(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】医療装置のための吸引デバイス及び吸引デバイスを含む医療装置システム
(51)【国際特許分類】
A61M 16/04 20060101AFI20230316BHJP
A61M 1/00 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
A61M16/04 Z
A61M1/00 161
(21)【出願番号】P 2019520455
(86)(22)【出願日】2017-10-12
(86)【国際出願番号】 US2017056393
(87)【国際公開番号】W WO2018071705
(87)【国際公開日】2018-04-19
【審査請求日】2020-10-07
(32)【優先日】2016-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519131521
【氏名又は名称】ネヴァップ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147511
【氏名又は名称】北来 亘
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ベンジャミン,アール.
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6460540(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/04
A61M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ内の吸引ラインとともに使用される吸引デバイスにおいて、
吸引デバイス本体であって、その中に配置されている第1ルーメンと、複数の孔と、を含んでいる吸引デバイス本体と、
前記吸引デバイス本体から延びている延長部であって、
前記延長部は、前記吸引ラインの開口部の中へ挿入されるように構成されており、前記
延長部の中に配置されている第2ルーメンは、前記第1ルーメン、及び前記吸引ライン
に含まれている吸引ラインルーメンと連通しており、前記吸引ラインは、前記第1ルーメン、前記第2ルーメン、及び前記吸引ラインルーメンへ陰圧を印加するように構成されているポンプへの接続に適合されている、延長部と、
を備えている吸引デバイス。
【請求項2】
前記吸引デバイスは画像化技術にとって可視である材料を含んでいる、請求項1に記載の吸引デバイス。
【請求項3】
前記吸引デバイスは抗菌化合物を含んでいる、請求項1に記載の吸引デバイス。
【請求項4】
前記吸引デバイスは浸出性化学物質を含んでいる、請求項1に記載の吸引デバイス。
【請求項5】
前記吸引ラインは、気管チューブシステム、アブレーション道具システム、ラリンジアルマスクエアウェイシステム(laryngeal mask airway system)、及び気管切開チューブシステムのうちの少なくとも1つへ連結されている、請求項1に記載の吸引デバイス。
【請求項6】
前記吸引デバイスは、当該吸引デバイスに近接する患者の組織との間の相互作用を阻害するように適合されている、請求項1に記載の吸引デバイス。
【請求項7】
前記吸引デバイス本体は湾曲した形状を有している、請求項1に記載の吸引デバイス。
【請求項8】
前記吸引デバイスは、当該吸引デバイスに近接する患者の組織への陰圧の連続的又は周期的な印加を容易にするように適合されている、請求項1に記載の吸引デバイス。
【請求項9】
前記吸引デバイス本体は半円形の形状を有している、請求項1に記載の吸引デバイス。
【請求項10】
前記複数の孔に含まれている前記孔の直径は、前記第1ルーメンと前記第2ルーメンの少なくとも一方の直径より小さい、請求項1に記載の吸引デバイス。
【請求項11】
前記吸引デバイス本体の形状は前記チューブの一部分の形状に整合している、請求項1に記載の吸引デバイス。
【請求項12】
前記吸引デバイスの外表面の一部分は平滑である、請求項1に記載の吸引デバイス。
【請求項13】
前記延長部は、前記吸引ラインへの吸引デバイス本体の取り付けを容易にするように構成されている構造要素を含んでいる、請求項1に記載の吸引デバイス。
【請求項14】
前記延長部は、
中央構造要素、
を更に備えている、請求項1に記載の吸引デバイス。
【請求項15】
前記吸引デバイスの一部分は前記チューブの中へ陥入されている、請求項1に記載の吸引デバイス。
【請求項16】
前記孔は、前記ポンプによる前記第1ルーメンへの前記吸引ラインを介した陰圧の印加に応えて、前記吸引デバイス本体の外部から前記第1ルーメンの中への、固体、液体、及び気体のうちの少なくとも1つの流れを許容するように適合されている、請求項1に記載の吸引デバイス。
【請求項17】
前記吸引デバイスは、前記吸引ラインへ印加される前記陰圧が前記吸引デバイスに近接する患者の組織へ無外傷に印加されるように適合されている、請求項1に記載の吸引デバイス。
【請求項18】
前記延長部は前記吸引デバイス本体から実質的に直角に延びている、請求項1に記載の吸引デバイス。
【請求項19】
可撓性で中空であって気体が通過するのを許容するチューブと、
前記チューブ内の吸引ラインとともに使用される吸引デバイスであって、
吸引デバイス本体であって、複数の孔と、前記吸引デバイス本体の中に配置されている第1ルーメンと、を含んでいる吸引デバイス本体、
及び
前記吸引デバイス本体から延びている延長部であって、前記延長部は、
前記吸引ラインの開口部の中へ挿入されて
前記吸引デバイス本体を前記吸引ライン
に接続するように構成されており、
前記延長部の中に配置されている第2ルーメンは前記第1ルーメンと連通している、延長部
を備える吸引デバイスと、
吸引ラインルーメンを含んでいる前記吸引ラインであって、前記吸引ラインは、前記吸引ラインルーメンが前記第2ルーメンと連通するように前記
吸引ラインの開口部を介して前記延長部へ第1端側で接続するように、及び前記吸引ラインルーメンへ陰圧を印加するように構成されているポンプへ第2端側で接続するように、適合されている、前記吸引ラインと、
を備えている医療装置システム。
【請求項20】
前記医療装置システムは、気管チューブシステム、ラリンジアルマスクエアウェイシステム(laryngeal mask airway system)、及び気管切開チューブシステムのうちの少なくとも1つである、請求項19に記載の医療装置システム。
【請求項21】
前記吸引デバイスは画像化技術にとって可視である材料を含んでいる、請求項19に記載の医療装置システム。
【請求項22】
前記医療装置システムはラリンジアルマスクエアウェイシステムである、請求項19に記載の医療装置システム。
【請求項23】
前記吸引デバイスは抗菌化合物を含んでいる、請求項19に記載の医療装置システム。
【請求項24】
前記医療装置システムは気管切開チューブシステムである、請求項19に記載の医療装置システム。
【請求項25】
前記吸引デバイスは浸出性化学物質を含んでいる、請求項19に記載の医療装置システム。
【請求項26】
前記チューブは前記延長部を受け入れるように適合された開口部を含んでいる、請求項19に記載の医療装置システム。
【請求項27】
前記吸引デバイス本体は湾曲した形状を有している、請求項19に記載の医療装置システム。
【請求項28】
前記吸引デバイス本体は半円形の形状を有している、請求項19に記載の医療装置システム。
【請求項29】
前記複数の孔に含まれている前記孔の直径は、前記第1ルーメンと前記第2ルーメンの少なくとも一方の直径より小さい、請求項19に記載の医療装置システム。
【請求項30】
前記吸引デバイス本体は前記チューブの一部分の形状に整合している、請求項19に記載の医療装置システム。
【請求項31】
前記吸引デバイス本体に近接して配置されている、膨張式バルーンと膨張式カフの少なくとも一方を更に備えている請求項19に記載の医療装置システム。
【請求項32】
前記吸引デバイスは、前記少なくとも一方の前記膨張式バルーン及び前記膨張式カフの上方に配置されていて、陰圧を印加されると前記膨張式バルーンと前記膨張式カフの前記少なくとも一方に近接する区域から流体を除去する、請求項31に記載の医療装置システム。
【請求項33】
前記吸引デバイス本体の外表面の一部分は平滑である、請求項19に記載の医療装置システム。
【請求項34】
前記吸引デバイスと前記延長部の少なくとも一方の一部分は前記チューブの中へ陥入されている、請求項19に記載の医療装置システム。
【請求項35】
前記延長部は、
中央構造要素、
を更に備えている、請求項19に記載の医療装置システム。
