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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】巻取装置及び搬送物の巻替方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/26 20060101AFI20230316BHJP
【FI】
B65H19/26
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021210629
(22)【出願日】2021-12-24
【審査請求日】2022-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】506006027
【氏名又は名称】共進電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】加納 輝幸
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-246512(JP,A)
【文献】特公昭49-017518(JP,B1)
【文献】特開平08-012142(JP,A)
【文献】特開2003-276915(JP,A)
【文献】特開2015-048173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/00-19/30
B65H 21/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、
搬送されるシート状の搬送物を巻き取る巻取軸を支持し、前記ベース部に移動可能に支持される複数のアーム部と、
複数の前記アーム部のうち1つを前記巻取軸への前記搬送物の巻き取りが行われる巻取位置に移動させ、他の前記アーム部を前記巻取位置から離間した待機位置に移動させる巻替機構と、
前記搬送物を切断可能な切断部と、
前記巻取位置から前記待機位置への前記アーム部の移動に追従するように前記切断部を移動させる切断部駆動機構と、を備え、
複数の前記アーム部は、前記ベース部に回転可能に支持され、
前記巻替機構は、前記アーム部の前記ベース部に対する角度を変更することで、前記アーム部を前記巻取位置と前記待機位置に移動させ、
複数の前記アーム部は前記巻取位置から前記待機位置への回転方向にそれぞれ個別に移動可能である巻取装置。
【請求項2】
前記切断部は、前記搬送物を前記巻取軸に向けて押圧するニアロールと、前記ニアロールの動作に連動して前記搬送物を切断する刃を有する請求項1に記載の巻取装置。
【請求項3】
前記ベース部に回転可能に支持され、前記切断部を支持する切断用アーム部を更に備え
記切断部駆動機構は、前記切断用アーム部の前記ベース部に対する角度を変更することで、前記巻取位置から前記待機位置への前記アーム部の移動に追従するように前記切断部を移動させる請求項1又は2に記載の巻取装置。
【請求項4】
前記搬送物の搬送速度を取得し、前記巻替機構による前記アーム部の移動と前記切断部駆動機構による前記切断部の移動を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、満巻状態の前記巻取軸を支持する前記アーム部が前記巻取位置から前記待機位置に移動する場合に、該アーム部と前記切断部のそれぞれの移動速度を前記搬送物の搬送速度に応じた移動速度に制御する請求項1から3の何れかに記載の巻取装置。
【請求項5】
搬送されるシート状の搬送物を巻き取る巻取軸を支持し、ベース部に移動可能に支持される複数のアーム部のうち1つを前記巻取軸への前記搬送物の巻き取りが行われる巻取位置に移動させる工程と、
他の前記アーム部を前記巻取位置から離間した待機位置に移動させる工程と、
前記搬送物を切断可能な切断部を前記巻取位置から前記待機位置への前記アーム部の移動に追従するように移動させる工程と、を含み、
複数の前記アーム部は、前記ベース部に回転可能に支持され、前記巻取位置に移動させる工程及び前記待機位置に移動させる工程では、前記アーム部の前記ベース部に対する角度を変更することで、前記アーム部を前記巻取位置と前記待機位置に移動させ、
複数の前記アーム部を前記巻取位置から前記待機位置への回転方向にそれぞれ個別に移動させる搬送物の巻替方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取装置及び搬送物の巻替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロールtoロール設備において、フィルムや紙等の搬送物を搬送させて巻取軸に巻取る技術が知られている。このような技術が記載されているものとして例えば特許文献1と特許文献2がある。特許文献1には、搬送物を巻取る際にニアロールを配置し、巻取軸との距離が予め設定された距離となるようにニアロールを移動して巻取りを行う技術が記載されている。特許文献2には、新しい巻取軸に搬送物を巻替える場合に、アキュームレータ装置を使用し、巻替時に搬送物を滞留させつつ巻取りを停止させ、巻取りが停止している間に巻替えを行う停止方式が記載されている。また、特許文献2の他に搬送物を搬送させながらターレット装置を旋回させ、タッチロール及びカッターにて新しい巻取軸に搬送物を巻替える走行方式も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-338873号公報
【文献】特開平4-118096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、走行方式による巻替えでは搬送物の巻き始めに皺になることが多く、製品ロスに繋がるため、付加価値の高い光学フィルム等の搬送物に対しては巻き始めに皺やヨレが発生し難い停止方式による巻替えを採用することが多い。しかし、停止方式による巻替えでは搬送物を滞留させるためのアキュームレータ装置が必要となり、搬送物の走行速度が速くなるにつれ、フリーロールの本数を多くする必要があり、その分設備も大掛かりなものとなってしまう。またフリーロールの本数が多くなるほど、フリーロールのメカロスが大きくなり、スリップによる傷が発生する等、搬送物へのダメージが大きくなってしまう。
