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特許7245650微孔質通気性フィルムおよび微孔質通気性フィルムの形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】微孔質通気性フィルムおよび微孔質通気性フィルムの形成方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 67/20 20060101AFI20230316BHJP
   A61F 13/514 20060101ALI20230316BHJP
   B29C 41/26 20060101ALI20230316BHJP
   B29C 48/00 20190101ALI20230316BHJP
   B29C 48/305 20190101ALI20230316BHJP
   B29C 48/32 20190101ALI20230316BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20230316BHJP
   B32B 5/28 20060101ALI20230316BHJP
   B32B 27/08 20060101ALI20230316BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20230316BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20230316BHJP
   C08J 9/00 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
B29C67/20 B
A61F13/514 100
A61F13/514 210
B29C41/26
B29C48/00
B29C48/305
B29C48/32
B32B5/18 101
B32B5/28 101
B32B27/08
B32B27/20 Z
B32B27/32 Z
C08J9/00 A CES
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018521194
(86)(22)【出願日】2016-07-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-09-27
(86)【国際出願番号】 US2016041617
(87)【国際公開番号】W WO2017011341
(87)【国際公開日】2017-01-19
【審査請求日】2019-07-04
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】62/191,010
(32)【優先日】2015-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/233,128
(32)【優先日】2015-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513318537
【氏名又は名称】ベリー グローバル,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BERRY GLOBAL,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー アラン ミドルスウォース
(72)【発明者】
【氏名】ブルック ディー. キッツミラー
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー ソネンターグ
【合議体】
【審判長】松波 由美子
【審判官】河原 正
【審判官】清水 康司
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-536110(JP,A)
【文献】特開2002-146070(JP,A)
【文献】特表2003-526710(JP,A)
【文献】特開2006-199786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 44/00-44/60
B29C 67/20
C08J 9/00-9/42
A61F 3/13-15/64
B01J 20/00-20/34
B29C 48/00-48/96
B29C 41/00-41/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微孔質通気性フィルムの形成プロセスであって、
ポリオレフィンおよび無機充填材を含む組成物を押出して溶融ウェブを形成するステップ、
エアナイフ、エアブランケット、真空チャンバ、または、これらの組み合わせを用いて、ニップを用いずに、前記溶融ウェブをチルロールの表面にキャストして急冷フィルムを形成するステップ、ならびに
前記急冷フィルムを延伸して前記微孔質通気性フィルムを形成するステップ
を含み、
前記延伸は、横方向かみ合いギア(CD-IMG)延伸、および、縦方向(MD)延伸を含み、縦方向かみ合いギア(MD-IMG)延伸を含まず、
前記微孔質通気性フィルムは12gsm未満の坪量および少なくとも125%の最大時の縦方向でのひずみを有する、プロセス。
【請求項2】
前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、または、これらの組み合わせを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記ポリオレフィンが、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、または、これらの組み合わせを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記ポリオレフィンが直鎖低密度ポリエチレンを含み、前記直鎖低密度ポリエチレンがメタロセンポリエチレンを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記ポリオレフィンがポリプロピレンを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記無機充填材が、前記微孔質通気性フィルムの30%~75重量%を構成する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記無機充填材の平均粒径が0.1ミクロン~15ミクロンである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記無機充填材が、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、アルミナ、雲母、タルク、シリカ、クレイ、ガラス球、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、ゼオライトおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記無機充填材が、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ土類金属硫酸塩、または、これらの組み合わせを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記チルロールを通過する冷却液の出口温度が華氏50度~華氏130度である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記延伸の少なくとも一部が、華氏60度~華氏200度の温度で行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記微孔質通気性フィルムをアニーリングするステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記微孔質通気性フィルムをアニーリングするステップをさらに含み、ここで、前記アニーリングが華氏75度~華氏225度の温度で行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
多層通気性バリアフィルムの製造方法であって、
多層通気性バリアフィルムは、
なくとも1層の微孔質通気性フィルム層と、
引湿性ポリマーを含む少なくとも1層の透湿性バリア層と、
なくとも1層の追加の微孔質通気性フィルムとを含み、
前記少なくとも1層の微孔質通気性フィルム層および前記少なくとも1層の追加の微孔質通気性フィルム層が同一であるかまたは異なり、ならびに
前記少なくとも1層の透湿性バリア層が、前記少なくとも1層の微孔質通気性フィルム層と前記少なくとも1層の追加の微孔質通気性フィルムとの間に配置され
多層通気性バリアフィルムの製造方法は、
前記少なくとも1層の微孔質通気性フィルム層を、請求項1に記載のプロセスで製造するステップと、
前記少なくとも1層の追加の微孔質通気性フィルム層を、請求項1に記載のプロセスで製造するステップと、
を含む、多層通気性バリアフィルムの製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年9月25日に出願の米国仮特許出願第62/233,128号明細書、および、2015年7月10日出願の米国仮特許出願第62/191,010号明細書の利益を主張する。これらの優先権に係る両書面の内容はすべて本明細書において参照により援用されるが、ただし、本明細書に係る開示または定義に何らかの矛盾がある場合には、本明細書における開示または定義が優先されるとみなされるべきである。
【背景技術】
【0002】
本開示は高分子材料に関し、特に高分子フィルムに関する。より具体的には、本開示は、高分子材料および充填材から形成される微孔質通気性フィルムに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示によれば、微孔質通気性フィルムは製造プロセスを用いて形成される。この製造プロセスは、組成物を押出して溶融ウェブを形成するステップ、溶融ウェブをキャストして急冷フィルムを形成するステップ、および、急冷フィルムを延伸して微孔質通気性フィルムを形成するステップを含む。
【0004】
例示的実施形態において、押出されて溶融ウェブを形成する組成物は、ポリオレフィンおよび無機充填材を含む。急冷フィルムは、真空チャンバおよび/またはエアのブロー(例えば、エアナイフおよび/またはエアブランケット)を用いて溶融ウェブをチルロールの表面にキャストすることにより形成される。
【0005】
例示的実施形態において、ポリオレフィンとポリオレフィン中に分散された無機充填材とを含む微孔質通気性フィルムは、約14gsm未満の坪量を有する。微孔質通気性フィルムはまた、少なくとも約75グラムのダート衝撃強度を有する。
【0006】
例示的実施形態において、多層通気性バリアフィルムは、少なくとも1層の本開示の微孔質通気性フィルム層と少なくとも1層の透湿性バリア層とを含む。少なくとも1層の透湿性バリア層は引湿性ポリマーを含む。
【0007】
例示的実施形態において、個人向け衛生製品は、少なくとも1層の内側微孔質通気性フィルムおよび少なくとも1層の外側不織層を含む。少なくとも1層の内側微孔質通気性フィルムは、個人向け衛生製品の使用者の皮膚および/または衣服に接触するよう構成されている。
【0008】
本開示の追加の特性は、ここに認められる本開示の実施のベストモードを例示する例示的な実施形態の考察において、当業者に明らかとなるであろう。
【0009】
詳細な説明では、特に添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、1つの層を含む微孔質通気性フィルムの代表的な実施形態を示す図である。
図2図2は、高分子フィルムの縦方向(MD)延伸に係る例示的プロセスを示す図である。
図3図3は、高分子フィルムの横方向(CD)延伸に係る例示的プロセスを示す図である。
図4図4は、高分子フィルムのかみ合いギア(IMG)延伸に係る例示的プロセスを示す図である。
図5図5は、真空チャンバを用いるチルロールへの溶融ウェブのキャストに係る例示的プロセスを示す図である。
図6図6は、エアナイフを用いるチルロールへの溶融ウェブのキャストに係る例示的プロセスを示す図である。
図7図7は、3つの層を含む多層通気性バリアフィルムの代表的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示に係る微孔質通気性フィルム2の第1の実施形態を、例えば図1に示す。微孔質通気性フィルム2は、熱可塑性ポリマー4と熱可塑性ポリマー4中に分散された固体充填材6とを含む。いくつかの実施形態において、微孔質通気性フィルム2は、2種以上の熱可塑性ポリマー4の組み合わせ、および/または、2種以上の固体充填材6の組み合わせを含む。図1に示されているとおり、微孔質通気性フィルム2は、熱可塑性ポリマー樹脂4中に形成された、微細孔8の相互に連結したネットワークを含む。平均的には、微細孔8は、典型的な水滴のサイズよりも小さいが、水蒸気分子よりも大きなサイズのものである。その結果、微細孔8は、水蒸気の通過は許容するが、液体の水の流通は最低限とするか遮断する。微孔質通気性フィルム2を通る2つの代表的な水蒸気の通過経路が、図1に破線10および12で示されている。
【0012】
熱可塑性ポリマー4と熱可塑性ポリマー4中に分散された固体充填材6とを含有する前駆体フィルムは、キャストフィルムプロセスまたはインフレーションフィルムプロセスにより製造され得る。次いで、このように製造されたフィルムは、1つまたは複数の延伸プロセスにより延伸され得る。延伸プロセスでは、高分子材料中に分散されている固体充填材の表面から高分子材料が移動して(例えば、引き剥がされて)、微細孔8が形成される。
【0013】
一例において、延伸は、簡略化した概略的形態で図2に示されているものと同様のプロセスによる縦方向(MD)への配向によって達成され得る。例えば、図2に示されているフィルム14は、矢印15の方向に少なくとも二対のローラ間に通され得る。この例においては、第1のローラ16および第1のニップ20は、第2のローラ18および第2のニップ22の速度(V)よりも遅い速度(V)で回転される。V/Vの比によって、フィルム14が延伸される程度が決定される。ローラの表面には滑りを防止するのに十分なドラグが存在し得るため、代替的に、このプロセスはこれらのニップを開放した状態で行ってもよい。それ故、図2において示されているプロセスにおいて、第1のニップ20および第2のニップ22は任意選択である。
【0014】
他の例において、延伸は、簡略化した概略的形態で図3に示されているものと同様のプロセスによる横断方向または横方向(CD)への延伸によって達成され得る。例えば、図3に示されているフィルム24は、幅出機において両方向矢印30の方向に横向きに延伸されながら、矢印28の方向に移動され得る。幅出機は、フィルム24を側縁部に沿って把持するよう構成された複数のアタッチメントメカニズム26を備える。
【0015】
さらなる例において、延伸は、簡略化した概略的形態で図4に示されているものと同様のプロセスによるかみ合いギア(IMG)延伸によって達成され得る。例えば、フィルム32は、図4に示されている溝または歯付きの一対のローラ間を矢印33の方向に移動され得る。一例において、第1の歯付きローラ34は時計回り方向に回転され得、他方で、第2の歯付きローラ36は反時計回り方向に回転され得る。ローラ34および36の1つまたは複数の歯がフィルム32に接触する箇所の各々において、局所的に応力が印加されてフィルム32が延伸され、これにより、フィルム32中に、図1に示されている微細孔8と同様に相互に連結した微細孔が導入され得る。IMG延伸を用いることにより、フィルム32は、縦方向(MD)、横方向(CD)、MDに対して斜めの角度、または、いずれかのこれらの組み合わせで延伸され得る。
【0016】
熱可塑性ポリマー4と、ポリマー4中に分散された固体充填材6とを含有し、延伸されて本開示に係る微孔質通気性フィルム2が形成される前駆体フィルムは、熱可塑性ポリマー4(または、熱可塑性ポリマー4の組み合わせ)、固体充填材6、および、いずれかの任意選択の成分を混和するまで一緒に混合し、この混合物を加熱し、次いで、混合物を押出して溶融ウェブを形成することにより調製され得る。好適なフィルム-形成プロセスを用いることで、微孔質通気性フィルムを形成する経路において前駆体フィルムを形成し得る。例えば、前駆体フィルムは、ブローフィルム、共押出し成形または単層押出し成形技術等を用いるキャストまたは押出し成形によって製造され得る。一例において、前駆体フィルムは、本開示に係るその後の延伸のために、巻取ロールに巻き取られ得る。他の例において、前駆体フィルムは、図2~4の1つまたは複数に示されているものなどのフィルム延伸装置においてインラインで製造され得る。
【0017】
