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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】サクションパイプの作製方法及び冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25B 40/00 20060101AFI20230316BHJP
   F25D 19/00 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
F25B40/00 W
F25D19/00 510H
F25D19/00 510D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018230115
(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公開番号】P2020091091
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】町田 典正
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第207945870(CN,U)
【文献】国際公開第2017/179500(WO,A1)
【文献】特開2013-092287(JP,A)
【文献】特開2003-222268(JP,A)
【文献】特開平07-305938(JP,A)
【文献】実開昭54-062144(JP,U)
【文献】特表2010-525297(JP,A)
【文献】特開2000-283664(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0215333(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0060500(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 40/00
F25B 41/40
F25D 19/00
F28D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属を含むサクションパイプと前記第1の金属と異なる第2の金属を含むキャピ ラリーチューブとを備えるサクションパイプの作製方法であって、
直線状の前記サクションパイプと直線状の前記キャピラリーチューブとを、熱伝導性が0.13W/m・K以上である粘弾性部材を介して平行に並べ、
前記直線状のキャピラリーチューブ及び前記直線状のサクションパイプの一方を固定し、その他方に、基体に取り付けられたローラを押しつけて、前記ローラを前記キャピラリーチューブ及び前記サクションパイプの長軸方向に回転させて、前記キャピラリーチューブと前記サクションパイプとを前記粘弾性部材を介して密着させることにより、前記粘弾性部材を変形させて前記サクションパイプ及び前記キャピラリーチューブとの接触面積を増加させ、
前記サクションパイプと前記キャピラリーチューブとのまわりを覆う収縮チューブで固定するサクションパイプの作製方法。
【請求項2】
複数の前記キャピラリーチューブが、前記粘弾性部材を介して前記サクションパイプと平行に並べられる、請求項1に記載のサクションパイプの作製方法。
【請求項3】
前記粘弾性部材は、ブチルゴムのゴム板である、請求項1または2に記載のサクションパイプの作製方法。
【請求項4】
前記第1の金属は、アルミニウムを含み、前記第2の金属は、銅を含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のサクションパイプの作製方法。
【請求項5】
第1の金属を含むサクションパイプと、
前記第1の金属と異なる第2の金属を含むキャピラリーチューブと、
前記サクションパイプと前記キャピラリーチューブとの間に挟まれた、熱伝導性が0.13W/m・K以上である粘弾性部材と、
前記サクションパイプと前記キャピラリーチューブとの周囲を覆う収縮チューブと、を備える、冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サクションパイプとキャピラリーチューブとを固定するサクションパイプの作製方法及びサクションパイプとキャピラリーチューブとを備える冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の構成部品であるサクションパイプとキャピラリーチューブとは、従来はんだ付けで固定されていた。しかしながら、この固定方法は、サクションパイプとキャピラリーチューブが異なる金属である場合、電蝕によりサクションパイプとキャピラリーチューブに腐食が生じてしまう。
