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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-15
(45)【発行日】2023-03-24
(54)【発明の名称】スパウト取付装置
(51)【国際特許分類】
   B31B 70/84 20170101AFI20230316BHJP
【FI】
B31B70/84
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019103021
(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2020196176
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】河田 学
(72)【発明者】
【氏名】山田 千尋
(72)【発明者】
【氏名】廣谷 喜与士
(72)【発明者】
【氏名】荒木 洋三
(72)【発明者】
【氏名】工藤 貴義
(72)【発明者】
【氏名】川端 優斗
(72)【発明者】
【氏名】志村 渉
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-122106(JP,A)
【文献】特開2019-034749(JP,A)
【文献】特開2000-072101(JP,A)
【文献】特開2009-012303(JP,A)
【文献】特開2018-188192(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0029841(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 70/00
B65B 57/00
B65B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパウト(S)とパウチ(P)が組み付けられた組付体(PS)をリニアモータにより搬送するリニア搬送部(10)と、
前記リニア搬送部(10)で搬送される前記組付体(PS)における前記スパウト(S)と前記パウチ(P)を溶着するシール領域を有するヒートシール部(40)と、
前記ヒートシール部(40)で前記スパウト(S)が溶着された前記組付体(PS)の漏れ検査をする検査領域を有する検査部(60)と、
前記リニア搬送部(10)に向けて前記スパウト(S)を供給するスパウト供給部(20)と、
前記リニア搬送部(10)を搬送される前記スパウト(S)に向けて前記パウチ(P)を供給するパウチ供給部(30)と、を備え、
前記シール領域と前記検査領域は、前記組付体(PS)の前記リニア搬送部(10)による搬送路上に設けられ、
前記リニア搬送部(10)は対向する一対の直線部分を有するトラック状の周回軌道を有し、
前記一対の直線部分の一方に、前記スパウト供給部(20)および前記パウチ供給部(30)が設けられ、
前記一対の直線部分の他方に、前記ヒートシール部(40)および前記検査部(60)が設けられる、
スパウト取付装置(1)。
【請求項2】
前記組付体(PS)は、水平方向(H)に平行に前記搬送路を搬送され、
前記シール領域と前記検査領域は、水平方向(H)に平行に設けられる、
請求項1に記載のスパウト取付装置(1)。
【請求項3】
前記リニア搬送部(10)は、
前記組付体(PS)を支持しながら移動する複数の搬送体(11)を備え、
前記組付体(PS)を支持してから前記検査部(60)おける前記漏れ検査を終えるまで、前記組付体(PS)は同じ前記搬送体(11)で支持される、
請求項1または請求項2に記載のスパウト取付装置(1)。
【請求項4】
前記パウチ供給部(30)は、
少なくとも、それぞれが前記パウチ(P)を供給する第1供給部(30A)と第2供給部(30B)に区分される、
請求項に記載のスパウト取付装置(1)。
【請求項5】
前記組付体(PS)は、2以上の整数である所定数Nの単位で搬送され、かつ、
前記ヒートシール部(40)の前記シール領域および前記検査部(60)の前記検査領域において、前記所定数Nのグループの単位で同期して処理される、
請求項1~請求項のいずれか一項に記載のスパウト取付装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチ(pouch)と称される樹脂製のバッグからなる容器にスパウト(spout)と称される抽出口を取り付ける装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パウチに例えば飲料、日用品、調味料、医療用の液体などの内容液が充填された製品が広く用いられている。パウチ製品の中には、充填された内容液を抽出しやすくするためにスパウトを備えるものがある。スパウトは、通常、パウチに対して加熱して溶着するヒートシールにより取り付けられる。スパウトが取り付けられるパウチは、スパウトが取り付けられる部分を除いて周縁部が予めヒートシールにより溶着されている。
