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特許7245625受電点電力予測装置、受電点電力予測方法、およびプログラム
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  • 特許-受電点電力予測装置、受電点電力予測方法、およびプログラム 図1
  • 特許-受電点電力予測装置、受電点電力予測方法、およびプログラム 図2
  • 特許-受電点電力予測装置、受電点電力予測方法、およびプログラム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】受電点電力予測装置、受電点電力予測方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20230316BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20230316BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q10/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018179159
(22)【出願日】2018-09-25
(65)【公開番号】P2020052549
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】山田 和夫
(72)【発明者】
【氏名】山田 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】小林 隆人
【審査官】庄司 琴美
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-050911(JP,A)
【文献】特開2015-162986(JP,A)
【文献】特開2017-184390(JP,A)
【文献】特開2014-180130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
H02J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要家の消費電力量の予測値と、太陽電池モジュールによる発電電力量の予測値とを合算し、前記需要家の受電点における電力量である受電点電力量の予測値を算出し、
前記受電点電力量と、前記発電電力量とを取得および蓄積し、
蓄積した前記発電電力量から前記受電点電力量を減算して消費電力量を算出し、
前記消費電力量を用いて前記消費電力量の予測値を算出する
ことを特徴とする受電点電力予測装置。
【請求項2】
蓄電池の充電電力量を取得および蓄積し、
蓄積した前記発電電力量から前記受電点電力量を減算し、さらに前記充電電力量を減算することで前記消費電力量を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の受電点電力予測装置。
【請求項3】
蓄電池の放電電力量を取得および蓄積し、
蓄積した前記発電電力量から前記受電点電力量を減算し、さらに前記放電電力量を算することで前記消費電力量を算出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の受電点電力予測装置。
【請求項4】
需要家の消費電力量の予測値と、太陽電池モジュールによる発電電力量の予測値とを合算し、前記需要家の受電点における電力量である受電点電力量の予測値を算出し、
蓄積した前記発電電力量から前記受電点電力量を減算して消費電力量を算出し、
前記消費電力量を用いて前記消費電力量の予測値を算出する
ことを特徴とする受電点電力予測装置。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の受電点電力予測装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、需要家の受電点における電力量を予測する受電点電力予測装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
デマンドレスポンスは、電力の需要と供給とのバランスをとる取り組みとして注目されている。デマンドレスポンスは、電力需要が増大して供給に余裕がないときに、需要家に電力の使用を抑制するように電力消費パターンを変化させたり、電力需要に余裕があるときに、需要家に電力の使用を促すように電力消費パターンを変化させたりする。例えば、電力会社または系統運用機関から消費を減らすデマンドレスポンスの指示を受けると、需要家がその要請に応えて蓄電池に蓄電した電力を自己消費することが行われる。
【0003】
また、VPP(Virtual Power Plant)は、点在する小規模なエネルギーリソースを統合制御し、あたかも一つの発電所のように機能させている。VPPを活用すると、電力の需要家が節電や自家発電によって削減した電力消費を発電したものと見なして、電力会社が買い取ったり市場で取引したりすることが可能である。このような行為は、例えばデマンドレスポンスによって行われる。なお、需要家において節電や自家発電によって削減される消費電力量は、通常は受電点に設置された電力メータの値に基づいて算出されたデマンドレスポンスの指示によって制御される。
【0004】
