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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】バッテリテストを備えた医療装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/3842 20190101AFI20230316BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230316BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20230316BHJP
   G01R 31/00 20060101ALI20230316BHJP
   G01R 31/388 20190101ALI20230316BHJP
【FI】
G01R31/3842
H01M10/48 P
A61B5/00 A
G01R31/00
G01R31/388
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020502284
(86)(22)【出願日】2018-07-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2018070380
(87)【国際公開番号】W WO2019020780
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】17183784.2
(32)【優先日】2017-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(72)【発明者】
【氏名】フリードリ,クルト
(72)【発明者】
【氏名】ビュルテレ,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ルスツィック,クリスティアン-アレクサンダー
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-545970(JP,A)
【文献】特開2012-007995(JP,A)
【文献】特表2002-514107(JP,A)
【文献】特表2008-522283(JP,A)
【文献】特開2012-135626(JP,A)
【文献】特開2014-143087(JP,A)
【文献】特開2013-236475(JP,A)
【文献】米国特許第06191590(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0060252(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0256629(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01866028(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02573579(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2005/0007073(US,A1)
【文献】特表2018-503885(JP,A)
【文献】特表2011-508871(JP,A)
【文献】特開2009-252459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/00-31/01、
31/24-31/25、
31/36-31/44、
A61B 5/00-5/01、
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ(2)によって電力供給されるように設計されたボディウェアラブル医療装置(1)であって、前記ボディウェアラブル医療装置は、体に直接取り付けられてユーザによって携行されるか、体に近づけて携行されるように設計される、体外治療および/または診断用医療装置であり、
前記バッテリに接触するバッテリ接点(11)と、
前記バッテリ接点(11)と並列の電気的配置のコンデンサ(12)と、
前記ボディウェアラブル医療装置(1)の動作を制御するように構成されている制御ユニット(14)と
を含み、
前記制御ユニット(14)は、バッテリテストユニット(141)を含み、前記バッテリテストユニット(141)はバッテリテストを実行するように構成されており、前記バッテリテストは、
第1の時点t1のコンデンサ電圧Uの値として第1のコンデンサ電圧U1を決定することと、
前記第1の時点t1の後に、第2の時点t2の前記コンデンサ電圧Uの値として第2のコンデンサ電圧U2を決定することと、
前記第1の時点t1と前記第2の時点t2の間にテスト電流を引き出すことであって、前記第1の時点t1は前記テスト電流を引き出すことの開始によって決定され、前記第2の時点t2は、第2の時点における前記コンデンサ電圧Uが、前記テスト電流が引き出されている間に安定し且つ実質的に一定であるように決定される、引き出すことと、
前記第1のコンデンサ電圧U1と前記第2のコンデンサ電圧U2の間の電圧差から、および/または前記第1の時点t1と前記第2の時点t2の間の時間差から、前記バッテリの充電状態を決定することと
を含み、
前記バッテリテストユニット(141)が、前記テスト電流が引き出されている間に、前記コンデンサ電圧Uを連続的にモニタして、前記モニタされたコンデンサ電圧Uから前記第2の時点t2を決定するように構成されている、
ボディウェアラブル医療装置(1)。
【請求項2】
前記テスト電流が、15秒以上の間引き出される、請求項1に記載のボディウェアラブル医療装置(1)。
【請求項3】
前記制御ユニット(14)がコンピューティング回路を含み、前記コンピューティング回路は基準ルーチンを実行するように構成されており、前記テスト電流が前記基準ルーチンの前記実行に起因して前記コンピューティング回路によって引き出される、請求項1または2のいずれかに記載のボディウェアラブル医療装置(1)。
【請求項4】
前記バッテリテストユニット(141)が、ローパスフィルタ(141’)を含み、さらに前記コンデンサ(12)上の電圧降下U*をローパスフィルタリングすることによって前記コンデンサ電圧Uを決定するように構成されている、請求項1から3のいずれかに記載のボディウェアラブル医療装置(1)。
【請求項5】
前記ローパスフィルタ(141’)が有限インパルス応答(FIR)フィルタである、請求項4に記載のボディウェアラブル医療装置(1)。
【請求項6】
前記バッテリテストユニット(141)が、前記コンデンサ電圧Uの変動が所定の時間にわたって所定の電圧変動閾値を超えないと決定することによって、前記第2の時点t2を決定するように構成されている、請求項1から5のいずれかに記載のボディウェアラブル医療装置(1)。
【請求項7】
前記バッテリテストユニット(141)が、前記コンデンサ電圧Uの定常状態が前記第1の時点t1の後のタイムアウト間隔以内に見られない場合、進行中のバッテリテストを中止して、前記テスト電流を引き出すのを停止するように構成されている、請求項1から6のいずれかに記載のボディウェアラブル医療装置(1)。
【請求項8】
前記バッテリテストユニット(141)が、バッテリテストを実行する前に、前記コンデンサ電圧Uが安定しているかどうか決定するように構成されており、さらに前記コンデンサ電圧Uが不安定である場合にはバッテリテストを実行しないように構成されている、請求項1から7のいずれかに記載のボディウェアラブル医療装置(1)。
【請求項9】
ステップアップ電圧コンバータ(17)を含み、前記テスト電流は前記ステップアップ電圧コンバータ(17)の高電圧側で引き出される、請求項1から8のいずれかに記載のボディウェアラブル医療装置(1)。
【請求項10】
