(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】分散型後縁翼フラップシステム
(51)【国際特許分類】
B64C 13/16 20060101AFI20230316BHJP
B64C 13/42 20060101ALI20230316BHJP
F15B 20/00 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
B64C13/16 Z
B64C13/42
F15B20/00 G
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018242755
(22)【出願日】2018-12-26
【審査請求日】2021-12-06
(32)【優先日】2018-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】ニール ブイ.フィン
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/105048(WO,A1)
【文献】特表2011-519770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 1/00-99/00
F15B 20/00-21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機のための翼フラップシステムであって、
前記航空機の翼の固定後縁に対して、展開位置と退避位置との間で変位可能なフラップと、
前記固定後縁に対して前記フラップを変位させるためのアクチュエータと、を含み、前記アクチュエータは、前記航空機の油圧システムにより供給される第1加圧作動流体による油圧駆動、及び、ローカル動力ユニットにより供給される第2加圧作動流体による油圧駆動が可能であり、前記ローカル動力ユニットは、前記航空機の電気システムに選択的に接続可能であり、前記電気システムは、前記第2加圧作動流体を供給するために前記ローカル動力ユニットに電力供給を行う
ように構成されており、
前記ローカル動力ユニットは、補助供給器と、前記補助供給器と流体連通する油圧ポンプと、前記油圧ポンプに機能接続する電気モータと、を含み、
前記第2加圧作動流体は、前記補助供給器に収容された所定量の作動流体を含み、
前記電気モータは、前記電気システムへの接続に応答して、前記アクチュエータに前記第2加圧作動流体を供給するために前記油圧ポンプを駆動し、
前記翼フラップシステムは、前記電気モータと前記電気システムとの間に機能配置されたスイッチをさらに含み、前記スイッチは、開位置と閉位置との間で作動可能であり、前記電気モータは、前記スイッチが前記閉位置にあるときに前記電気システムに接続し、前記スイッチは、前記航空機の飛行制御電子ユニットにより制御され、
前記フラップは、前記航空機の第1フラップであり、前記飛行制御電子ユニットは、前記第1フラップと前記航空機の第2フラップとの間に、非対称閾値を超える非対称を検出すると、これに応答して、前記スイッチを前記開位置から前記閉位置に作動させる、
翼フラップシステム。
【請求項2】
前記アクチュエータは、前記第1加圧作動流体による油圧駆動が可能であることとは独立して、前記第2加圧作動流体による油圧駆動が可能である、請求項1に記載の翼フラップシステム。
【請求項3】
前記アクチュエータと流体連通するように設けられた油圧モジュールであって、前記ローカル動力ユニットを含み、前記航空機の前記油圧システムとも流体連通している、油圧モジュールと、
前記油圧モジュールに設けられるとともに、前記油圧モジュールと電気接続し、且つ、前記油圧モジュールを制御する遠隔電子ユニットと、
前記油圧モジュール及び前記遠隔電子ユニットから離れて設けられるとともに、前記遠隔電子ユニットを制御する飛行制御電子ユニットと、をさらに含む、請求項1
又は2に記載の翼フラップシステム。
【請求項4】
前記アクチュエータは、アクチュエータ位置フィードバックセンサを含み、前記遠隔電子ユニットは、前記アクチュエータ位置フィードバックセンサにより感知されたアクチュエータ位置フィードバックデータを受信し、前記
第1フラップ及び第2フラップは、フラップ位置センサを含み、前記飛行制御電子ユニットは、前記フラップ位置センサにより感知されたフラップ位置データを受信する、請求項
3に記載の翼フラップシステム。
【請求項5】
前記アクチュエータは、第1アクチュエータであって、前記翼フラップシステムは、前記固定後縁に対して前記フラップを変位させるための第2アクチュエータをさらに含み、前記第2アクチュエータは、前記第1加圧作動流体による油圧駆動が可能であり、前記第2アクチュエータは、前記第1アクチュエータが前記ローカル動力ユニットにより供給される前記第2加圧作動流体を受け取っている間、自由に動くことができる、請求項1~
4のいずれかに記載の翼フラップシステム。
【請求項6】
前記航空機は、フライ・バイ・ワイヤ飛行制御システムと、2つの独立した油圧システム及び2つの独立した電気システムを有する動力アーキテクチャと、を含む、請求項
1に記載の翼フラップシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、航空機翼フラップ(wing flaps)に関し、より具体的には、分散型後縁翼フラップシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機翼(例えば、民間航空機翼)は、一般に、航空機の各翼の固定後縁に、及び/又は、これに沿って設けられたフラップ(例えば、外側フラップ、及び/又は、内側フラップ)を含む。フラップは、航空機翼の固定後縁に対して、退避位置と展開位置との間で変位可能である。飛行中(例えば、着陸中)に航空機翼からフラップを展開すると、典型的には、航空機翼に関連する揚力特性が強くなる。一方で、飛行中(例えば、巡航中)にフラップを退避させると、典型的には、揚力特性が弱くなる。
【0003】
本明細書における開示は、これらの事項及びその他の事項に関連して提示されるものである。
【発明の概要】
【0004】
本明細書には、分散型後縁翼フラップシステムが開示されている。いくつかの例においては、航空機のための翼フラップシステムが開示されている。いくつかの本開示の例においては、前記翼フラップシステムは、フラップとアクチュエータとを含む。いくつかの本開示の例においては、前記フラップは、前記航空機の翼の固定後縁に対して、展開位置と退避位置との間で変位可能である。いくつかの本開示の例においては、前記アクチュエータは、前記固定後縁に対して前記フラップを変位させる。いくつかの本開示の例においては、前記アクチュエータは、前記航空機の油圧システムにより供給される第1加圧作動流体による油圧駆動が可能である。いくつかの本開示の例においては、前記アクチュエータは、さらに、ローカル動力ユニットにより供給される第2加圧作動流体による油圧駆動が可能である。いくつかの本開示の例においては、前記ローカル動力ユニットは、前記航空機の電気システムに選択的に接続可能である。いくつかの本開示の例においては、前記電気システムは、前記第2加圧作動流体を供給するために前記ローカル動力ユニットに電力供給を行う。
【0005】
いくつかの例においては、航空機のための翼フラップシステムが開示されている。いくつかの本開示の例においては、前記翼フラップシステムは、それぞれの展開位置とそれぞれの退避位置との間で変位可能な第1、第2、第3、及び、第4のフラップを含む。いくつかの本開示の例においては、前記第1及び第2のフラップは、前記航空機の第1翼の第1固定後縁に対して変位可能である。前記第3及び第4のフラップは、前記航空機の第2翼の第2固定後縁に対して変位可能である。いくつかの本開示の例においては、前記翼フラップシステムは、さらに、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8のアクチュエータを含む。いくつかの本開示の例においては、前記第1及び第2のアクチュエータは、前記第1固定後縁に対して前記第1フラップを動かす。いくつかの本開示の例においては、前記第3及び第4のアクチュエータは、前記第1固定後縁に対して前記第2フラップを動かす。いくつかの本開示の例においては、前記第5及び第6のアクチュエータは、前記第2固定後縁に対して前記第3フラップを動かす。いくつかの本開示の例においては、前記第7及び第8のアクチュエータは、前記第2固定後縁に対して前記第4フラップを動かす。いくつかの本開示の例においては、前記第1、第2、第5、及び、第6のアクチュエータは、それぞれ、前記航空機の第1油圧システムにより供給される第1加圧作動流体による油圧駆動が可能である。いくつかの本開示の例においては、前記第3、第4、第7、及び、第8のアクチュエータは、それぞれ、前記航空機の第2油圧システムにより供給される第2加圧作動流体による油圧駆動が可能である。いくつかの本開示の例においては、前記翼フラップシステムは、さらに、第1、第2、第3、及び、第4のローカル動力ユニットを含む。いくつかの本開示の例においては、前記第1アクチュエータは、前記第1ローカル動力ユニットにより供給される第3加圧作動流体による独立した油圧駆動が可能である。いくつかの本開示の例においては、前記第3アクチュエータは、前記第2ローカル動力ユニットにより供給される第4加圧作動流体による独立した油圧駆動が可能である。いくつかの本開示の例においては、前記第5アクチュエータは、前記第3ローカル動力ユニットにより供給される第5加圧作動流体による独立した油圧駆動が可能である。いくつかの本開示の例においては、前記第7アクチュエータは、前記第4ローカル動力ユニットにより供給される第6加圧作動流体によって独立した油圧駆動が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示の教示による、例示的な分散型後縁翼フラップシステムを実施可能な例示的な航空機を示す図である。
【
図2】
図1に示す例示的な第1翼の例示的な第1外側フラップを示す断面図である。
【
図3】本開示の教示に従って構築された例示的な分散型後縁翼フラップシステムを示す概略図である。
【
図4】
図3に示す例示的な分散型後縁翼フラップシステムで実施可能な例示的なアクチュエータを示す概略図である。
【
図5】第1モードの例示的な第1動作状態における例示的なHM1油圧モジュールを示す概略図である。
【
図6】第1モードの例示的な第2動作状態における、
図5の例示的なHM1油圧モジュールを示す概略図である。
【
図7】第1モードの例示的な第3動作状態における、
図5及び6の例示的なHM1油圧モジュールを示す概略図である。
【
図8】第2モードの例示的な動作状態における、
図5~7の例示的なHM1油圧モジュールを示す概略図である。
【
図9】例示的な第1動作状態における、
図5~8に示す例示的なHM1油圧モジュールの例示的なLPUを示す概略図である。
【
図10】例示的な第2動作状態における、
図5~9に示す例示的なHM1油圧モジュールの例示的なLPUを示す概略図である。
【
図11】第1モードの例示的な第1動作状態における、例示的なHM2油圧モジュールを示す概略図である。
【
図12】第1モードの例示的な第2動作状態における、
図11の例示的なHM2油圧モジュールを示す概略図である。
【
図13】第1モードの例示的な第3動作状態における、
図11及び12の例示的なHM2油圧モジュールを示す概略図である。
【
図14】第2モードの例示的な動作状態における、
図11~13の例示的なHM2油圧モジュールを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
上記図面に示すいくつかの例については、以下で詳細に説明する。これらの例の説明において、類似又は同一の参照番号は、類似又は同一の要素を示すのに使用される。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、図中のいくつかの特徴及びいくつかの描写に関しては、明瞭化及び/又は簡潔化のために縮尺や概要を誇張して示す場合もある。
【0008】
航空機翼(例えば、民間航空機翼)は、一般に、航空機の各翼の固定後縁に、及び/又は、これに沿って設けられたフラップ(例えば、外側フラップ、及び/又は、内側フラップ)を含む。従来の後縁翼フラップシステムは、フラップを、航空機翼の固定後縁に対して、退避位置と展開位置との間で動かすように設けられたアクチュエータを含みうる。このような従来の後縁翼フラップシステムにおいて、アクチュエータは、航空機における複数の独立した油圧システムによって油圧駆動される。このような従来の後縁翼フラップシステムのアクチュエータは、油圧システムのうちの1つ又は複数において部分的若しくは完全な故障が発生すると、動作不能になる可能性があり、この結果、航空機は、複数の翼フラップのそれぞれの位置の変更及び/又は制御を行えなくなる場合がある(例えば、最後に指示された翼フラップ位置に翼フラップを維持したり動かしたりすることができなくなる)。
【0009】
上述した従来の後縁翼フラップシステムとは対照的に、本開示の例示的な分散型後縁翼フラップシステムは、航空機の油圧システムによる油圧駆動が可能であって、且つ、航空機の電気システムに選択的に接続されるローカル動力ユニット(LPU)による個別の油圧駆動が可能な、少なくとも1つのアクチュエータ(例えば、翼フラップ毎に1つのアクチュエータ)を含む点で、有利である。LPUは、航空機の電気システムに接続されると、航空機の油圧システムを介してアクチュエータに供給される加圧作動流体とは独立して当該アクチュエータに加圧作動流体を供給する点で有利である。したがって、LPUは、当該LPUが関連付けられた翼フラップの位置を変更及び/又は制御する航空機の能力を、回復及び/又は維持することができる(例えば、最後に指示された翼フラップの位置に当該翼フラップを動かす能力を、回復及び/又は維持することができる)。
【0010】
いくつかの開示された例においては、分散型後縁翼フラップシステムの各翼フラップは、航空機の油圧システムによる油圧駆動が可能であって、且つ、航空機の電気システムに選択的に接続されるLPUによる個別の油圧駆動が可能な、少なくとも1つのアクチュエータを含む。このような例においては、各LPUは、当該LPUが関連付けられた翼フラップの位置を変更及び/又は制御する航空機の能力を、回復及び/又は維持することができる(例えば、最後に指示された翼フラップの位置に当該翼フラップを動かす能力を、回復及び/又は維持することができる)点で有利である。このような例においては、分散型後縁翼フラップシステムは、それぞれの翼フラップの位置が非対称になるのを防止及び/又は抑制するためにLPUを用いる点で、有利である。
【0011】
