含む、包装体に関する。
【0012】
前記開封部がミシン目を有することが好ましい。
【0013】
前記紙基材が10g/m~90g/mの坪量を有することが好ましい。
【0014】
前記紙基材がクレープ紙であることが好ましい。
【0015】
前記熱可塑性樹脂層の厚みは10μm~30μmが好ましい。
【0016】
前記ラミネート紙が複数の熱可塑性樹脂層を備え、前記包装袋の内表面を形成する熱可塑性樹脂層が前記滑剤を含むことが好ましい。
【0017】
前記ラミネート紙の厚みは30μm~200μmが好ましい。
【0018】
前記熱可塑性樹脂層はポリオレフィンを含むことが好ましい。
【0019】
前記ポリオレフィンがエチレンのホモポリマー又はコポリマーであることが好ましい。
【0020】
前記エチレンのコポリマーはエチレンとプロピレン及び/又はαオレフィンとのコポリマーであることが好ましい。
【0021】
前記熱可塑性樹脂層がJIS K7121により測定される融解温度が80℃以上である熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
【0022】
前記滑剤が脂肪酸アミドであることが好ましい。
【0023】
前記熱可塑性樹脂層が押出コーティング層であることが好ましい。
【0024】
前記紙基材が前記包装袋の外表面側に存在することが好ましい。
【0025】
前記包装袋の外表面の少なくとも一部に滑り止めが存在することが好ましい。
【0026】
前記滑り止めはワニス硬化層であることが好ましい。
【0027】
前記包装袋がヒートシールされていることが好ましい。
【0028】
前記包装袋が少なくとも1つの空気孔を備えることが好ましい。
【0029】
前記衛生紙がポップアップ式に前記包装袋に収容されていることが好ましい。
【0030】
前記衛生紙がペーパータオルであることが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明の包装体は、紙製の包装袋を使用するにもかかわらず、当該包装袋が熱可塑性樹脂層を備えており、当該熱可塑性樹脂層の平滑な表面が衛生紙と接触するために包装袋への衛生紙の引っかかりを抑制することができる。したがって、本発明の包装体は、被包装物の包装が容易である。
【0032】
また、本発明の包装体は、包装袋の内表面を形成する熱可塑性樹脂層が滑剤を含むために、包装袋の開封の際に、手の指等からの外力により、ラミネート紙の熱可塑性樹脂層が衛生紙に強く押し付けられても、熱可塑性樹脂層と衛生紙との間の摩擦を抑制可能であり、衛生紙上でラミネート紙が動きやすい。したがって、本発明の包装体は開封作業が容易である。
【0033】
ラミネート紙が複数の熱可塑性樹脂層を備え、包装袋の内表面を形成する熱可塑性樹脂層が滑剤を含む場合は、ラミネート紙と衛生紙との間の摩擦を抑制しつつ、包装袋の内表面を形成せず、且つ、紙基材と接触する熱可塑性樹脂層に滑剤を配合しないことにより、紙基材と熱可塑性樹脂層全体との間の接着性に対する滑剤の影響を回避することができる。
【0034】
紙基材としてクレープ紙を使用する場合は、包装袋の伸縮性が高まるので、外力に対する変形追従性の向上により、包装袋の破れを抑制することができる。
【0035】
熱可塑性樹脂層がJIS K7121により測定される融解温度が80℃以上である熱可塑性樹脂を含む場合は、包装袋の強度の向上により、包装袋の破れを抑制することができる。
【0036】
包装袋の外表面の少なくとも一部に滑り止めが存在する場合は、例えば、包装袋を手の指等で把持して開封部を開封する際に、包装袋の把持箇所を滑りにくくすることが可能となり、開封作業を更に容易にすることができる。
【0037】
そして、本発明では、熱可塑性樹脂層を用いてヒートシールが可能となるために包装体の製造が容易である。
【0038】
また、本発明の包装体は、紙を基材とする包装袋を使用するので、プラスチックフィルム製の包装袋を使用する場合に比べて、廃棄時のプラスチックの環境中への残存による環境汚染等の環境問題により対応することができる。
【0039】
更に、包装袋の基材としての紙は、もともと、植物に由来する有機物であり、カーボンニュートラルな再生可能な資源であるので、環境への負荷を低減することができる。したがって、本発明の包装体は環境に優しいものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の包装体の一実施態様を示す図。
図2】ラミネート紙の一態様の拡大断面図。
図3】ラミネート紙の別の態様の拡大断面図。
図4】防滑層の設置箇所例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は
衛生紙、並びに、
前記衛生紙を収容する包装袋
を備えた包装体であって、
前記包装袋が紙基材及び熱可塑性樹脂層を備えるラミネート紙からなり、
前記ラミネート紙が開封部を備えており、
前記熱可塑性樹脂層が、前記包装袋の内表面を形成し、且つ、滑剤を含む、包装体に関する。
【0042】
[衛生紙]
本発明の包装体は衛生紙を含む。衛生紙とは衛生状態の向上を目的として使用される紙であり、例えば、ティッシュペーパー(顔ふき紙、化粧紙等と呼ばれるもの)、ちり紙、ペーパータオル(キッチンペーパー等)、トイレットペーパー、ワッティング(紙綿)等の使い捨て紙(例えば、紙パルプ技術便覧第5版、第459頁参照、1992年1月30日発行、紙パルプ技術協会編集・発行)等を挙げることができる。衛生紙は衛生用紙とも呼称される(JIS P0001:1998)。