バッテリ接点(11)が、前記バッテリ(2)を浮動式に保持している接点ばねとして実現される、請求項1から9のいずれかに記載のボディウェアラブル医療装置(1)。
【請求項11】
インスリンポンプおよび連続グルコース測定装置の少なくとも一方であるか、または少なくとも一方を含む、請求項1から10のいずれかに記載のボディウェアラブル医療装置(1)。
【請求項12】
バッテリ装着可能な医療装置(1)に電力供給するバッテリ(2)をテストするための方法であって、前記医療装置は、体に直接取り付けられてユーザによって携行されるか、体に近づけて携行されるように設計される、体外治療および/または診断用医療装置であり、前記バッテリはバッテリ接点(11)を介して接触され、コンデンサ(12)が前記バッテリ接点と並列の電気的配置に配置されており、前記方法はバッテリテストを実行するステップを含み、前記バッテリテストは、
第1の時点t1のコンデンサ電圧Uの値として第1のコンデンサ電圧U1を決定するステップと、
前記第1の時点t1の後に、第2の時点t2の前記コンデンサ電圧Uの値として第2のコンデンサ電圧U2を決定するステップと、
前記第1の時点t1と前記第2の時点t2の間にテスト電流を引き出すステップであって、前記第1の時点t1は前記テスト電流を引き出すことの開始によって決定され、前記第2の時点t2は、第2の時点における前記コンデンサ電圧Uが、前記テスト電流が引き出されている状態で安定するように決定される、引き出すステップと、
前記第1のコンデンサ電圧U1と前記第2のコンデンサ電圧U2の間の電圧差から、および/または前記第1の時点t1と前記第2の時点t2の間の時間差から、前記バッテリの充電状態を決定するステップと
を含み、
前記テスト電流が引き出されている間に、前記コンデンサ電圧Uを連続的にモニタして、前記モニタされたコンデンサ電圧Uから前記第2の時点t2を決定するステップを含む、
方法。
【請求項13】
前記方法が、前記テスト電流を15秒以上の間引き出すステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
コンピューティング回路によって基準ルーチンを実行するステップを含み、前記テスト電流は前記基準ルーチンの前記実行に起因して前記コンピューティング回路によって引き出される、請求項12または13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記コンデンサ(12)上の電圧降下U*をローパスフィルタリングすることによって前記コンデンサ電圧Uを決定するステップを含む、請求項12から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記ローパスフィルタリングが有限インパルス応答(FIR)フィルタで実行される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記コンデンサ電圧Uの変動が所定の時間にわたって所定の電圧変動閾値を超えないと決定することによって前記第2の時点t2を決定するステップを含む、請求項12から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記コンデンサ電圧Uの定常状態が前記第1の時点t1の後のタイムアウト間隔以内に見られない場合、進行中のバッテリテストを中止して、前記テスト電流を引き出すのを停止するステップを含む、請求項12から請求項17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
バッテリテストを実行する前に、前記コンデンサ電圧Uが安定しているかどうかを決定し、前記コンデンサ電圧Uが不安定である場合はバッテリテストを実行しないステップを含む、請求項12から請求項18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
ステップアップ電圧コンバータ(17)の高電圧側で前記テスト電流を引き出すステップを含む、請求項12から請求項19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記医療装置が、インスリンポンプおよび連続グルコース測定装置の少なくとも一方であるか、または少なくとも一方を含む、請求項12から請求項20のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イヌリンポンプまたは連続グルコース測定装置などのボディウェアラブル医療装置のバッテリテストの分野に関する。本発明は特に、バッテリテストユニットを備えたボディウェアラブル医療装置、およびバッテリをテストする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インスリンポンプおよび連続グルコース測定装置などのボディウェアラブル医療装置は、一般に一次エネルギーソースとしてバッテリによって電力供給される。通常、バッテリは、ユーザが自分で交換可能であるが、いくつかの実施形態では前もって組み込まれており、交換不可能なこともある。
【0003】
正しい装置動作を確実にするために、バッテリの状態をモニタし、欠陥があるか消耗したバッテリの場合には、交換を可能とするために、信頼性が高い方法で、かつ十分に早く、可能性としては数時間の遅延で、そして、自然発生的電源故障のリスクなしで、警告またはアラートをユーザに提供することが必要である。これは、電源故障が結果として潜在的に危険な治療中断となるインスリンポンプまたは一般に薬物注入ポンプの場合には、特に決定的に重要である。
【発明の概要】
【0004】
ボディウェアラブル医療装置用の電源およびバッテリテストを設計するときには、多くの特定の制約および境界条件を考察することが必要である。まず、最新のボディウェアラブル医療装置は、低消費電力のために非常に最適化されており、これは大部分の時間において数ミリワットの範囲であるか、またはそれ未満でさえあり得る。このような低消費電力では、多くの電池は寿命の終わりまでほとんど実質的に一定の電圧を維持し、その後突然の電圧破壊に至る傾向がある。したがって、通常の電圧測定だけでは、バッテリの状態を決定するのに十分ではない。
【0005】
信頼性が高いバッテリテストを可能とするために、バッテリの内部抵抗を決定することが提案されている。しかしながら、多くの設計において、内部抵抗測定でバッテリ状態を決定することは、不可能ではなくとも困難である。特に、バッテリは通常、相当な範囲にわたって、また適用している間にも変動し得る接触抵抗を有するバッテリ接点によって接触され、接触抵抗はさらに、このようなバッテリの内部抵抗と同じ範囲であるか、さらにそれより大きくなることすらあり得る。
【0006】
特にユーザが自分で交換可能なバッテリを備えたデバイスにおいて、バッテリは、浮動方式の接点ばねによって保持されて電気的に接触されることが多い。ボディウェアラブル医療装置には発生するのが珍しくない機械的衝撃または振動の場合、これによってバッテリ接続が一時的に不安定になり、および/または中断されることにつながる。ボディウェアラブル医療装置の正確な動作を確実にして、突然の電源故障を防止するために、バッテリと並列に大容量コンデンサを設けることができ、これが短時間のバッテリ中断をブリッジングし、さらに都合よくピーク電流源として役立つ。しかしながら、このようなコンデンサは、当分野で周知のように内部抵抗測定を妨げる。バッテリの内部抵抗およびさらなる望ましくない抵抗、特に接触抵抗は、コンデンサと組み合わされてローパス特性を引き起こす。
【0007】
ボディウェアラブル医療装置における、そして、医療装置のためのバッテリテストに関して状況を改善することが、本発明の全体の目的である。好適には、上述した問題の少なくとも一部が、完全に、または、部分的に対処されて解決される。
【0008】
