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特許7245597特別高圧変換所に適用される消火システム、消火方法及び特別高圧変換所
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】特別高圧変換所に適用される消火システム、消火方法及び特別高圧変換所
(51)【国際特許分類】
   A62C 3/00 20060101AFI20230316BHJP
   A62C 3/16 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
A62C3/00 D
A62C3/00 H
A62C3/16 C
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2022511393
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 CN2021100778
(87)【国際公開番号】W WO2021254465
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2022-02-21
(31)【優先権主張番号】202021150110.3
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010573965.5
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011094069.7
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521288138
【氏名又は名称】国網安徽省電力有限公司電力科学研究院
【氏名又は名称原語表記】STATE GRID ANHUI ELECTRIC POWER RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No. 299 Ziyun Road, Economic and Technological Development Zone, Hefei, Anhui Province, China
(73)【特許権者】
【識別番号】518453590
【氏名又は名称】国家電網有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】張佳慶
(72)【発明者】
【氏名】黄玉彪
(72)【発明者】
【氏名】黄勇
(72)【発明者】
【氏名】程登峰
(72)【発明者】
【氏名】王劉芳
(72)【発明者】
【氏名】宋勝利
(72)【発明者】
【氏名】李金忠
(72)【発明者】
【氏名】周亦夫
(72)【発明者】
【氏名】楊鵬程
(72)【発明者】
【氏名】田宇
(72)【発明者】
【氏名】柯艶国
(72)【発明者】
【氏名】羅沙
(72)【発明者】
【氏名】謝佳
(72)【発明者】
【氏名】範明豪
(72)【発明者】
【氏名】李偉
(72)【発明者】
【氏名】過▲イ▼
(72)【発明者】
【氏名】尚峰挙
(72)【発明者】
【氏名】劉睿
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111228682(CN,A)
【文献】特開平3-4881(JP,A)
【文献】特開昭55-8764(JP,A)
【文献】特開昭64-17663(JP,A)
【文献】特開昭61-213066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特別高圧変換所に適用される消火システムであって、
少なくとも1つのスプレー消火システムと、少なくとも1つの放水銃消火システムとを含み、各前記スプレー消火システムは、第1の消防用配管とスプレーパイプとを含み、各前記放水銃消火システムは、第2の消防用配管と放水銃とを含み、前記特別高圧変換所において各コンバータ変圧器の両側のファイアウォールの真上にはそれぞれ少なくとも1つの放水銃が配置されており、各放水銃は1つの第2の消防用配管に連通し、各コンバータ変圧器の両側のファイアウォールにはそれぞれ少なくとも1つのスプレーパイプが設けられ、各前記スプレーパイプは1つの第1の消防用配管に連通し、各コンバータ変圧器が位置するところの放水銃及び第1の消防用配管のスプレーパイプの出口はいずれも前記コンバータ変圧器に正対する、ことを特徴とする消火システム。
【請求項2】
第1の消火媒体発生サブシステム、第2の消火媒体発生サブシステム及び制御モジュールをさらに含み、前記制御モジュールは、第1の消火媒体発生サブシステム及び第2の消火媒体発生サブシステムのそれぞれに接続され、第1の消火媒体発生サブシステムの出口は全ての第1の消防用配管の入口及び全ての第2の消防用配管の入口に連通し、第2の消火媒体発生サブシステムの出口は全ての第1の消防用配管の入口及び全ての第2の消防用配管の入口に連通する、ことを特徴とする請求項1に記載の特別高圧変換所に適用される消火システム。
【請求項3】
前記特別高圧変換所は、互いに平行に配置された複数組の単一バルブグループコンバータ変圧器を含み、各単一バルブグループコンバータ変圧器は、等間隔を空けて配置された複数のコンバータ変圧器を含み、隣接するコンバータ変圧器同士はファイアウォールによって隔てられ、各単一バルブグループコンバータ変圧器の後側には1つのバルブホールが平行に配置され、単一バルブグループコンバータ変圧器と対応するバルブホールは全体として1つの極を構成し、2つの極を1組の極とし、各組の極は高電圧側バルブグループと低電圧側バルブグループとを含み、同じ組の極のうち2つの極は鏡面対称的に設置され、隣接する組の極同士は、低電圧側バルブグループが背中合わせに配置されるか、又は高電圧側バルブグループが背中合わせに設置され、各コンバータ変圧器のバルブホール側のブッシングは、対応するバルブホールに入り込む、ことを特徴とする請求項2に記載の特別高圧変換所に適用される消火システム。
【請求項4】
各単一バルブグループコンバータ変圧器は、第1の消火媒体発生サブシステム及び第2の消火媒体発生サブシステムに近い一端に第1の区画選択バルブと第2の区画選択バルブが設けられ、各第1の消防用配管は、それが設けられた単一バルブグループコンバータ変圧器の第1の区画選択バルブに接続され、放水銃は、各バルブホールの張り出しのうちファイアウォールに正対する位置に設置され、各放水銃は、それぞれ第2の消防用配管を介して1つの第2の区画選択バルブに接続され、各第1の区画選択バルブ及び各第2の区画選択バルブは、いずれも第1の泡供給配管を介して第1の消火媒体発生サブシステムの出口に接続され、各第1の区画選択バルブ及び各第2の区画選択バルブは、いずれも第2の泡供給配管を介して第2の消火媒体発生サブシステムの出口に接続される、ことを特徴とする請求項3に記載の特別高圧変換所に適用される消火システム。
【請求項5】
前記スプレーパイプは耐爆スプレーパイプである、ことを特徴とする請求項1に記載の特別高圧変換所に適用される消火システム。
【請求項6】
スプレーパイプは横管と縦管を組み合わせた十字形配管であり、縦管は地面に対して垂直であり、横管はファイアウォールの側面の第1の消防用配管に連通し、且つ横管と縦管の両方には複数の開口が設けられている、ことを特徴とする請求項5に記載の特別高圧変換所に適用される消火システム。
【請求項7】
前記コンバータ変圧器の周囲にはノイズ低減板が設けられ、ノイズ低減板及びコンバータ変圧器は全体として2つのファイアウォールの間に位置し、コンバータ変圧器のブッシング及びブッシングリフトベースはノイズ低減板を貫通してコンバータ変圧器の中央の真上に位置し、ファイアウォールに位置する第1の消防用配管はノイズ低減板を貫通して横管に連通し、且つ横管の複数の開口はコンバータ変圧器に正対し、縦管はノイズ低減板を貫通してブッシング及びブッシングリフトベースに平行する、ことを特徴とする請求項6に記載の特別高圧変換所に適用される消火システム。
【請求項8】
前記第1の消火媒体発生サブシステム及び第2の消火媒体発生サブシステムは、コンバータ変圧器が位置する領域から離れた位置に配置される、ことを特徴とする請求項2に記載の特別高圧変換所に適用される消火システム。
【請求項9】
前記第1の消火媒体発生サブシステム及び第2の消火媒体発生サブシステムは、いずれも圧縮空気泡発生サブシステムであり、第1の消火媒体発生サブシステム及び第2の消火媒体発生サブシステムから送り出される消火媒体はいずれも圧縮空気泡である、ことを特徴とする請求項8に記載の特別高圧変換所に適用される消火システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の特別高圧変換所に適用される消火システムの消火方法であって、