【0043】
本発明における衛生紙としては、キッチンペーパー等のペーパータオルが好ましい。キッチンペーパー(クッキングペーパーも含む)は、主にキッチンにおいて、肉、魚、野菜等の水切り、油切り;まな板の上敷;食器の拭き取り;フライパンの油拭き;ガスレンジ、換気扇等の手入れ;食卓の汚れ拭き、等の用途に使用される。
【0044】
衛生紙は、多孔性であり、液体の吸収能を有する。液体としては、水、油等が挙げられる。したがって、本発明で使用される衛生紙は吸水性、吸油性を備えており、例えば、キッチンでの使用に適している。
【0045】
衛生紙を構成する繊維材料は特には限定されるものではなく、綿、木材パルプ、羊毛等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、ビニロン、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル等の合成高分子から製造した合成繊維を挙げることができる。これら繊維は単独で用いてもよく、混合複合化してもよい。衛生紙を構成する繊維材料としては、木材パルプが好ましく、バージン木材パルプ若しくは古紙パルプ又はこれらの混合物を使用することができる。木材パルプとしては、例えば、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)、NUKP(針葉樹未晒しパルプ)等の針葉樹パルプと、LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)、LUKP(広葉樹未晒しパルプ)等の広葉樹パルプと、をそれぞれ単独で、或いは、適宜の比率で混合したものを使用することが可能であり、例えば、針葉樹パルプ:広葉樹パルプの比を1(25%):3(75%)~1(50%):1(50%)とすることができる。
【0046】
衛生紙の坪量は特には限定されるものではないが、坪量(測定方法:JIS P 8124 [2011])10g/m2~100g/m2が好ましく、30g/m2~50g/m2がより好ましい。また、衛生紙の紙厚も特には限定されるものではないが、紙厚(測定方法:JIS P 8118 [2014])50μm~300μmが好ましく、80μm~200μmがより好ましい。
【0047】
本発明で使用される衛生紙はその一方の表面又は両面に凹凸を有することが好ましい。凹凸は衛生紙の表面の一部に存在してもよく、或いは、表面の全面に存在してもよい。
【0048】
凹凸はエンボス加工により付与されることが好ましい。凹凸の高さ(凹部の最底面から凸部の頂点のレベルまでの垂直高さ)は特には限定されるものではないが、例えば、0.1mm~5mmでもよく、1mm~3mmでもよい。
【0049】
衛生紙の形態は特には限定されるものではなく、長尺の衛生紙を巻き取ったロールの形態であってもよいが、衛生紙は非ロール形態であることが好ましく、平面状の衛生紙を折り畳んで包装袋内に収容されることがより好ましい。衛生紙は、1枚(所謂、1プライ)を2つ折りにして利用する形態でも、また、2枚(所謂、2プライ)又は3枚(所謂、3プライ)以上の積層構造の一組を2つ折りにして1枚と同様に利用する形態のいずれでもよい。
【0050】
衛生紙がポップアップ式に包装袋に収容されることが好ましい。ポップアップ式であると、衛生紙を包装袋から取り出した後に次の衛生紙の一部が包装袋の外に出てきているので、次の衛生紙の取り出しが容易である。
【0051】
衛生紙は、おむつ、成人用失禁パンツ、幼児用トレーニングパンツ等の衣類ではない方が好ましい。
【0052】
[包装袋]
本発明の包装体は衛生紙を包装する包装袋を備える。包装袋は外表面及び内表面を有する。
【0053】
本発明の包装袋は開封可能であり、開封により、包装袋内の衛生紙を開封箇所から取り出すことができる。包装袋は二重以上でもよいが、開封性の点で、一重であることが好ましい。
【0054】
包装袋の形状は特には限定されるものではなく、例えば、非箱形又は箱形とすることが可能である。また、梱包運搬性等の取扱性を高めるために包装袋は変形性を有する方が好ましい。
【0055】
本発明の包装袋は少なくとも1つの空気孔を備えることが好ましい。空気孔は包装袋内の空気を外部に排出する機能を有しており、包装袋内の空気を外部に排出することによって包装袋の体積を低減し、例えば、包装袋の梱包を容易とすることができる。
【0056】
空気孔は、例えば、ラミネート紙又はラミネート紙により形成された包装袋を少なくとも1つの針等で貫通することにより形成可能である。
【0057】
空気孔の個数は特には限定されるものではないが、複数が好ましく、1包装袋当たり2~100個が好ましく、10~50個がより好ましい。
【0058】
空気孔の(断面)形状は限定されない。例えば、空気孔の形状は円形又は非円形であり、非円形の空気孔の形状の例としては短いスリットが挙げられる。
【0059】
空気孔の間隔は特には限定されない。例えば、空気孔の間隔は10mm~50mmの範囲とすることができ、15mm~40mmの範囲が好ましく、20mm~30mmの範囲がより好ましい。
【0060】
