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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】クリップ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/122 20060101AFI20230315BHJP
   A61B 17/94 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
A61B17/122
A61B17/94
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021514468
(86)(22)【出願日】2019-06-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 CN2019091112
(87)【国際公開番号】W WO2019238094
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2020-11-17
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-02
(31)【優先権主張番号】201810614849.6
(32)【優先日】2018-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520451717
【氏名又は名称】寧波勝杰康生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】NINGBO SENSCURE BIOTECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 3 Building, Block B, No. 777, Binhai Si Road, Hangzhou Bay New District Ningbo, Zhejiang 315336 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲鐘▼浩
(72)【発明者】
【氏名】陳志敏
(72)【発明者】
【氏名】呂世文
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】倉橋 紀夫
【審判官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-502303(JP,A)
【文献】中国実用新案第205658947(CN,U)
【文献】米国特許第7892244(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/122
A61B 17/94
A61B 17/08
A61B 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡手術に用いられ体内の組織を挟むための分解可能なクリップであって、
一端部と、前記一端部と対応する他端部と、前記一端部と前記他端部との間に位置するとともにスパイク部が設けられた噛合歯を含む一対の噛合具と、
一端部と、前記一端部と対応する他端部とを含むとともに変形可能に設けられた一対の弾性具と、を含み、
一方の前記噛合具の一端部及び一方の前記噛合具の他端部は、それぞれ一方の前記弾性具の一端部及び他方の前記弾性具の一端部と接続されるとともに、他方の前記噛合具の一端部及び他方の前記噛合具の他端部は、それぞれ一方の前記弾性具の他端部及び他方の前記弾性具の他端部と接続されることにより、接続部が四つ構成され、
四つ前記接続部のうち少なくとも一つ前記噛合具の端部と前記弾性具の端部とが分離可能に設けられた分離可能接続部であり、
前記分離可能接続部において、縛り接続、スリーブ接続及びクランプ接続のうちのいずれかの一種の接続方式又は複数種の接続方式の組み合わせにより前記噛合具の端部と前記弾性具の端部とが接続され、
一対の前記弾性具がそれぞれ一端部と他端部とが近接するように湾曲されて内視鏡に保持された保持状態において、一対の前記噛合具が分離され、