1種または複数種の熱可塑性ポリマーおよび固体充填材に追加して、前駆体フィルムはまた、フィルム特性またはフィルムの加工性を向上させるために他の任意選択の成分を含有していてもよい。代表的な任意選択の成分としては、これらに限定されないが、抗酸化剤(例えば、ポリマーの分解を防止し、および/または、経時的に変色するフィルムの傾向を低減させるために添加される)および加工助剤(例えば、前駆体フィルムの押出し成形を容易とするために添加される)が挙げられる。一例において、前駆体フィルム中の1種または複数種の抗酸化剤の量は、フィルムの約1重量%未満であり、1種または複数種の加工助剤の量は、フィルムの約5重量%未満である。追加の任意選択の添加剤としては、これらに限定されないが、フィルムの不透過率を高めるために添加され得る白化剤(例えば、二酸化チタン)が挙げられる。一例において、1種または複数種の白化剤の量は、フィルムの約10重量%未満である。さらなる任意選択の成分としては、これらに限定されないが、ブロッキング防止剤(例えば、珪藻土)、および、スリップ剤(例えば、エルシルアミドとしても知られるエルカ酸アミド)(これは、フィルムロールの適切な巻出しを可能として、二次加工(例えば、おむつの製造)を容易とするために添加され得る)が挙げられる。一例において、1種または複数種のブロッキング防止剤および/または1種または複数種のスリップ剤の量は、フィルムの約5重量%未満である。さらなる追加の任意選択の添加剤としては、これらに限定されないが、芳香剤、脱臭剤、白以外の顔料、騒音低減剤等、および、これらの組み合わせが挙げられる。一例において、1種または複数種の芳香剤、脱臭剤、白以外の顔料、および/または、騒音低減剤の量は、フィルムの約10重量%未満である。
【0018】
延伸の前においては、前駆体フィルムは、約100グラム/平方メートル(gsm)未満の初期坪量を有し得る。一例において、前駆体フィルムは約75gsm未満の初期坪量を有する。前駆体フィルムは単層フィルムであり得、この場合には、前駆体フィルムは、熱可塑性ポリマー(または熱可塑性ポリマーの組み合わせ)および固体充填材(または固体充填材の組み合わせ)をその全体に含む。他の例において、前駆体フィルムは、図7において示唆されているとおり多層フィルムであり得る。
【0019】
一例において、開示に係る微孔質通気性フィルム2は、インフレーションフィルムプロセスにより形成される。他の例において、本開示に係る微孔質通気性フィルム2はキャストフィルムプロセスにより形成される。キャストフィルムプロセスでは、押出し成形ダイを通して薄いフィルムを形成する溶融ポリマーの押出し成形が行われる。フィルムは、エアナイフ、エアブランケットおよび/または真空チャンバによりチルロールの表面にピニングされる。
【0020】
例示的実施形態において、本開示に係る微孔質通気性フィルム2を形成するプロセスは、(a)熱可塑性ポリマー4および固体充填材6を含む組成物を押出して溶融ウェブを形成するステップ、(b)エアナイフ、エアブランケット、真空チャンバ、または、これらの組み合わせを用いて溶融ウェブをチルロールの表面にキャストして急冷フィルムを形成するステップ、ならびに、c)急冷フィルム2を延伸して微孔質通気性フィルムを形成するステップを含む。
【0021】
本開示に従って溶融ウェブをチルロールにキャストするために、真空チャンバ、エアのブロー(例えば、エアナイフおよび/またはエアブランケット)、または、真空チャンバを、エアのブローと組み合わせて用いることにより、他の微孔質通気性フィルムと比して意外かつ予想外であることに向上した特性を示す微孔質通気性フィルム2を調製し得ることが発見された。以下にさらに記載のとおり、これらの特性は、低坪量、高ダート衝撃強度、高い最大時の縦方向でのひずみ、加圧布透過(PPT)テストでの計測による低いアルコール透過率、破壊的接着を達成するために超音波シールにおいて必要とされる接着力の低減等、および、これらの組み合わせを含み得る。
【0022】
一例において、簡略化した概略的形態で図5に示されているとおり、溶融ウェブは、真空チャンバを用いて負圧下でチルロールの表面にキャストされる。真空チャンバは、フィルムとチルロールの表面との間の空気を排出するよう機能する。例えば、図5に示されているとおり、フィルム46が押出し成形ダイ40から矢印47の方向に押出され、真空チャンバ42で溶融状態から急冷される。真空チャンバ42は溶融ウェブ46の裏側で矢印44の方向に真空を引いて、フィルム46をチルロール38上に引っ張る。矢印44の方向に引かれた真空により、チルロール38の表面とフィルム46との間に閉じ込められた空気が除去される。真空チャンバプロセスでは、ドローレゾナンス現象によってニップ急冷プロセスにおいて安定しない厚さで押出される傾向となる高分子量ポリマーに係るドローレゾナンスは問題とならない。
【0023】
真空チャンバ42が用いられる場合、溶融ポリマーは、ダイ40から出てから、エンボスプロセスにおける場合よりも短い距離でチルロール38に到達し得る。例えば、いくつかの実施形態において、溶融カーテンは、約12インチ未満、11インチ、10インチ、9インチ、8インチ、7インチ、6インチ、5インチ、4インチ、3、インチ、2インチまたは1インチの距離内でチルロール38に到達するよう構成されている。例示的実施形態において、溶融カーテンは、ダイを出てから約3インチ未満の距離で、いくつかの例においては、約1インチ以内または1インチ未満の距離でロールに到達するよう構成されている。ニップ急冷プロセスにおける場合と比してダイ40とロール表面38との距離を短縮することの1つの利点は、距離が短いとネックイン現象が生じにくいことである。ネックインとは、溶融ウェブがダイから押し出される際に生じるウェブ幅の低減を指す。図5に示されているとおり、短い距離でフィルム46をチルロール38の表面上に引くことにより、真空チャンバ42におけるウェブの冷却が促進し、ライン速度の上昇が容易となり、フィルムネックインが低減され、および/または、リップ出口でのドラグが低減され得る。
【0024】
他の例において、溶融ウェブは、簡略化した概略的形態で図6に示されているとおり、エアナイフまたはエアブランケットを用いることにより正圧下でチルロールの表面にキャストされる。エアナイフは、高速低体積エアカーテンを溶融フィルムに穏やかに吹き出すことによりウェブ急冷を促進し、これにより、溶融フィルムを固化のためにチルロールにピニングするよう機能する。例えば、図6に示されているとおり、フィルム54は、押出し成形ダイ50から矢印55の方向に押出され、溶融フィルム54上にエアカーテンを吹き出すエアナイフ52で溶融状態から急冷され、これにより、溶融ウェブ54がチルロール48の表面にピニングされる。エアブランケット(「ソフトボックス」としても知られている)はエアナイフと同様に機能し、エアカーテンを溶融フィルム上に吹き出すことによりウェブ急冷を促進する。しかしながら、エアブランケットの場合、エアカーテンは低速および大体積である。
【0025】
さらなる例において、溶融ウェブは、図5に示されている真空チャンバからの負圧と図6に示されているエアナイフからの正圧との組み合わせでチルロールの表面にキャストされる。例示的実施形態においては、チルロールの表面への溶融ウェブのキャストにおいて、チルロールを通過する冷却液の出口温度は、約華氏50度~約華氏130度であり、いくつかの例においては、約華氏75度~約華氏130度である。
【0026】
本開示に係る微孔質通気性フィルム2の形成に用いられる熱可塑性ポリマー4(または、熱可塑性ポリマー4の組み合わせ)は限定されず、延伸および微細孔の形成が可能であるすべての種類の熱可塑性ポリマーを含み得る。例示的実施形態において、熱可塑性ポリマーは、特にこれらに限定されないが、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーおよび/またはこれらのブレンドを含むポリオレフィンである。
【0027】
本開示に従って使用し得る代表的なポリオレフィンとしては、これらに限定されないが、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、ポリプロピレン、エチレン-プロピレンコポリマー、単一部位触媒を用いて形成されるポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー(EMA)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、チーグラー・ナッタ触媒を用いて形成されるポリマー、スチレン含有ブロックコポリマー等、および、これらの組み合わせが挙げられる。LDPEの製造方法は、The Wiley Encyclopedia of Packaging Technology,pp.753-754(Aaron L.Brody et al.eds.,2nd Ed.1997)、および、米国特許第5,399,426号明細書に記載されており、これらは共に、本明細書において参照により援用されるが、ただし、本明細書に係る開示または定義に何らかの矛盾がある場合には、本明細書における開示または定義が優先されるとみなされるべきである。
【0028】
ULDPEは、The Wiley Encyclopedia of Packaging Technology,pp.748-50(Aaron L.Brody et al.eds.,2nd Ed.1997)(上記における参照により援用されるが、ただし、本明細書に係る開示または定義に何らかの矛盾がある場合には、本明細書における開示または定義が優先されるとみなされるべきである)に記載されているとおり、特にこれらに限定されないが、気相、溶液およびスラリー重合を含む多様なプロセスにより製造され得る。
【0029】
ULDPEはチーグラー・ナッタ触媒を用いて製造され得るが、多くの他の触媒もまた用いられ得る。例えば、ULDPEは、メタロセン触媒で製造され得る。あるいは、ULDPEは、メタロセン触媒およびチーグラー・ナッタ触媒のハイブリッド触媒で製造され得る。ULDPEを製造する方法はまた、米国特許第5,399,426号明細書、米国特許第4,668,752号明細書、米国特許第3,058,963号明細書、米国特許第2,905,645号明細書、米国特許第2,862,917号明細書および米国特許第2,699,457号明細書に記載されており、これらは各々、その全体が参照により本明細書において援用されているが、ただし、本明細書に係る開示または定義に何らかの矛盾がある場合には、本明細書における開示または定義が優先されるとみなされるべきである。ULDPEの密度は、エチレンと十分な量の1種または複数種のモノマーとを共重合させることにより達成される。例示的実施形態において、これらのモノマーは、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、および、これらの組み合わせから選択される。ポリプロピレンを製造する方法は、本明細書において参照により援用されるKirk-Othmer Concise Encyclopedia of Chemical Technology,pp.1420-1421(Jacqueline I.Kroschwitz et al.eds.,4th Ed.1999)に記載されているが、ただし、本明細書に係る開示または定義に何らかの矛盾がある場合には、本明細書における開示または定義が優先されるとみなされるべきである。
【0030】
例示的実施形態において、本開示に従って用いられるポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、または、これらの組み合わせが挙げられる。一例において、ポリエチレンは直鎖低密度ポリエチレンを含み、これは、いくつかの実施形態において、メタロセンポリエチレンを含む。他の例において、ポリエチレンは、直鎖低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンの組み合わせを含む。さらなる例において、ポリオレフィンは、基本的に直鎖低密度ポリエチレンのみから構成される。
【0031】
熱可塑性ポリマー(例えば、ポリオレフィン)に追加して、本開示に従って押出される組成物は、固体充填材をさらに含む。固体充填材は限定されず、(a)熱可塑性ポリマーと非反応性であり、(b)熱可塑性ポリマー中に均一に混和および分散されるよう構成され、ならびに、(c)フィルムが延伸された時にフィルム中における微孔質構造を促進するよう構成されているすべての種類の無機または有機材料を含み得る。例示的実施形態において、固体充填材は無機充填材を含む。
【0032】
本開示に従って用いられる代表的な無機充填材としては、これらに限定されないが、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、アルミナ、雲母、タルク、シリカ、クレイ(例えば、非膨潤性クレイ)、ガラス球、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、ゼオライトおよびこれらの組み合わせが挙げられる。例示的実施形態において、無機充填材は、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ土類金属硫酸塩、または、これらの組み合わせを含む。一例において、無機充填材は炭酸カルシウムを含む。
【0033】
他の例において、固体充填材は、ポリマー(例えば、高分子量高密度ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン、これらのブレンド等)を含む。ポリマー充填材を用いることで、熱可塑性ポリマーのマトリックス中にドメインが形成される。これらのドメインは、ポリマー充填材が存在していない熱可塑性マトリックスの残部と比して、ポリマー充填材のみが存在している球状であり得る小さな領域である。従って、これらのドメインは粒子として作用する。
【0034】
本開示に従って押出される組成物中に提供される固体充填材6は、図1に示されているとおり、フィルム2の微細孔8を形成するために用いられ得る。固体充填材6粒子の寸法は、所望される最終用途(例えば、微孔質通気性フィルム2の所望される特性)に基づいて様々であり得る。一例において、固体充填材粒子の平均粒径は、約0.1ミクロン~約15ミクロンの範囲である。例示的実施形態において、平均粒径は約1ミクロン~約5ミクロンの範囲、いくつかの例においては、約1ミクロン~約3ミクロンの範囲である。平均粒径は、数々の異なる値の1つであり得、または、数々の異なる範囲の1つに属し得る。例えば、固体充填材の平均粒径を下記の値の1つに選択することは本開示の範囲内である:約0.1ミクロン、0.2ミクロン、0.3ミクロン、0.4ミクロン、0.5ミクロン、0.6ミクロン、0.7ミクロン、0.8ミクロン、0.9ミクロン、1.0ミクロン、1.1ミクロン、1.2ミクロン、1.3ミクロン、1.4ミクロン、1.5ミクロン、1.6ミクロン、1.7ミクロン、1.8ミクロン、1.9ミクロン、2.0ミクロン、2.1ミクロン、2.2ミクロン、2.3ミクロン、2.4ミクロン、2.5ミクロン、2.6ミクロン、2.7ミクロン、2.8ミクロン、2.9ミクロン、3.0ミクロン、3.5ミクロン、4.0ミクロン、4.5ミクロン、5.0ミクロン、5.5ミクロン、6.0ミクロン、6.5ミクロン、7.0ミクロン、7.5ミクロン、8.0ミクロン、8.5ミクロン、9.0ミクロン、9.5ミクロン、10.0ミクロン、10.5ミクロン、11.0ミクロン、11.5ミクロン、12.0ミクロン、12.5ミクロン、13.0ミクロン、13.5ミクロン、14.0ミクロン、14.5ミクロンまたは15.0ミクロン。
【0035】
本開示に従って押出される組成物に提供される固体充填材6の平均粒径が多くの異なる範囲の1つに属することもまた本開示の範囲内である。第1の範囲群において、固体充填材6の平均粒径は以下の範囲の1つに含まれる:約0.1ミクロン~15ミクロン、0.1ミクロン~14ミクロン、0.1ミクロン~13ミクロン、0.1ミクロン~12ミクロン、0.1ミクロン~11ミクロン、0.1ミクロン~10ミクロン、0.1ミクロン~9ミクロン、0.1ミクロン~8ミクロン、0.1ミクロン~7ミクロン、0.1ミクロン~6ミクロン、0.1ミクロン~5ミクロン、0.1ミクロン~4ミクロンおよび0.1ミクロン~3ミクロン。第2の範囲群において、固体充填材6の平均粒径は以下の範囲の1つに含まれる:約0.1ミクロン~5ミクロン、0.2ミクロン~5ミクロン、0.3ミクロン~5ミクロン、0.4ミクロン~5ミクロン、0.5ミクロン~5ミクロン、0.6ミクロン~5ミクロン、0.7ミクロン~5ミクロン、0.8ミクロン~5ミクロン、0.9ミクロン~5ミクロンおよび1.0ミクロン~5ミクロン。第3の範囲群において、固体充填材6の平均粒径は以下の範囲の1つに含まれる:約0.1ミクロン~4.9ミクロン、0.2ミクロン~4.8ミクロン、0.3ミクロン~4.7ミクロン、0.4ミクロン~4.6ミクロン、0.5ミクロン~4.5ミクロン、0.6ミクロン~4.4ミクロン、0.7ミクロン~4.3ミクロン、0.8ミクロン~4.2ミクロン、0.9ミクロン~4.1ミクロンおよび1.0ミクロン~4.0ミクロン。
【0036】
例示的実施形態において、本開示に従って用いられる固体充填材の量は、押出される組成物、押出し組成物から形成された急冷フィルム、および/または、急冷フィルムから形成された微孔質通気性フィルムの約30重量%~約75重量%を含む。さらなる例示的実施形態において、本開示に従って用いられる固体充填材の量は、押出される組成物、押出し組成物から形成された急冷フィルム、および/または、急冷フィルムから形成された微孔質通気性フィルムの約50重量%~約75重量%を含む。この範囲を外れる充填材の量もまた採用し得るが、約30重量%未満である固体充填材の量は、フィルムに均一な通気性を付与するには十分ではない場合がある。反対に、約75重量%を超える充填材の量は、ポリマーとのブレンドが困難であり得、かつ、最終的な微孔質通気性フィルムにおける強度の損失がもたらされ得る。