いくつかの例においては、本開示の分散型後縁翼フラップシステムは、フライ・バイ・ワイヤ飛行制御システム(fly-by-wire flight control system)と、2つの独立した油圧システム及び2つの独立した電気システムを有する動力アーキテクチャ(例えば、2H2E動力アーキテクチャ)とを含む航空機によって実施されてもよいし、このような航空機に組み込まれてもよい。このような例においては、航空機の電気システムは、低電圧電力(例えば、115VAC又は28VDC)で動作可能であってもよい。
【0012】
図1は、本開示の教示による、例示的な分散型後縁翼フラップシステムを実施可能な例示的な航空機100を示す。本開示の例示的な分散型後縁翼フラップシステムは、民間航空機(例えば、
図1に示す航空機100)、及び、他のタイプの航空機(例えば、軍用機、無人航空機など)において実現することができる。
図1における航空機100は、例示的な第1翼102と、例示的な第2翼104と、例示的な胴体106と、例示的なコックピット領域108とを含む。第1翼102は、例示的な第1固定後縁110と、例示的な第1内側フラップ112と、例示的な第1外側フラップ114とを含む。第1内側フラップ112及び第1外側フラップ114は、それぞれ、第1翼102の第1固定後縁110に、及び/又は、これに沿って配置されている。第2翼104は、例示的な第2固定後縁116と、例示的な第2内側フラップ118と、例示的な第2外側フラップ120とを含む。第2内側フラップ118及び第2外側フラップ120は、第2翼104の第2固定後縁116に、及び/又は、これに沿って設けられている。
【0013】
図1の図示例においては、第1内側フラップ112及び第1外側フラップ114は、第1翼102の第1固定後縁110に対するそれぞれの退避位置に示されており、第2内側フラップ118及び第2外側フラップ120は、第2翼104の第2固定後縁116に対するそれぞれの退避位置に示されている。第1内側フラップ112及び第1外側フラップ114は、
図1に示すそれぞれの退避位置と展開位置との間で変位可能及び/又は駆動可能であり、当該展開位置において、第1内側フラップ112及び第1外側フラップ114は、第1翼102の第1固定後縁110から後方及び/又は下方に伸長される。同様に、第2内側フラップ118及び第2外側フラップ120は、
図1に示すそれぞれの退避位置と展開位置との間で変位可能及び/又は駆動可能であり、当該展開位置において、第2内側フラップ118及び第2外側フラップ120は、第2翼104の第2固定後縁116から後方及び/又は下方に伸長される。いくつかの例においては、それぞれの翼フラップ(例えば、第1内側フラップ112、第1外側フラップ114、第2内側フラップ118、及び/又は、第2外側フラップ120)は、これらのフラップの所望及び/又は指示された保持位置(detent)(例えば、フラップ30(F30)、フラップ40(F40)など)に対応する様々な展開位置に変位可能及び/又は駆動可能である。
【0014】
いくつかの例においては、それぞれの翼フラップ(例えば、第1内側フラップ112、第1外側フラップ114、第2内側フラップ118、及び/又は、第2外側フラップ120)は、1つ以上のアクチュエータ(例えば、1つ以上の油圧リニアアクチュエータ、1つ以上の油圧回転アクチュエータ等)を介して、退避位置と展開位置との間で変位可能及び/又は駆動可能である。
図2は、
図1に示す例示的な第1翼102の例示的な第1外側フラップ114を示す断面図である。
図2に示す例においては、第1外側フラップ114は、第1翼102にヒンジ接続されている。また、第1外側フラップ114は、当該第1外側フラップと第1翼102とに接続された例示的なアクチュエータ206を介して、例示的な退避位置202と例示的な展開位置204(仮想線で示す)との間で変位可能及び/又は駆動可能(例えば、枢動可能)である。
図2の例においては、1つのアクチュエータのみが示されているが、第1外側フラップ114及び第1翼102に対して追加の(例えば、第2、第3、第4などの)アクチュエータを接続することにより、退避位置202と展開位置204との間の第1外側フラップ114の動きを制御及び/又は容易化することができる。
【0015】
図1及び2の例において、各アクチュエータ(例えば、アクチュエータ206)は、当該アクチュエータに機能接続されるとともに、航空機100の対応する翼(例えば、第1翼102又は第2翼104)内に設けられた油圧モジュールを介して駆動、制御、及び/又は、操作される。例えば、
図2に示す、第1外側フラップ114及び第1翼102に接続されたアクチュエータ206は、当該アクチュエータ206に機能接続されるとともに、第1翼102内に設けられた油圧モジュールを介して駆動、制御、及び/又は、操作される。各油圧モジュールは、当該油圧モジュールに機能接続されるとともに、航空機100の対応する翼(例えば、第1翼102又は第2翼104)内に設けられた遠隔電子ユニット(REU)を介して駆動、制御、及び/又は、操作される。各REUは、当該REUに機能接続されるとともに、航空機100の胴体106内に設けられた1つ以上の飛行制御電子ユニット(FCEU)を介して駆動、制御、及び/又は、操作される。1つ以上のFCEUは、当該FCEUに機能接続されるとともに、航空機100のコックピット領域108に設けられたフラップレバー及び/又はパイロット制御インセプタ(pilot control inceptor)から受信する1つ以上の入力に基づいて、制御及び/又は操作される。
【0016】
図3は、本開示の教示に従って構築された例示的な分散型後縁翼フラップシステム300を示す概略図である。
図3に示す分散型後縁翼フラップシステム300は、上述した
図1に示す例示的な航空機100において実施することができる。
図3に示す例においては、分散型後縁翼フラップシステムは、上述した
図1に示す第1翼102と、第2翼104と、第1固定後縁110と、第1内側フラップ112と、第1外側フラップ114、第2固定後縁116と、第2内側フラップ118と、第2外側フラップ120と、を含む。
【0017】
図3に示す分散型後縁翼フラップシステム300は、さらに、例示的な第1アクチュエータ302と、例示的な第2アクチュエータ304と、例示的な第3アクチュエータ306と、例示的な第4アクチュエータ308と、例示的な第5アクチュエータ310と、例示的な第6アクチュエータ312と、例示的な第7アクチュエータ314と、例示的な第8アクチュエータ316と、を含む。
図3に示す例においては、第1アクチュエータ302及び第2アクチュエータ304は、それぞれ、第1内側フラップ112及び第1翼102に接続されている。第3アクチュエータ306及び第4アクチュエータ308は、それぞれ、第1外側フラップ114及び第1翼102に接続されている。第5アクチュエータ310及び第6アクチュエータ312は、それぞれ、第2内側フラップ118及び第2翼104に接続されている。第7アクチュエータ314及び第8アクチュエータ316は、それぞれ、第2外側フラップ120及び第2翼104に接続されている。
【0018】
第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び第8のアクチュエータ302、304、306、308、310、312、314、316は、これらが対応して接続する第1内側フラップ112、第1外側フラップ114、第2内側フラップ118、及び、第2外側フラップ120を、それぞれの退避位置とそれぞれの展開位置との間で変位及び/又は駆動させる。例えば、
図3に示す例においては、第1アクチュエータ302及び第2アクチュエータ304は、第1内側フラップ112を、第1翼102の第1固定後縁110に対する退避位置(
図3に示す)と展開位置との間で変位及び/又は駆動させる。第3アクチュエータ306及び第4アクチュエータ308は、第1外側フラップ114を、第1翼102の第1固定後縁110に対する退避位置(
図3に示す)と展開位置との間で変位及び/又は駆動させる。第5アクチュエータ310及び第6アクチュエータ312は、第2内側フラップ118を、第2翼104の第2固定後縁116に対する退避位置(
図3に示す)と展開位置との間で変位及び/又は駆動させる。第7アクチュエータ314及び第8アクチュエータ316は、第2外側フラップ120を第2翼104の第2固定後縁116に対する退避位置(
図3に示す)と展開位置との間で変位及び/又は駆動させる。
【0019】
図3には示していないが、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8のアクチュエータ302、304、306、308、310、312、314、316は、それぞれ、当該アクチュエータの位置を感知、測定、及び/又は、検出するアクチュエータ位置フィードバックセンサを含む。いくつかの例においては、アクチュエータ位置フィードバックセンサによって感知、測定、及び/又は、検出されるアクチュエータの位置は、当該アクチュエータが接続されている翼フラップの位置(例えば、退避位置や展開位置など)に対応していてもよいし、当該位置を示していてもよいし、或いは、この両方であってもよい。
図3に示す第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8のアクチュエータ302、304、306、308、310、312、314、316のそれぞれに組込、及び/又は、装備されるアクチュエータ位置フィードバックセンサについては、
図4に関連させてさらに説明を行う。
【0020】
図3に示す分散型後縁翼フラップシステム300は、さらに、例示的な第1油圧モジュール318と、例示的な第2油圧モジュール320と、例示的な第3油圧モジュール322と、例示的な第4油圧モジュール324と、例示的な第5油圧モジュール326と、例示的な第6油圧モジュール328と、例示的な第7油圧モジュール330と、例示的な第8油圧モジュール332と、を含む。いくつかの例においては、第1、第2、第3、及び、第4の油圧モジュール318、320、322、324は、第1翼102内に設けられており、第5、第6、第7、及び、第8の油圧モジュール326、328、330、332は第2翼104内に設けられている。
図3に示す例においては、第1油圧モジュール318は第1アクチュエータ302に機能接続(例えば、流体連通)しており、第2油圧モジュール320は第2アクチュエータ304に機能接続しており、第3油圧モジュール322は第3アクチュエータ306に機能接続しており、第4油圧モジュール324は第4アクチュエータ308に機能接続しており、第5油圧モジュール326は第5アクチュエータ310に機能接続しており、第6油圧モジュール328は第6アクチュエータ312に機能接続しており、第7油圧モジュール330は第7アクチュエータ314に機能接続しており、第8油圧モジュール332は第8アクチュエータ316に機能接続している。
【0021】
いくつかの例においては、第1、第3、第5、及び、第7の油圧モジュール318、322、326、330のそれぞれは、第1構成を有する。また、第2、第4、第6、及び、第8の油圧モジュール320、324、328、332のそれぞれは、第2構成を有する。第1構成の油圧モジュールは、本明細書においては「HM1」油圧モジュールと呼ばれる。HM1油圧モジュールの実施例は、
図5~10に関連させて以下に説明する。第2構成の油圧モジュールは、本明細書においては「HM2」油圧モジュールと呼ばれる。HM2油圧モジュールの実施例は、
図11~14に関連させて以下に説明する。
【0022】
図3に示す分散型後縁翼フラップシステム300は、さらに、例示的な第1エンジン336により駆動される例示的な第1油圧システム334と、例示的な第2エンジン340により駆動される例示的な第2油圧システム338と、を含む。
図3に示す例においては、第1エンジン336は第1翼102に接続されており、第2エンジン340は、第2翼104に接続されている。第1エンジン336は、第1油圧システム334を駆動して、第3、第4、第7、及び、第8の油圧モジュール322、324、330、332のそれぞれに加圧作動流体を供給する。第2エンジン340は、第2油圧システム338を駆動して、第1、第2、第5、及び、第6の油圧モジュール318、320、326、328のそれぞれに加圧作動流体を供給する。
【0023】
図3に示す第1油圧システム334を介して第3、第4、第7、及び、第8の油圧モジュール322、324、330、332のそれぞれに供給される加圧作動流体は、第3、第4、第7、及び、第8のアクチュエータ306、308、314、316のうちの対応するアクチュエータに送給されて、これらの第3、第4、第7、及び、第8のアクチュエータ306、308、314、316を動作及び/又は駆動させる。第3、第4、第7、及び、第8のアクチュエータ306、308、314、316のそれぞれに含まれる加圧作動流体は、第3、第4、第7、及び、第8の油圧モジュール322、324、330、332のそれぞれを介して、第1油圧システム334に戻される。
図3に示す第2油圧システム338を介して第1、第2、第5、及び、第6の油圧モジュール318、320、326、328のそれぞれに供給される加圧作動流体は、第1、第2、第5、及び、第6のアクチュエータ302、304、310、312のうちの対応するアクチュエータに送給されて、これらの第1、第2、第5、及び、第6のアクチュエータ302、304、310、312を動作及び/又は駆動させる。第1、第2、第5、及び、第6のアクチュエータ302、304、310、312のそれぞれに含まれる加圧作動流体は、第1、第2、第5、及び、第6の油圧モジュール318、320、326、328のぞれぞれを介して、第2油圧システム338に戻される。
【0024】
図3に示す分散型後縁翼フラップシステム300は、さらに、例示的な第1REU342と、例示的な第2REU344と、例示的な第3REU346と、例示的な第4REU348と、例示的な第5REU350と、例示的な第6REU352と、例示的な第7REU354と、例示的な第8REU356と、を含む。いくつかの例においては、第1、第2、第3、及び、第4のREU342、344、346、348は、第1翼102内に設けられており、第5、第6、第7、及び、第8のREU350、352、354、356は第2翼104内に設けられている。
図3に示す例においては、第1REU342は、第1油圧モジュール318に機能接続(例えば、電気接続)しており、第2REU344は、第2油圧モジュール320に機能接続しており、第3REU346は、第3油圧モジュール322に機能接続しており、第4REU348は、第4油圧モジュール324に機能接続しており、第5REU350は、第5油圧モジュール326に機能接続しており、第6REU352は、第6油圧モジュール328に機能接続しており、第7REU354は、第7油圧モジュール330に機能接続しており、第8REU356は、第8油圧モジュール332に機能接続している。第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8のREU342、344、346、348、350、352、354、356のそれぞれは、