一対の前記弾性具がそれぞれ前記内視鏡から離脱して保持状態から解放され一端部と他端部とが離間するように前記弾性具の復元力により復元した自然状態において、一対の前記噛合具が噛み合わされ、
前記分離可能接続部において、前記噛合具の端部と前記弾性具の端部とが分離された場合に、前記クリップが分解されて一対の前記噛合具が分離される、
ことを特徴とするクリップ
【請求項2】
前記噛合具の端部及び前記弾性具の端部には、いずれも位置規制部が設けられることを特徴とする請求項1に記載のクリップ
【請求項3】
前記分離可能接続部における接続に用いられる縛り糸、スリーブ又はクランプ、前記位置規制部に取り付けられることを特徴とする請求項2に記載のクリップ
【請求項4】
前記縛り糸が前記分離可能接続部における接続に用いられた場合に、前記縛り糸には、引っ張り部が設けられ
前記スリーブが前記分離可能接続部における接続に用いられた場合に、前記スリーブには、引っ張り部が設けられる、
ことを特徴とする請求項3に記載のクリップ
【請求項5】
複数の前記接続部のうち、対角位置に位置する接続部は、前記分離可能接続部であることを特徴とする請求項に記載のクリップ
【請求項6】
複数の前記接続部のうち、隣り合う二つの接続部は、前記分離可能接続部であることを特徴とする請求項に記載のクリップ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機械技術分野に属し、特にクリップに関する。
【背景技術】
【0002】
消化管出血は、消化管疾患の一般的な臨床症状であり、出血する部位によって、上部消 化管出血と下部消化管出血に分けられる。中でも、動脈性出血は、比較的に死亡率が高く、特に消化管の急性動脈性出血の場合、死亡率が約10%であり、60歳以上の患者の出血死亡率が30%から50%と高い。また、消化管穿孔も一般的な臨床疾患であり、ほとんどの穿孔患者は30~60歳(75%)である。胃潰瘍穿孔の死亡率は、27%であり、患者が高齢であるほど、死亡率が高くなる。
現在、消化管出血及び消化管穿孔の臨床治療の主な方法としては、止血クリップ(例えば、ボストンサイエンティフィック製のresolution止血クリップ及び南京微創製のハーモニークリップ)を使用して治療することであるが、その欠点は、挟み範囲が狭く、挟み力が不十分であり、動脈性出血と穿孔に対する治療効果がよくないことである。これらの欠点に対して、ドイツのオビスコ社によって、挟み力及び挟み範囲が良好なOTSC(Over-the-scope Clip)クリップが市販されているが、この製品は高価であるとともに、解放した後に取り外しにくくなるため、クリップを取り除くには同社の特製のアーク切断装置によりクリップを切断する必要がある。
現在、市販されているクリップのほとんどは、一体成形されたもので、取り外すことができない。手術後、クリップを全体として取り除くしかない。しかしながら、取り除き操作が困難である。また、クリップを全体として取り除く過程において、組織に二次的損傷を引き起こしやすいため、手術後のクリップの取り除きはさらに困難になる。上記問題を早急に解決することが期待されている。
【発明の概要】
【0003】
前述した内容に鑑み、本発明は、従来技術においてクリップを取り除く操作が困難な問題、挟み力が不十分な問題を解決するために、クリップを提供することを目的とする。
【0004】
本発明は、以下の技術的方法により、その目的が実現される。
本発明のある態様によれば、内視鏡手術に用いられ体内の組織を挟むための分解可能なクリップであって、
一端部と、前記一端部と対応する他端部と、前記一端部と前記他端部との間に位置するとともにスパイク部が設けられた噛合歯を含む一対の噛合具と、
一端部と、前記一端部と対応する他端部とを含むとともに変形可能に設けられた一対の弾性具と、を含み、
一方の前記噛合具の一端部及び一方の前記噛合具の他端部は、それぞれ一方の前記弾性具の一端部及び他方の前記弾性具の一端部と接続されるとともに、他方の前記噛合具の一端部及び他方の前記噛合具の他端部は、それぞれ一方の前記弾性具の他端部及び他方の前記弾性具の他端部と接続されることにより、接続部が四つ構成され、
四つ前記接続部のうち少なくとも一つ前記噛合具の端部と前記弾性具の端部とが分離可能に設けられた分離可能接続部であり、