空気孔の設置密度も特には限定されない。例えば、空気孔の設置密度を、空気孔が存在する面について、1~10個/25cmの範囲とすることができ、2~8個/25cmの範囲が好ましく、3~6個/25cmの範囲がより好ましい。
【0061】
空気孔の分布は均一又は不均一とすることができるが、例えば、包装袋が箱状の場合は包装袋の側面に形成することが好ましい。
【0062】
複数の空気孔を直線上に並べて列として、1列又は2列以上の空気孔列を形成してもよい。空気孔列の間隔は限定されるものではないが、例えば、5mm~50mm、10mm~40mm、又は、15mm~30mmの間隔とすることができる。
【0063】
[ラミネート紙]
本発明の包装体における包装袋は紙基材及び熱可塑性樹脂層を備えるラミネート紙からなる。ラミネート紙を構成する紙基材の枚数は特に限定されるものではないが、ラミネート紙は1枚の紙基材からなることが好ましい。
【0064】
本発明で使用されるラミネート紙の厚み(測定方法:JIS P 8118 [2014])は30μm~200μmが好ましく、70μm~150μmがより好ましい。
【0065】
本発明で使用されるラミネート紙の坪量は30g/m~120g/mが好ましく、40g/m~100g/mがより好ましい。
【0066】
本発明で使用されるラミネート紙の密度は0.40g/cm~1.00g/cmが好ましく、0.50g/cm~0.70g/cmがより好ましい。
【0067】
本発明で使用されるラミネート紙は開封部を備える。開封部の数は特には限定されるものではなく、ラミネート紙は1又は複数の開封部を備えてもよい。
【0068】
開封部の形態も特には限定されるものではなく、ラミネート紙を開封可能であれば、任意の形態とすることが可能であるが、開封部がミシン目を有することが好ましい。
【0069】
開封部の位置も特には限定されるものではなく、本発明の包装体の任意の位置に配置することが可能である。例えば、本発明の包装体が略箱形である場合は、略箱形を構成する面の1つに開封部を設けることが可能であり、略箱形の包装体の上面に開封部を設けることが好ましい。
【0070】
(紙基材)
本発明の包装袋を構成するラミネート紙の基材となる紙は10g/m~90g/mの坪量(測定方法:JIS P 8124 [2011])を有することが好ましい。また、紙の坪量は15g/m~80g/mが好ましく、20g/m~70g/mがより好ましい。
【0071】
紙基材の紙厚(測定方法:JIS P 8118 [2014])は20μm~300μmが好ましく、50μm~200μmがより好ましい。
【0072】
上記の坪量及び/又は紙厚を備える紙を基材とする場合は、紙基材が薄紙であるために、本発明で使用されるラミネート紙は、特に優れた柔軟性を備えており、高い変形性を有することができる。したがって、薄紙を基材とするラミネート紙により形成される本発明の包装袋は、外力に対して優れた変形追従性を備えており、しかも、破れにくい。
【0073】
紙基材を構成する繊維材料は特には限定されるものではなく、綿、木材パルプ、羊毛等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、ビニロン、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル等の合成高分子から製造した合成繊維を挙げることができる。これら繊維は単独で用いてもよく、混合複合化してもよい。
【0074】
紙基材を構成する繊維材料としては、木材パルプが好ましく、バージン木材パルプ若しくは古紙パルプ又はこれらの混合物を使用することができる。木材パルプとしては、例えば、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)、NUKP(針葉樹未晒しパルプ)等の針葉樹パルプ、LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)、LUKP(広葉樹未晒しパルプ)等の広葉樹パルプ、並びに、針葉樹パルプ及び広葉樹パルプの混合物を使用することができる。
【0075】
紙基材はクレープ紙であることが好ましい。クレープ紙は、多数の皺を有しており、そのために、優れた伸縮性を備える。したがって、紙基材としてクレープ紙を使用することにより、本発明の包装袋は高い変形性を備えることができる。特に、紙基材としてクレープ紙を使用することにより、本発明の包装袋は伸縮性に優れるものとなり、外力に対する変形追従性が向上するので、包装袋の破れを抑制することができる。
【0076】
クレープ紙の坪量(測定方法:JIS P 8124 [2011])は、20g/m~90g/mが好ましく、25g/m~70g/mがより好ましく、30g/m~50g/mが更により好ましい。
【0077】
クレープ紙の紙厚(測定方法:JIS P 8118 [2014])は、50μm~300μmが好ましく、80μm~200μmがより好ましい。
【0078】
クレープ紙は、従来公知の方法で製造することができる。例えば、加熱された円筒状ヤンキードライヤーの表面に湿紙を押し付けて付着させ、一定の乾燥を経たのち、ドクターブレードを介して、紙体をヤンキードライヤーから引き剥がしてクレープ処理することにより製造することができる。
【0079】
紙基材としてクレープ紙を使用する場合は、包装袋と衛生紙との接触点が低減されるので、包装袋への衛生紙の引っかかりを更に抑制することができる。したがって、被包装物の包装を更に容易とすることができる。