【0003】
特許文献1には、サクションパイプとキャピラリーチューブとの隙間を無くすように、サクションパイプに常温で可塑性があり粘着性を有する板状のゴム部材を巻きつけ、該ゴム部材状上にキャピラリーチューブを並設する。更にこれらを包囲するように柔軟性のある断熱パイプを被せ、次いで断熱パイプの周囲に設けたバンドで断熱パイプを締つける、サクションパイプとキャピラリーチューブが直接接触しない構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭57-58054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1は、サクションパイプとキャピラリーチューブとを密着させるために断熱パイプとバンドを必要とした。そのため、構成部材が多くなってしまっていた。また、工程は、バンドが断熱パイプを介してゴムを変形させるために強い力を必要とし、サクションパイプの作製は、容易ではなかった。
【0006】
そこで、本発明は、サクションパイプとキャピラリーチューブとが異なる金属である場合に、はんだを使わないサクションパイプの作製方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、短時間で、かける労力の少ないサクションパイプの作製方法を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、少ない構成部材で、サクションパイプとそれと異なる金属のキャピラリーチューブとを固定した冷蔵庫を提供することを目的とする。また、本発明は、サクションパイプとキャピラリーチューブとの熱交換率を上げた冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のサクションパイプ作製方法は、
第1の金属を含むサクションパイプと前記第1の金属と異なる第2の金属を含むキャピラリーチューブとを備えるサクションパイプの作製方法であって、
直線状の前記サクションパイプと直線状の前記キャピラリーチューブとを、熱伝導性が0.13W/m・K以上である粘弾性部材を介して平行に並べ、
前記直線状のキャピラリーチューブ及び前記直線状のサクションパイプの一方を固定し、その他方に、基体に取り付けられたローラを押しつけて、前記ローラを前記キャピラリーチューブ及び前記サクションパイプの長軸方向に回転させて、前記キャピラリーチューブと前記サクションパイプとを前記粘弾性部材を介して密着させ、
前記サクションパイプと前記キャピラリーチューブとのまわりを覆う収縮チューブで固定する、ことを特徴とする。
【0009】
サクションパイプとキャピラリーチューブとを、熱伝導性が、0.13W/m・K以上である粘弾性部材を介して密着させることで、サクションパイプとキャピラリーチューブとが異なる金属である場合に、はんだを使わないサクションパイプの作製方法を提供できる。
【0010】
また、直線状のサクションパイプと直線状のキャピラリーチューブに粘弾性部材をローラで押しつけて、ローラを直線状に回転させることにより、粘弾性部材が短時間で容易に変形する。そのため、短時間で、かける労力の少ないサクションパイプの作製方法を提供できる。
【0011】
また、本発明は、複数の前記キャピラリーチューブが、前記粘弾性部材を介して前記サクションパイプと平行に並べられる、ことを特徴とする。
【0012】
上記構成により、複数のキャピラリーチューブがあったとしても、同時にサクションパイプに固定できるため、短時間で容易に複雑なサクションパイプを作製できる。また、サクションパイプとキャピラリーチューブとの熱交換率を上げた冷蔵庫を提供できる。
【0013】
また、本発明は、前記粘弾性部材は、ブチルゴムのゴム板である、ことを特徴とする。
【0014】
ブチルゴムのゴム板は変形しやすく、また、形状が戻らないため、サクションパイプとキャピラリーチューブとに密着性がよい。また、ブチルゴムのゴム板は、熱伝導性がよいため、サクションパイプとキャピラリーチューブとの間の熱交換率が上がる。
【0015】
また、本発明は、前記第1の金属は、アルミニウムを含み、前記第2の金属は、銅を含む、ことを特徴とする。
【0016】
アルミニウムは、銅に比べて安価であるため、アルミニウムを用いることでコストを下げることができる。アルミニウムは、銅に比べて軽いため、アルミニウムを用いることで部品を軽量にできる。
【0017】
本発明の冷蔵庫は、
第1の金属を含むサクションパイプと、
前記第1の金属と異なる第2の金属を含むキャピラリーチューブと、
前記サクションパイプと前記キャピラリーチューブの間に挟まれた、熱伝導性が0.13W/m・K以上である粘弾性部材と、