図4~14に関連させて以下により詳しく説明するように、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8の油圧モジュール318、320、322、324、326、328、330、332のうちの対応するモジュールを制御する。
【0025】
いくつかの例においては、第1REU342は、さらに、第1アクチュエータ302のアクチュエータ位置フィードバックセンサに機能接続(例えば、電気接続)しており、第2REU344は、さらに、第2アクチュエータ304のアクチュエータ位置フィードバックセンサに機能接続しており、第3REU346は、さらに、第3アクチュエータ306のアクチュエータ位置フィードバックセンサに機能接続しており、第4REU348は、さらに、第4アクチュエータ308のアクチュエータ位置フィードバックセンサに機能接続しており、第5REU350は、さらに、第5アクチュエータ310のアクチュエータ位置フィードバックセンサに機能接続しており、第6REU352は、さらに、第6アクチュエータ312のアクチュエータ位置フィードバックセンサに機能接続しており、第7REU354は、さらに、第7アクチュエータ314のアクチュエータ位置フィードバックセンサに機能接続しており、第8REU356は、さらに、第8アクチュエータ316のアクチュエータ位置フィードバックセンサに機能接続している。このような例においては、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8のREU342、344、346、348、350、352、354、356のそれぞれは、アクチュエータ位置フィードバックデータに基づいて、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8の油圧モジュール318、320、322、324、326、328、330、332のうちの対応する油圧モジュールを制御することができるが、このアクチュエータ位置フィードバックデータは、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8のREU342、344、346、348、350、352、354、356により、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8のアクチュエータ302、304、306、308、310、312、314、316の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8のアクチュエータ位置フィードバックセンサのうちの対応するセンサから取得される。これについては、
図4~14に関連させて以下に詳しく説明する。
【0026】
図3に示す分散型後縁翼フラップシステム300は、さらに、例示的な第1フラップ位置センサ358と、例示的な第2フラップ位置センサ360と、例示的な第3フラップ位置センサ362と、例示的な第4フラップ位置センサ364と、例示的な第5フラップ位置センサ366と、例示的な第6フラップ位置センサ368と、例示的な第7フラップ位置センサ370と、例示的な第8フラップ位置センサ372と、を含む。
図3に示す例においては、第1フラップ位置センサ358及び第2フラップ位置センサ360は、それぞれ、第1翼102の第1内側フラップ112に接続されている。第3フラップ位置センサ362及び第4フラップ位置センサ364は、それぞれ、第1翼102の第1外側フラップ114に接続されている。第5フラップ位置センサ366及び第6フラップ位置センサ368は、それぞれ、第2翼104の第2内側フラップ118に接続されている。第7フラップ位置センサ370及び第8フラップ位置センサ372は、それぞれ、第2翼104の第2外側フラップ120に接続されている。第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8のフラップ位置センサ358、360、362、364、366、368、370、372のそれぞれは、第1内側フラップ112、第1外側フラップ114、第2内側フラップ118、第2外側フラップ120のうちの対応するフラップの位置を感知、測定、及び/又は、検出する。例えば、第1フラップ位置センサ358及び第2フラップ位置センサ360は、それぞれ、第1翼102の第1固定後縁110に対する第1翼102の第1内側フラップ112の位置を感知、測定、及び/又は、検出する。
【0027】
図3に示す分散型後縁翼フラップシステム300は、さらに、例示的な第1FCEU374と、例示的な第2FCEU376と、例示的なフラップレバー378と、を含む。いくつかの例においては、
図3に示す第1FCEU374及び第2FCEU376は、航空機の胴体(例えば、
図1に示す航空機100の胴体106)の内部に設けられてもよく、また、
図3に示すフラップレバー378は、航空機のコックピット領域(例えば、
図1に示す航空機100のコックピット領域108)の内部に設けられてもよい。
図3に示す第1FCEU374及び第2FCEU376は、それぞれ、
図3に示すフラップレバー378から受け取る1つ以上の入力に基づいて制御及び/又は操作される。いくつかの例においては、フラップレバー378の位置は、第1内側フラップ112、第1外側フラップ114、第2内側フラップ118、及び/又は、第2外側フラップ120の所望及び/又は指示された位置及び/又は保持位置(例えば、退避した状態のフラップ、フラップ30(F30)、フラップ40(F40)など)に対応及び/又は関連している。
【0028】
図3に示す例においては、第1FCEU374は、例示的な第1データバス380を介して、第1、第2、第5、及び、第6のREU342、344、350、352に機能接続(例えば、電気接続)している。第1FCEU374は、第1データバス380を介して、第1、第2、第5、及び、第6のREU342、344、350、352とデータ(例えば、REU制御データ、油圧モジュール制御データ、アクチュエータ位置フィードバックセンサデータなど)の送受信を行うことができる。第1FCEU374は、さらに、第1、第2、第5、及び、第6のフラップ位置センサ358、360、366、368に機能接続(例えば、電気接続)している。第1FCEU374は、第1、第2、第5、及び、第6のフラップ位置センサ358、360、366、368からデータ(例えば、フラップ位置センサデータ)を受信する。
【0029】
第2FCEU376は、例示的な第2データバス382を介して、第3、第4、第7、及び、第8のREU346、348、354、356に機能接続(例えば、電気接続)している。第2FCEU376は、第2データバス382を介して、第3、第4、第7、及び、第8のREU346、348、354、356とデータ(例えば、REU制御データ、油圧モジュール制御データ、アクチュエータ位置フィードバックセンサデータなど)の送受信を行うことができる。第2FCEU376は、さらに、第3、第4、第7、及び、第8のフラップ位置センサ362、364、370、372に機能接続(例えば、電気接続)している。第2FCEU376は、第3、第4、第7、及び、第8のフラップ位置センサ362、364、370、372からデータ(例えば、フラップ位置センサデータ)を受信する。
【0030】
図3に示す例においては、第1FCEU374は、例示的な第1スイッチ384を制御して、第1エンジン336の例示的な第1発電機386によって生成された電力を、第1及び第5の油圧モジュール318、326に選択的に供給する。第2FCEU376は、例示的な第2スイッチ388を制御して、第2エンジン340の例示的な第2発電機390によって生成された電力を、第3及び第7の油圧モジュール322、330に選択的に供給する。先に簡単に説明し、且つ、本明細書でさらに説明するように、
図3に示す第1、第3、第5、及び、第7の油圧モジュール318、322、326、330は、HM1油圧モジュールとして実施することができる。
【0031】
いくつかの例においては、第1スイッチ384及び/又は第2スイッチ388は、
図3に示す第1油圧システム334の故障及び/又は第2油圧システム338の故障に続いて及び/又はこれに応答して、閉位置に動かされる。第1FCEU374が、第1スイッチ384を閉位置に動かすと、これに応答して、第1発電機386により生成された電力が、第1及び第5の油圧モジュール318、326に供給される。供給された電力により、第1及び第5の油圧モジュール318、326が、当該第1及び第5の油圧モジュール318、326に維持されている補助加圧作動流体を(例えば、流体補助供給器から)、第1アクチュエータ302及び第5アクチュエータ310にそれぞれ供給し、これにより、第1内側フラップ112及び第2内側フラップ118を所定位置(例えば、フラップ30(F30)、フラップ40(F40)など)に変位及び/又は駆動させる。第2FCEU376が、第2スイッチ388を閉位置に動かすと、これに応答して、第2発電機390によって生成された電力が、第3及び第7の油圧モジュール322、330にそれぞれ供給される。供給された電力により、第3及び第7の油圧モジュール322、330が、当該第3及び第7の油圧モジュール322、330に維持されている補助加圧作動流体を(例えば、流体補助供給器から)、第3アクチュエータ306及び第7アクチュエータ314にそれぞれ供給し、これにより、第1外側フラップ114及び第2外側フラップ120を所定位置(例えば、フラップ30(F30)、フラップ40(F40)など)に変位及び/又は駆動させる。
【0032】
図4は、
図3に示す例示的な分散型後縁翼フラップシステム300で実施可能な例示的なアクチュエータ402を示す概略図である。例えば、
図3に示す第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び/又は、第8のアクチュエータ302、304、306、308、310、312、314、316は、いずれも、
図4に示すアクチュエータ402によって実現することができる。
図4に示す例においては、アクチュエータ402は、例示的な第1端404と、当該第1端404の反対側に位置する例示的な第2端406と、例示的なシリンダ408と、例示的なピストン410と、例示的なバランス管412と、例示的な線形可変差動トランスデューサ(LVDT)414と、例示的なREU416と、例示的な第1流体空間418と、例示的な第2流体空間420と、例示的な第1ポート422と、例示的な第2ポート424と、を含む。
【0033】
図4に示す例においては、アクチュエータ402の第1端404は、翼フラップ(例えば、第1内側フラップ112、第1外側フラップ114、第2内側フラップ118、又は、第2外側フラップ120)に接続されており、アクチュエータ402の第2端406は、対応する翼(
図1及び3に示す第1翼102又は第2翼104)に接続されている。シリンダ408及びピストン410はそれぞれ固定長を有する。ピストン410は、シリンダ408内に配置、及び/又は、収容されており、シリンダ408に対して退避位置と延出位置との間で移動可能、及び/又は、摺動可能である。いくつかの例においては、
図4に示すアクチュエータ402は、ピストン410が、シリンダ408に対して退避位置にあるとき、第1長さを有しており、ピストン410が、シリンダ408に対して延出位置にあるとき、第1長さよりも長い第2長さを有する。
【0034】
図4に示すピストン410は、シリンダ408内の第1流体空間418と第2流体空間420との間に設けられている。
図4に示す例においては、ピストン410の形状は、当該ピストン410がバランス管412を取り囲み、これに外接し、及び/又は、これに支えられるように、環状である。
図4に示すLVDT414は、バランス管412及び/又はピストン410内に設けられている。LVDT414は、
図4に示すピストン410の位置(例えば、退避位置や延出位置など)を感知、測定、及び/又は、検出する。
図3に関連させて先に説明した第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び/又は、第8のアクチュエータ位置フィードバックセンサは、
図4に示すLVDT414によって実現することができる。
図4に示すLVDT414は、
図4に示すREU416に機能接続(例えば、電気接続)しており、REU416は、LVDT414により感知、測定、及び/又は、検出されたアクチュエータ位置のフィードバックデータを受信及び/又は取得することができる。
図4に示すREU416は、さらに、例示的な油圧モジュール426に機能接続(例えば、電気接続)している。
図4に示すREU416は、油圧モジュール426に関するループ閉鎖(loop closure)、故障検出、及び/又は、作動制御コマンドを制御及び/又は管理するための1つ以上のプロセッサを含む。いくつかの例においては、
図4に示すREU416は、
図4に示すアクチュエータ402に隣接して配置される。他の例においては、
図4に示すREU416は、
図4に示すアクチュエータ402に組み込まれていてもよい。
図3に示す第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び/又は、第8のREU342、344、346、348、350、352、354、356は、いずれも、
図4に示すREU416によって実現することができる。
【0035】
図4に示す第1流体空間418は、第1量の加圧作動流体を含む。
図4に示す例においては、第1流体空間418は、アクチュエータ402の第1ポート422と流体連通しており、シリンダ408、ピストン410、及び、バランス管412で囲まれている。
図4に示す第2流体空間420は、第1量の加圧作動流体とは隔離された第2量の加圧作動流体を含む。
図4に示す例においては、第2流体空間420は、アクチュエータ402の第2ポート424と流体連通しており、シリンダ408及びピストン410で囲まれている。
図4に示す第1流体空間418及び第2流体空間420は、ピストン410がバランス管412に支えられているため、若干不均衡である。いくつかの例においては、1つ以上のシールがピストン410に結合及び/又は配置されている。このような例においては、ピストン410のシールにより、ピストン410とシリンダ408との間、及び/又は、ピストン410とバランス管412との間に1つ以上の境界面が形成されるため、第1流体空間418と第2流体空間420とを隔離することができる。
【0036】
図4に示す第1流体空間418を増大させる(例えば、第1流体空間418の加圧作動流体の量を増大させる)と、
図4に示すピストン410が、
図4に示すシリンダ408に対して移動及び/又は摺動して、退避位置から延出位置へと動く。アクチュエータ402の第1端404に接続された翼フラップは、ピストン410が退避位置から延出位置へと移動すると、これに応答して、退避位置から展開位置へと変位する。