【請求項36】
前記医療装置システムは、前記吸引ラインへ印加される前記陰圧が前記医療装置システムに近接する患者の組織へ無外傷に印加されるように適合されている、請求項19に記載の医療装置システム。
【請求項37】
前記医療装置システムは、当該医療装置システムに近接する患者の組織と前記吸引デバイス本体の間の相互作用を阻害するように適合されている、請求項19に記載の医療装置システム。
【請求項38】
前記医療装置システムは、前記吸引デバイス本体に近接する患者の組織への陰圧の連続的又は周期的な印加を容易にするように適合されている、請求項19に記載の医療装置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001](関連出願)
本願は、「医療装置のための吸引デバイス及び吸引デバイスを含む医療装置」という名称で2016年10月12日に出願されている米国仮特許出願第62/407,080号の非仮特許出願であり、前記仮特許出願に対する優先権を主張し、その全内容を参考文献としてここに援用する。
[0002]この明細書は、概括的には医療装置の分野に関しており、より詳しくは、気管チューブ、アブレーション道具、ラリンジアルマスクエアウェイシステム(laryngeal mask airway system)、及び気管切開チューブシステムの様な医療装置のための吸引デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
[0003]吸引手段を有する膨張式バルーン付き気管チューブは先行技術で広く知られている。しかしながら、その様な先行技術の吸引手段は、バルーン上方及びバルーン周りの分泌物の吸引には役に立たず、故に、分泌物及び/又は病原体がバルーン及び気管壁を進み抜けて気管チューブの空気流れに入るのを許してしまう。一部の状況では、分泌物/病原体は人工呼吸空気の高速度によってエアロゾル化されてしまい、気管チューブを通って患者の肺の中まで進む。高速度で進むエアロゾル化した病原体は、肺の奥深くへ病原体を送り込み、人工呼吸器関連肺炎(VAP)や他の疾患を生じさせることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
[0004]吸引デバイス及び吸引デバイスを組み入れるか又はそれ以外のやり方で吸引デバイスを使用している医療装置システムがここに開示されている。例示としての吸引デバイスは、吸引デバイス本体と延長部を含んでいる。吸引デバイスは、その中に配置されている第1ルーメンと複数の孔を含んでいてもよい。孔は吸引デバイス本体の何れかの面又は側壁上にあってもよく、及び/又は何れかの面又は側壁を貫いていてもよい。例えば、孔は吸引デバイス本体の上面、下面、及び/又は側面にあってもよい。例えば、孔が吸引デバイス本体の上面及び下面にある場合、吸引デバイス本体の上面の孔は下面の孔と整列していてもよく、及び/又はそれらは非対称に設置されていてもよい。
[0005]ここに開示されている吸引デバイス及び/又は吸引デバイス本体は、限定するわけではないが、湾曲状、円形、及び半円形の形状を含む何れの適切な形状であってもよい。幾つかの事例では、吸引デバイスの形状、大きさ、及び/又は医療装置システム内での配置は、医療装置システムの構成要素と調和するように適合されていてもよい。例えば、吸引デバイス及び/又は吸引デバイス本体の形状は、医療装置システムのチューブ又はハンドルと調和するように構成されていてもよい。
【0005】
[0006]幾つかの実施形態では、吸引デバイス本体は、第1ルーメンの中及び/又は周りに配置された1つ又は複数の構造要素であって例えば固体及び/又は液体が第1ルーメンを通って流れるときに第1ルーメンの開口部を維持する役目を果たすことのできる構成要素、を含んでいてもよい。
[0007]延長部は、吸引デバイス本体へ連結されていてもよく、吸引デバイス本体から延びていてもよく、及び/又は吸引デバイス本体の一部であってもよく、中に配置された第2ルーメンを含んでいてもよい。第2ルーメンは第1ルーメンと連通していてもよく、及び/又は第1ルーメンへ開口していてもよい。幾つかの事例では、延長部は、吸引デバイス本体の外表面から実質的に直角に延びていてもよい。延長部は、第2ルーメンと連通する及び/又は第2ルーメンへ開口する第3ルーメンを含んでいる吸引ラインへの吸引デバイス本体の接続を容易にするように構成されていてもよい。幾つかの事例では、延長部は、吸引ラインへの吸引デバイス本体の取り付けを容易にするように構成されている構造要素(例えばクリップ又はねじ構成要素)を含んでいてもよい。
【0006】
[0008]吸引ラインは、第1ルーメン、第2ルーメン、及び第3ルーメンへ陰圧を印加するように構成されているポンプ(例えば吸引ポンプ)への接続に適合されていてもよい。時として、吸引デバイスは、例えば吸引デバイス/吸引デバイス本体に近接する患者の組織への、陰圧の連続的又は周期的な印加を容易にするように適合されている。連続的又は周期的に印加される陰圧は、吸引ポンプによって第1ルーメン、第2ルーメン、及び/又は第3ルーメンを介して提供されるようになっていてもよい。幾つかの事例では、吸引ラインは、限定するわけではないが気管チューブシステム、アブレーション道具システム、ラリンジアルマスクエアウェイシステム(laryngeal mask airway system)、及び気管切開チューブシステムの様な医療装置へ連結されることができ、吸引デバイス、吸引デバイス本体、及び/又は延長部は、例えば医療装置の外形を縮小するために、吸引ライン及び/又は吸引ラインが連結される医療装置の中へ陥入されていてもよい。
[0009]複数の孔の1つ又はそれ以上は、ポンプによる第1ルーメンへの第2ルーメン、第3ルーメン、及び/又は吸引ラインを介した陰圧の印加に応えて、吸引デバイス本体の外部から第1ルーメンの中への個体、液体、及び/又は気体の流れを許容するように適合されていてもよい。多くの事例では、固体、液体、及び/又は気体の流れは、患者の組織から又は吸引デバイスに近接する手術野又は呼吸野からであろう。
【0007】
[0010]幾つかの事例では、吸引デバイス本体の孔の幾つか又は全ては、直径又は全体の大きさが、第1ルーメン、第2ルーメン、及び/又は第3ルーメンよりも小さくてもよく、そうすれば、例えば、特定の孔へ吸い込まれる固体又は半固体のデバイスは第1ルーメン、第2ルーメン、及び/又は第3ルーメンよりも小さいということになり、故に、それが吸引デバイスの外部から抜き去られる際に各ルーメンを閉塞させてしまうことはないだろう。更に、1つ又はそれ以上の孔が閉塞しても、吸引デバイスが使用されている部位(例えば、患者の喉、気管、口、又は外科的切開部)から流体、半固体、及び/又は固体を抜き取る吸引デバイスの能力が実質的に阻害されることはないはずであり、といのも吸引デバイス本体には他にも孔があり、それらが部位へ陰圧を提供しているからである。
[0011]時として、吸引デバイスは、吸引ラインへ印加される陰圧が、吸引デバイス及び/又は吸引デバイスへ連結されているか又は吸引デバイスと連通している医療装置に近接する患者の組織へ無外傷に印加されるように適合されている。組織への陰圧の無外傷性印加は、例えば、陰圧の力を複数の孔に亘って拡散させることによって実現されてもよく、その結果、例えば、吸引ライン及び/又は吸引ポンプによって提供される陰圧の力が吸引デバイス上の複数の場所に亘って分散され、1つのポート又は孔を介して組織に印加されないので、当該1つのポート又は孔に近接する組織が陰圧の力に因る外傷/損傷を被ってしまうということもないだろう。
【0008】
[0012]幾つかの実施形態では、吸引デバイスは、X線、陽電子放射断層撮影法(PET)、磁気共鳴画像化法(MRI)、コンピュータ断層撮影法(CT)、などの様な画像化技術にとって可視となる様々な材料、被覆、特徴、及び/又は構成要素を含んでいてもよい。追加的又は代替的に、吸引デバイスは、細菌の成長を阻害するように適合された抗菌化合物を含んでいてもよく、及び/又は、例えば腫脹を軽減すること、疼痛を軽減すること、及び/又は吸引デバイスに近接させることを目的とする薬剤の様な浸出性化学物質を含んでいてもよい。幾つかの事例では、吸引デバイス、吸引デバイス本体、及び/又は延長部は、例えば平滑な外表面及び/又はその上に含まれる被覆(例えば潤滑剤)により、患者の中へ容易く挿入されるように適合されていてもよい。
