(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】紙葉類処理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/30 20060101AFI20230316BHJP
G07D 11/14 20190101ALI20230316BHJP
B65H 31/24 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
B65H31/30
G07D11/14
B65H31/24
(21)【出願番号】P 2018171713
(22)【出願日】2018-09-13
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】森田 忠顕
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103136853(CN,A)
【文献】特開2018-020853(JP,A)
【文献】国際公開第2009/028072(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00-31/40
G07D 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を処理する紙葉類処理装置であって、
紙葉類を、当該紙葉類の長辺部が前記紙葉類処理装置の前後方向に沿うように収容する収容部と、
前記収容部に摺動可能に設けられ、前記収容部に収容される紙葉類を支持すると共に、一部が前記収容部の外部に突出するまで摺動して、支持している紙葉類を一部が前記収容部の外部に突出するまで、当該紙葉類の長辺部に沿う押し出し方向の前方に押し出
し、押し出した後に、紙葉類の取り出しを待たずに前記収容部内に戻る摺動ステージ部
と、
前記収容部に設けられ、前記摺動ステージ部に支持された紙葉類に当接する高摩擦部と、
を備え
、
前記高摩擦部は、前記摺動ステージ部が支持している紙葉類を前記一部が前記収容部の外部に突出するまで当該紙葉類の長辺部に沿う押し出し方向の前方に押し出した後に紙葉類の取り出しを待たずに前記収容部内に戻る際に、前記一部が前記収容部の外部に突出した状態の紙葉類と当接して、紙葉類を前記一部が前記収容部から突出した状態に維持する
ことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記摺動ステージ部は、前記押し出し方向の前端部に、前記押し出し方向の前方に突出して紙葉類を支持する突出部と、紙葉類を突出させる切欠部とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
前記摺動ステージ部は、水平に対し斜めに設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
前記摺動ステージ部は、揺動可能に設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の紙葉類処理装置。
【請求項5】
前記摺動ステージ部は、
紙葉類を支持する支持ステージと、
前記支持ステージで支持された紙葉類の前記押し出し方向の後端部に当接可能な押出ステージとを有しており、
前記押出ステージは、紙葉類と当接する押出面を有する押出主体部と、前記押出主体部から延出する延長押出部とを有することを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の紙葉類処理装置。
【請求項6】
前記摺動ステージ部は、支持する紙葉類の前記押し出し方向の長さに応じて摺動量が制御されることを特徴とする請求項1から
5の何れか一項に記載の紙葉類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙葉類を処理する紙葉類処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のような従来の紙葉類処理装置は、受入口に集積状態で投入された紙葉類を機内に一枚ずつ取り込み、受入口から取り込まれた紙葉類を搬送する搬送路上に設けられた識別部で識別し、識別部で識別された種別に応じて紙葉類を収容部に分類して外部に取り出し可能に収容する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような従来の紙葉類処理装置では、収容部内に収容された紙葉類が取り出し難いという課題があった。
【0005】
従って、本発明は、紙葉類の取り出しが容易となる紙葉類処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る第1の態様は、紙葉類を処理する紙葉類処理装置であって、紙葉類を、当該紙葉類の長辺部が前記紙葉類処理装置の前後方向に沿うように収容する収容部と、前記収容部に摺動可能に設けられ、前記収容部に収容される紙葉類を支持すると共に、一部が前記収容部の外部に突出するまで摺動して、支持している紙葉類を一部が前記収容部の外部に突出するまで、当該紙葉類の長辺部に沿う押し出し方向の前方に押し出し、押し出した後に、紙葉類の取り出しを待たずに前記収容部内に戻る摺動ステージ部と、前記収容部に設けられ、前記摺動ステージ部に支持された紙葉類に当接する高摩擦部と、を備え、前記高摩擦部は、前記摺動ステージ部が支持している紙葉類を前記一部が前記収容部の外部に突出するまで当該紙葉類の長辺部に沿う押し出し方向の前方に押し出した後に紙葉類の取り出しを待たずに前記収容部内に戻る際に、前記一部が前記収容部の外部に突出した状態の紙葉類と当接して、紙葉類を前記一部が前記収容部から突出した状態に維持することを特徴とする。
【0007】
上記第1の態様によれば、収容部に紙葉類を収容すると、収容部に収容された紙葉類は摺動ステージ部に支持される。そして、この摺動ステージ部が、一部が収容部の外部に突出するまで摺動して、支持している紙葉類を一部が収容部の外部に突出するまで押し出し方向前方に押し出す。よって、収容部から一部突出している紙葉類を取り出すことになり、紙葉類の収容部からの取り出しが容易となる。
また、摺動ステージ部が、支持ステージに紙葉類を集積させた状態で、押し出し方向の前方に摺動すると、支持ステージで支持された紙葉類の押し出し方向の後端部に当接可能な押出ステージが支持ステージに集積された紙葉類を押し出し方向の前方に押し出す。その後、紙葉類の取り出しを待たずに摺動ステージ部が収容部内に引っ込んでも、紙葉類は、収容部の位置固定の高摩擦部で移動することなく、収容部から一部突出した状態を維持する。このため、摺動ステージ部が紙葉類の突出後、紙葉類から離れることになり、紙葉類を掴む際の邪魔になり難い。よって、紙葉類の収容部からの取り出しが更に容易となる。
【0008】
本発明に係る第2の態様は、上記第1の態様において、前記摺動ステージ部は、前記押し出し方向の前端部に、前記押し出し方向の前方に突出して紙葉類を支持する突出部と、紙葉類を突出させる切欠部とが設けられていることを特徴とする。
【0009】
上記第2の態様によれば、摺動ステージ部には、押し出し方向の前端部に、押し出し方向の前方に突出して紙葉類を支持する突出部と、紙葉類を突出させる切欠部とが設けられているため、紙葉類の切欠部で突出させられた部分を掴めば、紙葉類の収容部からの取り出しが更に容易となる。
【0010】
本発明に係る第3の態様は、上記第1又は第2の態様において、前記摺動ステージ部は、水平に対し斜めに設けられていることを特徴とする。
【0011】
上記第3の態様によれば、水平に対し斜めに設けられているため、紙葉類の収容部からの取り出しが更に容易となる。
【0012】
本発明に係る第4の態様は、上記第1から第3の何れか一態様において、前記摺動ステージ部は、揺動可能に設けられていることを特徴とする。
【0013】
上記第4の態様によれば、摺動ステージ部が揺動可能に設けられているため、紙葉類の集積量に応じて揺動することになる。よって、紙葉類が少ない状態では収容部の内部の集積空間の容積を減らし、紙葉類が増えてくると収容部の集積空間の容積を増やすことができる。従って、初期に収容部に繰り出された紙葉類が収容部において動ける範囲が広くなってしまうことを防止でき、初期に収容部に繰り出された紙葉類を確実に摺動ステージ部に載置させて、紙葉類の姿勢を安定させることができる。更に、摺動ステージ部は載置される紙葉類の枚数が増えるに連れて揺動するので、収容部の集積容量が増えても、収容部に繰り出される紙幣を確実に集積させることができる。
【0014】
本発明に係る第5の態様は、上記第1乃至第4の何れか一態様において、前記摺動ステージ部は、紙葉類を支持する支持ステージと、前記支持ステージで支持された紙葉類の前記押し出し方向の後端部に当接可能な押出ステージとを有しており、前記押出ステージは、紙葉類と当接する押出面を有する押出主体部と、前記押出主体部から延出する延長押出部とを有することを特徴とする。
【0015】
上記第5の態様によれば、摺動ステージ部が、支持ステージに紙葉類を集積させた状態で、押し出し方向の前方に摺動すると、支持ステージで支持された紙葉類の押し出し方向の後端部に当接可能な押出ステージが支持ステージに集積された紙葉類を押し出し方向の前方に押し出す。その際に、押出ステージは、支持ステージに集積された紙葉類を押出主体部で押し出す一方、押出主体部よりも押出ステージとは反対側にある紙葉類を押出主体部から延出する延長押出部で押し出すことになる。よって、何らかの理由で押出主体部で押し出せない位置に紙葉類があっても、これを押し出すことができる。
【0018】
本発明に係る第6の態様は、上記第1乃至第5の何れか一態様において、前記摺動ステージ部は、支持する紙葉類の前記押し出し方向の長さに応じて摺動量が制御されることを特徴とする。