図4に示す例においては、第1流体空間418は、ピストン410が退避位置にあるときに最小となり、ピストン410が延出位置にあるときに最大となる。
【0037】
図4に示す第2流体空間420を増大させる(例えば、第2流体空間420の加圧作動流体の量を増大させる)と、
図4に示すピストン410が、
図4に示すシリンダ408に対して移動及び/又は摺動して、延出位置から退避位置へと動く。アクチュエータ402の第1端404に接続された翼フラップは、ピストン410が延出位置から退避位置へと移動すると、これに応答して、展開位置から退避位置へと移動する。
図4に示す例においては、第2流体空間420は、ピストン410が延出位置にあるときに最小となり、ピストン410が退避位置にあるときに最大となる。
【0038】
図4に示す油圧モジュール426は、
図4に示すアクチュエータ402に機能接続(例えば、流体連通)するととともに、
図4に示すREU416に機能接続(例えば、電気接続)している。
図4に示す例においては、油圧モジュール426は、例示的な供給ライン428と例示的な戻りライン430とを包含するか、これらと流体連通している。いくつかの例においては、供給ライン428及び戻りライン430は、航空機の油圧システム(例えば、
図3に示す第1油圧システム334、又は、第2油圧システム338)に関連付けられている。
【0039】
図4に示す油圧モジュール426は、供給ライン428を、アクチュエータ402の第1ポート422、又は、第2ポート424のいずれかと選択的に流体連通させて、アクチュエータ402の第1流体空間418、又は、第2流体空間420に加圧作動流体を選択的に供給する。
図4に示す油圧モジュール426は、さらに、戻りライン430を、アクチュエータ402の第1ポート422、又は、第2ポート424のいずれかと選択的に流体連通させて、アクチュエータ402の第1流体空間418、又は、第2流体空間420から加圧作動流体を選択的に受け取る。
図3に示す第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び/又は、第8の油圧モジュール318、320、322、324、326、328、330、332は、いずれも、
図4に示す油圧モジュール426によって実現することができる。いくつかの例においては、
図4に示す油圧モジュール426は、
図5~10に関連させて以下により詳しく説明するように、HM1油圧モジュールとして実施することができる。他の例においては、
図4に示す油圧モジュール426は、
図11~14に関連させて以下により詳しく説明するように、HM2油圧モジュールとして実施することができる。
【0040】
図5は、第1モードの例示的な第1動作状態500における例示的なHM1油圧モジュール502を示す概略図である。
図6は、第1モードの例示的な第2動作状態600における、
図5の例示的なHM1油圧モジュール502を示す概略図である。
図7は、第1モードの例示的な第3動作状態700における、
図5及び6の例示的なHM1油圧モジュール502を示す概略図である。
図8は、
図5~7の例示的なHM1油圧モジュール502が第2モードの例示的な動作状態800にある様子を示す概略図である。
図5~7に示す第1モードは、HM1油圧モジュール502、より一般的には、
図3に示す分散型後縁翼フラップシステム300の動作の正常モードに対応し、このモードでは、第1油圧システム334及び/又は第2油圧システム338が、正常状態及び/又は意図する状態に従って動作している。
図8に示す第2モードは、HM1油圧モジュール502、より一般的には、
図3に示す分散型後縁翼フラップシステム300の動作の故障モードに対応し、このモードでは、第1油圧システム334及び/又は第2油圧システム338が、正常状態及び/又は意図する状態に従って動作していない(これは、例えば、第1油圧システム334及び/又は第2油圧システム338に関連する圧力の部分的又は完全な消失により生じる)。
【0041】
図5~8に示す例においては、HM1油圧モジュール502は、例示的な電気油圧サーボバルブ(EHSV)504と、例示的なソレノイドバルブ(SOV)506と、例示的なモード選択バルブ(MSV)508とを含む。
図5~8に示すEHSV504は、入力電流の関数としてフローを生成する四方フロー制御弁である。EHSV504は、3つの制御ポートを有しており、これらの制御ポートは、例示的な第1制御ポート位置510(例えば、フラップ展開フロー位置)と、例示的な第2制御ポート位置512(例えば、フラップ退避フロー位置)と、例示的な第3制御ポート位置514(例えば、オフ領域(null region))との間で移動可能及び/又は駆動可能である。EHSV504は、例示的な第1バイアスばね516と、例示的なLVDT518とを包含するか、これらに接続している。第1バイアスばね516は、EHSV504の第1制御ポート位置510に、及び/又は、当該位置に向かってEHSV504を付勢する。LVDT518は、EHSV504の位置を感知、測定、及び/又は、検出する。
図5~8に示す例においては、EHSV504は、例示的なREU520に機能接続(例えば、電気接続)している。REU520は、EHSV504を、当該EHSV504の第1、第2、又は、第3の制御ポート位置510、512、514のうちの1つに、選択的に配置する。例えば、REU520は、第1バイアスばね516によって生成される付勢力に抗して、EHSV504を、第1制御ポート位置510から第2制御ポート位置512に動かすために、当該EHSV504に通電する。いくつかの例においては、REU520は、EHSV504の位置制御を行うために、当該EHSV504に制御信号を送信する。また、REU520は、当該REU520及びHM1油圧モジュール502に関連付けられたアクチュエータのLVDT(例えば、アクチュエータ402のLVDT414)から電気信号を受信する。
【0042】
図5~8に示すSOV506は、二位置弁であって、当該二位置弁は、例示的な第1パイロットポート位置522(例えば、正常パイロットフロー位置)と、例示的な第2パイロットポート位置524(例えば、転換パイロットフロー位置)との間で移動可能及び/又は駆動可能なパイロットポートを有する。SOV506は、例示的な第2バイアスばね526を包含するか、これに接続している。第2バイアスばね526は、SOV506の第2パイロットポート位置524に、及び/又は、当該位置に向かってSOV506を付勢する。
図5~8に示す例においては、SOV506は、REU520に機能接続(例えば、電気接続)している。REU520は、SOV506を、当該SOV506の第1又は第2のパイロットポート位置522、524のうちの一方に、選択的に配置する。例えば、REU520は、第2バイアスばね526によって生成された付勢力に抗して、SOV506が、第2パイロットポート位置524から第1パイロットポート位置522に移動するように、当該SOVに通電及び/又は電気的命令送信を行う。いくつかの例においては、REU520は、EHSV504のLVDT518からの電気位置信号と、EHSV504の算出位置との差異が、例えば、暴走(run-away)及び/又はアクチュエータの誤動作などにより、閾値(例えば、所定の閾値)を超えていることを検出及び/又は判断すると、これに応答して、SOV506への通電を停止することができる。
【0043】
MSV508は、二位置弁であって、当該二位置弁は、例示的な第1フローポート位置528(例えば、正常フロー位置)と、例示的な第2フローポート位置530(例えば、フロー阻止位置)との間で移動可能及び/又は駆動可能なフローポートを有する。MSV508は、例示的な第3バイアスばね532を包含するか、これに接続している。第3バイアスばね532は、MSV508の第2フローポート位置530に、及び/又は、当該位置に向かってMSV508を付勢する。
図5~8に示す例においては、MSV508は、
図5~8に示すSOV506に機能接続(例えば、流体連通)している。SOV506は、MSV508を、当該MSV508の第1又は第2のフローポート位置528、530のうちの一方に、選択的に配置する。例えば、SOV506は、加圧作動流体をMSV508に供給して、第3バイアスばね532により生成された付勢力に抗して、当該MSV508を、第2フローポート位置530から第1フローポート位置528に動かす。
【0044】
図5~8に示すHM1油圧モジュール502は、例示的な供給ライン534と例示的な戻りライン536とを包含するか、これらと流体連通している。いくつかの例においては、供給ライン534及び戻りライン536は、航空機の油圧システム(例えば、
図3に示す第1油圧システム334、又は、第2油圧システム338)に関連付けられている。
図5~8に示す例においては、供給ライン534は、EHSV504及びSOV506と流体連通している。戻りライン536は、EHSV504と流体連通している。
図5~8に示すHM1油圧モジュール502は、さらに、例示的な第1流体ライン538と例示的な第2流体ライン540とを包含するか、これらと流体連通している。
図5~8に示す例においては、第1流体ライン538は、MSV508と、アクチュエータの第1ポート及び/又は第1流体空間(例えば、
図4に示すアクチュエータ402の第1ポート422及び/又は第1流体空間418)と流体連通している。第2流体ライン540は、MSV508と、アクチュエータの第2ポート及び/又は第2流体空間(例えば、
図4に示すアクチュエータ402の第2ポート424及び/又は第2流体空間420)と流体連通している。
【0045】
図5~8に示すHM1油圧モジュール502は、さらに、第1流体ライン538と流体連通する例示的な第1圧力トランスデューサ542と、第2流体ライン540と流体連通する例示的な第2圧力トランスデューサ544とを含む。第1圧力トランスデューサ542は、第1流体ライン538における作動流体の圧力を感知、測定、及び/又は、検出して、検出された圧力を電気信号に変換する。第2圧力トランスデューサ544は、第2流体ライン540における作動流体の圧力を感知、測定、及び/又は、検出して、検出された圧力を電気信号に変換する。第1圧力トランスデューサ542や第2圧力トランスデューサ544により、及び/又は、これらから取得されるデータは、第1流体ライン538及び第2流体ライン540に機能接続されたアクチュエータの健全性、操作性、及び/又は、機能性を評価するために使用することができる。
【0046】
以下により詳細に説明するように、HM1油圧モジュール502のEHSV504、SOV506、及び/又は、MSV508を、移動及び/又は駆動することにより、供給ライン534を第1流体ライン538又は第2流体ライン540と選択的に流体連通させて、加圧作動流体を、アクチュエータの第1ポート又は第2ポート(
図4に示す、アクチュエータ402の第1ポート422又は第2ポート424)に選択的に供給することができる。また、HM1油圧モジュール502のEHSV504、SOV506、及び/又は、MSV508を、移動及び/又は駆動することにより、戻りライン536を第1流体ライン538又は第2流体ライン540と選択的に流体連通させて、加圧作動流体を、アクチュエータの第1ポート又は第2ポート(
図4に示す、アクチュエータ402の第1ポート422又は第2ポート424)から選択的に受け取ることができる。
【0047】
図5は、
図5~8のHM1油圧モジュール502が、第1モード、及び/又は、正常モードの第1動作状態500にあることを示す。
図5に示すように、EHSV504は、第1制御ポート位置510に配置され、SOV506は、第1パイロットポート位置522に配置され、MSV508は、第1フローポート位置528に配置されている。EHSV504は、REU520を介して電力及び/又は電気的命令を受け取って、第1制御ポート位置510に配置される。SOV506は、REU520を介して電力及び/又は電気的命令を受け取って、第1パイロットポート位置522に配置される。MSV508は、当該MSV508が、SOV506から受けるパイロット圧により、第1フローポート位置528に油圧駆動される。
【0048】
図5に示す例においては、供給ライン534からの加圧作動流体は、EHSV504及びMSV508を通過し、第1流体ライン538を通って、アクチュエータの第1ポートを介して当該アクチュエータの第1流体空間(
図4に示すアクチュエータ402の第1ポート422を介して第1流体空間418)に入る。アクチュエータのピストン(例えば、
図4に示すアクチュエータ402のピストン410)は、第1流体空間の拡大に応答して、退避位置から離れて延出位置へと移動する。退避位置から離れて延出位置へとピストンが移動することにより、アクチュエータの第2流体空間(例えば、
図4に示すアクチュエータ402の第2流体空間420)が小さくなる。第2流体空間が小さくなると、当該第2流体空間に含まれる加圧作動流体が、アクチュエータの第2ポート(例えば、
図4に示す第2ポート424)を介して、当該アクチュエータの第2流体空間から出て、第2流体ライン540を通り、MSV508及びEHSV504を通過し、戻りライン536へと入る。
【0049】
図6は、
図5~8のHM1油圧モジュール502が、第1モード、及び/又は、正常モードの第2動作状態600にあることを示す。
図6に示すように、EHSV504は、第2制御ポート位置512に配置され、SOV506は、第1パイロットポート位置522に配置され、MSV508は、第1フローポート位置528に配置されている。EHSV504は、REU520を介して電力及び/又は電気的命令を受け取って、第2制御ポート位置512に配置される。SOV506は、REU520を介して電力及び/又は電気的命令を受け取って、第1パイロットポート位置522に配置される。MSV508は、当該MSV508が、SOV506から受けるパイロット圧により、第1フローポート位置528に油圧駆動される。
【0050】
図6に示す例においては、供給ライン534からの加圧作動流体は、EHSV504及びMSV508を通過し、第2流体ライン540を通って、アクチュエータの第2ポートを介して当該アクチュエータの第2流体空間(
図4に示すアクチュエータ402の第2ポート424を介して第2流体空間420)に入る。アクチュエータのピストン(例えば、
図4に示すアクチュエータ402のピストン410)は、第2流体空間の拡大に応答して、延出位置から離れて退避位置へと移動する。延出位置から離れて退避位置へとピストンが移動することにより、アクチュエータの第1流体空間(例えば、
図4に示すアクチュエータ402の第1流体空間418)が小さくなる。第1流体空間が小さくなると、当該第1流体空間に含まれる加圧作動流体が、アクチュエータの第1ポート(例えば、
図4に示す第1ポート422)を介して、当該アクチュエータの第1流体空間から出て、第1流体ライン538を通り、MSV508及びEHSV504を通過し、戻りライン536へと入る。
【0051】
図7は、
