IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フジヤマパックシステム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ラベル加熱装置 図1
  • 特許-ラベル加熱装置 図2
  • 特許-ラベル加熱装置 図3
  • 特許-ラベル加熱装置 図4
  • 特許-ラベル加熱装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】ラベル加熱装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 53/04 20060101AFI20230316BHJP
   B65B 53/02 20060101ALI20230316BHJP
   B65B 53/00 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
B65B53/04 Z
B65B53/02 D
B65B53/02 H
B65B53/00 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019118591
(22)【出願日】2019-06-26
(65)【公開番号】P2021004064
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2021-12-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ・2019年5月15日~2019年5月17日に第29回西日本食品作業創造展´19にて展示。
(73)【特許権者】
【識別番号】518178305
【氏名又は名称】フジヤマパックシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】松尾 一
(72)【発明者】
【氏名】秋山 隆
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-137502(JP,A)
【文献】特開2003-054520(JP,A)
【文献】特開平10-273116(JP,A)
【文献】実開平05-094110(JP,U)
【文献】登録実用新案第3141599(JP,U)
【文献】実開平04-097011(JP,U)
【文献】特開2015-098350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 53/00
B65G 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被装着物に装着されるラベルを前記被装着物とともに加熱するものであり、前記被装着物が前記ラベルを予備加熱する予備加熱室を通過した後、外気に晒されることなく、前記予備加熱室よりも高い温度で前記ラベルを本加熱する本加熱室に搬送されるように構成された加熱トンネルを備えたラベル加熱装置であって、
前記本加熱室と前記予備加熱室との間に配置された中間室と、
前記予備加熱室、前記中間室、及び前記本加熱室のそれぞれに配置され、搬送方向に沿って並ぶ複数のコンベアと、
前記複数のコンベアのそれぞれの搬送速度を、前記予備加熱室に配置されたコンベアの搬送速度、前記中間室に配置されたコンベアの搬送速度、及び、前記本加熱室に配置されたコンベアの搬送速度の順番で段階的に高速又は低速に調節する搬送速度調節部とを備えることを特徴とするラベル加熱装置。
【請求項2】
前記加熱トンネルが、入口と出口とは別の位置に設けられ、互いに隣り合う前記コンベアの境目を通過する前記被装着物を視認可能な観察窓を備えている請求項1記載のラベル加熱装置。
【請求項3】
前記観察窓が、前記中間室に設けられている請求項記載のラベル加熱装置。
【請求項4】
前記観察窓が、開閉式のものである請求項又はのいずれかに記載のラベル加熱装置。
【請求項5】
前記観察窓が、内窓と外窓とを備えた二重構造になっており、
前記内窓と前記外窓との間に冷却媒体が流されている請求項乃至のいずれかに記載のラベル加熱装置。
【請求項6】
前記予備加熱室、前記中間室及び前記本加熱室が、それぞれ別の筐体によって構成されており、
互いに隣り合う前記筐体が、互いに着脱可能に構成されている請求項乃至のいずれかに記載のラベル加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のラベル加熱装置として、例えば、特許文献1に示すように、被装着物に装着されるラベルを加熱するものであり、被装着物がラベルを予備加熱する予備加熱室を通過した後、外気に晒されることなく、予備加熱室よりも高い温度でラベルを本加熱する本加熱室に搬送されるように構成された加熱トンネルを備えたものがある。