【0019】
上記第6の態様によれば、摺動ステージ部は、支持する紙葉類の押し出し方向の長さに応じて摺動量が制御されるため、紙葉類を押し出し方向の長さに応じて取り出し易い位置に突出させることができる。よって、紙葉類が収容部から更に取り出し易くなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、紙葉類の取り出しが容易となる紙葉類処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る一実施形態の紙葉類処理装置を示す正面図である。
【
図2】本発明に係る一実施形態の紙葉類処理装置を正面側から見た内部の概略構成図である。
【
図3】本発明に係る一実施形態の紙葉類処理装置を示す斜視図である。
【
図4】本発明に係る一実施形態の紙葉類処理装置の収容部及び摺動ステージ部を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係る一実施形態の紙葉類処理装置の収容部及び摺動ステージ部を示す斜視図である。
【
図6】本発明に係る一実施形態の紙葉類処理装置の収容部及び摺動ステージ部を示す斜視図である。
【
図7】本発明に係る一実施形態の紙葉類処理装置の収容部及び摺動ステージ部を示す部分斜視図である。
【
図8】本発明に係る一実施形態の紙葉類処理装置の摺動ステージ部を示す斜視図である。
【
図9】本発明に係る一実施形態の紙葉類処理装置の摺動ステージ部を示す斜視図である。
【
図10】本発明に係る一実施形態の紙葉類処理装置の摺動ステージ部を示す部分斜視図である。
【
図11】本発明に係る一実施形態の紙葉類処理装置の摺動ステージ部を示す部分斜視図である。
【
図12】本発明に係る一実施形態の紙葉類処理装置の変形例5の動作を説明するための図である。
【
図13】本発明に係る一実施形態の紙葉類処理装置の変形例7-2の収容部及び摺動ステージ部を示す斜視図である。
【
図14】本発明に係る一実施形態の紙葉類処理装置の変形例7-2の収容部及び摺動ステージ部を示す部分正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
本発明に係る第1実施形態の紙葉類処理装置を図面を参照して以下に説明する。
図1~
図3に示す本実施形態に係る紙葉類処理装置1は、紙葉類として主に紙幣を分類処理するものであり、投入された紙葉類Sを、計数対象である計数対象紙葉類と計数対象ではないリジェクト紙葉類とに分類し、計数対象紙葉類を更に種類別に計数して種類別に収容し、計数結果と収容先とを関連付けて表示するものである。以下の説明において、「前」は操作者側、「後」は操作者とは反対側、「右」は操作者から見て右側、「左」は操作者から見て左側である。
【0023】
第1実施形態の紙葉類処理装置1は、計数ユニット2と収容ユニット3とが組み合わせられて構成されている。ここでは、1台の計数ユニット2に1台の収容ユニット3を組み合わせる場合を例にとり説明するが、1台の計数ユニット2に対し複数台の収容ユニット3を連設することも可能となっている。
【0024】
図1,
図3に示すように、計数ユニット2は、その右側面側の下部に設けられて右側面及び前面に亘って計数ユニット2外、即ち紙葉類処理装置1外に常時開口する受入部11と、同じく右側面側の上部に設けられて右側面及び前面に亘って計数ユニット2外、即ち紙葉類処理装置1外に常時開口するリジェクト部13とを有している。リジェクト部13及び受入部11は、前後方向及び左右方向の位置を重ね合わせて上下に並んで配置されている。
【0025】
図2に示すように、受入部11には、複数枚の紙葉類Sが長辺部を前後に沿わせ、短辺部を左右に沿わせて上下方向に集積された状態でセットされることになる。受入部11は、このようにセットされた集積状態の紙葉類Sを最下のものから一枚ずつ分離し繰り出して紙葉類処理装置1内に取り込む。受入部11から繰り出される紙葉類Sは、その短辺部の延在方向に沿って移動する。
【0026】
計数ユニット2の内部には、受入部11から繰り出された紙葉類Sを搬送する計数ユニット内搬送構成部21と、計数ユニット内搬送構成部21で搬送中の紙葉類Sを識別しつつ計数する識別部22とが設けられている。計数ユニット内搬送構成部21で搬送される紙葉類Sは、その短辺部の延在方向に沿って移動する。識別部22は、計数ユニット内搬送構成部21の受入部11側の端部位置に設けられて、受入部11が繰り出す紙葉類Sの搬送状態を検出する検出部23と、計数ユニット内搬送構成部21の検出部23よりも下流側に設けられて紙葉類Sの搬送状態以外の金種等の種類の識別を行う識別本体部24とを有している。
【0027】
計数ユニット内搬送構成部21は、受入部11から計数ユニット2の左側面に向けて延出する左方延出部21aと、左方延出部21aの左側面近傍の端部から上方に延出する上方延出部21bと、上方延出部21bの上端部から計数ユニット2の左側面に向け延出して左側面に開口する左方延出部21cと、上方延出部21bの識別部22よりも上側から分岐し、計数ユニット2の右側面に向け延出してリジェクト部13に繋がる分岐延出部21eとを有している。計数ユニット内搬送構成部21には、鉛直方向に沿う上方延出部21bに識別部22の識別本体部24が設けられている。
【0028】
収容ユニット3の内部には、計数ユニット2の左方延出部21cに接続され、左方延出部21cから繰り出された紙葉類Sを搬送する収容ユニット内搬送構成部27が設けられている。収容ユニット内搬送構成部27で搬送される紙葉類Sも、その短辺部の延在方向に沿って移動する。
【0029】
収容ユニット内搬送構成部27は、収容ユニット3の右側面の上部に開口し、収容ユニット3の左側面に向け水平且つ直線状に延出して、左側面の上部に開口する連結搬送構成部27Aと、連結搬送構成部27Aの左側部分から下側に分岐する分岐搬送構成部27Bとを有している。連結搬送構成部27Aと分岐搬送構成部27Bとは、それぞれ個別の駆動モータを有しており、独立して駆動可能となっている。1台の計数ユニット2に対し収容ユニット3が複数台連設される場合は、これらを左右方向に並べて連結し、複数台の収容ユニット3の隣り合うもの同士が連結搬送構成部27Aを接続させて連結される。
【0030】
分岐搬送構成部27Bは、連結搬送構成部27Aの左側から分岐して鉛直下方に延出し、連結搬送構成部27Aとは反対の末端部が、収容ユニット3の右側面に向けて延出する下方延出部27Baと、下方延出部27Baの中間位置から分岐して収容ユニット3の右側面に向けて延出する、複数具体的には3つの分岐延出部27Bbとを有している。下方延出部27Baの末端部と3つの分岐延出部27Bbとに、それぞれ、紙葉類Sを集積させて収容する収容部14が接続されている。よって、1台の収容ユニット3には、複数、具体的には4個の収容部14が設けられている。
【0031】
図1,
図3に示すように、収容部14は、いずれも、収容ユニット3の前面、即ち紙葉類処理装置1の前面に設けられた開口部15を有しており、それぞれの開口部15において、収容ユニット3外、即ち紙葉類処理装置1外に常時開口している。収容ユニット3の前面、即ち紙葉類処理装置1の前面には、収容部14のそれぞれと高さを合わせて左横に、高さの合う収容部14の紙葉類Sの集積枚数等を表示する状態表示部28が設けられている。
【0032】
収容ユニット3に設けられた複数の収容部14は、前後方向及び左右方向の位置を重ね合わせて上下方向(高さ方向)に所定の間隔をあけて並んで配置されている。複数の収容部14は、計数ユニット2に設けられた受入部11及びリジェクト部13とも、前後方向の位置を重ね合わせている。
【0033】
図2に示すように、互いに接続された計数ユニット内搬送構成部21と収容ユニット内搬送構成部27とが、受入部11から繰り出された紙葉類Sを搬送する搬送部30を構成している。搬送部30は、その搬送中に紙葉類Sが識別部22で識別されると、識別部22よりも下流側の部分が識別部22の識別結果に基づいて紙葉類Sを、リジェクト部13及び複数の収容部14のうちの一つに択一的に振り分ける。
【0034】
紙葉類処理装置1において、リジェクト部13及び複数の収容部14は、識別部22の識別結果に基づいて紙葉類Sを分類して紙葉類処理装置1外に取り出し可能に収容する。
図1,
図3に示すように、複数の収容部14では、紙葉類処理装置1の前面に設けられた開口部15から紙葉類処理装置1の前方に紙葉類Sが引き抜かれる。
【0035】
図2に示すように、リジェクト部13は、受入部11で紙葉類処理装置1内に取り込まれた紙葉類Sのうち、識別部22で計数対象紙葉類以外のリジェクト紙葉類と識別された紙葉類Sを集積させて紙葉類処理装置1外に取り出し可能に収容するものである。リジェクト部13は、計数ユニット内搬送構成部21から紙葉類Sが繰り出されることになり、このように繰り出された紙葉類Sを繰り出し順(言い換えれば受入部11の取り込み順)に下から上に集積させる。紙葉類Sは、計数ユニット内搬送構成部21の分岐延出部21eからリジェクト部13に繰り出されると、リジェクト部13内で、長辺部を前後に沿わせ、短辺部を左右に沿わせて下から上に集積される。
【0036】
複数の収容部14は、受入部11で紙葉類処理装置1内に取り込まれた紙葉類Sのうち、識別部22で計数対象紙葉類と識別されて種類別に計数された紙葉類Sを種類別に集積させて紙葉類処理装置1外に取り出し可能に収容するものである。複数の収容部14は、いずれも、収容ユニット内搬送構成部27から紙葉類Sが繰り出されることになり、このように繰り出された紙葉類Sを繰り出し順(言い換えれば受入部11の取り込み順)に右下から左上の方向に集積させる。
【0037】