【0080】
(熱可塑性樹脂層)
本発明で使用されるラミネート紙は紙基材上に熱可塑性樹脂層を備える。熱可塑製樹脂層の数は特には限定されるものではなく、熱可塑性樹脂層は複数存在してもよいが、熱可塑性樹脂層の数は1つ又は2つであることが好ましい。紙基材上の熱可塑性樹脂層の数を1つ又は2つに限定することにより、当該紙基材と熱可塑性樹脂層を合わせた厚みを抑制することができる。
【0081】
熱可塑性樹脂層は紙基材表面の全面に存在する必要はなく、紙基材表面の少なくとも一部(例えば端部)に存在すればよいが、紙基材表面の全面に存在することが好ましい。また、熱可塑性樹脂層は単一層であっても複数層であっても紙基材の一方の表面上に存在することが好ましい。
【0082】
熱可塑性樹脂層が複数存在する場合は、複数の熱可塑性樹脂層は隣接して存在することが好ましい。
【0083】
本発明で使用されるラミネート紙は熱可塑性樹脂層を備えるので、当該熱可塑性樹脂層を溶融させてヒートシールすることにより包装体を容易に製造することができる。
【0084】
そして、紙基材として断熱性が比較的小さい薄紙を使用する場合は、薄紙の裏面から熱を加えて薄紙の表面に存在する熱可塑性樹脂を溶融させてヒートシールする工程を容易に実施することができる。
【0085】
本発明では紙基材及び熱可塑性樹脂層を備えるラミネート紙によって包装袋を構成するので、紙基材のみで包装袋を構成する場合に比べて、包装袋の強度を向上可能である。
【0086】
また、本発明では、紙基材を使用するために、包装袋を所謂「マチ」を備えるガゼット袋の形態とすることが容易である。
【0087】
本発明の包装体では熱可塑性樹脂層が包装袋の内表面を形成する。熱可塑性樹脂層は包装袋の内表面の一部を形成してもよいが、当該内表面の全面を形成することが好ましい。
【0088】
本発明で使用する衛生紙は優れた吸水性、吸油性を備えるために高い多孔性を備えており、比較的毛羽立ちやすい。そのために、通常、衛生紙に紙製の包装袋が接触すると当該包装袋に衛生紙が引っかかり易く、包装作業が困難となりやすい。しかし、本発明の包装袋はその内面が熱可塑性樹脂層から形成されており、熱可塑性樹脂層の表面は紙と比べて平滑であるために、包装袋への衛生紙の引っかかりが抑制され、衛生紙の包装作業を容易に行うことができる。
【0089】
熱可塑性樹脂層の厚みは、特には限定されるものではないが、例えば、10μm~30μとすることができる。
【0090】
熱可塑性樹脂層の厚みは10μm以上が好ましく、11μm以上がより好ましく、12μm以上が更により好ましい。一方、熱可塑性樹脂層の厚みは25μm以下が好ましく、20μ以下がより好ましく、15μm以下が更により好ましい。すなわち、熱可塑性樹脂層の厚みは10μm~25μmが好ましく、11~20μmがより好ましく、12~15μmが更により好ましい。
【0091】
熱可塑性樹脂層が複数存在する場合は、熱可塑性樹脂層の厚みの合計は20μm以上が好ましく、22μm以上がより好ましく、24μm以上が更により好ましい。一方、熱可塑性樹脂層の厚みの合計は50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下が更により好ましい。すなわち、熱可塑性樹脂層の厚みの合計は20μm~50μmが好ましく、22~40μmがより好ましく、24~30μmが更により好ましい。
【0092】
特に、熱可塑性樹脂層が2層存在する場合は、熱可塑性樹脂層の厚みの合計は20μm以上が好ましく、21μm以上がより好ましく、22μm以上が更により好ましい。一方、熱可塑性樹脂層の厚みの合計は27μm以下が好ましく、26μm以下がより好ましく、25μm以下が更により好ましい。すなわち、熱可塑性樹脂層の厚みの合計は20μm~27μmが好ましく、21~26μmがより好ましく、22~25μmが更により好ましい。
【0093】
熱可塑性樹脂層は、任意の添加剤を含むことができる。添加剤としては、例えば、各種の有機フィラー又は無機フィラー、粘着付与剤、酸化防止剤、防曇剤、各種の有機顔料又は無機顔料、難燃剤、架橋剤、紫外線防止剤等を挙げることができる。
【0094】
(熱可塑性樹脂)
本発明の包装袋を構成するラミネート紙のラミネート層である熱可塑性樹脂層は少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含む。単一種類の熱可塑性樹脂を使用してもよく、複数種類の樹脂を併用してもよい。
【0095】
熱可塑性樹脂の種類は特には限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリレート等を使用することができる。熱可塑性樹脂層がポリオレフィンを含むことが好ましい。
【0096】
ポリオレフィンは、炭素数2~10のオレフィンの少なくとも1種からなる。2種以上のオレフィンを併用してもよい。オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、αオレフィン等が挙げられる。
【0097】
ポリオレフィンとしては、例えば、エチレンのホモポリマー又はコポリマー、プロピレンのホモポリマー又はコポリマー、ブテンのホモポリマー又はコポリマー等が挙げられる。エチレン及びプロピレンのランダム共重合体又はブロック共重合体であってもよい。
【0098】