図5~8のHM1油圧モジュール502が、第1モード、及び/又は、正常モードの第3動作状態700にあることを示す。
図7に示すように、EHSV504は、第3制御ポート位置514に配置され、SOV506は、第1パイロットポート位置522に配置され、MSV508は、第1フローポート位置528に配置されている。EHSV504は、REU520を介して電力及び/又は電気的命令を受け取って、第3制御ポート位置514に配置される。SOV506は、REU520を介して電力及び/又は電気的命令を受け取って、第1パイロットポート位置522に配置される。MSV508は、当該MSV508が、SOV506から受けるパイロット圧により、第1フローポート位置528に油圧駆動される。
【0052】
図7に示す例においては、EHSV504は、REU520により、第3制御ポート位置514に配置される。EHSV504は、この位置に配置されると、MSV508に対する制御フロー(control flow)がゼロとなり、負荷圧力降下(load pressure drop)もゼロとなる。EHSV504は、HM1油圧モジュール502に関連付けられた翼フラップに加えられる空圧負荷(aerodynamic load)に応答して、及び/又は、システムに(例えば、REU520、及び/又は、FCEUから)命令されたフラップ位置に応答して、第3制御ポート位置514から、第1制御ポート位置510又は第2制御ポート位置512に移動する。
【0053】
図8は、
図5~8のHM1油圧モジュール502が、第2モード、及び/又は、故障モードの動作状態800にあることを示す。動作状態800は、例えば、システムの電源遮断状態(例えば、航空機が地上で駐機中の状態)に関連して、或いは、油圧の故障(例えば、航空機の油圧システムの故障)又は電気的な故障(例えば、航空機のREUの故障)に関連して、生じうる。
図8に示すように、EHSV504は、第1制御ポート位置510に配置され、SOV506は、第2パイロットポート位置524に配置され、MSV508は、第2フローポート位置530に配置されている。REU520を介したEHSV504への通電の停止により、第1バイアスばね516が、EHSV504を第1制御ポート位置510に移動させることができる。REU520を介したSOV506への通電の停止により、第2バイアスばね526が、SOV506を第2パイロットポート位置524に移動させることができる。SOV506が第2パイロットポート位置524に配置されると、これに応答して、SOV506からMSV508に供給されるパイロット圧が方向転換され、及び/又は、失われる。パイロット圧の散逸及び/又は消失により、第3バイアスばね532が、MSV508を第2フローポート位置530に移動させる。
【0054】
図8に示す例においては、MSV508は、供給ライン534の加圧作動流体が第1流体ライン538に流れ込むのを阻止する。MSV508は、さらに、加圧作動流体が、第2流体ライン540から戻りライン536に流れ込むのを阻止する。これに応じて、アクチュエータの第1流体空間及び/又は第2流体空間(例えば、
図4のアクチュエータ402の第1流体空間418及び/又は第2流体空間420)に対する加圧作動流体のフローが遮断される。フローの遮断により、アクチュエータのピストン(例えば、
図4に示すアクチュエータ402のピストン410)の動きが妨げられる。これに応じて、ピストンの位置、及び/又は、当該ピストンが接続されている翼フラップの位置は、HM1油圧モジュール502が、
図8に示す第2モード、及び/又は、故障モードの動作状態800にあるとき、ロック、及び/又は、固定される。したがって、故障が生じた場合、それが油圧の故障であるか、電気的な故障であるかに関わらず、上記遮断により、最後に指示されたフラップ位置が維持される。
【0055】
上述した
図8に示すHM1油圧モジュール502の動作状態800は、
図5~8に示すHM1油圧モジュール502に電動LPUを組み込むことにより、回避及び/又は反転させることができる。いくつかの例においては、HM1油圧モジュール502のLPUは、第1油圧システム334及び/又は第2油圧システム338とは独立して動作する。例えば、HM1油圧モジュール502のLPUは、第1油圧システム334及び/又は第2油圧システム338が、正常状態及び/又は意図する状態に従って動作していない場合(これは、例えば、第1油圧システム334及び/又は第2油圧システム338に関連する圧力の部分的又は完全な消失により生じる)、HM1油圧モジュール502のEHSV504及びSOV506に対して、当該LPUにより生成及び/又は貯留されている加圧作動流体を供給することができる。LPUにより供給される加圧作動流体によって、第1油圧システム334及び/又は第2油圧システム338に関連する圧力が部分的又は完全に消失した後、アクチュエータのピストン及び/又は当該アクチュエータのピストンが接続された翼フラップの動きや位置決め能力を回復させることができる。したがって、LPUは、
図5~8に示すHM1油圧モジュール502が上述した
図8に示す動作状態800に入るのを防止、及び/又は、HM1油圧モジュール502が当該動作状態に入るのを回避させることができる。
【0056】
他の例においては、HM1油圧モジュール502のLPUは、第1油圧システム334及び/又は第2油圧システム338が、正常状態及び/又は意図する状態に従って動作している場合、HM1油圧モジュール502のEHSV504及びSOV506に対して、当該LPUにより生成及び/又は貯留されている加圧作動流体を供給することができる。このような例においては、LPUにより供給される加圧作動流体によって、第1油圧システム334及び/又は第2油圧システム338に関連する圧力が部分的又は完全に消失した後、アクチュエータのピストン及び/又は当該アクチュエータのピストンが接続された翼フラップの動きや位置決め能力を維持することができる。したがって、LPUは、
図5~8に示すHM1油圧モジュール502が、上述した
図8に示す動作状態800に入るのを防止することができる。
【0057】
図9は、
図5~8に示す例示的なHM1油圧モジュール502が例示的なLPU902を含み、例示的な第1動作状態900にある様子を示す概略図である。
図10は、
図5~9に示す例示的なHM1油圧モジュール502が例示的なLPU902を含み、例示的な第2動作状態1000にある様子を示す概略図である。
図9及び10に示すLPU902は、
図5~10に示すHM1油圧モジュール502のEHSV504及びSOV506の上流側に配置されている。
図9及び10に示す例においては、LPU902は、例示的な補助供給器904と、例示的な油圧ポンプ906と、例示的な電気モータ908と、例示的な補助供給ライン910と、例示的な補助戻りライン912と、例示的な第1逆止弁914と、を含む。
【0058】
図9及び10に示す例においては、補助供給器904は、所定量の加圧作動流体を貯留及び/又は収容している。いくつかの例においては、補助供給器904に貯留及び/又は収容された上記所定量の加圧作動流体は、アクチュエータの流体空間(例えば、
図4に示すアクチュエータ402の第1流体空間418又は第2流体空間420)に供給されたときに、アクチュエータのピストン(例えば、
図2に示すアクチュエータ402のピストン410)を、退避位置から延出位置に、又は、その逆に移動及び/又は駆動させるのに十分な量である。油圧ポンプ906は、補助供給器904と流体連通するとともに、電気モータ908に機能接続している。油圧ポンプ906は、さらに、補助供給ライン910及び補助戻りライン912と流体連通している。油圧ポンプ906は、電気モータ908により駆動される。電気モータ908、及び/又は、より一般的には、LPU902の電源が投入されると(例えば、以下に詳述する
図10の第2動作状態1000)、電気モータ908は、油圧ポンプ906を駆動させて、補助供給器904から補助供給ライン910に加圧作動流体を送り込む。
【0059】
図9及び10に示す例においては、補助供給ライン910は、第1逆止弁914を通過する。補助供給ライン910において、第1逆止弁914の下流側に位置する部分は、供給ライン534において、例示的な第2逆止弁916の下流側に位置する部分と流体連通している。油圧ポンプ906から補助供給ライン910を介して第1逆止弁914を通過した加圧作動流体は、当該第1逆止弁914により、補助供給ライン910を介して油圧ポンプ906に戻るのを阻止され、さらに、第2逆止弁916により、供給ライン534において、当該第2逆止弁916の上流側に位置する部分に入り込むのを阻止される。供給ライン534において、第2逆止弁916の上流側に位置する部分から第2逆止弁916を通過した加圧作動流体は、第2逆止弁916により、供給ライン534の上流部分に戻るのを阻止され、さらに、第1逆止弁914によって、補助供給ライン910を通過して油圧ポンプ906に流れるのを阻止される。
【0060】
図9及び10に示す電気モータ908は、航空機の例示的な電気システム918によって駆動されうる。電気システム918は、航空機の油圧システムとは独立しているため、航空機における1つ以上の油圧システムが故障した場合であっても動作することができる。電気システム918からの電流及び/又は電力は、例示的なスイッチ920を選択的に通過する。スイッチ920は、(
図9に示す)開位置と(
図10に示す)閉位置との間で作動可能である。スイッチ920の位置は、航空機の例示的なFCEU924内に配置された例示的な非対称モニタ(asymmetry monitor)922により制御することができる。
図9及び10に示す例においては、非対称モニタ922は、フラップ位置センサ(例えば、
図3に示すフラップ位置センサ358、360、362、364、366、368、370、372)から得られたフラップ位置データと、FCEU924により指示されたフラップ位置データとを比較することによって、翼フラップの非対称を検出する。非対称モニタ922が、閾値(例えば、所定の閾値)を超える非対称を検出すると、FCEU924は、スイッチ920を作動させて、航空機の電気システム918をLPU902の電気モータ908に接続する。
図9及び10に示すFCEU924は、さらに、
図9及び10に示すREU520内に配置された例示的なモータドライバ926に機能接続(例えば、電気接続)している。モータドライバ926は、
図9及び10に示す電気モータ908と機能接続するとともに、当該電気モータ908が油圧ポンプ906を駆動する速度を制御する。
【0061】
図9及び10に示すHM1油圧モジュール502は、上述したLPU902に加えて、さらに、例示的なシャトル弁928を含む。
図9及び10に示す例においては、シャトル弁928は、LPU902及び第2逆止弁916の上流側であって、航空機の例示的な油圧システム930の下流側に配置されている。シャトル弁928は、二位置弁であって、当該二位置弁は、例示的な第1フローポート位置932(例えば、正常フロー位置)と、例示的な第2フローポート位置934(例えば、フロー阻止位置)との間で移動可能及び/又は駆動可能なフローポートを有する。シャトル弁928は、例示的な第4バイアスばね936を包含するか、これに接続している。第4バイアスばね936は、シャトル弁928の第2フローポート位置934に、及び/又は、当該位置に向かってシャトル弁928を付勢する。
【0062】
図9及び10に示す例においては、シャトル弁928は、航空機の油圧システム930と機能接続(例えば、流体連通)している。油圧システム930は、シャトル弁928を、当該シャトル弁928の第1フローポート位置932又は第2フローポート位置934のいずれか一方に、選択的に配置する。例えば、油圧システム930は、第4バイアスばね936によって生成された付勢力に抗して、シャトル弁928を、第2フローポート位置934から第1フローポート位置932に移動させるために、加圧作動流体をシャトル弁928に供給する。油圧システム930が故障すると、当該油圧システム930を介してシャトル弁928に加圧作動流体が供給されなくなるため、第4バイアスばね936は、シャトル弁928を、当該シャトル弁928の第2フローポート位置934に再び付勢する。シャトル弁928が第2フローポート位置934に配置されると、EHSV504から戻ってくる作動流体は、シャトル弁928を通過して戻りライン536へと移動するのを阻止され、代わりに、補助戻りライン912を通って補助供給器904へと流れ込むように強制的に制御される。
【0063】
図9は、第1動作状態900における、
図5~10に示すHM1油圧モジュール502のLPU902を示す。
図9に示すように、シャトル弁928は、第1フローポート位置932に配置され、EHSV504は、第1制御ポート位置510に配置され、SOV506は、第1パイロットポート位置522に配置され、MSV508は、第1フローポート位置528に配置されている。シャトル弁928は、当該シャトル弁928が、油圧システム930から受けるパイロット圧により、第1フローポート位置932に油圧駆動される。EHSV504は、REU520を介して電力及び/又は電気的命令を受け取って、第1制御ポート位置510に配置される。SOV506は、REU520を介して電力及び/又は電気的命令を受け取って、第1パイロットポート位置522に配置される。MSV508は、当該MSV508が、SOV506から受けるパイロット圧により、第1フローポート位置528に油圧駆動される。
【0064】
図9に示すLPU902の第1動作状態900は、電気モータ908、及び/又は、より一般的にはLPU902の電源がオフの状態である。例えば、
図9に示すように、スイッチ920は開位置にある。したがって、電気システム918は、LPU902の電気モータ908と接続していない。電気モータ908は、電気システム918と接続していないため、LPU902の油圧ポンプ906を駆動することができない。したがって、油圧ポンプ906は、補助供給器904から補助供給ライン910に加圧作動流体を送り込むことができない。
【0065】
図9に示す例においては、供給ライン534からの加圧作動流体は、第2逆止弁916、EHSV504、MSV508、及び、第1流体ライン538を通過して、アクチュエータの第1ポートを介して当該アクチュエータの第1流体空間(
図4に示すアクチュエータ402の第1ポート422を介して第1流体空間418)に入る。アクチュエータのピストン(例えば、
図4に示すアクチュエータ402のピストン410)は、第1流体空間の拡大に応答して、退避位置から離れて延出位置へと移動する。退避位置から離れて延出位置へとピストンが移動することにより、アクチュエータの第2流体空間(例えば、
図4に示すアクチュエータ402の第2流体空間420)が小さくなる。第2流体空間が小さくなると、当該第2流体空間に含まれる加圧作動流体が、アクチュエータの第2ポート(例えば、