前記分離可能接続部において、縛り接続、スリーブ接続及びクランプ接続のうちのいずれかの一種の接続方式又は複数種の接続方式の組み合わせにより前記噛合具の端部と前記弾性具の端部とが接続され、
一対の前記弾性具がそれぞれ一端部と他端部とが近接するように湾曲されて内視鏡に保持された保持状態において、一対の前記噛合具が分離され、
一対の前記弾性具がそれぞれ前記内視鏡から離脱して保持状態から解放され一端部と他端部とが離間するように前記弾性具の復元力により復元した自然状態において、一対の前記噛合具が噛み合わされ、
前記分離可能接続部において、前記噛合具の端部と前記弾性具の端部とが分離された場合に、前記クリップが分解されて一対の前記噛合具が分離されるクリップが提供される
また、噛合具の端部及び弾性具の端部には、いずれも位置規制溝と、ピン孔と、係止溝と、を含む位置規制部が設けられる。
さらに、取り外し可能な接続部は、縛り接続を採用し、噛合具及び弾性具の端部には、位置規制溝が形成される。
さらに、取り外し可能な接続部は、スリーブ接続を採用し、噛合具及び弾性具の端部には、位置規制溝が設けられ、スリーブには、位置規制溝に対応する係止部が設けられる。
さらに、取り外し可能な接続部は、ピン接続を採用し、噛合具及び弾性具の端部には、ピン孔が設けられ、ピンは、ピン孔により噛合具と弾性具の端部を固定する。
さらに、取り外し可能な接続部は、クランプ接続を採用し、噛合具及び弾性具の端部には、クランプに対応する係止溝が形成される。
さらに、接続方式は、縛り糸、スリーブ、ピン、及びクランプのうちのいずれかの一種又は複数種の組み合わせにより前記位置規制部に接続される。
さらに、取り外し可能な接続部の縛り糸、スリーブ、ピン、又はクランプには、引っ張り部が設けられる。
さらに、噛合具は、第1噛合具と、第2噛合具により構成され、弾性具は、第1弾性具と、第2弾性具により構成され、第1噛合具の端部及び第1弾性具の端部と、第2噛合具の端部及び第2弾性具の端部とは、順次接続されて複数の接続部を構成し、少なくとも一つの接続部は、取り外し可能な接続装置により接続され、自然状態において、第1噛合具と第2噛合具とは相互に噛み合わされ、取り外し可能な接続装置を取り外した後、第1噛合具と第2噛合具とは分離される。
さらに、複数の接続部のうち、対角位置に位置する接続部は、取り外し可能な接続部である。
さらに、複数の接続部のうち、隣り合う二つの接続部は、取り外し可能な接続部である。
さらに、噛合具と弾性具とは、一体成形され、噛合具は、噛合歯を含み、弾性具は、噛合具の両側の伸長部であり、伸長部は、弾性を有する。
さらに、弾性具は、弾性金属材料で作製される。
さらに、噛合具の噛合歯には、スパイク部が設けられる。
さらに、噛合具は、金属材料又は高分子材料で作製される。
さらに、弾性具は、円弧構造である。
さらに、弾性具は、ねじりばね構造である。
さらに、縛り接続は、巻付縛りであり、縛り糸の一端は、噛合具又は弾性具に固定される。
さらに、縛り接続は、捻じ糸縛りであり、捻じ糸は、被位置規制溝内に位置規制される。
さらに、縛り糸は、金属糸又は高分子糸である。
さらに、噛合具及び弾性具の端部には、ピン孔が形成され、スリーブには、ピン孔に対応する通孔が形成され、ピンは、通孔とピン孔に挿入することによりスリーブを固定することが実現される。
さらに、噛合具及び弾性具の端部には、位置規制溝が形成され、スリーブの側壁には、位置規制溝に対応する開口が形成され、位置規制溝とスリーブ側壁の開口において、縛り糸により縛ることによりスリーブを固定することが実現される。
さらに、噛合具及び弾性具の数は、いずれも二つであり、二つの噛合具と二つの弾性具は、合わせて四つの独立構造になる。この四つの独立構造を接続することにより四つの取り外し可能な接続部が構成される。
さらに、噛合具及び弾性具の数は、いずれも二つであり、第1噛合具と第1弾性具を固定して接続することにより一つの独立構造が構成され、当該独立構造と、第2噛合具と、第2弾性具とは、合わせて三つの独立構造になる。この三つの独立構造を接続することにより三つの取り外し可能な接続部が構成される。