【0037】
固体充填材6の量は、所望される最終用途(例えば、微孔質通気性フィルム2の所望される特性)に基づいて様々であり得る。一例において、固体充填材6の量は、組成物、急冷フィルム、および/または、微孔質通気性フィルムの約40%~約60重量%の範囲である。他の例において、固体充填材6の量は、組成物、急冷フィルム、および/または、微孔質通気性フィルムの約45%~約55重量%の範囲である。固体充填材6の量は数々の異なる値の1つであり得、または、数々の異なる範囲の1つに属し得る。例えば、固体充填材6の量を下記の値の1つに選択することは本開示の範囲内である:組成物、急冷フィルム、および/または、微孔質通気性フィルムの約30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%または75重量%。
【0038】
固体充填材6の量が多くの異なる範囲の1つに属することもまた本開示の範囲内である。第1の範囲群において、固体充填材6の量は以下の範囲の1つに含まれる:組成物、急冷フィルム、および/または、微孔質通気性フィルムの約31%~75%、32%~75%、33%~75%、34%~75%、35%~75%、36%~75%、37%~75%、38%~75%、39%~75%、40%~75%、41%~75%、42%~75%、43%~75%、44%~75%および45%~75重量%。第2の範囲群において、固体充填材の量は以下の範囲の1つに含まれる:組成物、急冷フィルム、および/または、微孔質通気性フィルムの約30%~74%、30%~73%、30%~72%、30%~71%、30%~70%、30%~69%、30%~68%、30%~67%、30%~66%、30%~65%、30%~64%、30%~63%、30%~62%、30%~61%、30%~60%、30%~59%、30%~58%、30%~57%、30%~56%、30%~55%、30%~54%、30%~53%、30%~52%、30%~51%、30%~50%、30%~49%、30%~48%、30%~47%、30%~46%および30%~45重量%。第3の範囲群において、固体充填材の量は以下の範囲の1つに含まれる:組成物、急冷フィルム、および/または、微孔質通気性フィルムの約31%~74%、32%~73%、33%~72%、34%~71%、35%~70%、36%~69%、37%~68%、38%~67%、39%~66%、40%~65%、41%~64%、42%~63%、43%~62%、44%~61%、45%~60%、45%~59%、45%~58%、45%~57%、45%~56%および45%~55重量%。
【0039】
充填材の充填量は重量割合として簡便に表記され得るが、あるいは、微孔質の現象は、総体積を基準とした充填材の体積割合として記載され得る。実例として、2.7g/ccの比重を有する炭酸カルシウム充填材および約0.9の比重を有するポリマーに関して、35重量%のCaCOは、約15体積%{(0.35/2.7)/(0.65/0.9+0.35/2.7)}の充填材の充填量に相当する。同様に、上記の75重量パーセントの範囲上限は約56体積%のCaCOに相当する。それ故、充填材の量は、異なる(例えば、非常に低いまたは高い)比重を有する代替的な固体充填材について、炭酸カルシウムと比して同等の体積割合となるよう調節され得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、固体充填材粒子に易流動性を与え、かつ、高分子材料中における分散を促進させるために、充填材粒子は脂肪酸および/または他の好適な処理用酸で被覆されていてもよい。この文脈において用いられる代表的な脂肪酸としては、これらに限定されないが、ステアリン酸または長鎖脂肪酸が挙げられる。
【0041】
急冷フィルムを本開示に係る微孔質通気性フィルム2とするための延伸ステップのタイプは限定されない。微細孔8を形成するために高分子材料4中に分散された固体充填材6の表面から高分子材料4を移動(例えば、引き剥がす)させることが可能であるすべての種類の延伸プロセス(および、延伸プロセスの組み合わせ)を使用することが意図されている。いくつかの例において、延伸ステップはMD延伸を含む。他の例において、延伸ステップはCD IMG延伸を含む。さらなる例において、延伸ステップはMD IMG延伸を含む。さらなる例において、延伸ステップは冷延伸を含む。いくつかの実施形態において、延伸ステップは、特にこれらに限定されないが、MD延伸、CD IMG延伸、MD IMG延伸、冷延伸等を含む2種以上の異なる種類の延伸の組み合わせを含む。いくつかの例において、延伸ステップは、CD IMG延伸および冷延伸(これは、いくつかの実施形態において、CD IMG延伸の後に行われる)の組み合わせを含む。
【0042】
例示的実施形態において、急冷フィルムを本開示に係る微孔質通気性フィルム2とするために用いられる延伸ステップのタイプは、CD IMG延伸を含む。加えて、例示的実施形態において、延伸の少なくとも一部は周囲温度を超える温度で行われる。一例において、延伸の少なくとも一部は約華氏60度~約華氏200度の温度で行われる。
【0043】
例示的実施形態において、本開示に係る微孔質通気性フィルム2のプロセスはさらに、(d)微孔質通気性フィルム2をアニーリングするステップを含む。一例において、アニーリングは、約華氏75度~約華氏225度の温度で行われる。
【0044】
例示的実施形態において、上記のとおり、本開示に従って調製した微孔質通気性フィルム2(例えば、真空チャンバおよび/またはエアナイフを用いることによる、ポリオレフィンと無機充填材とを含む溶融ウェブのチルロールへのキャスト)は、従来の微孔質通気性フィルムと比して、低坪量、高ダート衝撃強度、高い最大時の縦方向でのひずみ、PPTテストにおける計測による低いアルコール透過率、および/または、破壊的接着を達成するために超音波シールにおいて必要とされる接着力の低減を有し得る。
【0045】
本開示に係る微孔質通気性フィルム2の坪量は、所望される最終用途(例えば、微孔質通気性フィルムの所望される特性および/または用途)に基づいて様々であり得る。一例において、坪量は、約5gsm~約30gsmの範囲である。他の例において、坪量は、約6gsm~約25gsmの範囲である。例示的実施形態において、坪量は約14gsm未満であり、いくつかの例においては、約12gsm未満である。この範囲を外れる坪量もまた採用し得るが(例えば、約30gsmを超える坪量)、坪量が低いと材料費が最低限とされ、ならびに、消費者の満足度が最大とされる(例えば、より薄いフィルムは、本フィルムを含む個人向け衛生製品の使用者にして高い快適さを提供し得る)。本開示に係る微孔質通気性フィルム2の坪量は数々の異なる値の1つであり得、または、数々の異なる範囲の1つに属し得る。例えば、坪量を下記の値の1つに選択することは本開示の範囲内である:約30gsm、29gsm、28gsm、27gsm、26gsm、25gsm、24gsm、23gsm、22gsm、21gsm、20gsm、19gsm、18gsm、17gsm、16gsm、15gsm、14gsm、13gsm、12gsm、11gsm、10gsm、9gsm、8gsm、7gsm、6gsmまたは5gsm。
【0046】
微孔質通気性フィルム2の坪量が多くの異なる範囲の1つに属することもまた本開示の範囲内である。第1の範囲群において、微孔質通気性フィルム2の坪量は以下の範囲の1つに含まれる:約5gsm~30gsm、6gsm~30gsm、7gsm~30gsm、8gsm~30gsm、9gsm~30gsm、10gsm~30gsm、11gsm~30gsm、12gsm~30gsm、13gsm~30gsmおよび14gsm~30gsm。第2の範囲群において、微孔質通気性フィルムの坪量は以下の範囲の1つに含まれる:約5gsm~29gsm、5gsm~28gsm、5gsm~27gsm、5gsm~26gsm、5gsm~25gsm、5gsm~24gsm、5gsm~23gsm、5gsm~22gsm、5gsm~21gsm、5gsm~20gsm、5gsm~19gsm、5gsm~18gsm、5gsm~17gsm、5gsm~16gsm、5gsm~15gsm、5gsm~14gsm、5gsm~13gsm、5gsm~12gsm、5gsm~11gsm、5gsm~10gsm、5gsm~9gsm、5gsm~8gsm、および5gsm~7gsm。第3の範囲群において、微孔質通気性フィルム2の坪量は以下の範囲の1つに含まれる:約6gsm~29gsm、7gsm~29gsm、7gsm~28gsm、7gsm~27gsm、7gsm~26gsm、7gsm~25gsm、7gsm~24gsm、7gsm~23gsm、7gsm~22gsm、7gsm~21gsm、7gsm~20gsm、7gsm~19gsm、7gsm~18gsm、7gsm~17gsm、7gsm~16gsm、7gsm~15gsm、7gsm~14gsmおよび7gsm~13gsm。
【0047】
例示的実施形態において、本開示に係る微孔質通気性フィルム2は、同様の坪量を有する従来の微孔質通気性フィルムよりも高いダート衝撃強度を示す。本開示に係る微孔質通気性フィルム2の坪量は、所望されるダート衝撃強度に基づいて様々であり得る。一例において、本開示に係る微孔質通気性フィルム2は、約14gsm未満の坪量、および、少なくとも約50グラムのダート衝撃強度を有する。他の例において、本開示に係る微孔質通気性フィルム2は、約14gsm未満の坪量、および、少なくとも約75グラムのダート衝撃強度を有する。さらなる例において、本開示に係る微孔質通気性フィルム2は、約14gsm未満の坪量、および、少なくとも約90グラムのダート衝撃強度を有する。
【0048】
本開示に係る微孔質通気性フィルム2のダート衝撃強度は、数々の異なる値の1つであり得、または、数々の異なる範囲の1つに属し得る。例えば、約14gsm未満(いくつかの実施形態においては、約13gsm未満、12gsm、11gsm、10gsm、9gsmまたは8gsm)の坪量を有する微孔質通気性フィルム2について、ダート衝撃強度を下記の値以上に選択することは本開示の範囲内である:約50グラム、51グラム、52グラム、53グラム、54グラム、55グラム、56グラム、57グラム、58グラム、59グラム、60グラム、61グラム、62グラム、63グラム、64グラム、65グラム、66グラム、67グラム、68グラム、69グラム、70グラム、71グラム、72グラム、73グラム、74グラム、75グラム、76グラム、77グラム、78グラム、79グラム、80グラム、81グラム、82グラム、83グラム、84グラム、85グラム、86グラム、87グラム、88グラム、89グラム、90グラム、91グラム、92グラム、93グラム、94グラム、95グラム、96グラム、97グラム、98グラム、99グラム、100グラム、101グラム、102グラム、103グラム、104グラム、105グラム、106グラム、107グラム、108グラム、109グラム、110グラム、111グラム、112グラム、113グラム、114グラム、115グラム、116グラム、117グラム、118グラム、119グラム、120グラム、121グラム、122グラム、123グラム、124グラム、125グラム、126グラム、127グラム、128グラム、129グラム、130グラム、131グラム、132グラム、133グラム、134グラム、135グラム、136グラム、137グラム、138グラム、139グラム、140グラム、141グラム、142グラム、143グラム、144グラム、145グラム、146グラム、147グラム、148グラム、149グラム、150グラム、151グラム、152グラム、153グラム、154グラム、155グラム、156グラム、157グラム、158グラム、159グラム、160グラム、161グラム、162グラム、163グラム、164グラム、165グラム、166グラム、167グラム、168グラム、169グラム、170グラム、171グラム、172グラム、173グラム、174グラム、175グラム、176グラム、177グラム、178グラム、179グラム、180グラム、181グラム、182グラム、183グラム、184グラム、185グラム、186グラム、187グラム、188グラム、189グラム、190グラム、191グラム、192グラム、193グラム、194グラム、195グラム、196グラム、197グラム、198グラム、199グラム、200グラム、201グラム、202グラム、203グラム、204グラム、または205グラム。
【0049】
微孔質通気性フィルム2のダート衝撃強度が多くの異なる範囲の1つに属することもまた本開示の範囲内である。第1の範囲群において、約14gsm未満(いくつかの実施形態においては、約13gsm未満、12gsm、11gsm、10gsm、9gsmまたは8gsm)の坪量を有する微孔質通気性フィルムのダート衝撃強度は以下の範囲の1つに含まれる:約50グラム~250グラム、55グラム~250グラム、60グラム~250グラム、65グラム~250グラム、70グラム~250グラム、75グラム~250グラム、80グラム~250グラム、85グラム~250グラム、90グラム~250グラム、95グラム~250グラム、100グラム~250グラム、105グラム~250グラム、110グラム~250グラム、115グラム~250グラム、120グラム~250グラム、125グラム~250グラム、130グラム~250グラム、135グラム~250グラム、140グラム~250グラム、145グラム~250グラム、150グラム~250グラム、155グラム~250グラム、160グラム~250グラム、165グラム~250グラム、170グラム~250グラム、175グラム~250グラム、180グラム~250グラム、185グラム~250グラム、190グラム~250グラム、195グラム~250グラム、200グラム~250グラムおよび205グラム~250グラム。第2の範囲群において、約14gsm未満(いくつかの実施形態においては、約13gsm未満、12gsm、11gsm、10gsm、9gsmまたは8gsm)の坪量を有する微孔質通気性フィルム2のダート衝撃強度は以下の範囲の1つに含まれる:約50グラム~249グラム、50グラム~245グラム、50グラム~240グラム、50グラム~235グラム、50グラム~230グラム、50グラム~225グラム、50グラム~220グラム、50グラム~215グラムおよび50グラム~210グラム。第3の範囲群において、約14gsm未満(いくつかの実施形態においては、約13gsm未満、12gsm、11gsm、10gsm、9gsmまたは8gsm)の坪量を有する微孔質通気性フィルム2のダート衝撃強度は以下の範囲の1つに含まれる:約51グラム~約249グラム、55グラム~245グラム、60グラム~240グラム、65グラム~235グラム、70グラム~230グラム、75グラム~225グラム、80グラム~225グラム、85グラム~225グラム、90グラム~225グラム、95グラム~225グラム、100グラム~225グラム、105グラム~225グラム、110グラム~225グラム、115グラム~225グラム、120グラム~225グラム、125グラム~225グラム、130グラム~225グラム、135グラム~225グラム、140グラム~225グラム、145グラム~225グラム、150グラム~225グラム、155グラム~225グラム、160グラム~225グラム、165グラム~225グラム、170グラム~225グラム、175グラム~225グラムおよび180グラム~225グラム。
【0050】
例示的実施形態において、本開示に係る微孔質通気性フィルム2は、同様の坪量の従来の微孔質通気性フィルムよりも高い最大時の縦方向でのひずみを示す。本開示に係る微孔質通気性フィルム2の坪量は、所望される最大時の縦方向でのひずみに基づいて様々であり得る。一例において、本開示に係る微孔質通気性フィルム2は、約14gsm未満の坪量および少なくとも約75%の最大時の縦方向でのひずみを有する。他の例において、本開示に係る微孔質通気性フィルム2は、約14gsm未満の坪量および少なくとも約100%の最大時の縦方向でのひずみを有する。さらなる例において、本開示に係る微孔質通気性フィルム2は、約14gsm未満の坪量および少なくとも約125%の最大時の縦方向でのひずみを有する。
【0051】