図4に示す第2ポート424)を介して、当該アクチュエータの第2流体空間から出て、第2流体ライン540を通り、MSV508、EHSV504、及び、シャトル弁928を通過し、戻りライン536へと入る。
【0066】
図10は、第2動作状態1000における、
図5~10に示すHM1油圧モジュール502のLPU902を示す。
図10に示すように、シャトル弁928は、第2フローポート位置934に配置され、EHSV504は、第1制御ポート位置510に配置され、SOV506は、第1パイロットポート位置522に配置され、MSV508は、第1フローポート位置528に配置されている。油圧システム930からの圧力が失われると、シャトル弁928は、第4バイアスばね936により第2フローポート位置934へと付勢される。EHSV504は、REU520を介して電力及び/又は電気的命令を受け取って、第1制御ポート位置510に配置される。SOV506は、REU520を介して電力及び/又は電気的命令を受け取って、第1パイロットポート位置522に配置される。MSV508は、当該MSV508が、SOV506から受けるパイロット圧により、第1フローポート位置528に油圧駆動される。
【0067】
図9に示すLPU902の第2動作状態1000は、電気モータ908、及び/又は、より一般的にはLPU902の電源がオンの状態である。例えば、
図10に示すように、スイッチ920は閉位置にある。したがって、電気システム918は、LPU902の電気モータ908と接続している。電気モータ908は、電気システム918と接続しているため、LPU902の油圧ポンプ906を駆動することができる。油圧ポンプ906は、電気モータ908によって駆動されると、補助供給器904から補助供給ライン910に加圧作動流体を送り込む。
【0068】
図10に示す例においては、補助供給ライン910からの加圧作動流体は、第1逆止弁914、EHSV504、MSV508、及び、第1流体ライン538を通過して、アクチュエータの第1ポートを介して当該アクチュエータの第1流体空間(
図4に示すアクチュエータ402の第1ポート422を介して第1流体空間418)に入る。アクチュエータのピストン(例えば、
図4に示すアクチュエータ402のピストン410)は、第1流体空間の拡大に応答して、退避位置から離れて延出位置へと移動する。退避位置から離れて延出位置へとピストンが移動することにより、アクチュエータの第2流体空間(例えば、
図4に示すアクチュエータ402の第2流体空間420)が小さくなる。第2流体空間が小さくなると、当該第2流体空間に含まれる加圧作動流体が、アクチュエータの第2ポート(例えば、
図4に示す第2ポート424)を介して、当該アクチュエータの第2流体空間から出て、第2流体ライン540を通り、MSV508、EHSV504、及び、補助戻りライン912を通過し、補助供給器904へと入る。
【0069】
いくつかの例においては、翼フラップ(例えば、第1内側フラップ112、第1外側フラップ114、第2内側フラップ118、及び、第2外側フラップ120)の位置を制御する油圧システムの部分的又は完全な故障の際、当該翼フラップを効果的に変位及び/又は駆動させるために必要なHM1油圧モジュールは、1つの翼フラップに対して1つのみの場合もある。このような例においては、翼フラップに関連付けられる油圧モジュールのうちの1つがHM1油圧モジュールとして実現され、当該翼フラップに関連付けられる追加の油圧モジュール(例えば、第2油圧モジュール、第3油圧モジュールなど)は、HM2油圧モジュールとして実現される。
図11~14に関連付けて以下で詳述するように、HM2油圧モジュールの構造は、HM1油圧モジュールの構造よりも単純である。例えば、HM2油圧モジュールは、LPUを有さなくてもよい。
【0070】
いくつかの例においては、翼フラップの外側に配置された第1アクチュエータは、HM1油圧モジュールに機能接続しており、当該翼フラップの内側に配置された第2アクチュエータは、HM2油圧モジュールに機能接続されている。例えば、上述した
図3に示す分散型後縁翼フラップシステム300の場合、第1及び第2の油圧モジュール318、320は、第1内側フラップ112に関連付けられ、第3及び第4の油圧モジュール322、324は、第1外側フラップ114に関連付けられ、第5及び第6の油圧モジュール326、328は、第2内側フラップ118に関連付けられ、第7及び第8の油圧モジュール330、332は、第2外側フラップ120に関連付けられる。このような例においては、第1、第3、第5、及び、第7の油圧モジュール318、322、326、330は、それぞれ、
図5~10に関連させて先に説明したように、HM1油圧モジュールとして実現され、また、第2、第4、第6、及び、第8の油圧モジュール320、324、328、332は、それぞれ、
図11~14に関連させて以下で説明するように、HM2油圧モジュールとして実現される。第1、第3、第5、及び、第7の油圧モジュール318、322、326、330は、それぞれ、第1、第3、第5、及び、第7のアクチュエータ302、306、310、314のうちの対応するアクチュエータと機能接続しており、これらの各々は、
図3に示す、第1内側フラップ112、第1外側フラップ114、第2内側フラップ118、及び、第2外側フラップ120のうちの対応するフラップの外側に配置されている。第2、第4、第6、及び、第8の油圧モジュール320、324、328、332は、それぞれ、第2、第4、第6、及び、第8のアクチュエータ304、308、312、316のうちの対応するアクチュエータと機能接続しており、これらの各々は、
図3に示す、第1内側フラップ112、第1外側フラップ114、第2内側フラップ118、及び、第2外側フラップ120のうちの対応するフラップの内側に配置されている。
【0071】
図11は、第1モードの例示的な第1動作状態1100における例示的なHM2油圧モジュール1102を示す概略図である。
図12は、第1モードの例示的な第2動作状態1200における、
図11の例示的なHM2油圧モジュール1102を示す概略図である。
図13は、第1モードの例示的な第3動作状態1300における、
図11及び12の例示的なHM2油圧モジュール1102を示す概略図である。
図14は、第2モードの例示的な動作状態1400における、
図11~13の例示的なHM2油圧モジュール1102を示す概略図である。
図11~13に示す第1モードは、HM2油圧モジュール1102の動作の正常モードに対応し、且つ、或いはこれに代えて、より一般的には、第1油圧システム334及び/又は第2油圧システム338が、正常状態及び/又は意図する状態に従って動作している際の、
図3に示す分散型後縁翼フラップシステム300に対応している。
図12に示す第2モードは、HM2油圧モジュール1102の動作の故障モードに対応し、且つ、或いはこれに代えて、より一般的には、第1油圧システム334及び/又は第2油圧システム338が、正常状態及び/又は意図する状態に従って動作していない場合の(これは、例えば、第1油圧システム334及び/又は第2油圧システム338に関連する圧力の部分的又は完全な消失により生じる)、
図3に示す分散型後縁翼フラップシステム300に対応している。
【0072】
図11~14の例においては、HM2油圧モジュール1102は、例示的なEHSV1104と、例示的なSOV1106と、例示的なMSV1108とを含む。
図11~14のEHSV1104は、入力電流の関数としてフローを生成する四方フロー制御弁である。EHSV1104は、3つの制御ポートを有しており、これらの制御ポートは、例示的な第1制御ポート位置1110(例えば、フラップ展開フロー位置)と、例示的な第2制御ポート位置1112(例えば、フラップ退避フロー位置)と、例示的な第3制御ポート位置1114(例えば、オフ領域(null region))との間で移動可能及び/又は駆動可能である。EHSV1104は、例示的な第1バイアスばね1116と、例示的なLVDT1118とを包含するか、これらに接続している。第1バイアスばね1116は、EHSV1104の第1制御ポート位置1110に、及び/又は、当該位置に向かってEHSV1104を付勢する。LVDT1118は、EHSV1104の位置を感知、測定、及び/又は、検出する。
図11~14に示す例においては、EHSV1104は、例示的なREU1120に機能接続(例えば、電気接続)している。REU1120は、EHSV1104を、当該EHSV1104の第1、第2、又は、第3の制御ポート位置1110、1112、1114のうちの1つに、選択的に配置する。例えば、REU1120は、第1バイアスばね1116によって生成される付勢力に抗して、EHSV1104を、第1制御ポート位置1110から第2制御ポート位置1112に動かすために、当該EHSV1104に通電する。いくつかの例においては、REU1120は、EHSV1104の位置制御を行うために、当該EHSV1104に制御信号を送信する。また、REU1120は、当該REU1120及びHM2油圧モジュール1102に関連付けられたアクチュエータのLVDT(例えば、アクチュエータ402のLVDT414)から電気信号を受信する。
【0073】
図11~14に示すSOV1106は、二位置弁であって、当該二位置弁は、例示的な第1パイロットポート位置1122(例えば、正常パイロットフロー位置)と、例示的な第2パイロットポート位置1124(例えば、転換パイロットフロー位置)との間で変位可能及び/又は駆動可能なパイロットポートを有する。SOV1106は、例示的な第2バイアスばね1126を包含するか、これに接続している。第2バイアスばね1126は、SOV1106の第2パイロットポート位置1124に、及び/又は、当該位置に向かってSOV1106を付勢する。
図11~14に示す例においては、SOV1106は、REU1120に機能接続(例えば、電気接続)している。REU1120は、SOV1106を、当該SOV1106の第1又は第2のパイロットポート位置1122、1124のうちの一方に、選択的に配置する。例えば、REU1120は、第2バイアスばね1126によって生成された付勢力に抗して、SOV1106が、第2パイロットポート位置1124から第1パイロットポート位置1122に移動するように、当該SOVに通電及び/又は電気的命令を出す。いくつかの例においては、REU1120は、EHSV1104のLVDT1118からの電気位置信号と、EHSV1104の算出位置との差異が、例えば、暴走及び/又はアクチュエータの誤動作などにより、閾値(例えば、所定の閾値)を超えることを検出及び/又は判断すると、これに応答して、SOV1106への通電を停止することができる。
【0074】
MSV1108は、二位置弁であって、当該二位置弁は、例示的な第1フローポート位置1128(例えば、正常フロー位置)と、例示的な第2フローポート位置1130(例えば、フロー阻止位置)との間で変位可能及び/又は駆動可能なフローポートを有する。MSV1108は、例示的な第3バイアスばね1132を包含するか、これに接続している。第3バイアスばね1132は、MSV1108の第2フローポート位置1130に、及び/又は、当該位置に向かってMSV1108を付勢する。
図11~14に示す例においては、MSV1108は、
図11~14に示すSOV1106に機能接続(例えば、流体連通)している。SOV1106は、MSV1108を、当該MSV1108の第1又は第2のフローポート位置1128、1130のうちの一方に、選択的に配置する。例えば、SOV1106は、加圧作動流体をMSV1108に供給して、第3バイアスばね1132により生成された付勢力に抗して、当該MSV1108を、第2フローポート位置1130から第1フローポート位置1128に動かす。
【0075】
図11~14に示すHM2油圧モジュール1102は、例示的な供給ライン1134と例示的な戻りライン1136とを包含するか、これらと流体連通している。いくつかの例においては、供給ライン1134及び戻りライン1136は、航空機の油圧システム(例えば、
図3に示す第1油圧システム334、又は、第2油圧システム338)に関連付けられている。
図11~14に示す例においては、供給ライン1134は、EHSV1104及びSOV1106と流体連通している。戻りライン1136は、EHSV1104と流体連通している。
図11~14に示すHM2油圧モジュール1102は、さらに、例示的な第1流体ライン1138と例示的な第2流体ライン1140とを包含するか、これらと流体連通している。
図11~14に示す例においては、第1流体ライン1138は、MSV1108と、アクチュエータの第1ポート及び/又は第1流体空間(例えば、
図4に示すアクチュエータ402の第1ポート422及び/又は第1流体空間418)と流体連通している。第2流体ライン1140は、MSV1108と、アクチュエータの第2ポート及び/又は第2流体空間(例えば、
図4に示すアクチュエータ402の第2ポート424及び/又は第2流体空間420)と流体連通している。
【0076】
以下により詳細に説明するように、HM2油圧モジュール1102のEHSV1104、SOV1106、及び/又は、MSV1108を、移動及び/又は駆動することにより、供給ライン1134を第1流体ライン1138又は第2流体ライン1140と選択的に流体連通させて、加圧作動流体を、アクチュエータの第1ポート又は第2ポート(
図4に示す、アクチュエータ402の第1ポート422又は第2ポート424)に選択的に供給することができる。また、HM2油圧モジュール1102のEHSV1104、SOV1106、及び/又は、MSV1108を、移動及び/又は駆動することにより、戻りライン1136を第1流体ライン1138又は第2流体ライン1140と選択的に流体連通させて、加圧作動流体を、アクチュエータの第1ポート又は第2ポート(
図4に示す、アクチュエータ402の第1ポート422又は第2ポート424)から選択的に受け取ることができる。
【0077】
図11は、
図11~14のHM2油圧モジュール1102が、第1モード、及び/又は、正常モードの第1動作状態1100にあることを示す。
図11に示すように、EHSV1104は、第1制御ポート位置1110に配置され、SOV1106は、第1パイロットポート位置1122に配置され、MSV1108は、第1フローポート位置1128に配置されている。EHSV1104は、REU1120を介して電力及び/又は電気的命令を受け取って、第1制御ポート位置1110に配置される。SOV1106は、REU1120を介して電力及び/又は電気的命令を受け取って、第1パイロットポート位置1122に配置される。MSV1108は、当該MSV1108が、SOV1106から受けるパイロット圧により、第1フローポート位置1128に油圧駆動される。
【0078】
図11に示す例においては、供給ライン1134からの加圧作動流体は、EHSV1104及びMSV1108を通過し、第1流体ライン1138を通って、アクチュエータの第1ポートを介して当該アクチュエータの第1流体空間(