さらに、噛合具及び弾性具の数は、いずれも二つであり、第1噛合具と第1弾性具を固定して接続することにより一つの独立構造が構成され、第2噛合具と第2弾性具を固定して接続することにより一つの独立構造が構成され、この二つの独立構造を接続することにより二つの対角位置に位置する取り外し可能な接続部が構成される。
さらに、噛合具及び弾性具の数は、いずれも二つであり、第1弾性具と第2弾性具をそれぞれ第1噛合具の二つの端部に固定して接続することにより一つの独立構造が構成され、当該独立構造と、第2噛合具とは、合わせて二つの独立構造になる。この二つの独立構造を接続することにより二つの隣り合う角に位置する取り外し可能な接続部が構成される。
さらに、噛合具及び弾性具の数は、いずれも二つであり、第1弾性具の曲率は、第2弾性具の曲率よりも大きく、第1噛合具の一端部と第2噛合具の一端部は、それぞれ第1弾性具の二つの端部に固定して接続され、第2弾性具の一端部は、第2噛合具の他端部に固定して接続され、第2弾性具の他端部は、第1噛合具の他端部に取り外し可能に接続される。
さらに、噛合具の数は、少なくとも三つであり、噛合具は、弾性具に固定して接続され、端部を端から端まで接続することにより、複数の取り外し可能な接続部が構成され、中央に対称になるように配置される。
さらに、クリップは、内視鏡の透明キャップ外に設けられて使用される。
さらに、クリップは、引っ張り糸で引っ張ることにより解放される。
【0005】
従来の技術に比べ、本発明は、以下の効果を奏する。
a)本発明により提供されるクリップにおいて、噛合具及び弾性具の接続部は、取り外し可能な接続部であり、構造設計が簡単で巧みであり、取り外し可能な接続部を解くだけで、内視鏡用クリップを取り外すことができる。クリップを全体として取り除く必要がなく、取り外してから取り除くことにより、クリップを迅速に取り除くことができる。これにより、クリップを取り除く難易度が低くなり、特にクリップの噛合歯が組織で覆われている場合、取り外されたクリップの部品を組織から抜けば、クリップを取り除くことができる。これにより、クリップを取り除く際に周囲の組織への損傷を低減することができる。
b)本発明により提供されるクリップにおいて、弾性具は、弾性のある金属材料で作製されるため、クリップに継続的かつ安定した十分な挟み力を提供できる。また、噛合具は、金属材料又はポリマー材料で作製されるため、優れた生体力学的特性及び耐食性を有し、クリップの使用寿命が延長される。さらに、噛合具の噛合歯にスパイク部を設けることにより、解放する際に噛合具が内側に回転し、スパイク部が組織に差し込み、組織がしっかり把持され、組織を集める効果がよく、よりいい挟み効果が実現される。
c)本発明により提供されるクリップにおいて、取り外し可能な接続部は、クリップと対向して設けられてもよく、クリップと隣り合って設けられてもよく、クリップの中央部に設けられてもよい。位置が柔軟に変更できるため、限られた内視鏡の視野の下での医師の操作に有利である。
本発明において、上記した各技術的解決策を互いに組み合わせることにより、より好ましい技術的解決策が実現される。本発明の他の特徴や利点については、後述する。また、一部の利点は、明細書から明らかになるか、本発明を実施することにより理解できる。本発明の目的及び他の利点は、明細書、特許請求の範囲、及び図面で特定される内容により実現され、取得される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図面は、具体的な実施例を説明するものであり、本出願を限定するためのものではない。図面において、同じ参照符号は同じ構成部品を示す。
【0007】
図1】本発明の実施例1に係るクリップの構造模式図である。
図2図1におけるクリップが取り外された後の構造模式図である。
図3図1におけるクリップの正面図である。
図4図1におけるクリップが開けられて変形した後の構造模式図である。
図5】本発明の実施例1に係る弾性具がねじりばね構造であるクリップの構造模式図である。
図6】本発明の実施例1に係る縛り糸が縛り接続されるクリップの構造模式図である。
図7】本発明の実施例1に係るスリーブ接続されるクリップの構造模式図である。
図8】本発明の実施例1に係るピン接続されるクリップの構造模式図である。
図9】本発明の実施例1に係るクランプ接続されるクリップの構造模式図である。