あるコンバータ変圧器が着火した場合、スプレー消火システムと放水銃消火システムを同時に起動し、スプレー消火システムの第1の消防用配管の出口にスプレーパイプが接続され、スプレーパイプの複数の出口がコンバータ変圧器の周囲に正対することにより、スプレー消火を行い、且つ、スプレーパイプがコンバータ変圧器の低所及び側面に位置することにより、全範囲の消火を行い、また、放水銃消火システムの第2の消防用配管の出口に放水銃が接続され、第2の消防用配管はコンバータ変圧器の高所に配置され且つ放水銃による消火を行うことにより、コンバータ変圧器の重点部位に対する抑制消火を行い、このように2つの消火システムはいずれも着火したコンバータ変圧器に作用し、特別高圧コンバータ変圧器の全ての火災の特徴的挙動に完全対応することを含む、ことを特徴とする消火方法。
【請求項11】
前記消火システムは、第1の消火媒体発生サブシステム、第2の消火媒体発生サブシステム及び制御モジュールをさらに含み、あるコンバータ変圧器が着火した場合、制御モジュールは、第1の消火媒体発生サブシステム及び第2の消火媒体発生サブシステムのうち該コンバータ変圧器に近い一方の消火媒体発生サブシステムが、第1の消防用配管に優先的に消火媒体を供給し、コンバータ変圧器の両側のファイアウォールにおけるスプレーパイプにより着火したコンバータ変圧器の本体及び周囲に対して全範囲の消火を行い、該コンバータ変圧器から離れた他方の消火媒体発生サブシステムが、出口がコンバータ変圧器の上方の高所に位置する第2の消防用配管に消火媒体を供給し、第2の消防用配管の出口から消火媒体を噴出して抑制消火を行うように制御を行うことをさらに含む、ことを特徴とする請求項10に記載の特別高圧変換所に適用される消火システムの消火方法
【請求項12】
前記消火システムは、極1の高低電圧側バルブグループ、第1のローカル制御キャビネット、極2の高低電圧側バルブグループ、第2のローカル制御キャビネット、第1の区画選択バルブ、及び第2の区画選択バルブをさらに含み、第1の消防用配管は第1の区画選択バルブに接続され、第2の消防用配管は第2の区画選択バルブに接続され、第1の区画選択バルブ及び第2の区画選択バルブはいずれも配管を介して第1の消火媒体発生サブシステム及び第2の消火媒体発生サブシステムに接続され、極1の高低電圧側バルブグループは極1の広場に配置され、極2の高低電圧側バルブグループは極2の広場に配置され、
極1の高低電圧側バルブグループに火災が発生した場合、制御モジュールは、第1のローカル制御キャビネットによって、着火したバルブグループに最も近い第1の消火媒体発生サブシステムに接続される第1の区画選択バルブを開け、且つ第1の消火媒体発生サブシステムを自動で起動させ、第1の区画選択バルブに接続される第1の消防用配管はスプレーパイプを介して泡を吐出し、極1の高低電圧側バルブグループに対してスプレー消火を行う、ことを特徴とする請求項11に記載の特別高圧変換所に適用される消火システムの消火方法
【請求項13】
極1の高低電圧側バルブグループに火災が発生した場合、制御モジュールは、第2のローカル制御キャビネットによって、第2の消火媒体発生サブシステムに接続される第2の区画選択バルブを開け、且つ第2の消火媒体発生サブシステムを自動で起動させ、第2の区画選択バルブに接続される第2の消防用配管は放水銃によって泡を吐出し、極1の高低電圧側バルブグループに対して放水銃による消火を行う、ことを特徴とする請求項12に記載の特別高圧変換所に適用される消火システムの消火方法
【請求項14】
極1の高低電圧側バルブグループに火災が発生しておらず、極2の高低電圧側バルブグループに火災が発生した場合、制御モジュールは、第1のローカル制御キャビネットによって、極2の高低電圧側バルブグループに最も近い第2の消火媒体発生サブシステムに接続される第1の区画選択バルブを開け、且つ第2の消火媒体発生サブシステムを自動で起動させ、第1の区画選択バルブに接続される第1の消防用配管はスプレーパイプを介して泡を吐出し、極2の高低電圧側バルブグループに対してスプレー消火を行う、ことを特徴とする請求項12に記載の特別高圧変換所に適用される消火システムの消火方法
【請求項15】
極2の高低電圧側バルブグループに火災が発生した場合、制御モジュールは、第2のローカル制御キャビネットによって、第2の消火媒体発生サブシステムに接続される第2の区画選択バルブを開け、且つ第2の消火媒体発生サブシステムを自動で起動させ、第2の区画選択バルブに接続される第2の消防用配管は放水銃によって泡を吐出し、極2の高低電圧側バルブグループに対して放水銃による消火を行う、ことを特徴とする請求項14に記載の特別高圧変換所に適用される消火システムの消火方法
【請求項16】
第1の消火媒体発生サブシステム及び第2の消火媒体発生サブシステムのうち一方の消火媒体発生サブシステムが故障した場合、制御モジュールは、正常に作動できる消火媒体発生サブシステムから送り出される消火媒体を第1の消防用配管に輸送し、優先的にスプレーパイプで着火したコンバータ変圧器に対して消火を行うことにより、全領域を素早く消火するように制御を行うことをさらに含む、ことを特徴とする請求項12に記載の特別高圧変換所に適用される消火システムの消火方法
【請求項17】
極1の高低電圧側バルブグループに火災が発生し、第1の消火媒体発生サブシステムが故障して作動できない場合、制御モジュールは、第2のローカル制御キャビネットによって、第2の消火媒体発生サブシステムに接続される第1の区画選択バルブを開け、且つ第2の消火媒体発生サブシステムを自動で起動させ、第2の消火媒体発生サブシステムから第1の消防用配管に消火媒体を輸送し、第1の区画選択バルブに接続される第1の消防用配管はスプレーパイプを介して泡を吐出し、極1の高低電圧側バルブグループに対してスプレー消火を行う、ことを特徴とする請求項16に記載の特別高圧変換所に適用される消火システムの消火方法
【請求項18】
極1の高低電圧側バルブグループに火災が発生し、第2の消火媒体発生サブシステムが故障して作動できない場合、制御モジュールは、第1のローカル制御キャビネットによって、第1の消火媒体発生サブシステムに接続される第1の区画選択バルブを開け、且つ第1の消火媒体発生サブシステムを自動で起動させ、第1の消火媒体発生サブシステムから第1の消防用配管に消火媒体を輸送し、第1の区画選択バルブに接続される第1の消防用配管はスプレーパイプを介して泡を吐出し、極1の高低電圧側バルブグループに対してスプレー消火を行う、ことを特徴とする請求項16に記載の特別高圧変換所に適用される消火システムの消火方法
【請求項19】
所定時間が経過した後、制御モジュールは、正常に作動できる消火媒体発生サブシステムから送り出される消火媒体を、さらに、出口がコンバータ変圧器の上方の高所に位置する第2の消防用配管に輸送し、第2の消防用配管の出口から消火媒体を噴出して抑制消火を行うように制御を行うことをさらに含む、ことを特徴とする請求項17又は18に記載の特別高圧変換所に適用される消火システムの消火方法
【請求項20】
前記所定時間の値の範囲は0~5minである、ことを特徴とする請求項19に記載の特別高圧変換所に適用される消火システムの消火方法
【請求項21】
所定時間が0である場合、制御モジュールは、正常に作動できる消火媒体発生サブシステムから送り出される消火媒体を第1の消防用配管と第2の消防用配管に同時に輸送し、スプレー消火と放水銃による消火が同時に行われるように制御を行う、ことを特徴とする請求項20に記載の特別高圧変換所に適用される消火システムの消火方法
【請求項22】
請求項1~9のいずれか1項に記載の消火システムを備える特別高圧変換所であって、
互いに平行に配置された複数組の単一バルブグループコンバータ変圧器を含み、各単一バルブグループコンバータ変圧器は等間隔を空けて配置された複数のコンバータ変圧器を含み、隣接するコンバータ変圧器同士はファイアウォールによって隔てられ、各単一バルブグループコンバータ変圧器の後側には1つのバルブホールが平行に配置され、
少なくとも1つの圧縮空気泡発生サブシステム及び制御モジュールをさらに含み、前記制御モジュールは各圧縮空気泡発生サブシステムにそれぞれ接続され、圧縮空気泡発生サブシステムの出口は全ての第1の消防用配管の入口及び全ての第2の消防用配管の入口に連通する、特別高圧変換所。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特別高圧の分野に関し、より具体的には、特別高圧変換所(converter station)に適用される消火システム、消火方法及び特別高圧変換所に関する。