特許文献1には、デマンドレスポンスに参加する電力需要家において節電要請にしたがって節電可能な電力量であるネガワットの期待値を、過去の電力需要実績に基づいて算出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-112796号公報(2018年7月19日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電力需要家が太陽光発電システムによって発電を行っている場合は、受電点に設置された電力メータで計測される過去の電力需要実績に発電電力量が含まれる。太陽光発電システムによる発電電力量は例えば天候等によって左右されるので、太陽光発電システムを導入済みである需要家に対して特許文献1に記載の技術を適用し、該需要家におけるネガワットの期待値を適切に算出することが難しいという問題があった。換言すれば、過去の電力需要実績には需要家における生活パターンに基づいて変化する消費電力量と、天候等によって変化する発電電力量という2つの変動要素が含まれているので、特許文献1に記載の技術を用いて2つの変動要素の両方を考慮した適切なネガワットの期待値は算出できないという問題があった。
【0007】
本発明の一態様は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、デマンドレスポンスにおいてネガワットを算出する基準となる、受電点における電力量を精度よく予測する受電点電力予測装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る受電点電力予測装置は、需要家の消費電力量の予測値と、太陽電池モジュールによる発電電力量の予測値とを合算し、前記需要家の受電点における電力量である受電点電力量の予測値を算出する構成である。
【0009】
本発明の一態様に係る受電点電力予測方法は、需要家の消費電力量の予測値と、太陽電池モジュールによる発電電力量の予測値とを合算し、前記需要家の受電点における電力量である受電点電力量の予測値を算出する方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、受電点電力量を精度よく予測することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1に係る電力システムの要部構成の一例を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態1に係る電力システムが導入された需要家の概要を示す模式図である。
図3】本発明の実施形態1に係る受電点電力予測装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、図1図3を用いて詳細に説明する。
【0013】
(電力システムの構成)
まず、電力システム200について説明する。図2は、本実施形態に係る電力システム200の構成を示すブロック図である。図2において、各部を接続する配線について、信号線を実線で示し、電力線を破線で示している。
【0014】
図2に示すように、電力システム200は、制御装置2と、太陽電池モジュール3(発電装置)と、蓄電池4と、パワーコンディショナ5と、分電盤6と、ルータ7と、端末装置8と、スマートメータ9とを備えている。制御装置2、太陽電池モジュール3および分電盤6は、一般家屋などの電力需要のある建屋に設けられている。蓄電池4、パワーコンディショナ5およびスマートメータ9は、屋外に設けられている。ただし、蓄電池4およびパワーコンディショナ5については建屋内に設けられていてもよい。
【0015】
電力システム200は、デマンドレスポンスにおいてネガワットを算出する基準となる、系統電力網10と需要家との間の財産上の区分点である受電点Pにおける電力量を予測するシステムである。予測した電力量は、サーバ1からデマンドレスポンスの要請がなかった場合に想定される電力需要量の所定の時間帯における変動を時間に対応させて表すベースラインを作成するために用いられる。電力システム200は、予測した電力量についてサーバ1へ送信してもよい。
【0016】
通常の動作では、蓄電池4は、太陽電池モジュール3から出力された電力を蓄える電池であり、必要に応じて放電してパワーコンディショナ5に電力を出力する。
【0017】
パワーコンディショナ5は、太陽電池モジュール3の発電電力が常に最大となるように太陽電池モジュール3の動作電圧を制御し、太陽電池モジュール3または蓄電池4から出力される直流電力を交流電力に変換して、分電盤6に供給する。また、パワーコンディショナ5は、太陽電池モジュール3の発電電力から、蓄電池4に蓄えられる電力および分電盤6に接続された負荷(図1に示す機器102)に供給する電力を差し引いて残る余剰電力を系統電力網10に逆潮流させる。また、太陽電池モジュール3から負荷に供給される電力が少ない場合、蓄電池4に電力を放電させ、系統電力網10を介して電力会社から買電する買電電力量ができる限り少なくなるように制御する。
【0018】
パワーコンディショナ5は、太陽電池モジュール3が発電した発電電力量と、蓄電池4が充電した充電電力量と、蓄電池4が放電した放電電力量とを計測する。また、パワーコンディショナ5は、太陽電池モジュール3の発電時の電力(発電電力)と、蓄電池4の充電時の電力(充電電力)と、蓄電池4の放電時の電力(放電電力)とを計測する。
【0019】
分電盤6は、パワーコンディショナ5または系統電力網10からの交流電力を建屋に配備されたコンセントに分岐させる装置であり、各種のブレーカを有している。分電盤6は、コンセントを介して建屋に設けられた機器102に交流電力を供給する。
【0020】
ルータ7は、建屋内に存在する端末装置8とのLAN通信を中継するブロードバンドのルータである。また、ルータ7は、制御装置2とLANケーブルを介して接続されており、制御装置2との間で有線LAN通信を行なう。また、ルータ7はネットワーク100(インターネット)と接続されている。