図1,
図3に示すように、紙葉類処理装置1の計数ユニット2の前面には、操作入力を受け付けると共に情報表示を行う操作表示部31が設けられている。また、
図2に示すように、計数ユニット2の内部には、計数ユニット2及び計数ユニット2に連結された収容ユニット3の各部を制御する制御部32と、識別の基準となるマスタデータや識別計数結果のデータ等を記憶する記憶部33とが設けられている。
【0038】
計数ユニット2に設けられた受入部11は、上述したように紙葉類処理装置1の右側面側に右側方及び前方に常時開口するように設けられている。受入部11は、水平に対して若干左下がりに傾斜して配置される底部40と、底部40の左端位置から底部40に対して垂直をなして上方に延出する壁部41と、底部40の後端縁部から鉛直上方に延出する壁部43とを有している。底部40及び壁部41は前後方向に広がっており、壁部43は鉛直方向及び左右方向に広がっている。底部40と壁部41と壁部43とは互いに垂直に配置されている。受入部11には、紙葉類Sが、壁部41に一方の長辺部を、壁部43に一方の短辺部を、それぞれ当接させるようにして、底部40上に集積状態でセットされる。受入部11は、底部40の上方に設けられて壁部41に沿って昇降するビルプレス45を有しており、ビルプレス45は、底部40上に載置された紙葉類Sを底部40に向けて押圧する。
【0039】
受入部11は、底部40上にセットされた紙葉類Sのうちの最下の紙葉類Sを左方の計数ユニット内搬送構成部21に向けて蹴り出す蹴出ローラ51と、蹴出ローラ51で蹴り出された紙葉類Sを紙葉類処理装置1の内部に取り込んで計数ユニット内搬送構成部21に受け渡す取込ローラ52と、取込ローラ52で取り込む紙葉類Sを一枚ずつに分離する分離ローラ53とを有している。蹴出ローラ51、取込ローラ52及び分離ローラ53が、受入部11にセットされた紙葉類Sを一枚ずつ分離して紙葉類処理装置1の内部に取り込む取込部55を構成している。
【0040】
上記した識別部22の検出部23は、計数ユニット内搬送構成部21の左方延出部21aにおける受入部11の近傍位置に配置されており、紙葉類Sの受入部11からの繰り出しの有無及び紙葉類Sの搬送状態を検出する。検出部23は、紙葉類Sの光透過率或いは物理的厚さから重送の有無を検出し、紙葉類Sの長辺部方向両側のそれぞれの検知タイミングのずれから斜行の有無を検出し、隣り合う紙葉類Sのそれぞれの検知タイミングの間隔からニアフィードの有無を検出する。検出部23で、重送、斜行及びニアフィードのいずれも無いことが検出された紙葉類Sは、言い換えれば、検出部23で正常搬送であることが検出された紙葉類Sになる。
【0041】
識別部22の識別本体部24は、紙葉類Sの可視光照射時及び紫外線照射時の画像を検出すると共に、それぞれを基準データと比較して、一致すると判定できる基準データの種類を、紙葉類Sの種類と特定する。このように種類が特定された紙葉類Sは、識別異常なしの紙葉類Sとなる。一方、一致すると判定できる基準データがない場合、識別異常ありの紙葉類Sと特定する。
【0042】
計数ユニット2に設けられたリジェクト部13は、水平に対して若干左下がりに傾斜して配置される底部60と、底部60の左端位置から底部60に略垂直をなして上方に延出する壁部61と、底部60の後端縁部から鉛直上方に延出する壁部63とを有している。底部60及び壁部61は前後方向に広がっており、壁部63は鉛直方向及び左右方向に広がっている。
【0043】
壁部61の上部には、計数ユニット内搬送構成部21の分岐延出部21eの端末位置の近傍に設けられて分岐延出部21eで搬送されてきた紙葉類Sを繰り出して底部60に集積させる羽根車65が設けられている。羽根車65は、分岐延出部21eで搬送されてきた紙葉類Sを羽根と羽根との間に挟んで共に回転し、この紙葉類Sが壁部61に当接して羽根と羽根との間から抜け出すと、この紙葉類Sを羽根で底部60側、即ち下方に押す。
【0044】
図示は略すが、リジェクト部13には、リジェクト部13内の紙葉類Sの有無を検知する紙葉類有無検知センサと、この紙葉類有無センサの検知結果に基づいて点灯状態が切り替えられる有無表示照明とが設けられている。有無表示照明は、リジェクト部13内に紙葉類Sがあることが紙葉類有無検知センサで検知されている状態では点灯し、リジェクト部13内に紙葉類Sがないことが紙葉類有無検知センサで検知されている状態では消灯する。また、有無表示照明は、例えばリジェクト部13内に紙葉類Sがフル状態になると点滅する。
【0045】
有無表示照明は、例えば、底部60に、計数ユニット2、即ち紙葉類処理装置1の前面位置及び右側面位置で外に向け発光するように設けられている。羽根車65で繰り出された紙葉類Sを案内して底部60に集積させる
図1,
図3に示すカバー66に有無表示照明を設けても良い。その場合、カバー66を透明材料で形成し、カバー66の全体を光らせるようにしても良い。
【0046】
収容ユニット3に設けられた複数の収容部14は、いずれも同様の構成であり、紙葉類処理装置1の前面に開口する上記した開口部15と、水平に対し右下がりに傾斜する収容底部70と、収容底部70の後側で広がる収容奥壁部73とを有している。収容底部70は、その上方に向く上面71が右下がりに傾斜して前後方向に広がっている。収容奥壁部73は、その前方に向く奥壁面74が鉛直方向及び左右方向に広がっており、言い換えれば前後方向に対し直交するように広がっている。
【0047】
収容ユニット3は、収容部14のそれぞれの内側に配置される摺動ステージ部81を有している。摺動ステージ部81は、
図3の上から1個目、3個目及び4個目の摺動ステージ部81に示すように全体が収容部14内に配置される後退端位置と、
図3の上から2個目の摺動ステージ部81に示すように、収容部14の開口部15から一部突出する前進端位置との間で、収容部14に対し摺動可能に設けられている。摺動ステージ部81は、後退端位置にある状態が紙葉類Sを受け入れる待機状態であり、前進端位置にある状態が収容している紙葉類Sを前方に押し出す押し出し状態となる。
【0048】
図4~
図6に示すように、摺動ステージ部81は、収容底部70の右端位置から右上がりに延出する支持ステージ82と、支持ステージ82よりも後側の押出ステージ85とを有している。支持ステージ82は収容底部70側に向く支持面83が右上がりに傾斜して前後方向に広がっている。押出ステージ85は、その前方に向く前面である押出面86が、支持ステージ82の後側で鉛直方向及び左右方向に広がっており、言い換えれば前後方向に対し直交するように広がっている。収容底部70の上面71及び支持ステージ82の支持面83に対し、収容奥壁部73の奥壁面74及び押出ステージ85の押出面86は略直交するように広がっている。摺動ステージ部81は、
図4,
図5に示すように待機状態にあるとき、押出ステージ85の押出面86が収容奥壁部73の奥壁面74と略面一に配置されている。
【0049】
図2に示すように、分岐搬送構成部27Bの下方延出部27Baの末端位置及び各分岐延出部27Bbの末端位置には、対応する収容部14内に紙葉類Sを繰り出す羽根車75が設けられている。
図4~
図6に示すように、羽根車75は、収容部14における収容底部70の支持ステージ82とは反対側、即ち左側に設けられている。羽根車75には、多数の羽根76が周方向に所定の等間隔で周方向同側に延出するように設けられている。羽根車75は、支持ステージ82と対向する側が上から下に移動するように回転することになり、支持ステージ82と対向する側に位置する羽根76は、固定端が下側に自由端が上側に位置するように延びている。
【0050】
羽根車75は、分岐搬送構成部27Bで左側から右側に搬送されてきた紙葉類Sを上部に位置する羽根76と羽根76との間に挟んで紙葉類Sと共に回転し、この紙葉類Sが収容底部70の上面71に当接して羽根76と羽根76との間から抜け出すと、この紙葉類Sを羽根76で支持ステージ82側に押す。このとき、紙葉類Sは、短辺部を略上下に沿わせて収容底部70の上面71に下端の長辺部で当接して支持されると共に、上面71にガイドされて支持ステージ82の支持面83側に移動し、支持ステージ82の支持面83に厚さ方向一側の面が重なって支持されることになる。次に繰り出される紙葉類Sは、同様にして、短辺部を略上下に沿わせて収容底部70の上面71に下端の長辺部で当接して支持されると共に、上面71にガイドされて支持ステージ82の支持面83側に移動し、既に支持ステージ82に支持されている紙葉類Sの厚さ方向他側の面に、厚さ方向一側の面が重なって支持される。このようにして、紙葉類Sが厚さ方向に順に集積されて、支持ステージ82の支持面83に載置される。なお、図示は略すが、複数の収容部14のそれぞれにも、リジェクト部13と同様の紙葉類有無センサ及び有無表示照明が設けられている。収容部14の有無表示照明は、例えば、収容底部70に、収容ユニット3、即ち紙葉類処理装置1の前面位置で外に向け発光するように設けられている。
【0051】
図4~
図6に示すように、収容部14は、上記した上面71を含む収容底部70を有する板金部品である底部構成部材101と、上記した奥壁面74を含む収容奥壁部73を有する合成樹脂製の奥壁部構成部材102と、2つの上記した羽根車75と、これら羽根車75を支持する羽根車支持軸103と、羽根車支持軸103を回転可能に支持する合成樹脂製の支持軸支持部材104とを有している。
【0052】
底部構成部材101は、紙葉類処理装置1内に位置固定で設けられた板金部品である摺動ステージ部支持部材111に連結部材112を介して固定されており、この底部構成部材101に支持軸支持部材104が固定されている。よって、摺動ステージ部支持部材111に固定された底部構成部材101及び支持軸支持部材104も紙葉類処理装置1内に位置固定で設けられている。支持軸支持部材104は、奥壁部構成部材102にも固定されている。