【0003】
前記ラベル加熱装置においては、予備加熱室でラベルを収縮しないか或いは若干収縮する程度に加熱し、被装着物の形状やラベルの材質、厚み等を考慮した上で本加熱室の加熱条件(例えば、加熱温度、熱風の吹き付け量や角度)を調節することにより、被着装着物に対してラベルを装着する。すなわち、ラベル収縮作業の最終的な仕上がりを本加熱室の加熱条件によって調整するようになっている。
【0004】
ところで、近年、洗剤等の容器(被装着物)として歪な形状(例えば、局所的に径が小さくなっている形状)のものが使用されるようになり、このような歪な形状の容器に対し、文字等が付されたラベルを、当該文字等の形状を歪めることなく装着してほしいとの要望が増えている。
【0005】
そして、出願人は、前記要望に応えるべく、前記ラベル加熱装置において本加熱室の加熱条件を変更し数多くのテストを繰り返したところ、本加熱室の加熱条件を変更しただけでは文字等の形状の歪みを抑制しきれないケースがあることを発見した。このため、当該ケースを更に検証する中で、前記ラベル加熱装置の改良を行ったところ、本加熱室の加熱条件だけでなく、予備加熱室の加熱温度以外の加熱条件もラベル収縮作業の最終的な仕上がりに影響を及ぼすことを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6307849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、予備加熱室におけるラベルの加熱温度以外の加熱条件を調節できるラベル加熱装置を得ることを主な課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係るラベル加熱装置は、被装着物に装着されるラベルを加熱するものであり、前記被装着物が前記ラベルを予備加熱する予備加熱室を通過した後、外気に晒されることなく、前記予備加熱室よりも高い温度で前記ラベルを本加熱する本加熱室に搬送されるように構成された加熱トンネルを備えたラベル加熱装置であって、前記予備加熱室及び前記本加熱室のそれぞれに配置され、搬送方向に沿って並ぶ複数のコンベアと、前記各コンベアのそれぞれの搬送速度を調節する搬送速度調節部とをさらに備えていることを特徴とするものである。
【0009】
このようなものであれば、搬送方向に沿って並ぶ複数のコンベアのそれぞれの搬送速度を搬送速度調節部で調節できるように構成したので、被装着物が本加熱室を通過する通過時間のみならず、被装着物が予備加熱室を通過する通過時間を調節できる。これにより、予備加熱室におけるラベルの加熱温度だけでなく加熱時間を調節でき、より多様な被装着物及びラベルの組み合わせに対応することができるようになる。
【0010】
ここで、被装着物が外気に晒されない状態とは、加熱トンネルの入口及び出口以外からトンネル内にラベルの収縮に影響を与えるほどの外気が流入出しない状態を示している。具体的には、例えば、加熱トンネルの入口及び出口以外にトンネル内へ外気が出入りできる孔や隙間が設けられていない状態等が挙げられる。なお、加熱トンネルの入口及び出口以外にトンネル内へ外気が出入りできる孔や隙間が設けられていたとしても、当該孔や隙間からトンネル内へ出入りする外気がラベルの収縮に影響を与えるほどのものでない場合には、被装着物が外気に晒されない状態に含まれる。
【0011】
互いに隣り合うコンベアの搬送速度の差が大きくなると、被装着物が当該両コンベアの境目を通過する際に転倒し易くなる。そこで、前記加熱トンネルが、前記本加熱室と前記予備加熱室との間に配置された中間室をさらに備え、前記複数のコンベアのうちで少なくとも一つのコンベアが、前記中間室に配置されており、前記搬送速度調節部が、前記予備加熱室に配置されたコンベアの搬送速度、前記中間室に配置されたコンベアの搬送速度、及び、前記本加熱室に配置されたコンベアの搬送速度のそれぞれを、この順番で段階的に高速又は低速になるように調節すればよい。
【0012】
このようなものであれば、比較的搬送速度の差が大きくなる予備加熱室に配置されるコンベアと本加熱室に配置されるコンベアとの間に、当該両コンベアの搬送速度の間の搬送速度を有するコンベアを配置したので、互いに隣り合うコンベアの搬送速度の差が小さくなる。これにより、互いに隣り合うコンベアの境目を通過する被装着物が転倒し難くなる。
【0013】