ポリオレフィンはエチレンのホモポリマー又はコポリマーであることが好ましい。前記エチレンのコポリマーとしてはエチレンとプロピレン及び/又はαオレフィンとのコポリマーが好ましく、エチレンとαオレフィンとのコポリマーがより好ましい。αオレフィンとしては炭素数3~20、好ましくは3~8のものが包含され、具体的には、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、ビニルシクロヘキサン等が例示されるが、1-ヘキセンが好ましい。ポリオレフィンとしてはエチレンと1-ヘキセンの共重合体又はエチレンとプロピレンと1-ヘキセンの共重合体が特に好ましい。
【0099】
ポリオレフィンとしては、メタロセン系触媒を用いて合成されたものが好ましく、気相法で合成されたものがより好ましい。メタロセン系触媒を用いて合成されたものとしては、例えば、日本ポリエチレン社製のカーネルKF260T、KF270、KF271、KF282、KF283、KF360T、KF370、KF380、KC452T、KC570S、KC580S、KC573、KC577T、KS240T、KS340T、KS260、KS560T、KS571、KJ640T等が挙げられる。メタロセン系触媒を用いて気相法で合成されたものとしては、例えば、日本ポリエチレン社製のハーモレックスNF324A、NF375B、NF366A、NF384A、NF444A、NF464A、NC564A、NF325N、NF464N、NF444N、NH645A、NH745N、NH845N、NJ744N、プライムポリマー社のエボリューSP0510、SP1020、SP1520、SP1510、SP2020、SP2320等が挙げられる。
【0100】
本発明の包装袋を構成するラミネート紙の熱可塑性樹脂層はJIS K7121により測定される融解温度(DSC法による)が80℃以上である熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。前記熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂がJIS K7121により測定される融解温度(DSC法による)が80℃以上である熱可塑性樹脂のみからなることがより好ましい。JIS K7121により測定される融解温度が80℃以上である熱可塑性樹脂が前記ポリオレフィンであることが更により好ましい。前記熱可塑性樹脂のJIS K7121により測定される融解温度は85℃以上がより好ましく、90℃以上が更により好ましく、95℃以上が更により好ましく、100℃以上が更により好ましい。
【0101】
前記ラミネート紙が上記の特定の融解温度を有する熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂層を備える場合は、当該ラミネート紙により製造された包装袋は優れた強度を備えており、包装袋の破れを抑制することができる。したがって、被包装物の包装を良好に維持することができる。
【0102】
本発明の包装袋を構成するラミネート紙の熱可塑性樹脂層がJIS K7121により測定される融解温度(DSC法による)が110℃以上である熱可塑性樹脂を含むことがより好ましい。前記熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂がJIS K7121により測定される融解温度(DSC法による)が110℃以上である熱可塑性樹脂のみからなることが更により好ましい。JIS K7121により測定される融解温度が110℃以上である熱可塑性樹脂がポリオレフィンであることが更により好ましい。そのようなポリオレフィンとしては、例えば、日本ポリエチレン社製のハーモレックスNF324A、NF375B、NF366A、NF384A、NF444A、NF464A、NC564A、NF325N、NF464N、NF444N、NH645A、NH745N、NH845N、NJ744N、プライムポリマー社のエボリューSP0510、SP1020、SP1520、SP1510、SP2020、SP2320等が挙げられる。前記熱可塑性樹脂のJIS K7121により測定される融解温度は115℃以上がより好ましく、120℃以上が更により好ましい。この場合、前記熱可塑性樹脂の融解温度が比較的高いことにより、包装袋の引裂強度を特に向上させることができる。
【0103】
(滑剤)
本発明の包装袋の内表面を形成する熱可塑性樹脂層は滑剤を含む。単一種類の滑剤を使用してもよく、複数種類の滑剤を併用してもよい。
【0104】
滑剤としては、無機系、有機系又は無機/有機複合系の任意の種類の滑剤を使用することができる。熱可塑性樹脂との相溶性の点では有機系の滑剤が好ましい。有機系の滑剤としては、例えば、脂肪酸アミド、脂肪酸、脂肪酸エステル、ワックス等が挙げられるが、脂肪酸アミドが好ましい。
【0105】
脂肪酸アミドは、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド、ベヘン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ミリスチン酸アミド、ラウリン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド、並びに、これらの組合せが挙げられる。エルカ酸アミドが好ましい。
【0106】