本開示に係る微孔質通気性フィルム2の最大時の縦方向でのひずみは数々の異なる値の1つであり得、または、数々の異なる範囲の1つに属し得る。例えば、約14gsm未満(いくつかの実施形態においては、約13gsm未満、12gsm、11gsm、10gsm、9gsmまたは8gsm)の坪量を有する微孔質通気性フィルムについて、最大時の縦方向でのひずみを下記の値以上に選択することは本開示の範囲内である:約75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、101%、102%、103%、104%、105%、106%、107%、108%、109%、110%、111%、112%、113%、114%、115%、116%、117%、118%、119%、120%、121%、122%、123%、124%、125%、126%、127%、128%、129%、130%、131%、132%、133%、134%、135%、136%、137%、138%、139%、140%、141%、142%、143%、144%、145%、146%、147%、148%、149%、150%、151%、152%、153%、154%、155%、156%、157%、158%、159%、160%、161%、162%、163%、164%、165%、166%、167%、168%、169%、170%、171%、172%、173%、174%、175%、176%、177%、178%、179%、180%、181%、182%、183%、184%、185%、186%、187%、188%、189%、190%、191%、192%、193%、194%、195%、196%、197%、198%、199%、200%、201%、202%、203%、204%、205%、206%、207%、208%、209%、210%、211%、212%、213%、214%、215%、216%、217%、218%、219%、220%、221%、222%、223%、224%、225%、226%、227%、228%、229%、230%、231%、232%、233%、234%、235%、236%、237%、238%、239%、240%、241%、242%、243%、244%、245%、246%、247%、248%、249%、250%、251%、252%、253%、254%、255%、256%、257%、258%、259%、260%、261%、262%、263%、264%、265%、266%、267%、268%、269%、270%、271%、272%、273%、274%、275%、276%、277%、278%、279%、280%、281%、282%、283%、284%、285%、286%、287%、288%、289%、290%、291%、292%、293%、294%、295%、296%、297%、298%、299%または300%。
【0052】
微孔質通気性フィルム2の最大時の縦方向でのひずみが多くの異なる範囲の1つに属することもまた本開示の範囲内である。第1の範囲群において、約14gsm未満(いくつかの実施形態においては、約13gsm未満、12gsm、11gsm、10gsm、9gsmまたは8gsm)の坪量を有する微孔質通気性フィルムの最大時の縦方向でのひずみは以下の範囲の1つに含まれる:約75%~350%、75%~345%、75%~340%、75%~335%、75%~330%、75%~325%、75%~320%、75%~315%、75%~310%、75%~305%、75%~300%、75%~295%、75%~290%、75%~285%および75%~280%。第2の範囲群において、約14gsm未満(いくつかの実施形態においては、約13gsm未満、12gsm、11gsm、10gsm、9gsmまたは8gsm)の坪量を有する微孔質通気性フィルム2の最大時の縦方向でのひずみは以下の範囲の1つに含まれる:約76%~350%、77%~350%、78%~350%、79%~350%、80%~350%、81%~350%、82%~350%、83%~350%、84%~350%、85%~350%、86%~350%、87%~350%、88%~350%、89%~350%、90%~350%、91%~350%、92%~350%、93%~350%、94%~350%、95%~350%、96%~350%、97%~350%、98%~350%、99%~350%、100%~350%、101%~350%、102%~350%、103%~350%、104%~350%、105%~350%、106%~350%、107%~350%、108%~350%、109%~350%、110%~350%、111%~350%、112%~350%、113%~350%、114%~350%、115%~350%、116%~350%、117%~350%、118%~350%、119%~350%、120%~350%、121%~350%、122%~350%、123%~350%、124%~350%、125%~350%、126%~350%、127%~350%、128%~350%、129%~350%、130%~350%、131%~350%、132%~350%、133%~350%、134%~350%、135%~350%、136%~350%、137%~350%、138%~350%、139%~350%、140%~350%、141%~350%、142%~350%、143%~350%、144%~350%、145%~350%、146%~350%、147%~350%、148%~350%、149%~350%、150%~350%、151%~350%、152%~350%、153%~350%、154%~350%、155%~350%、156%~350%、157%~350%、158%~350%、159%~350%、160%~350%、161%~350%、162%~350%、163%~350%、164%~350%、165%~350%、166%~350%、167%~350%、168%~350%、169%~350%、170%~350%、171%~350%、172%~350%、173%~350%、174%~350%、175%~350%、176%~350%、177%~350%、178%~350%、179%~350%、180%~350%、181%~350%、182%~350%、183%~350%、184%~350%、185%~350%、186%~350%、187%~350%、188%~350%、189%~350%、190%~350%、191%~350%、192%~350%、193%~350%、194%~350%、195%~350%、196%~350%、197%~350%、198%~350%、199%~350%、200%~350%、201%~350%、202%~350%、203%~350%、204%~350%、205%~350%、206%~350%、207%~350%、208%~350%、209%~350%、210%~350%、211%~350%、212%~350%、213%~350%、214%~350%および215%~350%。第3の範囲群において、約14gsm未満(いくつかの実施形態においては、約13gsm未満、12gsm、11gsm、10gsm、9gsmまたは8gsm)の坪量を有する微孔質通気性フィルム2の最大時の縦方向でのひずみは以下の範囲の1つに含まれる:約75%~349%、80%~345%、85%~340%、90%~335%、95%~330%、100%~325%、105%~320%、110%~315%、115%~310%、120%~305%、125%~300%、130%~300%、135%~300%、140%~300%、145%~300%、150%~300%、155%~300%、160%~300%、165%~300%、170%~300%、175%~300%、180%~300%、185%~300%、190%~300%、195%~300%、200%~300%、205%~300%、210%~300%、215%~300%、220%~300%および225%~300%。
【0053】
例示的実施形態において、本開示に係る微孔質通気性フィルム2は、加圧布透過(PPT)テストによる計測で低いアルコール透過率を示す。PPTテストにおいて、フィルムの不浸透性が、染料を含有するアルコールがフィルムを透過する程度に関連して定量化される。そして、アルコール透過量が、赤色染料を染み込ませた不織材料をフィルム上に重ね、荷重を加えた後に、赤色の染みが含まれる吸取紙の表面積の割合として計測され得る。PPTテストは、以下の実施例の項目、ならびに、米国特許第9,174,420B2号明細書中の実施例の項目においてさらに記載されており、その内容はすべて本明細書において参照により援用されるが、ただし、本明細書に係る開示または定義に何らかの矛盾がある場合には、本明細書における開示または定義が優先されるとみなされるべきである。
【0054】
本開示に係る微孔質通気性フィルム2の坪量は、PPTテストにおける計測によるフィルムの所望される程度のアルコール透過率に基づいて様々であり得る。一例において、本開示に係る微孔質通気性フィルム2は、約20gsm未満の坪量、および、PPTテストにおける計測による約12%未満のアルコール透過率を有する。他の例において、本開示に係る微孔質通気性フィルム2は、約17gsm未満の坪量、および、PPTテストにおける計測による約12%未満のアルコール透過率を有する。さらなる例において、本開示に係る微孔質通気性フィルム2は、約12gsm未満の坪量、および、PPTテストにおける計測による約11%未満のアルコール透過率を有する。
【0055】
PPTテストにおける計測による本開示に係る微孔質通気性フィルム2のアルコール透過率は数々の異なる値の1つであり得、または、数々の異なる範囲の1つに属し得る。例えば、約20gsm以下(いくつかの実施形態においては、約19gsm以下、18gsm、17gsm、16gsm、15gsm、14gsm、13gsm、12gsm、11gsm、10gsmまたは9gsm)の坪量を有する微孔質通気性フィルムについて、下記の値の1つ以下のアルコール透過率を選択することは本開示の範囲内である:約20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%または0%。
【0056】
PPTテストにおける計測による本開示に係る微孔質通気性フィルム2のアルコール透過率が多くの異なる範囲の1つに属することもまた本開示の範囲内である。第1の範囲群において、約20gsm以下(いくつかの実施形態においては、約19gsm以下、18gsm、17gsm、16gsm、15gsm、14gsm、13gsm、12gsm、11gsm、10gsmまたは9gsm)の坪量を有する微孔質通気性フィルムに対する、PPTテストにおける計測によるアルコール透過率は、以下の範囲の1つに含まれる:約0%~25%、0%~24%、0%~23%、0%~22%、0%~21%、0%~20%、0%~19%、0%~18%、0%~17%、0%~16%、0%~15%、0%~14%、0%~13%、0%~12%、0%~11%、0%~10%、0%~9%、0%~8%、0%~7%、0%~6%、0%~5%、0%~4%、0%~3%、0%~2%および0%~1%。第2の範囲群において、約20gsm以下(いくつかの実施形態においては、約19gsm以下、18gsm、17gsm、16gsm、15gsm、14gsm、13gsm、12gsm、11gsm、10gsmまたは9gsm)の坪量を有する微孔質通気性フィルムに対する、PPTテストにおける計測によるアルコール透過率は、以下の範囲の1つに含まれる:約0.1%~12%、0.2%~12%、0.3%~12%、0.4%~12%、0.5%~12%、0.6%~12%、0.7%~12%、0.8%~12%、0.9%~12%、1.0%~12%、1.1%~12%、1.2%~12%、1.3%~12%、1.4%~12%、1.5%~12%、1.6%~12%、1.7%~12%、1.8%~12%、1.9%~12%、2.0%~12%、2.1%~12%、2.2%~12%、2.3%~12%、2.4%~12%、2.5%~12%、2.6%~12%、2.7%~12%、2.8%~12%、2.9%~12%および3.0~12%。第3の範囲群において、約20gsm以下(いくつかの実施形態においては、約19gsm以下、18gsm、17gsm、16gsm、15gsm、14gsm、13gsm、12gsm、11gsm、10gsmまたは9gsm)の坪量を有する微孔質通気性フィルムに対する、PPTテストにおける計測によるアルコール透過率は、以下の範囲の1つに含まれる:約0.1%~11%、0.2%~10%、0.3%~9%、0.4%~8%、0.5%~7%、0.5%~6%、0.5%~5%、0.5%~4%、0.5%~3%、0.5%~2%および0.5%~1%。
【0057】
いくつかの実施形態において、本開示に係る微孔質通気性フィルム2は、水、メチルアルコール、エチルアルコール、体液(例えば、血液、体油脂、唾液、月経分泌物、糞便、尿等)、および、界面活性剤含有消毒剤の1つまたは複数に対して実質的に不浸透性である。いくつかの実施形態において、本開示に係る微孔質通気性フィルム2は、約10%未満、いくつかの実施形態においては約5%未満、および、いくつかの実施形態においては約2%未満のイソプロピルアルコール透過率を有する。いくつかの実施形態において、本開示に係る微孔質通気性フィルム2は、アルコール(例えば、イソプロピルアルコール)に対して実質的に不浸透性である。
【0058】
例示的実施形態において、本開示に係る微孔質通気性フィルム2は、破壊的接着を達成するための接着力が低いものである。「破壊的接着」とは、2種の材料(例えば、不織層に接着される、本開示に係る微孔質通気性フィルム2または多層通気性バリアフィルム56)間の強固な接着であって、これらの2種の材料を剥離(例えば、引っ張ることにより)しようとした場合に材料が損傷を受けるような接着を指す(例えば、一緒に接着される材料よりも接着剤のほうが強固である)。
【0059】
本開示に係る微孔質通気性フィルム2の坪量は、所望される接着力に基づいて様々であり得る。一例において、本開示に係る微孔質通気性フィルム2は、約20gsm未満の坪量、および、150mm幅のホーンについて約1600ニュートン未満の接着力を有する。他の例において、本開示に係る微孔質通気性フィルム2は、約17gsm未満の坪量、および、150mm幅のホーンについて約1500ニュートン未満の接着力を有する。さらなる例において、本開示に係る微孔質通気性フィルム2は、約12gsm未満の坪量、および、150mm幅のホーンについて約1100ニュートン未満の接着力を有する。
【0060】
本開示に係る微孔質通気性フィルム2に係る接着力は、数々の異なる値の1つであり得、または、数々の異なる範囲の1つに属し得る。例えば、約20gsm以下(いくつかの実施形態においては、約19gsm以下、18gsm、17gsm、16gsm、15gsm、14gsm、13gsm、12gsm、11gsm、10gsmまたは9gsm)の坪量を有する微孔質通気性フィルムについて、接着力を150mm幅のホーンに対して下記の値の1つ以下に選択することは本開示の範囲内である:約2000ニュートン、1900ニュートン、1800ニュートン、1700ニュートン、1600ニュートン、1500ニュートン、1400ニュートン、1300ニュートン、1200ニュートン、1100ニュートン、1000ニュートン、900ニュートン、800ニュートン、700ニュートン、600ニュートン、500ニュートンまたは400ニュートン。
【0061】
本開示に係る微孔質通気性フィルム2に係る接着力が多くの異なる範囲の1つに属することもまた本開示の範囲内である。第1の範囲群において、約20gsm以下(いくつかの実施形態においては、約19gsm以下、18gsm、17gsm、16gsm、15gsm、14gsm、13gsm、12gsm、11gsm、10gsmまたは9gsm)の坪量を有する微孔質通気性フィルムに係る接着力は、150mm幅のホーンに対して以下の範囲の1つに含まれる:約300ニュートン~2200ニュートン、300ニュートン~2100ニュートン、300ニュートン~2000ニュートン、300ニュートン~1900ニュートン、300ニュートン~1800ニュートン、300ニュートン~1700ニュートン、300ニュートン~1600ニュートン、300ニュートン~1500ニュートン、300ニュートン~1400ニュートン、300ニュートン~1300ニュートン、300ニュートン~1200ニュートン、300ニュートン~1100ニュートン、300ニュートン~1000ニュートン、300ニュートン~900ニュートン、300ニュートン~800ニュートン、300ニュートン~700ニュートン、300ニュートン~600ニュートンおよび300ニュートン~500ニュートン。第2の範囲群において、約20gsm以下(いくつかの実施形態においては、約19gsm、18gsm、17gsm、16gsm、15gsm、14gsm、13gsm、12gsm、11gsm、10gsmまたは9gsm以下)の坪量を有する微孔質通気性フィルムに係る接着力は、150mm幅のホーンに対して以下の範囲の1つに含まれる:約100ニュートン~1600ニュートン、200ニュートン~1600ニュートン、300ニュートン~1600ニュートン、400ニュートン~1600ニュートン、500ニュートン~1600ニュートン、600ニュートン~1600ニュートン、700ニュートン~1600ニュートン、800ニュートン~1600ニュートン、900ニュートン~1600ニュートン、1000ニュートン~1600ニュートン、1100ニュートン~1600ニュートン、1200ニュートン~1600ニュートン、1300ニュートン~1600ニュートンおよび1400ニュートン~1600ニュートン。第3の範囲群において、約20gsm以下(いくつかの実施形態においては、約19gsm以下、18gsm、17gsm、16gsm、15gsm、14gsm、13gsm、12gsm、11gsm、10gsmまたは9gsm)の坪量を有する微孔質通気性フィルムに係る接着力は、150mm幅のホーンに対して以下の範囲の1つに含まれる:約150ニュートン~1500ニュートン、200ニュートン~1450ニュートン、250ニュートン~1400ニュートン、300ニュートン~1350ニュートン、350ニュートン~1300ニュートン、400ニュートン~1250ニュートン、450ニュートン~1200ニュートン、500ニュートン~1150ニュートン、550ニュートン~1100ニュートン、600ニュートン~1050ニュートン、650ニュートン~1000ニュートン、700ニュートン~950ニュートン、750ニュートン~900ニュートンおよび800ニュートン~850ニュートン。