【0003】
スパウトが取り付けられたパウチ容器は、内容液が充填された後に内容液が漏れることがないように、予め漏れの検査が行われる。この検査の一例として、特許文献1が開示する検査方法が知られている。特許文献1の検査方法は、対向する板状の一対の規制部材が形成するスリット状空間にパウチ容器を挿入する。次いで、スパウトを介してパウチ容器内へ気体を吹き込み、この気体の吹き込みによるパウチの膨張を一対の規制部材により規制する。その後、パウチの内圧が規定値に保たれればパウチに漏れがないと判定するが、内圧が規定値よりも下がればパウチに漏れがあると判定する。また、所定の内圧を維持するための気体の吹き込み流量が規定値に保たれればパウチPに漏れがないと判定するが、この流量が規定値を超えるとパウチPに漏れがあると判定することもできる。
【0004】
特許文献1による検査方法によれば、パウチを規制部材によって膨張を規制しながら気体を吹き込むので、少量の気体の吹込みでも漏れの検出が可能となり、その結果、検査時の感度が向上するとともに、迅速な漏れ検査が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-108568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示される検査方法は漏れ検査の観点からパウチ製品の生産効率の向上に寄与する。特許文献1の検査方法は、その図2に示されているように、一対の規制部材対が形成するスリット状空間にパウチ容器を上方から下降させて挿入するか、または、パウチ容器に対して規制部材を下方から上昇させてスリット状空間にパウチ容器を挿入する必要がある。このパウチ容器の下降または規制部材の上昇に時間が要することが、パウチ製品の生産効率の向上の障害の一つとなる。
【0007】
そこで本発明は、スパウトとパウチの溶着から漏れ検査までの作業を迅速にできるスパウト取付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るスパウト取付装置(1)は、スパウト(S)とパウチ(P)が組み付けられた組付体(PS)をリニアモータにより搬送するリニア搬送部(10)と、リニア搬送部(10)で搬送される組付体(PS)におけるスパウト(S)とパウチ(P)を溶着するシール領域を有するヒートシール部(40)と、ヒートシール部(40)でスパウト(S)が溶着された組付体(PS)の漏れ検査をする検査領域を有する検査部(60)と、を備える。
本発明におけるシール領域と検査領域は、組付体(PS)のリニア搬送部(10)による搬送路上に設けられる。
【0009】
本発明のスパウト取付装置(1)において、好ましくは、組付体(PS)は、水平方向(H)に平行に搬送路を搬送され、シール領域と検査領域は、水平方向(H)に平行に設けられる。
【0010】
本発明のスパウト取付装置(1)において、好ましくは、リニア搬送部(10)は、組付体(PS)を支持しながらリニアモータとして移動する複数の搬送体(11)を備え、組付体(PS)を支持してから検査部(60)おける前記漏れ検査を終えるまで、組付体(PS)は同じ搬送体(11)で支持される。
【0011】
本発明のスパウト取付装置(1)において、好ましくは、リニア搬送部(10)に向けてスパウト(S)を供給するスパウト供給部(20)と、リニア搬送部(10)を搬送されるスパウト(S)に向けてパウチ(P)を供給するパウチ供給部(30)と、を備える。この場合、好ましくは、リニア搬送部(10)は対向する一対の直線部分を有するトラック状の周回軌道を有し、一対の直線部分の一方に、スパウト供給部(20)およびパウチ供給部(30)が設けられ、一対の直線部分の他方に、ヒートシール部(40)および検査部(60)が設けられる。
【0012】
本発明のスパウト取付装置(1)において、好ましくは、パウチ供給部(30)は、
少なくとも、それぞれがパウチ(P)を供給する第1供給部(30A)と第2供給部(30B)に区分される。
【0013】
本発明のスパウト取付装置(1)において、好ましくは、組付体(PS)は、2以上の整数である所定数Nの単位で搬送され、かつ、ヒートシール部(40)および検査部(60)において、所定数Nのグループの単位で同期して処理される。
【発明の効果】
【0014】
