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特許7245690照明装置、読取装置、印刷システムおよび判定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】照明装置、読取装置、印刷システムおよび判定装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/028 20060101AFI20230316BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20230316BHJP
   F21V 29/70 20150101ALI20230316BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230316BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20230316BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230316BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20230316BHJP
   G03B 27/54 20060101ALI20230316BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20230316BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230316BHJP
【FI】
H04N1/028 M
F21V29/503
F21V29/70
F21S2/00 230
H04N1/04 101
H05K7/20 F
H01L27/146 D
G03B27/54 A
F21Y103:10
F21Y115:10
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019055152
(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公開番号】P2020156046
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000104629
【氏名又は名称】キヤノン・コンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】永田 健治
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-081996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/028
F21V 29/503
F21V 29/70
F21S 2/00
H04N 1/04
H05K 7/20
H01L 27/146
G03B 27/54
F21Y 103:10
F21Y 115:10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の一面部を形成する外装パネルと、
前記筐体内において基板上に光源が設置されて成る光源ユニットと、
前記筐体内において前記外装パネルおよび前記光源ユニットを支持する支持部材と、
前記光源ユニットと前記外装パネルとを接続するように配された放熱部材と、を備え、
前記支持部材を通る前記光源ユニットから前記外装パネルまでの放熱経路を第1放熱経路とし、前記支持部材を通らずに前記放熱部材を通る前記光源ユニットから前記外装パネルまでの放熱経路を第2放熱経路とするとき、
前記放熱部材は、前記第2放熱経路の熱コンダクタンスが前記第1放熱経路の熱コンダクタンスよりも大きくなるように、構成されている
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
筐体の一面部を形成する外装パネルと、
前記筐体内において基板上に光源が設置されて成る光源ユニットと、
前記筐体内において前記外装パネルおよび前記光源ユニットを支持する支持部材と、
前記光源ユニットと前記外装パネルとを接続するように配された放熱部材と、を備え、
前記支持部材を通る前記光源ユニットから前記外装パネルまでの放熱経路を第1放熱経路とし、前記放熱部材を通る前記光源ユニットから前記外装パネルまでの放熱経路を第2放熱経路とするとき、