【0062】
いくつかの実施形態において、上記のとおり、本開示は単層微孔質通気性フィルム2を提供する。他の実施形態において、本開示はまた、多層微孔質通気性フィルム(図示せず)を提供する。一例において、多層微孔質通気性フィルムは、コア層と、コア層に隣接する1層または複数層の外側表皮層とを含む。コア層は、図1に示されているフィルム2に似ているものであり得、熱可塑性ポリマー(または、熱可塑性ポリマーの組み合わせ)と熱可塑性ポリマー中に分散された固体充填材(または、固体充填材の組み合わせ)とを含むが、1層または複数層の外側表皮層は、コアと同一の組成を有していても、コアとは異なる組成を有していてもよい。一例において、表皮層は、押出し成形ダイにおける揮発物の蓄積レベルが最低限となるよう設計された組成から独立して選択され得る。後の延伸で、コア層は微孔質および通気性となるが、一方で、表皮層は、固体充填材を含有しているか否かに応じて通気性であってもなくてもよい。多層形態の微孔質通気性フィルムにおける1層または複数層の表皮層の厚さおよび組成は、前駆体フィルムが後に延伸された場合に、得られるフィルムが通気性のままであるよう選択される。一例において、コア層を挟持する一対の表皮層は比較的薄く、合計してフィルム総厚の約30%以下の割合である。いくつかの実施形態においては、表皮層が固体充填材を含有しているか否かに関わらず、表皮層は通気性のままであり得る。例えば、表皮層は、延伸プロセスの最中に生じる1つまたは複数の切れ目を含んでいてもよい。表皮層中において切れ目が形成される可能性は、延伸に供される表皮層の厚さが薄くなるに伴って高まり得る。
【0063】
一例において、本開示に係る多層微孔質通気性フィルムは、フィードブロック共押出しにより製造され得る。他の例において、本開示に係る多層微孔質通気性フィルムは、インフレーションフィルム(チューブラー)共押出しにより形成され得る。フィードブロックおよびインフレーションフィルム押出し成形に係る方法は、The Wiley Encyclopedia of Packaging Technology,pp.233-238(Aaron L.Brody et al.eds.,2nd Ed.1997)に記載されており、これは、本明細書において参照により援用されるが、ただし、本明細書に係る開示または定義に何らかの矛盾がある場合には、本明細書における開示または定義が優先されるとみなされるべきである。フィルムの押出し成形方法は米国特許第6,265,055号明細書にも記載されており、その内容はすべて本明細書において参照により援用されるが、ただし、本明細書に係る開示または定義に何らかの矛盾がある場合には、本明細書における開示または定義が優先されるとみなされるべきである。
【0064】
いくつかの実施形態において、上記のとおり、本開示は微孔質通気性フィルム(例えば、単層または多層)を提供する。他の実施形態において、本開示は、多層通気性バリアフィルムをさらに提供する。
【0065】
多層通気性バリアフィルム56が、例えば図7に示されている。図7に示されている多層通気性バリアフィルム56は、少なくとも1層の微孔質通気性フィルム層58と、少なくとも1層のモノリシック透湿性バリア層60とを含む。モノリシック透湿性バリア層60は引湿性ポリマーを含む。例示的実施形態において、モノリシック透湿性バリア層60はモノリシック親水性ポリマーである。モノリシック親水性ポリマーは、さらなる充填材および延伸を必要とすることなく水分を透過させることが可能である。モノリシック親水性ポリマーにおける通気メカニズムは、水分の吸収および脱着により達成される。
【0066】
図7における少なくとも1層の微孔質通気性フィルム層58は図1に示されている微孔質通気性フィルム2と同様のものであり、上記のものと同様のプロセスで調製され得る。一例において、少なくとも1層の微孔質通気性フィルム層58は、ポリオレフィンとポリオレフィン中に分散された無機充填材とを含む。例示的実施形態において、少なくとも1層の微孔質通気性フィルム層58は、約14gsm未満の坪量、および、約50グラムを超えるダート衝撃強度を有する。
【0067】
例示的実施形態において、図7に示されているとおり、多層通気性バリアフィルム56は、少なくとも1層の追加の微孔質通気性フィルム層62を含む。第2の微孔質通気性フィルム層62は、第1の微孔質通気性フィルム層58と同一であっても異なっていてもよい。例えば、第1の微孔質通気性フィルム層58および第2の微孔質通気性フィルム層62は、相互に厚さ、通気性、孔径および/または熱可塑性組成物において異なっていてもよい。
【0068】
少なくとも1層の追加の微孔質通気性フィルム層62(少なくとも1層の微孔質通気性フィルム層58と同様である)は、図1に示されている微孔質通気性フィルム2と同様のものであり、上記のものと同様のプロセスで調製され得る。一例において、少なくとも1層の追加の微孔質通気性フィルム層62は、ポリオレフィンとポリオレフィン中に分散された無機充填材とを含む。例示的実施形態において、少なくとも1層の追加の微孔質通気性フィルム層62は、約14gsm未満の坪量、および、約50グラムを超えるダート衝撃強度を有する。例示的実施形態において、図7に示されているとおり、少なくとも1層のモノリシック透湿性バリア層60は、少なくとも1層の微孔質通気性フィルム層58と少なくとも1層の追加の微孔質通気性フィルム層62との間に配置されるが、他の構成も同様に実施し得る。
【0069】
図7に示されているモノリシック透湿性バリア層60は、ウイルスおよびアルコールに対する内部バリア層をもたらすものであって、(微孔質通気性フィルム層58および微孔質通気性フィルム層62とは異なり)充填されていないか、または、実質的に充填されていなくてもよい(例えば、一定量の固体充填材を含有していても、延伸により微細孔が形成されない)。例示的実施形態において、モノリシック透湿性バリア層60は、特にこれらに限定されないが、国際公開第2011/019504 A1号パンフレットに記載されている引湿性ポリマーを含む引湿性ポリマーを含有する。国際公開第2011/019504 A1号パンフレットの内容はすべて本明細書において参照により援用されるが、ただし、本明細書に係る開示または定義に何らかの矛盾がある場合には、本明細書における開示または定義が優先されるとみなされるべきである。
【0070】
モノリシック透湿性バリア層60は、ウイルスおよびアルコールの透過に対してバリアをもたらす。一例において、結合層(図示せず)を用いて、異種の層(例えば、モノリシック透湿性バリア層60、ならびに、微孔質通気性フィルム層58および微孔質通気性フィルム層62の一方または両方)を組み合わせてもよい。他の例において、1層または複数の隣接する異種の層に接着剤を混和し、これにより、連続する非通気性の結合層に起因する浸透性の損失を回避してもよい。
【0071】
さらなる例において、多層フィルム構造における1層、2つ以上の層、または、いずれかの層に結合樹脂は存在しない。いずれかの特定の理論に束縛されることは望まれず、かつ、添付の特許請求の範囲に係る範囲またはその均等物が如何様にも限定されることは意図されないが、いくつかの実施形態において、製造および取り扱いの最中における層の剥離を防止するための結合樹脂接着剤の使用は、未延伸のレーンのフィルム(例えば、CD IMG活性化によって生成され得るものなど)が結合樹脂の機能を充足し、かつ、層の結合が促進される限りにおいては回避され得るとここにおいては考えられている。結合樹脂が存在していない実施形態に関しては、結合樹脂は高価である傾向にあるため、コストの観点から有利であり得る。加えて、結合樹脂は、押出し成形プロセスにおいてゲルを形成し易く、これは一般に望ましくない。
【0072】
内部モノリシック透湿性バリア層60は引湿性ポリマーを含み得る。例示的実施形態において、引湿性ポリマーは、引湿性エラストマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルエステルコポリマー、ポリエーテルアミドコポリマー、ポリウレタン、ポリウレタンコポリマー、ポリ(エーテルイミド)エステルコポリマー、ポリビニルアルコール、アイオノマー、セルロース、ニトロセルロース等、および、これらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも1層のモノリシック透湿性バリア層60は接着剤をさらに含み、これは、いくつかの実施形態において、ポリエチレン/アクリレートコポリマー、エチレン/メチルアクリレートコポリマー、酸変性アクリレート、無水変性アクリレート、エチレン酢酸ビニル、酸/アクリレート変性エチレン酢酸ビニル、無水変性エチレン酢酸ビニル等、または、これらの組み合わせを含む。モノリシック透湿性バリア層60は、引湿性ポリマー樹脂から、または、引湿性ポリマー樹脂の組み合わせから、および、任意選択により、1種または複数種の引湿性ポリマー樹脂と1種または複数種の接着剤とのブレンドから調製され得る。
【0073】
一例において、内部モノリシック透湿性バリア層60は、フィルム56の総厚の約0.5%~約30%を構成し得る。他の例において、バリア層60は、フィルム56の総厚の約1%~約20%を構成し得る。さらなる例において、バリア層60は、フィルム56の総厚の約2%~約10%を構成し得る。いくつかの実施形態において(図示せず)、フィルム56は、複数のモノリシック透湿性バリア層60を含み、上記の例示的な厚さ割合の範囲が、フィルム中の複数のバリア層の和に適用され得る。本開示に係る多層通気性バリアフィルム56は、1層または複数の層の内部モノリシック透湿性バリア層60を含み得、これらは、相互に隣接していてもよく、または、微孔質通気性層58および微孔質通気性層62などの介在する微孔質通気性層と隣接していてもよい。例示的実施形態において、本開示に係る多層通気性バリアフィルム56に設けられた1層または複数層の透湿性バリア層60は、モノリシックであり、かつ、微細孔の発生部位をもたらす充填材をまったく含有しない。しかしながら、モノリシック透湿性バリア層は、バリア層に所望される特性が付与されるよう他の添加剤を含有していてもよい。
【0074】
モノリシック透湿性バリア層60のための代表的な材料としては、これらに限定されないが、ε-カプロラクトン(Solvay Caprolactonesから入手可能)、ポリエーテルブロックアミド(Arkema PEBAXから入手可能)、ポリエステルエラストマー(DuPont HytrelまたはDSM Arnitelなど)および他のポリエステル、ポリアミド、セルロース(例えば、セルロース繊維)、ニトロセルロース(例えば、ニトロセルロース繊維)、アイオノマー(例えば、エチレンアイオノマー)等などの引湿性ポリマー、および、これらの組み合わせが挙げられる。一例において、“Development of New Ionomers with Novel Gas Permeation Properties”(Journal of Plastic Film and Sheeting,2007,23,No.2,119-132)と題された論文に記載されている脂肪酸塩変性アイオノマーがモノリシック透湿性バリア層60として用いられ得る。いくつかの実施形態において、ナトリウム、マグネシウムおよび/またはカリウム脂肪酸塩-変性アイオノマーが、所望される水蒸気透過特性をもたらすために用いられ得る。いくつかの実施形態において、モノリシック透湿性バリア層60は、引湿性エラストマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルエステルコポリマー(例えば、ブロックポリエーテルエステルコポリマー)、ポリエーテルアミドコポリマー(例えば、ブロックポリエーテルアミドコポリマー)、ポリウレタン、ポリウレタンコポリマー、ポリ(エーテルイミド)エステルコポリマー、ポリビニルアルコール、アイオノマー、セルロース、ニトロセルロース等、および、これらの組み合わせからなる群から選択される。一例において、コポリエーテルエステルブロックコポリマーは、米国特許第4,739,012号明細書に記載されている軟質ポリエーテルセグメントおよび硬質ポリエステルセグメントを有するセグメント化エラストマーである。代表的なコポリエーテルエステルブロックコポリマーは、DuPontにより、商品名HYTREL(登録商標)で市販されている。代表的なコポリエーテルアミドポリマーは、商品名PEBAX(登録商標)でAtochem Inc.(Glen Rock,New Jersey)により市販されているコポリアミドである。代表的なポリウレタンは、商品名ESTANE(登録商標)でB.F.Goodrich Company(Cleveland,Ohio)により市販されている熱可塑性ウレタンである。代表的なコポリ(エーテルイミド)エステルは米国特許第4,868,062号明細書に記載されている。
【0075】
いくつかの実施形態において、モノリシック透湿性バリア層60は、熱可塑性樹脂を含むか、または、熱可塑性樹脂と混和され得る。この目的のために用いられ得る代表的な熱可塑性樹脂としては、これらに限定されないが、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエーテルエステル、ポリアミド、ポリエーテルアミド、ウレタン等、および、これらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、熱可塑性ポリマーは、(a)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(i-ブテン)、ポリ(2-ブテン)、ポリ(i-ペンテン)、ポリ(2-ペンテン)、ポリ(3-メチル-1-ペンテン)、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、1,2-ポリ-1,3-ブタジエン、1,4-ポリ-1,3-ブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリスチレン等、および、これらの組み合わせなどのポリオレフィン;(b)ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレン)テレフタレート、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)、ポリ(シクロヘキシレン-1,4-ジメチレンテレフタレート)、ポリ(オキシメチレン-1,4-シクロヘキシレンメチレンオキシテレフタロイル)等、および、これらの組み合わせなどのポリエステル;ならびに、(c)ポリ(オキシエチレン)-ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(オキシテトラメチレン)-ポリ(エチレンテレフタレート)等、および、これらの組み合わせなどのポリエーテルエステル;ならびに/または、(d)ポリ(6-アミノカプロン酸)、ポリ(、-カプロラクタム)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド)、ポリ(1 1-アミノウンデカン酸)等、および、これらの組み合わせなどのポリアミドを含み得る。
【0076】
例示的実施形態において、引湿性ポリマーは引湿性エラストマーである。多様な添加剤が、抗菌効果、臭気制御、電荷減衰等などの追加の特性を提供するために、モノリシック透湿性バリア層60に添加され得る。液体の流れ、液体中の病原体、ウイルス、および、液体による攻撃で運ばれ得る他の微生物を妨げるために、1層または複数層のモノリシック透湿性バリア層60がフィルム56に設けられる。
【0077】
多層通気性バリアフィルム56中のモノリシック透湿性バリア層60、微孔質通気性フィルム層58および微孔質通気性フィルム層62の1層または複数層は、内部モノリシック透湿性バリア層60を隣接する層に接着して多層フィルム56を形成するための1種または複数種の接着剤を含み得る。一例において、接着剤は、2つ以上層を一緒に接着するために好適な成分であり得る。一例において、接着剤は、層同士の親和性を高め、かつ、これらの層を互いに接着する相溶化接着剤である。接着剤は、樹脂をモノリシック透湿性バリア層60に押出す前の樹脂または他の押出し材料中に含まれ得る。代表的な相溶化接着剤としては、これらに限定されないが、ポリエチレン/アクリレートコポリマー、エチレン/メチルアクリレートコポリマー、酸変性アクリレート、無水変性アクリレート、エチレン酢酸ビニル、酸/アクリレート変性エチレン酢酸ビニル、無水変性エチレン酢酸ビニル等、および、これらの組み合わせが挙げられる。一例において、微孔質通気性層58、微孔質通気性層62およびモノリシック透湿性バリア層60の1つが接着剤を含む場合、接着剤は、比較的高いメタクリレート含有量(例えば、少なくとも約20%~25%のメタクリレート含有量)を有し得る。いくつかの実施形態において、内部モノリシック透湿性バリア層60は、約50重量%以下の接着剤と少なくとも約50重量%の引湿性ポリマーとを含むブレンドから調製され得る。
【0078】
いくつかの実施形態において、引湿性ポリマーは、押出される前に乾燥され得る。予め乾燥させた引湿性エラストマーを少量で押出し機に供給することは、水分の吸収を防止し、引湿性エラストマーの加水分解を予防し、かつ、ウェブ中における濃い青色のゲルおよび穴の形成を低減または排除する効果を有することが証明されている。延伸比が高いいくつかの事例においては、ゲルによって穴が形成され、ウェブの破断さえ生じる。