【0053】
支持軸支持部材104に支持される羽根車支持軸103及びこの羽根車支持軸103に支持される2つの羽根車75は、羽根車支持軸103の軸方向に所定の間隔をあけて取り付けられており、紙葉類処理装置1内に位置固定で回転可能に設けられている。また、奥壁部構成部材102も紙葉類処理装置1内に位置固定で設けられている。
【0054】
底部構成部材101は、上記した上面71を含む収容底部70と、収容底部70の羽根車75側の端部に形成されて、羽根車75との干渉を避ける、羽根車75と同数、即ち2箇所の逃溝121と、収容底部70の逃溝121とは反対側の端縁部から収容底部70に対し垂直に立ち上がる支持壁部122と、支持壁部122の収容底部70とは反対側の端縁部から収容底部70と平行に、収容底部70とは反対方向に延出する延出部125と、延出部125の支持壁部122とは反対側の端縁部から支持壁部122と平行に、支持壁部122とは反対方向に延出する取付部126とを有している。支持壁部122の上面123は、収容底部70の上面71と繋がって上面71に対し垂直状に広がっている。底部構成部材101は、取付部126に連結部材112が取り付けられ、連結部材112を介して摺動ステージ部支持部材111に取り付けられている。
【0055】
支持軸支持部材104は、羽根車支持軸103を回転可能に支持すると共に一方の羽根車75の他方の羽根車75とは反対側で羽根車支持軸103を覆う軸保護部131と、他方の羽根車75の一方の羽根車75とは反対側で羽根車支持軸103を覆う軸保護部132と、2つの羽根車75の間で羽根車支持軸103を覆う軸保護部133とを有している。
図7に示すように、羽根車支持軸103は、紙葉類処理装置1内に位置固定で設けられた板金部品である周囲支持部材141にも回転可能に支持されている。
【0056】
周囲支持部材141は、羽根車支持軸103を支持する軸支持板部143と、この軸支持板部143の一端縁部から軸支持板部143に対し垂直に延出する駆動系支持板部144と、軸支持板部143の駆動系支持板部144とは反対側の他端縁部から、
図4~
図6に示すように、軸支持板部143に対し垂直に延出する中間延出板部145と、この中間延出板部145の軸支持板部143とは反対側の端縁部から軸支持板部143と平行に、軸支持板部143に向かい合うように延出する先端延出板部146とを有している。
【0057】
図7に示すように、軸支持板部143の後側には、複数のギア等で構成される羽根車用伝達部151が設けられており、軸支持板部143の前側には、羽根車用伝達部151を介して羽根車支持軸103、即ち羽根車75を回転駆動するステッピングモータである羽根車駆動モータ152が取り付けられている。言い換えれば、羽根車用伝達部151は、羽根車駆動モータ152の駆動力を羽根車75に伝達する。羽根車75は、羽根車駆動モータ152で駆動されると、羽根76を、
図4~
図6に示す底部構成部材101の逃溝121内を上から下に通過させる方向に回転駆動され、分岐搬送構成部27Bの下方延出部27Ba及び3つの分岐延出部27Bbのうちの対応するもので搬送されてきた紙葉類Sを受け取って収容部14内に繰り出す。
【0058】
図7に示すように、周囲支持部材141には、軸支持板部143の駆動系支持板部144側の端部に、連結板155を介して上記した摺動ステージ部支持部材111が連結されている。
図4~
図6に示すように、摺動ステージ部支持部材111は、周囲支持部材141の中間延出板部145に沿っており、中間延出板部145と対向するように配置されている。摺動ステージ部支持部材111と連結板155と周囲支持部材141とが連結されて全体として平面視コ字状をなしている。これら周囲支持部材141、連結板155及び摺動ステージ部支持部材111の内側に、上記した底部構成部材101と支持軸支持部材104と羽根車支持軸103と2つの羽根車75と奥壁部構成部材102と摺動ステージ部81とが設けられている。摺動ステージ部支持部材111及び周囲支持部材141の、軸支持板部143とは反対側が
図1,
図3に示す収容部14の開口部15の直後位置に配置される。
【0059】
摺動ステージ部81は、
図8に示すように、上記した支持ステージ82及び押出ステージ85と、
図9に示すように、支持ステージ82を支持するステージ支持軸161と、ステージ支持軸161を支持するベースステージ162と、押出ステージ85及びベースステージ162を支持するブラケット163と、ブラケット163を支持するレール部材164と、付勢部材165とを有している。
【0060】
ブラケット163はレール部材164に固定されており、押出ステージ85及びベースステージ162はブラケット163に固定されている。よって、レール部材164とブラケット163と押出ステージ85とベースステージ162とは一体的に固定されている。支持ステージ82は、ステージ支持軸161を中心に回動することによりベースステージ162に対し揺動する。即ち、支持ステージ82はベースステージ162に対し揺動可能となっている。ステージ支持軸161の中心軸が、支持ステージ82の揺動中心となる。
【0061】
レール部材164は、直線状に延在するレール部171と、レール部171の延在方向の一側に設けられたラックギア部172と、レール部171の延在方向の他側に設けられた、上記ブラケット163が取り付けられるブラケット取付部173とを有している。ラックギア部172及びブラケット取付部173は、レール部171の延在方向に対し直交する方向の同側に、レール部171の延在方向に並んで設けられている。レール部171は、その延在方向に延びる一対のレール溝175,176が反対向きに開口するように形成されており、延在方向に直交する面での断面がH字状をなしている。ラックギア部172は、レール部171の延在方向に直線状に並んで配置される多数の歯部178を有している。一方のレール溝175は、ラックギア部172の歯部178が向く方向と同じ向きに開口しており、他方のレール溝176は、歯部178が向く方向とは反対向きに開口している。
【0062】
ブラケット163は、レール部材164のブラケット取付部173に取り付けられるレール部材取付部181と、レール部材164に取り付けられた状態で一対のレール溝175,176が並ぶ方向であって一対のレール溝175,176が延在する方向に広がるベースステージ取付部182と、レール部材164に取り付けられた状態でベースステージ取付部182のラックギア部172側の端部からベースステージ取付部182に対し垂直に、レール部171とは反対方向に広がる押出ステージ取付部183とを有している。押出ステージ取付部183は、レール部171の延在方向に対して直交するように広がっている。
【0063】
ベースステージ162は、合成樹脂製の板状部材であり、ブラケット163のベースステージ取付部182に取り付けられるブラケット取付部191と、ブラケット163に取り付けられた状態でブラケット取付部191からラックギア部172とは反対方向に延出するベース延出部192とを有している。ベースステージ162は、ブラケット取付部191とベース延出部192とを結ぶ方向に延在しており、この延在方向に沿う一側の端縁部に、この端縁部に沿って延在するようにステージ支持軸161を支持する軸支持部193を有している。ベースステージ162は、
図10,
図11に示すように、軸支持部193の近傍に、支持ステージ82の揺動を規制するベース側突当部195を有している。
【0064】
押出ステージ85は、上記した押出面86を有する押出壁部201の押出面86とは反対側が、
図9に示すようにブラケット163の押出ステージ取付部183に固定されている。押出ステージ85は、押出壁部201の一部を構成すると共にブラケット163に取り付けられる主体壁部203と、ブラケット163に取り付けられた状態で主体壁部203の周縁部からベースステージ162とは反対方向に延出する主体胴部204とを有している。主体壁部203と主体胴部204とが押出主体部205を構成している。主体壁部203は、主体胴部204とは反対側の面が、
図8に示すように、押出面86の一部を構成する主体押出面206となっている。
図9に示すように、主体胴部204は、そのレール部材164側が胴部開口211となっており、主体壁部203と平行な面での断面が略コ字状をなしている。主体胴部204内は空間部212となっており、この空間部212は胴部開口211を介してレール部材164側に抜けている。
【0065】
押出ステージ85は、押出主体部205のレール部材164とは反対側からレール部材164とは反対方向に延出する延長押出部221を有している。
図8に示すように、延長押出部221は、主体壁部203の延長方向にほぼ延びて押出壁部201の一部を構成する延長壁部222と、延長壁部222の周縁部から主体胴部204と同側に延出する延長胴部223とを有している。延長壁部222の延長胴部223とは反対側が延長押出面224となっている。主体壁部203と延長壁部222とが押出壁部201を構成する。延長押出面224は、主体押出面206と略同一平面に配置されており、延長押出面224と主体押出面206とが押出壁部201の押出面86を構成する。
【0066】
図10,
図11に示すように、主体壁部203には、延長押出部221の基端近傍位置に、主体壁部203を厚さ方向に貫通する貫通穴231が複数形成されている。また、主体壁部203には、延長押出部221とは反対側に、主体押出面206よりも凹む円弧状の複数、具体的には3箇所のガイド溝232が形成されている。これらのガイド溝232は、ベースステージ162に支持されたステージ支持軸161を中心とする同じ中心角の円弧状をなしている。
