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  • 特許-体液採取器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】体液採取器
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/10 20060101AFI20230316BHJP
   G01N 1/38 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
G01N1/10 V
G01N1/38
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022204606
(22)【出願日】2022-12-21
【審査請求日】2022-12-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522426799
【氏名又は名称】合同会社陶徳堂研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100196313
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 大輔
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀敬
(72)【発明者】
【氏名】高橋 恵子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 里緒
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-132897(JP,A)
【文献】中国実用新案第213606505(CN,U)
【文献】特表2015-523076(JP,A)
【文献】特開昭55-041896(JP,A)
【文献】特開平05-133885(JP,A)
【文献】特開昭63-302838(JP,A)
【文献】特開平04-357436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/10
G01N 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液採取部を備え、前記体液採取部の表面には体液を保持するための複数の孔が穿設され
前記体液採取部の周縁に設けられた前記孔の孔径は中心部に設けられた前記孔の孔径よりも小さい、体液採取器。
【請求項2】
前記体液が唾液であり、口内に挿入するための前記体液採取部を備える、請求項1に記載の体液採取器。
【請求項3】
平板状又はスプーン状であり、先端に前記体液採取部を備える、請求項1又は2に記載の体液採取器。
【請求項4】
前記体液採取部は、枠部と、該枠部の内側に穿設された網部と、を備え、前記網部の網目が前記孔である、請求項1又は2に記載の体液採取器。
【請求項5】
前記孔の孔径が、0.1mm~2mmである、請求項1又は2に記載の体液採取器。
【請求項6】
請求項1に記載の体液採取器を用いて体液を採取して、体液サンプルとする体液採取工程と、
前記体液採取工程の前後における前記体液採取器の重量の測定値に基づき、前記体液サンプルの重量を算出する、体液重量算出工程と、
予め設定した希釈率とするための希釈液の量を前記体液サンプルの重量に基づき決定し、決定された量の前記希釈液で前記体液サンプルを希釈して、希釈検体とする希釈検体作成工程と、
を有する、希釈検体作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液採取器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、唾液を採取する方法として、被験者が漏斗を介してチューブに採取する方法が知られている(特許文献1)。
また、尿を採取する方法として、一般に、被検者が紙コップに排尿することによって採取する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-193922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、漏斗を介して唾液をチューブに採取するには、一定以上の唾液分泌量が必要であったり、唾液を自らチューブに収集することができない場合には、使用できなかったりした。
また、動物や新生児の尿を採取するのに、紙コップを用いた尿の採取は困難であった。
【0005】
したがって、本発明は、動物や新生児の体液を採取する操作が容易な、新規な体液採取器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明は、体液採取部を備え、前記体液採取部の表面には体液を保持するための複数の孔及び/又は溝が穿設されている、体液採取器である。
上記形態とすることで、表面張力によって、前記体液採取部の複数の孔及び/又は溝に体液を保持し、体液を採取することができる。