【0005】
本発明は、搬送物が連続的に搬送されている状態で異なる巻取軸への搬送物の巻替えを行う場合であっても、搬送物の切断精度を維持しつつ、滞留させる必要のある搬送物の長さを低減できる巻取装置及び搬送物の巻替方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ベース部と、搬送されるシート状の搬送物を巻き取る巻取軸を支持し、前記ベース部に移動可能に支持される複数のアーム部と、複数の前記アーム部のうち1つを前記巻取軸への前記搬送物の巻き取りが行われる巻取位置に移動させ、他の前記アーム部を前記巻取位置から離間した待機位置に移動させる巻替機構と、前記搬送物を切断可能な切断部と、前記巻取位置から前記待機位置への前記アーム部の移動に追従するように前記切断部を移動させる切断部駆動機構と、を備え、複数の前記アーム部はそれぞれ個別に移動可能である巻取装置に関する。
【0007】
前記切断部は、前記搬送物を前記巻取軸に向けて押圧するニアロールと、前記ニアロールの動作に連動して前記搬送物を切断する刃を有してもよい。
【0008】
前記ベース部に回転可能に支持され、前記切断部を支持する切断用アーム部を更に備え、複数の前記アーム部は、前記ベース部に回転可能に支持され、前記巻替機構は、前記アーム部の前記ベース部に対する角度を変更することで、前記アーム部を前記巻取位置と前記待機位置に移動させ、前記切断部駆動機構は、前記切断用アーム部の前記ベース部に対する角度を変更することで、前記巻取位置から前記待機位置への前記アーム部の移動に追従するように前記切断部を移動させてもよい。
【0009】
前記搬送物の搬送速度を取得し、前記巻替機構による前記アーム部の移動と前記切断部駆動機構による前記切断部の移動を制御する制御部を更に備え、前記制御部は、満巻状態の前記巻取軸を支持する前記アーム部が前記巻取位置から前記待機位置に移動する場合に、該アーム部と前記切断部のそれぞれの移動速度を前記搬送物の搬送速度に応じた移動速度に制御してもよい。
【0010】
また本発明は、搬送されるシート状の搬送物を巻き取る巻取軸を支持し、ベース部に移動可能に支持される複数のアーム部のうち1つを前記巻取軸への前記搬送物の巻き取りが行われる巻取位置に移動させる工程と、他の前記アーム部を前記巻取位置から離間した待機位置に移動させる工程と、前記搬送物を切断可能な切断部を前記巻取位置から前記待機位置への前記アーム部の移動に追従するように移動させる工程と、を含み、複数の前記アーム部をそれぞれ個別に移動させる搬送物の巻替方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、搬送物が連続的に搬送されている状態で異なる巻取軸への搬送物の巻替えを行う場合であっても、搬送物の切断精度を維持しつつ、滞留させる必要のある搬送物の長さを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る巻取設備を示す側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る巻取装置において次に搬送物が巻き取られる巻取軸が第1待機位置から第2待機位置への移動を開始した初期の状態の巻取設備を示す側面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る巻取装置において次に搬送物が巻き取られる巻取軸が第2待機位置に移動した状態の巻取設備を示す側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る巻取装置において搬送物が巻取られている巻取軸の径が図3よりも大きい状態の巻取設備を示す側面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る巻取装置において満巻状態の巻取軸が第1待機位置に移動している状態を示す巻取設備の側面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る巻取装置において第1待機位置に向かって移動している満巻状態の巻取軸に追従して切断部が移動している状態の巻取設備を示す側面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る巻取装置において切断部が搬送物を切断している状態の巻取設備を示す側面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る巻取装置において切断部が搬送物を切断した後の満巻状態の巻取軸の動作を示す巻取設備の側面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る巻取装置において新しい巻取軸への巻取りを開始した初期の状態の巻取設備を示す側面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る巻取装置において巻替作業が完了した状態の巻取設備を示す側面図である。
図11】本発明の一実施形態に係る巻取装置において巻取軸の第2待機位置の設定方法を説明するための説明図である。
図12】本発明の一実施形態に係る巻取装置において搬送物が巻き取られる巻取軸とニアロールの位置関係を示す側面図である。
図13】本発明の一実施形態に係る巻取装置を示す斜視図である。
図14】本発明の一実施形態に係る巻取装置を示す正面図である。
図15】本発明の一実施形態に係る巻取装置を示す平面図である。
図16】本発明の一実施形態に係る巻取装置を示す側面図である。