図10】本発明の実施例1に係るスリーブ接続とピン接続の組み合わせにより接続されるクリップの構造模式図である。
図11】本発明の実施例1に係るスリーブ接続と糸縛りの組み合わせにより接続されるクリップの構造模式図である。
図12】本発明の実施例2に係る対角位置に位置する取り外し可能に接続されるクリップの構造模式図である。
図13図12におけるクリップが取り外された後の構造模式図である。
図14】本発明の実施例2に係る隣り合う角に位置する取り外し可能に接続されるクリップの構造模式図である。
図15図14におけるクリップが取り外された後の構造模式図である。
図16】本発明の実施例2に係る一つの取り外し可能な接続部を有するクリップの構造模式図である。
図17図16におけるクリップが取り外された後の構造模式図である。
図18】本発明の実施例3に係るクリップの構造模式図である。
図19図18におけるクリップが取り外された後の構造模式図である。
図20】本発明の実施例4に係るクリップの構造模式図である。
図21図20におけるクリップが開けられて変形した後の構造模式図である。
図22図1におけるクリップの取付・解放示意図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下は、図面を参照しながら本発明の好ましい実施例を詳しく説明する。ここで、図面は、本発明の一部を構成し、本発明の実施例1とともに本発明の原理を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するためのものではない。
【0009】
実施例1
図1図11において、本発明に係るクリップの第1実施形態が示される。図1図5に示すように、クリップは、第1噛合具1と、第1弾性具2と、第2噛合具3と、第2弾性具4と、を含む。第1噛合具1及び第2噛合具3は、いずれも噛合歯と、伸出部と、を含む。第1噛合具1の端部と、第1弾性具2の端部と、第2噛合具3の端部と、第2弾性具4の端部と、を端から端まで接続することにより四つの取り外し可能な接続部11が構成される。取り外し可能な接続部11は、取り外し可能な接続装置により接続される。自然状態において、第1噛合具1と第2噛合具3は、噛み合わせ状態にあり、取り外し可能な接続装置を取り外すことにより第1噛合具1と第2噛合具3とは分離される。取り外し可能な接続装置は、縛り糸5であり、すなわち取り外し可能な接続部11は、巻付縛り接続を採用する。接続状態において、取り外し可能な接続部11は、第1噛合具1の端部と、第1弾性具2の端部と、巻き付けられる縛り糸5と、を含む。二つの噛合具及び二つの弾性具の端部には、弾性具、噛合具、及び縛り糸5の位置を位置規制するために、いずれも位置規制部が形成される。位置規制部は、位置規制溝である。縛り糸5は、金属糸でもよく、高分子糸でもよい。巻きつけることにより縛ることが完成され、取り外す際に、縛り糸5を反対側に巻きつけばよい。
【0010】
より良い縛り効果を得るために、縛り糸5はステンレス鋼線であることが好ましい。ステンレス鋼線は、巻きつけられた後に一定の形状を保つことができ、結ばなくてもしっかり縛ることができ、操作が簡単で、固定効果が良い。縛り糸5は、重なり合ったり巻かれたりしないモノフィラメントであるため、取り外す過程において縛り糸5が結ばれたことが回避され、クリップを快速に取り外して取り除くことに有利である。
【0011】
簡単にクリップを取り除くために、縛り糸5の一端は、一つの噛合具又は一つの弾性具に固定される。これにより、クリップが取り外された後に、縛り糸は一つの噛合具又は一つの弾性具に接続されることが保証され、クリップを簡単に掴んで取り除くことができる。
【0012】
簡単にクリップを取り除くために、縛り糸5の自由端には、環状の引っ張り部6が設けられる。クリップを取り外す際に、取り外し装置を環状の引っ張り部6内に挿入し、巻き付ける方向の反対方向に沿って巻き付けることにより縛り糸の取り外しが実現される。
【0013】