[0013]幾つかの実施形態では、吸引デバイスは、吸引デバイスに近接する患者の組織と吸引デバイスの間の相互作用及び/又は接着を阻害するように適合されていてもよい。吸引デバイスと組織の間の例示としての相互作用は、組織の移動、刺激、及び膨張を含む。吸引デバイスに近接する患者の組織と吸引デバイスとの相互作用及び/又は接着の阻害は、例えば、吸引デバイスの表面がそれへの組織の接着/刺激を防止することによって実現されてもよいし、及び/又は、表面へ塗布された及び/又は吸引デバイスへ埋め込まれた被覆(例えば潤滑剤)がそれへの組織の刺激/接着を防止することによって実現されてもよい。追加的又は代替的に、第1ルーメンへ第2ルーメン及び第3ルーメンを介して提供される陰圧の力を吸引デバイス本体の複数の孔に亘って拡散させることは、吸引デバイス本体に近接する組織へ印加される圧力を小さくし、ひいては組織が陰圧の力によって吸い込まれるか又はそれ以外に摂動される可能性を低減する働きをする。
【0009】
[0014]吸引デバイスの幾つかの実施形態は、例えば第1ルーメン及び/又は第2ルーメンそれぞれが自身への陰圧の印加時に開口したままでいられるよう吸引デバイス本体及び/又は延長部の倒壊を阻止するべく、適合されている1つ又はそれ以上の支持体構造を含んでいる。例えば、1つの実施形態では、延長部は、第2ルーメンの中央に常在していてそれにより第2ルーメンを第1側延長部(第2)ルーメンと第2側延長部(第2)ルーメンへ分割している中央構造要素、を含んでいる。支持体構造は、吸引デバイス本体及び/又は延長部が必要時に動けるように可撓性であってもよい。
[0015]幾つかの場合には、ここに開示されている(単数又は複数の)吸引デバイスは第3ルーメンを含む吸引ラインへ連結され及び/又は吸引ラインの中へ陥入されていてもよく、第3ルーメンは、第3ルーメンが第2ルーメンと連通するように延長部へ第1端側で接続するように、及び陰圧を第3ルーメンへ印加するように構成されているポンプへ第2端側で接続するように、適合されている。吸引ラインは、医療装置システムの一部であるチューブへ連結されるようになっていてもよい。チューブは、可撓性で中空であり、気体が通過するのを許容するようになっていてもよい。例示としての医療装置システムは、気管チューブシステム、ラリンジアルマスクエアウェイシステム、及び気管切開チューブシステムを含む。
【0010】
[0016]幾つかの実施形態では、医療装置システムは、例えば気管チューブシステム、ラリンジアルマスクエアウェイシステム、及び気管切開チューブシステムの場合がそうである様に、膨張式バルーン及び/又は膨張式カフを含んでいてもよい。これらの実施形態では、例えば吸引デバイスへ印加される陰圧が膨張式バルーン及び/又は膨張式カフに近接する患者の組織からの流体、分泌物、又は他の物質を抜き取る又はそれ以外のやり方で除去するよう作用するように、吸引デバイス本体は膨張式バルーン及び/又は膨張式カフに近接して配置されることができる。これは、膨張式バルーン及び/又は膨張式カフに近接する患者の身体の区域からの分泌物の溜りを排除するうえで効果的であり、翻せば、これは、細菌のための繁殖地を排除し、溜まってゆく流体に関連する/によって引き起こされる患者の不快及び組織の刺激を低減する。
[0017]本発明は、添付図面の諸図に一例として示されており、限定として示されているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】[0018]本発明の或る実施形態と一致する或る例示としての吸引デバイスの上面図を提供している。
【
図2】[0019]本発明の或る実施形態と一致する例示としての吸引デバイスの底面図を描いている。
【
図3】[0020]本発明の或る実施形態と一致する例示としての吸引デバイスの前面図を提供している。
【
図4A】[0021]本発明の或る実施形態と一致する、吸引デバイス本体のための開口端を有する例示としての吸引デバイスの後面図を描いている。
【
図4B】[0022]本発明の或る実施形態と一致する、吸引デバイス本体のための閉鎖端を有する例示としての吸引デバイスの後面図を描いている。
【
図5】[0023]本発明の或る実施形態と一致する、例示としての吸引デバイスの側面図を描いている。
【
図6】[0024]本発明の或る実施形態と一致する、例示として吸引デバイスの断面図を提供している。
【
図7】[0025]本発明の或る実施形態と一致する、例示としての吸引デバイスの下後方斜視図を提供している
【
図8】[0026]本発明の或る実施形態と一致する、例示としての吸引デバイスの上前方斜視図を提供している。
【
図9】[0027]本発明の或る実施形態と一致する、例示としての吸引デバイスの前上方斜視図を提供している。
【
図10】[0028]本発明の或る実施形態と一致する、或る例示としての気管チューブシステム全体の図を提供している。
【
図11】[0029]本発明の或る実施形態と一致する、例示としての吸引デバイスを含んでいる例示としての気管チューブシステムの部分の近接後方斜視図を提供している。
【
図12】[0030]本発明の或る実施形態と一致する、例示としての吸引デバイスを含んでいる例示としての気管チューブシステムの部分の近接前方斜視図を提供している。
【
図13】[0031]本発明の或る実施形態と一致する、或る例示としてのアブレーション道具システムを示している。
【
図14】[0032]本発明の或る実施形態と一致する、第1の例示としてのラリンジアルマスクエアウェイシステムを示している。
【
図15】[0033]本発明の或る実施形態と一致する、第2の例示としてのラリンジアルマスクエアウェイシステムを示している。
【
図16】[0034]本発明の或る実施形態と一致する、第1の例示としての気管切開チューブシステムを示している。
【
図17】[0035]本発明の或る実施形態と一致する、第2の例示としての気管切開チューブシステムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0036]チューブ(例えば気管チューブ)又は他の医療装置(例えば手術道具、気道マスク、など)によって提供され得る/チューブ又は他の医療装置と関連付けられ得る吸引ラインへの取り付けに適合された吸引デバイスがここに開示されている。吸引デバイスは、ルーメンを含む、取り囲む、及び/又は包囲する吸引デバイス本体を含んでいてもよい。吸引デバイス本体及び/又はそれの1つ又はそれ以上の壁又は面は、吸引デバイス本体の外部からの固体、液体、及び/又は気体が通ってルーメンの中へ流れることのできる1つ又はそれ以上の孔を含んでいてもよい。多くの場合、固体、液体、及び/又は気体の流れは、吸引デバイスにそれからの空気の抜き取りを介して陰圧を発生させる陰圧源(例えば真空ポンプ)による陰圧(又は吸引)の印加によって支援されるようになっていてもよい。陰圧源/吸引ポンプは、吸引デバイス本体へ、例えば吸引ポンプ及び吸引デバイス本体へ連結される吸引ラインを介して、連結されるようになっていてもよい。吸引デバイスは、気管チューブシステム、アブレーション道具システム、ラリンジアルマスクエアウェイシステム、及び気管切開チューブシステムの様な医療装置へ連結されるように構成されていてもよい。場合により、チューブは吸引デバイスへ連結されているルーメンを有していて、ルーメン内の陰圧が吸引デバイスに陰圧を生じさせるようになっていてもよい。
【0013】
[0037]幾つかの事例では、吸引デバイスは湾曲状をしているか又は或る特定の形状(例えば、三角形、円形、など)へ事前に構成されていてもよく、また幾つかの事例では、ここに開示されている吸引デバイスは、限定するわけではないが気管チューブ、切削装置(例えば、メス又はマイクロシザーズ)、アブレーション道具、ラリンジアルマスクエアウェイシステム、及び/又は気管切開システムを含む各種医療装置と共に使用するように適合されていてもよい。吸引デバイスは、医療装置へ、例えば超音波結合、化学結合、又は発熱結合により付着されることができる。追加的又は代替的に、吸引デバイスは医療装置へ機械式に、例えばスリーブ、クリップ、ストラップ、及び/又はクランプを介して連結されてもよい。幾つかの事例では、医療装置は、医療装置への吸引デバイスの取り付けを容易にするために、吸引デバイスの一部分が差し込まれる孔又は開口部を含んでいてもよい。
[0038]多くの事例では、ここに記載されている吸引デバイスは、例えば吸引デバイスと医療装置又は医療装置の一部分の間に隙間も凹みも無いように医療装置の或る特定の場所に形状整合する又は取り付けられるような形状及び配置であろう。このことは好都合であり、というのも、例えば吸引デバイスと各医療装置の間に液体及び/又は固体が蓄積する領域が無ければ、これらの流体及び/又は固体の蓄積によって引き起こされる合併症(例えば、病原体又は刺激原の集合体溜り及び/又は増殖地を提供する)は回避され得るからである。
【0014】