【0067】
支持ステージ82は、合成樹脂製の板状部材であり、主板部241と、主板部241の長手方向の一側から主板部241よりも狭い幅で主板部241の延長方向に突出する突出部242とを有している。支持ステージ82は、これら主板部241及び突出部242に支持面83が形成されている。支持ステージ82は、主板部241の突出部242側の端縁部と、これに繋がる突出部242の端縁部とが、切り欠かれた形状の切欠部243を形成している。よって、支持ステージ82は、突出部242と切欠部243とが並んで設けられた形状をなしている。支持ステージ82は、主板部241の突出部242とは反対側の端縁部から突出部242とは反対方向に突出する複数、具体的には3箇所の係合突起245を有している。
【0068】
主板部241には、板厚方向に貫通する貫通孔246が複数、具体的には2箇所形成されている。主板部241は、長手方向の長さが、この紙葉類処理装置1において識別して収容部14に収容可能な紙葉類Sのうちの長辺部が最も短い紙葉類Sの長辺部の長さよりもやや短くなっている。また、支持ステージ82の主板部241と突出部242とを合わせた長手方向の長さは、この紙葉類処理装置1において識別して収容部14に収容可能な紙葉類Sのうちの長辺部が最も長い紙葉類Sの長辺部の長さよりも長くなっている。突出部242は、突出部242と切欠部243とを結ぶ方向の幅が、紙葉類Sの短辺部の長さよりも短くなっている。
【0069】
支持ステージ82は、主板部241と突出部242とが連続する側の端縁部に、ベースステージ162に支持されたステージ支持軸161に連結される支持軸連結部251が設けられている。支持ステージ82は、ステージ支持軸161に連結されることにより、ベースステージ162に揺動可能に支持される。支持ステージ82には、支持軸連結部251の近傍に支持側突当部252が形成されており、
図10に示すように、この支持側突当部252がベースステージ162のベース側突当部195に当接する。支持ステージ82は、支持側突当部252がベース側突当部195に当接した状態で、ベースステージ162とのなす角が鋭角(例えば30度程度)となり、この状態からベースステージ162とのなす角を小さくする方向に、
図11に示すようにベースステージ162と重なり合うまで揺動可能となっている。ベースステージ162は、支持ステージ82に重なり合う状態では、支持ステージ82の範囲内に収まる。
【0070】
付勢部材165は、捻りばねであり、コイル部分の内側にステージ支持軸161を挿通させ、一方の腕部分をベースステージ162に当接させ、他方の腕部分を支持ステージ82に当接させている。付勢部材165は、支持ステージ82の支持側突当部252がベースステージ162のベース側突当部195に当接する基本状態となるように支持ステージ82及びベースステージ162を付勢する。言い換えれば、付勢部材165は、支持ステージ82がベースステージ162から離間するように支持ステージ82及びベースステージ162を付勢する。支持ステージ82は、この基本状態から、ベースステージ162とのなす角が最小となってベースステージ162と重なり合う最大揺動状態まで、付勢部材165の付勢力に抗して揺動する。
【0071】
支持ステージ82は、ステージ支持軸161を介してベースステージ162に支持された状態で、その複数の係合突起245が、それぞれベースステージ162の複数のガイド溝232のうちの対応する1つに入り込む。ガイド溝232は、支持ステージ82の全揺動範囲での係合突起245の旋回角度に対応した中心角度に形成されている。
【0072】
図4~
図6に示すように、摺動ステージ部支持部材111は、水平方向に対して傾斜して広がっており、具体的には、水平方向に対して45度傾いた状態で右上がりに広がっている。摺動ステージ部支持部材111には、その上側となる羽根車75側に、
図7に示すように、高さ位置を合わせた2個のガイドローラ261,262と、これらに対して高さ位置を上側にずらした1個のガイドローラ263とが取り付けられている。この1個のガイドローラ263は、2個のガイドローラ261,262の間の中央位置に配置されている。これらのガイドローラ261~263は、水平方向に対して45度傾いた状態で、摺動ステージ部支持部材111から左上がりに突出している。
【0073】
摺動ステージ部81は、そのレール部材164のレール溝175にガイドローラ263を入り込ませ、レール溝176にガイドローラ261,262を入り込ませることにより、これらのガイドローラ261~263に支持されている。ガイドローラ261~263は、レール部171を水平前後方向に延在するように支持することになり、摺動ステージ部81を、レール部171の延在方向、即ち水平前後方向に摺動可能に支持する。言い換えれば、ガイドローラ261~263は、支持する摺動ステージ部81が前後方向に摺動するように配置されている。これらガイドローラ261~263は、収容部14の一部を構成しており、よって、摺動ステージ部81は、収容部14に摺動可能に設けられている。
【0074】
摺動ステージ部81は、支持ステージ82及びベースステージ162を押出ステージ85よりも前側に配置した状態で、これらのガイドローラ261~263に支持されている。よって、ガイドローラ261~263で支持された摺動ステージ部81は、前部に支持ステージ82及びベースステージ162を有し、後部に押出ステージ85を有して、前後方向にスライドする。その際に、摺動ステージ部81は、レール部材164とブラケット163と押出ステージ85とベースステージ162とが一体に前後方向に移動し、支持ステージ82も、前後方向についてはこれらと一体に移動する。摺動ステージ部支持部材111及びガイドローラ261~263が、摺動ステージ部81を摺動可能に支持するステージ支持部265を構成している。
【0075】
このステージ支持部265に支持された状態で、摺動ステージ部81は、ベースステージ162が水平方向に対して45度傾いて右上がりに広がる状態となる。また、この状態で、摺動ステージ部81は、ステージ支持軸161、ベースステージ162の軸支持部193及び支持ステージ82の支持軸連結部251が、
図4~
図6に示すように、底部構成部材101の延出部125と取付部126とで形成される段差部分に入り込むように配置される。また、この状態で、摺動ステージ部81は、支持ステージ82をベースステージ162よりも羽根車75側に位置させ、押出ステージ85が、支持ステージ82側に押出主体部205を有し、押出主体部205よりも支持ステージ82とは反対側に延長押出部221を延出させている。
【0076】
ステージ支持部265に支持された状態で、
図4に示すように、支持ステージ82がベースステージ162に対し基本状態にあるとき、支持ステージ82の支持面83は、揺動中心であるステージ支持軸161から右上がりに広がる。つまり、支持ステージ82の支持面83は、上を向いた状態で揺動中心から斜め上方へと広がっている。このとき、支持ステージ82は、下部側に突出部242が、上部側に切欠部243が設けられることになる。
【0077】
また、ステージ支持部265に支持された状態で、
図5に示すように、支持ステージ82がベースステージ162に対し最大揺動状態となると、支持ステージ82の支持面83は、支持壁部122の上面123と略面一となる。この最大揺動状態でも、支持ステージ82の支持面83は、基本状態にあるときと同様、揺動中心であるステージ支持軸161から右上がりに広がる。つまり、最大揺動状態でも、支持ステージ82の支持面83は、上を向いた状態で揺動中心から斜め上方へと広がっている。但し、基本状態にあるときの支持ステージ82の支持面83と収容底部70の上面71とのなす角よりも、最大揺動状態にあるときの支持ステージ82の支持面83と収容底部70の上面71とのなす角の方が大きくなる。
【0078】
また、ステージ支持部265に支持された状態で、
図7に示すように、摺動ステージ部81は、ラックギア部172が、摺動ステージ部支持部材111と周囲支持部材141の駆動系支持板部144との間に配置される。周囲支持部材141の駆動系支持板部144には、摺動ステージ部支持部材111とは反対側にステッピングモータであるステージ駆動モータ271が、その駆動軸272を駆動系支持板部144を通して摺動ステージ部支持部材111側に突出させるように取り付けられている。ステージ駆動モータ271の駆動軸272には、駆動系支持板部144よりも摺動ステージ部支持部材111側に突出する部分に、駆動ギア273が固定されている。駆動系支持板部144には、駆動軸272よりも下側に、ギア支持軸281が取り付けられており、このギア支持軸281の摺動ステージ部支持部材111側に突出する部分には、ピニオンギア282が取り付けられている。ピニオンギア282は、駆動ギア273に噛み合う大ギア部283と、ラックギア部172に噛み合う、大ギア部283よりも歯数が少ない小ギア部284とを有している。
【0079】
これにより、ステージ駆動モータ271が正逆回転すると、駆動ギア273がピニオンギア282を回転駆動し、ピニオンギア282がラックギア部172を直動駆動することになり、その結果、摺動ステージ部81が前進及び後退する。駆動ギア273、ギア支持軸281及びピニオンギア282が、ステージ駆動モータ271の駆動力を摺動ステージ部81に伝達するステージ用伝動部285を構成している。
【0080】