前記放熱部材は、前記第2放熱経路の熱コンダクタンスが前記第1放熱経路の熱コンダクタンスよりも大きくなるように、熱伝導率が前記支持部材に比べて高い材料で構成されており、
前記放熱部材を構成する材料の熱伝導率は、前記支持部材を構成する材料の熱伝導率の2倍以上である
ことを特徴とす照明装置。
【請求項3】
筐体の一面部を形成する外装パネルと、
前記筐体内において基板上に光源が設置されて成る光源ユニットと、
前記筐体内において前記外装パネルおよび前記光源ユニットを支持する支持部材と、
前記光源ユニットと前記外装パネルとを接続するように配された放熱部材と、を備え、
前記支持部材を通る前記光源ユニットから前記外装パネルまでの放熱経路を第1放熱経路とし、前記放熱部材を通る前記光源ユニットから前記外装パネルまでの放熱経路を第2放熱経路とするとき、
前記放熱部材は、前記第2放熱経路の熱コンダクタンスが前記第1放熱経路の熱コンダクタンスよりも大きくなるように、構成されており、
前記支持部材は樹脂で構成されている
ことを特徴とす照明装置。
【請求項4】
筐体の一面部を形成する外装パネルと、
前記筐体内において基板上に光源が設置されて成る光源ユニットと、
前記筐体内において前記外装パネルおよび前記光源ユニットを支持する支持部材と、
前記光源ユニットと前記外装パネルとを接続するように配された放熱部材と、を備え、
前記支持部材を通る前記光源ユニットから前記外装パネルまでの放熱経路を第1放熱経路とし、前記放熱部材を通る前記光源ユニットから前記外装パネルまでの放熱経路を第2放熱経路とするとき、
前記放熱部材は、前記第2放熱経路の熱コンダクタンスが前記第1放熱経路の熱コンダクタンスよりも大きくなるように、構成されており、
前記基板は一方向に延びる長尺状の基板であり、前記光源は複数の光源の1つであり、
前記光源ユニットは、前記長尺状の基板上に前記複数の光源が前記一方向に配列されて成り、
前記支持部材、前記外装パネルおよび前記放熱部材は前記一方向に延設されている
ことを特徴とす照明装置。
【請求項5】
筐体の一面部を形成する外装パネルと、
前記筐体内において基板上に光源が設置されて成る光源ユニットと、
前記筐体内において前記外装パネルおよび前記光源ユニットを支持する支持部材と、
前記光源ユニットと前記外装パネルとを接続するように配された放熱部材と、を備え、
前記支持部材を通る前記光源ユニットから前記外装パネルまでの放熱経路を第1放熱経路とし、前記放熱部材を通る前記光源ユニットから前記外装パネルまでの放熱経路を第2放熱経路とするとき、
前記放熱部材は、前記第2放熱経路の熱コンダクタンスが前記第1放熱経路の熱コンダクタンスよりも大きくなるように、構成されており、
前記放熱部材は、
前記光源ユニットが載置された載置部と、
前記載置部から前記外装パネルまで延びる延設部と、
前記延設部から前記外装パネルの内壁に沿って延び且つ該内壁に当接する当接部と、
を含む
ことを特徴とす照明装置。
【請求項6】
前記光源ユニットおよび前記支持部材を相互に固定する複数の固定部材を更に備え、
前記放熱部材は、少なくとも前記延設部において、前記複数の固定部材をそれぞれ挿通させるための複数のスリット部を有する
ことを特徴とする請求項記載の照明装置。
【請求項7】
前記複数の固定部材は一方向に並んでおり、かつ、前記延設部は前記複数のスリット部により前記一方向において複数の部分に分離されており、
前記複数の部分のうち、前記一方向における両端の部分は、他の部分よりも前記一方向の幅が小さい
ことを特徴とする請求項記載の照明装置。
【請求項8】
前記放熱部材は、前記筐体内において、前記載置部及び/又はその上に載置された前記光源ユニットが前記支持部材により支持されると共に前記当接部が前記外装パネルの前記内壁を押圧するように、固定されている
ことを特徴とする請求項から請求項の何れか1項記載の照明装置。
【請求項9】
前記光源ユニットから前記光源の光を出射可能な天板を更に備え、
前記筐体内において前記光源ユニットと前記支持部材と前記天板とは空間を区画しており、前記放熱部材は該空間を通らないように配されている
ことを特徴とする請求項から請求項の何れか1項記載の照明装置。
【請求項10】
前記光源ユニットには、前記光源に電力を供給するためのワイヤが接続され、
前記放熱部材は、前記ワイヤを挿通させるための開口部を有する
ことを特徴とする請求項記載の照明装置。
【請求項11】
前記支持部材は、剛性が前記放熱部材に比べて高い材料で構成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項10の何れか1項記載の照明装置。