[0039]ここに記載されている様々な吸引デバイスの形状整合態様は、吸引デバイスをそれらが取り付けられる他の医療装置の1つ又はそれ以上の外表面(又はその一部分)と密に一致するように構成することによって実現され得る。例えば、気管チューブの実施形態では、吸引デバイスの一部分が、例えば異なる大きさの気管チューブ(例えば、成人使用向けに適合と小児使用向けに適合)の場合がそうである様に、第1の型式の気管チューブのための第1の半径で湾曲していてもよいし、又は第2の型式の気管チューブのための第2の半径で湾曲していてもよい。
[0040]ここに記載されている気管チューブシステムはチューブと吸引デバイスを含んでいてもよい。チューブは、可撓性で中空であり、第1開口端及び第2開口端を有していてもよい。チューブの第1端は、人工呼吸装置へ連結されるように構成されていてもよく、及び人工呼吸装置によって提供される空気又は他の気体が、チューブを通って、挿管されている(気管チューブシステムを装着されている)患者の肺の中へ流れることを許容するように構成されていてもよい。
【0015】
[0041]多くの事例では、気管チューブシステムは、更に、挿管されている患者の気管内にチューブを位置決めし当該位置を維持するのに使用される膨張式バルーンを含んでいる。膨張式バルーンは、チューブの第1端と第2端の間に位置する箇所にてチューブへ付着され、チューブの一部分を周方向に取り囲むようになっていてもよい。
[0042]幾つかの実施形態では、吸引デバイスは、膨張式バルーン及び/又はチューブの周囲又は周囲の一部分を周って延びていてもよい。場合によっては、吸引デバイスは、膨張式バルーンに及び/又は膨張式バルーンとチューブの間の接合部に近接及び/又は隣接して位置決めされてもよく、但し常にそうとは限らない。幾つかの実施形態では、気管チューブシステムが気管の中へ挿入され、バルーンが膨らまされ、吸引デバイスによって陰圧が吸引デバイスへ印加されたときに、吸引デバイスが気管壁の後方部分の様な気管壁の一部分に押し付けて位置決めされるように、吸引デバイスは膨張式バルーンに対して配置されていてもよい。
【0016】
[0043]気管チューブシステムが患者の気管に挿入されたとき、吸引デバイス内の陰圧は、気管から流体又は他の物質を除去する又は吸い出すよう作用することができる。場合によっては、気管チューブシステムが気管内に設置されたとき、吸引デバイスによって作り出される陰圧は、吸引デバイスを気管の内面又は内壁に押し当てて保持し、それにより、分泌物がバルーンを越えて患者の下部気管又は肺の中へ進むのを防止するよう作用することができる。
[0044]ここに開示されている吸引デバイスは、可撓性、剛性、又は両者の何らかの組合せであってもよく、限定するわけではないが、シリコン、プラスチック、ビニル、生体適合性材料、及び/又はそれらの何らかの組合せを含む任意の適切な材料から、限定するわけではないが射出成形又は三次元(3D)印刷を含む任意の適切なプロセスを用いて作られることができる。一部の状況では、吸引デバイスは2つ又はそれ以上の構成要素の組立体であってもよい。ここに開示されている吸引デバイス又はそれの諸部分は、可撓性、剛性、又は両者の何らかの組合せであってもよい。一部の状況では、吸引デバイスは2つ又はそれ以上の構成要素の組立体であってもよい。
【0017】
[0045]幾つかの実施形態では、ここに記載されているデバイス及び/又はシステムの1つ又はそれ以上の構成要素は、1つ又はそれ以上の材料/物質で被覆されていてもよい。例示としての被覆材料は、例えば腫脹を軽減する、疼痛を軽減する、などの作用を果たし得る医薬品又は薬剤を含む。他の例示としての被覆材料は、抗菌剤、潤滑剤、及びここに記載されている道具/システムの吸引デバイス又は他の構成要素への患者の組織又は他の物質の接着を防止し得る作用剤を含む。
[0046]幾つかの実施形態では、ここに開示されている吸引デバイスの1つ又はそれ以上の構成要素は、例えば滑りが良いとか抗菌性質を有することが知られている材料から作られてもよい。追加的又は代替的に、ここに開示されている吸引デバイスは、例えば細菌増殖を抑えるように、及び/又は異物(例えば、血液又は痰)又は組織の接着を抑えるように設計されている外表面を有していてもよい。幾つかの状況では、ここに記載されているデバイス及び/又はシステムの1つ又は複数の構成要素は、生体吸収性材料を含む/備えることができる。
【0018】
[0047]これより図を参照して、
図1-
図9は、気管チューブ又はアブレーション道具の様な円形医療装置へ接続するように及び/又はその様な医療装置と協働するように適合されている或る例示としての吸引デバイス100を、幾つかの異なる視野から見て描いている。より詳しくは、
図1は、吸引デバイス本体105、延長部110、複数の孔又は開口部115、延長部に配置されている孔120、中央構造要素125、及び第1側ルーメン130Aと第2側ルーメン130Bを含んでいる或る例示としての吸引デバイス100の上面図を提供している。
[0048]吸引デバイス100の構成要素の例示としての寸法は以下の通り、即ち、
・吸引デバイス本体105の端間距離:0.1-1.5インチ(0.254-3.81センチメートル);
・吸引デバイス本体105の外径:0.05-0.3インチ(0.127-0.762センチメートル);
・吸引デバイス本体105の高さ(吸引デバイス本体105の底部から延長部110の頂部まで):0.08-0.5インチ(0.203-1.27センチメートル);
・吸引デバイス本体ルーメン145の直径:0.04-0.2インチ(0.101-0.508センチメートル);
・吸引デバイス本体105及び/又は延長部110の材料の厚さ:0.015-0.035(0.038-0.088センチメートル);
・孔115の直径:0.01-0.1インチ(0.025-0.254センチメートル);及び、
・孔115間距離:0.03-0.1インチ(0.076-0.254センチメートル)、である。
【0019】
[0049]吸引デバイス本体105は、吸引デバイス本体105を製作するのに使用される材料によって取り囲まれたルーメン145(
図4Aに示す)を含んでいてもよい。ルーメン145は、例えば、円形、方形、楕円形、又は不定形断面であってもよく、例えば、ルーメン145へ陰圧が印加されたときの、挿管されている患者の気管又は手術野の切開部の周辺の組織の場合の様に、例えば吸引デバイス本体105に近接する患者の組織からの液体及び他の物質の抜き取りのための経路を提供することができる。このやり方では、分泌物の溜り又は他の集合体は、連続ベース、周期ベース、及び/又は必要ベースで、開口部又は孔115の中へ吸い込まれ吸引デバイス本体105のルーメン145を介して野から抜き取られることによって身体から除去されることができる。多くの場合、陰圧は、以下に
図10-
図17を参照して説明されている吸引デバイス本体105及び/又は延長部110へ連結されている吸引ラインへ連結された吸引デバイスを介してルーメン145へ印加される。
[0050]延長部110は吸引デバイス本体105の外表面から直角又はほぼ直角に延び、吸引デバイス本体105に対して中央に配置されていてもよく、そうすれば、延長部110へ掛けられる陰圧又は吸引は、吸引デバイス本体105のルーメン145全体を通して印加され、また場合によっては均一に印加され、それにより陰圧からの力が吸引デバイス100全体を通して行き渡る区域が拡大する。幾つかの事例では、延長部110は自己支持式(即ち、自身の形状及び吸引デバイス本体105に対する位置を外力の印加無しに保持する)であってもよく、また他の事例では、延長部110は、それが取り付けられている医療装置及び/又は吸引ライン、例えば以下に
図10-
図12に関連して論じされている気管チューブシステムなど、に支持を部分的又は全面的に頼っていてもよい。
【0020】
[0051]延長部110は、そうである必要はないが、
図1に示されている様に中央構造要素125を含んでいる。中央構造要素125は、延長部110を構造的に支持する役目を果たし、延長部110の第1側ルーメン130Aを延長部110の第2側ルーメン130Bから分離することができる。第1側ルーメン130A及び第2側ルーメン130Bはルーメン145へ開口していて、ルーメン145を通って流れる固体、液体、及び/又は気体が同じく第1側ルーメン130A及び/又は第2側ルーメン130Bを通って流れ、延長部110へ連結されている吸引ラインのルーメンを通って更に流れてゆけるようにしていてもよい。