前記サクションパイプと前記キャピラリーチューブとの周囲を覆う収縮チューブと、を備える、ことを特徴とする。
【0018】
本発明は、従来のはんだ付けで接着した構成と比較して、はんだが粘弾性部材に変わるものである。したがって、本発明は、従来と同様の構成部材で、サクションパイプとそれと異なる金属のキャピラリーチューブとを固定した冷蔵庫を提供できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、サクションパイプとキャピラリーチューブとが異なる金属である場合にはんだを使わないサクションパイプの作製方法を提供できる。さらに、本発明は、短時間で、かける労力の少ないサクションパイプの作製方法を提供できる。
【0020】
また、本発明は、少ない構成部材で、サクションパイプとそれと異なる金属のキャピラリーチューブとを固定した冷蔵庫を提供できる。また、本発明は、サクションパイプとキャピラリーチューブとの熱交換率を上げた冷蔵庫を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施の形態である固定されたサクションパイプとキャピラリーチューブの断面図である。
図2】本発明の第2の実施の形態である固定されたサクションパイプとキャピラリーチューブの断面図である。
図3】本発明の第3の実施の形態である固定されたサクションパイプとキャピラリーチューブの断面図である。
図4】本発明の第4の実施の形態である固定されたサクションパイプとキャピラリーチューブの断面図である。
図5】本発明に用いられるローラの1つの実施の形態を示す概略図である。
図6】本発明の第1及び第2の実施の形態のサクションパイプの作製方法を示す模式図である。
図7】本発明の第3及び第4の実施の形態のサクションパイプの作製方法におけるサクションパイプとキャピラリーチューブの配置図である。
図8】本発明の第3及び第4の実施の形態のサクションパイプの作製方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための様々な実施の形態を、図面を参照して説明する。要点の説明または理解の容易性を考慮して、異なる図面で便宜上符号を変えて示すが、同一の機能を備えるものもある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施の形態を分けて示すが、異なる実施の形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。実施の形態2以降では、実施の形態1と要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施の形態を分けて示すが、異なる実施の形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。
【0023】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態である固定されたサクションパイプとキャピラリーチューブの断面図である。図1を参照して、本発明の固定されたサクションパイプとキャピラリーチューブの第1の実施の形態を説明する。
【0024】
図1に示すように、第1の実施の形態は、サクションパイプ101と、キャピラリーチューブ103とが粘弾性部材105であるゴム板を挟んで密着される。サクションパイプ101とキャピラリーチューブ103と粘弾性部材105とは、収縮チューブ107で周囲を覆われ、束ねられる。
【0025】
サクションパイプ101は、第1の金属であるアルミニウムを含む金属からなる。アルミニウムは、銅に比べて安価であるため、アルミニウムを用いることでコストを下げることができる。アルミニウムは、銅に比べて軽いため、アルミニウムを用いることで部品を軽量にできる。
【0026】
キャピラリーチューブ103は、第2の金属である銅を含む金属からなる。銅は熱伝導性が高い。サクションパイプ101とキャピラリーチューブ103は異なる金属であるため、接触させると電蝕が起こる。したがって、これらの部材をはんだ付けすることはできない。
【0027】
そこで、サクションパイプ101とキャピラリーチューブ103との間に、粘弾性部材105であるゴム板を間に介して密着させる。粘弾性部材105は、熱伝導性が0.13W/m・K以上の材料を使う。
【0028】
粘弾性部材105は、熱伝導性が、0.13W/m・K以上であれば、サクションパイプ101とキャピラリーチューブ103との間の熱交換ができる。粘弾性部材105は、ブチルゴムのゴム板をゴム板として用いることが好ましい。
【0029】