【0079】
本開示に係る多層通気性バリアフィルム56は1層または複数層のモノリシック透湿性バリア層60を含み得、これらの各々は、フィルム構造の内側層において任意の順番で配置され得る。例示的実施形態において、モノリシック透湿性バリア層60は、異物による損傷を防ぐために、得られるフィルム56の外表面には配置されない。一例において、フィルム56が複数のモノリシック透湿性バリア層60を含む場合、個々のモノリシック透湿性バリア層60は、効力を高めるために、フィルム中において相互に隣接して配置されない。複数のモノリシック透湿性バリア層60が用いられる場合、個々のモノリシック透湿性バリア層60は、厚さおよび/または熱可塑性ポリマーのタイプにおいて相互に異なり得る。
【0080】
一例において、多層通気性バリアフィルム56の代表的な構造は5つの層(図示せず)を含み、1層のモノリシック透湿性バリア層が構造のコアとされ、4層の微孔質通気性フィルム層がコアの上下に配置される。一例において、5層の通気性バリアフィルムは、A-C-B-C-A構造を有し、ここで、Aは第1の微孔質通気性フィルム層を表し、Cは、第1の微孔質通気性フィルム層と異なるか同一である第2の微孔質通気性フィルム層を表し、および、Bはモノリシック透湿性バリア層を表す。
【0081】
一例において、最も外側の微孔質通気性フィルム層(Aおよび/またはC)は、Dow 5230G LLDPEまたはDow PL1280 ULDPEまたはDow 5630 LLDPE、および、炭酸カルシウムを含有する。追加の酸化防止剤、着色剤および/または加工助剤を、任意選択により添加し得る。微孔質通気性フィルム層Aは、存在する固体充填材の量、および/または、同一性(例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、ガラス球、他の無機粒子等)において、微孔質通気性フィルム層Cと異なっていてもよい。内側モノリシック透湿性バリア層Bは、DuPont HYTREL PETなどの引湿性エラストマーおよびDuPont BYNEL 3101 20%EVAまたはDuPont AC1820アクリレートなどの接着剤を、任意選択により添加される追加の酸化防止剤、着色剤および加工助剤と共に含有し得る。一例において、内側モノリシック透湿性バリア層Bは、約50%の接着剤、および、約50重量%以上の引湿性エラストマーを含有する。ポリエステルエラストマーの代わりに、ε-カプロラクトン、ポリエステルブロックアミド、ポリエステルエラストマー、ポリアミドおよびこれらのブレンドなどの他の引湿性ポリマーを内側モノリシック透湿性バリア層として利用し得る。
【0082】
上記のタイプの多層通気性バリアフィルム56は、いずれかの特定の種類のフィルム構造に限定されない。他のフィルム構造も、図7に示されている3層フィルム56または上記の5層構造A-C-B-C-Aと同一もしくは同様の結果を達成し得る。フィルム構造は、装置設計および機能に応じる。例えば、フィルム中の層の数は、利用可能な技術およびフィルムの所望される最終用途にのみ基づく。本開示に従って実現され得るフィルム構造の代表例は、特に限定されないが、以下を含み、ここで、Aは微孔質通気性フィルム層(例えば、58または62)を表し、および、Bはアルコールおよびウイルスモノリシック透湿性バリア層(例えば、60)を表す。
【化1】
【0083】
上記の例示的なフィルム構造において、微孔質通気性フィルム層Aの各々は、不織布に対する接着性などの他のフィルム特性をより良好に制御するために、2層以上の微孔質通気性フィルム層を含み得る。例えば、1層の微孔質通気性フィルム層A中に2層の微孔質通気性フィルム層が存在する場合、および、Cが第2の微孔質通気性フィルム層を表す場合、いくつかの例示的なフィルム構造は以下のとおりである。
【化2】
【0084】
さらに、重畳された多層の製造を可能とするダイ技術が用いられ得る。例えば、ABA構造は、約10~約1000回重畳され得る。得られる10回重畳されたABA構造は以下のように表記され得る。
A-B-A-A-B-A-A-B-A-A-B-A-A-B-A-A-B-A-A-B-A-A-B-A-A-B-A-A-B-A
【0085】
微孔質通気性フィルム2および/または多層通気性バリアフィルム56を用いる代表的な用途としては、これらに限定されないが、医療用ガウン、おむつ裏面シート、ドレープ、パッケージ、衣料品、物品、カーペット裏地、室内装飾材裏地、包帯、防護用衣服、婦人用衛生用品、建築資材、寝具等が挙げられる。本開示に係るフィルムは、布、スクリム、または、他のフィルム支持体に、熱接着、超音波接着および/または接着剤による接着により積層され得る。支持体は、フィルムの少なくとも片面および/またはフィルムの両面に取り付けし得る。積層体は、織布、ニット地、不織布、紙、網または他のフィルムを用いて形成し得る。接着剤による接着を用いてこのような積層体を調製し得る。接着剤による接着は、粉末、接着ウェブ、液体、ホットメルトおよび溶剤系接着剤などの接着剤で行われ得る。さらに、支持体中のポリマーがフィルム表面と適合性である場合には、これらのタイプの支持体を超音波接着または熱接着と共に用い得る。本多層フィルムと不織布との積層体は、サージカルバリアを提供し得る。一例において、これらの布は、スパンボンドまたはスパンボンド-メルトブローン-スパンボンド(SMS)布である。他の例において、これらの布は、スパンレース、エアレイド、粉末接着、熱接着または樹脂接着であり得る。モノリシック透湿性バリア層60を包み込むことにより機械的損傷または熱的損傷からモノリシック透湿性バリア層60を保護し、多層フィルムの熱接着および超音波接着が極端な薄さでも可能とされる。
【0086】
本開示に係る多層通気性バリアフィルム56は医療分野における用途で用いられ得る。現在、多孔性ウェブは、内容物を滅菌するためにガスがパッケージを透過可能である必要があるため、エチレンオキシド(EtO)滅菌のために医療分野において用いられる。これらの多孔性ウェブは度々、剛性のトレイの上部シートとして、また、パウチにおける通気フィルムとして用いられる。これらの目的のために通例用いられる医療用の紙はTyvek(スパンボンドHDPE)である。本開示に係る多層通気性バリアフィルム56を用いて、このような用途におけるこれらの製品のいずれをも置き換え得る。
【0087】
一例において、本開示に係る多層通気性バリアフィルム56は、血液に対するバリアが求められるいずれかの用途において用いられ得る。例えば、使い捨てのブランケット、手術台のカバーまたは手術用ドレープは、血液バリア用途に使用され、通気性の下地とすることでより快適に機能し得るため、本開示に係る多層通気性バリアフィルム56を採用し得る。
【0088】
いくつかの実施形態において、上記のとおり、本開示は、微孔質通気性フィルム2(例えば、単層または多層)および多層通気性バリアフィルム56を提供する。他の実施形態において、本開示は、1層または複数層の本開示に係る微孔質通気性フィルム(例えば、単層または多層)、および/または、1層または複数層の本開示に係る多層通気性バリアフィルムを含有する個人向け衛生製品をさらに提供する。例示的実施形態において、本開示に係る個人向け衛生製品は、上記のプロセスにより調製された少なくとも1層の内側微孔質通気性フィルム2と、少なくとも1層の外側不織層とを含む。少なくとも1層の内側微孔質通気性フィルム2は、個人向け衛生製品の使用者の皮膚および/または衣服に接触するものとして構成される。いくつかの実施形態において、個人向け衛生製品は、少なくとも1層の内側微孔質通気性フィルム2と少なくとも1層の外側不織層との間に配置される少なくとも1層のモノリシック透湿性バリア層60をさらに含む。
【0089】
一例において、少なくとも1層の内側微孔質通気性フィルムは、(例えば、ヒートシール、超音波圧接等により)接着剤を用いることなく、少なくとも1層の外側不織層に接着される。いくつかの実施形態において、少なくとも1層の内側微孔質通気性フィルム2および少なくとも1層の外側不織層の各々は、ポリプロピレンおよび/またはポリエチレンを含む。例示的実施形態において、内側微孔質通気性フィルム2は、固体充填材として炭酸カルシウムを含む。
【0090】
例示的実施形態において、本開示に係る個人向け衛生製品は、失禁ブリーフ、手術着または婦人用衛生用品として構成される。
【0091】
以下の番号を付した項目は、予期されると共に非限定的である実施形態を含む。
第1項:ポリオレフィンおよび無機充填材を含む組成物を押出して溶融ウェブを形成するステップ、
エアナイフ、エアブランケット、真空チャンバ、または、これらの組み合わせを用いて溶融ウェブをチルロールの表面にキャストして急冷フィルムを形成するステップ、および
急冷フィルムを延伸して微孔質通気性フィルムを形成するステップ
を含む微孔質通気性フィルムの形成プロセス。
【0092】
第2項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係るプロセスであって、ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、または、これらの組み合わせを含む。
【0093】
第3項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係るプロセスであって、ポリオレフィンは、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、または、これらの組み合わせを含む。
【0094】
第4項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係るプロセスであって、ポリオレフィンは直鎖低密度ポリエチレンを含む。
【0095】
第5項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係るプロセスであって、ポリオレフィンは直鎖低密度ポリエチレンを含み、および、直鎖低密度ポリエチレンはメタロセンポリエチレンを含む。
【0096】
第6項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係るプロセスであって、ポリオレフィンはポリプロピレンを含む。
【0097】
第7項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係るプロセスであって、無機充填材は、微孔質通気性フィルムの約30%~約75重量%を構成する。
【0098】
第8項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係るプロセスであって、無機充填材の平均粒径は約0.1ミクロン~約15ミクロンである。
【0099】
第9項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係るプロセスであって、無機充填材は、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、アルミナ、雲母、タルク、シリカ、クレイ、ガラス球、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、ゼオライトおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0100】
第10項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係るプロセスであって、無機充填材は、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ土類金属硫酸塩、または、これらの組み合わせを含む。
【0101】
第11項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係るプロセスであって、無機充填材は炭酸カルシウムを含む。
【0102】
第12項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係るプロセスであって、溶融ウェブは、真空チャンバにより、負圧下で、チルロールの表面にキャストされる。
【0103】
第13項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係るプロセスであって、溶融ウェブは、エアナイフにより、正圧下で、チルロールの表面にキャストされる。
【0104】
第14項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係るプロセスであって、チルロールを通過する冷却液の出口温度は約華氏50度~約華氏130度である。
【0105】
第15項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係るプロセスであって、延伸は、縦方向(MD)延伸、横方向(CD)延伸、かみ合いギア(IMG)延伸、冷延伸、または、これらの組み合わせを含む。
【0106】
第16項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係るプロセスであって、延伸は、横方向かみ合いギア(CD IMG)延伸を含む。
【0107】
第17項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係るプロセスであって、延伸は、横方向かみ合いギア(CD IMG)延伸および冷延伸を含む。
【0108】
第18項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係るプロセスであって、延伸の少なくとも一部は約華氏60度~約華氏200度の温度で行われる。
【0109】
第19項:微孔質通気性フィルムをアニーリングするステップをさらに含む、他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係るプロセス。
【0110】
第20項:微孔質通気性フィルムをアニーリングするステップをさらに含み、ここで、アニーリングは約華氏75度~約華氏225度の温度で行われる、他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係るプロセス。
【0111】
第21項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係るプロセスであって、微孔質通気性フィルムは約14gsm未満の坪量を有する。
【0112】
第22項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係るプロセスであって、微孔質通気性フィルムは約12gsm未満の坪量を有する。
【0113】
第23項:ポリエチレン、ポリプロピレンまたはこれらの組み合わせ、および、アルカリ土類金属炭酸塩を含む組成物を押出して溶融ウェブを形成するステップであって、アルカリ土類金属炭酸塩は、微孔質通気性フィルムの少なくとも約50重量%を構成するステップ、
真空チャンバにより、負圧下で、チルロールの表面に溶融ウェブをキャストして急冷フィルムを形成するステップ、
急冷フィルムを横方向かみ合いギア(CD IMG)延伸により延伸して微孔質通気性フィルムを形成するステップ、ならびに
微孔質通気性フィルムを華氏約75~約225度の温度でアニーリングするステップ
を含む微孔質通気性フィルムの形成プロセス。
【0114】
第24項:ポリオレフィンとポリオレフィン中に分散された無機充填材とを含む微孔質通気性フィルムであって、
微孔質通気性フィルムは約14gsm未満の坪量、および、約50グラムを超えるダート衝撃強度を有する。
【0115】
第25項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る微孔質通気性フィルムであって、微孔質通気性フィルムは、約13gsm未満の坪量、および、少なくとも約75グラムのダート衝撃強度を有する。
【0116】
第26項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る微孔質通気性フィルムであって、微孔質通気性フィルムは、約13gsm未満の坪量、および、少なくとも約100グラムのダート衝撃強度を有する。
【0117】
第27項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る微孔質通気性フィルムであって、微孔質通気性フィルムは、約9gsm未満の坪量、および、少なくとも約100グラムのダート衝撃強度を有する。
【0118】
第28項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る微孔質通気性フィルムであって、微孔質通気性フィルムは約8gsm未満の坪量を有する。
【0119】
第29項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る微孔質通気性フィルムであって、ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、または、これらの組み合わせを含む。
【0120】
第30項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る微孔質通気性フィルムであって、ポリオレフィンは、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、または、これらの組み合わせを含む。