継続的かつ安定した十分な挟み力を提供するために、第1弾性具2及び第2弾性具4は、弾性のある金属材料、例えばばね鋼で作製され、挟み力が強い。ニチノール形状記憶合金であることが好ましく、当該材料で作成された弾性具は、使用温度で自動的に自身の塑性変形を元の形状に戻すことができるため、継続的かつ安定した十分な挟み力を提供できる。第1弾性具2及び第2弾性具4は、ストリップ状構造であり、円弧構造であることが好ましい。弧形の弾性具は、図5に示されるねじりばね構造であってもよい。クリップを簡単に取り外すために、クリップは、自然状態においてアーチ状になり、解放した後に噛合具の噛合歯が組織覆われ、取り外し可能な接続部11は、組織から露出する。
【0014】
噛み合わせの効果を確保するために、噛合具は、弾性の良い材料、例えばばね鋼又はニチノール合金で作製され、或いは制成,或由弾性の良い高分子材料、例えばポリオキシメチレンで作製される。さらに、噛合具の形状は、レーキ状構造又は針状構造であり、噛合歯にスパイク部が設けられる。これにより、クリップが解放する際に噛合具が内側に回転し、スパイク部が組織に差し込み、組織がしっかり把持され、組織を集める効果がよく、よりいい挟み効果が実現される。
【0015】
本実施例において、縛り接続は、捻じ糸縛り接続であってもよい、図6に示すように、捻じ糸を位置規制溝内に置くことにより噛合具の端部と弾性具の端部をしっかり捻って縛る捻じ糸を解ける際に、捻じ糸の反対方向に解けばよく、これによりクリップを取り外してから取り除くことができる。捻じ糸は、硬質の材料で作製され、金属糸であることが好ましい。金属糸によりしっかり縛ることができ、操作が簡単である。また、縛った後に捻じ糸の両端に環状引っ張り部6を設けることにより、捻じ糸を取り外すことと取り除くことが容易になる。
【0016】
本実施例中において、取り外し可能な接続部11は、スリーブ接続を採用してもよい。図7に示すように、第1噛合具1、第2噛合具3、第1弾性具2、及び第2弾性具4の端部には、位置規制溝が形成される。スリーブ7には、位置規制溝に対応する係止部が設けられる。スリーブ7における係止部は、位置規制溝と組み合わせてスリーブ接続を実現できる。スリーブ7には、球状引っ張り部6が設けられる。スリーブ7を取り外せば、クリップを取り外すことができ、操作が簡単である。スリーブ7は、硬質の材料で作製され、金属スリーブであることが好ましい。金属スリーブは、変形しにくく、堅固で、固定効果が良く、寿命が長い。
本実施例中において、取り外し可能な接続部11は、ピン接続を採用してもよい。図8に示すように、第1噛合具1、第2噛合具3、第1弾性具2、及び第2弾性具4の端部に形成される位置規制部は、ピン孔である。ピン孔と組み合わせるピン8は、ピン孔により第1噛合具1、第2噛合具3、第1弾性具2の端部、及び第2弾性具4の端部を固定する。ピン8をピン孔から取り出せばクリップを取り外すことができ、操作が簡単である。
【0017】
本実施例中において、取り外し可能な接続部11は、クランプ接続を採用してもよい。図9に示すように、第1噛合具1の端部、第2噛合具3の端部、第1弾性具2の端部、及び第2弾性具4の端部のいずれにも係止溝が形成される。クランプ12は、係止溝と組み合わせて第1噛合具1の端部、第2噛合具3の端部、第1弾性具2の端部、及び第2弾性具4の端部を固定する。クランプ12を取り外せば、クリップを取り外すことができ、操作が簡単である。
【0018】
本実施例中において、取り外し可能な接続部11は、スリーブ接続とピン接続とを組み合わせて採用してもよい。図10に示すように、スリーブ7には、ピン孔に対応する通孔が形成される。ピン8は、通孔及びピン孔により噛合具の端部と弾性具の端部とを接続する。ピン8は、固定して接続する効果に加えて、スリーブ7が脱出することを防止する効果も奏する。クリップを取り除く際に、ピン8を抜き出してからスリーブ7を抜き出すことにより、クリップを取り外してから取り除くことができ、便利になる。
【0019】
本実施例中において、取り外し可能な接続部11は、スリーブ接続と縛り接続とを組み合わせて採用してもよい。図11に示すように、スリーブ7の側面には、開口が形成される。開口は、位置規制溝と位置合わせされる。縛り糸は、スリーブ開口及び位置規制溝内で縛り接続を行う。縛り糸5は、金属糸であることが好ましく、巻付縛りであってもよく捻じ糸縛りであってもよい。クリップを取り除く際に、縛り糸5を解けてからスリーブ7を抜き出すことにより、クリップを取り外してから取り除くことができる。
【0020】
