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<図1>
  • 特許-コア採取装置 図1
  • 特許-コア採取装置 図2
  • 特許-コア採取装置 図3
  • 特許-コア採取装置 図4
  • 特許-コア採取装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】コア採取装置
(51)【国際特許分類】
   E21B 25/00 20060101AFI20230316BHJP
   E02D 1/04 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
E21B25/00
E02D1/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020077488
(22)【出願日】2020-04-24
(65)【公開番号】P2021173048
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】501021782
【氏名又は名称】株式会社クリステンセン・マイカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】山田 直登
(72)【発明者】
【氏名】宮本 哲臣
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-42701(JP,U)
【文献】特開平3-66893(JP,A)
【文献】実開昭57-16951(JP,U)
【文献】特公昭50-16285(JP,B1)
【文献】米国特許第4558749(US,A)
【文献】特開2007-231630(JP,A)
【文献】特開2013-14960(JP,A)
【文献】特開2004-61472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 25/00
E02D 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動手段に接続されて回転駆動される駆動体と、前記駆動体に基端が固定されて先端にビットを有する外管と、前記外管の内部に挿通されて先端にコア取込部を有する内管と、前記駆動体および前記外管に対して前記内管を回転自在に支持するスイベル機構と、を備えたコア採取装置であって、
前記スイベル機構は、
前記駆動体の内部に挿通されて軸方向に進退可能に支持される支持軸と、
前記内管の基端を固定する内管固定部と、
前記支持軸と前記内管固定部とを回転自在に接続する回転接続部と、
前記駆動体に対して前記支持軸を先端側に向かって付勢する付勢手段と、を有し、
前記駆動体は、
前記駆動手段の先端を係合させる係合部と、
前記支持軸の基端側を挿通させる挿通孔と、
前記挿通孔に挿入可能かつ取り外し可能な別体の規制部材と、を有し、
前記挿通孔から前記規制部材が取り外された状態において、前記支持軸が前記付勢手段の付勢力に抗して軸方向の基端側に向かって後退可能となり、
前記駆動手段の先端部と前記支持軸の基端部との間の前記挿通孔に前記規制部材が挿入された状態において、前記規制部材によって前記支持軸の後退が規制される
ことを特徴とするコア採取装置。
【請求項2】
前記ビットが軟岩用ビットであり、前記コア取込部がシューである場合に、前記挿通孔から前記規制部材が取り外されて前記支持軸が後退可能とされ、
前記ビットが硬岩用ビットであり、前記コア取込部がコアリフターケースおよびコアリフターである場合に、前記挿通孔に前記規制部材が挿入されて前記支持軸の後退が規制される
ことを特徴とする請求項1に記載のコア採取装置。
【請求項3】
前記駆動体の前記係合部は、前記駆動手段の先端の雄ねじと螺合可能な雌ねじで構成され、前記雌ねじの内径は、前記挿通孔の内径よりも大きく形成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のコア採取装置。
【請求項4】
前記規制部材は、前記支持軸の基端部と略同径かつ円筒状に形成されたスリーブで構成される
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のコア採取装置。
【請求項5】
前記駆動体の内部には、前記支持軸の進退移動を許容し、かつ、前記支持軸の回転を規制するキー構造が設けられている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のコア採取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア採取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ビットを先端に有する外管と、外管の内部に供回りを規制するように設けられた内管とを備え、外管と内管との間には掘削流体を通すための流体通路が設けられた二重管方式のコア採取装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。掘削地層として砂礫や粘土のように軟らかい軟岩層を対象としたコア採取装置は、内管の先端にコア取込手段としてのシューが設けられ、このシューがビットの先端から突出するとともに、掘削地層の硬さに応じて突出寸法がスプリングによって変化するようになっている。また、掘削地層として硬岩を対象としたコア採取装置は、内管の先端にコア取込手段としてのコアリフターケースおよびコアリフターが設けられ、ビットによって切り出した棒状コアが取り込まれるようになっている。
