(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】設計提案ツール
(51)【国際特許分類】
G09B 25/04 20060101AFI20230316BHJP
E04H 1/04 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
G09B25/04
E04H1/04 B
(21)【出願番号】P 2018185282
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-09-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年5月17日 ウェブサイト(https://www.nikkei.com/article/DGXMZ030612060X10C18A5AM1000/)にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年5月18日 ウェブサイト(https://www.daiwahouse.com/about/release/house/20180518103937.html)にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100111109
【氏名又は名称】城田 百合子
(72)【発明者】
【氏名】堀 福次郎
(72)【発明者】
【氏名】奥山 正博
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 匠
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3194689(JP,U)
【文献】特開2002-129760(JP,A)
【文献】登録実用新案第3204507(JP,U)
【文献】韓国登録実用新案第20-0437782(KR,Y1)
【文献】国際公開第2006/059527(WO,A1)
【文献】特開平10-024174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 25/04
E04H 1/04
B42D 15/00
G09F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユニットを組み合わせて雁行型集合住宅の設計提案を行う設計提案ツールであって、
前記複数のユニット
のそれぞれは、
平板状に形成された、所定縮尺で建物の住戸の各部屋を示す部品であり、
一辺が基準長の正方形である基準ユニットと、
前記基準ユニットが二個連結した大きさの大ユニットと、を各々複数備え
、
前記基準ユニットと前記大ユニットとが組み合わされて前記集合住宅
の平面レイアウトが構成され
、
前記設計提案ツールは、前記基準長と同じ長さの間隔でグリッド線が表示されたボードをさらに備え、
前記集合住宅の平面レイアウトは、前記基準ユニット及び前記大ユニットの外周部が前記グリッド線に沿って配置されることにより構成され、
前記ボードには前記集合住宅が建てられる場所の境界線が所定の縮尺で表示されており、前記グリッド線は、前記境界線のいずれかに対して所定の角度で傾斜するように表示されることを特徴とする、設計提案ツール。
【請求項2】
複数の前記基準ユニット及び前記大ユニットは、
各ユニットが示す部屋の機能別に
区別可能に色分けされていることを特徴とする、請求項1に記載の設計提案ツール。
【請求項3】
前記基準ユニット及び前記大ユニットは、それぞれの外周部において
、各ユニットが示す部屋の出入り口に対応する位置に互いに嵌合可能な凹部又は凸部が形成されており、前記凹部と前記凸部とを嵌合させることにより前記集合住宅
の平面レイアウトが構成されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の設計提案ツール。
【請求項4】
前記複数のユニットは、前記ボードに対して磁石を用いて着脱可能に固定されることを特徴とする、請求項
1から3のいずれか一項に記載の設計提案ツール。
【請求項5】
前記基準ユニット及び前記大ユニットは、予め
各ユニットが示す部屋内に配置される家具又は設備である機能要素が配置されていることを特徴とする、請求項1から
4のいずれか一項に記載の設計提案ツール。
【請求項6】
前記基準ユニット及び前記大ユニットは、
各ユニットが示す部屋の機能毎に配置の異なるものが複数用意されることを特徴とする、請求項
5に記載の設計提案ツール。
【請求項7】
前記複数のユニットは、一辺が前記基準長の1/2の長さの正方形である小ユニットと、一辺が前記基準長の3/4の長さの正方形である中ユニットと、を各々複数備え、
前記集合住宅
の平面レイアウトは、前記基準ユニット、前記大ユニット、前記中ユニット及び前記小ユニットが雁行型に組み合わされて構成されることを特徴とする、請求項1から