【請求項12】
前記放熱部材は金属で構成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項11の何れか1項記載の照明装置。
【請求項13】
前記外装パネルは金属で構成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項12の何れか1項記載の照明装置。
【請求項14】
明装置と、前記照明装置により照らされた対象物からの反射光を検出するためのセンサユニットと、を備える読取装置であって、
前記照明装置は、
筐体の一面部を形成する外装パネルと、
前記筐体内において基板上に光源が設置されて成る光源ユニットと、
前記筐体内において前記外装パネルおよび前記光源ユニットを支持する支持部材と、
前記光源ユニットと前記外装パネルとを接続するように配された放熱部材と、を備え、
前記支持部材を通る前記光源ユニットから前記外装パネルまでの放熱経路を第1放熱経路とし、前記放熱部材を通る前記光源ユニットから前記外装パネルまでの放熱経路を第2放熱経路とするとき、
前記放熱部材は、前記第2放熱経路の熱コンダクタンスが前記第1放熱経路の熱コンダクタンスよりも大きくなるように、構成されており、
前記反射光を導くためのレンズユニットを更に備え、
前記センサユニットおよび前記レンズユニットは前記支持部材に対して固定されている
ことを特徴とする読取装置。
【請求項15】
画像形成装置と、
前記画像形成装置により形成された画像を読み取り可能に配置された請求項14記載の読取装置と、を備える
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項16】
請求項1から請求項13の何れか1項記載の照明装置と、前記照明装置により照らされた対象物からの反射光を検出するためのセンサユニットと、前記センサユニットによる検出結果に基づいて所定の判定を行う判定ユニットと、を備える
ことを特徴とする判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトイメージセンサ等に代表される読取装置のなかには、照明装置を備え、この照明装置により読取対象に光を照射して該読取対象からの反射光を検出するものがある(特許文献1参照)。照明装置の光源には、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子が用いられる。光源は、一般に発光と共に発熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-8264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記光源の発熱は、発光光量、製品寿命等に影響をおよぼす場合があり、照明装置の信頼性の低下の原因となりうる。一方、照明装置内の構成部品を支持する支持部材には、例えば装置の小型化、軽量化等を目的として、熱伝導率の比較的小さい材料が用いられることが考えられるため、放熱を考慮した設計が求められる。
【0005】
本発明は、発明者による上記課題の認識を契機として為されたものであり、信頼性を向上可能な照明装置を比較的簡素な構成で実現することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの側面は照明装置にかかり、前記照明装置は、
筐体の一面部を形成する外装パネルと、
前記筐体内において基板上に光源が設置されて成る光源ユニットと、
前記筐体内において前記外装パネルおよび前記光源ユニットを支持する支持部材と、
前記光源ユニットと前記外装パネルとを接続するように配された放熱部材と、を備え、
前記支持部材を通る前記光源ユニットから前記外装パネルまでの放熱経路を第1放熱経路とし、前記支持部材を通らずに前記放熱部材を通る前記光源ユニットから前記外装パネルまでの放熱経路を第2放熱経路とするとき、
前記放熱部材は、前記第2放熱経路の熱コンダクタンスが前記第1放熱経路の熱コンダクタンスよりも大きくなるように、構成されている
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、照明装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】読取装置の構造の一例を説明するための斜視図。
図2】読取装置の構造の一例を説明するための分解図。
図3】読取装置の構造の一例を説明するための断面斜視図。
図4】読取装置の内部構造の一例を説明するための断面図。