【背景技術】
【0002】
世界で最も先進的な送電技術の一つとしては、特別高圧直流送電がある。中国はすでに世界の直流送電大国となり、特別高圧直流送電技術の発展をリードしている。2016年1月11日、準東-安徽省南部(新疆ウイグル自治区昌吉回族自治州-安徽省宣城市)の±1100kVの特別高圧直流送電工事が着工した。これは、現在、世界で電圧等級が最も高く、輸送容量が最も大きく、輸送距離が最も遠く、技術水準が最も先進的な特別高圧送電工事である。
【0003】
特別高圧変換所は、電力網の重要な構成部分であり、全国の電力輸送の役割を担っているため、特別高圧変換所が正常かつ安定的に稼働することを保証することは、社会的生産、生活及び社会の安定にとって重要な意味がある。特別高圧変換所内のコンバータ変圧器(Converter Transformer)は油を収容した大型機器であり、1つの機器に約200トンの変圧器油が収容されている。コンバータ変圧器に火災が発生すると、常に爆発や爆燃などの現象を伴っており、もし1台の変圧器の火災を適時かつ有効に抑制できなければ、単一バルブグループの複数のコンバータ変圧器及び隣接するバルブホール内の精密機器に深刻な破壊をもたらす可能性があり、これによる経済的損失や社会影響は測り知れないほど大きい。
【0004】
従来、中国国内では、変圧器火災に対応する消火技術としては、主に、微細な水ミストシステム、固定式水噴霧システム、SD型泡消火システム、排油窒素注入(Oil Draining and Nitrogen Injecting)消火システム、高圧COトータルフラッディング消火システムがあり、研究者はすでに各種の消火技術の特徴及び適用性について研究を展開し、各種の消火手段の長所と短所を比較して分析した。一方、海外では、主に全自動圧縮空気A類泡消火システム(CAFS)が使用されている。
【0005】
中国国内では、変圧器用消火システムについても研究を行っており、東華工程科技股ふん有限公司が発表した、定期刊行物に掲載された文献である『油入変圧器用水噴霧消火システムの設計検討』(広州化工,2013,41(8):240-242)には、現在、よく使われている各種の油入変圧器を保護するための消火システムを検討し、水噴霧消火システムの消火原理及びこのシステムの構成を説明している。楽山市消防支隊が発表した、定期刊行物に掲載された文献である『油入変圧器の火災危険性及び予防措置』(消防科学と技術、2006(b03):146-147)には、油浸電力変圧器の構造及び火災の予防措置を検討し、そして水噴霧システムと排油窒素注入消火システムを重点的に紹介している。中国聯合工程公司が発表した、定期刊行物に掲載された文献である『大型油入変圧器における水噴霧消火システムの応用』(山西建筑,2009,35(14):171-172)には、大型油入変圧器における水噴霧消火システムの応用を検討し、大型油入変圧器における水噴霧消火システムの構成及び制御方法を説明し、かつ、システムの設計を継続的に改善するために設計上注意すべき問題点を検討している。公安部天津消防研究所が発表した、定期刊行物に掲載された文献である『水噴霧システムによる油入変圧器火災に対する消火試験研究』(消防科学及び技術、2012,31(12):1303-1305)には、水噴霧システムによる油入変圧器火災に対する消火試験研究を行い、かつ変圧器用の水噴霧システムの設定に対するアドバイスを提供している。河北能源工程設計有限公司が発表した『油入変圧器の消防システムの設計の分析』(中小企業の管理及び科学技術、2009(7):287-288)には、水噴霧消火システム、SD型泡消火システム、高圧COトータルフラッディング消火システムの3種類の変圧器の固定式消防システムを比較して検討している。
【0006】
中国国内では、変圧器の消火技術に対する研究の多くは、通常の変圧器を対象としており、消火手段は伝統的な水ミストや泡などの方式にとどまっており、圧縮空気泡及びその他の高効率水系消火技術などの新技術の応用は海外に遅れをとっており、BOX-INなどの複雑な構造を有する新設特別高圧変換所の大型コンバータ変圧器の消火技術システムに対する研究もなく、各種の消火技術の特別高圧コンバータ変圧器への適用性も明らかにされていない。
【0007】
以上のように、現在の変換所に設置されている消防消火システムでは、コンバータ変圧器の特殊な火災挙動に完全対応することが困難である。変換所のコンバータ変圧器領域の消防消火システムは、以下の問題が存在する。(1)現在、すべての運転中の変換所のコンバータ変圧器領域の消火システムは水噴霧消火システム又は泡消火システムであり、事故及び関連研究によると、この2種類のシステムでは、特別高圧コンバータ変圧器のあらゆる火災の特徴的挙動に完全対応することが困難である。(2)コンバータ変圧器領域には、1組の消火システムだけが配置され、システムの冗長化に対する配慮が不足し、システムの信頼性が低い。(3)従来の変換所の消火システムの末端放出装置は、コンバータ変圧器の周囲に配置された圧力噴射ヘッドであり、この圧力噴射ヘッドは、いかなる耐爆・耐冲撃性能を備えていないため、爆発が発生した場合、システムの故障を直接引き起こす可能性がある。(4)事故によると、コンバータ変圧器のリフトベース(ascending flanged base)やブッシングは火災リスクの高い部位であるものの、従来の消防消火システムではこの領域に対していかなる追加の防護措置を行っていない。(5)従来の消防消火システムでは、システム応答時間及び応答原則への要求を明確にしていないため、火災が発生した場合の初期出火を見逃すことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、効率的かつ確実な消火を実現するように、特別高圧変換所の消防消火システムにより信頼性の高い設計が求められている。
【0009】
本発明が解決しようとする技術的課題は、どのように特別高圧変換所の消防消火システムで特別高圧コンバータ変圧器の全ての火災の特徴的挙動に完全対応することを実現するかである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、少なくとも1つのスプレー消火システムと、少なくとも1つの放水銃消火システムとを含み、各前記スプレー消火システムは、第1の消防用配管とスプレーパイプとを含み、各前記放水銃消火システムは、第2の消防用配管と放水銃とを含み、前記特別高圧変換所において各コンバータ変圧器の両側のファイアウォールの真上にはそれぞれ少なくとも1つの放水銃が配置されており、各放水銃は1つの第2の消防用配管に連通し、各コンバータ変圧器の両側のファイアウォールにはそれぞれ少なくとも1つのスプレーパイプが設けられ、各前記スプレーパイプは1つの第1の消防用配管に連通し、各コンバータ変圧器が位置するところの放水銃及び第1の消防用配管のスプレーパイプの出口はいずれも前記コンバータ変圧器に正対する、特別高圧変換所に適用される消火システムという技術手段により上述の技術的課題を解決する。
【0011】
本発明による消火システムにおいて、あるコンバータ変圧器が着火した場合、スプレー消火システムと放水銃消火システムを同時に起動し、スプレー消火システムは、スプレー消火を行うものであり、コンバータ変圧器の両側のファイアウォールに配置され、コンバータ変圧器の低所及び周囲に位置し、これにより、全範囲の消火が行われ、放水銃消火システムは、その配管がコンバータ変圧器の高所に配置され、且つ放水銃による消火を行い、これにより、コンバータ変圧器の重点部位に対して抑制消火が行われる。このように、2つの消火システムはいずれも着火したコンバータ変圧器に作用し、特別高圧コンバータ変圧器の全ての火災の特徴的挙動に完全対応することができ、これにより消火システムの従来のデザインの欠点及び欠陥を解決し、効率的な消火及び確実な消火を実現できる。
【0012】
さらに、前記消火システムは、第1の消火媒体発生サブシステム、第2の消火媒体発生サブシステム及び制御モジュールをさらに含み、前記制御モジュールは第1の消火媒体発生サブシステム及び第2の消火媒体発生サブシステムのそれぞれに接続され、第1の消火媒体発生サブシステムの出口は全ての第1の消防用配管の入口及び全ての第2の消防用配管の入口に連通し、第2の消火媒体発生サブシステムの出口は全ての第1の消防用配管の入口及び全ての第2の消防用配管の入口に連通する。