本発明のスパウト取付装置は、ヒートシール部および検査部のそれぞれの作業領域が組付体の搬送路上に設けられる。したがって、それぞれの作業領域まで組付体を搬送した後には、ヒートシールおよび漏れ検査の作業を行うのに組付体を昇降するなどの移動をさせる必要がない。したがって、本発明のスパウト取付装置は、ヒートシール部および検査部におけるそれぞれの作業を迅速に効率よく行うことができる。しかも本発明のスパウト取付装置は、組付体の搬送を高速でかつ位置精度の高いリニア搬送部により行うので、組付体の搬送時間を含むスパウトの取付け作業の効率向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るスパウト取付装置の概略構成を示す平面図である。
図2】本実施形態に係るヒートシール部の概略構成を示し、(a)は側面図、(b)は平面図である。
図3】本実施形態に係る検査部の概略構成を示し、(a)は側面図、(b)は平面図である。
図4】本実施形態に係る検査部の検査領域に組付体が至る過程を説明する図であり、(a)、(b)、(c)の順に時系列をなす。
図5】本実施形態に係るスパウト取付装置の動作を説明する図であり、(a)、(b)、(c)の順に時系列をなす。
図6図5に続いて、本実施形態に係るスパウト取付装置の動作を説明する図であり、(a)、(b)、(c)の順に時系列をなす。
図7】本実施形態の変形例に係るヒートシール部の概略構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一例を示す実施形態に係るスパウト取付装置1を、図面を参照して説明する。
[スパウト取付装置1の全体構成]
スパウト取付装置1は、図1に示すように、スパウトS、パウチPおよびパウチPとスパウトSの組付体PSを搬送するリニア搬送部10と、リニア搬送部10に対してスパウトSを供給するスパウト供給部20と、リニア搬送部10で搬送されるスパウトSに対してパウチPを供給するパウチ供給部30と、を備える。パウチ供給部30は、第1供給部30Aと第2供給部30Bに区分されている。ここでは一例としてパウチ供給部30を2つに区分する例を示すが、本実施形態は3つ以上に区分することを許容する。
また、スパウト取付装置1は、リニア搬送部10で搬送される組付体PSのスパウトSとパウチPを溶着するヒートシール部40と、ヒートシール部40で溶着されたスパウトSとパウチPを冷却する冷却部50と、を備える。
さらに、スパウト取付装置1は、冷却部50で冷却を経たパウチ容器100(組付体PS)の漏れを検査する検査部60と、検査部60で漏れ検査が済んだパウチ容器100を次工程に向けて受け渡す排出部70と、を備える。
そして、スパウト取付装置1は、リニア搬送部10と、スパウト供給部20と、パウチ供給部30と、ヒートシール部40と、冷却部50と、検査部60と、排出部70との動作を司る制御部80を備える。
【0017】
[スパウト取付装置1の特徴]
スパウト取付装置1は、リニア搬送部10における組付体PSの搬送路上にヒートシール部40のシール領域および検査部60の検査領域が設けられる。これにより、スパウト取付装置1は、それぞれの作業領域まで組付体PSを搬送した後には、ヒートシールおよび漏れ検査の作業を行うのに組付体PSを昇降するなどの移動をさせる必要がない。したがって、スパウト取付装置1によれば、ヒートシール部40および検査部60におけるそれぞれの作業を迅速に効率よく行うことができる。しかもスパウト取付装置1は、組付体PSの搬送を高速でかつ位置精度の高いリニア搬送部10により行うので、組付体PSの搬送時間を含むスパウトSの取付け作業の効率向上が図られる。
以下、スパウト取付装置1の構成、動作を順に説明した後に、スパウト取付装置1の効果を説明する。
【0018】
[リニア搬送部10]
スパウト取付装置1において、図1に示すように、リニア搬送部10のスパウト供給部20からスパウトSが供給されることからスパウトSの取り付けの一連の動作が開始され、排出部70からスパウトSが取り付けられたパウチPを次工程に受け渡すことで一連の動作が終了する。したがって、リニア搬送部10において、スパウト供給部20が設けられるところが最も上流αをなし、排出部70が設けられるところが最も下流βをなす。また、リニア搬送部10において、スパウト供給部20、パウチ供給部30および排出部70が設けられる直線部分を往路R1といい、ヒートシール部40、冷却部50および検査部60が設けられる直線部分を復路R2ということにする。つまり、リニア搬送部10において、最も上流αおよび最も下流βがともに往路R1にある。なお、上流および下流は相対的な意味を有し、例えば冷却部50はヒートシール部40よりも下流に位置する。
なお、リニア搬送部10の総延長を長くして、スパウト供給部20~検査部60を設置する数を増やせば、スパウト供給部20~検査部60の個々の処理能力を上げなくても、スパウト取付装置1としての処理能力を向上できる。
【0019】