【0021】
制御装置2は、HEMS(Home Energy Management System)の制御機能を有する装置である。具体的には、制御装置2は、建屋で消費されるエネルギー(電力)の情報を集約したり、家電等の各種の機器102の操作を一元化したりするなどの機能を有する装置である。制御装置2は、スマートメータ9から電力量情報を収集して、後述するサーバ1(図1参照)に提供する。また、制御装置2は、ルータ7を介して建屋内の端末装置8と有線または無線のLAN通信することにより、各種の情報を端末装置8に送信する。また、制御装置2は、ネットワーク100を介して、サーバ1に電力情報をアップロードする。
【0022】
さらに、制御装置2は、電力システム200が導入された需要家の受電点における電力量を予測する受電点電力予測装置として機能し、受電点電力量の予測値を算出することができる。算出した予測値について、制御装置2はサーバ1にアップロードすることができる。また、受電点電力量の予測はサーバ1側で行ってもよい。この場合、制御装置2は予測に必要な各種データをサーバ1へ送信し、該サーバ1は受信した各種データを用いて受電点電力量の予測値を算出する。
【0023】
端末装置8は、LANあるいは公衆無線網の通信機能と表示機能とを備えた装置である。端末装置8は、スマートフォン、タブレット端末、あるいは、ノートパソコンなどの携帯型の機器であってもよいし、壁などに取り付けられる固定型の機器であってもよい。
【0024】
スマートメータ9は、建屋で使用するために系統電力網10を介して電力会社101(図1参照)から買電する電力量(買電電力量)、および電力会社101に売電する電力量(売電電力量)をデジタルにて計測する機器である。換言すれば、スマートメータ9は需要家と系統電力網10との間の受電点Pにおける受電点電力量を取得することができる。また、スマートメータ9は、電力需給画面を作成するために必要な買電の瞬時電力(買電電力)および売電の瞬時電力(売電電力)も計測する。スマートメータ9は、通信機能を有していることから、外部と通信を行って計測した電力量データを送信することができる。このため、スマートメータ9は、分電盤6および系統電力網10と電力線で接続されている。
【0025】
(電力システムの構成)
図1は、電力システム200の構成を示すブロック図である。
【0026】
図1に示すように、電力システム200は、サーバ1(アグリゲーションサーバ)と、制御装置2とを備えている。
【0027】
サーバ1は、電力会社101から受けたデマンドレスポンス(以降、DRと称する)に基づいて、ネガワット取引を契約している複数の需要家、またはVPPへの参加を契約している複数の需要家の集団に対してDRの指令を発するアグリゲーションサーバとして機能する。すなわち、制御装置2が設けられている需要家は、外部のサーバ1からの指示(DRの指令)に基づいて受電点電力量を抑制可能である。
【0028】
なお、サーバ1は、アグリゲータによって運営されてもよいし、アグリゲータと連携したHEMSサーバによって運営されてもよい。また、サーバ1は、電力会社101単独で運営されてもよいし、アグリゲータを兼ねる電力会社101や、連携した電力会社101、アグリゲータおよびHEMSサーバによって運営されてもよい。
【0029】
なお、制御装置2は、図1において、便宜上、1つのみ示されているが、需要家ごとに設けられている。制御装置2は、ネットワーク通信部21と、スマートメータ通信部22と、パワーコンディショナ通信部23と、データ収集部24と、DR制御部25と、記憶部26と、消費電力量算出部27と、受電点電力量予測部28とを備えている。なお、サーバ1にて受電点電力量の予測を行う場合、記憶部26、消費電力量算出部27、および受電点電力量予測部28については、サーバ1が備えることが好ましい。
【0030】
また、図1において、制御装置2は、便宜上、上述したHEMSの制御機能の部分を含むようには示されておらず、DRの制御機能の部分を含むように示されている。
【0031】
ネットワーク通信部21は、ネットワーク100を介してサーバ1と通信する部分である。ネットワーク通信部21は、ルータ7を介してネットワーク100に接続されている。
【0032】
スマートメータ通信部22は、スマートメータ9と通信を行うことにより、スマートメータ9から受電点電力量を含む種々の電力量(売電電力量や買電電力量)のデータおよび電力(売電電力および買電電力)のデータを受信して、データ収集部24に出力する。
【0033】
パワーコンディショナ通信部23は、パワーコンディショナ5と通信する部分である。パワーコンディショナ通信部23は、パワーコンディショナ5が計測した、発電電力量、充電電力量、放電電力量、発電電力、充電電力および放電電力の各データを受信して、データ収集部24に出力する。
【0034】
データ収集部24は、上記の各電力量および各電力のデータを、スマートメータ通信部22およびパワーコンディショナ通信部23を介して収集して、記憶部26に収集および蓄積(記憶)する。図示の例によれば、データ収集部24は、スマートメータ9から受電点Pにおける電力量である受電点電力量を収集し、パワーコンディショナ5から太陽電池モジュール3による発電電力量、および蓄電池4の放電電力量を収集することができる。データ収集部24は、サーバ1から取得したDR指令を記憶部26に収集および蓄積(記憶)することができる。データ収集部24が各データを収集するタイミングは、特に限定されないが、定期的(例えば30分間隔)であってもよい。
【0035】