【0007】
本発明の好ましい形態では、前記体液が唾液であり、口内に挿入するための前記体液採取部を備える。
上記形態とすることで、表面張力によって、前記体液採取部の複数の孔及び/又は溝に唾液を保持し、唾液を採取することができる。
【0008】
本発明の好ましい形態では、前記体液採取器が平板状又はスプーン状であり、先端に前記体液採取部を備える。
上記形態とすることで、前記体液採取器を口内に容易に挿入することができる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記体液採取部の表面に複数の前記孔が穿設されており、前記体液採取部の周縁に設けられた前記孔の孔径は中心部に設けられた前記孔の孔径よりも小さい。
上記形態とすることで、前記体液採取部の周縁の強度を保つことができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記体液採取部は、枠部と、該枠部の内側に張設された網部と、を備え、前記網部の網目が前記孔である。
上記形態とすることで、表面張力によって、前記体液採取部の孔に体液を保持し、体液を採取することができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記孔の孔径及び前記溝の溝幅が、0.1mm~2mmである。
上記形態とすることで、表面張力によって、前記体液採取部の複数の孔及び/又は溝に体液を保持し、体液を採取することができる。
【0012】
また、本発明は、前記体液採取器を用いて体液を採取して、体液サンプルとする体液採取工程と、前記体液採取工程の前後における前記体液採取器の重量の測定値に基づき、前記体液サンプルの重量を算出する、体液重量算出工程と、予め設定した希釈率とするための希釈液の量を前記体液サンプルの重量に基づき決定し、決定された量の前記希釈液で前記体液サンプルを希釈して、希釈検体とする希釈検体作成工程と、を有する、希釈検体作成方法にも関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、動物や新生児の体液を採取する操作が容易な、新規な体液採取器を提供することができる。本発明を用いて唾液を採取する場合、本発明の体液採取器を口内に挿入することで、唾液を採取することができる。本発明を用いて尿を採取する場合、本発明の体液採取器を、尿を染み込ませた布等に押し当てることで、尿を採取することができる。本発明を用いて汗を採取する場合、本発明の体液採取器を肌等に押し当てることで、汗を採取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態に係る体液採取器の斜視図である。
図2】第2の実施形態に係る体液採取器の斜視図である。
図3】第3の実施形態に係る体液採取器の斜視図である。
図4】第4の実施形態に係る体液採取器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、これらの図において、符号1は、本実施形態に係る体液採取器を示す。
【0016】
また、本明細書において、「穿設」には、反対側まで貫通しない溝又は孔を形成する場合や、一面側から反対側まで貫通する孔を形成する場合が含まれる。
【0017】
また、本明細書において、体液のうち、唾液を採取する場合について詳細に記載するが、本発明は、唾液のほかに、尿や汗等の体液を採取する場合にも用いることができる。
【0018】
<第1の実施形態>
第1の実施形態に係る体液採取器1は、図1に示すように、柄部2と体液採取部3とを有し、柄部2と体液採取部3とが一体となり平板状に形成されている。また、体液採取部3には、複数の孔31が穿設されている。
【0019】
第1の実施形態において、柄部2は、プラスチック材料により形成されている。
上記形態とすることで、安価に大量生産でき、かつ、加工が容易となる。
ただし、本発明においては、本発明の効果を発揮する範囲において、柄部2の材質に特に制限はない。
【0020】
第1の実施形態において、柄部2の厚さは、2mmである。
上記形態とすることで、唾液の採取が難しい、新生児や小型動物の口に、体液採取器1を容易に挿入することができる。
【0021】
本発明において、柄部2の厚さは、ヒトや動物の口に、体液採取器1を挿入することが可能な大きさであることが好ましく、例えば0.5mm~10mm、より好ましくは1mm~5mmの範囲内であることが望ましい。
【0022】
第1の実施形態において、柄部2の幅は、10mmである。
本発明において、柄部2の幅は、ヒトや動物の口に、体液採取器1を挿入することが可能な大きさであることが好ましく、例えば5mm~20mm、より好ましくは7mm~15mmの範囲内であることが望ましい。
【0023】
第1の実施形態において、柄部2の長さは、60mmである。
本発明において、柄部2の長さは、ヒトや動物の口に、体液採取器1を挿入することが可能な大きさであることが好ましく、例えば30mm~130mm、より好ましくは40mm~100mmの範囲内であることが望ましい。