図17】従来の巻取設備を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、及び位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。即ち、本発明は、各図で例示された形状、大きさ、及び位置関係のみに限定されるものでない。なお、図に示す直交座標系XYZにおいて、巻取設備100の鉛直方向をZ方向、巻取設備100の奥行方向をY方向、巻取設備100の鉛直方向及び奥行方向に直交する前後方向をX方向とする。
【0014】
図1は、本実施形態に係る巻取設備100を示す側面図である。本実施形態に係る巻取設備100は、シート状の搬送物2を搬送しながら巻き取ることでロール状に加工する設備である。巻取設備100によって巻き取られる搬送物2としては、例えば、光学フィルムや銅箔、ガラスクロス等が挙げられる。巻取設備100は、搬送物供給装置(図示省略)、アウトフィード機構110と、張力調整機構120,130と、巻取装置1と、を主に備える。以下、巻取設備100において搬送物2が移動する経路を搬送経路Cと称して説明する。
【0015】
アウトフィード機構110は、搬送物供給装置(図示省略)から供給された搬送物2を巻取装置1に送り出す装置である。アウトフィード機構110には、搬送物2を搬送するアウトフィードロール111,112が設けられており、上流側において生じる搬送物2の張力の変動を巻取装置1側に影響しないように調整するとともに、巻取装置1への搬送物2の搬送速度を調整している。
【0016】
張力調整機構120は、搬送経路Cにおける搬送物供給装置とアウトフィード機構110との間に配置され、搬送物2の張力を調整する機構である。張力調整機構120は、ガイドロール121,122と、ガイドロール121とガイドロール122との間に配置されるダンサロール123を備える。図1に示すように、ダンサロール123が左右方向であるX方向に変位することで搬送物2の張力が調整される。
【0017】
張力調整機構130は、アウトフィード機構110と巻取装置1との間に配置され、搬送物2の張力を調整する機構である。張力調整機構130は、ガイドロール131,132と、ガイドロール131とガイドロール132との間に配置されるダンサロール133を備える。図1に示すように、ダンサロール133が上下方向であるZ方向に変位することで搬送物2の張力が調整される。
【0018】
搬送物2の搬送経路Cには、搬送物2を案内するガイドロール141~144が配置される。ガイドロール141は搬送物供給装置と張力調整機構120との間に配置され、ガイドロール142は張力調整機構120とアウトフィード機構110との間に配置される。ガイドロール143,144は、搬送経路Cを挟んで上下に対向配置される。
【0019】
巻取装置1は、アウトフィード機構110から搬送される搬送物2を巻取軸80に巻き取るための装置である。巻取軸80は、細長い棒状であり、搬送物2が巻き付けられ、ロールの芯となる部位である。なお、本明細書において巻取軸80の径とは、巻取軸80に巻取られた搬送物2も含めた巻取軸80の径方向の長さをいう。
【0020】
巻取装置1は、ベース部10と、複数のワインドアーム部(アーム部)20と、巻替機構30と、ニアアーム部(切断用アーム部)40と、切断部50と、切断部駆動機構60と、制御部70を備える。
【0021】
ベース部10は、巻取装置1の基礎となる土台である。ベース部10には、巻替機構30や切断部駆動機構60が取り付けられる。
【0022】
複数のワインドアーム部20は、細長い板状であり、ベース部10に移動可能に支持される。より具体的には、ワインドアーム部20は巻替機構30を介して回転軸Aを中心に回転可能にベース部10に支持される。本実施形態では、巻取装置1は第1ワインドアーム部21と第2ワインドアーム部22の2本のワインドアーム部20を備える。
【0023】
第1ワインドアーム部21は、その一側の端部(以下、基端部)が巻替機構30を介してベース部10に回転可能に接続され、他側の端部(以下、先端部)に巻取軸80を回転可能に支持する。
【0024】
第2ワインドアーム部22は、その基端部が巻替機構30を介してベース部10に回転可能に接続され、先端部に巻取軸80を回転可能に支持する。なお、図1に示す例では、回転軸Aとワインドアーム部20に支持される巻取軸80の回転軸はY方向に延びている。
【0025】
巻替機構30は、複数のワインドアーム部20のうち1つを巻取軸80への搬送物2の巻き取りが行われる巻取位置に移動させ、他のワインドアーム部20を巻取位置から離間した待機位置に移動させる。本実施形態では、巻替機構30によって第1ワインドアーム部21と第2ワインドアーム部22は、それぞれ個別に回転軸Aを中心に360度回転可能である。即ち、巻替機構30によって第1ワインドアーム部21と第2ワインドアーム部22のそれぞれに支持された巻取軸80は、回転軸Aを中心に360度旋回可能である。なお、本実施形態では、巻替機構30は、側面視において第1ワインドアーム部21に支持された巻取軸80と第2ワインドアーム部22に支持された巻取軸80とが重ならないようにワインドアーム部20を回転させる。
【0026】
ニアアーム部40は、細長い板状であり、切断部駆動機構60を介してベース部10に移動可能に支持される。具体的には、ニアアーム部40は、その基端部が切断部駆動機構60を介して回転軸Aを中心に回転可能に支持され、先端部に切断部50を移動可能に支持する。
【0027】
切断部50は、搬送物2を切断可能であり、ニアロール51と刃52を有する。ニアロール51は、搬送物2の搬送経路Cにおける巻取軸80よりも上流側に回転可能に配置される円柱状の部材である。ニアロール51は、その回転軸がワインドアーム部20に支持された巻取軸80の回転軸に対して略平行になるように配置される。即ち、ニアロール51の回転軸はY方向に延びる。ニアロール51は、搬送物2をワインドアーム部20に支持された巻取軸80に向けて押圧する。これにより、搬送物2の巻き崩れが防止される。また、ニアロール51は、ニアアーム部40の軸方向に移動可能に構成される。これにより、ニアロール51は、巻取軸80の径の増加に従って巻取軸80から離れる方向に移動できる。よって、巻取装置1は、巻取軸80とニアロール51との距離を一定に保ちながら、搬送物2を巻き取ることができる。