[0052]中央構造要素125は、更に、吸引デバイス本体105、ルーメン145、第1側ルーメン130A、及び/又は第2側ルーメン130B、又はそれらの一部分に対する閉塞の防止を支援することができる。例えば、固体又は半固体の物体(例えば粘液栓)が吸引デバイス本体105の第1側に配置されている孔115のうちの1つに吸い込まれても、第1側ルーメン130A(即ち、固体又は半固体の物体を吸い込んだ孔を含んでいる吸引デバイス本体105の側に対応するルーメン130が配置されている)しか固体/半固体の物体によって閉塞されないことになり、というのも、中央構造要素125が閉塞された第1側ルーメン130Aを開いている第2側ルーメン130Bから隔離しているからである。このやり方では、吸引デバイス100は、部分的に閉塞されても、それの意図される目的の1つ又はそれ以上について機能し、役立つことができる。
【0021】
[0053]
図2は、例示としての吸引デバイス100の底面図を描いており、吸引デバイス本体105及び延長部110の下面側を示している。吸引デバイス100の底面図は、更に、吸引デバイス本体105の壁若しくは本体を作り上げている材料の下面部分を貫く複数の孔115を示している。幾つかの事例では、壁の下側部分の複数の孔115の1つ又はそれ以上は壁の上側部分の孔115の1つ又はそれ以上と整列していてもよい。
図2は、更に、延長部110の構造要素140を描いている。構造要素140は、延長部110の伸張した又は直立した状態を支持するのに役立ち、及び/又は以下に
図10-
図12に関連して更に詳細に論じられている吸引ライン及び/又は医療装置(例えば気管チューブシステム)への吸引デバイス100の取り付けを容易にするのに役立つことができる。
[0054]殆どの事例では、吸引デバイス100全体は1つの材料から作られていてもよいが、そうである必要はない。例えば、1つの実施形態では、吸引デバイス本体105が1つの材料(例えばシリコン)から作られていて、延長部110が異なる材料(例えばプラスチック)から作られていてもよい。この例の1つの実施形態では、吸引デバイス本体105はシリコンの様な可撓性材料から作られていて、延長部110はプラスチックの様なシリコンよりも剛性のある材料から作られていてもよい。幾つかの事例では、吸引デバイス本体105及び/又は延長部110は、軟質、平滑、及び/又は可撓性の材料で被覆されるか又はそれ以外のやり方で覆われる剛性又は半剛性の構造又は骨組を含んでいてもよい。
【0022】
[0055]
図3は例示としての吸引デバイス100の前面図を提供しており、
図4は、吸引デバイス本体105のための開口端を有する例示としての吸引デバイス100の後面図を、吸引デバイス本体105のルーメン145が見えるように描いている。
図4Bは、閉鎖端を有する又はルーメン145を封止又は閉鎖する働きをするエンドキャップ135を有する例示としての吸引デバイス100の後面図を描いている。エンドキャップ135は、例えば、吸引デバイス本体105の上面と下面を(例えば化学結合又はヒートシール結合により)一体に付着することによって、又はエンドキャップ135を吸引デバイス本体105へ付着することによって、形成されてもよい。別の実施形態では、エンドキャップ135は、吸引デバイス本体105を形成するのに使用されている材料の、例えば射出成形によって製造されるところの継ぎ目なし延長部であってもよい。
[0056]加えて、
図4A及び
図4Bに見られる様に、構造要素140は吸引デバイス本体105と延長部110の間の接合部から延長部110の途中の位置まで延びている。幾つかの事例では、エンドキャプ135は、例えば流体及び他の物質を患者の気道から吸わせる孔又は他の開口部を含んでいてもよい。
【0023】
[0057]
図5は例示としての吸引デバイス100の側面図を描いており、
図6は吸引デバイス100の断面図を描いている。
図6は、延長部110の内表面が斜線影で示されている、例示としての吸引デバイス100の断面図を提供している。
図6は、どの様に孔115と120が吸引デバイス本体を貫いてルーメン145の中まで延びているかを示している。
図6の断面図は中央構造要素125を示していない。
[0058]
図7-
図9は、或る例示としての吸引デバイス100の様々な斜視図を提供している。より詳しくは、
図7は例示としての吸引デバイス100の下後方斜視図を提供しており、
図8は例示としての吸引デバイス100の上前方斜視図を提供しており、
図9は例示としての吸引デバイス100の前上方斜視図を提供している。
[0059]
図10-
図12は、或る例示としての気管チューブシステム101の形態をしている医療装置へ組み入れられたときの或る例示としての吸引デバイス100の説明図を提供しており、
図10は例示としての気管チューブシステム101全体の図を提供し、
図11は吸引デバイス100を含んでいる例示としての気管チューブシステム101の部分の近接後方斜視図を提供し、
図12は吸引デバイス100を含んでいる例示としての気管チューブシステム101の部分の近接前方斜視図を提供している。気管チューブシステム101は、例示としての吸引デバイス100、第1端210及び第2端230を有するチューブ205、を含んでいる。気管チューブシステム101は、更に、チューブ205の一部分を下って延びている吸引ライン215、吸引ラインアダプタ235、膨張式バルーン225、膨張ライン220、及び膨張ラインアダプタ240を含んでいてもよい。
【0024】
[0060]チューブ205は、人工呼吸装置(第1端210へ連結)によって提供される空気又は他の気体が、第1のチューブを通って、挿管されている(気管チューブシステム101を装着されている)患者の肺の中へ流れるのを許容するように構成されていてもよい。チューブ205の第2端230は、空気又は他の気体を挿管されている患者の肺の中へ通すように構成されていてもよい。
[0061]チューブ205は、チューブ205の第1端210と第2端230の間に位置付けられていてチューブ205の一部分を周方向に取り囲むことのできる膨張式バルーン225を含んでいてもよい。膨張式バルーン225は、気管チューブシステム101が患者の気道の中へ挿入され、そこに適切に位置決めされるまでは、未膨張又は萎んだ状態のままにすることができる。気管チューブシステム101が患者の気道内に適正に位置決めされたら、膨張式バルーン225は、膨張ラインアダプタ240へ取り付けられている膨張ポンプ(図示せず)から膨張ライン220を通って送られる空気又は別の気体を使用して膨らまされることができる。膨張式バルーン225を患者の気道内に位置決めしたまま所望の膨張度へ膨らませることは、患者の気道/咽頭内での気管チューブシステム101の位置決めを安定させる働きをするとともに、患者の肺と患者の気道及び/又は外部環境の間での意図的でない又は所望されない気体及び/又は液体の交流を防止する働きもする。
【0025】
[0062]吸引デバイス100は、気管チューブシステム101の内/上に、膨張式バルーン225とチューブ205の間の接合部にて又は接合部に近接して配置されることができる。吸引デバイス100は、気管チューブシステム101へ、例えば機械的手段により、例えばクリップ、ねじ様アダプタ、又は他の機械式接合手段(例えば、タブ、吸引ラインルーメン内への延長部110の差し込み)を使用して、付着されるか又はそうでなければ接続されてもよい。幾つかの実施形態では、吸引デバイス100はチューブ205へ永久的に付着されていてもよいが、そうである必要はない。例えば、異なる大きさ又は形状の吸引デバイス100が取り換え可能にチューブ205へ接続/付着されるようになっていてもよい。
[0063]
図10-
図12の実施形態では、吸引デバイス100は、延長部110をチューブ205及び/又は吸引ライン215内の開口部又は孔(図示せず)の中へ差し込み、次いで延長部110をチューブ205及び/又は吸引ライン215へ例えばチューブ205への化学結合、超音波結合、又は熱結合のプロセスにより永久的に結合することを介して、チューブ205及び/又は吸引ライン205へ永久的に付着されている。延長部110は、孔の中へ差し込まれたら、吸引ライン215及び/又はそれに含まれている吸引ラインルーメンとのシール(殆どの場合は気密シール)を形成し、吸引ラインルーメン215によって供給される吸引又は陰圧は延長部110及び吸引デバイス本体105へルーメン130A、130B、及び145を介して印加されることになる。幾つかの事例では、延長部110と吸引ラインルーメンの間の結合プロセスは、延長部110と吸引ライン215及び/又はそれに含まれているルーメンの間のシールを促進することができる。状況によっては、吸引デバイス100は気管チューブシステム101の1つ又はそれ以上の構成要素(例えば、吸引ライン215及び/又はチューブ205)の中へ陥入されている。
【0026】