図5】放熱部材の構造の一例を説明するための斜視図。
図6】放熱部材の構造の他の例を説明するための斜視図。
図7】放熱部材の構造の他の例を説明するための斜視図。
図8】印刷システムの構成例を説明するためのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係る読取装置1の構成を示す斜視図である。読取装置1は、図1から分かるように、一方向に延びた長尺状の外形を有する。図中には、構造の理解の容易化のため、互いに交差するX方向、Y方向およびZ方向を示す。X方向は、装置1の長手方向ないし幅方向に対応する。Y方向は、装置1の短手方向ないし奥行き方向に対応する。また、Z方向は、装置1の上下方向ないし高さ方向に対応する。
【0011】
読取装置1は、筐体10および天板11を備える。筐体10は、装置1の外装を形成しており、X方向側方に配された一対の外装パネル101と、Y方向側方に配された一対の外装パネル102と、を含む。即ち、個々の外装パネル101はX方向側方の一面部を形成し、個々の外装パネル102はY方向側方の一面部を形成する。ここで、外装パネル101及び102には、熱伝導率が比較的高い材料、例えばアルミニウム、鉄等の金属、が用いられればよい。
【0012】
天板11は、装置1上方部に配された板材であり、その上面において読取面F1を形成する。天板11には、透光性の材料、例えばガラス等、が用いられればよい。詳細については後述とするが、読取面F1に対してシート、原稿等の対象物(以下「読取対象」という。)がY方向に走査されることで、読取装置1は読取対象から情報を読み取ることができる。
【0013】
図2は、読取装置1の内部構造を説明するための分解斜視図である。読取装置1は、支持部材12、レンズユニット13、光源ユニット14、放熱部材15およびセンサユニット16を更に備え、それらは筐体10内に設置される。詳細については後述とするが、支持部材12は、筐体10内において装置1の構成部品ないし構成要素の個々を支持する。
【0014】
レンズユニット13は、天板11を介して入射した読取対象からの光(後述の光源ユニット14による照射に伴う反射光)を下方に導く。レンズユニット13は、公知の光学素子で構成されればよく、本実施形態では、複数のロッドレンズがX方向に配列されたロッドレンズアレイとする。
【0015】
光源ユニット14は、読取対象に光を照射するためのユニットであり、長尺状の基板140上に複数の光源141がX方向に配列されて成る。光源141にはLED(Light Emitting Diode)等、公知の発光素子が用いられればよい。付随的に、基板140上には、光源141を駆動するための電子部品142が実装されうる。他の実施形態として、光源ユニット14は、単一の光源141と、その光を長手方向に導いて上方に射出するように構成された棒状の導光部材と、を含んで構成されてもよい。また、光源ユニット14は、本実施形態ではレンズユニット13のY方向両側方に一対設置されるものとするが、他の実施形態として単一であってもよい。
【0016】
放熱部材15は、上記一対の光源ユニット14に対応して一対設置される。詳細については後述とするが、放熱部材15は、光源ユニット14からの放熱を実現するための板材であり、その材料として、熱伝導率が比較的高い材料、例えばアルミニウム、鉄等の金属、が用いられうる。
【0017】
センサユニット16は、レンズユニット13により導かれた光を検出するためのユニットであり、長尺状の基板160上にラインセンサ161が実装されて成る。ラインセンサ161は、レンズユニット13の下方に位置するとよい。ラインセンサ161には、複数の光電変換素子が配列された公知のもの、例えばCCD/CMOSイメージセンサ、が用いられればよい。
【0018】
外装パネル101及び102、天板11、レンズユニット13、光源ユニット14、放熱部材15、並びに、センサユニット16は、支持部材12により支持され固定される。支持部材12には、所望の剛性を有すると共に比較的軽量で且つ成形に有利な材料、例えばポリプロピレン樹脂等の樹脂、が用いられるとよく、これにより、例えば装置1の小型化、軽量化等に有利となる。本実施形態では、支持部材12は、上方に天板11を載置可能、レンズユニット13を保持可能、外装パネル101及び102を側方から取付け可能、かつ、センサユニット16を下方から取付け可能、となる形状に成形されうる。例えば、外装パネル102は、図1から分かるように、Y方向側方から固定部材191を用いて支持部材12に対して固定される。本実施形態では、固定部材191には、ネジ、ボルト等の締結部材が用いられるものとする。