【0013】
またさらに、前記特別高圧変換所は、互いに平行に配置された複数組の単一バルブグループコンバータ変圧器を含み、各単一バルブグループコンバータ変圧器は、等間隔を空けて配置された複数のコンバータ変圧器を含み、隣接するコンバータ変圧器同士はファイアウォールによって隔てられ、各単一バルブグループコンバータ変圧器の後側には1つのバルブホールが平行に配置され、単一バルブグループコンバータ変圧器と対応するバルブホールは全体として1つの極を構成し、2つの極を1組の極とし、各組の極は高電圧側バルブグループと低電圧側バルブグループとを含み、同じ組の極のうち2つの極は鏡面対称的に設置され、隣接する組の極同士は、低電圧側バルブグループが背中合わせに配置されるか、又は高電圧側バルブグループが背中合わせに設置され、各コンバータ変圧器のバルブホール側のブッシングは、対応するバルブホールに入り込む。
【0014】
またさらに、各単一バルブグループコンバータ変圧器は、第1の消火媒体発生サブシステム及び第2の消火媒体発生サブシステムに近い一端に第1の区画選択バルブと第2の区画選択バルブが設けられ、各第1の消防用配管は、それが設けられた単一バルブグループコンバータ変圧器の第1の区画選択バルブに接続され、放水銃は、各バルブホールの張り出しのうちファイアウォールに正対する位置に設置され、各放水銃は、それぞれ第2の消防用配管を介して1つの第2の区画選択バルブに接続され、各第1の区画選択バルブ及び各第2の区画選択バルブは、いずれも第1の泡供給配管を介して第1の消火媒体発生サブシステムの出口に接続され、各第1の区画選択バルブ及び各第2の区画選択バルブは、いずれも第2の泡供給配管を介して第2の消火媒体発生サブシステムの出口に接続される。
【0015】
さらに、前記スプレーパイプは耐爆スプレーパイプである。
【0016】
またさらに、各前記コンバータ変圧器の中央部位にはブッシング及びブッシングリフトベースが設置され、スプレーパイプは横管と縦管を組み合わせた十字形配管であり、縦管とリフトベース及びブッシングはいずれも地面に対して垂直であり、横管はファイアウォールの側面の第1の消防用配管に連通し、且つ横管には複数の出口を有する。
【0017】
別にさらに、前記コンバータ変圧器の周囲にはノイズ低減板が設けられ、ノイズ低減板及びコンバータ変圧器は全体として2つのファイアウォールの間に位置し、ブッシング及びブッシングリフトベースはノイズ低減板を貫通してコンバータ変圧器の中央の真上に位置し、ファイアウォールに位置する第1の消防用配管はノイズ低減板を貫通して横管に連通し、且つ横管の複数の開口はコンバータ変圧器に正対し、縦管はノイズ低減板を貫通してブッシング及びブッシングリフトベースに平行する。
【0018】
さらに、前記第1の消火媒体発生サブシステム及び第2の消火媒体発生サブシステムは、コンバータ変圧器が位置する領域から離れた位置に配置される。
【0019】
またさらに、前記第1の消火媒体発生サブシステム及び第2の消火媒体発生サブシステムは、いずれも圧縮空気泡発生サブシステムであり、第1の消火媒体発生サブシステム及び第2の消火媒体発生サブシステムから送り出される消火媒体はいずれも圧縮空気泡である。
【0020】
本発明は特別高圧変換所に適用される消火システムの消火方法をさらに提供し、前記方法は、
あるコンバータ変圧器が着火した場合、スプレー消火システムと放水銃消火システムを同時に起動し、スプレー消火システムの第1の消防用配管の出口にスプレーパイプが接続され、スプレーパイプの複数の出口がコンバータ変圧器の周囲に正対することにより、スプレー消火を行い、且つ、スプレーパイプがコンバータ変圧器の低所及び側面に位置することにより、全範囲の消火を行い、また、放水銃消火システムの第2の消防用配管の出口に放水銃が接続され、第2の消防用配管はコンバータ変圧器の高所に配置され且つ放水銃による消火を行うことにより、コンバータ変圧器の重点部位に対する抑制消火を行い、このように2つの消火システムはいずれも着火したコンバータ変圧器に作用し、特別高圧コンバータ変圧器の全ての火災の特徴的挙動に完全対応することを含む。
【0021】
さらに、前記方法は、
前記消火システムは、第1の消火媒体発生サブシステム、第2の消火媒体発生サブシステム及び制御モジュールをさらに含み、あるコンバータ変圧器が着火した場合、制御モジュールは、第1の消火媒体発生サブシステム及び第2の消火媒体発生サブシステムのうち該コンバータ変圧器に近い一方の消火媒体発生サブシステムが第1の消防用配管に優先的に消火媒体を供給し、コンバータ変圧器の両側のファイアウォールにおけるスプレーパイプにより着火したコンバータ変圧器の本体及び周囲に対して全範囲の消火を行い、該コンバータ変圧器から離れた他方の消火媒体発生サブシステムが、出口がコンバータ変圧器の上方の高所に位置する第2の消防用配管に消火媒体を供給し、第2の消防用配管の出口から消火媒体を噴出して抑制消火を行うように制御を行うことをさらに含む。
【0022】
またさらに、前記消火システムは、極1の高低電圧側バルブグループ、第1のローカル制御キャビネット、極2の高低電圧側バルブグループ、第2のローカル制御キャビネット、第1の区画選択バルブ、及び第2の区画選択バルブをさらに含み、第1の消防用配管は第1の区画選択バルブに接続され、第2の消防用配管は第2の区画選択バルブに接続され、第1の区画選択バルブ及び第2の区画選択バルブはいずれも配管を介して第1の消火媒体発生サブシステム及び第2の消火媒体発生サブシステムに接続され、極1の高低電圧側バルブグループは極1の広場(square)に配置され、極2の高低電圧側バルブグループは極2の広場に配置され、
極1の高低電圧側バルブグループに火災が発生した場合、制御モジュールは、第1のローカル制御キャビネットによって、着火したバルブグループに最も近い第1の消火媒体発生サブシステムに接続される第1の区画選択バルブを開け、且つ第1の消火媒体発生サブシステムを自動で起動させ、第1の区画選択バルブに接続される第1の消防用配管はスプレーパイプを介して泡を吐出し、極1の高低電圧側バルブグループに対してスプレー消火を行う。
【0023】
またさらに、極1の高低電圧側バルブグループに火災が発生した場合、制御モジュールは、第2のローカル制御キャビネットによって第2の消火媒体発生サブシステムに接続される第2の区画選択バルブを開け、且つ第2の消火媒体発生サブシステムを自動で起動させ、第2の区画選択バルブに接続される第2の消防用配管は放水銃によって泡を吐出し、極1の高低電圧側バルブグループに対して放水銃による消火を行う。
【0024】
さらに、極1の高低電圧側バルブグループに火災が発生しておらず、極2の高低電圧側バルブグループに火災が発生した場合、制御モジュールは第1のローカル制御キャビネットによって極2の高低電圧側バルブグループに最も近い第2の消火媒体発生サブシステムに接続される第1の区画選択バルブを開け、且つ第2の消火媒体発生サブシステムを自動で起動させ、第1の区画選択バルブに接続される第1の消防用配管はスプレーパイプを介して泡を吐出し、極2の高低電圧側バルブグループに対してスプレー消火を行う。
【0025】
またさらに、極2の高低電圧側バルブグループに火災が発生した場合、制御モジュールは、第2のローカル制御キャビネットによって、第2の消火媒体発生サブシステムに接続される第2の区画選択バルブを開け、且つ第2の消火媒体発生サブシステムを自動で起動させ、第2の区画選択バルブに接続される第2の消防用配管は放水銃によって泡を吐出し、極2の高低電圧側バルブグループに対して放水銃による消火を行う。
【0026】
さらに、前記方法は、
第1の消火媒体発生サブシステム及び第2の消火媒体発生サブシステムのうち一方の消火媒体発生サブシステムが故障した場合、制御モジュールは、正常に作動できる消火媒体発生サブシステムから送り出される消火媒体を第1の消防用配管に輸送し、優先的にスプレーパイプで着火したコンバータ変圧器に対して消火を行うことにより、全領域を素早く消火するように制御を行うことをさらに含む。
【0027】
またさらに、極1の高低電圧側バルブグループに火災が発生し、第1の消火媒体発生サブシステムが故障して作動できない場合、制御モジュールは、第2のローカル制御キャビネットによって、第2の消火媒体発生サブシステムに接続される第1の区画選択バルブを開け、且つ第2の消火媒体発生サブシステムを自動で起動させ、第2の消火媒体発生サブシステムから第1の消防用配管に消火媒体を輸送し、第1の区画選択バルブに接続される第1の消防用配管はスプレーパイプを介して泡を吐出し、極1の高低電圧側バルブグループに対してスプレー消火を行うことを特徴とする。