また、前記搬送トンネルの具体的な構成としては、前記加熱トンネルが、前記入口と前記出口とは別の位置に設けられ、互いに隣り合う前記コンベアの境目を通過する前記被装着物を視認可能な観察窓を備えているものが挙げられる。この場合、前記観察窓は、中間室に設ければよい。
【0014】
このようなものであれば、前記のとおり、搬送トンネル内の被装着物が比較的転倒し易い互いに隣り合うコンベアの境界を観察窓によって視認できるため、被装着物が転倒したことを確認し易くなる。
【0015】
また、前記観察窓の具体的な構成としては、前記観察窓が、開閉式のものが挙げられる。
【0016】
このようなものであれば、被装着物が転倒した場合に、観察窓を開けて戻すことができる。また、搬送トンネル内を搬送途中の被装着物を取り出すことができるため、搬送途中のラベルの状態を確認できる。これにより、当該ラベルの状態を参考にして予備加熱室や本加熱室の加熱温度や加熱時間を調節することができるようになる。
【0017】
また、前記観察窓は、トンネル内の熱によって高温になる。そこで、前記観察窓が、内窓と外窓とを備えた二重構造になっており、前記内窓と前記外窓との間に冷却媒体が流す冷却機構をさらに備えるものであってもよい。
【0018】
このようなものであれば、観察窓の温度上昇を抑制することできるため、観察窓に顔を近づけて搬送トンネル内を視認できる。
【0019】
また、前記予備加熱室、前記中間室及び前記本加熱室が、それぞれ別の筐体によって構成されており、互いに隣り合う前記筐体が、互いに着脱可能に構成されているものであってもよい。
【0020】
このようなものであれば、予備加熱室、本加熱室、中間室のいずれかが故障した場合に、その故障した箇所のみを容易に交換することができる。また、予備加熱室及び本加熱室は、被装着物に吹き付ける熱風の温度管理を筐体内に設置されたヒータ等で行われるが、予備加熱室、本加熱室及び中間室をそれぞれ別の筐体によって構成することにより、筐体内の温度管理が容易となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、予備加熱室におけるラベルの加熱温度以外の加熱条件を調節できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態のラベル加熱装置の全体構成を模式的に示す側面図である。
図2】本実施形態のラベル加熱装置の全体構成を模式的に示す平面図である。
図3】本実施形態の予備加熱室の断面を示す模式図である。
図4】本実施形態の本加熱室の断面を示す模式図である。
図5】本実施形態の中間室の断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係るラベル加熱装置を図面に基づいて説明する。
【0024】
本発明に係るラベル加熱装置100は、被装着物Xに被覆された熱収縮ラベルL(所謂シュリンクラベル)に高温の気体(熱風)を吹き付けることにより、その熱収縮ラベルLを加熱収縮して被装着物Xの外面に密着させるために使用されるものである。なお、被装着物Xは、ラベル加熱装置100による加熱によって変形しないものであればよく、例えば、ガラス製、樹脂製、金属製等の容器であり、具体的には、ペットボトルである。
【0025】
<実施形態> 本実施形態に係るラベル加熱装100は、図1に示すように、ラベルLが被せられた被装着物Xが入口10aから出口10bまで搬送される加熱トンネル10と、加熱トンネル10内に設置され、被装着物Xを搬送する搬送機構20と、を備えている。
【0026】
前記加熱トンネル10は、トンネル内でラベルLを加熱して被装着物Xに密着するように装着させるものである。加熱トンネル10は、具体的には、ラベルLを異なる温度帯によって加熱する複数の加熱室HRと、互いに隣り合う加熱室HRの間に配置される中間室MRと、を備えている。そして、加熱トンネル10は、複数の加熱室HRと中間室MRとを搬送方向に沿って並べた構成になっている。
【0027】
なお、前記複数の加熱室HRうちで中間室MRよりも上流側に配置された加熱室HRが予備加熱室11となり、前記複数の加熱室HRのうちで中間室MRよりも下流側に配置された加熱室HRが本加熱室12となる。なお、図1では、予備加熱室11、中間室MR、及び、本加熱室12が、それぞれ一つ設けられている構成を示しているが、いずれも二つ以上設けられているものであってもよい。この場合、特定の中間室MRに対し、上流側に予備加熱室11のみ設けられると共に下流側に本加熱室12のみ設けられるようにすればよい。また、互いに隣り合う予備加熱室11の間や互いに隣り合う本加熱室12の間に前記特定の中間室MR以外の中間室MRを設けてもよい。
【0028】
