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  • 特許-車載用ロッドホルダー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】車載用ロッドホルダー
(51)【国際特許分類】
   A01K 97/10 20060101AFI20230316BHJP
   A01K 97/00 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
A01K97/10 Z
A01K97/00 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019111448
(22)【出願日】2019-06-14
(65)【公開番号】P2020202769
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000114709
【氏名又は名称】槌屋ヤック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082429
【弁理士】
【氏名又は名称】森 義明
(74)【代理人】
【識別番号】100162754
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 真樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 輝記
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-027751(JP,A)
【文献】登録実用新案第3010725(JP,U)
【文献】特開2012-228245(JP,A)
【文献】特開平10-044877(JP,A)
【文献】特開平09-183343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 97/10
A01K 97/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内後ろ側の天井部分に横架されたホルダーフレーム(12)に装着され、釣り竿(14)の太径側を吊持ちする車載用ロッドホルダーであって、
その上端が上記ホルダーフレーム(12)に固定されるアーム部(16)と、
上記アーム部(16)の下端側に一体的に連設され、上記ホルダーフレーム(12)への装着状態において上記ホルダーフレーム(12)の軸と略平行する方向に延設される下クランプ部(18)と、
その下クランプ部(18)の長手方向基端部において幅方向に架設された枢軸(24)と共に回動し、上記の下クランプ部(18)と協働して開閉式のクランプを形成する上クランプ部(20)とを具備し、
上記の上クランプ部(20)は、その長手方向先端側が上記の下クランプ部(18)から離隔する上方へと跳ね上げられるように常時付勢されており、
上記の下クランプ部(18)の長手方向基端部近傍には、上記の枢軸(24)に固定されたラチェット歯車(26)と、先端に設けられた爪部(28a)が上記ラチェット歯車(26)に向けて常時付勢されるロック部材(28)とを備え、この両者を係合・離脱させることによって、上記の上クランプ部(20)と下クランプ部(18)との間の開度を多段階に亘って固定するロック機構(22)が設けられる、ことを特徴とする車載用ロッドホルダー。
【請求項2】
請求項1の車載用ロッドホルダーにおいて、
前記アーム部(16)は、前記ホルダーフレーム(12)に固定された状態において、その下端部が平面視で上記ホルダーフレーム(12)の軸から離隔する方向に曲成されている、ことを特徴とする車載用ロッドホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの車室内後ろ側の天井部分に横架されたホルダーフレームに取り付けられ、釣り竿の太径(リア)側を着脱自在に保持する車載用ロッドホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車載用ロッドホルダーには、従来では、下記の非特許文献1に記載されたクランプ式のリア用ホルダーがある。その従来技術は、次のように構成されている。