【0028】
またさらに、極1の高低電圧側バルブグループに火災が発生し、第2の消火媒体発生サブシステムが故障して作動できない場合、制御モジュールは、第1のローカル制御キャビネットによって、第1の消火媒体発生サブシステムに接続される第1の区画選択バルブを開け、且つ第1の消火媒体発生サブシステムを自動で起動させ、第1の消火媒体発生サブシステムから第1の消防用配管に消火媒体を輸送し、第1の区画選択バルブに接続される第1の消防用配管はスプレーパイプを介して泡を吐出し、極1の高低電圧側バルブグループに対してスプレー消火を行う。
【0029】
別にさらに、前記方法は、
所定時間が経過した後、制御モジュールは、正常に作動できる消火媒体発生サブシステムから送り出される消火媒体を、さらに、出口がコンバータ変圧器の上方の高所に位置する第2の消防用配管に輸送し、第2の消防用配管の出口から消火媒体を噴出して抑制消火を行うように制御を行うことをさらに含む。
【0030】
またさらに、前記所定時間の値の範囲は0~5minである。
【0031】
またさらに、所定時間が0である場合、制御モジュールは、正常に作動できる消火媒体発生サブシステムから送り出される消火媒体を第1の消防用配管と第2の消防用配管に同時に輸送し、スプレー消火と放水銃による消火が同時に行われるように制御を行う。
【0032】
本発明は、上述消火システムを備える特別高圧変換所をさらに提供し、前記特別高圧変換所は、互いに平行に配置された複数組の単一バルブグループコンバータ変圧器を含み、各単一バルブグループコンバータ変圧器は等間隔を空けて配置された複数のコンバータ変圧器を含み、隣接するコンバータ変圧器同士はファイアウォールによって隔てられ、各単一バルブグループコンバータ変圧器の後側には1つのバルブホールが平行に配置され、
少なくとも1つの圧縮空気泡発生サブシステム及び制御モジュールをさらに含み、前記制御モジュールは各圧縮空気泡発生サブシステムにそれぞれ接続され、圧縮空気泡発生サブシステムの出口は全ての第1の消防用配管の入口及び全ての第2の消防用配管の入口に連通する。
【発明の効果】
【0033】
本発明の利点は以下のとおりである。
【0034】
(1)本発明による消火システムにおいて、あるコンバータ変圧器が着火した場合、スプレー消火システムと放水銃消火システムを同時に起動させ、スプレー消火システムはスプレー消火を行うものであり、コンバータ変圧器の両側のファイアウォールに配置され、コンバータ変圧器の低所及び周囲に位置し、それにより、全範囲の消火を実現し、放水銃消火システムは、その配管がコンバータ変圧器の高所に配置され且つ放水銃による消火を行い、それにより、コンバータ変圧器の重点部位に対して抑制消火を行い、このように、2つの消火システムはいずれも着火したコンバータ変圧器に作用し、特別高圧コンバータ変圧器の全ての火災の特徴的挙動に完全対応することができ、これにより消火システムの従来のデザインの欠点及び欠陥を解決し、効率的な消火及び確実な消火を実現することができる。
【0035】
(2)本発明では、2つの消火システムの配管はいずれも第1の消火媒体発生サブシステム及び第2の消火媒体発生サブシステムに接続され、2つの消火媒体発生サブシステムは互いのスペアシステムとなり、一方の消火媒体発生サブシステムが故障した場合、他方のシステムによってスプレー消火システム及び放水銃消火システムへ泡を供給して消火することができ、このため、信頼性が高くなる。また、2つの消火システムも互いのスペアシステムとなり、1つの消火システムにより消火領域に対応することができ、また、一方の消火システムが故障した場合、他方の消火システムで消火することができ、このため、信頼性が高くなる。
【0036】
(3)コンバータ変圧器の低所で火災や爆発が発生しやすいため、スプレーパイプを耐爆スプレーパイプにし、その泡は遠端の消火媒体発生サブシステムで発生するものであるため、圧力ノズルで泡を発生させる必要がなく、圧力ノズルの設置が必要とされておらず、泡は直接スプレーパイプの出口から噴出され、このようにスプレー効果が実現される。
【0037】
(4)ブッシング、ブッシングリフトベースなどはコンバータ変圧器の弱い部位であり、このような弱い部位では火災や爆発が先に発生する可能性が最も高いため、ブッシング及びブッシングリフトベースの付近にスプレーパイプの縦管が配置されており、スプレーパイプの縦管とリフトベース及びブッシングはいずれも地面に対して垂直であり、スプレーパイプにより消火媒体をスプレーすることができ、このようにスプレーパイプの縦管により弱い部位に対する火災保護が強化され、消火効果が向上する。
【0038】
(5)2つの消火媒体発生サブシステムは、互いに遠く離れるように、それぞれ2つの特別高圧変換所広場の付近領域に設置されている。あるコンバータ変圧器が着火した場合、各システムの動作時間に差があるため、最適な消火動作を実現するために、あるコンバータ変圧器が着火した場合、該コンバータ変圧器に近い消火媒体発生サブシステムから第1の消防用配管に優先的に消火媒体を供給し、該コンバータ変圧器から離れた他方の消火媒体発生サブシステムから第2の消防用配管に消火媒体を供給する。第1の消火媒体発生サブシステム及び第2の消火媒体発生サブシステムのうち一方の消火媒体発生サブシステムが故障した場合、制御モジュールは、正常に作動できる消火媒体発生サブシステムから送り出される消火媒体が第1の消防用配管に輸送され、スプレーパイプでスプレー消火効果が達成され、優先的にスプレーパイプによってコンバータ変圧器の周囲に対して消火を行うように制御を行い、信頼性が高くなる。システム応答時間及び応答原則への要求が明確になり、火災が発生した場合の初期出火の進展を抑制する。
【0039】
(6)前記第1の消火媒体発生サブシステム及び第2の消火媒体発生サブシステムはコンバータ変圧器が位置する領域から離れた位置に配置され、これにより、消火媒体発生サブシステムは火災発生リスクのある場所から離れており、火災が発生したときに、消火媒体発生サブシステムは火災で破壊されることがなく、爆発により消防用配管の末端が破壊されても、消火媒体発生サブシステムにより消火媒体を発生させて、配管を介して消火媒体を火災が発生したところに輸送して消火することができる。
【0040】
(7)遠端と近端、高所と低所をすべて考慮した配置を取り、近端と低所にスプレー消火システムを配置し、遠端と高所に放水銃消火システムを配置することにより、立体的かつ総合的な消火を行うこととともに、放水銃が高所に設けられるので爆発しにくくなり、スプレーパイプは低所に位置するものの、その自体に耐爆性能を有するので、火災の場合の高エネルギーの爆発による衝撃によりコンバータ変圧器の領域における全ての消火システムへ致命的な破壊を与えるというリスクが大幅に低減される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の実施例による特別高圧変換所に適用される消火システムにおける単一コンバータ変圧器及びその消火設備の配置模式図である。
図2】本発明の実施例による特別高圧変換所に適用される消火システムにおける単一バルブグループコンバータ変圧器とバルブホールから構成される極及びその消火設備の配置模式図である。
図3】本発明の実施例による特別高圧変換所に適用される消火システムに係る特別高圧変換所及びその消火設備の配置模式図である。
図4】本発明の実施例による特別高圧変換所に適用される消火システムにおける単一コンバータ変圧器の点と面との組み合わせの消火を示す図である。
図5】本発明の実施例による特別高圧変換所に適用される消火システムの消火の流れを示す図である。
図6】本発明の実施例による特別高圧変換所に適用される消火システムの消火の流れの部分Aの具体的なフローチャートである。
図7】本発明の実施例による特別高圧変換所に適用される消火システムの消火の流れの部分Bの具体的なフローチャートである。
図8】本発明の実施例による特別高圧変換所に適用される消火システムにおけるスプレー消火システムの試験結果を示す図である。
図9】本発明の実施例による特別高圧変換所に適用される消火システムにおける放水銃消火システムの試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施例を参照しながら、本発明の実施例における技術的解決手段を明瞭かつ完全に説明するが、明らかに、説明する実施例は本発明の実施例の一部であり、全ての実施例ではない。当業者が本発明の実施例に基づいて創造的な努力をせずに得る全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0043】