全般的に、全体の目的は、独立請求項の主題によって達成される。典型的かつ特に好ましい実施形態は、従属請求項ならびに本明細書の全体の開示によって定義される。
一態様によれば、全体の目的は、バッテリによって電力供給されるように設計されたボディウェアラブル医療装置によって達成される。医療装置は、バッテリに接触するためのバッテリ接点を含む。ボディウェアラブル医療装置は、バッテリ接点と並列に電気的配置されたコンデンサをさらに含む。コンデンサの容量は、通常、100mF以上の範囲にあり、例えば、280mFなど、250mF~300mFの範囲にある。しかしながら、他の容量、特により高い容量も、同様に使用することができる。ボディウェアラブル医療装置は、制御ユニットをさらに含む。制御ユニットは、医療装置の動作を制御するように構成されている。制御ユニットは、バッテリテストユニットを含む。
【0009】
バッテリテストユニットは、バッテリテストを実行するように構成されている。バッテリテストは、第1の時点t1のコンデンサ電圧Uの値として第1のコンデンサ電圧U1を決定することと、第1の時点t1の後に、第2の時点t2のコンデンサ電圧Uの値として第2のコンデンサ電圧U2を決定することとを含む。
【0010】
バッテリテストは、第1の時点t1と第2の時点t2の間、テスト電流を引き出すことをさらに含む。バッテリおよびコンデンサが並列の電気的配置であるので、テスト電流はバッテリおよびコンデンサから引き出される。バッテリテストは、第1のコンデンサ電圧U1と第2のコンデンサ電圧U2間の電圧差から、および/または第1の時点t1と第2の時点t2間の時間差から、バッテリの充電状態を決定することをさらに含む。
【0011】
さらなる態様によれば、全体の目的は、ボディ装着可能な医療装置に電力を与えているバッテリをテストする方法によって達成される。バッテリはバッテリ接点を介して接触されて、コンデンサはバッテリ接点との並列の電気的配置で配置される。方法は、バッテリテストを実行することを含む。バッテリテストは、第1の時点t1のコンデンサ電圧Uの値として第1のコンデンサ電圧U1を決定することと、第2の時点t2のコンデンサ電圧の値として第2のコンデンサ電圧U2を決定することとを含む。方法は、第1の時点t1と第2の時点t2の間、テスト電流を引き出すことをさらに含む。方法は、第1のコンデンサ電圧U1と第2のコンデンサ電圧U2間の電圧差から、および/または第1の時点t1と第2の時点t2の間の時間差から、バッテリの充電状態を決定することをさらに含む。
【0012】
本開示によるバッテリをテストする方法は、特に本開示によるボディウェアラブル医療装置によって実行することができる。したがって、デバイスとの関連で示される開示、説明および実施例は、相似した方法にあてはまり、逆もまた同じである。
【0013】
コンデンサ電圧Uは、コンデンサ接点の間で測定される電圧、すなわちコンデンサにわたっての電圧降下に直接対応することができる。以下でさらに詳細に述べるように、コンデンサ電圧Uは、その代わりにフィルタリングされ、特にローパスフィルタリングされてもよい。このような実施形態では、コンデンサ電圧Uは、フィルタリングによって、特にローパスフィルタリングによって、コンデンサ上の電圧降下から得られる。
【0014】
「ボディウェアラブル医療装置」という語句は、例えば、粘着パッドを介して体に直接取り付けられてユーザによって携行されるか、例えば、ベルトクリップを介してもしくはズボンのポケットの中で体に近づけて携行されるように設計されている、体外治療および/または診断用医療装置に関する。ボディウェアラブル医療装置は、典型的には、実質的に連続的に昼夜にわたり、例えば最大数週間までの何日間もの長期の間、ユーザによって携行されるように設計されている。このタイプのデバイスは、移動式医療装置とも呼ばれる。以下の大部分で想定するいくつかの実施形態において、ボディウェアラブル医療装置は、インスリンポンプおよび連続グルコース測定装置の少なくとも一方であるか、または少なくとも一方を含む。
【0015】
テスト電流が引き出される期間または時間は、本明細書で「テスト放電間隔」と呼ばれる。テスト電流が、テスト放電間隔の間に、そして、特に第1の時点t1と第2の時点t2の間に、必ずしも一定であるわけではないことに注意されたい。しかしながら、いくつかの実施形態では、テスト電流は一定である。
【0016】
バッテリは様々なタイプであってよく、例えば、アルカリタイプ、リチウムタイプまたは空気亜鉛電池でもよく、例えば、AA電池、AAA電池またはボタン電池であってもよい。典型的公称バッテリ電圧は、例えば、1.2V~1.6Vの範囲にあってもよい。
【0017】
バッテリテストの間にテスト電流を引き出す負荷は、テスト負荷と呼ばれる。テスト負荷は、バッテリをテストするために特に設計されて設けられている負荷でもよい。しかしながら、以下でより明らかになるように、テスト負荷は、コンポーネント、アセンブリまたは機能ユニットなどの医療装置に存在し、そして医療装置の全体的な動作に関連がある別の負荷でもよい。テスト負荷の大きな要件は、それが明確に定めた方法で電流または電力を引き出すことによってバッテリにストレスを与えるということである。
【0018】
いくつかの実施形態では、制御ユニットはコンピューティング回路を含み、コンピューティング回路が基準ルーチンを実行するように構成されており、テスト電流は基準ルーチンの実行に起因してコンピューティング回路によって引き出される。方法はコンピューティング回路によって基準ルーチンを実行することを含むことができて、テスト電流は基準ルーチンの実行に起因してコンピューティング回路によって引き出される。基準ルーチンは、実行されると、結果としてコンピューティング回路によって引き出される明確に定められた消費電力または電流を得る、コンピューティングルーチンである。基準ルーチンは、原理的に、例えば開ループにおけるバッテリテストのために十分な期間にわたって実行されることができる、任意のルーチンであってよい。例えば、基準ルーチンは、制御ユニットまたはコンピューティング回路の内部メモリのためのメモリテストルーチンでもよい。追加的に引き出されるが基準ルーチンを実行しているコンピューティング回路によって生じるものではないさらなる電流は、テスト電流と見なされない。
【0019】
移動式医療装置およびバッテリをテストする対応する方法のいくつかの実施形態において、テスト電流は移動式医療装置またはその部品、例えば制御ユニットおよび/またはバッテリテストユニットを、スリープモードまたは低電力モードから動作モードへ切り替えることから起こる電流である。医療装置の典型的な実施形態では、制御ユニットまたはその部品は、大部分の時間の間は最小の消費電力のスリープモードまたは低電力モードで作動する。スリープモードまたは低電力モードでは、移動式医療装置の一部および、特に制御ユニットの一部だけが電力を供給される。電力供給される制御ユニットの部分は、特に、結果として移動式医療装置および/またはその制御ユニットを制御ユニットが完全に電力供給される完全動作モードに切り替えることになるタイマユニットおよび/または割り込み監視ユニットを含むことができる。タイマユニットは、所与の時間間隔、例えば、3分など、数分の間において、スリープモードまたは低電力モードから完全動作モードへの切り替えを特に制御することができる。移動式医療装置および/またはその制御ユニットを完全動作モードに切り替えた後に、移動式薬物注入装置は医療機能を実行することができ、例えばインスリンポンプの場合には基礎インスリン投与を実行すること、または、グルコース測定装置の場合には連続グルコースセンサから信号を評価することによってグルコース測定を実行することができる。さらに、タイマユニットは、例えば1時間、12時間もしくは24時間の所定の時間間隔で、または1日の所定の時刻に、移動式医療装置の定期的な機能チェックなど、さらなる動作のために、完全動作モードへの切り替えを制御することができる。