すなわち、車室内後ろ側の天井部分に横架されたホルダーフレームに沿って固定される上クランプ部と、その上クランプ部の長手方向基端部において幅方向に架設された枢軸により回動可能に支持され、上記の上クランプ部と協働してクランプを形成する下クランプ部と、上記の上クランプ部および下クランプ部それぞれの対向面に取着された軟質素材からなる上下一対のクッション部と、上記の上クランプ部の長手方向先端部に設けられ、上記の下クランプ部の長手方向先端部を係合離脱可能に保持するロック部材とで構成される。
かかる技術によれば、釣り竿、とりわけ1ピースや2ピースのルアーロッドの太径側を簡単にズレなくホールドすることができると共に、分割した2ピースロッドのグリップ部とティップセクションの太径部とを同時にしっかりとホールドすることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】株式会社カーメイト、同社ホームページ・INNO製品情報“ROD HOLDER”、[令和元年5月9日検索]、インターネット<URL:http://www.innoracks.com/jp/products/fishing/rodholder.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術には次の問題がある。
すなわち、上記従来の車載用ロッドホルダーでは、上クランプ部がホルダーフレームに固定され、下クランプ部が枢軸により回動可能に支持された構造となっているため、例えば、車載用ロッドホルダーで支持した釣り竿の太径側を取り出すときには、当該ホルダーの下クランプ部が下方へと回動して開くようになる。そうすると、釣り竿が横へ転がり落ちそうになるので、もう片方の手を添えないと不安になるという問題があった。とりわけ、釣り竿のグリップ部に重たいリールを装着していた場合には、釣り竿の太径部の不所望な落下が当該釣り竿の破損につながり易いため、特に慎重にならざるを得ない。
それゆえに、本発明の主たる目的は、様々なサイズおよび種類の釣り竿の太径側をズレなくしっかりとホールドすることができるのに加え、釣り竿の出し入れが簡単で、釣り竿が不所望に落下するのを防止することができる車載用ロッドホルダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明は、例えば、図1から図5に示すように、車室内後ろ側の天井部分に横架されたホルダーフレーム12に装着され、釣り竿14の太径側を吊持ちする車載用ロッドホルダー10を次のように構成した。
すわなち、その上端が上記ホルダーフレーム12に固定されるアーム部16と、上記アーム部16の下端側に一体的に連設され、上記ホルダーフレーム12への装着状態において上記ホルダーフレーム12の軸と略平行する方向に延設される下クランプ部18と、その下クランプ部18の長手方向基端部において幅方向に架設された枢軸24と共に回動し、上記の下クランプ部18と協働して開閉式のクランプを形成する上クランプ部20とを具備する。上記の上クランプ部20は、その長手方向先端側が上記の下クランプ部18から離隔する上方へと跳ね上げられるように常時付勢される。また、上記の下クランプ部18の長手方向基端部近傍には、上記の枢軸24に固定されたラチェット歯車26と、先端に設けられた爪部28aが上記ラチェット歯車26に向けて常時付勢されるロック部材28とを備え、この両者を係合・離脱させることによって、上記の上クランプ部20と下クランプ部18との間の開度を多段階に亘って固定するロック機構22が設けられる。
【0006】
本発明の車載用ロッドホルダー10では、下クランプ部18が固定である一方、上クランプ部20がその長手方向先端側を上方へと跳ね上げる方向に常時付勢されて可動するもの、つまり上開き構造のものであるため、爪部28aがラチェット歯車26から離隔するようにロック部材28をワンプッシュ操作すると、上クランプ部20の長手方向先端側が最上部へと跳ね上げられ、釣り竿14の出し入れを快適に行なうことができるようになる。
また、車載用ロッドホルダー10に釣り竿14を装着した状態で車を運転している際、不所望にロック機構22が作動して上クランプ部20が上方へと跳ね上げられたとしても、固定の下クランプ部18が釣り竿14を支えているため、直ちに釣り竿14が落下する心配もない。
さらに、ロック機構22によって、上クランプ部20と下クランプ部18との間の開度を多段階に亘って固定することができるので、様々な寸法(特に外径)の釣り竿14に対応することができる。
【0007】
本発明においては、前記アーム部16が、前記ホルダーフレーム12に固定された状態において、その下端部が平面視で上記ホルダーフレーム12の軸から離隔する方向に曲成されるのが好ましい。