6のいずれか一項に記載の設計提案ツール。
【請求項8】
前記複数のユニットは、
各ユニットが示す部屋の機能が定められていないユニットを含む、請求項1から
7のいずれか一項に記載の設計提案ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集合住宅の設計提案ツールに係り、特に各住戸を斜めにずらして配置する雁行型の集合住宅の設計提案ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の設計提案ツールとして、例えば発泡スチロール等の板状部材の表面に建物の居室及び水回り設備等の平面図を貼り付けて平面レイアウトを作成していく手段がある。また、CAD(Computer Aided Design)装置を用いて、画面上に建物内部の平面図を表示し、棚や机等の什器を重ねて表示することで平面レイアウトの設計がなされてきた。そして、このようなCAD等のソフトウェアをインストールしたノートブックパソコンを用いて、パソコン画面に平面レイアウトを表示しながら、依頼者と打合わせし、平面レイアウトを修正しながら完成させることも行われてきた。
【0003】
しかしながら、ノートブックパソコンを用いる場合、表示画面が図面に対して小さく、平面レイアウトの一部しか表示されないため全体像をとらえ難く、また、平面レイアウト全体を表示する場合であっても、詳細な部分が潰れていた。またCADを扱うためには高度な操作が必要とされるため、誰でもが簡単にできるわけではなかった。
【0004】
そのため、例えば特許文献1に、表面に室内設備の寸法情報を有する磁性シートと、磁着可能な板状体と、領域内に縦横方向の罫線を有する平面図とを備えた設計用具を用いて、建物内レイアウトの設計図面を作成する方法が開示される。
【0005】
また、特許文献2に、正方形をなす同形状の複数の基本領域を並べて配置して長方形をなすフロア領域に、設備を有する部屋を備えた複数の基本区画を配置することにより間取りを設計する設計方法が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許3694810号公報
【文献】特開2003-105982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
また、近年では、集合住宅において居住性の高いものが求められており、その解決策の一つとして、各住戸を斜めにずらして配置した所謂雁行型の集合住宅が提供されるようになった。雁行型の集合住宅は、大半の住戸を角部屋に近い構造とすることができるため、開口部を多くとることができ、採光・通風・眺望の面で優れる。また、雁行型に住戸を配置することにより、従来のようかん型の集合住宅のようなシンプルな形状の建物と比較して個性的で表情豊かな建物の外観を形成することが可能である。
【0008】
その一方で、雁行型に住戸を配置すると形状が複雑になるため、従来の集合住宅と比べて設計業務を行うことや依頼者と共に集合住宅を検討することが困難であった。また、特許文献1及び2に記載の設計方法や設計ツールは雁行型に住戸が配置された集合住宅を設計するについては想定されていない。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、雁行型に住戸が配置された集合住宅を容易に設計することができ、また、依頼者と共に集合住宅を検討及び決定をすることが可能な設計提案ツールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、複数のユニットを組み合わせて雁行型集合住宅の設計提案を行う設計提案ツールであって、前記複数のユニットのそれぞれは、平板状に形成された、所定縮尺で建物の住戸の各部屋を示す部品であり、一辺が基準長の正方形である基準ユニットと、前記基準ユニットが二個連結した大きさの大ユニットと、を各々複数備え、前記基準ユニットと前記大ユニットとが組み合わされて前記集合住宅の平面レイアウトが構成され、前記設計提案ツールは、前記基準長と同じ長さの間隔でグリッド線が表示されたボードをさらに備え、前記集合住宅の平面レイアウトは、前記基準ユニット及び前記大ユニットの外周部が前記グリッド線に沿って配置されることにより構成され、前記ボードには前記集合住宅が建てられる場所の境界線が所定の縮尺で表示されており、前記グリッド線は、前記境界線のいずれかに対して所定の角度で傾斜するように表示される設計提案ツールにより解決される。
【0011】
正方形の基準ユニットと、基準ユニットが二個連結した大きさの大ユニットとを組み合わせて構成することで、雁行型の集合住宅を容易に設計することができ、また、依頼者と共に集合住宅を検討及び決定をすることが可能になる。