【0121】
第31項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る微孔質通気性フィルムであって、ポリオレフィンは直鎖低密度ポリエチレンを含む。
【0122】
第32項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る微孔質通気性フィルムであって、ポリオレフィンは実質的に直鎖低密度ポリエチレンからなる。
【0123】
第33項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る微孔質通気性フィルムであって、ポリオレフィンは直鎖低密度ポリエチレンを含み、および、直鎖低密度ポリエチレンはメタロセンポリエチレンを含む。
【0124】
第34項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る微孔質通気性フィルムであって、ポリオレフィンはポリプロピレンを含む。
【0125】
第35項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る微孔質通気性フィルムであって、無機充填材は、微孔質通気性フィルムの約30%~約75重量%を構成する。
【0126】
第36項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る微孔質通気性フィルムであって、無機充填材は、微孔質通気性フィルムの約50%~約75重量%を構成する。
【0127】
第37項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る微孔質通気性フィルムであって、無機充填材は、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ土類金属硫酸塩、または、これらの組み合わせを含む。
【0128】
第38項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る微孔質通気性フィルムであって、無機充填材は炭酸カルシウムを含む。
【0129】
第39項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る微孔質通気性フィルムであって、微孔質通気性フィルムは、少なくとも約150%の最大時の縦方向でのひずみを有する。
【0130】
第40項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る微孔質通気性フィルムであって、微孔質通気性フィルムは、少なくとも約175%の最大時の縦方向でのひずみを有する。
【0131】
第41項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る微孔質通気性フィルムであって、微孔質通気性フィルムは、少なくとも約200%の最大時の縦方向でのひずみを有する。
【0132】
第42項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る微孔質通気性フィルムであって、微孔質通気性フィルムは、少なくとも約215%の最大時の縦方向でのひずみを有する。
【0133】
第43項:直鎖低密度ポリエチレンと直鎖低密度ポリエチレン中に分散されたアルカリ土類金属とを含む微孔質通気性フィルムであって、
アルカリ土類金属は微孔質通気性フィルムの約50%~約75重量%を構成し、
微孔質通気性フィルムは、約13gsm未満の坪量、および、少なくとも約90グラムのダート衝撃強度を有し、ならびに
微孔質通気性フィルムは少なくとも約90%の最大時の縦方向でのひずみを有する。
【0134】
第44項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る微孔質通気性フィルムであって、微孔質通気性フィルムは、少なくとも約125%の最大時の縦方向でのひずみを有する。
【0135】
第45項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る微孔質通気性フィルムであって、微孔質通気性フィルムは、少なくとも約150%の最大時の縦方向でのひずみを有する。
【0136】
第46項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る微孔質通気性フィルムであって、微孔質通気性フィルムは、少なくとも約200%の最大時の縦方向でのひずみを有する。
【0137】
第47項:ポリオレフィンとポリオレフィン中に分散された無機充填材とを含む少なくとも1層の微孔質通気性フィルム層であって、約14gsm未満の坪量、および、約50グラムを超えるダート衝撃強度を有する少なくとも1層の微孔質通気性フィルム層、ならびに
引湿性ポリマーを含む少なくとも1層の透湿性バリア層
を含む多層通気性バリアフィルム。
【0138】
第48項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る多層通気性バリアフィルムであって、少なくとも1層の追加の微孔質通気性フィルム層をさらに含み、少なくとも1層の追加の微孔質通気性フィルム層は、ポリオレフィンとポリオレフィン中に分散された無機充填材とを含み、少なくとも1層の追加の微孔質通気性フィルム層は約14gsm未満の坪量および約50グラムを超えるダート衝撃強度を有し、少なくとも1層の微孔質通気性フィルム層および少なくとも1層の追加の微孔質通気性フィルム層は同一であるかまたは異なり、ならびに、少なくとも1層の透湿性バリア層は、少なくとも1層の微孔質通気性フィルム層と少なくとも1層の追加の微孔質通気性フィルム層との間に配置される。
【0139】
第49項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る多層通気性バリアフィルムであって、引湿性ポリマーは、引湿性エラストマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルエステルコポリマー、ポリエーテルアミドコポリマー、ポリウレタン、ポリウレタンコポリマー、ポリ(エーテルイミド)エステルコポリマー、ポリビニルアルコール、アイオノマー、セルロース、ニトロセルロース、および、これらの組み合わせからなる群から選択される。
【0140】
第50項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係るプロセスにより調製された少なくとも1層の微孔質通気性フィルム層と、
引湿性ポリマーを含む少なくとも1層の透湿性バリア層と、
他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係るプロセスにより調製された少なくとも1層の追加の微孔質通気性フィルムとを含み、
少なくとも1層の微孔質通気性フィルム層および少なくとも1層の追加の微孔質通気性フィルム層は同一であるかまたは異なり、ならびに
少なくとも1層の透湿性バリア層は、少なくとも1層の微孔質通気性フィルム層と少なくとも1層の追加の微孔質通気性フィルムとの間に配置される多層通気性バリアフィルム。
【0141】
第51項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る多層通気性バリアフィルムであって、引湿性ポリマーは、引湿性エラストマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルエステルコポリマー、ポリエーテルアミドコポリマー、ポリウレタン、ポリウレタンコポリマー、ポリ(エーテルイミド)エステルコポリマー、ポリビニルアルコール、アイオノマー、セルロース、ニトロセルロース、および、これらの組み合わせからなる群から選択される。
【0142】
第52項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る多層通気性バリアフィルムであって、少なくとも1層の透湿性バリア層は接着剤をさらに含む。
【0143】
第53項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る多層通気性バリアフィルムであって、少なくとも1層の透湿性バリア層は接着剤をさらに含み、接着剤は、ポリエチレン/アクリレートコポリマー、エチレン/メチルアクリレートコポリマー、酸変性アクリレート、無水変性アクリレート、エチレン酢酸ビニル、酸/アクリレート変性エチレン酢酸ビニル、無水変性エチレン酢酸ビニル、または、これらの組み合わせを含む。
【0144】
第54項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係るプロセスにより調製された少なくとも1層の内側微孔質通気性フィルムであって、個人向け衛生製品の使用者の皮膚および/または衣服に接触するよう構成された少なくとも1層の内側微孔質通気性フィルムと、
少なくとも1層の外側不織層とを含む個人向け衛生製品。
【0145】
第55項:少なくとも1層の内側微孔質通気性フィルムと、少なくとも1層の外側不織層との間に配置された少なくとも1層の透湿性バリア層をさらに含む、他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る個人向け衛生製品。
【0146】
第56項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る個人向け衛生製品であって、少なくとも1層の内側微孔質通気性フィルムは、接着剤を用いることなく少なくとも1層の外側不織層に接着されている。
【0147】
第57項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る個人向け衛生製品であって、少なくとも1層の内側微孔質通気性フィルムおよび少なくとも1層の外側不織層の各々はポリプロピレンを含む。
【0148】
第58項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る個人向け衛生製品であって、本製品は、失禁ブリーフとして構成されている。
【0149】
第59項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る個人向け衛生製品であって、本製品は、手術着として構成されている。
【0150】
第60項:他の項のいずれかまたは項の組み合わせに係る個人向け衛生製品であって、本製品は、婦人用衛生用品として構成されている。
【0151】
以下の実施例および代表的な手法は本開示に係る特性を例示するものであり、単に実例として提供されている。これらは、添付の特許請求の範囲に係る範囲またはその均等物を限定することは意図されていない。
【実施例
【0152】
一般
例示的なフィルムの製造のために、3台以下の押出し機を備える押出し成形キャストラインを用いた。「A」および「B」押出し機は直径が2.5インチであり、「C」押出し機は直径が1.75インチである。A、BおよびC押出し機からの押出物を多様な構成で積層させることが可能であるCloeren Corporation(Orange,TX)製の多層化フィードブロックに押出し機から供給が行われる。このフィードブロックから、溶融ポリマーが幅約36インチの単層キャストダイ(Cloeren製)に進む。このダイは調節用ギャップを有する。本明細書に記載のサンプルについては、調節用ギャップは10~40ミルで維持した。溶融ポリマーはチルロール上に落下する。本明細書に記載のサンプルについては、チルロールは、Pamarco(Roselle,NJ)によりパターンP-2739として彫刻されたエンボスパターンFST-250を有していた。エンボスパターンP-2739は、250個の正方形/インチおよび深さ約31ミクロンの正方形のパターン(例えば、線が縦方向に略揃ったもの)である。ロール自体は、18インチの直径を有し、内部水冷式のものである。彫刻ロールのパターンは、真空チャンバにおける急冷に干渉しないよう十分に浅い他のパターンで置き換えられてもよい。クロムメッキロールにサンドブラストプロセスで形成された40Raパターン(40マイクロインチの平均粗度)が代替の1つである。
【0153】
実施例1-従来のエンボスフィルムとチルキャスト真空チャンバフィルムとの比較
この実験において、微孔質通気性フィルムは、表1に示されている配合物XC3-121-2205.0から形成した。
【0154】
【表1】
【0155】
表1に示されている組成物XC3-121-2205.0の押出し成形により形成した溶融ウェブを、従来のエンボスロールプロセス、または、本開示に係るチルキャスト真空チャンバプロセスにより250Tロール(1749.9rpm設定)で急冷した。従来のエンボスロールプロセスにより形成したフィルムおよび本開示に係るチルキャストプロセスにより形成したフィルムの物理特性が表2に示されている。表2はさらに、12.21gsmにダウンゲージしたチルキャスト真空チャンバプロセスにより形成した第3のフィルムの物理特性を含む。表2およびその後の表において、器具のアッセイ範囲未満であるエルメンドルフ引裂強さの結果はアスタリスクで示し、これは単なる参照としてみなされるべきである。
【0156】
【表2】
【0157】
表2中のデータによって示されているとおり、本開示に係る微孔質通気性フィルムは、従来のエンボスロールフィルムと比して実質的に向上したTD引裂強さおよび衝撃特性を示す。例えば、チルキャストプロセスにより調製した微孔質通気性フィルムは、従来のエンボスフィルムと比して大きいMD引張強度および小さいMD伸度を示す。しかも、意外なことに、非エンボス微孔質通気性フィルムは、比較エンボスフィルムと比して低い水蒸気透過度(WVTR)を示す。この知見は、非エンボスフィルムのMVTR(水蒸気透過度)が、実質的に同一の条件下で徐々に延伸された比較エンボスフィルムのMVTRよりも高いとする米国特許第6,656,581号明細書において報告されている結果とは対照的である。
【0158】
エンボスプロセスではドローレゾナンスが生じ易い。その結果、従来のエンボス加工プロセスによって調製される微孔質通気性フィルムは、加工における補助のためにLDPEを典型的に含む。しかしながら、本教示に係るチルキャスト真空チャンバ急冷プロセスにより調製した微孔質通気性フィルムに関しては、LDPEは省略し、これにより、従来のフィルムではこれまで達成できなかった特性を有する強固なフィルムを入手し得る。
【0159】
実施例2-真空チャンバプロセスにより調製した微孔質通気性フィルム
CaCO含有化合物(CF7414またはT998K5)を含有する7種の配合物を用いて、本開示に係る微孔質通気性フィルムを調製した。これらの7種の配合物の各々において、CaCO含有化合物(CF7414またはT998K5)は、70重量%で存在し、および、PPAは2%で存在する。配合物の残りはポリマーまたはポリマーブレンドである。残量を構成するポリマー/ポリマーブレンドの組成を含む7種の配合物の組成は、以下の表3に示されているとおりである。
【0160】
【表3】
【0161】
配合物1および6から形成したフィルムは14gsmであったが、配合物2~5および7から形成したフィルムは12gsmであった。
【0162】
表3に示されているCaCO含有化合物CF7414およびT998K5の組成が以下の表4に特定されている。
【0163】
【表4】
【0164】
表3に示されている7種の配合物を用いて一連の微孔質通気性フィルムを形成した。これらのフィルムを様々な程度の前延伸に供し、いくつかの場合においてはMD IMG延伸に供した。このようにして調製したフィルムの物理特性が以下の表5、6、および7にまとめられている。
【0165】
【表5】
【0166】
【表6】
【0167】
【表7】
【0168】
【表8】
【0169】
【表9】
【0170】
【表10】
【0171】
【表11】
【0172】
【表12】
【0173】
【表13】
【0174】
実施例3-従来の微孔質通気性フィルムの物理特性を示す比較例
従来の方法(例えば、Windmoeller & HoelscherブローMDOフィルム、キャストMDOフィルムおよびキャストIMGフィルム)によって調製された一連の微孔質通気性フィルムのデータが以下の表8に示されている。本教示に係る真空チャンバプロセスによって調製された一連の微孔質通気性フィルムのデータが以下の表9に示されている。
【0175】
表8中のデータによって示されているとおり、ブローMDOフィルムは、劣ったひずみおよび引裂強さ特性を示している。しかも、表9中のフィルムに対応する最大MDひずみは表8のものよりも実質的に高い。加えて、表9中のフィルムは、優れたダート落下および低速衝撃特徴を示している。
【0176】
【表14】
【0177】
【表15】
【0178】
【表16】
【0179】
実施例4-表皮層無し微孔質通気性フィルム
構造BBBBBを有する一連の16種の表皮層無し微孔質通気性フィルムを、表10に示されている配合物XC1-2-2269.0から調製した。化合物CF7414の組成が上記の表4に記載されている。
【0180】
16種のフィルムを以下の異なる加工条件に供した:坪量(9gsm対12gsm)、前延伸(35%/35%対50%/50%)、係合深さ(0.070対0.085)および後延伸(0%対30%)。得られるフィルムの物理特性が表11~12にまとめられている。
【0181】
【表17】