【0019】
図3は、読取装置1の内部構造を説明するための断面斜視図(固定部材191を通るY-Z面を断面とする。)であり、図4は、その端面図である。支持部材12は、ボディ部120、ピラー部121、上方延設部122、縁部123、下方延設部124、及び、底部125を含む。尚、本実施形態では、支持部材12は、X方向での視点(長手方向側面視)において左右対称に構成されるものとするが、部分的に変更されてもよい。
【0020】
ボディ部120は、筐体10内でレンズユニット13を保持可能に構成された保持部として機能する。ピラー部121は、ボディ部120側方からY方向に延設された柱状の部位であり、固定部材191(ここでは締結部材)が挿通して螺合するように構成される。上方延設部122は、ボディ部120上部側方から上方に延設された部位である。縁部123は、支持部材12の上方部の一部であり天板11を載置可能な枠部を形成する部位である。上方延設部122と縁部123との間には開口部OP12が形成される。下方延設部124は、ボディ部120下部側方から下方に延設された部位である。また、底部125は、下方延設部124から更にY方向かつ外側に延設された部位である。
【0021】
ここで、ピラー部121は、図2に示されるように、固定部材191による固定位置に対応して複数設けられる。また、図2に示されるように、支持部材12は1以上(ここでは3つ)のビーム部126を更に含む。単一のビーム部126は、互いに隣り合う2つのピラー部121の間においてZ方向に延設され、詳細については後述とするが、光源ユニット14及び放熱部材15を固定するのに用いられる。
【0022】
再び図3及び図4を参照すると、放熱部材15は、載置部151、延設部152および当接部153を含む。載置部151は、光源ユニット14を載置可能な平面部である。延設部152は、載置部151から外装パネル102に向かって延びる部位である。当接部153は、延設部152から外装パネル102の内壁に沿って延び且つ該内壁に当接する部位である。
【0023】
放熱部材15は、例えば載置部151に光源ユニット14を載置した状態で、上方から開口部OP12に挿入されて支持部材12に組み付けられる。この組付けに際して、放熱部材15は、当接部153において外装パネル102の内壁に当接すると共に固定部材191(ここでは締結部材)により支持部材12のピラー部121に共締めされる。尚、光源ユニット14は、放熱部材15の組付けの後に載置部151に載置されてもよい。
【0024】
放熱部材15が組み付けられた状態において、上方延設部122および縁部123の何れもが光源ユニット14及び/又は載置部151と当接し、開口部OP12は光源ユニット14及び/又は載置部151により閉塞される。このような構成により、光源ユニット14及び/又は載置部151は支持部材12により支持される。
【0025】
ここで、上記開口部OP12の閉塞により、筐体10内上方部においては、天板11、支持部材12、レンズユニット13、光源ユニット14および載置部151により実質的に封止された空間が区画される。本実施形態では、放熱部材15は、この空間を通らずに下方に延びているため、この空間は適切に封止された状態に維持され、よって、この空間に埃、塵等の異物が混入することもない。
【0026】
ここで、放熱部材15は、所望の可撓性を有するように(支持部材12によりも変形し易い材料、厚さ、寸法で)構成されるとよい。換言すると、支持部材12は、剛性が放熱部材15に比べて高い材料で構成されるとよい。これにより、放熱部材15は、当接部153が外装パネル102の内壁を押圧するように固定される。その結果、外装パネル102の内壁での当接と、上記開口部OP12の閉塞と、の双方が適切に実現されうる。
【0027】
このようにして光源ユニット14は筐体10内に固定されており、光源ユニット14から出射された光は、天板11を通過して天板11上方の読取対象(不図示)に照射される。そして、この読取対象からの反射光は、天板11を通過してレンズユニット13により下方に導かれる。
【0028】
センサユニット16は、支持部材12の底部125に組み付けられ(例えば締結、接着等により固定され)、上記レンズユニット13により導かれた光をラインセンサ161により検出する。センサユニット16は、基板160下面において端子部162を更に含み、ラインセンサ161による検出結果を示す電気信号は、この端子部162から外部に出力可能となっている。尚、端子部162は、上記電気信号を出力するための信号端子の他、電力を受け取るための電源端子も含むものとする。