この場合、上開き構造であるにもかかわらず、下クランプ部18と上クランプ部20とで形成されるクランプの位置を極力ホルダーフレーム12側(すなわち天井側)へと近づけることができ、車室内の空間をより有効に利用することができるようになる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、様々なサイズおよび種類の釣り竿の太径側をズレなくしっかりとホールドすることができるのに加え、釣り竿の出し入れが簡単で、釣り竿が不所望に落下するのを防止することができる車載用ロッドホルダーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態の車載用ロッドホルダーの使用状態を示す図面代用写真である。
図2】本発明の一実施形態の車載用ロッドホルダーを示す正面図である。
図3】本発明の一実施形態の車載用ロッドホルダーを示す右側面図である。
図4図3におけるA-A’線部分断面図である。
図5】本発明の一実施形態の車載用ロッドホルダーにおいて上クランプ部の長手方向先端部を最上部まで跳ね上げた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図1から図5によって説明する。本発明の車載用ロッドホルダー10は、自動車などの車室内後ろ側の天井部分に横架されたホルダーフレーム12に装着され、釣り竿14の太径側を吊持ちするためのもので、アーム部16、下クランプ部18、上クランプ部20およびロック機構22で大略構成される。
【0011】
アーム部16は、車載用ロッドホルダー10をホルダーフレーム12に固定するためのものであり、その上端部には、取付対象であるホルダーフレーム12の形状に応じた所定の係合形状を有する係合取付部16aが設けられる。また、この係合取付部16aが設けられたアーム部16上端部の後ろ側には、ホルダーフレーム12に取り付けたアーム部16が動かないように固定する回動式のロックレバー16bが取り付けられている。
【0012】
また、このアーム部16は、ポリカーボネートやABS樹脂などのエンジニアリング・プラスチック或いはアルミニウム合金やステンレスなどの金属材料と言った剛性に優れた材料で形成されており、図示実施形態のものでは、ホルダーフレーム12に固定された状態において、その下端部が平面視で上記ホルダーフレーム12の軸から離隔する方向に曲成された略L字形状の部材になっている(図3参照)。
そして、このアーム部16下端部先端には、下クランプ部18が一体的に設けられている。
【0013】
下クランプ部18は、車載する釣り竿14の太径側を下から支えて保持するものであり、ホルダーフレーム12への装着状態において、そのホルダーフレーム12の軸と略平行する方向に延設される。
また、この下クランプ部18の内面には、CR(クロロプレンゴム)スポンジなどの軟質素材からなるクッション部18aが設けられており、アーム部16との接続箇所に近接する長手方向基端部には、当該下クランプ部18の幅方向に架設された枢軸24を介して上クランプ部20が回動可能に取り付けられる。
さらに、この下クランプ部18の長手方向基端部には、後述するロック機構22が取り付けられている。
【0014】
上クランプ部20は、下クランプ部18と協働してクランプを構成し、下クランプ部18に載置された釣り竿14の太径側を上から挟持する部材である。この上クランプ部20は、ポリカーボネートやABS樹脂などのエンジニアリング・プラスチック或いはアルミニウム合金やステンレスなどの金属材料と言った剛性に優れた材料を用いて、下クランプ部18の上面を覆い隠すような形状に形成される。また、その長手方向基端部側が上述した枢軸24に固定されることによって、この枢軸24の回動に伴って上クランプ部20も回動するようになっている。
【0015】
また、下クランプ部18と同様に、この上クランプ部20の内面にも、CRスポンジなどの軟質素材からなるクッション部18aが設けられている。
【0016】
さらに、本実施形態では、枢軸24に巻回された捻りコイルばね30の上側先端が上クランプ部20の長手方向基端部側面の枢軸24よりも前方やや上部の位置に固定されており、その下側先端が下クランプ部18の長手方向基端部の枢軸24よりも下方の位置に固定されている。このため、上クランプ部20は、この捻りコイルばね30によって、その長手方向先端側が下クランプ部18から離隔する上方へと跳ね上げられるように常時付勢されている。
【0017】