リニア搬送部10は、図1に示すように、無端状の周回軌道をなすガイドレール13と、このガイドレール13に沿ってそれぞれが独立して走行する複数の搬送体11と、を備える。それぞれの搬送体11は図2に示すように永久磁石12が設けられるとともに、ガイドレール13にはガイドレール13の全長に亘って電磁コイル14が埋設されることにより、リニア搬送部10はリニアモータを構成する。ここで示すリニアモータは、鉛直方向Vに離れた配置される一対の永久磁石12,12で電磁コイル14を挟み込む構成をなしているが、これはあくまで一例であり、他の構成のリニアモータを採用してもよい。
【0020】
それぞれの搬送体11はスパウトSの先端を支持する手段、例えば図示を省略するグリッパを備え、このグリッパは外部からの力により開閉動作が行われ、閉じたときにスパウトSを把持する。本実施形態においては、一台の搬送体11は2個のスパウトSを支持できるように構成される。搬送体11は、ガイドレール13の外側OutにおいてスパウトSを支持する。
【0021】
リニア搬送部10は、制御部80からの指示により電磁コイル14に供給する電流が制御される。リニア搬送部10は、制御部80の指示により、それぞれの搬送体11の移動と停止が独立して制御される。
リニア搬送部10は、電磁コイル14への電流の供給を制御部80が制御することで、ヒートシール部40、冷却部50および検査部60においては、4台の搬送体11に指示される8体の組付体PSがグループの単位でそれぞれの処理がなされる。なお、グループをなす8体は一例であり、2以上の整数である他の所定数Nでグループを構成することもできる。
【0022】
[スパウト供給部20]
スパウト供給部20は、図1に示すように、リニア搬送部10における最も上流αに位置し、2台の搬送体11のそれぞれに対して2個のスパウトSを供給する。2台の搬送体11はそれぞれが2個のスパウトSを支持し、スパウト供給部20よりも下流に位置するパウチ供給部30に向けて移動する。そうすると、後続の2台の搬送体11がスパウト供給部20に移動してきて停止した後に、2台の搬送体11のそれぞれに対して2個のスパウトSが供給される。
スパウト供給部20において、搬送体11に対してスパウトSが水平方向H(図1の紙面方向)に対して平行の姿勢で供給され、搬送体11はこの水平方向Hの姿勢のままでスパウトSを支持して搬送する。
以上のように、スパウト供給部20において、2台の搬送体11のそれぞれに対して2個のスパウトSが水平方向Hに沿って供給、支持およびパウチ供給部30への移動を含む一連の動作が間欠的に行われる。
【0023】
スパウト供給部20は、周回軌道をなすガイドレール13の外側Outにおいて搬送体11にスパウトSを供給する。これは、スパウト供給部20へのスパウトSの補充、メンテナンスの便宜を考慮したためである。つまり、ガイドレール13の内側Inにおいて搬送体11にスパウトSを供給する構成にすると、ガイドレール13を跨いでスパウトSを持ち込んで補充する必要があり、メンテナンスの場合も同様であり、オペレータの負担が大きくなる。パウチ供給部30~検査部60についても同様の理由でガイドレール13の外側Outに設けられている。
【0024】
[パウチ供給部30]
パウチ供給部30は、スパウト供給部20より下流側に設けられ、搬送体11で支持されるスパウトSにパウチPの開口部を被せることで、組付体PSを形成するとともにスパウトSを介してパウチPを搬送体11に支持させる。
パウチ供給部30は、図1に示すように、第1供給部30Aと第2供給部30Bを備えており、第1供給部30Aと第2供給部30Bのそれぞれにおいて、停止している2台の搬送体11に対して4枚のパウチPを供給する。したがって、第1供給部30Aと第2供給部30Bは、同時に8枚のパウチPを4台の搬送体11に供給し、しかる後に4台の搬送体11はヒートシール部40に向けて移動する。この動作から分かるように、パウチ供給部30より下流においては、8枚のパウチPと8個のスパウトSのそれぞれが組み付けられた8体の組付体PSがグループを構成して搬送および処理がなされる。
【0025】
パウチ供給部30の第1供給部30Aと第2供給部30Bは、それぞれ4枚の単位でパウチPを搬送体11に供給することができる限りその構成は任意である。例えばパウチPを支持しながら待ち受けている搬送体11に対して所定の位置まで近づいたら搬送体11にパウチPを受け渡す構成とすることができる。なお、パウチ供給部30を第1供給部30Aと第2供給部30Bというように2つまたは3つ以上に区分する場合、それぞれが等しい数のパウチPを供給するのに限らず、異なる数のパウチPを供給してもよい。また、パウチ供給部30を第1供給部30Aと第2供給部30Bというように2つまたは3つ以上に区分する場合、異なる形状、寸法のパウチPを供給してもよい。そうすれば、下流の充填工程に2つまたは3つ以上のラインに異なる形状、寸法の組付体PSを供給することができる。