【0003】
従来のコア採取装置の一例を図4、5に基づいて説明する。図4は、従来の軟岩用のコア採取装置100Aを示す断面図であって、このコア採取装置100Aは、ボーリングマシン等によるボーリングロッドの回転駆動軸Rによって回転駆動されるスイベルヘッド101と、スイベルヘッド101のヘッド本体(駆動体)101aに固定される外管(アウターチューブ)102と、スイベルヘッド101のインナーヘッド101bに固定される内管(インナーチューブ)103と、外管102の先端に固定される軟岩掘削用のビット104aと、内管103の先端に取り付けられる軟岩用のコア取込部105aと、を備え、外管102と内管103の間に流体通路106が形成されている。一方、図5は、従来の硬岩用のコア採取装置100Bを示す断面図であって、このコア採取装置100Bは、スイベルヘッド101と、外管102と、内管103と、外管102の先端に固定される硬岩掘削用のビット104bと、内管103の先端に取り付けられる硬岩用のコア取込部105bと、を備える。
【0004】
図4に示す軟岩用のスイベルヘッド101のヘッド本体101aは、回転駆動軸Rが螺合により固定される固定部101cと、上下のカップリング101d,101eおよびヘッドチューブ101fと、を有し、これらが互いに固定されるとともに、下側のカップリング101eに外管102の基端が螺合により固定される。上下のカップリング101d,101eの内部には、軸受け部が設けられており、これらの軸受け部に亘って内管103を支持する支持軸(シャフト)101gが回転自在に設けられている。支持軸101gの先端にはインナーヘッド101bがボルト101hによって固定され、支持軸101gの中間部には拡径部101iが形成され、この拡径部101iがベアリング101jを介して下側のカップリング101eの軸受け部に支持され、支持軸101gの下方への移動が規制されている。支持軸101gの基端部は、上側のカップリング101dの軸受け部に挿入され、この軸受け部の下側にベアリング101kが設けられ、このベアリング101kを介して支持軸101gにばね受け101mが外挿されている。支持軸101gの拡径部101iとばね受け101mとの間には圧縮ばねとしてのスプリング101nが設けられ、このスプリング101nによって支持軸101gが下方に付勢されている。
【0005】
図4に示す軟岩用のコア採取装置100Aにおいて、内管103の先端にはカップリング103aを介してインナーエクステンション103bが固定され、インナーエクステンション103bに軟岩用のコア取込部105aを構成するシュー105cが固定されている。シュー105cは、鋭利な先端面を有する円筒状の部品であり、ビット104aの刃面に対して、20mm程度突出するように取り付けられるとともに、掘削地層の硬さに応じて伸縮する機構となっている。すなわち、軟岩用のコア採取装置100Aでは、スイベルヘッド101のスプリング101nによって支持軸101gが下方に付勢されるとともに、支持軸101gの基端が上側のカップリング101dの軸受け部に挿入されていることから、スプリング101nの付勢力に抗して支持軸101gが上方に移動可能になっており、これにより内管103およびシュー105cが上下移動可能に支持されている。また、支持軸101gがベアリング101j,101kを介して上下のカップリング101d,101eに支持されていることで、内管103を外管102に対して回転自在に支持するスイベル機構が構成され、回転駆動軸Rによってヘッド本体101aおよび外管102が回転される際に、内管103は共回りせず、シュー105cおよびインナーエクステンション103bの内部に掘削したコアを取り込むように構成されている。
【0006】