また、グリッド線が表示されたボードを用いることで、ユニットを容易に配置することができる。
境界線を示すことで建物と敷地との関係が明確になり、境界線を考慮しつつ、集合住宅を検討することができる。
【0012】
また、複数の前記基準ユニット及び前記大ユニットは、各ユニットが示す部屋の機能別に区別可能に色分けされよい。機能別に色分けされることにより、各ユニットの区別が付きやすい。
【0013】
また、前記基準ユニット及び前記大ユニットは、それぞれの外周部において、各ユニットが示す部屋の出入り口に対応する位置に互いに嵌合可能な凹部又は凸部が形成されており、前記凹部と前記凸部とを嵌合させることにより前記集合住宅の平面レイアウトが構成されてよい。凹部及び凸部があることで、各ユニット同士の連結が容易になる。
【0015】
また、前記基準ユニット及び前記大ユニットは、前記ボードに対して磁石を用いて着脱可能に固定されてよい。磁石を用いることで、各ユニットを容易に交換・移動させつつ固定することができ、検討中に各ユニットがずれることも防止される。
【0016】
また、前記基準ユニット及び前記大ユニットは、各ユニットが示す部屋内に配置される家具又は設備である機能要素が配置されてよい。これにより各ユニットの機能が理解しやすくなると共に完成後のイメージがつきやすくなる。
【0017】
また、前記基準ユニット及び前記大ユニットは、各ユニットが示す部屋の機能毎に配置の異なるものが複数用意される。予め異なる配置のユニットが複数用意されることにより、それらを交換するだけで集合住宅を検討することができ、検討時間の短縮を図ることができる。
【0018】
また、前記複数のユニットは、一辺が前記基準長の1/2の長さの正方形である小ユニットと、一辺が前記基準長の3/4の長さの正方形である中ユニットと、を各々複数備え、前記集合住宅の平面レイアウトは、前記基準ユニット、前記大ユニット、前記中ユニット及び前記小ユニットが雁行型に組み合わされて構成されてよい。これにより、より凹凸感のある外観を有する集合住宅を設計することが可能になる。
【0019】
また、前記複数のユニットは、各ユニットが示す部屋の機能が定められていないユニットを含んでよい。機能の定められていないものを仮置きのために使用することで、例えば設計者と依頼者との検討・打ち合わせ等を進めやすくなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、雁行型の集合住宅の平面レイアウトについて容易に設計業務を行うことができ、また、依頼者と共に集合住宅を検討及び決定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態の設計提案ツールを用いて作成した、集合住宅の平面レイアウトの一例を示す図である。
【
図2】設計提案ツールを用いて作成した別の集合住宅の平面レイアウトを示す図である。
【
図3】(a)~(e)は、設計提案ツールで用いるユニットの例を示す平面図である。
【
図4】(a)~(f)は、洋室、又は、洋室にクローゼットを追加した基準ユニットの例を示す平面図である。
【
図5】(a)~(d)は玄関、洗面室、浴室及び便所等を配置した基準ユニットの例を示す平面図である。
【
図6】(a)~(d)は、リビング・ダイニング・キッチンを配置した大ユニットの例を示す平面図である。
【
図7】基準ユニット及び大ユニットを組み合わせて構成された、雁行型の集合住宅の平面図である。
【
図8】基準ユニット、大ユニット、中ユニット及び小ユニットを組み合わせて構成された、雁行型の集合住宅の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)に係る集合住宅の設計提案ツールについて
図1~
図8を参照しながら説明する。
【0024】
図1は、本実施形態の設計提案ツール1を用いて作成された、雁行型の集合住宅100の平面レイアウトを示す図である。設計提案ツール1は、雁行型の集合住宅100の平面レイアウトを複数のユニットを用いて作成するものである。複数のユニットは、一辺が基準長Lの正方形である基準ユニット21、22と、基準ユニット21、22が二個連結した大きさ、すなわち、L×2Lの大きさの大ユニット24と、を複数備える。そして、設計提案ツール1の複数の基準ユニット21、22と大ユニット24とが組み合わされて、
図1及び
図2に示す雁行型の集合住宅100、200が構成される。
【0025】
図1及び
図2に示す、基準ユニット21、22及び大ユニット24は、平板状に形成された、所定縮尺で建物の住戸の各部屋を示す部品である。ユニットのその表面に色やハッチングを設けることで機能別に区別することができる。基準ユニット21は、例えば洋室35や寝室等の居室を意味する(
図3(a)参照)、基準ユニット22は、玄関34、洗面室31、浴室32及び便所33等の機能を備える(