【0028】
刃52は、搬送される搬送物2を搬送方向に対して略直交する方向に切断できるように配置される。図1に示す例では、刃52はY方向に延びるように形成される。また、刃52は、ニアロール51の動作に連動して搬送物2を切断する。より具体的には、切断部50はニアロール51を搬送物2が巻き取られていない巻取軸80に押し付けるとともに、刃52がニアロール51の回転軸を中心に搬送物2に向かって旋回するように構成される。
【0029】
切断部駆動機構60は、巻取位置から待機位置へのワインドアーム部20の移動に追従するように切断部50を移動させる機構である。具体的には、切断部駆動機構60は、ベース部10に配置され、ニアアーム部40のベース部10に対する角度を変更することで、ニアアーム部40に支持された切断部50を移動させる。切断部駆動機構60は、ワインドアーム部20の位置にかかわらず、回転軸Aを中心にニアアーム部40を360度回転可能である。
【0030】
制御部70は、例えばCPU、メモリ等を有し、制御プログラムを実行するコンピュータであり、巻替機構30や切断部駆動機構60等を制御する。具体的には、制御部70は、ワインドアーム部20の移動やニアアーム部40の移動、ワインドアーム部20に支持された巻取軸80の回転、ニアロール51の移動、刃52の旋回動作等の搬送物2の巻取軸80への巻取りや巻替え等に関する動作を制御する。
【0031】
例えば、制御部70は、搬送物2の搬送速度を取得し、満巻状態の巻取軸80を支持するワインドアーム部20が巻取位置から待機位置に移動する場合に、ワインドアーム部20に支持された巻取軸80と切断部50のそれぞれの移動速度を搬送物の搬送速度に応じた移動速度に制御する。
【0032】
次に、巻取装置1による搬送物2の巻取りから巻取軸80の巻替えまで動作の流れについて図1図12を参照しながら説明する。図1図10は搬送物2の巻取りから巻替えまでの各工程における巻取装置1の状態を示す巻取設備100の側面図である。なお、図1図10におけるアウトフィードロール111,112や巻取軸80、ニアロール51等の内側の矢印はこれらの回転方向を示している。図1において搬送物2が巻き取られている巻取軸80を巻取軸81とし、待機位置に位置し次に搬送物2が巻き取られる巻取軸80(以下、新しい巻取軸80という)を巻取軸82として説明する。
【0033】
図1に示すように、搬送物2の巻取工程の初期において、アウトフィード機構110によって送り出された搬送物2がアウトフィード機構110側に位置する巻取軸81に巻き取られる。図1に示す例では、第1ワインドアーム部21と第2ワインドアーム部22は、ベース部10からX方向において互いに相反する方向に延びている。即ち、巻取位置に位置する第1ワインドアーム部21に対する第2ワインドアーム部22の角度は180°である。この状態における第2ワインドアーム部22の位置を待機位置のうち第1待機位置とする。第1待機位置は、巻取軸80を巻取装置1から取り外すための作業が行われる位置である。また、ニアアーム部40は、側面視において第1ワインドアーム部21と重なるようにX方向に延びている。制御部70によるニアアーム部40の動作制御によって、巻取軸81とニアロール51の距離が予め設定された距離に維持されるように切断部50が巻取軸81の径の増加に従って矢印F1の方向に移動する。これにより、搬送物2の巻取軸80への巻取時における巻取軸80への搬送物2の巻崩れを防止できる。
【0034】
巻取軸81の外径が所定の大きさになると、図2に示すように、巻替機構30は第2ワインドアーム部22を矢印F2の方向に回転させ、巻取軸82を第1待機位置から巻取位置の近傍の第2待機位置に向けて移動させる。
【0035】
図3は第2ワインドアーム部22が第2待機位置への移動を完了した状態の巻取装置1を示し、図4は巻取軸81の外径が図3よりも大きい状態の巻取装置1を示している。図3及び図4に示すように、第2ワインドアーム部22は、第1ワインドアーム部21に支持された巻取軸81が満巻状態になるまで第2待機位置に停止している。このとき、図3に示すように、巻取軸82がその外周に貼り付けられた両面テープの端面と巻替時に切断される搬送物2の端面が重なる位置に回転する。
【0036】
ここで、第2待機位置の設定方法の一例について説明する。図11はワインドアーム部20の旋回領域Bと、満巻状態の巻取軸80の位置関係を示す概略図である。第2待機位置は、例えば下記(1)及び(2)式を用いて設定される。
【0037】
【数1】
【0038】
dは満巻状態の巻取軸80の外径である。Lはワインドアーム部20の長さである。式(1)及び式(2)によって、満巻状態の巻取軸80の外周に搬送物2が新しい巻取軸80が接触するときの第1ワインドアーム部21に対する第2ワインドアーム部22の角度θが算出される。そして、算出した角度θに予め設定した値を加えた角度θ’を算出する。例えば第1ワインドアーム部21が巻取位置に位置する場合、第1ワインドアーム部21に対する第2ワインドアーム部22の角度がθ’になるような第2ワインドアーム部22の位置が第2待機位置である。
【0039】