割り込み監視ユニットは、予定されていないイベント、例えばエラー条件の発生またはユーザインタフェースによるユーザインタラクションの発生に反応して、この場合完全動作状態に切り替えを制御するように設計されていてもよい。引き出される電流が、低電力モードまたはスリープモードと比較して、完全動作モードではより高いので、電流差はテスト電流として役立ち得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、バッテリテストユニットは、繰り返しバッテリテストを実行するように設計されている。バッテリをテストする方法は、繰り返しバッテリテストを実行することを含むことができる。バッテリテストは、時間制御された方法で、例えば、24時間ごと、12時間ごと、または、1時間ごと、30分ごとまたは15分ごとに実行することができる。テスト負荷がバッテリテストの用途のためだけに設けられているのではない負荷である実施形態においては、テスト負荷がボディウェアラブル医療装置の一般の動作に従って電力を供給されるときに、バッテリテストを実行することができる。バッテリテストを実行することは、制御ユニットによって起動することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、ボディウェアラブル医療装置は、少なくとも1つのアラート装置、例えば、音響トランスデューサ、ページャバイブレータのような触覚インジケータおよび、光インジケータ、例えばディスプレイ、LED等を含む。制御ユニットは、バッテリテストで決定されたバッテリの充電状態が低いときに、低電圧アラートの生成を起動するように設計されていてもよい。好都合に、アラートは、バッテリが、例えば数時間、1日などのさらなる期間の間、デバイスにさらに電力供給する能力をまだ有する時点で提供される。
【0022】
第1の時点t1は、テスト電流を引き出すことの開始によって決定される。第2の時点t2は、コンデンサ電圧が、テスト電流が引き出されている状態で安定するように、決定される。第2の時点t2は、したがって、コンデンサ電圧が安定した時、すなわち、許容限界の中で一定であるか、実質的に一定である時点である。
【0023】
第1の時点t1は、テスト電流の引き出しの開始またはテスト放電間隔の開始の時点、またはその前、典型的には直前でもよい。特に、第1の時点t1の電圧である第1のコンデンサ電圧U1は、テスト放電間隔の開始時点の電圧に対応するかまたは実質的に対応し、いかなる偏移も必要測定精度からみてごくわずかである。第1の時点t1は原則として、テスト放電間隔の開始またはテスト負荷をバッテリおよびコンデンサに接続することの直後で、電圧がテスト負荷を接続することまたはテスト電流を引き出すことに起因して著しく変化する前であってもよい。
【0024】
第2の時点t2で、テスト負荷を切断することができるか、またはテスト電流を引き出すことを停止することができる。しかしながら、原則として、テスト負荷はバッテリとコンデンサに接続しているままであってもよく、テスト電流を引き出すことは第2の時点t2の後に継続されてもよい。このような実施形態では、最初に第2のコンデンサ電圧U2が測定され、その後テスト放電を引き出すことが停止される。典型的な実施形態では、第1の時点t1はテスト放電間隔の開始時であって、第2の時点t2はテスト放電間隔の終了時である。このような実施形態では、テスト電流が引き出される時間は、第1の時点t1と第2の時点t2の間の時間差に等しいかまたは実質的に等しい。
【0025】
本明細書に説明されるボディウェアラブル医療装置の設計およびバッテリテストユニットの動作が特に好都合であることが分かる。最初に、コンデンサは、比較的高いピーク電流を短期間に引き出す能力を増加させる。ピーク電流を引き出す場合、対応するエネルギーはコンデンサによって供給され、それに応じてこれが放電されて、その後バッテリから再充電される。このようなピーク電流は、例えば電動アクチュエータを起動させるときのその通常の動作に従って医療装置によって引き出される電流でもよい。バッテリテストユニットのいくつかの設計において、ピーク電流は、バッテリテストの状況におけるテスト電流であり得る。さらに、コンデンサは、特に機械的振動および衝撃から生じる場合がある電源の短い中断をブリッジングする。
【0026】
デバイスによって引き出される電流が無いかまたはごくわずかである負荷無しの状態では、コンデンサは、通常、バッテリの負荷無し電圧まで充電される。典型的ボディウェアラブル医療装置、例えばインスリンポンプおよび連続グルコース測定装置に対して、電子部品が特に最小の消費電力のために最適化されるので、ほとんどの時間はこの状況になる。無視できない電流が引き出される場合、コンデンサは部分的に放電されて、負荷下の低い定常状態電圧が漸近的な形で、ある程度の時間後に想定される。負荷下の定常状態電圧は、負荷無し電圧、内部バッテリ抵抗、バッテリ接点の接触抵抗および引き出される電流によって主に決定される。コンデンサ放電の時定数、およびしたがって、その時間後に負荷下の定常状態電圧が想定される時間は、内部バッテリ抵抗、接触抵抗およびコンデンサの容量で決定される。以下において、「実効内部抵抗」という語句は、内部バッテリ抵抗とバッテリ接点の接触抵抗の合計に対して使われる。
【0027】
第1のコンデンサ電圧と第2のコンデンサ電圧の間の電圧差、および/または第1の時点t1と第2の時点t2の間の時間差を評価することに基づくバッテリテストが、多種多様なバッテリおよび、例えば40℃または90%の相対湿度までの高温および/または高湿度条件を含んでいる環境条件に対して、バッテリの充電状態について信頼性が高い決定を可能にすることが分かった。
【0028】
負荷下での定常状態電圧への上記説明した電圧の低下も発生し、開始点が負荷無しの状態でない場合、同じ時定数を有するが、一定の基準電流がテスト放電間隔の前と間に引き出される、ということがさらに留意される。したがって、引き出された基準電流が一定である限り、負荷無しの状態は必要とされない。
【0029】
いくつかの実施形態では、ボディウェアラブル医療装置は、ユーザが自分で交換可能な方法でバッテリを受けるように設計されたバッテリ容器を含む。他の実施形態では、バッテリは、バッテリが空になれば全体として交換される、ボディウェアラブル医療装置の一体化部品である。さらなる実施形態では、ボディウェアラブル医療装置はモジュール方式で設計されており、バッテリを含む使い捨てモジュールならびに、さらなるコンポーネントおよび/またはユニット、例えば制御ユニットを含む、耐久モジュールを有する。
【0030】
バッテリの充電状態の基準として、第1のコンデンサ電圧U1と第2のコンデンサ電圧U2の間の電圧差を使用することができる。電圧差は閾値電圧差と比較されてもよくて、閾値電圧差を超えた場合、アラートまたはアラームは発生させることができる。いくつかの実施形態では、閾値電圧差は、使われるバッテリタイプにより選択可能でもよいか、調節可能でもよい。典型的閾値電圧差は、例えば0.1V~0.5V、0.7V~1Vの範囲である。この差は、医療装置の正確な動作が低い電圧でなされるように選択されなければならない。医療装置のいくつかまたはすべてのコンポーネントまたは機能ユニットがステップアップ電圧コンバータ(DC-DCコンバータ)を介して電源供給される実施形態においては、電圧コンバータの最小入力電圧が、この文脈において考察されることを必要とする。
【0031】
いくつかの実施形態では、コンデンサ電圧のための絶対電圧閾値が、バッテリのさらなる追加の充電状態として使用される。このような絶対電圧閾値は、例えば0.7V~1Vの典型的な範囲にあり得る。このような実施形態では、空であるか消耗したバッテリのいずれかの基準が満たされる場合、特に、閾値電圧差を超過し、および/または絶対電圧閾値が下回る場合、アラームまたはアラートを発生させることができる。
【0032】