【0026】
パウチ供給部30において、8体の組付体PSでグループを構成する場合、第1供給部30Aと第2供給部30Bに区分するのはオペレータによるパウチ供給部30のメンテナンスを考慮したことによる。つまり、間隔を狭くして8枚のパウチPを配列すると、8枚の中央部分についてオペレータの手が届かなくなる恐れがある。これに対して、第1供給部30Aと第2供給部30Bに区分するとともに、図1に示すように、第1供給部30Aと第2供給部30Bの間にスペースを設ければ、このスペースにオペレータが入ってメンテナンス作業を行うことができる。
【0027】
組付体PSはその平面が水平方向Hに平行な姿勢でスパウトSが搬送体11に支持されながら搬送される。これは、水平方向Hな姿勢を維持するのに必要な剛性を組付体PSのパウチPが備えているからであり、本実施形態はこのパウチPの水平方向Hの姿勢を前提としている。ここで水平方向Hに平行とは厳密な意味で解釈されるべきではなく、スパウトSから離れたパウチPの先端が鉛直方向Vの下向きに微小量だけ撓んでいても全体としては水平方向Hに平行をなしている。
【0028】
[ヒートシール部40]
ヒートシール部40は、図1に示すように、パウチ供給部30より下流側の復路R2に設けられ、搬送体11で支持される組付体PSのスパウトSとパウチPを加熱することで、スパウトSとパウチPを溶着する。ヒートシール部40は、図1に示すように、それぞれが2個の組付体PSを支持する4台の搬送体11を所定時間だけ停止させた状態でスパウトSとパウチPを溶着する。
【0029】
ヒートシール部40は、スパウトSとパウチPを溶着できる限りその構成は任意であるが、通常、図2(a),(b)に示すように、金型41,42を用いる。図2においては簡略して示されているが、金型41,42は、スパウトSとパウチPが溶着される部位に対応する形状、寸法を有している。また、金型41,42は、図示を省略する電熱線などの加熱手段を備えている。
【0030】
金型41,42は、搬送されてくる組付体PSを待ち受けているときには、図2(a)に実線で示すように、組付体PSと干渉しない退避位置にいる。退避位置で待ち受ける金型41,42は、水平方向Hに沿っている組付体PSが金型41と金型42の間に進入できる程度の微小な間隔だけ離れている。この間隔が空けられた領域が、ヒートシールのためのシール領域AHであり、このシール領域AHは組付体PSの姿勢と平行をなしている。
スパウトSとパウチPを溶着するときには、図2(a)に破線で示すように、スパウトSとパウチPを上下方向から押圧できる溶着位置まで移動する。金型41,42はこの溶着位置に所定時間だけ留まった後に退避位置に戻る。これで組付体PSに対する一連の溶着作業が終わるが、退避位置から溶着位置までの距離および溶着位置から退避位置までの距離は微小であるから、金型41,42の移動に要する時間を少なくできる。溶着を終えた組付体PSは、搬送体11に支持されたままで次工程が行われる冷却部50に移動する。
【0031】
以上の通りであり、ヒートシール部40の金型41,42の間のシール領域AHはリニア搬送部10により搬送される組付体PSの搬送路上に設けられており、しかも、溶着に要する金型41,42の移動に要する時間が少ない。したがって本実施形態によれば、組付体PSがヒートシール部40に搬送されてきてから溶着の作業を終えるまでの時間を短縮できる。
【0032】
ここで説明したヒートシール部40は、金型41,42による一段階の融着作業の例を示したが、本実施形態はこれに限定されず、低温および高温の二段階の融着作業を通じて融着を行うこともできる。
【0033】
[冷却部50]
冷却部50は、図1に示すように、ヒートシール部40より下流側の復路R2に設けられ、搬送体11で支持される溶着されたスパウトSとパウチPを冷却することで、溶着部分を固化する。冷却部50においても、図1に示すように、それぞれが2個の組付体PSを支持する4台の搬送体11を所定時間だけ停止させた状態で溶着部分を冷却して固化する。溶着部分を冷却して固化した後は、それまでの組付体PSと区分するために、パウチ容器100と称する。
【0034】
冷却部50についても、スパウトSとパウチPを溶着できる限りその構成は任意である。例えば、図示を省略するが、ヒートシール部40における金型41,42と同様の寸法および形状を有する金型を押し当てて冷却することができる。この冷却部50における金型は、金型41,42が備える加熱手段の代わりに冷却手段を備える。この冷却手段としては、金型の内部に冷却水などの冷却媒体を循環できる経路を設け、この経路に冷却媒体を循環させることができる。他の冷却手段としては、常温以下とされた空気などの気体を冷却部分に吹き付けることもできる。