ここで、摺動ステージ部81が後退したとき、駆動系支持板部144と、ステージ駆動モータ271と、駆動ギア273、ギア支持軸281及びピニオンギア282を含むステージ用伝動部285とが、押出ステージ85の主体胴部204内の空間部212内に入り込む。このとき、押出ステージ85の外側にあるレール部材164のレール部171に噛み合うピニオンギア282の小ギア部284は、主体胴部204の胴部開口211によって、押出ステージ85との干渉を回避することになる。このように、摺動ステージ部81が後退したとき、押出ステージ85の主体胴部204は、その内側の空間部212に、駆動系支持板部144とステージ駆動モータ271とステージ用伝動部285とを収納する。
【0081】
摺動ステージ部81は、
図4,
図5に示す後退端位置と、
図6,
図7に示す前進端位置との間で摺動することになる。摺動ステージ部81は、
図4,
図5に示すように、後退端位置にあるとき、支持ステージ82が全体的に底部構成部材101と前後方向に重なり合って、前端部が底部構成部材101の前端部と位置を重ね合わせる。また、摺動ステージ部81は、
図6,
図7に示す前進端位置にあるとき、支持ステージ82が底部構成部材101と前後方向に部分的に重なり合うものの、前端部が底部構成部材101の前端部よりも前方に位置する。このとき、支持ステージ82は、突出部242が、底部構成部材101よりも前方に突出する。但し、
図7に示すように、主板部241は底部構成部材101よりも前方に突出することはない。
【0082】
図4~
図6に示すように、奥壁部構成部材102の収容奥壁部73は、押出ステージ85の押出主体部205と、周囲支持部材141の中間延出板部145との間に配置されている。収容奥壁部73には、摺動ステージ部81の前進時及び後退時に押出ステージ85の延長押出部221を挿通させる挿通溝291が形成されている。摺動ステージ部81は、
図4,
図5に示す後退端位置にあるとき、押出ステージ85の押出面86が、収容奥壁部73の奥壁面74と、略面一となる。摺動ステージ部81は、この状態から、
図6に示す前進端位置に向け前進すると、押出面86が奥壁面74よりも前側に位置する。
【0083】
摺動ステージ部81は、
図3の上から1個目、3個目及び4個目の摺動ステージ部81に示すように後退端位置に位置する待機状態にあるとき、その全体が、収容部14の開口部15よりも後方に位置することになる。また、摺動ステージ部81は、
図3の上から2個目の摺動ステージ部81に示すように、前進端位置に位置する押し出し状態にあるとき、支持ステージ82の一部である突出部242が収容部14の開口部15よりも前方に突出することになる。なお、摺動ステージ部81が前進端位置にあるときでも、支持ステージ82の主板部241は、開口部15よりも後方に位置する。
【0084】
紙葉類Sを収容部14に繰り出す場合、
図4に示すように、摺動ステージ部81が後退端位置にある待機状態で、収容部14は、搬送部30の駆動に合わせて羽根車駆動モータ152が羽根車用伝達部151を介して羽根車支持軸103及び2つの羽根車75を回転駆動することになる。すると、搬送部30が一枚ずつ間隔をあけて搬送してきた紙葉類Sを羽根車75が羽根76と羽根76との間に挟んで紙葉類Sと共に回転する。すると、この紙葉類Sは収容底部70の上面71に当接して羽根76と羽根76との間から抜け出す。その後、この紙葉類Sを羽根車75が羽根76で支持ステージ82側に押す。これにより、紙葉類Sは、短辺部を略上下に沿わせて収容底部70の上面71に下端の長辺部で当接して支持されると共に、上面71にガイドされて支持ステージ82の支持面83側に移動し、底部構成部材101の支持壁部122の上面123に下端の長辺部が当接しつつ支持ステージ82の支持面83に厚さ方向一側の面が重なって支持されることになる。
【0085】
次に繰り出される紙葉類Sは、同様にして、短辺部を略上下に沿わせて収容底部70の上面71に下端の長辺部で当接して支持されると共に、上面71にガイドされて支持ステージ82の支持面83側に移動し、既に支持ステージ82に支持されている紙葉類Sの厚さ方向他側の面に、厚さ方向一側の面が重なって支持される。このようにして、紙葉類Sが厚さ方向に順に集積される。このとき、紙葉類Sは押出ステージ85の押出面86よりも前側で押出面86に近接するようにして、支持ステージ82に集積される。このように、摺動ステージ部81は、支持ステージ82が紙葉類Sの厚さ方向一側の面に当接して紙葉類Sを支持することになる。この支持ステージ82は、揺動可能となっている。
【0086】
支持ステージ82は、何も載置されていないとき及び載置されている紙葉類Sの集積枚数が少ないときには、
図4に示すように、基本状態にある。紙葉類Sの収容部14への繰り出しで、支持ステージ82が支持する紙葉類Sの集積枚数が増えていくと、鉛直に対し傾斜する支持ステージ82に加わる荷重が増大し、紙葉類Sの集積枚数に応じて支持ステージ82が、付勢部材165の付勢力に抗して、
図5に示すようにベースステージ162側に揺動する。言い換えれば、支持ステージ82は、載置される紙葉類Sの枚数が増えるに連れて、ベースステージ162に近接するように揺動して徐々に下がっていく。このように、支持ステージ82がベースステージ162及び押出ステージ85に対し揺動する際に、支持ステージ82は3箇所の係合突起245をそれぞれ一対一で対応するガイド溝232内に進入させた状態のまま旋回移動させる。このようにして、収容部14は、紙葉類Sを収容することになり、その際に、摺動ステージ部81は、支持ステージ82が、収容部14に収容される紙葉類Sを支持する。このとき、係合突起245がガイド溝232に入り込むことで、支持ステージ82と押出ステージ85との間への紙葉類Sの挟まりを規制する。
【0087】
このようにして収容部14への紙葉類Sの繰り出しが終了すると、羽根車駆動モータ152が停止し、ステージ駆動モータ271がステージ用伝動部285を介して摺動ステージ部81を直動駆動する。即ち、ステージ駆動モータ271が駆動ギア273を介してピニオンギア282を回転させ、ピニオンギア282が、これに噛み合うラックギア部172を含む摺動ステージ部81を駆動する。すると、摺動ステージ部81がガイドローラ261~263の案内で、前進端位置に向け摺動する。支持ステージ82に集積されている紙葉類Sは、位置固定の収容底部70の上面71及び支持壁部122の上面123にも当接しており、このため、摺動ステージ部81の摺動の初期には、収容底部70の上面71及び支持壁部122の上面123との摩擦でその位置に一時留まる。その後、摺動ステージ部81は、押出ステージ85の押出面86が、支持ステージ82に集積されている紙葉類Sの後端部に当接することになって、紙葉類Sを押すことになる。その後は、摺動ステージ部81と、その支持ステージ82に集積されている紙葉類Sとが一緒に前進する。ステッピングモータであるステージ駆動モータ271は、例えばステップ数で摺動ステージ部81が前進端位置まで移動したことを検知すると停止する。
【0088】
摺動ステージ部81が前進端位置まで移動すると、支持ステージ82の突出部242と、支持ステージ82に集積されている紙葉類Sとが、
図3に示すように、収容部14の開口部15から突出する。これにより、収容部14から紙葉類Sを取り出す利用者は、収容部14から飛び出した突出部242及び紙葉類Sを見ることで、どの収容部14の紙葉類Sが押し出されたのか容易に確認することができる。
【0089】
言い換えれば、摺動ステージ部81は、一部が収容部14の外部に突出するまで摺動して、支持している紙葉類Sを一部が収容部14の外部に突出するまで押し出し方向前方に押し出す。ここで、収容部14の開口部15は、紙葉類処理装置1の前面に形成されて紙葉類処理装置1の外部に開口しているため、摺動ステージ部81は、一部が紙葉類処理装置1の外部に突出するまで摺動して、支持している紙葉類Sを一部が紙葉類処理装置1の外部に突出するまで押し出し方向前方に押し出す。以下、摺動ステージ部81が紙葉類Sを押し出す方向を、単に押し出し方向とする。押出ステージ85は、支持ステージ82で支持された紙葉類Sの押し出し方向の後端部に当接可能となっている。
【0090】
押出ステージ85は、摺動ステージ部81が押し出し方向前方(外部側)に移動するのに伴って、支持ステージ82と一体となって同時に押し出し方向前方に移動し、支持ステージ82に載置されている紙葉類Sを押出主体部205で外部に押し出す。この押出ステージ85には、押出主体部205よりも支持ステージ82とは反対側に延出する延長押出部221が設けられている。この延長押出部221は、
図6に示すように、羽根車75の外周軌道内まで延長している。これにより、この延長押出部221が、羽根車75に残存している紙葉類S等、押出主体部205では押し出すことができない位置にある収容部14内の紙葉類Sであっても押し出すことができる。なお、延長押出部221は、摺動ステージ部81が前進端位置まで移動しても、全体として羽根車75よりも後側(奥側)に配置され、羽根車75とは接触しないようになっている。
【0091】
摺動ステージ部81は、押し出し方向の前端部に、押し出し方向の前方に突出する突出部242と切欠部243とが並んで設けられている。突出部242は摺動ステージ部81の前端部の左下側に、切欠部243は摺動ステージ部81の前端部の右上側に、それぞれ配置されている。
図7に示すように、切欠部243は、摺動ステージ部81に載置された紙葉類Sの一部を摺動ステージ部81の外側に突出させる。
【0092】
即ち、摺動ステージ部81において、押出ステージ85の押出面86から支持ステージ82の主板部241の突出部242側の端部までの距離は、この紙葉類処理装置1において識別して収容部14に収容可能な紙葉類のうち最も長辺部が短いものよりも、短くなっている。また、収容底部70の上面71から突出部242の上面71とは反対側までの距離は、この紙葉類処理装置1において識別して収容部14に収容可能な紙葉類のうちの短辺部が最も短い紙葉類Sの短辺部の長さよりも短くなっている。よって、この紙葉類処理装置1において識別して収容部14に収容可能な紙葉類Sであれば、収容底部70及び支持ステージ82に支持されて押出面86に当接した状態にあれば、前端側の角部と、この角部近傍の長辺部及び短辺部の一部とが、切欠部243によって、支持ステージ82から外に突出する。