粘弾性部材105は、変形してサクションパイプ101とキャピラリーチューブ103との接触面積が増加する。このようにすることで、サクションパイプ101とキャピラリーチューブ103との熱交換率を上げることができる。
【0030】
収縮チューブ107は、サクションパイプ101とキャピラリーチューブ103とを粘弾性部材105の変形を保ちながら固定する。
【0031】
本発明は、従来のはんだ付けで接着した構成と比較して、はんだが粘弾性部材に変わるものである。したがって、本発明は、従来と同様の構成部材で、サクションパイプとそれと異なる金属のキャピラリーチューブとを固定した冷蔵庫を提供できる。
【0032】
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の第2の実施の形態である固定されたサクションパイプとキャピラリーチューブの断面図である。図2を参照して、本発明の固定されたサクションパイプとキャピラリーチューブの第2の実施の形態を説明する。
【0033】
第2の実施の形態は、第1の実施の形態と、粘弾性部材205がゴム板ではなく、熱伝導性ホットメルトである点で、異なる。図2に示すように、第2の実施の形態は、サクションパイプ201と、キャピラリーチューブ203とが粘弾性部材205である熱伝導性ホットメルトを挟んで密着される。サクションパイプ201とキャピラリーチューブ203と粘弾性部材205とは、収縮チューブ207で周囲を覆われ、束ねられる。
【0034】
サクションパイプ201、キャピラリーチューブ203、収縮チューブ207は、第1の実施の形態と同じであるため、重複する説明は省略する。
【0035】
粘弾性部材205である熱伝導性ホットメルトは、熱をかけて流動性を増加させた後、所望の形状にして固める。サクションパイプ201に流動性のある熱伝導性ホットメルトを塗った後、キャピラリーチューブ203を押しつける。
【0036】
熱伝導性ホットメルトは、キャピラリーチューブ203の周囲の一部に回り込んで付着するため、熱伝導性ホットメルトとキャピラリーチューブ203との間の接触面積が増加する。このようにすることで、サクションパイプ201とキャピラリーチューブ203との熱交換率が上がる。
【0037】
粘弾性部材205である熱伝導性ホットメルトの熱伝導性は、0.65W/m・K以上であってもよい。熱伝導性ホットメルトの熱伝導性は、ブチルゴムのゴム板よりも高くすることもできる。
【0038】
本発明は、従来のはんだ付けで接着した構成と比較して、はんだが粘弾性部材に変わるものである。したがって、本発明は、従来と同様の構成部材で、サクションパイプとそれと異なる金属のキャピラリーチューブとを固定した冷蔵庫を提供できる。
【0039】
(第3の実施の形態)
図3は、本発明の第3の実施の形態である固定されたサクションパイプとキャピラリーチューブの断面図である。図3を参照して、本発明の固定されたサクションパイプとキャピラリーチューブの第3の実施の形態を説明する。
【0040】
第3の実施の形態は、第1の実施の形態と、第1のキャピラリーチューブ303に加えて、第2のキャピラリーチューブ309が設けられる点で異なる。図3に示すように、第3の実施の形態は、サクションパイプ301と、第1のキャピラリーチューブ303及び第2のキャピラリーチューブ309とが粘弾性部材305であるゴム板を挟んで密着される。
【0041】
サクションパイプ301と第1のキャピラリーチューブ303と第2のキャピラリーチューブ309と粘弾性部材305とは、収縮チューブ307で周囲を覆われ、束ねられる。
【0042】
サクションパイプ301、粘弾性部材305のゴム板、収縮チューブ307は、第1の実施の形態と同じであるため、重複する説明は省略する。
【0043】
キャピラリーチューブは、サクションパイプに比べて径が小さい。第1のキャピラリーチューブ303に加えて第2のキャピラリーチューブ309が存在することで、キャピラリーチューブとサクションパイプ301との接触面積を増加し、熱交換率を上げることができる。
【0044】
このように、キャピラリーチューブは、複数であることができる。ここでは、2本のキャピラリーチューブの例を示したが、キャピラリーチューブは、3本であってもよい。
【0045】
本発明は、サクションパイプとキャピラリーチューブとの熱交換率を上げた冷蔵庫を提供できる。
【0046】
(第4の実施の形態)
図4は、本発明の第4の実施の形態である固定されたサクションパイプとキャピラリーチューブの断面図である。図4を参照して、本発明の固定されたサクションパイプとキャピラリーチューブの第4の実施の形態を説明する。
【0047】