【0029】
小括すると、光源ユニット14により照射された読取対象からの反射光は、レンズユニット13によりセンサユニット16に導かれて検出される。このような構成により、読取装置1は、読取対象から情報を読み取り、その結果を示す電気信号を外部に出力する。
【0030】
図5は、一方の光源ユニット14および対応の放熱部材15を示す斜視図である。光源ユニット14は、前述のとおり(図2参照)、基板140上に複数の光源141が一方向(ここではX方向)に配列されて成る。ここで、詳細については後述とするが、本実施形態においては、基板140は孔部OP14を有する。孔部OP14は1以上(ここでは3つ)設けられ、単一の孔部OP14は、互いに隣り合う2つの光源141の間に設けられる。
【0031】
放熱部材15は、前述のとおり(図3及び図4参照)、載置部151、延設部152及び当接部153を含む。当接部153は、固定部材191(ここでは締結部材)を挿通させるための孔部OP15Aを1以上(ここでは4つ)有し、これにより放熱部材15を外装パネル102と共締め可能となっている。
【0032】
また、載置部151は、孔部OP14に対応する位置(孔部OP14下方の位置)に孔部OP15C(ここでは3つ)を有する。同様に、延設部152及び当接部153は、孔部OP14に対応する位置にスリット部SL15(ここでは3つ)を有する。このスリット部SL15により、放熱部材15がビーム部126(図2参照)と干渉することが回避される。光源ユニット14及び放熱部材15は、固定部材192が孔部OP14、孔部OP15B及びスリット部SL15を挿通することにより、支持部材12のビーム部126に対して固定される。固定部材192には、ネジ、ボルト等の締結部材が用いられる。即ち、固定部材192は、孔部OP14、孔部OP15B及びスリット部SL15を挿通してビーム部126において螺合することにより放熱部材15と共に光源ユニット14及び支持部材12を相互に固定する。
【0033】
また、載置部151は開口部OP15Cを更に有し、かつ、延設部152は開口部OP15Dを更に有する。光源ユニット14には、光源141に電力を供給するための不図示のワイヤが接続される。このワイヤは、開口部OP15C及びOP15Dを挿通することにより放熱部材15より下方に延びて配される。
【0034】
ところで、光源ユニット14は一般に発光と共に発熱する。光源ユニット14の発熱は、発光光量、製品寿命等に影響をおよぼす場合があるため、装置1の信頼性の低下の原因となりうる。本実施形態では、熱伝導率の比較的小さい樹脂を支持部材12の材料に用いることにより、装置1の小型化、軽量化等を図っている。そのため、このような構成においては、光源ユニット14で発生した熱を適切に筐体10まで導いて且つ外部環境(筐体10外)に放出することが求められる。
【0035】
再び図4を参照すると、放熱部材15は、光源ユニット14と外装パネル102とを接続するように配される。本構造においては、光源ユニット14から外装パネル102までの放熱経路として、支持部材12を通る経路(第1放熱経路)R1と、放熱部材15を通る経路(第2放熱経路)R2と、の少なくとも2つの放熱経路が形成されることとなる。放熱部材15は、放熱経路R2の熱コンダクタンスが放熱経路R1の熱コンダクタンスよりも大きくなるように(経路R2の熱抵抗が経路R1の熱抵抗よりも小さくなるように)構成される。支持部材12に樹脂を用いた構造においては、放熱部材15には、アルミニウム、鉄等の金属、特にアルミニウム、が好適に用いられ、また、所望の剛性、可撓性等を満たすように、その長さ、厚さ、幅等が決定されればよい。
【0036】
本構造によれば、光源ユニット14で発生した熱は、筐体10まで導かれて適切に外部環境に放出されることとなる。また、支持部材12には必ずしも熱伝導性の高い材料を用いる必要もないため、装置1の小型化、軽量化等も実現しつつ、装置1の信頼性を比較的簡素な構成で且つ簡便に向上させることが可能となる。
【0037】
また、図5から分かるように、放熱部材15はX方向に延設された長尺状の形状を有しており、それにより放熱経路R2の熱コンダクタンスを大きくすることができる。そのため、光源ユニット14で発生した熱は、載置部151、延設部152及び当接部153を介して外装パネル102まで伝わり易い。
【0038】