図5に示す硬岩用のコア採取装置100Bにおいて、内管103の先端のインナーエクステンション103bには、硬岩用のコア取込部105bを構成するコアリフターケース105dが固定され、コアリフターケース105d内にコアリフター105eが設けられている。また、スイベルヘッド101においては、前述のスプリング101nに換えて円筒状のカラー101pが支持軸101gの拡径部101iとばね受け101mとの間に介装されている。すなわち、硬岩用のコア採取装置100Bでは、内管103およびコアリフターケース105dが上下移動不能となるように、カラー101pによって支持軸101gの上方への移動が規制されている。以上のようなコア採取装置100A,100Bは、スイベルヘッド101、外管102および内管103が共用可能に構成され、掘削地層に応じて、ビット104a,104bとコア取込部105a,105bが交換されるとともに、スプリング101nとカラー101pが交換されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2007-231630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のコア採取装置100A,100Bのように、軟岩用と硬岩用でスイベルヘッド101のスプリング101nとカラー101pを交換する必要がある構造の場合、ヘッド本体101aの固定部101cおよび上側のカップリング101dをヘッドチューブ101fから取り外すとともに、ベアリング101kおよびばね受け101mを支持軸101gから取り外してから、スプリング101nとカラー101pを交換し、各部を再度組み立てる作業が必要になり、交換作業に多大な手間と時間を要するという問題がある。
【0009】
本発明は、軟岩用と硬岩用とに共用可能であるとともに切り替え作業に要する手間と時間を削減することができるコア採取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のコア採取装置は、駆動手段に接続されて回転駆動される駆動体と、前記駆動体に基端が固定されて先端にビットを有する外管と、前記外管の内部に挿通されて先端にコア取込部を有する内管と、前記駆動体および前記外管に対して前記内管を回転自在に支持するスイベル機構と、を備えたコア採取装置であって、前記スイベル機構は、前記駆動体の内部に挿通されて軸方向に進退可能に支持される支持軸と、前記内管の基端を固定する内管固定部と、前記支持軸と前記内管固定部とを回転自在に接続する回転接続部と、前記駆動体に対して前記支持軸を先端側に向かって付勢する付勢手段と、を有し、前記駆動体は、前記駆動手段の先端を係合させる係合部と、前記支持軸の基端側を挿通させる挿通孔と、前記挿通孔に挿入可能かつ取り外し可能な別体の規制部材と、を有し、前記挿通孔から前記規制部材が取り外された状態において、前記支持軸が前記付勢手段の付勢力に抗して軸方向の基端側に向かって後退可能となり、前記駆動手段の先端部と前記支持軸の基端部との間の前記挿通孔に前記規制部材が挿入された状態において、前記規制部材によって前記支持軸の後退が規制されることを特徴とする。
【0011】
以上の本発明によれば、挿通孔から規制部材が取り外された状態で支持軸が付勢手段の付勢力に抗して軸方向の基端側に向かって後退可能となり、挿通孔に規制部材が挿入された状態で支持軸の後退が規制されるので、付勢手段と交換しなくても規制部材の着脱だけの作業によって、支持軸の移動可能または移動不能の使用状態を切り替えることができる。従って、コア採取装置における使用状態を容易かつ迅速に切り替えることができ、軟岩用と硬岩用とで多くの部品を共用しつつ切り替え作業に要する手間と時間を削減することができる。
【0012】
この際、前記ビットが軟岩用ビットであり、前記コア取込部がシューである場合に、前記挿通孔から前記規制部材が取り外されて前記支持軸が後退可能とされ、前記ビットが硬岩用ビットであり、前記コア取込部がコアリフターケースおよびコアリフターである場合に、前記挿通孔に前記規制部材が挿入されて前記支持軸の後退が規制されることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、ビットを軟岩用ビットまたは硬岩用ビットに交換し、コア取込部をシューまたはコアリフターケースおよびコアリフターに交換するとともに、規制部材を挿通孔から取り外すかまたは挿通孔に挿入することで、軟岩用または硬岩用の使用状態を容易に切り替えることができる。
【0014】
また、前記駆動体の前記係合部は、前記駆動手段の先端の雄ねじと螺合可能な雌ねじで構成され、前記雌ねじの内径は、前記挿通孔の内径よりも大きく形成されていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、駆動体の係合部である雌ねじの内径が挿通孔の内径よりも大きく形成されていることで、雌ねじから駆動手段の先端部の雄ねじを外せば、雌ねじの側から挿通孔に規制部材を挿入するかまたは取り外すことができ、使用状態の切り替え作業をより迅速に行うことができる。
【0016】
また、前記規制部材は、前記支持軸の基端部と略同径かつ円筒状に形成されたスリーブで構成されることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、規制部材が支持軸の基端部と略同径かつ円筒状に形成されたスリーブで構成されることで、支持軸の基端部にスリーブを当接させて支持軸の移動を確実に規制することができる。
【0018】