なお、前記予備加熱室11は、本加熱室11を通過する前のラベルLを予備加熱するものであり、ラベルLを予備加熱して若干収縮させる或いは収縮し易い状態にするものである。また、前記本加熱室12は、ラベルLを予備加熱室11よりも高い温度で本加熱するものであり、ラベルLを加熱して被装着物Xに密着するように装着させるものである。
【0029】
また、前記予備加熱室11は、図2及び図3に示すように、内部が予備加熱空間11sとして形成された第1筐体111と、ラベルLを加熱するための高温の気体を生成する第1加熱機構112と、を備えている。
【0030】
前記第1筐体111は、互いに対向する側壁11a(搬送方向と直交する壁)のうちで一方の側壁11aに被装着物Xを搬入するための搬入口11xが形成されると共に、他方の側壁11aに被装着物Xを搬出するための搬出口11yが形成されたものである。また、両側壁11aには、内縁間に内周壁11bが架け渡されており、外縁間に外周壁11cが架け渡されている。そして、第1筐体111における内周壁11bによって囲まれた内部空間が予備加熱空間11sとなり、また、第1筐体111における内周壁11bと外周壁11cとの間に形成された第1空間11v内に第1加熱機構112が設置されている。
【0031】
前記第1加熱機構112は、例えば圧送機構により供給された空気を高温に加熱するものであり、具体的には、例えばフィン付きカートリッジヒータ等のヒータHを備えたものである。より具体的には、第1筐体111の第1空間11v内における天井側(予備加熱室11sの上方位置)に複数本のヒータHが配置されている。
【0032】
そして、前記第1加熱機構112により加熱された高温の空気は、第1筐体111の内周壁11bに形成された送風孔11hから予備加熱空間11sに送り込まれるように構成されている。より具体的には、第1筐体111の内周壁11bには、搬送方向と直交する方向に対面する位置に複数の送風孔11hが形成さており、各送風孔11hから高温の空気が吹き出されるようになっている。なお、予備加熱空間11sへ送風された高温の気体は、搬送機構20の下方へ吸引された後、圧送機構によって再び第1空間11vへ戻され、予備加熱室11内を循環するように構成されている。
【0033】
また、前記本加熱室12は、図2及び図4に示すように、内部が本加熱空間12sとして形成された第2筐体121と、ラベルLを加熱するための高温の気体を生成する第2加熱機構122と、を備えている。
【0034】
前記第2筐体121は、互いに対向する側壁12a(搬送方向と直交する壁)のうちで一方の側壁12aに被装着物Xを搬入するための搬入口12xが形成されると共に、他方の側壁12bに被装着物Xを搬出するための搬出口12yが形成されたものである。また、両側壁12aには、内縁間に内周壁12cが搬送方向に沿うように架け渡されており、外縁間に外周壁12dが搬送方向に沿うように架け渡されている。そして、第2筐体121における内周壁12bによって囲まれた内部空間が本加熱空間12sとなり、また、第2筐体121における内周壁12bと外周壁12cとの間の第2空間12v内に第2加熱機構122が設置されている。
【0035】
前記第2加熱機構122は、例えば圧送機構により供給された空気を高温に加熱するものであり、具体的には、例えばフィン付きカートリッジヒータ等のヒータHを備えたものである。より具体的には、第2筐体121の第2空間12v内における天井側(本加熱室12sの上方位置)に複数本のヒータHが配置されている。
【0036】
前記第2加熱機構122により加熱された高温の空気は、第2筐体121の内周壁12bに形成された通風口12hから本加熱空間12sに送り込まれるように構成されている。より具体的には、第2筐体21の内周壁12bには、搬送方向と直交する方向に対面する位置に複数の通風口12hが形成さており、各通風口12hから高温の空気が吹き出されるようになっている。各通風口12hは、被装着物Xの高さ方向に沿って延びるスリット状をなしている。なお、本加熱空間12sへ送風された高温の気体は、搬送機構20の下方へ吸引された後、圧送機構によって再び第2空間12vへ戻され、本加熱室12内を循環するように構成されている。
【0037】
また、前記中間室MRは、図2及び図5に示すように、内部が中間空間13sとして形成された第3筐体131と、搬送途中の被装着物Xを視認可能な観察窓132と、観察窓132を冷却するための冷却機構133と、を備えている。
【0038】