巻取軸81が予め設定された径となる満巻状態に到達すると、図5に示すように、巻取軸80の巻替え動作が開始され、第1ワインドアーム部21が矢印F3の方向に回転する。即ち、第1ワインドアーム部21が巻取位置から待機位置に向かって移動する。具体的には、所定の減速時間にて巻取軸81の回転が停止し、巻替機構30によって第1ワインドアーム部21が巻取軸81の減速時間と同じ時間でアウトフィード機構110による搬送物2の搬送速度と同じ速度まで加速される。このとき切断部駆動機構60は、ベース部10に対するニアアーム部40の角度がベース部10に対する第2ワインドアーム部22の角度と同じになるようにニアアーム部40を動作させる。即ち、切断部駆動機構60は、側面視において第2ワインドアーム部22と重なるようにニアアーム部40を回転させる。また、切断部駆動機構60は、ニアアーム部40の軸方向において巻取軸82に近づく方向に切断部50を移動させる。
【0040】
図6に示すように、第2ワインドアーム部22とニアアーム部40は、回転軸Aを中心に矢印F4の方向に回転する。即ち、第2ワインドアーム部22とニアアーム部40は、巻取位置から第1待機位置への第1ワインドアーム部21の移動に追従するように移動する。このとき、制御部70が搬送物2の搬送速度を取得し、巻替機構30及び切断部駆動機構60の動作を制御することで、巻取軸82と巻取軸81とニアロール51のそれぞれの移動速度を搬送物2の搬送速度と一致させる。搬送物2の搬送速度とニアロール51の移動速度の差が実質ゼロになった状態で、図6の矢印F1に示すように、ニアロール51が巻取軸82に接触するまで回転軸Aに向かって移動する。
【0041】
図7に示すように、ニアロール51が巻取軸82に接触した状態でニアアーム部40の先端部がさらに回転軸Aに向かって移動することで、ニアアーム部40に支持されている切断部50の刃52が矢印F5の方向に回転し、搬送物2が切断される。
【0042】
図8に示すように、搬送物2が切断されると、巻取軸82が逆回転を始め、ニアロール51上で巻取軸82に貼り付けられた両面テープと搬送物2を貼り合わせる。このとき、第2ワインドアーム部22が巻取位置に位置し、第1ワインドアーム部21が待機位置に位置することになる。一方、第1ワインドアーム部21は第1待機位置まで移動し停止する。
【0043】
巻取軸82に搬送物2を貼り付けた後、第2ワインドアーム部22が図9の矢印F4の方向への回転を開始する。具体的には、巻取軸82の回転が設定された加速時間で搬送物2の搬送速度まで加速し、同じ時間で第2ワインドアーム部22の移動が減速停止する。このとき、ニアロール51は下記の式(3)~式(13)を用いて算出される位置関係を維持しながら移動する。
【0044】
図12は、搬送物2が巻き取られる巻取軸80とニアロール51の位置関係を示す側面図である。80Aは水平方向に延びるワインドアーム部20に支持される巻取軸80の位置を示し、51Aはこのときのニアロール51の位置を示している。80Bはワインドアーム部20のベース部10に対する角度がθ1である場合の巻取軸80の位置を示し、51Bはこのときのニアロール51の位置を示している。L1はワインドアーム部20の長さを示し、L2は80Aに位置する巻取軸80の中心からガイドロール143の中心までの距離を示し、L3は巻取軸80の中心からニアロール51の中心までの距離を示している。
【0045】
【数2】
【0046】
上記式(3)~(11)によって算出した値を用いて下記式(12)及び式(13)により巻取軸80が80Bに存在する場合のニアアーム部40のベース部10に対する角度θ5と、回転軸Aから51Bに存在するニアロール51の中心までの距離L9が算出される。
【0047】
【数3】
【0048】
図10に示すように、第2ワインドアーム部22が水平方向に延びる位置に到達した時点で巻替が完了となる。図9及び図10に示すように、ニアアーム部40は、制御部70によってニアロール51の位置が常に巻取軸82の近傍に位置するように第2ワインドアーム部22の移動に応じて動作が制御される。
【0049】
ここで、従来の巻取設備100’について図17を参照しながら説明する。図17は従来の巻取設備100’を示す側面図である。
【0050】
巻取設備100’は、アウトフィード機構110と、張力調整機構120,130,153’と、アキュームレータ装置160’と、切断部50’と、巻取装置1’とを備える。上記実施形態に係る巻取設備100と従来の巻取設備100’とでは、巻取装置1’の構造や切断部50’が巻取装置1’に含まれていない点、アキュームレータ装置160’を備える点が主に異なる。なお、巻取設備100と同様の構成については、同様の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0051】
巻取装置1’は、ベース部(図示省略)と、巻取軸81を回転可能に支持する第1ワインドアーム部21’と、巻取軸82を回転可能に支持する第2ワインドアーム部22’と、ガイドロール25’を支持するガイドロール用アーム部23’と、ガイドロール26’を支持するガイドロール用アーム部24’と、巻替機構30’とを備える。
【0052】
図17に示すように、第1ワインドアーム部21’と第2ワインドアーム部22’は、回転軸Aから互いに相反する方向に延びている。即ち、巻取軸81と巻取軸82は、回転軸Aを挟んで対向する位置に配置される。従来の巻取設備100’の第1ワインドアーム部21’と第2ワインドアーム部22’は同一部材からなり、それぞれ個別に移動しない。即ち、第1ワインドアーム部21’と第2ワインドアーム部22’の相対的な位置関係は変化しないように構成されている。
【0053】
切断部50’は、ニアロール51’と、刃52’と、本体部53’を主に備える。切断部50’は、巻取装置1’よりも搬送経路Cの上流側に所定の間隔を空けて配置される。図17に示す例では、切断部50’は、巻取軸81の径の増加に従って巻取軸81との所定の間隔を保つように搬送経路Cの上流側に移動する。巻取軸81が満巻状態になると、第1ワインドアーム部21’が巻取位置に位置する状態で刃52’が旋回して搬送物2が切断される。図17の巻取設備100’では、切断部50’が巻取装置1’に含まれていないので、第1ワインドアーム部21’が待機位置に向かって回転した場合に、回転軸Aを中心に旋回する巻取軸80の移動に追従するように切断部50’を移動させることが容易ではない。