滑剤の量は特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂組成物の全重量を基準として、例えば、1~10重量%の範囲とすることができ、2~8重量%が好ましく、3~6重量%が更により好ましい。
【0107】
本発明では、熱可塑性樹脂層が複数存在し、包装袋の内表面を形成する熱可塑性樹脂層が滑剤を含んでもよい。複数の熱可塑性樹脂層は隣接して存在することが好ましい。この場合は、包装袋の内表面を形成せず、且つ、紙基材と接触する熱可塑性樹脂層に滑剤を配合しないことにより、紙基材と熱可塑性樹脂層全体との間の接着性に対する滑剤の影響を回避することができ、例えば、滑剤による紙基剤と熱可塑性樹脂層全体との接着性の低下を回避することができる。
【0108】
(その他)
本発明で使用されるラミネート紙は紙基材及び熱可塑性樹脂以外の層を備えることが可能であり、例えば、紙基材と熱可塑性樹脂層の間に接着層等の任意の中間層を備えることができる。また、紙基材の熱可塑性樹脂が存在する表面の反対側の表面に保護層、印刷層等の任意の層を備えることができる。しかし、ラミネート紙の厚みを抑制し、ラミネート紙の変形性を高めるために、ラミネート紙を紙基材及び熱可塑性樹脂層のみから構成してもよい。
【0109】
本発明の包装体では紙基材が包装袋の外表面側に存在することが好ましい。これにより、本発明の包装袋が紙製であることを容易に認識することができる。
【0110】
本発明の包装袋では、包装袋の外表面の少なくとも一部に滑り止めが存在することが好ましい。滑り止めの種類は特には限定されるものではなく、例えば、滑り止めの機能を有する部材を包装袋の外表面に設置したり、包装袋の外表面に滑り止めの機能を有する凹凸を形成したりすることができる。
【0111】
包装袋の外表面の一部に滑り止めを設置する場合は、滑り止めの設置位置は、特には限定されるものではなく、包装袋の外表面の任意の位置とすることが可能であるが、開封部の周辺が好ましい。例えば、開封部がミシン目を有する場合は、ミシン目の両側に複数の滑り止めを設けることが好ましい。
【0112】
滑り止めとしては、表面が滑り止めの機能を有する防滑層が好ましい。防滑層の構成材料は特には限定されるものではなく、各種の無機材料及び/又は有機材料を使用することが可能であるが、有機材料が好ましく、天然樹脂及び/又は合成樹脂がより好ましい。合成樹脂としては前記熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂とは異なる合成樹脂が好ましい。
【0113】
防滑層の表面形状は、特には限定されるものではなく、円、楕円、角形等の任意の形状とすることができる。防滑層の色も特には限定されるものではなく、白色、黒色、各種の有彩色とすることができ、また、透明でもよい。
【0114】
防滑層は、塗膜であることが好ましく、ワニス硬化層であることがより好ましい。ワニスの種類は特には限定されるものではなく、単一種類のワニスを使用してもよく、複数種類のワニスを併用してもよい。ワニスとしては、例えば、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂の有機溶剤溶液を使用することができる。包装袋の外表面にワニスを部分的に塗布して乾燥硬化させることにより、ワニス硬化層を形成することができる。
【0115】
包装袋の外表面が紙基材の場合は、紙基材の少なくとも一部にワニスを含浸させて乾燥硬化により滑り止めとしてもよい。含浸の手法は特には限定されるものではなく、例えば、ワニスを紙基材の外表面に単に塗布してもよい。
【0116】
包装袋の外表面の少なくとも一部に滑り止めが存在する場合は、例えば、包装袋を手の指等で把持して開封部を開封する際に、包装袋の把持箇所を滑りにくくすることが可能となり、開封作業を更に容易にすることができる。
【0117】
(ラミネート紙の製造方法)
本発明で使用されるラミネート紙の製造方法は特には限定されるものではなく、例えば、熱可塑性樹脂の押出ラミネートによる紙基材と熱可塑性樹脂層との一体化、熱可塑性樹脂製のフィルムと紙基材との接着剤による一体化等の方法により製造することができる。押出ラミネートにより紙基材と熱可塑性樹脂層とを一体化する方法が好ましい。すなわち、前記熱可塑性樹脂が押出コーティング層であることが好ましい。
【0118】
ラミネート紙の23℃及び相対湿度50%での引張強度(JIS P8113)はMD方向について1.1~1.7kN/mが好ましく、1.2~1.6kN/mがより好ましく、1.3~1.5kN/mが更により好ましい。また、ラミネート紙の23℃及び相対湿度50%での引張強度はCD方向について0.5~1.0kN/mが好ましく、0.6~0.9kN/mがより好ましく、0.7~0.8kN/mが更により好ましい。
【0119】
ラミネート紙の23℃及び相対湿度50%での引裂強度(JIS P8116)は500kN/m以上であることが好ましく、MD及びCD方向のいずれの引裂強度も500kN/m以上であることがより好ましい。ラミネート紙の23℃及び相対湿度50%での引裂強度が500kN/m以上の場合は、当該ラミネート紙からなる包装紙は特に破れにくく、本発明の包装体は包装安定性に特に優れる。ラミネート紙の23℃及び相対湿度50%での引裂強度はMD方向について530kN/m以上がより好ましく、550kN/m以上が更により好ましい。ラミネート紙の23℃及び相対湿度50%での引裂強度はCD方向について560kN/m以上がより好ましく、580kN/m以上が更により好ましい。