【0093】
このとき、切欠部243は、突出部242よりも上側に位置するため、紙葉類Sの前端部の上部側の角部を支持ステージ82から外に突出させる。切欠部243は、この紙葉類処理装置1において識別して収容部14に収容可能な紙葉類Sのうちの最も短辺部の長さが短い紙葉類Sの前上部の角部とこの角部周辺の長辺部及び短辺部とを支持ステージ82から外に突出させると共に、この紙葉類処理装置1において識別して収容部14に収容可能な紙葉類Sのうちの最も長辺部の長さが短い紙葉類Sの前上部の角部とこの角部周辺の長辺部及び短辺部とを支持ステージ82から外に突出させるように設けられている。
【0094】
これにより、収容部14から紙葉類Sを取り出す利用者は、紙葉類処理装置1の右方且つ上方側から紙葉類Sの前部の右方且つ上方側の角部周辺を長辺部側から掴んで、紙葉類Sを取り出すことができる。当然、紙葉類処理装置1の前方から紙葉類Sの前部の右方且つ上方側の角部周辺を短辺部側から掴んで、紙葉類Sを取り出すこともできる。収容部14から紙葉類Sが取り出されると、支持ステージ82上には紙葉類Sがなくなるため、支持ステージ82は、付勢部材165の付勢力で支持側突当部252を、ベースステージ162のベース側突当部195に当接させるまで回動して最大回動状態に戻る。また、支持ステージ82上に紙葉類Sがなくなったことを、収容部14或いは摺動ステージ部81に設けられた図示略の残留検知センサが検知すると、ステージ駆動モータ271がステージ用伝動部285を介して摺動ステージ部81を直動駆動して、摺動ステージ部81を後退端位置に戻す。摺動ステージ部81を後退端位置に位置させると、ステージ駆動モータ271は停止する。
【0095】
紙葉類処理装置1は、計数ユニット2の受入部11に集積状態で投入された紙葉類Sを装置内に一枚ずつ取り込み、受入部11から取り込まれた紙葉類Sを搬送部30で搬送する。そして、搬送部30で搬送中の紙葉類Sを搬送部30に設けられた識別部22で識別し、識別部22で識別された紙葉類Sを、種別に応じて収容ユニット3の対応する収容部14に分類して外部に取り出し可能に収容する。
【0096】
紙葉類処理装置1は、分類処理開始前に、各収容部14に収容する計数対象紙葉類としての紙葉類Sの種類が設定されており、紙葉類Sを計数し、この設定に従って分類する。例えば、複数の収容部14のうちの一つの第1の収容部14に、識別部22で計数後の紙葉類Sとして万円券の紙幣を、他の一つの第2の収容部14に、識別部22で計数後の紙葉類Sとして五千円券の紙幣を、更に他の一つの第3の収容部14に、識別部22で計数後の紙葉類Sとして千円券の紙幣を、更に他の一つの第4の収容部14に、識別部22で計数後の紙葉類Sとして二千円券の紙幣を、それぞれ収容するように設定されている。なお、全ての収容部14は、分類処理開始前には、摺動ステージ部81が後退端位置にある待機状態となってる。
【0097】
そして、受入部11に紙葉類Sが集積状態でセットされて操作表示部31にスタート操作が入力されると、制御部32は、受入部11にセットされた集積状態の紙葉類Sを取込部55で一枚分離して繰り出させて紙葉類処理装置1内に取り込み、この紙葉類Sを搬送部30で搬送させる。搬送部30での搬送開始直後に、受入部11の近傍に設けられた検出部23が、この紙葉類Sの搬送状態を検出する。この紙葉類Sについて、検出部23で検出された搬送状態が、重送、斜行及びニアフィードを含む異常搬送状態のリジェクト紙葉類である場合、制御部32は、この紙葉類Sを計数せずに、搬送部30を制御して、リジェクト部13に搬送して収容させる。
【0098】
他方、この紙葉類Sについて、検出部23で検出された搬送状態が、重送、斜行及びニアフィードのいずれでもなく正常搬送である場合、制御部32は、この紙葉類Sを、識別部22の検出部23よりも下流側の識別本体部24で識別させる。この紙葉類Sが、識別本体部24の識別結果から、偽、損傷、テープ貼付、紫外線検査異常を含む識別異常のリジェクト紙葉類であると識別されると、制御部32は、この紙葉類Sについても、計数せずに、搬送部30を制御して、リジェクト部13に搬送して収容させる。
【0099】
また、紙葉類Sが、識別本体部24で識別異常でないと識別されると、制御部32は、識別異常でないと識別された紙葉類Sを、搬送部30を制御して、その行き先となる収容部14に搬送して収容させる。この収容部14では、搬送部30が搬送してきた紙葉類Sを羽根車75が羽根76と羽根76との間に挟んで紙葉類Sと共に回転し、この紙葉類Sを収容底部70の上面71に当接させて羽根76と羽根76との間から抜け出させた後、羽根76で支持ステージ82側に押す。すると、紙葉類Sが、収容底部70の上面71でガイドされて支持ステージ82の支持面83側に移動し、支持壁部122の上面123及び支持ステージ82の支持面83に支持されることになる。
【0100】
次に繰り出される紙葉類Sは、同様にして、収容底部70の上面71にガイドされて支持ステージ82の支持面83側に移動し、既に支持ステージ82に支持されている紙葉類に重なって支持される。このようにして、収容部14は、識別部22で計数対象紙葉類と識別されて計数された紙葉類Sを収容することになり、収容部14に収容された紙葉類Sは、支持壁部122の上面123及び支持ステージ82の支持面83に順に集積される。
【0101】
ここで、紙葉類Sの収容部14への繰り出しで、支持ステージ82が支持する紙葉類Sの集積枚数が増えていくと、基本状態にある支持ステージ82が、付勢部材165の付勢力に抗してベースステージ162側に揺動する。このようにして収容部14へ繰り出された紙葉類Sを摺動ステージ部81が後退端位置においてその支持ステージ82上に集積させることになる。
【0102】
このようにして、各収容部14が、識別部22で計数対象紙葉類と識別されて計数された紙葉類Sのうちの収容対象として設定された種類のものを収容することになり、リジェクト部13は、識別部22でリジェクト紙葉類と識別された紙葉類Sを収容する。このようにして、受入部11に紙葉類Sがなくなった場合及び何れかの収容部14が満杯状態になった場合、制御部32は、取込部55を停止させると共に羽根車駆動モータ152を停止させ、ステージ駆動モータ271を駆動して摺動ステージ部81を前進端位置に向け摺動させる。その初期に、支持ステージ82に集積されている紙葉類Sは、収容底部70の上面71及び支持壁部122の上面123との摩擦でその位置に一時留まる。その後、摺動ステージ部81は、押出ステージ85の押出面86で、支持ステージ82に集積されている紙葉類Sの後端部に当接して、紙葉類Sを押すことになる。その後は、摺動ステージ部81と、その支持ステージ82に集積されている紙葉類Sとが一緒に前進する。制御部32は、ステージ駆動モータ271が摺動ステージ部81を前進端位置まで移動させるとステージ駆動モータ271を停止させる。
【0103】
摺動ステージ部81が前進端位置まで移動すると、支持ステージ82の突出部242と、支持ステージ82に集積されている紙葉類Sとが収容部14の開口部15から突出する。なお、このとき、押出ステージ85は、押出主体部205で、支持ステージ82に集積されている紙葉類Sを押し出すことになり、延長押出部221が、羽根車75に残存している紙葉類S等、押出主体部205では押し出すことができない位置にある紙葉類Sを押し出すことになる。
【0104】
摺動ステージ部81は、支持ステージ82に載置された紙葉類Sの一部を、前端部右上の切欠部243で外側に突出させているため、利用者は、この切欠部243によって摺動ステージ部81の外側に突出された前端部右上の部分を掴んで紙葉類Sを収容部14から取り出すことになる。収容部14から紙葉類Sが取り出されると、支持ステージ82が付勢部材165の付勢力で支持側突当部252をベース側突当部195に突き当てるまで揺動して最大回動状態に戻る。また、支持ステージ82上に紙葉類Sがなくなったことを、図示略の残留検知センサが検知すると、制御部32は、ステージ駆動モータ271を駆動して摺動ステージ部81を後退端位置に戻す。摺動ステージ部81が後退端位置に位置すると、制御部32は、ステージ駆動モータ271を停止させる。
【0105】
以上に述べた実施形態の紙葉類処理装置1によれば、収容部14に紙葉類Sを収容すると、収容部14に収容された紙葉類Sは摺動ステージ部81に支持される。そして、この摺動ステージ部81が、一部が収容部14の外部に突出するまで摺動して、支持している紙葉類Sを一部が収容部14の外部に突出するまで押し出し方向前方に押し出す。よって、利用者は、収容部14から一部突出している紙葉類Sを取り出すことになり、紙葉類Sの収容部14からの取り出しが容易となる。従って、利用者が収容部14から紙葉類Sを取り出す際の作業性を向上させることができる。
【0106】
また、収容部14に紙葉類Sを収容すると、収容部14に収容された紙葉類Sは摺動ステージ部81に支持される。そして、この摺動ステージ部81が、一部が収容部14の開口部15から紙葉類処理装置1の外に突出するまで摺動して、支持している紙葉類Sを一部が収容部14の開口部15から紙葉類処理装置1の外に突出するまで押し出し方向前方に押し出す。よって、利用者は、収容部14の開口部15から紙葉類処理装置1の外に一部突出している紙葉類Sを取り出すことになり、紙葉類Sの紙葉類処理装置1からの取り出しが容易となる。従って、利用者が紙葉類処理装置1から紙葉類Sを取り出す際の作業性を向上させることができる。