【0054】
アキュームレータ装置160’は、巻取軸80の巻替中に搬送物2の巻取りを停止した場合に、連続して搬送される搬送物2を一時的に滞留させる装置である。アキュームレータ装置160’は、ガイドロール161’,162’,163’と、ガイドロール161’とガイドロール162’との間に配置されるダンサロール164’と、ガイドロール162’とガイドロール163’との間に配置されるダンサロール165’を備える。図17に示すように、ダンサロール164’,165’が下方向に変位することで、下流側で搬送物2の巻取りが停止されている間も搬送され続ける搬送物2をアキュームレータ装置160’内に滞留させる。
【0055】
巻取設備100’では、巻取軸80を支持する2本のワインドアーム部20’の相対的な位置関係が変化しない上に切断部50’もワインドアーム部20’の移動に追従させることが難しい。このため、搬送物2の巻取りの停止後や搬送物2の切断後に次に用いる巻取軸82を待機位置から巻取位置に移動させるために時間がかかり、搬送され続ける多くの搬送物2をアキュームレータ装置160’に滞留させる必要がある。また、搬送物2の切断後にワインドアーム部20’を旋回させるために、ニアロール51’を巻取装置1’から離す必要があり、旋回が完了するまでニアロール51’を用いずに新しい巻取軸80に搬送物2を巻き付けなければならない。このため、巻き崩れの発生等の製品ロスに繋がる。
【0056】
これに対して、本実施形態に係る巻取装置1は、複数のワインドアーム部20がそれぞれ個別に移動可能であるとともに、切断部50を備え、切断部50が巻取位置から待機位置へのワインドアーム部20の移動に追従するように切断部50を移動させることができる。これにより、巻取装置1に向けた搬送物2の搬送を停止せずに巻替時に巻取軸80への巻取りを停止した場合であっても、図4図7に示すように巻取りが停止した巻取軸81を巻取位置から待機位置に移動させるとともに、該巻取軸81の移動に切断部50を追従させることができる。これにより、巻取軸81が搬送経路Cの下流側に移動するので、搬送物2の搬送距離を延ばすことができ、巻取軸81への巻取りが停止していても搬送方向の上流側で滞留させる必要がある搬送物2の長さを低減できる。また、切断部50も巻取軸80の移動に追従しながら搬送物2を切断でき、複数のワインドアーム部20をそれぞれ個別に移動させることができる。これにより、搬送物2の切断精度が維持できるとともに、搬送物2を切断した直後に、ニアロール51を用いて切断した搬送物2を巻取軸82に巻き付けることができる。
【0057】
次に、本実施形態に係る巻取装置1の具体的な構造の一例について図13図16を参照しながら説明する。図13は巻取装置1の斜視図であり、図14は巻取装置1の正面図であり、図15は巻取装置1の平面図であり、図16は巻取装置1の側面図である。なお、図13図15では、巻取軸80を破線で示している。
【0058】
ベース部10は、Z方向に立設する一対の板状の部材であるベース板10a,10bによって構成される。図13図15に示すように、ワインドアーム部20、ニアアーム部40、及び切断部50は、ベース板10a,10bの間の空間に配置される。
【0059】
図13及び図15に示すように、第1ワインドアーム部21は、第1ワインドアーム板21a,21bと、チャック211a,211bと、チャック211aを回転させる巻取駆動部212を含んで構成される。
【0060】
第1ワインドアーム板21aは、基端部が巻替機構30に回転可能に支持され、先端部がチャック211aを回転可能に支持する細長い板状部材である。第1ワインドアーム板21bは、基端部が巻替機構30に回転可能に支持され、先端部がチャック211bを回転可能に支持する細長い板状部材である。第1ワインドアーム板21aと第1ワインドアーム板21bは、所定の間隔を空けて対向配置される。
【0061】
チャック211a,211bは、互いに間隔を空けて対向配置される。巻取軸80は、その軸方向がチャック211a,211bに対して直交するようにチャック211a,211bによって挟持される。
【0062】
巻取駆動部212は、制御部70と電気的に接続され、制御部70によってその駆動が制御される。巻取軸80がチャック211a,211bに挟持された状態で巻取駆動部212が駆動すると、チャック211a,211bの回転によって巻取軸80が回転する。
【0063】
図13及び図15に示すように、第2ワインドアーム部22は、第2ワインドアーム板22a,22bと、チャック221a,221bと、チャック221bを回転させる巻取駆動部222を含んで構成される。
【0064】
第2ワインドアーム板22aは、基端部が巻替機構30に回転可能に支持され、先端部がチャック221aを回転可能に支持する細長い板状部材である。第2ワインドアーム板22bは、基端部が巻替機構30に回転可能に支持され、先端部がチャック221bを回転可能に支持する細長い板状部材である。第2ワインドアーム板22aと第2ワインドアーム板22bは、所定の間隔を空けて対向配置される。
【0065】
チャック221a,221bは、互いに間隔を空けて対向配置される。巻取軸80は、その軸方向がチャック221a,221bに対して直交するようにチャック221a,221bによって挟持される。
【0066】
巻取駆動部222は、制御部70と電気的に接続され、制御部70によってその駆動が制御される。巻取軸80がチャック221a,221bに挟持された状態で巻取駆動部222が駆動すると、チャック221a,221bの回転によって巻取軸80が回転する。
【0067】
図13図16に示すように、巻替機構30は、第1ワインドアーム部21を駆動する第1ワインドアーム駆動部31と、第2ワインドアーム部22を駆動する第2ワインドアーム駆動部32を備える。
【0068】