[0064]吸引デバイス100は、延長部110並びに中央構造125、第1側ルーメン130A、及び第2側ルーメン130Bの形状及び構成を実質的に維持するようなやり方でチューブ205及び/又は吸引ライン215へ付着される。このやり方では、ルーメン145並びに第1側ルーメン130A及び/又は第2側ルーメン130Bは、開いて閉塞の無い状態に保たれるので、気体、流体、及び/又は他の物質は、吸引ライン215へ吸引ラインアダプタ235を介して取り付けられている吸引ポンプによって吸引チューブ215へかけられる陰圧(即ち吸引)の印加により、(例えば、吸引デバイス100に近接する患者の気管の区域から)複数の孔115を通して吸われることができる。この様にして、流体及び/又は他の物質は患者の気管から抜き取られることができ、それにより、膨張式バルーン225を過ぎて患者の肺へ入る或る量の流体及び/又は他の物質の漏出が低減され、場合によっては排除される。こうして、分泌物の溜り又は他の集合体は、連続ベース、周期ベース、及び/又は必要ベースで、開口部又は孔115の中へ吸い込まれルーメン145、130A、及び/又は130Bを介して野から抜き取られることによって身体から除去されることができる。
【0027】
[0065]幾つかの事例では、吸引デバイス100は、膨張式バルーン225に接触している及び/又は付着されていてもよく、他の事例では、膨張式バルーン225は独立型の(即ち、取り付けられていない及び/又は接触していない)膨張式バルーン225であってもよい。場合により、吸引デバイス100は、膨張式バルーン225の外表面上に配置されている陥凹(図示せず)及び/又はチューブ205の外表面上に配置されている陥凹の中に常在していてもよい。
[0066]
図13は、アブレーションチップ1305、吸引デバイス1310、及びハンドル1325、を含んでいる或る例示としてのアブレーション道具システム1300を示している。吸引デバイス1310は、ここに論じられている吸引デバイスと共通する1つ又はそれ以上の特徴を有し得るものであって、1つ又はそれ以上の開口部又は孔1315と、ハンドル1325の中に常在する及び/又はハンドル1325へ連結されている吸引ライン1330へ連結するように適合されている吸引ライン延長部1320と、を含んでいる。吸引ライン1330は、ハンドル1325の長さを走っていて、真空ポンプ(図示せず)の様な陰圧源(図示せず)へ連結するように構成されているアダプタ1335へ連結されていてもよい。
【0028】
[0067]吸引デバイス1310は、アブレーション道具システム1300、アブレーションチップ1305、及び/又はハンドル1325にとって適切な任意の大きさ及び形状とすることができる。吸引デバイス1310の例示としての形状は、円形、半円形、直線形、及び/又は矩形である。幾つかの事例では、吸引デバイス1310はアブレーションチップ1305の基部の周りを完全に(即ち360°)又は部分的に(例えば90°、180°、又は270°)取り巻いていてもよい。追加的又は代替的に、吸引デバイス1310は、アブレーションチップ1305及び/又はハンドル1325の周りを、1巻きより多く、例えば螺旋式又は周回式に取り巻いていてもよい。先と同じく、
図13には吸引デバイス1310が1つしか示されていないが、そうである必要はないことを指摘しておきたい。例えば、アブレーション道具システム1300は2つ又はそれ以上の吸引デバイス1310を採用していてもよい。
[0068]吸引デバイス1310及び/又は吸引ライン延長部1320は、可撓性(例えばシリコン)材料及び/又は剛性(例えばプラスチック)材料から作られていてもよい。幾つかの事例では、吸引ライン延長部1320は吸引デバイス1310と同じ材料から作られていてもよく、他の事例では、それは異なる材料から作られていてもよい。吸引ライン延長部1320は、吸引ライン1330へ、例えば、機械的、化学的、及び/又は熱的な結合方法により取り付けられることができる。殆どの事例では、吸引デバイス1310は、例えば、吸引ライン1330へアダプタ1335を介して連結されている陰圧源(例えば真空ポンプ)からの陰圧の印加があり次第、気体、液体、及び/又は固体が通過することのできるルーメンを含んでいるだろう。気体、液体、及び/又は固体は、孔1315の1つ又はそれ以上を経由して吸引デバイス1310のルーメンに進入することができる。
【0029】
[0069]アブレーション道具システム1300が手術野で使用される場合、アブレーションチップ1305が組織又は体液をアブレートする又は焼灼し、吸引デバイス1310は、例えば、アブレーション及び/又は手術の他の様相(例えば、切削、クランピング、など)から結果として生じ得る、煙、体液、組織、などを手術野から抜き取る役目を果たすことができる。吸引デバイス1310は、吸引ライン1330及び吸引ラインアダプタ1335を使用しての開口部又は孔1315を介する手術野への陰圧の印加によって、煙、体液、組織、などを抜き取ることができる。このやり方では、煙、体液、組織、などは、手術の施行中に、開口部又は孔1315の中へ吸い込まれ吸引ライン1330のルーメンを介して手術野から抜き出されることによって、手術野から抜き去られることができる。これはより良好な手術成果につながり得るものであり、というのも、外科医に手術野が良く見えるようになり(煙、流体、などの低減化に因る)、別体の吸引デバイス(例えばカニューレ)を手術野へ導入する必要が無く、それにより、別体の吸引デバイスの挿入及び抜去によって引き起こされる手術野への外傷が低減されるからである。
[0070]
図14及び
図15は、第1及び第2の例示としてのラリンジアルマスクエアウェイシステム1400及び1500をそれぞれ示している。より詳しくは、
図14は第1のラリンジアルマスクエアウェイシステム1400の側方斜視図、それの膨張式カフ1405の底面図、及びそれのチューブ1425の断面を提供している。第1のラリンジアルマスクエアウェイシステム1400は、膨張式カフ1405、カフ凹部1410、吸引デバイス1415、チューブ1425、吸引ライン1430、膨張ライン1435、外部吸引ライン1440、及びアダプタ1455を含んでいる。チューブ1425の断面図に示されている様に、チューブ1425はチューブルーメン1445と吸引ラインルーメン1450を含んでいてもよい。
【0030】
[0071]吸引デバイス1415は、以上に論じられている吸引デバイスと共通する1つ又はそれ以上の特徴を有し得るものであって、チューブ1425の中に常在している及び/又はチューブ1425へ連結されている吸引ライン1430へ連結されるように(例えば差し込まれるように)適合されていてもよい。吸引ライン1430は、チューブ1425の長さを走っていてもよいし、又はそれが外部吸引ライン1440へ連結されるまで及び/又は外部吸引ライン1440を形成するように延びるまでチューブの長さを走っていてもよい。陰圧が外部吸引ライン1440、吸引ライン1430、及び吸引デバイス1415へ印加されるように、吸引ライン1440のアダプタ1455は、真空ポンプの様な陰圧源(図示せず)へ連結されるように構成されていてもよく、その結果、例えば、流体、固体、及び/又は気体は、以上に吸引デバイス100及び1300に関して説明されているのと同じ方式で、吸引デバイス1415の外表面上に/外表面を貫いて配置されている1つ又はそれ以上の開口部又は孔1420を介して吸引デバイス1415内に存在するルーメンの中へ吸い込まれることができる。
【0031】
[0072]
図14によって提供されているカフ1405の底面図に見られる様に、カフ1405は実質的に楕円形又は涙滴様の形状を有していて、患者の口の中へ挿入され、喉笛を下り、声門の上方に気密シールを形成するべく配備される(例えば膨らまされる)ように設計されている。吸引デバイス1415は、ラリンジアルマスクエアウェイシステム1400、カフ1405、及び/又はカフ凹部1410にとって適切な任意の大きさ及び形状とすることができる。
図14に示されている様に、カフ凹部1410は、カフ1405がチューブ1425へ接合されている箇所に起こり、吸引デバイス1415は、部分的に又は全体的に、カフ凹部1410の中に納まっていてもよく及び/又はカフ凹部1410へ結合されていてもよい。幾つかの実施形態では、吸引デバイス1415は、吸引ライン1430との接合部からカフ凹部1410を一周して吸引ライン1430との接合部に戻るように延びている管として具現化されている。この実施形態の幾つかの事例では、吸引デバイス1415の第1端は開口していて吸引ライン1430へ連結されており、第2端は封止されていて、例えばカフ1405及び/又はチューブ1425へ取り付けられている。この事例では、吸引デバイス1415は、陰圧を孔1420へ印加させる開口端を1つしか有していないことになる。この実施形態の他の事例では、吸引デバイス1415は2つの開口端を有していて、それらのどちらか又は両方が吸引ライン1430へ連結されていてもよい。吸引デバイス1415は、吸引ライン1430へ、例えば機械的、化学的、及び/又は熱的な結合方法により取り付けられることができる。幾つかの実施形態では、吸引デバイス1415は、カフ凹部1410を部分的にしか取り巻いていない及び/又は覆っていない。