第4の実施の形態は、第1の実施の形態と、同様に第1のキャピラリーチューブ403に加えて、第2のキャピラリーチューブ409が設けられ、粘弾性部材405がゴム板ではなく、熱伝導性ホットメルトである点で異なる。図4に示すように、第4の実施の形態は、サクションパイプ401と、第1のキャピラリーチューブ403及び第2のキャピラリーチューブ409とが粘弾性部材405である熱伝導性ホットメルトを挟んで密着される。
【0048】
サクションパイプ401と第1のキャピラリーチューブ403と第2のキャピラリーチューブ409と粘弾性部材405とは、収縮チューブ407で周囲を覆われ、束ねられる。
【0049】
サクションパイプ401、収縮チューブ407は、第1の実施の形態と同じであるため、重複する説明は省略する。また、粘弾性部材405の熱伝導性ホットメルトは、第2の実施の形態と同じであるため、重複する説明は省略する。
【0050】
また、第1のキャピラリーチューブ403、第2のキャピラリーチューブ409は、第3の実施の形態と同じであるため、重複する説明は省略する。
【0051】
熱伝導性ホットメルトは、サクションパイプ401と第1のキャピラリーチューブ403及び第2のキャピラリーチューブ409との接触面積を増加できる。また、熱伝導性ホットメルトの熱伝導性は、ブチルゴムのゴム板より高くできる。
【0052】
さらに、第1のキャピラリーチューブ403に加えて第2のキャピラリーチューブ409が存在することで、キャピラリーチューブとサクションパイプ401との接触面積を増加し、熱交換率を上げることができる。
【0053】
したがって、本発明は、サクションパイプとキャピラリーチューブとの熱交換率を上げた冷蔵庫を提供できる。
【0054】
(第1及び第2の実施の形態のサクションパイプの作製方法)
図5は、本発明に用いられるローラの1つの実施の形態を示す概略図である。図6は、本発明の第1及び第2の実施の形態のサクションパイプの作製方法を示す模式図である。図5及び図6を参照して、第1及び第2の実施の形態のサクションパイプの作製方法を説明する。
【0055】
図5に示すように、本発明に用いられる押しつけ具501は、基体503と、ローラ505と、ローラ支持部材507とを備える。
【0056】
基体503は、片手持ちの握り部である、10cmから25cmの細長い柄を備える。細長い柄は、ローラ505を1方向に走らせるために都合がよい。基体503は、半円径の断面を有している。握ったときに手のひらに角が当たらないようにすることで、力が加わっても手が痛まない。
【0057】
ローラ505は、ローラ支持部材507に支えられ、細長い基体503の長軸方向に沿って双方向に回転する。ローラ505は、双方向に回転することで、容易に往復できる。
【0058】
図6に示すように、第1の金属であるアルミニウムを含む直線状のサクションパイプ603と第2の金属である銅を含む直線状のキャピラリーチューブ605とを粘弾性部材607を介して平行に並べる。
【0059】
直線状のサクションパイプ603は、定規となる直線状の台609の下に長軸を平行にして固定され、その一部が見えている状態で、粘弾性部材607を介してキャピラリーチューブ605を、基体に取り付けられた押しつけ具601で押しつける。
【0060】
ここでは一方であるサクションパイプ603を固定し、他方であるキャピラリーチューブ605を押しつけたが、キャピラリーチューブ605を固定し、サクションパイプ603を押しつけてもよい。
【0061】
押しつけ具601のローラをキャピラリーチューブ605及びサクションパイプ603の長軸方向に回転させて、キャピラリーチューブ605とサクションパイプ603とを粘弾性部材607を介して密着させる。押しつけ具601のローラは、往復させてサクションパイプとキャピラリーチューブとの密着性を上げてもよい。押しつけ具601は、手で持つ例を示したが、機械に固定されて一定の圧力で押しつけられるようにしてもよい。
【0062】
このようにすることで、粘弾性部材607は、変形し、サクションパイプ603とキャピラリーチューブ605との接触面積を増加する。粘弾性部材607は、長時間、少なくとも固定するまで変形性を保つことができる材質である。ここでは、粘弾性部材607は、ゴム板、特にブチルゴムのゴム板を用いた。粘弾性部材607は、熱伝導性ホットメルトであってもよい。
【0063】
その後、サクションパイプ603とキャピラリーチューブ605とのまわりを、収縮チューブで固定する。さらに、固定された直線状のサクションパイプは、キャピラリーチューブとともにU字状に数回曲げられ、所望の形状に加工された後、冷蔵庫に固定される。
【0064】
本発明は、サクションパイプとキャピラリーチューブとが異なる金属である場合にはんだを使わないサクションパイプの作製方法を提供できる。また、本発明は、短時間で、かける労力の少ないサクションパイプの作製方法を提供できる。さらに、本発明は、サクションパイプとキャピラリーチューブとの熱交換率を上げた冷蔵庫を提供できる。