第1ワインドアーム駆動部31は、モータ311と、伝達部材312と、シャフト313を有する。シャフト313は、回転軸Aを中心に回転可能にベース板10a,10bに支持され、Y方向に延びる棒状の部材である。シャフト313には、モータ311からの動力を伝達する伝達部材312と第1ワインドアーム板21aと第1ワインドアーム板21bが接続される。モータ311が駆動すると、伝達部材312に駆動力が伝わり、シャフト313が回転する。この結果、シャフト313に接続された第1ワインドアーム板21aと第1ワインドアーム板21bが回転軸Aを中心に回転する。第1ワインドアーム駆動部31は、制御部70と電気的に接続され、制御部70によってその駆動が制御される。
【0069】
第2ワインドアーム駆動部32は、モータ321と、伝達部材322と、シャフト323を有する。シャフト323は、回転軸Aを中心に回転可能にベース板10a,10bに支持され、Y方向に延びる棒状の部材である。シャフト323には、モータ321からの動力を伝達する伝達部材322と第2ワインドアーム板22aと第2ワインドアーム板22bが接続される。モータ321が駆動すると、伝達部材322に駆動力が伝わり、シャフト323が回転する。この結果、シャフト323に接続された第2ワインドアーム板22aと第2ワインドアーム板22bが回転軸Aを中心に回転する。第2ワインドアーム駆動部32は、制御部70と電気的に接続され、制御部70によってその駆動が制御される。なお、第1ワインドアーム板21a,21bは、シャフト323が貫通しているものの、シャフト323との間にベアリング314が在するので、シャフト323の回転の影響を受けない構成となっている。
【0070】
図13~15に示すように、ニアアーム部40は、第1ニアアーム板41a,41bと第2ニアアーム板42a,42bを有する。図15に示すように、第1ニアアーム板41a及び第2ニアアーム板42aは、平面視においてベース板10aと第1ワインドアーム板21a及び第2ワインドアーム板22aとの間に配置される。また第1ニアアーム板41b及び第2ニアアーム板42bは、平面視においてベース板10bと第1ワインドアーム板21b及び第2ワインドアーム板22bとの間に配置される。
【0071】
第1ニアアーム板41aは、切断部駆動機構60に回転可能に支持される細長い板状部材である。第1ニアアーム板41bは、切断部駆動機構60に回転可能に支持される細長い板状部材である。第1ニアアーム板41aと第1ニアアーム板41bは、所定の間隔を空けて対向配置される。
【0072】
第2ニアアーム板42aは、その先端部に切断部50を支持する細長い板状部材である。第2ニアアーム板42aは、その長手方向にスライド移動可能に第1ニアアーム板41aに支持される。
【0073】
第2ニアアーム板42bは、その先端部に切断部50を支持する細長い板状部材である。第2ニアアーム板42bは、その長手方向にスライド移動可能に第1ニアアーム板41bに支持される。第2ニアアーム板42aと第2ニアアーム板42bは、所定の間隔を空けて対向配置される。
【0074】
図13図15に示すように、切断部50は、ニアロール51及び刃52以外にシャフト53と、フレーム54a,54bを更に有する。
【0075】
シャフト53は、第2ニアアーム板42a,42bに回転可能に支持され、Y方向に延びる棒状の部材である。シャフト53には、ニアロール51が回転軸Aと略平行な回転軸を中心に回転可能に接続される。
【0076】
フレーム54a,54bは、刃52を支持する一対の板状部材である。フレーム54aは第2ニアアーム板42aに回転可能に支持され、フレーム54bは第2ニアアーム板42bに回転可能に支持される。
【0077】
切断部駆動機構60は、モータ61と、伝達部材62と、シャフト63を有する。シャフト63は、回転軸Aを中心に回転可能にベース板10a,10bに支持され、Y方向に延びる棒状の部材である。シャフト63には、モータ61からの動力を伝達する伝達部材62と第1ニアアーム板41aと第1ニアアーム板41bが接続される。モータ61が駆動すると、伝達部材62に駆動力が伝わり、シャフト63が回転する。この結果、シャフト63に接続された第1ニアアーム板41aと第1ニアアーム板41bが回転軸Aを中心に回転する。切断部駆動機構60は、制御部70と電気的に接続され、制御部70によってその駆動が制御される。
【0078】
シャフト313,323,63は、それぞれ回転軸Aを中心に同心円状に配置され、かつベアリングを介在させること等によってそれぞれ別個に回転可能にベース部10に支持される。また、この構成により、巻替機構30は、第1ワインドアーム部21と、第2ワインドアーム部22と、ニアアーム部40をそれぞれ個別に旋回させることができる。
【0079】
以上説明した本実施形態に係る巻取装置1によれば、以下のような効果を奏する。
【0080】
本実施形態に係る巻取装置1は、ベース部10と、搬送されるシート状の搬送物2を巻き取る巻取軸80を支持し、ベース部10に移動可能に支持される複数のワインドアーム部20と、複数のワインドアーム部20のうち1つを巻取軸80への搬送物2の巻き取りが行われる巻取位置に移動させ、他のワインドアーム部20を巻取位置から離間した待機位置に移動させる巻替機構30と、搬送物2を切断可能な切断部50と、巻取位置から待機位置へのワインドアーム部20の移動に追従するように切断部50を移動させる切断部駆動機構60と、を備え、複数のワインドアーム部20はそれぞれ個別に移動可能である。
【0081】
これにより、巻取りが停止した満巻状態の巻取軸80を次の巻取りに用いる巻取軸80との相対的な位置関係を調整しながら、巻取位置から待機位置に移動させるとともに、切断部50を巻取軸80の移動に追従させることができる。よって、巻取軸80が搬送方向の下流側に移動するので、搬送物2の搬送距離を延ばすことができ、巻取軸80への巻取りが停止していても搬送方向の上流側でアキュームレータ装置等によって滞留させる必要がある搬送物2の長さを低減できる。また、満巻状態の巻取軸80の移動により搬送物2が移動していても、切断部50も追従して移動しているので搬送物2が切断される際の切断部50と搬送物2の相対速度を低く抑えることができる。よって、巻取軸80の回転を停止した状態で巻替を行った場合であっても、搬送物切断時の切断精度を維持しつつ、アキュームレータ装置を縮小又は削減できる。