【0035】
冷却部50もリニア搬送部10により搬送される組付体PSの搬送路上に設けられており、しかも、金型を用いて冷却するとすれば、ヒートシール部40と同様に当該金型の移動に要する時間が少なくてすむ。したがって本実施形態によれば、組付体PSが冷却部50に搬送されてきてから溶着の作業を終えるまでの時間を短縮できる。
【0036】
[検査部60]
検査部60は、図1に示すように、冷却部50より下流側の復路R2に設けられ、搬送体11で支持されるパウチ容器100の漏れを検査する。検査部60においても、図1に示すように、それぞれが2個の組付体PSを支持する4台の搬送体11を所定時間だけ停止させた状態でパウチ容器100の漏れを検査する。
【0037】
検査部60は、パウチ容器100の漏れを検査できる限りその構成は任意であるが、本実施形態においては、特許文献1に開示される検査手法を踏襲する。つまり、図3(a),(b)に示すように、一対の板状の規制部材61,62を対向させることで形成するスリット状空間63にパウチ容器100を挿入する。パウチ容器100を必要な位置まで挿入した後に、スパウトSを介してパウチPの内部に検査気体を吹き込む。その後、パウチPの内圧が規定値に保たれればパウチPに漏れがないと判定するが、内圧が規定値よりも下がればパウチPに漏れがあると判定する。規制部材61,62は、気体の吹き込みによるパウチPの膨張を規制することにより、パウチPの漏れ検査に要する時間を短縮する。また、所定の内圧を維持するための気体の吹き込み流量が規定値に保たれればパウチPに漏れがないと判定するが、この流量が規定値を超えるとパウチPに漏れがあると判定することもできる。
【0038】
スリット状空間63であって漏れ検査に必要な位置が、検査部60における検査領域ADであり、この検査領域ADはこの検査領域ADは組付体PSの姿勢と平行をなしている。
図4に示すように、グループをなす8体の組付体PSは、図示を省略する搬送体11支持されながら、検査部60のそれぞれが対応する規制部材61,62の検査領域ADまで搬送され停止する。検査領域ADは、搬送路に対して位置が固定されている。なお、パウチPの剛性によっては搬送時にパウチPがたわんで規制部材61,62に干渉することもある。そこで、パウチPのたわみ量を想定して規制部材61,62の間隔を広くしておき、パウチPが規制部材61,62の間に搬送された後に規制部材61,62を検査に必要な位置に動かしてもよい。図示を用いた説明を省略したが、ヒートシール部40においても8体の組付体PSは同様にシール領域AHに至る。
【0039】
規制部材61,62は、図3(a)に示すように、搬送されてくるパウチ容器100が挿入されるスリット状空間63を空けて待ち受けているが、パウチPの内部に検査用の気体を吹き込んでいる最中でもスリット状空間63がそのまま維持される。規制部材61,62はスリット状空間63を維持したままでパウチ容器100の漏れ検査作業が終わり、検査を終えたパウチ容器100は、搬送体11に支持されたままで排出部70に移動する。
【0040】
検査部60もその検査領域ADがリニア搬送部10により搬送されるパウチ容器100の搬送路上に設けられており、しかも、漏れ検査のときに規制部材61,62は位置が固定されている。したがって本実施形態によれば、パウチ容器100が検査部60に搬送されてきてから漏れ検査の作業を終えるまでの時間を短縮できる。
【0041】
[排出部70]
検査部60で検査が完了したパウチ容器100は、検査部60よりも下流であって往路R1に設けられる排出部70まで搬送され、さらに下流に位置する次工程、例えば内容液の充填工程に受け渡される。
検査部60を終えて排出部70に至るまでは8体のパウチ容器100がグループを構成して処理されてきたが、排出部70で下流に向けた受け渡しの作業は4体の単位で行われる。パウチ容器100を受け渡した搬送体11はスパウト供給部20に向けて移動する。
【0042】
[スパウト取付装置1の動作]
次に、図5および図6を参照して、スパウト取付装置1の動作を説明する。この動作の説明は、パウチ供給部30でパウチPが供給されてから排出部70からパウチ容器100を排出するまでを示す。
【0043】
はじめに、図5(a)に示すように、パウチ供給部30において搬送体11に支持されているスパウトSにパウチPを組み付けて組付体PSを形成する。図5(a)に示される8体の組付体PSを第1グループG1と称し、第1グループG1よりも後に形成される組付体PSからなるグループを第2グループG2、第3グループG3…と称する。