【0107】
また、収容部14に収容された紙葉類Sを収容部14外に押し出した際に、紙葉類Sが載置される摺動ステージ部81の突出部242が収容部14外に突出するので、利用者はその突出部242を見ることで、どの紙葉類Sが押し出されたのかを目視で容易に確認することができる。また、突出した突出部242に触ることで、目視だけではなく手によって、どの紙葉類Sが押し出されたのかを確認することもできる。
【0108】
また、収容部14に収容された紙葉類Sが摺動ステージ部81によって支持された状態で収容部14の外部に押し出されるので、押し出される紙葉類Sが落下することを防止することができる。
【0109】
また、摺動ステージ部81が紙葉類Sの厚さ方向一側の面に当接して紙葉類Sを支持することになるが、摺動ステージ部81には、押し出し方向の前端部に、押し出し方向の前方に突出して紙葉類Sを支持する突出部242と、紙葉類Sを突出させる切欠部243とが並んで設けられているため、紙葉類Sの切欠部243で突出させられた部分を掴めば、紙葉類Sの収容部14からの取り出しが更に容易となり、確実に取り出すことができる。
【0110】
また、水平に対し斜めに広がる摺動ステージ部81の上部側に切欠部243が設けられているため、紙葉類Sの収容部14からの取り出しが更に容易となる。
【0111】
また、紙葉類Sの厚さ方向一側の面に当接し紙葉類Sを厚さ方向に集積させて支持する支持ステージ82が揺動可能であって、揺動中心から斜め上方へと広がっているため、紙葉類Sの集積量に応じて揺動することになる。よって、紙葉類Sが少ない状態では収容部14の内部の集積空間の容積を減らし、紙葉類Sが増えてくると収容部14の集積空間の容積を増やすことができる。従って、初期に収容部14に搬送部30から繰り出された紙葉類Sが収容部14において動ける範囲が広くなってしまうことを防止でき、初期に収容部14に搬送部30から繰り出された紙葉類Sを確実に支持ステージ82に支持させて、紙葉類Sの姿勢を安定させることができる。更に、支持ステージ82は支持する紙葉類Sの枚数が増えるに連れて揺動するので、収容部14の集積容量が増えても、収容部14に繰り出される紙葉類Sを確実に集積させることができる。
【0112】
また、摺動ステージ部81が、支持ステージ82に紙葉類Sを厚さ方向に集積させた状態で、押し出し方向の前方に摺動すると、支持ステージ82で支持された紙葉類Sの押し出し方向の後端部に当接可能な押出ステージ85が支持ステージ82に集積された紙葉類Sを押し出し方向の前方に押し出す。その際に、押出ステージ85は、支持ステージ82に集積された紙葉類Sを押出主体部205で押し出す一方、押出主体部205よりも紙葉類Sの集積方向において押出ステージ85とは反対側にある紙葉類Sを押出主体部205から延出する延長押出部221で押し出すことになる。よって、羽根車75に引っ掛かる等何らかの理由で押出主体部205で押し出せない位置に紙葉類Sがあっても、これを押し出すことができる。
【0113】
以上の実施形態を以下の変形例のように変更することも可能である。
【0114】
<変形例1,2>
実施形態では、複数の収容部14を前後左右の位置を揃えて上下に並べて設ける場合を例にとり説明したが、変形例1として、複数の収容部14を前後上下の位置を揃えて左右に並べて設けても良く、変形例2として、左右上下の位置を揃えて前後に並べて設けても良い。
【0115】
<変形例3>
実施形態では、1台の収容ユニット3に収容部14を4個設けているが、変形例3として、3個や5個等、4個以外であっても良い。
【0116】
<変形例4>
実施形態では、1台の計数ユニット2に1台の収容ユニット3を連結する場合を例にとり説明したが、変形例4として、1台の計数ユニット2に複数台の収容ユニット3を連結するようにしても良い。
【0117】
<変形例5>
実施形態では、紙葉類Sの押し出し時に、摺動ステージ部81を一定の前進端位置まで移動させる場合を例にとり説明したが、変形例5として、収容部14に収容された紙葉類Sの大きさに応じて摺動ステージ部81の移動量を変えるようにしても良い。このように、支持する紙葉類Sの押し出し方向の長さに応じて摺動ステージ部81の摺動量を制御するようにすることで、紙葉類Sを押し出し方向の長さに応じて取り出し易い位置に突出させることができる。よって、紙葉類Sが更に取り出し易くなる。
【0118】
<変形例5-1>
例えば、変形例5-1として、
図12(a)及び
図12(b)に示すように、紙葉類Sの収容部14からの突出量が同じになるようにする。具体的には、識別部22によって得られた又は予め記憶部33に記憶されている紙葉類Sの大きさデータに基づき、収容部14に収容された紙葉類Sの大きさに応じてステッピングモータであるステージ駆動モータ271のステップ数を変え、摺動ステージ部81の移動量を任意の量に変えて、紙葉類Sの収容部14からの突出量が同じになるようにする。これにより、紙葉類Sを取り出す際には、紙葉類Sの前側部(先端部)が同じ位置にあるので、利用者は紙葉類Sを更に容易に取り出すことができる。
【0119】
<変形例5-2>
また、例えば、変形例5-2として、
図12(a)及び
図12(c)に示すように、摺動ステージ部81及び紙葉類Sの全体での最大突出位置を揃えるようにする。例えば、紙葉類Sを押し出す際、
図12(a)に示すように、紙葉類Sが支持ステージ82よりも押し出し方向に小さい又は同じ場合には最大突出箇所は突出部242の先端部となり、
図12(c)に示すように、紙葉類Sが支持ステージ82よりも押し出し方向に大きい場合には最大突出箇所は紙葉類Sの先端部となる。そこで、識別部22によって得られた又は予め記憶部33に記憶されている紙葉類Sの大きさデータに基づき、収容部14に収容された紙葉類Sの大きさに応じて、ステッピングモータであるステージ駆動モータ271のステップ数を変え、摺動ステージ部81の移動量を任意の量に変えて、収容部14に収容された紙葉類Sの大きさに応じて最大突出箇所の突出量が同じになるようにする。これにより、収容する紙葉類Sに関わらずに、各収容部14から突出する部分の突出量が同じになるので、外に突出した部分に手を引っ掛ける等することを防止でき、作業性及び安全性の向上を図ることができる。
【0120】
<変形例5-3>
変形例5-3として、収容部14毎に摺動ステージ部81の移動量を変えたり、収容ユニット3が複数設けられている場合には、収容ユニット3毎に摺動ステージ部81の移動量を変えるようにしても良い。例えば、ステッピングモータであるステージ駆動モータ271のステップ数を変え、摺動ステージ部81の移動量を任意の量に変えて、上段から下段に向かうに従って、又は、下段から上段に向かうに従って、摺動ステージ部81の突出量や、紙葉類Sの突出量、或いは、摺動ステージ部81及び紙葉類Sの全体での最大突出箇所の突出量を大きくする。
【0121】
<変形例6>
実施形態では、紙葉類Sを収容部14に収容した後に、取り出しが必要な状況になると制御部32が自動的に紙葉類Sを摺動ステージ部81で押し出すようにしたが、収容後に利用者等によって操作表示部31に押し出し操作が入力されると、その収容部14から紙葉類Sを摺動ステージ部81で押し出すようにしても良い。
【0122】
<変形例7-1>
変形例7-1として、紙葉類Sを押し出した直後に、紙葉類Sの取り出しを待たずに摺動ステージ部81を後退端位置に戻すようにしても良い。紙葉類Sを摺動ステージ部81に斜め(例えば45°)に集積させることで、板金の収容底部70側にも紙葉類Sの荷重が分散し、支持ステージ82にかかる荷重が小さくなるため、摺動ステージ部81を元の位置に戻しても、紙葉類Sは押し出した後の位置から動かない。このため、摺動ステージ部81が紙葉類Sの突出後、紙葉類Sから離れることになり、摺動ステージ部81から紙葉類Sの突出する部分が増える。それに伴い、摺動ステージ部81が紙葉類Sを掴む際の邪魔になり難くなる。よって、特にサイズが小さい紙葉類Sを容易に取り出すことができる。
【0123】
<変形例7-2>
変形例7-2として、紙葉類Sを押し出した直後に、紙葉類Sの取り出しを待たずに摺動ステージ部81を後退端位置に戻す場合に、
図13,
図14に示すように、位置固定の底部構成部材101の支持壁部122の上面123に、合成樹脂製の支持ステージ82よりも摩擦係数が高く、板金の支持壁部122よりも摩擦係数が高い、ゴム等の高摩擦部301を設ける。すると、この高摩擦部301は、支持ステージ82に当接する紙葉類Sに当接することになる。この高摩擦部301は、底部構成部材101とは別部材であり、ドーム型の頭部302と頭部302より小径の取付部303とを有しており、底部構成部材101に形成された取付穴305に取付部303が嵌合されて底部構成部材101に固定される。高摩擦部301は、頭部302において紙葉類Sに接触する。
【0124】
変形例7-2によれば、摺動ステージ部81が、支持ステージ82に集積された紙葉類Sを押出ステージ85で押し出し方向の前方に押し出した直後、紙葉類Sの取り出しを待たずに摺動ステージ部81が収容部14内に引っ込んでも、紙葉類Sは、収容部14の位置固定の高摩擦部301で移動することなく、収容部14から一部突出した状態を維持する。このため、摺動ステージ部81が紙葉類Sの突出後、紙葉類Sから離れることになり、摺動ステージ部81から紙葉類Sの突出する部分が増える。それに伴い、摺動ステージ部81が紙葉類Sを掴む際の邪魔になり難くなる。よって、紙葉類Sの取り出しが更に容易となる。
【符号の説明】
【0125】
1 紙葉類処理装置
14 収容部
15 開口部
81 摺動ステージ部
82 支持ステージ
85 押出ステージ
205 押出主体部
221 延長押出部
242 突出部
243 切欠部
301 高摩擦部
S 紙葉類