図3(b)参照)。大ユニット24は、例えばリビング・ダイニング・キッチン(以下、LDKと称する)の機能を備える(
図3(c)参照)。なお、本実施形態の基準長Lの大きさは2間(約364cm、4P(1Pは約91cm)と表現される場合もある)である。また、基準ユニット21、22及び大ユニット24は平面的に、すなわち二次元で作製されているが、高さを加えて立体的に、すなわち三次元の直方体で作製されてもよい。
【0026】
本実施形態において、基準ユニット21、22及び大ユニット24は、板状のボード2に載置される。
図1及び
図2に示すように、ボード2には、基準長Lの幅と同じ大きさの間隔のグリッド線12が表示される。基準ユニット21、22及び大ユニット24の外周部42は、グリッド線12に沿うように配置される。また、ボード2には、境界線10が示されていて、使用者は境界線10を考慮しながら、基準ユニット21等を配置して、雁行型の集合住宅100を設計できる。なお、境界線10は、隣地との境界を示す敷地境界線又は道路との境界を示す道路境界線を意味する。
【0027】
なお、本実施形態では、グリッド線12は境界線10に対して所定の角度αで傾斜している。所定の角度αは、例えば45度±10度の範囲で設定される。グリッド線12を境界線10に対して例えば45度傾斜させることにより、建物の外観を凹凸のある意匠にすることができ、従来のようかん型の集合住宅のようなシンプルな形状の建物と比較して、個性的な建物の外観を形成することができる。
【0028】
本実施形態において、各ユニットはボード2に載置されるだけであるが、各ユニットはボード2に対して磁石を用いて着脱可能に取り付けられてもよい(マグネット方式)。マグネット方式の場合、基準ユニット21と大ユニット24が平板の磁石で作製され、ボード2が金属製の板で構成されてよい。また、ボード2に磁石が埋め込まれ、基準ユニット21等が金属製の板によって構成されてもよい。また、基準ユニット21等は、粘着剤等によりボード2に対して着脱自在に固定されてもよい。
【0029】
集合住宅100の1階は三つの住戸101~103からなり、各住戸は、洋室等を構成する二つの基準ユニット21(居室)と、玄関や水回りを含む一つの基準ユニット22(水回り)と、LDKを構成する一つの大ユニット24とを備える。隣接する住戸の間には界壁29が設けられる。また、各住戸の玄関を含む基準ユニット22は外部廊下28により繋がっていいて、外部廊下28に繋がるようエントランス27と階段30のユニットが配置される。集合住宅100の外壁11は、基準ユニット21、22及び大ユニット24の外周部42によって構成され、外壁11が基準長Lを単位として三個以上連続して面一とならないように、基準ユニット21、22及び大ユニット24は組み合わされる。それにより、雁行型の集合住宅が構成され、基準ユニット21と大ユニット24とは原則として二面から採光されるよう配置される。
【0030】
なお、基準ユニットとして機能の定められていないものがあってもよい。設計者と依頼者とが集合住宅を検討する際、機能の定められていない基準ユニットを仮置きしておくことで別の部分を先に検討することができ、議論を進めやすくなる。
【0031】
また、
図2は、本実施形態の設計提案ツール1を用いて作成された雁行型の集合住宅200の平面レイアウトを示す。集合住宅200の1階は四つの住戸201~204からなり、集合住宅100と同様に、各住戸は二つの基準ユニット21、一つの基準ユニット22、及び一つの大ユニット24を備え、隣接する住戸の間には界壁29が設けられる。各住戸201~204の玄関34を含む基準ユニット22は外部廊下28により繋がっていて、外部廊下28に繋がるようエントランス27と階段30のユニットが配置される。
【0032】
図1に示す平面レイアウトでは、基準ユニット21等は機能別に色分け又はハッチングされたものであったが、
図3(a)~(c)に示すように、基準ユニット21、22及び大ユニット24の表面により具体的に機能要素が配置されてもよい。
図3(a)に示す基準ユニット21は、洋室35に二つのクローゼット36が配置され、壁には窓又はドアが配置されている。
図3(b)に示す基準ユニット22には、洗面室31、浴室32、便所33および玄関34が配置され、それらは廊下39によって繋がっている。
図3(c)に示す大ユニット24は、リビング、ダイニング、キッチンが配置されている。具体的に機能要素が配置されることで、具体的なイメージをもって集合住宅の平面レイアウトを作成することができる。
【0033】
居室を示す基準ユニット21、水回り機能を含む基準ユニット22、LDKを示す大ユニット24は、さまざまなパターンの配置が表示されたものが複数個、予め用意されてもよい。例えば
図4(a)に示す基準ユニット21aはクローゼットが配置されていない洋室35である。また、