前記第3筐体131は、互いに対向する側壁13aのうちで一方の側壁13a(搬送方向と反対方向を向く壁)に被装着物Xを搬入するための搬入口13xが形成されると共に、他方の側壁13aに被装着物Xを搬出するための搬出口13yが形成されたものである。また、両側壁13aには、内縁間に内周壁13bが搬送方向に沿うように架け渡されており、外縁間に外周壁13cが搬送方向に沿うように架け渡されている。そして、第3筐体131における内周壁13bによって囲まれた空間が中間空間13sとなり、また、第3筐体131における内周壁13bと外周壁13cとの間の冷却空間13v内に冷却機構133が設置されている。
【0039】
前記観察窓132は、第3筐体131の搬送方向と直交する方向に対面する位置にそれぞれ設けられている。すなわち、観察窓132は、第3筐体131の搬送路Rを挟んで対向する位置にそれぞれ設けられている。これにより、観察窓132から搬送機構20によって搬送される搬送途中の被装着物Xの搬送方向に対して垂直に立ち上がる面を視認できる。
【0040】
なお、前記観察窓132は、具体的には、第3筐体の内周壁13bの一部を構成する内窓W1と、第3筐体131の外周壁13cの一部を構成する外窓W2と、を備えた二重構造になっており、内窓W1と外窓W2との間に隙間を有している。なお、内窓W1と外窓W2との隙間は、冷却空間13vの一部を構成している。そして、観察窓132は、第3筐体131に対して開閉できるように構成されている。これにより、第3筐体131の観察窓132を開けることにより、搬送路Rを搬送途中の被装着物Xを取り出すことができるようになっている。なお、内窓W1及び外窓W2は、透光性の材料によって形成されている。
【0041】
前記冷却機構133は、例えば第3筐体131の外周壁13cの天井に位置する部分に形成された排気口13hと、排気口13hと対向するように設置された送風ファンFと、を備えている。なお、送風ファンFは、第3筐体131の冷却空間13v内の空気を送風するものである。そして、冷却機構133は、冷却空間13vの下方から冷却媒体となる外気を取り込み、観察窓132の内窓W1と外窓W2との間を通過させた後、排気口13hから冷却空間13v外へ排気するように構成されている。これにより、予備加熱空間11sや本加熱空間12sから中間空間13sへ流れ込んだ高温の気体によって観察窓132の温度が上昇することが抑制される。
【0042】
そして、前記各筐体111,121,131は、互いに隣り合う筐体が着脱可能に構成されている。具体的には、互いに隣り合う筐体は、シール等を介して連結されており、互いに隣り合う筐体の間の隙間からトンネル内へ外気が出入りしないように構成されている。
【0043】
なお、本実施形態においては、予備加熱室11、中間室MR、及び、本加熱室12は、それぞれ筐体111,121,131を支持する支持台30をさらに備えている。なお、各支持台30には、図示しないキャスターが取り付けられている。これにより、予備加熱室11、中間室MR、及び、本加熱室12を分割して容易に移動させることができる。
【0044】
前記搬送機構20は、図1及び図2に示すように、所謂ベルトコンベアである。具体的には、搬送機構20は、予備加熱室11、中間室MR、及び、本加熱室12にそれぞれ配置されるコンベアCを備えている。図1及び図2では、予備加熱室11、中間室MR、及び、本加熱室12にそれぞれ一つのコンベアCを配置しているが、これに限定されず、複数のコンベアCを配置してもよい。
【0045】
前記各コンベアCは、ラベルLが被覆された被装着物Xが載置される無端ベルト21と、その無端ベルト21を駆動させる駆動機構22と、を備えている。よって、無端ベルト21の上側を向く面が被装着物Xを搬送する搬送路Rとなる。なお、駆動機構22としては、例えば、モータを使用することができる。
【0046】
本実施形態においては、予備加熱室11に配置されるコンベアC1、及び、本加熱室12に配置されるコンベアC2として所謂搬送コンベアを配置し、中間室MRに配置されるコンベアC3として所謂ナイフエッジコンベアを配置している。なお、ナイフエッジコンベアは、無端ベルト21の搬送方向の両端部に位置する折返部21aが搬送コンベアの折返部21aよりも小径になった構成になっている。よって、中間室MRにナイフエッジコンベアを配置することにより、搬送コンベアの一端をナイフエッジコンベアへ近づけて配置することができる。その結果、コンベアC1,C2とコンベアC3との境目に形成される隙間を比較的狭くでき、被装着物Xが当該境目をスムーズに通過できるようになる。
【0047】
また、本実施形態においては、コンベアC1とコンベアC3との境目、及び、コンベアC1とコンベアC2との境目が、それぞれ中間室MR内に配置されている。すなわち、コンベアC1は、コンベアC3側の一端が予備加熱室11外へ突出して中間室MR内へ入り込むように配置され、コンベアC2は、コンベアC3側の一端が本加熱室12外へ突出して中間室MR内へ入り込むように配置されている。これにより、コンベアC1とコンベアC3との境目、及び、コンベアC3とコンベアC2との境目が、それぞれ観察窓132から視認できるように配置される。