図4に示すアクチュエータ402の第1ポート422を介して第1流体空間418)に入る。アクチュエータのピストン(例えば、
図4に示すアクチュエータ402のピストン410)は、第1流体空間の拡大に応答して、退避位置から離れて延出位置へと移動する。退避位置から離れて延出位置へとピストンが移動することにより、アクチュエータの第2流体空間(例えば、
図4に示すアクチュエータ402の第2流体空間420)が小さくなる。第2流体空間が小さくなると、当該第2流体空間に含まれる加圧作動流体が、アクチュエータの第2ポート(例えば、
図4に示す第2ポート424)を介して、当該アクチュエータの第2流体空間から出て、第2流体ライン1140を通り、MSV1108及びEHSV1104を通過し、戻りライン1136へと入る。
【0079】
図12は、
図11~14のHM2油圧モジュール1102が、第1モード、及び/又は、正常モードの第2動作状態1200にあることを示す。
図12に示すように、EHSV1104は、第2制御ポート位置1112に配置され、SOV1106は、第1パイロットポート位置1122に配置され、MSV1108は、第1フローポート位置1128に配置されている。EHSV1104は、REU1120を介して電力及び/又は電気的命令を受け取って、第2制御ポート位置1112に配置される。SOV1106は、REU1120を介して電力及び/又は電気的命令を受け取って、第1パイロットポート位置1122に配置される。MSV1108は、当該MSV1108が、SOV1106から受けるパイロット圧により、第1フローポート位置1128に油圧駆動される。
【0080】
図12に示す例においては、供給ライン1134からの加圧作動流体は、EHSV1104及びMSV1108を通過し、第2流体ライン1140を通って、アクチュエータの第2ポートを介して当該アクチュエータの第2流体空間(
図4に示すアクチュエータ402の第2ポート424を介して第2流体空間420)に入る。アクチュエータのピストン(例えば、
図4に示すアクチュエータ402のピストン410)は、第2流体空間の拡大に応答して、延出位置から離れて退避位置へと移動する。延出位置から離れて退避位置へとピストンが移動することにより、アクチュエータの第1流体空間(例えば、
図4に示すアクチュエータ402の第1流体空間418)が小さくなる。第1流体空間が小さくなると、当該第1流体空間に含まれる加圧作動流体が、アクチュエータの第1ポート(例えば、
図4に示す第1ポート422)を介して、当該アクチュエータの第1流体空間から出て、第1流体ライン1138を通り、MSV1108及びEHSV1104を通過し、戻りライン1136へと入る。
【0081】
図13は、
図11~14のHM2油圧モジュール1102が、第1モード、及び/又は、正常モードの第3動作状態1300にあることを示す。
図13に示すように、EHSV1104は、第3制御ポート位置1114に配置され、SOV1106は、第1パイロットポート位置1122に配置され、MSV1108は、第1フローポート位置1128に配置されている。EHSV1104は、REU1120を介して電力及び/又は電気的命令を受け取って、第3制御ポート位置1114に配置される。SOV1106は、REU1120を介して電力及び/又は電気的命令を受け取って、第1パイロットポート位置1122に配置される。MSV1108は、当該MSV1108が、SOV1106から受けるパイロット圧により、第1フローポート位置1128に油圧駆動される。
【0082】
図13に示す例においては、EHSV1104は、REU1120により、第3制御ポート位置1114に配置される。EHSV1104は、この位置に配置されると、MSV1108に対して、ゼロの負荷圧力降下でゼロの制御フローを供給する。EHSV1104は、HM2油圧モジュール1102に関連付けられた翼フラップに加えられる空圧負荷に応答して、及び/又は、システムに(例えば、REU1120、及び/又は、FCEUから)命令されたフラップ位置に応答して、第3制御ポート位置1114から、第1制御ポート位置1110又は第2制御ポート位置1112に移動する。
【0083】
図14は、
図11~14のHM2油圧モジュール1102が、第2モード、及び/又は、故障モードの動作状態1400にあることを示す。動作状態1400は、例えば、システムの電源遮断状態(例えば、航空機が地上で駐機中の状態)に関連するか、或いは、油圧の故障(例えば、航空機の油圧システムの故障)又は電気的な故障(例えば、航空機のREUの故障)に関連して、生じうる。
図14に示すように、EHSV1104は、第1制御ポート位置1110に配置され、SOV1106は、第2パイロットポート位置1124に配置され、MSV1108は、第2フローポート位置1130に配置されている。REU1120を介したEHSV1104への通電の停止により、第1バイアスばね1116が、EHSV1104を第1制御ポート位置1110に移動させることができる。REU1120を介したSOV1106への通電の停止により、第2バイアスばね1126が、SOV1106を第2パイロットポート位置1124に移動させることができる。SOV1106が第2パイロットポート位置1124に配置されると、これに応答して、SOV1106からMSV1108に供給されるパイロット圧が方向転換され、及び/又は、失われる。パイロット圧の散逸及び/又は消失により、第3バイアスばね1132が、MSV1108を第2フローポート位置1130に移動させる。
【0084】
図14に示す例においては、MSV1108は、供給ライン1134の加圧作動流体が第1流体ライン1138に流れ込むのを阻止する。MSV1108は、さらに、加圧作動流体が、第2流体ライン1140から戻りライン1136に流れ込むのを阻止する。アクチュエータの第1流体空間に含まれる加圧作動流体は、自由に当該第1流体空間から出て、第1流体ライン1138を通り、MSV1108及び第2流体ライン1140を通過し、前記アクチュエータの第2流体空間(
図4に示すアクチュエータ402の第2流体空間)に入る。同様に、アクチュエータの第2流体空間に含まれる加圧作動流体は、第2流体空間から出て、第2流体ライン1140を通り、MSV1108及び第1流体ライン1138を通過し、アクチュエータの第1流体空間へと入る。アクチュエータの第1流体空間と第2流体空間との間における加圧作動流体の無制限の出入及び/又はバイパスにより、アクチュエータのピストン(例えば、
図4のアクチュエータ402のピストン410)が自由に動くことができる。これに応じて、ピストンの位置、及び/又は、当該ピストンが接続されている翼フラップの位置は、HM2油圧モジュール1102が、
図14に示す第2モード、及び/又は、故障モードの動作状態1400にあるとき、自由に動くことができる。
【0085】
以上の記載から分かるように、本開示の分散型後縁翼フラップシステムは、航空機の油圧システムによる油圧駆動が可能であって、且つ、航空機の電気システムに選択的に接続されるローカル動力ユニット(LPU)による個別の油圧駆動が可能な、少なくとも1つのアクチュエータ(例えば、翼フラップ毎に1つのアクチュエータ)を含む点で、有利である。LPUは、航空機の電気システムに接続されると、航空機の油圧システムを介してアクチュエータに供給される加圧作動流体とは独立して当該アクチュエータに加圧作動流体を供給する点で有利である。したがって、LPUは、当該LPUが関連付けられた翼フラップの位置を変更及び/又は制御する航空機の能力を、回復及び/又は維持することができる(例えば、最後に指示された翼フラップの位置に当該翼フラップを動かす能力を、回復及び/又は維持することができる)。
【0086】
いくつかの開示された例においては、分散型後縁翼フラップシステムの各翼フラップは、航空機の油圧システムによる油圧駆動が可能であって、且つ、航空機の電気システムに選択的に接続されるLPUによる個別の油圧駆動が可能な、少なくとも1つのアクチュエータを含む。このような例においては、各LPUは、当該LPUが関連付けられた翼フラップの位置を変更及び/又は制御する航空機の能力を、回復及び/又は維持することができる(例えば、最後に指示された翼フラップの位置に当該翼フラップを動かす能力を、回復及び/又は維持することができる)点で有利である。このような例においては、分散型後縁翼フラップシステムは、それぞれの翼フラップの位置が非対称になるのを防止及び/又は抑制するためにLPUを用いる点で、有利である。
【0087】
いくつかの例においては、航空機のための翼フラップシステムが開示されている。いくつかの本開示の例においては、前記翼フラップシステムは、フラップとアクチュエータとを含む。いくつかの本開示の例においては、前記フラップは、前記航空機の翼の固定後縁に対して、展開位置と退避位置との間で変位可能である。いくつかの本開示の例においては、前記アクチュエータは、前記固定後縁に対して前記フラップを変位させる。いくつかの本開示の例においては、前記アクチュエータは、前記航空機の油圧システムにより供給される第1加圧作動流体による油圧駆動が可能である。いくつかの本開示の例においては、前記アクチュエータは、さらに、ローカル動力ユニットにより供給される第2加圧作動流体による油圧駆動が可能である。いくつかの本開示の例においては、前記ローカル動力ユニットは、前記航空機の電気システムに選択的に接続可能である。いくつかの本開示の例においては、前記電気システムは、前記第2加圧作動流体を供給するために前記ローカル動力ユニットに電力供給を行う。
【0088】
いくつかの本開示の例においては、前記アクチュエータは、前記第1加圧作動流体による油圧駆動が可能であることとは独立して、前記第2加圧作動流体による油圧駆動が可能である。
【0089】
いくつかの本開示の例においては、前記ローカル動力ユニットは、補助供給器と、前記補助供給器と流体連通する油圧ポンプと、前記油圧ポンプに機能接続する電気モータと、を含む。いくつかの本開示の例においては、前記第2加圧作動流体は、前記補助供給器に収容された所定量の作動流体を含む。いくつかの本開示の例においては、前記電気モータは、前記電気システムへの接続に応答して、前記アクチュエータに前記第2加圧作動流体を供給するために前記油圧ポンプを駆動する。
【0090】
いくつかの本開示の例においては、前記翼フラップシステムは、前記電気モータと前記電気システムとの間に機能配置されたスイッチをさらに含む。いくつかの本開示の例においては、前記スイッチは、開位置と閉位置との間で作動可能である。いくつかの本開示の例においては、前記電気モータは、前記スイッチが前記閉位置にあるときに前記電気システムに接続する。いくつかの本開示の例においては、前記スイッチは、前記航空機の飛行制御電子ユニットにより制御される。いくつかの本開示の例においては、前記フラップは、前記航空機の第1フラップである。いくつかの本開示の例においては、前記飛行制御電子ユニットは、前記第1フラップと、前記航空機の第2フラップとの間に、非対称閾値を超える非対称を検出すると、これに応答して、前記スイッチを前記開位置から前記閉位置に作動させる。
【0091】
いくつかの本開示の例においては、前記翼フラップシステムは、さらに、油圧モジュールと、遠隔電子ユニットと、飛行制御電子ユニットとを含む。いくつかの本開示の例においては、前記油圧モジュールは、前記アクチュエータと流体連通するように設けられている。いくつかの本開示の例においては、前記油圧モジュールは、前記ローカル動力ユニットを含む。いくつかの本開示の例においては、前記油圧モジュールは、さらに、前記航空機の前記油圧システムとも流体連通している。いくつかの本開示の例においては、前記遠隔電子ユニットは、前記油圧モジュールに設けられるとともに、前記油圧モジュールと電気接続している。いくつかの本開示の例においては、前記遠隔電子ユニットは、前記油圧モジュールを制御する。いくつかの本開示の例においては、前記飛行制御電子ユニットは、前記油圧モジュール及び前記遠隔電子ユニットから離れて設けられる。いくつかの本開示の例においては、前記飛行制御電子ユニットは、前記遠隔電子ユニットを制御する。
【0092】
いくつかの本開示の例においては、前記アクチュエータは、アクチュエータ位置フィードバックセンサを含む。いくつかの本開示の例においては、前記遠隔電子ユニットは、前記アクチュエータ位置フィードバックセンサにより感知されたアクチュエータ位置フィードバックデータを受信する。いくつかの本開示の例においては、前記フラップは、フラップ位置センサを含む。いくつかの本開示の例においては、前記飛行制御電子ユニットは、前記フラップ位置センサにより感知されたフラップ位置データを受信する。
【0093】
いくつかの本開示の例においては、前記アクチュエータは、第1アクチュエータである。いくつかの本開示の例においては、前記翼フラップシステムは、さらに、前記固定後縁に対して前記フラップを変位させるための第2アクチュエータを含む。いくつかの本開示の例においては、前記第2アクチュエータは、前記第1加圧作動流体による油圧駆動が可能である。いくつかの本開示の例においては、前記第2アクチュエータは、前記第1アクチュエータが前記ローカル動力ユニットにより供給される前記第2加圧作動流体を受け取っている間、自由に動くことができる。
【0094】
いくつかの例においては、航空機のための翼フラップシステムが開示されている。いくつかの本開示の例においては、前記翼フラップシステムは、それぞれの展開位置とそれぞれの退避位置との間で変位可能な第1、第2、第3、及び、第4のフラップを含む。いくつかの本開示の例においては、前記第1及び第2のフラップは、前記航空機の第1翼の第1固定後縁に対して変位可能である。前記第3及び第4のフラップは、前記航空機の第2翼の第2固定後縁に対して変位可能である。いくつかの本開示の例においては、前記翼フラップシステムは、さらに、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8のアクチュエータを含む。いくつかの本開示の例においては、前記第1及び第2のアクチュエータは、前記第1固定後縁に対して前記第1フラップを動かす。いくつかの本開示の例においては、前記第3及び第4のアクチュエータは、前記第1固定後縁に対して前記第2フラップを動かす。いくつかの本開示の例においては、前記第5及び第6のアクチュエータは、前記第2固定後縁に対して前記第3フラップを動かす。いくつかの本開示の例においては、前記第7及び第8のアクチュエータは、前記第2固定後縁に対して前記第4フラップを動かす。いくつかの本開示の例においては、前記第1、第2、第5、及び、第6のアクチュエータは、それぞれ、前記航空機の第1油圧システムにより供給される第1加圧作動流体による油圧駆動が可能である。いくつかの本開示の例においては、前記第3、第4、第7、及び、第8のアクチュエータは、それぞれ、前記航空機の第2油圧システムにより供給される第2加圧作動流体による油圧駆動が可能である。いくつかの本開示の例においては、前記翼フラップシステムは、さらに、第1、第2、第3、及び、第4のローカル動力ユニットを含む。いくつかの本開示の例においては、前記第1アクチュエータは、前記第1ローカル動力ユニットにより供給される第3加圧作動流体による独立した油圧駆動が可能である。いくつかの本開示の例においては、前記第3アクチュエータは、前記第2ローカル動力ユニットにより供給される第4加圧作動流体による独立した油圧駆動が可能である。いくつかの本開示の例においては、前記第5アクチュエータは、前記第3ローカル動力ユニットにより供給される第5加圧作動流体による独立した油圧駆動が可能である。いくつかの本開示の例においては、前記第7アクチュエータは、前記第4ローカル動力ユニットにより供給される第6加圧作動流体によって独立した油圧駆動が可能である。