図4(b)、(c)に示す基準ユニット21b、21cは二つのクローゼットが配置された洋室35であり、
図4(d)~(f)に示す基準ユニット21d~21eは、一つの大きなウォークインクローゼットが配置された洋室35である。また、基準ユニット21a~21fの外周部42には、ドア及び窓が配置される。
【0034】
また、
図4(a)~
図4(f)に示す基準ユニット21a~21fのように、それぞれの外周部42において、出入り口であるドアが設置可能な場所に合わせて凹部40が形成されてもよい。この凹部40には、後述する、大ユニット24の外周部42に設けられた凸部41が嵌合する。凸部41は、出入り口であるドアの位置に設けられていることから、基準ユニット21と大ユニット24とが連結可能な向きや位置が一目でわかるようになっている。
【0035】
図5(a)~
図5(d)に、洗面室31等を備えた基準ユニット22の具体的な配置の例を示す。洗面室31と浴室32とがドアで繋がっていて、玄関34から延びる廊下39に面して洗面室31と便所33のドアが設けられている。廊下39は、大ユニット24のLDKに繋がっている。廊下39の出入り口には、外周部42に凸部41が設けられていて、大ユニット24に形成された凹部40に嵌合する。これにより、使用者は大ユニット24と連結する向きや連結可能な位置が一目でわかる。
【0036】
図6(a)~
図6(d)に、LDKを備えた大ユニット24の具体的な配置の例を示す。キッチンや物入れが記載されていて、LDKの使い方のイメージがつくようになっている。さらに、玄関34に繋がる出入り口の場所、すなわち
図5(a)~
図5(d)に示す基準ユニット22に繋がる位置に凹部40が形成され、洋室に繋がるドアの位置に凸部41が設けられる。予め凸部41や凹部40を設けておくことにより、集合住宅を検討する際に、利用可能な配置が記載された大ユニット24を選択することができる。
【0037】
設計提案ツール1は、基準ユニット21、22及び大ユニット24以外に、さらに別のユニットを備えていてもよい。
図3(d)に、一辺が基準ユニット21、22の基準長Lの3/4の長さの正方形である中ユニット25を示す。また、
図3(e)に、一辺が基準ユニットの基準長Lの1/2の長さの正方形である小ユニット26を示す。中ユニット25は、例えばベランダやテラス等を配置する際に用いられる。小ユニット26は、例えばウォークイン型のクローゼット36を追加する際に用いられる。小ユニット26は洗面室31、浴室32、便所33等であってもよい。基準ユニット21、22と大きさが異なる中ユニット25、小ユニット26を加えることで、建物の外観をさらに凹凸感のある意匠とすることができる。
【0038】
図7及び
図8に示す平面図は、
図1や
図2のように、機能別の配置を検討したのち、
図3~
図6に示す具体的に機能要素が配置されたユニットをあてはめたものである。
図7は、三つの住戸301~303が配置された雁行型の集合住宅300の平面図であり、
図8は、四つの住戸401~404が配置された雁行型の集合住宅400の平面図である。
図8に示す集合住宅400では、基準ユニット21、22及び大ユニット24を用いて構成された平面レイアウトにさらに中ユニット25及び小ユニット26が追加され、LDK37と洋室35との間にテラス50やクローゼット36が設けられている。このように、一辺が基準長Lの正方形で形成された基準ユニット21、22と、基準ユニットが二つ連結した大きさの大ユニット24を用いることにより、従来は複雑であった雁行型の集合住宅を比較的容易に設計することができる。
【0039】
また、上述した設計提案ツールは、集合住宅の平面的な配置を検討することを例として示したが、各ユニットを三次元の直方体で作製して垂直方向に重ねて配置することで、立体的に集合住宅を検討することに使用してもよい。
【0040】
上記実施形態では、主として本発明に係る集合住宅の設計提案ツールに関して説明した。ただし、上記形態は、本発明の理解を容易に理解するための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【符号の説明】
【0041】
1 設計提案ツール
2 ボード
10 境界線
11 外壁
12 グリッド
100、200、300、400 雁行型の集合住宅
101~103、201~204、301~303、401~404 住戸
21、21a~21f 基準ユニット(居室)
22、22a~22d 基準ユニット(水回り)
24、24a~24d 大ユニット
25 中ユニット
26 小ユニット
27 エントランス
28 外部廊下
29 界壁
30 階段
31 洗面室
32 浴室
33 便所
34 玄関
35 洋室
36 クローゼット
37 リビング・ダイニング・キッチン
38 バルコニー
39 廊下
40 凹部
41 凸部
42 外周部
50 テラス
L 基準長