【0024】
第1の実施形態において、体液採取部3は、プラスチック材料により形成されている。
ただし、本発明においては、本発明の効果を発揮する範囲において、体液採取部3の材質に特に制限はない。
【0025】
第1の実施形態において、体液採取部3の厚さは、2mmである。
上記形態とすることで、唾液の採取が難しい、新生児や小型動物の口に、体液採取器1を容易に挿入することができる。
【0026】
本発明において、体液採取部3の厚さは、ヒトや動物の口に、体液採取器1を挿入することが可能な大きさであることが好ましく、例えば0.5mm~10mm、より好ましくは1mm~5mmの範囲内であることが望ましい。
【0027】
第1の実施形態において、体液採取部3の幅は、10mmである。
本発明において、体液採取部3の幅は、ヒトや動物の口に、体液採取器1を挿入することが可能な大きさであることが好ましく、例えば5mm~20mm、より好ましくは7mm~15mmの範囲内であることが望ましい。
【0028】
第1の実施形態において、体液採取部3の長さは、20mmである。
本発明において、体液採取部3の長さは、ヒトや動物の口に、体液採取器1を挿入することが可能な大きさであることが好ましく、例えば10mm~40mm、より好ましくは15mm~30mmの範囲内であることが望ましい。
【0029】
第1の実施形態において、体液採取部3は、先端が半楕円状に丸みを帯びた形状である。
上記形態とすることで、体液採取器1をヒトや動物の口に挿入したとき、口内を傷つけにくい。
ただし、本発明においては、本発明の効果を発揮する範囲において、体液採取部3の先端の形状に、特に制限はない。
【0030】
第1の実施形態において、体液採取部3には、複数の孔31が穿設されている。
また、第1の実施形態において、孔31は貫通孔である。
ただし、本発明において、孔31は反対側まで貫通しない孔であってもよい。
【0031】
第1の実施形態において、孔31は、表面張力により、孔31に体液を保持可能に形成されている。
【0032】
第1の実施形態において、孔31は、四角い形状をしている。
ただし、本発明においては、本発明の効果を発揮する範囲において、孔31の形状に特に制限はない。
【0033】
第1の実施形態において、孔31の孔径は、1mm×1mmである。
本発明において、孔31の最大孔径は、孔31に体液を保持することが可能な大きさであることが好ましく、例えば0.1mm~2mm、より好ましくは、0.5mm~1.5mmの範囲内であることが望ましい。
上記形態とすることで、表面張力によって、孔31に体液が保持され、体液を採取することができる。
【0034】
第1の実施形態において、孔31の孔面積は、1mmである。
本発明において、孔31の孔面積は、孔31に体液を保持することが可能な大きさであることが好ましく、例えば0.01mm~4mm、より好ましくは、0.25mm~2.25mmの範囲内であることが望ましい。
上記形態とすることで、表面張力によって、孔31に体液が保持され、体液を採取することができる。
【0035】
第1の実施形態において、体液採取器1が採取可能な体液重量は0.05g以上である。また、好ましくは0.5g以上であり、より好ましくは1g以上である。
【0036】
第1の実施形態において、孔31の数は、前記体液重量を確保できる数であることが好ましく、例えば10個以上、より好ましくは20個以上、さらに好ましくは30個以上であることが望ましい。
【0037】
第1の実施形態において、孔31は、一枚の平板状のプラスチック材料の先端から中央部に向かって、ドリルやレーザーを用いて孔を空け、形成されている。
また、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を、金型を使用し、プラスチック成形して、孔31を形成してもよい。
【0038】
ただし、本発明において、柄部2と体液採取部3とは、別部材であってもよい。
柄部2と、体液採取部3とを別部材とする場合、それぞれを別々に製造した後に、接合する形態であってもよい。
【0039】
また、第1の実施形態において、体液採取部3の表面及び孔内は、親水加工されていないが、体液採取部3の表面及び孔内は、親水加工されていてもよい。
【0040】
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る体液採取器1は、図2に示すように、柄部2と体液採取部3とを有し、柄部2と体液採取部3とが一体となりスプーン状に形成されている。また、体液採取部3には、複数の孔31が穿設されている。
【0041】
第2の実施形態において、既存のスプーンを加工して、体液採取器1を製造した。
既存のスプーンとして、木製やプラスチック製のスプーンを好ましく例示できる。
【0042】
第2の実施形態において、スプーンの柄の部分が柄部2、スプーンのボウル部分が体液採取部3である。