本実施例は、特別高圧変換所に適用される消火システムを提供する。図1は単一コンバータ変圧器1及びその消火設備の配置模式図であり、図2は単一バルブグループコンバータ変圧器100とバルブホール3から構成される極及びその消火設備の配置模式図であり、図3は特別高圧変換所及びその消火設備の配置模式図である。前記特別高圧変換所は、互いに平行に配置された複数組の単一バルブグループコンバータ変圧器100を含み、各単一バルブグループコンバータ変圧器100は、等間隔を空けて配置された複数のコンバータ変圧器1を含み、隣接するコンバータ変圧器1同士はファイアウォール2によって隔てられ、各単一バルブグループコンバータ変圧器100の後側に1つのバルブホール3が平行に配置され、単一バルブグループコンバータ変圧器100と対応するバルブホール3は全体として1つの極を構成し、2つの極を1組の極とし、各組の極は高電圧側バルブグループと低電圧側バルブグループとを含み、同じ組の極のうち2つの極は鏡面対称的に設置され、隣接する組の極同士は、低電圧側バルブグループが背中合わせに配置されるか、又は高電圧側バルブグループが背中合わせに設置され、各コンバータ変圧器1のバルブホール側のブッシングは、対応するバルブホール3に入り込む。図3に示すように、本実施例では、特別高圧変換所は、順次平行に配置された4つの極を含み、この4つの極は、それぞれ、極1の高電圧側バルブグループ200、極1の低電圧側バルブグループ300、極2の低電圧側バルブグループ400及び極2の高電圧側バルブグループ500であり、極1の高電圧側バルブグループ200と極1の低電圧側バルブグループ300は鏡面対称的に設置され、極2の高電圧側バルブグループ500と極2の低電圧側バルブグループ400は鏡面対称的に設置され、極1の低電圧側バルブグループ300と極2の低電圧側バルブグループ400は背中合わせに設置され、ここで、各単一バルブグループコンバータ変圧器100は、6台のコンバータ変圧器1を有し、隣接するコンバータ変圧器1同士はファイアウォール2によって隔てられ、等間隔をもって配置される。
【0044】
主に図1図3及び図4に示すように、前記特別高圧変換所に適用される消火システムは、スプレー消火システム4と、放水銃消火システム5と、第1の消火媒体発生サブシステム6と、第2の消火媒体発生サブシステム7と、制御モジュール8とを含み、前記スプレー消火システム4は、第1の消防用配管401とスプレーパイプ402とを含み、前記放水銃消火システム5は、第2の消防用配管501と放水銃502とを含む。前記第1の消火媒体発生サブシステム6及び第2の消火媒体発生サブシステム7は、圧縮空気泡発生サブシステムであり、第1の消火媒体発生サブシステム6及び第2の消火媒体発生サブシステム7から送り出される消火媒体は圧縮空気泡である。前記第1の消火媒体発生サブシステム6及び第2の消火媒体発生サブシステム7は、コンバータ変圧器1が位置する領域から離れた位置に配置され、一般にはそれぞれ2つの特別高圧変換所広場に配置され、第1の消火媒体発生サブシステム6は極1の広場に配置され、第2の消火媒体発生サブシステム7は極2の広場に配置される。消火媒体発生サブシステムは、火災が発生し得る場所から遠いため、火災が発生したときに、消火媒体発生サブシステムは火災で破壊されることがなく、爆発の発生により爆心の周囲の消防用配管の一部の末端が破壊されても、消火媒体発生サブシステムにより消火媒体を発生させることができ、そして、配管で消火媒体を破壊されていない他の消防用配管を介して火災が発生した場所に輸送して消火する。
【0045】
前記特別高圧変換所内の各コンバータ変圧器1の上方には第2の消防用配管501が配置され、各コンバータ変圧器1の周囲には第1の消防用配管401が設けられ、前記特別高圧変換所において、各コンバータ変圧器1の両側のファイアウォール2の真上にはそれぞれ1つの放水銃502が配置され、1つの放水銃502は1つの第2の消防用配管501に連通し、各コンバータ変圧器1の両側のファイアウォール2にはそれぞれスプレーパイプ402が設けられ、各前記スプレーパイプ402はそれぞれ1つの第1の消防用配管401に連通し、各コンバータ変圧器1が位置するところの放水銃502及びスプレーパイプ402の出口はいずれも前記コンバータ変圧器1に正対する。前記制御モジュール8は、第1のローカル制御キャビネット9を通じて第1の消火媒体発生サブシステム6に接続され、制御モジュール8は第2のローカル制御キャビネット10を通じて第2の消火媒体発生サブシステム7に接続される。第1の消火媒体発生サブシステム6の出口は、全ての第1の消防用配管401の入口、及び、全ての第2の消防用配管501の入口に連通し、第2の消火媒体発生サブシステム7の出口は、全ての第1の消防用配管401の入口、及び、全ての第2の消防用配管501の入口に連通し、第1の消火媒体発生サブシステム6は個別に第1の消防用配管401及び第2の消防用配管501に同時に泡を供給することができ、第2の消火媒体発生サブシステム7も、個別に第1の消防用配管401及び第2の消防用配管501に同時に泡を供給することができるが、実際に使用する際には、圧縮空気泡の流量を考慮して、一般には、第1の消火媒体発生サブシステム6は、近接する第1の消防用配管401に泡を供給し、第2の消火媒体発生サブシステム7は、第2の消防用配管501に泡を供給し、又は、第2の消火媒体発生サブシステム7は、近接する第1の消防用配管401に泡を供給し、第1の消火媒体発生サブシステム6は、第2の消防用配管501に泡を供給する。
【0046】
各単一バルブグループコンバータ変圧器100は、第1の消火媒体発生サブシステム6及び第2の消火媒体発生サブシステム7に近い一端に第1の区画選択バルブ11と第2の区画選択バルブ12が設けられ、各第1の消防用配管401は、それが設けられた単一バルブグループコンバータ変圧器100の第1の区画選択バルブ11に接続され、放水銃502は、各バルブホール3の張り出しのうちファイアウォール2に正対する位置に設置され、各放水銃502は、それぞれ第2の消防用配管501を介して1つの第2の区画選択バルブ12に接続され、各第1の区画選択バルブ11及び各第2の区画選択バルブ12は、いずれも順次泡供給主管選択バルブ13及び第1の泡供給配管14を介して第1の消火媒体発生サブシステム6の出口に接続され、各第1の区画選択バルブ11及び各第2の区画選択バルブ12は、いずれも順次泡供給主管選択バルブ13及び第2の泡供給配管15を介して第2の消火媒体発生サブシステム7の出口に接続される。第1の消防用配管401の出口にはスプレーパイプ402が接続されることで、スプレー消火が実現され、第2の消防用配管501の出口には放水銃502が接続されることで、放水銃502による消火が実現される。スプレー消火システム4の消防用配管は各コンバータ変圧器1の周囲に配置され、各コンバータ変圧器1の周囲に対して消火を行い、放水銃消火システム5の消防用配管は各コンバータ変圧器1の上方に配置され、各コンバータ変圧器1の上方から消火媒体を噴出して抑制消火を行い、このように、2つの消火システムによりコンバータ変圧器1の全領域に対応することができ、特別高圧コンバータ変圧器1の周囲及び上方の全ての火災の特徴的挙動に完全対応し、また、2つの消火媒体発生サブシステムは互いのスペアシステムとなり、一方の消火媒体発生サブシステムが壊れても、他方の消火媒体発生サブシステムは継続的に消火媒体を供給することができ、このため、システムの信頼性が高い。
【0047】
本実施例の消火システムは、遠端と近端、高所と低所を全て考慮した配置を取り、近端と低所に圧縮空気泡のスプレー消火システム4を配置し、即ち、スプレーパイプ402の横管は、ファイアウォール2の側面の第1の消防用配管401に連通し、且つ、複数の出口を有し、遠端と高所に圧縮空気泡放水銃消火システム5が配置され、即ち、各バルブホール3の張り出しのうちファイアウォール2に正対する位置には放水銃502が設けられ、これにより、立体的かつ総合的な消火を行うことができるとともに、放水銃502が高所に設けられるため爆発が発生しにくく、スプレーパイプ402は低所に位置するものの、その自体に耐爆性能を有し(耐爆性能については後述する)、そのため、火災の場合の高エネルギーの爆発による衝撃によりコンバータ変圧器1の領域における全ての消火システムへ致命的な破壊を与えるというリスクが大幅に低減される。
【0048】