【0095】
本開示における前記翼フラップシステムのいくつかの例においては、前記航空機は、フライ・バイ・ワイヤ飛行制御システムと、2つの独立した油圧システム及び2つの独立した電気システムを有する動力アーキテクチャと、を含む。
【0096】
いくつかの本開示の例においては、前記第1及び第3のローカル動力ユニットは、前記航空機の第1電気システムに選択的に接続可能である。いくつかの本開示の例においては、前記2及び第4のローカル動力ユニットは、前記航空機の第2電気システムに選択的に接続可能である。いくつかの本開示の例においては、前記第1電気システムは、前記第3及び第5の加圧作動流体をそれぞれ供給するために、前記第1及び第3のローカル動力ユニットに電力供給を行う。いくつかの本開示の例においては、前記第2電気システムは、前記第4及び第6の加圧作動流体をそれぞれ供給するために、前記第2及び第4のローカル動力ユニットに電力供給を行う。
【0097】
いくつかの本開示の例においては、前記第1ローカル動力ユニットは、補助供給器と、前記補助供給器と流体連通する油圧ポンプと、前記油圧ポンプに機能接続する電気モータと、を含む。いくつかの本開示の例においては、前記第3加圧作動流体は、前記補助供給器に収容された所定量の作動流体を含む。いくつかの本開示の例においては、前記電気モータは、前記第1電気システムへの接続に応答して、前記第1アクチュエータに前記第3加圧作動流体を供給するために前記油圧ポンプを駆動する。
【0098】
いくつかの本開示の例においては、前記翼フラップシステムは、前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8のアクチュエータに対応して流体連通するように設けられた第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8の油圧モジュールをさらに含む。いくつかの本開示の例においては、前記第1、第2、第5、及び、第6の油圧モジュールは、さらに、前記航空機の前記第1油圧システムとも流体連通している。いくつかの本開示の例においては、前記第3、第4、第7、及び、第8の油圧モジュールは、さらに、前記航空機の前記第2油圧システムとも流体連通している。いくつかの本開示の例においては、前記第1油圧モジュールは、前記第1ローカル動力ユニットを含む。いくつかの本開示の例においては、前記第3油圧モジュールは、前記第2ローカル動力ユニットを含む。いくつかの本開示の例においては、前記第5油圧モジュールは、前記第3ローカル動力ユニットを含む。いくつかの本開示の例においては、前記第7油圧モジュールは、前記第4ローカル動力ユニットを含む。
【0099】
いくつかの本開示の例においては、前記翼フラップシステムは、前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8の油圧モジュールに対応して電気接続するように設けられた第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8の遠隔電子ユニットをさらに含む。いくつかの本開示の例においては、前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8の遠隔電子ユニットは、それぞれ、前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8の油圧モジュールのうちの対応する油圧モジュールを制御する。
【0100】
いくつかの本開示の例においては、前記翼フラップシステムは、第1及び第2の飛行制御電子ユニットをさらに含み、前記第1及び第2の飛行制御電子ユニットは、前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8の油圧モジュールから離れて設けられるとともに、前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8の遠隔電子ユニットから離れて設けられている。いくつかの本開示の例においては、前記第1の飛行制御電子ユニットは、前記第1、第2、第5、及び、第6の遠隔電子ユニットを制御する。いくつかの本開示の例においては、前記第2の飛行制御電子ユニットは、前記第3、第4、第7、及び、第8の遠隔電子ユニットを制御する。
【0101】
さらに、本開示は、以下の付記による実施例を含む。
【0102】
付記1.航空機のための翼フラップシステムであって、
前記航空機の翼の固定後縁に対して、展開位置と退避位置との間で変位可能なフラップと、
前記固定後縁に対して前記フラップを変位させるためのアクチュエータと、を含み、前記アクチュエータは、前記航空機の油圧システムにより供給される第1加圧作動流体による油圧駆動、及び、ローカル動力ユニットにより供給される第2加圧作動流体による油圧駆動が可能であり、前記ローカル動力ユニットは、前記航空機の電気システムに選択的に接続可能であり、前記電気システムは、前記第2加圧作動流体を供給するために前記ローカル動力ユニットに電力供給を行う、翼フラップシステム。
【0103】
付記2.前記アクチュエータは、前記第1加圧作動流体による油圧駆動が可能であることとは独立して、前記第2加圧作動流体による油圧駆動が可能である、付記1に記載の翼フラップシステム。
【0104】
付記3.前記ローカル動力ユニットは、補助供給器と、前記補助供給器と流体連通する油圧ポンプと、前記油圧ポンプに機能接続する電気モータと、を含み、前記第2加圧作動流体は、前記補助供給器に収容された所定量の作動流体を含む、付記1又は2に記載の翼フラップシステム。
【0105】
付記4.前記電気モータは、前記電気システムへの接続に応答して、前記アクチュエータに前記第2加圧作動流体を供給するために前記油圧ポンプを駆動する、付記3に記載の翼フラップシステム。
【0106】
付記5.前記電気モータと前記電気システムとの間に機能配置されたスイッチをさらに含み、前記スイッチは、開位置と閉位置との間で作動可能であり、前記電気モータは、前記スイッチが前記閉位置にあるときに前記電気システムに接続する、付記3又は4に記載の翼フラップシステム。
【0107】
付記6.前記スイッチは、前記航空機の飛行制御電子ユニットにより制御される、付記5に記載の翼フラップシステム。
【0108】
付記7.前記フラップは、前記航空機の第1フラップであり、前記飛行制御電子ユニットは、前記第1フラップと、前記航空機の第2フラップとの間に、非対称閾値を超える非対称を検出すると、これに応答して、前記スイッチを前記開位置から前記閉位置に作動させる、付記6に記載の翼フラップシステム。
【0109】
付記8.前記アクチュエータと流体連通するように設けられた油圧モジュールであって、前記ローカル動力ユニットを含み、前記航空機の前記油圧システムとも流体連通している、油圧モジュールと、
前記油圧モジュールに設けられるとともに、前記油圧モジュールと電気接続し、且つ、前記油圧モジュールを制御する遠隔電子ユニットと、
前記油圧モジュール及び前記遠隔電子ユニットから離れて設けられるとともに、前記遠隔電子ユニットを制御する飛行制御電子ユニットと、をさらに含む、先行する付記のいずれかに記載の翼フラップシステム。
【0110】
付記9.前記アクチュエータは、アクチュエータ位置フィードバックセンサを含み、前記遠隔電子ユニットは、前記アクチュエータ位置フィードバックセンサにより感知されたアクチュエータ位置フィードバックデータを受信する、付記8に記載の翼フラップシステム。
【0111】
付記10.前記フラップは、フラップ位置センサを含み、前記飛行制御電子ユニットは、前記フラップ位置センサにより感知されたフラップ位置データを受信する、付記8又は9に記載の翼フラップシステム。
【0112】
付記11.前記アクチュエータは、第1アクチュエータであって、前記翼フラップシステムは、前記固定後縁に対して前記フラップを変位させるための第2アクチュエータをさらに含み、前記第2アクチュエータは、前記第1加圧作動流体による油圧駆動が可能である、先行する付記のいずれかに記載の翼フラップシステム。
【0113】
付記12.前記第2アクチュエータは、前記第1アクチュエータが前記ローカル動力ユニットにより供給される前記第2加圧作動流体を受け取っている間、自由に動くことができる、付記11に記載の翼フラップシステム。
【0114】
付記13.航空機のための翼フラップシステムであって、
それぞれの展開位置とそれぞれの退避位置との間で変位可能な第1、第2、第3、及び、第4のフラップと、
第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8のアクチュエータと、
第1、第2、第3、及び、第4のローカル動力ユニットと、を含み、
前記第1及び第2のフラップは、前記航空機の第1翼の第1固定後縁に対して変位可能であり、前記第3及び第4のフラップは、前記航空機の第2翼の第2固定後縁に対して変位可能であり、
前記第1及び第2のアクチュエータは、前記第1固定後縁に対して前記第1フラップを動かし、前記第3及び第4のアクチュエータは、前記第1固定後縁に対して前記第2フラップを動かし、前記第5及び第6のアクチュエータは、前記第2固定後縁に対して前記第3フラップを動かし、前記第7及び第8のアクチュエータは、前記第2固定後縁に対して前記第4フラップを動かし、前記第1、第2、第5、及び、第6のアクチュエータは、それぞれ、前記航空機の第1油圧システムにより供給される第1加圧作動流体による油圧駆動が可能であり、前記第3、第4、第7、及び、第8のアクチュエータは、それぞれ、前記航空機の第2油圧システムにより供給される第2加圧作動流体による油圧駆動が可能であり、
前記第1アクチュエータは、前記第1ローカル動力ユニットにより供給される第3加圧作動流体による独立した油圧駆動が可能であり、前記第3アクチュエータは、前記第2ローカル動力ユニットにより供給される第4加圧作動流体による独立した油圧駆動が可能であり、前記第5アクチュエータは、前記第3ローカル動力ユニットにより供給される第5加圧作動流体による独立した油圧駆動が可能であり、前記第7アクチュエータは、前記第4ローカル動力ユニットにより供給される第6加圧作動流体によって独立した油圧駆動が可能である、翼フラップシステム。
【0115】
付記14.前記航空機は、フライ・バイ・ワイヤ飛行制御システムと、2つの独立した油圧システム及び2つの独立した電気システムを有する動力アーキテクチャと、を含む、付記13に記載の翼フラップシステム。
【0116】
付記15.前記第1及び第3のローカル動力ユニットは、前記航空機の第1電気システムに選択的に接続可能であり、前記2及び第4のローカル動力ユニットは、前記航空機の第2電気システムに選択的に接続可能であり、前記第1電気システムは、前記第3及び第5の加圧作動流体をそれぞれ供給するために、前記第1及び第3のローカル動力ユニットに電力供給を行い、前記第2電気システムは、前記第4及び第6の加圧作動流体をそれぞれ供給するために、前記第2及び第4のローカル動力ユニットに電力供給を行う、付記13又は14に記載の翼フラップシステム。
【0117】
付記16.前記第1ローカル動力ユニットは、補助供給器と、前記補助供給器と流体連通する油圧ポンプと、前記油圧ポンプに機能接続する電気モータと、を含み、前記第3加圧作動流体は、前記補助供給器に収容された所定量の作動流体を含む、付記15に記載の翼フラップシステム。
【0118】
付記17.前記電気モータは、前記第1電気システムへの接続に応答して、前記第1アクチュエータに前記第3加圧作動流体を供給するために前記油圧ポンプを駆動する、付記16に記載の翼フラップシステム。
【0119】
付記18.前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8のアクチュエータに対応して流体連通するように設けられた第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8の油圧モジュールをさらに含み、前記第1、第2、第5、及び、第6の油圧モジュールは、さらに、前記航空機の前記第1油圧システムとも流体連通しており、前記第3、第4、第7、及び、第8の油圧モジュールは、さらに、前記航空機の前記第2油圧システムとも流体連通しており、前記第1油圧モジュールは、前記第1ローカル動力ユニットを含み、前記第3油圧モジュールは、前記第2ローカル動力ユニットを含み、前記第5油圧モジュールは、前記第3ローカル動力ユニットを含み、前記第7油圧モジュールは、前記第4ローカル動力ユニットを含む、付記13~17のいずれかに記載の翼フラップシステム。
【0120】
付記19.前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8の油圧モジュールに対応して電気接続するように設けられた第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8の遠隔電子ユニットをさらに含み、前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8の遠隔電子ユニットは、それぞれ、前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8の油圧モジュールのうちの対応する油圧モジュールを制御する、付記18に記載の翼フラップシステム。
【0121】
付記20.第1及び第2の飛行制御電子ユニットをさらに含み、前記第1及び第2の飛行制御電子ユニットは、前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8の油圧モジュールから離れて設けられるとともに、前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8の遠隔電子ユニットから離れて設けられており、前記第1の飛行制御電子ユニットは、前記第1、第2、第5、及び、第6の遠隔電子ユニットを制御し、前記第2の飛行制御電子ユニットは、前記第3、第4、第7、及び、第8の遠隔電子ユニットを制御する、付記19に記載の翼フラップシステム。
【0122】
方法、装置、及び、物品の特定の例について開示したが、本特許出願の範囲は、これらの例に限定されない。むしろ、本特許出願は、請求の範囲に包含されて然るべき全ての方法、装置、物品を網羅するものである。