ここで、第1グループG1に属する組付体PSは、スパウト供給部20から排出部70に至るまで、異なる搬送体11に掴み替えられることなく、同じ搬送体11に支持されたまま搬送される。第2グループG2以降の組付体PSも同様である。
【0044】
パウチ供給部30において形成された8体の組付体PSからなる第1グループG1は、図4(b)に示すように、搬送体11に支持されながらヒートシール部40まで搬送され、停止する。第1グループG1は、ヒートシール部40においてTwの時間だけ停止し、この間にヒートシールの作業が行われる。第2グループG2以降についてもヒートシール部40における作業のための停止時間はTwで同じである。
【0045】
第1グループG1を構成する2台の搬送体11は、ヒートシール部40まで搬送される過程で、パウチ供給部30における第1供給部30Aと第2供給部30Bの間隔よりも狭くなる。これは、リニア搬送部10において、それぞれの搬送体11が独立して制御が可能とされているからである。
第1グループG1がヒートシール部40に達するころには、図5(b)に示すように、パウチ供給部30において第2グループG2を構成する組付体PSが形成される。
【0046】
第1グループG1に対するヒートシール作業が終了すると、図5(c)に示すように、第1グループG1は冷却部50に搬送されるとともに、第2グループG2はヒートシール部40に搬送され、それぞれが停止する。第1グループG1が冷却部50に達し、かつ、第2グループG2がヒートシール部40に達するころには、図5(c)に示すように、パウチ供給部30において第3グループG3を構成する組付体PSが形成される。
【0047】
冷却部50における第1グループG1の冷却作業およびヒートシール部40における第2グループG2に対するヒートシール作業は、異なる時間で行うこともできるが、同じ時間Twで行うこととする。
【0048】
冷却部50に搬送された第1グループG1に属する8体の組付体PSおよびヒートシール部40に搬送された第2グループG2に属する8体の組付体PSは、時間Twが経過すると、同期して下流に向けて搬送が開始される。また、第3グループG3に属する組付体PSはパウチ供給部30からヒートシール部40に向けて搬送される。
【0049】
図6(a)に示すように、検査部60まで第1グループG1が搬送され、冷却部50まで第2グループG2が搬送され、また、ヒートシール部40まで第3グループG3が搬送される。そうすると、検査部60において第1グループG1に属する組付体PSの漏れ検査が行われ、冷却部50において第2グループG2に属する組付体PSの冷却が行われ、ヒートシール部40において第3グループG3に属する組付体PSのヒートシールが行われる。この時点で第4グループG4に属する組付体PSがパウチ供給部30において形成される。
【0050】
時間Twをかけて漏れ検査、冷却およびヒートシールの同期した作業が終わる。そうすると、図6(b)に示すように、第1グループG1に属するパウチ容器100は排出部70まで搬送され、第2グループG2に属する組付体PSは検査部60まで搬送され、第3グループG3に属する組付体PSは冷却部50まで搬送される。さらに、第4グループG4に属する組付体PSはヒートシール部40まで搬送される。なお、検査部60で検査を経るとパウチ容器100と称して、それまでの組付体PSと区別する。
【0051】
図6(c)に示すように、第2グループG2について検査部60で漏れ検査が行われ、第3グループG3について冷却部50で冷却され、第4グループG4についてヒートシールが行われる時間Twの間に、排出部70からパウチ容器100が次工程に受け渡される。排出部70からは8体のパウチ容器100を4体ずつに分けて次工程に受け渡される。これは、排出部70における排出の動作に要する時間は、ヒートシール部40、冷却部50および検査部60のそれぞれの処理に要する時間Twよりも短時間で足りるからである。
以後は、上述したのと同様の手順で、パウチ供給部30~排出部70における同期した作業が継続される。
【0052】
[スパウト取付装置1の効果]
次に、スパウト取付装置1が奏する効果を説明する。
[第1の効果]
スパウト取付装置1において、ヒートシール部40および検査部60のそれぞれのシール領域AHおよび検査領域ADが、組付体PSの搬送路上に設けられる。したがって、ヒートシール、冷却および漏れ検査の作業を行うのに、作業領域まで組付体PSが搬送された後に作業が終わるまで組付体PSを移動させる必要がなく、組付体PSの位置は維持される。したがって、スパウト取付装置1は、ヒートシール部40~検査部60におけるそれぞれの作業を迅速に行うことができる。
【0053】