【0182】
表11~12において、記号W/X/Y/Zは、坪量(gsm)/前延伸/IMGロールの係合深さ/後延伸を示す略記式の表記法である。例えば、表記9/35/070/0は、9gsmの坪量、35%/35%前延伸、70mmの係合深さおよび0%後延伸を表す。
【0183】
【表18】
【0184】
【表19】
【0185】
【表20】
【0186】
【表21】
【0187】
【表22】
【0188】
【表23】
【0189】
実施例5-表皮層付微孔質通気性フィルム
構造CBBBCを有する一連の16種の表皮層付微孔質通気性フィルムを、表13に示されている配合物XC1-22-2270.0から調製した。化合物CF7414の組成が上記の表4に記載されている。
【0190】
16種のフィルムを以下の異なる加工条件に供した:坪量(9gsm対12gsm)、前延伸(35%/35%対50%/50%)、係合深さ(0.07対0.085)、および後延伸(0%対30%)。得られるフィルムの物理特性が表14~15にまとめられている。
【0191】
【表24】
【0192】
表14~15において、記号W/X/Y/Zは、坪量(gsm)/前延伸/IMGロールの係合深さ/後延伸を示す略記式の表記法である。例えば、表記9/35/070/0は、9gsmの坪量、35%/35%前延伸、70mmの係合深さおよび0の後延伸を表す。
【0193】
【表25】
【0194】
【表26】
【0195】
【表27】
【0196】
【表28】
【0197】
【表29】
【0198】
【表30】
【0199】
実施例6-非常に低い坪量を有する微孔質通気性フィルム
構造CBBBCを有する2種の微孔質通気性フィルムA3およびB3を、表13に示されている配合物XC3-22-2270.0から調製した。得られるフィルムの物理特性が表16に示されている。
【0200】
表16において、記号X/Y/Zは、前延伸/IMGロールの係合深さ/後延伸を示す略記式の表記法である。例えば、フィルムA2に対応する表記50/085/0は、50%/50%前延伸、85mmの係合深さおよび0%後延伸を表す。意外かつ予想外であることに、フィルムA2およびB2は、非常に低い坪量(例えば、9gsm未満)であるにも関わらず、高いダート衝撃強度(例えば、90グラム超)を示す。
【0201】
【表31】
【0202】
【表32】
【0203】
微孔質通気性フィルムの総厚は、製造されるフィルムの特定の最終用途に応じて様々であり得る。例示的実施形態において、本開示に係るフィルムは、微孔質通気性フィルムの典型的な厚さよりも薄い厚さを有する。上記のとおり、真空チャンバ、エアナイフおよび/またはエアブランケットを用いてチルロールに溶融ウェブをキャストすることにより本開示に従って調製された微孔質通気性フィルムの有益な特性は、低坪量、高ダート衝撃強度、高い最大時の縦方向でのひずみ等の1つまたは複数を含み得ること、ならびに、従来の微孔質通気性フィルムと比して低いゲージまたは薄い厚さでのフィルムの使用を許容し得ることである。しかしながら、坪量および厚さは、所望される最終用途に適合するよう容易に調節し得る。
【0204】
実施例7-ポリプロピレン微孔質通気性フィルム
構造A/B/A(20/60/20積層)を有するポリプロピレン微孔質通気性フィルムA4~D4、および、構造A/B/A(10/80/10積層)を有するポリプロピレン微孔質通気性フィルムE4~H4は、表17に示されている配合物XC3-828-2287から調製した。表17に示されている化合物T1000J2およびCF7414*の組成が以下の表18に特定されている。
【0205】
【表33】
【0206】
【表34】
【0207】
得られたポリプロピレンフィルムの物理特性が以下の表19に示されている。フィルムA4、B4、E4およびF4は後延伸にはまったく供せず、一方で、フィルムC4、D4、G4およびH4は30%後延伸に供した。フィルムA4、B4、C4およびD4は20/60/20のA/B/A積層を有しており、一方で、フィルムE4、F4、G4およびH4は10/80/10のA/B/A積層を有している。
【0208】
表19に示されているとおり、16gsmフィルムD4は、素晴らしい1049g/inの最大時の力をMDで示すと共に、475g/inの25%MDひずみで素晴らしい力を示す。25%MDひずみでの力計測値は、(例えば、消費者によって)引っ張られた際にフィルムが延伸し得る程度を反映するものである。加えて、表19に示されているとおり、16gsmフィルムD4はまた1572Ft・Lb/inの高いTEA MDを示し、これは、フィルムの靭性の尺度である(ここでは、大きい数字が高い頑強さに相当する)。
【0209】
表19に示されている16gsmフィルムD4は、Herrmann Ultrasonicsにより17gsmスパンボンドポリプロピレンホモポリマー材料に超音波接着した。フィルムD4を、マイクロギャップ制御、20kHz超音波ホーン、および、不連続な接着パターンを有する接着ロールを用いてポリプロピレンホモポリマーに接着した。このように形成した超音波接着材料は良好な接着特徴を示していた。また、これはどのように本開示に係るフィルムが接着剤を用いることなく不織材料に接着され得るかの例を表す。このように、本開示に係るフィルム(例えば、特にこれらに限定されないが、表19に示されているフィルムD4を含むポリプロピレンフィルム)は、個人向け衛生製品(例えば、特にこれらに限定されないが、失禁ブリーフ、成人用の失禁アンダーパッド、手術着、ドレープ、婦人用衛生用品を含む)、および、衣料品、エプロン、手袋等などの防護用衣服)を形成するための使用に望ましいであろう。
【0210】
【表35】
【0211】
【表36】
【0212】
実施例8-ポリエチレン-混和ポリプロピレン微孔質通気性フィルム
構造A/B/A(20/60/20積層)を有するポリプロピレン微孔質通気性フィルムI4~L4を、表20に示されている配合物XC3-222-2286から調製した。表20に示されている化合物CF7414*の組成が上記の表18に特定されている。
【0213】
【表37】
【0214】
混和ポリプロピレンフィルムで得られたポリエチレンの物理特性が以下の表21に示されている。フィルムI4およびK4は後延伸にはまったく供せず、一方で、フィルムJ4およびL4は30%後延伸に供した。フィルムI4、J4、K4およびL4は20/60/20のA/B/A積層を有している。
【0215】
【表38】
【0216】
【表39】
【0217】
表21に示されているとおり、16gsmフィルムL4は素晴らしい1,600g/inの最大時の力をMDで示すと共に、495g/inの25%MDひずみで素晴らしい力を示す。加えて、表21に示されているとおり、16gsmフィルムD4は2,238Ft・Lb/inの高いTEA MDをも示し、これは、フィルムの靭性の尺度である(大きい数字が高い頑強さに相当する)。
【0218】
意外かつ予想外であることに、配合物XC3-222-2286から製造されたポリエチレン-混和ポリプロピレンフィルムL4は、配合物XC3-828-2287から製造された純粋なポリプロピレンフィルムD4よりも柔らかい手触りである。しかも、意外かつ予想外であることに、ポリエチレン-混和ポリプロピレンフィルム(例えば、表21に示されているフィルムL4)は、純粋なポリプロピレンフィルム(例えば、表19に示されているフィルムD4)よりも良好な特性を示し得る。
【0219】
表21に示されている16gsmフィルムL4は、Herrmann Ultrasonicsにより17gsmスパンボンドポリプロピレンホモポリマー材料に超音波接着した。フィルムL4を、マイクロギャップ制御、幅150mmの20kHz超音波ホーン、および、不連続な接着パターンを有する接着ロールを用いてポリプロピレンホモポリマーに接着した。このように形成した超音波接着材料は良好な接着特徴を示していた。また、これはどのように本開示に係るフィルムが接着剤を用いることなく不織材料に接着され得るかのさらなる例を表す。このように、本開示に係るフィルム(例えば、特にこれらに限定されないが、表21に示されているフィルムL4を含むポリエチレン-混和ポリプロピレンフィルム)は、個人向け衛生製品(例えば、特にこれらに限定されないが、失禁ブリーフ、手術着、婦人用衛生用品等を含む)を形成するための使用に望ましいであろう。
【0220】
実施例9-ポリエチレン-混和ポリプロピレン微孔質通気性フィルムおよび比較ポリプロピレン非通気性フィルムの加圧布透過(PPT)テスト
「加圧布透過(PPT)」テストを用いて、疑似血液の加圧下での透過をテストした。PPTテストを用いて、特定の時間に加圧下で、疑似血液が布またはフィルムを透過するか否か、また、その程度を判定する。
【0221】
サンプルを平面上の吸取紙に置き、アストラゾンレッドバイオレット染料を含有する70%のIPA/水溶液で3分間、1psiの負荷下に検証を行った。吸取紙に現れる赤色のスポットの数を判定し記録する。テスト溶液は、70%のIPA/30%DI水と、視認のために添加される0.1%(1グラム/リットルまたは0.1gm/100ml)のアストラゾンレッドバイオレット3RN液体染料とを含有する。この方法は、生地をテストする際の標準的な環境の実験室で行う:70°F(20℃)、65%RH。
【0222】
PPTテストにおいて、予めマークした吸取紙をシンクに近い硬い平面上に敷く。3インチ×3インチの試験片を表面を上にして、吸取紙上の4つまたは6つの予めマークした正方形の区切りの各々に置く。2インチ×2インチ片の吸収性のスパンボンド不織布を各試験片の中心に置く。ピペットにテスト溶液を満たし、2インチ×2インチの不織布に染み込ませる。直径2.0インチ;3.14lb(1.0psi)の円筒形の重しを染み込ませた試験片の上に置き、計時を開始する。3.0分後に重しを外し、吸取紙以外をすべて廃棄する。吸取紙を検査し、すべての赤色のスポットを計数する。赤色のスポットの数を記録する。サイズの限度を計数する赤色のスポットについて特定し得る。大きい赤色の斑点が1つ存在している場合、結果を「99」として記録し得る。
【0223】
構造A/B/A(20/60/20積層)を有するポリプロピレン微孔質通気性フィルムサンプルA5~C5を、上記の表20に示されている配合物XC3-222-2286から調製した。構造A/B/A(20/60/20積層)を有するポリプロピレン微孔質通気性フィルムサンプルD5~F5を、上記の表17に示されている配合物XC3-828-2287から調製した。構造A/B/A(20/60/20積層)を有するポリプロピレン微孔質コアフィルムサンプルG5およびH5を、以下の表22に示されている配合物XC3-828-2300から調製した。微孔質コアフィルムは、微孔質コア層を有するが、通気性コア層を覆う固体表皮層を有しているために通気性ではない。表22に示されている化合物CF7414*の組成が上記の表18に特定されている。
【0224】
【表40】
【0225】
ポリエチレン-混和ポリプロピレン微孔質通気性フィルムA5~H5のPPTテストデータが以下の表23にまとめられている。
【0226】
【表41】
【0227】
フィルムA5~H5で追加のPPTテストを、6インチ角のフィルムを用いて行った。フィルムの不織布側を吸取紙に置き、3cmの染料を30秒間加えた。この追加のテストの結果が以下の表24に示されている。
【0228】
【表42】
【0229】
比較のために、構造A/B/A(20/60/20積層)を有するポリプロピレン含有非通気性フィルムサンプルA6~F6を、以下の表25に示されている配合物XP-1943SXから調製した。
【0230】
【表43】
【0231】
比較ポリエチレン-混和ポリプロピレン非通気性フィルムA6~F6のPPTテストデータが以下の表26にまとめられている。
【0232】
【表44】
【0233】
表23および24中のデータに示されているとおり、本開示に係るポリプロピレン含有表皮層を有するポリエチレンコアフィルムは、低い接着力(例えば、600ニュートン)で破壊的接着を達成することが可能であった。対照的に、表26中のデータによって示されているとおり、ポリエチレン混和ポリプロピレン非多孔質フィルムは化学式中のポリプロピレンレベルが高いにも関わらず、このような同程度の低い接着力では破壊的接着を達成することはできなかった。しかも、微孔質通気性フィルムA5~G5に係るPPTテスト結果は非通気性フィルムA6~E6に係るPPTテスト結果に匹敵する一方で、本開示に係る微孔質通気性フィルムは非通気性フィルムに匹敵するバリア性能を達成し、さらに、通気性を実現することが可能であることは意外であると共に予想外である。
【0234】
実施例10-多層通気性バリアフィルム
ポリエチレン含有微孔質通気性表皮、熱可塑性コポリエステルエラストマーコアおよびA/B/C/B/A構造を有する4種のハイブリッド微孔質-モノリシック多層通気性バリアフィルムA7~D7を、以下の表27に示されている配合物XC5-22922-2301.0から調製した。
【0235】
【表45】
【0236】
ポリプロピレン含有微孔質通気性表皮、熱可塑性コポリエステルエラストマーコアおよびA/B/C/B/A構造を有する4種のハイブリッド微孔質-モノリシック多層通気性バリアフィルムE7~H7を、以下の表28に示されている配合物XC5-828-2302.0から調製した。
【0237】
【表46】
【0238】
ポリエチレン含有微孔質通気性表皮、熱可塑性ポリエステルエラストマーコアおよびA/B/C/B/A構造を有する4種のハイブリッド微孔質-モノリシック多層通気性バリアフィルムI7~L7を、以下の表29に示されている配合物XC5-22922-2306.0から調製した。
【0239】
【表47】
【0240】
ポリプロピレン含有微孔質通気性表皮、熱可塑性ポリエステルエラストマーコアおよびA/B/C/B/A構造を有する4種のハイブリッド微孔質-モノリシック多層通気性バリアフィルムM7~P7を、以下の表30に示されている配合物XC5-82928-2307.0から調製した。
【0241】
【表48】
【0242】
表27~30に示されているCaCO含有化合物CF7414*の組成、ならびに、表28および30に示されているCaCO含有化合物T1000J2の組成が上記の表18に特定されている。
【0243】
得られたフィルムA7~H7の物理特性が以下の表31に示されており、および、得られたフィルムI7~P7の物理特性が以下の表32に示されている。フィルムA7~P7の各々を30%後延伸に供した。表31および32に示されているアルコール透過率テストデータはモノリシック層が損なわれていない程度を表し、0~10の値は特に良好な性能を示す。表31および32に示されているとおり、多くのフィルムが、低坪量(例えば、12gsm)にも関わらず高いダート衝撃強度(例えば、90グラム超)を示す。
【0244】
【表49】
【0245】
【表50】
【0246】
【表51】
【0247】
【表52】
【0248】
【表53】
【0249】
【表54】
【0250】
【表55】
【0251】
【表56】
【0252】
表31および32中のデータによって示されているとおり、本開示に係る多層通気性バリアフィルムは、低いアルコール透過率(例えば、0%~10%)を低坪量(例えば、12gsm)で達成することが可能である。
【0253】
実施例11-結合樹脂非含有および結合樹脂含有多層通気性バリアフィルム
ポリプロピレン微孔質通気性表皮、熱可塑性コポリエステルエラストマーコアおよびA/B/C/B/A構造を有する結合樹脂含有多層通気性バリアフィルムA8を、以下の表33に示されている配合物XC5-82328-2351.6Aから調製した。結合樹脂(BYNEL 22E757)は変性エチレンアクリレートである。
【0254】
【表57】
【0255】
ポリプロピレン微孔質通気性表皮、熱可塑性コポリエステルエラストマーコアおよびA/B/C/B/A構造を有する結合樹脂非含有多層通気性バリアフィルムB8を、以下の表34に示されている配合物XC5-82328-2351.1から調製した。
【0256】
【表58】
【0257】
表33および34に示されているCaCO含有化合物T1001R1の組成は、以下の表35に特定されているとおりである。
【0258】
【表59】
【0259】
得られたフィルムA8およびB8の物理特性が以下の表36に示されている。フィルムA8およびB8の各々を25%後延伸に供し、0.1インチの深さでCD IMG延伸に供した。
【0260】
【表60】
【0261】
【表61】
【0262】
意外かつ予想外であることに、フィルムのロールを成功裏に製造することが可能であり、これを、その後、結合樹脂含有配合物XC5-82328-2351.6Aおよび結合樹脂非含有配合物XC5-82328-2351.1の両方で不織層に熱溶融型接着積層することが可能であった。従来においては、製造または取り扱いの最中におけるこれらの層の剥離を防止するためには、結合樹脂接着剤が必要となると考えられていた。しかしながら、CD IMG活性化を利用する本開示に係る製造プロセスでは、これらの層を一緒に保持することが可能であり、これにより、結合樹脂の必要性が不要とされている。
【0263】
表36中のデータによって示されているとおり、フィルムが低坪量のものであり、かつ、構造中においてポリプロピレン(通常、配向により脆性のポリマー)を使用しているにも関わらず、優れたWVTR値およびダート衝撃強度が得られた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7