【0120】
ラミネート紙の23℃及び相対湿度50%での伸び(JIS P8113)はMD方向について8.0~13.0%が好ましく、9.0~12.0%がより好ましく、10.0~11.0%が更により好ましい。また、ラミネート紙の23℃及び相対湿度50%での伸びはCD方向について3.0~8.0%が好ましく、4.0~7.0%がより好ましく、5.0~6.0%が更により好ましい。
【0121】
ラミネート紙の23℃及び相対湿度50%での破裂強度(JIS P8112)は70~120kPaが好ましく、80~110kPaがより好ましく、90~100kPaが更により好ましい。
【0122】
[包装体の製造方法]
本発明の包装体の製造方法は特には限定されるものではなく、例えば、平面状のラミネート紙を変形して収容部を備える袋状とし、当該収容部に衛生紙を収容後に、収容部の開口部を接着剤等で封止して包装体を製造することができる。また、本発明の包装体を構成するラミネート紙は熱可塑性樹脂層を備えるので、収容部の開口部をヒートシールすることによって袋を密封して包装体を製造することもできる。
【0123】
ヒートシールの温度は熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂の種類によるが、80℃~350℃が好ましく、100℃~300℃がより好ましく、150℃~250℃が更により好ましい。
【0124】
ヒートシールの時間も熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂の種類によるが、5秒以下が好ましく、3秒以下がより好ましく、1秒以下が更により好ましい。
【0125】
[包装体例]
図1は本発明の包装体の一実施態様を示す図であり、図1(A)及び図1(B)は、それぞれ、本発明の包装体の一実施態様の表側及び裏側を示している。図1(C)は図1(A)のA-A線での断面図である。
【0126】
図1において、1は包装体を表し、2は包装体の包装袋であり、3は包装袋2内の収容部に収容されている衛生紙である。図1に示す態様では、包装袋2は紙基材及び熱可塑性樹脂層を備えるラミネート紙からなる。図1に示す態様では、包装袋2はラミネート紙の一部(端部)をヒートシールすることによって形成されており、衛生紙3を包装している。
【0127】
包装袋2には複数の空気孔4が形成されており、包装袋2内の空気を外界に排出可能とされている。包装袋2内の空気を空気孔4を介して外界に排出することにより、包装袋2の体積を低減して、例えば、包装袋2の梱包運搬を容易とすることができる。
【0128】
図1に示す態様では、包装袋2の表面の一部に衛生紙3を取り出すための取出口を形成可能なミシン目2-1が開封部として形成されており、衛生紙3を取り出す際にはミシン目2-1を破って取出口を形成し、当該取出口から衛生紙3を外部に取り出すことができる。
【0129】
図1に示す態様では衛生紙3は所謂ポップアップ式に重ねて包装袋2内に収容されている。したがって、取出口から1枚の衛生紙3を取り出すと、次の衛生紙3の一部が取出口から突出することができ、衛生紙3の取り出しを容易に実施することができる。
【0130】
図2はラミネート紙の一態様の拡大断面図であり、ラミネート紙が滑剤を含む単一の熱可塑性樹脂層を備える態様を示す。
【0131】
図2の態様では、ラミネート紙5は、紙基材5-1及び紙基材5-1の一方の表面に存在する単一の熱可塑性樹脂層5-2を備えており、熱可塑性樹脂層5-2は紙基材5-1の表面に押出ラミネートを施されることによって形成される押出コーティング層である。そして、熱可塑性樹脂層5-2は滑剤を含む。
【0132】
図2(A)に示すラミネート紙5は紙基材5-1及び熱可塑性樹脂層5-2のみからなり、熱可塑性樹脂層5-2が内表面を形成し、図1に示す衛生紙3側に向いており、紙基材5-1が外表面を形成している。
【0133】
図1の包装袋2として図2に示すラミネート紙5を使用する場合は、紙基材5-1のみからなる包装袋2を使用する場合に比べて、包装袋2の強度が向上し、包装袋2の破れを抑制することができる。
【0134】
また、上記の場合は、図2に示す熱可塑性樹脂層5-2が衛生紙3側に向いているので、包装時に、衛生紙3は熱可塑性樹脂層5-2の平滑な表面と接触し、紙基材5-1とは接触しない。これにより、衛生紙3の包装袋2への引っかかりを抑制することができる。したがって、包装体1は、衛生紙3の包装を良好に維持することができ、また、包装が容易である。
【0135】
そして、図2の態様では、熱可塑性樹脂層5-2が滑剤を含むので、包装袋の開封の際に、手の指等からの外力により、熱可塑性樹脂層5-2が図示を省略する衛生紙に強く押し付けられても、熱可塑性樹脂層5-2と衛生紙との間の摩擦を抑制可能であり、衛生紙上でラミネート紙5が動きやすい。したがって、包装体の開封作業が容易である。
【0136】
更に、図2(B)の態様では、紙基材5-1の、熱可塑性樹脂層5-2が接触する表面とは反対側の表面にワニス硬化層からなる透明の防滑層6が形成されており、図4に示すように防滑層6はミシン目2-1の両側に設置されている。したがって、図2(B)に示すラミネート紙5を図4の包装袋2に使用する場合は、包装袋2の防滑層6を手の指等で把持してミシン目2-1の両側を押し広げてミシン目2-1を切って開封する際に、包装袋2の把持箇所を滑りにくくすることが可能となり、開封作業を更に容易にすることができる。