しかも、ヒートシール部40においては、金型41,42を移動させる必要があるものの、その移動量は微小である。これは冷却部50においても同様であり、検査部60においては規制部材61,62を移動させる必要がないか、移動させるとしてもパウチPのたわみに対応する程度の微小なもので足りる。さらにスパウト取付装置1は、搬送体11の移動を高速でかつ位置精度の高いリニア搬送部10を用いている。したがって、スパウト取付装置1は、ヒートシール部40~検査部60の処理要素の間の搬送時間が短縮される結果、それぞれの処理要素における処理時間を確保できる。例えば、ヒートシール部40におけるシール時間を確保できるのに加えて、特に組付体PSを停止してヒートシールする時間が確保されるので、ヒートシールの品質を向上できる。
【0054】
[第2の効果]
スパウト取付装置1は、スパウト供給部20から供給されたスパウトSが搬送体11で支持されると、その後は支持される搬送体11を代えることなく、同じ搬送体11で支持されたままで排出部70まで搬送される。つまり、スパウト取付装置1によれば、スパウトSを掴み替える必要がないので、スパウトS、組付体PSおよびパウチ容器100を誤って落下させる可能性は極めて小さいし、掴み替えによりスパウトSなどに傷を生じさせることもない。
【0055】
掴み替えの必要がないという第2の効果は、リニアモータを用いるリニア搬送部10でスパウトSなどを搬送することに基く。つまり、リニア搬送部10を構成する複数の搬送体11はそれぞれが独立して運転が制御できるので、複数の搬送体11を異なる速度で運転するときにスパウトSなどを掴み替える必要がない。これに対して、例えばチェン式のコンベヤ装置を用いる場合には、同じコンベヤ装置においては搬送体に相当する部分を異なる速度で運転することができない。したがって、チェン式のコンベヤ装置を用いる場合には、異なる速度で運転するにはそれぞれの速度に応じた複数のコンベヤ装置を用いる必要があるので、掴み替えが必要になる。
【0056】
[第3の効果]
スパウト取付装置1は、スパウト供給部20およびパウチ供給部30と、ヒートシール部40、冷却部50および検査部60とが、トラック状の周回軌道の往路R1と復路R2に対向して配置される。したがって、スパウト供給部20~検査部60を一列に並べるのに比べて、リニア搬送部10の搬送方向の寸法を小さくできる。この平面方向の省スペース化の効果は、搬送に関与しない部分の多い回転体を用いた搬送手段に比べて、搬送に関与しない部分が少ないリニア搬送部10を用いていることも関与している。
【0057】
[付記]
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【0058】
[組付体PSなどの鉛直搬送]
一例として、以上で説明したスパウト取付装置1は、スパウトSが支持された組付体PSおよびパウチ容器100を水平方向Hに平行に搬送する例を説明したが、図7に一例を示すように、本発明は組付体PSおよびパウチ容器100を鉛直方向Vに平行に搬送してもよい。この場合、ヒートシール部40、冷却部50および検査部60における作業領域を鉛直方向Vに平行に設ければ、上述したのと同様にヒートシール部40~検査部60におけるそれぞれの作業を迅速に行うことができる。
【0059】
ただし、組付体PSなどを鉛直方向Vに平行にして搬送するとなると、図7に示すように、搬送体11の水平方向Hの寸法(ハングオーバ)が大きくなる。これは、金型41,42および金型41,42を駆動するための駆動源である例えば空圧シリンダ43,44が水平方向Hに沿って配置されるためである。つまり、一方の金型41と空圧シリンダ43は搬送体11と組付体PSの間に配置されるのに加えて、他方の金型42と空圧シリンダ44は、ガイドレール13の外側に配置される結果として、搬送体11のハングオーバーが大きくなる。
【0060】
また、本実施形態はスパウトSのパウチPに挿入されていない部分を支持して組付体PSを搬送する。したがって、スパウトSのパウチPに挿入される部分の形状、寸法が変わったとしても、支持される部分の形状、寸法が同じであれば、支持する側の型替は必要ない。また、パウチPの形状、寸法が変わったとしても、パウチPのスパウトSの取り付け部分の形状、寸法が同じであれば、支持する側の型替は必要ない。
【符号の説明】
【0061】
1 スパウト取付装置
10 リニア搬送部
11 搬送体
12 永久磁石
13 ガイドレール
14 電磁コイル
20 スパウト供給部
30 パウチ供給部
30A 第1供給部
30B 第2供給部
40 ヒートシール部
41,42 金型
43,44 空圧シリンダ
50 冷却部
60 検査部
61,62 規制部材
63 スリット状空間
70 排出部
80 制御部
100 パウチ容器
S スパウト
P パウチ
PS 組付体
AH シール領域
AD 検査領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7