【0048】
また、前記搬送機構20は、各コンベアC1,C2、C3の駆動機構22に接続される制御部(図示せず)を備えている。なお、制御部は、具体的には、CPU、メモリ、ACコンバータ、DCコンバータ、入力手段等を有したコンピュータであり、前記メモリに格納されたプログラムをCPUによって実行することによって、搬送速度調節部等としての機能を発揮するように構成されている。
【0049】
前記搬送速度調節部は、各コンベアC1、C2,C3の搬送速度をそれぞれ制御するものである。例えば、なお、搬送速度調節部は、制御部に接続された入力部を介して作業者が予め入力した搬送速度で各コンベアCを制御するようになっている。
【0050】
具体的には、コンベアC1の搬送速度とコンベアC2の搬送速度とは異なるように設定される場合がある。この場合、搬送速度調節部は、コンベアC1、コンベアC2、及び、コンベアC3をそれぞれ制御し、この順で搬送速度が段階的に高速又は低速になるように制御するように構成すればよい。すなわち、搬送速度調節部は、コンベアC2の搬送速度をコンベアC1とコンベアC2との間の搬送速度になるように制御するように構成すればよい。これにより、互いに隣り合うコンベアCの搬送速度の差が小さくなり、被装着物Xが、互いに隣り合うコンベアCの境目を通過する際に倒れ難くなる。
【0051】
なお、本実施形態においては、互いに隣り合うコンベアCの境目を観察窓132から視認できるように構成されているため、当該境目を通過する被装着物Xが転倒したことを確認できる。また、観察窓132が、開閉式になっているため、観察窓132を開くことにより、搬送途中に転倒した被装着物Xを元に戻すことができる。
【0052】
<その他の実施形態> 前記実施形態においては、予備加熱室11、中間室MR、及び、本加熱室12をそれぞれ別の筐体111,121,131によって構成しているが、これに限定されない。例えば、予備加熱室11と中間室MRとを一つの筐体で構成してもよく、中間室MRと本加熱室12とを一つの筐体で構成してもよい。さらに、予備加熱室11、中間室MR、及び、本加熱室12を一つの筐体で構成してもよい。
【0053】
また、前記観察窓132は、予備加熱室11や本加熱室12に設けてもよい。また、観察窓132は、搬送トンネル10の入口及び出口以外の位置に設ければよく、例えば、搬送トンネル10の天井に設けてもよい。
【0054】
また、前記コンベアC1と前記コンベアC3との境目は、予備加熱室11と中間室MRとの境目や予備加熱室11内に配置されるように構成してもよい。また、前記コンベアC3と前記コンベアC2との境目は、中間室MRと本加熱室12との境目や本加熱室12内に配置されるように構成してもよい。
【0055】
なお、前記実施形態においては、予備加熱室11、中間室MR、及び、本加熱室12のそれぞれにコンベアCを配置する構成としているが、例えば、予備加熱室11及び中間室MRに共通のコンベアCを配置してもよく、中間室MR及び本加熱室12に共通のコンベアCを配置してもよい。また、予備加熱室11、中間室MR、又は、本加熱室12の少なくとも一つに複数のコンベアCを配置してもよい。
【0056】
また、前記予備加熱室11又は前記本加熱室12のいずれか一方又は双方を複数設けてもよい。この場合、ラベル加熱装置100の上流側に各予備加熱室11が配置されると共に下流側に各本加熱室12が配置されるように構成すればよい。また、互いに隣り合う予備加熱室11の間に別の中間室MRを配置してもよく、互いに隣り合う本加熱室12の間に別の中間室MRを配置してもよい。
【0057】
また、前記中間室MRを設けず、予備加熱室11と本加熱室12とが互いに隣接するように配置してもよい。この場合、搬送機構20として、予備加熱室11に配置されるコンベアC1と本加熱室12に配置されるコンベアC2とを備えればよい。そいて、観察窓132は、搬送トンネル10におけるコンベアC1とコンベアC2との境目が視認可能な位置に配置すればよい。
【0058】
その他、本発明は前記各実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
100 ラベル加熱装置
X 被装着物
L ラベル
10 搬送トンネル
11 予備加熱室(加熱室)
12 本加熱室(加熱室)
MR 中間室
132 観察窓
W1 内窓
W2 外窓
20 搬送機構
C(C1,C2、C3) コンベア

図1
図2
図3
図4
図5