【0032】
[0073]吸引デバイス1415は、可撓性(例えばシリコン)材料及び/又は剛性材料(例えばプラスチック)から作られていてもよく、多くの場合は、ルーメン145の様なルーメンを中心に有する管様形状を有するものとすることができる。吸引ラインルーメン1450は、複数の孔又は開口部1420を介してアクセスされることができる。例えば、外部吸引ライン1440へアダプタ1455を介して連結されていて間接的に吸引ライン1430へ連結されている陰圧源(例えば真空ポンプ)からの陰圧の印加があり次第、気体、液体、及び/又は固体は孔1420を通過することができる。多くの事例では、唾液又は他の身体分泌物の様な液体は、吸引デバイス1415及び/又はラリンジアルマスクエアウェイシステム1400の使用により、患者の気道から抜き取られることになる。
[0074]吸引デバイス1415は、膨張式カフ1405に対して、分泌物が例えば重力及び/又は患者の解剖学的構造のせいで集まり易い領域に位置付けられるように配置されることができる。吸引デバイス1415は、更に、そうでなければ患者の肺へ拡散しかねない胃液又は他の分泌物を抜き取るように配置されることができる。
【0033】
[0075]次に
図15を見ると、ラリンジアルマスクエアウェイシステム1500が、カフ1510、吸引デバイス1505、チューブ1425、吸引ライン1430、膨張ライン1435、及び外部吸引ライン1440を含んでいる。吸引デバイス1505は、以上に論じられている吸引デバイスと共通する1つ又はそれ以上の特徴を有し得るものであって、外部吸引ライン1440、吸引ライン1430、及び吸引デバイス1505への陰圧の印加により、患者から液体、固体、又は気体を抜き取らせる1つ又はそれ以上の開口部又は孔1515を含んでいる。吸引ライン1430は、チューブ1425の長さを走っていて、真空ポンプの様な陰圧源(図示せず)へ連結するように構成されているアダプタを含む外部吸引ライン1440へ接合されてもよい。代替的に、吸引ライン1430は外部吸引ライン1440にて終端していてもよく、及び/又は外部吸引ライン1440を形成するように延びていてもよい。
[0076]吸引デバイス1505は、ラリンジアルマスクエアウェイシステム1500及び/又はカフ1510にとって適切な任意の大きさ及び形状とすることができる。幾つかの事例では、吸引デバイス1505はカフ1510の一体部分であってもよい。
図15に示されている様に、吸引デバイス1505は、患者の口又は気道へ最初に進入するように設計されているカフ1510の部分と一致し及び/又は当該部分へ付着されている。幾つかの実施形態では、吸引デバイス1505は、カフ1510の外表面から延びていてもよく、他の実施形態では、吸引デバイス1505の外側の面はカフ1510の外表面と一致(即ち面一)していてもよい。
図15の実施形態では、例えば使用中に患者の気道から分泌物を抜き取るように、吸引デバイス1505はカフ1510の外表面の一部分を覆っている。幾つかの実施形態では、吸引デバイス1505は、吸引ライン1430との接合部から延びる管としてカフ1510の一部分の周りに埋め込まれている。
【0034】
[0077]吸引デバイス1505は、可撓性(例えばシリコン)材料及び/又は剛性材料(例えばプラスチック)から作られていてもよく、多くの場合は、ルーメン145の様なルーメンを中心に有するものとすることができる。このルーメンは、複数の孔又は開口部1510を介してアクセスされることができる。例えば、吸引ライン1430へアダプタ1440を介して連結されている陰圧源(例えば真空ポンプ)からの陰圧の印加があり次第、気体、液体、及び/又は固体は孔1510を通過することができる。多くの事例では、唾液又は他の身体分泌物の様な液体は、吸引デバイス1505の使用により、患者の気道から抜き取られることになる。
[0078]吸引デバイス1505は、カフ1510に対して、分泌物が例えば重力及び/又は患者の解剖学的構造のせいで集まり易い領域に位置付けられるように配置されることができる。吸引デバイス1505は、更に、そうでなければ患者の肺へ拡散しかねない胃液分泌物を抜き取るように配置されることができる。
【0035】
[0079]
図16及び
図17は、吸引デバイスを含んでいる例示としての気管切開チューブシステム1600及び1700をそれぞれ示している。より詳しくは、
図16は気管切開チューブシステム1600の側方斜視図及びそれのチューブ1640の断面を提供している。気管切開チューブシステム1600は、第1端1605を有するチューブ1640、膨張式バルーン1610、複数の孔1620を含んでいる吸引デバイス1615、吸引デバイス延長部1625、吸引ライン1630、ブラケット1635、外部吸引ライン1645、膨張ライン1650を含んでいる。
図16によって提供されるチューブ1640の断面に見られる様に、チューブ1640は、チューブルーメン1655、吸引ラインルーメン1660、及び膨張ラインルーメン1665を含んでいる。
[0080]吸引デバイス1615は、以上に論じられている吸引デバイスと共通する1つ又はそれ以上の特徴を有し得るものであって、1つ又はそれ以上の開口部又は孔1620と、チューブ1640の中に常在する及び/又はチューブ1640へ連結される吸引ライン1630へ連結するように適合されている吸引ライン延長部1625と、を含んでいる。吸引ライン1630は、チューブ1640の長さを走っていて、真空ポンプ(図示せず)の様な陰圧源(図示せず)へ連結するように適合される外部吸引ライン1645へ連結されていてもよく、及び/又は外部吸引ライン1645へと移行していてもよい。膨張式バルーン1610は、膨張式バルーン1610を膨らませる及び/又は萎ませるという目的のために空気又は他の気体の源(図示せず)へ連結されるように適合されている膨張ライン1650へ連結されることができる。
【0036】
[0081]吸引デバイス1615は、気管切開チューブシステム1600にとって適切な任意の大きさ及び形状とすることができる。吸引デバイス1615の例示としての形状は、円形型、半円形型、直線形型、及び/又は矩形型の形状である。幾つかの事例では、吸引デバイス1615は、チューブ1640及び/又は膨張式バルーン1610の周りを完全に(即ち360°)又は部分的に(例えば90°、180°、又は270°)取り巻いていてもよい。幾つかの事例では、吸引デバイス1615は、膨張式バルーン1610の外表面と一致していてもよく、及び/又は外表面上に配置されていてもよい。幾つかの実施形態では、吸引デバイス1615は、膨張式バルーン1610とチューブ1640の間の接合部と一致していてもよい。追加的又は代替的に、吸引デバイス1615は、膨張式バルーン1610及び/又はチューブ1640の周りを1巻きより多く、例えば螺旋式に又は円形に同心に設置される様式で取り巻いていてもよい。先と同じく、
図16には吸引デバイス1615が1つしか示されていないが、そうである必要はないことを指摘しておきたい。例えば、気管切開チューブシステム1600は2つ又はそれ以上の吸引デバイス1310を採用していてもよい。
【0037】
[0082]吸引デバイス1615及び/又は吸引ライン延長部1625は、可撓性(例えばシリコン)材料及び/又は剛性材料(例えばプラスチック)から作られていてもよい。幾つかの事例では、吸引ライン延長部1625は吸引デバイス1615と同じ材料から作られていてもよく、他の事例では、それは異なる材料から作られていてもよい。吸引ライン延長部1625は、吸引ライン1630へ、例えば、機械的、化学的、及び/又は熱的な結合方法により取り付けられることができる。殆どの事例では、吸引デバイス1615は、例えば、吸引ライン1630及び/又は外部吸引ライン1645へ連結されている陰圧源(例えば真空ポンプ)からの陰圧の印加があり次第、気体、液体、及び/又は固体が通過することのできるルーメン(図示せず)を含んでいる。気体、液体、及び/又は固体は、孔1620の1つ又はそれ以上を経由して吸引デバイス1615のルーメンに進入することができる。