DR制御部25は、ネットワーク通信部21を介してサーバ1から取得したDR指令に基づいて、蓄電池4および太陽電池モジュール3への制御指示を、パワーコンディショナ通信部23を介してパワーコンディショナ5に与える。また、DR制御部25は、ネットワーク通信部21を介して取得したDR指令に基づいて、機器102への制御指示をネットワーク通信部21およびルータ7を介して機器102に与える。機器102は、空気調和機、照明、テレビ等のネットワーク通信機能を備えた外部からの制御が可能な機器である。ルータ7には、少なくとも1つの機器102が接続されている。すなわち、制御装置2はサーバ1からの指示に基づいて受電点電力量を抑制するために、機器102へ制御指示を送信することができる。
【0036】
消費電力量算出部27は、記憶部26から受電点電力量等の履歴を取得し、取得した種々の履歴を用いて需要家における消費電力量の実績値を算出(生成)する。消費電力量算出部27が消費電力量の実績値を算出する具体例については後述する。
【0037】
受電点電力量予測部28は、消費電力量算出部27が算出した消費電力量の実績値等を用いて受電点電力量の予測値を算出する。受電点電力量予測部28が受電点電力量の予測値を算出する具体例については後述する。
【0038】
(消費電力量算出部の動作)
消費電力量算出部27が、消費電力量の実績値を算出する動作の具体例について説明する。以下の説明において、記憶部26には受電点電力量の履歴、太陽電池モジュール3が発電した発電電力量の履歴、蓄電池4が充電した充電電力量の履歴、蓄電池4が放電した放電電力量の履歴、およびDR指令の履歴が格納されているものとする。
【0039】
消費電力量算出部27は記憶部26から各種履歴を取得する。そして、蓄積した発電電力量から受電点電力量を減算して受電点Pにおける消費電力量の実績値を算出する。このとき、蓄電池4が放電中であれば放電電力量を加算し、充電中であれば充電電力量をさらに減算した結果を消費電力量の実績値として算出してもよい。また、DR指令に基づいて受電点電力量が抑制されていれば、受電点電力量から発電電力量を減算し、さらに抑制量を加算することで受電点Pにおける消費電力量を算出してもよい。すなわち、受電点電力量に抑制量を加算する補正を行うことで、抑制されなかった場合に想定される消費電力量を算出してもよい。
【0040】
このようにして算出された消費電力量の実績値は、太陽電池モジュール3の発電状況や蓄電池4の充放電状況、およびDR指令に基づく受電点電力量の抑制状況に依らない、需要家における正味の消費電力量の履歴である。したがって、履歴の取得時期ごとに消費電力量の実績値を算出すると、消費電力量の経時的な変化を把握することができる。
【0041】
(受電点電力量予測部の動作)
受電点電力量予測部28が、受電点電力量の予測値を算出する動作の具体例について説明する。以下の説明において、記憶部26には受電点電力量の履歴、太陽電池モジュール3が発電した発電電力量の履歴、蓄電池4が充電した充電電力量の履歴、蓄電池4が放電した放電電力量の履歴、およびDR指令の履歴が格納されているものとする。また、消費電力量算出部27において消費電力量の実績値を算出済みであるものとする。
【0042】
まず、受電点電力量予測部28は、消費電力量算出部27が算出した消費電力量の実績値を用いて消費電力量の予測値を算出する。消費電力量の予測値は、例えば需要家における電力の消費パターン等に基づいて公知の方法で算出することができる。
【0043】
次に、受電点電力量予測部28は、発電電力量の予測値を算出する。発電電力量の予測値は、例えば発電電力量の履歴やネットワーク100を介して取得したカレンダ情報や天気予報等の情報に基づいて公知の方法で算出することができる。
【0044】
その後、受電点電力量予測部28は、消費電力量の予測値と発電電力量の予測値とを合算することで、受電点電力の予測値を算出する。
【0045】
このようにして算出された受電点電力の予測値は、需要家における電力の消費パターンや天候等の影響といった、受電点電力を変動させ得る複数の要素を考慮した予測値である。
【0046】
(処理の流れ)
本実施形態において、制御装置2が実行する処理の流れについて、図3を用いて説明する。図3は、制御装置2が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0047】
まず、消費電力量算出部27は、記憶部26に記憶されている受電点電力量の過去の履歴の中に、DR指令に基づいて該受電点電力量が抑制されたものが存在するか否かを判定する(S1)。受電点電力量が抑制された履歴が存在すると判定した場合(S1でYES)、消費電力量算出部27は抑制量を該履歴に加算することで補正を行う(S2)。その後、処理はS3へ進む。一方、受電点電力量が抑制された履歴が存在しないと判定した場合(S1でNO)、処理はS3へ直接進む。
【0048】
S3において、消費電力量算出部27は、記憶部26から受電点電力量等の履歴を取得し、取得した種々の履歴を用いて過去の消費電力量を算出する(S3)。その後、受電点電力量予測部28は、S3で算出された過去の消費電力量を用いて、消費電力量の予測値を算出する(S4)。受電点電力量予測部28はさらに、発電電力量の予測値を算出する(S5)。
【0049】
S5の後、受電点電力量予測部28は、S4で算出した消費電力量の予測値とS5で算出した発電電力量の予測値とを合算して、受電点電力量の予測値を算出する(S6)。
【0050】
以上の処理によって、本実施形態に係る制御装置2は、デマンドレスポンスにおいてネガワットを算出する基準となる、受電点における電力量を精度よく予測することができる。
【0051】
〔変形例〕