なお、本実施例において採用される縛り接続、スリーブ接続、ピン接続、又はクランプ接続などの取り外し可能な接続方法は、本発明のすべての実施例に適用することができ、他の実施例において一つずつ説明されない。また、他の取り外し可能な接続方法を採用する技術的解決策も本発明の保護範囲内にある。
【0021】
実施例2
図12図17において、本発明に係るクリップの第2実施形態が示される。本実施例は、以下の点について実施例1と違う。第1噛合具1の一端部は、第1弾性具2の一端部に固定して接続され、また/或いは第2噛合具3の一端部は、第2弾性具4の一端部に固定して接続される。
【0022】
図12図13に示すように、クリップは、第1噛合具1と、第2噛合具3と、第1弾性具2と、第2弾性具4と、を含む。第1噛合具1及び第2噛合具3は、いずれも噛合歯と、伸出部と、を含む。第1噛合具1の一端部を第1弾性具2の一端部に固定して接続することにより、一つの独立構造が構成される。第2噛合具3の一端部を第2弾性具4の一端部に固定して接続することにより、一つの独立構造が構成される。この二つの独立構造を接続することにより、二つの対角位置に位置する取り外し可能な接続部11が構成される。
【0023】
図14図15に示すように、第2噛合具3の二つの端部をそれぞれ第1弾性具2の一端部及び第2弾性具4の一端部に固定して接続することにより、一つの独立構造が構成される。当該独立構造は、第1噛合具1と合わせて二つ独立構造になる。この二つの独立構造を接続することにより、二つの隣り合う角に位置する取り外し可能な接続部11が構成される。
【0024】
図16図17に示すように、第1弾性具2の二つの端部は、それぞれ第1噛合具1の一端部及び第2噛合具3の一端部に固定して接続され、第2弾性具4の一端部は、第2噛合具3の端部に固定して接続され、第2弾性具4の他端部は、第1噛合具1の他端部に取り外し可能に接続され、例えば縛り接続される。より簡単にクリップを取り外して取り除くために、第1弾性具2の曲率は、第2弾性具4の曲率よりも大きい。自然状態において、クリップは、平面四角形である。第1弾性具2及び第2弾性具4は、開いて変形するが、曲率が違うため、第1弾性具2の回復力は、第2弾性具4の回復力よりも大きい。クリップを取り外す際に、まずは、縛られた縛り糸5を解けて、第1弾性具2の回復の幅が大きく、第1噛合具1及び第2噛合具3を片方へ開ける。これにより、第1噛合具1及び第2噛合具3の組織に対するクランプ状態は解除され、そして取り外されたクリップを取り除く。当該構造を有するクリップにおいて、第1弾性具2のより大きい回復力を利用することにより、取り外し回数が減少し、取り外し操作が容易になる。
【0025】
実施例3
図18図19において、本発明に係るクリップの第3実施形態が示される。クリップの取り外し可能な接続部11は、スリーブ接続とピン接続とを組み合わせて採用する。噛合具は、金属材料で作製される。第1噛合具1の両側の伸長部及び第2噛合具3の両側の伸長部は、弾性を有する。弾性具は、噛合具の両側の伸長部であり、自然状態において、咬合面へ湾曲する弧形である。第1噛合具1と第2噛合具3の伸長部の端部には、いずれもピン孔が形成される。スリーブ7には、対応する通孔が形成される。ピン8は、ピン孔により第1噛合具1の伸長部の端部と第2噛合具3の伸長部の端部を接続することにより二つの対称的にクリップの中央に位置する取り外し可能な接続部が構成される。取り外し可能な接続部11は、第1噛合具1の伸長部の端部と、第2噛合具3の伸長部の端部と、スリーブ7と、ピン8と、を含む。取り付ける際に、噛合具の伸長部の端部をスリーブ7に挿入してからピン8をピン孔と通孔に挿入することにより、クリップの取り付け操作が完了する。取り外す際に、ピン8を抜き出してからスリーブ7から噛合具を抜き出すことによりクリップの取り外しが実現される。当該構造を有するクリップは、自然状態においてアーチ型の楕円形である。
【0026】
本実施例において、スリーブ7は、金属スリーブであることが好ましい。ピン8は、金属ピンであることが好ましい。金属材料のスリーブ7又はピン8を採用することにより、クリップの接続安定性が高くなり、クリップの使用寿命が長くなる。
【0027】