[0083]気道切開チューブシステム1600が患者に使用される場合、吸引デバイス1615は、吸引ライン1630及び外部吸引ライン1645を使用しての孔1620への陰圧の印加によって体液(例えば唾液)を抜き取るのに使用されることができる。このやり方では、分泌物の溜り又は他の集合体は、連続ベース、周期ベース、及び/又は必要ベースで、開口部又は孔1620の中へ吸い込まれ吸引ライン1630を介して野から抜き取られることによって身体から除去されることができる。
【0038】
[0084]気管切開チューブシステム1700は、吸引デバイス1705がチューブ1640及び/又は膨張式バルーン1610の一部分の周りを取り巻く管の形状をしていることを別にすれば、気管切開チューブシステム1600と同様である。
図17の実施形態では、吸引デバイス1705は一方の端が閉鎖されている管であって、多数の孔を含んでいて吸引ライン1630の延長部へ連結されている及び/又は延長部である管とされている。様々な実施形態では、吸引デバイス1705は、チューブ1640の周りを部分的に又は完全に取り巻いていて、幾つかの事例では、チューブ1640の周りを1巻きより多く、例えば螺旋様パターンで取り巻いていてもよい。このやり方では、分泌物の溜り又は他の集合体は、連続ベース、周期ベース、及び/又は必要ベースで、開口部又は孔1620の中へ吸い込まれ吸引ライン1630のルーメンを介して野から抜き取られることによって身体から除去されることができる。
[0085]ここに開示されている吸引デバイスの1つ又はそれ以上又はそれらの一部分は、吸引デバイス/吸引デバイスの一部分を、X線、PETスキャン、CTスキャン、及び/又はMRIスキャンの様な外部画像化技術にとって可視にする材料を含んでいてもよい。幾つかの事例では、この材料は、放射線不透過性マーカー、放射性ダイ、又は画像化時に可視である/認識できる他の材料(例えば硫酸バリウム)であってもよい。これは、吸引デバイス及び/又は吸引デバイスが連結されている医療装置を、患者の内部に設置し易くするだろうし、また医療従事者(例えば医師又は看護師)が、吸引デバイス及び/又は吸引デバイスが連結されている医療装置が患者の内部に適正に位置決めされている及び/又は適正に機能していることを検証できるようにするだろう。
【0039】
[0086]追加的又は代替的に、ここに開示されている吸引デバイスの1つ又はそれ以上又はそれらの一部分は、抗菌材料(例えば抗生剤)を、例えば吸引デバイスを構成する材料の被覆又は構成要素として(例えば浸出性作用剤として)含んでいてもよい。追加的又は代替的に、ここに開示されている吸引デバイスの1つ又はそれ以上又はそれらの一部分は、医薬品(例えば抗炎症薬)の様な浸出性化学物質を、例えば吸引デバイスを構成する材料の被覆又は構成要素として含んでいてもよい。
[0087]追加的又は代替的に、ここに開示されている吸引デバイスの1つ又はそれ以上又はそれらの一部分は、吸引デバイス及び/又は吸引デバイスが連結されている医療装置の容易設置を実現し易くする及び/又は吸引デバイスへの患者の組織の接着を防止する1つ又はそれ以上の機構を含んでいてもよい。例えば、吸引デバイスは、それが平滑な外表面を有するようになる材料(例えばシリコン)から作られていてもよく、及び/又は、患者への挿入中及び/又は患者内留置中の刺激及び/又は患者の組織の接着を阻止し得る平滑及び/又は非粘着性の表面を提供する材料(例えばTEFLON(登録商標)又は潤滑剤)で被覆されていてもよい。
【0040】
[0088]ここに開示されている吸引デバイスは、様々な形状及び大きさに構成されることができる。場合により、特定の吸引デバイスの1つ又はそれ以上の寸法は、例えば、それが連結される及び/又はそれが協働するように適合されている相手の医療装置の形状及び大きさに対応していてもよい。例えば、
図10-
図12に示されている吸引デバイス100は、気管チューブシステム101へ連結されチューブ205の一部分(この場合には周囲の大凡50%)をぐるりと回る大きさと形状である。故に、
図10-
図12の吸引デバイス100は、形状が湾曲状及び半円形である。システム1300、1400、1500、1600、及び1700の吸引デバイス1310、1415、1505、1615、1705は、それぞれ、それらが連結される相手の個々の医療装置システムの大きさ及び形状に対応する形状である。
[0089]ここに開示されている吸引デバイスに含まれる複数の孔の1つ又はそれ以上の直径/大きさは、個々の吸引デバイス、延長部、及び/又はそれが連結される吸引ラインのルーメンの直径/大きさより小さくてもよい。例えば、孔115は、直径が、ルーメン145、第1側ルーメン130A、第2側ルーメン130B、及び/又はそれが連結されるように構成されている吸引ラインのルーメンの直径より小さくてもよい。当該(単数又は複数の)ルーメンより小さい孔を有することは、固体又は半固体が孔の中へ吸い込まれ、個々の吸引デバイス、延長部、及び/又はそれが連結される吸引ラインのルーメンを閉塞又は封鎖しかねない事態を未然に防ぐ。これは、吸引デバイス及び/又は吸引デバイスを含む医療装置システムのルーメンの閉塞を防止し、それらの孔の1つ又はそれ以上が封鎖されてもなお吸引デバイスが適正に機能することを可能にする。
【0041】
[0090]場合により、吸引デバイス及び/又はそれの構成要素(例えば延長部)は、例えば吸引デバイス及びそれの構成要素の外形を最小化するために、それが連結される医療装置の吸引ライン又は構成要素の中へ陥入されていて、それが吸引デバイス及び/又はそれの連結相手の医療装置の外表面から実質的に張り出さないようになっていてもよい。
[0091]多くの事例では、吸引デバイスの孔の大きさ及び設置位置は、陰圧又は吸引が印加される患者の組織の面積を増加させるよう作用することだろう。これは、患者の組織へかかる圧力を小さくし、それにより、陰圧を印加させる開口部が1つしかない他の吸引デバイスに比べて組織への外傷を低減するよう作用する。陰圧が印加される面積が相対的に広いので、より大きい吸引力(例えば、100cm H2Oに値する陰圧)が患者の組織への悪影響無しに吸引デバイスのルーメンへ印加されることができる。陰圧/吸引力のこの増加は、吸引デバイスの効率を高めるよう作用し、吸引デバイスが患者からのより多くの個体及び/又は液体の抜き取りを円滑化できるようにする。
[0092]場合により、吸引デバイスを採用している医療装置が使用される(例えば患者の中へ挿入される)とき、吸引デバイスは医療装置を位置決めする及び/又は位置決めを維持するのを支援するようになっていて、例えば吸引デバイスによって作り出される陰圧が吸引デバイスを例えば気管、咽頭、手術切開部、などの内面又は内壁に当てて保持するよう作用し、それにより分泌物又は他の物質が患者内部の所望されない場所(例えば、肺、胃、など)へ移動してしまうのを防ぐようになっていてもよい。
[0093]以上、気管チューブシステムのための吸引デバイスをここに説明した。
【符号の説明】
【0042】
100 吸引デバイス
101 気管チューブシステム
105 吸引デバイス本体
110 延長部
115 複数の孔又は開口部
120 延長部に配置されている孔
125 中央構造要素
130A 第1側ルーメン
130B 第2側ルーメン
135 エンドキャップ
140 構造要素
145 吸引デバイス本体ルーメン
205 チューブ
210 チューブの第1端
215 吸引ライン
220 膨張ライン
225 膨張式バルーン
230 チューブの第2端
235 吸引ラインアダプタ
240 膨張ラインアダプタ
1300 アブレーション道具システム
1305 アブレーションチップ
1310 吸引デバイス
1315 開口部又は孔
1320 吸引ライン延長部
1325 ハンドル
1330 吸引ライン
1335 アダプタ
1400 ラリンジアルマスクエアウェイシステム
1405 膨張式カフ
1410 カフ凹部
1415 吸引デバイス
1420 開口部又は孔
1425 チューブ
1430 吸引ライン
1435 膨張ライン
1440 外部吸引ライン
1445 チューブルーメン
1450 吸引ラインルーメン
1455 アダプタ
1500 ラリンジアルマスクエアウェイシステム
1505 吸引デバイス
1510 カフ
1515 開口部又は孔
1600 気管切開チューブシステム
1605 第1端
1610 膨張式バルーン
1615 吸引デバイス
1620 複数の孔
1625 吸引デバイス延長部
1630 吸引ライン
1635 ブラケット
1640 チューブ
1645 外部吸引ライン
1650 膨張ライン
1655 チューブルーメン
1660 吸引ラインルーメン
1665 膨張ラインルーメン
1700 気管切開チューブシステム
1705 吸引デバイス