ロック機構22は、下クランプ部18と、上方へと跳ね上げられるように常時付勢された上クランプ部20との間の開度を多段階に亘って固定するもので、枢軸24の軸方向(幅方向)略中央部分に固定された(=回転不能にて取り付けられた)ラチェット歯車26と、これに係合するロック部材28とを有する(図4参照)。
【0018】
ロック部材28は、上端にラチェット歯車26に噛合する上向きの爪部28aが設けられ、下端が下クランプ部18の長手方向基端部下面に開設されたレバー孔18bから下クランプ部18の外へと延出されて広幅の操作部28bが形成された略逆L字状の部材である。
【0019】
このロック部材28は、水平方向に延ばされて上部に爪部28aが設けられた短辺部分と、鉛直方向に延ばされて下端に操作部28bが設けられた長辺部分との連結部分が、枢軸24の下方でこれと平行するように架設されたロッド32に、揺動可能に取り付けられている。また、爪部28aが設けられた短辺部分の下面と下クランプ部18の長手方向基端部内面との間にはコイルばね34が配設されており、このコイルばね34の弾発力によって、爪部28aがラチェット歯車26に向けて常時付勢されるようになっている。
【0020】
以上のように構成された車載用ロッドホルダー10を使用する際には、まず、車室内後ろ側の天井部分に横架されたホルダーフレーム12の所定位置にアーム部16の係合取付部16aを係合させた後、ロックレバー16bを押下げて、車載用ロッドホルダー10を固定する。
【0021】
次いで、ロック部材28の操作部28bを下クランプ部18の長手方向先端側に向けて指で押すと、ロッド部材28が揺動して爪部28aがラチェット歯車26から離隔する。すると、捻りコイルばね30の弾発力によって、上クランプ部20の長手方向先端側が、図5に示すように、下クランプ部18から離隔する上方へと跳ね上げられる。
【0022】
そして、操作部28bから指を離し、下クランプ部18の上に釣り竿14の太径側を載置した後、上クランプ部20の長手方向先端部を上から下へと押下げる。すると、爪部28aがラチェット歯車26を乗り越えながら所定の位置まで移動し、下クランプ部18と上クランプ部20とで釣り竿14の太径側を挟持した状態で両者が固定される(図1参照)。
【0023】
一方、車載用ロッドホルダー10で保持した釣り竿14を取り出す際には、ロック部材28の操作部28bを下クランプ部18の長手方向先端側に向けて指で押すと、上クランプ部20の長手方向先端側が上方へと跳ね上げられ、釣り竿14を片手で簡単に取り出せるようになる。
【0024】
本実施形態の車載用ロッドホルダー10によれば、下クランプ部18が固定である一方、上クランプ部20の長手方向先端側が上方へと跳ね上げられる上開き構造であるため、不所望にロック機構22が作動して上クランプ部20が上方へと跳ね上げられたとしても、固定式の下クランプ部18が釣り竿14を支えているため、直ちに釣り竿14が落下する心配もない。
また、上クランプ部20と下クランプ部18との間の開度を、ロック機構22のラチェット歯車26の歯数に応じた多段階(図示実施形態では、ラチェット歯車26の歯数が5つであるため4段階)に固定することができるので、様々な寸法(特に外径)の釣り竿14に対応することができる。
さらに、ロック部材28の操作部28bを下クランプ部18の長手方向先端側に向けて指で押すだけで、上クランプ部20の長手方向先端側を簡単に上方へと跳ね上げさせることができる。
【0025】
なお、上述の実施形態では、ロック機構22のロック部材28として、上端に上向きの爪部28aが設けられ、下端が下クランプ部18の外へと延出された略逆L字状の部材であって、短辺部分と長辺部分との連結部分がロッド32に揺動可能に取り付けられると共に、コイルばね34によって、爪部28aがラチェット歯車26に向けて常時付勢されるものを示したが、このロック部材28は、先端に設けられた爪部28aがラチェット歯車26に向けて常時付勢されると共に、使用者の操作によってこの両者の係合・離脱が可能なものであれば、その態様は、上述のものに限定されず、如何なるものであってもよい。
【0026】
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。
【符号の説明】
【0027】
10:車載用ロッドホルダー,12:ホルダーフレーム,14:釣り竿,16:アーム部,18:下クランプ部,20:上クランプ部,22:ロック機構,24:枢軸,26:ラチェット歯車,28:ロック部材,28a:爪部.
図1
図2
図3
図4
図5