図1に示すように、各前記コンバータ変圧器1の中央部位にブッシング16及びブッシングリフトベースが設置され、前記ブッシング16及びブッシングリフトベースの付近にスプレーパイプ402が配置され、前記スプレーパイプ402は耐爆スプレーパイプ402である。スプレーパイプ402は、横管と縦管を組み合わせた十字形配管であり、縦管、リフトベース及びブッシング16はいずれも地面に対して垂直であり、横管はファイアウォール2の側面の第1の消防用配管401に連通し、且つ、横管及び縦管に複数の開口が設けられている。ブッシング16、ブッシングリフトベースなどはコンバータ変圧器1の弱い部位であり、このような弱い部位では火災や爆発が先に発生する可能性が最も高いため、ブッシング16及びブッシングリフトベースの付近にスプレーパイプ402が配置されており、スプレーパイプ402の縦管とリフトベース及びブッシング16は地面に対して垂直であり、スプレーパイプ402により消火媒体をスプレーすることができ、スプレーパイプ402の縦管により弱い部位に対する火災保護が強化され、消火効果が向上する。コンバータ変圧器1に火災や爆発が発生した場合、最初にダメージを受けるのはコンバータ変圧器1に最も近い装置であり、即ち、低所に位置するスプレーパイプは爆発により壊れやすく、従来の消火システムでは、スプレーパイプに媒体を泡にして噴出して消火する圧力ノズルが設置され、スプレーパイプが爆発により破壊されると、対応するノズルも破壊され、この場合、媒体発生システムで発生する媒体がスプレーパイプを介して流出し続けるものの、泡に変換できないため、消火の作用を果たすことができず、また、媒体が流出し続けると、媒体の浪費をもたらす。本実施例では、媒体発生サブシステムは遠端に配置され、且つ第1の消火媒体発生サブシステム6及び第2の消火媒体発生サブシステム7から送り出される消火媒体は圧縮空気泡であり、圧力ノズルを設置して媒体を泡に変換する必要がなく、このため、スプレーパイプは爆発により破壊されても、消火システムの故障をもたらすことはなく、第1の消火媒体発生サブシステム6及び第2の消火媒体発生サブシステム7で発生する圧縮空気泡は引き続き配管出口から着火した部位にスプレーされ、消火を継続する。
【0049】
前記コンバータ変圧器1の周囲にはノイズ低減板(図示せず)が設けられ、ノイズ低減板及びコンバータ変圧器1は全体として2つのファイアウォール2の間に位置し、ブッシング16及びブッシングリフトベースはノイズ低減板を貫通してコンバータ変圧器1の中央の真上に位置し、ファイアウォール2に位置する第1の消防用配管401はノイズ低減板を貫通して横管に連通し、且つ横管の複数の出口はコンバータ変圧器1に正対し、縦管はノイズ低減板を貫通してブッシング16及びブッシングリフトベースに平行する。ノイズ低減板はコンバータ変圧器1のノイズを効果的に除去することができる。
【0050】
本発明の実施例1の作動過程は以下のとおりである。図5図7に示すように、図においては火災感知器だけで火災の発生を感知するが、実際には、熱感知器、炎感知器などで火災を検知する必要がある。単一バルブグループコンバータ変圧器100の本体には、2つのケーブル式熱感知器(図示せず)、すなわち第1の熱感知器と第2の熱感知器が独立して並列配置され、各相のコンバータ変圧器1の周辺のファイアウォール2には、第1の炎感知器と第2の炎感知器の2つの炎感知器が配置される。第1の炎感知器が動作信号を送信するとともに、第1の熱感知器が動作信号を送信するような、第1の熱感知器、第2の熱感知器及び炎感知器の「3つのうち2つが満たされる」という条件が満たされる場合、複合警報システムは音響光学警報信号を送信する。炎感知器やケーブル式熱感知器だけが動作信号を送信する場合、複合警報システムは警報を発しない。同時に、ある相のコンバータ変圧器1に異常が生じると、単一バルブグループコンバータ変圧器100の遮断器は、応答動作を行い、オフになり、該バルブグループが停電する。音響光学警報信号、警報位置信号、及び遮断器のオフ信号を制御モジュール8に伝送し、制御モジュール8で消火システムを起動する。
【0051】
以下、極1の高低電圧側バルブグループに火災が発生した場合を例にして消火の詳細な過程を説明するが、もちろん、他の極に火災が発生した場合も処理方法が類似している。
【0052】
極1の高低電圧側バルブグループに火災が発生した場合、極1の高低電圧側バルブグループが極1の広場に配置され、第1の消火媒体発生サブシステム6も極1の広場に配置されるため、第1の区画選択バルブ11及び第2の区画選択バルブ12はいずれも配管を介して第1の消火媒体発生サブシステム6に接続され、第1の区画選択バルブ11及び第2の区画選択バルブ12の起動を制御することにより、圧縮空気泡のスプレー消火システム4により消火するか、または圧縮空気泡の放水銃消火システム5により消火するかを選択する。スプレー消火の応答が放水銃による消火よりも早く且つカバー範囲が広いため、できるだけ早く消火するために、一般には優先的にスプレー消火を選択し、同時に、より多くの時間を節約するために配管の経路が短い消火媒体発生システムを選択する。そのため、制御モジュールは、第1のローカル制御キャビネット9によって、着火したバルブグループに最も近い第1の消火媒体発生サブシステム6に接続される第1の区画選択バルブ11を開け、且つ第1の消火媒体発生サブシステム6を自動で起動させ、第1の消火媒体発生サブシステム6から第1の消防用配管401に泡を供給し、第1の区画選択バルブ11に接続される第1の消防用配管401はスプレーパイプ402を介して泡を吐出し、それにより極1の高低電圧側バルブグループに対してスプレー消火を行う。極1の高低電圧側バルブグループとは、極1の高電圧側バルブグループと極1の低電圧側バルブグループを指す。
【0053】
第2の消火媒体発生サブシステム7は極2の広場に位置し、極1の高低電圧側バルブグループから離れており、且つ放水銃502の応答がスプレーパイプ402の応答よりも遅いため、第2の消火媒体発生サブシステム7から放水銃502に泡を供給して放水銃502による消火を行うことができる。この場合、制御モジュール8は、第2のローカル制御キャビネット10によって第2の消火媒体発生サブシステム7に接続される第2の区画選択バルブ12を開け、且つ第2の消火媒体発生サブシステム7を自動で起動させ、第2の区画選択バルブ12に接続される第2の消防用配管501は放水銃502によって泡を吐出し、それにより極1の高低電圧側バルブグループに対して放水銃502による消火を行う。
【0054】
同様に、極1の高低電圧側バルブグループに火災が発生しておらず、極2の高低電圧側バルブグループに火災が発生した場合、極2の高低電圧側バルブグループが極2の広場に配置され、第2の消火媒体発生サブシステム7も極2の広場に配置され、第2の消火媒体発生サブシステム7が極2の高低電圧側バルブグループに近いため、第2の消火媒体発生サブシステム7から第1の消防用配管401に泡を供給し、最短の配管経路及び最も速い応答方式により消火時間を節約するという目的を達成させる。この場合、制御モジュールは第1のローカル制御キャビネット9によって極2の高低電圧側バルブグループに最も近い第2の消火媒体発生サブシステム7に接続される第1の区画選択バルブ11を開け、且つ第2の消火媒体発生サブシステム7を自動で起動させ、第1の区画選択バルブ11に接続される第1の消防用配管401はスプレーパイプ402を介して泡を吐出し、それにより極2の高低電圧側バルブグループに対してスプレー消火を行う。極2の高低電圧側バルブグループとは、極2の高電圧側バルブグループと極2の低電圧側バルブグループを指す。
【0055】
極2の高低電圧側バルブグループに火災が発生した場合、制御モジュールは第2のローカル制御キャビネット10によって第2の消火媒体発生サブシステム7に接続される第2の区画選択バルブ12を開け、且つ第2の消火媒体発生サブシステム7を自動で起動させ、第2の区画選択バルブ12に接続される第2の消防用配管501は放水銃502によって泡を吐出し、それにより極2の高低電圧側バルブグループに対して放水銃502による消火を行う。
【0056】
なお、初期の状態では、第1の消火媒体発生サブシステム6と隣接する極1の第1の消防用配管401との間のバルブは常時閉状態であり、第2の消火媒体発生サブシステム7と遠く離れた極1の第2の消防用配管501の間のバルブは常時閉状態であり、第2の消火媒体発生サブシステム7と隣接する極2の第1の消防用配管401との間のバルブは常時閉状態であり、第1の消火媒体発生サブシステム6と遠く離れた極2の第2の消防用配管501との間のバルブは常時閉状態である。区画選択バルブの起動及び消火媒体発生サブシステムの起動については、いずれも遠隔手動起動や現場手動起動が利用可能である。