テスト電流が引き出される一方で、第2のコンデンサ電圧U2が定常状態条件で決定される上記のタイプの実施形態は、基準電流、すなわち、テスト負荷から生じている電流に加えてデバイスによって引き出される電流が、テスト放電間隔の間一定であることを必要とする。この目的のために、制御ユニットは、バッテリテストまたはテスト放電間隔の間のユーザインタラクションを無効化またはブロッキングするように構成されていてもよく、方法は、無効化またはブロッキングすることを含んでもよい。消費電力の変化は、ユーザインタラクションとしばしば関連付けられる。さらに、制御ユニットは、基準電流がテスト放電間隔の間一定であるかさらには無視できるほどになるように、バッテリテストの起動を予定するように構成することができる。この文脈において、インスリンポンプまたは連続グルコース測定装置などのボディウェアラブル医療装置が通常は、動作を、特にデバイスの治療的なおよび/または診断機能に関連した動作を、消費電力およびしたがって引き出される電流と関連付けられた動作で、時間依存スケジュール通りに実行することを理解されたい。特に、インスリン注入ポンプは、一般に、実質的に連続的な方法で、漸増量のインスリンを数分ごとに漸増的に注入するように設計されている。同様に、連続グルコース測定装置は、所与の時間間隔で、例えば1分ごとか5分ごとに測定を実行して、通常は測定結果を外部か遠隔の受信機装置に発信するように設計されていてもよい。制御ユニットは、それに応じてこのような動作の間にバッテリテストの実行を起動するように構成することができる。さらなる実施形態において、制御ユニットおよび/またはバッテリテストユニットは、バッテリテストまたはテスト放電間隔の間に基準電流の変化を検出し、そしてこの場合、バッテリテストを停止させるかまたは中止するように設計されていてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、第1の時点t1と第2の時点t2の間の時間差または、テスト電流が引き出される時間としてのテスト放電間隔の期間は、予め定められており、バッテリの充電状態は第1のコンデンサ電圧U1と第2のコンデンサ電圧U2の間に電圧差から決定される。このような実施形態において、テスト放電間隔は、コンデンサ電圧Uが期待される動作状態の下で第2の時点t2の前に定常状態に達していることを確実にするように、十分に長く選択されなければならない。いくつかの実施形態では、テスト電流は15秒以上、特に30秒から60秒引き出される。この種の実施形態は、バッテリテストが特に単純で、継続的電圧モニタリングが必要とされない限り、有益である。
【0034】
代替的な実施形態では、バッテリテストユニットは、テスト電流が引き出されている間に、コンデンサ電圧Uを連続的にモニタして、モニタされたコンデンサ電圧Uから、第2の時点t2を決定するように構成されている。所定のテスト放電間隔でバッテリテストを実行するよりはむしろ、それは、コンデンサ電圧Uの定常状態に達するときに、進行中のバッテリテストの間にコンデンサ電圧Uから決定される。テスト放電間隔またはその期間は、それに応じて可変的である。コンデンサ電圧Uが定常状態に達しているとは、コンデンサ電圧Uが一定か、実質的に一定のままであることを意味する。一定か、実質的に一定のままであるコンデンサ電圧Uは、第2の時点t2で、またはテスト放電間隔の終わりで、ゼロであるかまたは無視できるほどであるコンデンサを通したコンデンサ電流に対応する。コンデンサ電圧Uをモニタすることと同等に、コンデンサ電流をそれに応じてモニタすることができる。コンデンサ電流は減少するが、テスト電流は、減衰関数、減衰指数関数などに従って引き出されることを理解すべきである。したがって、一定のコンデンサ電圧またはゼロコンデンサ電流は漸近的に仮定されるだけである。方法は、テスト電流が引き出されている間、コンデンサ電圧Uを連続的にモニタして、モニタされたコンデンサ電圧Uから第2の時点t2を決定することを含むことができる。
【0035】
前に説明した可変のテスト放電間隔を有するいくつかの実施形態では、バッテリテストユニットは、コンデンサ電圧Uの変動が所定の時間にわたって所定の電圧変動閾値を超えないと決定することによって、第2の時点t2を決定するように構成されている。方法は、コンデンサ電圧Uの変動が所定の時間にわたって所定の電圧変動閾値を超えないと決定することによって、第2の時点t2を決定することを含むことができる。例えば、基準は、コンデンサ電圧変動が、1秒の時間間隔で採取される測定値で、コンデンサ電圧Uの10回を超える連続測定値にわたって10mVの範囲内にとどまる、ということでもよい。上述し、さらに以下で説明されるように、コンデンサ電圧Uは、フィルタリング、特にローパスフィルタリングされてもよい。
【0036】
さらなる代わりのアプローチでは、第1のコンデンサ電圧U1と第2のコンデンサ電圧U2間の電圧差は予め定められて、バッテリの充電状態は第1の時点t1と第2の時点t2の間の時間差から決定される。
【0037】
テスト負荷によって引き出される電流は、比較的低く、そして数ミリアンペアの典型的な範囲、例えば5mA~25mAの範囲で、例えば10mA~20mAの範囲であってもよく、そうであるのが好都合である。テスト負荷によって引き出される電流は、移動式医療装置に電力供給するために必要とされる最小限の電圧を下回って電圧破壊を引き起こすことなく、寿命の終わりに近いバッテリから引き出されることができる閾値電流よりも低くなければならない。いくつかの典型的な実施形態では、テスト電流は、15秒を超えて、特に30秒~120秒にわたって引き出される。
【0038】
いくつかの実施形態では、バッテリテストユニットは、バッテリテストを実行する前に、コンデンサ電圧Uが安定しているかどうかを決定するように構成されており、さらにバッテリ電圧Uが不安定である場合にはバッテリテストを実行しないように構成されている。方法は、バッテリテストを実行する前に、コンデンサ電圧Uが安定しているかどうかを決定し、バッテリ電圧Uが不安定である場合にはバッテリテストを実行しないことを含むことができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、バッテリテストユニットは、コンデンサ電圧Uの定常状態が第1の時点t1の後のタイムアウト間隔以内に見られない場合、進行中のバッテリテストを中止して、テスト電流を引き出すのを停止するように構成されている。いくつかの実施形態では、方法は、コンデンサ電圧Uの定常状態が第1の時点t1の後のタイムアウト間隔以内に見られない場合、進行中のバッテリテストを中止して、テスト電流を引き出すのを停止することを含む。タイムアウト間隔は、その後では定常状態に達しなければならない時間間隔であり、例えば、60秒から120秒の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、バッテリテストユニットは、ローパスフィルタを含み、さらに、コンデンサ上の電圧降下U*をローパスフィルタリングすることによってコンデンサ電圧Uを決定するように構成されている。方法は、コンデンサ上の電圧降下U*をローパスフィルタリングすることによってコンデンサ電圧Uを決定することを含むことができる。このような実施形態では、コンデンサ電圧は、それに応じてフィルタ処理コンデンサ電圧である。コンデンサ上の未処理の電圧降下U*よりもむしろ、フィルタリングされた、特にローパスフィルタリングされた電圧を評価することは、バッテリテストの時間を含む正規の動作の間に通常発生する電流ピークがフィルタリングされて、測定を歪めないという利点がある。このような電流ピークは、例えば、制御回路の、特にマイクロコンピュータまたはマイクロコントローラのバックグラウンド動作から生じる。
【0040】