本実施例において、接続部は、スリーブ接続だけにより接続されてもよい。弾性具の端部には、位置規制溝が形成され、スリーブ7には、位置規制溝に対応する係止部が設けられる。部品数が少なく、取り外しが簡単で、部品を失いにくい。
【0028】
本実施例において、弾性具の端部のピン孔とスリーブ通孔の数は一つであってもよく、複数であってもよい。ピンの数は、それと相応する数であり、具体的な数は状況によって把握される。
【0029】
より良いクリップの挟み効果を実現するために、第1噛合具1と第2噛合具3の伸長部の材料は、ニチノール形状記憶合金であることが好ましい。持続的に安定な挟み力をクリップに提供することができ、挟み効果がよくなる。
クリップを容易に取り除くために、ピン8のピン孔に挿入されていない一端には、環状の引っ張り部6が設けられ、組織を把持することにも取り除くことにも有利である。
【0030】
実施例4
図20図21において、本発明に係るクリップの第4実施形態が示される。クリップは、六つの中心対称に配置される噛合具を含む。噛合具1と、弾性具2とは、一体成形される。噛合具1は、噛合歯を含む。弾性具2は、噛合具1の両側の伸長部であり、伸長部は、弾性を有する。一体成形された噛合具の両側の伸長部は、噛合歯の反対方向に湾曲する弧形である。六つの噛合具の伸長部の端部を端から端まで接続することにより構成される六つの取り外し可能な接続部11は、クリップの六つの角に位置する。取り外し可能な接続部は、縛り接続を採用し、接続された状態における取り外し可能な接続部11は、噛合具の伸長部の端部と、巻き付けられる縛り糸5と、を含む。自然状態におけるクリップは、平面六角星形である。取り付ける際に、噛合具の伸出部の端部を順に縛り接続することによりクリップの取り付けが実現される。取り外す際に、縛り糸を解けばクリップの取り外しが実現される。
【0031】
好ましくは、噛合具は、弾性金属材料で作製され、ニチノール形状記憶合金であることが好ましい。持続的に安定な挟み力を提供することができ、挟み効果がよくなる。
【0032】
好ましくは、縛り糸5は、金属糸、例えばステンレス鋼線である。縛り効果が良い。
【0033】
クリップを簡単に取り外すために、縛り糸5の一端は、噛合具の伸長部に固定される。縛り糸の自由端には、環状の引っ張り部6を設けることにより、クリップの取り外すこと及び取り除くことが便利になる。
【0034】
本実施例において、中心対称に配置される噛合具の数は少なくとも三つである、具体的な数は、状況によって把握される。
【0035】
図22は、図1におけるクリップの取付・解放の示意図である。クリップは、解放される前にクリップの第1弾性具2と第2弾性具4を湾曲させる。第1弾性具2と第2弾性具4が湾曲して変形することにより第1噛合具1と第2噛合具3は外側に反転し、噛合歯は外反状態になる。この状態でクリップの取付を内視鏡の端部の透明キャップ9の外で完成させる。取付を完成させた後、クリップの第1噛合具1及び第2噛合具3は開き状態であり、噛合歯上に設けられたスパイク部は透明キャップの末端に指向し、引っ張り糸10を引っ張ることでクリップを透明キャップ9の末端に移動させ、透明キャップ9から脱離して解放される。解放される瞬間、第1弾性具2及び第2弾性具4は迅速に元の形状に復元することで、第1噛合具1と第2噛合具3の噛合歯を内側に反転させ、組織をクリップして集める。クリップされた組織が癒合した後、内視鏡デバイスチャンネルを介して取り外しデバイスを導入し、取り外しデバイスが縛り糸5の環状の引っ張り部6をつかみ、巻線の反対方向に巻線を解き、クリップを分解してから取り外す。これによって、クリップの取り外しは大幅に容易になる。なお、本実施例のクリップの解放方法は、本発明の全ての実施例に適用される。
【0036】
上記は本発明の好ましい実施形態にすぎず、本発明の保護範囲を限定するものではない。当業者は、本発明の原理から逸脱しない限り、若干の改良及び修正を加えることができる。これらの改良及び修正も本発明の保護の範囲と見なされる。
【符号の説明】
【0037】
1:第1噛合具
2:第1弾性具
3:第2噛合具
4:第2弾性具
5:縛り糸
6:引っ張り部
7:スリーブ
8:ピン
9:透明キャップ
10:引っ張り糸
11:接続部
12:クランプ
図1
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