また、前記駆動体の内部には、前記支持軸の進退移動を許容し、かつ、前記支持軸の回転を規制するキー構造が設けられていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、キー構造によって支持軸の進退移動が許容されるとともに回転が規制されることで、駆動体と支持軸を同時に回転させつつ支持軸を進退自在とし、さらに規制部材を支持軸の基端部に当接させた際には、駆動体と支持軸が同時に回転しているために、規制部材と支持軸との間の摩擦を防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のような本発明のコア採取装置によれば、軟岩用と硬岩用とに共用可能であるとともに切り替え作業に要する手間と時間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係るコア採取装置を示す断面図である。
図2】前記コア採取装置のスイベルヘッドを示す断面図である。
図3】前記スイベルヘッドの他の使用状態を示す断面図である。
図4】従来のコア採取装置を示す断面図である。
図5】従来のコア採取装置の他の使用状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態に係るコア採取装置について、図1図3を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態のコア採取装置10は、ボーリングマシン等の駆動手段である回転駆動軸Rによって回転駆動されるスイベルヘッド11と、スイベルヘッド11のヘッド本体(駆動体)20に固定される外管12と、スイベルヘッド11のインナーヘッド26に固定される内管13と、外管12の先端に固定されるビット14と、内管13の先端に取り付けられるコア取込部15と、を備え、外管12と内管13の間に流体通路16が形成されている。図1において、ビット14は軟岩掘削用のものであり、コア取込部15は、軟岩用のシューで構成されているが、図4、5に示す従来のコア採取装置100A,100Bと同様に、ビット14を硬岩掘削用のものに交換し、コア取込部15を硬岩用のコアリフターケースおよびコアリフターに交換することが可能である。
【0023】
図2にも示すように、スイベルヘッド11のヘッド本体20は、回転駆動軸Rが螺合により固定される上部ヘッド21と、上部ヘッド21の下側に螺合により固定される下部ヘッド22と、を有し、下部ヘッド22に外管12の基端が螺合により固定されている。ヘッド本体20の内部には、内管13を支持する支持軸23が挿通されている。支持軸の先端には、回転接続部であるベアリング24がボルト25によって固定されている。ベアリング24の外周には、内管13の基端が固定される内管固定部としてのインナーヘッド26が取り付けられている。インナーヘッド26は、上下二部材に分かれ、上側部材26aと下側部材26bを螺合することでベアリング24に取り付けられている。このようにインナーヘッド26がベアリング24を介して支持軸23に取り付けられていることで、インナーヘッド26および内管13と、支持軸23、ヘッド本体20および外管12と、を互いに回転自在に接続するスイベル機構が構成されている。従って、回転駆動軸Rによってヘッド本体20および外管12が回転される際に、内管13は共回りしないように構成されている。
【0024】
ヘッド本体20の上部ヘッド21は、回転駆動軸Rの先端の雄ねじR1と螺合する雌ねじ(係合部)21aと、雌ねじ21aの下側に連続して支持軸23の基端側を挿通させる挿通孔21bと、挿通孔21bよりも下側にて内径が拡大された収容部21cと、を有している。雌ねじ21aの内径は、挿通孔21bの内径よりも大きく形成されている。下部ヘッド22は、支持軸23の中間部を挿通させる挿通孔22aと、挿通孔22aよりも上側にて内径が拡大された収容部22bと、を有している。挿通孔21b,22aの内周面には軸受け部材が設けられている。支持軸23の中間部には拡径部23aが形成され、この拡径部23aが下部ヘッド22の収容部22bの底面に当接することで、支持軸23の下方への移動が規制されている。ヘッド本体20の収容部21c,22bには、付勢手段としてのスプリング27が収容され、スプリング27は、支持軸23の拡径部23aと上部ヘッド21側のワッシャ21dとの間に圧縮状態で保持され、このスプリング27によって支持軸23が下方に付勢されている。
【0025】
支持軸23の拡径部23aには、鋼球からなるキー23bが設けられ、下部ヘッド22の収容部22bの内面には、キー23bを上下に案内する案内溝22cが設けられ、これらのキー23bおよび案内溝22cからキー構造が構成され、キー23bと案内溝22cとが係合することで、支持軸23の上下移動が許容されつつ回転が規制されている。以上のスイベルヘッド11によれば、スプリング27によって支持軸23が下方に付勢されるとともに、支持軸23がヘッド本体20の挿通孔21b,22aに挿通されていることから、スプリング27の付勢力に抗して支持軸23が上方に移動可能になっている。ここで、上部ヘッド21の挿通孔21bに挿通された支持軸23の上端と、雌ねじ21aに螺合された回転駆動軸Rの先端と、の間には、支持軸23の上方への移動を許容する間隙28が形成されている。従って、図1に示すように、外管12の先端に軟岩掘削用のビット14を装着し、内管13の先端に軟岩用のシューからなるコア取込部15を装着し、コア採取装置10を軟岩地層掘削用とする場合には、スプリング27で付勢された支持軸23の上方への移動を許容することで、掘削地層の硬さに応じてシューがビット14先端から突没可能に構成されている。