また、図5から分かるように、延設部152及び当接部153は、スリット部SL15により複数(ここでは4つ)の部分15P1~15P4に分離された形状となっている。これらのうち、X方向における両端の部分15P1及び15P4は、他の部分15P2及び15P3よりもX方向の幅が小さいとよい。これにより、光源ユニット14のうち、熱の籠もり易い中央部の放熱性能を高めることが可能となる。付随的に、装置1により読取対象を読み取る際、その読取結果のうち比較的注目を集めやすい中央領域についての読取精度を高めることも可能となる。
【0039】
その他、放熱部材15の構成は、図5の例に限られるものではなく、上述の趣旨を逸脱しない範囲で多様な変更を加えることが可能である。
【0040】
一例として、図6に示されるように、光源ユニット14および対応の放熱部材15の間には両面テープ等の接着部材193が配されてもよい。即ち、接着部材193は、放熱部材15の載置部151と光源ユニット14との間に介在し、それらを互いに固定する。図6の例によれば、光源ユニット14は接着部材193により載置部151に固定されている。よって、載置部151に光源ユニット14を載置した状態で放熱部材15を支持部材12に組み付ける際には、光源ユニット14が載置部151から外れることもないため、放熱部材15を開口部OP12から挿入して支持部材12に組み付けることが容易となる。
【0041】
接着部材193には、載置部151の孔部OP15B及びOP15Cに対応するように孔部OP193A及びOP193Bがそれぞれ設けられる。これにより、固定部材192が孔部OP14、孔部OP15B及びスリット部SL15を挿通することが妨げられることもない。
【0042】
尚、光源ユニット14と放熱部材15との間に接着部材193を介在させることによる放熱経路R2の熱コンダクタンスの低下(熱抵抗の増大)を抑制するため、接着部材193は、充分に薄く及び/又は部分的に設けられてもよい。
【0043】
他の例として、図7(A)に示されるように、放熱部材15に代替して放熱部材15’が用いられてもよい。放熱部材15’は、載置部151に代替して保持部151’を含み、それにより、光源ユニット14の上面と接触するように光源ユニット14を保持することが可能である。尚、光源ユニット14と保持部151’との間には、それらを互いに固定するための接着部材が設けられてもよい。
【0044】
基板140上面に光源141が配列された構成においては、多くの場合、光源ユニット14は下面よりも上面において熱を発生し易い。そのため、図7(A)の例によれば、光源ユニット14の放熱に更に有利となりうる。
【0045】
また、図7(A)の例においては、保持部151’には、孔部OP15Bに対応する孔部OP15B’が設けられる。これにより、前述の構造(図1図5の構造)同様、固定部材192の挿通が可能となる。また、保持部151’には、光源141及び/又は電子部品142を露出するための孔部OP15E’が更に設けられる。これにより、光源141から読取対象への光が妨げられることもない。尚、図7(A)の例においては、光源141に電力を供給するためのワイヤは保持部151’と干渉しないため、孔部OP15Cに対応する孔部は省略可能となる。
【0046】
更に他の例として、図7(B)に示されるように、放熱部材15に代替して放熱部材15”が用いられてもよい。放熱部材15”は、載置部151に代替して保持部151”を含み、それにより、光源ユニット14の上面及び下面の双方と接触するように光源ユニット14を保持することが可能である。即ち、保持部151”は、X方向での視点において略U字状の形状を有する。このような構成によっても図7(A)の例同様の効果が実現可能である。尚、光源ユニット14と保持部151”との間には、それらを互いに固定するための接着部材が設けられてもよい。
【0047】
保持部151”には、孔部OP15Bに対応する孔部OP15B”が設けられる。これにより、前述の構造(図1図5の構造)同様、固定部材192の挿通が可能となる。また、保持部151”には、光源141及び/又は電子部品142を露出するための孔部OP15E”が更に設けられる。これにより、光源141から読取対象への光が妨げられることもない。また、ここでは不図示とするが、光源141に電力を供給するためのワイヤが保持部151”と干渉しないように、孔部OP15Cに対応する孔部が設けられるとよい。
【0048】