【0082】
また、本実施形態に係る巻取装置1において、切断部50は、搬送物2を巻取軸80に向けて押圧するニアロール51と、ニアロール51の動作に連動して搬送物2を切断する刃52を有する。
【0083】
これにより、満巻状態の巻取軸80の巻取位置から待機位置への移動に追従するようにニアロール51を移動させることができるので、次の巻取りに用いる巻取軸80の近傍にニアロール51が位置する状態で搬送物2を切断できる。よって、巻取軸80の巻き始めにおける巻き崩れを防止できる。
【0084】
また、本実施形態に係る巻取装置1は、ベース部10に回転可能に支持され、切断部50を支持するニアアーム部40を更に備え、複数のワインドアーム部20は、ベース部10に回転可能に支持され、巻替機構30は、ワインドアーム部20のベース部10に対する角度を変更することで、ワインドアーム部20を巻取位置と待機位置に移動させ、切断部駆動機構60は、ニアアーム部40のベース部10に対する角度を変更することで、巻取位置から待機位置へのワインドアーム部20の移動に追従するように切断部50を移動させる。
【0085】
これにより、より容易に移動中の複数の巻取軸80と切断部50の位置関係を調整できる。
【0086】
また、本実施形態に係る巻取装置1は、搬送物2の搬送速度を取得し、巻替機構30によるワインドアーム部20の移動と切断部駆動機構60による切断部50の移動を制御する制御部70を更に備え、制御部70は、満巻状態の巻取軸80を支持するワインドアーム部20が巻取位置から待機位置に移動する場合に、ワインドアーム部20と切断部50のそれぞれの移動速度を搬送物2の搬送速度に応じた移動速度に制御する。
【0087】
これにより、例えばワインドアーム部20及び切断部50のそれぞれの移動速度を搬送物2の搬送速度に一致させることもできるので、巻取装置1よりも搬送方向の上流側で滞留させる必要がある搬送物2の長さをより低減できる。
【0088】
また、本実施形態に係る搬送物2の巻替方法は、搬送されるシート状の搬送物2を巻き取る巻取軸80を支持し、ベース部10に移動可能に支持される複数のワインドアーム部20のうち1つを巻取軸80への搬送物2の巻き取りが行われる巻取位置に移動させる工程と、他のワインドアーム部20を巻取位置から離間した待機位置に移動させる工程と、搬送物2を切断可能な切断部50を巻取位置から待機位置へのワインドアーム部20の移動に追従するように移動させる工程と、を含み、複数のワインドアーム部20をそれぞれ個別に移動させる。
【0089】
これにより、巻取りが停止した満巻状態の巻取軸80を次の巻取りに用いる巻取軸80との相対的な位置関係を調整しながら、巻取位置から待機位置に移動させるとともに、切断部50を巻取軸80の移動に追従させることができる。よって、巻取軸80が搬送方向の下流側に移動するので、搬送物2の搬送距離を延ばすことができ、巻取軸80への巻取りが停止していても搬送方向の上流側でアキュームレータ装置等によって滞留させる必要がある搬送物2の長さを低減できる。また、満巻状態の巻取軸80の移動により搬送物2が移動していても、切断部50も追従して移動しているので搬送物2が切断される際の切断部50と搬送物2の相対速度を低く抑えることができる。よって、巻取軸80の回転を停止した状態で巻替を行った場合であっても、搬送物切断時の切断精度を維持しつつ、アキュームレータ装置を縮小又は削減できる。
【0090】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0091】
上記実施形態では、巻取装置1は2本のワインドアーム部20を備えていたが、ワインドアーム部20の数は特に限定されない。例えば巻取装置1は3本以上のワインドアーム部20を備えていてもよい。
【0092】
上記実施形態では、第1ワインドアーム部21と第2ワインドアーム部22とニアアーム部40はそれぞれ同じ回転軸Aを中心に回転していたが、それぞれ異なる回転軸を中心に回転する構成であってもよい。
【0093】
上記実施形態では、切断部50がニアロール51を備えていたが、ニアロール51を備えない構成であってもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 巻取装置
2 搬送物
10 ベース部
20 ワインドアーム部(アーム部)
21 第1ワインドアーム部(アーム部)
22 第2ワインドアーム部(アーム部)
30 巻替機構
50 切断部
60 切断部駆動機構
80,81,82 巻取軸
【要約】
【課題】搬送物が連続的に搬送されている状態で異なる巻取軸への搬送物の巻替えを行う場合であっても、搬送物の切断精度を維持しつつ、滞留させる必要のある搬送物の長さを低減できる巻取装置及び搬送物の巻替方法を提供すること。
【解決手段】巻取装置1は、ベース部10と、搬送されるシート状の搬送物2を巻き取る巻取軸80を支持し、ベース部10に移動可能に支持される複数のワインドアーム部20と、複数のワインドアーム部20のうち1つを巻取軸80への搬送物2の巻き取りが行われる巻取位置に移動させ、他のワインドアーム部20を巻取位置から離間した待機位置に移動させる巻替機構30と、搬送物2を切断可能な切断部50と、巻取位置から待機位置へのワインドアーム部20の移動に追従するように切断部50を移動させる切断部駆動機構60と、を備え、複数のワインドアーム部20はそれぞれ個別に移動可能である。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17