【0026】
次に、コア採取装置10を硬岩地層掘削用とする場合には、外管12の先端に硬岩掘削用のビット14を装着し、内管13の先端に硬岩用のコアリフターケースおよびコアリフターからなるコア取込部15を装着し、図3に示すように、上部ヘッド21の挿通孔21bに規制部材としてのスリーブ29を挿入する。スリーブ29は、支持軸23の基端部と略同径かつ円筒状に形成され、支持軸23の上端と回転駆動軸Rの先端との間隙28と略同一の高さ寸法を有している。また、スリーブ29は、回転駆動軸Rを上部ヘッド21の雌ねじ21aから外すことで、この雌ねじ21aを通して挿通孔21bに挿入可能であり、スリーブ29を挿入してから回転駆動軸Rの雄ねじR1を上部ヘッド21の雌ねじ21aに螺合すれば、雄ねじR1の先端と支持軸23の基端との間にスリーブ29が保持される。このように挿通孔21bにスリーブ29を挿入することで、支持軸23の上方への移動が規制される。
【0027】
以上の本実施形態によれば、スイベルヘッド11において、挿通孔21bからスリーブ29が取り外された状態で支持軸23がスプリング27の付勢力に抗して上方に移動可能となり、挿通孔21bにスリーブ29が挿入された状態で支持軸23の移動が規制されるので、スプリング27と交換しなくてもスリーブ29の着脱だけの作業によって、支持軸23の移動可能または移動不能の使用状態を切り替えることができる。
【0028】
ビット14を軟岩用ビットまたは硬岩用ビットに交換し、コア取込部15をシューまたはコアリフターケースおよびコアリフターに交換するとともに、スリーブ29を挿通孔21bから取り外すかまたは挿通孔21bに挿入することで、軟岩用または硬岩用の使用状態を容易に切り替えることができる。従って、コア採取装置10における使用状態を容易かつ迅速に切り替えることができ、軟岩用と硬岩用とで多くの部品を共用しつつ切り替え作業に要する手間と時間を削減することができる。
【0029】
また、上部ヘッド21の雌ねじ21aの内径が挿通孔21bの内径よりも大きく形成されていることで、雌ねじ21aから回転駆動軸Rの雄ねじR1を外せば、雌ねじ21aの側から挿通孔21bにスリーブ29を挿入するかまたは取り外すことができ、使用状態の切り替え作業をより迅速に行うことができる。
【0030】
また、スリーブ29が支持軸23の基端部と略同径かつ円筒状に形成されているので、支持軸23の基端部にスリーブ29を当接させて支持軸23の移動を確実に規制することができる。
【0031】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0032】
例えば、前記実施形態のコア採取装置10では、規制部材であるスリーブ29を挿通孔21bから取り外すかまたは挿通孔21bに挿入することで、軟岩用または硬岩用の使用状態を切り替えることを例示したが、使用状態としては、軟岩用または硬岩用に限らず、掘削対象とする地層の硬さ以外の条件に応じて、支持軸の移動を許可するために規制部材を挿入するか、あるいは、支持軸の移動を規制するために規制部材を取り外すようにしてもよい。
【0033】
また、前記実施形態では、上部ヘッド21の雌ねじ21aの内径が挿通孔21bの内径よりも大きく形成され、雌ねじ21aの側から挿通孔21bにスリーブ29を挿入する構成であったが、これに限らず、駆動体の側面等に開口を設けておき、側方から規制部材(例えば、上部ヘッド21を径方向に貫通するピン等)を挿通孔に挿入する構成を採用してもよい。また、前記実施形態では、スリーブ29が支持軸23の基端部と略同径かつ円筒状に形成されていたが、これに限らず、規制部材は、その内部に掘削流体通路が設けられていれば多角柱状等の部材でもよい。さらに、例えば、規制部材を雄ねじから構成し、上部ヘッド21の雌ねじ21aに螺合させた規制部材によって支持軸を移動不能にしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
10 コア採取装置
11 スイベルヘッド
12 外管
13 内管
14 ビット
15 コア取込部
20 ヘッド本体(駆動体)
21a 雌ねじ(係合部)
21b 挿通孔
22c 案内溝(キー構造)
23 支持軸
23b キー(キー構造)
24 ベアリング(回転接続部)
26 インナーヘッド(内管固定部)
27 スプリング(付勢手段)
28 間隙
29 スリーブ(規制部材)
R 回転駆動軸(駆動手段)
R1 雄ねじ
図1
図2
図3
図4
図5