フィルタリングは、アナログフィルタ、デジタルフィルタまたは両方の組合せを介して実行することができる。前に説明されたローパスフィルタを有するいくつかの実施形態では、ローパスフィルタは、移動平均フィルタなどの有限インパルス応答(FIR)フィルタである。例えば、電圧降下U*は1秒の測定レートによってサンプリングされるかまたは測定されて、コンデンサ電圧Uは10個の測定値またはサンプルにわたる移動平均によって決定される。
【0041】
さらなるタイプのバッテリテストユニットでは、第2のコンデンサ電圧U2は、コンデンサ電流がゼロであるかまたはコンデンサ電流が一定である時点で決定されない。その代わりに、第2の時点t2の第2のコンデンサ電圧測定は、第1の時点t1の比較的直後に、かつ負荷下の定常状態に達する実質的に前に実行される。第1の時点t1は、好ましくは、テスト負荷がコンデンサおよびバッテリに接続される時点、またはその直前である。いくつかの実施形態では、テスト電流は、1秒以下の時間にわたって引き出される。
【0042】
このタイプの設計のためのテスト放電間隔における著しいかまたは充分な電圧降下を確実にするために、テスト負荷によって引き出される電流は、このタイプの実施形態には比較的高く、例えば、100mAから200mAまでの範囲にあるかまたは200mAを超えさえする。
【0043】
さらなるタイプのボディウェアラブル医療装置は、前に説明したように、通常、類似の方法で設計することができる。しかしながら、バッテリテストユニットの設計および動作ならびにバッテリテストは、いくらか異なってもよい。ここで、バッテリテストは、テスト電流を引き出すことを含む。バッテリテストは、テスト電流を引き出すことの後に第1の時点t1で第1のコンデンサ電圧U1を決定して、第1の時点t1の後に、第2の時点t2で第2のコンデンサ電圧U2を決定することをさらに含む。バッテリテストは、第1のコンデンサ電圧U1と第2のコンデンサ電圧U2間の電圧差から、および/または第1の時点t1と第2の時点t2間の時間差から、バッテリの充電状態を決定することをさらに含む。
【0044】
バッテリ装着可能な医療装置に電力供給するバッテリをテストするさらなる方法では、バッテリは、バッテリ接点およびバッテリ接点と並列の電気的配置に配置されているコンデンサを介して接触される。方法は、バッテリテストを実行することを含む。バッテリテストは、テスト電流を引き出すことを含む。方法は、テスト電流を引き出すことの後に第1の時点t1に第1のコンデンサ電圧U1を決定し、第1の時点t1の後に、第2の時点t2に第2のコンデンサ電圧U2を決定することをさらに含む。方法は、第1のコンデンサ電圧U1と第2のコンデンサ電圧U2間の電圧差から、および/または第1の時点t1と第2の時点t2の間の時間差から、バッテリの充電状態を決定することをさらに含む。
【0045】
バッテリをテストするさらなる方法は、開示されるようなさらなるボディウェアラブル医療装置、本開示によるボディウェアラブル医療装置によって、特に実行することができる。
【0046】
このタイプのデバイスおよび方法のために、バッテリテストは、テスト放電間隔の開始時および終了時または前後に実行されるのではなく、テスト放電間隔の後に実行される。第1の時点t1は、好適には、テスト負荷がコンデンサおよびバッテリから分離されるときまたはその直後の、テスト放電間隔の終了時にある。
【0047】
テスト負荷が切り離されると、コンデンサが再充電され、すなわち、コンデンサ電圧は、容量および実効抵抗に依存する時定数によって増加する。特に、時定数は、実効内部抵抗によって増加する。前の説明に類似して、第1のコンデンサ電圧U1と第2のコンデンサ電圧U2との間の電圧差が決定されるか、バッテリからの充電状態が時間差から決定されるかのいずれかとし、その逆であってもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、ボディウェアラブル医療装置は、定電流の電流テスト負荷もしくは一定抵抗のテスト負荷、またはテスト負荷としてのLEDを含む。いくつかの実施形態では、テスト負荷は、ボディウェアラブル医療装置の電動アクチュエータである。テスト負荷としてのものとなり得るLEDは、例えば、デバイスユーザのための表示デバイスとして設けられているLEDであってもよい。あるいは、LEDは、センサの発光装置、例えば、インスリン注入ポンプの光電子気泡センサまたは圧力センサでもよい。さらなる実施形態では、LEDは、監視および/または制御目的のためのアクチュエータ、例えばモータに結合されていてもよいエンコーダの発光素子である。その比較的低い消費電力に起因して、LEDは特に、前に説明されているように、第2のコンデンサ電圧U2が負荷下で定常状態において決定され、テスト放電間隔が比較的長い実施形態のテスト負荷としての役割を果たすことができる。
【0049】
テスト負荷としての電動アクチュエータは、例えば、回転モータ、例えばDCモータ、ステッパーモータ、またはブラシレスDCモータまたは薬物注入ポンプのソレノイドアクチュエータでもよい。このようなアクチュエータは、制御ユニットの制御下で液体を投与するための薬物注入ポンプに存在する。比較的高い消費電力のため、電動アクチュエータは、第2のコンデンサ電圧測定が、テスト負荷を接続した直後に、かつ負荷下の定常状態に達する前になされる実施形態において、そして、電圧測定が、テスト負荷を分離した後にコンデンサの再充電の間になされるデバイスにおいて、テスト負荷として特に適している。
【0050】
テスト負荷がボディウェアラブル医療装置の電動アクチュエータである実施形態において、バッテリテストを実行することが医療装置の別の動作、例えば、前に説明した漸増的薬剤注入と関係していることに留意されたい。制御ユニットは、電動アクチュエータの始動と、特にアクチュエータの作動と調整された方法でバッテリテストの実行を起動するように構成することができる。インスリンポンプデバイスまたは一般には、薬物注入ポンプデバイスのために、制御ユニットは、通常基礎注入スケジュールに従って、周期的に電動アクチュエータの始動を制御するように構成することができる。いくつかの実施形態では、制御ユニットは、電動アクチュエータを始動させることとともにバッテリテストの実行を起動するように構成されている。テスト放電間隔は、電動アクチュエータの始動時間に対応する。テスト負荷の接続および切断は、アクチュエータ始動の開始および停止と同時である。
【0051】
いくつかの実施形態では、ボディウェアラブル医療装置はステップアップ電圧コンバータを含んでおり、テスト負荷はステップアップ電圧コンバータの高電圧の側に配置される。方法は、ステップアップ電圧コンバータの高電圧の側でテスト電流を引き出すことを含むことができる。しかしながら、テスト電流は、例えばコンデンサに並列配置された負荷によって、ステップアップコンバータの低圧側で引き出すこともできる。
【0052】
いくつかの実施形態では、バッテリ接点は接点ばねを含み、接点ばねがバッテリを浮動式に保持する。このタイプのデバイスに対して、本発明によるバッテリテストは、特に好都合である。接点ばねの接触抵抗は、相当な範囲で変化する可能性があり、バッテリの内部抵抗に類似しているか、またはさらに大きいものでさえあり得、現状技術から公知である内部抵抗の決定を不可能ではなくとも困難にする結果となる。さらに、バッテリの浮動配置は、電力または電流ピークと同時に発生する機械的衝撃などの不都合な条件の下で、医療装置が動作を終了して、および/またはリセットルーチンを実行する、完全な電源故障の結果となる場合がある。本発明によれば、これは、電源の短い中断をブリッジングするコンデンサを介して防止される。電力または電流ピークは、ボディウェアラブル医療装置の一般の動作、例えば、アクチュエータの始動の結果生じ得、および/または、バッテリテストによって引き起こされ得る。前に説明したように、いくつかの実施形態は、バッテリテストのために引き出される比較的小さい電流を必要とするだけである点に特に留意されたい。コンデンサと組み合わせて、バッテリから潜在的に危険なピーク電流を引き出すことは、完全に回避することができる。