以上、放熱部材15は、光源ユニット14と外装パネル102とを接続するように配される。このような構造においては、支持部材12を通る光源ユニット14から外装パネル102までの放熱経路R1と、放熱部材15を通る光源ユニット14から外装パネル102までの放熱経路R2と、の少なくとも2つの放熱経路が形成される。放熱部材15は、放熱経路R2の熱コンダクタンスが放熱経路R1の熱コンダクタンスよりも大きくなるように、構成される。これにより、光源ユニット14で発生した熱は、筐体10まで導かれて適切に外部環境に放出されることとなる。また、支持部材12には、装置1の構成部品ないし構成要素を支持するのに適切なもの(例えば重量、剛性、成形性等の観点で所望のもの)が選択されればよく、必ずしも熱伝導性の高い材料を用いる必要もない。よって、本構成によれば、装置1の信頼性を比較的簡素な構成で且つ簡便に向上させることが可能となる。
【0049】
実施形態においては、支持部材12に樹脂(例えばポリプロピレン樹脂)が用いられ、放熱部材15に金属(例えばアルミニウム)が用いられるものとしたが、これに限られるものではない。即ち、放熱部材15は、放熱効率の向上のため、熱伝導率が支持部材12に比べて高い材料で構成されればよい。例えば、放熱部材15を構成する材料の熱伝導率は、支持部材12を構成する材料の熱伝導率の2倍以上、好適には5倍以上、より好適には10倍以上、であるとよい。
【0050】
読取装置1は、本明細書で例示された構成に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で多様な変更を加えることが可能である。例えば、装置1は、実施形態では長尺状の外形を有するものとしたが、その小型化、軽量化等により、X方向の幅は比較的小さくてもよく(例えば、50cm以下、40cm以下、30cm以下)、更には略正方形の外形で実現されてもよい。それに伴い、固定部材191及び192の数量、並びに、対応の要素(例えばピラー部121、ビーム部126等)の数量は変更されてもよい。
【0051】
以上の実施形態の内容は光源ユニット14の放熱に関するものであり、ここではセンサユニット16を備える読取装置1の構造における放熱について述べたが、この例に限られるものではない。即ち、上記実施形態の内容は、光源ユニット14を備える照明装置に適用可能である(センサユニット16を備えないものにも適用可能である。)。また、このような照明装置は、部屋の天井に設けられる照明装置、卓上用電気スタンド等、照明/灯火を目的とする多様な装置に広く適用可能である。換言すると、照明装置とは、照明機能を主目的とするものだけでなく、それを補助機能として備えるもの(実施形態に係る読取装置1)をも含む概念と云える。
【0052】
図8は、読取装置1を適用した印刷システムSYの構成例を示す。印刷システムSYは、読取装置1の他、画像形成装置2、プロセッサ3および搬送機構4を更に備える。画像形成装置2は、インクジェットプリンタ、レーザープリンタ、MFP(マルチファンクションプリンタ)等の印刷装置であり、記録装置等と称されてもよい。画像形成装置2は、搬送機構4により搬送される記録媒体P上に、プロセッサ3からの印刷用データに基づいて画像を形成する。読取装置1は、画像形成装置2よりも下流側(記録媒体Pの搬送方向下流側)に配され、画像形成装置2により形成された記録媒体P上の画像を読み取る。プロセッサ3は、読取装置1による読取結果を受け取り、その読取結果に基づいて、画像形成装置2の駆動力を補正し、或いは、画像形成装置2による画像形成をやり直す必要があることをユーザに通知することも可能である。
【0053】
上記プロセッサ3は、読取装置1による読取結果に基づいて所定の判定を行う判定ユニットとしても機能可能であり、即ち、該読取結果が基準を満たすか否かの評価を行うことも可能である。この場合、上記システムSYを、判定装置(判定システム)、評価装置(評価システム)等と表現することも可能である。即ち、上述の読取装置1あるいはその一部である照明装置は、例えば、紙幣の真贋判定、食品等の品質検査等、検査ないし評価の対象の画像データを取得するのに用いられ、多様な用途に適用可能と云える。
【0054】
尚、本明細書に記載された個々の用語は、本発明を説明する目的で用いられたものに過ぎず、即ち、本発明は、用語の厳密な意味に限定されるものでない。例えば、装置という文言に替わってユニット/アセンブリ/デバイス/モジュール等と表現されてもよいし、逆も同様である。
【0055】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0056】
1:読取装置(照明装置を含む。)、10:筐体、101~102:外装パネル、12:支持部材、14:光源ユニット、15:放熱部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8