【0137】
なお、図2(B)に示す態様では紙基材5-1の表面上に防滑層6が直接形成されているが、紙基材5-1と防滑層6の間には、必要に応じて、保護層、印刷層等の他の層が存在してもよい。また、上記他の層は、紙基材5-1と防滑層6との間に限らず、紙基材5-1の表面の任意の位置に存在してもよい。
【0138】
図3はラミネート紙の別の態様の拡大断面図であり、ラミネート紙が複数の熱可塑性樹脂層を備え、且つ、包装袋の内表面を形成する熱可塑性樹脂層が滑剤を含む態様を示す。
【0139】
図3の態様では、ラミネート紙5は、紙基材5-1並びに紙基材5-1の一方の表面に存在する第1の熱可塑性樹脂層5-2及び第2の熱可塑性樹脂層5-3を備えており、第1の熱可塑性樹脂層5-2及び第2の熱可塑性樹脂層5-3は紙基材5-1の表面に押出ラミネートを施されることによって形成される押出コーティング層である。第1の熱可塑性樹脂層5-2及び第2の熱可塑性樹脂層5-3は隣接している。
【0140】
図3の態様では第1の熱可塑性樹脂層5-2は滑剤を含まない。一方、包装袋の内表面を形成する第2の熱可塑性樹脂層5-3は滑剤を含む。
【0141】
図3(A)に示すラミネート紙5は紙基材5-1並びに第1の熱可塑性樹脂層5-2及び第2の熱可塑性樹脂層5-3のみからなり、第2の熱可塑性樹脂層5-3が内表面を形成し、図1に示す衛生紙3側に向いており、紙基材5-1が外表面を形成している。
【0142】
図1の包装袋2として図3に示すラミネート紙5を使用する場合は、紙基材5-1のみからなる包装袋2を使用する場合に比べて、包装袋2の強度が向上し、包装袋2の破れを抑制することができる。
【0143】
また、上記の場合は、図3に示す第2の熱可塑性樹脂層5-3が衛生紙3側に向いているので、包装時に、衛生紙3は第2の熱可塑性樹脂層5-3の平滑な表面と接触し、紙基材5-1とは接触しない。これにより、衛生紙3の包装袋2への引っかかりを抑制することができる。したがって、包装体1は、衛生紙3の包装を良好に維持することができ、また、包装が容易である。
【0144】
そして、図3の態様では、第2の熱可塑性樹脂層5-3が滑剤を含むので、包装袋の開封の際に、手の指等からの外力により、第2の熱可塑性樹脂層5-3が図示を省略する衛生紙に強く押し付けられても、第2の熱可塑性樹脂層5-3と衛生紙との間の摩擦を抑制可能であり、衛生紙上でラミネート紙5が動きやすい。したがって、包装体の開封作業が容易である。
【0145】
また、図3の態様では、第1の熱可塑性樹脂層5-2が滑剤を含まないので、紙基材5-1と第1の熱可塑性樹脂層5-2との接着性を良好に維持することができる。なお、第2の熱可塑性樹脂層5-3中の滑剤の一部が第1の熱可塑性樹脂層5-2に移行する可能性が存在するが、第1の熱可塑性樹脂層5-2は滑剤を含まないために、紙基材5-1と第1の熱可塑性樹脂層5-2との接着性に対する第2の熱可塑性樹脂層5-3中の滑剤の影響は低減される。したがって、図3の態様では、第2の熱可塑性樹脂層5-3中の滑剤の一部が第1の熱可塑性樹脂層5-2に移行しても、当該滑剤による、紙基材5-1と第1の熱可塑性樹脂層5-2との接着性の低下を抑制することができ、紙基材5-1に対する第1の熱可塑性樹脂層5-2及び第2の熱可塑性樹脂層5-3の良好な接合を維持することができる。
【0146】
更に、図3(B)の態様では、紙基材5-1の、第1の熱可塑性樹脂層5-2が接触する表面とは反対側の表面にワニス硬化層からなる透明の防滑層6が形成されており、図4に示すように防滑層6はミシン目2-1の両側に設置されている。したがって、図3(B)に示すラミネート紙5を図4の包装袋2に使用する場合は、包装袋2の防滑層6を手の指等で把持してミシン目2-1の両側を押し広げてミシン目2-1を切って開封する際に、包装袋2の把持箇所を滑りにくくすることが可能となり、開封作業を更に容易にすることができる。
【0147】
なお、図3(B)に示す態様では紙基材5-1の表面上に防滑層6が直接形成されているが、紙基材5-1と防滑層6の間には、必要に応じて、保護層、印刷層等の他の層が存在してもよい。また、上記他の層は、紙基材5-1と防滑層6との間に限らず、紙基材5-1の表面の任意の位置に存在してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明では紙基材及び熱可塑性樹脂層からなるラミネート紙製の包装袋を使用するので、紙基材のみからなる包装袋を使用する場合に比べて、包装袋への衛生紙の引っかかりが抑制される。
【0149】
また、本発明の包装体は、包装袋の内表面を形成する熱可塑性樹脂層が滑剤を含むために、包装袋の開封の際に、手の指等からの外力により、ラミネート紙の熱可塑性樹脂層が衛生紙に強く押し付けられても、熱可塑性樹脂層と衛生紙との間の摩擦を抑制可能であり、衛生紙上でラミネート紙が動きやすい。
【0150】
したがって、本発明は衛生紙の包装に好適である。
【符号の説明】
【0151】
1 包装体
2 包装袋
3 衛生紙
4 空気孔
5 ラミネート紙
5-1 紙基材
5-2 (第1の)熱可塑性樹脂層
5-3 (第2の)熱可塑性樹脂層
6 防滑層
図1
図2
図3
図4