【0057】
以上のように、消火過程では、まず2つの消火システムを同時に起動する。2つの消火媒体発生サブシステムは、互いに遠く離れるように、それぞれ2つの特別高圧変換所の広場付近の領域に設置されている。あるコンバータ変圧器1が着火すると、各システムの動作時間に差があるため、最適な消火動作を実現するために、単一バルブグループコンバータ変圧器100のうち、あるコンバータ変圧器1が着火した場合、着火したコンバータ変圧器1に最も近い圧縮空気泡発生サブシステムについては、バルブ室における区画選択バルブの開閉状態を制御することにより、この圧縮空気泡発生サブシステムによって提供される圧縮空気泡が該コンバータ変圧器1の周囲の第1の消防用配管401に優先的に供給され、スプレーパイプ402の横管から圧縮空気泡を放出してコンバータ変圧器1の全範囲に対する消火を行うとともに、スプレーパイプ402の縦管によりブッシング16の領域に対する消火を強化する。同時に、着火したコンバータ変圧器1から離れた別の圧縮空気泡サブシステムは、区画選択バルブ室を介してバルブホール3の張り出しに位置する放水銃502に圧縮空気泡を供給し、それにより、コンバータ変圧器1の火災の重点領域に抑制消火を行う。
【0058】
図3に示すように、変換所の4つの単一バルブグループコンバータ変圧器100における合計24台のコンバータ変圧器1については、位置の範囲が大きく、その結果、システムの応答時間が異なる。消火効果を最大化するために、異なる位置のコンバータ変圧器1が着火した場合、システムの応答順も異なる。図3に示すように、極1の高電圧側バルブグループ200に火災が発生した場合、この極1の高電圧側バルブグループ200に近い第1の消火媒体発生サブシステム6は、スプレーパイプ402に優先的に泡を供給し、このバルブグループから離れた第2の消火媒体発生サブシステム7は、放水銃502に泡を供給する。一方、極2の高電圧側バルブグループ500に火災が発生した場合、この極2の高電圧側バルブグループ500に近い第2の消火媒体発生サブシステム7は、スプレーパイプ402に優先的に泡を供給し、この極2の高電圧側バルブグループ500から離れた第1の消火媒体発生サブシステム6は、放水銃502の放出装置に泡を供給する。
【0059】
消火原則を設定することにより、低所に位置するスプレーパイプ402でコンバータ変圧器1の全範囲に対してスプレー消火を行い、高所に位置する放水銃502で重点部位に対して抑制消火を行い、且つ制御モジュール8は、低所に位置するコンバータ変圧器1の周囲に対して優先的に消火するように制御することができ、それにより点と面との組み合わせの消火効果を達成させ、消火効果が高まり、消火の信頼性が高くなる。
【0060】
消火効果をさらに向上させるために、例えばコンバータ変圧器1の高所に着火点があるが、低所に位置するスプレーパイプ402で泡を高い着火点にスプレーすることができない場合、所定時間が経過した後、制御モジュール8は、正常に作動できる消火媒体発生サブシステムから送り出される消火媒体が、さらに、出口がコンバータ変圧器1の上方の高所に位置する第2の消防用配管501に輸送され、第2の消防用配管501の出口から消火媒体を噴射して抑制消火を行うように制御を行う。制御モジュール8は、正常に作動できる消火媒体発生サブシステムから同時に第1の消防用配管401及び第2の消防用配管501の両方に泡を輸送するように制御を行ってもよく、ただし、第2の消防用配管501は放水銃502に接続されるため、その応答時間が一般的には5minであり、第1の消防用配管401はスプレーパイプ402に接続されるため、その応答時間が一般的には90sであり、このように、この2種類の端末放出装置には遅延が存在し、同時に泡を供給すれば、まず、スプレーのために第1の消防用配管401に供給される泡が十分ではなく、その結果、消火応答時間が長くなり、また、同時に泡を供給しても、放水銃502の応答時間の制限のため、泡があるが噴射時刻になっていないため、この期間で放水銃502に泡を供給しても、資源と時間の無駄になる。このため、低所に位置するスプレーパイプ402に十分な泡を優先的に供給し、このようにして、火災を押さえるまでの時間を短くするだけでなく、火災の範囲に最大限対応することができる。スプレーパイプ402で数分間スプレーした後、すでに火災領域に対して数分間全範囲の消火が行われており、このとき、放水銃502の応答時間になり、放水銃502に泡を供給し、抑制消火をさらに行い、それにより、消火効果を最適にする。
【0061】
本発明の消火システムや消火方法が特別高圧コンバータ変圧器の火災に適用することを確認するために、1/1フルサイズの特別高圧コンバータ変圧器に対する、立体拡散火炎(ejected flame)の面積が100m以上に達した、本物の火の試験が行われた。まず、変圧器の油温を150℃程度に加熱した後点火し、十分に燃焼した後、圧縮空気泡消火システムを起動する。スプレー消火システム4と放水銃消火システム5の試験はそれぞれ独立して行われ、スプレー消火システム4の試験結果は図8に示され、スプレー消火システム4のキーパラメータは表1に示され、放水銃消火システム5の試験結果は図9に示され、放水銃消火システム5のキーパラメータは表2に示される。図8から分かるように、スプレー消火システム4の消火時間は180sであり、図9から分かるように、放水銃消火システム5の消火時間は210sであり、即ち、スプレー消火システム4の応答速度は放水銃消火システム5の応答速度よりも速い。2つの独立した試験から、本発明で提案している消火システム及び消火方法は特別高圧変換所の火災による消火のニーズを満たすことができることが明らかになった。
【0062】
【0063】
【0064】
以上の技術的解決手段によれば、本発明の実施例1による特別高圧変換所に適用される消火システムにおいて、一方の消火システムの消防用配管は各コンバータ変圧器1の周囲に配置され、各コンバータ変圧器1の周囲に対して消火を行い、他方の消火システムの消防用配管は各コンバータ変圧器1の上方に配置され、各コンバータ変圧器1の上方から消火媒体を噴出して抑制消火を行い、このように、2つの消火システムによりコンバータ変圧器1の全領域の火災に完全対応でき、特別高圧コンバータ変圧器1の周囲及び上方の全ての火災の特徴的挙動に完全対応でき、また、2つのシステムは互いのスペアシステムとなり、一方の消火媒体発生サブシステムが破壊されても、他方の消火媒体発生サブシステムは引き続き消火媒体を供給することができ、その結果、システムの信頼性が高くなる。また、本実施例では、媒体発生サブシステムは遠端に配置され、且つ第1の消火媒体発生サブシステム6及び第2の消火媒体発生サブシステム7から送り出される消火媒体は圧縮空気泡であり、圧力ノズルを設置して媒体を泡に変換する必要がなく、このため、スプレーパイプが爆発により破壊されても、消火システムの故障をもたらすことはなく、第1の消火媒体発生サブシステム6及び第2の消火媒体発生サブシステム7で発生する圧縮空気泡は引き続き配管出口から着火した部位にスプレーされ、消火を継続する。
【0065】
以上の実施例は本発明の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、本発明の技術的解決手段を制限するものではない。上記実施例を参照して本発明を詳しく説明したが、当業者が理解できるように、上記各実施例に記載の技術的解決手段を修正したり、その一部の技術的特徴に対して同等置換を行ったりすることができ、これらの修正や置換により、対応する技術的解決手段の趣旨が本発明の各実施例の技術的解決手段の趣旨及び範囲から逸脱することはない。
【符号の説明】
【0066】
各符号で示される部品は以下のとおりである。
1 コンバータ変圧器、2 ファイアウォール、3 バルブホール、4 スプレー消火システム、401 第1の消防用配管、402 スプレーパイプ、5 放水銃消火システム、501 第2の消防用配管、502 放水銃、6 第1の消火媒体発生サブシステム、7 第2の消火媒体発生サブシステム、8 制御モジュール、9 第1のローカル制御キャビネット、10 第2のローカル制御キャビネット、11 第1の区画選択バルブ、12 第2の区画選択バルブ、13 泡供給主管選択バルブ、14 第1の泡供給配管、15 第2の泡供給配管、16 ブッシング。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9