【0065】
(第3及び第4の実施の形態のサクションパイプの作製方法)
図7は、本発明の第3及び第4の実施の形態のサクションパイプの作製方法におけるサクションパイプとキャピラリーチューブの配置図である。図8は、本発明の第3及び第4の実施の形態のサクションパイプの作製方法を示す模式図である。図7及び図8を参照して、第3及び第4の実施の形態のサクションパイプの作製方法を説明する。
【0066】
第3及び第4の実施形態のサクションパイプの作製方法は、キャピラリーチューブが、複数である点で第1及び第2の実施形態のサクションパイプの作製方法と異なる。ここでは、2本のキャピラリーチューブの例を示すが、キャピラリーチューブは、3本であってもよい。
【0067】
図7に示すように、第1の金属であるアルミニウムを含む直線状のサクションパイプ703と第2の金属である銅を含む直線状の第1のキャピラリーチューブ705と第2のキャピラリーチューブ707とを、粘弾性部材709を介して平行に並べる。
【0068】
図8に示すように、直線状のサクションパイプ703は、定規となる直線状の台711の下に長軸を平行にして固定され、その一部が見えている状態で、粘弾性部材709を介して第1のキャピラリーチューブ705及び第2のキャピラリーチューブ707を合わせて、基体に取り付けられたローラ701で押しつけられる。
【0069】
ここでは一方であるサクションパイプ703を固定し、他方である第1のキャピラリーチューブ705と第2のキャピラリーチューブ707とを押しつけたが、第1のキャピラリーチューブ705と第2のキャピラリーチューブとを固定し、サクションパイプ703を押しつけてもよい。
【0070】
ローラ701を第1のキャピラリーチューブ705、第2のキャピラリーチューブ707及びサクションパイプ703の長軸方向に回転させて、第1のキャピラリーチューブ705と第2のキャピラリーチューブ707とサクションパイプ703とを粘弾性部材709を介して密着させる。ローラ701は、往復させてサクションパイプとキャピラリーチューブとの密着性を上げてもよい。ローラ701は、手で持つ例を示したが、機械に固定されて一定の圧力で押しつけられるようにしてもよい。
【0071】
このようにすることで、粘弾性部材709は変形し、サクションパイプ703と第1のキャピラリーチューブ705及び第2のキャピラリーチューブ707との接触面積を増加する。
【0072】
粘弾性部材709は、長時間、少なくとも固定するまで変形性を保つことができる材質である。粘弾性部材709は、ゴム板、特にブチルゴムのゴム板を用いた。粘弾性部材709は、熱伝導性ホットメルトであってもよい。
【0073】
その後、サクションパイプ703と第1のキャピラリーチューブ705及び第2のキャピラリーチューブ707とのまわりを、収縮チューブで固定する。さらに、固定された直線状のサクションパイプは、キャピラリーチューブとともにU字状に数回曲げられ、所望の形状に加工された後、冷蔵庫に固定される。
【0074】
本発明は、サクションパイプとキャピラリーチューブとが異なる金属である場合にはんだを使わないサクションパイプの作製方法を提供できる。また、本発明は、短時間で、かける労力の少ないサクションパイプの作製方法を提供できる。さらに、本発明は、サクションパイプとキャピラリーチューブとの熱交換率を上げた冷蔵庫を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、サクションパイプとキャピラリーチューブとが異なる金属である場合のサクションパイプの作製に利用できる。
【符号の説明】
【0076】
101 サクションパイプ
103 キャピラリーチューブ
105 粘弾性部材
107 収縮チューブ
201 サクションパイプ
203 キャピラリーチューブ
205 粘弾性部材
207 収縮チューブ
301 サクションパイプ
303 第1のキャピラリーチューブ
305 粘弾性部材
307 収縮チューブ
309 第2のキャピラリーチューブ
401 サクションパイプ
403 第1のキャピラリーチューブ
405 粘弾性部材
407 収縮チューブ
409 第2のキャピラリーチューブ
501 押しつけ具
503 基体
505 ローラ
507 ローラ支持部材
601 押しつけ具
603 サクションパイプ
605 キャピラリーチューブ
607 粘弾性部材
609 直線状の台
701 ローラ
703 サクションパイプ
705 第1のキャピラリーチューブ
707 第2のキャピラリーチューブ
709 粘弾性部材
711 直線状の台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8