【0053】
前に説明したように、コンデンサの充放電は、内部バッテリ抵抗および接触抵抗の合計としての実効内部抵抗に依存する。バッテリテストユニットは、それに応じて第1の時点t1と第2の時点t2間の時間差および/または第1のコンデンサ電圧U1と第2のコンデンサ電圧U2間の電圧差、実効内部抵抗から決定するように設計されていてもよい。バッテリテストユニットは、決定された実効抵抗が所定の抵抗閾値を超える場合、アラートの生成を起動するようにさらに構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】移動式医療装置を概略機能図として示す図である。
図2】バッテリテストのための実施形態と関連した、時間の関数としてコンデンサ電圧を示す図である。
図3】バッテリテストのためのさらなる実施形態と関連した、時間の関数としてコンデンサ電圧を示す図である。
図4】さらなる移動式医療装置を概略機能図として示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下では、まず図1を参照する。図1は、概略機能図において例示的なボディウェアラブル医療装置として、バッテリ2とともにインスリンポンプ1を示す。さらなる実施例において、医療装置は、連続グルコース測定装置である。
【0056】
バッテリ2は、開路電圧Unの理想的なバッテリ21および理想的なバッテリ21と直列の内部抵抗Riの内部抵抗器22によって表される。
インスリンポンプ1は、バッテリ2が交換可能な方法で挿入されるバッテリコンパートメントを有するハウジングを含む。バッテリ2は、例えば、AAまたはAAA電池またはコイン電池であってもよく、空気亜鉛、酸化銀またはアルカリなどの、種々の電気化学設計を有してもよい。バッテリコンパートメントの中で、電気的にバッテリ2に接触して、同時に機械的に支持するためのバッテリ接点が設けられている。なお、実際的な実施形態では、(バッテリの2つの極用の)2つの接点が存在し、各々が接触抵抗を有する。バッテリ接点のいずれかまたは両方は、接点ばねとして実現することができる。簡潔に説明するために、バッテリ接点は、接触抵抗Rkを有する組合せ接点抵抗器11として示される。組合せにおいて、内部抵抗Riおよび接触抵抗Rkは、実効内部抵抗を形成する。
【0057】
開路電圧Unおよび内部抵抗は、通常、一定ではなく、経時的に変化する。通常、開路電圧Unが減少する一方で、内部抵抗Ri増加する。特に、通常インスリンポンプおよび他のボディウェアラブルデバイスでのケースである低出力用途においては、開路電圧Unは実質的にバッテリ寿命にわたって一定のままである。内部抵抗Riおよび接触抵抗Rkは、特にバッテリタイプおよび個々の変動および許容誤差に依存して、相当な範囲において値が変化し得る。亜鉛空気バッテリを有する典型的設計のための例として、接触抵抗は200mΩの範囲にあり得るが、バッテリの内部抵抗Riは、許容誤差に起因して、また充電状態に依存して、5Ω~20Ωの範囲において変動し得る。
【0058】
インスリンポンプ1の回路は、バッテリ2またはバッテリ接点と並列の容量Cの(大型)コンデンサ12を含む。容量Cは280mFであってもよい。
薬物注入ポンプ1は、典型的には対応するソフトウェア/ファームウェアを実行する1つまたは複数のマイクロコントローラによって実現される制御ユニット14、ならびに関連した電子工学コンポーネントをさらに含むことができる。制御ユニット14の機能部は、さらに後述するようにバッテリテストユニット141である。
【0059】
薬物注入ポンプ1は、例示的にはステッパーモータ、DCモータまたはブラシレスDCモータによって実現される電動アクチュエータ15をさらに含む。電動アクチュエータ15は、作動中に、制御され計量されたインスリンの注入のためにインスリン貯蔵部(図示せず)に連結する。例えば、インスリンポンプ1は電動アクチュエータを始動するときに、インスリン貯蔵部のピストンが制御された方法で移動されるいわゆる注射器駆動装置として設計され、それにより、注射器のような方法でインスリンをインスリン貯蔵部から押し出す。電動アクチュエータ15は、制御ユニット14によって制御されて、基礎注入として実質的に連続的な方法で漸増量のインスリンを注入し、漸増量の注入が数分ごとに実行される。基礎注入は、通常は周期的な、例えば、24時間周期の時間依存基礎注入スケジュールに従って実行される。加えて、制御ユニット14は、要求に応じて、典型的により大きいインスリン量の注入(ボーラス注入)のために電動アクチュエータ15を始動するように構成されている。
【0060】
インスリンポンプ1は、視覚表示装置、例えばディスプレイ、音響表示装置、例えばブザーまたはスピーカおよび、触覚型表示装置、例えばページャバイブレータのうち1つまたは複数を含むことができるアラート装置16をさらに含む。
【0061】
インスリンポンプ1は、コマンドを入力するためのユーザインタフェースなどのコンポーネントおよび、1つまたは複数の通信インタフェース、特に、外部デバイス、例えばリモコンとのデータ交換のための無線通信インタフェースをさらに含むことができる。
【0062】
インスリンポンプ1は、バッテリテストユニット141によって切り替え可能であるテスト負荷13をさらに含む。テスト負荷13は典型的には抵抗器として示されているが、それは必須ではない。テスト負荷13は、定電流テスト負荷または消費物、特にインスリンポンプ1のLEDでもよい。テスト負荷13は、別に示されるが、バッテリテストユニット141の機能要素と考えることができることに留意されたい。
【0063】
バッテリテストユニット141は、制御ユニット14の制御下でバッテリテストを実行するように構成されている。制御ユニット14は、バッテリテストを、例えば1時間ごと、30分ごと、15分ごと、1日に1回または1日に2回、開始することができる。しかしながら、他のテスト間隔を使うこともできる。バッテリテストユニット141は、実効内部抵抗Ri+Rk上の電圧降下によって減じられた、開路電圧Unに対応するコンデンサ電圧Uを決定するようにさらに構成される。図1の実施形態において、例示としてローパスフィルタリングは実行されないが、測定されて評価されたコンデンサ電圧Uはコンデンサ12上の電圧降下U*に直接対応する。しかしながら、フィルタリング、特にローパスフィルタリングは、上述の概要ならびに以下でもさらに説明するように、任意選択的に実行されることができる。
【0064】
任意選択的に、ステップアップ電圧コンバータ17は、コンデンサ12およびバッテリ2をステップアップ電圧コンバータ17の低電圧側(1次側)に接続している形で存在してもよい。ボディ装着可能な医療装置1のいくつかまたはすべての負荷は、ステップアップ電圧コンバータ17の高電圧側(2次側)に接続することができる。これは、特にテスト負荷13および/または電動アクチュエータ15について該当することがある。また、制御ユニット14は、高電圧側を介して電力を供給されてもよい。
【0065】
以下では、加えて、図2を参照する。図2は、定性的および図式的な方法で、バッテリテストのための時間tの関数として、バッテリテストユニット141によって決定されたコンデンサ電圧U(実線)およびバッテリ電流I(破線)を示す。
【0066】