【0043】
第2の実施形態において、体液採取部3の周縁に設けられた孔31の孔径は、中心部に設けられた孔31の孔径よりも小さい。
上記形態とすることで、体液採取部3の周縁の強度を保つことができる。
【0044】
<第3の実施形態>
第3の実施形態に係る体液採取器1は、図3に示すように、柄部2と体液採取部3とを有し、柄部2と体液採取部3とが一体となり平板状に形成されている。また、体液採取部3は、枠部32と、該枠部の内側に張設された網部33とを備えている。
【0045】
第3の実施形態において、枠部32は、一枚の平板状のプラスチック材料の先端から中心部にかけて、ドリルやレーザーを用いて穿孔し、形成されている。
また、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を、金型を使用し、プラスチック成形して、枠部32を形成してもよい。
【0046】
ただし、本発明において、柄部2と体液採取部3とは、別部材であってもよい。
柄部2と、体液採取部3とを別部材とする場合、それぞれを別々に製造した後に、接合する形態であってもよい。
【0047】
第3の実施形態において、網部33は、複数の糸材を網目状に張設することにより、形成されている。
糸材は、例えば、ナイロン製の糸材が用いられ、直径0.5mm程度である。
【0048】
ただし、本発明において、網部33は、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を、網目状の金型を使用してプラスチック成形したものであってもよい。
【0049】
第3の実施形態において、網部33に形成される網目が、孔31である。
上記形態とすることで、表面張力によって、網目(孔31)に体液を保持し、体液を採取することができる。
【0050】
<第4の実施形態>
第4の実施形態に係る体液採取器1は、図4に示すように、柄部2と体液採取部3とを有し、柄部2と体液採取部3とが一体となり平板状に形成されている。また、体液採取部3には、複数の溝34が穿設されている。
【0051】
第4の実施形態において、体液採取部3には、複数の溝34が穿設されている。
【0052】
第4の実施形態において、溝34は、一枚の平板状のプラスチック材料の先端から中心部にかけて、ドリルやレーザーを用いて、形成されている。
また、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を、金型を使用し、プラスチック成形して、溝34を形成してもよい。
【0053】
第4の実施形態において、溝34は十字状に形成されている。
ただし、溝34は一方向のみに形成されていても良い。
【0054】
第1の実施形態において、溝34は、表面張力により、溝34に体液を保持可能に形成されている。
【0055】
第4の実施形態において、溝34の溝幅は、1mmである。
本発明において、溝34の溝幅は、溝34に体液を保持することが可能な大きさであることが好ましく、例えば0.1mm~2mm、より好ましくは、0.5mm~1.5mmの範囲内であることが望ましい。
【0056】
<希釈検体作成方法>
(体液採取工程)
本実施形態に係る体液採取器1を用いて体液を採取し、体液サンプルとする。
【0057】
(体液重量算出工程)
前記体液採取工程の前に、予め体液採取器1の重量を測定する。ただし、体液採取器1が一定の重量で均一化されている場合、体液採取器1の重量の測定を省略することができる。
続いて、前記体液採取工程の後に、前記体液サンプルを含んだ体液採取器1の重量を測定する。
その後、前記体液採取工程の前後における体液採取器1の重量の測定値に基づき、前記体液サンプルの重量を算出する。
【0058】
(希釈検体作成工程)
予め設定した希釈率とするための希釈液の量を、前記体液重量算出工程で算出した前記体液サンプルの重量に基づき決定する。
その後、決定された量の前記希釈液で前記体液サンプルを希釈して、希釈検体とする。
例えば、前記体液サンプルの重量1g、予め設定した希釈率20倍、希釈液を水としたとき、重量19gの水で重量1gの前記体液サンプルを希釈して、希釈検体とする。
【0059】
本発明の希釈検体作成方法によって希釈検体を作成することで、正確な希釈率の希釈検体を生成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、動物や新生児等の体液採取をするために用いることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 体液採取器
2 柄部
3 体液採取部
31 孔
32 枠部
33 網部
34 溝

【要約】
【課題】動物や新生児の体液を採取する操作が容易な、新規な体液採取器を提供する。
【解決手段】体液採取部3を備え、体液採取部3の表面には体液を保持するための複数の孔31及び/又は溝34が穿設されている、体液採取器1である。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4