前記実施形態1では制御装置2が受電点電力量予測装置として機能したが、他の装置が受電点電力量予測装置としての機能を備えてもよい。例えば、サーバ1や端末装置8がルータ7を介して種々の情報を取得し、受電点Pにおける受電点電力量の予測値を算出してもよい。
【0052】
〔ソフトウェアによる実現例〕
受電点電力予測装置2の制御ブロック(特に消費電力量算出部27および受電点電力量予測部28)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0053】
後者の場合、受電点電力予測装置2は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、前記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、前記コンピュータにおいて、前記プロセッサが前記プログラムを前記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。前記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。前記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、前記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、前記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して前記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、前記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0054】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る受電点電力予測装置は、需要家の消費電力量の予測値と、太陽電池モジュールによる発電電力量の予測値とを合算し、前記需要家の受電点における電力量である受電点電力量の予測値を算出する構成である。
【0055】
前記の構成によれば、受電点電力予測装置はユーザの生活パターン等によって変化する消費電力量と、例えば時間帯や天気等によって変化する発電電力量とを個別に予測した予測値を合算し、受電点電力量の予測値を算出することができる。これにより、受電点電力量を精度よく予測することができる。
【0056】
本発明の態様2に係る受電点電力予測装置は、前記態様1において、前記受電点電力量と、前記発電電力量とを取得および蓄積し、蓄積した前記発電電力量から前記受電点電力量を減算して消費電力量を算出し、前記消費電力量を用いて前記消費電力量の予測値を算出する構成としてもよい。
【0057】
前記の構成によれば、受電点電力予測装置は消費電力量を取得および蓄積しなくても、発電電力量から受電点電力量を減算して該消費電力量を得ることができる。
【0058】
本発明の態様3に係る受電点電力予測装置は、前記態様1または2において、蓄電池の充電電力量を取得および蓄積し、蓄積した前記発電電力量から前記受電点電力量を減算し、さらに前記充電電力量を減算することで前記消費電力量を算出する構成としてもよい。前記の構成によれば、受電点電力予測装置は蓄電池の充電電力量を考慮した、より精度の高い受電点電力量を予測することができる。
【0059】
本発明の態様4に係る受電点電力予測装置は、前記態様1から3のいずれかにおいて、蓄電池の放電電力量を取得および蓄積し、蓄積した前記発電電力量から前記受電点電力量を減算し、さらに前記放電電力量を算することで前記消費電力量を算出する構成としてもよい。前記の構成によれば、受電点電力予測装置は蓄電池の放電電力量を考慮した、より精度の高い受電点電力量を予測することができる。
【0060】
本発明の態様5に係る受電点電力予測装置は、前記態様1から4のいずれかにおいて、前記需要家は外部のアグリゲーションサーバからの指示に基づいて前記受電点電力量を抑制可能であり、前記受電点電力量の抑制量を取得および蓄積し、蓄積した前記発電電力量から前記受電点電力量を減算し、さらに前記抑制量を加算することで前記消費電力量を算出する構成としてもよい。前記の構成によれば、受電点電力予測装置は過去の履歴が受電点電力量の抑制を含むものであった場合は該抑制を除外して受電点電力量を予測することができる。
【0061】
本発明の態様6に係る受電点電力予測方法は、需要家の消費電力量の予測値と、太陽電池モジュールによる発電電力量の予測値とを合算し、前記需要家の受電点における電力量である受電点電力量の予測値を算出する方法である。前記の構成によれば、前記態様1と同様の作用効果を奏する。
【0062】
本発明の各態様に係る受電点電力予測装置2は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記受電点電力予測装置2が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記受電点電力予測装置2をコンピュータにて実現させる受電点電力予測装置2の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0063】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0064】
200 電力システム
1 サーバ(アグリゲーションサーバ)
2 制御装置(受電点電力予測装置)
27 消費電力量算出部
28 受電点電力量予測部
3 太陽電池モジュール
4 蓄電池
8 端末装置
102 機器
図1
図2
図3