バッテリテストの前に、そして、それの間に、一定であるか準一定のバッテリ電流I0が存在し得る。説明されるように、バッテリ電流は、一般の装置動作および特に、マイクロコントローラおよび/またはマイクロプロセッサなどのコンポーネントの規則的な起動に起因して、ピークを示すことがあり得る。テスト負荷13を接続するためのスイッチは開いており、システム全体は定常状態にあると見なされる。バッテリテストは、第1のコンデンサ電圧U1としてコンデンサ電圧Uを決定することにより第1の時点t1で始まる。無視できるほどの基準電流I0に対して、第1のコンデンサ電圧U1は、開路電圧Unに対応し、無視できない基準電流I0に対して、それは、実効内部抵抗Ri+Rk上の電圧降下によって減じられる。第1のコンデンサ電圧U1を決定することに続いて、バッテリテストユニット141はスイッチを制御してテスト負荷13を接続して閉じ、テスト負荷13が接続されて、追加のテスト負荷電流Iloadが生じる。ここで、テスト負荷電流Iloadは、一定と見なされ、数ミリアンペアの範囲にある。結果として、コンデンサ電圧Uは減衰指数関数に従って減少し、バッテリ電流Iはそれに応じて増加する。第2の時点t2で、バッテリテストユニット141は、下位の第2のコンデンサ電圧U2としてコンデンサ電圧Uを決定する。テスト放電間隔としての時間差t2-t1は、テストユニット141によって予め定められて、コンデンサ電圧Uおよびバッテリ電流Iが負荷下で定常状態コンデンサ電圧およびバッテリ電流に安定化したように、コンデンサ電流が(漸近的に)ゼロとなることに対応して選択される。典型的な実装では、テスト放電間隔は、例えば、25秒、60秒または120秒である。第2の時点t2の後に、バッテリテストユニット141はスイッチを制御して開き、それにより、テスト負荷13を切断する。したがって、コンデンサ電圧Uおよびバッテリ電流Iは、減衰指数関数に従って初期値に戻る。
【0067】
第2の時点t2またはその後に、バッテリテストユニット141は、第1のコンデンサ電圧U1と第2のコンデンサ電圧U2との間の電圧差DUを、閾値電圧差とさらに比較する。アラートユニット16が始動され、電圧差DUが閾値電圧差を超える場合にはそれに応じてユーザアラートが発生する。典型的実装において、閾値電圧差DUは、例えば、0.2Vであってもよい。
【0068】
前に説明したように、制御ユニット14は、定常状態の状況を確実にするために、バッテリテストの間および好ましくはその前のいくらかの時間にユーザインタラクションを防ぐように設計されていてもよい。あるいは、制御ユニットは、このような状況ではバッテリテストを延期するように構成されていてもよい。さらに、バッテリテストユニット141は、アクチュエータ15の始動の間に、例えば、連続的な漸増的な基礎注入の間に、バッテリテストを始動するように構成されていてもよい。さらに、制御ユニット14および/またはバッテリテストユニット141は、バッテリテストを実行する前に、装置1が定常状態であるかどうか、すなわち、基準電流I0が一定であるかどうかを判定することができ、それが肯定される場合のみバッテリテストを実行することができる。さらに、制御ユニット14および/またはバッテリテストユニット141は、テスト放電間隔で、基準電流I0の変化を検出することができて、この場合はバッテリテストを停止させることができる。
【0069】
前に説明されたバッテリテストは、バッテリ寿命に相当な影響を有する、様々な電気化学バッテリ設計、バッテリ接触状態および、特に温度および湿度などの環境条件のための低電圧条件の、信頼性が高く十分に早期の検出に適していることが分かった。
【0070】
以下において、加えて、図3を参照する。図3は、バッテリテストユニット141のさらなる実施形態のための定性的および図式的な方法で、バッテリテストのための時間tの関数としてバッテリテストユニット141によって決定されるコンデンサ電圧Uを示す。
【0071】
図2の前に説明された実施形態とは対照的に、第2のコンデンサ電圧U2は、定常状態では測定されない。このタイプの実施形態によれば、バッテリテストユニットの動作およびテスト方法は、図2を参照して説明したもののと、原則として同じである。しかしながら、第2の時点t2およびしたがって所定のテスト放電間隔t2-t1は、かなりより短く、負荷下の定常状態には、第2の時点t2では到達していない。テスト放電間隔は、例えば、0.5秒から1秒までの範囲にある。第1のコンデンサ電圧U1と第2のコンデンサ電圧U2の間の十分な電圧差を確実にするために、テスト電流Iloadは、図2のケースと比較して、実質的により大きくてもよい。
【0072】
変化形においては、テスト放電間隔またはt1とt2間の期間は、予め定められない。その代わりに、第1のコンデンサ電圧U1と第2のコンデンサ電圧U2間の電圧差DUは、バッテリテストユニット141によって予め定められる。第1の時点t1でテスト放電間隔を始めた後に、コンデンサ電圧U2は、所定の電圧差DUに達するまで、連続的にモニタされ、それにより、第2の時点t2を定める。
【0073】
さらなる実施形態について、図3を参照して、そして第1または第2のコンデンサ電圧としてU1’、U2’を参照して、そして第1または第2の時点としてt1’、t2’を参照して、説明する。この実施形態は、全般に、前に説明した実施形態と類似している。しかしながら前の実施形態と対照的に、第1および第2のコンデンサ電圧測定はテスト負荷13を切断した後に行われて、そのとき、コンデンサ12は最初のコンデンサ電圧に再充電される。ここで、第1の時点t1’はテスト放電間隔の終わりに対応し、第1のコンデンサ電圧U1’は、それに応じて最小であるテスト放電間隔の終わりのコンデンサ電圧U2に対応する一方で、第2の時点t2’における第2のコンデンサ電圧U2’はより高い。所定のテスト放電間隔に対して、第1のコンデンサ電圧U1’と第2のコンデンサ電圧U2’間の電圧差は、閾値電圧差と比較されてもよく、アラートユニット16は、電圧差が閾値より低い場合に始動することができる。所定の電圧差に対して、第1の時点t1’と第2の時点t2’間の時間差は閾値時間差と比較されてもよく、アラートユニット16は、時間差が閾値時間差を超える場合に始動することができる。
【0074】
種々のタイプの負荷が多様な実施形態のテスト負荷13として役立つことができる一方で、電動アクチュエータ15は、同時に、その比較的高い消費電力に起因して、図3の実施形態でテスト負荷13として、特に好都合に役立つことができる。これらの実施形態では、制御ユニット14は、電動アクチュエータ15の始動とともにバッテリテストの実行を起動するように構成されている。電動アクチュエータ15の代わりに、比較的高いおよび明確に定められた消費特性の別の負荷、例えば、アラートユニット16のブザーまたはページャバイブレータが、テスト負荷として役立つことができる。
【0075】
以下では、加えて、図4を参照する。図4は、移動式医療装置のさらなる実施形態を概略機能図で示す。多くの態様において、図1の実施形態は、前に説明した図1図2の実施形態と類似している。簡潔性のために、以下の説明は図4の実施形態の差異および特定の特徴に焦点を当てている。
【0076】
図4の実施形態において、バッテリテストユニット141は、例示的に移動平均FIRフィルタとして実現されるローパスフィルタ141’を含む。本実施形態において、コンデンサ12上の電圧降下U*はコンデンサ電圧Uとして直接評価はされない。その代わりに、コンデンサ電圧Uは、ローパスフィルタ141’の出力としての電圧降下U*から決定される。ローパスフィルタ141’は、概要で述べられるように、例えばマイクロコントローラまたはマイクロコンピュータの対応するコードによって実装されることができ、寸法決めすることができる。
【0077】
さらに、本実施形態におけるテスト負荷13’は、「仮想」である。テスト電流Iloadは、概要で説明したように、メモリテストルーチンなどの基準ルーチンを実行する制御ユニット14を形成するかその一部であるコンピューティング回路によって引き出される。
【0078】
インスリンポンプの代わりに、ボディウェアラブル医療装置は、連続グルコース測定装置などの別のタイプの装置でもよい。このような実施形態では、参照番号15はグルコース測定ユニット、例えば、当技術分野において一般に公知の、ポテンシオスタットベースの電流測定ユニットを指すことができる。
図1
図2
図3
図4